JP6566176B1 - ロッカー部材および車両 - Google Patents
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Abstract
Description
また、近年、地球環境保護の観点から、電気自動車等のエコカーの開発が進んでいる。電気自動車では、床下に多数の電池が配置される。したがって、外力の電池への作用を少なくするために、電池に近接して設けられるロッカー部材の性能向上(主としてエネルギー吸収性能)が重要になる。
補強部材の配置方法としては、たとえば、車両用骨格部材の長手方向に沿って補強部材を配置する場合と、車両用骨格部材の長手方向に直交する方向に補強部材を配置する場合が考えられる。前者は、部分的に板厚が増加するため、補強部材が存在する領域の強度が向上する。後者は、補強部材が車両用骨格部材の隔壁となるため、ねじり抵抗の増大や、補強部材がある領域の強度が向上する。
一方、曲げ変形は、変形領域が限定されるため、部品重量あたりのエネルギー吸収量は小さい。特に衝突物が電柱等(ポール側突)の小さいものほど、より変形領域は小さくなるため、エネルギー吸収量はさらに小さくなる。
従来、車両用骨格部材の内部に補強部材を配置することにより、必要なエネルギー吸収量を確保していた。しかしながら、実際の衝突では、衝突箇所が限定されることがないため、ある程度の領域に補強部材を配置する必要があり、部品重量の増加が課題となる。
特許文献1に記載の発明によれば、車両用骨格部材の内部をハニカム構造体で強化することにより、補強効果の向上と部品重量の増加を軽減できるという効果がある。
このため、車両用骨格部材とハニカム構造体との接合に際しては、異種金属間における電食を防止する必要がある。このため、前記特許文献1では有機質接着剤等による接合方法に限定されてしまう。したがって、車両用骨格部材を適宜の位置で、部品重量の増加を招くことなく、効率的に補強することが困難であるという課題がある。
外力による変形初期では、中空部材を補強部材が支持するため、ロッカー部材の外力に対する強度を向上させることができる。
一方、変形後期の中空部材が圧潰した状態では、中空部材の圧潰変形とともに、補強部材も補強部材の軸方向に潰れる。補強部材が補強部材の軸方向に潰れることを座屈すると言う。補強部材の座屈への抵抗力により、ロッカー部材の外力に対する強度を向上させることができる。
そこで、多角形状断面の最も長い辺に、溝部を形成する。長い辺を溝部で分割すれば、辺が短くなるので辺の部分が変形しにくくなる。また、溝の内部や縁に筒状体の軸方向に沿った稜線を設けることで補強効果を高めることもできる。これらにより、補強部材の筒状体の外力に対する強度が向上する。溝部は筒状体の外部から内部に向かって凸になる凹溝部であってもよいし、筒状体の内部から外部に向かって凸になる凸条部であってもよい。
多角形状の断面の角部の曲率半径は、小さいほうが稜線としての補強効果上好ましいが、曲率半径が小さいほど成形時の破断が懸念される。したがって、稜線の断面の曲率半径は板厚中心で3mm以上、15mm以下が好ましい。
筒状体から構成される補強部材は、複数のプレス成形品を組み合わせ構成してもよい。それぞれのプレス成形品にフランジ部を形成しておき、フランジ部同士を接合することにより、補強部材を構成してもよい。
また、第1蓋部材が接合されることにより、補強部材の端部と中空部材とを溶接により接合する場合に比較して、溶接箇所を低減することができる。
さらに、第1蓋部材が接合されることにより、接合面積を大きく確保することができ、溶接接合に比較して、接合強度の低い接着剤等の他の接合方法を採用し易い。
第1蓋部材が側面部に接合されることにより、筒状体の軸方向のみならず、軸方向に直交する方向の補強部材の動きを拘束できる。したがって、補強部材の外力に抗する力を一層向上させることができる。
中空部材の圧潰変形時には、中空部材の第2面に近い側で圧縮変形が発生する。第1蓋部材が第2面に近い位置で接合されることにより、中空部材の圧潰変形時に、補強部材の接合箇所を圧縮変形が発生する箇所とすることができる。溶接接合した場合、溶接部の周辺には強度の低い熱影響部が生じることがある。接合箇所が引張変形すると、熱影響部起点で破断する可能性がある。故に、第1蓋部材が第2面に近い位置で接合されることにより、中空部材の圧潰変形時の接合箇所周辺の破断を抑制できる。
ここで、接着剤の接合強度は、一般に溶接よりも低いため、接着剤の材質、量は、接合強度に応じて適宜選択するのが好ましい。たとえば、接着剤を中空部材内に充填し、充填された接着剤に補強部材の第1面側の端部を埋設するようにして接合してもよい。
ロッカー部材を車両に使用した場合、中空部材の第2面側は、車両の外側に面し、車両の外面は平坦面であるとは限らない。また、車両の外側から衝突するものも、たとえば電柱や他の車両のように、必ずしも外力を加えるものが平坦面であるとは限らない。すなわち、補強部材の第2面側からの外力の入力は不均一になることが多い。これに対応し、補強部材の第2面側の端部を第2蓋部材により塞げば、外力が不均一に分散して補強部材に作用することを防止して、補強部材がいびつに変形することを防止できる。
補強部材の断面形状が不規則であると、補強部材が特定の方向に変形し易くなり、変形の途中で折れ曲がってしまうことがある。対策として、補強部材の断面が線対称であれば、対称軸を挟んで荷重が均等に分散されるので、補強部材の外力に対する強度を確保できる。
車両を構成する部材は、通常鋼材が採用され、補強部材を鋼材とすることにより、溶接等による接合性を向上させることができる上、ロッカー部材の製造コスト、部材コストの低減を図ることができる。
本開示では、前記中空部材は、鋼材から構成されているのが好ましい。
車両を構成する部材は、通常鋼材が採用され、中空部材として鋼材を採用すれば、他の部位との接合性を向上させることができる上、ロッカー部材の製造コスト、部材コストの低減を図ることができる。
前述したロッカー部材を用いた車両であれば、曲げ荷重、外力に対する強度を向上することのできる車両とするができる。
また、中空部材の第1面を車両内側に配置し、第2面を車両外側に配置すれば、車両外側からの外力に耐えることのできる車両とすることができる。
[1]第1の実施の形態
図1および図2には、本開示の第1の実施の形態に係るロッカー部材1が示されている。図1は、ロッカー部材1の延出方向に直交する断面図であり、図2は、ロッカー部材1の分解斜視図である。
ロッカー部材1は、自動車等の車両に使用され、車両のロッカーを構成する部材である。
ロッカー部材1は、中空部材2および補強部材3を備える。
内側部品21は、断面ハット形の鋼材であり、鋼材には、たとえば、厚さ寸法が1.6mmであり、引張強度が1180MPa級の高張力鋼を使用することができる。内側部品21は、底面部21A、側面部21B、およびフランジ部21Cを備える。
側面部21Bは、底面部21Aの幅方向端部のそれぞれから起ち上がり、それぞれの側面部21Bは対向配置され、車体に装着されたときに、中空部材2の上面および下面となる。
フランジ部21Cは、それぞれの側面部21Bの先端を外側に折り曲げて形成される。
内側部品21のフランジ部21Cと、外側部品22のフランジ部22Cとは、中空部材2の組み立て時に重ね合わされる。重ね合わされたフランジ部21C、22Cは、スポット溶接等によって接合され、一体化されて中空部材2が形成される。
補強部材3は、中空部材2の第1面2Aに立てて配置される。立てて配置とは、筒状体である補強部材3の軸が第1面2Aと交わる配置を意味する。補強部材3の軸と第1面2Aとのなす角は概ね90°である。また、補強部材3の六角形状の断面は、長辺および短辺を有する扁平状に形成され、六角形状の断面の長手方向が、中空部材2の長手方向に沿って配置される。
補強部材3は、六角形状の頂点から筒状体の軸方向に延びる稜線3Aから稜線3Fを有している。補強部材3は、稜線3Bおよび稜線3Eが最も離れた位置に形成され、互いに対向配置される一対の長辺面3Lを有する。補強部材3の六角形の断面は、たとえば、図3の場合には、断面の両端に位置するフランジ部34の合わせ面を結ぶ線を中心とする線対称である。
第1部材31および第2部材32は、同一形状の部材から構成され、一対の長辺面3Lが互いに平行に配置される。一対の長辺面3Lには、複数の凹溝部33、本実施の形態では4つの凹溝部33が形成される。複数の凹溝部33は、それぞれの長辺面3Lを補強部材3の軸を横切る断面において分割するように形成される。
それぞれの凹溝部33は、傾斜部331、底部332を備える。傾斜部331は、長辺面3Lに対して120°の角度をなす凹み面として形成される。底部332は、傾斜部331の凹み方向先端を連結するように形成され、長辺面3Lと平行に配置される。
補強部材3は、第1部材31および第2部材32のフランジ部34を重ね合わせ、スポット溶接等で接合することにより、製造することができる。
なお、補強部材3の材質は、鋼材である必要は必ずしもなく、アルミニウム、繊維強化合成樹脂(FRP)等の他の材質を採用してもよい。ただし、部材コストや、接合方法等の製造工程の観点からは、中空部材2と同質の材質を採用するのが好ましい。
特に、電気自動車の場合、蓄電するバッテリーが車内床下に収容されている。車体から外力が作用したときに、バッテリーに外力の影響があるとバッテリーの損傷を生じる可能性がある。ロッカー部材1であれば、車両のロッカーに作用する衝突エネルギーを、補強部材3の座屈により吸収できるので、ロッカーの車両内側に収容される電池の損傷を防止することができる。
次に、本開示の第2の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分等については、同一符号を付して説明を省略する。
前述した第1の実施の形態では、中空部材2の第1面2Aとなる内側部品21の底面部21Aに、補強部材3の第1面2A側の端部が、直接接合されていた。
第1蓋部材5は、たとえば矩形状の鋼板から構成される。鋼板には、たとえば、厚さ寸法が1.6mmの引張強度が590MPa級の高張力鋼を採用することができる。
それぞれの補強部材3の第1面2A側の端部は、第1蓋部材5の対向面に、溶接等により接合されている。また、第1蓋部材5の補強部材3が接合される対向面とは反対側の第1蓋部材5の面は、中空部材2の第1面2Aに、溶接等により接合されている。
ロッカー部材4では、第1蓋部材5が内側部品21の底面部21Aに溶接により接合される。したがって、鋼板と鋼板との間で溶接できるため、溶接施工性が向上し、溶接面積を大きく確保できる。また、補強部材3が第1蓋部材5によって一体化されるため、それぞれの補強部材3の端部を底面部21Aに溶接する場合に比較して、溶接箇所を低減することができる。なお、本実施の形態では、第1蓋部材5は、補強部材3の第1面2A側の端部を塞ぐように配置されていた。しかしながら、本開示はこれに限られない。たとえば、補強部材3の第2面2B側の端部を塞ぐ第2蓋部材を設けてもよく、第1蓋部材5および第2蓋部材の両方を設けてもよい。
次に、本開示の第3の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、補強部材3は、第1部材31および第2部材32をフランジ部34で溶接して一体化することにより形成されていた。また、補強部材3の凹溝部33は、4箇所に形成され、傾斜部331および底部332を備えていた。
補強部材6は、稜線6Aから稜線6Hを備えた八角形断面の形状を有している。
凹溝部61は、補強部材6のそれぞれの長辺面6Lに2箇所形成される。それぞれの凹溝部61は、2つの傾斜部611を有し、それぞれの傾斜部611は、凹み方向先端で交差する。傾斜部611は、長辺面6Lに対して120°をなす面として形成され、傾斜部611同士は、60°の角度で交差する。
補強部材6が一体化されることにより、補強部材6の製造を押し出し成形等で一度に一体形成できるため、補強部材6の製造手間が軽減され、製造コストを低減することができる。
次に、本開示の第4の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、補強部材3の長辺面3Lを凹溝部33で複数に分割していた。
これに対して、本実施の形態では、図6に示すように、補強部材7は、長方形状の頂点から延びる稜線7Aから稜線7Dを有し、最も長い長辺面7Lが凸条部71によって分割されている点が相違する。
側面部711は、長辺面7Lの面外方向外側に延び、長辺面7Lと90°の角度をなしている。先端面部712は、側面部711の先端同士を連結する面として形成される。先端面部712は、長辺面7Lと平行に配置される。
本実施の形態によっても、前述した実施の形態と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本開示の第5の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、補強部材3の長辺面3Lにのみ、複数の凹溝部33が形成されていた。
これに対して、本実施の形態では、図7に示すように、補強部材8は、互いに対向して配置される一対の長辺面8Lに複数の凹溝部81が形成されている他に、補強部材8の短辺面8M、8Nに凹溝部82が形成されている点が相違する。
側面部821は、短辺面8M、8Nを90°折り曲げて形成され、長辺面3Lに対して平行に配置される。底面部822は、側面部821の凹み方向の先端部同士を連結し、長辺面3Lに対して垂直に配置される。
本実施の形態によっても、前述した実施の形態と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本開示の第6の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、補強部材3は、互いに対向して配置される一対の長辺面3Lのそれぞれに凹溝部33を形成していた。
これに対して、本実施の形態では、補強部材9は、図8に示すように、一方の長辺面9Lにのみ凹溝部91が形成されており、他方の長辺面9Lには形成されていない点が相違する。
傾斜面部911は、長辺面9Lに対して所定の角度で傾斜して配置される。垂直面部912は、傾斜面部911の先端から凹溝部91の凹み方向に延び、長辺面9Lに対して90°の角度で配置される。底面部913は、垂直面部912の先端同士を連結し、長辺面9Lと平行に配置される。底面部913は、裏面が長辺面9Lと溶接等により接合される。
本実施の形態によっても、前述した実施の形態と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本開示の第7の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態では、補強部材3は、第1面2A側の端部が、第1部材31および第2部材32を切断した切り離し部であった。
これに対して、本実施の形態のロッカー部材10は、図9に示すように、補強部材11の底部がフランジ状に外側に延出している点が相違する。
また、補強部材11の内側の第1面2Aには、突起113が形成され、補強部材11の内側面が当接するようになっている。突起113は、第1面2Aの内面に溶接盛り等で形成することができる。突起113が形成されることにより、補強部材11の第1面2Aに沿った方向の動きを拘束できるため、補強効果が一層向上する。
本実施の形態によっても、前述した実施の形態と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本開示の第8の実施の形態について説明する。
前述した第2の実施の形態では、第1蓋部材5は、矩形状の鋼板から構成されていた。
これに対して、本実施の形態のロッカー部材12は、図10Aに示すように、第1蓋部材13の形状が異なる点が相違する。
底面部131は、一方の面が補強部材3の第1面2A側の端部に当接し、他方の面が第1面2Aに当接し、溶接により接合される。傾斜面部132は、底面部131の幅方向端部から所定の角度で起立して設けられる。傾斜面部132の傾斜角度は、中空部材2を構成する内側部品21の内面形状に倣うように設定されている。
傾斜面部132の先端は、中空部材2の内側部品21のフランジ部21Cの折曲位置まで延びている。
第1蓋部材13を台形状の鋼板で形成することにより、中空部材2の内部で第1蓋部材13が動くことがなくなる。したがって、補強部材3と中空部材2とが相対的に動くことを防止することができるため、補強部材3による補強効果が一層向上する。
また、第1蓋部材13の底面部131には、折曲突起131Bが形成され、補強部材3の外側側面が当接するようになっている。折曲突起131Bが形成されることにより、補強部材3の第1面2Aに沿った動きが拘束されるため、補強効果が一層向上する。
ロッカー部材12Bでは、中空部材2が圧潰変形したときに、延在部133と側面部22Bの接合箇所に圧縮方向の変形が発生する。熱影響部の影響を考えると、接合箇所が引張変形するのに比べ圧縮変形する方が接合箇所は破壊されにくい。したがって、圧潰変形時の接合箇所の接合強度を向上させることができる。
また、第1蓋部材13の底面部131には、折曲突起131Cが形成され、補強部材3の内側面が折曲突起131Cと当接するようになっている。この場合も補強部材3の第1面2Aに沿った動きが拘束されるため、補強効果が一層向上する。
ロッカー部材12Cのようにすることにより、第1蓋部材13の動きが完全に拘束されるため、補強部材3による補強効果がより向上する。
次に、本開示の第9の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態のロッカー部材1は、中空部材2を構成する内側部品21の底面部21Aに、溶接により補強部材3を接合していた。
これに対して、本実施の形態のロッカー部材14は、図11に示すように、中空部材2の第1面2Aに、接着剤15によって補強部材3を接合している点が相違する。接着剤15には、熱硬化型合成樹脂製接着剤、光硬化型合成樹脂製接着剤等の任意の接着剤を採用できる。ただし、接着剤15には、難燃剤等を添加して、難燃性を持たせたものを採用するのが好ましい。
また、中空部材2を構成する内側部品21のハット形の凹部に接着剤15を流し込むだけで、中空部材2に補強部材3を接合することができるため、施工性も良好である。
次に、本開示の第10の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態の補強部材3は、第1部材31および第2部材32の長辺面3L同士が平行になるように組み合わされていた。
これに対して、本実施の形態のロッカー部材16は、図12に示すように、軸方向に断面形状の異なる補強部材17を備える。具体的には、補強部材17が、中空部材2の第1面2Aから先端に向かって次第に幅狭になっている。
第1部材171および第2部材172は、それぞれの端部に形成されたフランジ部を突き合わせ、溶接により接合されて、補強部材17が製造される。
本実施の形態によっても、前述した実施の形態と同様の作用および効果を享受できる。
次に、本開示の第11の実施の形態について説明する。
前述した第1の実施の形態の補強部材3の外側部品22側の端部は、一つの仮想平面上にある。
これに対して、本実施の形態のロッカー部材18の補強部材19は、図13に示すように、補強部材19の外側部品22側の端部には、複数の切欠部191が形成されている点が相違する。
本実施の形態によっても、前述した実施の形態と同様の作用および効果を享受できる。
また、複数の切欠部191が形成されることにより、軸方向の力が作用した際、切欠部191の部分が先に潰れる。補強部材19の軸方向で座屈した箇所に隣接する箇所も変形しているため、変形していない箇所に比べ、補強部材19が補強部材19の軸方向に座屈しやすくなる。すなわち、先に切欠部191のある個所を座屈させることにより、補強部材19の軸方向に車外から車内の順に座屈を引き起こすことができる。
本開示は、前述した各実施の形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲で他の構造を採用することができる。
前述した第1の実施の形態では、長辺面3Lに4つの凹溝部33を形成して、補強部材3を形成していたが、本開示はこれに限られない。たとえば、図14に示すように、長辺面19Lに凹溝部33を1つしか形成していない補強部材19を採用してもよい。
その他、本開示の実施の際の具体的な構造および形状等は、本開示の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
[1]耐曲げ性能の評価
図16に示すように、ロッカー部材1(実施例1)を、2本のポールP1に支持させ、ロッカー部材1の中央にポールP2の衝突荷重を作用させ、ロッカー部材1の耐曲げ性能を評価した。ロッカー部材1は、中空部材2の内部に、厚さ寸法1.6mm、引張強度が590MPa級の高張力鋼を成形した補強部材3を配置した。補強部材3は、880g/個であった。
また、比較例として、中空部材2の内部に補強部材3を設けないロッカー部材についても耐曲げ性能を評価した。
評価特性値は、ポールP2によって作用させた荷重を、ロッカー部材の質量で除した値(荷重/部材質量:kN/kg)を採用した。
比較例の場合、図17のグラフG1に示すように、最高値でも15kN/kg以下の耐曲げ性能しか得られなかった。
図18に示すように、ロッカー部材1、4を、剛体壁W1に支持させ、ロッカー部材1、4の中央にポールP2の外力を作用させ、ロッカー部材1、4の耐圧潰性能を評価した。剛体壁は外力の作用方向に対して垂直である。
ロッカー部材1、4の補強部材3が配置された位置(中央)に250mmφのポールP2の外力を作用させた。
評価特性値についても、耐曲げ性能の評価と同様に、ポールP2によって作用させた荷重を、ロッカー部材1、4の質量で除した値(荷重/部材質量:kN/kg)を採用した。
比較例は、図19のグラフG3に示すように、最高値でも20kN/kg程度の耐圧潰性能しか得られなかった。
これに対して、実施例1の耐圧潰性能は、図19のグラフG4に示すように、100kN/kgの最高値を得ることができた。したがって、中空部材2の内部に補強部材3を配置することにより、大幅な部品重量の増加を招くことなく、耐圧潰性能が格段に向上することが確認された。
実施例3は、図20のグラフG5の結果であった。一方、実施例4は、図20のグラフG6の結果であった。
実施例3および実施例4は、両者ともに良好な結果となったことが確認された。したがって、垂直方向から荷重を作用させた場合、ロッカー部材1、4は、同等の耐圧潰性能を有することが確認された。
斜め方向の耐荷重性能は、車両が電柱等に斜め方向から衝突した場合を想定しており、NHTSA(国家道路交通安全局)における車両の側突試験方法の1つとなっている。
実施例5は、図22のグラフG7の結果となり、十分な耐圧潰性能を有することが確認された。しかしながら、実施例6は、図22のグラフG8の結果となり、耐圧潰性能は十分であるものの、実施例5と比較して耐圧潰性能が低下することが確認された。
このことから、ロッカー部材4は、補強部材3の軸方向以外から作用する外力によって、耐圧潰性能が大きく変化しないことを意味し、ロッカー部材4は、ロバスト性が高いことを意味する。
Claims (9)
- 中空部材と、
補強部材と、
第1蓋部材と
を備え、
前記中空部材は、内部に互いに対向する第1面と第2面とを備え、
前記補強部材は、前記中空部材の内部の前記第1面または前記第2面に立っていて、
前記補強部材は、多角形状の断面を有する筒状体であり、
前記多角形状の断面の最も長い辺には前記筒状体の軸方向に沿って伸びる溝部があり、
前記補強部材には、前記第1蓋部材が前記第1面側の端部を塞ぐように接合され、
前記第1蓋部材は、前記第1面に接合されている
ロッカー部材。 - 請求項1に記載のロッカー部材において、
前記第1蓋部材は、前記中空部材の前記第1面と前記第2面の間の側面部に接合されるロッカー部材。 - 請求項2に記載のロッカー部材において、
前記第1蓋部材は、前記第1面より前記第2面に近い位置で接合されるロッカー部材。 - 請求項1に記載のロッカー部材において、
前記補強部材の第1面側の端部と前記中空部材とは、接着剤を介して接合されるロッカー部材。 - 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のロッカー部材において、
前記補強部材には、前記第2面側の端部を塞ぐ第2蓋部材が接合されているロッカー部材。 - 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のロッカー部材において、
前記補強部材は、前記多角形状の断面が線対称であるロッカー部材。 - 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のロッカー部材において、
前記補強部材は、鋼材から構成されているロッカー部材。 - 請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のロッカー部材において、
前記中空部材は、鋼材から構成されているロッカー部材。 - 請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のロッカー部材を、前記中空部材の第1面を車両内側に配置し、前記第2面を車両外側に配置した車両。
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