JP6573610B2 - ユーザ装置および基地局 - Google Patents

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Description

本発明は、基地局、ユーザ装置および無線通信ネットワークに関する。
無線通信の分野において、無線送信局と無線受信局との双方で複数のアンテナを用いて送受信を実行することにより、信号伝送の高速化および高品質化を実現するMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)伝送方式が活用されている。
信号伝送の更なる高速化と干渉低減とを図るために、多数の送信アンテナポートを使用して、ビームの方向を制御する技術が提案されている。例えば、3GPP(Third Generation Partnership Project)のリリース8〜11のLTEの下りリンク送信においては、基地局において複数の送信アンテナポートを横方向に配列し、ビームの方位角(水平面内の角度)の方向を制御する技術が採用されている。基地局は、送信信号の位相および振幅を、ビームフォーミング行列(プリコーディング行列)で調整することにより、送信信号のビームの方向を制御することができる。
また、3GPPのリリース13の標準化においては、基地局に複数の送信アンテナポートを2次元すなわち縦横方向に配列し、水平方向に加えて垂直方向(すなわち俯角および仰角方向)にビームの方向を制御する技術(3D MIMO(3次元MIMO))が検討される予定である。基地局は、送信信号の位相および振幅を、ビームフォーミング行列(プリコーディング行列)で調整することにより、送信信号のビームの3次元の方向を制御することができる。ビームの方向を制御するための送信信号の調整をビームフォーミングまたはプリコーディングと呼ぶ。
標準化では、多数のアンテナを利用するMIMOは、垂直ビームフォーミング(elevation beam forming)とFD-MIMO(full dimension MIMO)に分類される。
垂直ビームフォーミングは、基地局に複数の送信アンテナポートを2次元すなわち縦横方向に配列し、水平方向および垂直方向にビームの方向を制御する技術である。標準化上では、垂直ビームフォーミングは、送信アンテナポート数が8以下の場合の3D MIMOを意味する事が多い。
FD-MIMOは、非常に多数のアンテナ素子を基地局で用いて、極めて鋭い(指向性が高い)ビームを形成することによって、周波数利用効率を飛躍的に改善する技術である。FD-MIMOでは、送信アンテナポートは必ずしも2次元に配列されなくてもよく、例えば1次元に配列される場合には、ビームの方位角方向または垂直方向のいずれかが制御されうる(この点で、FD-MIMOは3D MIMOではないMIMOも含む)。または、例えば円柱形や直方体形等の様に3次元に配置されていても良い。しかし、垂直ビームフォーミングと同様に、基地局に送信アンテナポートを2次元に配列すれば、水平方向および垂直方向にビームの方向を簡易に制御することが可能である。標準化上では、FD-MIMOは、送信アンテナポート数が8より大きいMIMOを意味する事が多い。例えば、基地局の送信アンテナポート数は、16以上であり、数百、数千、数万でもよい。標準化以外では、FD-MIMOは、Massive MIMO、またはHigher-order MIMOと呼ばれることが多い。特許文献1には、Massive MIMOが開示されている。但し、垂直ビームフォーミングとFD-MIMOの定義は、将来変わることがありうる。
MIMOでは、送信アンテナ毎に位相および振幅の制御が可能であるので、使用される送信アンテナ数が多いほどビーム制御の自由度が高まる。3D MIMOにおいては、無線送信局は、個々の無線受信局が送信ビームを受信することができるように、個々の無線受信局に向けて送信ビームを形成し、無線受信局宛のデータ信号を送信ビームで送信する。
LTEの通信システムでは、UE(user equipment、ユーザ装置、移動局)がネットワークに同期するために、PSS(1次同期信号、Primary Synchronization Signal)およびSSS(2次同期信号、Secondary Synchronization signal)が使用されている。PSSおよびSSSは、時間と周波数に関してシステムにUEが同期するため、ならびに物理セルID、サイクリックプレフィックス(CP)、およびシステムがFDDかTDDかをUEが知るために使用される。PSSをUEが検出することにより、UEはPSSとSSSの相対オフセット位置および物理セルIDを知る。SSSをUEが検出することにより、UEはフレームタイミングおよびセルIDグループを知る。
PSSおよびSSSは、10msの無線フレームで2回、周期的に送信される。FDDのシステムでは、PSSは各無線フレームの第1番目と第11番目のスロットの末尾のOFDMシンボルに配置され、SSSはPSSの直前のOFDMシンボルに配置される。TDDのシステムでは、PSSは第3番目と第13番目のスロットに配置され、SSSはそこから3シンボル早いシンボルに配置される。PSSおよびSSSは、システム帯域幅に対して固定の中央の6つのRBで送信される。PSSおよびSSSは、62シンボルの長さの系列であり、データ通信に使用されないDCサブキャリアの周囲の62のサブキャリアにマップされる。
3GPPで規定されている参照信号(reference signal、RS)は、例えばセル固有参照信号(cell-specific RS(CRS))、チャネル状態情報参照信号(channel state information RS(CSI-RS))、復調用参照信号(demodulation RS(DM-RS))がある。復調用参照信号は、端末固有参照信号(UE-specific RS)とも呼ばれる。
LTE(リリース8)の通信システムでは、セル固有参照信号(CRS)の使用が必須である。セル固有参照信号は、基地局(セル)の最大で4つの送信アンテナでサポートされる(3GPP TS 36.211の図6.10.1.2.1)。リリース8では、セル固有参照信号は、チャネル状態情報(CSI(channel state information))の決定、データの復調、セルからの信号の受信品質(RSRP(Reference Signal Received Power)またはRSRQ(Reference Signal Received Quality))の測定、および制御チャネル(個別物理制御チャネル、PDCCH)の復調に使用される。CRSの含むデータシンボルをRSSI(Received Signal Strength Indicator)またはパスロスの測定に使用してもよい。RSRPまたはRSRQの測定のため、UEはある期間のCRSをサンプリングし、サンプルしたデータをフィルタリングすることが一般的である。
各送信アンテナポートのCRSシンボルは、規則的なパターンでリソースエレメントにマップされる。異なる送信アンテナポートのCRSは、異なる時間および異なる周波数で送信される。つまり、異なる送信アンテナポートのCRSは、TDMおよびFDMで直交多重される。
LTE-Advanced(リリース10以降)では、チャネル状態情報参照信号(CSI-RS)および復調用参照信号(DM-RS)が使用される。チャネル状態情報参照信号は、基地局(セル)の最大で8つの送信アンテナをサポートする。
復調用参照信号は、基地局(セル)から送信されうる最大で8つの送信ストリームをサポートする。復調用参照信号は、移動通信端末(UE)固有のデータ信号を復調するために使用される。復調用参照信号には、データ信号と同様のプリコーディングが施されており、このためにUEは、プリコーディング情報なしで、復調用参照信号によってデータ信号を復調することができる。LTE-Advancedで、DM-RSおよびCSI-RSが規定されたことにより、将来は、CRSの重要性は減少するかもしれない。
3D MIMO伝送においては、プリコーディング情報の決定の為にCSI-RS等のチャネル状態情報推定用の参照信号が用いられるケースが考えられるが、当該CSI-RSはリリース10の様にプリコーディングが行われていなくても良いし、プリコーディングが行われていても良い。具体的には、基地局の送信するプリコーディングを適用した単一または複数のCSI-RSを基にプリコーディング情報を決定する事が可能である。
特開2013−232741号公報
3D MIMOでは、基地局からの下りリンクのデータ信号のビームがプリコーディング行列によって制御される。しかし、ユーザ装置で伝搬路状況や受信品質を測定するための参照信号(例えばCRSやCSI-RS)に対し、プリコーディングが適用されていない場合や、データ信号と異なるプリコーディングが適用されている場合には、ユーザ装置はデータ信号に対応する方向の受信品質を高精度に測定することができない。したがって、ネットワークは、ユーザ装置から受信品質に関する報告を受信しても、ユーザ装置への好適なサービング基地局を選択することもできないし、好適なビーム方向の推定や適応変調符号化等のリンク適応制御をすることもできない。
そこで、本発明は、3D MIMOに適応し、ユーザ装置のサービング基地局の適切な選択およびユーザ装置への好適なビームの方向の推定を可能にする基地局、ユーザ装置および無線通信ネットワークを提供する。
本発明に係る基地局は、複数の送信アンテナポートと、前記送信アンテナポートで送信されるビームの方向を制御するためのプリコーディングウェイトを生成するプリコーディングウェイト生成部と、ユーザ装置での受信品質測定のための複数の参照信号を複数の方向にそれぞれ適応させるために、前記プリコーディングウェイトによりプリコードし、前記プリコードされた複数の参照信号を前記ユーザ装置が区別することができる形式で、前記送信アンテナポートの少なくともいずれかにより送信する参照信号送信制御部とを備える。
本発明に係るユーザ装置は、各基地局で複数の送信アンテナポートで送信されるビームの方向を制御するためのプリコーディングウェイトでプリコードされており、複数の方向にそれぞれ向けられた複数の参照信号を、ネットワークの単一の基地局または複数の基地局の各々から受信する参照信号受信部と、前記複数の参照信号の受信品質を測定する受信品質測定部と、前記複数の参照信号の受信品質に基づいて、前記ネットワークにおける当該ユーザ装置の少なくとも1つのサービング基地局の選択および当該ユーザ装置への好適なビーム方向の推定の少なくともいずれかのための情報を、前記ネットワークに報告する情報報告部とを備える。情報報告部によりネットワークに報告される情報は、適応変調符号化等のリンク適応制御のための情報であってもよい。
本発明に係る無線通信ネットワークは、複数の送信アンテナポートと、前記送信アンテナポートで送信されるビームの方向を制御するためのプリコーディングウェイトを生成するプリコーディングウェイト生成部と、ユーザ装置での受信品質測定のための複数の参照信号を複数の方向にそれぞれ適応させるために、前記プリコーディングウェイトにより前記複数の参照信号をプリコードし、前記プリコードされた複数の参照信号を前記ユーザ装置が区別することができる形式で、前記送信アンテナポートの少なくともいずれかにより送信する参照信号送信制御部とを各々が備える複数の基地局と、前記ユーザ装置での前記複数の基地局からの前記複数の参照信号の受信品質の測定結果に基づいて、前記ユーザ装置の少なくとも1つのサービング基地局を決定するサービング基地局決定部とを備える。
本発明においては、3D MIMOに適応し、プリコードされた単一または複数の参照信号を各基地局から送信し、ユーザ装置が参照信号の受信品質を測定するため、ユーザ装置のサービング基地局の適切な選択およびユーザ装置への好適なビームの方向の推定が可能になる。
本発明に係る基地局の概略図である。 前記基地局のアンテナセットを示す正面図である。 前記アンテナセットの変形を示す正面図である。 比較例の基地局を示す概略図である。 他の比較例の基地局を示す概略図である。 本発明に係る無線通信ネットワークの概略図である。 1つの基地局の異なる送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す図である。 図7のCRSシンボルに与えられる複素数ウェイトを示す図である。 図9Aは1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す図である。図9Bは1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの他の例を示す図である。 図9BのCRSシンボルに与えられる複素数ウェイトを示す図である。 図11Aは1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す図である。図11Bは1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの他の例を示す図である。 図11AのCRSシンボルに与えられる複素数ウェイトを示す図である。 1つの基地局の2つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す図である。 図13のCRSシンボルに与えられる複素数ウェイトを示す図である。 1つの基地局の2つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す図である。 1つの基地局の2つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの他の例を示す図である。 図16のCRSシンボルに与えられる複素数ウェイトを示す図である。 UEのアイドル状態(RRC_IDLE)での実施の形態に係る処理の流れを示すシーケンス図である。 UEの接続状態(RRC_CONNECTED)での実施の形態に係る処理の流れを示すシーケンス図である。 実施の形態に係るCRSに基づいたCSIのフィードバックの処理の流れを示すシーケンス図である。 1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数対のPSSおよびSSSの異なるアンテナ素子への割り当ての例を示す図である。 1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数対のPSSおよびSSSの異なるアンテナ素子への割り当ての例を示す図である。 実施の形態に係るユーザ装置の基地局への同期の処理の流れを示すシーケンス図である。 実施の形態に係る基地局の構成を示すブロック図である。 実施の形態に係るユーザ装置の構成を示すブロック図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る様々な実施の形態を説明する。
図1に示すように、本発明に係る基地局1は、3D MIMOのアンテナセット10を有する。アンテナセット10においては、2次元すなわち縦横方向または3次元にアンテナ素子が配列されている。したがって、基地局1は、送信信号の位相および振幅を、ビームフォーミング行列(プリコーディング行列)で調整することにより、水平方向(方位角方向)に加えて垂直方向(すなわち俯角および仰角方向)にビームの方向を制御する。アンテナセット10は必ずしも2または3次元である必要は無く、水平または垂直方向に1次元にアレー配置されていても良い。
このようなアンテナセット10によって、水平方向および垂直方向のいずれかまたは両方にビームを形成することができる。換言すれば、水平方向および垂直方向のいずれかまたは両方にわたって、適応型ビーム制御の可能性が広げられる。基地局1は、斜め下方にあるUE100に下りリンクのデータ信号のビームを向けることも可能であるし、斜め上方にあるUE100に下りリンクのデータ信号のビームを向けることも可能である。また、ビームの宛先であるUE100では、データ信号の受信品質(例えばSINR(信号対雑音干渉比))が向上する。近隣セルにあるUEへの干渉を減少させることもできる。
アンテナセット10において、縦横のアンテナ素子の数は同じでもよいし、異なっていてもよい。アンテナセット10のアンテナ素子は、図2に示すように同一の偏波特性を有していてもよいし、図3に示すように偏波共用素子であってもよい。同一偏波の1つのアンテナ素子を1つの送信アンテナポート(後述する参照信号を送信する単位)として使用することができる。図2の例では、64の同一偏波のアンテナ素子を64の送信アンテナポートとして使用することができる。直交偏波の1つのアンテナ素子を2つの送信アンテナポートとして使用することができる。図3の例では、64の直交偏波のアンテナ素子を128の送信アンテナポートとして使用することができる。
また、複数のアンテナ素子(同一偏波素子または直交偏波素子)を1つの送信アンテナポートとして使用することができる。例えば、図3の例で、直交偏波の4つのアンテナ素子を1つの送信アンテナポートとして使用し、64の直交偏波のアンテナ素子を16の送信アンテナポートとして使用することができる。
このような3D MIMOの環境においては、UEにとっては、システムパフォーマンスを改善するため、様々な方向にデータ信号のビームを送信できる多数の基地局のうち少なくとも1つのサービング基地局(下りリンクのCoMPの複数の協調基地局であってもよい)をどのように適切に選択するかが課題である。下りリンクのCoMP(Coordinated Multipoint Transmission)とは、複数の基地局が協調して1つのUEへのデータ通信を実行する技術である。CoMPには、1つの基地局が1つのUEにデータ信号を送信する間、他の基地局がそのUEに干渉を与えないように下り送信を停止する技術、1つの基地局が1つのUEにデータ信号を送信する間、他の基地局がそのUEに干渉を与えないようにビームの方向を制御する技術、複数の基地局が1つのUEに交互にデータ信号を送信する技術がある。
3D MIMOにより下りリンクのデータ信号のビームの方向が制御される一方で、UEで受信品質を測定するための参照信号がデータ信号と異なる方向に向けられている場合には、UEはデータ信号に対応する方向の受信品質を測定することができない。したがって、ネットワークは、UEから受信品質に関する報告を受信しても、UEへの好適なサービング基地局を選択することもできないし、好適なビームの方向を推定することもできない。ただし、ここではサービング基地局の選択、好適なビーム方向の推定、リンク適応制御にCRSを用いる例を示しているが、CSI-RSやDiscovery signalであっても、その他の参照信号やPSS/SSSの様な同期信号を用いても良い。
例えば、図4に示すように、CRSのビームの方向が単一の所定の俯角方向に限定されている場合には、CRSのビームを形成する処理は簡単であるが、上方に位置するUE100に向けられるべきデータ信号のビームの方向とCRSのビームの方向が異なるため、UE100はデータ信号に対応する方向の受信品質を測定することができず、そもそも当該セルに接続が出来ない可能性がある(または、隣接のより受信品質の良い3D MIMOセルへの接続機会を逃す)。また、CRSのビームの幅が広く到達距離が短い場合には、小さいビームフォーミングゲインのために基地局1の距離的なカバレッジが減少し、ビームの幅が狭い場合には、基地局1の角度的なカバレッジが減少する。
したがって、基地局から複数のCRSを複数の方向に向けて送信するのが好ましい。図5は、複数方向に異なるCRS(CRS1およびCRS2)を送信する基地局1を示す。CRS1およびCRS2は異なるプリコーディング行列でプリコードされている。各CRSのビームを1つのセルと考え、各ビームにセルIDを与えることも可能である。この場合、既存の3GPPの規格仕様書を大きく変更することなく、既存のCRSのリソースエレメントへのマッピングパターンを使用することができるであろう。しかし、各CRSのビームにセルIDを与える場合には、UEは複数のCRSのビームを異なるセルとみなすので、UEがいずれかのビームを好ましい方向のビームと選択すると、多くの処理を伴うセル間ハンドオーバが必要となってしまう。
そこで、本発明の実施の形態では、プリコードされた複数のCRSをUEが区別することができる形式で、各基地局はCRSを送信する。各基地局はセルとして、複数のプリコードされたCRSを複数のビームで送信する。UE100は、各基地局から複数のビームで送信されるCRSの受信品質を測定することができる。UE100での受信品質の測定結果に基づいて、適切にサービング基地局またはCoMPの複数の協調基地局が選択される。例えば、最も良好な受信品質を有するCRSのビームを送信した基地局をサービング基地局として選択することができる。この場合にも、既存の3GPPの規格仕様書を大きく変更することなく、既存のCRSのリソースエレメントへのマッピングパターンを流用することができる。
具体的には、図6に示すように、基地局1がCRS1およびCRS2のビームを送信し、基地局2がCRS3およびCRS4のビームを送信する場合に、測定される各CRSのRSRPのうち、CRS4のRSRPが最も大きい場合、UE100のサービング基地局として基地局2が選択される。各基地局から送信されるCRSのビームの数は2に限られず3以上でもよいし、例えば数百であってよい。
また、複数の基地局から送信されたCRSのビームのうちUE100にとって最も良好なビームが分かれば(例えば、CRS4のRSRPが最も大きいことが分かれば)、サービング基地局は、UE100にとって良好なビームの情報に関するUE100からの報告によって、UE100にとっておおまかな好適なビームの方向が分かる。サービング基地局は、UE100にとって良好なビームの方向の情報に基づいて、データ信号のプリコーディング行列を決定または補正することも可能である。基地局は、UE100でのCRSのセル選択結果情報を使用して、データ信号のプリコーディング行列を決定してもよい。例えば、データ信号のプリコーディング行列の決定にCSI-RSの測定結果を使用する場合に、CRSの測定結果に基づいてプリコーディング行列を補正してもよい。そのため、各基地局は複数のCSI-RSを異なるプリコーディング行列でプリコードしてもよい。
UE100および基地局は、段階的なビーム判定または段階的なプリコーディング行列の決定もしくは補正を行ってもよい。例えば、UE100は、数百の参照信号のビームのうち先ず4つの最良のビームを選択し、その後に4つのビームのうち1つの最良のビームを選択してもよい。あるいは、基地局はまず水平方向および垂直方向のいずれかだけ(例えば水平方向だけ)限定した複数の参照信号のビームを放出し、UE100はそのうち最良のビーム(例えば最良の水平方向ビーム)を選択し、次に基地局はUE100で選択された方向の面内でさらに他の方向(例えば垂直方向)を限定した複数のビームを放出し、UE100はそのうち最良のビームを選択してもよい。あるいは、基地局は、まず複数のCRSのビーム(おおまかな方向のビーム)を放出し、UE100はそのうち最良のビームを選択し、次に基地局はUE100で選択されたおおまかな方向に近似する複数のCSI-RSのビームを放出し、UE100はそのうち最良のビームを選択してもよい。サービング基地局はUE100で最終的に選択された1つの最良のビームの情報に基づいてプリコーディング行列を決定してもよい。
以下では、プリコードされる参照信号の例として、CRSを主に説明する。しかし、プリコードされる参照信号は、CSI-RS、ディスカバリRS等の他の参照信号やPSSやSSSの同期信号等であってもよく、以下の説明のCRSはそれらの参照信号や同期信号等と読み替えることができる。
上記のように、各基地局は、プリコードされた複数のCRSをUEが区別することができる形式で、複数のプリコードされたCRSを複数のビームで送信する。複数のCRSは、時間、周波数、符号、空間、送信アンテナポートまたはこれらの組み合わせによって識別することができる。例えば、各々が周波数と時間で定義される異なるリソースエレメントに複数のCRSをマッピングするのが便利である。プリコーディングに使用されるプリコーディング行列は、複素数ウェイトから構成される。CRSを生成するには既存のルール(CRS系列生成、復調、CRSマッピングパターン、周波数シフト、電力ブースティング、リソースエレメント割り当てなどを含む)が使用可能である。
UEが基地局から送信されたCRSを区別することができるように、各基地局は複数のCRSの送信方式を示す情報をUEに通知する。好ましくは、この情報は基地局から報知される。この情報は、少なくともCRSの数、各CRSのID、各CRSに割り当てられたリソースエレメントと送信アンテナポート(式または表の形式でよい)を含む。CRSの識別に拡散符号および空間を使用する場合には、拡散符号および空間もこの情報に示される。CRSのリソースエレメントへのマッピングなどのルール(例えばCRSのIDと、CRSが割り当てられるリソースエレメントの関係)を規格の仕様書で規定することにより、複数のCRSの送信方式を示す情報は、各CRSのIDだけであってもよい。
複数のCRSの送信方式を示す情報をUEに通知すべきである。複数のCRSの送信方式を示す情報は、アイドル状態(RRC_IDLE)または接続状態(RRC_CONNECTED)にあるUEには、セル選択およびセルの再選択のための報知チャネル(BCH)で送信されるシステム情報ブロック(SIB)を介して報知されてもよい。あるいは、この情報は、UEにRRCシグナリングで通知されてもよい。例えば、接続状態(RRC_CONNECTED)にあるUEのハンドオーバのためのRRC Connection Reconfigurationメッセージに、この情報を追加してもよい。
基地局から送信される複数のCRSの送信方式を示す情報で、UEは基地局から送信されるCRSの数、各CRSのID、各CRSがマップされたリソースエレメントおよび各CRSが送信される送信アンテナポート数を知る。かくして、UEはプリコードされた複数のCRSを区別することができる。
プリコードされた複数のCRSを用いて、UEは各CRSの受信品質を測定する。受信品質としては、RSRP、RSRQ、RSSI、パスロス、SINRのいずれでもよい。UEは受信品質を周期的に測定してもよいし、何らかのイベントを契機として受信品質を測定してもよい。
UEは、各CRSの受信品質の測定結果をそのまま示す情報または測定結果に基づく情報をネットワークに報告する。この報告は周期的に実行してもよいし、特定のイベント(例えば、3GPP TS 36.331に規定されるEVENT A1〜A5のいずれか)を契機として実行してもよい。報告の宛先は、UEの現在のサービング基地局であってもよいし、複数の基地局を制御する基地局制御装置200(図6参照)であってもよい。報告される情報は、ネットワークにおける当該UEの少なくとも1つのサービング基地局の選択情報、当該UEへの好適なビームの方向の推定のための情報、リンク適応制御のための情報のいずれかまたは全てである。
例えば、UEは、複数の基地局から送信されたCRSのビームのうちUEにとって最も受信品質が良好なビームに対応するCRS IDを報告してもよい。例えば、最も強いRSRPまたはRSRQに対応するCRS IDを報告してもよい。さらに、UEで測定された最も良好な受信品質の値を報告してもよい。
あるいは、UEは、複数の基地局から送信されたCRSのビームのうち、受信品質が良好な一部の複数のビームに対応するCRS IDおよびそれらのCRSを送信した基地局のセルIDを報告してもよい。さらに、UEで測定された良好な受信品質の値を報告してもよい。
あるいは、UEは、複数の基地局から送信されたすべてのCRSのビームの受信品質を報告してもよい。この場合には、各受信品質に、CRS IDとセルIDの組合せを関連づけた形式で、報告してもよい。あるいは、受信品質の報告の順序と、CRS IDとセルIDの組合せの関係がネットワークで既知であれば、CRS IDおよびそれらのCRSを送信した基地局のセルIDを報告しなくてもよい。
上記のUEからの報告に基づいて、UEの現在のサービング基地局または基地局制御装置200は、UEの次のサービング基地局(下りリンクのCoMPの複数の協調基地局であってもよい)を決定する。この点で、現在のサービング基地局はサービング基地局決定部を備えてもよいし、基地局制御装置200がサービング基地局決定部であってもよい。このようなサービング基地局の決定は、セル選択であってもよいし、セルの再選択であってもよいし、ハンドオーバであってもよい。現在のサービング基地局が次のサービング基地局を決定する場合には、基地局制御装置の機能が各基地局に設けられている。
例えば、現在のサービング基地局または基地局制御装置200は、UEにとって最も受信品質(例えばRSRPまたはRSRQ)が良好なCRSのビームを送信した基地局を次のサービング基地局として決定してもよいし、閾値(例えば現在のサービング基地局から提供される受信品質)より高い受信品質を有するCRSのビームを送信した基地局を次のサービング基地局として決定してもよい。
UEにとって最も受信品質が良好なCRSのビームを送信した基地局が現在のサービング基地局であるならば、現在のサービング基地局が次のサービング基地局でもある。したがって、この場合には、セル選択もセルの再選択もハンドオーバも行われないので、それらに要する処理が不要である。
また、UEからの報告に基づいて、次のサービング基地局または基地局制御装置200は、次のサービング基地局からUEへの好適なビームの方向を推定することができる。上記の通り、サービング基地局は、UE100にとって良好なビームの方向に基づいて、データ信号のプリコーディング行列を決定または補正することも可能である。
さらに、UEは、プリコードされた複数のCRSのビームの受信品質(例えばSINR)または最良の受信品質に基づいて、CSIを決定し、決定したCSIをサービング基地局または基地局制御装置200にフィードバック(報告)してもよい。CSIには、Rank Indicator(ランクインジケータ(RI))、Precoding Matrix Indicator(プリコーディング行列インジケータ(PMI))、Channel Quality Indicator(チャネル品質インジケータ(CQI))がある。CSIの決定に使用されるビームは、もちろん、CRSのビームに限られず、CSI-RSのビームであってよい。CSIの報告は、上記の受信品質の測定結果に基づく報告と同時でもよいし別の時でもよい。
UEはサービング基地局から複数のCRSのビームを受信し、それらのCRSのビームの受信品質を測定する。好ましくは、これらのCRSのビームの受信品質のうち最良の受信品質に基づいて、UEは最良の受信品質のビームに応じたRIおよびPMIを選択し、最良の受信品質のビームに応じたCQIを計算し、最良の受信品質のビームに応じたCSIを報告してもよい。サービング基地局は、フィードバックされたRIおよびPMIに応じたランク数およびプリコーディング行列を使用し、フィードバックされたCQIに基づいて周波数スケジューリングを行う。CSIの報告とともに、最も受信品質が良好なビームに対応するCRS IDおよび/またはそのCRSを送信した基地局のセルIDを報告してもよい。
あるいは、UEは、サービング基地局から送信されたCRSのビームのうち、受信品質が良好な一部の複数のビームに対応する複数のRIおよび複数のPMIを選択し、これらの一部のビームに応じた複数のCQIを計算し、受信品質が良好な一部のビームに応じたCSIを報告してもよい。CSIの報告とともに、これらの受信品質が良好なビームに対応するCRS IDを報告してもよい。サービング基地局は、フィードバックされたCSIから使用すべきランク数、プリコーディング行列、CQIを決定し、決定されたRIおよびPMIに応じたランク数およびプリコーディング行列を使用し、決定されたCQIに基づいて周波数スケジューリングを行う。
あるいは、UEは、サービング基地局から送信されたすべてのCRSのビームに応じた複数のRIおよび複数のPMIを選択し、すべてのCRSのビームに応じた複数のCQIを計算し、複数またはすべてのCRSのビームに応じたCSIを報告してもよい。この場合には、各CSIに、CRS IDを関連づけた形式で、報告してもよい。あるいは、CSIの報告の順序と、CRS IDとセルIDの組合せの関係がネットワークで既知であれば、CRS IDを報告しなくてもよい。サービング基地局は、フィードバックされたCSIから使用すべきランク数、プリコーディング行列、CQIを決定し、決定されたRIおよびPMIに応じたランク数およびプリコーディング行列を使用し、決定されたCQIに基づいて周波数スケジューリングを行う。
次に本発明の実施の形態の規格の仕様書への影響を説明する。
プリコードされた複数のCRSをUEが区別することができる形式およびCRSの送信方式を示す情報を規格の仕様書に規定すべきである。CRSの送信方式を示す情報は、少なくとも基地局から送信されるCRSの数、各CRSの生成およびマッピンク等に用いるID、各CRSに割り当てられたリソースエレメントと送信アンテナポート数(式または表の形式でよい)を含んでいても良い。なお、当該IDはリリース8で規定されているセルIDでも良いし、バーチャルセルIDであっても良い。
複数のCRSの送信方式を示す情報(例えば CRS ID)の報知の方式を規格の仕様書に規定すべきである。このような情報は、UEがリソースエレメントにマッピングされたCRSを区別し、各CRSについて受信品質を測定し、受信品質をCRSに関連づけて報告することができるように、UEに通知すべきである。アイドル状態(RRC_IDLE)または接続状態(RRC_CONNECTED)にあるUEには、セル選択およびセルの再選択のための報知チャネル(BCH)で送信されるシステム情報ブロック(SIB)を介して報知されてもよい。あるいは、この情報は、UEにRRCシグナリングで通知されてもよい。例えば、接続状態(RRC_CONNECTED)にあるUEのハンドオーバのためのRRC Connection Reconfigurationメッセージに、この情報を追加してもよい。
UEによる受信品質の測定およびハンドオーバのための報告を規格の仕様書に規定すべきである。UEは、測定できるすべてのCRSのビームではなく、SIBまたはRRCシグナリングで通知されたCRSのビームの受信品質を測定すべきである。
また、特定のイベント(例えば、3GPP TS 36.331に規定されるEVENT A1〜A5のいずれか)を契機として報告される受信品質は、UEにとって最も受信品質が良好なCRSのビームの受信品質、またはサービング基地局からのUEにとって最も受信品質が良好なCRSのビームの受信品質と近隣基地局からのUEにとって最も受信品質が良好なCRSのビームの受信品質の組合せである。最も受信品質が良好なCRSのビームに対応するCRS IDは報告されてもされなくてもよい。
周期的に報告される受信品質は、UEにとって最も受信品質が良好なCRSのビームの受信品質、または基地局(サービング基地局および/または近隣基地局)からの複数のCRSのビームの受信品質である。受信品質に対応するCRS IDは報告されてもされなくてもよい。
現在の3GPP TS 36.211の図6.10.1.2.1では、基地局で最大4つの送信アンテナポートでCRSが送信される。しかし、より多数の送信アンテナポート(またはより多数のプリコーダ)でより多数のCRSのビームを送信することができるように、規格の仕様書に規定すべきである。
CRSに基づいたCSI(RI、PMI、CQI)の決定およびフィードバックを規格の仕様書に規定すべきである。UEはサービング基地局の最良の受信品質のCRSのビームに応じたRIおよびPMIを選択し、最良の受信品質のCRSのビームに応じたCQIを計算し、最良の受信品質のビームに応じたCSIを報告してもよい。あるいは、サービング基地局の複数のCRSのビームに対応する複数のRIおよび複数のPMIを選択し、複数のCRSのビームに応じた複数のCQIを計算し、複数のCRSのビームに応じたCSIを報告してもよい。報告されるCSIに対応するCRS IDは、報告されてもされなくてもよい。
従来のUE(プリコードされた複数のCRSのビームを用いた受信品質測定を行わないUE)は、プリコードされたCRSのビームが送信されるシステムにおいてもなお動作することができる事が望ましい。従来のUEは、複数のCRSの送信方式を示す情報を復号せず、あたかもCRSがプリコードされて複数のビームで送信されていないかのように、従来の方法でCRSの受信品質を測定する。というのも、CRSがマップされるリソースエレメントの配置およびCRSの系列は、現在のLTEシステムまたはLTE-Aシステムと同じでよいからである(3GPP TS 36.211参照)。
以下、プリコードされて異なるビームで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を説明する。
図7は1つの基地局の異なる送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す。図7および後続の図面において、CRSがマップされたリソースエレメントは着色されている。図7〜図14において、色のパターンの相違は異なるCRSのビームを示す(異なるプリコーディングがされていることを示す)。ここでは2種類のリソースエレメントが使用されて、2つのCRSが2つのビーム0,1で送信される。ここで、本例ではCRSビームのリソースエレメント位置を現LTE仕様におけるアンテナポート0、1と同一としている。wn (i)のi(図では0または1)はCRSのビームを示すビームインデックス(上記のCRS IDと同じでよい)である。送信される2つのCRSのリソースエレメントへのマッピングパターンは互いに異なる。したがって、図7の例は、送信アンテナポートベースのCRSのマッピングパターンを示す。
CRSのビーム0を形成するため、CRSにはプリコーディング行列(ここではベクトル)
Figure 0006573610
が使用される。CRSのビーム1を形成するため、CRSにはプリコーディング行列(ここではベクトル)
Figure 0006573610
が使用される。
これらのプリコーディングベクトル
Figure 0006573610
は下記の式で表される。
Figure 0006573610
ここで、wn (i)は、送信アンテナポートのn番目の送信アンテナのための複素数ウェイトであり、iはCRSのビームを示すインデックスである。Nは送信アンテナの総数である。
より具体的には、図8に示すように、アンテナ素子0からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (0)が乗算される。kはリソースエレメントの周波数インデックスであり、lはリソースエレメントの時間インデックスである。アンテナ素子N-1からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (0)が乗算される。アンテナ素子0からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (1)が乗算され、アンテナ素子N-1からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (1)が乗算される。
このようにして、2つの送信アンテナポートから送信された2つのCRSのビームは、Hで示された伝送路を介して、UEの受信アンテナRxに受信される。UEでは、これらの2つのCRSのビームの受信品質を測定することができる。
図9Aは1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す。ここではアンテナポート0のリソースエレメントが使用されて、2種類のCRSが2つのビーム0,1で送信される。より具体的には、アンテナポート0で使用されるリソースエレメントのうち、0および7シンボル目がビーム1の、4および11シンボル目がビーム0の送信に用いられる。
図9Bは1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの他の例を示す。ここではアンテナポート0のリソースエレメントが使用されて、2種類のCRSが2つのビーム0,1で送信される。より具体的には、アンテナポート0で使用されるリソースエレメントのうち、偶数スロットがビーム0の、奇数スロットがビーム1の送信に用いられる。
図9Bのマッピングについて、より具体的には、図10に示すように、アンテナ素子0から偶数時間スロットでビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (0)が乗算される。アンテナ素子N-1から偶数時間スロットでビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (0)が乗算される。アンテナ素子0から奇数時間スロットでビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (1)が乗算され、アンテナ素子N-1から奇数時間スロットでビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (1)が乗算される。
このようにして、1つの送信アンテナポートから送信された2つのCRSのビームは、Hで示された伝送路を介して、UEの受信アンテナRxに受信される。UEでは、これらの2つのCRSのビームの受信品質を測定することができる。
図11Aは1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す。ここでは送信アンテナポート0のCRSに用いられるリソースエレメントが使用されて、4つのCRSビーム0,1,2,3が送信される。より具体的には、1つの送信アンテナポートにおいて、送信される4つのCRSは異なるリソースエレメントにマップされる。したがって、図11Aの例は、周波数と時間ベースのCRSのマッピングパターンを示す。偶数時間スロットと奇数時間スロットでは、CRSのリソースエレメントのマッピングパターンは同じである。CRSがマップされたリソースエレメントは、3GPP TS 36.211の図6.10.1.2.1のそれらと同じである。
図11Bは1つの基地局の複数のCRSビームのリソースエレメントへのマッピングの他の例を示す。ここでは1つの送信アンテナポート0が使用されて、4つのCRSが4つのビーム0,1,2,3で送信される。より具体的には、1つの送信アンテナポートにおいて、送信される4つのCRSは異なるリソースエレメントにマップされる。したがって、図11Bの例も、周波数と時間ベースのCRSのマッピングパターンを示す。但し、ある時間のリソースエレメントにマップされるCRSと、他の時間のリソースエレメントにマップされるCRSは異なる(異なるプリコーディングがされている)。CRSがマップされたリソースエレメントは、3GPP TS 36.211の図6.10.1.2.1のそれらと同じである。
図11Aのマッピングについて、より具体的には、図12に示すように、アンテナ素子0からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (0)が乗算される。アンテナ素子N-1からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (0)が乗算される。アンテナ素子0からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (1)が乗算され、アンテナ素子N-1からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (1)が乗算される。アンテナ素子0からビーム2で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (2)が乗算され、アンテナ素子N-1からビーム2で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (2)が乗算される。アンテナ素子0からビーム3で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (3)が乗算され、アンテナ素子N-1からビーム3で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (3)が乗算される。
このようにして、1つの送信アンテナポートから送信された4つのCRSのビームは、Hで示された伝送路を介して、UEの受信アンテナRxに受信される。UEでは、これらの4つのCRSのビームの受信品質を測定することができる。
図13は1つの基地局の2つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す。ここでは2つの送信アンテナポート0,1のリソースエレメントが使用されて、3つのCRSが3つのビーム0,1,2で送信される。より具体的には、送信アンテナポート0の多重位置では1つのCRSのビーム0を送信し、送信アンテナポート1の多重位置では2つのCRSのビーム1,2を異なるリソースエレメントで送信する。したがって、図13の例は、送信アンテナポートと周波数と時間ベースのCRSのマッピングパターンを示す。CRSがマップされたリソースエレメントは、3GPP TS 36.211の図6.10.1.2.1のそれらと同じである。送信アンテナポート1の2つのCRSのビーム1,2は、偶数時間スロットと奇数時間スロットで、同じパターンで配置されている。
送信アンテナポート0は1つのCRSのビームだけを送信するので、既存の規格仕様書のMIMOに使用することができる。
図13のマッピングについて、より具体的には、図14に示すように、アンテナ素子0からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (0)が乗算される。アンテナ素子N-1からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (0)が乗算される。アンテナ素子0からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (1)が乗算され、アンテナ素子N-1からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (1)が乗算される。アンテナ素子0からビーム2で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (2)が乗算され、アンテナ素子N-1からビーム2で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (2)が乗算される。
このようにして、2送信アンテナポート分のリソースエレメントから送信された3つのCRSのビームは、Hで示された伝送路を介して、UEの受信アンテナRxに受信される。UEでは、これらの3つのCRSのビームの受信品質を測定することができる。
図15は1つの基地局の2つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの例を示す。図15〜図17において、色のパターンの相違は異なるポートと異なるCRSのビームを示す。ここでは2つの送信アンテナポート分のリソースエレメントが使用されて、2つのCRSが2つのビームで送信される。より具体的には、2つ存在するマッピングリソースでそれぞれ2つのCRSのビーム0,1を送信する。CRSのビーム0は、それぞれのアンテナポートのリソースで、同じ周波数であるが異なる時間のリソースエレメントにマップされ、CRSのビーム1も同様に、それぞれのアンテナポートのリソースで、同じ周波数であるが異なる時間のリソースエレメントにマップされている。したがって、図15の例は、周波数と時間ベースのCRSのマッピングパターンを示す。CRSがマップされたリソースエレメントは、3GPP TS 36.211の図6.10.1.2.1のそれらと同じである。このマッピングパターンは、CRSに基づくCSIの決定および報告に適する。送信アンテナポート0のリソースエレメント位置に対応する2つのCRSのビーム0,1は、偶数時間スロットと奇数時間スロットで、同じパターンで配置され、送信アンテナポート1のリソースエレメント位置に対応する2つのCRSのビーム0,1は、偶数時間スロットと奇数時間スロットで、同じパターンで配置されている。
図16は1つの基地局の2つの送信アンテナポートで送信される複数のCRSのリソースエレメントへのマッピングの他の例を示す。ここでは2つの送信アンテナポート多重位置が使用されて、2つのCRSが2つのビームで送信される。より具体的には、送信アンテナポート0のリソースエレメント位置では2つのCRSのビーム0,1を送信し、送信アンテナポート1のリソースエレメント位置でも2つのCRSのビーム0,1を送信する。CRSのビーム0は、送信アンテナポート0,1で、同じ周波数であるが異なる時間のリソースエレメントにマップされ、CRSのビーム1は、送信アンテナポート0,1で、同じ周波数であるが異なる時間のリソースエレメントにマップされている。したがって、図16の例も、周波数と時間ベースのCRSのマッピングパターンを示す。CRSがマップされたリソースエレメントは、3GPP TS 36.211の図6.10.1.2.1のそれらと同じである。このマッピングパターンは、CRSに基づくCSIの決定および報告に適する。送信アンテナポート0のリソースエレメント位置からのCRSのビーム0は偶数時間スロットに配置され、送信アンテナポート0のリソースエレメント位置からのCRSのビーム1は奇数時間スロットに配置されている。送信アンテナポート1からのCRSのビーム0は奇数時間スロットに配置され、送信アンテナポート1からのCRSのビーム1は偶数時間スロットに配置されている。
図16のマッピングについて、より具体的には、図17に示すように、送信アンテナポート0のリソースエレメント位置においてアンテナ素子0からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (0)が乗算される。送信アンテナポート0のリソースエレメント位置においてアンテナ素子N-1からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (0)が乗算される。送信アンテナポート0のリソースエレメント位置においてアンテナ素子0からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (1)が乗算され、送信アンテナポート0のリソースエレメント位置においてアンテナ素子N-1からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (1)が乗算される。送信アンテナポート1のリソースエレメント位置においてアンテナ素子0からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (0)が乗算される。送信アンテナポート1のリソースエレメント位置においてアンテナ素子N-1からビーム0で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (0)が乗算される。送信アンテナポート1のリソースエレメント位置においてアンテナ素子0からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (1)が乗算され、送信アンテナポート1のリソースエレメント位置においてアンテナ素子N-1からビーム1で送信されるCRSシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (1)が乗算される。
このようにして、各送信アンテナポートから送信された2つのCRSのビーム(合計4つのCRSのビーム)は、Hで示された伝送路を介して、UEの受信アンテナRxに受信される。UEでは、これらの4つのCRSのビームの受信品質を測定して、CRSの受信品質に基づいて、CSIの決定および報告をすることができる。
上記の複数の例では主に送信アンテナポート0や1のリソース位置を用いてPrecoded CRSを送信する例を示したが、例えば送信アンテナポート2や3のリソースエレメントを用いてPrecoded CRSを送信する事も可能である。特に、LTEのシステムにおいては2送信アンテナを用いるマルチアンテナ送信が主流となっている為、まだ使われていないアンテナポート2または3を用いる事でレガシーユーザへのインパクトをなくす(または低減する)事も可能となる。
次に、本発明の実施の形態に係る処理の流れを説明する。
図18は、UEのアイドル状態(RRC_IDLE)での実施の形態に係る処理の流れを示すシーケンス図である。図において下線が引かれた箇所は実施の形態に係る新規な特徴を示し、他の箇所は従来の機能を示す。実施の形態において、複数の基地局の各々は、CRSの送信アンテナポートマッピングを行い、複数のCRSのプリコーディングを行って、プリコードされた複数のCRSのビームを送信する。また、これらの基地局は、MIBおよび従来のSIBに加えて、新規なSIB(SIBXと表記する)で複数のCRSの送信方式を示す情報を送信する。UEは、複数の基地局の各々からの複数のCRSのビームの複数の受信品質(例えばRSRPまたはRSRQ)を測定し、複数の基地局の複数のビームから得られた最良の受信品質または閾値より高い受信品質に基づいてセル選択または再選択を実行する。
図19は、UEの接続状態(RRC_CONNECTED)での実施の形態に係る処理の流れを示すシーケンス図である。実施の形態において、複数の基地局の各々は、CRSの送信アンテナポートマッピングを行い、複数のCRSのプリコーディングを行って、プリコードされた複数のCRSのビームを送信する。また、これらの基地局は、MIBおよび従来のSIBに加えて、新規なSIBXまたはRRCシグナリングで複数のCRSの送信方式を示す情報を送信する。UEは、複数の基地局の各々からの複数のCRSのビームの複数の受信品質(例えばRSRPまたはRSRQ)を測定し、複数のCRSのビームの複数の受信品質の測定に基づいて、イベントを契機とした測定報告または周期的な測定報告を実行する。
この測定報告には、例えば、サービング基地局からの複数のCRSのビームのうち最良のCRSのビームの受信品質、近隣基地局からの複数のCRSのビームのうち最良のCRSの受信品質およびその近隣基地局のセルIDが示されてもよい。この場合、サービング基地局からの最良のCRSのビームのCRS IDおよび近隣基地局からの最良のCRSのビームのCRS IDが示されてもよい。図の破線の四角は今のところ存在しないかもしれない情報要素または機能を示す。
あるいは、この測定報告には、サービング基地局からの複数のCRSのビームの複数の受信品質、近隣基地局からの複数のCRSのビームの複数の受信品質およびその近隣基地局のセルIDが示されてもよい。この場合、サービング基地局からの複数のCRSのビームのCRS IDおよび近隣基地局からの複数のCRSのビームのCRS IDが示されてもよい。
サービング基地局は、この測定報告を受信し、UEにとっておおまかな好適なビームの方向を推定する。
図20は、実施の形態に係るCRSに基づいたCSIのフィードバックの処理の流れを示すシーケンス図である。実施の形態において、サービング基地局は、CRSの送信アンテナポートマッピングを行い、複数のCRSのプリコーディングを行って、プリコードされた複数のCRSのビームを送信する。また、サービング基地局は、MIBおよび従来のSIBに加えて、新規なSIBXまたはRRCシグナリングで複数のCRSの送信方式を示す情報を送信する。UEは、サービング基地局からの複数のCRSのビームの複数の受信品質(例えばSINR)を測定する。
そして、UEは、最良のCRSのビームの受信品質に基づいてRI,PMIを選択し、CQIを計算する。あるいは、UEは、複数のCRSのビームの複数の受信品質に基づいて複数のRI,複数のPMIを選択し、複数のCQIを計算してもよい。UEは、最良のCRSのビームの受信品質に基づくRI,PMI,CQIをサービング基地局に報告する。この場合、最良のCRSのビームのCRS IDが報告に示されてもよい。あるいは、UEは、複数のCRSのビームの複数の受信品質に基づく複数のRI,複数のPMI,複数のCQIをサービング基地局に報告する。この場合、複数のCRSのビームのCRS IDが報告に示されてもよい。
3D MIMOのアンテナセットを利用して、参照信号と同様に、同期信号(PSSおよびSSS)やその他の測定用信号にプリコーディング行列を与えて、同期信号のビームの方向を制御してもよい。各基地局は、プリコードされた複数のPSSをUEが区別することができる形式で、かつプリコードされた複数のPSSの送信元の基地局を識別することができる形式で、複数のプリコードされたPSSの3D MIMOのビームを送信してもよい。各基地局は、プリコードされた複数のSSSをUEが区別することができる形式で、かつプリコードされた複数のSSSの送信元の基地局を識別することができる形式で、複数のプリコードされたSSSの3D MIMOのビームを送信してもよい。UEは、プリコードされたPSSおよびSSSを用いて、いずれかの基地局と接続することができる。
複数のPSSまたは複数のSSSは、時間、周波数、拡散符号、空間、送信アンテナポートまたはこれらの組み合わせによって識別することができる。例えば、異なるアンテナ素子(空間)に複数のPSSまたは複数のSSSをマッピングするのが便利である。プリコーディングに使用されるプリコーディング行列は、複素数ウェイトから構成される。PSSおよびSSSを生成するには既存のルール(系列生成、復調、リソースエレメント割り当てなどを含む)が使用可能である。
PSSおよびSSSをプリコードして複数のビームで送信することによって、三次元スペースでのUEのカバレッジを改善し、UEがシステムに同期する機会が増大する。例えば、基地局の斜め上方にあるUEにPSSおよびSSSが到達し、そのUEがシステムに同期することができる。
また、PSSまたはSSSのビームの方向をうまく制御することによって、UEがいずれかの方向のビームのPSSおよびSSSを用いて同期することにより、サービング基地局は、UE100にとって良好なビームのおおまかな方向が分かる。サービング基地局は、UE100にとって良好なビームの方向の情報に基づいて、データ信号のプリコーディング行列を決定または補正することも可能である。例えば、PSSおよびSSSの複数のビームが異なる時間に割り当てられれば、UEは複数のPSSおよびSSSのビームの電力を測定し、最も強いPSSおよびSSSのビームを選択し、そのビームのインデックスをサービング基地局に通知することができる。
図21は、1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数対のPSSおよびSSSの異なるアンテナ素子への割り当ての例を示す。各アンテナ素子のSSSおよびPSSのシンボルaklには、共通の複素数ウェイト(wn (0)+wn (1))が乗算される。具体的には、アンテナ素子0から送信されるPSSおよびSSSのシンボルaklには、複素数ウェイト(w0 (0)+w0 (1))が乗算される。アンテナ素子N-1から送信されるPSSおよびSSSのシンボルaklには、複素数ウェイト(wN-1 (0)+wN-1 (1))が乗算される。したがって、この送信アンテナポートからは、プリコーディング行列(ここではベクトル)
Figure 0006573610
でプリコードされたPSSおよびSSSの対と、プリコーディング行列(ここではベクトル)
Figure 0006573610
でプリコードされたPSSおよびSSSの対が送信される。
これらのプリコーディング行列は、
Figure 0006573610
で表される。
このようにして、1つの送信アンテナポートから空間的に分離されて送信された2つのPSSおよびSSSのビームは、Hで示された伝送路を介して、UEの受信アンテナRxに受信される。UEでは、これらの2つのビームを検出することができる。UEで受信されたPSSおよびSSSの各シンボルrkl
Figure 0006573610
で表される。
ここで、
Figure 0006573610
は基地局のn番目の送信アンテナ素子とUEの受信アンテナ素子Rxの間のチャネルベクトルである。
図22は、1つの基地局の1つの送信アンテナポートで送信される複数対のPSSおよびSSSの異なるアンテナ素子への割り当ての例を示す。各アンテナ素子の1無線フレームに属するSSSおよびPSSのシンボルaklには、共通の複素数ウェイトwn (i)が乗算される。具体的には、アンテナ素子0から送信される無線フレーム#mで送信されるPSSおよびSSSのシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (0)が乗算される。アンテナ素子0から送信される無線フレーム#m+1で送信されるPSSおよびSSSのシンボルaklには、複素数ウェイトw0 (1)が乗算される。アンテナ素子N-1から送信される無線フレーム#mで送信されるPSSおよびSSSのシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (0)が乗算される。アンテナ素子N-1から送信される無線フレーム#m+1で送信されるPSSおよびSSSのシンボルaklには、複素数ウェイトwN-1 (1)が乗算される。したがって、この送信アンテナポートからは、プリコーディング行列(ここではベクトル)
Figure 0006573610
でプリコードされたPSSおよびSSSの2対が無線フレーム#mで送信され、プリコーディング行列(ここではベクトル)
Figure 0006573610
でプリコードされたPSSおよびSSSの2対が無線フレーム#m+1で送信される。
これらのプリコーディング行列は、
Figure 0006573610
で表される。
このようにして、1つの送信アンテナポートから時間的に分離されて送信された2つのPSSおよびSSSのビームは、Hで示された伝送路を介して、UEの受信アンテナRxに受信される。この後、UEは、MIB(Master Information Block)によってシステムフレーム番号を取得し、電力が上昇したときの無線フレーム番号に対応するビームのインデックスをサービング基地局に通知することができる。
図23は、実施の形態に係るUEの基地局への同期の処理の流れを示すシーケンス図である。図において下線が引かれた箇所は実施の形態に係る新規な特徴を示し、他の箇所は従来の機能を示す。実施の形態において、複数の基地局の各々は、PSSおよびSSSの複数のビームのプリコーディングを行い、プリコードされた複数対のPSSおよびSSSを送信する。UEは、複数対のPSSおよびSSSを用いて、基地局に同期する。
この後、UEは、MIBによってシステムフレーム番号を取得する。さらにUEは、複数の基地局の各々からの複数対のPSSおよびSSSの電力を測定する。次に、UEは、各基地局からの最も強いPSSおよびSSSのビームを選択し、選択されたおおまかなビームの方向を知るために、各基地局からの最も強いPSSおよびSSSのシステムフレーム番号への対応付けを行う。
図24は、実施の形態に係る基地局の構成を示す。図24は下りリンク送信に関連する部分のみを示し、上りリンク受信に関連する部分は省略する。各基地局は、3D MIMOのためのアンテナセット10、同期信号生成部12、参照信号生成部14、リソース割り当て部16、参照信号送信方式情報生成部18、プリコーダ20およびプリコーディングウェイト生成部22を備える。上記の通り、アンテナセット10は複数の送信アンテナポートを備える。同期信号生成部12、参照信号生成部14、リソース割り当て部16、参照信号送信方式情報生成部18、プリコーダ20およびプリコーディングウェイト生成部22は、基地局内の図示しないCPU(Central Processing Unit)が、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
同期信号生成部12は、PSSおよびSSSの系列を生成する。参照信号生成部14は、CRSの系列を生成する。リソース割り当て部16は、下りリンクデータ信号、PSS、SSSおよびCRSに対して、送信に使用するアンテナポート、アンテナ素子、リソースエレメントまたはその他の通信リソースを割り当てる。この結果、複数対のPSSおよびSSSならびに複数のCRSに対応するマッピングが生成される。
参照信号送信方式情報生成部18は、上記の複数のCRSの送信方式を示す情報を生成する。複数のCRSの送信方式を示す情報はリソース割り当て部16に供給され、リソース割り当て部16(参照信号送信制御部)はこの情報に従って、プリコードされた複数のCRSをUEが区別することができる形式で、かつプリコードされた複数のCRSの送信元が当該基地局であることを識別することができる形式で、CRSに送信に使用するアンテナポート、アンテナ素子、リソースエレメントまたはその他の通信リソースを割り当てる。参照信号送信方式情報生成部18は、複数のCRSの送信方式を示す情報の少なくとも一部(例えば各CRSのID)をアンテナセット10に供給する。複数のCRSの送信方式を示す情報は、SIBまたはRRCシグナリングによって、送信される。
プリコーディングウェイト生成部22は、送信アンテナポートで送信されるビームの方向を制御するためのプリコーディングウェイトを生成する。プリコーダ20(参照信号送信制御部)は、データ信号、複数対のPSSおよびSSSならびに複数のCRSを複数の方向に適応させるために、データ信号、複数対のPSSおよびSSSならびに複数のCRSにプリコーディングウェイトを適用してプリコードし、これらをアンテナセット10に供給する。したがって、複数対のPSSおよびSSSのビームおよび複数のCRSのビームが形成される。プリコードされたCRSはアンテナセット10の少なくともいずれかの送信アンテナポートにより送信される。
図25は、実施の形態に係るUEの構成を示す。図25は参照信号および同期信号の受信に伴う処理に関連する部分のみを示し、他の部分は省略する。UEは、複数の受信アンテナ102、無線受信部104、受信品質測定部106、測定結果情報生成部108、チャネル品質情報生成部110、無線送信部112および複数の送信アンテナ114を備える。無線受信部104は無線受信回路であり、無線送信部112は無線送信回路である。受信品質測定部106と測定結果情報生成部108とチャネル品質情報生成部110とは、UE内の図示しないCPUが、図示しない記憶部に記憶されたコンピュータプログラムを実行し、そのコンピュータプログラムに従って機能することにより実現される機能ブロックである。
無線受信部104は、データ信号をサービング基地局(またはCoMPの複数の協調基地局)から受信する。また、無線受信部104は、ネットワークの複数の基地局の各々から複数対のPSSおよびSSSを受信する。また、無線受信部104(参照信号受信部)は、ネットワークの複数の基地局の各々から複数のCRSを受信する。また、無線受信部104は、複数のCRSの送信方式を示す情報を、SIBまたはRRCシグナリングによって、受信する。
受信品質測定部106は、複数のCRSの送信方式を示す情報に従って、複数のCRSを特定し、それらの受信品質(例えば、RSRPまたはRSRQおよびSINR)を測定する。測定結果情報生成部108は、各CRSの受信品質の測定結果をそのまま示す情報または測定結果に基づく情報を生成し、無線送信部112(情報報告部)および受信アンテナ102によって送信する。詳細については上記の通りである。
チャネル品質情報生成部110は、最良のCRSのビームの受信品質(例えばSINR)に基づいてRI,PMIを選択し、CQIを計算し、これらを含むCSIを生成する。あるいは、UEは、複数のCRSのビームの複数の受信品質に基づいて複数のRI,複数のPMIを選択し、複数のCQIを計算し、複数のCSIを生成してもよい。無線送信部112(情報報告部)および受信アンテナ102は、CSIをネットワークに報告する。
本発明の実施の形態においては、3D MIMOに適応し、プリコードされた複数の参照信号を各基地局から送信し、ユーザ装置が参照信号の受信品質を測定するため、ユーザ装置のサービング基地局の適切な選択およびユーザ装置への好適なビームの方向の推定が可能になる。また、最良の参照信号の受信品質に基づいたCSIをUEがネットワークに報告することにより、サービング基地局は、3D MIMOに適応しつつ、フィードバックされたCSIから使用すべきランク数、プリコーディング行列、CQIを決定し、決定されたRIおよびPMIに応じたランク数およびプリコーディング行列を使用し、決定されたCQIに基づいて周波数スケジューリングを行う。
上記の通り、UEからの受信品質に関する報告およびCSIの報告の宛先は、UEの現在のサービング基地局であってもよいし、複数の基地局を制御する基地局制御装置200(図6参照)であってもよい。また、上記の通り、現在のサービング基地局がサービング基地局決定部を備えてもよいし、基地局制御装置200がサービング基地局決定部であってもよい。
1,2 基地局
10 アンテナセット
12 同期信号生成部
14 参照信号生成部
16 リソース割り当て部(参照信号送信制御部)
18 参照信号送信方式情報生成部
20 プリコーダ(参照信号送信制御部)
22 プリコーディングウェイト生成部
100 ユーザ装置(UE)
102 受信アンテナ
104 無線受信部(参照信号受信部)
106 受信品質測定部
108 測定結果情報生成部
110 チャネル品質情報生成部
112 無線送信部(情報報告部)
114 送信アンテナ
200 基地局制御装置(サービング基地局決定部)

Claims (2)

  1. 各々が一次同期信号及び二次同期信号を含む複数のセットであって、基地局の送信アンテナポートのいずれかにより送信されたビームの方向に応じたプリコーディングウェイトによりプリコードされた前記複数のセットを、互いに異なる時間リソースにおいて受信する受信部と、
    前記複数のセットに基づいて、前記基地局との同期を制御する制御部と、
    を備えるユーザ装置。
  2. 複数の送信アンテナポートを有する送信部と、
    各々が一次同期信号及び二次同期信号を含む複数のセットであって、前記複数のセットの各々を、前記複数の送信アンテナポートのいずれかにより送信されるビームの方向に応じたプリコーディングウェイトによりプリコードする制御部と、
    を備え、
    前記送信部は、前記制御部によりプリコードされた前記複数のセットを、互いに異なる時間リソースにおいて送信する、
    基地局。
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