JP6576836B2 - 索道用カバー及び索道用カバーの装着方法 - Google Patents
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Description
このような船舶の係留設備に関する技術が特許文献1によって開示されている。
これに対し、特許文献1では、上下2本の横ローラ21と左右2本の縦ローラ22とで構成されたユニバーサルチョック2が開示されている。これによれば、ローラの回転方向に沿った係留索の移動については摩擦が低減され、係留索の擦り切れが有効に抑止される。
しかし、ローラの軸方向へ係留索が横ずれするような場合にはあまり効果がない。また、上下2本の横ローラ21と左右2本の縦ローラ22を要するためコスト高であり、なにより、既存の通常の索道(チョック)に対する係留索の擦り切れ予防として利用できるものではない。
既存の索道における係留索の擦り切れ予防としては、従来、図4に例示されるように、索道100に保護カバー200を設けるものがあった。索道100が図4に示されるようなオンデッキタイプである場合にはこのような保護カバー200を設ける(取り付ける)ことも容易であるが、索道が図5に示されるようなブルワークタイプ(舷しょうに索道が形成されているタイプ)である場合、オンデッキタイプのように索道に保護カバーを巻き付けて取り付けることができないため、保護カバーを取り付けることが困難であるという問題があった。
船舶の係留索を通すための索道に対して用いられるカバーであって、前記索道の開口部内に配される保護部材と、前記索道の開口部よりも大きな内径を有する環状部材と、を備え、前記保護部材の一端側に前記環状部材が備えられていることを特徴とする索道用カバー。
前記保護部材が、筒状に形成され、当該筒状の一端の外周上に前記環状部材が取り付けられていることを特徴とする構成1に記載の索道用カバー。
前記筒状の保護部材が、中央付近にて小径に形成され、両端部分に行くにしたがい大径となるように形成されていることを特徴とする構成2に記載の索道用カバー。
前記環状部材が設けられる側に対する他端側の前記保護部材の開口部において、当該開口部を縮径させるための縮径部材を備えることを特徴とする構成2又は構成3に記載の索道用カバー。
前記保護部材が、前記索道の開口部の内壁に沿うように形成されていることを特徴とする構成1から構成4の何れかに記載の索道用カバー。
前記保護部材の一端又は両端において、ロープ又はロープ締結用の締結部材が設けられていることを特徴とする構成1から構成5の何れかに記載の索道用カバー。
前記環状部材が設けられる側の前記保護部材の外周上において、前記ロープ又はロープ締結用の締結部材が上下2箇所に設けられており、他端側の前記保護部材の外周上において、前記ロープ又はロープ締結用の締結部材が上下左右4箇所に設けられていることを特徴とする構成6に記載の索道用カバー。
前記環状部材が鋼材によって形成されていることを特徴とする構成1から構成7の何れかに記載の索道用カバー。
構成7に記載の索道用カバーを船舶の索道に取り付ける装着方法であって、前記索道の船舶の外側の開口部の外周に、前記環状部材を配するステップと、前記索道の開口部内部を通して、船舶内側に前記保護部材を取り出すステップと、前記環状部材が設けられる側の上側ロープと前記他端側の上側ロープとを舷しょうの上端ごしに締結する、又は、前記環状部材が設けられる側の上側ロープ締結用の締結部材と前記他端側の上側ロープ締結用の締結部材とを舷しょうの上端ごしにロープで締結するステップと、前記他端側の残りのロープを舷しょう部に締結する、又は、前記他端側の残りのロープ締結用の締結部材と舷しょう部をロープで締結するステップと、を有することを特徴とする索道用カバーの装着方法。
即ち、索道の船舶の外側の開口部の外周に、環状部材を配し、索道の開口部内部を通して船舶内側に保護部材を取り出すことで、ブルワークタイプ(舷しょうに索道が形成されているタイプ)の索道に対しても容易に索道用カバーを取り付けることができるものである。
図1〜3に示されるように、本実施形態の索道用カバー1は、船舶の索道21に対して用いられるカバーであって、保護部材11と、環状部材12と、締結部材13(13Fu,13Fd,13Bu,13Bd,13Bl,13Br)と、内側開口部縮径用ロープ14と、を備える。
保護部材11は超高分子量ポリエチレン、アラミド等の高機能繊維、若しくはポリエステル、ナイロン等の一般繊維を用いて縫製される。
環状部材12は、保護部材11の一端側(正面側)に備えられる。より詳細には保護部材11の正面側端部の外周上に取り付けられるものであり、筒状の保護部材11の正面側の端部を折り返して袋状とした内部に配される(縫い込まれる)ものである。
環状部材12は、鋼材(ステンレス)によって形成される(丸棒を曲げ加工してリング状とし、両端を溶接で接合)。
図1(a)、図2(a)に示されるように、環状部材12が設けられる側(即ち正面側)の保護部材11の外周上において、上下2箇所に締結部材13(正面上側締結部材13Fu,正面下側締結部材13Fd)が設けられる。
また、図1(b)、図2(b)に示されるように、他端側(即ち背面側)の保護部材11の外周上において、上下左右4箇所に締結部材13(背面上側締結部材13Bu,背面下側締結部材13Bd,背面左側締結部材13Bl,背面右側締結部材13Br)が設けられる。
締結部材13は保護部材11と同様に、超高分子量ポリエチレン、アラミド等の高機能繊維、若しくはポリエステル、ナイロン等の一般繊維を用いて縫製される。
内側開口部縮径用ロープ14は、筒状の保護部材11の背面側の端部を折り返して袋状とした内部に配され、当該袋状部の一箇所に設けられた開口部から両端が取り出されているものであり、“巾着”と同様に開口部を縮径可能としているものである。
先ず、索道用カバー1を舷しょう(ブルワーク)20越しに持って、船舶の外側の索道21の開口部の外周に、環状部材12がはまるように配する。この状態で、索道21の開口部(穴)内部を通して、船舶内側に保護部材11を取り出す。そして、各締結部材13にロープRを通し、これを船舶と締結することで、取り付け作業が完了する。
各締結部材13と船舶をロープRで締結する作業の順番は任意で構わないが、正面上側締結部材13Fuと背面上側締結部材13Buを舷しょう20の上端ごしにロープRで締結する作業と、背面下側締結部材13Bd,背面左側締結部材13Bl,背面右側締結部材13Brのそれぞれと、舷しょう20の補強部材22に設けられた穴22HとをロープRで締結する作業である。なお、穴22Hは水抜き穴として舷しょう20の各補強部材22に設けられているものを利用できる。ロープRについては、索道21への取り付け作業前に、予めロープRの一方の端部を各締結部材13に対して締結しておくことで、より作業性が良くなる。
本実施形態の索道用カバー1によれば、索道21の船舶の外側の開口部の外周に配される環状部材12を備えることにより、非常に作業性が悪くなる船舶の外側においても、簡便に保護部材11を索道21開口部に沿わせて配置することができるものである。且つ、保護部材11に対して船舶内部側へ引き込む力が働いても、環状部材12によってしっかりと保持される(環状部材12が索道21の開口部よりも大きな内径を有するため引き込まれることがない)ため、取り付け作業(保護部材11の船舶内部側への引き込み)が簡便であるとともに、使用時においても索道用カバー1が外れてしまうといったことが抑止される。
また、本実施形態の索道用カバー1によれば、保護部材11が、基本態様として筒状に形成されているため、索道21の開口部を全周にわたりカバーすることができる。従って、船舶が揺れること等によって係留索Mが索道21内で暴れた場合においても、係留索Mが擦り切れることをより有効に抑止することができる。例えば、整備が不十分な港であるような場合には、船舶が上下左右に大きく揺れることもあるため、索道21の開口部を全周カバーできることは非常に有用である。
また、本実施形態の保護部材11は、図2(c)に示されるように、索道21の開口部内に配された際に、索道21の開口部の内壁に沿うように形成(縫製)されているため、索道用カバー1を取り付けた際に保護部材11にしわが寄ることが抑止され、内面がなめらかな状態となるため、より効果的に係留索Mが擦り切れることを抑止することができる。
従来、ブルワークタイプの索道21に対しては保護カバーを設けることが難しかったため、係留索Mに対して、これをカバーする筒状の保護カバー300を用いていた。しかし、索道21に触れる係留索Mの位置が常に同じというものではないため、この方法では適宜保護カバー300の取り付け位置を適宜調節する必要があった。係留索Mには大きな係留張力がかかるため、このような調節作業は危険を伴うものであった。
これに対し、本実施形態の索道用カバー1によれば、ブルワークタイプの索道21に対しても容易に索道用カバーを取り付けることができるため、このような問題が解消される。(索道21に付けっ放しで問題なく、位置調節も不要。)
なお、本実施形態の索道用カバー1がブルワークタイプの索道21にしか使えないというものではなく、オンデッキタイプに用いても勿論構わない。
また、本実施形態では、保護部材11を筒状に形成するものを例としており、前述のごとく索道21の開口部を全周カバーできるため好適なものであるが、図4の従来例のように、半円筒状などとしてもよい。ただしこの場合においても、環状部材12は環状に形成する。
また、実施形態では、環状部材12が鋼材で形成されているものを例としているが、環状部材12が索道21の開口部(穴)を通ってしまう(変形して引き込まれる)ものでなければ、任意の材料(例えば鋼線等)で形成してもよい。
なお、本実施形態では、締結部材13が保護部材11の両端(正面側及び背面側)に設けられるものを例としているが、正面側の締結部材13が無いものであっても構わない(背面側の取り付けがしっかりしていれば、正面側は環状部材12によって保持可能であるため)。
また、背面側について、背面側の保護部材11の開口部を縮径させる縮径部材によって十分な保持力が得られる場合には、背面側の締結部材13(背面上側締結部材13Bu,背面下側締結部材13Bd,背面左側締結部材13Bl,背面右側締結部材13Br)が無い(若しくは一部を省く)ものであっても構わない。(逆に、背面側の締結部材13を残して、縮径部材を削除するものであってもよい。)
また、締結部材13はロープRを締結するための部材であるが、ロープRの一端側を直接保護部材11に取り付けておくことにより、締結部材13の一部を省くものであっても構わない。
11...保護部材
12...環状部材
13Fu,13Fd,13Bu,13Bd,13Bl,13Br...締結部材
14...内側開口部縮径用ロープ(縮径部材)
20...舷しょう(ブルワーク)
21...索道(チョック)
M...係留索
Claims (8)
- 船舶の係留索を通すための索道に対して用いられるカバーであって、
前記索道の開口部内に配される、繊維を用いて筒状に縫製された保護部材と、
前記索道の開口部よりも大きな内径を有する環状部材と、
を備え、
前記保護部材の一端側に前記環状部材が備えられることを特徴とする索道用カバー。 - 前記筒状の保護部材が、中央付近にて小径に形成され、両端部分に行くにしたがい大径となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の索道用カバー。
- 前記環状部材が設けられる側に対する他端側の前記保護部材の開口部において、当該開口部を縮径させるための縮径部材を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の索道用カバー。
- 前記保護部材が、前記索道の開口部の内壁に沿うように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の索道用カバー。
- 前記保護部材の一端又は両端において、ロープ又はロープ締結用の締結部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の索道用カバー。
- 前記環状部材が設けられる側の前記保護部材の外周上において、前記ロープ又はロープ締結用の締結部材が上下2箇所に設けられており、他端側の前記保護部材の外周上において、前記ロープ又はロープ締結用の締結部材が上下左右4箇所に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の索道用カバー。
- 前記環状部材が鋼材によって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れかに記載の索道用カバー。
- 請求項6に記載の索道用カバーを船舶の索道に取り付ける装着方法であって、
前記索道の船舶の外側の開口部の外周に、前記環状部材を配するステップと、
前記索道の開口部内部を通して、船舶内側に前記保護部材を取り出すステップと、
前記環状部材が設けられる側の上側ロープと前記他端側の上側ロープとを舷しょうの上端ごしに締結する、又は、前記環状部材が設けられる側の上側ロープ締結用の締結部材と前記他端側の上側ロープ締結用の締結部材とを舷しょうの上端ごしにロープで締結するステップと、
前記他端側の残りのロープを舷しょう部に締結する、又は、前記他端側の残りのロープ締結用の締結部材と舷しょう部をロープで締結するステップと、
を有することを特徴とする索道用カバーの装着方法。
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