JP6566300B2 - 試験用燃料、燃料噴霧特性解析システム及び燃料噴霧特性解析方法 - Google Patents

試験用燃料、燃料噴霧特性解析システム及び燃料噴霧特性解析方法 Download PDF

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本発明は、試験用燃料、燃料噴霧特性解析システム及び燃料噴霧特性解析方法に係わり、特に、二波長レーザ吸収散乱法を利用して軽油を模擬した試験用燃料の噴霧特性を解析する技術分野に関する。
従来から、二波長レーザ吸収散乱法(LAS法:Laser Absorption Scattering)を用いて、軽油を模擬した試験用燃料の噴霧特性を解析する技術が知られている(例えば非特許文献1及び2参照)。具体的には、このLAS法は、軽油に類似した物性を有する試験用燃料を噴霧し、この噴霧した試験用燃料に対して可視光と紫外光とを含むレーザ光を照射することで、可視光によって形成された画像(以下では「可視光画像」と呼ぶ。)と、紫外光によって形成された画像(以下では「紫外光画像」と呼ぶ。)とをカメラの撮影により取得し、これらの可視光画像及び紫外光画像に基づいて、噴霧された試験用燃料による液相(液滴からなる部分である。以下同様とする。)及び蒸気相についての解析を行う手法である。この場合、可視光が、試験用燃料の液相によって散乱して減衰することから、可視光によって形成された可視光画像を分析することで、試験用燃料の液相の濃度分布などを求めることができる。他方で、紫外光が、試験用燃料の液相によって散乱して減衰すると共に、試験用燃料の蒸気相に吸収されて減衰することから、紫外光によって形成された紫外光画像のデータと、上記の可視光画像のデータとの差分を求める処理を行うことで、試験用燃料の蒸気相の濃度分布などを求めることができる。
ここで、従来では、上記したLAS法に適用する試験用燃料(試料)として、軽油に類似した物性を有する1,3-ジメチルナフタレン(以下では単に「DMN」と呼ぶ。このDMNの化学式は「C1212」である。)が用いられることが多かった。軽油自体を用いてLAS法を実施せずに、軽油に類似した物性を有するDMNなどを用いてLAS法を実施する理由は、以下の通りである。軽油には、種々の成分が含まれており、全ての成分を適切に特定(成分自体の特定だけでなく、各成分の濃度の特定も含む)するのが困難であるため、噴霧した軽油による液相及び蒸気相の濃度などを適切に求めることができない。具体的には、LAS法では、燃料の紫外光に対する吸光特性(詳しくは燃料のモル濃度と紫外光の吸光度との関係を示すモル吸光係数)を事前に求めておき、この吸光特性に基づき、撮影された画像のデータから蒸気相を解析するが、軽油の場合には、そのような適切な吸光特性を事前に求めておくことが困難であるため、LAS法によって噴霧の濃度などを適切に求めることができないのである。このような理由から、従来では、DMNなどの、軽油に類似した物性を有する燃料を試験用燃料として用いて、LAS法を実施している。
鈴木 護、西田 恵哉、廣安 博之:2波長レーザ光吸収・散乱光度法によるディーゼル噴霧内燃料蒸気・液滴濃度分布の分離計測(第1報,計測方法の開発),日本機械学会論文集(B編),59巻 558号,p.329-337 (1993) 張 玉銀、伊藤 友昭、西田 恵哉、吉崎 拓男:紫外・可視光吸収錯乱画像の解析による燃料噴霧内の液相および蒸気相濃度分布の定量的計測,自動車技術会論文集,Vol. 32,No. 3,p. 37-42 (2001)
ところで、近年、軽油を用いたディーゼルエンジンでは、コモンレールシステムの発達や高性能のピエゾ式インジェクタ等により、微細な燃料噴射制御が可能となっていることから、例えば、そのような燃料噴射制御による窒素酸化物や有害微粒子等のエミッションを改善するために、軽油の噴霧特性をより詳細に解明することが求められている。軽油の噴霧特性をより詳細に解明するためには、軽油により類似した物性を有する燃料を、LAS法に適用する試験用燃料として用いることが望ましいと考えられる。つまり、軽油の噴霧挙動の模擬性がより高い試験用燃料を用いることが望ましい。更に、軽油の噴霧特性をより詳細に解明するためには、LAS法による燃料噴射量(特に燃料の蒸気量)の計測精度を向上させることが望ましいと考えられる。
ここで、本発明者らが行った実験によれば、LAS法の試験用燃料として一般的に用いられているDMNは、軽油と比較すると、インジェクタからの噴霧角や、インジェクタからの燃料の到達距離などが若干異なることがわかった。つまり、DMNでは、軽油の噴霧挙動の模擬性が十分でないことがわかった。これは、DMNと軽油との物性(例えば沸点や密度や動粘度など)の違いに起因すると考えられる。
更に、本発明者らが行った実験によれば、DMNを試験用燃料として用いた場合には、LAS法による解析によって得られる燃料噴射量の精度が確保されないことがわかった。具体的には、DMNを用いた場合には、LAS法による解析によって得られる燃料噴射量、特に燃料の蒸気量が、実際の燃料噴射量よりも小さくなる場合があることがわかった。これは、噴霧されたDMNが紫外光を大きく吸収することで、このDMNを透過した紫外光の輝度が、LAS法において紫外光画像を取得するために用いるカメラ(CCDカメラ)の感度域を下回ってしまったからであると考えられる。
なお、上記したDMNを試験用燃料として用いた場合の問題点については、詳細は後述することとする。
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、軽油の噴霧挙動の模擬性を向上させることができると共に、LAS法による燃料噴射量などの計測精度を向上させることができる試験用燃料と、そのような試験用燃料を用いた燃料噴霧特性解析システム及び燃料噴霧特性解析方法と、を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、軽油を模擬した試験用燃料の噴霧特性を解析するための二波長レーザ吸収散乱法に使用され、この試験用燃料は、沸点、密度及び動粘度の少なくとも一以上が1,3-ジメチルナフタレンよりも軽油に近い値を有する第1の物質と、この第1の物質よりも紫外光に対する高い吸光性を有し、且つ第1の物質に対する相溶性を有する第2の物質とが混合されたものであり、二波長レーザ吸収散乱法において噴霧された試験用燃料の撮影に実際に使用するカメラの感度に応じて、第1の物質に対する第2の物質の混合比率が調整され、それにより、当該混合比率は、二波長レーザ吸収散乱法において紫外光を試験用燃料に照射したときに、当該試験用燃料によって減衰された紫外光の輝度をカメラの感度域に収めるようになっており第1の物質は、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンのいずれかであり、第2の物質は、α-メチルナフタレンである、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、試験用燃料が、軽油に類似した物性を有する第1の物質に対して、紫外光に対する高い吸光性(吸光度)を有する第2の物質が混合されたものとなっているので、紫外光に対する吸光性を確保しつつ、軽油の噴霧挙動の模擬性を向上させることができる。また、二波長レーザ吸収散乱法(LAS法)において使用するカメラの感度に応じた比率を、第1の物質に対する第2の物質の混合比率として適用するので、試験用燃料が適当な吸光度を有するものとなる。そのため、試験用燃料が紫外光を吸収し過ぎて、試験用燃料を透過した紫外光の輝度がカメラの感度域を下回ってしまうことを抑制することができる。よって、LAS法による燃料噴射量(特に燃料蒸気量)などの計測精度を向上させることが可能となる。
特に、本発明では、二波長レーザ吸収散乱法において噴霧された試験用燃料の撮影に実際に使用するカメラの感度に応じて、第1の物質に対する第2の物質の混合比率が調整され、それにより、二波長レーザ吸収散乱法において紫外光を試験用燃料に照射したときに、当該試験用燃料によって減衰された紫外光の輝度をカメラの感度域に収めるようになっている。これにより、試験用燃料が紫外光を吸収し過ぎて試験用燃料を透過した紫外光の輝度がカメラの感度域を下回ってしまうことを確実に抑制することができ、LAS法による燃料噴射量などの計測精度を効果的に向上させることが可能となる。
また、本発明では、沸点、密度及び動粘度の少なくとも一以上が1,3-ジメチルナフタレン(DMN)よりも軽油に近い値を有する物質を、第1の物質として用いるので、1,3-ジメチルナフタレンよりも高い軽油の噴霧挙動の模擬性を適切に実現することができる。
また、本発明では、第1の物質として、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンのいずれかを用いるので、試験用燃料による紫外光の吸光度を適切に低下させることができると共に(例えば1,3-ジメチルナフタレンのような大き過ぎる吸光度ではなくなる)、軽油の噴霧挙動の模擬性を適切に向上させることができる。更に、本発明では、第2の物質としてα-メチルナフタレンを用いるので、このα-メチルナフタレンを適当な比率で混合することにより、試験用燃料による適切な紫外光の吸光度を実現することが可能となる。
本発明において、好ましくは、二波長レーザ吸収散乱法において容器内に噴霧された試験用燃料によって形成される蒸気相の濃度に応じて、第1の物質に対する第2の物質の混合比率が更に調整され、この混合比率は、蒸気相の濃度が高くなるほど、小さくなるよう調整されている
このように構成された本発明によれば、試験用燃料の蒸気相の濃度が高い場合には、蒸気相によって紫外光が吸収(減衰)される度合いが大きくなるものとして、試験用燃料による紫外光の吸光度を低下させるべく、小さな混合比率を試験用燃料に対して適切に適用することができる。
本発明において、好ましくは、混合比率は、カメラの感度が低くなるほど、小さくなるよう調整されている
このように構成された本発明によれば、カメラの感度が低くなる場合、つまりカメラの感度域が狭くなる場合には、そのような感度域に試験用燃料を透過した紫外光の輝度が適切に収まるように、試験用燃料による紫外光の吸光度を低下させるべく、小さな混合比率を試験用燃料に対して適切に適用することができる。
本発明において、好ましくは、軽油を模擬した試験用燃料の噴霧特性を解析するための二波長レーザ吸収散乱法に使用され、この試験用燃料は、n−トリデカンを97.5%含み、且つ、α-メチルナフタレンを2.5%含む、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、軽油の噴霧挙動の模擬性を確実に向上させることができると共に、LAS法による燃料噴射量(特に燃料蒸気量)などの計測精度を効果的に向上させることができる。
上記の目的を達成するために、他の観点では、本発明は、上記したような試験用燃料の噴霧特性を、二波長レーザ吸収散乱法を用いて解析するための燃料噴霧特性解析システムであって、試験用燃料を所定の容器内に噴霧するインジェクタと、インジェクタによって噴霧された試験用燃料に照射するための可視光と紫外光とを含むレーザ光を出射するレーザ発振器と、インジェクタによって噴霧された試験用燃料にレーザ光を照射したときに、噴霧された試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる可視光によって形成される第1の画像と、噴霧された試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる紫外光によって形成される第2の画像と、を取得するカメラと、カメラによって取得された第1及び第2の画像に基づき、事前に求められた試験用燃料の紫外光に対する吸光特性を用いて、噴霧された試験用燃料によって形成された蒸気相を解析する解析装置と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、軽油の噴霧挙動の模擬性が高く、且つ、適当な紫外光の吸光度を有する試験用燃料を用いることで、LAS法によって試験用燃料の蒸気相(燃料蒸気量など)を精度良く計測することができ、軽油の噴霧特性をより詳細に解明することが可能となる。
上記の目的を達成するために、更に他の観点では、本発明は、二波長レーザ吸収散乱法を用いて試験用燃料の噴霧特性を解析するための燃料噴霧特性解析方法であって、沸点、密度及び動粘度の少なくとも一以上が1,3-ジメチルナフタレンよりも軽油に近い値を有する物質であるn−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンから選択された第1の物質と、この第1の物質よりも紫外光に対する高い吸光性を有し、且つ当該第1の物質に対する相溶性を有する第2の物質としてのα-メチルナフタレンとを混合し、二波長レーザ吸収散乱法において噴霧された試験用燃料の撮影に実際に使用するカメラの感度に応じて、二波長レーザ吸収散乱法において紫外光を試験用燃料に照射したときに、当該試験用燃料によって減衰された紫外光の輝度がカメラの感度域に収まるように、第1の物質に対する第2の物質の混合比率を調整する工程と、試験用燃料を所定の容器内に噴霧する工程と、噴霧された試験用燃料に照射するための可視光と紫外光とを含むレーザ光を出射する工程と、噴霧された試験用燃料にレーザ光を照射したときに、噴霧された試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる可視光によって形成される第1の画像と、噴霧された試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる紫外光によって形成される第2の画像と、を取得する工程と、取得された第1及び第2の画像に基づき、事前に求められた試験用燃料の紫外光に対する吸光特性を用いて、噴霧された試験用燃料によって形成された蒸気相を解析する工程と、を有することを特徴とする。
このように構成された本発明によっても、軽油の噴霧挙動の模擬性が高く、且つ、適当な紫外光の吸光度を有する試験用燃料を用いることで、LAS法によって試験用燃料の蒸気相(燃料蒸気量など)を精度良く計測することができ、軽油の噴霧特性をより詳細に解明することが可能となる。
本発明によれば、軽油の噴霧挙動の模擬性を向上させることができると共に、LAS法による燃料噴射量などの計測精度を向上させることができる。
本発明の実施形態による燃料噴霧特性解析システムの概略構成図である。 本発明の実施形態による燃料噴霧特性解析システムによって実施されるLAS法の計測原理の説明図であって、LAS法によって得られた画像の一例を示す図である。 DMN及び軽油の噴霧画像の具体例を示す図である。 DMNを用いてLAS法を行った場合に計測された燃料蒸気量の結果を示す図である。 DMNを用いてLAS法を行った場合のカメラ出力の具体例を示す図であって、DMNを用いてLAS法を行った場合に燃料蒸気量の精度が低下した理由についての説明図である。 本発明の実施形態において適用する試験用燃料を含む種々の燃料についての物性を示す表である。 本発明の実施形態によるトレーサ燃料及び軽油の噴霧画像の具体例を示す図である。 本発明の実施形態によるトレーサ燃料を用いてLAS法を行った場合のカメラ出力の具体例を示す図である。 本発明の実施形態によるトレーサ燃料を用いてLAS法を行った場合に計測された燃料蒸気量の結果を示す図である。 本発明の実施形態によるカメラの感度域と種々の噴射条件についての透過光減衰輝度範囲との関係を示す図である。 本発明の実施形態によるトレーサ燃料に適用するα-メチルナフタレンの混合比率を決定する手法についての説明図である。 本発明の実施形態の変形例において適用する試験用燃料についての物性を示す表である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
<燃料噴霧特性解析システムの構成>
まず、図1を参照して、本発明の実施形態による燃料噴霧特性解析システムの構成について説明する。図1は、本発明の実施形態による燃料噴霧特性解析システム1の概略構成図である。この燃料噴霧特性解析システム1は、二波長レーザ吸収散乱法(LAS法)を用いて、軽油を模擬した試験用燃料の噴霧を解析するためのシステムである。
図1に示すように、燃料噴霧特性解析システム1は、主に、レーザ発振器としてのNd:YAGレーザ2(YAG:Yttrium Aluminum Garnet)と、ダイクロイックミラー4と、ビームエキスパンダ6a、6bと、ハーモニックセパレータ8と、ディフューザ10と、容器12と、燃料噴射弁としてのインジェクタ14と、ハーモニックセパレータ16と、反射ミラー18と、集光レンズ20a、20bと、カメラ22a、22bと、PC(パーソナルコンピュータ)24と、を有する。
Nd:YAGレーザ2は、基本波長が1064nm程度であるレーザ光LB1を出射する。ダイクロイックミラー4は、Nd:YAGレーザ2からのレーザ光LB1が入射され、このレーザ光LB1を、第二高調波(波長532nm)に対応する可視光VB1と、第四高調波(波長266nm)に対応する紫外光UVB1とに分離する。ビームエキスパンダ6aは、ダイクロイックミラー4により分離された可視光VB1が複数のミラーを介して入射され、この可視光VB1のビーム径を拡大する。ビームエキスパンダ6bは、ダイクロイックミラー4により分離された紫外光UVB1が複数のミラーを介して入射され、この紫外光UVB1のビーム径を拡大する。ハーモニックセパレータ8は、ビームエキスパンダ6a、6bのそれぞれによってビーム径が拡大された可視光VB1及び紫外光UVB1が入射され、これらの可視光VB1及び紫外光UVB1を合成(合波)する。ディフューザ10は、ハーモニックセパレータ8によって合成されたレーザ光LB2が入射され、このレーザ光LB2を拡散させる。
容器12は、一定の容積(定積)が確保されるように構成されており、上記したディフューザ10からのレーザ光LB2が入射されると共に、上部に設けられたインジェクタ14から燃料(試験用燃料)が噴霧される。この場合、インジェクタ14から試験用燃料が噴霧される範囲にレーザ光LB2が照射されるような位置に、換言すると、レーザ光LB2の照射範囲内にインジェクタ14から試験用燃料が噴霧されるような位置に、ディフューザ10、容器12及びインジェクタ14のそれぞれが配置されている。また、インジェクタ14には、燃料タンク(図示せず)に貯蔵された試験用燃料が、燃料を高圧化することができるコモンレールシステム(図示せず)を介して供給される。
なお、LAS法に用いる試験用燃料には、基本的には、(1)軽油に類似した物性を有すること、(2)波長266nmの紫外光を吸収し、波長532nmの可視光を吸収しないこと、(3)モル濃度と紫外光の吸光度との関係が比例関係になること(つまりLambert-beerの法則を満たすこと)、という要件を満たす物質(試料)が適用される。(3)の要件について、温度依存性が小さいという要件を更に加えてもよい。
ハーモニックセパレータ16は、容器12を通過したレーザ光LB3が入射され、つまり容器12内に噴霧された試験用燃料を通過したレーザ光LB3が入射され、このレーザ光LB3を可視光VB2と紫外光UVB2とに分離する。反射ミラー18は、ハーモニックセパレータ16によって分離された可視光VB2が入射され、この可視光VB2を集光レンズ20aに向けて反射する。集光レンズ20aは、反射ミラー18によって反射された可視光VB2が入射され、この可視光VB2を集光し、集光レンズ20bは、ハーモニックセパレータ16によって分離されて反射された紫外光UVB2が入射され、この紫外光UVB2を集光する。カメラ22aは、集光レンズ20aによって集光された可視光VB2がアパーチャ及びバンドパスフィルタを介して入射され、この可視光VB2によって形成された画像(可視光画像)を撮影する。カメラ22bは、集光レンズ20bによって集光された紫外光UVB2がアパーチャ及びバンドパスフィルタを介して入射され、この紫外光UVB2によって形成された画像(紫外光画像)を撮影する。これらのカメラ22a、22bは、例えばCCDカメラである。なお、可視光画像は本発明における「第1の画像」に相当し、紫外光画像は本発明における「第2の画像」に相当する。
PC24は、カメラ22aによって撮影された可視光画像に対応する画像信号Saが入力されると共に、カメラ22bによって撮影された紫外光画像に対応する画像信号Sbが入力される。そして、PC24は、画像信号Sa、Sbに対応する可視光画像及び紫外光画像を分析することで、噴霧された試験用燃料による液相及び蒸気相についての解析を行う。また、PC24は、種々の装置(図示せず)を介して、容器12内の温度及び圧力を制御すると共に、インジェクタ14からの燃料噴射量や燃料噴射タイミングなどを制御する。
ここで、図2も参照しつつ、上記した燃料噴霧特性解析システム1によって実施されるLAS法の計測原理について説明する。図2は、LAS法によって得られた画像の一例を示す図である。
まず、噴霧された試験用燃料に照射された可視光は、試験用燃料の液相(液滴からなる部分)によって散乱されて減衰する。基本的には、可視光は、試験用燃料の液相に吸収されない。他方で、噴霧された試験用燃料に照射された紫外光は、試験用燃料の液相によって散乱されて減衰すると共に、試験用燃料の蒸気相に吸収されて減衰する。以下の式(1)及び式(2)は、このような可視光及び紫外光の透過光減衰率をそれぞれ表している。

式(1)及び式(2)において、「I0」は試験用燃料を透過する前の光の強度を示し、「It」は試験用燃料を透過後の光の強度を示し、「log(I0/It)」は透過光減衰率を示している。また、「λT」は可視光の透過光減衰率を示し、「λA」は紫外光の透過光減衰率を示し、「Lsca」は液相の散乱による透過光減衰率を示し、「Vabs」は蒸気相の吸収による透過光減衰率を示している。なお、紫外光の透過光減衰率を示す式(2)では、液相による紫外光の吸収については、液相による散乱及び蒸気相による吸収と比較して非常に小さいため、無視しているものとする。
式(1)によって表される、噴霧された試験用燃料の液相による可視光の減衰の影響により、カメラ22aによって、図2(a)に示すような可視光画像が撮影される。この可視光画像は、式(1)により計算される透過光減衰率に相当する画像(log値に相当する画像)であり、減衰率が大きい部分が明るく表され(つまり白く表され)、減衰率が小さい部分が暗く表されている(つまり黒く表されている)。この減衰率が大きい部分は、噴霧された試験用燃料の液相に対応する部分であるため、図2(a)に示す可視光画像は、噴霧された試験用燃料の液相を表したものとなる。また、この画像では、明暗(色の濃さ)の程度によって、液相における試験用燃料の濃度を表している。具体的には、色が明るいほど、液相における試験用燃料の濃度が高くなる。
なお、実際には、カメラ22aには、減衰率が大きい部分については暗い光が入射され、減衰率が小さい部分については明るい光が入射されることとなる。そのため、カメラ22aによって実際に撮影される画像は、図2(a)に示した可視光画像の白黒を反転させたような画像となる(後述する紫外光画像についても同様である)。
他方で、式(2)によって表される、噴霧された試験用燃料の液相及び蒸気相による紫外光の減衰により、カメラ22bによって、図2(b)に示すような紫外光画像が撮影される。この紫外光画像は、式(2)により計算される透過光減衰率に相当する画像(log値に相当する画像)であり、減衰率が大きい部分が明るく表され(つまり白く表され)、減衰率が小さい部分が暗く表されている(つまり黒く表されている)。この減衰率が大きい部分は、噴霧された試験用燃料の液相及び蒸気相に対応する部分であるため、図2(b)に示す紫外光画像は、噴霧された試験用燃料の液相及び蒸気相を表したものとなる。また、この画像では、明暗(色の濃さ)の程度によって、液相及び蒸気相における試験用燃料の濃度を表している。具体的には、色が明るいほど、液相及び蒸気相における試験用燃料の濃度が高くなる。
可視光画像が試験用燃料の液相のみの濃度を表しており、紫外光画像が試験用燃料の液相及び蒸気相の両方の濃度を表しているので、紫外光画像と可視光画像との差分に対応する画像は、試験用燃料の蒸気相のみの濃度を表すものとなる。図2(c)は、そのようにして得られた紫外光画像と可視光画像との差分に対応する画像(以下では適宜「差分画像」と呼ぶ。)である。この差分画像は、噴霧された試験用燃料の蒸気相のみを表しており、明暗(色の濃さ)の程度によって、蒸気相における試験用燃料の濃度を表している。具体的には、色が明るいほど、蒸気相における試験用燃料の濃度が高くなる。
上述した燃料噴霧特性解析システム1のPC24は、カメラ22aから取得された可視光画像とカメラ22bから取得された紫外光画像との差分を演算することで、図2(c)に示すような差分画像を求める。そして、PC24は、事前に計測などによって求められた、試験用燃料の蒸気相の単位濃度(モル濃度)当たりの紫外光の吸光度(蒸気相による紫外光の減衰率に相当する)を示すモル吸光係数を用いて、求められた差分画像のデータから、噴霧された試験用燃料の濃度や濃度分布や燃料蒸気量などを求める。
<DMNを用いた場合の問題点>
次に、図3及び図4を参照して、LAS法において試験用燃料として一般的に用いられているDMN(1,3-ジメチルナフタレン)の問題点について具体的に説明する。
図3は、DMNと軽油の噴霧画像の具体例を示す図である。図3(a)及び(c)は、DMNの噴霧画像の一例を示し、図3(b)及び(d)は、軽油の噴霧画像の一例を示している。具体的には、図3(a)及び(b)は、微小量(0.27mg)の燃料を噴射したときの噴霧画像を示し、図3(c)及び(d)は、エンジンの中負荷運転時のメイン噴射に適用される量(2.97mg)の燃料を噴射したときの噴霧画像を示している。これら図3(a)〜(d)の噴霧画像は、燃料を噴射してから1.5ms経過したときに得られたものである。
図3(a)及び(b)より、燃料噴射量が小さい場合には、DMNよりも軽油のほうが燃料の到達距離が長いが、図3(c)及び(d)より、燃料噴射量が大きい場合には、DMNのほうが軽油よりも燃料の到達距離が長いことがわかる。また、図3(a)〜(d)より、DMNのほうが軽油よりも噴射角が狭いことがわかる。このようなことから、DMNと軽油とでは、噴霧形状が若干異なることがわかった。したがって、軽油の噴霧特性をより詳細に解明するという目的においては、DMNでは、軽油の噴霧挙動の模擬性が十分ではないと言える。
図4は、DMNを用いてLAS法を行った場合に計測された燃料蒸気量の結果を示す図である。図4は、横軸に、燃料を実際に噴射した量である燃料噴射量(mg)を示し、縦軸に、LAS法を行った場合に計測された燃料蒸気量(mg)を示している。具体的には、図4中の黒く塗られた三角形(▲)が、DMNを用いたLAS法により計測された、燃料噴射量と燃料蒸気量との関係を示している。なお、図4では、試験用燃料としてのDMNが完全に蒸発したとき(つまり液相が全て消えて燃料が完全に蒸気相になったとき)に計測された結果を示している。
燃料蒸気量が正確に計測された場合には、符号L1で示すライン上に、計測された燃料蒸気量の点(黒く塗られた三角形)が位置するはずである。しかしながら、実際には、計測された燃料蒸気量の点がラインL1よりも下方に位置していることがわかる。特に、燃料噴射量が大きいほど、実際の燃料噴射量と計測された燃料蒸気量との乖離が大きいことがわかる(燃料噴射量が3mgである場合に60%程度の計測誤差が生じている)。このような結果は、DMNを実際に噴射した量に対して、燃料蒸気量が少なく計測されたことを意味する。
以上述べたことから、LAS法の試験用燃料としてDMNを用いた場合には、LAS法によって計測される燃料蒸気量の精度が確保されないことがわかった。LAS法の計測対象である燃料蒸気量は、軽油の噴霧特性(特に蒸発特性)をより詳細に解明する上では重要な指標であるため、燃料蒸気量の計測精度を改善することが望ましいと言える。
ここで、図5を参照して、DMNを用いてLAS法を行った場合に燃料蒸気量の精度が低下した理由について説明する。図5(a)は、横軸に、燃料噴霧の水平方向位置(例えば画像のピクセルで表される)を示し、縦軸に、噴霧された燃料を透過した紫外光が入射されるカメラ22bの出力(カメラ22bに入射される紫外光の輝度に相当する)を示している。図5(a)の横軸に示す水平方向位置は、図5(b)に示すような、燃料噴霧の範囲内に含まれる、インジェクタ14に対向する任意の水平線L2上の位置に相当する。
図5(a)において、グラフG11は、試験用燃料としてDMNを用いてLAS法を行った場合に得られた、燃料噴霧の水平方向位置とカメラ22bの出力との関係を示している。このグラフG11は、DMNが完全に蒸発したときに計測された結果であるものとする。また、図5(a)の符号R11は、カメラ22bの感度域を示している。ここでいう感度域R11は、カメラ22bによって検出可能な入射光による照度の範囲に対応するものであり、入射光による照度とカメラ22bの出力とが線形の関係(比例関係)になるような範囲である。入射光の照度が感度域R11を上回っていくと、カメラ22bから固定値(最大値)が出力され続け、入射光の照度が感度域R11を下回っていくと、カメラ22bから固定値(最小値)が出力され続ける。
グラフG11より、インジェクタ14の中心軸線付近の大部分の燃料噴霧に対応するカメラ22bの出力が、カメラ22bの感度域R11の下限に対応する値になっていることがわかる。言い換えると、インジェクタ14の中心軸線付近では、水平方向位置に依らずに、カメラ22bの出力が、感度域R11の下限に対応する値に近い値になっており、ほぼ一様になっていることがわかる。理論上は、インジェクタ14の中心軸線近傍で蒸気相の濃度が最も高くなるため、このインジェクタ14の中心軸線近傍で紫外光が蒸気相に吸収されて減衰する度合いが最も大きくなる。そのため、インジェクタ14の中心軸線近傍でカメラ22bの出力が最も低くなるような、正規分布を反転させたような形状の出力(グラフG12参照)が得られるはずである。しかしながら、このグラフG12に示すようなカメラ22bの出力は感度域R11を下回っているため(つまり感度域R11の下側の領域R12に含まれているため)、実際には、グラフG12に示すようなカメラ22bの出力が得られずに、感度域R11内に収まったグラフG11に示すようなカメラ22bの出力が得られたのである。即ち、カメラ22bの出力が、感度域R11による制限を受けたのである。
このような場合には、DMNの噴霧を透過した紫外光の実際の輝度(つまりDMNの蒸気相を透過して減衰された後の紫外光の輝度)よりも高い輝度に対応する値がカメラ22bから出力されることとなる。そのため、図4に示したように、DMNを実際に噴射した量よりも少ない燃料蒸気量が計測されてしまい、燃料蒸気量の計測精度が低下してしまったのである。以上述べたようなDMNを用いた場合の結果は、LAS法に適用する試験用燃料としてはDMNの紫外光の吸光度が高過ぎたために生じたものと考えられる。即ち、DMNのモル吸光係数が大き過ぎて、LAS法において紫外光画像を撮影するカメラ22bの感度域R11を下回るほど、DMNの蒸気相が紫外光を大きく減衰させてしまったために生じたものと考えられる。
<本実施形態に係る試験用燃料>
次に、本発明の実施形態による試験用燃料について説明する。本実施形態では、軽油の噴霧特性をより詳細に解明するべく、上述したDMNよりも、軽油の噴霧挙動の模擬性を向上させることができると共に、LAS法による燃料蒸気量の計測精度を向上させることができる物質を試験用燃料として適用する。
図6は、本発明の実施形態において適用する試験用燃料を含む種々の燃料についての物性を示す表である。具体的には、図6には、軽油と、DMNとしての1,3-ジメチルナフタレン(C1212)と、n−トリデカン(C1328)と、α-メチルナフタレン(C1110)とについて、沸点(℃)、密度(kg/m3)及び動粘度(mm2/s)を示している。図6より、n−トリデカンは、DMNよりも、密度が軽油に近い値を有していることがわかる。そのため、n−トリデカンは、DMNよりも、軽油の噴霧挙動の模擬性が高いと考えられる。したがって、本実施形態では、LAS法の試験用燃料として、DMNの代わりにn−トリデカンを適用することとした。なお、このn−トリデカンは、高圧下でも凝固の影響を受けない物質である。
ここで、n−トリデカンは、DMNよりも軽油の噴霧挙動の模擬性が高いと言えるが、DMNよりも紫外光の吸光度がかなり低い(つまり紫外光のモル吸光係数がかなり小さい)。そのため、n−トリデカンのみを試験用燃料として用いてLAS法を行った場合には、試験用燃料の蒸気相での十分な透過光減衰が得られずに信号強度(カメラ22bからの画像信号Sbのレベルに相当する)が低下することにより、適当なS/N比が得られずに、十分な計測精度を得ることができないと考えられる。したがって、本実施形態では、紫外光のモル吸光係数が比較的大きい燃料をn−トリデカンに混合した燃料を試験用燃料として用いることで、十分な吸光度を試験用燃料に具備させるようにした。
具体的には、本実施形態では、n−トリデカンとの相溶性を有し、且つ比較的大きいモル吸光係数を有し、尚且つ軽油に比較的類似した物性を有するα-メチルナフタレン(図6の右側参照)をn−トリデカンに混合させ、この混合燃料(以下では単に「トレーサ燃料」と呼ぶ。)をLAS法の試験用燃料として用いることとした。この場合、本発明者らが過去に行ったLAS法において十分な透過光減衰が得られた結果を参考にして、紫外光のモル吸光係数が100程度となるように、体積割合2.5%のα-メチルナフタレンをn−トリデカンに混合した。つまり、n−トリデカンを97.5%含み、α-メチルナフタレンを2.5%含むようなトレーサ燃料を採用した。
なお、トレーサ燃料に含まれるn−トリデカンは、本発明における「第1の物質」の一例に相当し、トレーサ燃料に含まれるα-メチルナフタレンは、本発明における「第2の物質」の一例に相当する。また、トレーサ燃料の「トレーサ」の文言は、α-メチルナフタレンが十分な紫外光吸収性を以って、蒸気相濃度などを可視化するトレーサのような役割を果たすことから用いている。
このようにn−トリデカンにα-メチルナフタレンを混合したトレーサ燃料は、n−トリデカン単体よりも高い吸光度を有することとなる。更に、体積割合2.5%のα-メチルナフタレンを混合した場合、n−トリデカンへのα-メチルナフタレンの混合量がかなり小さく、また、n−トリデカンとα-メチルナフタレンとが互いに近い蒸気圧曲線を有するため、トレーサ燃料は、n−トリデカン単体と同様に、軽油により類似した物性を有することとなる。したがって、本実施形態によるトレーサ燃料は、紫外光に対する高い吸光度と、軽油により類似した物性とを両立したものとなる。
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の実施形態によるトレーサ燃料を試験用燃料として用いた場合の、LAS法による計測結果について説明する。ここでは、n−トリデカンを97.5%含み、α-メチルナフタレンを2.5%含むトレーサ燃料を用いた場合の計測結果を例示する。
図7は、本発明の実施形態によるトレーサ燃料及び軽油の噴霧画像の具体例を示す図である。図7(a)及び(c)は、本実施形態によるトレーサ燃料の噴霧画像の一例を示し、図7(b)及び(d)は、軽油の噴霧画像の一例を示している(図3(b)及び(d)と同一である)。具体的には、図7(a)及び(b)は、微小量(0.27mg)の燃料を噴射したときの噴霧画像を示し、図7(c)及び(d)は、エンジンの中負荷運転時のメイン噴射に適用される量(2.97mg)の燃料を噴射したときの噴霧画像を示している。これら図7(a)〜(d)の噴霧画像は、燃料を噴射してから1.5ms経過したときに得られたものである。
図7(a)〜(d)より、トレーサ燃料は、DMNよりも(図3(a)及び(c)参照)、燃料の到達距離、噴射角及び噴霧形状の全てが軽油にかなり近い挙動を示していることがわかる。特に、DMNでは、軽油と比較した場合の燃料到達距離の大小関係が燃料噴射量によって逆転していたが(図3参照)、トレーサ燃料では、そのような逆転がなく、軽油の傾向を適切に捉えられていることがわかる。したがって、軽油の噴霧挙動を評価する上では、トレーサ燃料のほうがDMNよりも優れていると言える。
図8は、本発明の実施形態によるトレーサ燃料を用いてLAS法を行った場合のカメラ出力の具体例を示す図である。図8は、横軸に、燃料噴霧の水平方向位置(図5(b)で示したように定義される)を示し、縦軸に、噴霧された燃料を透過した紫外光が入射されるカメラ22bの出力(カメラ22bに入射される紫外光の輝度に相当する)を示している。なお、図8では、比較のために、図5(a)で示したDMNに関するグラフG11、G12を重ねて示している。また、図8において、図5(a)と同一の符号を付した要素は同一の意味を有するものとする。
図8において、グラフG13は、試験用燃料としてトレーサ燃料を用いてLAS法を行った場合に得られた、燃料噴霧の水平方向位置とカメラ22bの出力との関係を示している。このグラフG13は、トレーサ燃料が完全に蒸発したときに計測された結果であるものとする。グラフG13より、燃料噴霧に対応するカメラ22bの出力の全体がカメラ22bの感度域R11内に収まっていると共に、インジェクタ14の中心軸線近傍でカメラ22bの出力が最も低くなるような、正規分布を反転させたような形状の出力が得られていることがわかる。このようなカメラ22bの出力は、インジェクタ14の中心軸線近傍で蒸気相の濃度が最も高くなるため、このインジェクタ14の中心軸線近傍では紫外光が蒸気相に吸収されて減衰する度合いが最も大きくなるという傾向を反映したものとなっている。
以上に述べたように、試験用燃料としてDMNを用いた場合には、カメラ22bの感度域R11による制限を受けたグラフG11で示すようなカメラ22bの出力が得られたのに対して、試験用燃料としてトレーサ燃料を用いた場合には、カメラ22bの感度域R11による制限を受けていないグラフG13で示すようなカメラ22bの出力が得られた。これは、LAS法に適用する試験用燃料として、トレーサ燃料による紫外光の吸光度が適正なものであったからであると考えられる。つまり、本実施形態によるトレーサ燃料では、LAS法において紫外光画像を撮影するカメラ22bの感度域R11の範囲内において、トレーサ燃料の蒸気相が紫外光を適切に減衰させたのである。
図9は、本発明の実施形態によるトレーサ燃料を用いてLAS法を行った場合に計測された燃料蒸気量の結果を示す図である。図9は、横軸に、燃料を実際に噴射した量である燃料噴射量(mg)を示し、縦軸に、LAS法を行った場合に計測された燃料蒸気量(mg)を示している。具体的には、図9中の黒く塗られた丸(●)が、トレーサ燃料を用いたLAS法により計測された、燃料噴射量と燃料蒸気量との関係を示している。なお、図9では、試験用燃料としてのトレーサ燃料が完全に蒸発したとき(つまり液相が全て消えて燃料が完全に蒸気相になったとき)に計測された結果を示している。また、図9では、比較のために、図4で示したDMNに関する結果(黒く塗られた三角形)を重ねて示している。加えて、図9において、図4と同一の符号を付した要素は同一の意味を有するものとする。
図9より、試験用燃料としてトレーサ燃料を用いた場合には、計測された燃料蒸気量の点(黒く塗られた丸)が、符号L1で示すライン上にほぼ位置していることがわかる。これは、計測された燃料蒸気量が実際の燃料噴射量とほぼ等しく、燃料蒸気量が精度良く計測されたことを意味している。特に、試験用燃料としてDMNを用いた場合には、燃料噴射量が3mgであるときに60%程度の計測誤差が生じていたが、試験用燃料としてトレーサ燃料を用いた場合には、燃料噴射量が3mgであるときの計測誤差が5%以下に収まっている。このように燃料蒸気量が精度良く計測された場合、当然、蒸気相の濃度分布も精度良く求めることができる。
次に、図10及び図11を参照して、カメラ22bの特性(スペック)などに応じて、n−トリデカン及びα-メチルナフタレンを含むトレーサ燃料に適用するα-メチルナフタレンの混合比率を決定する手法について説明する。
図10は、カメラ22bの感度域と、種々の噴射条件について、燃料の蒸気相を透過して減衰された紫外光の輝度の範囲(以下「透過光減衰輝度範囲」と呼ぶ。)との関係を示す図である。図10は、横軸に、カメラ22bの撮像面照度(W/m2)、つまりカメラ22bの撮像面(例えば撮像素子)に入射される光の照度を示しており、縦軸に、カメラ22bに入射される光に対するカメラ22bの出力(カメラ22bのカウント数)を示している。
ここで例示するカメラ22bは、最大感度(最大撮像面照度)が10-6(W/m2)であるものとする。このカメラ22bにおいて、14ビット撮影を行ったときの最大カウント数である16383が出力される場合、対応する照度の光がカメラ22bの撮像面を照射しており、これ以上照度を大きくしても、カメラ22bから16383が出力され続ける。他方で、カメラ22bの暗電流によるカウント数は約500であり、カメラ22bの撮像面照度による理論上のカウント数が約500以下になった点が、カメラ22bの検出限界となる。図10のグラフG2は、このようなカメラ22bに関する撮像面照度とカメラ22bの出力(以下では適宜「カメラカウント」と呼ぶ。)との関係を示している。
グラフG2において、符号R21で示す撮像面照度の範囲では、撮像面照度とカメラカウントとが線形の関係(比例関係)となっており、この範囲R21は、カメラ22bの感度域に相当する(図5及び図8に示した範囲R11に対応するものである)。他方で、感度域R21を下回る撮像面照度の範囲R22では、撮像面照度に依らず、カメラカウントが最小値(約500)にて一定になっており、感度域R21を上回る撮像面照度の範囲R23では、撮像面照度に依らず、カメラカウントが最大値(16383)にて一定になっている。前者の範囲R22は、図5及び図8に示した範囲R12に対応するものであり、以下では適宜「下側サチュレーション領域」と呼ぶ。
上述したように、LAS法によって精度良く計測を行うためには、カメラ22bの撮影範囲において燃料噴霧が存在しない領域(以下では「噴霧バックグラウンド領域」と呼ぶ。)を通過した紫外光の輝度(基本的に輝度が最も高くなる)から、燃料の蒸気相において濃度が最も高くなるインジェクタ14の中心軸線近傍を透過した紫外光の輝度(基本的に輝度が最も低くなる)まで、くまなくカメラ22bの感度域R21に収まる必要がある。
ここで、種々の噴射条件(1)〜(4)を適用した場合の、燃料の蒸気相を透過して減衰された紫外光の輝度の範囲(透過光減衰輝度範囲)について説明する。噴射条件(1)〜(4)の具体的な内容は以下の通りである。
・噴射条件(1)は、n−トリデカンを97.5%含み、α-メチルナフタレンを2.5%含むトレーサ燃料を、自由噴霧させるという条件である。自由噴霧とは、インジェクタ14の前方に噴霧を遮る物体が無い状況で行う噴霧を意味する(以下同様とする)。噴射条件(1)では、当該トレーサ燃料を3mg噴射させ(1つの噴孔から噴射させる)、燃料を噴射してから1.0ms経過したときの透過光減衰輝度範囲を得る。
・噴射条件(2)は、n−トリデカンを97.5%含み、α-メチルナフタレンを2.5%含むトレーサ燃料を、インジェクタ14に対向する水平面を有する壁に衝突させるように噴霧を行うという条件である。噴射条件(2)では、当該トレーサ燃料を3mg噴射させ(1つの噴孔から噴射させる)、燃料を噴射してから1.0ms経過したときの透過光減衰輝度範囲を得る。この噴射条件(2)では、インジェクタ14前方の水平面を有する壁に衝突させるように噴霧を行うことで、噴射条件(1)よりも濃度の高い蒸気相の形成を図っている。
・噴射条件(3)は、n−トリデカンを99.0%含み、α-メチルナフタレンを1.0%含むトレーサ燃料を、インジェクタ14に対して凹んだ断面U字形状を有する壁に衝突させるように噴霧を行うという条件である。噴射条件(3)では、当該トレーサ燃料を25mg噴射させ(5つの噴孔から噴射させる)、燃料を噴射してから3.3ms経過したときの透過光減衰輝度範囲を得る。この噴射条件(3)では、インジェクタ14前方の断面U字形状を有する壁に衝突させるように噴霧を行うことで、噴射条件(2)よりも更に濃度の高い蒸気相の形成を図っている。
・噴射条件(4)では、DMNのみから成る燃料を、自由噴霧させるという条件である。噴射条件(4)では、DMNを3mg噴射させ(1つの噴孔から噴射させる)、燃料を噴射してから1.0ms経過したときの透過光減衰輝度範囲を得る。
図10の範囲R31〜R34は、それぞれ、上記した噴射条件(1)〜(4)により得られた透過光減衰輝度範囲を示している。これより、トレーサ燃料を用いた噴射条件(1)〜(3)では、透過光減衰輝度範囲R31〜R33の全てが、カメラ22bの感度域R21に収まっているが、DMNを用いた噴射条件(4)では、透過光減衰輝度範囲R34が、カメラ22bの感度域R21に収まっておらず、下側サチュレーション領域R22にまで延びていることがわかる。このような結果は、上述したように、DMNのモル吸光係数が大き過ぎるのに対して、n−トリデカンに対してα-メチルナフタレンを混合させたトレーサ燃料のモル吸光係数が適正なものであることを表している。カメラ22bの感度域R21に透過光減衰輝度範囲R31〜33が収まっている噴射条件(1)〜(3)においては、カメラ22bに入射される紫外光による撮像面照度に応じて、カメラ22bの出力(カメラカウント)が線形に変化することとなる。
より詳しくは、図10より、噴射条件(3)での透過光減衰輝度範囲R33が、噴射条件(1)及び(2)での透過光減衰輝度範囲R31、R32よりも、撮像面照度の低い側に延びていることがわかる。このような結果は、噴射条件(3)では、燃料の蒸気相の濃度が高いために、紫外光が蒸気相によって大きく減衰されて、紫外光によるカメラ22bの撮像面照度が低くなったことを表している。同様の理由により、噴射条件(2)での透過光減衰輝度範囲R32が、噴射条件(1)での透過光減衰輝度範囲R31よりも、撮像面照度の低い側に若干延びている。
なお、噴射条件(3)について補足すると、この条件では燃料の蒸気相の濃度がかなり高くなるため、噴射条件(1)及び(2)と同様のα-メチルナフタレンを2.5%含むトレーサ燃料を用いた場合には、透過光減衰輝度範囲が感度域R21に収まらずに、下側サチュレーション領域R22にまで延びてしまう。したがって、噴射条件(3)では、透過光減衰輝度範囲が適切に感度域R21に収まるように、噴射条件(1)及び(2)よりもα-メチルナフタレンの混合比率を下げて、α-メチルナフタレンを1.0%含むトレーサ燃料を採用することで、感度域R21に収まる透過光減衰輝度範囲R33を実現させている。
図11は、本発明の実施形態によるトレーサ燃料に適用するα-メチルナフタレンの混合比率を決定する手法についての説明図である。図11は、横軸に、単位投影面積当たりの蒸気質量(mg/cm2)を示しており、縦軸に、n−トリデカンに対するα-メチルナフタレンの混合比率(%)を示している。横軸に示す単位投影面積当たりの蒸気質量は、カメラ22bの撮像面上において単位面積を有する任意の箇所から垂直方向に延びる空間内の蒸気を全て足し合わせた質量に相当し、換言すると、カメラ22bの撮像面上において単位面積を有する任意の箇所での出力を足し合わせた値(つまり上記した「log(I0/It)」の値)に相当する。したがって、この単位投影面積当たりの蒸気質量は、燃料噴霧によって形成される蒸気相の濃度の度合いを表すものとなる。
図11において、符号R41〜R43を付した範囲は、それぞれ、上記した噴射条件(1)〜(3)にて得られた透過光減衰輝度範囲R31〜R33に対応する蒸気質量の範囲である。また、符号R51を付した領域は、図10で例示したカメラ22bについての感度域R21を下回る下側サチュレーション領域R22に相当する。図11の下側サチュレーション領域R51は、境界線L21によって規定される。境界線L21は、この境界線L21に対応する蒸気質量を超えると、蒸気相を透過した紫外光の輝度がカメラ22bの感度域R21を下回るような、単位投影面積当たりの蒸気質量(蒸気相の濃度)と、α-メチルナフタレンの混合比率との関係を示すラインである。境界線L21は、例えば、噴射条件(3)で得られた単位投影面積当たりの蒸気質量及びα-メチルナフタレンの混合比率を示す点と、噴射条件(3)以外の条件で得られた単位投影面積当たりの蒸気質量及びα-メチルナフタレンの混合比率を示す点と、から求められる。
このような境界線L21によって規定される下側サチュレーション領域R51は、単位投影面積当たりの蒸気質量が大きくなるほど、つまり蒸気相の濃度が高くなるほど、適用するα-メチルナフタレンの混合比率を小さくするのが望ましいことを示している。換言すると、単位投影面積当たりの蒸気質量が小さい場合には、つまり蒸気相の濃度が低い場合には、大小様々なα-メチルナフタレンの混合比率を適用できることを示している。
なお、下側サチュレーション領域R51を規定する境界線L21は、カメラ22bの感度が低下すると、図11の左側にシフトすることで、下側サチュレーション領域R52の範囲が広がることとなる。そのため、感度が低いカメラ22bを適用する場合には、α-メチルナフタレンの混合比率を小さくするのがよい。
他方で、符号R52を付した領域は、上述した噴霧バックグラウンド領域におけるノイズにより計測誤差が生じる低S/N領域である。この低S/N領域R52は、境界線L22によって規定される。境界線L22は、この境界線L22に対応する蒸気質量を下回ると、燃料の蒸気相を透過した紫外光であるか、噴霧バックグラウンド領域を通過した紫外光であるかを適切に区別するのが困難となるような、単位投影面積当たりの蒸気質量(蒸気相の濃度)と、α-メチルナフタレンの混合比率との関係を示すラインである。境界線L22は、種々のα-メチルナフタレンの混合比率について、噴霧バックグラウンド領域を通過する紫外光の輝度から、ノイズの最大透過光減衰率を算出し、これに対応する単位投影面積当たりの蒸気質量を求めることで得られる。
このような境界線L22によって規定される低S/N領域R52は、α-メチルナフタレンの混合比率が小さくなるほど、この低S/N領域R52に対応する単位投影面積当たりの蒸気質量の範囲が大きくなっていく。換言すると、α-メチルナフタレンの混合比率が大きくなるほど、この低S/N領域R52に対応する単位投影面積当たりの蒸気質量の範囲が小さくなっていく。つまり、このような低S/N領域R52より、α-メチルナフタレンの混合比率が大きくなるほど、噴霧バックグラウンド領域を通過した紫外光によるノイズの影響を受けにくくなると言える。
なお、低S/N領域R52を規定する境界線L22は、温度や、圧力や、カメラ22bの特性や、容器12の特性などの種々の環境条件により変化するものである。
以上をまとめると、本実施形態では、カメラ22bの特性(スペック)などに応じた、図11に示すような下側サチュレーション領域R51及び低S/N領域R52に基づき、トレーサ燃料に適用するα-メチルナフタレンの混合比率を決定する。具体的には、下側サチュレーション領域R51と低S/N領域R52との間に挟まれた領域R53に基づき、適用する燃料噴霧によって形成される蒸気相の濃度に応じたα-メチルナフタレンの混合比率を決定する。こうすることで、n−トリデカン及びα-メチルナフタレンを含むトレーサ燃料を用いたLAS法により、良好なS/N比を確保しつつ、燃料蒸気量などの計測精度を向上させることが可能となる。
好適な例では、図11より、α-メチルナフタレンの混合比率を20%以下に設定するのがよい。
<変形例>
上記した実施形態では、LAS法に適用する試験用燃料として、n−トリデカン及びα-メチルナフタレンを含むトレーサ燃料を示したが、このようなトレーサ燃料を用いることに限定はされない。他の例では、n−トリデカンの代わりに、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカン(セタン)のいずれかを適用し、それにα-メチルナフタレンを混合した燃料をトレーサ燃料として用いてもよい。
図12は、本発明の実施形態の変形例において適用する試験用燃料についての物性を示す表である。具体的には、図12には、軽油と、n−テトラデカン(C1430)と、n−ペンタデカン(C1532)と、n−ヘキサデカン(C1634)とについて、沸点(℃)、密度(kg/m3)及び動粘度(mm2/s)を示している。図12より、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンは、DMNよりも(図6参照)、軽油に近い物性(例えば密度)を有していることがわかる。そのため、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンは、DMNよりも、軽油の噴霧挙動の模擬性が高いと考えられる。したがって、このようなn−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンのいずれかを、上記したn−トリデカンの代わりに適用し、それにα-メチルナフタレンを混合した燃料をトレーサ燃料として用いてもよいと言える。
1 燃料噴霧特性解析システム
2 Nd:YAGレーザ
4 ダイクロイックミラー
8 ハーモニックセパレータ
12 容器
14 インジェクタ
16 ハーモニックセパレータ
22a、22b カメラ
24 PC(パーソナルコンピュータ)
R11、R21 カメラの感度域

Claims (6)

  1. 軽油を模擬した試験用燃料の噴霧特性を解析するための二波長レーザ吸収散乱法に使用され、
    この試験用燃料は、沸点、密度及び動粘度の少なくとも一以上が1,3-ジメチルナフタレンよりも軽油に近い値を有する第1の物質と、この第1の物質よりも紫外光に対する高い吸光性を有し、且つ第1の物質に対する相溶性を有する第2の物質とが混合されたものであり
    上記二波長レーザ吸収散乱法において噴霧された上記試験用燃料の撮影に実際に使用するカメラの感度に応じて、上記第1の物質に対する上記第2の物質の混合比率が調整され、それにより、当該混合比率は、上記二波長レーザ吸収散乱法において紫外光を上記試験用燃料に照射したときに、当該試験用燃料によって減衰された紫外光の輝度を上記カメラの感度域に収めるようになっており
    第1の物質は、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンのいずれかであり、第2の物質は、α-メチルナフタレンである、
    ことを特徴とする試験用燃料。
  2. 上記二波長レーザ吸収散乱法において容器内に噴霧された上記試験用燃料によって形成される蒸気相の濃度に応じて、上記第1の物質に対する上記第2の物質の混合比率が更に調整され、この混合比率は、上記蒸気相の濃度が高くなるほど、小さくなるよう調整されている、請求項1に記載の試験用燃料。
  3. 上記混合比率は、上記カメラの感度が低くなるほど、小さくなるよう調整されている、請求項1又は2に記載の試験用燃料。
  4. 軽油を模擬した試験用燃料の噴霧特性を解析するための二波長レーザ吸収散乱法に使用され、
    この試験用燃料は、
    n−トリデカンを97.5%含み、且つ、α-メチルナフタレンを2.5%含む、
    ことを特徴とする試験用燃料。
  5. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の試験用燃料の噴霧特性を、二波長レーザ吸収散乱法を用いて解析するための燃料噴霧特性解析システムであって、
    上記試験用燃料を所定の容器内に噴霧するインジェクタと、
    上記インジェクタによって噴霧された上記試験用燃料に照射するための可視光と紫外光とを含むレーザ光を出射するレーザ発振器と、
    上記インジェクタによって噴霧された上記試験用燃料に上記レーザ光を照射したときに、噴霧された上記試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる可視光によって形成される第1の画像と、噴霧された上記試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる紫外光によって形成される第2の画像と、を取得するカメラと、
    上記カメラによって取得された上記第1及び第2の画像に基づき、事前に求められた上記試験用燃料の紫外光に対する吸光特性を用いて、噴霧された上記試験用燃料によって形成された蒸気相を解析する解析装置と、
    を有することを特徴とする燃料噴霧特性解析システム。
  6. 二波長レーザ吸収散乱法を用いて試験用燃料の噴霧特性を解析するための燃料噴霧特性解析方法であって、
    沸点、密度及び動粘度の少なくとも一以上が1,3-ジメチルナフタレンよりも軽油に近い値を有する物質であるn−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン及びn−ヘキサデカンから選択された第1の物質と、この第1の物質よりも紫外光に対する高い吸光性を有し、且つ当該第1の物質に対する相溶性を有する第2の物質としてのα-メチルナフタレンとを混合し、上記二波長レーザ吸収散乱法において噴霧された上記試験用燃料の撮影に実際に使用するカメラの感度に応じて、上記二波長レーザ吸収散乱法において紫外光を上記試験用燃料に照射したときに、当該試験用燃料によって減衰された紫外光の輝度が上記カメラの感度域に収まるように、上記第1の物質に対する上記第2の物質の混合比率を調整する工程と、
    上記試験用燃料を所定の容器内に噴霧する工程と、
    噴霧された上記試験用燃料に照射するための可視光と紫外光とを含むレーザ光を出射する工程と、
    噴霧された上記試験用燃料に上記レーザ光を照射したときに、噴霧された上記試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる可視光によって形成される第1の画像と、噴霧された上記試験用燃料を透過後のレーザ光に含まれる紫外光によって形成される第2の画像と、を取得する工程と、
    取得された上記第1及び第2の画像に基づき、事前に求められた上記試験用燃料の紫外光に対する吸光特性を用いて、噴霧された上記試験用燃料によって形成された蒸気相を解析する工程と、
    を有することを特徴とする燃料噴霧特性解析方法。
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