JP6571309B2 - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、色素増感型太陽電池に関する。
従来、色素増感型太陽電池としては、透明基板に設けられた多孔質酸化チタン層とこの多孔質酸化チタン層に吸着した色素を含む光電極と、多孔質酸化チタン層に隣接して設けられその一部が多孔質酸化チタン層の細孔内に充填されている固体p型半導体層と、固体p型半導体層に隣接した対極とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この色素増感型太陽電池では、多孔質酸化チタン層の細孔分布が40nm〜2μmの範囲で最大値を有するものであり、この細孔径及び細孔容積を好適化することにより、多孔質酸化チタン層にCu化合物が充填されやすく、発電効率を改善することができる。また、色素増感型太陽電池としては、透明基板に設けられた多孔質半導体層と、多孔質半導体層に隣接して設けられCu化合物とイオン液体とを含む固体p型半導体層と、固体p型半導体層に隣接した対極とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この色素増感型太陽電池では、Cu化合物の濃度に対する添加剤としてのイオン液体の濃度の割合を0.6%以上12.5%以下とした溶液を用いCu化合物及びイオン液体を含んで固体p型半導体層が作製されている。これにより、多孔質半導体層にCu化合物が充填され、色素増感型太陽電池の変換効率の低下を抑制すると共に耐久性をより向上することができる。また、色素増感型太陽電池としては、導電性支持体、感光層、電荷輸送層及び対極を有しており、電荷輸送層がp型無機化合物半導体とチオシアン酸塩を含有するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。この色素増感型太陽電池では、電解液の枯渇を防ぐことにより、経時での特性劣化を抑制することができる。
特開2010−205753号公報 特開2012−204276号公報 特開2001−230435号公報
しかしながら、上述の特許文献1、2の色素増感型太陽電池では、多孔質酸化チタン層の細孔を好適化したり、イオン液体を用いてp型半導体材料の充填性をより高めているが、その充填性の指標はなかった。また、その充填性についても、更なる改良が望まれていた。また、特許文献3の色素増感型太陽電池では、電解液の枯渇を抑制して太陽電池特性を維持するものであるが、p型半導体材料の充填性については考慮されていなかった。このように、太陽電池特性をより高めることが望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、太陽電池特性をより高めることができる色素増感型太陽電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、正孔輸送層を構成するCu化合物を、電子輸送層である多孔質酸化チタン層へ、より多く充填するものとすると、短絡電流密度Jscの向上や変換効率の向上など、太陽電池特性をより高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の色素増感型太陽電池は、
透明導電性基板と、前記透明導電性基板の上に直接又は間接的に形成され電子を輸送する電子輸送層と、前記電子輸送層の上に形成された色素層と、を備える光電極と、
前記光電極に隣接して設けられた正孔輸送層と、を備えた色素増感型太陽電池であって、
前記色素増感型太陽電池の断面のSEM反射電子像において、正孔輸送層の深さ分布における平均階調値を基準値とし、前記電子輸送層の深さ方向の中央から前記透明導電性基板側にある深層領域での深さ分布における平均階調値を深層値としたとき、前記基準値に対する前記深層値の比である階調値比Csが0.63以上である電極構造を有するものである。
本発明の色素増感型太陽電池は、太陽電池特性をより高めることができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、色素増感型太陽電池の断面を走査電子顕微鏡(SEM)により反射電子像を観察すると、その反射電子強度は、対象となる原子の原子番号が大きいほど大きくなり、反射電子強度が強い部分ほど、画像では白く表示される。反射電子像の各画素は、例えば、0(黒)から255(白)までの、256階調の値を示す。ここで、SEM画像において、正孔輸送層の画素の値を基準として、電子輸送層の階調値比Csをとると、電子輸送層の深さ方向の中央から透明導電性基板側にある深層領域での階調値比Csが0.63以上では、電子輸送層の深層まで正孔輸送層の材料が十分に充填されているものと推察される。このため、例えば、短絡電流密度Jscや変換効率Effなど、太陽電池特性をより高めることができるものと推察される。
色素増感型太陽電池モジュール10の構成の概略の一例を示す断面図。 有機色素分子の一例である色素1及び色素2の説明図。 添加剤の一例を示す説明図。 色素増感型太陽電池40の画像解析による階調値比Csを求める説明図。 実験例の添加剤濃度比に対する短絡電流密度及び変換効率の測定結果。 実験例2の多孔質半導体層の反射電子像及び画素の階調値の関係図。 実験例6の多孔質半導体層の反射電子像及び画素の階調値の関係図。 実験例2、3、5、6の光電極の深さと階調値比との関係図。
本発明の色素増感型太陽電池モジュールの一実施形態を図面を用いて説明する。図1は、色素増感型太陽電池モジュール10の構成の概略の一例を示す断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る色素増感型太陽電池モジュール10は、透明導電性基板14上に複数の色素増感型太陽電池40(以下セルとも称する)が順次配列した構成となっている。これらのセルは直列に接続されている。この色素増感型太陽電池モジュール10では、各セルの間を埋めるように、シール材32が形成されており、透明導電性基板14とは反対側のシール材32の面に平板状の保護部材34が形成されている。本実施形態に係る色素増感型太陽電池40は、光が透過する透明基板11の表面に透明導電膜12が形成されている透明導電性基板14と、透明導電膜12に形成されている電子輸送層としての多孔質半導体層24と、多孔質半導体層24に隣接して設けられた正孔輸送層としての固体p型半導体層26と、固体p型半導体層26及びセパレータ29を介して設けられた対極30と、を備えている。光電極20は、透明導電性基板14と、透明基板11の受光面13の反対側の面に分離形成された透明導電膜12に配設され受光に伴い電子を放出する多孔質半導体層24とを備えている。この色素増感型太陽電池40では、光電極20と対極30とが固体p型半導体層26を介して接続されているいわゆる全固体型の色素増感型太陽電池として構成されている。このように、色素増感型太陽電池40では、有機溶媒等の電解液を介さずに発電可能な構成となっている。
透明導電性基板14は、透明基板11と透明導電膜12とにより構成され、光透過性及び導電性を有するものであり、シリコン太陽電池や液晶表示パネルに用いられているものを使用することができる。具体的には、フッ素ドープSnO2コートガラス、ITOコートガラス、ZnO:Alコートガラス、アンチモンドープ酸化スズ(SnO2−Sb)コートガラス等が挙げられる。また、酸化スズや酸化インジウムに原子価の異なる陽イオン若しくは陰イオンをドープした透明電極、メッシュ状、ストライプ状など光が透過できる構造にした金属電極をガラス基板等の基板上に設けたものも使用できる。この透明導電性基板14の透明導電膜12側の両端には、集電電極16,17が設けられており、この集電電極16,17を介して色素増感型太陽電池40で発電した電力を利用することができる。
透明基板11としては、例えば、透明ガラス、透明プラスチック板、透明プラスチック膜、無機物透明結晶体などが挙げられ、このうち、透明ガラスが好ましい。この透明基板11は、透明なガラス基板、ガラス基板表面を適当に荒らすなどして光の反射を防止したもの、すりガラス状の半透明のガラス基板など光を透過するものなどとしてもよい。透明導電膜12は、例えば、透明基板11上に酸化スズを付着させることにより形成することができる。特に、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)等の金属酸化物を用いれば、好適な透明導電膜12を形成することができる。透明導電膜12は、所定の間隔に溝18が形成されており、この溝18の幅に相当する間隔を隔てて複数の透明導電膜12の領域が分離形成されている。
多孔質半導体層24は、有機色素分子が吸着しているn型半導体層により形成されているものとしてもよい。有機色素分子は、受光に伴い電子を放出する色素である。n型半導体としては、金属酸化物半導体や金属硫化物半導体などが適しており、例えば、酸化チタン(TiO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)、硫化亜鉛(ZnS)のうち少なくとも1以上であることが好ましく、このうち多孔質の酸化チタンがより好ましい。これらの半導体材料を微結晶又は多結晶状態にして薄膜化することにより、良好な多孔質のn型半導体層を形成することができる。特に、多孔質の酸化チタン層は、光電極20が有するn型半導体層として好適である。有機色素は、多孔質のn型半導体の表面に吸着させるものとしてもよい。この吸着は、化学吸着や物理吸着等によって行うことができる。具体的には、多孔質のn型半導体層を透明導電性基板14上に形成したのち、このn型半導体層へ有機色素を含む溶液を滴下して乾燥する方法や、色素溶液に浸漬し乾燥する方法などにより作製することができる。このようにして、多孔質半導体層24の表面上に有機色素分子からなる色素層28を形成することができる。
多孔質半導体層24は、厚さLが1μm以上25μm以下の範囲に形成されているものとしてもよい(後述の図4参照)。この厚さLは、10μmを超えていることが好ましい。厚さLが10μmを超えると、色素層28がより多くなり受光する量が増加するため、発電効率をより高めることができる。この厚さLは、12μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましい。また、この厚さLは、20μm以下であることがより好ましい。なお、厚さLが10μm以下であっても、本発明の効果を奏することができる。
多孔質半導体層24は、細孔分布が40nm以上2μm以下の範囲で最大値を示すことが好ましい。このとき、この細孔分布は40nm以上2μm以下の範囲外において極大値を実質的に有しないことが好ましい。あるいは、多孔質半導体層24は、この細孔分布が40nm以下の範囲、好ましくは35nm以下の範囲に最大値を示し、且つ、細孔分布が40nm以上の範囲を含んでいてもよい。多孔質半導体層24の細孔分布の最大値は、好ましくは1nm以上の範囲にある。「細孔分布が40nm以上の範囲を含む。」とは、細孔径が40nm以上の範囲において、細孔容積が0よりも大きい部分、例えば多孔質半導体層24の単位質量当たりの細孔容積が0.05mL/g以上の部分を細孔分布が含むことを意味する。多孔質半導体層24の単位質量当たりの細孔容積と細孔径との関係を表す細孔分布は、液体窒素温度における窒素ガスの吸着等温線に基づいて決定される。より具体的には、細孔の形状が円筒形であると仮定したBJH法によって、吸着等温線から細孔分布が算出される。
色素層28を形成する有機色素分子は、受光に伴い電子を放出する色素である。有機色素は、多孔質のn型半導体の表面に吸着させるものとしてもよい。この吸着は、化学吸着や物理吸着等によって行うことができる。具体的には、多孔質のn型半導体層を透明導電性基板14上に形成したのち、このn型半導体層へ有機色素を含む溶液を滴下して乾燥する方法や、色素溶液に浸漬し乾燥する方法などにより作製することができる。この有機色素分子は、可視光領域および赤外光領域のうち少なくとも一方に吸収を持つ増感特性を有していれば特に限定されるものではない。有機色素分子は、より好ましくは、少なくとも200nm〜10μmの波長の光により励起されて電子を放出するものであればよい。例えば、有機色素分子は、金属錯体であってもよい。図2は、有機色素分子の一例である色素1及び色素2の説明図である。有機色素としては、ロダニン構造を有する有機色素分子(図2の色素1)や、カルバゾール系色素、スクワリリウム系色素、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素等を用いることができる。また、金属錯体としては、例えば、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィルまたはその誘導体、ヘミン、ルテニウム、オスミウム、鉄及び亜鉛の錯体等が挙げられる。ルテニウムの錯体としては、例えば、図2の色素2に示す、シス−ジシアネート−N,N’−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)などが挙げられる。
固体p型半導体層26は、正孔輸送層としてp型半導体によって構成されているものとしてもよい。p型半導体としては、固体の正孔輸送層を形成するものとすればよく、例えば、有機正孔輸送材料や無機正孔輸送材料としてもよい。有機正孔輸送材料としては、例えば、Spiro−OMeTAD(2,2',7,7'-tetrakis(N,N-di-p-methoxyphenilamine)-9,9'-spirobifluorene)や、P3HT(Poly(3-hexylthiophene))などが挙げられる。また、無機正孔輸送材料としては、例えば、Cu化合物やNi化合物を含む半導体などとしてもよい。このCu化合物としては、例えば、CuI、CuSCN、CuO、Cu2Oのうちいずれか1以上が挙げられる。また、Ni化合物としては、NiOなどが挙げられる。このうち、Cu化合物がより好ましく、CuIが更に好ましい。また、CuやNiとしてもよい。この固体p型半導体層26は、添加剤としてのイオン液体を含んで作製されていることが好ましい。こうすれば、変換効率や耐久性など、太陽電池特性をより高めることができる。この添加剤は、例えば、p型半導体材料(例えばCu化合物)のモル濃度に対する添加剤のモル濃度比が0.15以上0.20以下とした溶液として用いられていることが好ましい。この添加剤は、イミダゾリウム系カチオン、ピリジウム系カチオン、脂環式アミン系カチオン及び脂肪族アミン系カチオンのうちいずれか1以上のカチオンと、チオシアネート(SCN-)及びアイオダイド(I-)のうちいずれか1以上のアニオンとを含むイオン液体を含むことが好ましい。例えば、図3に示すように、トリエチルアミンヒドロチオシアネート(THT)や、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムチオシアネート(EMISCN)、1−ブチル−3−プロピルイミダゾリウムヨージド(PMII)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート(BMISCN)などの液体が挙げられる。このうち、イミダゾリウム系カチオンとチオシアネートのアニオンを含むイオン液体が好ましい。
この色素増感型太陽電池40において、多孔質半導体層24から固体p型半導体層26には、p型半導体材料(例えばCu化合物)及び添加剤としてのイオン液体が含まれていることが好ましい。即ち、多孔質半導体層24には、p型半導体材料(例えばCu化合物)及びイオン液体が充填されていることが好ましい。こうすれば、添加剤がリーク電流の防止層としてより機能しやすい。
色素増感型太陽電池40は、この色素増感型太陽電池40の断面のSEM反射電子像において、平均階調値に基づく基準値Cbに対する平均階調値に基づく深層値Cdの比である階調値比Cd/Cb=Csが0.63以上である電極構造を有する。図4は、色素増感型太陽電池40の画像解析による階調値比Csを求める説明図である。ここで、基準値Cbは、色素増感型太陽電池40の断面のSEM反射電子像において、固体p型半導体層26の深さ分布における平均階調値である。また、深層値Cdは、色素増感型太陽電池40の断面のSEM反射電子像において、多孔質半導体層24の深さ方向の中央から透明導電性基板14側にある深層領域50での深さ分布における平均階調値である。この階調値比Csは、0.64以上であることがより好ましく、0.70以上であることが更に好ましい。また、この階調値比Csは、多孔質半導体層24の存在を考慮すると0.85以下であることが好ましい。
ここで、基準値Cb、深層値Cd及び階調値比Csの求め方について説明する。まず、色素増感型太陽電池40の断面を走査型顕微鏡(SEM)により観察し、反射電子像を得る。この反射電子像により、多孔質半導体層24への固体p型半導体層26を構成する材料(例えばCu化合物)の充填性を評価することができる。次に、得られた反射電子像のモノクロ画像において、各画素の階調値を求める。反射電子強度は、対象となる原子の原子番号が大きいほど大きくなり、反射電子強度が強い部分ほど、画像では白く表示される。反射電子像の各画素は、例えば、0(黒)から255(白)までの、256階調の値を示すものとしてもよい。この画像の固体p型半導体層26における多孔質半導体層24との界面部分と対極30との界面部分とを除いた範囲での深さ分布における階調値の平均値を算出し、これを基準値Cbとする。固体p型半導体層26の界面部分は、階調値にばらつきが大きいことから除外するのである。基準値Cbは、各深さ地点における各画素の階調値の和を地点数で除算することにより求める。次に、この基準値Cbを1として、各画素の階調値を規格化する。多孔質半導体層24における透明導電性基板14との境界及び固体p型半導体層26との境界を決定し、多孔質半導体層24の厚さLを求め、多孔質半導体層24の深さ方向の中央から厚さLの45%の距離までの領域(透明導電性基板14側の領域)を深層領域50とする。このように、深層領域50を厚さLの45%の距離までとするのは、多孔質半導体層24と透明導電性基板14との界面部分を除外する趣旨である。この深層領域50において、面方向の中央部にある画素の階調値の平均値を算出し、これを深層値Cdとする。画像の端部には、色素増感型太陽電池40が受光できない領域などが含まれることがありうるから、このような端部の画素値を用いないものとする。深層値Cdは、各深さ地点における各画素の階調値の和を地点数で除算することにより求める。そして、階調値比Csは、得られた深層値Cdを基準値Cbで除算することにより算出することができる。なお、基準値Cb及び深層値Cdは、画像によりばらつく可能性があるから、色素増感型太陽電池40の1以上の画像における複数地点(例えば6箇所)の値を平均化して求めるものとする。
セパレータ29は、多孔質半導体層24及び固体p型半導体層26が積層された光電極20の1つの側面に隣接するように断面I字状に形成されている。セパレータ29の一端は透明導電性基板14上の溝18と接触している。これにより、光電極20と対極30との直接接触が回避される。セパレータ29は、絶縁性の材料からなり、例えば、ガラスビーズ、二酸化ケイ素(シリカ)及びルチル型の酸化チタンなどで形成されていてもよい。このセパレータ29としては、シリカ粒子を焼結した絶縁体が好ましい。シリカ粒子は、屈折率が低く光散乱が小さく、良好な透明性を有するため、セパレータに好ましい。
対極30は、セパレータ29の外面と固体p型半導体層26の裏面27とに接触するよう、断面L字状に形成されている。この対極30は、一端が固体p型半導体層26の裏面に接続されていると共に、他端が接続部21を介して隣側の透明導電膜12に接続されている。この対極30の裏面27と接触する面は、光電極20に対して所定の間隔を隔てて対向している。対極30としては、導電性及び固体p型半導体層26との接合性を有するものであれば特に限定されず、例えば、Pt,Au,カーボンなどが挙げられ、このうちカーボンが好ましい。なお、対極30やセパレータ29などは、色素増感型太陽電池40の構成に合わせたものとすれば、どのような形状としてもよい。
シール材32は、絶縁性の部材であれば特に限定されずに用いることができる。このシール材32としては、例えば、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂フィルム、あるいはエポキシ系接着剤を使用することができる。
保護部材34は、色素増感型太陽電池40の保護を図る部材であり、例えば、防湿フィルムや保護ガラスなどとすることができる。この保護部材34は、省略してもよい。
この色素増感型太陽電池40に対して、透明基板11の受光面13側から光を照射すると、透明導電膜12の受光面15を介して光が多孔質半導体層24へ到達し、色素層28の有機色素が光を吸収して電子が発生する。発生した電子は、光電極20から透明導電膜12、接続部21を経由して隣の対極30へ移動する。色素増感型太陽電池40では、この電子の移動により起電力が発生し、電池の発電作用が得られる。この色素増感型太陽電池モジュール10では、基準値Cbに対する深層値Cdの比である階調値比Csが0.63以上である電極構造を有するため、例えば、短絡電流密度Jscや変換効率Effなど、太陽電池特性をより高められている。
この色素増感型太陽電池モジュール10は、製造方法として、基板作製工程、多孔質半導体層形成工程(電子輸送層形成工程)、色素層形成工程、p型半導体層形成工程(正孔輸送層作製工程)、セパレータ形成工程、対極形成工程及び保護部材形成工程を経て製造することができる。基板作製工程では、複数の透明導電膜12の間に溝18を形成しつつ透明導電膜12を透明基板11上に形成する。
多孔質半導体層形成工程では、透明導電性基板14の透明導電膜12上にn型半導体層を形成する。n型半導体としては、例えば、多孔質半導体層24で挙げた材料のうちいずれかを用いることができ、このうち多孔質の酸化チタンがより好ましい。この多孔質半導体層24の形成方法は、例えば、n型半導体の粒子を用いたバーコーター法、印刷法などとすることができる。この工程では、チタン化合物を含有するペーストを用い、透明導電性基板14上にこのペーストを形成したのち、熱処理を行うものとしてもよい。なお、このペーストは、チタン化合物のほか、必要に応じて有機チタンキレート錯体、有機溶剤及びバインダーのような他の成分を更に含有していてもよい。チタン化合物は、例えば、熱処理によって酸化チタンとなるものとしてもよいし、酸化チタンとしてもよい。また、この工程では、上述した厚さLや、細孔分布の範囲で多孔質半導体層24を形成するものとしてもよい。多孔質半導体層24は、例えば、ペースト中の原料粒子(例えば、酸化チタン粒子)の平均粒径及び各成分の混合比を調整することにより、上記特定の細孔分布を有するものとして作製することができる。原料粒子としての酸化チタン粒子は、例えば、2種以上の平均粒径の異なる成分を所定の混合比で混合したものを用いてもよい。具体的には、10〜100nmの平均粒径を有する第1成分と200〜400nmの平均粒径を有する第2成分との混合物である酸化チタン粒子を用いるものとしてもよい。こうすれば、細孔分布が40nm以下の範囲で最大値を示し、且つ、細孔分布が40nm以上の範囲を含む多孔質半導体層24を形成することができる。あるいは、10nm〜1μm、好ましくは10〜600nmの平均粒径を有する酸化チタン粒子を用いることにより、40nm〜2μmの範囲で最大値を示す細孔分布を有する多孔質半導体層24を形成することができる。酸化チタン粒子の平均粒径が大きくなると、形成される多孔質半導体層24の細孔分布の最大値を示す細孔径が大きくなる傾向がある。また、このペーストにおいて、有機分散剤の割合の増大、粘度調整剤として用いられる有機物の分子サイズの拡大(高分子の場合は分子量の増大)、粘度調整剤の割合の増大などにより、形成される多孔質半導体層24の細孔分布の最大値が大きくなる傾向がある。なお、酸化チタン粒子の平均粒径は、XRD(X線回析測定)から得られた回析ピークの半値幅を用いて、Sherrerの式:平均粒径d=0.9λ/(B・cosθ),(λ:X線波長、B:回析ピークの半値幅、θ:回析角))から算出するものとする。
色素層形成工程では、上述したいずれかの有機色素を多孔質半導体層24へ吸着させ、色素層28を多孔質半導体層24の上に形成し、光電極20とする。有機色素としては、色素層28で説明したいずれか1以上を用いることができる。例えば、色素層28は、有機色素を溶媒に溶解させた色素溶液に上記多孔質半導体層24を浸漬したあと、乾燥して形成することができる。
次に、p型半導体層形成工程により、固体p型半導体層26を多孔質半導体層24の上に形成する。p型半導体としては、上述した固体p型半導体層26で説明した材料のいずれか1以上を適宜用いることができる。ここでは、説明の便宜のため、Cu化合物を用いる場合について説明する。この工程では、例えば、多孔質半導体層24上にCu化合物とイオン液体とを含む溶液を供給し、乾燥させる工程を複数回行い、多孔質半導体層24にCu化合物及びイオン液体を充填すると共に、多孔質半導体層24上に固体p型半導体層26を形成してもよい。この溶液は、有機溶媒にCu化合物とイオン液体とを混合して作製してもよい。このとき、Cu化合物の濃度に対するイオン液体の濃度比を0.14以上0.20以下とした溶液、より好ましくは0.16以上とした溶液を用いる。この濃度比が0.14以上では、多孔質半導体層24へのp型半導体材料の充填がより向上し、基準値Cbに対する深層値Cdの比である階調値比Csが0.63以上である電極構造を有するものとすることができると考えられる。また、この濃度比が0.16以上では、より確実に階調値比Csを0.63以上とすることができる。このため、充填された材料により変換効率をより向上させることができる。また、この濃度比が0.20以下では、変換効率の低下をより抑制することができる。添加剤としては、上述したイオン液体のうちいずれか1以上を用いるものとしてもよい。このうち、イミダゾリウム系カチオンとチオシアネートのアニオンを含むイオン液体を用いることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、メトキシプロピオニトリルやアセトニトリルのようなニトリル化合物、γ−ブチロラクトンやバレロラクトンのようなラクトン化合物、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートのようなカーボネート化合物が挙げられる。また、この工程では、Cu化合物として、CuI、CuSCN、CuO、Cu2O、Cuのうちいずれか1以上を用いるものとしてもよく、例えばCuIを用いるのが好ましい。Cu化合物を溶媒に溶解させる際に、この溶液のCu濃度は適宜設定することができるが、Cu化合物の飽和溶液とするのが好ましい。こうすれば、多孔質半導体層24上にCu化合物を固体化しやすい。固体p型半導体層26の形成は、例えば、透明基板11を加熱し乾燥しながら上記溶液を供給してもよい。この加熱温度は、有機溶媒の揮発を促進すると共に、イオン液体が十分安定である温度範囲とすることが好ましく、例えば、40℃以上120℃以下の範囲が好ましい。なお、固体p型半導体層26には、イオン液体が揮発せずに残留するが、色素増感型太陽電池40は、ほぼ全固体型の色素増感型太陽電池として作動する。
続いて、セパレータ形成工程では、溝18に合わせて光電極20の側面にセパレータ29を形成する。対極形成工程では、セパレータ29と固体p型半導体層26とに接するように対極30を形成する。対極30は、例えばカーボンとしてもよい。保護部材形成工程では、各セルを覆うようにシール材32を形成すると共にシール材32に保護部材34を形成する。このようにして、発電特性が向上した色素増感型太陽電池40及び色素増感型太陽電池モジュール10を作製することができる。
以上詳述した色素増感型太陽電池40では、固体p型半導体層26の画素の値を基準値Cbに対する多孔質半導体層24の深層値Cdの比である階調値比Csをとると、階調値比Csが0.63以上を示す。即ち、多孔質半導体層24の深層まで固体p型半導体層26の材料が十分に充填されているため、例えば、短絡電流密度Jscや変換効率Effなど、太陽電池特性をより高めることができるものと推察される。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば上述した実施形態では、色素増感型太陽電池モジュール10としたが、特にこれに限定されず、単体の色素増感型太陽電池40としてもよい。色素増感型太陽電池40を単体とする場合は、対極30の断面をL字状ではなく、平板状に形成するものとしてもよい。
上述した実施形態では、正孔輸送層のCu化合物の濃度に対するイオン液体の濃度比を0.15以上0.20以下とした溶液を用いることにより階調値比Csが0.63以上である電極構造を有するものとしたが、多孔質半導体層24への固体p型半導体層26の材料の充填をより向上するものとすれば、特にこれに限定されない。
上述した実施形態では、多孔質半導体層24を透明導電性基板14に直接、形成するものとして説明したが、特にこれに限定されず、例えば、多孔質半導体層24は、下地層を介して透明導電性基板14に間接的に形成されるものとしてもよい。下地層は、例えば、透光性のある材料が好ましく、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛、酸化スズなどのn型半導体などが挙げられ、このうち酸化チタンがより好ましい。この下地層は、多孔質半導体層24に比してより緻密な材料とすることが好ましい。
以下には本発明の色素増感型太陽電池を具体的に作製した例を実験例として説明する。
[実験例1〜7の色素増感型太陽電池の作製]
種々の添加剤を用いて色素増感型太陽電池を作製し、変換効率について検討した。ここでは、多孔質半導体層(電子輸送層)として多孔質酸化チタンを用い、固体p型半導体層(正孔輸送層)としてCuIを用い、有機色素分子として色素1(図2参照)を用いた。まず、フッ素ドープ酸化スズを透明導電層とするTCOガラス基板上に、多孔質酸化チタンをスクリーン印刷法で塗布し、150℃で乾燥したのち、電気炉内で420℃に加熱して、多孔質酸化チタン層を形成した酸化チタン膜基板を作製した。このとき、多孔質酸化チタン層の厚さは20μmとした。なお、この多孔質酸化チタン層は、窒素ガスの吸着等温線に基づくBJH法により求めた細孔分布が40nm以上2μm以下の範囲で最大値を示した。次に、上述した色素1を0.4mM溶解したアセトニトリルとtert−ブチルアルコールとを混合した色素溶液を調製した。この作製した色素1を含む色素溶液に上記酸化チタン膜基板をそれぞれ浸漬し、25℃の温度条件の下で15時間放置した。このように、酸化チタン膜基板に色素1を吸着させた基板を作製した。続いて、アセトニトリルにCuIを飽和させ、添加剤を添加してCuI溶液を調製した。ここでは、CuIの飽和濃度(0.16M)に対する添加剤の濃度比を0.05、0.09、0.10、0.14、0.16、0.19及び0.25とした溶液を調製した。添加剤は、イオン液体の1−メチル−3−エチルイミダゾリウムチオシアネート(EMISCN)とした。なお、これら濃度比で作製したものをそれぞれ実験例1〜7とした。続いて、ホットプレート上に、上記得られた色素吸着酸化チタン膜基板を酸化チタン膜が上になるように静置し、基板の温度を60℃とした。上記調製したCuI溶液を色素吸着酸化チタン膜上に10μL滴下し、CuI溶液に含まれる溶媒を蒸発させる処理を50回、繰り返し行うことによりCuI及び添加剤を色素吸着した多孔質酸化チタン層の内部へ充填させると共に、色素吸着した多孔質酸化チタン層の上部にCuI層(正孔輸送層)を形成した。そして、CuI層の上に、対極としてのPt薄膜を配置し、図1に示す、実験例1〜7の色素増感型太陽電池を作製した。
(太陽電池特性)
実験例1〜7の色素増感型太陽電池について、スーパーソーラシミュレータWXS−155S−L2,AM1.5GMM(ワコム電創製)を疑似太陽光として用いて、1sun照射下での電流密度−電圧測定をI−Vテスター(ワコム電創社製IV−9701)を用いて測定した。電流密度−電圧測定結果から、短絡電流密度Jsc(mA/cm2)及び変換効率Eff(%)を求めた。実験例1を「1」とし各測定結果を規格化した結果を表1にまとめて示す。図5は、添加剤の濃度比に対する短絡電流密度Jsc及び変換効率Effの関係図である。図5に示すように、濃度比が0.14以上、より好ましくは0.16以上で短絡電流密度Jsc及び変換効率Effが顕著に向上することが明らかとなった。
(Cu化合物の充填性の検討)
作製した実験例1〜7の色素増感型太陽電池の断面を走査型顕微鏡(SEM)により観察し、反射電子像を得た。この反射電子像により、多孔質酸化チタン層へのCuI層のCu化合物の充填性について検討した。図6は、実験例2の多孔質酸化チタン層の反射電子像及び画素の階調値の関係図である。図7は、実験例6の多孔質酸化チタン層の反射電子像及び画素の階調値の関係図である。図8は、実験例2、3、5、6の光電極の深さと階調値比との関係図である。反射電子像のモノクロ画像において、各画素の階調値を求めた。反射電子強度は、対象となる原子の原子番号が大きいほど大きくなり、反射電子強度が強い部分ほど、画像では白く表示される。反射電子像の各画素は、例えば、0(黒)から255(白)までの、256階調の値を示す。ここでは、構成元素の種類を考慮すると、各画素の白さはヨウ素の量に比例すると推察される。この画像のCuI層における多孔質酸化チタン層との界面部分と対極との界面部分とを除いた範囲での深さ分布における階調値の平均値を算出し、これを基準値Cbとした(図4参照)。この基準値Cbを1として、各画素の階調値を規格化した。まず、多孔質酸化チタン層における透明導電性基板との境界及びCuI層との境界を決定し、多孔質酸化チタン層の厚さLを求め、多孔質酸化チタン層の深さ方向の中央から厚さLの45%の距離までの領域(透明導電性基板側の領域)を深層領域とした。この深層領域は、図8において、深さ−10μmから−1μmの範囲である。図8には、実験例2、3、5、6のCuI層の平均階調値を1に規格した深さ方向の階調値比を示した。この深層領域の面方向の中央部にある画素の階調値の平均値を算出し、これを深層値Cdとした(図4参照)。そして、階調値比Csは、深層値Cdを基準値Cbで除算することにより算出した。ここでは、各実験例のセルの複数の画像における6箇所の基準値Cb及び深層値Cdをそれぞれ平均化し、その比をとり階調値比Csとした。表1に示すように、階調値比Csが0.63以上である実験例5、6は、短絡電流密度Jsc及び変換効率Effがより向上することがわかり、特に階調値比Csが0.63〜0.76で好適であった。階調値比Csがより1に近いと、CuIの多孔質酸化チタン層への充填性がより向上していることを表す。これは、例えば、添加剤のイオン液体に含まれるSCN基がCuI粒子の表面に吸着し、CuI粒子の見かけ上の粒子径を減少させることによるものとも推察された。その結果、CuI粒子が多孔質酸化チタン層の奥深くまで浸透できるものと推察された。
以上の実験結果より、色素増感型太陽電池のSEM反射電子像において、基準値Cbに対する深層値Cdの比である階調値比Csは、0.63以上であることが好ましく、0.80以下であることが好ましいことがわかった。また、太陽電池特性のデータも併せて考えると、CuI濃度に対するイオン液体の濃度比は、0.14以上0.20以下が好ましく、0.16以上0.20以下であることがより好ましいことが明らかとなった。特に、本実験例では、多孔質半導体層の厚さが、20μmであり、本来的には、多孔質半導体層の深層領域(透明導電性基板側の領域)まで、正孔輸送層を構成する化合物が充填されにくいものの、本発明では、正孔輸送層の化合物の濃度に対する添加剤の濃度比をより高めることによって、正孔輸送層の化合物を多孔質半導体層の深層領域まで充填させることができることがわかった。
本発明の色素増感型太陽電池は、例えば家庭用、オフィス用、工場用の各種電化製品の電源や電気自動車、ハイブリッド自動車、電動自転車などの電源のほか、ソーラーパネルなどに利用可能である。
10 色素増感型太陽電池モジュール、11 透明基板、12 透明導電膜、13 受光面、14 透明導電性基板、15 受光面、16,17 集電電極、18 溝、20 光電極、21 接続部、24 多孔質半導体層、25 裏面、26 固体p型半導体層、27 裏面、28 色素層、29 セパレータ、30 対極、32 シール材、34 保護部材、40 色素増感型太陽電池、50 深層領域、Cb 基準値、Cd 深層値、Cs 階調値比。

Claims (3)

  1. 透明導電性基板と、前記透明導電性基板の上に直接又は間接的に形成され電子を輸送する電子輸送層と、前記電子輸送層の上に吸着されて形成された色素層と、を備える光電極と、
    前記光電極に隣接して設けられた正孔輸送層と、を備えた色素増感型太陽電池であって、
    前記電子輸送層は、多孔質の酸化チタンであり、
    前記正孔輸送層は、CuIのCu化合物と、
    前記CuIに対するモル濃度比が0.16以上0.20以下の範囲である添加剤と、を含み、
    前記色素増感型太陽電池の断面のSEM反射電子像において、正孔輸送層の深さ分布における平均階調値を基準値とし、前記電子輸送層の深さ方向の中央から前記透明導電性基板側にある深層領域での深さ分布における平均階調値を深層値としたとき、前記基準値に対する前記深層値の比である階調値比Csが0.70以上である電極構造を有する、
    色素増感型太陽電池。
  2. 前記正孔輸送層は、前記添加剤としてのイオン液体を含でいる、請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記正孔輸送層は、前記添加剤として、イミダゾリウム系カチオン、ピリジウム系カチオン、脂環式アミン系カチオン及び脂肪族アミン系カチオンのうちいずれか1以上のカチオンと、チオシアネート(SCN-)及びアイオダイド(I-)のうちいずれか1以上のアニオンとを含むイオン液体を含む、請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池。
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