JP6561170B1 - 廃棄物回収支援システム、廃棄物回収支援装置、廃棄物回収支援方法及びプログラム - Google Patents

廃棄物回収支援システム、廃棄物回収支援装置、廃棄物回収支援方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】産業廃棄物の運搬の効率化を支援する技術を提供すること。【解決手段】廃棄物を排出する複数の排出事業者ごとに設けられ、前記廃棄物の堆積量を検出する検出部と、前記検出部によって検出された堆積量と、前記廃棄物を回収可能な回収量とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する選定部と、前記選定部によって選定された複数の前記排出事業者が排出した廃棄物を回収する回収ルートを決定する決定部と、を有する。【選択図】図6

Description

本発明は、廃棄物の運搬効率化技術に関する。
産業廃棄物(事業活動で発生した不要物)の回収には多大なコストを要することが知られている。具体的に、産業廃棄物は、年間約4億トン発生し、その市場規模は約5.3兆円に上る。この5.3兆円のうち、約半分の2.6兆円は産業廃棄物の運搬コストである。運搬コストが約半分を占める原因の一つとして、従来の産業廃棄物の回収では、排出事業者からの電話連絡によって、その排出事業者が排出した産業廃棄物のみを回収していることが挙げられる。
「日本の廃棄物処理」 平成27年度版 平成29年3月 環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部 廃棄物対策課
このように運搬コストが約半分を占めており、さらに運搬を行うための人手が不足しているが、運搬の効率化が図られていないという問題があった。
上記事情に鑑み、本発明は、産業廃棄物の運搬の効率化を支援する技術を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、廃棄物を排出する複数の排出事業者ごとに設けられ、前記廃棄物の堆積量を検出する検出部と、前記検出部によって検出された堆積量と、前記廃棄物を回収可能な回収量とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する選定部と、前記選定部によって選定された複数の前記排出事業者が排出した廃棄物を回収する回収ルートを決定する決定部と、を有する廃棄物回収支援システムである。
本発明の一態様は、上記廃棄物回収支援システムであって、前記決定部は、前記選定部によって選定された複数の前記排出事業者が排出した廃棄物を回収するルートのうち、回収に要するコストが低いルートを回収ルートとして決定する。
本発明の一態様は、上記廃棄物回収支援システムであって、前記コストは、回収距離、及び回収時間の少なくとも一方により定まる。
本発明の一態様は、上記廃棄物回収支援システムであって、前記選定部は、前記検出部によって検出された堆積量が所定量となった時点での複数の前記排出事業者ごとの堆積量と、前記回収可能な回収量とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する。
本発明の一態様は、上記廃棄物回収支援システムであって、前記検出部によって検出された前記廃棄物の堆積量に基づき、複数の排出事業者ごとの将来の所定時点での堆積量を予測する予測部と、前記予測部によって予測された前記将来の堆積量から、前記回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となる時点を導出する導出部と、をさらに有し、前記選定部は、前記導出部により導出された時点における複数の前記排出事業者ごとの堆積量と、前記回収可能な回収量とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する。
本発明の一態様は、廃棄物を排出する複数の排出事業者ごとに設けられ、前記廃棄物の堆積量を検出する検出部によって検出された堆積量と、前記廃棄物を回収可能な回収量とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する選定部と、前記選定部によって選定された複数の前記排出事業者が排出した廃棄物を回収する回収ルートを決定する決定部と、を有する廃棄物回収支援装置である。
本発明の一態様は、廃棄物を排出する複数の排出事業者ごとに設けられ、前記廃棄物の堆積量を検出する検出部によって検出された堆積量と、前記廃棄物を回収可能な回収量とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する選定ステップと、前記選定ステップによって選定された複数の前記排出事業者が排出した廃棄物を回収する回収ルートを決定する決定ステップと、を有する廃棄物回収支援方法である。
本発明の一態様は、上記廃棄物回収支援装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。
本発明により、産業廃棄物の運搬の効率化を支援することが可能となる。
廃棄物回収支援システムのシステム構成を表すシステム構成図である。 廃棄物回収支援装置の概略構成を示す図である。 廃棄物回収支援装置の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。 堆積量の検出から回収ルートの候補が決定されるまでの流れを示す図である。 コストとルートを示す図である。 回収ルート表示画面例を示す図である。 選定Bの具体例を示す図である。 実証実験によって得られた運搬距離を示す図である。
図1は、廃棄物回収支援システム100のシステム構成を表すシステム構成図である。本実施形態では、一例として、産業廃棄物(以下、「廃棄物」という)を回収する回収拠点と、廃棄物を排出する4つの排出事業者A、B、C、D(以下、「事業者」という)に、廃棄物回収支援システム100を適用している。以下、事業者A、B、C、Dの夫々を特に区別しない場合には任意の事業者を単に事業者と称する。また、本実施形態では、一例として4つの事業者に適用しているが、4つ以外の複数の事業者であってもよい。
廃棄物回収支援システム100は、廃棄物回収支援装置10、センサ20A、20B、20C、20Dを備える。以下、センサ20A、20B、20C、20Dの夫々を特に区別しない場合には任意の1台をセンサ20と称する。また、本実施形態では、一例として4つのセンサ20を備えているが、事業者の数などに応じて適宜備えるようにしてもよい。
廃棄物回収支援装置10とセンサ20は、ネットワーク30により接続されている。このネットワーク30は、本実施形態では、LPWA(Low Power Wide Area)や3G回線を用いているが、インターネット、一般電話回線、及び4G回線(例えばLTE等)などで構成されたネットワークであってもよい。
廃棄物回収支援装置10は、廃棄物を回収する回収拠点に設置されている。廃棄物回収支援装置10は、演算装置(例えばCPU(Central Processing Unit)等)、記憶装置(ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等)を備えたコンピュータである。本実施形態では、廃棄物回収支援装置10を回収拠点に設置しているものとしているが、クラウド上に設けられた仮想PCなどであってもよく、設置場所は問わない。
回収拠点には、廃棄物を回収するための回収車が用意されている。この回収車は、説明をわかりやすくするために、一例として2トントラック1台としている。本実施形態において、回収車は、回収拠点を出発し、各事業者で廃棄物を回収し、再び回収拠点に戻ってくる。
センサ20は、廃棄物を排出する複数(図1では4つ)の事業者A、B、C、Dごとに設けられ、廃棄物の堆積量を検出する。具体的に、センサ20は、廃棄物の堆積場所の上方に設けられ、堆積した廃棄物の高さを検出し、所定の高さ(例えば堆積物が満杯と判定される高さ)に対する検出した高さの比率(単位は%)を堆積量として出力する。本実施形態において、センサ20が堆積量を出力するタイミングは、1日1回の定められた時刻としているが、1日に複数回所定間隔で出力してもよい。また、廃棄物回収支援装置10からの要求によって出力するようにしてもよい。
図2は、廃棄物回収支援装置10の概略構成を示す図である。廃棄物回収支援装置10は、堆積量取得部11、堆積量予測部12、交通情報取得部13、導出部14、選定部15、決定部16、回収可能データ17、及び地図データ18で構成される。
堆積量取得部11は、センサ20によって検出された堆積量を取得し、取得した堆積量を堆積量予測部12、及び選定部15に出力する。堆積量予測部12は、センサ20によって検出された廃棄物の堆積量に基づき、複数の事業者ごとの将来の所定時点での堆積量を予測し、導出部14に出力する。本実施形態では、予測を1次関数(以下、「予測関数」ともいう)で行っており、その予測関数を用いて堆積量を予測する。予測関数の独立変数は日数であり、従属変数は堆積量である。堆積量予測部12は、現在の堆積量から前回の堆積量を減算した値(差分)を傾きとし、現在の堆積量を定数とする1次関数を生成する。なお、差分がマイナスの場合には、廃棄物が回収された直後であるため、この差分を傾きとして用いず、直前の傾きか予め定められた傾きを用いて予測関数を生成する。本実施形態では、将来の所定時点として、1日後、2日後など、数日後の時点を用いているが、例えば3時間後、6時間後など、数時間が経過するごとを所定時点としてもよい。
回収可能データ17は、回収可能な回収量を示すデータが記憶されている。具体的には、トラックの台数と、トラックごとの回収量を示すデータが記憶されている。本実施形態の場合、2トントラックが1台用意されているため、トラックが1台で、当該トラックの回収量が2トンであることが回収可能データ17に記憶されている。回収可能データ17は、導出部14及び選定部15によって参照される。また、回収可能データ17は、トラックの台数や回収量の増減に応じて、随時更新可能とされる。
導出部14は、堆積量予測部12によって予測された将来の堆積量から、回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となる時点を導出し、選定部15に出力する。本実施形態では、上記時点を日付としている。従って、導出部14は、回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となる日付を導出する。例えば、回収可能な回収量が2トンの場合に、2日後の予測堆積量が1.6トンであり、3日後の予測堆積量が1.8トンであり、4日後の予測堆積量が2.2トンであることが予測されたときには、回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となる時点は3日後であるため、導出部14は3日後の日付を導出する。
選定部15は、センサ20によって検出された堆積量と、廃棄物を回収可能な回収量とに基づき、廃棄物の回収の対象となる複数の事業者を選定する。特に、選定部15は、センサ20によって検出された堆積量が所定量となった時点での複数の事業者ごとの堆積量と、回収可能な回収量とに基づき、前記廃棄物を回収する複数の事業者を選定する。上記所定量を、本実施形態では60%としており、いずれかの事業者の堆積量が60%となった時点での事業者ごとの堆積量と、回収可能な回収量とに基づき、廃棄物を回収する複数の事業者を選定する。
さらに選定部15は、導出部14により導出された時点における複数の事業者ごとの堆積量と、回収可能な回収量とに基づき、廃棄物を回収する複数の事業者を選定することも可能である。例えば、導出部14によって3日後の予測堆積量が1.8トンとなる場合(例えば、3日後の事業者Aの堆積量が1トン、事業者Bの堆積量が0.5トン、事業者Cの堆積量が0.2トン、事業者Cの堆積量が0.1トンなど)に、3日後に廃棄物を回収する複数の事業者を選定する。
このように、本実施形態では、いずれかの事業者の堆積量が60%となった場合には、その時点での各事業者の堆積量に応じて回収の対象となる事業者が選定される(この選定を「選定A」とも表現する)。一方、事業者のいずれも堆積量が60%となっていない場合には、予測堆積量に応じて回収の対象となる事業者が選定される(この選定を「選定B」とも表現する)。
交通情報取得部13は、FM多重放送や、ビーコンからVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)情報を取得し、決定部16に出力する。地図データ18は、回収対象となる事業者を少なくとも含む範囲の地図を示すデータであり、決定部16により参照される。
決定部16は、選定部15によって選定された複数の事業者が排出した廃棄物を回収する回収ルートを決定し、決定した回収ルートを出力する。決定には、地図データ18及びVICS情報が用いられる。特に、決定部16は、選定部15によって選定された複数の事業者が排出した廃棄物を回収するルートのうち、回収に要するコストが低いルートを回収ルートとして決定する。ここでのコストは、回収距離、及び回収時間の少なくとも一方により定まる。本実施形態におけるコストは、回収距離と回収時間の両方を用いたものとなっている。決定部16による決定方法の詳細については後述する。本実施形態における回収ルートの出力先は、廃棄物回収支援装置10に接続された不図示のディスプレイであるが、通信回線を介して接続された他の端末(例えば、回収拠点の他の端末や事業者の端末等)などであってもよい。
図3は、廃棄物回収支援装置10の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。図3において、堆積量取得部11は、センサ20が出力した堆積量を取得する(ステップS101)。堆積量取得部11は、取得した堆積量から各事業者の堆積量を更新する(ステップS102)。堆積量取得部11により取得された堆積量及び更新された堆積量は、堆積量予測部12及び選定部15に出力される。
堆積量取得部11は、更新された堆積量が60%以上となった事業者があるか否かを判定する(ステップS103)。更新された堆積量が60%以上となった事業者がある場合には(ステップS103:YES)、ステップS106に進む。更新された堆積量が60%以上となった事業者がない場合には(ステップS103:NO)、堆積量予測部12は、予測堆積量(予測関数)を更新する(ステップS104)。導出部14は、予測関数を用いて最大の回収量となる日付を導出する。
選定部15は、回収対象となる事業者を選定する(ステップS106)。このステップS106において、選定部15は、更新された堆積量が60%以上となった事業者がある場合には、選定Aにより選定し、事業者のいずれも堆積量が60%となっていない場合には、選定Bにより選定する。
交通情報取得部13は、VICS情報を取得し(ステップS107)、決定部16は回収ルートを決定する(ステップS108)。このステップS108において、決定部16は、選定Aにより選定された場合には、現在の渋滞情報や規制情報などを用いて回収ルートを決定し、選定Bにより選定された場合には、回収する日付での規制情報などを用いて回収ルートを決定する。
以下、堆積量を検出してから、回収ルートを決定するまでの具体例について説明する。この具体例では、堆積量が40%未満の事業者の廃棄物は、回収対象外としている。また、各事業者の最大堆積量は、一律で2トンとしている。図4は、堆積量の検出から回収ルートの候補が決定されるまでの流れを示す図である。
図4には、センサ20Aにより、事業者Aの堆積量が60%と検出され、センサ20Bにより、事業者Bの堆積量が20%と検出され、センサ20Cにより、事業者Cの堆積量が40%と検出され、センサ20Dにより、事業者Dの堆積量が30%と検出されたことが示されている。堆積量取得部11は、センサ20からこれらの堆積量を取得する。なお、各事業者の堆積量を重量に換算すると、事業者Aの堆積量は1.2トンであり、事業者Bの堆積量は0.4トンであり、事業者Cの堆積量は0.8トンであり、事業者Dの堆積量は0.6トンである。
取得された堆積量のうち、事業者Aの堆積量が60%であることから選定Aによる選定が行われる。なお、事業者B及び事業者Dの堆積量は40%未満のため、選定対象とはならない。従って、選定対象は事業者Aと事業者Cとなり、これらの廃棄物の重量の合計は、2トンとなり、2トントラック1台で回収可能である。従って、選定部15は、事業者A、Cを回収の対象となる事業者として選定する。
決定部16は、選定部15によって事業者A、Cが選定されたことから、まず回収ルート候補を求める。回収拠点を「R」、事業者Aを「A」、事業者Cを「C」としたとき、図4に示されるように、2通りの回収ルート候補(ルートX、ルートY)が得られる。ここでは、考えられる全ルートを総当たりで求める。その理由は、例えばVICS情報で得られた規制情報によっては、距離的には近いルートが必ずしもよいとは限らないためである。よって念のために総当たりで全ルートを求める。
図4において、ルートXは、回収拠点を出発すると、事業者Aで回収を行い、次いで事業者Cで回収を行い、回収拠点に戻るルートである。ルートYは、回収拠点を出発すると、事業者Cで回収を行い、次いで事業者Aで回収を行い、回収拠点に戻るルートである。
こうして回収ルート候補が得られると、決定部16は、それぞれのルートのコストを求める。図5は、コストとルートを示す図である。上述したように、本実施形態におけるコストは、時間と距離の両方を用いている。具体的には、時間(分)と距離(km)の積を定数倍した値(分×距離×(1/10))をコストとしている。このコストは、VICS情報により得られた渋滞情報や規制情報も考慮されている。
図5に示されるように、決定部16は、回収拠点、事業者間のそれぞれのコストを求める。その結果、回収拠点から事業者Aまでのコストが0.8、回収拠点から事業者Cまでのコストが20、事業者Aから回収拠点までのコストが2、事業者Aから事業者Cまでのコストが9.8、事業者Cから回収拠点までのコストが22、事業者Cから事業者Aまでのコストが80と求まったとする。
なお、回収拠点と事業者A間は、事業者Aから回収拠点に向かう道路で渋滞が発生しているため、距離が同じでもコストが異なる。同様に、回収拠点と事業者C間は、事業者Cから回収拠点に向かう道路で渋滞が発生しているため、距離が同じでもコストが異なる。さらに、事業者Aと事業者C間では、事業者Cから事業者Aに向かう道路における工事によって迂回しなければならないため、コストが大幅に増加している。
決定部16は、コストを求めると、ルートXとルートYのコストを求める。ルートXの場合は、拠点から事業者Aに移動し(コスト0.8)、事業者Aから事業者Cに移動し(コスト9.8)、事業者Cから拠点に戻る(コスト22)ため、コストは0.8+9.8+22=32.6となる。一方、ルートYの場合は、拠点から事業者Cに移動し(コスト20)、事業者Cから事業者Aに移動し(コスト80)、事業者Aから拠点に戻る(コスト2)ため、コストは20+80+2=102.0となる。
決定部16は、回収に要するコストが低いルートを回収ルートとして決定するので、ルートXを回収ルートとして決定する。こうして決定された回収ルートは、上述したようにディスプレイに表示される。図6は、回収ルート表示画面例を示す図である。回収ルート表示画面には、ルート情報と時刻目安が表示される。ルート情報には、「順序」、「経路」、「走行距離」、「走行時間」が表示される。「順序」は、回収順序を示す。「経路」は、回収ルートで走行する地点を、回収拠点、回収する事業者を用いて示している。「走行距離」は、「経路」に示される1つ前の地点から対応する地点までの距離を示す。例えば、事業者Aに対応する走行距離の2kmは、回収拠点から事業者Aまでの走行距離を示す。「走行時間」は、「経路」に示される1つ前の地点から対応する地点までの走行時間を示す。例えば、事業者Cに対応する走行時間の14分は、事業者Aから事業者Cまでの走行時間を示す。
一方、回収ルート表示画面における時刻目安は、回収拠点をある時刻に出発した場合の各事業者及び回収拠点への到着時刻を示すものである。図6に示される時刻目安では、各事業での回収時間を10分と見積もっているため、各事業者で10分ずつ時間が加算される。図6に示される時刻目安においては、回収拠点を8:30に出発すると、事業者Aに8:34に到着予定であり、事業者Cに8:58に到着予定であり、回収拠点に9:28に到着予定であることが示されている。
この回収ルート表示画面に表示されるルート概要や時刻目安により、回収拠点では回収に要する時間やトラックの到着時刻を把握できるため、廃棄物の回収に係るマネジメントを円滑に行うことが可能となることから、廃棄物の運搬の効率化を支援することができる。特に、回収可能量が異なる複数台のトラックで回収する場合には、極めて有効である。例えば、本実施形態における選定部15の処理を、回収容量が小さいトラックの順に、回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となるように回収対象の事業者を選定することで、より燃費のよいトラックで廃棄物を可能となるため、燃料費を含むコストの削減を行うことができる。また、各トラックの回収拠点への到着時刻を把握できるため、トラックの配車オペレーションを円滑に行うことが可能となることから、廃棄物の運搬の効率化を支援することができる。
上述した図4、5では、選定Aによる具体例について説明した。図7は、選定Bの具体例を示す図である。図7に示される予測関数のWは、堆積量(%)を示し、dは日数を示す。例えば、予測関数が生成された当日はd=0、1日後はd=1、2日後はd=2などとなる。
図7に示されるように、堆積量予測部12が各事業者ごとに生成した予測関数は、事業者AはW=10d+40、事業者Bは、W=5d+20、事業者Cは、W=7d+10、事業者Dは、W=15d+10であるとする。この予測関数が生成された日付けを0日後(d=0)として説明する。各予測関数の定数は、生成時の堆積量である。従って事業者Aの0日後の堆積量は40%であり、事業者Bの0日後の堆積量は20%であり、事業者Cの0日後の堆積量は10%であり、事業者Dの0日後の堆積量は10%である。
各事業者の最大堆積量は、上述した例と同じく一律で2トンとしているので、0日後の堆積量を重量に換算すると、事業者Aの堆積量は0.8トンであり、事業者Bの堆積量は0.4トンであり、事業者Cの堆積量は0.2トンであり、事業者Dの堆積量は0.2トンである。
導出部14は、まず1日後の堆積量を求める。1日後の堆積量は、d=1として求められる。従って、事業者Aの1日後の堆積量は50%であり、事業者Bの1日後の堆積量は25%であり、事業者Cの1日後の堆積量は17%であり、事業者Dの1日後の堆積量は25%である。1日後の堆積量を重量に換算すると、事業者Aの堆積量は1.0トンであり、事業者Bの堆積量は0.5トンであり、事業者Cの堆積量は0.34トンであり、事業者Dの堆積量は0.5トンである。
導出部14は、いずれの事業者の堆積量も、回収の基準となる60%以上とはなっていないため、引き続き2日後の堆積量を求める。2日後の堆積量は、d=2として求められる。従って、事業者Aの2日後の堆積量は60%であり、事業者Bの2日後の堆積量は30%であり、事業者Cの2日後の堆積量は24%であり、事業者Dの2日後の堆積量は40%である。2日後の堆積量を重量に換算すると、事業者Aの堆積量は1.2トンであり、事業者Bの堆積量は0.6トンであり、事業者Cの堆積量は0.48トンであり、事業者Dの堆積量は0.8トンである。
2日後の時点で、事業者Aの堆積量が60%となり、また事業者Dの堆積量と合わせて2トンとなることから、回収可能な回収量である2トンを超過せず、かつ最大の回収量となる時点として、2日後の日付を導出する。選定部15は、2日後の日付において回収の対象となる事業者として、事業者A、Dを選定する。
以上説明した選定Aによる選定と選定Bによる選定によると、従来のような1つの事業者が排出した廃棄物のみを回収することはなく、複数の事業者が排出した廃棄物を回収するため、廃棄物の運搬の効率化を支援することができる。
本実施形態の適用前と適用後のコストの違いについて説明する。図8は、実証実験によって得られた運搬距離を示す図である。図8(A)は適用前の運搬距離を示し、図8(B)は適用後の運搬距離を示している。また、α、β、γ、δは、事業者を示している。
図8(A)に示されるように、適用前は、1つの事業者が排出した廃棄物のみを回収するため、回収ルートは、回収拠点から出発し、1つの事業者で回収した後に、回収拠点に戻ってくるルートである。すなわち、回収拠点と1つの事業者を往復するルートである。このような回収ルートで回収を行った結果、合計距離は98.6kmであった。
一方、本実施形態の適用後の回収ルートは、図8(B)に示されるように、複数の事業者で回収するルートである。このような回収ルートで回収を行った結果、合計距離は78.8kmであった。これにより、CO2(二酸化炭素)排出量を約20%削減することができたという実証結果が得られた。このように、本実施形態によれば、コスト(この場合はCO2削減量)を低減でき、これにより廃棄物の運搬の効率化を支援することが実証実験によって示されている。なお、上記実証実験では、事業者が廃棄物をより分別して排出したことから、リサイクルが促進され、最終処分量が1.6トンも削減されたという副次的な効果があった。
以上説明した実施形態において、センサ20として、廃棄物の高さを検出するセンサを用いたが、これに限るものではない。例えば、廃棄物の重量を検出するセンサであってもよい。本実施形態では、センサ20によって自動的に回収することが可能なため、従来のように電話したり、または人手で回収を要求するための入力を行う手間を省くことができるため、廃棄物の運搬の効率化を支援することができる。
また、決定部16は、事業者からの回収時刻に関する要求に応じて回収ルートを決定するようにしてもよい。例えば、回収業者から午後2時の回収を要求された場合には、午後2時の道路状況等によって回収ルートを決定する。また、選定部15は、堆積量予測部12が生成した予測関数を用いて、午後2時の各事業者の堆積量を予測し、要求のあった事業者以外の事業者を選定するようにしてもよい。また、道路状況は刻一刻と変化するため、決定部16は、既に決定した回収ルートを所定時間毎に道路状況に応じて変化させるようにしてもよい。
本実施形態によれば、センサ20を用いてほぼ正確な廃棄物の量を把握できるため、廃棄物の量に応じて課金される場合の計算が容易となり、またセンサ20での検出結果は既にデータ化されているため、人手を介すことなく課金処理を行うことができる。さらに、回収日時と回収量が明確になるため、廃棄物を排出した事業者と、廃棄物とを関連付けて追跡することも容易となる。すなわち、トレーサビリティの管理を容易に行うことができる。
以上説明した実施形態において、センサ20は、高さの比率を堆積量として出力したが、これに限るものではない。例えば、センサ20を超音波センサとし、当該超音波センサからの測定長を出力するようにしてもよい。この場合、廃棄物回収支援装置10は、取得した測定長から堆積量を算出することで、廃棄物の堆積量を取得するようにしてもよい。また、廃棄物回収支援装置10は、堆積量を、統計推量の高精度RライブラリであるARIMA、ETSを用いて取得してもよい。さらに、回収ルートを、ダイクストラ法を用いて決定してもよい。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
10…廃棄物回収支援装置、11…堆積量取得部、12…堆積量予測部、
13…交通情報取得部、14…導出部、15…選定部、16…決定部
17…回収可能データ、18…地図データ
20、20A、20B、20C、20D…センサ、30…ネットワーク

Claims (6)

  1. 廃棄物を排出する複数の排出事業者ごとに設けられ、前記廃棄物の堆積量を検出する検出部と、
    前記検出部によって検出された前記廃棄物の堆積量に基づき、複数の前記排出事業者ごとの将来の所定時点での堆積量を予測する予測部と、
    前記予測部によって予測された前記将来の堆積量から、回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となる時点を導出する導出部と、
    前記導出部により導出された最大の回収量となる時点における複数の前記排出事業者ごとの堆積量と、前記最大の回収量となる時点とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する選定部と、
    前記選定部によって選定された複数の前記排出事業者が排出した前記廃棄物を回収する回収ルートを決定する決定部と、
    を有する廃棄物回収支援システム。
  2. 前記決定部は、前記選定部によって選定された複数の前記排出事業者が排出した廃棄物を回収するルートのうち、回収に要するコストが低いルートを回収ルートとして決定する請求項1に記載の廃棄物回収支援システム。
  3. 前記コストは、回収距離、及び回収時間の少なくとも一方により定まる請求項2に記載の廃棄物回収支援システム。
  4. 廃棄物を排出する複数の排出事業者ごとに設けられ、前記廃棄物の堆積量を検出する検出部によって検出された前記廃棄物の堆積量に基づき、複数の前記排出事業者ごとの将来の所定時点での堆積量を予測する予測部と、
    前記予測部によって予測された前記将来の堆積量から、回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となる時点を導出する導出部と、
    前記導出部により導出された最大の回収量となる時点における複数の前記排出事業者ごとの堆積量と、前記最大の回収量となる時点とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する選定部と、
    前記選定部によって選定された複数の前記排出事業者が排出した前記廃棄物を回収する回収ルートを決定する決定部と、
    を有する廃棄物回収支援装置。
  5. 廃棄物を排出する複数の排出事業者ごとに設けられ、前記廃棄物の堆積量を検出する検出部によって検出された前記廃棄物の堆積量に基づき、複数の前記排出事業者ごとの将来の所定時点での堆積量を予測する予測ステップと、
    前記予測ステップによって予測された前記将来の堆積量から、回収可能な回収量を超過せず、かつ最大の回収量となる時点を導出する導出ステップと、
    前記導出ステップにより導出された最大の回収量となる時点における複数の前記排出事業者ごとの堆積量と、前記最大の回収量となる時点とに基づき、前記廃棄物の回収の対象となる複数の前記排出事業者を選定する選定ステップと、
    前記選定ステップによって選定された複数の前記排出事業者が排出した前記廃棄物を回収する回収ルートを決定する決定ステップと、
    を有する廃棄物回収支援方法。
  6. 請求項4に記載した廃棄物回収支援装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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