以下に、本発明の実施の形態にかかる無線基地局、無線通信システムおよび無線リソース割当て方法を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる無線通信システムの構成例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1の無線通信システム10は、無線基地局1と、無線基地局1と無線通信可能な無線端末であるユーザ端末(User Equipment:以下、UEと略す)2−1,2−2,2−3とを備える。無線通信システム10は、LTE(Long Term Evolution)規格およびLTE−Advanced規格をはじめとした移動体通信における通信規格に従った無線通信システムである。以下では、移動体通信における無線通信システムを例に説明するが、無線通信システム10は、同時に複数のビームを形成可能な無線通信システムであればよく、移動体通信における無線通信システムに限定されない。一例として、無線通信システム10は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11acをはじめとした無線LAN(Local Area Network)の規格に従った無線通信システムあってもよい。
以下、UE2−1,2−2,2−3をそれぞれ区別せずに示す場合は、UE2と記載する。図1では、無線通信システムを構成するUE2が3台の例を示しているが、UE2の数は3台に限定されない。UE2は、移動可能な無線端末であり、UE2の移動に伴い、無線基地局1と無線通信可能なUE2の数は増加または減少することもある。したがって、実施の形態1の無線通信システムを構成するUE2の数は固定ではない。
無線基地局1は、指向方向の異なる複数のビームを形成可能であり、形成可能なこれらの複数のビームのうち一部の複数のビームを同時に形成可能である。以下の実施の形態では、無線基地局1は、ビーム3−1〜3−8の8つのビームを形成可能であり、8つのビームのうち3つを同時に形成可能であるとして説明する。無線基地局1が形成可能なビームの数は8つに限定されず、無線基地局1が同時に形成可能な数は3つに限定されない。以下、無線基地局1とビームで通信可能な範囲がビームごとに定まるが、この範囲をスポットと呼ぶ。以下では、形成可能な8つのビームの指向方向および通信可能な範囲はあらかじめ定められている。
図1では、無線基地局1が、ビーム3−1〜3−8のうち、同時にビーム3−1,3−2,3−3の3つのビームを形成している例を示している。図1に示した例では、無線基地局1は、UE2−1に対してビーム3−1を用いて無線信号を送信し、UE2−2に対してビーム3−2を用いて無線信号を送信し、UE2−3に対してビーム3−3を用いて無線信号を送信している。
図2は、実施の形態1の無線基地局1の機能構成例を示す図である。無線基地局1は、制御部11、変復調部12、送受信部13、アンテナ部14および記憶部15を備える。
アンテナ部14は、複数のアンテナ素子と、これらの複数のアンテナ素子から放射される電波の振幅および位相を、制御部11から入力される情報に基づいて調整する回路とを備える。アンテナ部14は、無線信号を送信する際には、複数のアンテナ素子から放射される電波の振幅および位相を、制御部11から入力される情報に基づいて制御することにより、ビームを形成する。アンテナ部14は、無線信号を受信する際には、複数のアンテナ素子が受信した電波の振幅および位相を、制御部11から入力される情報に基づいて調整することにより、ビームを形成する。アンテナ部14は、送受信部13から入力される無線信号を、形成したビームで送信する。また、アンテナ部14は、UE2から送信された無線信号を形成したビームを用いて受信し、受信した無線信号を送受信部13へ入力する。
制御部11は、グループ化処理部16、グループ選択部17、ビーム制御部18およびデータ制御部19を備える。グループ化処理部16は、無線基地局1のサービスエリア内に存在するUE2のグルーピングを行い、グループを定義する。すなわち、グループ化処理部16は、サービスエリア内の無線端末を複数のグループにグループ分けするグループ化部である。グループ選択部17は、定義されたグループの中から、無線リソースを割当てるグループを選択する。詳細には、グループ選択部17は、複数のグループのうちの1つを、複数のグループのそれぞれに属するUE2の通信の待ち時間を考慮して選択する。グループ選択部17は、選択したグループに属するUE2を示す情報である選択結果をデータ制御部19およびビーム制御部18へ通知する。グループ化処理部16およびグループ選択部17の処理の詳細は、後述する。
ビーム制御部18は、1回のビーム形成期間のタイミングに、アンテナ部14により形成されるビームをグループ選択部17により選択されたグループに属するUE2である選択端末へ向けるようアンテナ部14を制御する。ビーム形成期間は、後述するように、ビームの切替え単位となる時間である。詳細には、ビーム制御部18は、ビームフォーミング技術を用いて、アンテナ部14が有する複数のアンテナ素子のそれぞれから放射される電波の振幅および位相を制御するための情報を算出し、この情報をアンテナ部14へ入力する。ビームフォーミング技術は、複数のアンテナ素子のそれぞれから放射される電波の位相および振幅を調整することで、ビームの指向方向およびビームの形状を制御する技術である。ビーム制御部18が実施するビームフォーミング技術を用いた制御の方法は、無線通信システム10において適用される通信規格に従った方法であればよく、具体的なアルゴリズムに特に制約はない。また、ビーム制御部18は、UE2の存在する位置を確認するために、定期的に、ビーム3−1〜3−8のすべてを形成してUE2から送信された信号を受信する。同時に形成可能なビームの数は3つであるから、具体的には、まず3つのビームを同時に形成し、次に異なる3つのビームを同時に形成し、最後に残りの2つのビームを同時に形成する。UE2が、UE2の存在する位置を確認するための信号を送信するタイミングは、無線基地局1からUE2へ指定される。以下、UE2の存在する位置を確認するための信号を位置確認信号と略す。
上述した通り、アンテナ部14が形成可能なビームの数は8つであり、アンテナ部14が同時に形成可能なビームの数は、8つのうちの3つである。アンテナ部14が形成可能な8つのビームのそれぞれの指向方向および形状はあらかじめ定められている。ビーム制御部18は、これらの8つのビームのそれぞれについて、各ビームを形成するための位相および振幅を示す情報を保持している。ビーム制御部18は、グループ選択部17から通知された選択結果に基づいて、形成するビームを決定し、決定したビームを形成するための位相および振幅を示す情報をアンテナ部14へ入力する。
割当部であるデータ制御部19は、UE2との間の無線リソースの管理を行う。無線リソースの管理は、各UE2の上り方向の通信に割当てる通信期間および無線周波数の決定と各UE2の下り方向の通信に割当てる通信期間および無線周波数の決定とを含む。実施の形態1では、一定期間を単位としてアンテナ部14が形成するビームを切替えるとする。すなわち、一定期間内では、アンテナ部14が形成するビームは固定である。したがって、一定期間内では、無線基地局1と通信可能なUE2は限られている。このため、一定期間内でのリソースは、この一定期間内で無線基地局1と通信可能なUE2に対して割当てられる。換言すると、一定期間の無線リソースが、あるUE2に割当てられることが決定されると、この一定期間では、決定されたUE2に対応するビームが形成される。データ制御部19は、グループ選択部17から入力される選択結果に基づいて、一定期間単位で無線リソースを割当てるUE2を決定し、決定したUE2に対応するビームを形成するようビーム制御部18へ指示する。すなわち、データ制御部19は、グループ選択部17により選択されたグループに属するUE2である選択端末へ無線リソースを割当てる。
例えば、図1に示したように、ビーム3−1,3−2,3−3の3つのビームが同時に形成され、これら3つのビームの範囲にそれぞれUE2−1,2−2,2−3が存在する場合、UE2−1,2−2,2−3は無線基地局1と通信可能である。したがって、UE2−1,2−2,2−3に無線リソースを割当てた期間では、ビーム3−1,3−2,3−3が形成される。無線リソースの管理の詳細については後述する。
データ制御部19は、具体的には、次に示す動作を実施する。データ制御部19は、ネットワークから受信したUE2宛てのデータを記憶部15に格納する。ネットワークは、コアネットワークとも呼ばれる無線基地局1の上位のネットワークであり、移動体通信のサービスを提供する事業者により設置される。このネットワークを介して、複数の無線基地局1が互いに接続され、無線基地局1間でデータの送受信が行われる。また、データ制御部19は、グループ選択部17から入力される選択結果に基づいて、選択されたUE2宛てのデータを記憶部15から読み出して変復調部12へ入力する。
また、データ制御部19は、変復調部12から入力されるデータを、ネットワークへ送信する。ネットワークでは、データ制御部19から受信したデータが宛先へ向けて転送される。さらに、データ制御部19は、UE2に割当てた無線リソースを示す情報である割当て情報を生成して、変復調部12、送受信部13およびアンテナ部14を介してUE2へ送信する。この割当て情報には、上述した位置確認信号をUE2が送信するタイミングを示す情報も含まれる。
変復調部12は、制御部11から入力されるデータをQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、64QAM(Quadrature Amplitude Modulation)といった変調方式により変調し、変調後のデータすなわちベースバンド信号を送受信部13へ入力する。また、変復調部12は、送受信部13から入力されるデータを復調し、復調後のデータを制御部11へ入力する。変復調部12が実施する復調の方式は、UE2がデータの送信において実施した変調方式に対応した復調方式であり、UE2における変調方式は既知であるとする。
送受信部13は、デジタル信号であるベースバンド信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号を無線周波数の信号すなわち無線信号へ周波数変換してアンテナ部14へ入力する。また、送受信部13は、アンテナ部14から入力される無線信号をベースバンド周波数へ周波数変換し、周波数変換後の信号を変復調部12へ入力する。
図3は、実施の形態1の無線基地局1のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、無線基地局1は、プロセッサ101、メモリ102、送信機103、受信機104、アンテナ装置105およびネットワークインタフェースカード106を備える。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)、またはシステムLSI(Large Scale Integration)などである。メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)をはじめとした不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disc)などである。
図2に示した制御部11および変復調部12は、図3に示したプロセッサ101、メモリ102およびネットワークインタフェースカード106により実現される。具体的には、制御部11の動作のうちネットワークインタフェースカード106により実現される動作を除いた動作を行うための第1のプログラムおよび変復調部12の動作を行うための第2のプログラムがメモリ102に格納されている。プロセッサ101が、メモリ102に格納された第1のプログラムを、メモリ102から読みだして実行することにより、制御部11が実現される。また、制御部11の機能のうちネットワークとの間のデータの送受信機能は、ネットワークインタフェースカード106により実現される。ネットワークインタフェースカード106が、ネットワークとのデータ送受を行うために使用するプロトコルは、インターネットプロトコルが例示されるが、これに限らずどのようなプロトコルを使用してもよい。
また、プロセッサ101が、メモリ102に格納された第2のプログラムを、メモリ102から読みだして実行することにより、変復調部12が実現される。
送受信部13は、送信機103および受信機104により実現される。すなわち、送受信部13における送信にかかる処理は送信機103により実現され、送受信部13における受信にかかる処理は受信機104により実現される。また、記憶部15は、メモリ102の一部により実現される。制御部11を実現するためのメモリと記憶部15を実現するためのメモリとが個別に設けられてもよい。
次に、UE2の構成例について説明する。図4は、UE2の機能構成例を示す図である。UE2は、制御部21、変復調部22、送受信部23およびアンテナ部24を備える。
アンテナ部24は、無線基地局1から送信された無線信号を受信し、送受信部23へ入力する。また、アンテナ部24は、送受信部23から入力された無線信号を電波として送信する。
変復調部22は、制御部21から入力されるデータをQPSK、64QAMといった変調方式により変調し、変調後のデータすなわちベースバンド信号を送受信部23へ入力する。また、変復調部22は、送受信部23から入力されるデータを復調し、復調後のデータを制御部21へ入力する。変復調部22が実施する復調の方式は、無線基地局1がデータの送信において実施した変調方式に対応した復調方式であり、無線基地局1における変調方式は既知であるとする。
送受信部23は、デジタル信号であるベースバンド信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号を無線周波数の信号すなわち無線信号へ周波数変換してアンテナ部14へ入力する。送受信部23は、無線信号をアンテナ部14へ入力する。また、送受信部23は、アンテナ部24から入力される無線信号をベースバンド周波数へ周波数変換し、周波数変換後の信号を変復調部22へ入力する。
制御部21は、無線基地局1へ送信するデータを生成して、変復調部22へ入力する。また、制御部21は、変復調部22から入力された信号が、無線基地局1から送信された割当て情報を含むものであった場合、この割当て情報に基づいて、データを変復調部22へ出力するタイミングを制御する。また、変復調部22から入力された信号が、位置確認信号を送信するタイミングを示す情報であった場合、この情報により指定されたタイミングで位置確認信号を変復調部22へ入力する。位置確認信号は、どのような信号を用いてもよい。
図5は、実施の形態1のUE2のハードウェア構成の一例を示す図である。図5に示すように、UE2は、プロセッサ201、メモリ202、送信機203、受信機204およびアンテナ装置205を備える。プロセッサ201は、CPU、またはシステムLSIといったものである。メモリ202は、RAM、ROM、フラッシュメモリー、EPROM、EEPROMをはじめとした不揮発性または揮発性の半導体メモリなどである。
図4に示した制御部21および変復調部22は、図5に示したプロセッサ201およびメモリ202により実現される。具体的には、制御部21の動作を行うための第3のプログラムおよび変復調部22の動作を行うための第4のプログラムがメモリ202に格納されている。プロセッサ201が、メモリ202に格納された第3のプログラムを、メモリ202から読みだして実行することにより、制御部21が実現される。また、プロセッサ201が、メモリ202に格納された第4のプログラムを、メモリ202から読みだして実行することにより、変復調部22が実現される。送受信部23は、送信機203および受信機204により実現される。
次に、実施の形態1の無線リソースの割当て方法について説明する。図6は、実施の形態1の無線基地局1の制御部11における無線リソースの割当て処理手順の一例を示すフローチャートである。無線基地局1の制御部11は、ビームの切替え単位である一定期間ごとに図6に示した処理を実施する。この一定期間をビーム形成期間またはタイムスロットと呼ぶこととすると、タイムスロットT1における無線リソースの割当て処理は、タイムスロットT1より前に実施され、タイムスロットT1では、無線リソースの割当て処理による割当て結果に基づいた通信が実施される。例えば、タイムスロットT1の1つ前のタイムスロットT0でタイムスロットT1の無線リソースの割当て処理を実施する。
図6に示すように、無線基地局1の制御部11は、サービスエリア内で、UE2の追加、削除またはスポット間の移動が発生したか否かを判断する(ステップS1)。ここで、サービスエリアとは、UE2が無線基地局1と通信を行うことが可能なエリアであり、具体的には、無線基地局1のアンテナ部14が形成可能な8つのビームにそれぞれ対応する8つのスポットである。
UE2の追加とは、新たなUE2が無線基地局1との接続を開始することを意味する。新たなUE2が無線基地局1との接続を開始する手順は、LTE規格で規定されているランダムアクセス手順を用いることができる。ランダムアクセス手順では、UE2は、通信を開始する場合、あらかじめ決められたパターンの信号を送信し、無線基地局1が、受信した信号からパターンを検出することで、新たに通信の開始を要求しているUE2の存在を認識することができる。すなわち、制御部11のデータ制御部19は、受信した信号から上記のパターンを検出すると、UE2が追加されたと判断する。
UE2の削除とは、無線基地局1と通信を行っていたUE2が、通信を終了したり、他の無線基地局のサービスエリアに移動したりといった理由により、UE2が無線基地局1と通信を行わなくなったことを意味する。また、通信を終了したUE2とは、電源スイッチをオフとすることにより動作を停止したUE2、および電源スイッチはオンであるが待ち受け状態にあるUE2を含む。制御部11のデータ制御部19は、通信を終了する通知をUE2から受信しない場合、一定時間以上UE2から信号を受信しない場合、および待ち受け状態であることを通知する信号を受信した場合に、UE2の削除と判断する。
スポット間の移動とは、無線基地局1のサービスエリア内のあるスポット内で無線基地局1と通信を行っていたUE2が、無線基地局1のサービスエリア内の別のスポットへ移動したことを意味する。上述したように、UE2は、定期的に位置確認信号を送信する。無線基地局1は、各ビームでこの信号を受信し、受信した信号の信号レベルが最も高いビームに対応するスポットにUE2が存在すると判断する。したがって、信号レベルが最も高いビームが変化した場合に、UE2のスポット間の移動が発生したと判断することができる。具体的には、ビーム制御部18が、UE2ごとに、UE2から受信した信号の信号レベルが最も高いビームを算出する。ビーム制御部18は、UE2とUE2が存在するスポットとの対応を示す情報、すなわちUE2とビームとの対応を示す情報を保持する。ビーム制御部18は、UE2から受信した信号の信号レベルが最も高いビームを算出すると、算出したビームと保持している情報により示されるUE2に対応するビームとが異なっている場合に、このUE2にスポット間の移動が発生したと判断する。
無線基地局1の制御部11は、サービスエリア内で、UE2の追加、削除またはスポット間の移動が発生したと判断した場合(ステップS1 Yes)、グループ化処理を実施する(ステップS2)。ステップS2では、詳細には、データ制御部19が、サービスエリア内で、UE2の追加、削除またはスポット間の移動が発生したと判断すると、グループ化処理部16へグループ化処理の実施を指示する。グループ化処理部16は、グループ化処理の実施の指示を受けると、UE2をグループ化する。すなわち、グループ化処理部16は、各グループに属するUE2を定義する。
ここで、1グループに属するUE2の数の最大値は、同時にビームを形成可能な数とする。実施の形態1では、同時に形成可能なビームの数は3であるため、1つのグループに属するUE2の数の最大値は3である。グループ化処理部16は、サービスエリア内のUE2の数をNUEとし、1グループに属するUE2の数の最大値をNmaxとするとき、NUEがNmaxで割りきれる場合には、NUEをNmaxで割った商をグループの数とする。また、NUEがNmaxで割りきれない場合には、グループ化処理部16は、NUEをNmaxで割った商に1を加算した数をグループの数とする。サービスエリア内のUE2の数は、無線基地局1に対して上述したランダム手順をはじめとした手順により接続要求があったUE2の数から、通信を終了したり、他の無線基地局のサービスエリアに移動したりといった理由により削除されたUE2の数を減ずることにより算出される。
グループ化処理部16は、グループ化処理では、例えばUE番号の若番から昇順となるようにUEをグループ番号の若い順に振り分ける。すなわち、全てのグループに1つずつUE2を振り分けた後は、同様に、属するグループが決まっていないUE2のうちUE番号の若番から昇順となるようにUEをグループ番号の若い順に、振り分ける。これを繰り返すことにより、各グループに属するUE2を決定する。UE番号とは、UE2を識別するための番号である。例えば、グループ化処理部16が、サービスエリア内に存在するUE2に、1から順番に番号を付与する。UE番号の付与方法はこれに限らず任意の付与方法を用いることができる。グループ番号とはグループを識別する番号である。グループ化処理部16は、各グループに1から順にグループ番号を付与する。グループ番号の付与方法はこれに限らず任意の付与方法を用いることができる。UE2のグループ化を行うと、グループ単位で無線リソースを割当てることにより、UE2単位で無線リソースを割当てる場合に比べて、割当て処理を簡素化することができる。
図6の説明に戻り、ステップS2の後、グループ選択部17は、定義された複数のグループの中から1つのグループを選択する(ステップS3)。ステップS3の処理すなわちグループ選択処理については後述する。グループ選択部17は、無線リソースの割当て対象に、選択したグループに属するUE2を選択し(ステップS4)、処理を終了する。グループ選択部17は、ステップS4の選択結果すなわちステップS4で選択したUE2をデータ制御部19およびビーム制御部18へ通知する。
ステップS1で、UE2の追加、削除およびスポット間の移動のいずれも発生していないと判断した場合(ステップS1 No)、制御部11は、処理をステップS3へ進める。
データ制御部19は、グループ選択部17から入力された選択結果に基づき、選択されたUE2宛てのデータを記憶部15から読み出し、選択結果に対応するタイムスロットで変復調部12へ入力する。また、ビーム制御部18は、グループ選択部17から入力された選択結果に基づき、選択されたUE2に対応するビームを形成するための振幅および位相を示す情報を、選択結果に対応するタイムスロットでアンテナ部14へ入力する。
図7は、実施の形態1の無線基地局1のサービスエリアと、このサービスエリア内のUE2の配置の一例とを示す図である。図8は、図7に示した配置のUE2をグループ分けした結果を示す図である。図7に示したスポット4−1〜4−8は、無線基地局1が形成可能なビーム3−1〜3−8にそれぞれ対応するスポットである。図7では、各スポットを、各スポットの地上または建物の床面における範囲の包絡線により示している。図7に示した例では、スポット4−1内にUE2−1が存在し、スポット4−2内にUE2−2が存在し、スポット4−3内にUE2−4が存在し、スポット4−4内にUE2−5が存在する。さらに、スポット4−5内にUE2−3およびUE2−6が存在し、スポット4−6内にUE2−7が存在し、スポット4−7内にUE2−8が存在し、スポット4−8内にUE2−9が存在する。このように、無線基地局1のサービスエリア内には、合計9台のUE2が存在する。
サービスエリア内のUE2の台数である9を、同時に形成可能なビーム数である3で割ると、商は3であることから、グループ化処理部16は、3つのグループにUE2をグループ分けする。グループ番号1のグループをグループ#1と記載し、グループ番号2のグループをグループ#2と記載し、グループ番号3のグループをグループ#3と記載すると、グループ分けの結果各グループに属するUE2は図8に示す通りとなる。すなわち、UE2−1、UE2−4およびUE2−7は、グループ#1に属し、UE2−2、UE2−5およびUE2−8はグループ#2に属し、UE2−3、UE2−6およびUE2−9はグループ#3に属す。なお、UE2−1〜UE2−9は、符号の枝番号がUE2に付与されたUE番号であるとする。例えば、UE2−1のUE番号は1である。
図8に示すように各グループが定義され、無線リソースの割当て対象としてグループ#1が選択された場合には、無線リソースはUE2−1、UE2−4およびUE2−7に割当てられる。このとき、UE2−1、UE2−4およびUE2−7が存在するスポットに対応するビーム3−1、ビーム3−3およびビーム3−6が同時に形成される。無線リソースの割当て対象としてグループ#2が選択された場合には、UE2−2、UE2−5およびUE2−8が存在するスポットに対応するビーム3−2、ビーム3−4およびビーム3−7が同時に形成される。無線リソースの割当て対象としてグループ#3が選択された場合には、UE2−3、UE2−6およびUE2−9が存在するスポットに対応するビーム3−5およびビーム3−8が同時に形成される。なお、グループ#3には、同一スポットに存在するUE2−3およびUE2−6が属している。したがって、1つのビームでUE2−3およびUE2−6への送信を行うことになる。このような場合、データ制御部19は、UE2−3およびUE2−6へそれぞれ異なる無線周波数帯を割当てる。すなわち、データ制御部19は、下りの無線リソース割当ての場合、無線通信システム10において使用可能な下りの無線周波数帯を分割して、UE2−3およびUE2−6へそれぞれ割当てる。または、ビーム制御部18がLTE規格におけるPrecodingと呼ばれる処理を施すことにより、干渉を抑制する。他のUE2に対しては、データ制御部19は、使用可能な下りの無線周波数帯を全て割当てることができる。同様に、上りの無線リソース割当てにおいては、無線通信システム10において使用可能な上りの無線周波数帯を分割して、UE2−3およびUE2−6へそれぞれ割当てる。
図7および図8に示した例において、タイムスロットT1を対象とした無線リソース割当て処理により、グループ#2が選択され、タイムスロットT1の次のタイムスロットであるタイムスロットT2を対象とした無線リソース割当て処理により、グループ#1が選択されたとする。この場合、タイムスロットT1で、ビーム3−2、ビーム3−4およびビーム3−7が同時に形成され、タイムスロットT2で、ビーム3−1、ビーム3−3およびビーム3−6が同時に形成されることになる。
ここでは、上述したように、UE番号の若番から昇順となるようにUEをグループ番号の若い順に振り分けることを繰り返す方法でグループ化を行ったが、UE番号の老番から降順となるようにUE2をグループ番号の大きい順に振り分けることを繰り返してもよいし、ランダムにUE2を各グループに振り分けてもよい。
図9は、図6に示したステップS3のグループ選択処理の一例を示すフローチャートである。まず、グループ選択部17は、選択するグループの候補である選択候補グループを決定する(ステップS11)。具体的には、グループ選択部17は、あらかじめデフォルトのグループの選択順を定めておき、初回のグループの選択では、デフォルトのグループの選択順の先頭のグループを、選択候補グループと決定する。2回目以降のグループの選択では、前回のグループの選択における後述するステップS15またはステップS17で、次回のグループ選択において選択候補グループとするグループが決定されている。このため、グループ選択部17は、2回目以降のグループの選択では、前回のグループ選択において決定された、次回の選択候補グループを、選択候補グループに決定する。なお、図6に示した処理が繰り返され、ステップS1でYesとなった場合には、グループ化が再度実施されるため、それまでに用いていたデフォルトのグループの選択順は無効となる。この場合、グループ選択部17は、グループ化の実施後、改めてデフォルトのグループの選択順を定義して、ステップS11では、初回のグループの選択の処理を実施する。以下では、デフォルトのグループの選択順は、グループ番号の若い順であるとする。
次に、グループ選択部17は、無線基地局1のサービスエリア内に存在する全てのUE2のうち送信待ちデータのあるUE2の中で、待ち時間が最大のUE2のUE番号および待ち時間を取得する(ステップS12)。送信待ちデータとは、無線基地局1がネットワークから受信済のUE2宛てのデータであり、UE2に送信されていないデータである。待ち時間とは通信の待ち時間であり、UE2宛てのトラフィックの発生からこのトラフィックのデータが無線基地局1から送信されていない状態での経過時間である。ここでは、トラフィックとは、データの集まりのことを示す。また、トラフィックは、あるUE2が別のUE2または固定電話網における電話と通信する、またはデータサーバにアクセスするといった場合に、ネットワークからUE2に宛てて送信される一連のデータである。トラフィックの発生とは、ネットワークから無線基地局1がUE2宛てのトラフィックのデータを受信することを意味する。
グループ選択部17は、各UE2宛てのトラフィックの発生を監視し、トラフィックが発生した時刻をUE2ごとに記憶部15に格納する。UE2のトラフィックが発生してからの経過時間が、UE2の待ち時間である。また、グループ選択部17は、無線基地局1からUE2宛てのトラフィックが送信されれば、このUE2の、トラフィックが発生した時刻を記憶部15から消去する。グループ選択部17は、記憶部15を参照して、トラフィックが発生した時刻が最も古いUE2を選択することで、待ち時間が最大のUE2を選択することができる。
グループ選択部17は、待ち時間が最大のUE2の待ち時間すなわち最大待ち時間が、あらかじめ定められた閾値を超えたか否かを判断する(ステップS13)。最大待ち時間が閾値を超えたと判断した場合(ステップS13 Yes)、グループ選択部17は、閾値を超えたUE2が属するグループを、無線リソース割当て対象のグループとして選択する(ステップS14)。次に、グループ選択部17は、次回の選択候補グループを、ステップS11で決定された選択候補グループとし(ステップS15)、処理を終了する。
最大待ち時間が閾値を超えていないと判断した場合(ステップS13 No)、ステップS11で決定された選択候補グループを、無線リソース割当て対象のグループとして選択する(ステップS16)。次に、グループ選択部17は、次回の選択候補グループを、ステップS11で決定された選択候補グループの次のグループとし(ステップS17)、処理を終了する。なお、次のグループとは、デフォルトのグループの選択順において次の順序のグループである。また、ステップS11で決定された選択候補グループがデフォルトのグループの選択順の最後のグループだった場合は、グループ選択部17は、次回の選択候補グループを、デフォルトのグループの選択順の最初のグループとする。
以上のように、グループ選択部17は、複数のグループのそれぞれに属するUE2の通信の待ち時間のうちの最大値を求め、この最大値が閾値を超える場合に、この最大値に対応するUE2が属するグループを選択する。
なお、以上に述べた例は、下り方向の待ち時間に基づいて下り方向の無線リソースを割当てている。無線基地局1がUE2から、UE2における上り方向のトラフィックの発生時間を受信することで、グループ選択部17は、上り方向についても、同様に上り方向の待ち時間を用いて、上り方向の無線リソースを割当てることができる。
ここで、グループ選択部17は、閾値を、例えば、UE2宛てのデータに対して許容される伝送遅延を用いて決定する。具体的には、グループ選択部17は、閾値を、許容される伝送遅延より小さい値に設定する。一般に、データの種別により許容される伝送遅延はあらかじめ定められている。UE2宛てのデータが電話の音声であれば許容できる伝送遅延は短い。一方、UE2宛てのデータがインターネットの閲覧情報またはメールの情報であれば許容できる伝送遅延は長い。したがって、許容される伝送遅延が異なるデータが、無線基地局1に同時に存在した場合には、グループ選択部17は、短い方の許容される伝送遅延を用いて閾値を決定する。
また、以上の例では、グループ選択部17は、最大待ち時間が閾値を超えるUE2を選択したが、待ち時間が閾値を超えるUE2を全て抽出し、抽出したUE2の中からUE2を選択して、選択したUE2が属するグループを選択するようにしてもよい。
以上のように、実施の形態1では、無線基地局1は、サービスエリア内のUE2をグループ分けし、グループに属するUE2の待ち時間に基づいて、無線リソースを割当てるグループを決定するようにした。このため、待ち時間が閾値を超えたUE2に無線リソースが割り当てられるため、送信待機時間の最大値は、「閾値+無線リソースの割り当て処理から実施に送信されるまでの時間」以下に抑えられる。UE2間の送信待機時間の差を抑制することができ、送信待機時間を考慮しない場合と比べて無線リソース割当の公平性を向上させることができる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2にかかる無線リソースの割当て方法について説明する。実施の形態2の無線通信システム10の構成は、実施の形態1と同様であり、実施の形態2の無線基地局1およびUE2の機能構成およびハードウェア構成も実施の形態1と同様である。実施の形態2では、グループ選択部17が実施する無線リソースの割当て方法の一部が実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と異なる部分を説明し、実施の形態1と同様の動作については、重複する説明を省略する。
図10は、実施の形態2のグループ選択処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態2の無線基地局1の制御部11における無線リソースの割当て処理手順は、図6に示したステップS3が図10に示した処理となる以外は、図6に示した実施の形態1の無線リソースの割当て処理と同様である。
図10に示したステップS11〜ステップS15は、実施の形態1のステップS11〜ステップS15と同様である。ステップS13でNoの場合、グループ選択部17は、グループ内のトラフィック有のUE2の数を考慮したグループ選択処理を行い(ステップS21)、処理を終了する。
図11は、図10に示したステップS21の処理を示すフローチャートである。図11に示すように、まず、グループ選択部17は、選択候補グループのグループ番号を示す変数であるiに、ステップS11で決定した選択候補グループのグループ番号Lを代入する(ステップS31)。次に、グループ選択部17は、グループごとに、トラフィックが有るUE2の数を求める(ステップS32)。トラフィックが有るとは、UE2宛てのデータを無線基地局1が受信し、無線基地局1がこのデータをUE2へ送信していない状態を示す。
グループ選択部17は、トラフィック有のUE数に対する閾値をあらかじめ定めておき、グループ番号がiのグループの、トラフィック有のUE数が閾値を超えたか否かを判断する(ステップS33)。グループ番号がiのグループの、トラフィック有のUE数が閾値を超えたと判断した場合(ステップS33 Yes)、グループ選択部17は、グループ番号がiのグループを、無線リソース割当て対象のグループとして選択する(ステップS34)。次に、グループ選択部17は、次回の選択候補グループを、グループ番号がi+1のグループに決定し(ステップS35)、処理を終了する。
グループ番号がiのグループの、トラフィック有のUE数が閾値を超えていないと判断した場合(ステップS33 No)、グループ選択部17は、全グループのトラフィック有のUE数の閾値との比較を行ったか否かを判断する(ステップS36)。全グループのトラフィック有のUE数の閾値との比較を行った場合(ステップS36 Yes)、ステップS11で決定した選択候補グループを、無線リソース割当て対象のグループとして選択する(ステップS37)。次に、グループ選択部17は、次回の選択候補グループを、グループ番号がL+1のグループに決定し(ステップS38)、処理を終了する。
トラフィック有のUE数の閾値との比較を行っていないグループがある場合(ステップS36 No)、i=i+1とし(ステップS39)、ステップS33へ戻る。ただし、iがグループ番号の最大値である場合には、ステップS39ではiをグループ番号の最小値に設定する。
以上のように、グループ選択部17は、複数のグループのそれぞれに属するUE2の通信の待ち時間のうちの最大値を求め、この最大値が閾値を超えない場合、グループごとに、グループに属するUE2のうち通信中のUE2の数を算出し、グループごとの算出された通信中のUE2の数を用いてグループを選択する。
なお、トラフィック有のUE数に対する閾値は、無線通信システム10の運用開始時に設定された値がそのまま用いられてもよいし、運用中に変更されてもよい。例えば、グループ選択部17は、周期的に閾値変更処理を実施してもよい。閾値変更処理は、異なる閾値を設定したときのシステムスループットをそれぞれ計算して、スループットが高くなる閾値を設定する処理である。具体的には、閾値変更処理では、グループ選択部17は、トラフィック有りのUE数に対する閾値を、K(Kは1以上の整数)−M(Mは1以上の整数),K−M+1,…,K-1,K,K+1,K+2,…,K+P(Pは2以上の整数)と順番に変える。グループ選択部17は、閾値をK−M,K−M+1,…,K-1,K,K+1,K+2,…,K+Pのそれぞれに設定したときのシステムスループットを計算し、システムスループットが最大となる閾値を選択する。グループ選択部17は、次の閾値変更処理の実施タイミングまで、選択した閾値を用いてステップS33の判定を行う。
または、グループ選択部17は、ステップS21の処理において、トラフィック有のUE数が最大のグループを無線リソース割当対象のグループとして選択してもよい。図12は、図10に示したステップS21の処理の別の例を示すフローチャートである。図12に示したステップS101の処理は、図11のステップS32の処理と同様である。グループ選択部17は、ステップS101の後、トラフィック有のUE数が最大のグループを無線リソース割当対象のグループとして選択する(ステップS102)。なお、トラフィック有のUE数が最大のグループが複数存在した場合、グループ選択部17は、これら複数のグループのうち前回のグループ選択において選択されたグループ以外のグループを選択する。
実施の形態2では、無線基地局1は、待ち時間が実施の形態1で述べた閾値を超えていない場合に、トラフィックが発生しているUE2の数に基づいてグループを選択する。実施の形態1では、待ち時間が最大待ち時間閾値を超えない限り、デフォルトの選択順序でグループが選択されるが、仮にグループに属するUE2のうちトラフィックが発生しているUE2の数がグループ間で異なっている場合でも、各グループが平等に選択されることになる。例えば、グループに属するUE2のうちトラフィックが発生しているUE2の数が1台のグループと、グループに属するUE2のうちトラフィックが発生しているUE2の数が3台のグループとがあった場合、前者のグループではビームが1本しか利用されず、同時に形成可能なビームを有効に利用することができない。これに対し、実施の形態2では、無線基地局1は、グループに属するUE2のうちトラフィックが発生しているUE2の数が閾値を超えるグループを優先して選択するため、実施の形態1に比べ、同時に形成可能なビームを有効に活用できる時間が増える。これにより、実施の形態2の無線通信システム10のシステムスループットは、実施の形態1に比べて向上する。また、上述したように、トラフィック有のUE数に対する閾値を、閾値変更処理においてシステムスループットに基づいて選択することにより、固定の閾値を用いる場合よりシステムスループットを向上させることができる可能性が高くなる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3にかかるUEのグループ化の方法について説明する。実施の形態3の無線通信システム10の構成は、実施の形態1と同様であり、実施の形態3の無線基地局1およびUE2の機能構成およびハードウェア構成も実施の形態1と同様である。実施の形態3では、グループ化処理部16が実施するUE2のグループ化方法の一部が実施の形態1と異なる。以下、実施の形態1と異なる部分を説明し、実施の形態1と同様の動作については、重複する説明を省略する。
図13は、実施の形態3のグループ化処理部16におけるグループ化処理の一例を示すフローチャートである。実施の形態3の無線基地局1の制御部11における無線リソースの割当て処理手順は、図6に示したステップS2が図13に示した処理となる以外は、図6に示した実施の形態1の無線リソースの割当て処理と同様である。
図13に示すように、グループ化処理部16は、まず、無線基地局1のサービスエリア内に存在するUE2の数、および同時に生成可能なビーム数の情報を取得する(ステップS41)。無線基地局1のサービスエリア内に存在するUE2の数の算出方法は、実施の形態1で述べた通りである。同時に生成可能なビーム数は、アンテナ部14を実現するアンテナ装置105のハードウェア仕様に依存する。同時に生成可能なビーム数は、アンテナ部14を実現するアンテナ装置105のハードウェア仕様に基づいて、制御部11を実現するメモリ102にあらかじめ格納される。グループ化処理部16は、メモリ102から、同時に生成可能なビーム数を読み出すことにより、同時に生成可能なビーム数を取得する。
グループ化処理部16は、無線基地局1のサービスエリア内に存在するUE2の数、および同時に生成可能なビーム数に基づいて、グループ数を計算する(ステップS42)。グループ数の計算方法は、実施の形態1で述べた通りである。
次に、グループ化処理部16は、1つのグループに収容するUE2の数に、ビーム数すなわち同時に形成可能なビーム数を設定する(ステップS43)。1つのグループに収容するUE2の数は、1つのグループに属するUE2の数の最大値であり、収容数ともいう。グループ化処理部16は、サービスエリア内の各UE2がどのスポットに存在するかの情報を取得する(ステップS44)。どのスポットに存在するかの情報の取得方法は後述する。グループ化処理部16は、どのスポットに存在するかの情報に基づいて、同一スポット複数UEグループ化処理を実施し(ステップS45)、処理を終了する。各UE2がどのスポットに存在するかの情報を以下、在圏情報と呼ぶ。同一スポット複数UEグループ化処理は、同一スポットに複数のUE2が存在する場合に、これら複数のUE2が異なるグループにグループ分けされるように実施されるグループ化処理である。同一スポット複数UEグループ化処理の詳細は後述する。
図14は、実施の形態3の在圏情報の取得処理の一例を示すチャート図である。無線基地局1は、サービスエリア内のUE2ごとに図14に示した処理を実施する。まず、無線基地局1は、測定対象のUE2との通信中に、各スポットの信号レベルを計測する(ステップS51)。各スポットの信号レベルとは、無線基地局1が、各スポットに存在するUE2から受信した信号の信号レベルである。具体的には、無線基地局1のビーム制御部18が、形成可能な全てのビームを、同時に形成可能なビーム数単位で順次形成する。無線基地局1のアンテナ部14は、各ビームにより受信した信号の信号レベルを計測し、グループ化処理部16へ通知する。このとき用いる信号は、信号レベルの測定対象であるUE2が送信した信号であればどのような信号でも良いが、無線基地局1から指定したパターンが格納された信号を用いると高い精度で測定を行うことができる。例えば、無線基地局1がUE2に対してパターンを指定し、UE2は、指定されたパターンを含む信号を送信する。このとき、端末ごとにパターンが異なっている必要がある。LTE規格ではRS(Reference Signal)と呼ばれる信号が定義されており、各スポットの信号レベルの測定にRS信号を用いることができる。なお、UE2が信号を送るタイミングは無線基地局1が決定しているため、無線基地局1にとっては測定対象のUE2が信号を送信するタイミングは既知である。
無線基地局1は、計測した信号レベルが最も高いスポットを選択する(ステップS52)。選択されたスポットは、測定対象のUE2が存在するスポットであり、このスポットがUE2の在圏情報である。無線基地局1は、これらの処理をサービスエリア内のUE2ごとに行うことにより、サービスエリア内の全UE2の在圏情報を取得する。
図15は、図13に示したステップS45の同一スポット複数UEグループ化処理の一例を示すフローチャートである。図15に示すように、まず、グループ化処理部16は、サービスエリア内の全UE2の在圏情報に基づいて、スポット内のUE2のグループ化が未了のスポットのうち1スポット内のUE数が最も多いスポット内のUE2を、グループ化する(ステップS61)。
ステップS61では、グループ化処理部16は、スポット内のUE2のグループ化が未了のスポットのうち1スポット内のUE2の数が最も多いスポット内のUE2を、異なるグループへ分散して振り分ける。例えば、スポット内のUE2の数が2であり、グループ数が3である場合には、スポット内のUE2をそれぞれ異なるグループへ振り分ける。スポット内のUE2の数が、グループ数より多い場合には、同一グループに属するUE2の数がなるべく少なくなるように、スポット内のUE2を各グループへ振り分ける。ただし、グループ化処理部16は、グループに属するUE2の数が、収容数に達したグループへは振り分けを行わない。例えば、グループ数が3であり、3つのグループをグループ#1、グループ#2、グループ#3とすると、グループ化処理部16は、スポット内のUE2を、グループ#1、グループ#2、グループ#3の順に1つずつ振り分けていくことを、スポット内の全てのUE2がグループ化されるまで繰り返す。
次に、グループ化処理部16は、スポット内のUE数が2台以上の全てのスポットについて、スポット内のUE2のグループ化が終了したか否かを判断する(ステップS62)。スポット内のUE数が2台以上の全てのスポットについて、スポット内のUE2のグループ化が終了した場合(ステップS62 Yes)、グループ化処理部16は、スポット内のUE数が1台であるスポット内のUE2のグループ化を行う(ステップS63)。スポット内のUE数が1台であるスポット内のUE2のグループ化は、実施の形態1と同様の手順で実施することができる。ただし、グループ化処理部16は、グループに属するUE2の数が、収容数に達したグループへは振り分けを行わない。
次に、グループ化処理部16は、サービスエリア内の全てのUE2がグループ化されたか否かを判断する(ステップS64)。サービスエリア内の全てのUE2がグループ化された場合(ステップS64 Yes)、グループ化処理部16は、処理を終了する。
ステップS62で、スポット内のUE数が2台以上の全てのスポットのうち、スポット内のUE2のグループ化が終了していないスポットがある場合(ステップS62 No)、グループ化処理部16は、ステップS61へ戻る。また、ステップS64で、サービスエリア内のUE2のなかでグループ化されていないUE2がある場合(ステップS64 No)、グループ化の対象とするスポットを変更して、ステップS63へ戻る。
以上の処理により、同一スポットに複数のUE2が存在する場合に、これら複数のUE2がなるべく異なるグループにグループ分けされるようにグループ化が実施される。したがって、グループ化処理部16は、2台以上のUE2が1つのビームに対応する範囲内に存在する場合、1つのビームに対応する範囲内に存在する2台以上のUE2を複数のグループに振り分けることとなる。
図16は、図7に示したUE2の配置例において実施の形態3のグループ化処理を実施した結果の一例を示す図である。図16の例では、UE2−3、UE2−2およびUE2−7は、グループ#1に属し、UE2−6、UE2−4およびUE2−8はグループ#2に属し、UE2−1、UE2−5およびUE2−9はグループ#3に属す。実施の形態1では、図8に示したように、グループ#3に、同一スポット内のUE2−3およびUE2−6が含まれていた。これに対し、実施の形態3では、同一グループ内に同一スポット内のUE2が含まれていない。実施の形態1に記載のグループ化処理では同一グループ内に同一スポット内のUE2が含まれている場合がある。この場合、無線基地局1は、UE2−3およびUE2−6に無線周波数帯を分割して割当てるまたはPrecoding処理をはじめとした干渉除去の処理を行う必要がある。これに対し、実施の形態3では、無線基地局1は、Precoding処理を行わない場合でも、UE2−3およびUE2−6に、無線周波数帯を分割せずに割当てることができる。
図17は、実施の形態3のUE2の別の配置例を示す図である。図18は、図17に示した配置において実施の形態3のグループ化処理を実施した結果の一例を示す図である。図17に示した配置例では、スポット4−1にUE2−1〜2−5が存在し、スポット4−5にUE2−6〜2−9が存在する。図17の例では、1スポット内のUE2の数が同時に形成可能なビーム数を超えている。このような場合には、同一グループに属するUE2のうち同一スポット内に存在するUE2がなるべく少なくなるようにグループ化を行う。
例えば、図18に示した例では、UE2−1、UE2−4およびUE2−7は、グループ#1に属し、UE2−2、UE2−5およびUE2−8はグループ#2に属し、UE2−3、UE2−6およびUE2−9はグループ#3に属している。図18に示した例では、同一グループに属するUE2のうち同一スポットに属するUE2の数はそれぞれ2である。このように、1スポット内のUE2の数が同時に形成可能なビーム数を超えている場合には、実施の形態3のグループ化処理を実施した場合、同一グループに属するUE2のうち同一スポット内に存在するUE2が存在する。しかしながら、無線基地局1は、実施の形態3のグループ化処理を実施することにより、同一グループに属するUE2が全て同一スポット内となるようグループ化される場合に比べて同一グループに属するUE2のうち同一スポットに属するUE2の数は抑制される。このため、各UE2に割当てる無線周波数の帯域幅を広くすることができる。
また、グループ化処理部16は、サービスエリア内の全てのUE2のグループ化が終了しても、1つ以上のグループのUE2の数が、収容数未満であった場合、既にグループ化済のUE2をこれらの1つ以上のグループにさらに属させてもよい。すなわち、グループ化部は、サービスエリア内の全てのUEをグループ分けした後に、グループに属するUE2の数が収容数未満のグループがある場合、当該グループ以外のグループに属すことが決定されているUE2を当該グループへ属させてもよい。換言すると、1つのUE2が属するグループを複数としてもよい。これにより、無線基地局1は、同時に形成可能なビームを有効に利用することができる。
図19は、実施の形態3のUE2の別の配置例を示す図である。図20は、図19に示した配置例において実施の形態3のグループ化処理を実施した結果の一例を示す図である。図19に示した例では、スポット4−1内にUE2−1が存在し、スポット4−2内にUE2−2が存在し、スポット4−3内にUE2−3が存在し、スポット4−4内にUE2−4が存在する。さらに、スポット4−5内にUE2−5が存在し、スポット4−6内にUE2−6が存在し、スポット4−7内にUE2−7が存在し、スポット4−8内には、UEは存在しない。
図19に示した例では、サービスエリア内のUE2の数は、7台であり、同時に形成可能なビーム数を3とすると、グループ数は3となる。図20の左側の図は、図15に示した処理により、サービスエリア内のUE2をグループ化した結果を示している。図20の左側の図の例では、UE2−1、UE2−4およびUE2−7は、グループ#1に属し、UE2−2およびUE2−5はグループ#2に属し、UE2−3およびUE2−6はグループ#3に属している。図20の左側の図に示すように、グループ#2およびグループ#3では、グループに属するUE2の数がそれぞれ2であり、収容数より少ない。したがって、図20の左側の図において空きと示した部分に対応するビームが空いていることになる。このような場合、図20の右側の図に示すように、空きの部分にUE2−1,UE2−2を割当てる。図20の右側の図で、グループ重複UE301として示したUE2−1およびUE2−2は、2つのグループに属している。図20の左側の図のグループ化の場合に、グループ#1、グループ#2、グループ#3の順で無線リソースが割当てられると、グループ#2およびグループ#3に無線リソースが割当てられている期間では2つのビームしか使用されない。これに対し、図20の右側の図に示したグループ化の場合には、グループ#2およびグループ#3に無線リソースが割当てられている期間でも3つのビームが使用される。これにより、同時に形成可能なビームを有効に利用することができる。
または、グループ化処理部16は、サービスエリア内の全てのUE2のグループ化が終了しても、1つ以上のグループのUE2の数が、収容数未満であった場合、グループ内のUE2を2重にこのグループに属させてもよい。すなわち、グループ化処理部16は、サービスエリア内の全てのUE2をグループ分けした後に、グループに属するUE2の数が収容数未満のグループがある場合、当該グループに属すことが決定されている無線端末を2重に当該グループへ属させてもよい。2重にグループに属するとは、同時に形成可能なビームのうち2つを、同一方向の範囲に照射することに対応する。例えば、グループ#2に属するUE2を、UE2−2、UE2−5およびUE2−2と定義する。この場合、無線基地局1は、UE2−2との通信に、同時に形成するビームのうちの2つのビームを用いることになる。
上述したグループ内のUE2を2重に当該グループに属させた例を図面で示す。図21は、図19に示した配置例において、グループ内のUE2を2重にこのグループに属させた場合の実施の形態3のグループ化処理の結果の一例を示す図である。図20の左側の図に示したように、図15に示した処理により、サービスエリア内のUE2をグループ化すると、空きと示した部分に対応するビームが空いていることになる。このとき、空きのビームが存在するグループに既に属しているUE2を2重に属させる。図21において2重UE302と示したUE2は、各グループに2重に属しているUE2を示す。図21に示した例では、グループ#2にUE2−2が2重に属し、グループ#3にUE2−3が2重に属している。なお、ここでは、各グループにUE2が2重に属する例を説明したが、各グループにUE2が3重以上の多重に属すようにグループ化が行われてもよい。
上述したように、グループに2重に属するUE2に対しては、無線基地局1は、同時に形成可能な3つのビームのうち2つのビームを用いて通信を行う。このため、グループに2重に属するUE2は、1つのビームを用いて通信を行う場合に比べて、スループットは2倍となる。なお、同時に形成可能な3つのビームのうち2つのビームを同一方向に向けて照射する場合、2つのビームで伝送される信号が互いに干渉しないような処理が実施されることになる。送信側であらかじめ2つのビームで伝送される信号が互いに干渉しないような信号処理が実施されてもよいし、受信側で干渉を除去する処理が実施されてもよい。2つのビームで伝送される信号が互いに干渉しないような処理は、LTE規格で規定されている。送信側であらかじめ行う、2つのビームで伝送される信号が互いに干渉しないような信号処理には、LTE規格におけるPrecodingと呼ばれる処理が該当する。受信側で干渉を除去する処理は、規格化はされていないが、Zero Forcingと呼ばれる処理を用いることができる。2つのビームで伝送される信号が互いに干渉しないような処理は、これらに限定されずどのような処理が用いられても良い。
以上のように、実施の形態3では、同一グループに属する同一スポットに存在するUE2の数ができるだけ少なくなるように、UE2をグループ化するようにした。このため、同一グループに属するUE2が全て同一スポット内となるようグループ化される場合に比べて各UE2に割当てる無線周波数の帯域幅を広くすることができる。
また、以上の説明では、無線基地局1が、実施の形態1で述べた無線リソース割当て処理を実施する場合に、上述したグループ化処理を行う例を説明したが、無線基地局1が、実施の形態2で述べた無線リソース割当て処理を実施する場合に、本実施の形態のグループ化処理を行ってもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。