JP6566689B2 - 播種補助器 - Google Patents
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Description
一方、近年、培地として土壌を使用せず、支持体に種子を植え込み、水分及び養分を種子及び根に接触させて植物を栽培する水耕栽培が行われてきている。
このような水耕栽培は、土壌での栽培に比して、養分コントロールが容易なこと、微生物的な衛生面においてコントロール容易なこと等のメリットがあり、これらメリットが得られることにより、植物栽培の工業化ツールとして実用化されている。
しかしながら、このような栽培方法を採る場合、播種作業は、播種用マットに形成された多数の播種位置(通常、播種用孔や播種用切込みが形成されている)に種子を順次植え付けていく作業となる。
しかし、このような播種作業は、非常に手間がかかるため、一連の播種作業を簡易化するための技術が提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
当該技術では、スポンジ製の培地に形成された複数のスリットに種子を埋め込むための装置が開示されている。
使用される種子配列板には、複数の貫通孔が形成されており、この種子配列板を培地上面に載置した際には、この貫通孔が培地に形成されたスリット位置と整合するよう構成されている。
よって、種子配列板を培地の上面に載置し、貫通孔に種子を落とすと、この種はスリットの上方へと配置される。そして、この状態で、棒状部材により種を上方から押圧することにより、スリット内に種を埋没させることにより、種を培地に埋め込む。
つまり、種子の埋め込み深度により、発芽性や生育性に差異がみられ、特に、植物を工業的に生産するという観点から考えると、より高い発芽性や生育性を追求するとともに、均一な品質の植物を生産する必要性がある。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、多数の種子を最適深度で均一深度に埋め込むものではなく、このような観点から、多数の種子を最適深度かつ均一深度に埋め込むための技術が求められていた。
更に、当該播種作業をより簡易に行えるように改良することが求められていた。つまり、特に、高齢者や障害者における作業就労の需要が近年高まっており、このような作業者においても、簡易かつ確実に作業を行える技術の開発が求められている。
また、本発明の他の目的は、播種作業を簡易かつ効率的に行うことが可能な播種補助器を提供することにある。
また、単位押圧部の自由端部側は、受け側貫通孔の播種面側周端縁部から播種面に向けて所定長突出するよう構成されているため、この単位押圧部の自由端側は、所定長分、播種用マットにめり込むこととなる。
このように、この所定長の部分で、播種用マット内部に種子を埋め込むことが可能となり、播種用マットに種子を播いた後に、種子を播種用マットに埋め込む作業を簡易に実行することができるとともに、一定の長さ(所定長)に揃えているため、作業者による埋め込み作業のばらつきがなくなる。
更に、前記播種位置には、種子を前記播種用マットに埋め込むための切込み又は孔部が形成されており、前記所定長は、前記播種位置への種子埋め込み深度であると好適である。
よって、種子は、播種用マットにおいて、所定深度に埋め込まれる。
このように、所定の深度に種子を植え付けることが可能であるため、製品品質(収穫時の植物の品質)の均一性を確保することができる。
また、この所定長は、特許請求の範囲に記載の通り、種子の発芽率や成長した植物の生産量との相関によって決定される値とするとよい。
つまり、埋め込み深度が小さいと、播種用マットへの植物の固定性が悪く、根元が屈曲する等の問題が生じて成長した植物の生産量が落ちる。
また、埋め込み深度が大きいと、出芽率が悪く、仮に出芽しても、双葉が播種面から上方へと突出することができず、成長が阻害される。
よって、このようなメルクマールを持って所定長を決定すれば、好適な埋め込み深度を均一に確保することができる。
このため、良好な発芽率と均一品質の製品収穫を実現することが可能となる。
なお、好適な埋め込み深度としては、2mm乃至8mmが挙げられる。
また、播種位置に、種子を前記播種用マットに埋め込むための切込み又は孔部が形成されているので、作業性が良好となる。
このように構成されていると、根元部が大径であるため、単位押圧部の強度が高くなり、押圧した際の単位押圧部の破損を有効に防止することができる。
このように構成されていると、多数の播種位置へ多数の種子を、一度に各々埋め込めるため、作業性が大きく向上する。
このように構成されていると、種子受けトレーの播いた種子が、転動したり跳ねたりして隣接する受け側貫通孔へ移動してしまうことを防止できるため、作業性が向上する。
よって、手間のかかる埋め込み作業を簡易に行うことができる。
また、単位押圧部の自由端部は、受け側貫通孔の播種面側周端縁部から播種面に向けて所定長突出するよう構成されているため、単位押圧部の端部はこの種子を連れて播種用マットにめり込み、結果として、所定長分の深度に種子を配置することができる。よって、種子は、播種用マットにおいて、所定深度に埋め込まれる。
そして、この深度を種子の発芽率や成長した植物の生産量との相関によって決定することにより、好適な埋め込み深度を均一に確保することができ、良好な発芽率と均一品質の製品収穫を実現することが可能となる。
更に、単位押圧部の根元部を大径に形成することにより単位押圧部の強度を高めたため、繰り返し使用に耐えることができる。
また、受け側貫通孔及び記単位押圧部を多数形成して、各々受け側貫通孔と押圧部とを一対一に対応するものとしたため、多数の播種位置へ多数の種子を、一度に各々埋め込めるため、作業性が大きく向上する。
その他、播種位置に切込み又は孔部の形成、区画壁の立設、傾斜面の形成、受け側取手部及押圧側取手部の形成により、作業性が良好となる。
このように、本発明に係る播種補助器によれば、植物を生産するにあたり、良好な発芽率と均一な製品収穫を実現することが可能となるとともに、播種作業を簡易かつ効率的に行うことが可能となる。
なお、以下に説明する構成は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
本実施形態は、植物を生産するにあたり、良好な発芽率と均一な製品収穫を可能とした播種補助器に関するものであり、同時に、播種作業の作業性の向上も図ったものである。
また、図8及び図9は、本実施形態に係る播種補助器に関する各種試験の結果に関するものであり、図8は播種作業時間比較テスト結果を示す棒グラフ、図9は収穫期地上部生重量比較テストの結果を示す棒グラフである。
なお、図10は改変例(種子押圧トレーに関するもの)を示す説明図である。
図1乃至図5により、本実施形態に係る播種補助器Sの構成について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る播種補助器Sは、種子受けトレー1と、種子押圧トレー2と、を一組として構成されている。
以下、種子受けトレー1において種子が播かれる面が向く側を上方側とし、その反対側、つまり、種子受けトレー1に対し播種用マット3が配置される側を下方側と記す。
図2に示すように、本実施形態に係る種子受けトレー1は、矩形状の種子受け部11と、長手方向両端部に形成された受け側取手部12,12と、種子受け部11と受け側取手部12,12とを連結する載置部13,13と、を有して構成されている。
種子受け部11は、長方形状の板状体である、その長手方向に対向する両端辺からは、載置部13,13が外側へ向けて延出している。
載置部13は、上方に起立する立上がり壁13aと、この立上がり壁13aの上端辺から屈曲して外側(種子受け部11から離れる方向)へ向けて延出する(種子受け部11と平行に延出する)端部載置壁13bと、を有して構成されている。
なお、この立ち上がり壁13aの高さ(上下方向距離)は、後述する根元部21aの高さ(両底面間の距離)と同等となるように構成されている。
この受け側取手部12は、端部載置壁13bから上方へ向けて起立(以下、「受け側起立壁12a」と記す)した後、屈曲して外側(種子受け部11から離れる方向)へと延び(以下、「受け側力点壁12b」と記す)、その後下方へと垂下する(以下、「受け側垂下壁12c」と記す)側面視略コ字形状(下方に開口を有する略コ字形状)の部分として構成されている。なお、この略コ字内部の空間が受け側腕挿入空間K1となり、作業者が腕を下方から差し込んで受け側取手部12,12を介して種子受けトレー1を持ち上げられるように構成されている(図5参照)。
なお、本実施形態においては、例えば、高齢の作業者や障害を有する作業者が使用する場合の便宜を考慮し、受け側取手部12,12を備えた構成としたが、これに限られず、この受け側取手部12,12を備えない構成であってもよい。つまり、長手方向両端部に形成された受け側取手部12,12を備えず、平板状のフラットな構成であっても好適に使用することができる。
単位種子受け部11Aは、四方を区画壁11aで仕切られることにより、正方形状に区画された部位である。この区画壁11aは、受け部基体11Bから上方へ向かい垂直に起立する壁体である。この四方を区画壁11aで仕切られた空間を「単位播種空間K2」と記す。この区画壁11aが立設する側の面が、特許請求の範囲の「種子受容面」である。
また、単位種子受け部11Aには、上方面と下方面とを貫通するように受け側貫通孔11bが形成されている。
この受け側貫通孔11bの開口径は、播種される種子よりも大きくなるように構成されているとともに、後述する埋め込み部21bが貫通可能な径に構成されている。
ただし、受け側貫通孔11bの開口径は、種子の径の2倍は超えないように十分小さく設定されており、この受側貫通孔11bには、1個の種子が挿通可能となっている。
図3に示すように、本実施形態に係る種子押圧トレー2は、矩形状の押圧部21と、長手方向両端部に形成され押圧側取手部22,22とを有して構成されている。
なお、押圧側取手部22は、押圧部21の相対向する両端辺に形成される。本例においては、略矩形状の押圧部基体21Bの長手方向両端を形成する両端辺に形成されている。
この押圧側取手部22は、端辺から上方に起立(以下、「押圧側起立壁22a」と記す)した後、屈曲して外側(押圧部基体21Bから離れる方向)へと延び(以下、「押圧側力点壁22b」と記す)、その後下方へと垂下する(以下、「外側垂下壁22c」と記す)側面視略コ字形状(下方に開口を有する略コ字形状)の部分として構成されている。なお、後述するが、この略コ字内部の空間が押圧側腕挿入空間K3となり、作業者が腕を下方から差し込んで押圧側取手部22,22を介して種子押圧トレー2を持ち上げられるように構成されている(図5参照)。
よって、押圧側起立壁22a,22aは、受け側起立壁12a,12a間に嵌まり込み、同時に、押圧側力点壁22b,22bと押圧側垂下壁22c,22cは、受け側力点壁12b,12bと受け側垂下壁12c、12cとの下面側に入子状に嵌まり込む。
なお、前述の通り、受け側取手部12は、種子受け部11の相対向する両端辺の中央部付近に形成されており、略矩形状の押圧部基体21Bの長手方向両端を形成する両端辺の全長にわたって形成されている。
よって、受け側取手部12に押圧側取手部22を嵌め込んだ状態から、押圧側取手部22を外す場合には、受け側取手部12と押圧側取手部22とが積層されていない箇所を手掛かりとして使用することができる。よって、両者の取外し作業が容易となる。
なお、本実施形態においては、例えば、高齢の作業者や障害を有する作業者が使用する場合の便宜を考慮し、押圧側取手部22,22を備えた構成としたが、これに限られず、この押圧側取手部22,22を備えない構成であってもよい。つまり、長手方向両端部に形成された押圧側取手部22,22を備えず、平板状のフラットな構成であっても好適に使用することができる。
このとき、押圧部21の長手方向の長さを、種子受け部11と載置部13,13との総長手方向長さを異ならせることにより(例えば、前者の長さを後者の長さよりも大きく形成することにより)、両者を分離する際の手掛かりとすることができる。
なお押圧部基体21Bの長手方向の長さは、受け部基体11Bの長手方向長さよりも、端部載置壁13bの同方向長さの2倍分長く設定されている。
そして、押圧部基体21Bの長手方向両端部において、端部載置壁13b分の長さを各々カバーする範囲には、単位押圧部21Aは形成されていない。
つまり、単位押圧部21Aが形成される範囲は、押圧部基体21Bの両端部より、端部載置壁13b当接分の距離だけ各々内側に控えた範囲である。
単位押圧部21Aは、大小2個の径を有する略円柱形状の部分である。
この単位押圧部21Aは、押圧部基体21Bから下方へ突出する円筒形状の根元部21aと、この根元部21aよりも小径の埋め込み部21bと、これらを連結する部分である連結部21cと、を有して構成されている。
この根元部21a底面中心と埋め込み部21b底面中心とは、押圧部基体21Bに対して垂直な方向軸において、同軸上に配置され、根元部21aの下端円周縁と埋め込み部21bの上端円周縁とは、テーパー状の斜面を外壁として有する連結部21cにて連結されている。つまり、連結部21cは、根元部21aの下端円と埋め込み部21bの上端円とを両底面として有する円錐台形状をしている。
なお、根元部21aの径を埋め込み部21bの径よりも大きく設定したことにより、埋め込み部21bにて種子を押圧した際に、単位押圧部21Aが破損することを防止することができる。
なお、この単位押圧部21Aの構成は、根元部21aと、埋め込み部21bと、で構成してもよい。つまり、根元部21aの底面中心から埋め込み部21bが直接延出するよう構成されていてもよい。
このように構成することにより、複数の種子が単位播種空間K2に侵入した場合に、受け側貫通孔11bに配置されなかった種子が、単位押圧部21Aの埋め込み動作(播種切込み31a方向への移動)を阻害することを有効に防止することができる。つまり、円錐台形状の連結部21cが存在していた空間が、受け側貫通孔11bに配置されなかった種子の退避空間として機能することとなる。
連結部21cの外側形状は、傾斜面11cの内側形状に沿うように構成されており、連結部21cを傾斜面11cに整合させることができる。そして、このとき同時に、埋め込み部21bは、受け側貫通孔11bを貫通するように構成されている。
このことから、埋め込み部21bの長さtは、突出長t1に受け側貫通孔11bの孔深度(つまり、受け部基体11Bの肉厚)を加えたものとすればよい。
この状態において、各単位押圧部21Aは各単位種子受け部11Aに進入し、同時に受け側貫通孔11bに埋め込み部21bが挿通する。この状態において、埋め込み部21bの下端側は、受け側貫通孔11bから下方に所定長(本例においては5mm)突出するように構成される。
図6により、本実施形態に係る播種用マット3の構成について説明する。
本実施形態に係る播種用マット3は、ウレタンフォームで形成された角柱形状の部材である。
この播種用マット3には、植物の種が植え付けられる面(通常、上面)である播種面3Aと、この播種面3Aと対向する液対面3Bを有して構成された立体形状の部材である。
また、本実施形態に係る播種用マット3は、複数の播種単位31に分割構成されている。
つまり、一つの播種単位31がキューブ状となるように、賽の目状に切り込みが入った形状である。
つまり、播種切込み31aの中央交点付近に種子を落として、この種子に下方への力を加えれば、クロス形状の播種切込み31aのガイドにより、種子が埋め込める構成である。
次いで、図7により、本実施形態に係る播種補助装置Sの種子埋め込み動作について説明する。
まず、播種用マット3を種子受けトレー1の下方にセットする。実際には、播種用マット3の播種面3Aに種子受けトレー1を載置固定する。
前述のように、播種用マット3には、マット係止壁11d,11dが形成されているため、これらマット係止壁11d、11d間に播種面3Aの長手方向を係止することで、播種用マット3に種子受けトレー1を載置固定する。
このとき、1個の単位播種面3Aに対し1個の単位種子受け部11Aが直上に積層されるよう対応関係が構築されている。
更に言えば、受け側貫通孔11bの中心部分が播種切込み31aのクロスの交点と整合するように構成されている。
これは手動による播種でもよいし、市販の播種機を使用してもよい。
このように単位播種空間K2に種子を投下すると、種子は、受け側貫通孔11b内へと転動する。つまり、傾斜面11cを下って、受け側貫通孔11bへと案内される。
なお、前述したように、区画壁11aが存在するため、播種時の落下によるエネルギーにより単位播種空間K2にて、各壁面に衝突及び跳ね返りを繰り返しても、この種子が隣接若しくは近接する単位種子受け部11Aへと移動することはなく、播種作業が簡易になる。
上述の通り、このセットは、この押圧側腕挿入空間K3には、受け側取手部12,12が入子状に嵌まり込むませることにより行う。そしてセットされた状態では、前述の通り、押圧部基体21Bの長手方向両端部(単位押圧部21Aが形成されていない部分)が、端部載置壁13bの上方に載置されている。
そして、このとき、各単位押圧部21Aは、対応する単位種子受け部11Aへと挿入されている。本例においては、単位押圧部21Aと単位種子受け部11Aとは1対1に対応している。
この状態においては、埋め込み部21bが、受け側貫通孔11bの直上に配置されている。つまり、この受け側貫通孔11bに配置されている種子の直上に配置されている。
上記を総合すると、播種切込み31aのクロスの交点付近、種子、埋め込み部21bは、上下方向に一直線状に並ぶこととなる。
上述した通り、埋め込み部21bの下端側は所定長、受け側貫通孔11bから下方に突出するように構成されている(本例においては、5mm)。
このため、種子押圧トレー2をセットした状態においては、埋め込み部21bの下端が種子を押圧しながら、所定長分、播種切込み31aにめり込むこととなる。
この作用により、種子は、所定長分の深度に、播種用マット3に埋め込まれる。
上記のように、種子受けトレー1及び種子押圧トレー2には、多数の単位種子受け部11Aと多数の単位押圧部21Aが形成されており、これらは各々1対1で対応していることから、一度の操作で多数の播種切込み31aに種子を埋め込むことが可能となる。
これにより、播種用マット3を軽く押圧しながら、種子を埋め込むことができる。
この構成により、例えば、播種用マット3が高い伸び率を有する素材で形成されている場合であっても、埋め込み部21bにより埋め込まれた種子が押し戻されることを有効に防止し、種子を確実に播種切込み31aにホールドさせることができる。
次いで、本実施形態に係る播種補助器Sを使用した場合の各種試験結果を説明する。
1.作業時間短縮度テスト
(1−1)目的
本実施形態に係る播種補助器Sを使用した場合の播種作業時間を、従来の播種作業と比較する。
また、障害を有する作業者においての作業性の改善を確認する。
軽度の障害を有する作業者と重度の障害を有する作業者にて、従来の播種作業で播種を行い、所要時間を測定する。
この従来の播種作業とは、播種用マット3の播種切込み31aに手動にて種子を埋め込んでいく作業を全播種単位31分実行する。
本実施形態に係る播種装置Sを使用し、重度の障害を有する作業者にて、播種作業を行い、所要時間を測定する。
結果を図8に示す。
図8に示すように、本実施形態に係る播種装置Sを使用することにより、播種作業の所要時間が飛躍的に短縮された。
これは、コントロールとして実行した軽度の障害者の従来作業時間に比しても短縮されていた。
本実施形態に係る播種装置Sは、播種作業の時間短縮に大いに寄与することが確認された。また、特に、重度の障害を有する作業者において効果が著しく、力の弱い高齢者や障害を有する作業者の播種作業を飛躍的に効率化することができると考えられる。
(2−1)目的
播種用マット3に対する種子の埋め込み深度が、種子の発芽率及び収穫期地上生生産量にどうような影響を及ぼすかを確認する。
水道水で洗浄し固くしぼった播種用マット3を配置し、1.5Lの水道水を播種用マット3からはみ出さないように注ぎ馴染ませた。その後、種子を一個ずつ、0mmから22mmまで1mmずつ深度を変えて、播種切込み31aに埋め込んだ。なお、サンプルとして、それぞれの深度に対してn=10準備した。
播種後は、蓋をして3日間暗所にて静置した後、水道水を1.9L注ぎ入れ、光を照射した。そして、9日目に発芽状態を観察した。
その後、発芽状態を鑑み、生育試験のサンプルとして、埋め込み深度が0mm〜8mmのサンプル、及びネガティブコントロールとして埋め込み深度が9mmのサンプルを選択し、当該サンプルを、溶液が入った栽培装置に移植し、25日目に定植した。その後、42日後に地上部生重量を測定した。
発芽率についての9日目の観察結果は、どの深度においても発芽は確認された。
しかしながら、播種用マット3の上方に双葉が開いているサンプルの数は、埋め込み深度8mmと9mmを境界に大きく異なり、埋め込み深度8mm以下のサンプルの双葉が開く率は、種子の保証発芽率(80%)以上であった。
そして、埋め込み深度9mm以上のサンプルでは、双葉が播種用マット3の上方に開く率は、種子の保証発芽率(80%)以下であり、内部で発芽はしたものの、播種用マット3の上方に芽を出せないものが散見された。
また、埋め込み深度0mmのサンプルでは、根元がくの字に曲がったものが多く観察され、埋め込み深度1mm〜2mmのサンプルでは、根元がぐらついていた。
埋め込み深度が3mm以上のサンプルは、播種用マット3に確実に固定されていた。
また、地上部生重量測定の結果を図9に示す。
発芽率の結果及び図9に示す結果を鑑みると、埋め込み深度は、2mm〜8mm、好ましくは3mm〜8mm、より好ましくは3mm〜6mmが良好であると考えられる。
次いで、上記実施形態の改変例を説明する。
本改変例では、単位押圧部21Aの形状が異なっている。
その他の構成は、上記実施形態に係る構成と同様であるため、説明は省略する。
本例における第2単位押圧部121Aは、円筒形状の部材である。
そして、この第2単位押圧部121Aの底面には、同心状に形成された円環形状の溝部Rが切込まれている。
このように、溝部Rが切込まれることにより、種子を逃がさず、確実に播種切込み31aに種子を埋め込むことができる。
また、従来のように、播種単位31の播種面3A中央部に設けられた小径にくぼみに種子を落とす必要がなく、当該くぼみよりも大径の単位播種空間K2開口部に種子を落とせばよいため、播種を行う際の緊張感が緩和される。
また、多数の種子を一度に埋め込むことができるため好適である。
更に、発芽率及び地上部生重量が最適となる所定深度に全ての種子を埋め込むことができるため、生産性や品質均一化にも大きく寄与する。
また、受け側取手部12や押圧側取手部22を形成したため、作業者の負担を軽減し、作業性を大きく向上させることができる。
1 種子受けトレー
11 種子受け部
11A 単位種子受け部
11a 区画壁
11b 受け側貫通孔
11c 傾斜面
11B 受け部基体
11d マット係止壁
K2 単位播種空間
12 受け側取手部
12a 受け側起立壁
12b 受け側力点壁
12c 受け側垂下壁
K1 受け側腕挿入空間
13 載置部
13a 立ち上がり壁
13b 端部載置壁
2 種子押圧トレー
21 押圧部
21A 単位押圧部
21a 根元部
21b 埋め込み部
21c 連結部
21B 押圧部基体
22 押圧側取手部
22a 押圧側起立壁
22b 押圧側力点壁
22c 外側垂下壁
K3 押圧側腕挿入空間
3 播種用マット
3A 播種面
3B 液対面
31 播種単位
31A 単位播種面
31a 播種切込み
31B 単位液対面
121A 第2単位押圧部
R 溝部
Claims (7)
- 水耕栽培の植栽基盤として使用される播種用マットへの播種作業を補助するための播種補助器であって、
該播種補助器は、前記播種用マットの播種面に載置される種子受けトレーと、前記播種面に播種された種子を押圧する種子押圧トレーと、を有して構成されており、
前記種子受けトレーは、基体となる板状の受け部基体を有して形成され、該受け部基体には、種子が貫通する径を有する受け側貫通孔が形成されており、
前記種子押圧トレーは、基体となる板状の押圧部基体を有して構成され、該押圧部基体には、単位押圧部が突設されており、
前記種子受けトレーは、前記播種面における播種位置に前記受け側貫通孔が整合するように、前記播種面に載置され、
前記受け側貫通孔を、前記播種位置方向に向かって貫通した前記単位押圧部の自由端部は、前記播種位置に配置された種子を当該貫通方向に押圧可能に構成されるものであり、
前記単位押圧部の自由端部側は、前記受け側貫通孔の前記播種面側周端縁部から前記播種面に向けて所定長突出するように構成され、
前記単位押圧部は、前記押圧部基体の前記播種面と対向する面から突出する根元部と、該根元部の前記播種面側底面から前記播種面に向かって突出する埋め込み部と、前記根元部と前記埋め込み部を連結する連結部と、を有し、
前記埋め込み部が、前記所定長突出するように構成され、
前記連結部が、前記種子受けトレーにおいて、前記播種面に対向する面の反対側の面である種子受容面に当接するように構成されていることを特徴とする播種補助器。 - 前記連結部は、テーパー状の斜面を有し、
前記種子受容面において前記受け側貫通孔の周縁からは、前記播種面が配置される側と反対方向に向かって逆テーパー状に延びる傾斜面が形成され、
前記連結部と前記傾斜面とが当接するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の播種補助器。 - 前記播種位置には、種子を前記播種用マットに埋め込むための切込み又は孔部が形成されており、
前記所定長は、前記播種位置への種子埋め込み深度であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の播種補助器。 - 前記根元部及び前記埋め込み部は、それぞれ円柱形状からなり、
前記根元部の底面径は、前記埋め込み部の底面径よりも大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の播種補助器。 - 前記受け側貫通孔及び前記単位押圧部は複数形成されるとともに、各々の前記受け側貫通孔と前記押圧部とは一対一に対応するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれか一項に記載の播種補助器。
- 前記種子受けトレーにおいて、前記播種面に対向する面の反対側の面である種子受容面には、複数の区画壁が、隣接する前記受け側貫通孔の間に介在すように突設されており、
該区画壁は、隣接する前記受け側貫通孔の間の種子の移動を阻害することを特徴とする請求項5に記載の播種補助器。 - 前記種子受けトレー及び前記種子押圧トレーは、略矩形状に形成されており、
前記種子受けトレーの対向する両端辺には、作業者が前記種子受けトレーの荷重を支持するための受け側取手部が形成されており、
前記種子押圧トレーの対向する両端辺には、作業者が前記種子押圧トレーの荷重を支持するための押圧側取手部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6いずれか一項に記載の播種補助器。
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