JP6564299B2 - 特性モデル同定方法、特性モデル同定装置、およびインテリジェントセンサ - Google Patents
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Description
インテリジェントセンサのセンサ素子には、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を利用したセンサが用いられることが多い。このようなMEMSセンサは、出力の再現性が高く経年変化が小さい一方で、個々のセンサチップで直線性や周囲環境による特性がばらつくという特徴を持つ。このため、センサ素子の特徴を十分に生かして高精度な計測を実現するには、センサ素子で実際に検出された状態量に含まれる誤差をMPUでの演算処理により補償することが重要となる。
(1)製品スペックに応じた誤差設計
再現性のある範囲内で真値に対する誤差を小さくすることが望ましく、加えて周囲環境の変化に起因する誤差も小さく抑えたい。
(2)高速計算可能な特性モデル構造
プロセス制御に用いられる工業計器に求められる応答速度は数ミリ秒のため、計測時に特性モデルを高速に演算できる必要がある。
(A)基準精度
基準周囲環境(例えば、25℃で1気圧)で得られた計測量の真値に対する基準誤差
(B)周囲環境特性
周囲環境変動時に得られた計測量の基準周囲環境での計測量に対するシフト量
したがって、特性モデル同定工程において、再現性のある範囲内で真値に対する誤差を小さくすることができ、加えて周囲環境の変化に起因する誤差も小さく抑えることが可能となり、結果として、製品スペックに応じた誤差設計を実現することが可能となる。
[特性モデル同定装置]
まず、図1を参照して、本発明の一実施の形態にかかる特性モデル同定装置10について説明する。図1は、特性モデル同定装置の構成を示すブロック図である。
センサ素子21で検出されたアナログ値からなる状態量は、A/D変換部22によりディジタル値に変換されて演算処理部23に入力される。演算処理部23では、記憶部24に登録されている特性モデルを用いて、入力された状態量から推定値が計算される。得られた推定値はD/A変換部25に入力されてアナログ値に変換され、インテリジェントセンサ20での計測結果を示す計測量として出力される。
特性モデル同定装置10には、主な機能部として、通信I/F部11、記憶部12、センサI/F部13、操作入力部14、画面表示部15、状態量取得部16、および回帰分析部17が設けられている。これらのうち、状態量取得部16および回帰分析部17は、CPUでプログラムを実行することにより実現される。
記憶部12は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、インテリジェントセンサ20から取得した状態量や、特性モデルを同定する際に用いる各種設定データ、同定した特性モデル、さらにはCPUで実行するプログラムなどの各種データを記憶する機能を有している。
操作入力部14は、キーボード、マウス、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、オペレータの操作を検出して各部に通知する機能を有している。
画面表示部15は、LCDなどの画面表示装置からなり、操作画面、設定画面、分析画面など、各種のデータを画面表示する機能を有している。
熱伝導式カロリーメータは、温度や気圧が異なる周囲環境下において、混合ガスの発熱量を精度よく計測する必要があるだけでなく、組成の異なる混合ガスについても発熱量を精度よく計測する必要がある。このため、特性同定工程では、状態量を取得する際、組成の異なる複数の混合ガスを計測対象(リファレンスガス)として用いる。
したがって、これら状態量xiと真値yiとの組が1つの学習データとして記憶部12に保存される。なお、各種周囲環境のうち、温度が25℃で気圧が1気圧の周囲環境を基準環境という。基準環境における状態量xiと真値yiとの組も、学習データとして記憶部12に保存される。
サポートベクトル回帰は非線形回帰手法の1つで、カーネル関数(基底関数)を適切に選択することで対象にあった特性モデルを設計しやすいため、広い分野で適用されてきている。
サポートベクトル回帰の1手法であるμ−ε−SVRは、汎化能力を向上させるためにパラメータμを導入したもので、状態量と真値からなる学習データを(xi,yi)(i=1〜mの整数)とすると、サポートベクトル回帰における主問題は次の式(1)のように表せる。
一般的に工業計器の性能は、(A)基準周囲環境(例えば、25℃で1気圧)で得られた計測量f(xi)の真値yiに対する基準誤差εiで示される基準精度と、(B)周囲環境変動時に得られた計測量f(xshift i)の基準周囲環境での計測量f(xbase i)に対するシフト量εkで示される周囲環境特性の2種類で定義される。
式(4)に含まれるカーネル関数K(・)を式(6)または式(7)のような多項式型のカーネル関数とすると、最終的に得られる特性式である式(5)も多項式で整理でき、これら多項式の係数が特性モデルを示す特性モデルデータとして、インテリジェントセンサ20の記憶部24に登録されることになる。
次に、図4を参照して、本実施の形態にかかる特性モデル同定装置10の動作について説明する。図4は、特性モデル同定装置の特定モデル同定処理を示すフローチャートである。
特性モデル同定装置10は、操作入力部14で検出された特性モデル同定指示に応じて、図4の特定モデル同定処理を実行する。
次に、本実施の形態にかかる特性モデル同定装置10の実施例として、熱伝導式カロリーメータの特性モデルを同定した場合について説明する。
熱伝導式カロリーメータは、MEMS熱式センサのみにより天然ガスの発熱量を計測することができるため、従来のガスクロマトグラフィと比較すると分析時間が短く、小型で安価のため、ガス取引用途やLNG受け入れ基地でのモニタリングなどの、幅広い適用が期待できる。
図5は、発熱量に関する真値と計測量との比較を示すグラフである。ここでは、特性モデル同定工程で使用したものと異なる組成成分のテスト用ガス8種類に対する、総発熱量(SCV)を真値と計測値を比較した。これにより、全てのガスに対して高い精度で計測できていることを確認できた。
以上のように、熱伝導式カロリーメータでは、本実施の形態にかかる特性モデル同定技術を採用することで、従来のガスクロマトグラフィのような組成分析を行わずに、センサ出力から発熱量を直接演算するため、高精度、高速測定、導入しやすいコストを同時に実現できることが確認できた。
次に、本実施の形態にかかる特性モデル同定装置10の実施例として、差圧・圧力発信器の特性モデルを同定した場合について説明する。
差圧・圧力発信器(以下、発信器)は、プロセスオートメーションを中心に圧力、流量、液位などの計測に使用される汎用性の高い工業計器として世界中で広く用いられている。
以上のように、プロセス制御の中心的な役割を担う発信器に対して、提案手法の特性式同定を採用することで、高度な性能要求に対応することが確認できた。
このように、本実施の形態は、回帰分析部17が、状態量取得部16により得られた状態量を独立変数とするとともに、これら状態量に基づきインテリジェントセンサ20から計測量として出力されるべき真値を従属変数として、これら独立変数と従属変数との関係を示す非線形回帰式をサポートベクトル回帰により同定し、この際、サポートベクトル回帰における数理計画問題は、予め指定された基準周囲環境で得られる計測量と真値とに関する基準誤差と、周囲環境の変化前後で得られる2つの計測量に関するシフト量とに関する制約条件を含むようにしたものである。
したがって、特性モデル同定工程において、再現性のある範囲内で真値に対する誤差を小さくすることができ、加えて周囲環境の変化に起因する誤差も小さく抑えることが可能となり、結果として、製品スペックに応じた誤差設計を実現することが可能となる。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
Claims (5)
- センサ素子と演算処理部とを有するインテリジェントセンサで、当該センサ素子により検出した複数の状態量から計測量を推定する際に用いる非線形回帰式からなる特性モデルを、予めサポートベクトル回帰により同定するための特性モデル同定方法であって、
前記インテリジェントセンサの前記センサ素子で検出された前記状態量を取得する状態量取得ステップと、
前記状態量取得ステップにより得られた前記状態量を独立変数とするとともに、これら状態量に基づき前記インテリジェントセンサから前記計測量として出力されるべき真値を従属変数として、これら独立変数と従属変数との関係を示す特性モデルをサポートベクトル回帰により同定する回帰分析ステップとを備え、
前記サポートベクトル回帰における数理計画問題は、予め指定された基準周囲環境で得られる計測量と真値とに関する基準誤差と、前記周囲環境の変化前後で得られる2つの計測量に関するシフト量とに関する制約条件を含む
ことを特徴とする特性モデル同定方法。 - 請求項1に記載の特性モデル同定方法において、
任意の周囲環境における前記状態量のそれぞれを示す状態量ベクトル、真値、および許容誤差からなる学習データをxi、yi、およびεi(i=1〜mの整数)とし、任意の周囲環境の変化前後で得られる2つの状態量ベクトルおよびシフト許容量をxbase k、xshift k、およびεk(k=1〜nの整数)とし、特徴空間への写像関数をΦ(・)とし、当該特徴空間上での超平面法線ベクトルおよび超平面バイアスをwおよびbとし、前記基準誤差に関する正規化パラメータおよび正負のスラック変数をμおよびξ,ξ’とし、前記シフト量に関する正規化パラメータおよび正負のスラック変数をμshiftおよびξshift,ξ’shiftとした場合、前記制約条件を含む前記数理計画問題は、次の式(A)
- 請求項2に記載の特性モデル同定方法において、
多項式の最大次数をPとし、p次の入力変数の添え字集合をSpとした場合、前記式(A)の双対問題で用いるカーネル関数が、次の式(B)
- センサ素子と演算処理部とを有するインテリジェントセンサで、当該センサ素子により検出した複数の状態量から計測量を推定する際に用いる非線形回帰式からなる特性モデルを、予めサポートベクトル回帰により同定するための特性モデル同定装置であって、
前記インテリジェントセンサの前記センサ素子で検出された前記状態量を取得する状態量取得部と、
前記状態量取得部により得られた前記状態量を独立変数とするとともに、これら状態量に基づき前記インテリジェントセンサから前記計測量として出力されるべき真値を従属変数として、これら独立変数と従属変数との関係を示す特性モデルをサポートベクトル回帰により同定する回帰分析部とを備え、
前記サポートベクトル回帰における数理計画問題は、予め指定された基準周囲環境で得られる計測量と真値とに関する基準誤差と、前記周囲環境の変化前後で得られる2つの計測量に関するシフト量とに関する制約条件を含む
ことを特徴とする特性モデル同定装置。 - センサ素子と演算処理部とを有するインテリジェントセンサであって、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の特性モデル同定方法に基づいて同定された特性モデルを記憶する記憶部を備え、
前記演算処理部は、前記記憶部から読み出した前記特性モデルに基づいて、当該センサ素子で検出した複数の状態量から計測量を推定する
ことを特徴とするインテリジェントセンサ。
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