以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示す。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明する。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
(実施の形態1)
以下、実施の形態1について、図1から図5を用いて説明する。
[無線通信装置の構成]
無線通信装置は、アンテナモジュールと基板(セット基板)とが接続された装置であり、利用者が操作するリモコン等と通信する装置である。無線通信装置には、例えば、無線により操作される機器が搭載される。無線により操作される機器は、例えば、照明器具又は空調機器等である。本実施の形態では、無線通信装置には、例えば照明器具が搭載されて、無線により照明器具のオン、オフ、調光等の操作がされる。
まず、アンテナモジュール100の構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係るアンテナモジュール100の外観の一例を示す上面図(部品面から見た図)である。
アンテナモジュール100は、アンテナ内蔵無線モジュールであって、例えば、BtoB(Board to Board)コネクタで後述する基板200に接続される。アンテナモジュール100は、基板200から電力を供給されて動作する。アンテナモジュール100は、アンテナ10と、第1のコネクタ120と、通信回路部130とを備える。なお、アンテナモジュール100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備えてもよい。本実施の形態では、アンテナモジュール100は、後述する図3に示されるように、CPU140、ROM150及びRAM160を備えるが、図1では、図示を省略している。
アンテナ10は、高周波信号を電波として空間中に送信したり、空間中の電波を受信したりする装置であって、図1に示されるように、例えば、基板上に設けられた配線をアンテナとしたパターンアンテナである。また、アンテナ10は、例えば、モノポールアンテナであり、給電点11から高周波電力が給電される。なお、アンテナ10は、パターンアンテナに限らず、チップアンテナ等であってもよい。アンテナ10は、第1のコネクタ120が後述する第2のコネクタ220に接続されることで、基板200に取り付けられる。
第1のコネクタ120は、アンテナ10を基板200に取り付けるためのコネクタであって、例えば、BtoBコネクタである。第1のコネクタ120は、例えばオス型のコネクタであり、メス型のコネクタと接続する。第1のコネクタ120は、基板200の平面視においてアンテナ10と基板200が有する導体部分との位置関係が変化するように、アンテナ10を基板200に位置調整可能に取り付ける。なお、以下では基板200の平面視のことを、単に平面視とも呼ぶ。第1のコネクタ120が有する端子については、後述する図3及び図5で詳細に説明する。
通信回路部130は、アンテナ10を介して高周波信号の処理を行う回路であり、アンテナ10と電気的に接続され、アンテナ10を介して外部の無線機器(利用者が操作するリモコン等)と所定の周波数帯域の通信を行う。
次に、基板200の構成について説明する。
図2は、実施の形態1に係る基板200の外観の一例を示す上面図(部品面から見た図)である。基板200は、導体部分210と、第2のコネクタ220と、整合調整用回路とを備える。なお、本実施の形態では、基板200には、後述する図4に示されるように、CPU240、ROM250及びRAM260、電源270、照明器具に関する部品として光源駆動電源280及び光源290が実装されるが、図2では、図示を省略している。
導体部分210は、基板200の内層に基板200の略全面に亘って配置されている。導体部分210は、例えば、銅等の金属であり、基板200における接地(GND)電極となっている。
第2のコネクタ220は、第1のコネクタ120が接続されるコネクタであって、例えば、BtoBコネクタである。第2のコネクタ220は、例えば、メス型のコネクタである。第2のコネクタ220が有する端子については、後述する図4及び図6で詳細に説明する。
整合調整用回路は、導体部分210に流れる高周波電流を調整するための回路であって、例えば、整合調整用素子230から構成される。整合調整用素子230のインピーダンスに応じて、アンテナ10の放射特性が設計される。整合調整用素子230は、例えば、直流抵抗が十分小さいチップインダクタである。なお、整合調整用回路は、複数の整合調整用素子230から構成されてもよい。また、整合調整用回路が複数の整合調整用素子230から構成される場合、複数の整合調整用素子230がそれぞれ同じ箇所に接続されなくてもよい。例えば、定数の異なる複数の整合調整用素子230のうちの所定の整合調整用素子230が、後述するGND1端子に接続され、他の整合調整用素子230が、後述するGND2端子に接続されてもよい。
次に、アンテナモジュール100の機能について説明する。
図3は、実施の形態1に係るアンテナモジュール100の機能の一例を示すブロック図である。
図3に示されるように、アンテナモジュール100では、アンテナ10と通信回路部130とが電気的に接続し、通信回路部130とCPU140とが電気的に接続し、CPU140と第1のコネクタ120とが電気的に接続している。そして、第1のコネクタ120は、基板200が備える第2のコネクタ220と嵌合されて接続される。これにより、例えば、利用者がリモコン等により送信した照明器具を操作する信号をアンテナ10が受信すると、照明器具を操作する信号は、通信回路部130、CPU140及び第1のコネクタ120を介して基板200へ送られる。
CPU140は、第1のコネクタ120を介して基板200が備えるCPU240と、例えば、汎用非同期通信(UART:Universal Asynchronous Receiver Transmitter)を用いて通信をするマイコンである。図3には、CPU140と第1のコネクタ120とが1本の線で接続しているように示されているが、実際には、CPU140が有するResetピン、Wakeピン、CTS(Clear To Send)ピン、RTS(Request To Send)ピン、TXピン、RXピン、VDDピン及びGNDピンと、第1のコネクタ120が有するReset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子、VDD端子及びGND端子とが、それぞれ電気的に接続している。
ここで、Reset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子、VDD端子及びGND端子の機能について説明する。
Reset端子は、CPU140の内部状態を初期値に戻すための端子である。第1のコネクタ120が有するReset端子は、第2のコネクタ220が有するReset端子と接続されて、例えば第2のコネクタ220(CPU240)からリセット命令を受ける。
Wake端子は、無線機能を使用しないときはCPU140をスリープ状態とし、無線機能を使用するときのみ動作状態とするための端子である。つまり、Wake端子により、消費電力を低減することができる。第1のコネクタ120が有するWake端子は、第2のコネクタ220が有するWake端子と接続されて、例えば第2のコネクタ220(CPU240)からスリープ命令又は動作命令を受ける。
CTS端子及びRTS端子は、フロー制御をするための端子である。第1のコネクタ120が有するCTS端子は、第2のコネクタ220が有するCTS端子と接続され、第1のコネクタ120が有するRTS端子は、第2のコネクタ220が有するRTS端子と接続される。
TX端子及びRX端子は、データを送受信するための端子である。第1のコネクタ120が有するTX端子は、第2のコネクタ220が有するTX端子と接続され、第1のコネクタ120が有するRX端子は、第2のコネクタ220が有するRX端子と接続される。
第1のコネクタ120が有するVDD端子は、アンテナモジュール100への電力が供給される端子である。第1のコネクタ120が有するVDD端子は、第2のコネクタ220が有するVDD端子と接続されて、例えば基板200が備える電源270から電力が供給される。図3には、VDD端子に供給された電力は、第1のコネクタ120を介してCPU140にのみ供給されているように示されているが、VDD端子に供給された電力は、例えば、通信回路部130、ROM150及びRAM160にも供給される。
第1のコネクタ120が有するGND端子は、第2のコネクタ220が有するGND1端子及びGND2端子のうちのどちらか一方に接続される。なお、図3には、GND端子は、第1のコネクタ120を介してCPU140にのみ接続されているように示されているが、GND端子は、例えば、通信回路部130、ROM150及びRAM160にも接続される。
ROM150は、不揮発性メモリであり、RAM160は、揮発性メモリである。ROM150は、例えば、CPU140に実行させるプログラム等を記憶している。
なお、図3には、クロックが示されていないが、アンテナモジュール100が外部クロックを有してもよく、CPU140が内部クロックを有してもよい。
次に、基板200の機能について説明する。
図4は、実施の形態1に係る基板200の機能の一例を示すブロック図である。
図4に示されるように、CPU240は、第2のコネクタ220及び光源駆動電源280と電気的に接続している。これにより、例えば、利用者がリモコン等により送信した照明器具を操作する信号は、第1のコネクタ120と接続された第2のコネクタ220及びCPU240を介して光源駆動電源280へ送られる。そして、光源駆動電源280は、照明器具を操作する信号に応じて、例えば、光源290を点灯、消灯又は調光点灯等させる。
CPU240は、第2のコネクタ220を介してアンテナモジュール100が備えるCPU140と、例えば、URATを用いて通信をするマイコンである。図4には、CPU240と第2のコネクタ220とが1本の線で接続しているように示されているが、実際にはCPU140と同様に、CPU240が有するResetピン、Wakeピン、CTSピン、RTSピン、TXピン、RXピン及びVDDピンと、第2のコネクタ220が有するReset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子及びVDD端子とがそれぞれ電気的に接続している。
ここで、GND1端子及びGND2端子の機能について説明する。なお、Reset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子及びVDD端子については、図3において説明したため、ここでの説明は省略する。
第2のコネクタ220が有するGND1端子は、整合調整用回路(整合調整用素子(Z1)230)と電気的に接続している。整合調整用素子230は、第2のコネクタ220(GND1端子)と基板200の導体部分210である接地電極との間に挿入されているため、GND1端子は、整合調整用素子230を介して導体部分210に接続している。
第2のコネクタ220が有するGND2端子は、基板200の導体部分210と電気的に接続している。
なお、図4には、基板200の導体部分210は、GND2端子、整合調整用素子230及び光源290にのみ接続しているように示されているが、基板200の導体部分210は、例えば、CPU240、ROM250、RAM260、電源270及び光源駆動電源280にも接続される。
CPU240は、上述したように、第2のコネクタ220を介して、例えば、照明器具を操作する信号を受ける。そして、CPU240は、照明器具を操作する信号に基づいた信号を光源駆動電源280に送る。例えば、CPU240は、光源駆動電源280が有するスイッチング素子のオン、オフを制御する信号を光源駆動電源280に送る。
ROM250は、不揮発性メモリであり、RAM260は、揮発性メモリである。ROM250は、例えば、CPU240に実行させるプログラム等を記憶している。
電源270は、アンテナモジュール100及びCPU240等に直流電力を供給するための電源であり、例えば、電池である。なお、電源270は、電池に限らず、交流電源からの交流電力を直流電力に変換してアンテナモジュール100及びCPU240等に直流電力を供給してもよい。図4には、電源270は、第2のコネクタ220を介してアンテナモジュール100にのみ電力を供給しているように示されているが、電源270は、例えば、上述したようにCPU240、ROM250及びRAM260にも電力を供給する。なお、電源270は、光源駆動電源280にも電力を供給してもよい。
光源駆動電源280は、光源290を駆動するための電源である。光源駆動電源280は、交流電源からの交流電力を直流電力に変換して光源290に直流電力を供給する。光源駆動電源280は、例えば、スイッチング素子を有し、CPU240からのスイッチング素子のオン、オフを制御する信号に応じて光源290に電力を供給する。例えば、光源駆動電源280は、スイッチング素子のオン、オフを制御する信号に応じて光源290をPWM(Pulse Width Modulation)調光する。なお、光源駆動電源280は、電源270からの直流電力を光源290に供給してもよい。また、光源290の種類によっては、光源駆動電源280は、光源290に交流電力を供給してもよい。
光源290は、例えば、LED(Light Emitting Diode)光源である。なお、光源290は、半導体レーザ等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)又は無機EL等の固体発光素子であってもよい。
なお、光源駆動電源280及び光源290は、基板200に搭載されなくてもよい。つまり、照明器具等の無線により操作される機器と基板200とがそれぞれ独立していてもよい。これにより、利用者がアンテナモジュール100と基板200とが接続された無線通信装置を無線により操作したい機器に取り付けるだけで、当該機器を簡単に無線化することができる。
[第1のコネクタ及び第2のコネクタが有する端子の配置]
次に、第1のコネクタ120及び第2のコネクタ220が有する端子の配置について、図5及び図6を用いて説明する。
まず、第1のコネクタ120が有する端子の配置について説明する。
図5は、実施の形態1に係る第1のコネクタ120が有する端子の配置を説明する図である。図5には、図1に示される部品面視において第1のコネクタ120を見たときの第1のコネクタ120が有する端子の配置が示される。つまり、図1に示される第1のコネクタ120のa側と図5に示される端子のa側が対応しており、図1に示されるa側に図5に示されるGND端子が配置されている。
図5に示されるReset、Wake、CTS、RTS、TX、RX、VDD及びGNDはそれぞれ、図3で説明したReset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子、VDD端子及びGND端子に対応する。また、NCは、NC(Non Connection)端子であり、電気的に接続されるものがない端子である。図5に示されるように、第1のコネクタ120には、Reset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子、VDD端子及びGND端子とNC端子とが、点対称の中心O1を中心に点対称に配置されている。例えば、図5における右上に配置されたVDD端子と図5における左下に配置されたNC端子とが組となるように、中心O1を中心に点対称に配置されている。中心O1は、図1に示されるO1に対応し、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との嵌合中心となる。
このように、第1のコネクタ120には、Reset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子、VDD端子及びGND端子とNC端子とが点対称の位置に配置されている。なお、Reset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子、VDD端子及びGND端子と同じ機能を有する端子がNC端子の代わりに配置されてもよい。例えば、図5における左下のNC端子の代わりにVDD端子が配置されてもよい。ここで、同じ機能を有する端子とは、同じタイミングで同じ電位になる端子のことである。
次に、第2のコネクタ220が有する端子の配置について説明する。
図6は、実施の形態1に係る第2のコネクタ220が有する端子の配置を説明する図である。図6には、図2に示される部品面視において第2のコネクタ220を見たときの第2のコネクタ220が有する端子の配置が示される。つまり、図2に示される第2のコネクタ220のb側と図6に示される端子のb側が対応しており、図2に示されるb側に図6に示されるGND1端子が配置されている。
図6に示されるReset、Wake、CTS、RTS、TX、RX、VDD、GND1及びGND2はそれぞれ、図4で説明したReset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子、VDD端子、GND1端子及びGND2端子に対応する。図6に示されるように、第2のコネクタ220には、同じ機能を有する端子同士が点対称に配置されている。具体的には、第2のコネクタ220には、Reset端子、Wake端子、CTS端子、RTS端子、TX端子、RX端子及びVDD端子同士が、点対称の中心O2を中心に点対称に配置されている。例えば、図6における左上のVDD端子と図6における右下のVDD端子とが組となるように、中心O2を中心に点対称に配置されている。また、第2のコネクタ220には、GND1端子とGND2端子とが点対称の中心O2を中心に点対称に配置されている。つまり、図6における左下に配置されたGND1端子と図6における右上に配置されたGND2端子とが組となるように、中心O2を中心に点対称に配置されている。なお、GND1端子に接続されている整合調整用素子230の直流抵抗が小さいため、GND1端子とGND2端子とは、同じ機能を有する端子としている。中心O2は、図2に示されるO2に対応し、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との嵌合中心となる。
このように、第2のコネクタ220には、同じ機能を有する端子同士が点対称に配置されている。
[第1のコネクタと第2のコネクタとの接続]
次に、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との接続について、図7A及び図7Bを用いて説明する。
図7Aは、実施の形態1に係るアンテナモジュール100及び基板200の第1の接続状態となるときの側面図を示す。
図7Bは、実施の形態1に係るアンテナモジュール100及び基板200の第2の接続状態となるときの側面図を示す。図7A及び図7Bでは、アンテナモジュール100が基板200に接続される方向をZ軸方向としている。また、図7A及び図7Bでは、アンテナモジュール100を側面から見たときのアンテナ10が模式的に示される。
図7A及び図7Bに示されるように、オス型コネクタである第1のコネクタ120とメス型コネクタである第2のコネクタ220とは、軸Aに沿って嵌合されて接続される。軸Aは、図1及び図2等に示される点対称の中心O1及びO2を通り、かつ、基板200に垂直な軸である。
ここで、図7Aに示されるアンテナモジュール100と基板200との位置関係から、アンテナモジュール100と基板200とがZ軸方向に近づけられて接続された状態を第1の接続状態と呼ぶ。また、図7Bに示されるアンテナモジュール100と基板200との位置関係から、アンテナモジュール100と基板200とがZ軸方向に近づけられて接続された状態を第2の接続状態と呼ぶ。第2の接続状態では、アンテナ10の位置が第1の接続状態における位置から、点対称の中心O1及びO2を通る基板200と垂直な軸Aを中心に反転した位置にある。第1のコネクタ120と第2のコネクタ220とが有する端子が図5及び図6に示される配置をしているため、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220とは、第1の接続状態及び第2の接続状態で接続することができる。具体的には、第1のコネクタ120には、所定の機能を有する端子とNC端子とが点対称に配置され、第2のコネクタ220には、同じ機能を有する端子同士が点対称に配置されているため、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220とは、第1の接続状態及び第2の接続状態で接続することができる。つまり、アンテナ10は、第1のコネクタ120及び第2のコネクタ220によって基板200に位置調整可能に取り付けられる。
[第1の接続状態及び第2の接続状態]
次に、第1の接続状態及び第2の接続状態について、図8及び図9を用いて詳細に説明する。
まず、第1の接続状態について説明する。
図8Aは、実施の形態1に係る無線通信装置1の第1の接続状態における上面図である。ここで、無線通信装置1をアンテナモジュール100と基板200とが接続された装置としている。また、図8Aに示されるアンテナモジュール100は、第1のコネクタ120を第2のコネクタ220に接続するために図1に示されるアンテナモジュール100を裏返したものである。
図8Bは、実施の形態1に係る無線通信装置1の第1の接続状態における側面図である。図8Bには、基板200の内層に基板200の略全面に亘って配置されている導体部分210が破線で示されている。図8Aにおける平面視では、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との接続が見られないが、図8Bに示されるように、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220とが接続している。また、通信回路部130が基板200と接するように、通信回路部130と基板200とは、例えば両面テープ等の接着部材で固定される。さらに、アンテナモジュール100と基板200とが例えばネジ等の締結部材で固定される。このとき、アンテナ10と基板200とは、Z軸方向に所定の間隔をあけて重なっている。
図8A及び図8Bに示されるように、第1の接続状態では、アンテナ10と導体部分210とが平面視において(Z軸方向から見て)重なる位置関係にある。
図8Cは、実施の形態1に係る第1のコネクタ120及び第2のコネクタ220が有する端子の第1の接続状態における配置を示す図である。
図8Cに示される第1のコネクタ120の端子の配置図には、図8Aに示されるZ軸の正の方向側から第1のコネクタ120を見たときの第1のコネクタ120が有する端子の配置が示される。図8Cに示される第1のコネクタ120の端子の配置は、図5に示される第1のコネクタ120が有する端子の配置を左右方向に裏返した状態となる。また、図8Aに示される第1のコネクタ120のa側と図8Cに示される端子のa側とが対応しており、図8Aに示されるa側に図8Cに示されるGND端子が配置されている。
また、図8Cに示される第2のコネクタ220の端子の配置図には、図8Aに示されるZ軸の正の方向側から第2のコネクタ220を見たときの第2のコネクタ220の端子の配置が示される。図8Aに示される第2のコネクタ220のb側と図8Cに示される端子のb側とが対応しており、図8Aに示されるb側に図8Cに示されるGND1端子が配置されている。
第1の接続状態では、図8Aに示されるZ軸の正の方向側から第1のコネクタ120と第2のコネクタ220とを見たときに、第1のコネクタ120及び第2のコネクタ220の端子は、図8Cに示される第2のコネクタ220の端子の上に図8Cに示される第1のコネクタ120の端子が重なった状態になる。つまり、図8Cに示される同じ位置にある第1のコネクタ120の端子と第2のコネクタ220の端子とが接続される。例えば、第2のコネクタ220のb側のGND1端子の上に第1のコネクタ120のa側のGND端子が重なる、つまり、第1のコネクタ120のGND端子と第2のコネクタ220のGND1端子とが接続される。
第1の接続状態では、第1のコネクタ120のGND端子が第2のコネクタ220のGND1端子に接続される。したがって、GND1端子は、整合調整用素子230を介して導体部分210に接続しているため、アンテナモジュール100(第1のコネクタ120)のGND端子は、整合調整用素子230を介して導体部分210に接続する。
次に、第2の接続状態について説明する。
図9Aは、実施の形態1に係る無線通信装置1の第2の接続状態における上面図である。図9Aに示されるアンテナモジュール100は、図8Aと同様に、第1のコネクタ120を第2のコネクタ220に接続するために図1に示されるアンテナモジュール100を裏返したものである。
図9Bは、実施の形態1に係る無線通信装置1の第2の接続状態における側面図である。図9Bには、基板200の内層に基板200の略全面に亘って配置されている導体部分210が破線で示されている。図9Aにおける平面視では、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との接続が見られないが、図9Bに示されるように、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220とが接続している。また、通信回路部130が基板200と接するように、通信回路部130と基板200とは、例えば両面テープ等の接着部材で固定される。さらに、アンテナモジュール100と基板200とが例えばネジ等の締結部材で固定される。このとき、アンテナ10は、基板200からY軸の負の方向側に飛び出している。
図9A及び図9Bに示されるように、第2の接続状態では、アンテナ10と導体部分210とが平面視において(Z軸方向から見て)重ならない位置関係にある。ここで、アンテナ10と導体部分210とが平面視において重ならない位置関係とは、アンテナ10のうち給電点11よりも先端の部分が導体部分210と重ならない位置関係のことである。図9Aでは、アンテナ10のうち給電点11よりも下側(Y軸の負の方向側)が平面視において導体部分210と重ならない。同様に、図9Bでは、アンテナ10のうち給電点11よりも左側(Y軸の負の方向側)が平面視において導体部分210と重ならない。
図9Cは、実施の形態1に係る第1のコネクタ120及び第2のコネクタ220が有する端子の第2の接続状態における配置を示す図である。
図9Cに示される第1のコネクタ120の端子の配置図には、図9Aに示されるZ軸の正の方向側から第1のコネクタ120を見たときの第1のコネクタ120が有する端子の配置が示される。図9Cに示される第1のコネクタ120の端子の配置は、図5に示される第1のコネクタ120が有する端子の配置を上下方向に裏返した状態となる。また、図9Aに示される第1のコネクタ120のa側と図9Cに示される端子のa側とが対応しており、図9Aに示されるa側に図9Cに示されるGND端子が配置されている。
図9Cに示される第2のコネクタ220の端子の配置図は、図8Cに示される第2のコネクタ220の端子の配置図と同じであるため、説明は省略する。
第2の接続状態では、図9Aに示されるZ軸の正の方向側から第1のコネクタ120と第2のコネクタ220とを見たときに、第1のコネクタ120及び第2のコネクタ220の端子は、図9Cに示される第2のコネクタ220の端子の上に図9Cに示される第1のコネクタ120の端子が重なった状態になる。つまり、図9Cに示される同じ位置にある第1のコネクタ120の端子と第2のコネクタ220の端子とが接続される。例えば、図9Cに示される第2のコネクタ220の右上側に配置されたGND2端子の上に第1のコネクタ120のa側のGND端子が重なる、つまり、第1のコネクタ120のGND端子と第2のコネクタ220のGND2端子とが接続される。
第2の接続状態では、第1のコネクタ120のGND端子が第2のコネクタ220のGND2端子に接続される。したがって、GND2端子は、導体部分210に接続しているため、アンテナモジュール100(第1のコネクタ120)のGND端子は、導体部分210に接続する。
図8及び図9に示されるように、アンテナ10と導体部分210との平面視における位置関係は、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との接続状態に応じて変化する。具体的には、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との接続状態には、第1の状態及び第2の状態が含まれる。第1の接続状態では、アンテナ10と導体部分210とが平面視において重なる位置関係になる。第2の接続状態では、アンテナ10と導体部分210とが平面視において重ならない位置関係になり、かつ、アンテナ10の位置が第1の接続状態における位置から、点対称の中心を通る基板200と垂直な軸を中心に反転した位置にある。このように、基板200の平面視においてアンテナ10と基板200が有する導体部分210との位置関係が変化するように、アンテナ10は、基板200に位置調整可能に取り付けられる。
次に、第1の接続状態及び第2の接続状態における無線通信装置1の指向性について説明する。
第1の接続状態では、図8A及び図8Bに示されるように、アンテナ10と導体部分210とが平面視において重なる位置関係にある。これにより、導体部分210が遮蔽物となるため、アンテナ10は、図8A及び図8Bに示されるZ軸の負の方向側へ電波を放射しにくくなる。さらに、図8Cに示されるように、第1のコネクタ120のGND端子が第2のコネクタ220のGND1端子に接続される。つまり、アンテナモジュール100(第1のコネクタ120)のGND端子は、整合調整用素子230を介して基板200の導体部分210に接続する。このとき、アンテナ10に流れる高周波電流と当該高周波電流によって導体部分210に励起される電流とが、使用周波数帯において略逆位相で略同振幅となるように、整合調整用素子230の定数が選定される。つまり、整合調整用素子230は、図8A及び図8Bに示されるZ軸の負の方向側へ照射される電波を弱め、Z軸の正の方向側へ放射される電波を強める。このように、第1の接続状態では、アンテナ10は、単一の指向性となる。
第2の接続状態では、図9A及び図9Bに示されるように、アンテナ10と導体部分210とが平面視において重ならない位置関係にある。これにより、第1の接続状態と異なり、導体部分210が遮蔽物とならず、アンテナ10が放射される電波は、図8A及び図8Bに示されるZ軸の負の方向側を含む全方向へ放射される。このように、第2の接続状態では、アンテナ10は、無指向性となる。
[効果等]
次に、本実施の形態に係るアンテナモジュール100及び無線通信装置1によって奏される効果について図10A及び図10Bを用いて説明する。
図10Aは、実施の形態1に係るアンテナ10の第1の接続状態における放射状態を示す模式図である。
図10Bは、実施の形態1に係るアンテナ10の第2の接続状態における放射状態を示す模式図である。図10A及び図10Bに示されるように、無線通信装置1は被取付部400に取り付けられる。被取付部400は、例えば天井、壁又は柱等である。また、破線で示される矢印は電波の放射方向を模式的に示したものである。
図10Aに示されるように、第1の接続状態では、アンテナ10は単一の指向性となり、Z軸の正の方向側を主とする方向へ電波を放射する。例えば被取付部400が天井の場合、アンテナ10は、床方向を主とする方向へ電波を放射し、天井(被取付部400)を通した上階方向への放射が抑制される。さらに、整合調整用素子230の定数を選定することで、床方向における電界強度を最も強くすることができる。
図10Bに示されるように、第2の接続状態では、アンテナ10は無指向性となり、全方向へ電波を放射する。例えば被取付部400が柱の場合、アンテナ10は、柱(被取付部400)を通したフロア内の広い範囲へ電波を放射する。
ところで、汎用のアンテナモジュールでは、無指向性アンテナを用いて広い範囲へ均一なアクセスを提供することが望まれることが多いため、無線通信装置1は、上述した第2の接続状態(無指向性)で使用されることが多い。
しかし、無線通信装置1の設置場所に、例えば、鉄骨から成る天井の梁が張り出しているような場合、アンテナ10の放射により鉄骨に高周波電流が流れることで、アンテナの放射特性が乱されることがある。これにより、無線通信装置1が設置されたフロアのうちの一部の場所がヌル点、すなわち、電波の放射が著しく弱い場所になってしまうことがある。このような場合であっても、本発明の構成によれば、アンテナ10と基板200が有する導体部分210との位置関係が変化することで、アンテナ10を無指向性から単一指向性に変更することができる。具体的には、第1のコネクタ120と第2のコネクタ220との接続状態を第2の接続状態から第1の接続状態に変えるだけで、アンテナ10を無指向性から単一指向性に変更することができる。よって、アンテナ10の放射特性を安定して変更することができる。
また、用途によっては、図10Aで説明したように、単一指向性のアンテナが望まれることがある。従来であれば、無指向性アンテナとは別に単一指向性アンテナを製造する必要があったが、本発明の構成によれば、基板200へのアンテナモジュール100の取り付け方法を変えるだけよい。
以上のように、本実施の形態に係るアンテナモジュール100及び無線通信装置1は、1つのアンテナで容易に指向性を切り替えられる。
これにより、無線通信装置1を金属等へ設置する際にも、アンテナ特性(アンテナ利得)の劣化を容易に抑制することができる。また、無線通信装置1が設置される環境によるアンテナ特性の差異を小さくすることができるため、システムの構築が容易になる。
また、無線通信装置1を天井に設置する場合に、上階への放射を少なくするか、広い範囲に放射させるかを容易に選択できる。
さらに、チップインダクタ等の整合調整用素子230の定数をジャンパー等で切り替えるだけで、指向性の調整ができる。
このように、施工の最終段階においてアンテナ特性を最適化でき、通信を安定化させることができる。
また、同一の仕様で量産されたアンテナモジュール又は無線通信装置を無指向性と単一指向性との両方で使用することができるため、製造に掛かる固定費を低減でき、コストを抑制することができる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について、図11を用いて説明する。
図11は、実施の形態2に係る基板200aの機能の一例を示すブロック図である。
実施の形態2における基板200aでは、整合調整用回路は、複数の整合調整用素子として整合調整用素子230及び整合調整用素子231からスイッチ300によって所望の整合調整用素子を選択する回路であり、整合調整用回路のインピーダンスは可変である。このように、基板200aは、整合調整用素子231及びスイッチ300が追加されている点が実施の形態1における基板200と異なる。その他の構成は、実施の形態1におけるものと同じであるため説明は省略する。なお、整合調整用回路は、可変整合調整用素子で構成された回路であってもよい。
スイッチ300は、GND1端子と整合調整用素子231との電気的接続のオン、オフを切り替えるスイッチである。スイッチ300は、特に限定されず、例えば、トグルスイッチ等の機械的なスイッチ、又は、トランジスタ等の電気的なスイッチ等である。また、スイッチ300は、ジャンパー等であってもよい。スイッチ300がオフの場合、GND1端子には整合調整用素子230が接続され、スイッチ300がオンの場合、GND1端子には整合調整用素子230及び整合調整用素子231が並列に接続される。このように、スイッチ300は、第1の接続状態におけるアンテナモジュール100のGND端子と基板200の導体部分210である接地電極との間に挿入される整合調整用回路を、整合調整用素子230単体と整合調整用素子230及び整合調整用素子231の並列接続とのうちのどちらかに切り替える。
整合調整用素子230は、実施の形態1におけるものと同じであり、スイッチ300がオフのときに、アンテナ10に流れる高周波電流と当該高周波電流によって導体部分210に励起される電流とが、使用周波数帯において略逆位相で略同振幅となるような定数が選定される。つまり、整合調整用素子230は、アンテナ10が単一指向性となるような定数が選定される。
整合調整用素子231は、例えばチップ抵抗である。整合調整用素子231は、スイッチ300がオンのときに、整合調整用素子230の両端をダンピングするためのダンピング抵抗である。整合調整用素子230が整合調整用素子231に並列に接続された状態では、指向性が鈍くなる。これにより、スイッチ300がオンのときには、単一指向性と無指向性との中間的な指向性を実現することができる。なお、整合調整用素子230と整合調整用素子231との並列直流抵抗は、整合調整用素子230と略同じで十分小さいため、アンテナモジュール100の動作特性に影響を与えない。
以上のように、本実施の形態に係るアンテナモジュール100及び無線通信装置1は、実施の形態1において奏される効果に加えて、第1の接続状態において、単一指向性と無指向性との中間的な指向性を実現することができる。
(その他の実施の形態)
以上、本発明のアンテナモジュール100及び無線通信装置1について、実施の形態1及び2に基づいて説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本発明の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものや、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本発明の範囲に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、無線により操作される機器は、天井に設置される照明器具であったが、これに限らない。例えば、無線により操作される機器は、天井に設置される空調機器、壁に設置されるBEMS(Building Energy Management System)コントローラ、又は、棚に設置される電子棚札等の設置場所の環境によらず放射特性を調整したい機器であってもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、アンテナ10のうちの給電点11よりも先端の部分と導体部分210とが平面視において完全に重なる位置関係と完全に重ならない位置関係とにおいて、アンテナ10が基板200(200a)に取り付けられたが(図8及び図9参照)、これに限らない。例えば、アンテナ10のうちの給電点11よりも先端の一部分と導体部分210とが平面視において重なる位置関係と重ならない位置関係とにおいて、アンテナ10が基板200(200a)に取り付けられてもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、通信回路部130は、アンテナモジュール100に備えられたが、これに限らない。例えば、通信回路部130は、基板200(200a)に備えられてもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、第1のコネクタ120及び第2のコネクタ220により、アンテナ10が基板200(200a)に位置調整可能に取り付けられたが、これに限らない。例えば、アンテナ10又はアンテナモジュール100は、アンテナ10が可動する構成を有してもよく、アンテナ10が可動してアンテナ10が基板200(200a)に位置調整可能に取り付けられてもよい。また、例えば、基板200(200a)は、導体部分210が可動する構成を有してもよく、導体部分210が可動してアンテナ10が基板200(200a)に位置調整可能に取り付けられてもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、1つの第2のコネクタ220に第1のコネクタ120が接続されたが、これに限らない。例えば、複数の第2のコネクタ220に第1のコネクタ120が接続されてもよい。具体的には、第1のコネクタ120が複数の第2のコネクタ220のそれぞれに接続されたときに、アンテナ10と導体部分210との位置関係がそれぞれ変化するように、複数の第2のコネクタ220が基板200(200a)に設けられてもよい。このようにして、アンテナ10が基板200(200a)に位置調整可能に取り付けられてもよい。
また、例えば、上記実施の形態では、整合調整用回路は、第2のコネクタ220と基板200(200a)の導体部分210である接地電極との間に挿入されたが、これに限らない。例えば、整合調整用回路は、第2のコネクタ220と基板200(200a)の電源電極又は信号線等との間に挿入されてもよい。そして、例えば、アンテナ10の放射電極の一部を第1のコネクタ120と接続し、基板200(200a)側でインピーダンスを調整してもよい。このように、基板200(200a)に実装する素子又は配線等によってアンテナ10の放射特性に影響を与える要素に対して本発明が適用できる。