JP6565666B2 - 積層透明導電膜、積層配線膜及び積層配線膜の製造方法 - Google Patents

積層透明導電膜、積層配線膜及び積層配線膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えばディスプレイあるいはタッチパネル等の透明電極膜として使用可能な積層透明導電膜、この積層透明導電膜からなる積層配線膜及び積層配線膜の製造方法に関するものである。
液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、及び、タッチパネル等においては、透明電極膜として、例えば特許文献1−4に示すような透明導電膜が提供されている。この透明導電膜には、可視光域の光の透過率が高く、かつ、電気抵抗の低いものが要求される。
ここで、特許文献1においては、透明導電膜として、透明導電酸化物の一種であるITO(In+Sn)からなるITO膜が用いられているが、このITO膜において電気抵抗を低くするためには、膜厚を厚く形成する必要があるため、可視光域の透過率が低下してしまう。よって、高い透過率と低い電気抵抗を両立することが困難であった。
また、特許文献2においては、Cuなどのメタルメッシュ材が用いられているが、このメタルメッシュ材において電気抵抗を低くするためには、メタル部分の幅を広くする必要があり、やはり透過率が低下してしまうといった問題があった。また、光の反射によってメタルメッシュ材が視認されるおそれがあることから、メタルメッシュ材の表面に黒色化膜等を形成する必要があった。
特許文献3,4には、Ag合金膜と透明導電酸化物膜とを積層した積層透明導電膜が提案されている。この積層透明導電膜においては、Ag合金膜によって導電性が確保されていることから、電気抵抗を低くするために透明導電酸化物膜を厚く形成する必要がなくなり、比較的高い透過率を得ることが可能となる。
特開2008−310550号公報 特開2006−344163号公報 特開昭63−110507号公報 特開平09−232278号公報
ところで、最近では、ディスプレイあるいはタッチパネル等においては、配線及び透明電極の微細化がさらに進められており、さらに、大画面化によって配線及び透明電極の長さが長くなってきており、透明電極として、従来にも増して電気抵抗が低く、かつ、可視光域の透過率に優れた透明導電膜が求められている。
ここで、特許文献3,4に記載された積層透明導電膜において、さらなる透過率の向上を図るためには、Ag合金膜の膜厚を薄くする必要がある。しかしながら、単にAg合金膜を薄くした場合には、Agが凝集しやすくなり、このAgの凝集によって表面プラズモン吸収が発生し、透過率が大幅に低下してしまうといった問題があった。また、Agの凝集によってAg合金膜が不連続膜となるため、電気抵抗も増加してしまう。
このため、従来の積層透明導電膜においては、さらなる電気抵抗の低下及び透過率の向上を図ることができなかった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、透過率が十分に高く、かつ、電気抵抗が十分に低い積層透明導電膜、この積層透明導電膜からなる積層配線膜及び積層配線膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の積層透明導電膜は、基材の表面に下地層として成膜されるGa膜と、このGa膜上に成膜されたAg合金膜と、このAg合金膜上に成膜された透明導電酸化物膜と、を備えており、前記Ag合金膜は、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上を合計で0.2原子%以上1.5原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなるAg合金で構成されていることを特徴とする。
本発明の積層透明導電膜によれば、下地層としてGa膜が形成され、このGa膜の上に、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上を含有するAg合金からなるAg合金膜が成膜されているので、Ag合金膜の濡れ性が向上することになり、Ag合金膜を薄く成膜した場合であっても、Agの凝集が抑制され、連続した膜を成膜することができる。
よって、Agの凝集による表面プラズモン吸収の発生を防止でき、高い透過率を得ることができる。また、連続膜となるため、電気抵抗も低くすることができる。
ここで、本発明の積層透明導電膜においては、波長400〜800nmの可視光域の平均透過率が85%以上、シート抵抗値が10Ω/□以下であることが好ましい。
この場合、可視光域の平均透過率が85%以上、かつ、シート抵抗値が10Ω/□以下とされているので、十分に高い透過率及び十分に低い電気抵抗を有しており、微細化された透明電極膜として使用することができる。
また、本発明の積層透明導電膜においては、前記Ag合金膜の厚さが10nm以下とされていることが好ましい。
この場合、Ag合金膜の厚さが10nm以下とされているので、透過率を向上させることができる。また、下地層としてGa膜が形成されているので、Ag合金膜の厚さを10nm以下と薄く形成しても、Agの凝集がなく連続膜となるため、電気抵抗が低くなる。
さらに、本発明の積層透明導電膜においては、前記透明導電酸化物膜は、In系酸化物、ZnO系酸化物、及び、SnO系酸化物のいずれか1種又は2種以上を含むことが好ましい。
この場合、透明導電酸化物膜が上述の透明導電酸化物で構成されているので、透明導電酸化物膜における導電性及び透過率が確保されることになり、電気抵抗が低く、かつ、透過率の高い積層透明導電膜を構成することができる。
本発明の積層配線膜は、上述の積層透明導電膜からなり、配線パターンを有することを特徴とする。
本発明の積層配線膜によれば、上述の積層透明導電膜からなることから、低い電気抵抗と高い透過率を有する。
本発明の積層配線膜の製造方法は、上述の積層配線膜の製造方法であって、基材の成膜面にパターン状のレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、前記レジスト膜が形成された前記基材の成膜面に、前記Ga膜、前記Ag合金膜及び前記透明導電酸化物膜を含む前記積層透明導電膜を成膜する積層透明導電膜成膜工程と、前記レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程と、を備えていることを特徴とする。
通常、配線パターンを形成する場合、積層透明導電膜を成膜した後に酸性の溶液を用いたエッチングによりパターン形成を行う。ここで、上述の積層透明導電膜は、Ga膜、Ag合金膜、透明導電酸化物膜が積層された構造とされており、Ga膜、Ag合金膜、透明導電酸化物膜のエッチング速度を一致させることが困難であることから、Ag合金膜のオーバーエッチングやGa膜、透明導電酸化物膜の残渣の発生等の問題が生じる。
そこで、本発明の積層配線膜の製造方法では、基材の成膜面にレジスト膜をパターン状に形成し、前記レジスト膜が形成された前記基材の成膜面に積層透明導電膜を成膜する構成とした。これにより、積層透明導電膜を成膜した後に、レジスト膜を基材から除去すると、レジスト膜が形成されていなかった領域にのみ積層透明導電膜が残存し、配線パターンを有する積層配線膜を形成することが可能となる。このため、エッチング工程を行う必要がなく、配線パターンを精度良く形成することができる。
本発明の積層透明導電膜によれば透過率が十分に高く、かつ、電気抵抗が十分に低い積層透明導電膜、この積層透明導電膜からなる積層配線膜及び積層配線膜の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態の積層透明導電膜の一部拡大断面図である。 実施例において下地層(第1層)の上にAg合金膜(第2層)を形成した状態を観察した結果を示す写真である。(a)が本発明例3、(b)が比較例1、(c)が比較例11である。 本発明の実施形態の積層配線膜の一部拡大断面図である。 本発明の実施形態の積層配線膜の製造方法を示すフロー図である。 本発明の実施形態の積層配線膜の製造方法の説明図である。
以下に、本発明の実施形態である積層透明導電膜について、添付した図を参照して説明する。
本実施形態における積層透明導電膜10は、各種ディスプレイ及びタッチパネルの透明電極膜として使用されるものであり、特に、タブレットサイズ以上の静電容量タイプのタッチパネルにおいて使用されるものとされている。
本実施形態である積層透明導電膜10を図1に示す。この積層透明導電膜10は、例えば基板20の一面に下地層として成膜されたGa膜11と、このGa膜11上に成膜されたAg合金膜12と、このAg合金膜12上に成膜された透明導電酸化物膜13と、を備えている。なお、基板20としては、例えばガラス基板、樹脂フィルム等を用いることができる。
そして、本実施形態においては、積層透明導電膜10は、波長400〜800nmの可視光域の平均透過率が85%以上、シート抵抗値が10Ω/□以下とされている。
なお、積層透明導電膜10の波長400〜800nmの可視光域の平均透過率は85%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。また、積層透明導電膜10のシート抵抗値は10Ω/□以下であることが好ましく、8Ω/□以下であることがさらに好ましい。
Ag合金膜12は、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上を合計で0.2原子%以上1.5原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなるAg合金で構成されている。
本実施形態において、Ag合金膜12を構成するAg合金が含有するIn,Sn,Sbといった元素は、Ag合金膜12のGa膜11に対する濡れ性を向上させる作用効果を有する元素であり、Ag合金膜12を薄く形成した場合であってもAgの凝集を抑制することが可能となる。
ここで、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上の合計含有量が0.2原子%未満の場合には、上述の作用効果を十分に奏功せしめることができないおそれがある。一方、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上の合計含有量が1.5原子%を超えると、Ag合金膜12の透過率が低下し、かつ、抵抗値が上昇するおそれがある。
このような理由から、本実施形態では、Ag合金膜12を構成するAg合金におけるIn,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上の合計含有量を0.2原子%以上1.5原子%以下の範囲内に規定している。
なお、上述の作用効果を確実に奏功せしめるためには、Ag合金膜12を構成するAg合金におけるIn,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上の合計含有量の下限を0.2 原子%以上とすることが好ましく、0.5原子%以上とすることがさらに好ましい。一方、透過率の低下や抵抗率の上昇をさらに抑制するためには、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上の合計含有量の上限を1.5原子%以下とすることが好ましく、1.0原子%以下とすることがさらに好ましい。
また、本実施形態においては、透明導電酸化物膜13が、In系酸化物、ZnO系酸化物、及び、SnO系酸化物を含有するものとされている。具体的には、In3、ITO(In+Sn)、IZO(In+Zn)、ZnO、AZO(ZnO+Al)、GZO(ZnO+Ga)、ZIO(ZnO+In)、SnO、ATO(SnO+Sb)、FTO(SnO+F)及びこれらの混成酸化物(In+ZnO+SnO)等が挙げられる。ここで、( )内は、酸化物が主成分または主要成分で、金属元素またはフッ素は微量成分であることを表わす。
なお、ここでいう「主成分」は、50質量%以上を含有するものであり、「主要成分」は、50質量%以上99.9質量%以下を含有するものであり、「微量成分」は、0.1質量%以上20質量%以下を含有するものである。
ここで、本実施形態では、透過率を向上させるために、Ag合金膜12の膜厚t2を10nm以下に設定している。なお、さらなる透過率の向上を図る場合には、Ag合金膜12の膜厚t2を8nm以下とすることが好ましく、6nm以下とすることがさらに好ましい。また、Ag合金膜12の膜厚t2の下限は2nm以上とすることが好ましく、3nm以上とすることがさらに好ましい。
そして、Ga膜11の膜厚t1と透明導電酸化物膜13の膜厚t3は、各単相膜での光学定数(屈折率及び消衰係数)を用いて、Ga/Ag合金/透明導電酸化物(TCO)の3層構造で光学シミュレーションを行い、可視光域の透過率が光学的干渉効果によって向上する膜厚としている。
Ga膜11の膜厚t1及び透明導電酸化物膜13の膜厚t3は、およそ以下のような範囲の膜厚とすることが好ましい。
t1=550/(4×n1)×k1,t3=550/(4×n3)×k3
ここで、n1,n3は、Gaの屈折率(n1)及び透明導電酸化物の屈折率(n3)である。また、k1,k3は、Gaの係数(k1)及び透明導電酸化物の係数(k3)である。
なお、係数k1、k3は、Ga及び透明導電酸化物によってそれぞれ最適値が異なるが、係数k1,k3は、0.2〜0.8の範囲であることが好ましく、0.4〜0.7の範囲であることがさらに好ましい。特に、係数k1,k3が0.6程度であると、Ga及び透明導電酸化物の種類によらず可視光域の透過率が向上することになる。
本実施形態では、上述の光学シミュレーションの結果、Ga膜11の膜厚t1を44nm、透明導電酸化物膜13(ITO、ZnO、SnO)の膜厚t3を40nmに設定している。これらの膜厚は、係数k1,k3を0.6とした場合の膜厚である。
次に、本実施形態である積層透明導電膜10の製造方法について説明する。本実施形態では、基板20の上に、Ga膜11、Ag合金膜12及び透明導電酸化物膜13を、それぞれスパッタリング法によって成膜している。
まず、基板20の上に下地層として、Ga膜11を成膜する。Ga膜11は、膜組成が制御しやすい焼結ターゲットを用いて、RFスパッタによって成膜することが好ましい。
次に、成膜されたGa膜11の上に、Ag合金ターゲットを用いてDCスパッタによってAg合金膜12を成膜する。このAg合金ターゲットは、成膜されるAg合金膜12の組成に応じた組成とされている。
そして、成膜されたAg合金膜12の上に、透明導電酸化物ターゲットを用いてDCスパッタによって透明導電酸化物膜13を成膜する。なお、透明導電酸化物ターゲットは、膜組成が制御しやすい焼結ターゲットとすることが好ましい。
以上のようにして、本実施形態である積層透明導電膜10が得られる。
以上のような構成とされた本実施形態である積層透明導電膜10においては、基板20の表面に下地層としてGa膜11が形成され、このGa膜11の上にAg合金膜12が成膜されており、Ag合金膜12が、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上を合計で0.2原子%以上1.5原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなるAg合金で構成したものとされているので、Ag合金膜12の濡れ性が向上し、Ag合金膜12を薄く成膜した場合であっても、Agの凝集が抑制される。よって、Agの凝集による表面プラズモン吸収の発生を防止でき、高い透過率を得ることができる。また、連続膜となるため、電気抵抗も低くすることができる。
さらに、本実施形態では、Ag合金膜12の厚さt2を10nm以下に設定しているので、透過率を向上させることができる。また、下地層としてGa膜11が形成されているので、Ag合金膜12の厚さが10nm以下としてもAgの凝集がなく連続膜となり、電気抵抗を低くすることができる。
また、本実施形態では、透明導電酸化物膜13が、In系酸化物、ZnO系酸化物、及び、SnO系酸化物のいずれか1種又は2種以上を含むものとされており、具体的には、In3、ITO、IZO、ZnO、AZO、GZO、ZIO、SnO、ATO、FTO及びこれらの混成酸化物(In+ZnO+SnO)等とされているので、透明導電酸化物膜13における導電性及び透過率が確保されることになり、電気抵抗が低く、かつ、透過率の高い積層透明導電膜10を構成することができる。
そして、本実施形態では、波長400〜800nmの可視光域の平均透過率が85%以上、シート抵抗値が10Ω/□以下とされており、十分に高い透過率及び低い電気抵抗を有しているので、微細化された透明電極膜として使用することができる。
次に、本発明の実施形態である積層配線膜30及び積層配線膜30の製造方法について、図3から図5を参照して説明する。
本実施形態である積層配線膜30は、図3に示すように、図1に示す積層透明導電膜10に配線パターンが形成されたものである。
この積層配線膜30は、以下のようにして製造される。
まず、基板21の成膜面にレジスト膜41を成膜し、このレジスト膜41に露光・現像することで、配線パターンを反転させた反転パターンを形成する(レジスト膜形成工程S01)。
次に、反転パターンを有するレジスト膜41が形成された基板21上に、スパッタ法により、Ga膜11、Ag合金膜12、透明導電酸化物膜13を順に成膜する。これにより、レジスト膜41及び基板21上に積層透明導電膜10が形成される(積層透明導電膜成膜工程S02)。
次に、レジスト膜41を除去する(レジスト膜除去工程S03)。すると、反転パターン状のレジスト膜41上に成膜された積層透明導電膜10は除去され、配線パターンを有する積層配線膜30が形成される。
この構成の積層配線膜30及び積層配線膜30の製造方法によれば、配線パターンを形成する際に、エッチングを行う必要がないため、Ga膜11、Ag合金膜12、透明導電酸化物膜13のエッチング速度の違いによるAg合金膜12のオーバーエッチング及びGe膜11、透明導電酸化物膜13の残渣の発生を抑制でき、配線パターンを精度良く形成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、Ga膜11の膜厚を44nm、透明導電酸化物膜13の膜厚を40nmのものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の膜厚としてもよい。ただし、本実施形態に記載したように、光学シミュレーションを行い、光干渉効果によって透過率が向上する膜厚を選択することが好ましい。
(実施例1)
本発明に係る積層透明導電膜の作用効果について確認した確認実験の結果について説明する。
ガラス基板(無アルカリガラス:50mm×50mm×1mmt)の表面に、表1、2に示す構造の積層透明導電膜をスパッタリング法により成膜した。なお、比較例A,Bでは、ITO単層膜をスパッタリング法により成膜した。また、比較例Bのみ、ガラス基板を200℃に加熱して成膜した。
ここで、Ga膜、及び、SnO膜、ZnO膜、ITO膜の膜厚は、実施の形態で説明した光学シミュレーションを行い、光学的干渉効果によって可視光域の透過率が向上する膜厚を選択した。
なお、Ga膜、Ag合金膜及び透明導電酸化物膜(SnO膜、ZnO膜、ITO膜)の膜厚は、膜厚計(アルバック社製 DEKTAK)を用いて測定した。
Ga膜、SnO膜、ZnO膜の作製には、それぞれの酸化物の焼結体ターゲットを用いた。ITO膜の作製には、InとSnOの総和に対しSnOを10質量%含むITO焼結体ターゲットを用いた。Ag合金膜の作製には、表1、2に記載された組成のAg合金ターゲットを用いた。それぞれの膜の成膜条件を以下に示す。
<Ga膜の成膜条件>
スパッタリング装置:マグネトロンスパッタ装置(アルバック社製CS−200)
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、垂直成分)
到達真空度:5×10−5Pa以下
スパッタリングガス:Ar+Oの混合ガス(Oの混合比1%)
スパッタリングガス圧:0.4Pa
スパッタリングパワー:RF100W
<透明導電酸化物膜(SnO膜、ZnO膜、ITO膜)の成膜条件>
スパッタリング装置:マグネトロンスパッタ装置(アルバック社製CS−200)
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、垂直成分)
到達真空度:5×10−5Pa以下
スパッタリングガス:Ar+Oの混合ガス(Oの混合比2%)
スパッタリングガス圧:0.4Pa
スパッタリングパワー:DC100W
<Ag合金膜の成膜条件>
スパッタリング装置:マグネトロンスパッタ装置(アルバック社製CS−200)
磁界強度:1000Gauss(ターゲット直上、垂直成分)
到達真空度:5×10−5Pa以下
スパッタリングガス:Ar
スパッタリングガス圧:0.5Pa
スパッタリングパワー:DC100W
得られた積層透明導電膜及びITO単層膜について、平均透過率及びシート抵抗を以下のようにして評価した。また、本発明例3、比較例1、比較例11において、下地層(第1層)の上にAg合金膜(第2層)を成膜した後、Ag合金膜の状態を以下のようにして観察した。
<平均透過率>
分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製 U4100)を用いて、400nmから800nmの波長範囲における透過率スペクトルを測定し、平均透過率を求めた。評価結果を表1、2に示す。
<シート抵抗>
表面抵抗測定器(三菱油化社製 Loresta AP MCP−T400)を用いて、四探針法によって抵抗率を測定した。評価結果を表1、2に示す。
<Ag合金膜の状態>
走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製 SU8000)を用いて、10万倍の倍率で膜の状態を観察した。観察結果の一部を図2に示す。
本発明例では、平均透過率がいずれも85%を超えており、さらに、シート抵抗がいずれも10Ω/□以下であり、透過率に優れ、かつ、抵抗が十分に低い積層透明導電膜が得られることが確認された。なお、本発明例3においては、図2(a)に示すように、Ag合金膜が連続膜となっており、Agの凝集が抑制されていた。
一方、Ga膜の上に純AgからなるAg膜を形成した比較例1−6、及び、下地層としてITO膜を用いた比較例11−16においては、平均透過率がいずれも85%以下であり、シート抵抗は対応する本発明例に比べて高くなっていた。AgおよびAg合金膜においてAgの凝集が発生したためと推測される。なお、比較例1及び比較例11においては、図2(b)及び図2(c)に示すように、Agが凝集しており、Ag合金膜が不連続となっていた。
また、比較例Aでは、ITO単層膜を600nmと厚く形成することで、シート抵抗を10Ω/□以下としたが、平均透過率が76.4%と大きく劣化した。
さらに、比較例Bでは、ガラス基板を200℃に加熱することで、膜厚が180nmでシート抵抗が10Ω/□以下となったが、平均透過率は85%以下であった。
以上のことから、本発明例によれば、Ag合金膜を薄く形成してもAgの凝集がなく、透過率が高く、抵抗値の低い積層透明導電膜を提供可能であることが確認された。
(実施例2)
次に、上述の積層透明導電膜を用いて、配線パターンを有する積層配線膜を形成し、配線パターンの形状を評価した。
まず、配線パターンに対して反転した反転パターンを形成したレジスト膜の上に、スパッタ法により、本発明例1〜36に示す積層透明導電膜を成膜した。次に、レジスト膜を除去し、配線パターンを有する積層配線膜を得た。
得られた積層配線膜を光学顕微鏡により観察した結果、残渣や剥離のない配線パターンが精度良く形成されていた。
比較のため、基板上に、スパッタ法により、本発明例1〜36に示す積層透明導電膜を成膜した。次に、フォトリソ法により積層透明導電膜の上にレジストの配線パターンを形成した。最後に、酸性溶液をエッチャントに用いて、積層透明導電膜のエッチングを一括で行った。エッチングは、蓚酸をエッチャントとし、40℃で180秒間の条件で行った。
得られた積層配線膜を光学顕微鏡により観察した結果、透明導電酸化物膜の残渣やAg合金膜のオーバーエッチングが確認された。
以上のことから、配線パターンに対して反転した反転パターンを形成したレジスト膜の上に積層透明導電膜を成膜し、レジスト膜を除去することで、良好な配線パターンを有する積層配線膜が形成可能であることが確認された。
10 積層透明導電膜
11 Ga
12 Ag合金膜
13 透明導電酸化物膜
30 積層配線膜
41 レジスト膜

Claims (6)

  1. 基材の表面に下地層として成膜されるGa膜と、このGa膜上に成膜されたAg合金膜と、このAg合金膜上に成膜された透明導電酸化物膜と、を備えており、
    前記Ag合金膜は、In,Sn,Sbのうちの1種又は2種以上を合計で0.2原子%以上1.5原子%以下含有し、残部がAg及び不可避不純物からなるAg合金で構成されていることを特徴とする積層透明導電膜。
  2. 波長400〜800nmの可視光域の平均透過率が85%以上、シート抵抗値が10Ω/□以下であることを特徴とする請求項1に記載の積層透明導電膜。
  3. 前記Ag合金膜の厚さが10nm以下とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層透明導電膜。
  4. 前記透明導電酸化物膜は、In系酸化物、ZnO系酸化物、及び、SnO系酸化物のいずれか1種又は2種以上を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の積層透明導電膜。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の積層透明導電膜からなり、配線パターンを有することを特徴とする積層配線膜。
  6. 請求項5に記載された積層配線膜の製造方法であって、
    基材の成膜面にパターン状のレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、
    前記レジスト膜が形成された前記基材の成膜面に、前記Ga膜、前記Ag合金膜及び前記透明導電酸化物膜を含む前記積層透明導電膜を成膜する積層透明導電膜成膜工程と、
    前記レジスト膜を除去するレジスト膜除去工程と、
    を備えていることを特徴とする積層配線膜の製造方法。
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JP7257562B2 (ja) * 2021-04-27 2023-04-13 Jx金属株式会社 透明導電膜としての機能を有する積層体及びその製造方法並びに当該積層体製造用の酸化物スパッタリングターゲット

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