以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)を説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置を備えた超音波観測システムの構成を示すブロック図である。同図に示す超音波観測システム1は、観測対象である被検体へ超音波を送信し、該被検体で反射された超音波を受信する超音波内視鏡2と、超音波内視鏡2が取得した超音波信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置3と、超音波観測装置3が生成した超音波画像を表示する表示装置4と、を備える。図1に示すブロック図では、実線の矢印が画像データに係る信号の伝送を示し、破線の矢印が制御に係る信号の伝送を示している。
超音波内視鏡2は、可撓性を有する挿入部を有し、この挿入部の先端部に、超音波観測装置3から受信した電気的なパルス信号を超音波パルス(音響パルス)に変換して被検体へ照射するとともに、被検体で反射された超音波エコーを電圧変化で表現する電気的なエコー信号に変換して出力する超音波振動子21を有する。超音波振動子21は、コンベックス振動子、リニア振動子およびラジアル振動子のいずれでも構わない。超音波内視鏡2は、超音波振動子21をメカ的に走査させるものであってもよいし、超音波振動子21として複数の素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えたり、各素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるものであってもよい。
超音波内視鏡2は、通常は撮像光学系および撮像素子を有しており、被検体の消化管(食道、胃、十二指腸、大腸)、または呼吸器(気管・気管支)へ挿入され、消化管や、呼吸器の撮像を行うことが可能である。また、その周囲臓器(膵臓、胆嚢、胆管、胆道、リンパ節、縦隔臓器、血管等)を、超音波を用いて撮像することが可能である。また、超音波内視鏡2は、光学撮像時に被検体へ照射する照明光を導くライトガイドを有する。このライトガイドは、先端部が超音波内視鏡2の被検体への挿入部の先端まで達している一方、基端部が照明光を発生する光源装置に接続されている。
超音波観測装置3は、送受信部30と、フィルタ部31と、検波部32と、輝度変化抽出部33と、輝度変化比較部34と、フィルタ選択部35と、結合部軽減フィルタ36と、信号処理部37と、画像生成部38と、入力部39と、制御部40と、記憶部41とを備える。
送受信部30は、超音波内視鏡2と電気的に接続され、所定の波形および送信タイミングに基づいて高電圧パルスからなる送信信号(パルス信号)を超音波振動子21へ送信するとともに、超音波振動子21から電気的な受信信号であるエコー信号を受信してA/D変換することによって時間ドメインのデジタルの高周波(RF:Radio Frequency)信号のデータ(以下、RFデータという)を生成、出力する。送受信部30は、受信深度が大きいエコー信号ほど高い増幅率で増幅するSTC(Sensitivity Time Control)補正を行うようにしてもよい。
フィルタ部31は、送受信部30から入力されるRFデータから所定の周波数成分(信号成分)を抽出する。フィルタ部31は、複数のフィルタ、本実施の形態1では、第1フィルタ31a、第2フィルタ31b、第3フィルタ31c、・・・、第8フィルタ31hを有する。第1フィルタ31a、第2フィルタ31b、第3フィルタ31c、・・・、第8フィルタ31hは、各々が異なる周波数成分の信号成分の時間変化を抽出する。例えば、第1フィルタ31aが4MHzを中心周波数とする周波数帯域の信号成分を通過させることによって、周波数帯域の信号成分の時間変化を抽出し、第2フィルタ31bが9MHzを中心周波数とする周波数帯域の信号成分の時間変化を抽出する。
検波部32は、フィルタ部31により抽出された信号成分を検波する。検波部32は、複数の検波部、本実施の形態1では、第1検波部32a、第2検波部32b、第3検波部32c、・・・、第8検波部32hを有する。第1検波部32a、第2検波部32b、第3検波部32c、・・・、第8検波部32hは、各々が対応するフィルタから受信した信号成分について、包絡線検波を行う。例えば、第1検波部32aは、第1フィルタ31aから受信した4MHzを中心周波数とする周波数帯域の信号成分に対して、包絡線検波を行う。
輝度変化抽出部33は、検波部32により検波された信号成分をもとに輝度変化を抽出する。具体的に、輝度変化抽出部33は、第1検波部32a、第2検波部32b、第3検波部32c、・・・、第8検波部32hが検波した結果に基づいて、超音波振動子21がエコー信号を受信した受信期間を、エコー信号を受信した複数の受信タイミングで分けた複数の期間における輝度変化(出力値の変化量)をそれぞれ抽出する。なお、本実施の形態1では、各受信タイミングの信号値を輝度とみなして輝度変化を抽出する。
輝度変化比較部34は、輝度変化抽出部33が抽出した輝度変化を比較する。具体的に、輝度変化比較部34は、輝度変化抽出部33が抽出した各検波部(第1検波部32a、第2検波部32b、第3検波部32c、・・・、第8検波部32h)の輝度変化を期間ごとに比較して、比較結果をフィルタ選択部35に入力する。比較結果には、期間ごとに、輝度変化が最大となる検波部が対応付けられた情報が含まれている。
フィルタ選択部35は、輝度変化比較部34による比較結果をもとにフィルタを選択し、選択したフィルタに対応する検波後の信号成分を結合部軽減フィルタ36に入力する。具体的に、フィルタ選択部35は、輝度変化比較部34が生成した比較結果に基づき、複数の受信タイミングで分けた複数の期間ごとに、フィルタを選択する。例えば、フィルタ選択部35は、比較結果において、ある期間において第1フィルタ31aが抽出した信号成分の輝度変化(変化量)が最も大きい場合、この期間について第1フィルタ31aを選択し、第1フィルタ31aに対応する検波後の信号成分(期間データ)を選択する。フィルタ選択部35は、各期間について、選択されたフィルタの検波後の期間データを選択することによって、期間ごとに選択された期間データが連なってなり、音線データを生成するための成分選択データを生成する。フィルタ選択部35は、このような処理を生成する音線に応じて生成する。フィルタ選択部35は、生成した複数の成分選択データを結合部軽減フィルタ36に入力する。
結合部軽減フィルタ36は、例えばローパスフィルタを用いて実現され、フィルタ選択部35から入力された成分選択データに対し、時系列で隣り合う期間の境界における出力値(本実施の形態1では輝度)の乱れ(ずれ)を軽減するべく、高周波成分を逓減させて、低周波成分のみを抽出する。結合部軽減フィルタ36は、高周波成分逓減後の成分選択データを信号処理部37に入力する。
信号処理部37は、結合部軽減フィルタ36から受信した成分選択データをもとにデジタルのBモード用受信データを生成する。信号処理部37は、結合部軽減フィルタ36から受信した成分選択データ、具体的には1音線分の音線データごとにデジタルのBモード用受信データを生成する。信号処理部37は、成分選択データに対して対数変換など公知の処理を施し、デジタルのBモード用受信データを生成する。対数変換では、成分選択データを基準電圧Vcで除した量の常用対数をとってデシベル値で表現する。このBモード用受信データでは、超音波パルスの反射の強さを示す受信信号の振幅または強度が、超音波パルスの送受信方向(深度方向)に沿って並んでいる。信号処理部37は、生成したBモード用受信データを、画像生成部38に入力する。信号処理部37は、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)もしくはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の特定の機能を実行する専用の集積回路等を用いて実現される。
画像生成部38は、信号処理部37から受信したBモード用受信データに対してスキャン方向を変換してフレームデータを生成し、該フレームデータに基づいてBモード画像データを生成する。具体的には、画像生成部38は、Bモード用受信データのスキャン方向を、超音波のスキャン方向から表示装置4の表示方向に変換する。その後、画像生成部38は、エコー信号の振幅を輝度に変換して表示する超音波画像であるBモード画像を含むBモード画像データを生成する。画像生成部38は、フレームデータに対してゲイン処理、コントラスト処理等の公知の技術を用いた画像処理を行うとともに、表示装置4における画像の表示レンジに応じて定まるデータステップ幅に応じたデータの間引き等を行うことによってBモード画像データを生成する。Bモード画像は、色空間としてRGB表色系を採用した場合の変数であるR(赤)、G(緑)、B(青)の値を一致させたグレースケール画像である。
また、画像生成部38は、信号処理部37からのBモード用受信データに走査範囲を空間的に正しく表現できるよう並べ直す座標変換を施した後、Bモード用受信データ間の補間処理を施すことによってBモード用受信データ間の空隙を埋め、Bモード画像データを生成する。
入力部39は、キーボード、マウス、タッチパネル等のユーザインタフェースを用いて実現され、各種情報の入力を受け付ける。
制御部40は、超音波観測システム1全体を制御する。制御部40は、演算および制御機能を有するCPU等の汎用プロセッサ、またはASICもしくはFPGA等の特定の機能を実行する専用の集積回路等を用いて実現される。制御部40は、記憶部41が記憶、格納する情報を記憶部41から読み出し、超音波観測装置3の作動方法に関連した各種演算処理を実行することによって超音波観測装置3を統括して制御する。なお、制御部40を信号処理部37と共通のCPU等を用いて構成することも可能である。
記憶部41は、超音波観測装置3の動作に必要な各種情報を記憶する。記憶部41は、Bモード画像の取得にかかる超音波の送信タイミングや、超音波の送信パターン(送信波の形成パターン)に関する情報などを記憶する。記憶部41は、上記以外にも、例えば増幅処理に必要な情報等を記憶する。
また、記憶部41は、超音波観測装置3の作動方法を実行するための作動プログラムを含む各種プログラムを記憶する。作動プログラムは、ハードディスク、フラッシュメモリ、CD−ROM、DVD−ROM、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。なお、上述した各種プログラムは、通信ネットワークを介してダウンロードすることによって取得することも可能である。ここでいう通信ネットワークは、例えば既存の公衆回線網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などによって実現されるものであり、有線、無線を問わない。
以上の構成を有する記憶部41は、各種プログラム等が予めインストールされたROM(Read Only Memory)、および各処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)等を用いて実現される。
続いて、穿刺針や腫瘍を含む超音波画像の生成、および信号成分の抽出について説明する。図2は、超音波振動子に対する穿刺針および腫瘍の位置や、この穿刺針および腫瘍の像を形成する音線を説明する図である。例えば、コンベックス型の超音波振動子を用いて腫瘍に穿刺針を穿刺した際、図2に示すように、超音波振動子21の一部の像21A、腫瘍の像S1、穿刺針の像Nが表示される。この場合、超音波振動子21の表面に対する法線方向(深度方向)に沿って複数の輝度値を有する音線データR1,R2,R3などの複数の音線データに基づいて、画像生成部38が超音波画像W1を生成する。
この際、各音線において、穿刺針と交差する点P11,P12,P13や、腫瘍と交差する点P14,P15では、ある特定の周波数において輝度の変化が大きくなる。しかしながら、穿刺針からの反射エコーの周波数は、走査深度に依存しておらず、同一の走査深度であっても周波数特性が同じであるとは限らない。
図3は、各音線の所定の位置における周波数スペクトルを模式的に示す図である。ここでいう「周波数スペクトル」とは、信号処理部37によって対数変換処理が施されて得られた「ある位置における強度の周波数分布」を意味する。また、ここでいう「強度」とは、例えばエコー信号の電圧、エコー信号の電力、超音波エコーの音圧、超音波エコーの音響エネルギー等のパラメータ、これらパラメータの振幅や時間積分値やその組み合わせのいずれかを指す。図3では、スペクトルL11が点P11における周波数スペクトルを示し、スペクトルL12が点P12における周波数スペクトルを示し、スペクトルL13が点P13における周波数スペクトルを示し、スペクトルL14が点P14における周波数スペクトルを示し、スペクトルL15が点P15における周波数スペクトルを示している。なお、スペクトルL16は、生体のみの周波数スペクトルであって、穿刺針および腫瘍を通過しない音線データの周波数スペクトルである。
図3に示すように、同じ穿刺針からのエコー信号であっても、位置が異なれば、強度が最も大きい周波数も異なっている。また、腫瘍と生体表面との境界においても同様に、位置が異なれば、強度が最も大きい周波数も異なる。このため、各周波数成分の期間ごとに輝度変化を抽出して、期間ごとに、画像生成に用いるための信号成分を選択する必要がある。
図4は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置の各部から出力される出力データを説明する図であって、音線データR1を生成する際の信号処理を説明する図である。本実施の形態1では、図4に示すように、期間として、受信タイミングである時間t1、時間t2、・・・、時間t8で分けた期間が設定されている。時間t1から時間t2までの第1期間、時間t2から時間t3までの第2期間、時間t3から時間t4までの第3期間、時間t4から時間t5までの第4期間、時間t5から時間t6までの第5期間、時間t6から時間t7までの第6期間、時間t7から時間t8までの第7期間が設定されているものとして説明する。なお、図2に示す点P11は、第3期間に含まれているものとする。なお、この受信タイミングは一例であり、任意に設定可能であり、各期間の幅は、同じであってもよいし、異なるものであってもよい。
輝度変化抽出部33は、各期間における輝度変化を抽出する。具体的に、輝度変化抽出部33は、第kフィルタ(1≦k≦8)が抽出した信号成分であって、検波処理が施された信号成分において、時間tn(1≦n≦8)で取得される輝度(出力値)をDk(n)とすると、第1期間の第kフィルタの輝度の変化量ΔDk(1)は、|Dk(2)−Dk(1)|で表される。同様にして、第n期間の輝度の変化量ΔDk(n)は、|Dk(n+1)−Dk(n)|で表される。輝度変化抽出部33は、フィルタごとに、各期間の輝度の変化量ΔDk(n)を算出する。なお、本実施の形態1では、受信タイミングにおける信号値(時間tnの信号値)の差分を変化量として算出するものとして説明するが、期間内の信号値の最大値と最小値との差分や、偏さなどを変化量としてもよい。
輝度変化比較部34は、輝度変化抽出部33が抽出した輝度の変化量ΔDk(n)を期間ごとにフィルタ間で比較して、比較結果をフィルタ選択部35に入力する。輝度変化比較部34は、例えば、点P11を含む第3期間では、第1フィルタの輝度の変化量ΔD1(1)がフィルタ間で最も大きい旨の比較結果を生成する。
フィルタ選択部35は、輝度変化比較部34による比較結果をもとにフィルタを選択し、選択したフィルタに対応する検波後の期間データからなる成分選択データを生成して結合部軽減フィルタ36に入力する。フィルタ選択部35は、例えば、第3期間において、第1期間の輝度の変化量ΔDk(1)が第1フィルタ31a(k=1)で最も大きい場合、第3期間の選択フィルタを第1フィルタ31aとする。同様にして、フィルタ選択部35は、各期間においてフィルタを選択する。図4では、第1〜第2期間では第2フィルタ、第3〜第4期間では第1フィルタ、第5〜第7期間では第2フィルタが選択されている。フィルタ選択部35により、各特定区間においてフィルタが選択されると、特定区間ごとに選択されたフィルタに対応する検波後の期間データが連なったデータ(成分選択データ)が生成される(図4を参照)。
なお、音線データR1について、第1フィルタ31aが抽出した周波数帯域の信号成分(期間データ)が穿刺針を明確に表示できる信号成分であるものとして選択されるものとして説明したが、音線データR2については、同じ穿刺針であっても、点P12における期間データは、第1フィルタ31aが抽出した周波数帯域の信号成分が、穿刺針を明確に表示できる信号成分であるとは限らない。音線データR2については、同様の処理によって、輝度の変化量が最も大きい周波数帯域の信号成分(期間データ)が選択される。
また、上述した例では、穿刺針を腫瘍に穿刺した場合を説明したが、このほかに、一つの音線データ上に複数の腫瘍が存在する場合もある。図5は、超音波振動子に対する腫瘍の位置や、腫瘍の像を形成する音線を説明する図である。図5では、超音波振動子21の一部の像21A、腫瘍の像S1,S2が表示される。この場合、超音波振動子21の表面に対する法線方向(深度方向)に沿って複数の輝度値を有する音線データR4などの複数の音線データに基づいて、画像生成部38が超音波画像W2を生成する。
この際、音線データR4において、超音波振動子21の像21Aの表面に位置する点P20や、腫瘍の像S1と交差する点P21,P22、腫瘍の像S2と交差する点P23,P24、超音波画像W2における音線データR4の最深の位置P25では、ある特定の周波数において輝度の変化が大きくなる。しかしながら、腫瘍の像の境界における反射エコーの周波数は、走査深度に依存しておらず、同一の深度であっても周波数特性が同じであるとは限らない。
図6は、本発明の実施の形態1に係る超音波観測装置の各部から出力される出力データを説明する図であって、音線データR4を生成する際の信号処理を説明する図である。本実施の形態1では、図4と同様に、複数の期間(第1期間〜第7期間)が設定されているものとして説明する。なお、図5に示す点P20は、第1期間の前の期間に含まれ、点P21は、第3期間に含まれ、点P22は、第5期間に含まれ、点P23は、第6期間に含まれ、点P24は、第7期間に含まれ、点P25は、第7期間よりも後の期間に含まれているものとする。
輝度変化抽出部33は、上述したように、各特定区間における輝度の変化量ΔDk(n)を算出する。その後、輝度変化比較部34は、輝度変化抽出部33が抽出した輝度の変化量ΔDk(n)を期間ごとにフィルタ間で比較して、比較結果をフィルタ選択部35に入力する。輝度変化比較部34は、例えば図6の時間t3から時間t4までの第3期間、および時間t4から時間t5までの第4期間では、第3フィルタの輝度の変化量ΔD3(3)、ΔD3(4)がフィルタ間で最も大きい旨の比較結果を生成する。また、輝度変化比較部34は、時間t6から時間t7までの第6期間、および時間t7から時間t8までの第7期間では、第8フィルタの輝度の変化量ΔD8(6)、ΔD8(7)がフィルタ間で最も大きい旨の比較結果を生成する。
フィルタ選択部35は、輝度変化比較部34による比較結果をもとにフィルタを選択し、選択したフィルタに対応する検波後の信号成分を結合部軽減フィルタ36に入力する。フィルタ選択部35は、例えば、第3期間では、第3フィルタの輝度の変化量ΔD3(3)が最も大きい場合、第3期間の選択フィルタを第3フィルタとする。同様にして、フィルタ選択部35は、各期間においてフィルタを選択する。フィルタ選択部35により、各期間においてフィルタが選択されると、期間ごとに選択されたフィルタに対応する検波後の信号成分が連なったデータ(以下、画像化データという)が生成される(図6を参照)。
このようにして、周波数帯域ごとに分割された信号成分の輝度の変化をもとに、画像を生成するための信号成分を選択して、選択した信号成分を連結することにより、穿刺針や腫瘍など、音線ごとに周波数特性が異なっても、コントラストを優先した強調表示可能な音線データを生成することができる。
続いて、本実施の形態1に係る超音波観測装置3が行う処理について、図7を参照して説明する。図7は、本実施の形態1に係る超音波観測装置が行う処理を示すフローチャートである。以下、制御部40の制御のもと、各部が動作するものとして説明する。
まず、超音波観測装置3は、超音波内視鏡2から超音波振動子21による観測対象の測定結果としてのエコー信号を受信する(ステップS101)。超音波振動子21からエコー信号を受信すると、送受信部30は、このエコー信号に対してA/D変換することによってRFデータを生成する。
その後、フィルタ部31において、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hが、フィルタ処理を行って、それぞれの周波数帯域の信号成分を抽出する(ステップS102:抽出ステップ)。フィルタ部31は、抽出した信号成分を検波部32に入力する。
検波部32では、第1検波部32a〜第8検波部32hが、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hをそれぞれ通過した信号成分に対して検波処理を施す(ステップS103)。検波部32は、検波処理後の各周波数帯域の信号成分を、輝度変化抽出部33およびフィルタ選択部35に入力する。
輝度変化抽出部33は、検波部32から周波数帯域の異なる複数の信号成分が入力されると、輝度の変化量を抽出する(ステップS104)。輝度変化抽出部33は、上述したように、各期間における輝度の変化量ΔDk(n)を算出する。輝度変化抽出部33は、算出した輝度の変化量ΔDk(n)を輝度変化比較部34に入力する。
その後、輝度変化比較部34は、輝度変化抽出部33が抽出した輝度の変化量ΔDk(n)を期間ごとにフィルタ間で比較して、比較結果をフィルタ選択部35に入力する(ステップS105)。
フィルタ選択部35は、輝度変化比較部34による比較結果をもとにフィルタを選択し、選択したフィルタに対応する検波後の信号成分を結合して、結合部軽減フィルタ36に入力する(ステップS106:フィルタ選択ステップ)。フィルタ選択部35は、期間ごとに選択したフィルタに対応する検波後の信号成分が連なった成分選択データを生成し、結合部軽減フィルタ36に入力する。
その後、結合部軽減フィルタ36が、隣り合う期間の境界における信号値のずれを軽減するべく、高周波成分を逓減させて、低周波成分のみを抽出する(ステップS107)。結合部軽減フィルタ36は、高周波成分逓減後の成分選択データを信号処理部37に入力する。
その後、信号処理部37が、結合部軽減フィルタ36から受信した高周波成分逓減後の成分選択データをもとにデジタルのBモード用受信データを生成し、画像生成部38は、信号処理部37から受信したBモード用受信データに対してスキャン方向を変換してフレームデータを生成し、該フレームデータに基づいてBモード画像データを生成する(ステップS108:画像生成ステップ)。
Bモード画像データが生成されると、制御部40は、このBモード画像データに対応する画像を表示装置4に表示させる制御を行う(ステップS109)。これにより、穿刺針の像や腫瘍の像が明確に表現された画像が、表示装置4によって表示される。
以上説明した本実施の形態1によれば、エコー信号に基づき生成されたRFデータに対して、異なる周波数帯域ごとに信号成分を抽出し、各期間における信号成分の輝度の変化を周波数帯域(フィルタ)ごとに抽出して、周波数帯域間で比較することにより、明確な画像化を行うことが可能な信号成分(期間データ)を抽出することで、例えば穿刺針と生体とで乖離が大きい周波数帯域を絶えず画像化の信号成分として利用するようにした。これにより、画像生成対象の周波数特性が異なる場合であっても明確な画像を安定して生成することができる。
また、本実施の形態1によれば、穿刺針と生体とで乖離が大きい周波数帯域を絶えず画像化の信号成分として利用するようにしたので、穿刺針の穿刺位置や、穿刺角度によらず、安定して明確な画像を生成することが可能となる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る超音波観測装置を備えた超音波観測システムの構成を示すブロック図である。上述した実施の形態1では、超音波観測装置3が、コントラストを優先して強調表示可能な超音波画像を生成するものとして説明したが、本実施の形態2では、ユーザからの指示に応じて、高画質な超音波画像(以下、高画質画像ともいう)、およびコントラストを優先した超音波画像(以下、コントラスト分解能優先画像ともいう)のいずれかを生成する。
本実施の形態2にかかる超音波観測システム1Aは、観測対象である被検体へ超音波を送信し、該被検体で反射された超音波を受信する超音波内視鏡2と、超音波内視鏡2が取得した超音波信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置3Aと、超音波観測装置3Aが生成した超音波画像を表示する表示装置4と、を備える。超音波観測装置3Aは、上述した超音波観測装置3の構成に対し、フィルタ部31および検波部32に代えてフィルタ部31Aおよび検波部32Aを有するとともに、信号選択部42をさらに備える。超音波内視鏡2および表示装置4の構成および動作は、上述した実施の形態1と同様である。
フィルタ部31Aは、上述した第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hに加えて、トラッキングフィルタ31iをさらに有する。トラッキングフィルタ31iは、超音波振動子21から近いほど高周波成分の信号を通過させ、超音波振動子21から遠いほど低周波成分の信号を通過させるフィルタ、すなわち、深度が小さいほど高周波成分の信号を通過させるフィルタであり、高画質画像を得るための信号成分を抽出するフィルタである。
検波部32Aは、上述した第1検波部32a〜第8検波部32hに加えて、第9検波部32iをさらに有する。第9検波部32iは、トラッキングフィルタ31iを通過した信号成分に対して検波処理を行って、高画質画像を生成する高画質画像化データを生成する。
信号選択部42は、入力部39が受け付けた指示信号に応じて、高画質画像を生成するための信号(高画質画像化データ)、およびコントラストを優先した超音波画像を生成する信号(成分選択データ)のいずれかを選択する。信号選択部42は、コントラスト分解能優先画像を生成する旨の指示信号が入力されている場合、結合部軽減フィルタ36通過後の信号成分であって、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hを通過した信号成分から生成される成分選択データを信号処理部37に入力する。また、信号選択部42は、通常超音波画像を生成する旨の指示信号が入力されている場合、トラッキングフィルタ31iを通過後の信号成分であって、第9検波部32iによって検波処理が施された高画質画像化データを信号処理部37に入力する。
信号処理部37は、信号選択部42から受信した結合部軽減フィルタ36による結合部軽減処理後の成分選択データ、または高画質画像化データをもとにデジタルのBモード用受信データを生成する。
続いて、本実施の形態2に係る超音波観測装置3が行う処理について、図9を参照して説明する。図9は、本実施の形態2に係る超音波観測装置が行う処理を示すフローチャートである。以下、制御部40の制御のもと、各部が動作するものとして説明する。
まず、超音波観測装置3Aは、超音波内視鏡2から超音波振動子21による観測対象の測定結果としてのエコー信号を受信し(ステップS201)、フィルタ部31Aにおいて、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hが、フィルタ処理を行って、それぞれの周波数帯域の信号成分を抽出するとともに、トラッキングフィルタ31iが、所定の周波数成分の信号を抽出する(ステップS202:抽出ステップ)。フィルタ部31は、抽出した信号成分を検波部32Aに入力する。
検波部32Aでは、第1検波部32a〜第9検波部32iが、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hおよびトラッキングフィルタ31iをそれぞれ通過した信号成分に対して検波処理を施す(ステップS203)。検波部32Aでは、第1検波部32a〜第8検波部32hが、検波処理後の各周波数帯域の信号成分を、輝度変化抽出部33およびフィルタ選択部35に入力するとともに、第9検波部32iが、検波処理後の信号を、信号選択部42に入力する。
輝度変化抽出部33は、検波部32から周波数帯域の異なる複数の信号成分が入力されると、輝度の変化量を抽出する(ステップS204)。輝度変化抽出部33は、上述したように、各期間における輝度の変化量ΔDk(n)を算出する。輝度変化抽出部33は、算出した輝度の変化量ΔDk(n)を輝度変化比較部34に入力する。
その後、輝度変化比較部34は、輝度変化抽出部33が抽出した輝度の変化量ΔDk(n)を期間ごとにフィルタ間で比較して、比較結果をフィルタ選択部35に入力する(ステップS205)。
フィルタ選択部35は、輝度変化比較部34による比較結果をもとにフィルタを選択し、選択したフィルタに対応する検波後の信号成分を結合して、結合部軽減フィルタ36に入力する(ステップS206:フィルタ選択ステップ)。フィルタ選択部35は、期間ごとに選択したフィルタに対応する検波後の信号成分が連なった成分選択データを生成し、結合部軽減フィルタ36に入力する。
その後、結合部軽減フィルタ36が、時系列で隣り合う期間の境界における信号値のずれを軽減するべく、高周波成分を逓減させて、低周波成分のみを抽出する(ステップS207)。結合部軽減フィルタ36は、高周波成分逓減後の成分選択データを信号選択部42に入力する。
その後、信号選択部42が、入力部39が受け付けた指示信号に基づいて、コントラストを優先した超音波画像を生成する旨の指示入力があるか否かを判断する(ステップS208)。信号選択部42は、コントラストを優先した超音波画像を生成する旨の指示入力があると判断した場合(ステップS208:Yes)、結合部軽減フィルタ36から受信した高周波成分逓減後の成分選択データを選択して、信号処理部37に入力する(ステップS209)。これに対し、信号選択部42は、コントラストを優先した超音波画像を生成する旨の指示入力がなく、高画質の超音波画像を生成すると判断した場合(ステップS208:No)、第9検波部32iから受信した高画質画像化データを選択して、信号処理部37に入力する(ステップS210)。
その後、信号処理部37が、信号選択部42から受信した成分選択データまたは高画質画像化データをもとにデジタルのBモード用受信データを生成し、画像生成部38は、信号処理部37から受信したBモード用受信データに対してスキャン方向を変換してフレームデータを生成し、該フレームデータに基づいてBモード画像データを生成する(ステップS211:画像生成ステップ)。
Bモード画像データが生成されると、制御部40は、このBモード画像データに対応する画像を表示装置4に表示させる制御を行う(ステップS212)。これにより、穿刺針の像や腫瘍の像が明確に表現された画像が、表示装置4によって表示される。
以上説明した本実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、エコー信号に基づき生成されたRFデータに対して、異なる周波数帯域ごとに信号成分を抽出し、各期間における信号成分の輝度の変化を周波数帯域(フィルタ)ごとに抽出して、周波数帯域間で比較することにより、明確な画像化を行うことが可能な信号成分を抽出することで、例えば穿刺針と生体とで乖離が大きい周波数帯域を絶えず画像化の信号成分として利用するようにした。これにより、画像生成対象の周波数特性が異なる場合であっても明確な画像を安定して生成することができる。
また、上述した実施の形態2では、入力部39が受け付けた指示信号に基づいて、高画質な超音波画像、およびコントラストを優先した超音波画像のいずれかを生成するようにしたので、状況に応じた超音波画像を生成して表示させることができ、表示装置4に表示させる超音波画像の自由度を向上することが可能である。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る超音波観測装置を備えた超音波観測システムの構成を示すブロック図である。上述した実施の形態2では、高画質画像およびコントラスト分解能優先画像のいずれかを生成するものとして説明したが、本実施の形態3では、高画質かつコントラスト分解能に優れた超音波画像を生成する。
本実施の形態3にかかる超音波観測システム1Bは、観測対象である被検体へ超音波を送信し、該被検体で反射された超音波を受信する超音波内視鏡2と、超音波内視鏡2が取得した超音波信号に基づいて超音波画像を生成する超音波観測装置3Bと、超音波観測装置3Bが生成した超音波画像を表示する表示装置4と、を備える。超音波観測装置3Bは、上述した超音波観測装置3Aの構成において、信号選択部42に代えて、エッジ抽出部43および信号合成部44を備える。なお、超音波観測装置3Bでは、第9検波部32iが、検波処理後の高画質画像化データを信号合成部44に入力するものとして説明する。
エッジ抽出部43は、結合部軽減フィルタ36通過後の信号成分であって、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hを通過した信号成分から生成される成分選択データに対して、エッジ抽出処理を施す。エッジ抽出部43は、第1輝度抽出部43aと、微分処理部43bと、第2輝度抽出部43cとを有する。
図11は、本発明の実施の形態3に係る超音波観測装置のエッジ抽出部の処理を説明する図である。まず、第1輝度抽出部43aが、結合部軽減フィルタ36通過後の成分選択データに対して、エッジ抽出処理を施す。第1輝度抽出部43aは、図11の(a)に示すように、成分選択データが有するデータの輝度と、第1閾値とを比較して、第1閾値より小さい輝度をゼロにすることによって、第1閾値以上の輝度のみを抽出する。この第1閾値は、超音波画像においてエッジ強調表示するための輝度成分を抽出する値であって、超音波画像において高輝度として扱われる輝度値をもとに設定される値である。これにより、図11の(b)に示すように、第1閾値以上の輝度のみが抽出された第1抽出データが生成される。
その後、微分処理部が、第1抽出データに対して微分処理を施すことによって、図11の(c)のような、輝度の変化量を表す微分データを生成する。
微分データが生成されると、第2輝度抽出部43cが、この微分データに対して、エッジ抽出処理を施す。第2輝度抽出部43cは、図11の(c)に示すように、微分データが有するデータの輝度と、第2閾値とを比較して、第2閾値より小さい輝度をゼロにすることによって、第2閾値以上の輝度のみを抽出する。この第2閾値は、超音波画像においてエッジ強調表示するための輝度成分を抽出する値であって、微分データから表示対象を抽出するため値である。これにより、図11の(d)に示すように、第2閾値以上の輝度(正の高輝度成分)のみが抽出された第2抽出データが生成される。エッジ抽出部43は、第2輝度抽出部43cにより生成された第2抽出データを信号合成部44に入力する。なお、第2閾値は、ユーザにより変更可能であり、強調表示するために抽出する成分を任意に設定することができる。
信号合成部44は、第9検波部32iから入力された検波処理後の高画質画像化データと、エッジ抽出部43から入力された第2抽出データとを合成する。信号合成部44は、例えば、第2抽出データにおける微分処理の結果に基づいて、Bモード画像中のエッジ強調の強調率などを設定し、この強調率に応じた信号値を高画質画像化データに重畳する。これより、高画質画像化データに、エッジ抽出部43が抽出した成分が重畳された画像化データが生成される。
信号処理部37は、信号合成部44が生成した画像化データをもとにデジタルのBモード用受信データを生成する。
続いて、本実施の形態1に係る超音波観測装置3が行う処理について、図12を参照して説明する。図12は、本実施の形態3に係る超音波観測装置が行う処理を示すフローチャートである。以下、制御部40の制御のもと、各部が動作するものとして説明する。
まず、超音波観測装置3Bは、超音波内視鏡2から超音波振動子21による観測対象の測定結果としてのエコー信号を受信し(ステップS301)、フィルタ部31Aにおいて、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hが、フィルタ処理を行って、それぞれの周波数帯域の信号成分を抽出するとともに、トラッキングフィルタ31iが、所定の周波数成分の信号を抽出する(ステップS302:抽出ステップ)。フィルタ部31は、抽出した信号成分を検波部32Aに入力する。
検波部32Aでは、第1検波部32a〜第9検波部32iが、第1フィルタ31a〜第8フィルタ31hおよびトラッキングフィルタ31iをそれぞれ通過した信号成分に対して検波処理を施す(ステップS303)。検波部32Aでは、第1検波部32a〜第8検波部32hが、検波処理後の各周波数帯域の信号成分を、輝度変化抽出部33およびフィルタ選択部35に入力するとともに、第9検波部32iが、検波処理後の信号を、信号合成部44に入力する。
輝度変化抽出部33は、検波部32から周波数帯域の異なる複数の信号成分が入力されると、輝度の変化量を抽出する(ステップS304)。輝度変化抽出部33は、上述したように、各期間における輝度の変化量ΔDk(n)を算出する。輝度変化抽出部33は、算出した輝度の変化量ΔDk(n)を輝度変化比較部34に入力する。
その後、輝度変化比較部34は、輝度変化抽出部33が抽出した輝度の変化量ΔDk(n)を期間ごとにフィルタ間で比較して、比較結果をフィルタ選択部35に入力する(ステップS305)。
フィルタ選択部35は、輝度変化比較部34による比較結果をもとにフィルタを選択し、選択したフィルタに対応する検波後の信号成分を結合して、結合部軽減フィルタ36に入力する(ステップS306:フィルタ選択ステップ)。フィルタ選択部35は、期間ごとに選択したフィルタに対応する検波後の期間データが連なった成分選択データを生成し、結合部軽減フィルタ36に入力する。
その後、結合部軽減フィルタ36が、時系列で隣り合う期間の境界における信号値のずれを軽減するべく、高周波成分を逓減させて、低周波成分のみを抽出する(ステップS307)。結合部軽減フィルタ36は、高周波成分逓減後の成分選択データをエッジ抽出部43に入力する。
エッジ抽出部43は、成分選択データに対して、エッジ抽出処理を施す(ステップS308)。エッジ抽出部43は、上述したように、正の高輝度成分が抽出された第2抽出データを生成し、この第2抽出データを信号合成部44に入力する。
信号合成部44は、第9検波部32iから入力された検波処理後の高画質画像化データと、エッジ抽出部43から入力された第2抽出データとを合成する(ステップS309)。信号合成部44は、高画質画像化データに、エッジ抽出部43が抽出した成分が重畳された画像化データを生成すると、この画像化データを信号処理部37に入力する。
その後、信号処理部37が、信号合成部44が生成した画像化データをもとにデジタルのBモード用受信データを生成し、画像生成部38は、信号処理部37から受信したBモード用受信データに対してスキャン方向を変換してフレームデータを生成し、該フレームデータに基づいてBモード画像データを生成する(ステップS310:画像生成ステップ)。
Bモード画像データが生成されると、制御部40は、このBモード画像データに対応する画像を表示装置4に表示させる制御を行う(ステップS311)。これにより、穿刺針の像や腫瘍の像が明確に表現された画像が、表示装置4によって表示される。
以上説明した本実施の形態3によれば、実施の形態1と同様に、エコー信号に基づき生成されたRFデータに対して、異なる周波数帯域ごとに信号成分を抽出し、各期間における信号成分の輝度の変化を周波数帯域(フィルタ)ごとに抽出して、周波数帯域間で比較することにより、コントラストを優先した画像化を行うことが可能な信号成分を抽出することで、例えば穿刺針と生体とで乖離が大きい周波数帯域を絶えず画像化の信号成分として利用するとともに、トラッキングフィルタ31iによって抽出された信号成分をもとに生成される高画質画像に、エッジ成分を重畳するようにした。これにより、画像生成対象の周波数特性が異なる場合であっても、高画質、かつ高コントラストな画像を安定して生成することができる。
なお、上述した実施の形態3に実施の形態2の信号選択部42を設けて、高画質の超音波画像のみを生成するモードや、コントラスト分解能優先画像を生成するモード、高画質、かつ高コントラストな画像を生成するモードを選択するようにしてもよい。
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、超音波観測装置において、各機能を有する回路同士をバスで接続することによって構成してもよいし、一部の機能が他の機能の回路構造に内蔵されるように構成してもよい。
また、本実施の形態では、超音波プローブとしてライトガイド等の光学系を有する超音波内視鏡を用いて説明したが、超音波内視鏡2に限らず、撮像光学系および撮像素子を有しない超音波プローブであってもよい。さらに、超音波プローブとして、光学系のない細径の超音波ミニチュアプローブを適用してもよい。超音波ミニチュアプローブは、通常、胆道、胆管、膵管、気管、気管支、尿道、尿管へ挿入され、その周囲臓器(膵臓、肺、前立腺、膀胱、リンパ節等)を観察する際に用いられる。
また、超音波プローブとして、被検体の体表から超音波を照射する体外式超音波プローブを適用してもよい。体外式超音波プローブは、通常、腹部臓器(肝臓、胆嚢、膀胱)、乳房(特に乳腺)、甲状腺を観察する際に体表に直接接触させて用いられる。
また、超音波振動子は、リニア振動子でもラジアル振動子でもコンベックス振動子でも構わない。超音波振動子がリニア振動子である場合、その走査領域は矩形(長方形、正方形)をなし、超音波振動子がラジアル振動子やコンベックス振動子である場合、その走査領域は扇形や円環状をなす。また、超音波内視鏡は、超音波振動子をメカ的に走査させるものであってもよいし、超音波振動子として複数の素子をアレイ状に設け、送受信にかかわる素子を電子的に切り替えたり、各素子の送受信に遅延をかけたりすることで、電子的に走査させるものであってもよい。
このように、本発明は、特許請求の範囲に記載した技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な実施の形態を含みうるものである。