本発明の一実施形態に係る無線表示システムについて、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一具体例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(1)無線表示システムの構成
図1は、本発明の一実施形態に係る無線表示システム100の構成を示す概念図である。無線表示システム100は、物品91に対して順に作業が行われる製造工場内に構築されている。製造工場内の作業エリアODには、ベルトコンベア92が設置されている。作業対象である物品91は、ベルトコンベア92に載せられて搬送されながら、作業エリアOD内の複数の作業場所を巡回する。無線表示システム100は、作業エリアOD内を巡回する物品91の作業工程を、物品91の作業場所に合わせて、各電子表示端末50a,50b,50c,50d,・・・に表示する。無線表示システム100により、作業エリアOD内で作業を行う作業者は、各電子表示端末50a〜50d,・・・に表示される作業工程を参照して、物品91に対して適切な作業を行うことができる。そのため、作業者は、物品91がどのような物であっても、または、物品91にどのような作業を必要とするのかを意識せずとも、物品91に対して適切な作業を行うことができる。従って、無線表示システム100によって、作業者は、作業効率を向上させることができる。
図1,2に示されるように、無線表示システム100は、主として、複数のアクセスポイント10a,10b,10c,10d,10e,10f,・・・と、複数の電子表示端末50a〜50d,・・・とを備える。アクセスポイント10a,10b,10c,10d,10e,10f,・・・は、それぞれ、配信エリアDAa,DAb,DAc,DAd,DAe,DAf,・・・を有する。配信エリアDAa〜DAf,・・・は、その中心に位置するアクセスポイント10a〜10fから、所定強度Hp以上の電波が届く範囲である。アクセスポイント10a〜10f,・・・は、それぞれ、配信エリアDAa〜DAf,・・・に任意の情報を確実に送信することができる情報配信装置である。電子表示端末50a〜50d,・・・は、アクセスポイント10a〜10f,・・・から送信された情報を受信して表示する無線表示器である。
アクセスポイント(AP)10a〜10f,・・・は、それぞれ、LANケーブル34を通じて管理サーバ33と通信可能に接続されている。管理サーバ33は、インターネットおよびイントラネット等のネットワーク32を介して、基幹システム31に接続されている。管理サーバ33は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、キーボードおよびマウス等から構成されているコンピュータである。管理サーバ33は、各アクセスポイント10a〜10f,・・・が各電子表示端末50a〜50d,・・・に送信する情報である送信データDの管理等を行う。基幹システム31は、製造工程を統括管理する本部センターに配置されているサーバ等のコンピュータシステムである。基幹システム31は、管理サーバ33と通信を行う。
アクセスポイント10a〜10f,・・・は、電子表示端末50a〜50d,・・・に任意の情報を配信する。アクセスポイント10a〜10f,・・・は、電子表示端末50a〜50d,・・・の親機として、無線基地局の役割を担う装置である。アクセスポイント10a〜10f,・・・は、例えば、作業エリアODの天井付近に設置されている。図1,2に示されるように、アクセスポイント10a〜10f,・・・の設置位置は、配信エリアDAa〜DAf,・・・の範囲を考慮して、作業エリアOD全体に電波が届くように決定されることが好ましい。
図2は、アクセスポイント10a〜10f、・・・の配置の一例を示す図である。図2に示されるように、各アクセスポイント10a〜10f,・・・は、互いに所定の距離だけ離れて設置されている。図2には、アクセスポイント10a〜10f,・・・の配信エリアDAa〜DAf,・・・が示されている。互いに隣接するアクセスポイント10a〜10f,・・・の配信エリアDAa〜DAf,・・・は、一部が重複している。一方、互いに隣接しないアクセスポイント10a〜10f,・・・の配信エリアDAa〜DAf,・・・は、重複しない。例えば、図2において、アクセスポイント10aは、アクセスポイント10b,10cと隣接している。そのため、配信エリアDAaと配信エリアDAbは、一部が重複しており、配信エリアDAaと配信エリアDAcは、一部が重複している。一方、アクセスポイント10aは、アクセスポイント10dと隣接していない。そのため、配信エリアDAaと配信エリアDAdは、重複していない。アクセスポイント10a〜10f、・・・をこのように設置することで、アクセスポイント10a〜10f,・・・からの電波が、作業エリアODになるべく満遍なく届くようになっている。
図1に示されるように、電子表示端末50a〜50d,・・・は、作業エリアOD内を移動する物品91に取り付けられている。電子表示端末50a〜50d,・・・は、作業エリアOD内において、複数のアクセスポイント10a〜10f,・・・のうちのいずれか一つとの間で、電波方式の無線通信を行う。なお、無線通信は、赤外線方式等であってもよい。具体的には、電子表示端末50a〜50d,・・・は、いずれか一つのアクセスポイント10a〜10f,・・・から送られてくるビーコンBおよび送信データDを受信したり、当該アクセスポイント10a〜10f,・・・に対して応答したりすることができる。電子表示端末50a〜50は、受信した送信データDを、自分の表示部55に表示する。電子表示端末50a〜50d,・・・が表示する送信データDは、例えば、物品91に対して現時点で行われるべき作業工程の詳細な手順、および、物品91に対して行われるべき次の作業工程の内容等である。
アクセスポイント10a〜10f,・・・と電子表示端末50a〜50d,・・・との間の無線通信で用いられるプロトコルは、電波周波数帯域としてISMバンドを用いるIEEE802.11およびIEEE802.15等である。ISMバンドは、約2.4GHzの無線通信帯域であって、免許申請および使用登録をすることなく自由に利用できる周波数帯域である。しかし、本実施形態においては、無線通信プロトコルは特に限定されない。
一般的に、互いに隣接して設置されているアクセスポイント10a〜10f,・・・(例えば、図2のアクセスポイント10aとアクセスポイント10b)において、電子表示端末50a〜50d,・・・との通信のために設定されているチャネル(周波数)は、互いに異なる値が設定されている。その理由は、設置場所が比較的近いアクセスポイント10a〜10f,・・・それぞれに同じチャネルが設定されていると、電波干渉が引き起こされ、電子表示端末50a〜50d,・・・とアクセスポイント10a〜10f,・・・との間の通信異常が生じてしまうからである。一方、設置場所が比較的離れているアクセスポイント10a〜10f,・・・には、同じチャネルが設定されていることがある。その理由は、無線通信で用いることができるチャネルの範囲(周波数帯域)には制限があるため、アクセスポイント10a〜10f,・・・の設置数によっては、同じチャネルを設定せざるを得ない場合があるからである。
なお、各アクセスポイント10a〜10f,・・・は、設置場所を除いて、互いに同じ構成を有している。そのため、以下の説明では、アクセスポイント10a〜10f,・・・の設置場所を特定する必要がある場合以外は、アクセスポイント10a〜10f,・・・を、単に「アクセスポイント10」と記載する。同様に、必要に応じて、電子表示端末50a〜50d,・・・を、単に「電子表示端末50」と記載し、配信エリアDAa〜DAf,・・・を、単に「配信エリアDA」と記載する。
(2)アクセスポイントの構成
図3は、アクセスポイント10の構成を示す模式図である。アクセスポイント10は、主として、電力生成部11、表示部12、ビーコン送信部13、スケジュール送信部14、データ通信部15および制御部16を有する。
(2−1)電力生成部
電力生成部11は、アクセスポイント10の各構成要素に供給される電力を生成する。具体的には、アクセスポイント10には電池11aが挿入されている。電力生成部11は、電池11aから供給される電力を、アクセスポイント10の各構成要素が必要とする直流電力に変換する。この場合、電力生成部11は、DC−DCコンバータ等から構成される。電力生成部11によって変換された直流電力は、アクセスポイント10の各構成要素に供給される。
アクセスポイント10は、電池11aを電力生成源として動作するものでなくてもよい。例えば、アクセスポイント10を動作させるための電力生成源は、LANケーブルから電力を取得する技術であるIEEE802.3.af準拠のPoE給電(Power over Ethernet(Ethernetは登録商標))、DCジャックを有するACアダプタ、および、DCプラグを備える電池ケース等であってもよい。
(2−2)表示部
表示部12は、アクセスポイント10のケーシング外部に取り付けられている。表示部12は、管理サーバ33との通信状態、電子表示端末50との通信状態、および、アクセスポイント10自身の通信異常の有無等を表示する。アクセスポイント10自身の通信異常は、アクセスポイント10自身の故障に起因して、アクセスポイント10がビーコンBおよび送信データD等を送信できない異常等である。
表示部12は、例えば、複数のLEDから構成されている。表示部12は、アクセスポイント10の通信状態を電子表示システム100の管理者等に通知するために、アクセスポイント10の通信状態等に応じて異なる色に発光する。例えば、通信状態が正常の場合には、表示部12は緑色に発光し、通信状態が異常の場合には、表示部12は赤色に発光する。表示部12が発する光の色は、発生した通信異常の内容に応じて異なってもよい。なお、表示部12は、複数のLEDではなく、液晶ディスプレイから構成されてもよい。
(2−3)ビーコン送信部
ビーコン送信部13は、アクセスポイント10のケーシング外部に取り付けられているアンテナ等から構成される。ビーコン送信部13は、電力生成部11から電力が供給されている限り、ビーコンBを定期的に送信する。ビーコンBは、アクセスポイント10と電子表示端末50との間のリンクを確立するための信号である。各アクセスポイント10は、自分の配信エリアDA内に位置している全ての電子表示端末50に、ビーコンBを送信する。
ビーコンBは、自分が送信されるアクセスポイント10に関する情報である自装置関連情報を含む。自装置関連情報は、例えば、アクセスポイント10a〜10f,・・・の識別情報、および、アクセスポイント10a〜10f,・・・の設置位置を示す情報等である。電子表示端末50は、自装置関連情報を含むビーコンBを受信することによって、自分が現在どのアクセスポイント10a〜10f,・・・の配信エリアDAa〜DAf,・・・に位置しているのかを把握することができる。
図4は、ビーコンBの構成を示す概念図である。図4(a)および図4(b)は、ビーコンBのタイミングチャートである。図4(c)は、単位ビーコン信号(後述)の構成を示す。図4(a)に示されるように、ビーコンBは、所定の周期Tpで、各アクセスポイント10から当該アクセスポイント10の配信エリアDAに送信(詳細には、ブロードキャスト)される。周期Tpは、例えば、4秒である。周期Tpの間にビーコンBが出力され続ける時間Tqは、例えば、1秒である。ビーコンBの周期Tp、および、周期Tqの間にビーコンBが出力され続ける時間Tqは、各アクセスポイント10a〜10f,・・・で共通である。
図4(b)に示されるように、ビーコンBは、複数の単位ビーコン信号b1,b2,b3,b4,b5,・・・から構成されている。単位ビーコン信号b1〜b5,・・・は、ビーコンBの周期Tpよりも短い所定の周期Tmで繰り返される単位信号である。単位ビーコン信号b1〜b5,・・・の周期Tmが4ミリ秒である場合、各単位ビーコン信号b1〜b5,・・・が送信され続ける時間Tnは、例えば1ミリ秒である。この場合、ビーコンBが出力され続ける時間Tqが1秒であるとすると、単位ビーコン信号b1〜b5,・・・は、所定の周期Tm(4ミリ秒)で250回連続して送信される。
図4(c)に示されるように、各単位ビーコン信号b1〜b5,・・・は、主として、プリアンブル部bc1と、シンクワード部bc2と、データ部bc3とから構成される。単位ビーコン信号b1〜b5,・・・を構成する各部分bc1〜bc3のそれぞれには、複数のビットが割り当てられている。
プリアンブル部bc1は、アクセスポイント10と電子表示端末50との同期を取るための部分である。プリアンブル部bc1は、0と1とが交互に並ぶビットパターン「0101・・・」で構成されている。プリアンブル部bc1は、各アクセスポイント10a〜10f,・・・から送信されるビーコンBの間で共通である。
シンクワード部bc2は、データ部bc3の送信開始を通知するための部分である。シンクワード部bc2は、チャネルサーチを行うため、各アクセスポイント10a〜10f,・・・から送信されるビーコンBの間で共通である。
データ部bc3は、電子表示端末50が必要とする情報を表す部分である。データ部bc3は、上述の自装置関連情報、順位情報、送信データDの有無、データ部bc3の長さを表す長さ情報、および、データ部bc3の誤り検出を行うためのパリティビット等が含まれる。順位情報は、連続して送られる複数の単位ビーコン信号b1〜b5,・・・のうち、何番目の単位ビーコン信号であるのかを表す。送信データDの有無は、ビーコンBの送信が完了した後に、送信データDが送信されるか否かに関するフラグである。データ部bc3は、通常、各アクセスポイント10a〜10f,・・・から送信されるビーコンBごとに異なっている。
なお、各アクセスポイント10a〜10f,・・・におけるビーコンBの送信タイミングは、互いに同期されていなくてもよい。また、各アクセスポイント10a〜10f,・・・から出力されるビーコンBの送信電波強度は、同じであるとする。ただし、ビーコンBを受信する電子表示端末50a〜50d,・・・の位置によって、各ビーコンBの受信電波強度は異なる。図4(a)および図4(b)のタイミングチャートの縦軸では、ビーコンBの受信電波強度が「H」と表されている。
(2−4)スケジュール送信部
スケジュール送信部14は、アクセスポイント10のケーシング外部に取り付けられているアンテナ等から構成される。スケジュール送信部14は、電力生成部11によって生成された電力によって、スケジュールパケットSの送信動作等を行う。スケジュールパケットSは、アクセスポイント10から特定の電子表示端末50に送信データDが送信される時刻に関する情報を含むデータである。電子表示端末50は、スケジュールパケットSを受信することで、当該電子表示端末50宛ての送信データDの受信を開始するべき時刻を取得することができる。スケジュールパケットSは、ビーコンSの送信が完了した後に送信される。スケジュールパケットSの詳細、および、スケジュールパケットSの送信方式については後述する。
各アクセスポイント10は、ビーコンBの送信が完了した後に、自分の配信エリアDA内に位置している全ての電子表示端末50に、スケジュールパケットSを送信する。各アクセスポイント10は、複数のスケジュールパケットSを送信することができる。しかし、後述するように、電子表示端末50は、自分が所属しているアクセスポイント10から送信される全てのスケジュールパケットSを受信する必要がない。ここで、電子表示端末50がアクセスポイント10に所属しているとは、当該電子表示端末50が、当該アクセスポイント10の配信エリアDA内に位置していることを意味する。
(2−5)データ通信部
データ通信部15は、アクセスポイント10のケーシング外部に取り付けられているアンテナ等から構成される。データ通信部15は、電力生成部11によって生成された電力によって、送信データDの送信動作、および、電子表示端末50からの応答受信動作等を行う。
図5(a)は、ビーコンB、スケジュールパケットSおよび送信データDのタイミングチャートである。図5(b)は、送信データDの構成を示す図である。送信データDは、アクセスポイント10とリンク付けがされている電子表示端末50宛てに送信される、特定の情報を含むデータである。図5(a)に示されるように、ビーコンB、スケジュールパケットSおよび送信データDは、この順番で、アクセスポイント10の配信エリアDA内に送信される。送信データDは、ビーコンBおよびスケジュールパケットSの送信が停止している間に送信される。アクセスポイント10から複数の電子表示端末50に送信データDが送信される場合、電子表示端末50ごとに送信データDが送信される。すなわち、この場合には、アクセスポイント10は、図5(a)に示されるように、複数の送信データDを送信する。全ての送信データDの送信が完了した後、再びビーコンBが送信される。
送信データDは、図5(b)に示されるように、パケット形式で送信される。パケット形式で送信される送信データDは、データパケットd1,d2,・・・と呼ばれる単位信号から構成される。送信データDは、通常、複数のデータパケットd1,d2,・・・から構成される。データパケットd1,d2,・・・は、送信データDを所定の長さに分割し、分割されたデータごとに後述するヘッダーdc3等を付与した、所定の長さのビット列である。送信データDは、データパケットd1,d2,・・・ごとに、プリアンブル部dc1、シンクワード部dc2、ヘッダーdc3およびデータ部dc4から構成される。
プリアンブル部dc1は、単位ビーコン信号b1〜b5,・・・のプリアンブル部bc1と同様に、アクセスポイント10と電子表示端末50との同期を取るための部分である。プリアンブル部dc1は、0と1とが交互に並ぶビットパターン「0101・・・」から構成される。
シンクワード部dc2は、ヘッダーdc3およびデータ部dc4の送信開始を通知するための部分である。シンクワード部dc2は、単位ビーコン信号b1〜b5,・・・のシンクワード部bc2とは異なり、同じチャネルに設定されていても、アクセスポイント10a〜10f,・・・ごとに異なる内容が設定されている。
ヘッダーdc3は、データ部dc4に含まれる特定の情報の送信先である電子表示端末50のアドレス、ビーコンBの送信間隔、および、電子表示端末50の端末コード等を含む。ビーコンBの送信間隔は、図4(a)に示される周期Tpである。電子表示端末50の端末コードは、電子表示端末50の識別情報である。ヘッダーdc3は、当該ヘッダーdc3の後に続くデータ部dc4の内容が、送信データD全体の中で何番目に送信されるものであるのかを示す情報等を含む。
データ部dc4は、電子表示端末50に送るべき特定の情報、および、送信データDの送信に対する応答要求等を含む。
送信データDは、特定の電子表示端末50に送信すべき情報をデータ通信部15が管理サーバ33から取得した場合に、当該電子表示端末50へ送信される。そして、送信データDは、図5(b)に示されるように、所定の期間Tdの間、一定周期にてデータパケットd1,d2,・・・単位で送信される。送信データDを受信した電子表示端末50からは、当該送信データDの各データパケットd1,d2,・・・を受信する度に、アクセスポイント10へ応答が送られる。アクセスポイント10のデータ通信部15は、当該応答を受信する。データ通信部15による送信データDの送信動作および応答受信動作は、例えば、特定の電子表示端末50において送信データDの受信動作が正常に行われたことを管理サーバ33が判断するまでの間(図5(a)に示される時間Tdの間)、行われる。
(2−6)制御部
制御部16は、図3に示されるように、CPU16a、ROM16bおよびRAM16cから構成されるマイクロコンピュータである。制御部16は、アクセスポイント10の各構成要素と接続されている。ROM16bは、アクセスポイント10を制御するための制御プログラムを格納する。CPU16aは、ROM16bに格納された制御プログラムを実行して、アクセスポイント10を制御する。RAM16cは、CPU16aが制御プログラムを実行する際のメモリとして機能する。
(3)電子表示端末の構成
電子表示端末50は、主として、電力生成部51、ビーコン用通信部52、スケジュール用通信部57、データ用通信部53、記憶部54、表示部55および制御部56を有する。図6は、電子表示端末50の構成を示す模式図である。なお、後述するように、一のアクセスポイント10に所属する複数の電子表示端末50は、複数のグループに分けられている。
(3−1)電力生成部
電力生成部51は、電子表示端末50の各構成要素に供給される電力を生成する。具体的には、電子表示端末50には電池51aが挿入されている。電力生成部51は、電池51aから供給される電力を、電子表示端末50の各構成要素が必要とする直流電力に変換する。この場合、電力生成部51は、DC−DCコンバータ等から構成される。電力生成部51によって変換された直流電力は、電子表示端末50の各構成要素に供給される。
(3−2)ビーコン用通信部
ビーコン用通信部52は、利得の校正がされたアンテナ等から構成されている。ビーコン用通信部52は、アクセスポイント10から送信されるビーコンBに対する通信動作を行う。ビーコンBに対する通信動作は、主として、ビーコンBの受信動作、他のビーコンBの検索動作、および、受信するビーコンBの切替動作等である。
ビーコンBの受信動作においては、ビーコン用通信部52は、既にリンク付けのなされているアクセスポイント10から定期的に送られてくるビーコンBを受信する。ここで、リンク付けとは、受信対象となるビーコンBの送信元であるアクセスポイント10を特定し、当該アクセスポイント10に関する情報(アクセスポイント10のアドレス等)を関連付けて記憶しておくことを言う。ビーコンBの受信動作により、電子表示端末50は、ビーコンBを送信してくるアクセスポイント10の配信エリアDAに自分が所属していると判断することができる。
他のビーコンBの検索動作においては、ビーコン用通信部52は、現在リンク付けのなされているビーコンBの受信電波強度が所定強度Hpよりも低くなると、チャネルサーチを行う。チャネルサーチは、電子表示端末50の現在位置において受信電波強度が所定強度Hpよりも高いビーコンBの存在を検索することである。例えば、他のビーコンBの検索動作においては、現在リンク付けのなされているビーコンBの受信電波強度が3回続けて所定強度Hpよりも低い場合に、チャネルサーチが4回連続して行われる。所定強度Hpは、作業エリアOD内の環境やアクセスポイント10、電子表示端末50の仕様等に基づいて、机上計算やシミュレーション、実験等によって適宜決定される。
なお、上記検索動作において、受信電波強度が所定強度Hpよりも高いビーコンBが複数ヒットした場合には、ビーコン用通信部52は、受信対象となるビーコンBを、所定強度Hpよりも低い現在のビーコンBから、ヒットした複数のビーコンBの中で受信電波強度が一番高いビーコンBへ切り替える。
受信するビーコンBの切替動作においては、ビーコン用通信部52は、上記検索動作において受信電波強度が所定強度Hpよりも高いビーコンBがヒットした場合、受信対象となるビーコンBを、電波受信強度が所定強度Hpよりも低い現在のビーコンBから、ヒットしたビーコンBへと切り替える。
上述の切換動作が行われた後、ビーコン用通信部52は、ヒットしたビーコンBを送信するアクセスポイント10に対して所属通知信号を送信し、リンク付け処理を行う。所属通知信号とは、電子表示端末50自身の端末コード(識別情報)と、電子表示端末50自身が所属アクセスポイントとして認定したアクセスポイント10の識別情報とを含む信号である。所属通知信号の送信は、アクセスポイント10からのビーコンBの送信タイミングと重ならないように行われる必要がある。所属通知信号の送信は、例えば、リンク付けされたアクセスポイント10からのビーコンBの送信後に行われる。
ビーコン用通信部52の以上の動作によって、電子表示端末50は、受信電波強度が最も高いビーコンBを受信し続けることができる。
(3−3)スケジュール用通信部
スケジュール用通信部57は、ビーコン用通信部52と同様、利得の校正がなされたアンテナ等から構成されている。スケジュール用通信部57は、スケジュールパケットSの受信動作を行う。
スケジュールパケットSの受信動作は、アクセスポイント10から電子表示端末50にスケジュールパケットSが送信される場合のみに行われる。なお、アクセスポイント10から電子表示端末50に送信される送信データDが存在する場合のみに、アクセスポイント10から当該電子表示端末50にスケジュールパケットSが送信される。ビーコン用通信部52は、ビーコンBの受信動作において受信したビーコンBのデータ部bc3を参照して、送信データDの有無のフラグをチェックする。当該フラグがオンになっている場合、アクセスポイント10から電子表示端末50に送信される送信データDが存在するので、電子表示端末50に送信されるスケジュールパケットSも存在する。この場合、スケジュール用通信部57は、スケジュールパケットSの受信動作を行う。スケジュール用通信部57が受信したスケジュールパケットSには、アクセスポイント10から送信データDが送信されるタイミングに関する情報が含まれている。
一方、送信データDの有無のフラグがオフになっている場合、アクセスポイント10から電子表示端末50に送信される送信データDが存在しないので、電子表示端末50に送信されるスケジュールパケットSも存在しない。この場合、スケジュール用通信部57は、スケジュールパケットSの受信動作を行わない。また、この場合、電子表示端末50は、ビーコンBを受信した後、次のビーコンBを受信するまでは信号を受信する必要がない。そのため、電子表示端末50は、ビーコンBの受信が完了した後に、ウェイクアップ状態からスリープ状態に移行する。その後、電子表示端末50は、次のビーコンBを受信する時に、スリープ状態からウェイクアップ状態に移行する。
(3−4)データ用通信部
データ用通信部53は、ビーコン用通信部52と同様、利得の校正がなされたアンテナ等から構成されている。データ用通信部53は、送信データDに対する通信動作を行う。送信データDに対する通信動作としては、主として、送信データDの受信動作、および、送信データDに対する応答動作等が挙げられる。
送信データDの受信動作は、アクセスポイント10から電子表示端末50に送信データDが送信される場合のみに行われる。具体的には、ビーコン用通信部52は、ビーコンBの受信動作において受信したビーコンBのデータ部bc3を参照して、送信データDの有無のフラグをチェックする。当該フラグがオンになっている場合、アクセスポイント10から電子表示端末50に送信される送信データDが存在する。この場合、データ用通信部53は、送信データDの受信動作を行う。
送信データDの受信動作は、電子表示端末50がビーコンBの受信動作によってビーコンBを受信し、その後に、スケジュールパケットSの受信動作によってスケジュールパケットSを受信した後に行われる。送信データDの受信動作においては、データ用通信部53は、当該ビーコンBおよび当該スケジュールパケットSを送信してきたアクセスポイント10から送信データDを受信する。データ用通信部53は、スケジュールパケットSに含まれている送信データDの送信時刻に合わせて、送信データDの送信を開始する。送信データDはデータパケットd1,d2,・・・単位で連続して送られてくるため、データ用通信部53は、送られてきたデータパケットd1,d2,・・・を次々に受信する。受信された送信データDのデータ部dc4の内容は、記憶部54に記憶される。
送信データDの受信動作において、電子表示端末50は、ビーコンBおよびスケジュールパケットSを受信した後、ウェイクアップ状態からスリープ状態に移行する。そして、電子表示端末50は、スケジュールパケットSに含まれている送信データDの送信時刻に、スリープ状態からウェイクアップ状態に移行して、送信データDを受信する。
送信データDに対する応答動作においては、送信データDのデータ部dc4の内容にアクセスポイント10への応答要求が含まれている場合に、データ用通信部53は、当該送信データDの送信元であるアクセスポイント10宛てに、応答を送信する。
(3−5)記憶部
記憶部54は、例えば不揮発性メモリから構成されている。記憶部54は、電子表示端末50のアドレスおよび識別情報、電子表示端末50とリンク付けされたアクセスポイント10に関する情報(具体的には、アクセスポイント10のアドレス等)、および、アクセスポイント10から送られてきた送信データDのデータ部dc4の内容等を記憶する。
電子表示端末50の識別情報は、電子表示端末50が受信した送信データDが自分宛てに送られてきたものであるか否かを確認するために用いられる。具体的には、電子表示端末50の識別情報は、受信した送信データDのヘッダーdc3に含まれる端末コードと一致するか否かの判断に用いられる。
電子表示端末50の識別情報は、例えば、電子表示端末50のハードウェアIDである。ハードウェアIDは、個々の電子表示端末50を一意に識別するためのデータである。以下において、ハードウェアIDは、4バイトのビット列で表されるとする。
アクセスポイント10に関する情報は、電子表示端末50がアクセスポイント10へ応答する時に用いられる。アクセスポイント10に関する情報は、受信するビーコンBの切替動作を電子表示端末50が行った場合には、新たに受信対象となったビーコンBを送信してくるアクセスポイント10に関する情報に書き換えられる。
また、記憶部54には、受信可能なビーコンBのチャネルが複数記憶されている。これらのチャネルは、チャネルサーチの場合に用いられる。
また、記憶部54には、後述するように、特定の電子表示端末50宛てのスケジュールパケットSが送信される時刻に関する情報が記憶されている。
(3−6)表示部
表示部55は、電子表示端末50の正面に露出するように取り付けられている。表示部55は、例えばドットマトリクス方式の不揮発性表示器である。具体的には、表示部55は、電子ペーパー等である。表示部55は、アクセスポイント10から送信されてきた送信データDのデータ部dc4に含まれる情報等を表示する。すなわち、表示部55は、アクセスポイント10から次々に送られてくる送信データDに基づいて、物品91の作業工程等を表示する。
なお、電子表示端末50の消費電力を抑える目的から、表示部55には、駆動電力を与えることなく表示内容を保持することのできる不揮発性表示部が採用されることが好ましい。しかし、表示部55として、必ずしも不揮発性表示部が採用される必要はない。表示部55は、例えば揮発性の液晶パネルであってもよい。
(3−7)制御部
制御部56は、アクセスポイント10の制御部16と同様、図6に示されるように、CPU56a、ROM56bおよびRAM56cから構成されるマイクロコンピュータである。制御部56は、電子表示端末50の各構成要素と接続されている。ROM56bは、電子表示端末50を制御するための制御プログラムを格納する。CPU56aは、ROM56bに格納された制御プログラムを実行して、電子表示端末50を制御する。RAM56cは、CPU56aが制御プログラムを実行する際のメモリとして機能する。
制御部56は、例えば、受信するビーコンBの切替動作に伴うアクセスポイント10のリンク付け処理、当該リンク付け処理に伴うアクセスポイント10に関する情報の書き換え処理、電子表示端末50の状態切替処理、送信データDの識別処理、および、表示部55の表示制御等を行う。
電子表示端末50の状態切替処理とは、電子表示端末50をウェイクアップ状態とスリープ状態との間で切り替える処理である。具体的には、当該状態切替処理では、ビーコンBの受信開始時からスケジュールパケットSの受信完了時までの間、および、送信データDの受信開始時から送信データDの受信完了時までの間において、電子表示端末50がウェイクアップ状態に設定される。また、当該状態切替処理では、スケジュールパケットSの受信完了時から最初の送信データDの受信開始時までの間、および、送信データDの受信完了時から次の送信データDの受信開始時までの間において、電子表示端末50がスリープ状態に設定される。電子表示端末50の状態切替処理は、電子表示端末50の消費電力を抑え、電池51aの寿命を向上させるために行われる。
送信データDの識別処理とは、電子表示端末50が送信データDを受信した場合、当該送信データDのヘッダーdc3に含まれる端末コードが、当該電子表示端末50の識別情報と一致するか否かを判断する処理である。
(4)電子表示システムの動作
次に、電子表示システム100の特徴的な機能を重点的に説明しながら、電子表示システム100が行う一連の動作について説明する。本実施形態の電子表示システム100では、ある一つのアクセスポイント10に所属する複数の電子表示端末50は、複数のグループに分けられている。各グループには、少なくとも1台の電子表示端末50が所属しているとする。電子表示端末50は、複数のグループに同時に所属することができない。
図7は、無線表示システム100の特徴を説明するための図である。図7には、ある時点において、6台の電子表示端末50p,50q,50r,50s,50t,50uがアクセスポイント10aに所属している状態が示されている。このとき、アクセスポイント10aの配信エリアDAaには、電子表示端末50p〜50uが存在している。
図7では、各電子表示端末50p〜50uの識別番号であるハードウェアIDのラベル「ID:XXXX」が、対応する電子表示端末50の近くに示されている。各電子表示端末50p〜50uのハードウェアIDは、4バイトのビット列で表される。ここでは、説明を簡単にするために、ハードウェアIDは、4桁の数値で表されているとする。具体的には、電子表示端末50p,50q,50r,50s,50t,50uのハードウェアIDは、それぞれ、1001,1002,1003,1004,1005,1006であるとする。各電子表示端末50p〜50uは、自分のハードウェアIDを識別情報として記憶している。
また、図7に示されるように、アクセスポイント10aに所属する6台の電子表示端末50p〜50uは、予め、第1グループG1および第2グループG2に分けられているとする。第1グループG1には、3台の電子表示端末50p,50r,50tが所属している。第2グループG2には、3台の電子表示端末50q,50s,50uが所属している。具体的には、第1グループG1には、ハードウェアIDが奇数である電子表示端末50p,50r,50tが所属し、第2グループG2には、ハードウェアIDが偶数である電子表示端末50q,50s,50uが所属している。管理サーバ33は、各電子表示端末50のハードウェアIDに基づいて、各電子表示端末50が所属するグループを決定し、自分が所属するグループを各電子表示端末50に通知する。電子表示端末50は、自分が所属するグループを特定するための情報を、記憶部54に保持している。例えば、電子表示端末50の記憶部54は、グループの識別情報(グループID)を保持している。電子表示端末50p〜50uのグループの数は、任意である。
次に、アクセスポイント10のスケジュール送信部14から送信されるスケジュールパケットSの詳細な構成について説明する。図7に示される状況では、アクセスポイント10aから、電子表示端末50p〜50uに、ビーコンBが周期的に送信される。ここでは、アクセスポイント10aから各電子表示端末50p〜50uに送信される送信データDが存在するとする。すなわち、アクセスポイント10aから、各電子表示端末50p〜50uには、ビーコンBの送信完了後にスケジュールパケットSが送信され、その後に送信データDが送信される。
本実施形態の電子表示システム100では、アクセスポイント10aは、電子表示端末50p〜50uのグループの数と同じ数のスケジュールパケットSを送信する。電子表示端末50p〜50uの各グループには、対応するスケジュールパケットSが存在する。図7では、第1グループG1には、スケジュールパケットS1が対応し、第2グループG2には、スケジュールパケットS2が対応しているとする。
図8は、スケジュールパケットSの構成を示す概念図である。スケジュールパケットSは、主として、プリアンブル部sc1と、シンクワード部sc2と、データ部sc3とから構成される。スケジュールパケットSを構成する各部分sc1〜sc3のそれぞれには、複数のビットが割り当てられている。
プリアンブル部sc1は、アクセスポイント10と電子表示端末50との同期を取るための部分である。プリアンブル部sc1は、0と1とが交互に並ぶビットパターン「0101・・・」で構成されている。プリアンブル部sc1は、各アクセスポイント10a〜10f,・・・から送信されるスケジュールパケットSの間で共通である。
シンクワード部sc2は、データ部sc3の送信開始を通知するための部分である。シンクワード部sc2は、チャネルサーチを行うため、各アクセスポイント10a〜10f,・・・から送信されるスケジュールパケットSの間で共通である。
データ部sc3は、電子表示端末50が必要とする情報を表す部分である。データ部sc3は、ヘッダーsc31と、スケジュールデータsc32とから構成される。ヘッダーsc31は、主として、スケジュールパケットSの長さlen、コマンド識別子cmd、アクセスポイント識別子apn、および、誤り検出符号crcとから構成される。コマンド識別子cmdは、スケジュールパケットSに共通のビット列である。アクセスポイント識別子apnは、スケジュールパケットSを送信するアクセスポイント10の識別情報である。誤り検出符号crcは、CRC−16等の、スケジュールパケットSのデータ誤りを検出するためのビット列である。
スケジュールデータsc32は、主として、時間単位tu、カウンターcnt、および、送信先識別子hwidから構成される。カウンターcntおよび送信先識別子hwidはペアになっている。スケジュールデータsc32は、1つ以上の当該ペアを含む。当該ペアの数は、スケジュールパケットSが送信される電子表示端末50の数と同じである。すなわち、あるスケジュールパケットSに対応する電子表示端末50p〜50uグループに含まれる電子表示端末50p〜50uの数が多いほど、当該ペアの数が多くなるため、当該スケジュールパケットSの長さは大きくなる。
スケジュールパケットSが送信される電子表示端末50のそれぞれについて、スケジュールデータsc32は、ビーコンBの送信完了時から送信データDの受信開始時までの時間である待機時間に関する情報を保持している。待機時間は、所定の単位で設定される。例えば、待機時間は、100ミリ秒単位で設定されている。この場合、設定可能な待機時間は、100ミリ秒の倍数のみである。時間単位tuは、待機時間の単位が格納されている。実際には、時間単位tuには、例えば50ミリ秒を単位とした数値が格納されている。例えば、待機時間の単位が100ミリ秒である場合、時間単位tuには「2」が格納される。待機時間の単位が150ミリ秒である場合、時間単位tuには「3」が格納される。
送信先識別子hwidは、スケジュールパケットSが送信される電子表示端末50を特定するためのデータである。本実施形態では、送信先識別子hwidには、電子表示端末50のハードウェアIDが格納されている。
カウンターcntは、対応する送信先識別子hwidを有する電子表示端末50の待機時間に関する情報を保持している。ここでは、待機時間の単位は100ミリ秒であるとする。この場合、待機時間が100ミリ秒に設定されていると、カウンターcntには「1」が格納され、待機時間が600ミリ秒に設定されていると、カウンターcntには「6」が格納される。
図9(a)は、スケジュールパケットS1の具体例を示す図である。図9(b)は、スケジュールパケットS2の具体例を示す図である。図9(a)および図9(b)では、プリアンブル部sc1、シンクワード部sc2およびヘッダーsc31は簡略化して示されている。図9(a)および図9(b)には、スケジュールデータsc32の各項目の具体的な値が記載されている。
次に、図9(a)および図9(b)に示されるスケジュールパケットS1,S2に基づく送信データDの送信タイミングについて具体的に説明する。図10は、アクセスポイント10aから電子表示端末50p〜50uに送信される各種データのタイミングチャートである。
スケジュールパケットS1は、第1グループG1に所属する3台の電子表示端末50p,50r,50tそれぞれに送信データDが送信される時刻に関する情報を含む。スケジュールパケットS2は、第2グループG2に所属する3台の電子表示端末50q,50s,50uそれぞれに送信データDが送信される時刻に関する情報を含む。
図10に示されるように、アクセスポイント10aからビーコンBが送信された後、続けて、スケジュールパケットS1およびスケジュールパケットS2が連続して送信される。その後、スケジュールパケットS1,S2に保持されている待機時間に基づいて、所定の時刻に、アクセスポイント10aから各電子表示端末50p〜50uに送信データDが送信される。図10では、電子表示端末50p,50q,50r,50s,50t,50uに送信される送信データDは、それぞれ、符号Dp,Dq,Dr,Ds,Dt,Duで表されている。
なお、図10において、ビーコンBの送信周期T1は4000ミリ秒であり、ビーコンBの送信時間T2は1000ミリ秒である。スケジュールパケットS1,S2の送信時間T3は、それぞれ、40ミリ秒である。送信データDp〜Duの送信時間T3は、それぞれ、400ミリ秒である。
図9(a)に示されるスケジュールパケットS1によると、電子表示端末50p(ハードウェアID:1001)の待機時間Tpは100ミリ秒であり、電子表示端末50r(ハードウェアID:1003)の待機時間Trは1100ミリ秒であり、電子表示端末50t(ハードウェアID:1005)の待機時間Ttは2100ミリ秒である。図9(b)に示されるスケジュールパケットS2によると、電子表示端末50q(ハードウェアID:1002)の待機時間Tqは600ミリ秒であり、電子表示端末50s(ハードウェアID:1004)の待機時間Tsは1600ミリ秒であり、電子表示端末50u(ハードウェアID:1006)の待機時間Tuは2600ミリ秒である。例えば、ビーコンBの送信完了時から、電子表示端末50pに送信データDpが送信される時までの待機時間Tpは、100ミリ秒である。また、ビーコンBの送信完了時から、電子表示端末50sに送信データDsが送信される時までの待機時間Tsは、1600ミリ秒である。
本実施形態では、電子表示端末50は、自分が所属するグループに対応するスケジュールパケットSのみを受信する。具体的には、図7において、第1グループG1に所属する3台の電子表示端末50p,50r,50tは、第1グループG1に対応するスケジュールパケットS1を受信し、第2グループG2に対応するスケジュールパケットS2を受信しない。一方、第2グループG2に所属する3台の電子表示端末50q,50s,50uは、第2グループG2に対応するスケジュールパケットS2を受信し、第1グループG1に対応するスケジュールパケットS1を受信しない。すなわち、各電子表示端末50p〜50uは、スケジュールパケットS1およびスケジュールパケットS2のいずれか1つのみを受信する。
各電子表示端末50p〜50uは、自分宛てのスケジュールパケットSがアクセスポイント10aから送信される時刻を、記憶部54に記憶している。例えば、スケジュールパケットSが送信される時刻は、ビーコンBの送信完了時刻を基準として、記憶部54に予め記憶されている。または、各電子表示端末50p〜50uは、記憶部54に記憶されている自分が所属するグループの識別情報に基づいて、自分宛てのスケジュールパケットSがアクセスポイント10aから送信される時刻を取得してもよい。
図10に示されるように、スケジュールパケットS1の送信開始時刻は、ビーコンBの送信完了時刻である。スケジュールパケットS2の送信開始時刻は、スケジュールパケットS1の送信完了時刻である。スケジュールパケットS1を受信する電子表示端末50p,50r,50tは、ビーコンBの送信完了時刻に合わせて、スケジュールパケットS1の受信を開始する。スケジュールパケットS2を受信する電子表示端末50q,50s,50uは、スケジュールパケットS1の送信完了時刻に合わせて、スケジュールパケットS2の受信を開始する。
また、電子表示端末50は、自分宛てのスケジュールパケットSが送信されていない間、スリープ状態になる。具体的には、図10において、スケジュールパケットS2を受信する電子表示端末50q,50s,50uは、スケジュールパケットS1が送信されている間は、スリープ状態になっている。
(5)特徴
(5−1)
本実施形態に係る無線表示システム100では、ある一のアクセスポイント10に所属する複数の電子表示端末50は、複数のグループに分割されている。各電子表示端末50は、いずれかのグループに所属している。アクセスポイント10は、電子表示端末50の各グループに対応するスケジュールパケットSを送信する。すなわち、アクセスポイント10は、電子表示端末50のグループと同じ数のスケジュールパケットSを送信する。スケジュールパケットSは、対応するグループに所属する全ての電子表示端末50に送信される送信データDの送信時刻に関する情報を含む。
無線表示システム100では、各電子表示端末50は、自分が所属するグループに対応するスケジュールパケットSのみを受信し、自分が所属しないグループに対応するスケジュールパケットSを受信しない。そのため、各電子表示端末50が受信するスケジュールパケットSのサイズを小さくすることができる。また、各電子表示端末50は、自分が所属しないグループに対応するスケジュールパケットSをアクセスポイント10が送信している間、スリープ状態になっている。そのため、電子表示端末50がスケジュールパケットSを受信するために要する時間が短くなるので、電子表示端末50の電池寿命が長くなる。
次に、本実施形態に係る無線表示システム100との比較例として、図7に示される6台の電子表示端末50p〜50uが複数のグループに分割されていない場合について検討する。この場合、アクセスポイント10aは、一つのスケジュールパケットS0のみを、自分に所属する全ての電子表示端末50p〜50uに送信する。スケジュールパケットS0は、アクセスポイント10に所属する全ての電子表示端末50p〜50uに送信される送信データDの送信時刻に関する情報を含む。
図11は、比較例としてのスケジュールパケットS0の構成を示す概念図である。スケジュールパケットS0は、図11の上段部分と下段部分とが連結した構成を有している。スケジュールパケットS0は、主として、プリアンブル部sc1と、シンクワード部sc2と、データ部sc3とから構成される。データ部sc3は、ヘッダーsc31と、スケジュールデータsc32とから構成される。プリアンブル部sc1、シンクワード部sc2、および、ヘッダーsc31のサイズは、図11に示されるスケジュールパケットS0と、図9(a)および図9(b)に示されるスケジュールパケットS1,S2とで同じである。しかし、スケジュールパケットS0のスケジュールデータsc32は、6台の電子表示端末50p〜50uのそれぞれに関して、カウンターcntおよび送信先識別子hwidのペアを有している。一方、本実施形態のスケジュールパケットS1のスケジュールデータsc32は、3台の電子表示端末50p,50r,50tのそれぞれに関して、カウンターcntおよび送信先識別子hwidのペアを有している。同様に、本実施形態のスケジュールパケットS2のスケジュールデータsc32は、3台の電子表示端末50q,50s,50uのそれぞれに関して、カウンターcntおよび送信先識別子hwidのペアを有している。
すなわち、図11に示されるスケジュールパケットS0のサイズは、図9(a)および図9(b)に示される本実施形態のスケジュールパケットS1,S2のサイズよりも大きい。そのため、スケジュールパケットS0を受信する電子表示端末50は、スケジュールパケットS1,S2を受信する電子表示端末50と比較して、データを受信するためにウェイクアップ状態になっている期間がより長い。従って、スケジュールパケットS0を受信する電子表示端末50の電池寿命は、スケジュールパケットS1,S2を受信する電子表示端末50の電池寿命よりも短い。
以上より、無線表示システム100は、ある一のアクセスポイント10に所属する複数の電子表示端末50を複数のグループに分割し、当該アクセスポイント10が、電子表示端末50のグループごとにスケジュールパケットSを送信することで、電子表示端末50の電池寿命を長くすることができる。
(5−2)
本実施形態に係る無線表示システム100では、電子表示端末50は、スケジュールパケットSに含まれる情報に基づいて、ビーコンBの受信完了時刻から送信データDの受信時刻までの時間を求めることができる。すなわち、電子表示端末50は、ビーコンBの受信完了時刻を基準にして、自分に送信されてくる送信データDの受信時刻を取得することができる。従って、電子表示端末50は、スケジュールパケットSの受信時刻に関係なく、自分宛ての送信データDの受信時刻を容易に取得することができる。
(6)変形例
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、以下のような変更が考えられる。
(6−1)変形例A
実施形態では、図1に示されるように、作業エリアODにおいて、6台のアクセスポイント10a〜10f,・・・と、4台の電子表示端末50a〜50d,・・・とが設置されている場合を例にして説明した。しかし、アクセスポイント10の台数、および、電子表示端末50の台数は、図1に示される台数に限定されない。アクセスポイント10は、2台以上であれば何台設置されていてもよい。電子表示端末50は、1台以上であれば何台設置されていてもよい。
(6−2)変形例B
実施形態では、図1に示されるように、ベルトコンベア92上に載せられた物品91のそれぞれに電子表示端末50a〜50d,・・・が取り付けられている。各物品91が搬送されることで、電子表示端末50a〜50d,・・・が移動される。しかし、電子表示端末50a〜50d,・・・の移動手段は、ベルトコンベア92に限定されない。例えば、電子表示端末50a〜50d,・・・自体を作業者が持ち歩くことによって、電子表示端末50a〜50d,・・・が移動されてもよい。
(6−3)変形例C
実施形態では、図5(b)に示されるように、送信データDは、複数のデータパケットd1,d2,・・・に分割されて送信される。しかし、送信データDは、複数のデータパケットd1,d2,・・・に分割された形式で送信されなくてもよい。例えば、送信データDは、一つのパケットのみから構成されるビット列として送信されてもよい。
(6−4)変形例D
実施形態では、管理サーバ33は、各電子表示端末50のハードウェアIDに基づいて、各電子表示端末50が所属するグループを決定し、自分が所属するグループを各電子表示端末50に通知する。電子表示端末50は、自分が所属するグループを特定するための情報を、記憶部54に保持している。
しかし、各電子表示端末50は、自分の識別情報に基づいて、自分が所属するグループを決定してもよい。例えば、電子表示端末50は、自分のハードウェアIDから、自分が所属するグループの識別情報(グループID)を取得してもよい。すなわち、電子表示端末50のハードウェアIDに基づいて、当該電子表示端末50が所属するグループが自動的に決定されてもよい。この場合、電子表示端末50に所属するグループを管理サーバ33が予め設定する必要がない。
具体的には、実施形態と同じルールに基づいて、各電子表示端末50は、自分が所属するグループを決定してもよい。この場合、各電子表示端末50は、自分のハードウェアIDが奇数である場合に、第1グループG1に所属することを決定する。また、各電子表示端末50は、自分のハードウェアIDが偶数である場合に、第2グループG2に所属することを決定する。
(6−5)変形例E
実施形態では、図7に示されるように、アクセスポイント10aに所属する6台の電子表示端末50p〜50uは、予め、第1グループG1および第2グループG2に分けられている。しかし、アクセスポイント10aに所属する6台の電子表示端末50p〜50uは、例えば、3つのグループに分けられていてもよい。一般的に、一のアクセスポイント10に同時に所属する電子表示端末50の数に応じて、電子表示端末50のグループの数は任意に設定されてもよい。
一のアクセスポイント10に同時に所属する電子表示端末50の数が多いほど、電子表示端末50のグループの数を増やすことによって、スケジュールパケットSのサイズの減少率が増加する。そのため、この場合、電子表示端末50のグループの数を増やすことにより、電子表示端末50の電池寿命を長くすることができる。
(6−6)変形例F
実施形態では、図8に示されるように、スケジュールパケットSのスケジュールデータsc32に含まれる、送信データDの送信先を表す送信先識別子hwidとして、電子表示端末50のハードウェアIDが用いられている。しかし、送信先識別子hwidとして、電子表示端末50のハードウェアIDの代わりに、無線表示システム100内のみで使用可能な通信用IDが用いられてもよい。通信用IDは、ハードウェアIDよりもデータサイズが小さいビット列である。例えば、ハードウェアIDが4バイトのデータである場合、通信用IDは、2バイトのデータである。無線表示システム100内で使用可能な電子表示端末50の数が65536台以下の場合、2バイトの通信用IDによって電子表示端末50を一意に特定することができる。この場合、管理サーバ33は、無線表示システム100の各電子表示端末50に通信用IDを設定する。管理サーバ33は、複数の電子表示端末50に同一の通信用IDが割り当てられないように、通信用IDを設定する。
本変形例では、ハードウェアIDよりもデータサイズが小さい通信用IDを用いることで、スケジュールパケットSのデータサイズも小さくなる。従って、電子表示端末50がスケジュールパケットSの受信に要する時間が短くなり、電子表示端末50の電池寿命が長くなる。
(6−7)変形例G
変形例Fでは、電子表示端末50自身が、自分の通信用IDをランダムに決定してもよい。この場合、スケジュールパケットSにおいて、複数の電子表示端末50の通信用IDが同一になる、通信用IDの重複が発生する可能性がある。通信用IDが重複しても、スケジュールパケットSを除く無線通信は、電子表示端末50のハードウェアIDを用いて行われるため、送信データDの通信自体は正常に行うことができる。しかし、重複した通信用IDが割り当てられた電子表示端末50は、自分宛てではない送信データDの受信等、不要な無線通信を行うことになる。そのため、通信用IDの重複は、電子表示端末50の電池寿命の低下の原因となる。
そこで、通信用IDの重複を解消するために、管理サーバ33は、各電子表示端末50から通信用IDを取得して、複数の電子表示端末50に同一の通信用IDが割り当てられているか否かをチェックしてもよい。複数の電子表示端末50に同一の通信用IDが割り当てられている場合、管理サーバ33は、複数の電子表示端末50に同一の通信用IDが割り当てられないように、通信用IDを再設定する。
本変形例では、電子表示端末50は、自分の通信用IDをランダムに設定する。異なる電子表示端末50が同じ通信用IDを設定して通信用IDが重複した場合には、通信用IDが重複しないように管理サーバ33が自動的に調整を行う。そのため、従来と同じ方法で無線表示システム100を運用することができる。
なお、管理サーバ33が重複した通信用IDの再設定を行う代わりに、電子表示端末50が、自分の通信用IDを再度ランダムに設定してもよい。この場合でも、管理サーバ33は、各電子表示端末50から通信用IDを再度取得して、複数の電子表示端末50に同一の通信用IDが割り当てられているか否かをチェックする必要がある。
(6−8)変形例H
実施形態では、図4に示されるように、アクセスポイント10は、ビーコンBを所定の周期Tpで送信する。周期Tpは、例えば、4秒である。しかし、ビーコンBの送信間隔であるビーコン間隔Tpは、任意に設定されてもよい。また、ビーコン間隔Tpは、状況に応じて可変であってもよい。例えば、時間帯に応じてビーコン間隔Tpが自動的に変更されてもよい。
無線表示システム100では、電子表示端末50の電池寿命と、電子表示端末50の通信レスポンスとは、互いにトレードオフの関係になる。すなわち、電子表示端末50の電池寿命を長くするためには、電子表示端末50の通信レスポンスを低下させる必要がある。また、電子表示端末50の通信レスポンスを向上させるためには、電子表示端末50の電池寿命を犠牲にする必要がある。具体的には、ビーコン間隔Tpが短いほど、電子表示端末50の通信レスポンスが向上するので、電子表示端末50の電池寿命が短くなる傾向にある。
しかし、電子表示端末50の通信レスポンスが満たすべき基準は、無線表示システム100の利用時間帯および利用環境によって変化する。例えば、物品91の製造工場内に構築される無線表示システム100の場合、工場の製造設備がほとんど稼動していない夜間では、電子表示端末50の通信レスポンスを昼間より低下させても問題がない。また、電子表示端末50の表示部55を作業員が頻繁に確認する必要がない工程では、当該電子表示端末50の通信レスポンスを他の電子表示端末50より低下させても問題がない。そのため、電子表示端末50の通信レスポンスを低下させても問題がない場合、電子表示端末50が受信するビーコン間隔Tpを短くして、電子表示端末50の電池寿命を長くすることが好ましい。
本変形例は、必要に応じてビーコン間隔Tpを調整して、電子表示端末50の電池寿命を長くすることができる無線表示システム100の一具体例に関する。この無線表示システム100では、時間帯によって、アクセスポイント10が電子表示端末50にビーコンBを送信する間隔、すなわち、ビーコン間隔Tpが変化する。
管理サーバ33は、ビーコン間隔Tpを管理する。管理サーバ33は、必要に応じて、アクセスポイント10と通信を行って、アクセスポイント10に記憶されているビーコン間隔Tpを変更する。管理サーバ33は、所定の時間帯ごとのビーコン間隔Tpを予め保持している。管理サーバ33は、ビーコン間隔Tpを変更する時間が来たら、新しいビーコン間隔Tpの設定値をアクセスポイント10に送信する。
本変形例では、管理サーバ33が設定できるビーコン間隔Tpは、所定の最短値、および、その倍数である。例えば、管理サーバ33が設定できるビーコン間隔Tpの最短値が4秒の場合、管理サーバ33が設定できるビーコン間隔Tpは、4秒、8秒、12秒、16秒、20秒、・・・である。
アクセスポイント10は、ビーコン間隔Tpを変更する旨の信号を管理サーバ33から受信した場合、自分に設定されるべき新しいビーコン間隔Tpを取得する。以下、必要に応じて、変更前のビーコン間隔をTp1とし、変更後のビーコン間隔をTp2として説明する。アクセスポイント10は、管理サーバ33から送られてきた新しいビーコン間隔Tp2を取得した直後には、ビーコン間隔Tp2でビーコンBを送信し始めない。その代わり、アクセスポイント10は、変更前のビーコン間隔Tp1で、後続の送信データDを送らずにビーコンBのみを送信し、かつ、変更後のビーコン間隔Tp2で、後続の送信データDと共にビーコンBを送信する。そして、一定時間が経過した後に、アクセスポイント10は、変更後のビーコン間Tp2で、ビーコンBおよび後続の送信データDを送信し始める。
電子表示端末50は、アクセスポイント10とのリンクが確立してビーコンBを受信し始めると、ビーコン間隔Tpを認識する。具体的には、電子表示端末50は、ビーコンBの送信後に送られてくる送信データDからビーコン間隔Tpを取得する。その後、電子表示端末50は、取得したビーコン間隔Tpで、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを監視する。アクセスポイント10がビーコン間隔Tpを変更した場合、電子表示端末50は、変更された後のビーコン間隔Tpを取得し、当該ビーコン間隔Tpで、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを監視する。
図12は、アクセスポイント10から電子表示端末50に送信されるデータのタイミングチャートである。図12(a)は、ビーコン間隔TpがTp1(4秒)から変更される前のタイミングチャートである。図12(b)は、ビーコン間隔TpがTp1(4秒)からTp2(20秒)に変更された直後のタイミングチャートである。図12(c)は、ビーコン間隔TpがTp1(4秒)からTp2(20秒)に変更されて一定時間が経過した後のタイミングチャートである。すなわち、図12(a)、図12(b)および図12(c)の順で、タイミングチャートが変化する。図12(a)(b)(c)では、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを電子表示端末50が監視している状態が、黒の上向き矢印で示されている。図12(a)(b)(c)では、アクセスポイント10からの送信データDの受信が、ハッチングされた領域で示されている。
図12(a)では、電子表示端末50は、変更前のビーコン間隔Tp1である4秒間隔で、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを監視している。当該電子表示端末50宛ての送信データDが、ビーコンBの送信完了後に送信された場合、電子表示端末50は、当該送信データDを受信する。
図12(b)では、電子表示端末50は、変更後のビーコン間隔Tp2である20秒間隔で、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを監視している。当該電子表示端末50宛ての送信データDが、ビーコンBの送信完了後に送信された場合、電子表示端末50は、当該送信データDを受信する。しかし、アクセスポイント10は、依然として、変更前のビーコン間隔Tp1である4秒間隔でビーコンBを送信している。
図12(c)では、電子表示端末50は、変更後のビーコン間隔Tp2である20秒間隔で、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを監視している。アクセスポイント10も、変更後のビーコン間隔Tp2である20秒間隔でビーコンBを送信している。
次に、本変形例において、管理サーバ33が設定できるビーコン間隔Tpが、所定の最短値(例えば4秒)の倍数である理由について説明する。ビーコン間隔Tpが変更された直後において、アクセスポイント10と電子表示端末50との間の通信状況が悪く、そのために電子表示端末50が自分宛ての送信データDを受信できないと、当該電子表示端末50は、ビーコン間隔Tpが変更されたことを認識できない。この場合、当該電子表示端末50は、依然として、変更される前のビーコン間隔Tpで、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを監視する。
しかし、仮に、アクセスポイント10が、ビーコン間隔Tpの最短値でダミーのビーコンBを送信していれば、電子表示端末50は、通信状況が良くなったときに、ダミーのビーコンBを確実に受信することができる。なぜなら、電子表示端末50がビーコンBを監視する時間間隔は、必ず、アクセスポイント10から送信されるビーコン間隔Tpの最短値の倍数であるからである。この場合、電子表示端末50は、変更された後のビーコン間隔Tpで、アクセスポイント10から送信されるビーコンBを監視することができる。図13は、図12(c)のタイミングチャートに、ダミービーコンBdの送信タイミングを追加したタイミングチャートである。図13に示されるように、アクセスポイント10は、変更後のビーコン間隔Tp2である20秒間隔でビーコンBを送信し、かつ、ビーコンBが送信される時刻の間では、ビーコン間隔Tpの最短値である4秒間隔で、ダミービーコンBdを送信している。
以上より、本変形例の無線表示システム100は、必要に応じてビーコン間隔Tpを調整することで、電子表示端末50の電池寿命を長くすることができる。