以下、実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く。また、以下の実施形態では、車両に搭載されるカメラ等の撮像部で撮像した動画像から認識する対象(物標)の一例を、前方車両とするが、対象の一例は、前方車両に限定されるものではなく、例えば、人物、動物、建物等の物体であってもよい。
[本実施形態]
はじめに、車両に搭載される認識システムの認識性能を検証する認識性能検証システムの全体構成について説明する。図1は、認識性能検証システムの全体構成の一例を示す図である。
図1に示すように、認識性能検証システム100は、車両110と、格納装置120と、正解生成装置130と、性能検証装置140とを有する。
車両110は、認識システム111を搭載する。認識システム111は、車両110の所定方向(例えば、前方)の車両を撮像し、画像情報(動画像)から前方車両を認識し、運転者に警告を行ったり車両の走行制御を行ったりする。認識システム111により得られた画像情報は、格納装置120の画像情報格納部121に格納される。また、認識システム111により認識された前方車両についての認識結果は、認識結果格納部112に格納される。
格納装置120は、画像情報格納部121を有し、車両110の認識システム111により得られた画像情報を格納する。なお、画像情報格納部121に格納された画像情報は、正解生成装置130や性能検証装置140によって読み出されて利用される。
正解生成装置130は、画像情報に含まれる各フレームの正解情報(正解データ)を生成する画像処理装置である。正解生成装置130には画像認識プログラムの一例である正解生成プログラムがインストールされており、正解生成装置130は、正解生成プログラムを実行することで、正解生成部131として機能する。
正解生成部131は、画像情報格納部121に格納された画像情報を読み出し、フレームごとに車両領域(車両部分)を特定し、正解情報を生成する。また、正解生成部131は、生成した正解情報を、認識システム111の認識結果を検証する際の検証用として、正解情報格納部132に格納する。
性能検証装置140は、性能比較部141を有する。性能比較部141は、画像情報格納部121より読み出した画像情報151に含まれる各フレームについて、認識結果格納部112より読み出した認識結果情報152と、正解情報格納部132より読み出した正解情報153との比較を行う。
また、性能比較部141は、比較結果に基づいて、認識システム111の認識性能を検証するとともに、性能比較結果を性能比較結果格納部142に格納する。
なお、図1に示す認識性能検証システム100は、車両の台数を1台としているが、車両の台数は複数であってもよい。また、図1に示す認識性能検証システム100は、格納装置120、正解生成装置130、性能検証装置140を別々の装置としているが、これらの装置が有する機能を集約し、例えば、1台のサーバ装置により実現するようにしてもよい。
次に、車両110に搭載された認識システム111の機能構成について説明する。図2は、認識システムの機能構成の一例を示す図である。図2に示すように、認識システム111は、撮像部201、認識部202、距離算出部203、警告部204、制御部205を有する。
撮像部201は、例えば、カメラであり、車両110の前方を走行する前方車両210を撮像する。撮像部201により撮像された画像情報は、格納装置120に送信され、画像情報格納部121に格納される。また、撮像部201により撮像された画像情報は、認識部202に入力される。
認識部202は、画像情報に含まれる各フレームについて画像認識処理を行い、各フレーム中の前方車両を認識する。また、認識部202は、認識結果(フレーム中の前方車両を示す領域の位置(座標)及び前方車両の大きさ)を認識結果格納部112に格納する。また、認識部202は、認識結果を距離算出部203に入力する。
距離算出部203は、認識部202による認識結果に基づいて、前方車両210までの距離を算出する。また、距離算出部203は、算出した距離を警告部204及び制御部205に出力する。
警告部204は、距離算出部203により算出された距離に応じて、車両110の乗員に情報を提示することで、乗員に対して警告を行う。また、制御部205は、距離算出部203により算出された距離に応じて、車両110の走行速度を制御する。
次に、性能検証装置140の機能について説明する。図3は、性能検証装置の機能を説明するための図である。
図3に示すように、性能検証装置140の性能比較部141は、画像情報151に含まれる各フレーム中の前方車両の描画領域(以下、単に「車両領域」と略す)についての認識システム111による認識結果情報152を、認識結果格納部112より読み出す。
上述したように、認識結果情報152には、フレーム中の前方車両301の領域の位置(座標)、前方車両301の領域の大きさが含まれる。図3の例は、前方車両301の領域の座標(X座標及びY座標)として(Xe,Ye)が読み出され、前方車両301の領域の大きさ(幅及び高さ)として(We,He)が読み出された場合を示している。
また、性能比較部141は、画像情報151に含まれる各フレーム中の前方車両301について、正解情報格納部132より、正解情報153を読み出す。図3の例では、性能比較部141は、正解情報153として、前方車両301の領域の座標である(Xr,Yr)を読み出し、前方車両301の領域の大きさである(Wr,Hr)を読み出している。
性能比較部141は、認識結果情報152と正解情報153とを比較し、前方車両301の領域の位置及び大きさの差分値を算出する。また、性能比較部141は、算出した差分値に基づいて、認識システム111の認識性能を検証するとともに、性能比較結果を性能比較結果格納部142に格納する。なお、性能比較部141は、性能比較結果を格納するにあたり、フレーム番号と対応付けて格納する。また、フレーム中に複数の前方車両が含まれていた場合には、それぞれの車両を示す車両識別子と対応付けて格納する。
次に、正解生成装置130の詳細について説明する。図4は、正解生成装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4に示すように、正解生成装置130は、CPU401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、補助記憶部404、通信部405を備える。また、正解生成装置130は、表示部406、操作部407、ドライブ部408を備える。なお、正解生成装置130の各部は、バス409を介して相互に接続されている。
CPU401は、補助記憶部404にインストールされた各種プログラム(例えば、正解生成プログラム)を実行するコンピュータである。ROM402は、不揮発性メモリである。ROM402は、補助記憶部404に格納された各種プログラムをCPU401が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶部として機能する。具体的には、ROM402はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する。
RAM403は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリであり、主記憶部として機能する。RAM403は、補助記憶部404に格納された各種プログラムがCPU401によって実行される際に展開される、作業領域を提供する。
補助記憶部404は、各種プログラムや、各種プログラムを実行したことで生成された情報(例えば、正解情報153)等を格納する。
通信部405は、正解生成装置130が格納装置120、性能検証装置140と通信するためのデバイスである。
表示部406は、格納装置120の画像情報格納部121より読み出した画像情報を表示したり、正解生成部131により生成された正解情報を表示したりする。
操作部407は、正解生成装置130の操作者が正解生成装置130に対して各種指示を入力するためのデバイスである。
ドライブ部408は記録媒体410をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体410には、CD−ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体410には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等も含まれる。
なお、本実施形態において、補助記憶部404に格納される各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体410がドライブ部408にセットされ、該記録媒体410に記録された各種プログラムがドライブ部408により読み出されることでインストールされる。あるいは、通信部405を介してネットワークからダウンロードされることでインストールされる。
次に、正解生成装置130の機能構成について説明する。図5は、正解生成装置の機能構成の一例を示す図である。図5に示すように、正解生成装置130の正解生成部131は、映像表示部501、フレーム指定受け付け部502、領域指定受け付け部503、画像追跡部504、修正部505を有する。
映像表示部501は、正解生成装置130の操作者により指定された画像情報を、画像情報格納部121より読み出し、表示部406に表示する。また、映像表示部501は、読み出した画像情報を画像追跡部504に送信する。
フレーム指定受け付け部502は、表示部406に表示された画像情報の各フレームの中から、操作者により選択された複数のフレーム(例えば、異なるタイミングで撮像されたフレーム)の指定を受け付ける。また、フレーム指定受け付け部502は、指定された複数のフレームを特定するそれぞれのフレーム番号を画像追跡部504に送信する。なお、本実施形態において、操作者は、表示部406に表示された画像情報の各フレームのうち、前方車両が含まれるフレームであって、フレーム内の車両領域において、局所的な色変化が発生しているフレームを複数選択して指定する。テンプレート画像を用いて画像情報の各フレームより正解情報を高精度に抽出するためには、様々な色変化に対応したテンプレート画像を生成しておくことが有効だからである。
なお、本実施形態において、テンプレート画像とは、画像情報に含まれる各フレームから、車両領域を抽出するための照合処理を行う際に用いられる照合用の画像である。
領域指定受け付け部503は、フレーム指定受け付け部502を介して指定されたフレームにおいて、操作者により車両領域の指定があった場合に、これを受け付ける。また、指定された領域の情報である指定領域情報(車両領域の位置を示すX座標、Y座標及び車両領域の大きさ(幅、高さ))を画像追跡部504に送信する。
画像追跡部504は、フレーム指定受け付け部502において指定された複数のフレームについて、領域指定受け付け部503において指定されたそれぞれの領域の画像を用いて、テンプレート画像を生成する。
また、画像追跡部504は、生成したテンプレート画像を用いて、画像情報に含まれる各フレームに対して照合処理を行い、各フレームから照合領域(テンプレート画像に類似する領域)を抽出する。照合領域は、テンプレート画像が照合した位置及び照合したテンプレート画像の大きさ(Xr,Yr,Wr,Hr)に基づいて算出され、車両領域(車両部分)を表している。なお、抽出された照合領域は、正解情報として出力される。
修正部505は、画像追跡部504より出力された各フレームの正解情報について、修正が必要であると判定した場合に、操作者による修正操作を受け付ける。また、修正部505は、操作者による修正操作に基づいて修正した正解情報を、当該フレームと対応付けて正解情報格納部132に格納する。
次に、正解生成部131のフレーム指定受け付け部502及び領域指定受け付け部503の詳細について説明する。
図6は、画像情報において指定されたフレーム及び領域を示す図であり、フレーム指定受け付け部502による複数フレームの指定及び領域指定受け付け部503による、各フレームについての車両領域の指定について説明するための図である。図6に示すように、画像情報151は複数のフレームを含み、各フレームは時系列に配列されている。図6の例は、操作者が、画像情報151に含まれる複数のフレームの中から、5つのフレームを指定フレームとして指定した場合を示している。具体的には、フレーム番号=n1、n2、n3、n4、n5により特定される指定フレーム601〜605を指定した場合を示している。
また、図6の例は、指定フレーム601において、操作者が領域611を車両領域として指定し、指定フレーム602において、領域612を車両領域として指定し、指定フレーム603において、領域613を車両領域として指定した場合を示している。更に、図6の例は、指定フレーム604において、操作者が領域614を車両領域として指定し、指定フレーム605において、領域615を車両領域として指定した場合を示している。
次に、正解生成部131の画像追跡部504の詳細について説明する。図7は、画像追跡部の詳細な機能構成の一例を示す図である。
図7に示すように、画像追跡部504は、指定領域画像取得部701、生成要否判定部702、テンプレート画像生成部703、指定フレーム間算出部704を有する。
指定領域画像取得部701は、映像表示部501より送信された画像情報の各フレームから、フレーム指定受け付け部502より送信された指定フレーム番号により特定される指定フレームを抽出する。また、指定領域画像取得部701は、抽出した指定フレームについて、領域指定受け付け部503より送信された指定領域情報により特定される領域の画像を抽出する。更に、指定領域画像取得部701は、抽出した領域の画像を、指定領域画像情報格納部711に格納する。以下、指定領域画像取得部701により抽出された領域の画像を、「指定領域画像」と称す。
生成要否判定部702は、指定領域画像情報格納部711に格納された指定領域画像に基づいて、新たにテンプレート画像を生成する必要があるか否かを判定する。必要がないと判定した場合には、テンプレート画像の生成は行われない。一方、テンプレート画像を生成する必要があると判定した場合には、テンプレート画像生成部703に通知される。
テンプレート画像生成部703は、生成要否判定部702により、テンプレート画像を生成する必要があると判定された場合に、テンプレート画像を生成する。テンプレート画像生成部703は、指定領域画像情報格納部711に格納された指定領域画像を用いてテンプレート画像を生成する。なお、テンプレート画像生成部703は、生成したテンプレート画像を、テンプレート画像情報格納部712に格納する。
指定フレーム間算出部704は、テンプレート画像情報格納部712に格納されたテンプレート画像を用いて、指定フレーム間の各フレームについて照合処理を行い、各フレームから、車両領域を抽出する。なお、指定フレーム間の各フレームとは、画像情報151において時系列に配列された複数のフレームのうち、2つの指定フレームの間に配列された各フレームのことをいう。
また、指定フレーム間算出部704は、画像情報151の各フレームから抽出した車両領域を、修正部505を介して正解情報格納部132に送信し、フレームと対応付けて正解情報として格納する。
次に、画像追跡部504の各部(指定領域画像取得部701、生成要否判定部702、テンプレート画像生成部703、指定フレーム間算出部704)の更なる詳細について、順に説明する。
まず、指定領域画像取得部701の詳細について説明する。図8は、指定領域画像取得部が指定フレームから抽出した指定領域画像を格納する、指定領域画像情報の一例を示す図である。図8に示すように、指定領域画像情報800には、情報の項目として、"フレーム番号"、"指定領域画像"、"指定領域位置"、"画像サイズ"が含まれる。
"フレーム番号"には、指定領域画像取得部701により指定領域画像が抽出された指定フレームのフレーム番号が格納される。"指定領域画像"には、指定領域画像取得部701により抽出された指定領域画像が格納される。
"指定領域位置"には、指定領域画像取得部701により抽出された指定領域画像の指定フレーム内での位置(座標)が格納される。"画像サイズ"には、指定領域画像取得部701により抽出された指定領域画像の大きさ(幅×高さ)が格納される。
図8の例は、フレーム番号=n1の指定フレームの場合、指定領域画像取得部701が、指定領域画像の位置として(x1,y1)を抽出し、指定領域画像の大きさとして、w1×h1を抽出したことを示している。
また、フレーム番号=n2〜n5の指定フレームの場合、指定領域画像取得部701が、指定領域画像の位置として(x2,y2)〜(x5,y5)を抽出し、指定領域画像の大きさとして、w2×h2〜w5×h5を抽出したことを示している。
次に、生成要否判定部702、テンプレート画像生成部703、指定フレーム間算出部704による正解情報生成処理の流れについて説明する。図9は、正解情報生成処理のフローチャートである。
ステップS901において、生成要否判定部702は、指定領域画像情報格納部711に格納された指定領域画像群を読み出す。
ステップS902において、生成要否判定部702は、読み出した指定領域画像群に基づいて、テンプレート画像を生成する必要があるか否かを判定する。ステップS902における判定の結果、テンプレート画像の生成が必要であると判定した場合には(ステップS903においてYes)、ステップS903からステップS904へと進む。
ステップS904において、テンプレート画像生成部703は、指定領域画像情報格納部711に格納された指定領域画像を用いてテンプレート画像を生成し、テンプレート画像情報格納部712に格納する。その後、ステップS902に戻る。
一方、ステップS902における判定の結果、テンプレート画像の生成が必要でないと判定した場合には(ステップS903においてNo)、ステップS903からステップS905へと進む。
ステップS905において、指定フレーム間算出部704は、テンプレート画像情報格納部712に格納されたテンプレート画像を用いて、指定フレーム間の各フレームについて照合処理を行い、各フレームより車両領域を抽出する。
ステップS906において、指定フレーム間算出部704は、抽出した車両領域を正解情報として、修正部505に出力する。その後、正解情報生成処理を終了する。
次に、図9の正解情報生成処理に含まれる各工程(テンプレート画像生成要否判定処理(ステップS902)、テンプレート画像生成処理(ステップS904)、車両領域抽出処理(ステップS905))の詳細について説明する。
はじめに、テンプレート画像生成要否判定処理(ステップS902)の詳細について説明する。図10は、テンプレート画像生成要否判定処理のフローチャートである。ステップS1001において、生成要否判定部702は、読み出した指定領域画像それぞれについて、後述するステップS1002からステップS1004までの処理(画素グループ分類処理)を実行済みであるか否かを判定する。
ステップS1001において、画素グループ分類処理を実行済みであると判定した場合には(ステップS1001においてYes)、ステップS1005に進む。一方、ステップS1001において、画素グループ分類処理を実行済みでないと判定した場合には(ステップS1001においてNo)、ステップS1002に進む。
ステップS1002において、生成要否判定部702は、読み出した指定領域画像それぞれについて、画像サイズを正規化する。図8において示したように、指定領域画像は、車両110から前方車両210までの距離によって、画像サイズが異なる。そこで、生成要否判定部702は、指定領域画像それぞれについて幾何変換処理を行うことで、画像サイズを正規化する。なお、画像サイズの正規化は、例えば、縦横各々において、画素数が最も多い画像に合わせるように幾何変換処理を行う。図8の例では、フレーム番号=n4の指定フレーム604に含まれる指定領域画像の画像サイズが最も大きい。このため、生成要否判定部702は、フレーム番号=n4の指定フレーム604に含まれる指定領域画像の画像サイズである、w4×h4に合わせるように、他の指定領域画像に対して幾何変換処理を行う。
ステップS1003において、生成要否判定部702は、画素値ベクトルを生成する。画素値ベクトルとは、それぞれの指定領域画像から、対応する画素の画素値(例えば、RGBの各色成分値)を抽出して、指定領域画像の数だけ配列することで生成されるベクトルである。つまり、画素値ベクトルは、指定領域画像のそれぞれの画素の画素値が、指定フレーム間においてどのように変化していくかを示すベクトルである。したがって、画素値ベクトルは、正規化した指定領域画像の画素の数だけ生成される。なお、上述したステップS1002〜S1004の処理が画素グループの分類処理である。
ステップS1004において、生成要否判定部702は、ステップS1003において生成された画素ごとの画素値ベクトルを、類似性に応じて複数のグループに分類する。各画素の画素値ベクトルを類似性に応じて分類するには、例えば、一般的なクラスタリング手法を用いる。なお、クラスタリング手法の代表的な手法であるk−means法の場合、分類するグループの数を事前に決定しておく必要がある。本実施形態において、生成要否判定部702は、画像情報の性質(画像情報に含まれる各フレームのサイズ、内部の色数及びその変動傾向等)を参照することで、分類可能な範囲内でグループ数を決定する。
また、例えば、x−means法のような、分類するグループの数を適切に決定するクラスタリング手法を用いる場合にあっては、クラスタリング手法において算出した数に基づいてグループ数を決定するものとする。
ステップS1005において、生成要否判定部702は、最小照合度画像決定処理を行う。最小照合度画像とは、テンプレート画像情報格納部712に格納されたテンプレート画像と、複数の指定領域画像それぞれとの間で照合処理を行った場合に、照合度が最小となる指定領域画像である。なお、生成要否判定部702は、はじめに、複数の指定領域画像のうちの1つの指定領域画像を、テンプレート画像としてテンプレート画像情報格納部712に登録する。このため、はじめに最小照合度画像として決定されるのは、指定領域画像同士を照合処理した場合に照合度が最小となる指定領域画像である。
なお、はじめにテンプレート画像情報格納部712に登録される指定領域画像は、複数の指定領域画像のうち、正規化した際の幾何学変換で、拡大又は縮小の影響が最も小さい指定領域画像である。このことは、幾何学変換による画素値加工の影響が最も小さい指定領域画像が登録されることを意味する。
一方、はじめに1つの指定領域画像をテンプレート画像として登録して以降は、テンプレート画像生成処理(ステップS904)にて必要に応じてテンプレート画像が生成され、順次、テンプレート画像情報格納部712に格納されていく。このため、生成要否判定部702は、テンプレート画像が新たに生成されるごとに、最小照合度画像決定処理を行う。
ステップS1006において、生成要否判定部702は、ステップS1005において決定された最小照合度画像の最小照合度が、所定の閾値より大きいか否かを判定する。ステップS1006において、最小照合度が所定の閾値より大きいと判定した場合には(ステップS1006においてYes)、テンプレート画像の生成が不要であるとして、図9のステップS903に戻る。
一方、ステップS1006において、最小照合度が所定の閾値以下であると判定した場合には(ステップS1006においてNo)、新たなテンプレート画像の生成が必要であるとして、ステップS1007に進む。複数の指定領域画像の中に、テンプレート画像との照合度が所定の閾値以下のものがあるということは、画像情報151の各フレームから車両領域を抽出するのに、十分な種類のテンプレート画像が未だ生成されていないということを表している。このため、最小照合度が閾値以下の場合には、新たなテンプレート画像を生成するのに必要な処理を実行すべく、ステップS1007に進む。
ステップS1007において、生成要否判定部702は、照合度低下要因グループ決定処理を実行する。照合度低下要因グループ決定処理において、生成要否判定部702は、ステップS1004において指定領域画像の各画素が分類された複数のグループのうち、最小照合度画像とテンプレート画像との照合度に影響を与える画素を含むグループを判定する。
照合度判定要因グループ決定処理において、照合度に影響を与える画素を含むグループを判定することで、後述するテンプレート画像生成部703において当該グループに含まれる画素の画素値を反映させた、新たなテンプレート画像を生成できるからである。このようにして生成される新たなテンプレート画像を用いれば、指定領域画像との照合度が、所定の閾値以下になることを回避することができる。
次に、テンプレート画像生成要否判定処理の具体例について、図11及び図12を用いて説明する。図11は、テンプレート画像生成要否判定処理のうち、画素グループ分類処理の具体例を示す図であり、指定領域画像の正規化処理と画素値ベクトルの生成方法を示したものである。
図11に示すように、指定領域画像情報格納部711には、フレーム番号=n1〜n5の指定フレーム601〜605より抽出された指定領域画像1101〜1105が格納されている。指定領域画像1101〜1105のうち、画像サイズが最も大きいのは、指定領域画像1104である。このため、生成要否判定部702は、指定領域画像1104の画像サイズに合うように、指定領域画像1101〜1103及び指定領域画像1105に対して幾何学変換処理を行い、画像サイズを正規化する。
これにより、指定領域画像情報格納部711には、正規化指定領域画像群として、正規化指定領域画像1111〜1115が格納される。なお、図11の例では、正規化指定領域画像1111〜1115を特定するための番号として、正規化指定領域画像番号N1〜N5を付して格納している。
このようにして生成された正規化指定領域画像1111〜1115を用いて、生成要否判定部702は、画素値ベクトルを生成する。図11の例は、正規化指定領域画像1111〜1115に含まれる各画素の座標(i,j)の画素についての画素値ベクトルVijを算出する様子を示している。
図11に示すように、正規化指定領域画像1111の座標(i,j)の画素値は、(Rn1_ij,Gn1_ij,Bn1_ij)である。また、正規化指定領域画像1112の座標(i,j)の画素値は、(Rn2_ij,Gn2_ij,Bn2_ij)である。以下、同様に、正規化指定領域画像1113〜1115の座標(i,j)の画素値は、(Rn3_ij,Gn3_ij,Bn3_ij)〜(Rn5_ij,Gn5_ij,Bn5_ij)である。
生成要否判定部702は、正規化指定領域画像1111〜1115それぞれの座標(i,j)における画素値を配列することで、画素値ベクトルVijを生成する。図11の画素値ベクトル1120は、このようにして生成した画素値ベクトルVijの一例である。なお、生成要否判定部702は、このような画素値ベクトルを、正規化指定領域画像のすべての座標の画素について算出する。
図12は、算出した画素値ベクトルに基づいて、正規化指定領域画像の各画素を各グループへ分類する処理を説明するための図である。正規化指定領域画像1111〜1115の画素数が、それぞれp×q画素であるとすると、生成要否判定部702は、画素値ベクトルV11〜Vpqを生成することになる。このため、生成要否判定部702は、画素値ベクトルV11〜Vpqをクラスタリングすることにより、正規化指定領域画像1111〜1115の各画素を複数のグループに分類する。
図12の場合、生成要否判定部702が分類するグループとして、グループIからグループIIIまでを例示している。このうち、グループI、IIは、前方車両のリアガラス部分に相当し、グループIIIは、前方車両のブレーキランプ部分に相当するが、分類するグループの種類については、これに限定されるものではない。
図12に例示した各グループに分類される画素値ベクトルは、正規化指定領域画像と画素値の変化(色変化)との関係を示したグラフ1200に対応している。グラフ1200において、横軸は正規化指定領域画像番号を示し、縦軸は画素値を示している(上述したように、画素値はRGBの3次元からなるが、グラフ1200では説明の簡略化のため、1次元への写像により示している)。
例えば、グループIに分類される画素値ベクトルは、折れ線1221に対応している。また、グループIIに分類される画素値ベクトルは、折れ線1222に対応している。更に、グループIIIに分類される画素値ベクトルは、折れ線1223に対応している。
折れ線1221によれば、グループIに分類される画素値ベクトルは、正規化指定領域画像番号=N3で画素値が小さくなり、正規化指定領域画像番号=N4及びN5で再び画素値が大きくなる。
また、折れ線1222によれば、グループIIに分類される画素値ベクトルは、正規化指定領域画像番号=N3及びN4で画素値が小さくなり、正規化指定領域画像番号=N5で再び画素値が大きくなる。
このように、同じリアガラス部分に相当する画素であっても、画素値の変化が異なれば、異なるグループ(グループI、II)に分類されることになる。
また、折れ線1223によれば、グループIIIに分類される画素値ベクトルは、正規化指定領域画像番号=N2〜N4で画素値が小さくなり、正規化指定領域画像番号=N5で再び画素値が大きくなる。
このように、異なる時間の色成分を、1つの画素値ベクトルとして表現したうえで、当該画素値ベクトルをクラスタリングすることで、本実施形態におけるグループ分類では時間変化を含めた色類似性を画素単位で判定することが可能になる。
次に、テンプレート画像生成要否判定処理(図10)に含まれる最小照合度画像決定処理(ステップS1005)の詳細について説明する。図13は、最小照合度画像決定処理のフローチャートである。
ステップS1301において、生成要否判定部702は、テンプレート画像情報格納部712にテンプレート画像が登録されているか否かを判定する。ステップS1301において、テンプレート画像が登録されていると判定した場合には(ステップS1301においてYes)、ステップS1310に進む。
ステップS1310において、生成要否判定部702は、指定領域画像情報格納部711に格納された各正規化指定領域画像(N1〜N5)と、テンプレート画像情報格納部712に登録されているテンプレート画像との照合度を算出する。
なお、テンプレート画像情報格納部712に、テンプレート画像が複数登録されている場合には、それぞれのテンプレート画像を用いて、各正規化指定領域画像(N1〜N5)との照合度が算出される。例えば、テンプレート画像が2つ登録されている場合には、各正規化指定領域画像(N1〜N5)について、2つずつ照合度が算出されることになる。ここでは、正規化指定領域画像(N1)について算出された照合度を、MN1_1、MN1_2とし、正規化指定領域画像(N2)について算出された照合度を、MN2_1、MN2_2とする。同様に、正規化指定領域画像(N3〜N5)について算出された照合度を、MN3_1、MN3_2、MN4_1、MN4_2、MN5_1、MN5_2とする。
ステップS1311において、生成要否判定部702は、ステップS1310において算出した照合度のうち、最小照合度Mminを算出したときの正規化指定領域画像を、最小照合度画像として決定する。
なお、ここでいう最小照合度Mminは、例えば、各正規化指定領域画像(N1〜N5)について2つずつ照合度が算出されている場合にあっては、2つの照合度のうち大きい方の照合度について、各正規化指定領域画像間で比較した場合に最小となる照合度をいう。
具体的には、各正規化指定領域画像(N1〜N5)についての各照合度の大小関係が、MN1_1>MN1_2、MN2_1<MN2_2、MN3_1<MN3_2、MN4_1>MN4_2、MN5_1<MN5_2であったとする。この場合、最小照合度Mminは、MN1_1、MN2_2、MN3_2、MN4_1、MN5_2を比較することにより決定される。
一方、ステップS1301において、テンプレート画像が登録されていないと判定した場合には(ステップS1301においてNo)、ステップS1302に進む。この場合、ステップS1302〜ステップS1309において、正規化指定領域画像群(N1〜N5)の中からいずれかの正規化指定領域画像をテンプレート画像として決定する。
具体的には、ステップS1302において、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像をカウントするカウンタkに初期値(=1)を設定する。
ステップS1303において、生成要否判定部702は、指定領域画像情報格納部711に格納された正規化指定領域画像群より、正規化指定領域画像(Nk)を、テンプレート画像候補として読み出す。ここでは、正規化指定領域画像(N1)をテンプレート画像候補として読み出す。
ステップS1304において、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像群の各正規化指定領域画像群(N1〜N5)と、テンプレート画像候補(正規化指定領域画像(N1))との照合度Mを算出する。
ステップS1305において、生成要否判定部702は、ステップS1304において算出した照合度Mが、最大照合度Mmaxより大きいか否かを判定する。この時点で、最大照合度Mmaxには値が代入されていないため、ステップS1304において算出した照合度Mが、最大照合度Mmaxより大きいと判定し(ステップS1305においてYes)、ステップS1306に進む。
ステップS1306において、生成要否判定部702は、ステップS1304において算出した照合度Mを最大照合度Mmaxに代入し、最大照合度Mmaxを更新する。
ステップS1307において、生成要否判定部702は、すべての正規化指定領域画像群(N1〜N5)をテンプレート画像候補として読み出したか否かを判定する。ステップS1307において、テンプレート画像候補として読み出していない正規化指定領域画像があると判定した場合には(ステップS1307においてNo)、ステップS1308に進む。
ステップS1308において、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像カウンタkをインクリメント(k=k+1)し、ステップS1303に戻る。
この場合、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像(N2)をテンプレート画像候補として読み出し、各正規化指定領域画像(N1〜N5)との照合度Mを算出する。このようにして、各正規化指定領域画像(N1〜N5)を順次読み出し、すべての組み合わせについて照合度を算出することで、照合度が最も大きい組み合わせを判定する。
全ての正規化指定領域画像をテンプレート画像候補として読み出して、各正規化指定領域画像(N1〜N5)のすべての組み合わせについて照合度の算出が完了すると(ステップS1307においてYes)、生成要否判定部702はステップS1309に進む。
ステップS1309において、生成要否判定部702は、最大照合度Mmaxを算出したときのテンプレート画像候補を、テンプレート画像に決定する。更に、生成要否判定部702は、決定したテンプレート画像をテンプレート画像情報格納部712に登録する。
ステップS1310において、生成要否判定部702は、指定領域画像情報格納部711に格納された各正規化指定領域画像(N1〜N5)と、テンプレート画像情報格納部712に登録されたテンプレート画像との照合度Mを算出する。
ステップS1311において、生成要否判定部702は、ステップS1310において算出した照合度Mのうち、最小照合度Mminを算出したときの正規化指定領域画像を、最小照合度画像と決定する。
図14は、最小照合度画像決定処理の具体例を示す図である。図14の例は、正規化指定領域画像(N1〜N5)のうち、正規化指定領域画像(N4)をテンプレート画像候補としたときに照合度(MN4_1)が最大であったことを示している。
具体的には、正規化指定領域画像番号=N4の正規化指定領域画像1114同士の照合処理を行った際の照合度(MN4_1)が、他のいずれの組み合わせにおいて算出された照合度よりも大きかったことを示している。このため、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像番号=N4の正規化指定領域画像1114をテンプレート画像として登録する。
また、図14の例は、正規化指定領域画像1114をテンプレート画像として、他の正規化指定領域画像(N1〜N3、N5)と照合処理を行った結果、正規化指定領域画像(N5)との照合度(MN5_1)が最小であったことを示している。つまり、MN1_1、MN2_1、MN3_1>MN5_1であったことを示している。このため、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像番号=N5の正規化指定領域画像1115を、最小照合度画像として決定する。
更に、図14の例は、新たに生成されたテンプレート画像1400についても同様の処理を行うことを示している。すなわち、テンプレート画像1400と、正規化指定領域画像(N1〜N5)との間で照合処理を行うことで、照合度MN1_2〜MN5_2を算出する。なお、上述したように、テンプレート画像が複数になることで、正規化指定領域画像(N1〜N5)との照合度が複数算出される場合には、それぞれの正規化指定領域画像(N1〜N5)に対する照合度のうち、大きい方の照合度同士を比較する。
上述したように、各正規化指定領域画像(N1〜N5)についての各照合度の大小関係は、MN1_1>MN1_2、MN2_1<MN2_2、MN3_1<MN3_2、MN4_1>MN4_2、MN5_1<MN5_2である。
したがって、生成要否判定部702は、MN1_1、MN2_2、MN3_2、MN4_1、MN5_2を比較することにより、最小の照合度を判定する。図14の例は、MN2_2が最小照合度Mminとなり、正規化指定領域画像(N2)が最小照合度画像として決定されたことを示している。
なお、最小照合度となったMN2_2が所定の閾値より大きければ、新たなテンプレート画像が生成されることはない。一方、MN2_2が所定の閾値以下であれば、画像追跡部504は、新たなテンプレートを生成するために、照合度低下要因グループ決定処理(ステップS1007)を実行した後、テンプレート画像生成処理(ステップS904)を実行する。
次に、テンプレート画像生成要否判定処理(図10)に含まれる照合度低下要因グループ決定処理(ステップS1007)の詳細について説明する。図15は、照合度低下要因グループ決定処理のフローチャートである。
ステップS1501において、生成要否判定部702は、グループカウンタgに初期値(=I)を設定する。
ステップS1502において、生成要否判定部702は、グループgの領域をマスクするグループ画像マスクを生成する。ここでは、グループカウンタg=Iであるため、グループIの領域をマスクするグループ画像マスクを生成する。
ステップS1503において、生成要否判定部702は、テンプレート画像をグループ画素マスクを用いてマスク処理したうえで、最小照合度画像との照合度を算出する。ここでは、テンプレート画像として、正規化指定領域画像番号=N4の正規化指定領域画像が決定され、最小照合度画像として、正規化指定領域画像番号=N5の正規化指定領域画像が決定されているものとする。
したがって、生成要否判定部702は、グループIの領域をマスクするグループ画素マスクを用いて正規化指定領域画像(N4)をマスク処理して、正規化指定領域画像(N5)との照合度Mmaskを算出する。
なお、生成要否判定部702は、照合度Mmaskを算出するにあたり、下式を用いた重み付け照合処理を行う。下式において、Iは最小照合度画像を表し、Tはグループ画素マスクを用いてマスク処理されたテンプレート画像を表す。また、wiは重みを表す。
ステップS1504において、生成要否判定部702は、ステップS1503において算出したMmaskが、Mmaskの最大値Mmask_maxより大きいか否かを判定する。ステップS1504において、Mmaskが、Mmask_maxより大きいと判定した場合には(ステップS1504においてYes)、ステップS1505に進む。一方、Mmaskが、Mmask_max以下であると判定した場合には(ステップS1504においてNo)、ステップS1506に進む。
ステップS1505において、生成要否判定部702は、ステップS1503において算出したMmaskにより、Mmask_maxを更新する。
ステップS1506において、生成要否判定部702は、すべてのグループについてグループ画素マスクを生成したか否かを判定する。ステップS1506において、グループ画素マスクを生成していないグループがあると判定した場合には(ステップS1506においてNo)、ステップS1507に進む。ステップS1507において、生成要否判定部702は、グループカウンタgをインクリメント(g=g+1)し、ステップS1502に戻る。
この場合、生成要否判定部702は、グループIIについてグループ画素マスクを生成し、テンプレート画像である正規化指定領域画像(N4)をマスク処理して、最小照合度画像である正規化指定領域画像(N5)との照合度を算出する。以下、すべてのグループについて同様の処理を繰り返す。生成要否判定部702は、すべてのグループについてグループ画素マスクを生成したと判定すると(ステップS1506においてYes)、ステップS1506からステップS1508に進む。
ステップS1508において、生成要否判定部702は、Mmask_maxを算出したときのグループを照合度低下要因グループと判定する。Mmask_maxを算出したグループの領域をマスクしたときの照合度が、他のグループの領域をマスクしたときの照合度より大きいということは、マスクの効果が大きいということである。つまり、マスクしなかったときの照合度低下の影響が大きいということである。
図16は、照合度低下要因グループ決定処理の具体例を示す図である。図16の例は、最小照合度画像として、正規化指定領域画像番号=N5の正規化指定領域画像1115が決定され、テンプレート画像として、正規化指定領域画像番号=N4の正規化指定領域画像1114が決定された場合を示している。
図16に示すように、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像1114を、グループIの領域をマスクするグループ画素マスクを用いてマスク処理したうえで、正規化指定領域画像1115との照合度を算出する。
また、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像1114を、グループIIの領域をマスクするグループ画素マスクを用いてマスク処理したうえで、正規化指定領域画像1115との照合度を算出する。
更に、生成要否判定部702は、正規化指定領域画像1114を、グループIIIの領域をマスクするグループ画素マスクを用いてマスク処理したうえで、正規化指定領域画像1115との照合度を算出する。
なお、図16の例は、正規化指定領域画像1114を、グループIIIの領域をマスクするグループ画素マスクを用いてマスク処理したうえで、正規化指定領域画像1115と照合処理した場合の照合度が最小であったことを示している。したがって、図16の場合、生成要否判定部702は、グループIIIを、照合度低下要因グループと判定する。
次に、正解情報生成処理(図9)に含まれるテンプレート画像生成処理(ステップS904)の詳細について説明する。図17は、テンプレート画像生成処理のフローチャートである。
ステップS1701において、テンプレート画像生成部703は、最小照合度画像の各グループの代表画素値を取得する。最小照合度画像として、正規化指定領域画像番号=N5の正規化指定領域画像が決定されている場合には、正規化指定領域画像(N5)に含まれる各グループ(例えば、グループI〜III)から代表画素値を取得する。
ステップS1702において、テンプレート画像生成部703は、テンプレート画像の各グループの代表画素値を取得する。テンプレート画像として、正規化指定領域画像番号=N4の正規化指定領域画像が登録されている場合には、正規化指定領域画像(N4)に含まれる各グループ(例えば、グループI〜III)から代表画素値を取得する。
ステップS1703において、テンプレート画像生成部703は、最小照合度画像とテンプレート画像との間で、グループごとに、代表画素値の差分を算出する。具体的には、正規化指定領域画像(N5)のグループIの代表画素値と、正規化指定領域画像(N4)のグループIの代表画素値との差分を算出する。また、正規化指定領域画像(N5)のグループIIの代表画素値と、正規化指定領域画像(N4)のグループIIの代表画素値との差分を算出する。更に、正規化指定領域画像(N5)のグループIIIの代表画素値と、正規化指定領域画像(N4)のグループIIIの代表画素値との差分を算出する。
ステップS1704において、テンプレート画像生成部703は、代表画素値の差分が最小となるグループを判定する。差分値が最小となるグループにおける色変化は、局所的に発生した色変化ではなく、フレーム全体に発生した色変化(例えば、自車両の周辺環境が全体的に暗くなった、又は明るくなったことに基づく色変化)である蓋然性が高い。そこで、ステップS1704において、テンプレート画像生成部703は、フレーム全体に発生した色変化を算出するために、代表画素値の差分値が最小となるグループを判定する。ここでは、グループIIの差分値が最小であったとする。
ステップS1705において、テンプレート画像生成部703は、代表画素値の差分値が最小となるグループについて、代表画素値の差分値を保持する。具体的には、正規化指定領域画像(N5)のグループIIの代表画素値と、正規化指定領域画像(N4)のグループIIの代表画素値との差分値を保持する。
ステップS1706において、テンプレート画像生成部703は、最小照合度画像における照合度低下要因グループの各画素の画素値から、ステップS1705において保持した差分値を減算する。具体的には、最小照合度画像である正規化指定領域画像(N5)のグループIIIの領域の各画素の画素値から、ステップS1705において保持した差分値を減算する。これにより、最小照合度画像である正規化指定領域画像(N5)のグループIIIの領域における色変化分から、フレーム全体に発生した色変化分を除くことができる。
ステップS1707において、テンプレート画像生成部703は、代表画素値の差分値が減算された照合度低下要因グループの各画素の画素値を、テンプレート画像に加算する。具体的には、正規化指定領域画像(N5)のグループIIIの領域の各画素の画素値から、ステップS1705において保持した差分値を減算したものを、テンプレート画像である正規化指定領域画像(N4)に加算する。
ステップS1708において、テンプレート画像生成部703は、ステップS1707において加算されたテンプレート画像を、新たなテンプレート画像として、テンプレート画像情報格納部712に登録する。
これにより、照合度低下要因となっているグループで発生した色変化が反映されたテンプレート画像が新たに生成され、テンプレート画像情報格納部712に新たに登録されることになる。つまり、新たに登録されたテンプレート画像を用いれば、最小照合度画像である正規化指定領域画像(N5)との照合度(最小照合度)を向上させることが可能となる。
図18は、テンプレート画像情報の一例を示す図である。図18に示すように、テンプレート画像情報格納部712のテンプレート画像情報1800には情報の項目として、"テンプレート画像番号"と"テンプレート画像"とが含まれる。
"テンプレート画像番号"には、テンプレート画像情報格納部712に登録されるテンプレート画像を識別するための番号が格納される。テンプレート画像生成部703が新たにテンプレート画像を生成し、テンプレート画像情報格納部712に登録する際に、テンプレート画像生成部703は、テンプレート画像番号を付与する。
"テンプレート画像"には、テンプレート画像生成部703により新たに生成されたテンプレート画像が格納される。本実施形態では、はじめに、正規化指定領域画像群(N1〜N5)のいずれかがテンプレート画像として登録される。図18の例は、テンプレート画像番号=1のテンプレート画像として、正規化指定領域画像番号=N4の正規化指定領域画像が登録されたことを示している。
また、本実施形態では、最小照合度画像として正規化指定領域画像番号=N5の正規化指定領域画像が決定され、照合度低下要因グループとしてグループIIIが決定されている。図18の例は、正規化指定領域画像(N5)のグループIIIの領域の各画素の画素値(ただし、フレーム全体の色変化分を減算したもの)を、正規化指定領域画像(N4)に加算したものが、照合度画像として登録されたことを示している。
次に、正解情報生成処理(図9)に含まれる車両領域抽出処理(ステップS905)の詳細について説明する。図19は、車両領域抽出処理のフローチャートである。
ステップS1901において、指定フレーム間算出部704は、開始・終了の指定フレームのペアを取得したか否かを判定する。開始・終了の指定フレームのペアとは、フレーム指定受け付け部502により指定された指定フレーム(本実施形態では、フレーム番号n1〜n5の指定フレーム601〜605)のうち、隣り合う指定フレームのペアをいう。
例えば、フレーム番号=n1の指定フレーム601を開始の指定フレームとした場合、フレーム番号n2の指定フレーム602が終了の指定フレームとなる。同様に、フレーム番号=n2の指定フレーム602を開始の指定フレームとした場合、フレーム番号n3の指定フレーム603が終了の指定フレームとなる。同様に、フレーム番号=n3の指定フレーム603が開始の指定フレームの場合には、フレーム番号n4の指定フレーム604が終了の指定フレームとなる。同様に、フレーム番号n4の指定フレーム604が終了の指定フレームの場合には、フレーム番号n5の指定フレーム605が終了の指定フレームとなる。
なお、以下の説明では、はじめにフレーム番号n1の指定フレーム601を開始の指定フレームとして、処理を開始するものとする。
ステップS1901において、開始・終了の指定フレームのペアを取得できなかったと判定した場合には(ステップS1901においてNo)、図9のステップS906に戻る。一方、ステップS1901において、開始・終了の指定フレームのペアを取得できたと判定した場合には(ステップS1901においてYes)、ステップS1902に進む。
ステップS1902において、指定フレーム間算出部704は、開始・終了間フレームを画像情報151から抽出する。具体的には、フレーム番号n1+1のフレームからフレーム番号n2−1のフレームまでを画像情報151から抽出する。
ステップS1903において、指定フレーム間算出部704は、幾何変換拘束条件を算出する。車両領域の画像は、時系列に配列されており、1フレーム間で急激な画像サイズの変化が発生することはない。このため、検出対象のフレームにおいて車両領域を抽出するには、例えば、開始フレーム(フレーム番号n1の指定フレーム601)における指定領域画像1101の画像サイズ(w1×h1)に基づいて、テンプレート画像の画像サイズを決定する。あるいは、終了フレーム(フレーム番号n2の指定フレーム602)における指定領域画像1102の画像サイズ(w2×h2)に基づいてテンプレート画像の画像サイズを決定してもよい。あるいは、検出対象のフレームの1フレーム前のフレームにおいて用いたテンプレート画像の画像サイズに基づいて、検出対象のフレームに用いるテンプレート画像の画像サイズを決定してもよい。
具体的には、開始フレームにおける指定領域画像の画像サイズに対して所定の割合で拡大又は縮小した画像サイズを幾何変換拘束条件として、検出対象のフレームにおいて車両領域を抽出する際に用いるテンプレート画像の画像サイズを決定する。
あるいは、終了フレームにおける指定領域画像の画像サイズに対して所定の割合で拡大又は縮小した画像サイズを幾何変換拘束条件として、検出対象のフレームにおいて車両領域を抽出する際に用いるテンプレート画像の画像サイズを決定してもよい。
あるいは、検出対象のフレームの1フレーム前のフレームにおいて用いたテンプレート画像の画像サイズを、所定の割合で拡大又は縮小した画像サイズを幾何変換拘束条件として、検出対象のフレームにおいて用いるテンプレート画像の画像サイズを決定してもよい。
なお、拡大又は縮小する際の割合は、例えば、撮像部201の光学特性から、物標(前方車両)までのおおよその距離を算出し、物標までの距離の変化(すなわち、自車両との相対速度)が、所定の範囲内に収まるように決定する。
ステップS1904において、指定フレーム間算出部704は、照合範囲拘束条件を算出する。車両領域の画像は、時系列に配列されており、1フレーム間で急激な位置の変化が発生することはない。このため、検出対象フレームにおいて車両領域を抽出するには、例えば、開始フレーム(フレーム番号n1の指定フレーム601)における指定領域画像1101の指定領域位置に基づいて、テンプレート画像の検出対象フレーム内での照合範囲を決定する。あるいは、終了フレーム(フレーム番号n2の指定フレーム602)における指定領域画像1102の指定領域位置に基づいて、テンプレート画像の検出対象フレーム内での照合範囲を決定する。あるいは、検出対象のフレームの1フレーム前のフレームにおいて用いたテンプレート画像の照合領域に基づいて、検出対象のフレームに用いるテンプレート画像の照合範囲を決定する。
ステップS1905において、指定フレーム間算出部704は、テンプレート画像情報格納部712に登録されたテンプレート画像を読み出し、幾何変換拘束条件に基づいてテンプレート画像を幾何変換する。更に、指定フレーム間算出部704は、幾何変換したテンプレート画像を用いて、照合範囲拘束条件に応じた照合範囲について、検出対象のフレームとの照合処理を行う。
ステップS1906において、指定フレーム間算出部704は、検出対象のフレームに対して、それぞれのテンプレート画像を用いて照合処理を行った際のそれぞれの照合度を比較する。指定フレーム間算出部704は、比較の結果、最大の照合度を算出したテンプレート画像を用いることで得た照合領域を、車両領域として抽出する。照合領域は、最大の照合度を算出したテンプレート画像が照合したフレーム内の位置及び当該テンプレート画像の大きさにより特定される。
ステップS1907において、指定フレーム間算出部704は、次のフレームがあるか否かを判定する。次のフレームが終了の指定フレームでなければ、次のフレームはあると判定し(ステップS1907においてYes)、ステップS1908に進む。ステップS1908において、指定フレーム間算出部704は、次のフレームを、車両領域を抽出する検出対象フレームに設定し、ステップS1902に戻る。
一方、次のフレームが終了の指定フレームであった場合には、ステップS1907において、次のフレームがないと判定し(ステップS1907においてNo)、ステップS1901に戻る。この場合、指定フレーム間算出部704は、フレーム番号n2の指定フレーム602を開始の指定フレーム、フレーム番号n3の指定フレーム603を終了の指定フレームとして、ステップS1902からステップS1908の処理を実行する。
なお、フレーム番号n4の指定フレーム604を開始の指定フレーム、フレーム番号n5の指定フレーム605を終了の指定フレームとして、ステップS1902からステップS1908の処理を行った後は、開始・終了の指定フレームのペアを取得できない。この場合、指定フレーム間算出部704は、図9のステップS906に戻る。
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る正解生成装置130は、操作者により指定された複数の指定領域画像から、照合処理時の照合度が最も高くなる指定領域画像を、テンプレート画像として登録する。また、正解生成装置130は、複数の指定領域画像の各画素を、色成分の時間変化を含めた色類似性によりグループ分類する。また、正解生成装置130は、指定領域画像内の各グループのうち、照合処理時の照合度の低下の要因となるグループを判定する。更に、正解生成装置130は、判定したグループの画素値を用いて、すでに登録されているテンプレート画像から新たなテンプレート画像を生成する。
これにより、本実施形態に係る正解生成装置130によれば、照合度の低下の要因が排除されたテンプレート画像を新たに登録することができる。この結果、新たに登録したテンプレート画像を用いれば、車両の色変化があるフレームであっても、車両領域の抽出精度を向上させることができる。
つまり、動画像における各フレームで対象の色変化がある場合であっても、対象部分の抽出精度を向上させることができるようになる。
[その他の実施形態]
上述した実施形態では、指定フレーム601〜605の指定及び指定フレーム内における領域611〜615の指定を、正解生成装置130の操作者が行うものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、指定フレーム601〜605の指定及び指定フレーム内における領域611〜615の指定は、所定のアルゴリズムに基づいて自動で行うようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、指定フレームとして、5つの指定フレームを指定する例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、指定フレームの数は5つに限定されない。
また、上述した実施形態では、テンプレート画像生成処理(図17)において、フレーム全体に発生した色変化を算出するにあたり、代表画素値の差分値が最小となるグループを判定したが、これに限定されるものではない。例えば、フレーム全体に発生した色変化の算出に用いるグループは、照合度低下要因グループ以外のグループであれば、代表画素値の差分値が最小のグループに限定されなくてもよい。
また、上述した実施形態では、車両領域抽出処理(図19)において、はじめに指定フレーム601を開始の指定フレームとしたが、開始の指定フレームは、指定フレーム601でなくてもよい。例えば、指定フレーム605を開始の指定フレームとしてもよい。この場合、終了の指定フレームは、指定フレーム604となる。
また、上述した実施形態では、車両領域抽出処理(図19)において、開始・終了の指定フレームのペアを取得することができなかった場合に(指定フレーム605を終了の指定フレームとして処理を実行した後は)、車両領域抽出処理を終了したが、これに限定されるものではない。例えば、指定フレーム605を終了の指定フレームとして処理を実行した後のフレーム(フレーム番号=n5のフレームより後のフレーム)については、指定フレーム605に基づく拘束条件のもとで、車両領域抽出処理を継続してもよい。
なお、開示の技術では、以下に記載する付記のような形態が考えられる。
(付記1)
異なるタイミングで撮像された同じ対象の画像を取得し、それぞれの画像間を比較して、1又は複数の色の特徴が異なる部分を識別し、前記対象の画像に1又は複数の前記色の異なる部分を組み合わせて、前記対象についての複数のテンプレート画像を生成し、検出対象の画像における前記複数のテンプレート画像に類似する領域を対象部分として抽出する処理を、
コンピュータに実行させる画像認識プログラム。
(付記2)
前記抽出する処理は、
前記取得した画像の画像サイズを正規化し、正規化した前記画像サイズのそれぞれの画像間において、同じ位置の画素の画素値を配列したベクトルを生成し、生成した前記ベクトルを、類似したもの同士で分類することで、前記1又は複数の色の特徴が異なる部分を識別することを特徴とする付記1に記載の画像認識プログラム。
(付記3)
前記抽出する処理は、
前記複数の色の特徴が異なる部分のうち、前記対象部分の抽出に影響を与える部分を判定し、該判定した部分を前記対象の画像に組み合わせることを特徴とする付記1に記載の画像認識プログラム。
(付記4)
前記抽出する処理は、
前記複数の色の特徴が異なる部分を順次マスクした場合の、前記対象部分の抽出に与える影響の変化を比較し、該変化が最も大きくなったときにマスクしていた部分を、前記対象部分の抽出に影響を与える部分と判定し、該判定した部分を前記対象の画像に組み合わせることを特徴とする付記3に記載の画像認識プログラム。
(付記5)
前記抽出する処理は、
前記対象部分の抽出に影響を与える部分を前記対象の画像に組み合わせるにあたり、前記対象部分の抽出に影響を与える部分の画素値から、前記対象の周辺環境の変化に応じた画素値の変化分を減算することを特徴とする付記3に記載の画像認識プログラム。
(付記6)
前記抽出する処理は、
前記取得した画像それぞれの画像間で照合処理を行い、照合度が最大となる画像を、前記テンプレート画像とすることを特徴とする付記1に記載の画像認識プログラム。
(付記7)
前記抽出する処理は、
前記取得した画像間の各画像から、前記複数のテンプレート画像に類似する領域を対象部分として抽出する場合、前記取得した画像から前記対象部分を抽出した際に用いたテンプレート画像の位置及び大きさに基づいて、前記複数のテンプレート画像に類似する領域を抽出する際の前記各画像における処理範囲及び前記複数のテンプレート画像の大きさを決定することを特徴とする付記1に記載の画像認識プログラム。
(付記8)
異なるタイミングで撮像された同じ対象の画像を取得し、それぞれの画像間を比較して、1又は複数の色の特徴が異なる部分を識別し、前記対象の画像に1又は複数の前記色の異なる部分を組み合わせて、前記対象についての複数のテンプレート画像を生成し、検出対象の画像における前記複数のテンプレート画像に類似する領域を対象部分として抽出する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする画像認識方法。
(付記9)
異なるタイミングで撮像された同じ対象の画像を取得する取得手段と、
それぞれの画像間を比較して1又は複数の色の特徴が異なる部分を識別する識別手段と、
前記対象の画像に1又は複数の前記色の異なる部分を組み合わせて、前記対象についての複数のテンプレート画像を生成する生成手段と、
検出対象の画像における複数のテンプレート画像に類似する領域を対象部分として抽出する抽出手段と
を有することを特徴とする画像認識装置。
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせ等、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。