関連出願
本願は、米国仮出願である、2013年11月19日に出願の第61/905865号、2014年1月19日に出願の第61/929086号及び2014年3月7日に出願の第61/949272号のパリ条約の優先権及び米国特許法第120条の利益を主張する。上述した仮出願の内容は、本願明細書に引用したものとする。
背景
化学、細胞又は他の生物物質を観察するためのサンプルを保持する多数のウェルを備えたプレートは、従来技術において知られている。一般に、かかるプレートは、アスペクト比が3:2であることから、24(4x6)、96(8x12)、384(16x24)又は1536(32x48) のウェルを備え、典型的な96ウェルプレートは、長さ128mm及び幅86mmであり、それぞれ、96ウェルプレートのフットプリント及び底部外側フランジは、それぞれ、ANSI/SBS 1-2004及びANSI/SBS 3-2004に記載されている。
かかるマルチウェルプレート(時にはウェルの容量によってマイクロウェルプレート又はマイクロタイタープレートとも称される)は、プラスチック(例えばポリスチレン、ポリプロピレン又はポリカーボネート又はかかる物質の組み合わせ)で一般的に構成され、あるケースではプレートの底部にガラスが組み込まれてもいる。多くの用途において、ウェルの底部は、サンプルを観察するために用いる光の周波数を透過する。ウェルの形状及びウェルの底部の形状並びに深さ、高さ及び合計容量に関するウェルのサイズは、プレートに入れる特定の使用態様によって変化する。
かかるプレートの商用供給業者の例は、Perkin-Elmer(http://www.perkinelmer.com/CMSResources/Images/44-73879SPC_MicroplateDimensionsSummaryChart.pdfを参照)、Sigma-Aldrich(http://www.sigmaaldrich.com/labware/labware-products.html?TablePage=9576216を参照)、そして、Thermo-Scientific、( http://www.thermoscientific.com/ecomm/servlet/productscatalog_11152__81996_-1_4を参照)である。
かかるプレートが広く使用される1つの領域は、薬剤開発において化合物を試験するためのハイスループットスクリーニング(抗原等のための結合アッセイ)である。
多くの場合、ハイスループットスクリーニング及び他の用途において、自動機械は、例えば、96ウェルプレートの8ウェル行のウェル又は384-ウェルプレートの全てのウェルに同時に流体を分配することによって、ウェルの一部又は全部に、ある容量の液体を同時に分配するために用いられる。しかしながら、特定のウェルに加える液体の量が誤っている場合、全実験が完了するまで、かかる事実が明らかとなることはなく、そして、誤った量の流体が加えられた特定のウェルが同定されない場合、全プレートの結果を捨てる必要がある場合がある。
簡単な説明
本発明の一実施形態に従って、第一実質的平面表面、第二実質的平面表面、少なくとも一つのウェル及び少なくとも一つのシグナルプロバイダーを備えるプレートであって、第一実質的平面表面は、そこで規定される少なくとも一つの第一開口部を備え、第二実質的平面表面は、第一実質的平面表面と実質的に平行であり、第二実質的平面表面は、第一実質的平面表面から間隔を置いて配置されており、少なくとも一つのウェルは、プレート内で規定され、少なくとも一つのウェルは、少なくとも一つの第一開口部の1つに対応しそれと整列配置した第二開口部を備え、少なくとも一つのウェルは、側壁及び底部を備え、少なくとも一つのウェルは、第一実質的平面表面から第二実質的平面表面の方へ延在しており、少なくとも一つのウェルは、第一実質的平面表面から離れるように変位可能であり、少なくとも一つのシグナルプロバイダーは、少なくとも一つのウェルと機能的に関連しており、第一表面から離れる少なくとも一つのウェルの変位に応答してシグナルを提供することができる、プレートを提供する。
ある実施形態において、第一表面は、その中で規定される複数の第一開口部を備え、複数のウェルは、プレート内で規定され、各ウェルは、第一表面で規定される複数の第一開口部のうちの第一開口部に対応しそれと整列配置した第二開口部を備え、各ウェルは、側壁及び底部を備え、各ウェルは、第一実質的平面表面から第二実質的平面表面の方へ延在している。いくつかの実施形態において、複数のウェルの各々は、第一実質的平面表面から離れるように変位可能である。
また、本発明の一実施形態に従って、第一実質的平面表面、第二実質的平面表面、複数のウェル及び少なくとも一つのシグナルプロバイダーを備えるマルチウェルプレートであって、第一実質的平面表面は、そこで規定される複数の第一開口部を備え、第二実質的平面表面は、第一実質的平面表面と実質的に平行であり、第二実質的平面表面は、第一実質的平面表面から間隔を置いて配置され、複数のウェルは、プレート内で規定され、各ウェルは、第一表面で規定される第一開口部の1つに対応しそれと整列配置した第二開口部を備え、前記ウェルの各々は、側壁及び底部を備え、各ウェルは、第一実質的平面表面から第二実質的平面表面の方へ延在し、ウェルの各々は、第一実質的平面表面から離れるように変位可能であり、少なくとも一つのシグナルプロバイダーは、複数のウェルと機能的に関連しており、第一表面から離れる少なくとも一つのウェルの変位に応答してシグナルを提供することができる、マルチウェルプレートを提供する。
いくつかの実施形態において、第一及び第二表面は、第一及び第二表面間で延在している複数の側壁によって離れて間隔を置かれている。
いくつかの実施形態において、全てのウェルの動きは、シグナルプロバイダーが任意の1又は複数のウェルの変位に応答して単一のシグナルを提供することができるように接続されている。いくつかの実施形態において、いくつかのウェルの動きは、2又は3以上のグループに接続し、少なくとも一つのシグナルプロバイダーには、マルチシグナルプロバイダーを備え、それぞれは、グループの1つの変位に応答してシグナルを提供することができる。いくつかの実施形態において、いくつかのウェルの動きは、2又は3以上のグループに接続し、シグナルプロバイダーは、各グループの1つの変位に応答して別々のシグナルを提供することができる。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つのシグナルプロバイダーは、複数のシグナルプロバイダーを備え、それぞれは、複数のウェルの1つのウェルと関連しており、複数のウェルの各々は、第一表面から離れるように他と関係なく変位可能であり、複数のシグナルプロバイダーの各々は、それらと関連した複数のウェルの1つの変位に応答してシグナルを提供することができる。
ある実施形態において、少なくとも一つのシグナルプロバイダーは、ウェルにおける300ミリグラムの物質、250ミリグラムの物質、200ミリグラムの物質、150ミリグラムの物質、100ミリグラムの物質、75ミリグラムの物質、50ミリグラムの物質、45ミリグラムの物質、40ミリグラムの物質、35ミリグラムの物質、30ミリグラムの物質、25ミリグラムの物質、20ミリグラムの物質、15ミリグラムの物質、10ミリグラムの物質、5ミリグラムの物質、4ミリグラムの物質、3ミリグラムの物質、2ミリグラムの物質又は1ミリグラムの物質、500マイクログラム(μg)の物質、300μgの物質、200μgの物質又は100μgの物質の配置に応答してシグナルを提供することができる。
ある実施形態において、少なくとも一つのシグナルプロバイダーは、ウェルにおける300マイクロリットル(μl)、250μlの流体、200μlの流体、150μlの流体、100μlの流体、75μlの流体、50μlの流体、45μlの流体、40μlの流体、35μlの流体、30μlの流体、25μlの流体、20μlの流体、15μlの流体、10μlの流体、5μlの流体、4μlの流体、3μlの流体、2μlの流体、1μlの流体、0.5μlの流体、0.3μlの流体、0.5μlの流体、又は0.1μlの流体の配置に応答してシグナルを提供することができる。
いくつかの実施形態において、シグナルプロバイダーは、第一表面の方へ少なくとも一つのウェルの変位に応答してシグナルを提供することができる。
ある実施形態において、少なくとも一つのシグナルプロバイダーは、ウェルの300ミリグラムの物質、250ミリグラムの物質、200ミリグラムの物質、150ミリグラムの物質、100ミリグラムの物質、75ミリグラムの物質、50ミリグラムの物質、45ミリグラムの物質、40ミリグラムの物質、35ミリグラムの物質、30ミリグラムの物質、25ミリグラムの物質、20ミリグラムの物質、15ミリグラムの物質、10ミリグラムの物質、5ミリグラムの物質、4ミリグラムの物質、3ミリグラムの物質、2ミリグラムの物質又は1ミリグラムの物質、500マイクログラム(μg)の物質、300μgの物質、200μgの物質又は100μgの物質の除去に応答してシグナルを提供することができる。
少なくとも一つのシグナルプロバイダーは、ウェルの300マイクロリットル(μl)の流体、250μlの流体、200μlの流体、150μlの流体、100μlの流体、75μlの流体、50μlの流体、45μlの流体、40μlの流体、35μlの流体、30μlの流体、25μlの流体、20μlの流体、15μlの流体、10μlの流体、5μlの流体、4μlの流体、3μlの流体、2μlの流体、1μlの流体、0.5μlの流体、0.3μlの流体、0.2μlの流体、又は0.1μlの流体の除去に応答してシグナルを提供することができる。
いくつかの実施形態において、プレート中の少なくとも一つのウェルは、そこから取り外し可能である。
いくつかの実施形態において、プレートは、ウェルのうちの少なくとも一つと関連した少なくとも一つの温度センサーを備える。いくつかの実施形態において、温度センサーは、ウェルのうちの一つ上に又はその中に設置される。いくつかの実施形態において、少なくとも一つの温度センサーは、少なくとも一つのウェル又はその近接の温度を表すシグナルを提供するように構成されている。そのような実施形態のいくつかにおいて、少なくとも一つの温度センサーは、少なくとも一つのウェルの温度を継続的に検出し、温度を表すシグナルを周期的に提供するように構成されている。
いくつかの実施形態において、プレートは、少なくとも一つのシグナルプロバイダー及び少なくとも一つの温度センサーのうちの少なくとも一つによって提供される少なくとも一つのシグナルの保管のための電子的保管要素を更に備える。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つの温度センサーは、複数のウェル由来のウェルのグループにおける温度を検出するように構成されている。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つの温度センサーは、全てのウェルの温度を検出するように構成された単一の温度センサーを備える。
いくつかの実施形態において、少なくとも一つの温度センサーは、複数の温度センサーを備え、それぞれは、それらと関連した複数のウェルのうちの一つにおける温度を検出するために、複数のウェルのうちの一つに関連している。
いくつかの実施形態において、プレートは、少なくとも一つのウェルと関連した少なくとも一つの加熱構成要素を更に備え、少なくとも一つの加熱構成要素は、少なくとも一つのウェル又はその内部を加熱するように、少なくとも一つのウェルの充分近くに設置されている。いくつかの実施形態において、少なくとも一つの加熱構成要素は、複数の加熱構成要素を備え、それぞれは、複数のウェルの他の部分を実質的に加熱せず、一つのウェル又はその内部を加熱するために、複数のウェルのうちの一つのウェルと関連し、そして、それらと関連した一つのウェルの充分近くに設置されている。いくつかの実施形態において、少なくとも一つの加熱構成要素は、加熱コイルを備えている。いくつかの実施形態において、少なくとも一つの加熱構成要素は、少なくとも一つのウェルも冷却することができる。いくつかの実施形態において、加熱構成要素は、ペルチェ素子を含む。
いくつかの実施形態において、プレートにおける少なくとも一つのウェルは、少なくとも一つの取り外し可能なウェルと関連した加熱構成要素をプレートから取り外さない様式で、そこから取り外し可能である。いくつかの実施形態において、プレートにおける少なくとも一つのウェルは、そこから取り外し可能であり、少なくとも一つの取り外し可能なウェルと関連した加熱構成要素は、少なくとも一つのウェルに取り付け又は一体的に形成され、それと共に取り外し可能である。
いくつかの実施形態において、プレートは、少なくとも一つのシグナルプロバイダー及び少なくとも一つの温度センサーのうちの少なくとも一つと機能的に関連した電気的ポートを更に備えている。いくつかの実施形態において、プレートは、再充電可能な電源装置を更に備え、再充電可能な電源装置は、少なくとも一つのシグナルプロバイダー及び少なくとも一つの温度センサーのうちの少なくとも一つと機能的に関連し、電力発生源にそれを接続することによって再充電されるように構成されている。いくつかの実施形態において、再充電可能な電源装置は、電気的ポートが電力発生源に電気的に接続したときに、再充電されるように構成されている。
また、本発明の一実施形態によれば、データリーダーであって、本発明の一実施形態に従ってその中にプレートを収容するデータリーダーを提供するものであり、データリーダーは、基部と、電気的ポートと、プロセッサーと、を備え、基部は、そこにプレートを設置するためのものであり、電気的ポートは、それと電気係合するためのプレートの電気的ポートに対応し、プロセッサーは、電気的ポートを経てシグナルプロバイダー及び温度センサーのうちの少なくとも一つから得られたシグナルを処理するために、電気的ポートと機能的に関連している。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、電気的ポートを経てシグナルプロバイダー及び温度センサーのうちの少なくとも一つからシグナルを直接得るように構成されている。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、シグナルプロバイダー及び温度センサーのうちの少なくとも一つによって提供される少なくとも一つのシグナルを保存する電子的保管構成要素からシグナルを得るように構成されている。
いくつかの実施形態において、データリーダーは、プロセッサーと機能的に関連したディスプレイを更に備え、ディスプレイは、処理した信号から得られる情報をユーザーに提供するように構成されている。いくつかの実施形態において、情報は、(i)特定の時間でのプレートにおける流体の量と、(ii)特定の時間での少なくとも一つのウェルにおける流体の量と、(iii)ある時間にわたるプレートにおける流体の量の変化と、(iv)ある時間にわたる少なくとも一つのウェルにおける流体の量の変化と、(v)特定の時間での少なくとも一つのウェルの温度と、(vi)ある時間にわたる少なくとも一つのウェルの温度の変化のうちの少なくとも一つの指標を含む。いくつかの実施形態において、プロセッサーは、リアルタイムにシグナルを処理するように構成され、ディスプレイは、ユーザーにリアルタイムの情報を提供するように構成されている。
また、本発明の一実施形態によれば、第一実質的平面表面、第二実質的平面表面、少なくとも一つのウェル及び少なくとも一つの加熱構成要素を備えるプレートであって、第一実質的平面表面は、そこで規定される少なくとも一つの第一開口部を備え、第二実質的平面表面は、第一実質的平面表面と実質的に平行であり、第二実質的平面表面は、第一実質的平面表面から間隔を置いて配置されており、少なくとも一つのウェルは、プレート内で規定され、少なくとも一つのウェルは、第一表面において規定される少なくとも一つの第一開口部の1つに対応しそれと整列配置した第二開口部を備え、少なくとも一つのウェルは、側壁及び底部を備え、少なくとも一つのウェルは、第一実質的平面表面から第二実質的平面表面の方へ延在しており、少なくとも一つの加熱構成要素は、少なくとも一つのウェルと関連しており、少なくとも一つのウェル又はその内部を加熱するように、少なくとも一つのウェルの充分近くに設置されている。いくつかの実施形態において、第一表面は、その中で規定される複数の第一開口部を備え、少なくとも一つのウェルは、プレート内で規定される複数のウェルを備え、各ウェルは、第一表面において規定される複数の第一開口部由来の1つの第一開口部に対応しそれと整列配置した第二開口部を備え、ウェルの各々は、側壁及び底部を備え、各ウェルは、第一実質的平面表面から第二実質的平面表面の方へ延在しており、少なくとも一つの加熱構成要素は、複数の加熱構成要素を備えることから、ウェルの各々は、それと関連した複数の加熱構成要素のうちの一つを備え、加熱構成要素の各々は、他のウェルを実質的に加熱せず、ウェル又はその内部を加熱するために、加熱構成要素が関連するウェルの充分近くに設置される、プレートが提供される。いくつかの実施形態において、加熱構成要素は、加熱コイルを備える。いくつかの実施形態において、加熱構成要素は、ウェルを冷却することもできる。いくつかの実施形態において、加熱構成要素は、ペルチェ素子を含む。いくつかの実施形態において、プレートにおける少なくとも一つのウェルは、少なくとも一つの取り外し可能なウェルと関連した加熱構成要素をプレートから取り外すことなく、そこから取り外し可能である。いくつかの実施形態において、プレートの少なくとも一つのウェルは、そこから取り外し可能であり、少なくとも一つの取り外し可能なウェルと関連した加熱構成要素は、少なくとも一つのウェルに取り付け又は一体的に形成され、そして、それと共に取り外し可能である。
また、本発明の一実施形態によれば、本発明の実施形態の任意の1つに従って、プレートに加えられた流体の量を測定する方法が提供され、上記方法は、シグナルプロバイダーによって提供された初期シグナルを記録するステップと、流体をプレートにおける少なくとも一つのウェルに加えた後、流体の追加に応答してシグナルプロバイダーによって生じた第二シグナルを得るステップと、を有し、初期シグナルと第二シグナルとの間の相違に基づいて、少なくとも一つのウェルに加えられた流体の量を算出することができる。いくつかの実施形態において、上記方法は、初期シグナルを記録するステップの後及び第二シグナルを得るステップの前に、流体をプレートに追加するステップを更に有する。いくつかの実施形態において、上記方法は、初期シグナルと第二シグナルとの間の相違に基づいて、少なくとも一つのウェルに加えられた流体の量を算出するステップを更に有する。ある実施形態において、量を算出するステップは、少なくとも一つのウェルに加えられた流体の容量を算出するステップを含む。ある実施形態において、量を算出するステップは、少なくとも一つのウェルに加えられた流体の質量を算出するステップを含む。ある実施形態において、量を算出するステップは、少なくとも一つのウェルに加えられた流体の容量及び質量を算出するステップを含む。
また、本発明の一実施形態によれば、本発明の実施形態の任意の1つに従って、プレートから失われた流体の量を測定する方法が提供され、プレートは、プレートの少なくとも一つのウェルに分配された初期量の流体を有し、上記方法は、第一時間にシグナルプロバイダーによって提供された初期シグナルを記録するステップと、第一時間の後、第二時間にシグナルプロバイダーから第二シグナルを得るステップと、初期シグナルと第二シグナルとの間の相違に基づいて、プレートの少なくとも一つのウェルから失われた流体の量を算出するステップと、を有する。ある実施形態において、量を算出するステップは、少なくとも一つのウェルから失われた流体の容量を算出するステップを含む。ある実施形態において、量を算出するステップは、少なくとも一つのウェルから失われた流体の質量を算出するステップを含む。ある実施形態において、量を算出するステップは、少なくとも一つのウェルから失われた流体の容量と質量を算出するステップを含む。ある実施形態において、上記方法は、シグナルを得るステップを周期的に繰り返すステップと、2つの異なる時間に得られたシグナル間の相違に基づいて、2つの異なる時間の間の期間において少なくとも一つのウェルから失われた流体の量を算出するステップと、を更に有する。
また、本発明の一実施形態によれば、マルチウェルプレートにおける少なくとも一つのウェルの変位のベースライン測定値を得るステップと、ベースライン測定値を得るステップの後の時間に、少なくとも一つのウェルの変位の第二測定値を得るステップと、変位の第二測定値に基づいて、少なくとも一つのウェルにおける流体の量の変化を算出するステップと、を有し、マルチウェルプレートは、そこに、少なくとも一つのウェルにおける流体の量の変化に応じて、プレートにおける少なくとも一つのウェルの変位を測定するための変位測定アセンブリを配置しており、ベースライン測定値は、変位測定アセンブリを介して得られる、方法を提供する。
また、本発明の一実施形態によれば、第一時間に、マルチウェルプレートにおける少なくとも一つのウェルの変位のベースライン測定値を得るステップと、第一時間の後の第二時間に、少なくとも一つのウェルの変位を測定するステップと、第一及び第二時間の間の変位の変化に基づいて、少なくとも一つのウェルにおける流体の量の変化を算出するステップと、を有し、マルチウェルプレートは、そこに、少なくとも一つのウェルにおける流体の量の変化に応じて、プレートにおける少なくとも一つのウェルの変位を測定するための変位測定アセンブリを配置しており、ベースライン測定値は、変位測定アセンブリを介して得られ、第一及び第二時間のうちの少なくとも一つに、流体の検出可能な量は、ウェルに存在する、方法が提供される。ある実施形態において、上記方法は、第二時間に少なくとも一つのウェルの変位を測定するステップを周期的に繰り返すステップと、変位の2つの測定値の間の変位の変化に基づいて、変位の2つの測定値の間の期間の間に少なくとも一つのウェルにおける流体の量の変化を算出するステップと、を更に有する。ある実施形態において、流体の量の変化は、少なくとも一つのウェルへの流体の追加による。ある実施形態において、流体の量の変化は、少なくとも一つのウェルからの流体の減少による。
上記方法のある実施形態において、プレートは、本発明の実施形態の任意の1つに従うプレートである。
上記方法のある実施形態において、シグナルプロバイダーは、少なくとも一つのウェルにおける流体の容量で、300マイクロリットル(μl)、250μl、200μl、150μl、100μl、75μl、50μl、45μl、40μl、35μl、30μl、25μl、20μl、15μl、10μl、5μl、4μl、3μl、2μl、1μl、0.5μlの流体、0.3μlの流体、0.2μlの流体又は0.1μlの流体の変化を検出するのに充分に感度が高い。
上記方法のある実施形態において、シグナルプロバイダーは、少なくとも一つのウェルにおける流体の質量で、300ミリグラム(mg)、250mg、200mg、150mg、100mg、75mg、50mg、45mg、40mg、35mg、30mg、25mg、20mg、15mg、10mg、5mg、4mg、3mg、2mg、1mg、500マイクログラム(μg)、300μg、200μg又は100μgの変化を検出するのに充分に感度が高い。
上記方法のある実施形態において、上記方法は、少なくとも一つのウェルの温度を検出するステップを更に有する。ある実施形態において、上記方法は、少なくとも2つの異なる時点で少なくとも一つのウェルの温度を検出するステップを更に有する。ある実施形態において、上記方法は、温度を検出するステップに応答して、個々のウェルの温度を調整するステップを更に有する。
上記方法のある実施形態において、マルチウェルプレートにおける少なくとも一つのウェルは、そこから取り外し可能である。
別途規定されない限り、本願明細書において用いられる全ての技術的及び科学的な用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解するのと同じ意味を有する。不一致の場合、定義を含む本明細書が優位となる。
本明細書で用いられるように、用語「備える」、「含む」、「有する」及びその文法的な別形は、明言された特徴、整数、ステップ又は構成要素を特定するものであるが、1又は複数の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素又はそのグループの追加を排除するものではない。これらの用語は、用語「からなる」及び「から本質的になる」を含む。
本明細書で用いられるように、文脈で別途明確に記述しない限り、不定冠詞「a」及び「an」は、「少なくとも一つ」又は「1又は複数」を意味する。
本発明の方法及び/又はデバイスの実施形態は、選択された作業を手動的に、自動的に又はその組み合わせで実行又は完了すること含んでいてもよい。本発明のある実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア又はそれらの組み合わせを含む構成要素を用いて実装される。いくつかの実施形態において、ある構成要素は、一般用の構成要素(例えば汎用コンピューター又はモニター)である。いくつかの実施形態において、ある構成要素は、専用又はカスタムメイドの構成要素(例えば回路、集積回路又はソフトウェア)である。
例えば、いくつかの実施形態において、一実施形態の一部は、例えば、一般用又はカスタムメイドのコンピューターの一部である、データプロセッサーによって実行される複数のソフトウェア指示として実装される。いくつかの実施形態において、データプロセッサー又はコンピューターは、指示及び/若しくはデータを保存するための揮発性メモリ並びに/又は指示及び/若しくはデータを保存するための非揮発性記憶装置(例えば、磁性ハードディスク及び/又は取り外し可能媒体)を含む。いくつかの実施形態において、実装には、ネットワークコネクションが含まれる。いくつかの実施形態において、実装には、1又は複数の入力装置を一般的に備えるユーザーインターフェース(例えば、命令及び/又はパラメーターの入力を許容するもの)、そして、出力装置(例えば、結果及び操作のパラメーターを報告することを可能にするもの)が含まれる。
図面の簡単な説明
本発明のある実施形態は、添付の図を参照して本願明細書に記載されている。説明は、図と共に、本発明のある実施形態がどのように実行することができるかを当業者に明らかにする。図は、実例の議論の目的のためであり、本発明の基本的な理解のために必要であること以外に、より多くの詳細な一実施形態の構造的詳細を示すことを試みるものではない。明確化のために、図において表されるいくつかのオブジェクトは、一定の比率でなくてもよい。
本発明のいくつかの実施形態の説明
本願明細書が教示する原理、用途及び実装は、添付の記述及び図を参照してより理解することができるだろう。本願明細書の記述及び図の熟読により、当業者は、過度に試行錯誤をすることなく本発明を実装することが可能である。
本発明の少なくとも一つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途において、以下の記述に記載並びに/又は図面及び/若しくは実施例に示される構成要素及び/又は方法の配置並びに構造の詳細に限定されないことを理解すべきである。本発明は、他の実施形態と実装することができ、様々な方法で実施又は実行することができる。本願明細書に使用される言い回し及び専門用語が記述目的のためにあり、限定事項と捉えるべきではないこともよく理解される。
ここでは、先行技術のマルチウェルプレートの斜視図である図1を参照する。図1は、周知の典型的な96ウェルプレート10を示している。プレート10は、上部表面12、下部表面14、及び上部表面12と下部表面14との間の複数の側面16を備える。表面12及び14の間を複数のウェル17が延在しており、全部で96個のウェルが、12個のウェルをそれぞれ8行で配置されている。各ウェルは、上部表面12に開口部18が形成されており、ウェルにサンプル流体の注入を容易にしている。プレート10は、プラスチック(例えばポリスチレン又はポリカーボネート又はかかる物質の組み合わせ)でできていてもよく、場合によっては、ガラス底部を備えていてもよい。一般的に、下部表面14は、ウェルに置かれたサンプルが観察される、少なくともある特定の光の周波数又は光の周波数の範囲において透明である。但し、ある用途に関しては、かかる透明性が必須でなくてもよい。ウェル17の側面20は、実施される観察のタイプ及びサンプルの性質によって、透明であってもよく透明でなくてもよい。
ウェルは、x-y平面で典型的には円形横断面であり、本質的に円筒状形状であるが、他の形状(例えば矩形又は四角形)の断面であってもよく、それらの長さに沿って種々の形状であってもよく、例えば、ウェルの側面は、その一部又は全長に沿って、ウェルの上部開口部から底部に向かってテーパーとなっていてもよい。ウェルの底部は、一般的に平坦であるが、プレートの使用目的によって、他の形状(例えば円錐、円錐台形又は球状の底部)(即ち、z軸に沿って見た場合、底部がV字又はU字形状の断面)で形成されていてもよい。
プレート10のようなプレートは、典型的に、幅85-86mm及び長さ127-128mmであり、全高が10-20mmの範囲内で異なっており、ウェルの中心がx及びy軸に沿って9mmの間隔で置かれている。96ウェルマイクロプレートのフットプリント及び底部外側フランジの規格は、それぞれ、ANSI/SBS 1-2004及びANSI/SBS 3-2004に記載されている。とは言うものの、プレートは、プレートの特定の用途又は使用に適することができるように、種々の長さ、幅及び高さの寸法を有することができ、ウェル間で種々の距離を有することができ、種々の数のウェルを有することができる。例えば、プレートは、24個のウェルがそれぞれ16行で配置されている384個のウェルを備える384ウェルプレート(その結果、ウェルの中心はx及びy軸に沿って4.5mm間隔である)であってもよい。384-ウェルマイクロプレートのフットプリント及び底部外側フランジの規格は、それぞれ、ANSI/SBS 1-2004及びANSI/SBS 3-2004に記載されている。
ここでは、本発明の一実施形態によって構成され作動するマルチウェルプレート100の斜視図である図2A、図2Aのマルチウェルプレート100の分解図である図2B、及び、図2Aの断面線IIC-IIC及びIID-IIDに沿った、それぞれ、図2A及び2Bのマルチウェルプレート100の斜視断面図である図2C及び2Dを参照する。
図2Aに示すように、プレート100は、実在している装置での使用のために設計されていることから、現在使用されているスタンダードなプレートサイズの寸法であり、そのウェルは、ANSI/SBS1-2004及びANSI/SBS3-2004において規定されているのと同じように間隔を置かれている。このようにして、組み立てると、プレート100は、上部表面112、下部表面114及び表面112と114との間の複数の側面116を備え、典型的な96ウェルプレートと類似して見える。複数のウェル117が、プレート100に形成されており、表面112と114との間に延在している。各ウェルは、上部表面112に形成された開口部118を備え、ウェルにサンプル流体を注入するのが容易である。
プレート100の分解図である図2Bに目を向けると、プレート100は、実際にいくつかの部品で形成されていることが見てとれる。側面116は、フレーム122の一部を形成している。フレーム122は、フレームの各縦方向末端のその内側部分に一対の支持体124a及び124bを形成している。上記支持体は、図2C及び2Dに更に詳細に説明している。支持体124a及び124bの各々は、上部アーム126a及び下部アーム126bからなる一対の可撓性アーム126をそれに取り付けており、各アームは、その近位端で支持体の1つに取り付けられており、その遠位端でブロック128に取り付けられている。図2Bの拡大部に見られるように、各ブロック128は、上部部分及び下部部分を備え、アーム126a及び126bは、それぞれ、上部及び下部部分の下部表面128a及び128bに取り付けられている。可撓性アーム126は、後により詳細に述べるように、ウェルへの数マイクログラムの重量の追加を感知し得る適切な可撓性がある一般的に金属又はプラスチックである物質でできていてもよい。アームは、適当手段(例えば接着、場合によっては溶融又は溶接)によってブロック128に取り付けられてもよい。
ウェル117の円筒形側壁は、ウェル具備要素130に形成されており、これは、プラスチック、ガラス又は他の適切な物質で形成されていてもよい。ウェル具備要素130は、上部表面112を備え、その縦方向末端にフランジ132を備える。プレート100が組み立てられると、各フランジ132は、2つのブロック128(1つのブロックは、フランジの各末端にある)の上部部分128aの上部表面に載っており、任意に、そこに取り付けられており、ある実施形態においては、支持体124a及び124bに載っている(図2Dを参照)。底部片134は、厚さがおよそ170-1000ミクロンのプラスチック又はガラス片であり、ウェル具備要素130の下側に、各ウェル117の底部を形成するように各ウェルの末端で封止する様式で封止的に取り付けられる。
図2A-2Dに示す実施形態において、ウェル具備要素130の最上部部分の周辺にはフランジ132が備わり、フレーム122の内周部よりわずかに小さい。その結果として、ウェル具備要素130のフランジ132がブロック128に載ると、ウェル具備要素130とフレーム122との間の小隙間138が存在する(図2Dを参照)。後述するように、隙間138の存在によって、垂直軸に沿ったウェル具備要素130の動き、及び、アーム126の付随する変形が可能になる。かかる動きを阻害することなく隙間138を封止するために、非常に薄い(およそ7ミクロン)可撓性物質(例えば適切なプラスチック)のフィルム140を、フレーム122の上部エッジ142に、及び、ウェル具備要素130の上部表面112の外側エッジに取り付ける。ウェル具備要素130へのかかる取り付けを達成する1つの方法は、要素130の上部エッジの周囲でわずかに隆起したリム143を備えることによる。その結果、フィルム140は、リム143と係合し、そして、上部表面112の外側エッジにも取り付けられると、隙間138上に配置される。
図2A及び2Bに示すように、フィルム140は、中心が中空であり、その結果、大部分の上部表面112、特にウェル117を備える表面112の領域は、露出しており、フィルム140は、ウェル具備要素130のエッジ、隙間138及びフレーム122の上部エッジ142をカバーするだけである。しかしながら、いくつかの実施形態において、ウェル具備要素130の開口部118と整列配置される複数の円形開口部がフィルム140に形成されユーザーがウェル117にアクセスできる場合に、フィルム140は、要素130の上部表面112全体とフレーム122の上部エッジ142をカバーするように形成されていてもよいことはいうまでもない。このような実施形態では、ウェル具備要素130は、開口部118周辺に、フィルム140が固定できる追加の表面を提供するようにわずかに隆起した部分又はリムが形成されていてもよい。
フィルム140、ウェル具備要素130、底部断片134及びフレーム122は、任意の適切な手段(例えばハンダ付け、接着、溶融、結合又は任意の他の適切な取り付け機構)を用いて互いに取り付けられる。
前述のように、プレート100を組み立てると、ウェル具備要素130は、その縦方向の各末端で一対のブロック128に載り、任意にそこに取り付けられる。これは、x-及びy-方向への要素130の動作を制限するが、垂直(z)方向の動作は可能である。従って、流体を要素130のウェル117に入れると、流体の重量によって、要素130の下方変位及びアーム126の変形が引こ起こされる。一般的に、数百マイクロリットル以下の流体、使用目的によっては、たった数マイクロリットルの流体が所定のウェル117に加えらることはいうまでもない。その結果として、可撓性アーム126は、ウェルへの数ミクログラムの流体の追加に応答して屈曲する適切な柔軟性でなければならない。
支持体124a及び124b、アーム126、ブロック128及び支持体に対するアーム126の取り付けをより詳細に示す図2C及び2Dを更に参照する。図2Cは、図2Aのプレート100のプレート末端を斜視断面図(図2Aの断面線IIC-IICに沿った断面図)で示している。図2Dは、同じプレートを、図2Aの断面線IID-IIDに沿った図2Cと同一角度の拡大断面図を示しており、この断面図は、プレートの他端を示している。図2Cは、プレート末端に最も近い一対のアーム126を示している一方で、図2Dは、プレート末端からわずかに内側に配置された一対のアーム126を示している。
支持体124aは、フレーム122の縦方向の末端の1つに設置された内壁122aとそれに近接する長手方向壁122bの両方から突出している。支持体124bは、反対側の長手方向壁122cから突出して、支持体124aの幅だけ内壁122aから間隔を置いて配置されている。支持体124a及び124bは、長手方向壁から互いに逆方向に突出している。支持体124a及び124bの各々は、長手方向壁の間の約1/3突出しており、各支持体は、2枚の長手方向壁の間のおよそ中間まで更に突出している一対の舌部(図2Dに、支持体124bの124b'及び124b''として示している)を備える。舌部の上部表面間の距離は、アーム126aと126bとの間の距離に等しい。一対のアームは、その近位端で、支持体124aの舌部124a'及び124a''(不図示)を支持するように取り付けられており、他の一対のアームは、その近位端で、支持体124bの舌部124b'及び124b''に取り付けられている。各一対のアームは、その遠位端で、ブロック128に取り付けられている。前述のように要素130は、ブロック128に載り且つ取り付けられるように設置される。この位置がニュートラルな又は基礎的な位置と考える場合、アーム126は、いくつかのウェル117への液体の追加に応じて、このニュートラルな位置からz軸方向に変形するのに充分な柔軟性を有するように構成される。
薄くて平坦な歪計144が、アームのフリー領域において、各アーム126の上部及び下部表面に取り付けられるが、いくつかの実施形態においては、アームをフレーム122に取り付けるポイントの近くに存在する。歪計の各々は、下部アーム126bの下に設置される薄くて平坦な電子的カード146に(例えば、細いワイヤー(不図示)によって)電気的に接続される。好ましくは、電子的カード146は、歪計144とカード146との間の接続長を最小化するように配置される。カード146は、プロセッサー(不図示)に電気的に結合する。歪計144及びカード146の使用によって、カード146にも設置される回路の電気抵抗の変化(例えばホイートストンブリッジを用いた測定)とアーム126の屈曲との相関が可能になることはいうまでもない。これによって、ウェルに加えられた流体の質量の算出が可能になる。このように、歪計144と共にアーム126は、1又は複数のウェルにおける流体の量での変化を示すシグナルを提供する、シグナルプロバイダーを形成する。流体の密度が既知の場合、加えられる流体の容量の計算が容易になる。いくつかの実施形態において、プレート100は、例えば、電子的カード146に接続する電源装置(例えば、蓄電池)(不図示)を更に備え、電源装置は、プレート100の電子構成要素に電力を供給し、プレート100が適切なポート(不図示)を介して電力発生源又はコンピューターデバイスに接続される場合は、再充電することができる。
例えば、プレート100の行AからLが8-チップピペットを使用して順次満たされる場合、各行に加えられた流体の量を繰り返し計算することが可能になることから、誤った量の流体が行に加えられると、リアルタイムで行毎に特定することが可能になる。これによって、異常な行を、実験終了時に、全プレートの結果を廃棄するのではなく、計算から除くことができる。好ましくは、流体をウェルに加えるために用いる装置は、影響を受けた行だけを、残りの実験(例えば試薬及び反応物の追加)の間、更なる操作から除外できるコントロールソフトウェアを備えている。全てのウェルが同時に満たされる場合であっても、プレートへの誤った量の流体の追加をリアルタイムに特定する適切なソフトウェアと連動するプレート100の使用は、ユーザーが、その異常なプレートを使用している継続中の実験を止めることを可能にすることによって、下流の実験での試薬や反応物などの浪費を回避することができることもいうまでもない。
本発明のある実施形態に従って、プレート100は、個々のウェルを加熱、任意に冷却するための手段を備える。かかる加熱手段は、例えば、(a)少なくとも一部のウェルの周りに配置した加熱コイル、又は(b)ペルチェ素子(時にはペルチェ熱ポンプ又は熱電冷却機と呼ばれている)の形であってもよい。明らかなように、ペルチェ素子は、個々のウェルを加熱するだけでなく冷却することにも用いることができ、ウェル又はその周辺の温度を検出又はモニターすることもできる。このようにして、個々のウェルの温度を制御することができる。例えば、各ウェルの温度を、それぞれ、37℃±0.5℃に維持することができる。
一実施形態として、単一の加熱コイル又はペルチェ素子を、2又は3以上のウェル117をまとめて加熱するために、ウェル具備要素130に配置してもよい。別の実施形態において、複数の加熱コイル又はペルチェ素子を、1又は複数の個々のウェル117に、それの加熱のために配置してもよい。
ウェルの温度が周期的に測定される場合、そして、温度を測定するために用いるデバイスが個々のウェルごとに加熱手段を制御するコントローラーに接続される場合、個々のウェルの温度の周期的な測定に連動して使用する個々のウェル加熱手段は、所定のウェルの条件に対する制御を向上させる方法を提供することができることもいうまでもない。従って、例えば、かかる加熱手段を有するプレート100は、恒温器に保存し、ウェルの温度を周期的にモニターし、個々のウェルの温度を、必要に応じて個々のウェルを加熱(又は、冷却)することによって、調整してもよい。あるいは、加熱手段それ自身を用いては、インキュベーションを行ってもよく、例えば、温度モニタリング及び調整を頻繁に(即ち、例えば、15、10又は5分毎に)行い、インキュベーションがなされるように特定のウェルの温度を例えば37℃±0.5℃に維持してもよい。従って、プレート100、ウェル具備要素130又はウェル117に、ウェル毎に個々の加熱要素を備えることによって、温度が誤っていることが分かった場合、温度を調整及び制御することができる。
試薬及び他の流体は、プレート100から除去すること、任意に廃棄することができるウェル具備要素130におけるウェル117に加えること又はそこから除去することができるため、プレート100の各使用の間にウェル具備要素130を置き換えられるならば、プレート100を複数回及び/又は複数の実験で使用してもよいことはいうまでもない。
ここでは、本発明の実施形態に従って構成され作動するマルチウェルプレート300及びその構成要素を示す図3A〜3Gを参照する。具体的には、図3A及び3Bは、マルチウェルプレート300の斜視図であり、図3Cは、マルチウェルプレート300の分解図であり、図3Dは、マルチウェルプレート300の一部を形成する、支持体、アーム及びブロックの拡大斜視図であり、図3E、3F及び3Gは、図3Aの断面線IIIE-IIIE、IIIF-IIIF及びIIIG-IIIGに沿った、マルチウェルプレート300の断面図である。
図3A及び3Bに示すように、プレート300は、実在する装置と共に使用するように設計されていることから、現在使用されているスタンダードなプレートサイズに従って寸法が設定され、そのウェルは、同じように間隔が置かれている。従って、組み立てると、プレート300は、上部表面312、下部表面314、表面312及び314間の複数の側面316と共に、そこに形成された複数のウェル317を備え、典型的な96ウェルプレートと類似して見える。
プレート300の分解図である図3Cに示すように、プレート300は、実際のところ、いくつかの部品で形成されている。側面316は、フレーム322の一部を形成している。フレーム322は、フレームの縦方向の末端のその内側部分に一対の支持体324a及び324bを形成している。各支持体は、複数の「階段」325を備える。上記支持体は図3D、3F及び3Gに更に詳細に説明している。フレーム322は、フレームの縦方向末端に配置される末端壁322a及び322dと長手方向壁322b及び322cを備える。
支持体324a及び324bの各々は、複数の可撓性アーム326をそれに取り付けており、各アームは、その近位端で支持体の1つに取り付けられており、その遠位端でブロック328に取り付けられている。可撓性アーム326及びブロック328の構造及び機能は、図3D、3F及び3Gに関して以下でより詳細に説明する。可撓性アーム326は、後により詳細に述べるように、ウェルへ又はそこからの小容量の追加又は除去を感知し得る適切な可撓性がある一般的に金属又はプラスチックである適切な物質でできていてもよい。例えば、可撓性アーム326は、300マイクロリットル(μl)未満、250μl未満、200μl未満、 150μl未満、100μl未満、75μl未満、50μl未満、45μl未満、40μl未満、35μl未満、30μl未満、25μl未満、20μl未満、15μl未満、10μl未満、5μl未満、4μl未満、3μl未満、2μl未満又は1μl未満のウェルへの追加を感知し得るだろう。
アーム326は、適切な手段(接着、場合によっては溶融又は溶接)によってブロック328に取り付けてもよい。
プレート300は、8つの同一のウェル支持要素330を更に備え、各々は、そこにウェル具備要素348を受け入れるのに適した長手方向開口部333を備えている。各ウェル具備要素348は、12個のシリンダー320を備え、そこに形成される筒状ウェル317の側壁を形成する。要素330の各々は、一対のフランジ332も備え、その縦方向末端の各々に1つのフランジを備える。ウェル支持要素330は、プラスチック又は他の適切な物質で形成されていてもよく、その他の材料(例えばガラス)を含んでいてもよい。組み立てると、各フランジ332は、2つのブロック328(1フランジにつき1ブロック)に載り、好ましくはそこに取り付けられる。ブロック328がフレーム322に対して適所に保持される様式は、以下で更に詳細に述べる。
複数の底部片334は、厚さがおよそ170-1000ミクロンのプラスチック又はガラス片であり、ウェル具備要素348の下側に、各ウェル117の底部を形成するように各ウェルのウェル末端で封止する様式で封止的に取り付けられる。示している実施形態では、3つの片334は、それぞれ4つのウェル317を封止するものであり、各ウェル具備要素348に取り付けられる。とは言うものの、底部片は、任意の適切な配置又は数を用いてもよく、例えば、単一のウェル具備要素348における全てのウェルを単一の片334を用いて封止してもよく、各ウェル317を個々の底部片334を用いて封止してもよく、6つの底部片334を用いて単一のウェル具備要素348における一対のウェル317を封止してもよい。いくつかの実施形態において、フレーム322は、その底部部分に隣接して、フレームをセクション352に分ける仕切り350を備え、各セクション352は、底部片334のうちの一つ及びそこに取り付けられたウェル317がフィットする適切な寸法で設定されている。
共に組み立てると、ウェル支持要素330の集合物の一番上の部分の周辺は、フランジ332が備わっており、フレーム322の内周部よりもわずかに小さく、その結果、ウェル支持要素330のフランジ332がブロック328に載ると、要素330自体の間(図3Eを参照)、及び、ウェル支持要素330とフレーム322との間(図3Eを参照)に小隙間338が存在することはいうまでもない。後述するように、隙間338の存在によって、垂直軸に沿ったウェル支持要素330の動き、及び、アーム326の付随する変形が可能になる。かかる動きを阻害することなく隙間338を封止するために、非常に薄い(例えば、およそ7ミクロン)可撓性物質(例えば適切なプラスチック)のフィルム340を、フレーム322の上部エッジ342に、及び、ウェル支持要素330の上部表面の少なくとも一部に取り付ける。フィルム340は、組み立てられたウェル支持要素330の開口部333と整列配置される8つの矩形開口343を備える。
フィルム340、ウェル支持要素330、底部片334及びフレーム322は、任意の適切な手段(例えばハンダ付け、接着、溶融、結合又は任意の他の適切な取り付け機構)を用いて互いに取り付けられる。示した実施形態において、ウェル具備要素348は、感度が高いアーム326の構造及び機能にダメージを与えることなく、ウェル支持要素330から容易に取り外すことができることはいうまでもない(以下でより詳細に述べる)。
前述のように、プレート300を組み立てると、ウェル支持要素330は、それらの縦方向の各末端で一対のブロック228に載り、そこに取り付けられる。これは、横及び縦(x及びy)方向への要素330の動作を制限するが、垂直(z-)方向の動作は可能である。従って、流体がウェル支持要素330のいずれかに設置されるウェル具備要素348のウェルに入る(又は、除去される)と、流体の重量の増加(又は、減少)によって、そのウェル支持要素330に取り付けられたアーム326の変形が引き起こされる。一般的に、数百マイクロリットル以下の流体、使用目的によって、たった数マイクロリットル又はそれ未満の流体が所定のウェル317に加えられることはいうまでもない。その結果として、可撓性アーム326は、ウェルへ(又はから)のかかる量(又は、等価質量)の流体の追加(又は、除去)に応答して屈曲する適切な柔軟性でなければならない。例えば、300マイクロリットル未満(μl)、250μl未満、200μl未満、15μl未満、100μl未満、75μl未満、50μl未満、45μl未満、40μl未満、35μl未満、30μl未満、25μl未満、20μl未満、15μl未満、10μl未満、5μl未満、4μl未満、3μl未満、2μl未満、又は1μl未満の流体を、所定時間にウェル317に加えてもよい。
薄くて平坦な歪計344は、アームが「階段」325(それ自身は、以下で更に詳細に述べる)の1つに取り付けられるポイントの近くで、各アーム326の上部及び下部面に取り付ける。アームの上部面及び下部面に歪計を配置するのではなく、代わりに、2つの歪計を、アームの上部面の、アームがフレーム322に取り付けられている付近に1つ、アームがブロック328に取り付けられている付近にもう1つを配置してもよく、2つの歪計を、アームの下部面の、アームがフレーム322に取り付けられている付近に1つ、アームがブロック328に取り付けられている付近にもう1つだけ配置してもよいことはいうまでもない。
各歪計344は、下部アーム326の下に設置される薄くて平坦な電子的カード346に(例えば、細いワイヤー(不図示)によって)電気的に接続される。好ましくは、電子的カード346は、歪計344とカードとの間の接続長を最小化するように配置される。カード346は、フレーム322に設置されるポート358に複数のワイヤー356を介して電気的に結合する。図8〜9Bに関して以下に記載されているように、上記ポートは、適切に備えられたプレート基部及びデータリーダーの電気的ポートへの接続のために構成されている。いくつかの実施形態において、データリーダーは、図5A〜7に関して以下に記載されているグラフィカルユーザーインタフェースを実行してもよい。好ましくは、ポート358は、フレーム322の外表面を超えて延在せず、好ましくは、上記外表面と同一平面上にあり、プレート300の全寸法に影響を及ぼさないことから、標準的な装置の使用が可能になる。いくつかの実施形態において、プレート300は、例えば、電子的カード346に接続する電源装置(例えば、蓄電池)(不図示)を更に備え、電源装置は、プレート300の電子構成要素に電力を供給し、プレート300がポート358又はUSBポートを介して電力発生源又はコンピューターデバイスに接続される場合は、再充電することができる。
電子的カード346は、回路(例えばホイートストンブリッジ)の電気抵抗を測定するための要素をその上に設置してもよい。1又は複数のウェル317に含まれる容量又は重量の変化によって引き起こされるアーム326の屈曲によって、対応する歪計344の抵抗器の長さの変化が生じる。歪計344におけるこの変化は、回路の電気抵抗の変化と相関している。この変化は、例えばホイートストンブリッジを用いて電子的カード346上の要素で測定される。回路の電気抵抗の変化によって、ウェル317に加えられた(又は、除去された)流体の質量の算出が可能になる。具体的には、ウェルに追加された(又は、除去された)流体の質量が大きいほど、アーム326の屈曲の変化がより大きくなり、回路の電気抵抗の変化がより大きくなる。従って、回路の電気抵抗の変化の測定値は、ウェル中の流体の質量の変化を示すものであり、その測定値によってその変化の算出が可能になる。流体の密度が既知の場合、加えられる(又は除去された)流体の容量の計算が容易になる。このように、歪計344と共にアーム326は、1又は複数のウェルにおける流体の量での変化を示すシグナルを提供する、シグナルプロバイダーを形成する。
例えば、プレート300の列AからLが8-チップディスペンサーを使用して順次満たされる場合、各列における各ウェルに加えられた流体の量を繰り返し計算することが可能になることから、誤った量の流体が、多すぎても少なすぎても、特定の行に加えられると、リアルタイムで列毎に特定することが可能になる。好ましくは、流体をウェルに加えるために用いる装置は、装置がエラーを修正するために用いることができるコントロールソフトウェアを備えている。あまりに少ない流体が加えられたケースにおいて、ウェル中の流体が適切な量に到達するように追加の流体を、影響を受けたウェルに分配してもよく、及び/又は、ソフトウェアが、後の操作において、影響を受けたウェルに足りない試薬又は反応液を釣り合うように加えることよってエラーを調整することが可能であってもよい。同様に、あまりに多くの流体が特定のウェルに加えられた場合、更なる操作で試薬又は反応物の追加によって適切にスケールアップしてもよい。
あるいは、影響を受けたウェル又はウェル具備要素は、残りの実験の間、更なる操作において含まれていてもよく、特定のウェルの結果は、実験を行いながら使用した誤った容量を、算出を調整して排除することによって実験終了後の算出で使用してもよい。
更に別の方法として、ウェルに加えられた誤った量の流体を有する異常なウェルの特定によって、ウェルが設置されている全行若しくは列又は全プレートに関する結果を廃棄するのではなく、実験終了後に、その異常なウェルを算出から除くことができる。
全てのウェルが同時に満たされる場合であっても、特定のウェル支持要素330への誤った量の流体の追加をリアルタイムに特定する適切なソフトウェアと連動するプレート300の使用は、ユーザーが、その異常な要素330又はプレート300のウェルを使用している継続中の実験を止めることを可能にすることによって、下流の実験での試薬や反応物などの浪費を回避することができることもいうまでもない。
加えて、電子的カード346に、カードに接続される様々なセンサー要素によって集められるデータを操作するための構成要素(例えば、ホイートストンブリッジのアナログシグナルをデジタルシグナルに変換するためのアナログ-デジタル変換構成要素及び収集したシグナルを正規化するための正規化構成要素)を電気的に結合してもよい。
いくつかの実施形態において、プレート300は、1又は複数のウェル317の近くに、電子的カード346に電気的に結合し、温度又は温度変化の指標を提供するように構成された1又は複数の温度センサー(不図示)も備えている。システムの温度変化が歪計344に影響を及ぼす可能性があることから、温度に対する変化の知識及び計算上の考慮によって、より正確なウェル重量の同定が可能になり、ウェルのサンプルの温度の安定性を確実にすることが可能になり、温度変化に対する感度が高くなるだろうことはいうまでもない。
本発明のある実施形態に従って、プレート300は、個々のウェルを加熱、任意に冷却するための手段を備える。かかる加熱手段は、例えば、(a)少なくとも一部のウェルの周りに配置した加熱コイル、又は(b)ペルチェ素子(時にはペルチェ熱ポンプ又は熱電冷却機と呼ばれている)の形であってもよい。明らかなように、ペルチェ素子は、個々のウェルを加熱するだけでなく冷却することにも用いることができ、ウェル又はその周辺の温度を検出又はモニターすることもできる。このようにして、個々のウェルの温度を制御することができる。例えば、各ウェルの温度を、それぞれ、37℃±0.5℃に維持することができる。
いくつかの実施形態において、加熱コイル又はペルチェ素子は、ウェル支持要素によって支持された2又は3以上のウェルをまとめて加熱するために、ウェル支持要素330の一部若しくは全部に配置してもよい。他の実施態様において、加熱コイル又はペルチェ素子は、各加熱コイル又はペルチェ素子がそれを配置してある特定のウェル317を加熱するように、個々のウェル317の一部若しくは全部に(例えばそのシリンダー320に)配置してもよい。
ウェルの温度が周期的に測定される場合、そして、温度を測定するために用いるデバイスが個々のウェルごとに加熱手段を制御するコントローラーに接続される場合、個々のウェルの温度の周期的な測定に連動して使用する個々のウェル加熱手段は、所定のウェルの条件に対する制御を向上させる方法を提供することができることもいうまでもない。従って、例えば、かかる加熱手段を有するプレート300は、恒温器に保存し、ウェルの温度を周期的にモニターし、個々のウェルの温度を、必要に応じて個々のウェルを加熱(又は、冷却)することによって、調整してもよい。あるいは、加熱手段それ自身を用いては、インキュベーションを行ってもよく、例えば、温度モニタリング及び調整を頻繁に(即ち、例えば、15、10又は5分毎に)行い、インキュベーションがなされるように特定のウェルの温度を例えば37℃±0.5℃に維持してもよい。従って、プレート300、ウェル支持要素330又はウェル317に、ウェル毎に個々の加熱要素を備えることによって、温度が誤っていることが分かった場合、温度を調整及び制御することができる。
ここでは、アーム326及びブロック328を備える、支持体324a及び324bの拡大斜視図である図3Dと、それぞれ、図3Aの断面線IIIF-IIIF及びIIIG-IIIGに沿った断面図である図3F及び3Gを参照する。図3D、3F及び3Gは、支持体324a及び324b、アーム326、ブロック328並びに支持体に対するアーム326の取り付けをより詳細に示している。
図示のように、8つのブロック328は、フレーム322の各縦方向末端の近くに設置され、その結果、各ウェル支持要素330が、2つのブロック328(要素330の各縦方向末端に1つずつ)に載り、取り付けられる。フレーム322の各末端で8つのブロックを収容するために、支持体324a及び324b並びにブロック328は、階段様式で設計されている(以下に記載)。第一支持体324aは、フレーム322の1つの縦方向末端の内壁322dと、それに近接する長手方向壁322bから突出する。フレーム322の他の縦方向末端で、第二支持体324aは、長手方向壁322bから突出するが、僅かに内壁322aから間隔を置いて配置される。両方の場合において、4対のアーム326を収容し、ブロック328の適切な位置決めを容易にするために、支持体324aは、平行に形成された、下部セット360b、上部セット360a及び2つのセットの「階段」を備える階段様式で構成されている。支持体324aの「階段」の全ては、フレーム322の内壁322bから突出するが、「階段」の全ては、フレーム322の縦軸に沿って、同じ幅を有し、最上「階段」の各セット325a及び325a'は、内壁322bから最も小さく突出しており、「階段」325b及び325b'は、よりわずかに突出しており、「階段」325c及び325c'は、より突出しており、「階段」325d及び325d'は、壁322bと壁322cの間の中間に突出する。
対応する「階段」の各対の上部表面間(即ち、325aと325a'の間、325bと325b'の間、325cと325c'の間、及び、325dと325d'の間)の距離は、アームの各対の下部表面の間の距離と同じである。従って、アーム326a及び326a'の第一対は、その近位端で、階段325a及び325a'に取り付けられ、アーム326b及び326b'の第二対は、その近位端で、階段325b及び325b'に取り付けられ、アーム326c及び326c'の第三対は、その近位端で、階段325c及び325c'に取り付けられ、アーム326d及び326d'の第四対は、その近位端で、階段325d及び325d'に取り付けられる。「階段」は、アームの各対におけるアームが互いに平行であるように互いから間隔を置いて配置され、その結果、通常の使用において、アームの各対は、他の対のアームと接触せずに動くことができる。
図3D及び3Fに示されるように、それらの遠位端において、アーム326は、アームの各対が単一のブロック328に対して平行に取り付けられるようにブロック328に取り付けられる。アームのコンパクトな配置を容易にするために、各ブロック328は、上部内表面(そこに第一アームを取り付けるためのもの)と、下部内表面(そこに第二アームを取り付けるためのもの)と、凹部(追加のアームがそこを通過することができるもの)と、を備える。従って、階段325aに取り付けられるアーム326aは、フレームの中心に最も近いブロック328aの上部内面328a'に取り付けられ、ブロック328aは、凹部328a''が構成される。これは、アーム326b、326c及び326dが、互いに触れず328aに触れることなく、そこを通過することができることを目的としている。同様に、階段325a'に取り付けられるアーム326a'は、その遠位端で、ブロック328aの最下部表面328a'''に取り付けられ、アーム326b'、326c'及び326d'は、互いに平行してその下を通過する。同様に、ブロック328bは、表面328b'及び328b'''でそれぞれアーム326b及び326b'の取り付けが可能になり、アーム326c及び326dのそこの通過と、アーム326c'及び326d'のその下の通過が可能になるように構成される。ブロック328cは、表面328c'及び328c'''でアーム326c及び326c'の取り付けが可能になり、アーム326dのそこの通過とアーム326d'のその下の通過が可能になるように構成される。4つのブロック328a、328b、328c及び328dの中で最も壁322cに近いブロック328dは、表面328d'及び328d'''で、それぞれ、アーム326d及び326d'の取り付けが可能になるように構成される。
この構成の結果、ブロック328a、328b、328c及び328dの上部部分のサイズが互いに異なることはいうまでもない。ブロック328a、328b、328c及び328dの各々は、全高が異なり、各ブロックの最上部表面の位置が、フレーム322の頂部に対して、同じであることが好ましい一方で、各ブロックの最上部表面の位置をわずかに異ならせることができ、変位を算出するソフトウェアを用いることで、ウェルに加えられる流体の質量は、かかる異なりを排除するようにプログラムすることができることもいうまでもない。同じ理由から、全てのブロック328が同じ質量を有することは必須ではない。
図3Gに明確に示すように、支持体324bは、支持体324aとは逆の方向である類似した様式で配置されている。フレーム322の1つの縦方向末端で、第一支持体324bは、フレーム322の1つの縦方向末端の内壁322aとそれに近接する長手方向壁322cから突出する。フレーム322の他の縦方向末端で、第二支持体324bは、長手方向壁322cから突出するが、僅かに内壁322dから間隔を置いて配置される。壁322dの近くで、支持体324bは、そこから、アーム326a、326a'、326b、326b'、326c、326c'、326d及び326d'を収容するように間隔を置かれる。4対のアーム326を収容し、ブロック328の適切な位置決めを容易にするために、支持体324bは、平行に形成された、下部セット362b、上部セット362a及び2つのセットの「階段」を備える階段様式で構成されている。支持体324bの「階段」の全ては、フレーム322の内壁322a(又は、322d)及び322cから突出するが、「階段」の全ては、同じ幅を有することから、壁322a(又は、322d)から同じ距離突出し、最上「階段」の各セット325e及び325e'は、内壁322cから最も小さく突出しており、「階段」325f及び325f'は、よりわずかに突出しており、「階段」325g及び325g'は、より突出しており、「階段」325h及び325h'は、壁322bと壁322cの間の中間に突出する。
対応する「階段」の各対の上部表面間(即ち、325eと325e'の間、325fと325f'の間、325gと325g'の間、及び、325hと325h'の間)の距離は、アームの各対の下部表面の間の距離と同じである。従って、アーム326e及び326e'の第一対は、その近位端で、階段325e及び325e'に取り付けられ、アーム326f及び326f'の第二対は、その近位端で、階段325f及び325f'に取り付けられ、アーム326g及び326g'の第三対は、その近位端で、階段325g及び325g'に取り付けられ、アーム326h及び326h'の第四対は、その近位端で、階段325h及び325h'に取り付けられる。「階段」は、アームの各対におけるアームが互いに平行であるように互いから間隔を置いて配置され、その結果、通常の使用において、アームの各対は、他の対のアームと接触せずに動くことができる。
図3D及び3Gに示されるように、それらの遠位端において、アーム326は、ブロック328に取り付けられ、アームの各対は、単一のブロック328に対して平行に取り付けられる。アームのコンパクトな配置を容易にするために、各ブロック328は、上部内表面(そこに第一アームを取り付けるためのもの)と、下部内表面(そこに第二アームを取り付けるためのもの)と、凹部(追加のアームがそこを通過することができるもの)と、を備える。従って、階段325eに取り付けられるアーム326eは、フレームの中心に最も近いブロック328eの上部内面328e'に取り付けられ、ブロック328eは、凹部328e''が構成される。これは、アーム326f、326g及び326hが、互いに触れず328eに触れることなく、そこを通過することができることを目的としている。同様に、階段325e'に取り付けられるアーム326e'は、その遠位端で、ブロック328eの最下部表面328e'''に取り付けられ、アーム326f'、326g'及び326h'は、互いに平行してその下を通過する。同様に、ブロック328fは、表面328f'及び328f'''でそれぞれアーム326f及び326f'の取り付けが可能になり、アーム326g及び326hのそこの通過と、アーム326g'及び326h'のその下の通過が可能になるように構成される。ブロック328gは、表面328g'及び328g'''でアーム326g及び326g'の取り付けが可能になり、アーム326hのそこの通過とアーム326h'のその下の通過が可能になるように構成される。4つのブロック328e、328f、328f及び328gの中で最も壁322bに近いブロック328hは、表面328h'及び328h'''で、それぞれ、アーム326h及び326h'の取り付けが可能になるように構成される。
この構成の結果、ブロック328e、328f、328g及び328hの上部部分のサイズが互いに異なることはいうまでもない。ブロック328e、328f、328g及び328hの各々は、全高が異なり、各ブロックの最上部表面の位置が、フレーム322の頂部に対して、同じであることが好ましい一方で、各ブロックの最上部表面の位置をわずかに異ならせることができ、変位を算出するソフトウェアを用いることで、ウェルに加えられる流体の質量は、かかる異なりを排除するようにプログラムすることができることもいうまでもない。同じ理由から、全てのブロック328が同じ質量を有することは必須ではない。
試薬及び他の流体は、プレート300から除去可能であるウェル具備要素348におけるウェル317に加えること又はそこから除去することが可能であるため、プレート300の各使用の間にウェル具備要素348を置き換えられるならば、プレート300を複数回及び/又は複数の実験で原則として使用してもよいことはいうまでもない。
ここでは、本願明細書が教示する実施形態に従って構成され作動するマルチウェルプレート400及びその構成要素を示す図4Aから4Cを参照する。具体的には、図4Aは、マルチウェルプレート400の斜視図であり、図4Bは、マルチウェルプレート400の分解図であり、図4Cは、図4Aの断面線IVC-IVCに沿ったマルチウェルプレート400の断面図である。
図4Aに示されるように、組み立てると、プレート400は、図3A-3Gのプレート300と概して類似しているように見える。しかしながら、プレート300及び400の目的及び用途が類似しているにもかかわらず、プレート400の構造がプレート300といくらか異なることは、図4B及び本願明細書の記述から明白でもある。
プレート400は、実在する装置と共に使用するように設計されていることから、現在使用されているスタンダードなプレートサイズに従って寸法が設定され、そのウェルは、同じように間隔が置かれている。従って、組み立てると、プレート400は、上部表面412、下部表面414、表面412及び414間の複数の側面416と共に、そこに形成された複数のウェル417を備え、典型的な96ウェルプレートと類似して見える。
プレート400の分解図である図4Bに示すように、プレート400は、実際のところ、いくつかの部品で形成されている。側面416は、フレーム422の一部である。フレーム422は、フレーム422に96個のボア452を規定するウェル規定骨格450も備える。各ボアは、水平面に沿った略円形断面と垂直面に沿った略矩形断面を有する。
プレート400は、96個の個々の同一円筒状ウェル支持要素430を更に備え、各々は、開口部433を備え、各々は、ボア452の1つとフィットする寸法で設定されており、単一のウェル規定要素419を受け入れるのに適しており、ウェル規定要素419は、それを受け入れているウェル支持要素430から容易に取り外すことができる。各個別ウェル417は、円筒状部分466の形状をなし、略円形底部片434を用いてその底部で封止されるウェル規定要素419によって規定される。
各ウェル支持要素430は、プレート474及び476にそれぞれ設置された2本のアーム426及び426に接着され、そうでなければ取り付けられる。アーム426及び426'は、必須ではないが、プレート474及び476において一体的に形成される。明確のために、以後のアーム426及び426'は、別途具体的に明示しない限り、426とする。可撓性アーム426は、後により詳細に述べるように、ウェルへ又はそこからの小容量の追加又は除去を感知し得る適切な可撓性がある一般的に金属又はプラスチックである適切な物質でできていてもよい。
アーム426は、図4Bの挿入図に示すように略平坦である。各アーム426及び426'は、略矩形部分426aを備え、その2つの近接するコーナーで突出物が延在しており、突出物は、円筒状のウェル支持要素430周りの半分以上であるが完全には延在していない部分的な環426bを形成している。環426bは、円筒状のウェル支持要素430の外周部よりもわずかに大きな内周部を有する寸法が設定される。部分的な環426b内に形成されている環426cは、円筒状のウェル支持要素430と同じ内周部を有する寸法が設定される。従って、円筒状のウェル支持要素430は、例えば接着によって、環426cに固定される(円筒状のウェル支持要素430の上部表面は、アーム426の環426cの下部表面に取り付けられ、円筒状のウェル支持要素430の下部表面は、アーム426の環426cの上部表面に取り付けられる)。この構造によって、一対のアーム426及び426'がx軸及びy軸において適所にウェル支持要素430を保持することを可能にするが、アーム426の屈曲が伴う、要素及びその中に備わるウェルのz軸に沿った動きが可能になる。
矩形部426a及び部分的な環426bにおいてアームが感じた歪を最大化且つ局所化させるために、部分的な環426b及び矩形部426aは、適切な薄さがある可撓性物質(例えば金属又はプラスチック)で形成される。いくつかの実施形態において、屈曲を容易にするために、アーム426及び426'は、それぞれ、プレート台474及び476よりも薄い。ある実施形態において、アーム426及び426'の外側のプレート部分474及び476は、屈曲を必要としないプレート部分474及び476を強化するように、フレーム422に及び/又は電子的カード446(更なる詳細は、以下に記載)に接着、そうでなければ取り付けることで、アーム426によって感じる歪が局在化する。
一般的に、数百マイクロリットル以下の流体は、使用目的によって、たった数マイクロリットル又はそれ未満の流体が所定のウェルに加えられることはいうまでもない。例えば、300マイクロリットル未満(μl)、250μl未満、200μl未満、150μl未満、100μl未満、75μl未満、50μl未満、45μl未満、40μl未満、35μl未満、30μl未満、25μl未満、20μl未満、15μl未満、10μl未満、5μl未満、4μl未満、3μl未満、2μl未満、又は1μl未満の流体は、所定のウェルに加えてもよい。その結果として、可撓性アーム426は、ウェルへ(又はから)のかかる量(又は、等価質量)の流体の追加(又は、除去)に応答して屈曲する適切な柔軟性でなければならない。
共に組み立てると、円筒状のウェル支持要素430の外周部は、ボア452の内周部よりもわずかに小さいことから、ウェル規定骨格450と円筒状のウェル支持要素430との間には小隙間438が形成される(図4Cを参照)。後述するように、これらの隙間の存在によって、垂直(z-)軸に沿った各ウェル支持要素430の独立した動き、及び、アーム426の付随する変形が可能になる。
かかる垂直の動きを阻害することなく隙間438を封止するために、非常に薄い(例えば、およそ7ミクロン)可撓性物質(例えば適切なプラスチック)のフィルム440を、フレーム422の上部エッジ442に取り付け、ある実施形態においては、上部カード446(更なる詳細は以下に記載)にも取り付ける。フィルム440は、96個の円形開口部443を備え、これらは、カード446(以下に記載)の開口部447、以下で更に詳細に述べる環426d、及び、組み立てられたウェル支持要素430の開口部433と整列配置している。
フィルム440は、任意の適切な手段(例えばハンダ付け、接着、溶融、結合又は任意の他の適切な取り付け機構)を用いてフレーム422に取り付けられる。示した実施形態において、各ウェル規定要素419は、感度が高いアーム426の構造及び機能にダメージを与えることなく、それが配置されるウェル支持要素430から容易に取り外すことができることはいうまでもない。
各アーム426は、その上部表面における矩形部426aで互いに一緒に取り付けられた一対の平坦な歪計444を備えている。あるいは、歪計は、矩形部426aの上部及び下部面に取り付けてもよい。各歪計は、例えば、ワイヤー(不図示)を介して、電子的カード446に電気的に接続される。いくつかの実施形態において、アーム426には、かかるワイヤーをそこに通すのを容易にするために、穴445が形成されていてもよい。電子的カード446は、歪計444とカードとの間の接続長を最小化するように配置される。
ある実施形態において、詳細に示すために、図4Bの残りの部分に対してウェル支持要素の縦軸周りに90度回転した図4Bの拡大部に示すように、ウェル支持要素430は、頂部及びその底部リムで保護突出物431aを備えていてもよく、この保護突出物は、歪計444を保護するために設計されている。加えて、いくつかの実施形態において、ウェル支持要素431は、突出物431aから180度回転オフセットされた頂部及び底部突出物431bを備えていてもよい。この突出物431bは、プレート474及び476と係合し、アーム426の屈曲の範囲を制限する。
ある実施形態において、カード446(実際のところ複数のカードであってもよい)は、複数のワイヤー(不図示)を介して、フレーム422に設置されるポート458に電気的に接続され、図8〜9Aに関して以下に記載されているように、上記ポートは、適切に備えられたプレート基部及びデータリーダーの電気的ポートへの接続のために構成されている。ある実施形態において、カード446(実際のところ複数のカードであってもよい)は、複数のワイヤー(不図示)を介して、フレーム422に設置されるUSBポート(不図示)又は、例えば、現在知られている又は将来開発され得る類似の入力/出力ポートに電気的に接続され、このポートは、電力発生源及び/又は計算デバイスへのプレート400の接続のために構成される。プレート400を接続することができるデータリーダー及び/又は計算デバイスは、図5A〜7に関して以下に記載されているグラフィカルユーザーインタフェースを実行することができる。好ましくは、ポート458及び/又はUSBポート(不図示)は、フレーム422の外表面を超えて延在せず、好ましくは、上記外表面と同一平面上にあり、プレート400の全寸法に影響を及ぼさないことから、標準的な装置の使用が可能になる。
いくつかの実施形態において、プレート400は、例えば、電子的カード446に接続する電源装置(例えば、蓄電池)(不図示)を更に備え、電源装置は、プレート400の電子構成要素に電力を供給し、プレート400がポート458又はUSBポートを介して電力発生源又はコンピューターデバイスに接続される場合は、再充電することができる。
各電子的カード446は、円形断面を有する96個の開口部447を備え、プレート400を組み立てると、開口部447は、環426d、セクション452、及び、ウェル支持要素430と整列配置する。追加の96個のより小さい開口部448が開口部447付近に配置される。開口部448は、歪計444とカード446を接続するワイヤー(不図示)を通ることが可能になる。
電子的カード446は、回路(例えばホイートストンブリッジ)の電気抵抗を測定するための要素をその上に設置してもよい。アーム426の屈曲によって、対応する歪計444の抵抗器の長さの変化が生じる。この変化は、回路の電気抵抗の変化と相関しており、例えばホイートストンブリッジを用いて電子的カード446上の要素で測定される。回路の電気抵抗の変化によって、各ウェルに加えられた(又は、除去された)流体の質量の算出が可能になる。具体的には、ウェルに追加された(又は、除去された)流体の質量が大きいほど、アーム426の屈曲の変化がより大きくなり、回路の電気抵抗の変化がより大きくなる。従って、回路の電気抵抗の変化の測定値は、ウェル中の流体の質量の変化を示すものであり、その測定値によってその変化の算出が可能になる。流体の密度が既知の場合、加えられる(又は除去された)流体の容量の計算が容易になる。このように、歪計444と共にアーム426は、それと関連するウェルにおける流体の量での変化を示すシグナルを提供する、シグナルプロバイダーを形成する。いくつかの実施形態において、電子的カード446は、例えば、プレート400がデータリーダー(例えば図8のデータリーダー)に接続されていないときに、シグナルプロバイダーによって発生するシグナルを保存するための保管構成要素を備える。そして、かかる保存されたシグナルは、プレート400に接続されるとデータリーダーによってカード446から回収することができる。
例えば、プレート400の行AからLが8-チップディスペンサーを使用して順次満たされる場合、又は、個々のウェルが順次満たされる場合、又は、全てのウェルが同時に満たされる場合であっても、各ウェルに加えられた流体の量を計算することが可能になることから、誤った量の流体が、多すぎても少なすぎても、特定の行に加えられると、リアルタイムで列毎に特定することが可能になる。
好ましくは、流体をウェルに加えるために用いる装置は、装置がエラーを修正するために用いることができるコントロールソフトウェアを備えている。あまりに少ない流体が加えられたケースにおいて、ウェル中の流体が適切な量に到達するように追加の流体を、影響を受けたウェルに分配してもよく、及び/又は、ソフトウェアが、後の操作において、影響を受けたウェルに足りない試薬又は反応液を釣り合うように加えることよってエラーを調整することが可能であってもよい。同様に、あまりに多くの流体が特定のウェルに加えられた場合、更なる操作で試薬又は反応物の追加によって適切にスケールアップしてもよい。
あるいは、影響を受けたウェル又はウェル具備要素は、残りの実験の間、更なる操作において含まれていてもよく、特定のウェルの結果は、実験を行いながら使用した誤った容量を、算出を調整して排除することによって実験終了後の算出で使用してもよい。更に別の方法として、ウェルに加えられた誤った量の流体を有する異常なウェルの特定によって、ウェルが設置されている全行若しくは列又は全プレートに関する結果を廃棄するのではなく、実験終了後に、その異常なウェルを算出から除くことができる。
全てのウェルが同時に満たされる場合であっても、特定のウェル支持要素430への誤った量の流体の追加をリアルタイムに特定する適切なソフトウェアと連動するプレート400の使用は、ユーザーが、その異常な要素又はプレート400のウェルを使用している継続中の実験を止めることを可能にすることによって、下流の実験での試薬や反応物などの浪費を回避することができることもいうまでもない。
更に、プレート400は、継続的にモニタリングしなくても作動し得ることはいうまでもない。そのような場合、ウェル又はプレートのベースライン測定値は、シグナルプロバイダーから得られる。その後、プレートは、シグナルを提供するプロセッサー又はデータリーダー及び/又は電力発生源から分離して、流体をプレートに加えるか又はプレートから取り外してもよい。そして、プレートを、電力発生源及び/又はデータリーダー又はプロセッサーに再接続して、第二シグナルをがシグナルプロバイダーから得られる取得してもよい。初期及び第二シグナルの比較によって、誤った量の流体が存在する特定のウェルの同定が可能になり、それらのウェルを、更なる実験及び計算から排除することができる。
いくつかの実施形態において、プレート400は、1又は複数のウェル417の近くに、電子的カード446に電気的に結合し、温度又は温度変化の指標を提供するように構成された1又は複数の温度センサー(不図示)も備えている。システムの温度変化が歪計444に影響を及ぼす可能性があることから、温度に対する変化の知識及び計算上の考慮によって、より正確なウェル重量の同定が可能になり、ウェルのサンプルの温度の安定性を確実にすることが可能になり、温度変化に対する感度が高くなるだろうことはいうまでもない。
加えて、電子的カード446に、カードに接続される様々なセンサー要素によって集められるデータを操作するための構成要素(例えば、ホイートストンブリッジのアナログシグナルをデジタルシグナルに変換するためのアナログ-デジタル変換構成要素及び収集したシグナルを正規化するための正規化構成要素)を電気的に結合してもよい。
各アームの屈曲を算出することができることから、各個別のウェルに加えられる物質の量又は液体の容量をリアルタイムに算出することができるため、プレート400の使用は、更なる実験操作において、ウェルの行又は全プレートではなく、各ウェルに加えられる物質の量の修正又は個別のウェルの無視が容易になる。また、この構成については、以下で図5A-7を参照しながら後述するように、時間とともに所定のウェルからの物質の減少を観察することが可能である。
本発明のある実施形態に従って、プレート400は、個々のウェルを加熱、任意に冷却するための手段を備える。かかる加熱手段は、例えば、(a)少なくとも一部のウェルの周りに配置した加熱コイル、又は(b)ペルチェ素子(時にはペルチェ熱ポンプ又は熱電冷却機と呼ばれている)の形であってもよい。明らかなように、ペルチェ素子は、個々のウェルを加熱するだけでなく冷却することにも用いることができ、ウェル又はその周辺の温度を検出又はモニターすることもできる。このようにして、個々のウェルの温度を制御することができる。例えば、各ウェルの温度を、それぞれ、37℃±0.5℃に維持することができる。
一実施形態として、各ウェルのためのペルチェ素子は、図4Bに示される片方又は両方の電子的カード446(例えば、開口部に配置されるウェル規定要素419又は特定のウェル支持要素430の加熱のための各開口部447付近)に組み込んでもよい。あるいは、加熱コイル又はペルチェ素子は、ウェル支持要素430又はウェル規定要素419のいくつか又は各々に、それと関連したウェル又はその内部を加熱するために、配置してもよい。更に別の方法として、加熱コイル又はペルチェ素子は、ウェル規定要素419又はウェル支持要素430のグループの付近に(例えば、電子的カード446に)、それと関連したウェル又はその内部を加熱するために、配置してもよい。図4Bを参照しているが、かかるウェル加熱手段の提供が、z軸に沿ってウェルが変位可能なプレートに限定されず、かかる加熱手段がウェルの変位不可能なプレートに提供できることはいうまでもない。
ウェルの温度が周期的に測定される場合、そして、温度を測定するために用いるデバイスが個々のウェルごとに加熱手段を制御するコントローラーに接続される場合、個々のウェルの温度の周期的な測定に連動して使用する個々のウェル加熱手段は、所定のウェルの条件に対する制御を向上させる方法を提供することができることもいうまでもない。従って、例えば、かかる加熱手段を有するプレート400は、恒温器に保存し、ウェルの温度を周期的にモニターし、個々のウェルの温度を、必要に応じて個々のウェルを加熱(又は、冷却)することによって、調整してもよい。あるいは、加熱手段それ自身を用いては、インキュベーションを行ってもよく、例えば、温度モニタリング及び調整を頻繁に(即ち、例えば、15、10又は5分毎に)行い、インキュベーションがなされるように特定のウェルの温度を例えば37℃±0.5℃に維持してもよい。従って、プレート400、ウェル支持要素430又はウェル規定要素419に、ウェル毎に個々の加熱要素を備えることによって、温度が誤っていることを分かった場合、温度を調整及び制御されることができる。
試薬及び他の流体は、プレート400から取り除くこと、任意に廃棄することができるウェル規定要素419に加えること又はそこから取り外すことができるため、プレート400の各使用の間にウェル規定要素419を置き換えられるならば、プレート400を複数回及び/又は複数の実験で使用してもよいことはいうまでもない。
ここでは、本願明細書が教示する実施形態に従うマルチウェルプレートへの流体の追加をオンライン(リアルタイム)モニタリングするためのグラフィカルユーザーインタフェースを図示しているスクリーンショットである図5A〜5Dを参照する。
前述のように、本発明の実施形態に従うマルチウェルプレート(例えば図3A〜3Gのマルチウェルプレート300及び図4A〜4Cのマルチウェルプレート400)は、例えば適切に備わるプレートデータリーダー(図8〜9Bを参照しながら以下に記載)を介して、又は、計算デバイス(例えばコンピューター)に接続したUSB又は他のケーブルを介して、プロセッサーに電気的に接続してもよい。図5A〜5Dのグラフィカルユーザーインタフェースは、プレートの電子的カード(例えば電子的カード546及び646)からプロセッサーに提供されるデータを使用して、プレートに接続されるかかるプロセッサー上で動作する。プロセッサーはグラフィカルユーザー情報だけを提供するように構成してもよく、ウェルに分配する流体量をコントロールするように構成してもよい。
オンラインモニタリングを提供するためのデータは、プレートの歪計(例えば歪計344及び444)によって測定されたベースライン電気抵抗の測定値次第であることはいうまでもない。このベースライン測定値は、ウェルへの充填をモニターする際は一般的に、空のウェルに対応する。一旦流体がウェルに分配されると、電子的カードは、各ウェルに加えられた流体の容量の指標をプロセッサーに提供することによって、以下に記載されているグラフィカルユーザーインタフェースの機能が容易になる。いくつかの実施形態において、ベースライン電気抵抗を表しているアナログデータは、プレートの電子的カードに設置される適切な要素によってデジタルデータに正規化及び変換する。その結果、プロセッサーは、グラフィカルユーザーインタフェースの使用に適したデータを受け入れる。
図示のように、グラフィカルユーザーインタフェース500は、実験計画ソフトウェア(不図示)と関連しており、実施する実験の特定の詳細(例えば実験名、使用する物質、分配される液体の容量、容量の上限下限、要求される精度(すなわち実験感度)及び任意の他の適切な実験パラメーター)が、グラフィカルユーザーインタフェースの情報ボックス502に示されている。以下に記載しているように、情報ボックス502に含まれる詳細は、任意の1又は複数のウェルへの物質の誤った追加をユーザーに警告するのに用いられる基準の指標をユーザーに提供する。いうまでもなく、いくつかの実施形態において、流体を分配する装置を作動するソフトウェアは、分配される量及びこれらの実験パラメーターに基づいて使われる感度の程度を較正することが可能である。
グラフィカルユーザーインタフェース500は、プレートの電子的カードから提供される情報に基づいて実験が現在実施されているマルチウェルプレートのグラフィック表示504を更に備える。プレートのグラフィック表示504は、複数の円506を備え、各々は、プレートのウェル(ここでは、96ウェルプレートとして示している)と、参照符号508及び510によってそれぞれを明示したプレート行又は列の指標に対応する。
プレートへの流体の追加のオンラインモニタリングの目的は、プレートに加えられる流体の容量のリアルタイムコントロールを容易にすることである。グラフィックユーザインタフェース500によって、ユーザーがリアルタイムの状態をモニターすることができ、プロセスのコントロールが完全に自動化されていない場合、パラメーターを初期入力の後に、必要に応じて流体容量を修正するように又は所定のウェルの誤った容量を補償する他のステップをとるようにシステムに指示することができる。一般的に、グラフィックユーザインタフェースは、目標の流体容量に達したかどうか、又は、追加の流体をプレートに加えるべきかどうかのグラフィック指標を更に提供する。ある実施形態(例えば、図5A〜5Dに示されるもの)において、グラフィック指標は、塗りつぶしパターン又はカラー指標を有し、第一塗りつぶしパターン又はカラーは、ウェルが空であることを表し、第二塗りつぶしパターン又はカラーは、流体の容量が目標の流体容量未満であるウェルを表し、第三塗りつぶしパターン又はカラーは、流体の容量が、特定の許容度の範囲内で適切であり目標の流体容量に等しいウェルを表す。いくつかの実施形態において、第四塗りつぶしパターン又はカラーは、目標の流体容量を越えたウェルを表すために用いられる。
図5Aは、実験の開始の前のグラフィカルユーザーインタフェース500を図示する。このように、全ての円506が、塗りつぶしパターン(又は、第一カラー)ではない。これは、ウェルが空であることを示している。
図5Bは、プレートの列1への流体の分配が開始する際のグラフィカルユーザーインタフェース500を図示する。このように、グラフィック表示504において、列1のウェル(A1、B1、C1、D1、E1、F1、G1及びH1ウェル)に対応する円512は、ここでは右から左に傾斜している対角線として示している第二塗りつぶしパターン(又は、第二カラー)であり、ウェルにおける流体容量が目標容量未満であることを示している。列2-12のウェルに対応する残りの円506は、ウェルが空であること明示しているパターン又はカラーのままである。
ある実施形態(不図示)において、グラフィック表示504は、ウェルにおける目標流体容量に到達するために、そのウェルに加えられなければならない流体の容量を明示する。例えば、これは、コンピューターマウスによって制御されるようにポインターを、円506の1つの上でスクロールすることによって、ポップアップボックスが、対応するウェルに加えるべき容量を明示することによって成し遂げてもよい。
図5Cにおいて、列1のウェルへの流体の分配が続くにつれて、大部分の円512は、目標の流体容量に達したウェルに対応する、第三塗りつぶしパターン(又は、第三カラー)(ここでは、左から右に傾斜している密集した対角線として表示)を表していることが見てとれる。グラフィック表示504は、ウェルC1が目標の流体容量にまだ達しなかったことを、ウェルC1に対応する円514が右から左に傾斜している対角線の第二塗りつぶしパターン(又は、同じカラー)のままであることによって、追加的に示している。
あるいは、ウェルの流体の量をウェルへの流体の分配が完了した後だけ(例えば、液体を連続して分配するがゆっくりした分配や液滴での分配の場合、ウェルが満たされるにつれて連続又は複数回測定をするのと対照的)に決定される実施形態において、グラフィック表示504は、図5Bに示されているような情報を提供しない。むしろ、一旦流体が分配されると、グラフィック表示504は、図5Cに示示しているのと類似の様式で、どのウェルの流体の容量が必要な容量よりも少ない(又はよりも多い)かを示す。
図5Dは、図5Cと同一であるが、ウェルC1の流体の容量が実験の目標容量に等しくなるように初期不足を修正するようにウェルC1への追加の流体容量の分配後のグラフィカルユーザーインタフェースを示している。列1の全てのウェルが目標の流体容量で正しく満たされると、対応する円512は、目標容量に達したことを示す、左から右に傾斜している密集した対角線の第三塗りつぶしパターン(又は、第三カラー)によって表される。
流体がプレートの追加の列におけるウェルに分配されるにつれて、グラフィック表示504は、各円506のカラーが、対応するウェルにおける流体の容量を示すように変化する。これによって、各ウェル中の流体の容量のリアルタイム指標が提供され、ウェルに加えられた流体の容量の誤りが防止される。
いくつかの実施形態において、流体は、一つずつ、継続的にゆっくり、又は、継続的に急速であるかにかかわらず、プレートの全てのウェル506に同時に分配される。このような実施形態では、グラフィック表示504は、前述のように列毎というよりもむしろ同時に全てのウェルに、図5B、5C及び5Dに示しているのと同様の指標を提供する。
ここでは、本願明細書が教示する実施形態に従うマルチウェルプレート中の流体の、オフラインでの容量モニタリングに関するグラフィカルユーザーインタフェースを示しているスクリーンショットである図6A及び6Bを参照する。
図6A及び6Bのグラフィカルユーザーインタフェース600は、プレートデータリーダー又はUSB又は現在知られている若しくは将来開発される可能性がある他のコネクターを介して、プレートの電子的カード(例えば電子的カード346及び446)からプロセッサーに提供されるデータを用いて、プレートに接続されたプロセッサー上で動作するという点で、図5A〜5Dのグラフィカルユーザーインタフェース500と類似している。同様に、グラフィカルユーザーインタフェース600は、プレートの電子的カードから提供される情報に基づく、実験を現在実施しているマルチウェルプレートのグラフィック表示604を備える。プレートのグラフィック表示604は、複数の円606(それぞれ、プレートのウェル(ここでは、96ウェルプレート)に対応)と、参照符号608及び610を明示するプレートの行又は列の指標を備える。
しかしながら、オフラインモニタリングの間、適切な流体容量がウェルに分配されたか否かをユーザーに示めすことではなくむしろ、何かの理由で、ウェルにおける流体の容量が目標容量よりも低い、又は、所定の閾値よりも低い場合、警報を提供することが目的である。このように、グラフィカルユーザーインタフェース600は、実験計画ソフトウェアと関連しているのではなくむしろ、それに、ユーザーが受け取るべき、ウェルの容量が不適当であるという指標(例えば修正行動をとるための警報又は可聴又は文書通知)に関する値を入力する。いくつかの実施形態において、上記値は、容量に関する所定の絶対値である。そうすると、ウェルにおける流体の容量が所定の容量よりも低い場合にグラフィカルユーザーインタフェース600が容量の低い特定のウェルの指標を提供する。ある実施形態(例えば示された実施形態)において、上記値は、容量に関する変化値である。そうすると、ウェルにおける流体の容量が所定の値を超えて変化する場合にグラフィカルユーザーインタフェース600が指標を提供する。このバリエーション(不図示)において、値が特定のパーセントを超えて所定のベースラインを下回る場合に指標を提供してもよい。ユーザーに指標を提供するために使用する値は、初期値であってもよく、実験感度に基づいて又は適切な他の考慮点に基づいてユーザーによってセットされてもよい。
図6A及び6Bに示すように、種々の大きさの容量変化は、種々の塗りつぶしパターン又はカラーによって明示され、凡例612は、円606の塗りつぶしパターン又はカラーに基づいて、どれ位の流体が対応するウェルから失われているかをユーザーが同定することができるように提供される。示された実施形態において、対角線の塗りつぶしパターンは、対応するウェルの流体の容量が不変で、初期容量に等しいことを示し、ドットの塗りつぶしパターンは、対応するウェルの流体の容量が1マイクロリットル未満での変化を示し、チェック柄の塗りつぶしパターンは、対応するウェルの流体の容量が1マイクロリットル以上3マイクロリットル未満での変化を示す。
グラフィカルユーザーインタフェース600は、1又は複数のグラフ614を更に備え、1又は複数の特定のウェルにおける流体の容量は、時間の関数として、プロットすることができる。いくつかの実施形態において、情報がグラフ614に示されている特定のウェルは、ユーザーが(例えば特定のウェルをマウスのカーソルで示すことによって、又は、ウェルの識別を適切なテキストボックス(不図示)に入力することによって)選択してもよい。いくつかの実施形態において、ウェルの各々に対応する情報は、グラフ614に逐次及び/又は繰り返し表示してもよい。
一般的に、プレートの電子的カードと関連したデータリーダー又はUSB又は他のコネクターは、一定の頻度(例えば毎日に一回、毎時に一回、毎分に一回、30秒に一回又は更には毎秒に一回)でプロセッサーに各ウェルの測定された容量を報告する。正確な頻度は、工場で電子的カードにコードしてもよく、実施する実験の要求に従ってユーザーがセットしてもよい。
図6Aを参照すると、第一時点T1では、いずれのウェルにも流体の容量の変化が見られないことから、全ての円606は、名目上の容量に対応する塗りつぶしパターン(対角線)で塗りつぶされていることが見てとれる。いずれのウェルにも流体の容量の変化がないため、グラフ614にプロットされていない。
T1より後の第二時点T2でのグラフィカルユーザーインタフェースを示す図6Bにおいて、ウェルC1、D1及びE1に対応する円616がウェルにおける流体の容量が1マイクロリットル未満での変化を示している塗りつぶしパターン(点)で塗りつぶされており、ウェルA4、B1、F1及びG1に対応する円618は、ウェル(チェック柄)における流体の容量が1マイクロリットル以上3マイクロリットル未満での変化を示している塗りつぶしパターンで塗りつぶされていることを見てとれる。図の例では、グラフ614は、ウェルA4における流体の容量の複数読取りに基づいて、時間の関数として、ウェルA4の容量の変化のプロット620を描いている。
ここでは、本願明細書が教示する実施形態に従ってマルチウェルプレートにおける流体の、オフラインでの温度モニタリングに関するグラフィカルユーザーインタフェースを示しているスクリーンショットである図7を参照する。
図7のグラフィカルユーザーインタフェース700は、図6A及び6Bのグラフィカルユーザーインタフェース600に類似しているが、円706の塗りつぶしパターン(又は、カラー)が、プレートの一部を形成している1又は複数の温度センサーで測定される、プレートにおいて対応するウェルの温度を表すという点と、1又は複数のグラフ714は、時間の関数として、1又は複数の特定のウェルにおける温度のプロットを含むことができる点でグラフィカルユーザーインタフェース700と異なる。
ある実施形態(例えば、図7に示すもの)においては、各ウェルと関連した温度センサーが存在するが、他の実施形態においては、ウェルよりも少ない温度センサーが存在するがそれでも多数の温度センサーが存在していてもよい。
図7に示されるように、種々の温度が、種々の塗りつぶしパターン(又は、カラー)によって示され、円706の塗りつぶしパターン(又は、カラー)に基づいて、ウェル又はその付近が何度かをユーザーが同定できるように凡例712が提供されている。
図7において、時点T1において、各ウェルは、対応する円706の塗りつぶしパターンによって示される特定の温度であることが見てとれる。例えば、ウェルE1に対応する円706の塗りつぶしパターンは、ウェルE1の温度が39℃であることを示す。
示している例において、グラフ714は、時間の関数として、ウェルA5での温度の変化を示しているプロット720を有する。
一般的に、プレートの温度センサーと関連したデータリーダー又はUSB又は他のコネクターは、一定の頻度(例えば毎日に一回、毎時に一回、毎分に一回、30秒に一回又は更には毎秒に一回)でセンサーに各ウェル又は各センサー付近の温度を報告する。正確な頻度は、工場で電子的カードにコードしてもよく、実施する実験の要求に従ってユーザーがセットしてもよい。このように、グラフィカルユーザーインタフェース700の円706の塗りつぶしパターン(又は、カラー)は、データリーダーが、温度センサーによって測定される対応するウェルの温度の変化を示すと変化する。
ウェル具備要素348及びウェル規定要素419は、それらの各プレート300及び400から取り外し可能であることから、上記の通り、要素348又は要素419を使用して測定値を得ることができ、要素348又は要素419を取り外して、それらを、保管のために(例えば冷蔵庫又はインキュベーターでの保管のために)、上で詳述した検出部を欠く他のより単純なプレート(不図示)に挿入することができる。後に、別の測定値が望まれた場合、要素348又は要素419をそれぞれプレート300又は400に再度挿入してもよい。
ここでは、本発明の実施形態に従ってマルチウェルプレートからシグナルを受け入れるために、本願明細書に教示の一実施形態に従って構成され作動するデータリーダー800及びプレート基部の斜視図である図8を参照する。
図8に示すように、基部プレート及びデータリーダー800は、基部802を備え、台802は、その上にフレーム810を形成し、その中にマルチウェルプレート(例えば上記プレート200、300又は400)を収容するのに最適な形状及びサイズである。ある実施形態において、基部プレート及びデータリーダー800は、光学機械又はイメージングデバイス(例えばイスラエル、レホヴォトのIdea Bio-Medical Ltd.から商業的に入手可能なHermes system(http://www.idea-bio.com/page-87-__Hermes.aspx))の一部を形成してもよい。そのような実施形態のいくつかにおいて、基部802は、プレートがデータリーダー800で配置されると共に光学機械又はイメージングデバイスによってマルチウェルプレートのサンプルのイメージングができるように、照明の少なくともある波長を透過してもよい。
いくつかの実施形態において、フレーム810は、データリーダー800内で安定且つ固定してプレートを保持する保持機構を備える。いくつかの実施形態において、保持機構は、プレートのフレームと係合する突出物812を備え、この突出物812は、(例えばスプリングの力で)フレーム810に格納可能であってもよい。このように、ユーザーがデータリーダー800にプレートを挿入すると、ユーザーは、プレートを突出物812に押しつけることで、突出物812がフレーム810に収容される。一旦ユーザーがプレートを押すのを止めると、例えば、プレートが適所にある場合、スプリングは、突出物812がプレートと係合して、それをデータリーダー800の内に保持するように、外側へ突出物812を押す。いくつかの実施形態において、保持機構は、データリーダー800にプレートをスナップ嵌めするための機構、プレートを止めることができるリム等を備える。
いくつかの実施形態において、フレーム810は、ユーザーがプレートの取り外しを希望する場合、フレーム810内に配置されたプレートをユーザーが把持することを補助するための窪み814を備える。フレーム810からプレートを取り外すことを促進する他の機構(例えばイジェクトボタン)を用いてもよい。
フレーム810は、データリーダー内に配置されたプレート上の対応するポートを電気的に係合するように配置及び構成された電気的ポート820(例えば、図3Bのポート358又は図4Bのポート458)を更に備える。電気的ポート820は、プレートからプロセッサーに情報を提供するためのプロセッサー(不図示)に(例えば専用ソフトウェア(例えば図5A〜7を参照しながら前述した実験計画ソフトウェア又はグラフィカルユーザーインタフェースソフトウェア)の使用のために)電気的に接続してもよい。
ここでは、本願明細書が教示する一実施形態に従って構成され作動するデバイスから、ウェル具備要素又はウェル規定要素を取り外す及び/又はマルチウェルプレートにおけるかかる要素を配置するためのデバイスの斜視図である図9A及び9Bを参照する。
図9A及び9Bに示すように、ウェル具備要素(例えば要素330)又はウェル規定要素(例えば要素419)の操作のためのデバイス900は、プレート保持基部902と機能的に関連しており、プレート保持基部902は、そこにマルチウェルプレート904を配置するように構成されている。プレート保持基部902は、図9A及び9Bに示すように、データリーダー及び基部(例えば上記データリーダー及び台800)であってもよく、マルチウェルプレートを載せる単純な基部であってもよい。
垂直変位機構908に可動的に搭載されたウェル係合部分906は、プレート保持基部902上に構成される。垂直変位機構908は、プレート保持基部902に配置されたプレート904の方への、及び、そこから離れる方へのウェル係合部分906の垂直変位を可能にするように構成される。いくつかの実施形態において、垂直変位機構908は、垂直マウント910及びマウント910に沿って垂直に変位可能な変位可能部分912を備える。これによって、上記ウェル係合部分906は、変位可能部分912に搭載して、それと共に変位可能である。
複数のウェル係合突出物916は、ウェル係合部分906の下部表面914に配置され、各々は、プレート904に設置される又はその取り付けのためにプレート904から取り外されるウェル具備要素又はウェル規定要素のウェルの1つにフィットするように構成されている。いくつかの実施形態において、ウェル係合突出物916は、スナップフィット機構によって対応するウェルと係合するが他の係合方法(例えば減圧)も考慮される。
プレート904におけるウェル規定要素又はウェル具備要素の配置に関して、ウェル係合突出物916は、ウェル規定要素又はウェル具備要素を係合し、その後、ウェル係合部分906は、ウェル規定要素又はウェル具備要素がプレート904内(例えばプレート300のセクション352内、又は、プレート400のウェル支持要素430内)のそれらの適切な位置にフィットするまで、プレート904の方へ垂直に変位する。次に、ウェル係合突出物916は、ウェル規定要素又はウェル具備要素から離れ、ウェル係合部分906は、プレート904から離れるように垂直に変位し、要素がプレート904内で適切に設置されその中への試薬の挿入のためにアクセスが可能になる。
プレート904からのウェル規定要素又はウェル具備要素の取り外しに関して、ウェル係合部分906は、プレート904内に設置されたウェル規定要素又はウェル具備要素がウェル結合突出物916に係合するまで、プレート904の方へ垂直に変位する。ウェル係合突出物916は、ウェル係合部分906及びそれと係合したウェルと共に、プレート904から離れるように垂直に変位して、プレート904内のそれらの位置からウェル規定要素又はウェル具備要素が取り外される。ウェル係合部分がプレート904から充分に変位すると、次に、ウェル係合突出物916は、ウェル規定要素又はウェル具備要素から離れる。
類似のデバイスを、ピペットチップ等を係合するために用いてもよく、流体(例えば試薬)をプレート904のウェルに分配するために用いてもよいことはいうまでもない。
マルチウェルプレート(例えば本願明細書にそれら図2A〜4Cを参照して記載されているもの)及びあるケースにおいて他のマルチウェルプレートと共に採用し得る構造のバリエーションと、それらのプレートを使用する方法のバリエーションを以下に記載する。
上述のプレートは、1又は複数のウェルに分配された流体の容量を決定するために、z軸に沿ったウェルの物理的変位を利用する。上述の実施形態において、かかる物理的変位は、変位量、従って、(密度及び質量が既知の流体が決定可能な容量を占めているとすれば)観察中にウェルに分配された(又は、ウェルから失われた)流体の容量に相関するシグナルを誘導するために、歪計に接続している。しかしながら、容量を決定するための歪計の使用の代わりに、又はそれに加えて、他の方法を使用してもよいことはいうまでもない。
従って、例えば、z軸において変位可能なウェルを備えるマルチウェルプレートを、オートフォーカス機構を有する読取りデバイスと連動して使用する場合、ウェルの変位の量を決定するためにこれを用いてもよい。かかるオートフォーカス機構の例は、発明の名称が「Auto-focusing method and device for use with optical microscopy」の米国特許第7,109,459号に記載されている。その内容物は引用したものとする。
例示のために、変位可能なウェルを有するマルチウェルプレートは、オートフォーカス機構を備える読取りデバイス(例えばIdea Bio-Medical Ltd.(イスラエル、レホヴォト)から利用可能なWiscan(登録商標)スキャナー)に導入してもよい。オートフォーカス機構と適切なフィードバック制御とを組み合わせることによって、関心があるウェルの底部を、流体を分配する前に、同じ高さにセットすることができる。次に、流体をウェルに分配してもよい。場合によっては、プレートを他の位置へ動かさずにオンラインで行ってもよく、別の場合には、プレートが分配ステーションへ移動する必要があってもよいことはいうまでもない。流体を分配した後、このタイミングで、z軸のウェルの動作を決定するためにオートフォーカス機構を再び使用してもよい(必要に応じて、オートフォーカス位置へのプレートの戻りが優先)。上記の通りで、1又は複数のウェルに分配された流体の量を決定するために、この情報を次々に用いることができる。更に、流体が1又は複数のウェルから(例えば蒸発で)失われたか否かを決定するために定期的に測定値を取得してもよい。上記の通りで、この方法は、個々のウェル、又は、ウェルのグループと共に使用してもよい。前述のように、この方法は、1又は複数のウェルの変位を決定するために、歪計と連動して、又は、その代わりに使用してもよい。
既に上述した方法のように、1つのウェル又はウェルのグループにおける誤った量の流体の検出は、ウェル中の流体の量の修正、更なる操作及び/又は算出からのウェルの除外、又は、ある場合には、算出の修正を容易にする。
ウェルから失われた流体の量を決定する他の方法は、個々のウェルの温度の周期的なモニタリングを伴う。多くの場合、生細胞を含むマルチウェルプレートは、37℃でインキュベートされる。しかしながら、インキュベーターの熱分布は、むらがある場合があり、また、他の要因によって、プレートに不均一な温度分布を引き起こす場合があり、これは、種々のウェルから流体の種々の減少を引き起こし、その中の細胞に悪影響を与え得る。個々のウェルの温度を周期的に(例えば1時間につき1回)追跡することによって、及びウェル中の流体の性質を考慮することによって、時間とともにウェルから失われた流体の量を決定することが可能になるだけでなく、前述のように例えば加熱又は冷却手段を使用してウェルの温度を修正することも可能になる。各ウェルに(例えばその底部又は側面に)個々の温度センサーを配置することによって、かかるモニタリングを容易にしてもよい。データリーダーの読取りを容易にするために、かかるセンサーをカード(例えば上述の346又は446)に電子的に接続してもよい。あるいは、1又は複数の温度カメラを用いては、周期的に個々のウェルの温度を検出してもよい。
既に上述した方法と同様に、1つのウェル又はウェルのグループにおける誤った量の流体の検出は、ウェル中の流体の量の修正、更なる操作及び/又は算出からのウェルの除外、又は、ある場合には、算出の修正を容易にする。プレートのウェルがz軸に沿って変位可能である場合、この方法は、上記の通り、歪計と連動して、又は、その代わりに、そして、オートフォーカス機構を用いた方法と連動して、又は、その代わりに、及用いてもよい。しかしながら、歪計又はオートフォーカスを用いた方法とは異なり、この方法は、ウェルが変位不可なプレートと共に用いてもよいことはいうまでもない。
図に示した実施形態が解説のためだけあり、これらのバリエーションが本発明の範囲内であることを予想し得ることはいうまでもない。例えば、プレート当たりのウェルの数、ウェルの形状及び、使用する物質は、本願明細書に示している又は具体的に記載しているものと異なっていてもよく、プレートの液体の検出、追加又は除去の手段も同様である。加えて、ウェルの各々は、追加の層又は挿入物(例えば細胞を生育させるウェル挿入物)を備えていてもよい。そうすると、挿入物において生育する細胞に直接関与することなく、浸透性の試薬をウェルの環境に加えることができる。
明確のために、別々の実施形態の文脈に記載されている本発明のある種の特徴を、単一の実施形態に組み合わせとして提供してもよいことはいうまでもない。反対に、簡潔のために、単一の実施形態の文脈に記載されている本発明の様々な特徴を、別々に、任意の適切な部分的組合せ、又は、適切なものとして、任意の他に記載されている本発明の実施形態に提供してもよい。様々な実施形態の文脈に記載されているある種の特徴は、実施形態がそれらの要素なしに動作不能でない限り、それらの実施形態の必須の特徴と考えることはない。
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載しているが、多くの代替形態、変更形態及びバリエーションが当業者にとって明らかであることは明白である。従って、かかる代替形態、変更形態及びバリエーションの全ては、添付の特許請求の範囲内に包含されることを意図とする。
この出願における任意の参照の引用又は同定は、かかる参照が本発明に対する先行技術として利用可能であるという承認としては、解釈されない。
段落の見出しは、明細書の理解を容易にするために本願明細書に使われているが、必須の制限であるとして解釈すべきではない。