JP6544663B2 - 光源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、LED(Light Emitting Diode)を用いた光源装置に関する。
従来、照明用の光源装置として、青発光LEDと黄発光蛍光体の組み合わせが知られている。しかし、黄発光蛍光体のみでは演色性が悪く、特に、赤色の演色性が良くないと言われている。そこで、青発光LEDと黄発光蛍光体と赤発光蛍光体の組み合わせ(例えば、特許文献1)、あるいは、青発光LEDと緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の組み合わせが提案されている(例えば、特許文献2、3)。これらの文献では、平均演色評価数Raを80台に改善するなどの開示がされている。また、LEDと3種類の蛍光体の組み合わせが提案されている(例えば、特許文献4〜7)。
特表2003−515655号公報 特開2001−148516号公報 特開2006−63225号公報 特開2007−116117号公報 特開2008−34188号公報 特開2010−199273号公報 国際公開WO 2012/077448号公報
従来、演色性の評価には演色評価数(CRI:Color Rendering Index)が一般に利用されている(例えば、特許文献1)。そのため、先行技術では、平均演色評価数Raや特定の特殊演色評価数Riの向上という狭義の演色性の改善を主眼とすることが多い。しかしながら、同等の相関色温度を有する基準の光に対する忠実演色を評価するRaの値が同じであっても、特定の色みの見えが悪い場合、平均化される以前のRiに立ち返ると、特定の色みのRiが悪く各色のバランスが崩れている場合や、違和感のある色ずれを感じる場合などがある。
従来の、高演色を実現したと言う発明では色を忠実に見せる忠実演色、および、色を鮮やかに好ましく見せる効果演色などを勘案した人間のイメージにとって好ましい色再現の検証が不十分で、単純なRaの数値の高低と現実の演色評価との乖離を生じている。
また、単純にRaやRiを使用して高演色な状態を評価しようとしても、色がより鮮やかに好ましく効果演色された場合も、色がくすんで見えていた場合と同じくRaの数値が低下する事態が生じる。現在のRaによる演色性評価手法自体が現実の演色性の主観評価との差異を生じさせることや、RaやRiの数値が高いことが、すなわち演色性が高いことに必ずしも結びつかないこと、RaやRiが同じでも実際の見えが異なることなどがCIE(国際照明委員会: Commission internationale de l'eclairage)などで国際的に課題とされ議論されている。このような中、演色性を改善すると言っても具体的に演色性の何を改善するのかという基本的観点が、RaやRiの数値の大小関係に基づいて演色性を改善するという先行技術の議論の中で欠落しているという課題がある。
また、青発光LEDと3種類の蛍光体を組み合わせる場合、合計で4色の混色となる。この場合、目標の色度は1点でも、その色度を実現する混色比は無限に存在する。しかしながら、従来、如何なる要件を満たせば目的とする演色性や、好ましい色再現を実現できるのか明らかではない。そのため、好ましい混色比を求めるには無限の組み合わせから試行錯誤を重ねる必要があり、ある色度で偶発的に好ましい混色比で高い平均演色評価数Raを求められたとしてもその演色性の内容は多様であり、この傾向は安定的な高演色の一般解を示したものとは言えず、別の色度では異なる演色傾向を示す場合も多く、適宜、別途の試行錯誤が、つど必要となる。
よって、例えば相関色温度が異なりRaが同く高くとも、狙いとする統一性を有た好ましい見え方の演色傾向を実現する分光設計は困難である。また、従来はそれを評価検討する手段も十分では無い。従って、相関色温度の異なる複数の光源商品を設計する場合や、同じ電球色や昼光色などの光色ランク内でも、色度ごとに混色比の試行錯誤を要するため設計と実現が困難となる。
さらに、標準比視感度Vλで人間の視感度や光源の発光効率が論じられることが一般的である。これにおいても人間の主観的な明るさのスペクトル感度は標準比視感度Vλと差が存在することが知られている。先行技術などの議論の中では単に標準比視感度Vλに基づく発光効率の高低が論じられることが多いが、同じ光束を有していても実際の場で主観的に感じる明るさ感が異なる場合がある。しかしながら、各種の主観的な明るさ感度の傾向の共通性に照らし、演色性と同時に主観的な明るさ感を改善するという観点への着眼も欠落しているという課題がある。
本発明は、単純に演色性の向上をRaの数値の向上と捉える既存技術、および、明るさ効率の向上を単純に標準比視感度Vλの向上と捉える既存技術とは異なり、目的の色度で忠実演色および効果演色の好ましい色再現を、各種主観的な明るさ感を確保しながら実現することができる光源装置を提案する。
本発明に係る光源装置は、第1青色光を出射する第1青発光LEDと、前記第1青色光により励起されることにより第1緑色光を発する第1緑発光蛍光体及び第1赤色光を発する第1赤発光蛍光体とを含み、第1混光を発する第1光源装置と、第2青色光を出射する第2青発光LEDと、前記第2青色光により励起されることにより第2緑色光を発する第2緑発光蛍光体及び第2赤色光を発する第2赤発光蛍光体とを含み、第2混光を発する第2光源装置と、を備える。前記第1混光、及び前記第2混光の混光により形成された分光分布は、波長440nm以上、465nm以下に第1最高値を示す第1ピークを有し、波長490nm以上、555nm以下に第2最高値を示す第2ピークを有し、波長600nm以上、645nm以下に第3最高値を示す第3ピークを有し、前記第1ピークと前記第2ピークとの間に第1最低値を示す第1ボトムを有し、前記第1ピークと前記第2ピークとの間に第2最低値を示す第2ボトムを有する。前記第1最低値は前記第2最低値より小さい。U*V*平面上の色域において、前記第1混光のU*軸方向の幅は、前記第2混光のU*軸方向の幅より大きい。
上記構成によれば、第1光源装置が発する第1混光と、第2光源装置が発する第2混淆とが混光されて好適な分光分布を有する光となる。U*V*平面上の色域において、第1光源装置が発する第1混光のU*軸方向の幅は、第2光源装置が発する第2混光のU*軸方向の幅より大きい。即ち、赤色および緑色を高彩度に色再現する傾向がある。U*V*色度座標上で色域の形状を見るとU*軸方向のプラス側(右側)でR1とR8に相当する色再現の色度が、少なくとも1箇所以上基準の光における色度よりU*軸方向のプラス側(右側)に拡大している。また、U*軸方向のマイナス側(左側)でR4とR5とR6に相当する色再現の色度が、少なくとも1箇所以上基準の光における色度よりU*軸方向のマイナス側(左側)に拡大している。他方、第2光源装置が発する光は、U*V*平面上の色域が、第1の比光源装置が発する光の色域に比べてU*軸方向に縮小されている。このように色域の傾向が異なる2種類の光源装置が発する光を混光すると、両者の色域を、混光比に対応した各々の単独使用の結果の中間の分光分布に合成することができる。このとき、同一色度で両者の混合比を調整することにより、U*軸方向の幅の拡大の量を調整することができる。これが、忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスを調整することと連動する。
以上より、上記構成の光源装置によれば、目的の色度で忠実演色および効果演色の傾向を有する好ましい色再現を、各種主観的明るさ感を確保しながら実現することができる。
また、相関色温度が変化した場合も、赤−緑の色再現の色域の調整が可能な、統一的な好ましい演色傾向を内包した高演色光源を実現することができる。
また、本発明において、比較的広い相関色温度の範囲で同一の蛍光体を使用しその混光比率の変化で、忠実演色から高彩度型の効果演色まで類似の演色傾向をもって実現できることにより、製品の品種によって多数の蛍光体を準備して、つど対応しなければならない情況を回避することが可能なため、製品の光色や演色性の品種ラインアップと、量産性の観点からのメリットも高い。
三波長域発光形蛍光ランプの各指標の評価値を示す図 三波長域発光形蛍光ランプの特性を示す図 従来のLED光源の各指標の評価値を示す図 従来のLED光源の特性を示す図 ネオジウム電球の特性を示す図 高演色形高圧ナトリウムランプの特性を示す図 高彩度形高圧ナトリウムランプの特性を示す図 三成分形メタルハライドランプの特性を示す図 高彩度形メタルハライドランプの特性を示す図 ハロリン酸塩蛍光ランプの特性を示す図 LMSの各錐体の反応感度を示す図 反対色応答モデルにおける輝度チャンネルL、r−g反対色応答、y−b反対色応答を示す図 各種視感度を示す図 年代別の各種視感度を示す図 分光分布の要件の概略図 光源装置の一例であるLED光源の構造を例示する断面図 第1緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図 第2緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図 第2緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図 第2緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図 赤発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図 光束比を変化させたときの緑発光の分光分布の変化を示す図 光束比を変化させたときの緑発光の分光分布の変化を示す図 光束比を変化させたときの分光分布の変化を示す図 (a)〜(d)シミュレーションから得られた分光分布と試作品から得られた分光分布を示す図 (a)、(b)2種類の蛍光体を混ぜて単層とした場合と2種類の蛍光体を個別に2層とした場合の分光分布を示す図 実施例1で光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で光束比1:9の場合の特性を示す図 実施例1の視感度向上割合を示す図 実施例1で光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で光束比0.2:9.8の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で光束比1.5:8.5の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で光束比3:7の場合の特性を示す図 実施例1で光束比を相関色温度毎に適宜変化させた場合の各指標の評価値を示す図 実施例1でDuvを変化させたときの分光分布の変化を示す図 実施例1でDuvが0.01、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1でDuvが0.01、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1でDuvが-0.01、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1でDuvが-0.01、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1でDuvが-0.01、光束比が0.2:9.8の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1でDuvが0.01、光束比1:9の場合の特性を示す図 実施例1でDuvが-0.01、光束比が1:9の場合の特性を示す図 実施例1でDuvが0.01、光束比が0:10の場合の特性を示す図 実施例1でDuvが-0.01、光束比が0:10の場合の特性を示す図 実施例1で青発光LEDのピーク波長が440nm、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で青発光LEDのピーク波長が440nm、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で青発光LEDのピーク波長が460nm、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 実施例1で青発光LEDのピーク波長が460nm、光束比0.5:9.5の場合の各指標の評価値を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の特性を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の特性を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の特性を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の特性を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の特性を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の特性を示す図 光束比5:5の場合の各指標の評価値を示す図 光束比5:5の場合の特性を示す図 光束比7:3の場合の各指標の評価値を示す図 光束比を相関色温度毎に適宜変化させた場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 光束比1:9の場合の特性を示す図 光束比0.5:9.5の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2.5:7.5の場合の各指標の評価値を示す図 実施例2で光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 実施例2で光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図 実施例2で光束比1:9の場合の特性を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2.5:7.5の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2.5:7.5の場合の特性を示す図 光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図 光束比2:8の場合の特性を示す図 第1緑発光蛍光体(Sample B)を単独使用した場合の特性を示す図 第1緑発光蛍光体(Sample C)を単独使用した場合の特性を示す図 第2緑発光蛍光体(Sample D)を単独使用した場合の特性を示す図 第2緑発光蛍光体(Sample F)を単独使用した場合の特性を示す図 第2緑発光蛍光体(Sample I)を単独使用した場合の特性を示す図 照明システムの回路構成を示す回路図 (a)は、第1LED光源の構造を示す断面図、(b)は、第2LED光源の構造を示す断面図 光源装置の一例であるLED光源の構造を例示する断面図 (a)(b)光源装置の一例であるLED光源の構造の変形例を示す断面図 (a)(b)(c)光源装置の一例であるLED照明装置の構造を例示する図 (a)(b)(c)光源装置の一例であるLED照明装置の構造を例示する図 変形例でDuvが−0.005、光束比2:8の場合の特性を示す図 変形例でDuvが−0.005、光束比0.5:9.5の場合の特性を示す図 変形例でDuvが−0.005、光束比2:8の場合の特性を示す図 変形例でDuvが−0.005、光束比0.5:9.5の場合の特性を示す図 自然対象物としての肌の分光反射とR13の典型的な差を示す図 自然対象物としての葉の分光反射とR14の典型的な差を示す図
<経緯>
一般に、演色性の評価には平均演色評価数Raが利用されている。また、先行技術などでは単純にRaやRiの数字上の高低をもって高演色とされることが多い。しかしながら、Raは、単に、中彩度色の演色評価用色票群の色再現の忠実性を、対応する相関色温度の基準光源を基準と置き、その色差の程度を平均的に評価する指標するに過ぎない。また、RaやRiと主観的な演色性の印象の高低の評価とに差異があることなどの事情は経験上知られているものの、実際に如何なる色再現が好ましい高演色と感じられるのか、また、如何なる指標を用いれば好ましい色再現を評価できるのか充分な検討がなされていない。
これらに対し、現在も国際的に新たな演色評価指標は数々提案が続いている。しかし、新たな評価指標は既存の演色評価指標との技術的連続性や互換性は担保されていない。
発明者は、まず、このような根本的な問題から検討を開始した。具体的には、最も一般的に使用され、平均演色評価数Raが高いという意味で忠実演色性が高く、色を鮮やか演色するという好ましい効果演色傾向を内包する既存のランプ、特に三波長域発光型の分光特性に近いランプを中心に分析することで、既存評価指標を拡張した如何なる指標が如何なる数値であれば、既存光源技術との演色傾向の互換性が高く、好ましい傾向を有す高演色な色再現と認識されるのかを検討した。
高演色性を実現しようとする場合、設計の方向性が主に2種類存在する。
一つ目は、可視発光帯域の分光分布の山谷を埋める方向性であり、演色性の評価基準となる基準の光(完全放射体やCIE昼光)の分光分布を模擬して広帯域な分光分布を作り出し、平均演色評価数Raを高める忠実演色の方向性である。
二つ目は、可視発光帯域の分光分布の山谷を積極的に構成する方向性であり、青色波長域、緑色波長域および赤色波長域の各波長域に分光パワーを集中させ、高彩度傾向の鮮やかな色再現の効果演色を確保する方向性、また、これと同時に平均演色評価数Raを高める忠実演色を勘案する方向性である。
発明者は、忠実演色の傾向を有しながら高彩度型の効果演色傾向を有する好ましい色再現性の実現方法として後者を選択し、既存のランプとして普及し一般的に使用されてきた三波長域発光形蛍光ランプなどを参照することとした。
三波長域発光形蛍光ランプは、平均演色評価数Raを80以上で被照明物を鮮やかに演色するものとして知られている(例えば、JIS Z9112:蛍光ランプの光源色及び演色性による区分:Classification of fluorescent lamps and light emitting diodes by chromaticity and colour rendeRing property)。
また、これに加え、高彩度な色再現を実現するものとして市場に受け入れられている既存のランプを分析することで、高彩度色の鮮明な色再現を実現するための各指標の傾向を調べた。このような既存のランプとして、ネオジウム電球、高演色形高圧ナトリウムランプ、高彩度形高圧ナトリウムランプ、三成分形メタルハライドランプおよび高彩度形メタルハライドランプなどがある。
また、これの反例として、青発光LEDとYAG蛍光体の事例やハロリン酸塩蛍光ランプなどを参照した。
LED分野に限らず既存光源分野との複合的検討により、忠実演色の傾向を有しながら高彩度型の効果演色の傾向を併せ持つ好ましい色再現を評価するための各指標とその推奨値を得ることができた。また、全く新たな演色評価の計算手法ではなく、広く普及し既存の評価に用いられる演色評価数の計算手法と互換性を持った補助指標を構築した。 それを組み合わせることで、色再現の色域やそのひずみ、などのより複合的で詳細な検証を既存数値指標の互換性をもって可能とし、発明の演色性を実現する要件を求めた。
次に、分光分布の要件検討について述べる。
三波長域発光形蛍光ランプにおいては青波長域(445nm〜475nm)と緑波長域(525nm〜555nm)と赤波長域(595nm〜625nm)の各波長域がJISにより定義され前記波長範囲に分光パワーを集中させた分光分布を有している。 いわゆる、赤緑青(RGB)の三波長帯域に分光パワーを集中することで、鮮やかな色再現を実現するランプとして知られている。また、被照明物が鮮やかに演色されることなどにより、標準比視感度Vλに基づく照度や光束が同じでも実際の照明環境においては明るく感じられることなども知られている。
単純にはLED光源においても、これと同等の分光分布を再現することができれば、従来の三波長域発光形蛍光ランプと類した、色を鮮やかに演色する傾向をもちながら、基準の光に対し忠実演色の傾向を有する演色性を発揮できると考えられる。しかし、三波長域発光形蛍光ランプで利用される蛍光体と、LED光源で利用される蛍光体とでは、発光スペクトルの形状が異なる。具体的には、三波長域発光形蛍光ランプで利用される緑発光蛍光体および赤発光蛍光体は、何れも、紫外線により励起される内殻遷移形の希土類蛍光体であり、狭い半値幅を有している。これに対し、青発光LEDで励起されるほとんどの実用的な蛍光体は、比較的広い半値幅を有している。従って、青発光LEDと緑発光蛍光体と赤発光蛍光体を組み合わせたとしても、従来の三波長域発光形蛍光ランプと同等の分光分布を得ることは困難である。ここで、半値幅とは、分光分布の広がりの程度を示す指標である。半値全幅(FWHM :full width at half maximum)と、その半分の値の半値半幅(HWHM: half width at half maximum)とがある。本明細書では特に半値全幅を半値幅と表す。
さて、青波長域、緑波長域および赤波長域の各波長域に分光パワーを集中させた光源を設計する場合、演色性が分光分布の形状の変化の影響を受けやすい傾向にあり、平均演色評価数Raの数値が同じ場合でも、分光パワーの集中のさせ方により、得られる色再現性が異なる場合がある。
そのため、LED光源の分光分布がどのように変化すれば各評価指標がどのように変化するのかに関して体系的な分析と、どのような内容の高演色特性を指向するのかの理論的バックボーンが無ければ、所望の色再現性を実現することについて技術的な解決とはならない。また、青発光LEDと2種類の蛍光体の組み合わせのように、3色を混色する場合は目的の色度が決まれば、各色の混合比が一義的に決定する。しかしながら、青発光LEDと3種類以上の蛍光体の組み合わせの場合、目的の色度が決まっても、それを実現する混色比は無限に存在する。そのため、単一の色度条件においても体系的な解が無ければ、好ましい混色比を求めるには、つど試行錯誤を重ねる必要がある。例えば、ある色度で偶発的に高いRaが求められたとしても、多様な演色状態を含み、さらに、これが別の色度でも安定的な傾向を生じるものかも判らず、つど別途の試行錯誤が必要となる。
従って、相関色温度の異なる複数の商品をラインアップする場合、商品ごとに混色比の試行錯誤や蛍光体自体の再選定を要する。さらに、相関色温度ごとに類似のRaの値を有しても高彩度型の傾向を有していたり、忠実演色型の傾向を有していたりと、演色の質的側面が不統一でバラバラな結果を生じるが不明となるため、設計と確認の負担が重くなる。加えて、多面的・複合的な演色評価指標を持たず演色性の中身の分離検討が無い中では、どのような演色傾向を持った上でRaを論じているのか、そのチェックすらできないという情況となる。
そこで、発明者は、人間の視覚および色覚の原理からアプローチすることで、青発光LEDと緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の組み合わせにおいて、高演色な特性を実現するための分光分布の要件を見出した。ここで「高演色」とは、忠実演色「基準の光に対しての忠実演色」と効果演色「既存高彩度型光源と類する高彩度型の演色傾向を有した効果演色」とがバランスした好ましい色再現をいう。前記、高演色は、既存の演色評価指標に補助指標を加えた各種指標を基に既存技術との互換性を保ちつつ表現する。
特に、人間の視覚特性における青と緑と赤の三刺激の刺激純度を高めつつ、視感的な明るさ感を維持するための分光分布を検討した。この基本的な検討により、青色波長域、緑色波長域および赤色波長域の各波長域に分光パワーを集める傾向を有する青発光LEDとそれにより励起される蛍光体を有する光源における新たな知見を得ることができた。
まとめると、従来、Raや特定のRiの高低のみの議論で、高演色が得られたなどとされることが多いが、青発光LEDと3種類の蛍光体を組み合わせる場合などの複合的な条件下において、例えRaの値が同一でも多様に存在する演色特性と分光分布の有り様の下、Raの値が高くとも実際の色再現の評価が低い状態も含まれる。つまり、そもそもの高演色特性の質とそれを実現する分光分布の具体的な傾向については未分離であり、論じられてはいなかった。
本発明は、表現上、既存の演色評価数値とその計算法の互換性を確保する観点から、既存の演色評価指標とその計算法を踏襲しRaやRiまたはGaも用いるが、これと親和性の高い新たな補助指標を加えて拡張し、複合的に検討したことで、より演色性の内容とその傾向を捉えたものである。これにより、単純にRaやRiの数値で捉えきれない忠実演色型の特性を有し、かつ、高彩度型の効果演色傾向をバランスする好ましい色再現を抽出し実現した。
以上、本発明は、人間の視覚および色覚の原理まで立ち返り、複合的に検討することで青発光LEDとそれにより励起される蛍光体の組み合わせのLED光源が好ましい色再現を実現するための分光分布を再構築したものである。以下、順を追って詳細に説明する。

<評価指標>
以下、本明細書で使用される評価指標を説明する。
(1)R1〜R15、Ra
R1〜R15、Raの算出方法は、JIS Z 8726 -1990(光源の演色性評価方法:Method of Specifying Colour RendeRing Properties of Light Source)やCIE 13.3-1995(Method of Measuring and Specifying Colour Rendering Properties of Light Sources)に示されている。R1〜R8は、色相が異なる8つの中彩度色の色再現の忠実性を指標する。R9〜R12は、それぞれ赤色、黄色、緑色および青色の高彩度色の色再現の忠実性を指標する。R13は、典型的な西洋人の肌の色の色再現の忠実性を指標する。R14は、木の葉の色の色再現性の忠実性を指標する。R15は、典型的な日本人の肌の色の色再現の忠実性を指標する。Raは、R1〜R8の平均値である。
本発明においては特に、演色評価に大きな影響を与える自然対象物の特殊演色評価に対してさらなる検証が加えられている。例えばR13に対しては、色票としての色度の再現に重きが置かれており、分光反射特性が実際の人間の肌の分光反射と乖離していることが知られており、これを、実際の白人の肌の各種分光反射率に即してのRiの検証を行った。また、R15で日本人(東洋人)の肌の分光反射率は高精度に検証されてはいるものの、より肌の色の暗い人種に対してなど、広い人種範囲の検証が従来には欠落している。これに対しても各種人種の肌の分光反射率や、種々の肌色票に即しての特殊演色評価数Riの検証を行ない、本発明が同様のRiの傾向を得ることを検証した。(例えば、各人種の肌の反射率として、各種実測値以外にも、次の様な事例を参酌できる、CIE 135/2 Colour rendering,TC 1-33 closing remarks 、ISO/TR 16066 Graphic technology SOCS 、 NBS INDEX Material Class: SKIN 、Macbeth Color Checker:新編 色彩科学ハンドブック 日本色彩学会 編 付属 、 EBU Tech 3355 Methods for the assessment of the colorimetric properties of luminaires)
また、R14の木の葉も実際の木の葉の分光反射特性との乖離が指摘されていることから、これも実際の木の葉の分光反射率や、種々の植物の色票に即しての特殊演色評価数Riの検証を行ない、本発明が同様のRiの傾向を得ることを確認した。(例えば、各種の木の葉の反射率として、各種実測値以外にも、次の様な事例を参酌できる、ISO/TR 16066 Graphic technology SOCS 、色彩科学講座2 Color in Life 日本色彩学会 編、Macbeth Color Checker:新編 色彩科学ハンドブック 日本色彩学会 編 付属 )
前記事例のごとく自然対象物のRiに対する各種分光反射率の追加的検証により、既存指標のR13からR15を高めながら現実の各種肌の色を有する実際の人間や、実際の植物の見えをより考慮した。
(2)Ga
Gaの算出方法は、JIS Z 8726-1990の参考欄に示されている。Gaは多くの場合100より小さいが、この値が小さいほど試験色1〜8の色ずれが平均的にみて彩度を減じる方向にあり、色がくすんで見えると推定できる。逆に、Gaが100より大きい場合は、平均的に彩度が増加する方向にあり、色がより鮮やかに見えることが期待される。一般の物体色は、概して彩度が増して見えるほど好ましく感じられる傾向があるので、この評価値が通常は色の鮮やかさの参考となる。
また、特殊演色評価数R1〜R8は、基準の光(完全放射体またはCIE昼光)と同じ再現性の場合に最大の100となり、それから彩度が低下する演色をしても高まる演色をしても100未満に低下する。そのため、特殊演色評価数R1〜R8の数値だけでは、鮮やかに見えて100未満になっているのか、くすんで見えて100未満になっているのかを判断することができない。この場合、Gaと照らし合わせることで、これらを判断することができる。即ち、平均演色評価数Raが100未満の場合であっても、Gaが100より大きければ、彩度が高いので好ましい傾向とすることができる。
(3)Ra4
Ra4は、特殊演色評価数R9〜R12の平均値である。特殊演色評価数R9は高彩度な赤色、特殊演色評価数R10は高彩度な黄色、特殊演色評価数R11は高彩度な緑色、特殊演色評価数R12は高彩度な青色の色再現性をそれぞれ指標する。これらの平均値である指標Ra4は、中彩度色の指標Raとの対比指標であり高彩度色の色再現の忠実性を平均的に指標する。
(4)Ga4
Ga4は、試験色R9〜R12を用いて、色域面積比Gaと同じ計算方法で算出される。Gaと同様に、Ga4が100より大きいほど彩度が増加することを示す。これにより、意図的に目立たせたい物体に多い高彩度色の鮮やかさを色域面積比の考えで評価することができる。また、特殊演色評価数R9〜R12は、基準の光(完全放射体またはCIE昼光)と同じ再現性の場合に最大の100となり、それから彩度が低下する演色結果でも高まる演色結果でも100未満に低下する。そのため、特殊演色評価数R9〜R12の数値だけでは、彩度が低くて100未満になっているのか、彩度が高くて100未満になっているのかの傾向を判断することができない。この場合、Ga4と照らし合わせることで、この傾向を知るることができる。即ち、特殊演色評価数R9〜R12が100未満の場合に、Ga4が100より大きければ、高彩度の演色傾向の発現により評価数が100未満に低下する事象と相関していると判断することができる。また、Ga4は、中彩度色に対しての色域の大きさGaに対し、高彩度色に対しての色域の大きさの対比指標となる。
(5)R1−R15レンジ、Riレンジ
R1−R15レンジは、特殊演色評価数R1からR15の最大値と最小値との差分である。平均演色評価数Raは、特殊演色評価数R1〜R8の平均値である。そのため、ある特定の特殊演色評価数だけが際立てて低い場合と、全ての特殊演色評価数が平均的に低い場合とでは、両者の間で色再現性は大きく異なるのにもかかわらず、同じ数値となることがある。Ra4についても同様である。R1−R15レンジは、各指標(例えばRa)が同じ数値の場合でも、ある特定の特殊演色評価数が際立てて低いのか、全ての特殊演色評価数が平均的に低いのかを知る指標として有用である。即ち、R1−R15レンジを用いて、特定の色再現に局所的な弱点が生じているか、任意のRi群の色再現バランスが崩れているかを知ることができる。本発明においてはR1−R8レンジ、R9−R12レンジ、R13−R14レンジなどの追加Riレンジの検証なども同時に行なわれた。前述の追加検討された肌色票のレンジ、植物の色票のレンジなども既存の肌色票のレンジ、植物の色票のレンジに照らし十分小さいことも確認した。
また、GaやGa4は、特定の色みの色ずれが大きく色再現のバランスが崩れている場合も大きな数値となることがある。しかし、この場合、各種Riレンジと照らし合わせることで、Ri群の色再現バランスの崩れを検知することができる。
(6)複合分析
前記のRa4、R1−R15レンジやその複合は評価法自体が新規なものである。前記評価法は、一般的に普及している評価指標との互換性を確保しつつ、Ra、Ri(i=1〜15)、Gaで評価しきれなかった、より詳細な演色指標を複合的に構築するものである。
例えば、Raが高くGaが大きい、かつ、Riレンジが小さいことで、忠実演色性が高い範囲で色鮮やかな高彩度な効果演色が実現されており、しかも、特異な色域の分布ひずみにより、特定色の色バランスが特異に崩れていないことが判る。 さらには、Ra、Gaなどが似た結果の中でも、Ga4やRa4の値が高い方が、高彩度色に対する演色性が高い傾向を有すなどの複合的な詳細検討が本評価法で可能となった。
RaやRiはその構造上、100近傍で数値の折り返しが発生し、演色性の高い光源の評価数値比較における検知感度が低下するが、GaやGa4または各種Riのレンジを使用することでRaが高い中でも、目的の高演色傾向を有する要件を検出することが出来る。
また、本発明では各種演色評価数の計算過程で用いられるU*V*色度座標での各色票の色域の分布も直接的に検討する手法も用い、各RiまたGaやGa4の分布や色域の様相が基準の光に対しどの様な関係にあるため各Riの値などが変化しているのかを検討した。GaやGa4の数値向上の中でもU*V*平面上にプロットされたR1からR8や、R9からR12の特殊演色評価数の試験色の色度座標で構成された色域がU*軸方向に拡大する傾向を内包することが、色域の傾向としてより好ましいというさらなる詳細検討も、各Riの値の傾向との互換性を保ちながら検証することが可能となる。例えば赤や緑に対応するRiの値が低下する場合でもGaやGa4の値が高く色域の様相がU*軸方向に拡大する傾向を有した上での結果であれば、好ましい方向であることがさらに詳細に分かる。
よって、本発明において、従来の演色評価数計算評価法と互換性確保の観点から表出した値が同じでも、その示す演色特性の内容は異なる。例えば、複合検討された本発明を経たRaの数値が80以上として求められた光源の分光分布の特徴は、従来の単純なRaの数値が80以上という内容から求められるものとは質的に異なる。

<三波長域発光形蛍光ランプと既存のLED光源との対比>
まず、3つの波長帯域に分光パワーを集中し高演色で色を鮮やかなに演色する傾向を有する三波長域発光形蛍光ランプを従来のLED光源との比較ととも述べる。従来のLED光源は、青発光LEDと黄発光蛍光体(Y3Al5O12:Ce)と赤発光蛍光体((Sr, Ca)AlSiN3:Eu)を含む。
図1は、三波長域発光形蛍光ランプの各指標の評価値を示す図である。各指標は、相関色温度が連続的に変化した場合に変化する。本明細書では、相関色温度が2000K、2200K、2500K、2700K、3000K、3500K、4000K、4500K、5000K、5200K、6000K、6500K、6700K、8000Kおよび12000Kの場合の各指標を代表的に示す。また、指標として、Ra、Ra4、Ga、Ga4、R9、R10、R11、R12、R1−R15レンジ、R13およびR15を代表的に示す。演色評価用の各指標は、一般に、相関色温度が5000K以上の場合にCIE昼光を基準の光とし、相関色温度が5000K未満の場合に完全放射体を基準の光とする。本明細書では、演色評価用の基準の光の切り替えによる類似光色間での不連続性を確認するため、相関色温度が4500K、5000Kおよび5200Kでは、基準の光がCIE昼光と完全放射体の両方の場合で各指標の評価値を検討している。三波長域発光形蛍光ランプでは、青色波長域に水銀輝線が存在するため、一般的な3種類の蛍光体では2500K以下の相関色温度を実現することが困難である。図1には、2500K以下の超低色温度範囲の各指標の評価値は示されていない。
一般的な蛍光体とはBaMg2Al10O17:Eu略称「BAM」、LaPO4:Ce,Tb略称「LAP」、Y2O3:Eu略称「YOX」と呼ばれる蛍光体の組み合わせであり、例えば、JIS-Z8719(1996)、CIE-Publication No.5.2などで示される代表的な3波長域発光形蛍光ランプの種類F10、F11、F12などと示されるものに使用されるものと等価の蛍光体である。
図2は、三波長域発光形蛍光ランプの特性を示す図である。同図上欄は、各相関色温度での分光分布である。同図中央欄は、演色評価用の色票のR1〜R8の色度がプロットされた、各種演色評価数の計算過程で用いられるU*V*色度座標のU*V*平面である。同図下欄は、演色評価用の色票のR9〜R12の色度がプロットされたU*V*平面である。なお、同図左欄は、相関色温度が6700Kでの結果を示し、同図中央欄は、相関色温度が5000Kでの結果を示し、同図右欄は、相関色温度が2700Kでの結果を示す。
理論上、U*V*平面において、試料光源の下でのR1〜R8の各色票の色度が、基準光源の下でのR1〜R8の各色票の色度に近づくほど、中彩度色の忠実な色再現を指標するRaが100に近くなる。また、試料光源での各色票の色度が、基準光源での各色票の色度を結ぶ多角形の領域(色域)よりも外側に位置すると、特殊演色評価数Ri(i=1〜8)は100未満になるものの、中彩度色の色再現の彩度向上傾向を指標するGaが100以上となる。また、U*V*平面において、試料光源でのR9〜R12の各色票の色度を利用し、前記と同様の関係を用い分析を行なうことが出来る。

図3は、従来のLED光源の各指標の評価値を示す図である。
図4は、従来のLED光源の特性を示す図である。
三波長域発光形蛍光ランプの場合、一般的な蛍光体を使用し、その混合比を変化させながら相関色温度を変化させると、各指標の評価値は各相関色温度で同様の演色傾向を持ちながら比較的フラットな変化で推移する。 相関色温度に対する各種評価指標のフラットな推移が従来のLEDとは異なる点であり、相関色温度の異なる同一商品で演色特性が広く類似の傾向を保持している。
一方、青発光LEDと黄発光蛍光体(標準的なYAG:Y3Al5O12:Ce)と赤発光蛍光体(窒化物蛍光体SCASN:(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)を含む従来のLED光源では、同一の蛍光体を使用し、その混合比を変化させながら相関色温度を変化させた場合、各指標の評価値の変化が大きい。特に相関色温度が低い場合の基準光の色域がU*軸方向に歪んだ場合や、特に相関色温度が高い場合、基準光の色域がV*軸方向に歪みRaやR9の数値を維持することが難しい。
基準の光は、完全放射体の光からCIE昼光に切り替えが行なわれる5000K近傍で標準比視感度のピーク波長555nm近傍に分光分布のピークが現れ、ピーク波長より短波長側の分光パワーと長波長側の分光パワーがバランスする傾向に有る。このとき、R1からR8までの特殊演色評価色票で構成されたU*V*平面上にプロットされた色域の多角形が均等な形状を帯びる傾向を生じる。各種演色評価数の計算過程で用いられるU*V*平面上で、基準光の色域の形状が均等で試料光源は分光分布の形状の影響をシビアに反映されにくなる。一般に平均演色評価指数Raを高く実現しやすい領域は中間の相関色温度の約4000〜5000K帯域にある傾向を生じる。一方、従来の一般的なYAG蛍光体と赤発光蛍光体(窒化物)の組み合わせにおいて、可視発光スペクトル帯域の長波長側に分光パワーが連続的に大きい状態が作り出せ、比較的低色温度で広く分光パワーを得ることが可能なことから、基準の光が超低色温度領域を除いた電球色近傍の事例でも平均演色評価数の数値は高く現れやすい。
しかしながら、図3に示すように、従来のLED光源では、相関色温度が高い領域ではRaを維持することが困難である。そのため、相関色温度が高い領域でRaを高めようとすれば、黄発光蛍光体と赤発光蛍光体の混合比を変化させるだけでなく、黄発光蛍光体および赤発光蛍光体の分光分布や材料自体の変更を余儀なくされる。この点、三波長域発光形蛍光ランプでは、青発光蛍光体、緑発光蛍光体および赤発光蛍光体の混合比を変化させるだけで相関色温度が低い領域から高い領域まで類似の演色特性の傾向を保持しながらRaやGaを高く維持できる傾向と異なる。
このように、従来のLED光源では、演色特性を改善すると言っても演色特性の何を改善するのかが明示的でなく、単にRaやRiの数値の特定色度領域での向上でしかなかった。また、RaやRiの数値を高位にそろえようとしても演色の傾向自体が相関色温度によって変化するという不統一性の課題の存在自体にも着目はされていなかった。よって、実用的な相関色温度内のさらに部分的な検討で、例えば、Raを比較的高めやすい相関色温度が中間の領域でRaの改善を図る事例や、赤発光蛍光体を追加することで相関色温度が低い領域でRaの改善を図る事例は多い。しかしながら、比較的広い範囲の相関色温度で共通性を有する分光分布の形状の特徴と演色の傾向を保持しつつ、同一蛍光体の組み合わせで良好な演色性を実現することは困難である。
なお、図4に示すように、従来のLED光源では基準光源に比して、U*V*平面上の横軸であるU*軸方向(プラス側が赤方向、マイナス側が緑方向)に不足する傾向にあり、従来の平均演色評価数Raが数字上は高くとも、実際の色の鮮やかさの演色性は、特に赤と緑の反対色方向に不足し、よく論じられる赤の色みがくすみ不満足という結果を生じている。また、U*V*平面上の縦軸であるV*軸方向(プラス側が黄方向、マイナス側が青方向)に特定の色の色再現性がバランスを欠いているという結果を生じている。
特殊演色評価数Riや平均演色評価数Raは、基準の光の演色を100とし、これに対するU*V*平面上の色差の少なさで数値が決定される。そのため、例え試料光源のRaが80であり、R9が80であるとしても、U*V*平面上において基準光源の中彩度色の色域よりも外側であって鮮やかな演色を実現しての結果なのか、基準光源の中彩度色の色域よりも内側であってくすんだ演色を実現しての結果なのか、さらには特定の色みに意図しない色域の歪みをもたらしての結果なのかも不明である。
また、一般に人間のイメージの中で、好ましい色再現(イメージの中の記憶色、このような色に見えるはずという期待色)は、基準の光に対し忠実な演色の結果よりも鮮やかな方向に変位していると言われている。従来のLED光源では、特定色(特に重要とされる赤色)の色再現性のバランスの悪化傾向も相まって、平均演色評価数Raの計算上の数値は高くとも、黄から赤にかけてのフラットな分光特性が反映され、赤−緑の反対色系の色再現で鮮やかさが不足している印象を与えてしまう。
従って、平均演色評価数Raの数値の高い従来のLED光源を使用した場合、現実には観測者が好ましく良い方向にイメージしている期待色に対して特に赤−緑の反対色系の色再現で鮮やかさが不足し、演色性が高いという評価印象からずれてしまうことがある。以上より、LED光源の設計に当たり、演色性が高いことが単にRaやRiの数値が高いことではなく、好ましい色再現性の傾向の検討や既存光源との総合的な分光分布の要件の対比検討が重要となる。
従来の三波長域発光形蛍光ランプの平均演色評価数Raおよび東洋人(日本人)の肌の色の色再現の忠実性を指標する特殊演色評価数R15は、人間の実際の肌の分光反射率を反映し、JIS Z9112(蛍光ランプの光源色及び演色性による区分:Classification of fluorescent lamps by chromaticity and colour rendering property)に示されている。同規格ではRaが80以上、R15が85以上と規定されている。以上より、Raは80以上であることが望ましく、90以上であればより望ましい。また、R15は85以上であることが望ましく、90以上であればより望ましい。
また、図1および図2の検討過程において三波長域発光形蛍光ランプの各指標が得られている。これをより詳しく考察すると、西洋人の肌の色の色再現の忠実性を指標する特殊演色評価数R13は人間の実際の肌の分光反射率を反映してはいないが、実際の人間の肌の分反射率を反映したR15との統一性や、実際の西洋人や各種人種の肌の分光反射率をR13の変わりに使用して検証すると85以上を目標とするのが望ましい。さらには、R13が90以上であればより望ましい。また、これも実際の各自人種の分光反射率でR13を代替し計算し同様の評価数値の傾向を示した。
また、高彩度色の色再現の忠実性を指標する特殊演色評価数R9〜R12は、それぞれのばらつきが大きい。しかし、特定色のみの大きな色ずれを相殺することを考慮すると、これらの平均値であるRa4は50以上であることが望ましい。さらには、Ra4が75以上、80以上などとより高い方がより望ましい。また、R9〜R12の個々の値が全て50以上であると演色の色バランスの観点からより望ましい。
また、上記のJIS Z9112には、三波長域発光形蛍光ランプについての特殊演色評価数R9は規定されていない。しかし、演色AAの蛍光ランプおよび演色AAAの蛍光ランプについては規定されている。これを考慮すると、特殊演色評価数R9は、演色AAの蛍光ランプ相当の場合には、70台が望ましく、80台であればより望ましい。また、演色AAAの蛍光ランプ相当の場合には、80台が望ましく、90台以上であればより望ましい。LED光源においても既存演色評価指標が踏襲されRaが80以上さらに高演色にがRaが90以上と目標が定められることが増えておりより望ましい範囲と言える。
他の観点としては基準の光D65を現実的に模擬する蛍光ランプがあり、JIS Z8716(表面色の比較に用いる常用光源蛍光ランプD65−形式及び性能: Fluorescent lamp as a simulator of CIE standard illuminant D65 for Ra visual comparison of surface colours - Type and characteristics)にRaやRiの観点からはRaが95以上R9〜R15の個々値は85以上となっている。同規格での色比較用D65形蛍光ランプ対しR9が85以上を参照すると、特に高彩度の赤色の演色性に弱いとされるLED光源の色再現をR9の観点から考慮する場合の目標となる。直接的にLED光源のR9の目標を示したものにおいてはProduct criteria for ENERGY STAR qualified Integral LED Lampsがあり、R9が0以上、かつ、Raが80以上が求められている。しかし、現実的には高演色なLED光源としてRaが90以上のものを検討するとR9が50を超えるレベルのものも多い。現実的にはR9は50以上が高演色と言え市場に受け入れられる範囲であると考えられる。
また、基準の光D50での色彩評価に対してはISO 3664: Viewing conditions - Graphic technology and photographyでRaが90以上、R1からR8が個々値で80以上とされておりRi個々値の観点からは色彩評価に用いる高いレベルの基準の光に対する忠実演色の観点から考慮する場合の参考になる。上記、正確な色比較用の観点からRiの個々値を勘案するとR1からR8は80以上、R9からR15で85以上が妥当なレベルと考えられる。また、色比較用の厳密レベルまで求めないとし、RiからR15全体を80以上と拡張して捉えることも可能と考えられ、R9を80以上をとする目標への妥当性も考えうる。これら値は既存指標と互換性を保ちつつ検討された本発明で、既存光源に照らし総合的に判断し目標値を調整可能である。

また、図1より、三波長域発光形蛍光ランプでは、Gaは95〜105程度である。これは、図2に示すように、U*V*平面上で色域のV*軸方向への拡大とU*軸方向の縮小とが相殺しているからである。同様に、図1より、三波長域発光形蛍光ランプでは、Ga4は基準の光がCIE昼光の場合は90程度であるが、基準の光が完全放射体の光の場合は75〜90程度である。以上より、LED光源においても、GaおよびGa4は、90以上であることが望ましい。また、さらには、GaおよびGa4は、95以上、100以上であることがより望ましい。
また、図1には示していないが、三波長域発光形蛍光ランプのR1〜R8の最大値と最小値との差分であるR1−R8レンジは、相関色温度にかかわらず約40である。R1−R15レンジを用いて各指標の歪みを考慮する場合に、この値がひとつの目安となる。
他の評価数の傾向としては、自然対象物R13−R15レンジは約25、高彩度色R9−R12レンジは相関色温度が高い場合(CIE昼光が基準の光の場合)は約20から約50、相関色温度が低い場合(基準の光が完全放射体の光の場合)は約40から約100である。

<既存の高彩度型の演色傾向を有する高演色性ランプの検討>
既存の高彩度型の傾向を有する高演色性ランプの特性について検討する。これにより、LED光源を既存の高彩度型の傾向を有する高演色性ランプに代替する場合の要件と傾向が明らかとなる。Raの値が80台で三波長帯域に分光パワーを集中した既存光源や分光分布の山谷を積極的に作り出し、RaやRiを高めた忠実演色特性を指向したものや、照明対象物を高彩度に演色する効果演色特性を指向した、高演色・高彩度形の好ましい色再現を示す既存光源の特性の例を示す。

(1)ネオジウム電球
図5は、ネオジウム電球の特性を示す図である。ネオジウム電球の分光分布は、黄色波長域580nm近傍に谷を有し、その結果、緑色波長域560nm近傍にピークが生じている。ネオジウム電球の色域は、基準光源の色域に比べて、U*軸方向の正負両方に拡大している。通常の電球は、基準光源と略一致する。そのため、通常の電球の各指標の数値は、何れも略100である。これに対し、ネオジウム電球では、Raが80、Ra4が65、R9が24、Gaが112、Ga4が110である。このRa、Ra4、R9の低下は、色域がU*軸方向に拡大したことによるものと分かる。従来からこのような傾向を有する演色特性は一般に好ましいとされ広く使用されてきた。例えば、食物の野菜類などの緑や、肉類・血などの赤みなど生物として生存に重要な視対象物の色が赤−緑の反対色系に分布していることなどから、これらをより鮮やかに見せることができる傾向での高彩度形の効果演色傾向が受け入れられてきたと言える。
ここにおいて、R10は82、R11は75、R12は80、R13は77、R14は92、R15は69であり別途説明するR11〜R15レンジは68である。

(2)高圧ナトリウムランプ
高圧ナトリウムランプは、580nm近傍にナトリウムの自己吸収による分光分布の谷を有することが知られている。
図6は、高演色型高圧ナトリウムランプの特性を示す図である。高圧ナトリウムランプは、580nm近傍にナトリウムの自己吸収による分光分布の谷を有することが知られている。高演色形高圧ナトリウムランプは、Raが84、Ra4が64、R9が72、Gaが105、Ga4が107である。ここにおいて、R10は66、R11は62、R12は56、R13は86、R14は85、R15は87であり別途説明するR11〜R15レンジは38である。
図7は、高彩度型高圧ナトリウムランプの特性を示す図である。高彩度型高圧ナトリウムランプは、放電チャンバー内のプラズマ圧力を高めより高彩度な色再現を目指したものである。高彩度形高圧ナトリウムランプは、Raが75、Ra4が54、R9が-18、Gaが117、Ga4が119である。R10は78、R11は89、R12は69、R13は94、R14は78、R15は60であり別途説明するR11〜R15レンジは113である。
従来からRaの高い高演色型ナトリウムランプよりRaの低い高彩度型ナトリウムランプの方が実際の観測評価では演色性の評価が高くなることが知られている。高彩度型 高圧ナトリウムランプでは、色域はU*V*平面上のU*軸方向の正負両側に広がっているが、特に正側(赤色)への広がりが大きい。単純にはR9の数値自体は、高彩度形の高圧ナトリウムランプの方が高演色形の高圧ナトリウムランプよりも低いが、GaおよびGa4が100を超えた領域での情況であることが分かる。ここでも、U*V*平面上にプロットされた色域のU*軸方向の正負両側への拡大が見られる。特に、標識表示など、危険や重要物の強調したい物体色に採用されることが多い鮮やかな赤の高彩度な演色が好まれる事象は従来から指向されていたが単純なR9の数値の大小ではこの効果は捉えられない。

(3)メタルハライドランプ
図8は、三成分型メタルハライドランプの特性を示す図である。メタルハライドランプ類においてRaが80台の、In―Ta―Naのプラズマの輝線を活用した三成分型とも呼ばれるランプが存在する。三成分型メタルハライドランプは、In―Ta―Naのプラズマの輝線を活用したランプであり、Raが88、Ra4が66、R9が12、Gaが103、Ga4が89である。図9は、高彩度型メタルハライドランプの特性を示す図である。高彩度型メタルハライドランプは、三成分型メタルハライドランプに対して赤の発光物質をさらに封入して高彩度形としたものであり、店舗照明など鮮やかな色の見えを求められる場合、赤の発光物質をさらに封入し高いRaとR9の数値を有する高彩度型を形成することもある事例である。ここでは、Raが93、Ra4が93、R9が91、Gaが108、Ga4が101である。ここでも、U*V*平面上にプロットされた色域のU*軸方向の正負両側への拡大、特に正側への拡大が指向されている。
(4)ハロリン酸塩蛍光体蛍光ランプ
また別の観点から、三波長域発光形蛍光ランプが普及する以前に広く使用されていた、ハロリン酸塩蛍光体を使用した白色蛍光ランプの特性を示す。図10は、ハロリン酸塩蛍光体蛍光ランプの特性を示す図である。広帯域発光形のハロリン酸塩蛍光ランプでは、RaやRiは低く、また、U*V*平面上にプロットされた色域のU*軸方向の正負両側への広がりが少ない。広帯域発光形のハロリン酸塩蛍光体蛍光ランプから三波長域発光形蛍光ランプへ開発と普及が歴史的に進んだ方向性も、色域の観点から見るとU*V*平面上にプロットされた色域のU*軸方向の正負両側への拡大にあることが分かる。

(5)既存の照明光源の総合的な傾向分析
以上の既存の照明光源の総合的な傾向分析によると、三波長発光形の既存光源や分光分布の谷を強調して高演色・高彩度を指向する既存光源では、好ましい色域の拡大の方向性として、U*V*平面上にプロットされた色域のU*軸方向の正負両側を拡大する鮮やかさの強調が好ましいとされ指向されてきたことが分かる。 多くの事例は、前記の方向性を強化し内包させる傾向が、期待される演色性の改善の方向性、好ましい方向性として市場に受け入れられてきたことを示している。
一般に人間のイメージの中で、好ましい色再現(記憶色や期待色)は、基準光に対し忠実な演色の結果より鮮やかな方向に変位しているといわれている。従来のLED光源では特定の色相の色みのバランスの悪化傾向の変化(特に赤のR9)なども相まって、平均演色評価数Raなどの計算上の数字は高くとも、より強調傾向にないと不満足という印象を与えていることが判った。このような、広義の演色特性の傾向の検討や、既存光源との総合的なスペクトル要件の対比検討が無いまま、平均演色評価数Raなどの数値が高いLEDを供用し、既存光源から切り替えて使用しても、現実の場では観測者が好ましくより良い方向に脳内でイメージしている記憶色や期待色に対して鮮やかさが不足し、特に赤と緑の反対色応答系に対応する見えの好ましさ不足と相まって色再現のバランスが悪い印象をもたれることが多くなる。
本発明において、LED光源だけでなく、代替される各種既存光源との比較、という着眼から、演色傾向と既存評価指標との技術的連続性を確保しつつ、忠実演色性と好ましい演色特性を向上させる傾向をLED光源の分光分布に内包させる要件を求めた。加えて、広い相関色温度の範囲でその安定性を検証したことで、本発明がなされたものである。

<色度範囲>
次に、相関色温度およびDuvで規定される色度範囲について説明する。
既存のランプで一般的な光色ランクの中心となる相関色温度の範囲は約2700K〜6700K近傍にあり、Duvが0近傍を中心に、約Duv±0.01近傍の範囲に実用に供する領域が広がっている。LED照明光源もそれに準ずるものである。Duv(色度偏差:Chromaticity deviation)とは、CIE 1960 UCS色度図上で、光源の色度座標に最も近い黒体放射軌跡上の点の座標からの距離であり、色度図上、黒体放射軌跡から下側にある場合はマイナス符号がつく(一般には、これを1000倍したDUVが混用される場合もある)。
既出のJIS Z9112(蛍光ランプの演色及び演色性による区分:Classification of fluorescent lamps and light emitting diodes by chromaticity and colour rendering property)では、光色ランクとして、電球色L:2600K〜3250K、温白色WW:3250K〜3800K、白色W:3800K〜4500K、昼白色N:4600K〜5500K、昼光色D:5700K〜7100Kとされた色度範囲が示されている。
各色度範囲から色度偏差Duvを計算すると、電球色L:約0.0079〜−0.005、温白色WW:約0.0079〜−0.0051、白色W:約0.0099〜−0.006、昼白色N:約0.011〜−0.006、昼光色D:約0.015〜−0.004となる。また、現実の昼光やCIE昼光軌跡は黒体放射軌跡よりDuvが高いこともあり、相関色温度が高い範囲ではプラス側に高い値のDuvが許容される傾向がある。
他の事例を見ると、アメリカではANSI C78.377 AmeRican National Standard for electric lamps Specifications for the Chromaticity of Solid State Lighting Products においてLED光源の通常の相関色温度の範囲は2700K:2725K±145KでDuvは0±0.006 、3000K:3045K±175KでDuvは0±0.006 、3500K:3465K±245KでDuvは0±0.006 、4000K:3985K±275KでDuvは0.001±0.006 、4500K:4503K±243KでDuvは0.001±0.006 、4500K:4503K±243KでDuvは0.001±0.006、5000K:5028K±283KでDuvは0.002±0.006 、5700K:5665K±355KでDuvは0.002±0.006 、6500K:6530K±510KでDuvは0.003±0.006などMacAdamの色弁別楕円7-stepに準じた範囲の区分が有る。
また、100Kごとに相関色温度の区分を決め、相関色温度Tの許容幅ΔTをΔT=0.0000108×T2+0.0262×T+8とし、色度偏差の許容幅の範囲を57700×(1/T)2−44.6×(1/T)+0.0085の±0.006を相当する光色ランクの任意設定ともしている。
いずれも、相関色温度5000Kで演色評価の基準の光が切り替わり、特別の目的がある場合を除き5000K以上でCIE昼光(合成昼光)、5000K未満で完全放射体の光(黒体放射)が用いられる。
中程度の相関色温度5000Kは光色区分の中間に当る場合も有り、同等の光色区分内で非連続な基準の光の切り替わり影響を考慮すべく、本明細書では5000K近傍では両方の基準の光で検証している。
なお、既存のランプの光色とその区分としては特殊な例も幾つか存在する。既出のJIS Z8716(表面色の比較に用いる常用光源蛍光ランプD65−形式及び性能:Fluorescent lamp as a simulator of CIE standard illuminant D65 foRa visual compaRison of surface colours − Type and chaRacteRistics)ではランプの区分は、約6000K〜7000Kであり、計算上はDuvの上限が0.01である。JIS C7623(メタルハライドランプ−性能仕様: Metal halide lamps − Performance specification)では、相関色温度のみ、LW:2400K〜3200K、WW:3200K〜3900K、W:3900K〜4600K、N:4600K〜5400K、D:5400K〜6500Kという区分も存在する。
一般的な既存のランプの色度範囲の傾向を総合的に見ると、実際のランプの相関色温度は、各光色の中心は約2700K〜6500K近傍にあり、約7SDCM(Standard Deviation of Colour Matching)の範囲を1つの光色とすることが多い。2700Kと6500Kを中心とした光色の範囲までとすると約2500K〜7100K近傍となる。そのため、2500K〜7100Kが、多く照明に常用な光色として使用される相関色温度の範囲であると言える。さらに広く捉えると、それ以下の超低色温度、および、それ以上の超高色温度においても、その相関色温度を有する照明用ランプは存在するため、照明用の副次的な相関色温度の範囲として評価対象とすることが考えられる。また、実現対象に合わせ対象とする相関色温度の範囲を本発明の範囲として細かく設定することも出来る。
例えば、高圧ナトリウムランプや、調光状態の電球色を模したランプや、ろうそくの光色を模した光色、ソフトピンク電球などでは約2000K、約2200K、約2500Kなど超低色温度領域にあり、天空光を模擬した蛍光ランプや、看板照明のバックライト、熱帯魚などの観賞用ランプなどでは約8000K、約12000K、約17000Kなど超高色温度領域にある。
また、上記の既存のランプの色度範囲の検討から、実際のランプのDuvは、狭く捉えるとDuvが0近傍、あるいは、Duv±0.005近傍の範囲、広く捉えるとDuv±0.01近傍の範囲が実用的に多く使用されている範囲であることが見出された。なお、高彩度型のランプは、高彩度の特性が得られやすいDuvがマイナス側、−0.005近傍までに分布することも多く、より特殊光色として−0.01程度、さらにはそれを下回るものも存在し、照明用途に利用することや本発明を適用することも可能である。ただし、Duvが−0.005近傍を下回ると、特に相関色温度が高い場合はDuvが0近傍の一般照明用のランプと共用した場合や、屋外光と共用した場合に、共用される比較対象に対し色づいた光色の印象を与えることもある。

<視覚特性>
本発明において視覚特性から生じる要件について述べる。
一般に標準比視感度Vλは、人間の目の明るさ感度を示し、ピーク波長が555nmであり、ピークからの半減範囲(ピークの強度の50%以上を示す波長域)が510nm〜610nmであることが知られている。演色性を二義的な要件とし、発光効率を高める場合は、標準比視感度Vλの特性に準じ、ランプの分光パワーを標準比視感度が高い波長域に集中すればよい。
人間の視覚系において、この標準比視感度Vλの元となる赤と緑と青に視感ピークを持つ網膜視細胞の基礎刺激(LMS fundamentals:LMSファンダメンタル)は、短波長(B:青)に最大感度を持つS錐体の反応と、中波長(G:緑)に最大感度を持つM錐体の反応と、長波長(R:赤)に最大感度を持つL錐体の反応からなる。 基本的には人間の目の各種錐体細胞への光刺激によって明るさ知覚と色知覚が生じている。
図11は、LMSの各錐体の反応感度を示す図である。
S錐体では、ピーク波長は440nm〜445nm近傍にあり、ピーク半減波長(ピーク感度の50%の感度を示す波長)は短波長側で415nm〜425nm近傍かつ長波長側で470nm〜480nm近傍にある。
M錐体では、ピーク波長は540nm〜545nm近傍にあり、ピーク半減波長は短波長側で495nm〜505nm近傍かつ長波長側で585nm〜590nm近傍にある。
L錐体では、ピーク波長は570nm近傍にあり、ピーク半減波長は短波長側で505nm〜515nm近傍かつ長波長側で620nm〜625nm近傍にある。
この反応が神経細胞で高次処理され、ピーク波長が555nmである標準比視感度Vλのごときの明るさの視感度が形成される。
これら、LMSの各錐体の応答特性に対し基本的な明るさの視感度を維持しながら、青と緑と赤に対応する3刺激の刺激純度を高めることで、カラーセパレーションを明瞭にする高彩度型の演色特性の傾向を生じるLED光源の分光分布の基礎的な要件が設定できる。
例えば、LMS錐体の反応感度が高く、各々の感度の重なりが小さい部分に分光パワーを配する方向性である。
人間の視覚特性まで立ち返り分光分布を再構築するのは、高彩度型の演色特性を有する高演色ランプである三波長域発光形蛍光ランプに利用される蛍光体とLED光源に利用される蛍光体の分光分布の相違に基づく。即ち、三波長域発光形蛍光ランプのように、半値幅が中程度から比較的広い分光分布を有する青発光蛍光体と半値幅が狭くスパイク状の分光分布を有する緑発光蛍光体および赤発光蛍光体の組み合わせに対し、半値幅が比較的狭い分光分布を有する青発光LEDと、半値幅が中程度から比較的広い分光分布を有する複数の蛍光体を組み合わせた場合の差異である。
広い分光感度特性を持った視覚系の応答特性に対し、青発光LEDに組み合わされる蛍光体の分光分分布は比較的半値幅が広く、広い波長帯域にわたり発光が存在する中で、分光パワーの集中とピークの形成傾向を構築することとなり、従来の三波長域発光形蛍光ランプとは異なった分光設計要件が生じる。 LED光源では、緑色波長域および赤色波長域にスパイク状のピーク形成するのではなく、可視光波長域に広がる分光分布に対してスペクトル抑制帯域を設定し、分光分布の谷を形成する方向に分光特性を誘導することで、逆説的にピーク傾向を形成するという方向性である。この点、各波長域にスパイク状のピークを形成する三波長域発光形蛍光ランプとは設計要件が異なるスペクトル集中型の蛍光体使用LED光源の発明となる。
次に視覚的側面からの本発明のスペクトル抑制帯域とスペクトル集中について述べる。
可視スペクトルの短波長側(青領域)においてはS錐体のピーク感度近傍で、かつ、明るさの視感度が高い比較的長波長側に光源のスペクトルエネルギーを集中することが好ましく、S錐体とM錐体の感度が交錯する480nm〜490nm近傍や、S錐体とL錐体の感度が最大交錯する490nm〜495nm近傍のスペクトルを抑制することが、基礎刺激の純度を効率よく高める観点からは望ましく、最大交差波長の480nmから短波長側に交差感度が半減する460nm近傍から490nm近傍のスペクトル抑制が望ましい。
また、M錐体とL錐体の感度が最も交錯するのは標準比視感度Vλが最大の555nm近傍であり、その重なりが約半減する範囲は515nm〜590nmに広く分布している。
M錐体とL錐体の刺激純度を確保しようとすると、この重なりが大きい範囲を回避して光源の分光分布のエネルギーを、スペクトル帯域制限された形で配することが望ましい。
先の、SML錐体の分光感度と合わせて考察すると、狭帯域な青発光LEDによるS錐体の刺激の観点では、S錐体の刺激効率が高く標準比視感度Vλの効率が高い、発光ピークが440nm〜460nm近傍の青発光LEDを選定するのが望ましい。S錐体とM L錐体の重なりの少ない比較的狭い帯域である480nm〜490nmないしは495nmの分光パワーを抑制することが望ましい。緑発光蛍光体によるM錐体刺激の観点からは、M錐体の刺激純度を高めつつM錐体の刺激とL錐体の刺激のセパレーションを保つため、これらの重なりが大きい555nm近傍より長波長側の分光パワーを抑制しつつ、M錐体の感度ピーク540nm〜545nmから短波長側の495nm〜505nm近傍までの分光パワーを強調するのが望ましい。赤発光蛍光体によるL錐体の刺激の観点からは、L錐体の刺激純度を高めつつM錐体の刺激とL錐体の刺激のセパレーションの確保を行なうため、これらの重なりが大きい555nm近傍より短波長側の分光パワーを抑制しつつ、L錐体の感度ピーク570nm〜625nmから長波長側の620nm〜625nm近傍までの分光パワーを強調するのが望ましい。ただし、交差帯域の大きいM錐体との関連において、M錐体の長波長側のピーク半減波長585nm〜590nm近傍までは抑制し、620nm〜625nm以上はL錐体の刺激純度の向上に有効なため視感効率の確保できる範囲において、より長波長側への延長が考えられる。
また、SML錐体応答の生体内での高次処理モデルとしてr−g、y−bと輝度チャンネルからなる反対色応答モデルが各種モデル化されており、これらの観点からの検討を加える。
図12は、反対色応答モデルにおける輝度チャンネルL、r−g反対色応答、y−b反対色応答を示す図である。
赤と緑、および、黄と青の反対色応答の一例としてGuthの色覚モデル(Guth、S.L. et.al. Vector model for nomal and dichromatic color vision, J.Opt.Am.70.197-212(1980)、例えば、太田 登., 色彩工学,東京電機大学出版局192-195,(1993))を図示した。
反対色応答モデルの導出手法の差によりばらつきはあるが、例えばさらに、Boyntonの色覚モデル(R.M.Boynton,Human Color Vision, New York, Holt, Rinehart and Winston(1979) 、内川 恵二, 色覚のメカニズム, 朝倉書店,69-72)なども勘案すると、反対色応答が反転する領域の交差点(Null point: ゼロ点)は該して、r−g反対色応答系で約575nm(570nm〜575nm近傍)、y−b反対色応答系で約500nm(500nm〜505nm近傍)に有る。
また、rのピークは610nm近傍(ピークからの半減範囲は560nm〜640nm近傍)、gのピークは530nm近傍 (ピークからの半減範囲は495nm〜560nm近傍)、yのピークは565nm近傍(ピークからの半減範囲は520nm〜620nm近傍)、bのピークは445nm近傍(ピークからの半減範囲は425nm〜475nm近傍)にある。L錐体とM錐体の応答の合成によって生じるyの反応範囲は565nmをピークとし、広く分布している。
従来、相関色温度が低く、可視光の長波長側に分光パワーが多い電球において、ネオジウム硝子を用い580nm近傍の黄色の波長をカットすることで色の鮮やかさを確保することがある。これは、M錐体とL錐体の重なりが大きく色刺激純度の低いr−g反対色応答系の中間点575nm(570nm〜575nm)近傍の黄色波長域の分光パワーを広く抑制することにも通じ、r−g反対色応答の感度を高めることにも通じている。
r−g反対色応答系でgのピークは530nm近傍 (ピークから短波長側の半減範囲は495nm近傍)の刺激強度の増強を勘案しつつ、同様に、y−b反対色応答系の中間点の波長をカットすることでy−b反対色応答の感度を高めると考えれば、500nm近傍以下の青緑の波長域の分光パワーを狭い範囲で効率よく抑制することが考えられる。
相関色温度が低い場合に比較的増加する580nm近傍の黄色波長域の分光パワーの広い範囲での抑制と、相関色温度が高い場合に比較的増加する青緑波長域の分光パワーの狭い範囲での抑制の両方をバランスさせれば、相関色温度が高い場合から低い場合まで、視覚系に対し刺激純度の高いLED光源の分光分布が与えられる。
また反対色応答の観点では、rのピークは610nm近傍で、ピーク波長より長波長側の半減波長は640nm近傍にある。yのピークは565nm近傍で、ピーク波長より長波長側の半減波長は620nm近傍にある。これから、rチャンネル刺激を効率よく増強するには長波長側に640nm近傍までの赤の分光パワーの強調が考えられる。

図13は各種視感度を示す図である。
また、視感度について他の観点から論じる。明所視での標準比視感度Vλは555nmにピークを有するが、暗所視標準比視感度V'λは505nmにピークを有する。標準比視感度Vλのピーク波長は555nmであり、ピーク波長よりも短波長側のピーク半減波長は510nmであり、長波長側のピーク半減波長は610nmである。一方、暗所視標準比視感度のV'λのピーク波長は505nmであり、ピーク波長よりも短波長側のピーク半減波長は450nmであり、長波長側のピーク半減波長は550nmである。このため、LED光源の薄明視や暗所視効率を考慮する場合は、明所視の標準比視感度Vλのピーク波長よりも、暗所視標準比視感度V 'λのピーク波長の近傍の波長域にLED光源の分光パワーを配分することが望ましい。また、薄明視状態においても、光束の計算の基となる標準比視感度Vλの刺激効率を維持することを前提とすれば、標準比視感度Vλのピーク波長555nmよりも短波長側の505nm〜555nmのLED光源の分光パワーの増強が妥当である。
また、明所視においても、現実の照明環境の場で人間が感じる明るさの感度は標準比視感度Vλと異なること言われている。例えばVb10λと言われる大視野での明るさ感の感度が、一般的な標準比視感度Vλよりも、実際の照明環境の場での明るさ感と対応するとも言われる。Vb10λは視感度Vλよりも、長波長側と短波長側との感度差が大きい。
一般に標準比視感度Vλ以外に提唱されている各種明るさ感度の傾向を勘案し、明所視において、同照度でも実際に感じる明るさ感を高めるという観点に立つと、600nm〜650nm近傍(555nmで正規化した場合より差が大きいのは610nm〜630nm)や、455nm〜550nm近傍の分光パワーを高めるほうが好ましい。
標準比視感度Vλの明るさ感を補正するものとして、大視野での明るさ感度など各種視感度が各種存在する。例えば、2°視野の比視感度である標準比視感度Vλに対し、実際の視環境に近い10°視野などの分光感度曲線と比較した場合は、より短波長側の視感度が高くなる傾向にある。また、標準比視感度Vλの様に交照法(Flicker Photometry)により求められた視感度と、実際の視環境に近い条件を反映する直接比較法(Heterochromatic Brightness Maching)で求められた明るさの視感度を検討すると、視感度の高い部分が短波長側にシフトし、ピークが540nm〜550nmにあることも多い。また、同時にピーク波長から長波長側の555nm〜590nm近傍の感度が相対的に低下する傾向がある。
視感度ピークが半減する波長の観点を幾つかの代表例から考察すると例えば以下のごとき傾向にある。

10°視野の視感度V10λ:(JIS Z8701、Publication CIE No.41(1978)参照)では短波長側が500nm〜505nmで長波長側が610nm〜615nmである。
2°視野の直接比較法による視感度Sλ:(CIE Publication No.41(1978)参照)では短波長側が500〜505nmで長波長側が620nm〜625nmである。
2°視野の直接比較法による視感度Vb2λ:(CIE Publication No.75(1988)参照)では短波長側が505〜510nmで長波長側が615から620nmである。
10°視野の直接比較法による視感度Vb10λ:(CIE Publication No.75(1988)参照)では短波長側が480nm〜485nmで長波長側が620nmである。

また、別の観点からは、年代別分光視感効率Vλ(10)、Vλ(20)、Vλ(30)、Vλ(40)、Vλ(50)、Vλ(60)、Vλ(70):(JIS S 0031:参照)などの観点も存在し、標準比視感度Vλとの差が参考となる。
図14は、年代別の各種視感度を示す図である。
Vλ(10)〜(70)のカッコ内は年代であり、10歳代から70歳代までの年代別の相対等価輝度の求め方および光の評価に使用される。視覚の眼光学系の加齢黄変が少ない10歳代はピーク波長が535nmであり加齢に伴い555nmに接近するが、視作業が重要な就学・就業年代では555nmより短波長側に分光視感効率のピークが生じる傾向にある。さらに、視感効率のピーク半減波長を考察すると、標準比視感度Vλでは、短波長側が510nmで長波長側が610nmであるのに対し、10歳代Vλ(10)では短波長側が500nm〜505nmで長波長側が630nm〜635nmと広い。加齢に伴いこの範囲が狭くなり、70歳代Vλ(70)では短波長側が510nmで長波長側が610nmとなる。加齢影響の少なく、一般に健常な被験者とされることが多い10歳代から30歳代の視感効率には570nm〜580nmに感度低下がみられること、600nmを超えるあたりの視感効率が高いことも、標準比視感度Vλと異なる、実際の明るさの視感度の特徴に類する。
このように、各種の照明環境での使用を考えた場合は、明るさ感度も単純に標準比視感度Vλだけでなく、広く各種の視感効率を勘案したスペクトル設定が必要である。例えば同じ照度といえども、光源の分光分布によって主観的に受ける明るさ感が変化する。
この点に関しても従来は標準比視感度Vλに対し効率が高かったか否かの検討しかなされていないことが殆どである。さらに、実際の明るさ感を高めながら単純なRaにお評価を超えて演色性を確保するという様な複合検討はなされてはいない。
さて、実際の明るさの感覚や実用の場に照らせば、大きくは標準比視感度Vλのピーク555nm より長波長側の555nm〜600nm(黄緑から黄色)の分光パワーを、500nm 〜555nmの波長域の分光パワーに振り分けることが望ましい。これにより、標準比視感度Vλで現される照度や光束を維持しながら、現実の照明環境での明るさ感を高める傾向を内包させることができる。全体的な傾向として各種比視感度を総合的に検討すると、標準比視感度Vλの555nm〜600nmの分光パワーを過大に重視して増強しなくても実際の明るさ感を維持できる傾向がある。同じ光束を確保するならガウス分布に類似する傾向の標準比視感度Vλの感度が高い略555nmより長波長側(555nm〜600nm)より短波長側(500nm〜555nm)にパワーを配分する割合を高めると各種視感の効率が高まる傾向が生じる。
また、明るさ感の観点から過少評価の傾向に有る600nm以上に分光パワーを振り分けることで、M錐体とL錐体の基礎刺激のカラーセパレーションを高め、色覚の刺激純度を高めることができる。また、標準比視感度Vλのピークから感度が半減する波長は610nmであり、610nm以上の波長域での視感度は低くなる。しかしながら、各種視覚応答の低下が少ない650nm近傍まで分光パワーの振り分けることは、明るさ感を維持しながらL錐体の刺激純度を確保することとなり、明るさ感と赤色の刺激純度を両立する上での要件となる。
明るさ感の向上とL錐体からの色刺激効率のバランスの観点から、好適にはL錐体感度が低下する635nm以下さらには620nm程度に分光パワーを集中させる傾向を生じせしめることがよい。
また、各種明るさの視感度のピーク半減波長の短波長側は500nm近傍にあることが多く、暗所視感度ピークも505nmに存在することから、明るさ感確保に対する分光パワーの短波長側の振り分けは500nm近傍まで許容することが、標準比視感度Vλを維持しながら各種明るさ感を確保する上での要件となる。
さらに、視覚の明るさ(輝度)チャンネルと、色覚(色)チャンネルを複合的に検討する。
明るさ感を確保するため500nm近傍以上の分光パワーを維持し、色覚系の基礎刺激を形成するS錐体とML錐体の交差波長域を抑制する500nm近傍以下の分光パワーを抑制することにより、青発光LEDと緑発光蛍光体の間の分光分布の谷を形成する傾向を生じさせる。そして、分光分布の谷が、S錐体とML錐体の重なりの大きい480nm〜495nm(青緑のパワー抑制帯域)近傍を含むごとく設定する。
標準比視感度Vλのピーク波長から、赤の刺激純度を効率よく高めることが出来る波長域までの間の555nm〜600nm(黄のパワー抑制帯域)のスペクトル抑制を行い、同時に、前記、500nm近傍以下の分光分布の谷とのバランスをとる。
ここにおいて、r−g反対色応答の反転する交差点(Null point: ゼロ点)の575nm近傍、r−g反対色応答のyのピーク565nm近傍を勘案し、標準比視感度Vλのピーク555nm より各種視感効率の影響の少ない長波長側の555nm〜600nmの黄色波長域のパワーを広い範囲で抑制することで分光分布の谷を形成する傾向を生じさせる。
これらを総合すると、より好適な相対バランスは500nm近傍以下のスペクトル抑制波長帯域の分光分布の谷は幅が狭く深い傾向を有し、555nm近傍以上のスペクトル抑制波長帯域の分光分布の谷は幅が広く浅い傾向を有する。以上により標準比視感度Vλの低下を抑制しつつ、色刺激を高めつつ各種明るさ感を保持しやすい基礎的な傾向を生じせしめる。

<視覚特性から生じる要件とLEDや蛍光体の分光分布の関係>
先ず、青発光LEDのピーク位置に関し、最も短い波長帯域にb−y反対色応答のbのピーク445nm近傍と明るさ感視感度の高い長波長側への感度ピークの半減波長475nm近傍、および、S錐体のピーク波長440nm〜445nm近傍と明るさ感視感度の高い長波長側への感度ピークの半減波長470nm〜480nm近傍を勘案し半値幅が比較的狭い35nm以下で発光する青発光LEDを配する。また、大視野の明るさ感度の短波長側ピーク半減値の観点からは、極端には455nm〜460nm近傍の青発光LEDのピーク波長にかかる範囲まで各種明るさ感を高める効果に寄与する場合も存在する。
これらから、青発光LEDのピーク波長は、440nm〜465nmの範囲とすることが望ましい。第1緑発光蛍光体の間に分光分布の谷が生じるように、さらに好適には440nm以上や445nm以上、また、455nm以下や460nm以下などと、前記範囲を縮小してもよい。
次に、緑発光蛍光体による青緑波長域から緑色波長域に関し、色刺激純度の観点からはr−g反対色応答の短波長の色刺激純度を高めるピーク、例えばgのピーク530nm近傍以下(ピークからの半減範囲は495〜560nm近傍)と、長波長の視感効率を高めるピーク例えばM錐体のピーク波長540nm〜545nm近傍以下(ピーク半減波長は短波長側で495nm〜505nm近傍)を勘案する。また、緑発光蛍光体の長波長側のピークや分光パワーの情況に大きく関連する、各種視感効率の観点からは、標準比視感度Vλのピーク波長555nm以下の短波長側にピークを形成するに当り、各種明るさの視感効率のピークは535nm〜550nm近傍に分布していることを勘案し選定する。このとき、各種視感効率の視感効率ピークが半減する波長の短波長側の波長は500nm〜510nm近傍に分布している。さらには、暗所視標準比視感度V 'λのピーク505nm近傍と、それより長波長側の明所視標準比視感度のV λの感度に重なりが多い範囲の分光パワーを維持することを勘案する。ここで、標準比視感度Vλを維持しながら各種明るさ感度を確保する要件として、500nm〜555nmに広く分光パワーを確保することが導出される。また、同時に、y反対色応答やL錐体の基礎刺激を抑制し、緑の色刺激純度を確保するg反対色応答やM錐体の基礎刺激の要件として、530nm〜545nm近傍以下から495nm近傍以上の短波長側に狭帯域に分光パワーを確保することも導出される。これらの2つの要件を充足させるべく、本発明において緑発光蛍光体を2種類用いる。
一つは緑の刺激純度を高めることを主目的とした第1緑発光蛍光体であり、もう一つは明るさ感度を確保することを主目的とした第2緑発光蛍光体である。第1緑発光蛍光体は500nm近傍の短波長寄りに分光パワーが集中することが望ましく、480nm〜495nmの青緑のパワー抑制帯域が近接することから、半値幅が狭帯域から中帯域の蛍光体の選定が望ましい。第2緑発光蛍光体は555nm近傍以下の長波長寄りに分光パワーを広く維持することが望ましいことから、半値幅が中帯域から広帯域の蛍光体の選定が望ましい。
さらには、第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体発光、および、第1および第2の緑発光蛍光体の前記が混光された緑発光のいずれか一つ以上の分光分布の形状が、その発光ピークから短波長側の分光パワーの総量より、発光ピークから長波長側の分光パワーの総量よりも小さいことがより望ましい。
本発明において、視覚の明るさ(輝度)チャンネルと色覚チャンネルの役割を2種の緑発光蛍光体に機能分解したことにより、両者をバランスさせる新たな効果が発揮される。第1と第2緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布(以下、単に「緑発光の分光分布」と言う)のピーク波長は、555nm〜600nmの黄色波長域の分光パワーを抑制し、効率よく緑の刺激純度を高めるため、500nm近傍から555nm近傍の緑色波長域の中でも短波長側にあることが望ましい。
また、広くは各種明るさ感度のピークやV'λの感度半減波長が存在する540nmから550nm以下、さらには、gチャンネルの感度ピークや弱齢者の明るさ視感度ピークの存在する535nmから530nm近傍、暗所視感度V'λの刺激効率を同時に考慮すべく505nm近傍、M錐体とL錐体の刺激純度を高めるため495nmから500nm近傍というように、500nm近傍の短波長側に存在するほうが、M錐体の基礎刺激の純度向上傾向などに有利となる。
以上から、より好適な傾向へ第1と第2緑発光蛍光体の発光および前記蛍光体からの発光が混光された緑発光の分光分布のピーク範囲を好適に収束させつつ、自由度を持って設定することが可能となる。
また、標準比視感度Vλの感度ピーク555nm〜600nmの長波長側の分光パワーを制限し、ここにピークを有する蛍光体を用いないことで、分光分布の谷の形成を形成する傾向を助長できる。
次に、赤発光蛍光体による赤色波長域に関し、色刺激純度の観点からはr−g反対色応答のrのピークは600nm〜610nm近傍であり、ピークからの半減範囲は長波長側で640nm近傍であることを勘案するとその分光パワーの集中や発光ピークの設定範囲が収束する。また、明るさの各種視感効率の観点からは、標準比視感度Vλの感度ピーク半減波長の長波長側は610nmであるが、各種視感効率の感度の長波長側のピークからの半減範囲との低下の様相との差異が大きく明るさ感の増加に寄与する領域は610nm〜650nm近傍であり、各種視感効率の長波長側のピークからの半減範囲は625nm〜650nmに分布している。600nm以上にピークを形成する場合、これらの範囲を勘案すれば各種視感高効率を維持することができる。これらから、赤発光蛍光体のピークが600nm〜650nmとすることが導かれる。さらに標準比視感度Vλに対する効率を、既に緑発光蛍光体や赤発光蛍光体のピーク領域以外で確保したとすれば、赤の刺激純度を高めるべく赤発光蛍光体の発光スペクトルのピークは610nm〜640nmや、610nm〜635nmや 、620nm〜625nmとより好適に範囲選択と収束を行なうことが可能となる。この際、赤の刺激純度と各種視感効率の優先度を勘案し、前記赤発光蛍光体の発光スペクトルのピークは前記範囲以外にも600nm〜650nmの間で自由度を持って選択範囲を収束することも可能である。
以上のような、色覚と視覚、明るさ感の基礎特性のパラメータ値の上限や下限を両方、また片方を各種組み合わせた傾向を見出し好適な条件が導出可能となった。分光分布の全体の構成に対し代表的概念を大まかに述べたが、各種色覚と明るさ感の基礎特性の数値条件に対し、各種数字の組み合わせの上限および下限をより小さい範囲に収束することで、より最適化することができる。
収束範囲に対し、別の観点からはLEDのピーク波長のランク分け(Binning:ビニング)には2.5nm幅が用いられることも多く、この観点からは最小±2.5nmの誤差を有する。また、視覚特性や照明用の各種分光特性のパラメータ計算には5nmの値が用いられることが多く、演色性評価数の導出には一般に5nmごとの値が用いられるため±5nmの誤差を有する(以上を累積すると最大で7.25nm)。その上、これらの測光自体も5nmの幅で行なわれることを勘案しつつ、上記の基礎的な要件を複合的に組み合わせて分光分布の要件を設定することで本発明の基礎的な要件が導かれ本発明の範囲で任意調整される。
以上より、図15の分光分布の要件の概略図に示す通り、青発光LEDのピーク波長は、440nm〜465nmの範囲にあることが望ましい(Bピーク)。第1緑発光蛍光体のピーク波長は、490nm〜535nmの範囲にあることが望ましい(G1ピーク)。第2緑発光蛍光体のピーク波長は、495nm〜555nmの範囲にあることが望ましい(G2ピーク)。赤発光蛍光体のピーク波長は、600nm〜650nmの範囲にあることが望ましい(Rピーク)。
青発光LEDの発光ピークと第1と第2の緑発光蛍光体が混光された緑発光蛍光体の発光ピークとの間に第1のスペクトル抑制帯域が形成され、第1と第2の緑発光蛍光体が混光された緑発光蛍光体の発光ピークと赤発光蛍光体の間に第2のスペクトル抑制帯域が形成される。代表的には第1のスペクトル抑制帯域は465nmから500nmであり狭くは470nmから490nm近傍にある。また、代表的には第2のスペクトル抑制帯域は555nmから600nmであり狭くは560nmから600nm近傍にある。

青発光LEDのピーク波長は、440nm〜465nmの範囲内で一般的に量産されることが多い445nm以上で選択してもよく、また、460nm以下で選択してもよい。また、実用のLEDの製造ばらつきも考慮すると、複数のLEDを利用して本発明を実施する場合、取りうる範囲の中で複数の位置に発光ピークを持つ青発光LEDが複数混ぜ合わされ使用される場合もある。
また、組み合わせて選択される第一の緑発光蛍光体の発光ピークと比較的近い位置にあることもあいまり、LEDの発光ピークが比較的短波長に範囲選択された場合や、第1と第2の緑発光蛍光体が発光ピークに対し短波長側に半値幅(半値半幅)が狭い場合に青緑間の分光パワーの最低値が形成されやすくなり、好適な生じる傾向を生じやすい。
また、青発光LEDと第1および第2の緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の各々の光が混光された分光分布(以下、「全体の分光分布」と称する。)における青発光LEDの発光ピークと緑発光の分光分布のピークとの間に分光パワーの最低値(以下、「青緑間の分光パワーの最低値)という)を有することが望ましい。この青緑間の分光パワーの最低値は、470nm〜500nmの範囲(第1のスペクトル抑制帯域)にあることが望ましい。さらに、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークと赤発光蛍光体の発光ピークとの間に分光パワーの最低値(以下、「緑赤間の分光パワーの最低値」という)を有することが望ましい。この緑赤間の分光パワーの最低値は、555nm〜600nmの範囲(第2のスペクトル抑制帯域)にあることが望ましい。
ここで、第1緑発光蛍光体のピーク波長は、495nm以上、500nm以上または505nm以上などとしてもよい。さらに、第1緑発光蛍光体のピーク波長は、515nm以下、520nm以下、525nm以下または530nm以下などとしてもよい。前記に条件誤差まで勘案すると480nm以上ないしは485nm以上程度まで選択幅は広がる。前記選択幅の広がりは、実用に供する蛍光体の技術進展により半値幅が狭い場合や、発光ピークより短波長側の分光パワーの総量が、前記緑発光の分光分布のピークよりも長波長側の分光パワーの総量よりも小さい蛍光体が実用に供された場合に前記同様に選択幅は広がる。また、組み合わせて選択される青発光LEDの半値幅が狭いこととあいまり、LEDの発光ピークが比較的短波長側が選択された場合に青緑間の分光パワーの最低値が形成されやすくなるため480nm近傍までの前記選択幅は広がる。
また、第2緑発光蛍光体のピーク波長は、500nm以上、505nm以上、510以上、515nm以上、520nm以上、525nm以上、または、530nm以上などととしてもよい。さらに、第2緑発光蛍光体のピーク波長は、535nm以下、540nm以下、545nm以下または550nm以下などとしてもよい。
また、赤発光蛍光体のピーク波長は、600nm以上、605nm以上、610nm以上、615nm以上、620nm以上などとしてもよい。さらに、赤発光蛍光体のピーク波長は、630nm以下、635nm以下、640nm以下または645nm以下などとしてもよい。
また、赤発光蛍光体は、600nm〜650nmの範囲に発光ピークを有する第1の赤発光蛍光体と、それよりも長波長側に発光ピークを有する第2の赤発光蛍光体とからなることとしてもよい。
また、第1緑発光蛍光体の発光スペクトルの半値幅は、15nm〜80nmとすることが望ましい。第2緑発光蛍光体の発光スペクトルの半値幅は、45nm〜125nmとすることが望ましい。これらにより、現在の技術で実用的な蛍光体や将来的に改良の可能性の有る蛍光体を利用することができる。例えば、第1緑発光蛍光体として、EuとMnの少なくとも1つ以上を発光中心として含む、窒化物系、シリケート系、アルミネート系または酸化物系の蛍光体を利用することができる。第2緑発光蛍光体として、CeとEuとMnの少なくとも1つ以上を発光中心として含む、窒化物系、シリケート系、アルミネート系、ガーネット系または酸化物系の蛍光体を利用することができる。
さらに第1緑発光蛍光体の発光スペクトルの半値幅は取りうる範囲の中で調整可能で有り厳密に調整すべく、より色純度を高める方向性で25nm〜45nm、全体のバランスをより最適化する方向性で25nm〜75nmや30nm〜75nm、より発光効率を優先する方向性で60〜80nmなどとしても良い。より発光効率の高い実用蛍光体の選定に合わせた範囲に上限値と下限値を個別に調整可能である。
さらに第2緑発光蛍光体として、比較的広い半値幅を有する蛍光体の発光スペクトルの半値幅は取りうる範囲の中で調整可能で有り厳密に調整すべく100nm〜125nmなどとしても良い。前記の場合より発光効率の高い実用蛍光体の選定に合わせた範囲に調整可能である。
さらに第2緑発光蛍光体として、演色効果の変化の範囲を大きくするため比較的狭い半値幅を有する蛍光体の発光スペクトルの半値幅は取りうる範囲の中で調整可能で有り厳密に調整すべく45nm〜75nmや50nm〜80nmなどとしても良い。前記に条件誤差まで勘案すると半値幅が85nm以下ないしは90nm以下程度まで、より発光効率の高い実用蛍光体の選定に合わせた範囲に上限値と下限値を個別に調整可能である。
また、赤発光蛍光体の発光スペクトルの半値幅は、75nm〜120nmとすることが望ましい。これにより、現在の技術で実用的な蛍光体や将来的に改善可能性のある蛍光体を利用することができる。例えば、赤発光蛍光体として、EuとMnの少なくとも1つ以上を発光中心として含む、窒化物系またはシリケート系の蛍光体を利用することができる。
赤発光蛍光体は、より好適には発光中心をEuとして含むこと、窒化物系の蛍光体であることが発光効率と温度特性の観点からは好ましい。
また、赤発光蛍光体の発光スペクトルの半値幅は、85nm〜110nm、80nm〜105nmなどとしても良く、より発光効率の高い実用蛍光体の選定に合わせた範囲に上限値と下限値を個別に調整可能である。
なお、前述の通り、LED光源では、複数の蛍光体を組み合わせて使用するため、蛍光体の分光分布同士が重なることがある。また、可視光で励起される蛍光体同士の相互吸収や、使用時の熱による分光分布変化などにより、複数の蛍光体の光が混光された分光分布における特定の蛍光体に由来するピーク波長は、その特定の蛍光体の単体のピーク波長からシフトすることがある。また、LEDも使用する電流や温度で厳密にはピーク波長や半値幅が変化する。「全体の分光分布における発光ピーク」は、青発光LED単体や蛍光体単体の発光ピーク波長ではなく、これらが使用に供し混光された状態の全体の分光分布における発光ピークであり、LEDや蛍光体の単体の発光ピークや半値幅などと異なる場合がある。例えば、第1緑発光蛍光体の発光ピークが実用上492.5nm近傍に分布する場合、全体の分光分布は5nmごとの計算の四捨五入の誤差だけを勘案しても、全体の分光分布における発光ピークは誤差として490nmや495nmとなる場合がある。同様に例えば第1緑発光蛍光体の発光ピークが490nmにある場合などは485nmから495nmとなる場合がある。また、全体の分光分布は実施する光源装置の定格使用で照明に供する出力光の状態を基本とする。また、選定する蛍光体単体やLED単体の分光分布の特徴は一般に常温状態で示されるが、光源装置としたときの動作温度や動作時のパワーの状態で予め選定するとより実使用下の状態を反映可能である。
ここで、全体の分光分布において、青発光LEDと各々の蛍光体の単体の分光分布の特性が反映され、蛍光体青発光LEDの発光ピークが440nm〜465nmの範囲に存在し、緑発光の分光分布のピークが490nm〜555nmの範囲に存在し、赤発光蛍光体の発光ピークが600nm〜650nmの範囲に存在することがより望ましい。また、前記、ピーク範囲はLED単体や蛍光体単体の範囲と同様により好適に調整可能である。

また、全体の分光分布において、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低いことが望ましい。
また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下、さらには、80%以下、75%以下、70%以下と小さい方が望ましい。
また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下としてもよい。これは、基準の光が完全放射体の光の場合、相関色温度が低く555nm以上の波長域において、基準の光の分光パワーが大きいためであるる。
これらスペクトル抑制帯域の分光分布の最低値が低い傾向を持つ方が、赤―緑の反対色応答を高め、色刺激純度を高め、U*V*平面上のU*軸方向(左右に)色域を拡大する傾向を高めることに繋がる。
また、Raの向上や色域の拡大の効果がバランスしやすい傾向を生じさせるためには、前記、青緑間の分光パワーの最低値と緑赤間の分光パワーの最低値は各々小さい傾向が望ましい。前記、両方の最低値は前記95%以下、90%以下など、個別に青緑間の分光パワーの最低値は90%以下で緑赤間の分光パワーの最低値は95%以下などと調整することなどにより好適な範囲を設定し調整のコントロールを行うことも可能である。また、相関色温度に合わせ、より厳密に好適な最低値を設定し調整のコントロールを行うことも可能である。
理想的に混光されたLEDと各蛍光体の全体の分光分布と、相互吸収が大きい状態で混光されたたLEDと各蛍光体の全体の分光分布を比較した場合、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値および緑赤間の分光パワーの最低値とも、より小さくなる傾向、つまり、全体の分光分布の山谷の形状が埋まる傾向にある。例えば、詳細は別記される図25に示すごとく、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークを100%とした場合、青緑間の分光パワーの最低値は理想的な混光状態での最低値から10%から40%加算された情況に全体の分光分布の山谷の形状が埋まり、緑赤間の分光パワーの最低値は理想的な混光状態での最低値から1%から40%加算された情況に全体の分光分布の山谷の形状が埋まる場合なども有る。青緑間の分光パワーの最低値は緑赤間の分光パワーの最低値よりも小さい傾向があるため、各種実施において青緑間の分光パワーの最低値が相対的に大きく埋まる傾向に有り、緑赤間の分光パワーの最低値はそれよりも小さく埋まる形に変化することが多い。また、この傾向は長波長側に分光パワーの大きい基準の光が完全放射体の光である場合に、より顕著である。
このため、実施の実装形態で変化した全体の分光分布の形状を理想的に混光された結果の分光分布の形状に近づける本発明の調整が行われる。つまり、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークを100%とした場合に対し、青緑間の分光パワーの最低値および緑赤間の分光パワーの最低値のパーセンテージは実施の実態に合わせた詳細が別記される調整である。
つまり、本発明は可視発光帯域の分光分布の山谷を埋めることによりRaを高めるという従来の一般的な方向性とは異なり、スペクトル抑制帯域を設け可視発光帯域の分光分布の山谷を積極的に構成する方が、赤と緑の色再現の鮮やかさが高まる方向にあるためである。この演色傾向においてRaやRiの数値上のの低下は、従来考慮されていない好ましい演色傾向を内包しているからである。
この青緑間の分光パワーの最低値は、相関色温度によって大きく変わる青発光LEDのピークの分光パワーより、緑発光の分光分布のピークの分光パワーとの関係性が高いものであった。これにより、U*V*平面上にプロットされた色域をU*軸方向の正負両側に拡大する傾向を生じせしめ、かつ、基準の光に対し色域の歪みを抑制する傾向を生じさせる。さらに好適には色域のU*軸方向の正負両側への拡大が基準の光の色域を超える傾向をも生じさせる。このため、好ましい色域拡大の傾向を内包させることができる。この際、RaやRiの数値の低下があっても、従来の平均演色評価数や特殊演色評価数の評価では捉えられていない好ましい色再現性の傾向が内包され実現される。
また、GaやGa4だけでは色域(Colour Gamut)の大きさは判ってもその拡大方向性は通常は不明であるが、本発明のスペクトル抑制帯域の設定自体が色域をU*軸方向の正負両側に拡大する傾向を生じせしめる傾向を内包させるものであるため、本発明におけるGaやGa4の数値向上は色域をU*軸方向の正負両側に拡大する色域拡大との関連性が高いものとなる。GaやGa4の値が高いとき特殊演色評価数の赤みや緑みの色票の特殊演色評価数が低くとも許容される傾向にある。
なお、U*軸方向の正負両側が拡大しているかは次のようにして検証してもよい。即ち、緑発光蛍光体が第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体とを含む場合で中彩度色票が演色された色度で色域を描く。ここで、第1緑発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は、第2緑発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長よりも短いものとする。詳細には、色域は各種Riの演色計算過程で用いられるU*V*色度座標上で、R1からR8までの特殊演色評価色票が演色された色度を使用して構成され、U*V*平面上にプロットされたGaの多角形の色域である。
次に、緑発光蛍光体が第1緑発光蛍光体を含まず第2緑発光蛍光体を含む場合で、同一色度ないしは略同一色度において、前記同様に中彩度色票の色域を描く。両方の色域の多角形を比べたときに、前者の中彩度の色域が後者の中彩度の色域よりもU*軸方向に拡大しているかを検証する。また、同様のことを、高彩度色票のR9からR12を使用しGa4の色域で行い検証する。さらには、Gaの色域のU*軸方向への拡大をR1およびR8から選択される色票が演色された色度と、R4およびR5から選択される色票が演色された色度の色度座標上の距離(色差)の広がりとして検証することも可能である。またGa4の色域のU*軸方向への拡大をR9の色票が演色された色度と、R11の色票が演色された色度の色度座標上の距離(色差)の広がりとして検証することも可能である。
また、LED光源の分光分布とこれと相当する相関色温度の基準の光の分光分布を同一光束に正規化し、これら分光分布を重ね合わせた場合に、LED光源の全体の分光分布における青緑間の分光パワーの一部および緑赤間の分光パワーの一部が、基準の光の分光パワーを下回ることを検証してもよい。これによれば、基準の光よりもスペクトル抑制帯域の効果を反映し、全体の分光分布に2つの谷部(ダブルノッチ)を形成する傾向を基準の光より強めることができる。
また、緑発光の分光分布において、第1緑発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が第2緑発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長よりも短いこととしてもよい。
また、緑発光の分光分布において短波長側の分光分布の裾野が比較的広く存在すると、S錐体とML錐体の重なりの大きい480nm〜495nm(青緑のパワー抑制帯域)に分光パワーが分配されやすくなる。そこで、第1と第2の緑発光蛍光体の分光分布が合成された緑発光の分光分布において、緑発光の分光分布のピークよりも短波長側の分光パワーの総量が、緑発光の分光分布のピークよりも長波長側の分光パワーの総量よりも小さいことが望ましい。これにより、緑発光の分光分布において短波長側の裾野の広がりを抑制することができる。その結果、青発光LEDの発光ピークと第1と第2の緑発光蛍光体が混光された緑発光の間のパワー抑制帯域に分光パワーが分配されにくくすることができる。
一般には、同一の色度を実現する分光分布の形状は無限に存在するため、偶然、特定色度でRaやRiが高くても、同一の演色傾向を別の色度に応用することができない。しかし、本発明は以上のような根源的、基礎的な観点からの分光分布の再構築や評価指標自身の再構築から分光分布の要件が組み込まれて形成されており、既存指標との技術的連続性の観点からRaやRiの数値の形でも効果を表出していたとしても、特定の演色効果の傾向を内包した上でのRaやRaの数値の向上となる。
また、特定の色度での局所最適により、RaやRiが高まっただけではなく、分光分布の要件の基本的な特徴であることを、さらに明確にすべく、同種LEDと同種蛍光体を用い混光比を変化させ相関色温度を変化させる検討手法をとった。これにより、特定の色度に限らない普遍的な分光分布の特徴を捉えていることを検証した。このような、同種LEDと同種蛍光体を用い混光比の変化のみで、基準の光が完全放射体の光からCIE昼光にわたる電球色から昼光色の広い相関色温度範囲にわたり適用可能なスペクトルの設計要件は、従来に無いものである。このため、その利用においても各種相関色温度のLED光源を統一的で体系的な傾向をもって実現でき、品種によって多様な蛍光体の準備と検討を行なう工数を削減できる量産性に優れたものとなる。
また、広範なシミュレーションと試作を体系的に進めたところ、従来の蛍光体を任意に組み合わせることにより、特定色度で単純にRaや特定のRiの演色評価数が高いなどの一面的な評価では、色度が変わった場合に体系的に演色傾向を調整できないなど、検討が不足しており、より詳細に演色特性や視感特性を規定し、原理的に広範囲な色度範囲で安定的に適応可能な分光分布の要件を導出する必要があることが判った。
本発明では人間の視覚と色覚の特性まで立ち返り、青発光LEDを励起源とし、青色波長域、緑色波長域および赤色波長域に分光パワーを集中させ、忠実演色と高彩度型の効果演色の体系的傾向を有し、その傾向を調整できるLED光源の分光分布の要件を導出した。
これは、従来の三波長域発光形蛍光ランプのスペクトルの要件とは大きく異なる。つまり、青発光LEDにより励起される実用的な希土類蛍光体の多くは、半値幅が蛍光ランプ用蛍光体に比べて比較的広い。そのため、LED光源の分光分布は分光パワーを特定帯域に集中させても可視光波長域に広く発光が存在する傾向を生じる。
その中で青色波長域、緑色波長域および赤色波長域に分光パワーを集中させ発光ピークを形成しようとしたとき、従来、蛍光ランプで言われていた特性とは異なる特性が現れる。本発明では特に緑発光蛍光体の発光ピークをより短波長側に設定することが望ましいことが判明した。これにより、青緑色波長域と黄色波長域の2つのスペクトル抑制帯域に、分光パワーの配分を抑制し、分光分布の谷を形成する傾向を作りやすくなる。
この際、発光スペクトル(半値幅、発光ピーク波長などの分光分布形状)の異なる緑発光蛍光体を2種用いることで、人間の視覚特性における緑の刺激純度を高める機能と人間の視覚特性における明るさ感度を確保する機能とに機能分解することが本発明の大きな特徴である。この緑発光蛍光体の機能分解により、500nm〜535nm近傍のスペクトルを同一色度において調整可能となり、広い相関色温度帯域で、忠実演色優先形、高彩度な効果演色優先形、さらには、明所視効率優先形、薄明視効率優先形などの調整を実現可能とすることができた。
従来、LED光源において多種類の蛍光体を混合する場合、演色評価の基準の光であるCIE昼光や完全放射体の光の分光分布に似せ、可視光波長域の分光分布の山谷を打ち消すことで、平均演色評価数を高める方向にある。これに対し、本発明はその思想を異にし、あえて、青と緑の間、および、緑と赤の間の帯域に分光パワーの低い領域を形成し、その2つのスペクトル抑制帯域に分光分布の谷形状を生じる傾向を発生させ、青色波長域、緑色波長域および赤色波長域の三つの波長に分光パワーを集め、広い相関色温度で系統的に演色評価指標の色域を、好ましい方向に拡大しつつ、色再現のバランスをとるものである。
ここにおいて、単純に演色評価としてRaないしはRiの数値を高めるだけを指向して高演色とする、従来の前提そのものに課題をはらんだ分光分布の要件設定とは異なる新たな観点がさらに追加されている。好ましい演色性の傾向自体も検討し、かつ、既存の演色指標との互換性を保つ形で既存指標に拡張を加え、表出するRaやRiの数値が同等でも、Ra4が高い傾向を有すること、各種Riの群の評価値のバラツキが少ない傾向を有すこと、GaやGa4などの色域が大きい傾向を有すこと、R1からR8、さらには、R9からR12の特殊演色評価色票で構成されたU*V*平面上にプロットされた色域がU*軸方向に拡大された傾向の色再現が好適であること、などを総合的に検討し分光分布の要件に内包させたものである。また、分光分布の要件を、各種明るさ視感度を維持しやすいという観点や、既存の異種光源比較や、相関色温度やDuvの変化に対する安定性という観点からも複合的に、その要件の安定性と好適性を見出した。

<実施の形態>
(1)構造
以下、実施の形態を説明する。図16は、光源装置の一例であるLED光源の構造を例示する断面図である。LED光源11は、パッケージ12、引き出し電極13、青発光LED14、透明部材15、第1緑発光蛍光体16、第2緑発光蛍光体17および赤発光蛍光体18を備える。引き出し電極13は1つの上下電極LEDの例を示しているが、2本の片面電極でっても良い。また、フリップチップ構造や蛍光体層の別部材化なども含め、青発光LEDと蛍光体の配置関係やパッケージや実装の変形が許容されることは言うまでも無い。
青発光LED14は、例えば、窒化ガリウム系のLEDである。青発光LEDの発光スペクトルは、440nm以上465nm以下のピーク波長と、15nm以上35nm以下の半値幅を有する。さらに、ピーク波長を460nm以下455nm以下などと設定すれば青発光LEDと緑発光蛍光体の間のスペクトル抑制が行ないやすくなる。
第1緑発光蛍光体16の発光スペクトルは、490nm以上535nm以下のピーク波長と、15nm以上80nm以下の半値幅を有する。このように、第1緑発光蛍光体16には、半値幅が15nm以上80nm以下という狭帯域(15nm以上約45nm未満)から中帯域(約45nm以上80nm以下)の蛍光体から選定される。なお、ピーク波長が495nm以上、500nm以上または505nm以上としてもよい。また、より短波長側に発光スペクトルを集中すべくピーク波長が525nm以下または515nm以下としてもよい。さらに、色純度に対する刺激を高めると言う観点から半値幅は75nmや70nm以下あるいは60nm以下、さらには、45nm以下、40nm以下などとより半値幅を狭く設定してもよい。
半値幅を逐次狭く設定した場合には、ピーク波長が短波長側にあっても青発光LEDと第1緑発光蛍光体の間のスペクトル抑制が行ないやすくなる。
以上の数値は本発明の範囲の中で調整可能である。また、Euを発光中心として含む窒化物蛍光体であることが発光効率と温度特性の面からもより好適である。
第2緑発光蛍光体17の発光スペクトルは、495nm以上555nm以下のピーク波長と、45nm以上125nm以下の半値幅を有する。さらに、第2緑発光蛍光体17は、以下のように分類することも可能である。つまり、半値幅が比較的狭いものを中心に中程度のものまで含む45nm以上80nm以下、または、半値幅が比較的広いものを中心に中程度のものまで含む75nm以上125nm以下の蛍光体から選定される2つの分類である。 第2緑発光蛍光体17の半値幅が比較的狭い場合は混光比の変化による演色効果の調整幅が比較的大きく、半値幅が比較的広い場合は現状の実用蛍光体の中で発光高効率が高めであり一般に普及しているYAG系、LuAG系などのCeを発光中心として含む蛍光体が使用しやすくなる。 第2緑発光蛍光体の半値幅は逐次狭く設定した場合は第2緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の間にスペクトル抑制を行いやすくなる。
また、第2緑発光蛍光体の半値幅の分類を75nm以下とそれを超える、または、80nm以下とそれを超える、などと、より明瞭に分類することが出来る。さらには半値幅が比較的狭いものを中心に中程度のものまでの分類を、70nm以下、65nm以下、60nm以下などと逐次設定し、半値幅が比較的広いものを中心に中程度のものまでの分類を85nm以上、90nm以上、100nm以上などと逐次設定すれば、両者の中庸の特徴を分離できる。
なお、ピーク波長が500nm以上、505nm以上、510nm以上、515nm以上、520nm以上または525nm以上としてもよい。また、ピーク波長が550nm以下、545nm以下、540nm以下、535nm以下としてもよい。発光ピーク波長を短波長化し半値幅を狭くするほど緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の間にあるスペクトル抑制帯域へのスペクトルパワー配分を抑制することが可能である。
赤発光蛍光体18の発光スペクトルは、600nm以上650nm以下のピーク波長と、75nm以上120nm以下の半値幅を有する。ピーク波長が610nm以上、615nm以上、620nm以上としてもよい。また、ピーク波長が645nm以下、640nm以下または635nm以下としてもよい。標準比視感度Vλに対する効率の面からは赤発光蛍光体の発光ピーク波長が短波長よりで半値幅が狭い傾向が望ましく、各種色再現性の向上の観点からはピーク波長が長波長よりの方が好ましい。
この場合、発光効率と温度特性の観点からEuを発光中心として含む窒化物蛍光体がより望ましい。
第1緑発光蛍光体16、第2緑発光蛍光体17および赤発光蛍光体18は、透明部材15内に分散されている。第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体は異なる母体組成による蛍光体であれば、分光分布の形状の差を生じさせやすい。

(2)蛍光体
本発明に使用する蛍光体の事例を説明する。
本発明で記載の半値幅は半値全幅 (Full Width at Half Maximum, FWHM)である。また、本発明の分類上、緑発光蛍光体、赤発光蛍光体としている。
緑発光蛍光体において、比較的短波長側に発光ピークが存在するもの、また、半値幅が小さく狭帯域発光を示すものは青緑発光を呈する。
緑発光蛍光体において、比較的長波長側に発光ピークが存在するもの、また、半値幅が大きく広帯域発光を示すものは黄緑発光、緑みを帯びた黄発光を呈する。
赤発光蛍光体において、比較的短波長側に発光ピークが存在するものは橙赤発光、桃色発光を呈する。
発光の分光分布の形状が本発明の範囲に類似であれば、現在、実用的に使用可能な蛍光体材料にかぎらず、将来的に実用になる蛍光体材料であっても良く、蛍光体材料に対する実施の自由度が存在する。LED用蛍光体は開発進展が著しく、現在も各所で開発が続いているが、技術進展を考慮すれば本発明に使用可能な他の組成や、一般式で表される組成に添加物を導入し分光分布を調整し本発明に使用可能な組成も存在するため、ここでは事例を示す。
各種事例に示す蛍光体に対し、一般式や基本組成の一部が置き換えられたもの、1種類以上の元素を添加、置換、賦活、狭賦活、ドープ、コドープ:Co-dope、アクチベート、コアクチベート:Co-activate、増感:Sensitize、されたものを含み、単晶:mono crystal状態だけでなく混晶状態:composite crystalのバリエーション、一部がその結晶を有する蛍光体、また、蛍光体にコーティングや装飾がなされたものを含む。
前記、1種類以上導入される元素の特に代表的な例を下記に示す。
希土類元素RE: Sc Y La Ce Pr Nd Sm Eu Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu
ハロゲン元素X: F Cl Br I
アルカリ金属(1属): Li Na K
アルカリ土類金属(2属)AE: Ca Sr Ba
遷移金属元素: Mn Zr Cu Hf
金属元素: Mg Zn Al Ga
半金属元素: B Si Ge
非金属元素: C N O F P S

一般式の例示の中でAEはアルカリ土類金属(Alkaline earth metal)である。
また、カッコ内の元素は1つ以上が選択されるものの事例である。

(2.1)緑発光蛍光体
第1と第2の緑発光蛍光体の組成の事例として次のものがある。
緑発光蛍光体は主にEu、Ce、Mnを発光中心に用いた窒化物系、珪素系、アルミネート系、酸化物系蛍光体である。

窒化物系蛍光体は、酸窒化物蛍光体、珪窒化物蛍光体、珪酸窒化物蛍光体、炭窒化物蛍光体、炭酸窒化物蛍光体などがあり、代表的にはBaSiON蛍光体、SiON蛍光体、SiAlON蛍光体、γ―SiAlON蛍光体、β−SiAlON蛍光体、LSN蛍光体、YSN蛍光体である
珪素系蛍光体は、珪酸蛍光体、珪酸塩蛍光体、などがあり、代表的にはシリケート蛍光体のBOSE蛍光体、CSS蛍光体などがある。
アルミネート系蛍光体は、アルミン酸塩蛍光体、などがあり、代表的には YAG蛍光体、LuAG蛍光体、GaYAG蛍光体、SAE蛍光体などがある。
酸化物系蛍光体は、代表的にはCSO蛍光体などあがる。
ガーネット系蛍光体とは、ガーネット構造を持つ蛍光体であり、蛍光体の母材が「A3512」という一般式で表される結晶構造を持った蛍光体を指す。 A元素の位置は、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd等の希土類元素などが占め、B元素の位置は、Al、Ga等の元素などが占める。 代表的にはYAG蛍光体、LuAG蛍光体、GaYAG蛍光体、TAG蛍光体などがある。

(2.1.1)緑発光蛍光体の詳細な事例
アルミネート系蛍光体 SrxAlyOz:Eu 系の例
Sr4Al14O25:Eu 略称「SAE」
(Sr,Mg,Ca, Ba)4Al14O25:Eu,Dy
SrAl12O19:Eu
SrAl2O4:Eu
(Sr,Ca,Ba)Al2O4:Eu


窒素化物系蛍光体 SixOyNz:Eu 、AE−SixOyNz:Eu 系の例として
BaSiON系 Ba−SixOyNz:Eu
SrSiON系 Sr−SixOyNz:Eu
Ba3Si6O12N2:Eu 略称「BSON」
(Ba,Sr)3Si6O12N2:Eu
Ba0.9Si2O2-xN2+2/3x:Eu
(Ba,Sr)Si3 O3N3:Eu
(Ba,Sr)Si2O2N21:Eu
(Ba,Sr)2Si2O2N2:Eu
前記AE−Si222:Eu 系の例として
(Ba,Sr,Ca,Mg)Si2(O,Cl,Br,F,I,C)2N2:Eu
(Ba,Sr)Si2O2N2:Eu
(Ba,Ca)Si2O2N2:Eu
(Ba,Sr,Ca)Si2O2N2:Eu
(Ba,Sr)Si2(O,Cl)2N2:Eu
前記Ba―Si222:Euの系の例として
BaSi2O2N2:Eu 略称「BaSiON」
BaSi2(O,X)2N2:Eu (X=F,Cl,Br,I)
前記Sr―Si222:Euの系の例として
SrSi2O2N2:Eu
SrSi2(O,X)2N2:Eu (X=F,Cl,Br,I)


窒化物系蛍光体 SiwAlxOyNz:Eu 、AE−SiwAlxOyNz:Eu 系の例として
SiAlON系 SiAlON:Eu
AE−SiAlON:Eu
M−SiAlON:Eu (M=Li,Ca,Sr,Ba,La)
Sr−SiAlON:Eu
(Sr,Ca,Ba)SixAlyOz:Eu
β-SiAlON:Eu 略称「β-SiAlON」β-Si3N4窒化珪素(Si3N4)にAl,Oが固溶した固溶体にEu発光中心を導入した系で、混晶状態を含む、さらに詳細には、Si6-sAlsOsN8-s:Eu (0<s<4.2)であり、さらには(0.005<s<0.25)
他の例としては
AEv SiwAlxOyNz:Eu (AE=Sr,BaCa)
SrSiwAlxOyNz:Eu
Si5.5Al0.5N7.5:Eu
(Sr Si2(O,N))x(Si2(O,N)4)y:Eu
((Sr,Mg,Ca,Ba)(Si,Al)2(O,N))x((Si,Al)2(O,N)4)y:Eu
(Ca,Sr,Ba)Al2-xSixO4-xNx:Eu
BaSixAl2-xO4-xNx:Eu2+
BaSi0.1Al1.9O3.9N0.1:Eu
Ba(Si,Al)2(O,N)4:Eu
BaSi0.3Al1.7O3.7N0.3:Eu
BaSisAl2-sO4-sNs:Eu (s=0から0.3)
Sr14Si61Al23O7N99:Eu
Sr14Si68-sAl6+sOsN106-s:Eu (s=7近傍)
SrSisAl2-sO4-sNs:Eu
SrSiAl2O3N2:Eu
SrSiAl2O3N:Eu
SrSi5AlO2N7:Eu
Sr5Si21 Al5 O2N35:Eu
Sr14Si61Al13O7N99:Eu
Sr3Si13Al3O2N21:Eu


窒化物蛍光体の系の内、炭窒化物蛍光体の系
窒化物蛍光体のSi−N、Al−N、Si−O、Al−Oの一部をSi−C、Al−Cに置き換えたものに代表される炭窒化物蛍光体の例として
AE−AlwSixOy(N、C)z:Eu の系
AE−SiyOy(N、C)z:Eu の系
事例としては
(Ca,Sr)wAlxSiy(N,C)z:Eu
(Ca,Sr)xAlSi2(N,C)8:Eu
(Ca,Sr)2AlSi2(N,C)8:Eu
(Ca,Sr,Na,B)2AlSi2(N,C)8:Eu
SrvAlwSixOy(N,C)z:Eu
SrwSixOy(N,C)z:Eu
Sr7Al12-x-ySix+yC25-xNx-yCy:Eu (x+y=12)
Sr7Si12O25-xNx-yCy:Eu (x+y=12)
(Sr,Mg)7Al12-x-ySix+yC25-xNx-yCy:Eu (x+y=12)
(Sr,Mg)7Si12O25-xNx-yCy:Eu (x+y=12)
(Sr,Ba,Ca)7Al12-x-ySi12O25-xNxC:Eu (x=10〜12 y=0〜2)
(Sr,Ba,Ca)7 Si12O25-xNxCy:Eu (x=10〜12 y=0〜2)
Sr7AlSi12O13(N,C)12:Eu
Sr7Si12O13(N,C)12:Eu
(Sr,Ba,Ca)7Si12O14N11C:Eu
SrAl2Si2O2(N,C)2:Eu
BaSi2O2(N,C)2:Eu
ASi2(O,X)2(N,C)2:Eu A=Ba,Sr,Ca,Mgの少なくとも1つ以上 X=Cl,Br,F,I,Cの少なくいとも一つ以上

炭窒化物蛍光体の他の系の例として
Y2Si4N6C:Ce
Y2(CN2)3:Ce
(Y,Gd)2(CN2)3:Ce


窒化物蛍光体系の他の例として
α−SiAlON の系 Sr1.5Al3Si916:Eu
Ca−α−SiAlON:Ce の系 CaSi9Al3ON15:Ce
γ―AlON:Mn の系 AlNとα―Al2O3と共存下でMnを発光中心としたもの
Al2.61Mn0.18Mg0.18O3.45N0.55:Mn
Mg0.3 Al5O7N:Mn


窒化物蛍光体のさらに他の例としては
(Ba,Sr,Ca)2Si4AlON7:Ce
BaYSi4N7:Eu
La3Si6N11:Ce 略称「LSN」
Sr2Si5N8:Ce,Li
SrSiN2:Eu


アルミネート系 ガーネット系蛍光体 YAGの例として
555nm以下に発光ピークを有するY3Al5O12:Ce に1種類以上の元素をドープしたもの組成を他の元素で一部または全部置き換えたYAG、LuAG、TAG蛍光体。
好適にはGaやLuを少なくとも一方または両方導入したY3(Al,Ga)5O12:Ce や Lu3Al5O12:Ceや、(Y,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ceなどの短波長側に分光エネルギーの高いバリエーションが望ましい。
その他、ベースとなるYAG蛍光体のバリエーションにPr、Smを付活したもの、Sm、Tbを付活したしたものも有る。さらに、例えばY4Al2O9「略称YAM」およびYAlO3「略称YAP」で示すような他の結晶状態が混在するものや、Y3(Al,Si)5(O,N)12:Ce ((Y0.97Ce0.03)3Al4.9Si0.1O11.9N0.1 )「略称YAG−SiN 」や、 Lu3(Al,Si)5(O,N)12:Ce ((Lu0. 97Ce0.03)3Al4.8Si0.2O11.8N0.2)「略称LuAG−SiN」.で示すような複合的な結晶のものもある。

YAG蛍光体の例として
Y3Al5O12:Ce
Y3(Al,Ga)5O12:Ce
Y3(Al,Dy)5O12:Ce
(Y,Gd)3Al5O12:Ce
(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce
(Y,Gd,Tb,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce
Y3Al5O12:Ce,Pr
(Y ,Pr)3Al5O12:Ce
Y3Al5O12:Ce,Sm
(Y ,Sm)3Al5O12:Ce
Y3Al5O12:Ce,Sm,Tb

LuAG(LAG)蛍光体の例として
Lu3Al5O12:Ce
Lu3(Al,Ga)5O12:Ce
(Lu,Y)3Al5O12:Ce
(Lu,Y)3(Al,Ga)5O12:Ce
(Lu,Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce
(Lu,Mg)3Al5O12:Ce
(Y,Gd,Tb,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce
Lu3Al5O12:Ce,Pr
Lu3Al5O12:Ce,Sm
(Lu,Y,Tb)3Al5O12:Ce,Sm

TAG蛍光体の例として
Tb3Al5O12:Ce
(Y,Tb)3(Al,Ga)5O12:Ce
(Y,Tb,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce
(Y,Gd,Tb,Lu)3(Al,Ga)5O12:Ce
(Y,Tb)3Al5O12:Ce,Sm

アルミネート系蛍光体の他の例として
(Sr,Ca)3(Al,Si)O4(F,O):Ce
(Sr,Ba)AlO4F:Ce
Sr2Ba(AlO4F)1-x(SiO5)x:Ce
LaSr2AlO5:Ce
LaSr2AlO5―Sr3SiO5:Ce


酸化物蛍光体の例として
Ca3Sc2Si312:Ce の系
BaY2SiAl412:Ce の系
Ca3Sc2Si3O12:Ce 略称「CSS」
Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce
Ca3Si2O7:Eu
(Ca,Mg)3(Sc,Y)2Si3O12:Ce
Ca3(Sc,Mg,Na,Li)2Si3O12:Ce
Ca3Sc2(Si,Ge)3O12:Ce.
CaSc2O4:Eu
CaSc2O4:Ce 略称「CSO」
(Ca,Sr)8Mg(SiO4)Cl2:Eu 略称「CSMS」


珪素系、シリケート系蛍光体の例として
珪素と酸素を主骨格に含むSi-Oxシリコン含有酸化物結晶蛍光体である。
AE−SixOy:Eu 系の例として
Ba2SiO4:Eu
(Ba,Sr)2SiO4:Eu 略称「BOSE」
(Ba,Sr,Mg,Ca)2SiO4:Eu
(Sr,Ba,Mg)2SiO4:Eu
(Sr,Ba,F)2SiO4:Eu
(Sr,Ba,Mg)2Si(O,X)4:Eu (X=F,Cl,N)
(Sr,Ba,Ca)2(Si,X)O4:Eu (X=Al,B,P,Ge)
(Sr,Ba,Mg,F)2SiO4:Eu

珪素系、シリケート系蛍光体のその他の例として
Lu1.91-xCa1+xMg2-xScxSi3O12:Ce (0<x<0.5)
Lu2CaMg2SiO12:Ce
CaSc2O4:Ce
Ca3SiO4Cl2:Eu
Ba9Sc2Si6O24:Eu


(2.1.2)緑発光蛍光体の好ましい事例
(2.1.2.1)第1の緑発光蛍光体の組成の好ましい事例
より好ましい蛍光体の分光分布の基礎的な要件としては、発光ピークが535nm以下の短波長側に有り分光分布が比較的狭帯域から中帯域な半値幅を示すものである。
蛍光体の分光分布のピーク波長は490nm以上535nm以下にあり、中でも525nm、520nm、515nm以下と発光ピークが短波長側に有るものが望ましく、さらに、495nm、500nm以上であれば望ましい。
半値幅が15nm以上80nm以下であり、中でも、70nm以下、60nm以下、さらには、45nm以下と半値幅が狭いものが望ましい。
これを実現する蛍光体材料としては、Euを発光中心に用いた(窒化物系、ケイ素系)蛍光体が好ましい。また、本発明に類する分光分布を有する蛍光体が使用される場合や一部を炭窒化物で置換したものもある。

アルミネート系蛍光体
SrxAlyOz:Eu の系
BawMgxAlyOz:Eu,Mn の系
好ましくはAE4―Al14O25:Eu の系
Sr4Al14O25:Euのバリエーションが望ましい。

窒素化物系蛍光体 SiON の系
AE−SixOyNz:Eu の系
BaSixAl2-xO4-xNx:Eu (例えばx=0.1〜0.3近傍)
Sr14Si61Al23O7N99:Eu
Sr14Si68-sAl6+sOsN106-s:Eu (例えばS=7近傍)
のバリエーションも望ましい例である。
好ましくは
AE3−Si6122:Eu の系
Ba3Si6O12N2:Eu のバリエーションが望ましい。
AE−Si222:Eu の系
BaSi2O2N2:Eu のバリエーションが望ましい。
(Ba,Sr)Si2O 2N2:Eu のバリエーションが望ましい。

窒化物系蛍光体 SiAlON の系
AE−SiwAlxOyNz:Eu の系
Sr14Si61Al23O7N99:Eu
Sr3Si13Al3O2N21:Eu
のバリエーションも望ましい例である。
好ましくは
β−SiAlON:Eu の系
β-Si3N4窒化珪素(Si3N4)にAl,Oが固溶した固溶体にEu発光中心を導入したβ-SiAlON:Eu。 また、Si6-zAlzOzN8-z:Eu (0<z<4.2)さらには(0.025<z<0.25)のバリエーションが望ましい。
AE−(Si,Al)2(O,N)2:Eu の系
Ba(Si,Al)2(O,N)4:Eu のバリエーションが望ましい。


珪素系、シリケート系蛍光体 BOSEの系
AE−SixOy:Eu の系
好ましくは
Ba2SiO4:Eu の系
Ba2SiO4:Eu のバリエーションが望ましい
(Ba,Sr)2SiO4:Eu の系
(Ba,Sr)2SiO4:Eu のバリエーションが望ましい。


(2.1.2.2)第2の緑発光蛍光体の組成の好ましい事例
蛍光体の分光分布の基礎的な要件としては、発光ピークが555nm以下の短波長側に有り、分光分布が比較的、狭から広帯域の半値幅を示すものである。
より好ましくは蛍光体の分光分布のピーク波長は495nmから500nm以上で、550nm以下にあり、その半値幅が45nm以上で125nm以下であるのものが望ましい。
分光分布のピーク波長は中でも545nm、540nm、535nm以下と発光ピークが短波長側に有るものが望ましく、さらに、青発光LEDの発光ピークとの間のスペクトル抑制帯域を確保するためには495nm、500nm、505nm、510nm、515nm、520nm、525nm以上と長波長側にあれば望ましい。
これを実現する蛍光体材料としては、EuやCeを発光中心に用いた(窒化物系、ケイ素系、ガーネット系、アルミネート系、酸化物系)蛍光体が好ましい。

前記の中でも半値幅が80nm近傍以上125nm近傍以下の比較的中から広帯域の半値幅を示すものの場合、80nm近傍以上、110nm近傍以下と半値幅がより狭く、分光分布のピーク波長は545nm、540nm、535nm以下と発光ピークが短波長側に有るものがより望ましい。これを実現する蛍光体材料としては、EuおよびCeから選択される一つ以上を発光中心に用いた窒化物系、ケイ素系、ガーネット系、アルミネート系、酸化物系蛍光体が好ましい。また、一部を炭窒化物で置換したものも有る。さらにはCeを発光中心に用いたアルミネート系、酸化物系、または、ガーネット系蛍光体がより好ましい。
前記、半値幅が80nm近傍以上125nm近傍以下の比較的中から広帯域の半値幅を示すCeを発光中心として有するものの場合、YAG蛍光体の系が望ましい。また、本例に類する分光分布を有する蛍光体が製造容易性の観点で使用される場合もある。

YAG系蛍光体の中でも、
さらには、Gaを添加したYAGの系
3(Al,Ga)5O12:Ce のバリエーションが好ましい。
また、Luを添加したLuAGの系
Lu3Al5O12:Ce のバリエーションがより好ましい。

加えて、
Ca3Sc2Si3O12:Ce
CaSc2O4:Ce
Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce
La3Si611:Ce
のバリエーションも好ましい例である。

前記の中でも半値幅が15nm以上80nm近傍以下の比較的狭から中帯域の半値幅を示すものの場合、70nm以下、60nm以下と半値幅が狭帯域発光を示し、分光分布のピーク波長は545nm、540nm、535nm以下と発光ピークが短波長側に有るものが望ましい。これを実現する蛍光体材料としては、Euを発光中心に用いた窒化物系、珪素素系蛍光体が好ましい。また、本例に類する分光分布を有する蛍光体が製造容易性の観点で使用される場合もある。

窒化物系の中でもSiON の系
AE−SixOyNz:Eu の系
BaSiONの系 Ba−SixOyNz:Eu
SrSiONの系 Sr−SixOyNz:Eu
AE−Si222:Eu の系
BaSi2O2N2:Eu のバリエーション
(Ba,Sr)Si2O2N2:Eu のバリエーション
AE−Si3612:Eu の系
Ba3Si6O12N2:Eu のバリエーション
(Ba,Sr)3Si6O12N2:Eu のバリエーション
などが好ましい。

窒化物系の中でもSiAlON、β−SiAlON:Eu の系
β-Si3N4窒化珪素(Si3N4)にAl,Oが固溶した固溶体にEu発光中心を導入した系
β-SiAlON:Eu また、Si6-zAlzOzN8-z:Eu (0<z<4.2)さらには(0.025<z<0.25)のバリエーション
SiwAlxOyNz:Eu 、AE−SiwAlxOyNz:Eu Sr−SiwAlxOyNz:Eu の系
Sr3Si13Al3O2N21:Euのバリエーション
AE−(Si,Al)2(O,N)2:Eu の系
Ba(Si,Al)2(O,N)4:Eu のバリエーション
などが望ましい。

珪素系、シリケート系においてはBOSE 、AE−SixOy:Eu の系
Ba2SiO4:Eu (Ba,Sr)2SiO4:Eu のバリエーション
などが望ましい。


(2.2.1)赤発光蛍光体の詳細な事例
赤色発光蛍光体は、主にEuを発光中心に用いた窒化物系蛍光体である。
窒化物系蛍光体は、酸窒化物蛍光体、珪窒化物蛍光体、珪酸窒化物蛍光体、炭窒化物蛍光体、炭酸窒化物蛍光体などがあり、代表的にはCASN蛍光体、SCASN蛍光体、CASON蛍光体などが存在する。
赤色発光蛍光体には、現状は窒化物系が望ましいが、珪素系やアルミネート系などの事例も存在する。本例に類する分光分布を有する赤色発光蛍光体が製造容易性の観点で使用される場合、将来的な発光効率改善が進んだ場合に使用される場合もある。
珪素系蛍光体の事例では SrCaSiO4:Eu 、(Sr,Ba)3SiO5:Eu 、Ba3MgSi28:Eu,Mn 、(Ba、Sr)3MgSi28:Eu,Mn、(Sr,Ba)3SiO5:Eu なども存在する。
アルミネート系蛍光体の事例では Ca2Al12O19:Mn なども存在する。

窒化物系蛍光体の中でも AlxSiyNz:Eu 、AE−AlxSiyNz:Eu 系の好ましい例を以下に示す。

AlSiN3:Eu 、AE−AlSiN3:Eu の系
CaAlSiN3:Eu の系 略称「CASN」
CaAlSiN3:Eu
(Sr,Ca)AlSiN3:Eu の系 略称「SCASN」
(Sr,Ca)AlSiN3:Eu
などが好ましい。
また、そのバリエーションの例として
(Ca,X)AlSiN3:Eu X=(Mg,Sr,Ba,Zn,Li)
Ca(Al,X)SiN3:Eu X=(B,Ga)
CaAl(Si,X)N3:Eu X=Ga
(Ca,Cu)AlSiN3:Eu
(Ca,Sr,Mg,Li)AlSiN3:Eu
Ca(Al,X)SiN3:Eu X=(B,O,F,Cl)
CaAlSiN3:Eu,La
CaAlSiN3:Eu,La,Ce
(Sr,Ca,X)AlSiN3:Eu X=(Mg,Ba,Zn,Li)
(Sr,Ca,Cu)AlSiN3:Eu
(Sr, Ca,Mg,Li)AlSiN3:Eu
(Sr,Ca)(Al,X)SiN3:Eu X=(B,O,F,Cl)
(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSiN3:Eu
(Sr,Ca)AlSiN3:Eu,La
(Sr,Ca)AlSiN3:Eu,La,Ce
などが存在する。

AE−AlSi47:Eu の系
SrAlSi47:Eu の系
SrAlSi4N7:Eu
なども好ましい。

AlSi(O,N)3:Eu 、AE−AlSi(O,N)3:Eu の系
CaAlSi(O,N)3:Eu の系 略称「CASON」
CaAlSi(O,N)3:Eu
(Ca,Sr,Ba)AlSi(O,N)3:Eu
(Ca,Sr)AlSi(O,N)3:Eu

AE−AlwSixyz:Eu の系の他の事例として
Sr2AlSi9O2N14:Eu
Sr2AlxSi5-xOxN8-x:Eu (0<x≦1)
(Ca,Sr,Ba)Si(O,N)2:Eu
(Ca,Sr,Ba)2Si5(O,N)8:Eu


窒化物系蛍光体の中でも SixNy:Eu 、AE−SixNy:Eu 系の例を以下に示す。
Si58:Eu 、AE−Si58:Eu の系
AE2―Si58:Eu 、(Ca,Sr,Ba)2Si58:Eu の系
(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu
Ca2Si5N8:Eu
Sr2Si5N8:Eu
Ba2Si5N8:Eu
(Sr,Ba)2Si5N8:Eu
(Ca,Sr)2Si5N8:Eu
(Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu
(Mg,Ca,Sr,Ba)2Si5N8:Eu

SixNy:Eu 、AE―SixNy:Eu の系における他の例
CaSiN2:Eu
SrSiN2:Eu
(Ca,Sr)SiN2:Eu
Ba2Si5N8:Eu
Sr2Si5N8:Eu
BaSi7N10:Eu


窒化物蛍光体の系の内、炭窒化物蛍光体の系
窒化物蛍光体のSi−N、Al−N、Si−O、Al−Oの一部をSi−C、Al−Cに置き換えた、炭窒化物蛍光体の事例として
AlxSiyNz:Eu 、AE−AlxSiyNz:Eu の系
CaAlSi(N,C)3:Eu
(Sr,Ca)AlSi(N,C)3:Eu
Ca(AlSiN3,C):Eu (SiN、AlN、SiCの混晶)
CaAlSi(N,C)3:Eu
(Sr, Ca)AlSi(N,C)3:Eu


(2.2.2)赤発光蛍光体の好ましい事例
赤色発光蛍光体から選択される組成の好ましい事例として
赤発光蛍光体の発光スペクトルのピーク波長が610nm以上650nm以下であり、その半値幅が70nm以上120nm以下である中から広帯域のEuを発光中心とする窒化物系蛍光体である。
演色特性の改善を、各種明るさの視感効率を高めながら行なうため、より好ましい蛍光体の分光分布の基礎的な要件としては、蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は645nm、640nm、635nm以下に有り、さらに、615nm、620nm以上であれば望ましい。
加えて、Euを発光中心に用いたスムーズな山形の分光分布が望ましく、本発明の効果を得ながら調整用に2種類以上の赤色発光蛍光体を組み合わせる場合も、擬似的に上記の特徴を有す単ピークの分光分布とすることも可能である。

窒化物系蛍光体の好ましい事例を示す。
AE−AlxSiyNz:Eu の系
CaAlSiN3:Eu 、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu の系
CaAlSiN3:Eu 、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu のバリエーションが好ましい。
SrAlSi47:Eu の系
SrAlSi4N7:Eu のバリエーションが好ましい。

AE−AlwSizyNz:Eu の系
CaAlSi(ON)3:Eu の系
CaAlSi(O,N)3:Eu のバリエーションが好ましい。

AE−SixNy:Eu の系
AE−Si58:Eu の系
Ca2Si5N8:Eu 、Sr2Si5N8:Eu のバリエーションが好ましい。
AE−SiN2:Eu の系
CaSiN2:Eu 、SrSiN2:Eu のバリエーションが好ましい。



(2.3)使用する蛍光体の代表的な分光分布の特徴
近年、蛍光体の材料組成や添加物などのバリエーションは非常に多い。蛍光体の材料組成は将来的にも進展が見込まれるため、材料系とは別の観点で、本発明の蛍光体の分光分布から見た好適な傾向を示す。蛍光体材料の変更が合った場合、また、将来に蛍光体材料の選択範囲が増加した場合の、好適な傾向を示す発光ピークや分光分布の形状に対しての特徴となる。

(2.3.1)第1緑発光蛍光体の分光分布
図17は第1緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図である。
前記は発光ピークが490nm以上535nm以下の短波長側に有り、半値幅が15nm以上80nm以下で分光分布が比較的狭帯域から中帯域な半値幅を示す分光分布の例である。
アルミネート系蛍光体 SAEの系のSr4Al14O25:Eu(SampleA)のバリエーションの例。
窒素化物系蛍光体 SiONの系のBaSi2O2N2:Eu(SampleB)や、Ba3Si6O12N2:Euや、他のBaSiON系 のバリエーションの例。
シリケート系蛍光体 BOSEの系の (Ba,Sr)2SiO4:Eu(SampleC)の他のBOSE系のバリエーションの例。
分光分布の形状を比較すると、例えば、第1緑発光蛍光体の珪素系蛍光体・シリケート蛍光体AE−SixOy:Euの系のBa2SiO4:Eu、(Ba,Sr)2SiO4:Euのバリエーションは、窒化物蛍光体AE−SixOyNz:Eu 系の(Ba,Sr)3Si6O12N2:Euのバリエーションなどの分光分布の形状に類している。

(2.3.2)第2緑発光蛍光体の分光分布
図18は第2緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図である。
前記は分光分布のピーク波長が500nm以上555nm以下その分光分布が比較的中帯域から広帯域な半値幅を有し半値幅が75nm以上125nm以下の例である。
YAGの系Y3Al5O12:Ce (SampleD)のバリエーションの中でさらに、Gaを添加したYAG系Y3(Al,Ga)5O12:Ce(SampleE)のバリエーションや、Luを添加したLuAG系Lu3Al5O12:Ce(SampleD)のバリエーションなどがある。
YAG系はバリエーションの幅が広く、分光分布の形状が類似したものが多い。凡その傾向としてYAGにGaを添加したものは比較的分光パワーが短波長側に寄り、さらにLuを添加したものは分光パワーがより短波長側に寄る傾向があり好適な傾向を生じる。LuやGaを両方添加することも可能であり、これらのバリエーションは本発明の範囲で使用可能である。
LuAG系のバリエーションの蛍光体において、発光ピークがなだらかに短波長側に高まる非対称性の高い分光分布形状を有するものは、温度特性により短波長側の発光ピーク位置が変化する場合がある。このような蛍光体を第2緑発光蛍光体として単独で使用する場合、短波長側の発光ピーク位置を保持することは困難である。しかし、第1緑発光蛍光体と同時に使用すれば、前記発光ピーク位置近傍の分光パワーの温度特性に伴う変化を抑制することが可能であると共に、その混光比を変化させることで調整が可能となる。

図19は他の、第2緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図である。また、前記図18に類する分光分布を有する他の例としてLa3Si6N11:Ce系 Ca3Sc2Si3O12:Ce系 Ca3(Sc,Mg)2Si3O12:Ce系 CaSc2O4:Ce系のバリエーションなどがある。
発光ピークがなだらかに短波長側に高まる、非対称性の高い分光分布の形状を有するものは、第2緑発光蛍光体に比較的利用可能なことが多い。特に半値幅が広い実施の場合は実施の尤度が高い。
前記のごとく発光ピークがなだらかに短波長側に高まる、非対称性の高い分光分布の形状、つまり、第1と第2の緑発光蛍光体が混光された分光分布を第2緑発光蛍光体単独で有する蛍光体の場合、一般的なYAG系の蛍光体の分光分布のように短波長側の発光が少ない状態の演色効果を作り出すことは困難であり、第1緑発光蛍光体との同時使用による、演色調整の幅は狭くなる。

図20は第2緑発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図である。
前記は分光分布のピーク波長が505nm以上550nm以下、半値幅が45nm以上80nm以下の比較的中帯域の半値幅を示す分光分布の例である。
窒化物系蛍光体 SiON、SiAlON、β―SiAlONや他の窒化物蛍光体の系である、Ba3Si6O12N2:Euや、β-SiAlON:Eu系のバリエーションの例。
シリケート系蛍光体 BOSEの系である (Ba,Sr)2SiO4:Eu(SampleH)のバリエーションの例。
分光分布の形状を比較すると発光ピーク位置は異なるが、第1緑発光蛍光体の材料の組成変化の蛍光体も含まれる。また、珪素系、窒化物系の蛍光体には分光分布が類した形状を有するものも多い。

(2.3.3)赤発光蛍光体の分光分布
図21は赤発光蛍光体の具体的な発光スペクトルを示す図である。
分光分布のピーク波長が600nm以上650nm以下、半値幅が75nm以上120nm以下の比較的広帯域の分光分布を示す分光分布の例である。
窒化物蛍光体 AE−AlxSiyNz:Eu、や、AE−AlwSizyNz:Eu などの窒化物蛍光体の系である、CaAlSiN3:Eu、や、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu、や、CaAlSi(ON)3:Euのバリエーションの例である。
赤発光蛍光体の窒化物蛍光体のバリエーションには相互に分光分布の形状が類しているものが多い。

(2.3.4)第1と第2緑発光蛍光体の分光分布が合成された緑発光
蛍光体の分光分布を検討した結果、以下の傾向があった。
第1緑発光蛍光体の中でも発光ピークが比較的短波長側にあるもの、さらには490nm近傍から520nm近傍に発光ピークを有するものが好ましい。 また、半値幅が比較的狭いもの、中でも50nm近傍以下にあるものが分光パワーが集中しやすく比較的良好な結果を得られる傾向にあった。
第2緑発光蛍光体の中でも発光ピークが比較的短波長側に存在するもので、さらには510nmから540nm近傍に有るもが好ましく、また、半値幅が比較的広いもの、中でも100nmから125nm近傍にあるものが比較的良好な結果が得られる傾向にあった。
これは、555nmから600nmの間のスペクトル抑制帯域は広く浅い傾向があるため、半値幅は最大125nmまで許容可能であるが、120nm、115nm、110nmと半値幅があまり広すぎない傾向がより望ましく、ピーク波長は550nm、545nm、540nmと短波長側にある方が望ましいことと関連する。
第2緑発光蛍光体は比較的半値幅が中程度から広いものが選定されることで、555nm近傍の標準比視感度Vλに対する効率が、標準比視感度Vλより短波長側に重きを置いて維持可能である。
また、前記に加え、副次的には、発光ピークがなだらかに短波長側に高まる非対称性の高い分光分布の形状を有するものも、スペクトル抑制帯域を保持する観点で望ましく、この場合は発光ピークはさらに短波長側の510nmから535nm近傍のものが望ましい。さらには、515nm近傍のものも望ましい。
また、比較的、短波長側に分光パワー集中する第2緑発光蛍光体を使用することで、第1緑発光蛍光体との混光比率変化による演色特性の調整幅は減じるが、第1緑発光蛍光体の添加量を減らしても比較的、短波長側に分光パワー集中させることができる。
例えばLuAGのバリエーションの蛍光体やGaを添加したYAGやLuAGのバリエーションの蛍光体は、比較的半値幅が広く分光パワーが比較的短波長側の510nmから535nm近傍に多い傾向を示すが、短波長側に発光ピークを有するLuAG蛍光体には高温下での使用において分光分布の変化、として短波長側の分光パワーの減少が多い傾向を示すものがある。
この場合、組み合わせる第1緑発光蛍光体を半値幅が比較的狭く温度による分光特性の変化の少ない窒化物蛍光体、例えばBaSi2O2N2:Euのバリエーションや、Ba3Si6O12N2:Euのバリエーションなどにすることが考えられる。
このように、第2緑発光蛍光体が温度特性によって分光パワーの形状が変化しやすいものに対し、組み合わせる第1緑発光蛍光体を温度特性の良いもの、つまり、温度によって分光パワーの形状が変化しにくいものや発光効率維持特性の良いものとすると、その短波長側の分光パワーや分光ピーク位置が温度特性によって変化しにくくなるという特性を付与することも可能となる。
第2緑発光蛍光体に対し第1緑発光蛍光体が、比較的半値幅が狭く、短波長側に分光パワーを有することで、全体としての温度特性による分光分布の変化を抑制する傾向を生じせしめることも可能となる。また、第2緑発光蛍光体の選択幅を広げることが可能となる。
さらに、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体を組み合わせた緑発光の短波長側の分光パワーをより確保するため、前記第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体のいずれか一つ、もしくは、前記第1および第2の緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布において、分光分布のピークよりも短波長側の分光パワーの総量が、前記緑発光の分光分布のピークよりも長波長側の分光パワーの総量よりも小さいことが望ましい。

ここで第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の分光分布が合成された緑発光の分光分布の代表を示し説明する。
先ず、第1緑発光蛍光体に窒素化物系蛍光体、BaSi2O2N2:Euのバリエーションの比較的狭帯域な蛍光体「Sample B」と、第2緑発光蛍光体にアルミネート系蛍光体 YAG系のLuAG、Lu3Al5O12:Ceのバリエーションの比較的広帯域な蛍光体「Sample D」とを組み合わせ、その混光比率を変化させた場合の第1と第2の緑発光蛍光体による緑発光の分光分布の変化の様子を示す。
図22は、光束比を変化させたときの緑発光の分光分布の変化を示す図である。
その混光比率変化に伴い、第1緑発光蛍光体の混光比(光束比)が高まるほど500nm近傍の比較的短波長で半値幅の狭い第1緑発光蛍光体により緑短波長帯域の発光が強調されている。例えば、光束比1:9とは第1緑発光蛍光体の光束1に対し第2緑発光蛍光体の光束9となるごとく第1と第2の蛍光体を混光したものを示す。
第1と第2緑発光蛍光体相互の混光比が調整可能な複数の緑色発光蛍光体の混光結果が、図22のような分光分布の形状の傾向を生じる蛍光体の組み合わせが比較的、好適な結果を生じるものである。前記傾向は、第1と第2緑発光蛍光体の分光分布の形状が発光ピークがなだらかに短波長側に高まる非対称性の高い形状であり、前記、短波長側の分光パワーの増強の強弱がつきやすいものが、各種演色特性や各種視感効率の調整範囲の広さを生じさせる。
また、第2緑発光蛍光体が単体で上記分光分布の形状が発光ピークがなだらかに短波長側に高まる非対称性の高い形状を有するもとすることも可能である。一例としてはYAG蛍光体のバリエーションであり、この場合も第1の緑発光蛍光体の混光比の増加にともない類似の分光変化を示す。
本発明においては第1と第2緑発光蛍光体に機能分離したため、緑発光の短波長側の強化された類似傾向の分光分布を緑発光として得られやすくなったため、蛍光体の選定と調整の自由度が高まった。また、第1緑発光蛍光体が追加されていることにより、第2緑発光蛍光体だけの場合より、緑の刺激純度を高めつつ明るさ感度を確保することができる。

次に、第1緑発光蛍光体に窒素化物系蛍光体 BaSi2O2N2:Eu 系の比較的狭帯域な蛍光体「Sample B」と、第2緑発光蛍光体に珪素系蛍光体(シリケート系蛍光体)や窒化物系蛍光体の分光分布を BOSE (Ba,Sr)2SiO4:Euのバリエーションで比較的狭から中帯域な蛍光体「Sample H」を組み合わせ、その混光比率を変化させた場合の第1と第2の緑発光蛍光体による緑発光の分光分布の変化の様子を図23に示す。
図23は光束比を変化させたときの緑発光の分光分布の変化を示す図である。
比較的短波長で半値幅の狭い第1緑発光蛍光体の混光比率の変化で500nm近傍の緑短波長帯域の発光が強調される傾向は同様である。

以上、本発明の分光分布の特徴を持つ第1緑発光蛍光体の混光比率が増加するとともに、緑発光において緑帯域短波長側(青緑)の500nm近傍の発光が増える。 結果、最終的に得られる演色特性として、これと補色関係にある赤発光の増強につながり、色域が赤−緑方向に拡大し、赤−緑の系統の色彩の色鮮やかさが増強される傾向を、広い色度範囲で安定的な傾向として調整可能となる。
本発明は青色発光LEDと少なくとも2種の緑発光蛍光体を有する3つ以上の蛍光体で構成されるている。このため、第1と第2の緑発光蛍光体の混光比率の調整によって、同一色度においても、上記分光分布の変化に伴う演色傾向の系統だった調整が可能になる。
上記調整は、従来、2種の蛍光体では同一色度で行なうことは困難であった。また、3つ以上の蛍光体を有する蛍光体の調整について、従来は、その機能を合目的に分離し体系的に論じられることは無く、系統だった演色性の調整に対する着眼も見られないものである。
本発明の緑発光を第1と第2緑発光蛍光体に機能分離し、混光比を調整可能としたたことによる演色特性の安定性の高さと適用性の広さは、さらに別途示される。
具体的には、前記の調整により、さらに演色効果を広い色度範囲で系統的な傾向を維持したまま調整できることであり、実施の形態により分光分布が変化しても、その変化の傾向を系統性を有して回復方向に調整できることなどである。
また、別記実施例においても前記第1および第2の緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布は、前記緑発光の分光分布のピークよりも短波長側の分光パワーの総量が、前記緑発光の分光分布のピークよりも長波長側の分光パワーの総量よりも小さい場合、比較的短波長側に発光ピークを有し、発光ピークに対し非対称性の高い分光分布の形状の場合に、好適な解が広く得られる傾向にあった。

(2.3.5)緑発光の分光分布と全体の分光分布の関係
図24は、光束比を変化させたときの分光分布の変化を示す図である。
全体の分光分布はLEDと第1と第2の緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の分光分布が合成され、最終的に照明に供する時点の分光分布である。同図の上欄はDuvが0において6700K、中欄は5000K、下欄は2700Kの結果である。図中の分光分布は同一青発光LEDと蛍光体を使用し第1と第2の緑発光蛍光体の混光比率を変化させた場合の、青発光LEDと第1と第2の緑発光蛍光体と赤発光蛍光体が合成された最終的な全体の分光分布を示している。使用される第1と第2の緑発光蛍光体は図22と同様である。青発光LEDの分光分布のピーク波長は445nm 、第1緑発光蛍光体はBaSi2O2N2:Euのバリエーション「Sample B」、第2緑発光蛍光体はLu3Al5O12:Ceのバリエーション「Sample D」、赤発光蛍光体は窒化物蛍光体の、(Sr,Ca)AlSiN3:Euのバリエーション「SampleL」の事例である。
何れの相関色温度でも、第1緑発光蛍光体の光束比が高いほど、500nm近傍の分光パワーが高い。第1緑発光蛍光体の分光パワーを高めた場合、同一色度(同一相間色温度)を実現するためには、補色関係にある赤発光蛍光体の分光パワーも高める結果をとなる。このため、分光分布には第1と第2の緑発光蛍光体に起因する分光ピークと、赤発光蛍光体に起因する分光ピークが強調され、最終的に合成された全体の分光ピークの山谷が強調される結果を生じている。
つまり、本発明の場合は、実用上の構成に合わせ、緑発光蛍光体の内、第1緑発光蛍光体と、第2緑発光蛍光体の内、第1緑発光蛍光体の混光比率を上げることで、緑の発光ピークの強調に伴い赤発光蛍光体の発光ピークも連動して強調可能であるということである。
上記、関係は例示以外にも共通であり、本発明では、第1と第2緑発光蛍光体の混光比を変化させることにより、緑発光の調整で赤発光蛍光体の発光強度を好適に調整可能とする傾向を内包したたため、広い色度範囲で系統だった全体の分光分布と演色傾向の調整が可能になる。

(2.3.6)実施上での適応性
また、前記第1と第2の緑発光蛍光体の混光比調整により多様な実用形態においてのメリットが生じる。これは、LEDと蛍光体の実装形態や使用形態の変化に適用性を高めることにも連動する。
例えば、青発光LEDに対し複数の蛍光体を理想的に混光した場合と、蛍光体を混合して混光した場合の分光分布を比較する。複数の蛍光体を混合して蛍光体間の相互吸収が大きい条件の実施の場合は、最終的な全体の分光分布に、その山谷を減じる傾向が生じる。
例えば、蛍光体同士の相互吸収による分光分布のズレなどの現象である。
これを、青発光LEDと緑発光蛍光体と赤発光蛍光体に単純化した一般的な場合で述べる。
図25(a)〜(d)にシミュレーションから得られた理想的に混光された分光分布と試作品から得られた分光分布を示す。 試作品は蛍光体単体の分光分布のシミュレーション合成から得られた理想的な状態に比べ分光分布の山谷の形状の起伏が鈍る傾向がある。さらに、図26(a)、(b)に2種類の蛍光体を混ぜて単層の蛍光体層とした場合と2種類の蛍光体を個別に2層とした場合の分光分布を示す。複数の蛍光体を混合使用した場合は最終的な全体の分光分布の山谷の起伏が鈍る傾向が生じている。逆に蛍光体を1種1層とするなど、混合使用する状態を回避した層構造などの実施の場合は、蛍光体の相互吸収がより小さくなり、最終的な全体の分光分布の山谷の起伏が回復する傾向を生じている。
図25と図26においては第1と第2の緑発光蛍光体が混光された緑発光の発光ピーク強度を1として正規化した場合、青発光LEDの発光ピークと前記緑発光の発光ピーク強度の間の最低値(BG間最低値)、および、前記緑発光の発光ピークと赤発光蛍光体の発光ピークの間の最低値(GR間最低値)の関係を示す。
図25(a)においてシミュレーション(理想的な混光)の場合、BG間最低値は約0.06、GR間最低値は約0.8であり、現実(試作事例)の場合、BG間最低値は約0.3、GR間最低値は約1である。蛍光体の相互吸収などによりBG間最低値は約0.25上昇、GR間最低値は約0.2上昇している。
図25(b)においてシミュレーション(理想的な混光)の場合、BG間最低値は約0.15、GR間最低値は約0.65であり、現実(試作事例)の場合、BG間最低値は約0.32、GR間最低値は約0.66である。蛍光体の相互吸収などによりBG間最低値は約0.17上昇、GR間最低値は約0.01上昇している。
図25(c)においてシミュレーション(理想的な混光)の場合、BG間最低値は約0.15、GR間最低値は約0.98であり、現実(試作事例)の場合、BG間最低値は約0.37、GR間最低値は約1である。蛍光体の相互吸収などによりBG間最低値は約0.22上昇、GR間最低値は約0.02上昇している。
図25(d)においてシミュレーション(理想的な混光)の場合、BG間最低値は約0.19、GR間最低値は約0.8であり、現実(試作事例)の場合、BG間最低値は約0.58、GR間最低値は約0.96である。 蛍光体の相互吸収などによりBG間最低値は約0.39上昇、GR間最低値は約0.16上昇している。
以上からは低色温度領域においてBG間最低値は理想的な状態より約0.2から0.3上昇が想定され、GR間最低値は理想的な状態より約0.02から0.2上昇が想定される。また、高色温度領域においてBG間最低値は理想的な状態より約0.15から0.4上昇が想定され、GR間最低値は理想的な状態より少なくとも約0.01から0.2上昇が想定される。
前記を全体的に見た場合、実施形態により0.01から0.4程度の最低値の上昇が想定できる。
図26(a)において蛍光体の配置構造を多層化して蛍光体相互吸収の割合を減じた場合、BG間最低値は約0.41、GR間最低値は約0.99であり、現実(試作事例)の場合、BG間最低値は約0.48、GR間最低値は約1である。蛍光体の相互吸収などによりBG間最低値は約0.07上昇、GR間最低値は約0.01上昇している。
図26(b)において蛍光体の配置構造を多層化して蛍光体相互吸収の割合を減じた場合、BG間最低値は約0.28、GR間最低値は約0.73であり、現実(試作事例)の場合、BG間最低値は約0.27、GR間最低値は約0.7である。蛍光体の相互吸収などによりBG間最低値は約0.01上昇、GR間最低値は約0.03上昇している。
前記を全体的に見た場合、実施形態により0.01から0.1程度の最低値の上昇が想定できる。
以上のごとく、蛍光体相互吸収が増加する実施では緑発光の発光ピークに対し全体の分光分布の山谷が埋まる傾向が生じる。
しかし、この傾向は一般には基準の光の分光分布に近づき分光分布の山谷を減じる方向であり、色再現の傾向は低彩度化する傾向であるがRaの数値が高まる傾向にあることが多い。
これら事例が示すように、同じ蛍光体を使用しても、一般的には蛍光体の塗布や実装状態によって、理想的な混光状態よりも最終的に得られる全体の分光分布が山谷を減じスペクトル抑制が行なわれにくい方向に変化する傾向にある。
さらには、蛍光体の濃度が高い場合と低い場合の差、蛍光体の粒径が大きい場合と小さい場合の差、励起源のLEDのパワーが大きいときの蛍光体の励起密度飽和や温度消光などによる差異、また、励起源の青色発光LEDに蛍光体を近接配置する場合と、リモートフォスファーと呼ばれるようなLEDと蛍光体を離間配置する場合との違いなど、その実装状態によって同じ蛍光体材料を使用しても分光分布に差が生じることになる。
このように実装形態によっては最終的に得られる全体の分光分布の山谷の起伏が鈍ることで、実際の演色性が目的の演色性からずれることとなる。
従来技術において、体系的な検討がなされていない中で、定点で特定の蛍光体を組み合わせれば高演色が得られたと言うような一般的な実施検証では、蛍光体の組み合わせが同じでも、その特定の実施と実装状態に連動し、たまたま発生した結果であったか否かさえ不明である。
しかも、従来の青色発光LEDと蛍光体を使用した場合などでは、同一色度で分光分布の山谷の形状を実施・実装形態の変化に合わせて回復調整させる手段が無い。
つまり、従来は、実施や実装の形態により、光源の分光分布が、目的の分光分布とズレても、どのような分光分布の形状を内包していれば、系統的に目的の分光分布を回復調整できるかという知見も無いという状況であった。

本発明のごとく、最終的にLEDと各種蛍光体の分光分布が混光された状態で、第1と第2の緑発光蛍光体が混光された緑発光の発光ピークに対し、青発光LEDの発光ピークとの間の分光パワーの最低値と、赤発光蛍光体の発光ピークとの最低値を本発明のごとく低く誘導することが望ましい。しかし、従来、前記分光分布の谷が埋まる傾向を実施の状態で回復するためには、従来では、LEDのピーク波長を短波長側に選定する、または、赤発光蛍光体のピーク波長がより長波長のものを選定する、緑発光蛍光体や赤発光蛍光体をより半値幅の狭いものに変更するなどの材料変更や抜本的な実装形態の変更にまで立ち返る必要があった。
さらに、実施の相関色温度や色度ごとに蛍光体の混合濃度比が異なり、分光分布の相互影響の誤差の様相が変化することなどから、例え、蛍光体を同一なものを使用し、異なる色度で演色評価数が類似な結果が得られたとしても、特定色度の結果による局所的な分析を限定的に不連続に行なったにすぎず、分光分布の連続的な変化傾向を捉えられず、実際の演色傾向は色度ごとに不統一で異なるものが生じていた。
また、実施の形態による蛍光体層の濃度や厚みの変化など実装条件の差が存在することから、最終的な全体の分光分布は同じLEDと蛍光体を使用しても実施形態が変化した場合に変化を伴い、好適な分光分布の特性を一般化することは困難となっていた。しかし、本発明のごとく基本的な傾向をとらえ、それを保持回復する手段を分光分布に内包したことで、実装形態に対しても広範囲に安定的な実現が可能となった。
さて、蛍光体の分光分布の山谷をシミュレーションに近く理想的に形成するには、蛍光体を蛍光体の相互吸収を減ずる様に、例えばドットマトリックス状に並列配置し、LEDの発熱や励起密度飽和を抑制するためLEDと蛍光体を離間配置するリモートフォスファーの構成を取る手段などが理想的な実施として考えられる。このように、実施形態による誤差を最小化した理想的な状態で分光分布を規定することによって、解を一般化し論理的な整合性を得るメリットは多い。しかし、実装形態の変化により最終的な分光分布が変化しその山谷の形状を回復する手段が内包されていない場合では、多様な実使用に答える実施手段としては不十分な面もある。
しかし、本発明の図24の第1と第2の緑発光蛍光体の光束比を変化させ、同一色度で実施した例のごとく、そもそも、同一色度で同一蛍光体を使用し、分光分布の山谷の形状を強調できる手段を備えておれば、実施形態の変化により発生した、分光分布の山谷が打ち消される傾向を実施において調整可能である。
つまり、行なおうとする実施形態が分光分布の山谷の減少方向を生じさせるものであっても、第1緑発光蛍光体の混光比率を高めれば、系統的な傾向を保持したまま、当初の目的とする分光分布の状態へ回復傾向に調整が可能となるごとく予め要件が内包されているということである。

本発明のごとく第1と第2の緑発光蛍光体に機能分離しその実施を行えば、LEDと蛍光体からの発光が混光された分光分布において、青発光LEDと緑発光蛍光体の間の分光分布の谷(スペクトル抑制帯域)、緑色発光蛍光体の発光ピークの山、緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の間の分光分布の谷(スペクトル抑制帯域)、赤発光蛍光体の発光ピークの山は、理想的な混光で得られた状態に近づくごとく保持回復させる傾向に調整が可能であり、広い条件での適用と調整が実現できる。
よって、本発明は広い実施形態での演色効果の体系的な確保とともに、広い実施形態で起こり得る、分光分布の山谷の減少方向を回復調整できる要件を内包している。
このような、実施実装上の課題にまで着目し、予め、その調整対応要件まで内包する技術は、非常に新規性や進歩性が高いものである。

以上の傾向が予め内包され好適に要件設定されたことにより、広範囲な色度や実施の形態において、U*V*平面上での色域のU*軸方向の拡大を増強し、赤色と緑色の高彩度な色再現を実現することができる。
第1緑発光蛍光体の分光パワーを高めた場合、同一色度を実現するためには、赤発光蛍光体の分光パワーも高める傾向を誘導する結果となる。これにより、U*V*平面上での色域のU*軸方向の拡大を誘導し、赤色と緑色の高彩度な色再現を実現することができる。
逆に、第1緑発光蛍光体の分光パワーを低くした場合、同一色度を実現するためには、赤発光蛍光体の分光パワーも低くする傾向を誘導する結果となる。これにより、U*V*平面上での色域のU*軸方向の拡大を抑制し、赤色と緑色の忠実な色再現を実現することができる。
このとき、第1緑発光蛍光体を色刺激純度調整に有利なものとし、第2緑発光蛍光体を各種視感度維持に有利なものとするなど、第1と第2の緑発光蛍光体に主機能とする役割とウエートが相互に配分される。
このように、緑発光の分光分布を機能分解しコントロールすることで逆説的に赤発光の分光分布をコントロールを可能とせしめる組み合わせの結果、同一色度で忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスを調整することができる。
これは、目的の色度を決定すれば赤発光蛍光体の分光パワーが決まってしまう比較例(図3、図4)など、青発光LEDと2種の蛍光体の組み合わせでは実現できないことである。 また、例えば青発光LEDと緑発光蛍光体と黄発光蛍光体と赤発光蛍光体の組み合わせなどの、青発光LEDと3種以上の蛍光体の組み合わせでも、各蛍光体の機能分離とその調整が演色効果に与える影響が明確ではない場合には、1点の色度に対して解が収束せず、実質的に青発光LEDと3種以上の蛍光体の調整の方向性が決まらない。よって、系統だった分光分布の調整に基づく現実的な量産や多様な実施が困難である。
これに対し本発明は、広い相関色温度範囲で、量産の現実に即し、蛍光体を変えず同一としたままの調整で、系統性を有した演色傾向の調整が可能である。

また、本発明では設定のスペクトル抑制帯域を回避するごとく、緑発光と赤発光の蛍光体の分光分布が設定されるため、逆説的に目的の比較的短波長側の緑発光と赤発光の増強が達成される。前記、増強される帯域は、従来、標準比視感度Vλでは少なく見積もられている、各種明るさ感の分光感度に共通する傾向を有すスペクトル強度と関連づけられており、本発明では緑や赤の色刺激純度を高める分光感度の傾向と、各種明るさ感度を高める傾向が複合的に内包されるとになる。

他方、蛍光体単体での状態と、実施において蛍光体が混合使用された状態において、蛍光体の相互吸収などの条件変化が多様に存在し、分光分布には実施上の誤差が生じる。現実には蛍光体の相互吸収が多く非常に悪い条件(例えば、蛍光体の励起密度飽和が大きく起こるような出力の大きいLEDとの組み合わせで、高濃度で小粒径の蛍光体を拡散材と共に塗布する場合など)での実施する場合なども有りうる。よって、分光分布の例示において、非現実的な相互吸収要件の組み込みや、蛍光体の塗布や形成条件自体の意図しない誤差、実装形態や使用パワー密度などの変化に伴う誤差などを判別排除するため、実施状態に伴う誤差用件の少ない、分光分布の特長が良く現れた状態での分光分布の検討を例示の基本とおくことで、実施の状態での過剰な誤差繰り込みを除く方向で基本的な特性と傾向を示した。その上で、前記誤差を統一的な系統性もって回復する手段を本発明に内包させ現実の適用度を高めたものである。

単純に蛍光体を組み合わせ、Raが高まったなどの従来技術の報告には、上記のような誤差要因も未分化であることが多く、その結果が本質的な蛍光体の分光分布の特徴を捉えたものであるのか、実施の誤差が組み込まれたために特定の実施や特定の色度で得られたのかさえ充分検討されていないことが多い。また、実施に当り、分光分布が変化する傾向を回復実行する手段の示唆や着眼も従来は検討されていないという状況にある。

本発明では、実施形態により生じる分光分布の変化に対する、適用性(アダプタビリテイ)の高さも特徴でもある。また、これらが体系的に調整可能で、発明の範囲の中での数値パラメータの変化の自由度が高いことは、逆説的に本発明が良好に検討され、安定的な結果が生じる範囲を導出した結果でもある。よって、本発明で本質的に分光分布に組み込まれた演色特性や明るさ感の確保などの各種の傾向を、広い実施形態、広い色度範囲で効率よく実施可能とするものである。

<実施例1>
第2緑発光蛍光体としては比較的広帯域な蛍光体を使用した事例である。
実施例として、青発光LED素子と前記青色発光LED素子により励起される、第1緑発光蛍光体と、第2緑発光蛍光体、および、赤色発光蛍光体を使用した場合の典型的な事例の詳細を示す。
青発光LEDは窒化ガリウム系のLEDであり典型的なピーク波長として445nmを使用している。

典型的な第1緑発光蛍光体としては、窒化物蛍光体であるAE-Si2O2N2:Euの系、さらに具体的には、BaSi2O2N2:Euの系を使用している。BaSi2O2N2:Eu 「Sample B」のピーク波長は約495nmであり、半値幅は約30nmである。Sample Bの発光スペクトルは図17に示されている。第1緑発光蛍光体の実施の中でも半値幅が狭い(15nm以上45nm以下)一例である。

典型的な第2緑発光蛍光体としては、アルミネート系蛍光体であり、ガーネット系蛍光体であるYAG蛍光体の中でもLuAGの系、具体的には、Lu3Al5O12:Ceの系を使用している。Lu3Al5O12:Ce「Sample D」のピーク波長は約515nmであり、半値幅は約105nmである。Sample Dの発光スペクトルは図18に示されている。Sample Dは、第2緑発光蛍光体の中でも半値幅が広い(75nm以上125nm以下)一例である。

典型的な赤発光蛍光体としては、窒化物蛍光体であるAE−AlSiN3:Eu の系、さらに具体的には、(Sr,Ca)AlSiN3:Euの系を使用した一例である。(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」のピーク波長は約625nmであり、半値幅は約80nmである。Sample Lの発光スペクトルは図21に示されている。

前記組み合わせを実施例1の典型的な組み合わせとする。

図27、28は、実施例1の典型的な組み合わせで光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。光束比が1:9とは、第1緑発光蛍光体の光束比が1に対し第2緑発光蛍光体の光束比が9の混光比率となるごとく使用し、構成された実施であることを示す。図27には、指標としてR1からR15までの各特殊演色評価数を示す。図28には、指標として、Ra、Ra4、Ga、Ga4、R9、R10、R11、R12、R1−R15レンジ、R13およびR15を代表的に示す。図29は、実施例1で1:9の場合の特性を示す図である。
次に、前記結果を従来のLED光源の比較例と対比する。
図3、図4は本実施例と同じピーク波長445nmのLEDと、標準的なYAG蛍光体、および、本実施例と同じ窒化物蛍光体(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」を使用したものであり、一般的な従来例としてその差は充分比較できる。
従来のLED光源の比較例図3と図28を比べて、Raは相関色温度が高い範囲まで高い。
また、Gaについても、比較例に比べて100以上となる相関色温度の範囲が広い。Ga4についても、比較例に比べて100近傍となる相関色温度の範囲が広い。また、R9についても、比較例に比べて大幅に改善されている。Ra4についても、比較例に比べて改善されている。R1−R15レンジについても、比較例に比べて小さくなっている。細かくは省略するが、各種Riのレンジも小さくなっており、Raなどに平均化される前の特定の色みが悪いというような、バラツキは押しなべて改善された。また、自然対象物の演色評価を補うものとしてR13の西洋人の肌を実際の各人種の肌の分光分布とした場合、R14の葉の色を現実に近づけた場合もその評価指標は改善されていた。

ここで、詳細検討するため図29に例示するごとく既存のRaやRiを計算する過程で算出される色度座標をU*V*平面上マッピングした色域を見ると、基準の光の色域の多角形に近い形状にプロットされたことで、色の見えのバランス面も改善がなされ、特定色だけが色ずれが大きい情況は発生していないことが判る。つまり、GaやGa4を形成する多角形の色域の面積の増加は、色域の多角形の意図しない歪によるものではないこと、これに伴い各Riのレンジも小さくなっていることが裏づけられる。
U*V*平面上のプロットは原点から外へ向かうほど色再現の鮮やかさが向上することに連動する。一般的に照明用LEDで不満とされることが多い、赤の色の見えの鮮やかさが不足の場合、図4、図29の下段のU*V*平面上の4角形の色域のU*軸のプラス側(右側)にある高彩度な赤の色票R9の演色結果の色度点が原点に近づく。また、R9の色度変化と相関の高い変化として図4、図29の下段のU*V*平面上の8角形の色域のU*軸のプラス側(右側)にある中彩度な色票R1やR8の演色結果の色度点も原点に近づく。
一般的な組み合わせの従来例である比較例の図4と図29を比べると鮮やかな赤の色の見えを指標する特殊演色評価数R9の値の改善が行なわれ色域のU*軸方向への拡大が行なわれていることも判る。また、中彩度色に対しても連動してR1やR8の赤みの改善が行なわれ、色域のU*軸方向への拡大さていることも判る。
また、赤と補色対比関係にある緑に対し、図4、図29の下段のU*V*平面上の4角形の色域のU*軸のマイナス側(左側)にある高彩度な緑の色の見えを指標する色票R11の色度が、鮮やかに感じられる方向へ改善されていることが判る。また同様、図4、図29の下段のU*V*平面上の8角形の色域のU*軸のマイナス側(左側)にある中彩度な色票R4やR5の色度が、鮮やかに感じられる方向へ改善されていることも判る。
以上、第1と第2緑発光蛍光体による分光分布の要件の形成で、緑に限らず赤の見えも改善する。これにより、反対色応答系であり補色関係である赤と緑の演色が相互にバランスし、色域のU*軸方向への拡大される演色傾向を得たことも判る。

なお、前述の通り、既存のランプとの比較の観点で、Ra、Ra4、Ga、Ga4、各Ri特にR9、R13、R15の値を検討した。これと照らし合わせると、実施例1の色再現性は、実用的な相関色温度の範囲(約2500K〜約7100K)を含み、その上下の相関色温度の範囲も含めて、既存のランプの色再現性と遜色が無い程度に改善されていると言える。具体的には、実施例1で光束比1:9の場合、実用的な相間色温度の範囲においてRaは80以上、Ra4が50以上(R9からR12も個々値においても50以上)、R13が85以上、R15が85以上である。
また、実施例1の全体が混光された状態の分光分布において、青緑間の分光パワーの最低値と緑赤間の分光パワーの最低値とが存在する(図29上欄)。ここで、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで32%、5000Kで28%、2700Kで15%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで65%、5000Kで67%、2700Kで72%である。
色域の多角形について、実施例1は、比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている(図29中欄および下欄)。これにより、色再現性の色相間でのバランスがとれていることが分かる。このことが、R1−R15レンジの改善に繋がっていると言える。

また、実施例1の色域の多角形は、第1緑発光蛍光体が無く第2緑発光蛍光体(Sample D)のみの場合に比べてもU*軸方向に拡大されている。
ここで、図90の、第2緑発光蛍光体(Sample D)を単独使用した場合の特性を示す図を参照する。
青発光LEDと赤発光蛍光体は変更せず、第1緑発光蛍光体が無く第2緑発光蛍光体(Sample D)のみの場合の色域の多角形は、図90中欄および下欄に示されている。前記構成の演色結果で構成された色域の多角形は、基準の光による演色結果で構成された色域の多角形よりU*軸方向に小さい傾向にある。
しかし、第1緑発光蛍光体が追加された図29の色域の多角形は、基準に光による演色結果で構成された色域の多角形よりもU*軸方向に同等ないしは大きい傾向にある。第1緑発光蛍光体が追加されたことにより赤方向にも色域が拡大し、赤の色再現が高彩度な傾向を生じていることが判る。また、この色域の多角形の変化の傾向は第1緑発光蛍光体の混光比を高めることにより、さらに強調される。
通常、赤色の色再現を向上や高彩度化させるには、赤発光蛍光体の発光ピークを長波長側に変化させるなど、赤発光蛍光体の変更により長波長側の分光エネルギーの増強することが考えられる。しかしながら、実施例1は、比較例に対して赤発光蛍光体を変えることなく、第1緑発光蛍光体を追加したのみである。これから、赤発光蛍光体を変更するのではなく、第1緑発光蛍光体の追加により高彩度の赤色の色再現の改善を図れていることが分かる。
通常考えられるように、赤色の色再現を変化させるため、赤発光蛍光体まで都度変化させると、青LEDと3種以上の蛍光体の混光の解は発散する。しかし、本発明の第1と第2の緑発光蛍光体の混光比という形で赤色の演色性をコントロールすると好ましい傾向に色域の多角形の形状変化を誘導し、統一的な演色傾向を有した解が得られる。
図31の実施例1で光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図が、図90の結果に対応した第1緑発光蛍光体が無い場合の結果である。
第1緑発光蛍光体を用いず、第2緑発光蛍光体のみを使用した場合でも、前記、標準的なYAGよりも短波長側に分光パワーが大きい蛍光体が選定されているため、図3、図4に対応する従来の黄色発光蛍光体である標準的なYAG蛍光体、および、本実施例と同じ窒化物蛍光体を使用した従来例よりRaなどは改善が進んでいる。
ここで、第1緑発光蛍光体がある場合の図27と図28を使用し、第1緑発光蛍光体の有無での結果を対比すると、先の色域形状の変化を受け、R9の値は広い相関色温度で大きく改善されていることがわかる。また、広い相関色温度で各Riの評価値の高低のバラツキが抑えられ、例えばR1―R15レンジが小さくなっていることも判る。これは、第1緑発光蛍光体が追加され色域の多角形がU*軸方向に拡大されたが、色域の多角形の形状も改善され、基準の光に対し特定の色みのみが悪いと言う演色の色バランスの崩れが低下したことを示している。
第1と第2の緑発光蛍光体を有す本発明は、緑発光蛍光体が1種の事例に比べ、Raの値が例え似たように高くとも、色域の多角形の形状の傾向の違いを含んだ各Riのバラツキが押さえられ高位平準化されての結果である。
単独のRiの値の改善や、Riが平均化されたRaの値のみでは評価困難な各色再現バランスが本発明では複合考慮されていることが判る。
各Ri値がばらついていても、その平均値である単純なRaの値の高低のみの比較などでは捉えきれない事象を本発明が改善していることを示す例である。
また、各評価は緑発光蛍光体が1種の事例に比べ、広い相関色温度帯域で向上する傾向も得られ、さらに別途示す第1と第2の緑発光蛍光体の混光比を変化させる例も勘案すると、非常に広範囲な色度で安定的な演色特性の向上が得られていることが判る。
ここにおいて、広い相関色温度で色域GaやGa4が拡大される傾向にあることも同時に見て取れる。

さて次に、標準比視感度Vλと実際の視環境で感じる明るさ感の改善を、暗所視感度V‘λと大視野での明るさ感度Vb10λを代表にして示す。図30は、実施例1の視感度向上割合を示す図である。
図30は、本実施例と同じピーク波長445nmの青発光LEDと本実施例と同じ赤発光蛍光体(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」を使用した他の事例を基準とした場合との相対比較である。
具体的には青発光LEDと黄色発光蛍光体である標準的なYAG蛍光体と赤発光蛍光体の結果を基準値の1とし、青発光LEDと第1緑発光蛍光体「Sample B」と第2緑発光蛍光体「Sample D」と赤発光蛍光体、および、第1緑発光蛍光体の追加が無い(第2緑発光蛍光体のみ)場合を比較し、基準値1に対する向上割合を示している。
比較基準となる標準的なYAG蛍光体を使用した実施は比較例(図3、図4)と対応している。
比較対象となる第2緑発光蛍光体のみの実施は図31、図90に対応している。
比較対象となる第1と第2の緑発光蛍光体がある実施は、第1緑発光蛍光体が光束比1、第2緑発光蛍光体が光束比9となるごとく構成された図27、図28、図29に対応している。
図30において、比較例(図3、図4)の各々の相関色温度での暗所視感度V‘λと大視野での明るさ感度Vb10λの値を1に正規化して、それに対しどれだけ実施例の刺激強度が増加したかを比率で示している。
これによると、第1緑発光蛍光体の追加が無い場合でも、第2緑発光蛍光体は、黄色発光蛍光体である標準的なYAGよりも短波長側に分光パワーが大きい蛍光体が選定されているため、比較例(図3、図4)に比べてV'λおよびVb10λの両方が向上している。さらに、第2緑発光蛍光体を加えた第1と第2の緑発光蛍光体を有する実施例では、V'λおよびVb10λの両方が向上する。これは本発明の第1と第2の緑発光蛍光体により、緑発光の短波長側の分光パワーが増強されたことと、それに連動して赤発光の分光パワーが増加したことによる。
具体的には、第1と第2の緑発光蛍光体を有する実施例のV'λは、黄色発光蛍光体である標準的なYAGを使用する比較例の1.2倍以上である。また、第1と第2の緑発光蛍光体を有する実施例のV10bλは、比較例のV10bλの1.05倍以上である。
これより、標準比視感度Vλに基づく同じ照度で照明されている場合、実施例では暗所視や薄明視の明るさ感が高く感じ、かつ、実際の環境での明るさ感も高く感じる傾向を有していると言うことである。これらの向上は、原理的に、本発明の分光分布の分光パワーの配分を、標準比視感度Vλのみでなく、各種の明るさ感度を高める傾向に予め分光分布の用件を設定したことによる。
また、これは一般的に行なわれる単純に標準比視感度Vλに基づく発光効率の向上を狙った分光分布の検討では考慮されない異なる事象を捉えた効率向上である。本発明では本質的に視覚基礎刺激となる錐体・桿体の分光感度の刺激効率を高め、各種視感度と標準比視感度Vλとの差を考慮したことで、この傾向が内包されている。

さらに、通常行なわれるような、より長波長な発光を有する深い赤みの追加や、460nm近傍以上500nm近傍以下の蛍光体の追加で、青発光LEDと蛍光体の発光の間の分光分布の谷を埋めて、基準の光の分光分布に近似させることによりRaの数値を上げるような改善では、各種視感効率が低い領域に蛍光体の分光パワーが配分されてしまう。本発明ではこの傾向が抑制されていること、かつ、各種視感や、そもそもの錐体・桿体などの基礎刺激を効率よく刺激する傾向を内包しているため効率的・効果的に各種視感度の改善が可能である。

本発明は、RaやRiの数字が高い低いという事象を一面的に捉えたものとは異なる。技術的互換性を持った説明の観点からそれら数字を使用するが、その内容に関しては、前記のように、視覚、色覚の観点を複合する新たなコンセプトを加え、予め分光分布にその傾向を内包させた上で、広義の演色性や明るさ感を改善するものである。
演色特性を示すにあたり、既存指標と互換性を保ちつつ色の見えを最適化する補助指標を複合使用するという新たな評価を組み合わせた結果に基づく。
事象の数値としての表出に、広く普及しているRaやRiの指標の数値をあえて使用したとしても、その内容はRaやRiでは従来捉え切れていなかった事象を複合的に捉えている。
これら多重の複合検討により、本発明は基準の光がCIE昼光と完全放射体とで入れ替わるような広い相関色温度相範囲での演色特性の傾向の安定性、実施上の調整の容易性、既存他光源との演色特性の傾向の類似という新たな観点まで考慮した複合的な好ましい分光分布の用件を内包している。
視覚・色覚特性に基づく演色特性と明るさ感の同時に好適化するコンセプトや、既存演色評価指標と互換性の高い拡張評価指標、およびその複合的拡張まで含め、抜本的に新しい考えに基づいて分光設計されたものが本発明である。
よって、本発明の分光分布の特徴には複合された効果が原理的に内包されている。ゆえに、演色特性の傾向の安定性は非常に高く、実施上の適用性は非常に広い。これら、本発明の安定性の高さと適用性の広さはさらに別途示される。
具体的には、本発明のごとく第1と第2の緑発光蛍光体に好適に機能分離したことにより使用される青発光LEDと蛍光体の選択に対し、選択幅をもたらしたことと、演色結果の安定性を両立したことであり、実施において最終的に青発光LEDと蛍光体の分光分布の形状が変化しても、第1と第2の緑発光蛍光体の混光比調整により好適で系統的な演色傾向を維持したまま分光分布の形状を可変できることである。

(1)第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比変化
次に、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比を変化させた場合について説明する。
第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比を変化させるにあたり、多様な方法が考えられるが、幾つかの例を示す。
使用するLEDに相当する励起源を使用し、同一パワーで蛍光体を励起し、蛍光体の分光分布を測定する。蛍光体の温度特性を考慮するため前記測定を、実際の使用に供する定格温度相当や励起パワーで測定すると、なお好ましい。
前記、各々の蛍光体の分光分布と標準比視感度Vλを掛け合わせ、各々の蛍光体の光束の相対値を得る。その後、目標の光束の比率になるごとく第1と第2の緑発光蛍光体を混合し励起源のLEDに相当する励起光で励起し緑発光を得る。この際、単一発光蛍光体の分光分布の測定値からシミュレーションにより目標の光束比となるよう合算する。前記、シミュレーションで予め求めた目標の光束比率で混合された緑発光の分光分布の形状に略一致するように第1と第2の緑発光蛍光体の粉体を直接混ぜ合わせて調整しても良いし、各々、蛍光体粉体を分散媒に混錬した状態で調整しても良い。その後、第1と第2の緑発光蛍光体を擬似的に単一の緑発光蛍光体として扱い、目標色度を得るべく赤発光蛍光体を混合する。
この際、蛍光体の光束比と蛍光体重量比の相関関係を予め求め、蛍光体重量比として管理することも可能である。
また、直接、シミュレーションで、青発光LEDの分光分布と、目標の光束の比率になるごとく合成した第1と第2の緑発光蛍光体の分光分布、および、赤発光蛍光体分光分布を合成し、これと、略一致するように全体の分光分布を調整することも可能である。
以上の例示にも多様な調整手段が存在する。さらに、最終的に得られた青発光LEDと蛍光体全体の分光分布の微調整のために、分光分布の山谷の形状変化を多く付与できる、第1緑発光蛍光体と赤発光蛍光体を中心に添加調整を加え、目標の分光分布に近づける微調整を行なうことも可能である。
本発明の第1と第2の緑発光蛍光体の光束比は、実施形態による誤差の繰り込みを最小化すべく、基本的に予め同条件で求めた各蛍光体の分光分布を合成するシミュレーション計算で求めた光束比である。

さて、実施例1の典型的な組み合わせで第1と第2の緑発光蛍光体の光束比を変化させて得られた事例を代表として示す。青発光LEDの分光分布のピーク波長は445nm 、第1緑発光蛍光体はBaSi2O2N2:Euの系「Sample B」、第2緑発光蛍光体はLu3Al5O12:Ceの系「Sample D」、赤発光蛍光体は窒化物蛍光体の、(Sr,Ca)AlSiN3:Euの系「Sample L」の事例である。
使用する青発光LEDや蛍光体は図27、図28、図29、図22、図24などに対応している。

図31は、実施例1で光束比0:10の場合、図32は、実施例1で光束比0.2:9.8の場合、図33は実施例1で光束比1.5:8.5の場合、図34は実施例1で光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図である。
また、実施例1で光束比1:9に相当する図は、図27、図28となる。

例えば第1緑発光蛍光体の光束が2で、第2緑発光蛍光体の光束が8の場合を光束比2:8のごとく記載されている。光束比0:10の場合は、光束比ほぼ0:10の場合の結果と略一致している。指標として、Ra、Ra4、Ga、Ga4、R9、R1−R15レンジを代表的に示し、他の評価指標の数値の図示は省略している。
第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比を変化させた場合でも、実施例1は比較例(図3、図4)に比べて各指標が向上されていることが分かる。また、より詳細には、第1緑発光蛍光体の光束比が低い場合は、比較的低い相関色温度でのRaやRiの改善が見られ、第1緑発光蛍光体の光束比が高い場合は、比較的高い相関色温度でのRaやRiの改善が見られる。
図31から図34、図28を相互に比較すると、各指標が描くカーブは、第1緑発光蛍光体の光束比の高まりに伴い連続的に変化し、相関色温度の高い方が評価の数値が上昇する傾向にある。また、図示は省略しているが、第1緑発光蛍光体の光束比が高い場合は、RaやRiの数値が低くとも、U*V*平面上の色域がU*軸方向の正負に拡大している。

次に第1緑発光蛍光体の光束比を、さらに大きく高めた場合の色域の変化の傾向を図35に示す。図35は、実施例1で光束比3:7の場合の特性を示す図である。
これは、RaやRiの数字上の高低よりも、好ましい色域の拡大の傾向を優先し、高彩度型の特性を主に指向した実施である。図31から図34と同様の構成で第1緑発光蛍光体の混光比をさらに増やした場合の色域を代表として示した。

図29の光束比1:9、図90の光束比0:10の場合の特性を示す図と対比すると、前記図の色域が第1緑発光蛍光体の混光比の増加と共に拡大する傾向が判る。
この色域の多角形の形状は、U*V*平面上の色域がU*軸方向の正負に拡大し高彩度を指向した既存のランプと類似の傾向を呈している。
以上より、同じ色度(同じ相関色温度)でも、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比を調整することで、基準の光に対し、忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスを、系統性を有しつつ調整が可能なことが判る。

本発明のような広い色度領域での安定的な演色傾向の維持・調整は本発明が原理的な検討に基づいてなされているためであり、局所的な色度の偶発的な組み合わせ結果でRaやRiが高いと言う事例との大きな差異である。

また、分光分布の特長において、緑発光蛍光体の分光ピークと青発光LEDの分光ピークの間にあるスペクトル抑制帯域の最も分光パワーが少ない青と緑の間の最低値と、緑発光蛍光体の分光ピークと赤発光蛍光体の分光ピークの間にあるスペクトル抑制帯域の最も分光パワーが少ない緑と赤の間(黄)の最低値との関係性は、第1と第2緑発光蛍光体で形成される緑発光蛍光体の分光ピークを基準と置いた関係で比較的安定に論じることができる。ここで、第1と第2緑発光蛍光体は各々が分光分布のピークを有するがそれが、混光されたものが緑発光蛍光体の分光ピークである。
相関色温度が高まると青発光LEDの分光ピークが非常に高くなり、相関色温度が低下すると青発光LEDの分光ピークが非常に低くなる。そのため最も短波長のピークである青発光LEDの分光ピーク変動は大きい。また、その逆の関係で、相関色温度が高まると赤発光蛍光体の分光ピークが非常に低くなり、相関色温度が低下すると赤発光体の分光ピークが非常に高くなる。最も短波長側の発光ピークである青発光LEDと、最も長波長側の発光ピークである赤発光蛍光体の分光ピークは相関色温度に対する分光ピーク変動が大きい。
よって、比較的相関色温度に対し安定度が高く、標準比視感度Vλに対する関与の高い緑発光蛍光体の分光ピークとの関係性をもって本発明の青と緑と赤の帯域への分光パワー集中の様相を示すことが望ましい。

青と緑の間のスペクトル抑制の傾向は、青発光LEDと緑発光蛍光体の発光ピークの間に比較的狭い領域にスペクトル抑制帯域と分光パワーの最低値が形成されることから、分光分布の形状には、分光パワーが狭く深い形で抑制された傾向が生じる。また、青と緑の間のスペクトル抑制の傾向は、緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の発光ピークの間に比較的広い領域にスペクトル抑制帯域と分光パワーの最低値が形成されることから、分光分布の形状には、分光パワーが広く浅い形で抑制された傾向が生じる。
よって、これらの分光パワーの分光ピークと最低値との関係は、青と緑の間の最低値が緑と赤の間の最低値より深い傾向が望ましく、両者とも分光分布の形状が、より深い谷を形成する方が色刺激純度を高め色域を拡大する傾向にある。

以上から、LEDと各種蛍光体の分光分布が最終的に混光された分光分布の形状は、三波長域発光形蛍光ランプとは異なる、固有の特徴を有し、青発光LED用の蛍光体に即したスペクトル抑制帯域と発光の集中部が形成される。
従来の、青発光LEDと緑発光蛍光体の間の谷部を埋めてRaを上げる方向性とも、従来のネオジウム電球や高彩度型のナトリウムランプのように狭く深い黄色の谷部を形成し高彩度な演色を得る方向性とも異なるものである。 本発明は、2つのスペクトル抑制帯域で、従来とは逆の方向性をとっている。

また、各種検討結果の中から良好な結果を示した分光スペクトルの関係からは、緑発光蛍光体の分光ピークに対し青と緑の間の最低値の分光パワーは9/10以下から5/10以下まで任意に分光パワーは低い方が望ましく、緑発光蛍光体の分光ピークに対し緑と赤の間(黄)の最低値の分光パワーは99/100以下や95/100以下のような非常に分光分布の谷形状の浅い状態から、より好適には9/10以下から5/10以下まで任意に分光パワーは低い状態が望ましい。
特に、緑と赤の間(黄)の最低値、緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の比較的広い帯域にスペクトル抑制帯域は、相当する相関色温度が低く基準の光が完全放射体(黒体放射)の場合、同光束で分光パワーを比較すると、基準の光よりスペクトルパワーが低い情況を形成しやすいためである。
実施において、蛍光体の濃度が高い場合などは、分光分布の山谷形状が埋まる傾向がある。 また、ハイパワーLEDでの実施において蛍光体の温度が非常に高い場合などは、蛍光体の温度特性による消光や、発光ピークのシフトにより同じく山谷の特徴を減じる傾向が生じることもあるが、本発明においては別記する第1と第2の蛍光体の調整でその傾向を回復させることが可能である。

(2)相関色温度に対応し、混光比率を調整した事例
実施例1の典型的な組み合わせ、青発光LEDピーク波長445nm、第1緑発光蛍光体BaSi2O2N2:Eu 「Sample B」、第2緑発光蛍光体Lu3Al5O12:Ce「Sample D」、赤発光蛍光体(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」を使用した構成である。
図36は、実施例1の典型的な組み合わせで第1と第2緑発光蛍光体の光束比を相関色温度毎に適宜変化させた場合の各指標の評価値を示す図である。

具体的には、相関色温度が高くなるほど第1緑発光蛍光体の光束比を高める傾向で調整している。このように、相関色温度に合わせて第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比を調整することで、忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスの調整をより広い相関色温度の範囲で連続的に実現することができる。

図31から図34、図27、図28などは演色の傾向を例示するため、第1と第2緑発光蛍光体の混光比率を固定して表現していた。しかし、本発明は、本来、同一色度で第1と第2緑発光蛍光体の混光比率を変化させることが可能な特徴を有しているため、実施においてこの比率を変化させた事例を示す。
先の、図31から図34、図28の各指標が描くカーブの相互関係は、混光比の変化に伴い、好適な結果が得られる範囲が徐々に連続的に変化している。
つまり、混光比率を相関色温度に従い変化させれば、混光比率を固定して各種相関色温度を実現する場合より、さらに広い色度範囲にわたって、より好適な演色結果をスムーズにいだ結果が得られ、その改善効果は広い色度範囲に得られるものとなる。
図36の事例は簡略化のため混光比を離散的に変化させた結果を結んだものであるが、混光比の変化を細かく連側的に変化させると、よりスムーズに広い相関色温度で好適な結果が得られることは言うまでも無い。
また、本事例ではDuvが0で相関色温度方向に比率を変化させたものを代表に例示しているが、原理上、Duvがプラス側、マイナス側でも同様な調整が可能なことは自明である。

これら検討から、既存のRaやRi、またはGaだけでなくRiのバラつき範囲RiレンジやRa4、Ga4、などの新たな指標も、より、好ましい方向に改善が出来ることが見出された。
例えば、Council for Optical Radiation Measurements : Color Rendering: a Tale of Two Metrix , Mark Rea , Jean Paul Freyssinierなどでも光源のRaが高いもの同士の比較においてColor Gamut Area が良好な補助指標となることを示しており、いわゆる高演色な光源の評価にはRaでは不十分であり、加えて色域の評価を指標に加え両方を高めるコンセプトは有効であると考えられる事例で有る。一般にRaで示されるような基準の光に対する色再現の正確さの評価に基づく高演色な評価と、Gaで示されるような色域の拡大に基づく高演色評価が、独立性の高い心理物理評価の構造をとると言える。本発明では既存指標との互換性を優先しつつ、さらに各種Ri(自然対象物のRiのより現実に即したモデファイ含む)のバラツキによる色再現の歪みまで加え、従来、高演色とされていた評価構造の定義の欠点と不備を正した。
また、既存評価指標と互換性を保つことにより、これら評価数字は、従来市場に受け入れられてきた既存光源の高彩度型で演色性の高いと言われる光源の評価数字の有り方と対比可能となり、代替対象となる既存光源に照らし任意に設定可能となる。

基準の光が完全放射体(黒体放射)の場合や合成昼光の場合などに渡る、広い相関色温度や色度範囲で、平均演色評価数Raが80以上、特殊演色評価数R9〜R12が50以上、かつ、その平均値Ra4が50以上、R13とR15が85以上、色域面積比Gaが90以上などのごとく、演色性の改善が実現可能である。
さらに好適には、平均演色評価数Raが90以上、特殊演色評価数R9が90以上、R9からR12の平均Ra4が80以上、R13とR15が90以上、色域面積比Gaが100以上など、目標定値を高めることや、前記既存光源やLEDの演色目標を参照し、狙いの演色評価数値評価数を任意に設定することも可能となる。また、Gaが120近傍高彩度型の演色特性を有する既存ランプが市場に受け入れられてきた現実に照らし、高彩度を指向する場合125以下程度が鮮やかさに対する違和感の少ない範囲とすることも可能である。

(3)Duvの変化
実施例1の典型的な組み合わせ、青発光LEDピーク波長445nm、第1緑発光蛍光体BaSi2O2N2:Eu 「Sample B」、第2緑発光蛍光体Lu3Al5O12:Ce「Sample D」、赤発光蛍光体(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」を使用した構成である。図27、図28、図29に対応した第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比1:9に固定の状態を基本にDuvを変化させた場合の実施を示す。

図37は、典型的な実施例の構成でDuvを変化させたときの分光分布の変化を示す図である。 図は光束比1:9に固定の状態で、同図上欄は6700K、中欄は5000K、下欄は2700Kで、Duvの変化により分光分布の形状が変化する様相を示している。
一般には、Duvがプラスの場合、同等の相関色温度のDuvが0近傍の状態と比較すれば、光色が緑みを増し、赤発光蛍光体の分光パワーが低下するので、Raが減少する傾向を生じやすい。
逆に、Duvがマイナスの場合、同等の相関色温度のDuvが0近傍の状態と比較すれば、光色が紫みを増し、赤発光蛍光体の分光パワーが増加するので、Raが増加する傾向を生じやすい。
また、赤の色再現を高彩度に保つべく設計された既存の高彩度型光源はDuvがマイナス側の色度領域にあることが多い。
本発明も分光分布の基本的形状を保持したまま、Duvが0の光色を中心に、Duvがプラス側の光色が緑みを帯びるため赤の発光ピークが低くなり、Duvがマイナス側の光色が紫を帯び赤の発光ピークが高くなっている。
本発明では第1と第2緑発光蛍光体の光束比を固定した図37に対し、Duvによらず同一色度でも第1と第2緑発光蛍光体の光束比を変化させることで、図24で例示するごとく、赤の発光ピークを含め、系統的な分光分布の形状の調整が可能である。Duvがプラスの場合でも、第1緑発光蛍光体の光束比を高め赤発光蛍光体の発光ピークを高めてRaやR9を維持することができる。また逆に、Duvがマイナスの場合でも第1緑発光蛍光体の光束比を低めることで、過剰に高彩度となることを抑制することでRaを向上させて忠実演色性を優先させることができる。

次にこれを詳細に説明する。
図38は、実施例1でDuvが0.01、光束比0:10の場合、図39は、実施例1でDuvが0.01、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。
図38と図39の比較から光色が緑みを帯びるDuvがプラス側においても第1緑発光蛍光体の光束比を高めることにより演色特性の向上が見て取れ、R1-R15のレンジや特に赤の演色評価と連動するR9にも見て取れる。
また、図40は、実施例1でDuvが−0.01、光束比0:10の場合、図41は、実施例1でDuvが−0.01、光束比1:9の場合、図42は、実施例1でDuvが−0.01、光束比が0.2:9.8の場合の各指標の評価値を示す図である。
図40と図41からは光色が紫みを帯びるDuvがマイナス側においては、元々、赤みの分光パワーが大きいため第1緑発光蛍光体の光束比がほぼ無い状態でも評価値は高い傾向が生じていることが判る。ここで、図42のDuvが−0.01、光束比0.2:9.8の場合の各指標の評価値を示す図と比較する。図42は図40の光束比0:10や図41の光束比1:9より各種評価値が向上していることが判る。つまり、Duvがプラス側では第1緑発光蛍光体の光束比を高めDuvがマイナス側では第1緑発光蛍光体の光束比が低めの方向の調整が好適な結果を生じせしめていることが判る。

また、図43は、実施例1でDuvが0.01、光束比1:9の場合、図44は、実施例1でDuvが−0.01、光束比が1:9の場合の特性を示す図である。
第1と第2緑発光蛍光体の光束比が同じでDuvが変化した場合、図43と図44の対比からU*V*平面上にプロットされた色域は、Duvのマイナス方向への変化によってU*軸方向に拡大することがわかる。
さらに、図45は、実施例1でDuvが0.01、光束比0:10の場合、図46は、実施例1でDuvが−0.01、光束比が0:10の場合の特性を示す図である。図45と図46は、いずれも第1緑発光蛍光体が無い、または、ほぼ0の場合の比較事例である。
いずれも、同一のDuvで第1緑発光蛍光体がない場合は、U*V*平面上にプロットされた色域はU*軸方向に縮小していることがわかる。つまりDuvの変化に関わらず第1と第2の緑発光蛍光体の混光比率の上昇は系統的な効果を保持しU*V*平面上にプロットされた色域はU*軸方向に拡大すると言うことである。
ここで、Duvが大きくマイナス−0.01の時の各種評価値の事例である図40と図41を勘案すると、光束比0:10の場合に対し光束比1:9の場合の各種評価の変化において、R9の値は相関色温度が高い領域で低下しているのは、基準光の演色より赤の見えが高彩度側に変化したためであるということが判る。また、このような高彩度な好ましい効果演色の変化は単純にR9の数値向上だけを検討していては捕らえられない変化である。

(3.1)Duvプラス側
Duvが大きくプラス側の0.01において、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比が異なる図38の0:10と、図39の1:9を対比させる。第1緑発光蛍光体が無い場合である光束比0:10の場合は、一般的な傾向に同じく赤の見えの彩度が低下しR9の低下が大きい。また、R1-R15のレンジが大ききく各種Riの評価数のバラツキが大きい傾向に有る。 これに対し、光束比1:9の場合は、赤の見えR9が大きく改善されている。また、R1-R15のレンジが小さくなる傾向に有る。加えて、R13やR15などに代表される肌の見えの評価数が大きく改善していた。また、特に相関色温度が高い領域でGaやGa4が高まり、Raの数値が向上している。
先ず、図43と図45を使用しDuv0.01の状態で、第1緑発光蛍光体が有る場合と無い場合の特性を比較する。図45の光束比0:10に示す第1緑発光蛍光体が無い場合は従来のLED光源のごとく、U*V*平面上の色域がU*軸方向の正負(左右)に縮小した様相を示している。これに対し、図43の第1緑発光蛍光体が有る光束比1:9の場合、本発明の系統的な傾向を踏襲しU*V*平面上の色域がU*軸方向の正負に拡大する様相を示している。 この傾向が、図38に対する図39の結果の良化をサポートしている。
このように、第1と第2の緑発光蛍光体の光束比を固定した状態でも、演色特性が第1緑発光蛍光体の添加で各種演色特性が良化していることが判る。
ここで、また、他の例のごとく第1と第2の緑発光蛍光体の光束比を固定せず、相関色温度やDuvによって調整すれば、より良好な結果が得られることは自明である。
例えば、光束比0:10(光束比ほぼ0:10)の場合、やはり相関色温度が低い側でRaなどの評価数が向上する傾向は保持されているので、相関色温度が低い場合は第1の緑発光蛍光体の光束比を低め、相関色温度が高い場合は第1の緑発光蛍光体の光束比を高める調整を行えば良い。
また、例えば合成昼光軌跡は黒体放射軌跡よりDuvがプラス側のDuvが0.003近傍にあるが、Duvが0.005や0.001などへの合成昼光に近い領域での各種演色評価数の向上も可能で有りる。さらには、HIDにおける蛍光水銀ランプや効率本位形ナトリウムランプなど従来効率本位形の光源に見られる、さらにDuvの高い領域での各種演色評価数の向上なども可能となる。
このように、本発明の効果がDuvの変化に関わらず体系的に保持されている。
(3.2)Duvマイナス側
Duvが大きくマイナス側の−0.01において、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比が異なる状態を、図40の光束比0:10と、図41の光束比1:9で対比させる。
そもそも、高彩度型の光源に多い傾向にあるDuvが大きくマイナス側に光色が有るため、赤の分光パワーが増加し、第1緑発光蛍光体が無い0(ないしはほぼ0)の場合でも各指標の評価は高まっている。これに対し、光束比1:9の場合は、R9の数値が相関色温度の高い領域で低下している。図41ではR9の評価数が最大になるのは相関色温度3000K近傍の領域であるが、このときGa4が100近傍である。また、R9の数値が低下する相関色温度が高い側へ向かってGaやGa4が、第1緑発光蛍光体が無い場合よりも高くなっている。つまり、赤の見えを指標するR9の数値上の低下は、基準の光を超えて鮮やかに演色されたためであり、R9は数値が低下してもR9の演色評価が高い傾向にある。
次に、図44と図46を使用しDuv−0.01の状態で、第1緑発光蛍光体が有る場合と無い場合を比較する。図44のDuv−0.01で第1緑発光蛍光体が有る光束比1:9の場合、本発明の系統的な傾向を踏襲しU*V*平面上の色域がU*軸方向の正負に拡大した様相を示している。
これに対し、図46のDuv−0.01で光束比0:10に示す第1緑発光蛍光体が無い場合は、U*V*平面上の色域がU*軸方向の正負に縮小した様相を示している。
よって、Duv変化に関わらず第1緑発光蛍光体の追加の効果とその傾向の保持は明らかである。

また、前記色域の状態は、RaやR9が低下しても高彩度の効果演色を目的とする高彩度型光源としては望ましい状況である。 しかし、あえてDuvがマイナスの状況では通常は得にくい忠実演色の傾向を、RaやR9の数値向上として行なう場合、例えば第1緑発光蛍光体の混光比率を低下させる調整を行えば良い。事例として図42の光束比が0.2:9.8の場合では、RaやRa4などのRiの数値向上を示す指標の数値が向上していることが判る。Duvがマイナス側は元々、赤発光の分光パワーが大きく高彩度な演色を得られやすい領域であるため、第1緑発光蛍光体の混光比を低めに設定すれば、Raを高める傾向を強め忠実演色性が優先された調整ができることが判る。さらに本事例では元々Raを高める傾向の第2緑発光蛍光体が選択されているため、この傾向は強く現れている。
さらに、図40と図41と図42の各種評価数の相関色温度に対する変化の様相からも、相関色温度に対し第1と第2緑発光蛍光体の光束比を固定せず、変化させれば、さらに広い相関色温度範囲で各種数値を向上させることが可能なことも同様に明らかである。
このように、本発明の効果はDuvの変化に関わらず体系的に保持されている。

さて、Duvがマイナス領域は元々、分光分布に赤発光が多く含まれる紫みの光色なので、第1緑発光蛍光体が無くとも、Duvがマイナスへ向かうほど徐々に色域は広がりを持つ傾向となる。
これは、第1緑発光蛍光体が無い場合同士での比較、図45のDuv0.01と図46のDuv−0.01対比しても明らかで、LEDや蛍光体を変えず相関色温度を揃え、純粋にDuvがプラスからマイナスへ変化した場合の傾向を反映したものからも伺える。
本発明で選定されている、第2緑発光蛍光体は、それだけでも従来の黄発光蛍光体(標準的なYAG)より短波長成分が多い設定がなされている。このため、同一色度で、本発明の第2緑発光蛍光体の代わりに黄発光蛍光体(標準的なYAG)を使用するよりも赤発光のスペクトルが多く配分されている。ちなみに、図90は本事例の第1緑発光蛍光体が無い場合のDuv0に相当し、対応する黄発光蛍光体(標準的なYAG)の結果は図4である。
このためDuvが大きくマイナス側に色度がある場合は、Duvのマイナス側への変化の効果と合いまって第1緑発光蛍光体の光束比が少なくとも、RaやR9の数値は高い傾向を見せている。
また、第1と第2緑発光蛍光体の光束比1:9に固定しDuvを変えた場合を、図43のDuv0.01と図44のDuv−0.01の特性比較の図などで比較しても、Duv変化に伴う色域の形状変化の傾向は広い範囲で系統性を持って保持されていることが判る。
Duv−0.01における第1緑発光蛍光体が無い図46の光束比0:10の場合と、図44の第1緑発光蛍光体が有る光束比1:9の場合との比較でも、本発明の系統的な傾向を踏襲しU*V*平面上の色域がU*軸方向の正負により拡大した様相を示していることが判る。つまり、単純なDuvのマイナス方向への変化による単純な高色域化の傾向を超えて、第1と第2緑発光蛍光体により系統だった色域の拡大による高彩度化を生じせしめているものである。
本発明がより高色域化を実現する傾向が、図40に対する図41のRaやR9の数値低下の結果をサポートしていることは明らかである。また、Duvがプラス側の色度領域でもマイナス側の色度領域でも本発明はU*V*平面上の色域がU*軸方向の正負に拡大する系統だった高彩度化の傾向を付与していることも明らかである。

ここで、さらに注目すべきは、本発明の第1と第2緑発光蛍光体の光束比を同一とし、同一の相関色温度でDuvがプラス側からマイナス側に変化する場合の色域の形状変化である。つまり、基本的にDuvの変化方向に対しても本発明の系統的な色域形状の変化の傾向が保持されていることである。これにともない、Duvが異なっても第1と第2の緑発光蛍光体の混光比率を変化させれば、類似傾向の色域の形状変化を系統だって調整可能という基本特性が備わっている。よって、例えば各種光色ランクの上限や下限の近傍の色度でも本発明が実施可能となる。

これにより本発明は、相関色温度が変わりDuvが変わっても系統的な傾向が保持できており、その中で、第1と第2の緑発光蛍光体の混光比を変化させれば系統的な傾向を有した演色調整が行えるものであることが判る。また、本発明で示された、各数値パラメータは連続的であり任意数値に調整してもその傾向は維持されることが判る。
ゆえに、例えば一般的な高彩度型の演色特性を有する光源に多く見られる色度のDuvが−0.005近傍のまま相関色温度を変化させるなどの場合でも同様に良好な演色傾向が保持できる。この時、同じく相関色温度によって第1と第2の緑発光蛍光体の混光比を変化させれば、より好適な解が得られる。
さらに例えば、相関色温度を同じくしてDuvを変化させた場合も、第1と第2の緑発光蛍光体の混光比を変化させればより好適な解が連続的に得られることも同様である。
以上のような演色特性の系統的変化が予め原理的に担保された結果、広範囲に連続的で安定な結果を生じている。このような非常に広範囲な演色傾向の系統性と結果安定性は、本発明が、原理ベースから多重かつ複合的に設定された基本的要件に基ずくことを示すものである。

(4)LEDピーク波長の変化
実施例1の典型的な組み合わせで、青発光LEDの分光分布のピーク波長が変化した場合を示す。第1緑発光蛍光体はBaSi2O2N2:Euの系「Sample B」、第2緑発光蛍光体はLu3Al5O12:Ceの系「Sample D」、赤発光蛍光体は窒化物蛍光体の、(Sr,Ca)AlSiN3:Euの系「Sample L」の事例である。
図47は、実施例1で青発光LEDのピーク波長が440nm、光束比0:10の場合、図48は、実施例1で青発光LEDのピーク波長が440nm、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図49は、実施例1で青発光LEDのピーク波長が460nm、光束比0:10の場合、図50は、実施例1で青発光LEDのピーク波長が460nm、光束比0.5:9.5の場合の各指標の評価値を示す図である。
青発光LEDのピーク波長が短波長側に変化する場合は、各指標の変化は比較的緩やかである。青発光LEDは青色の演色性に直接影響するため、青の刺激純度が高まるほど、U*V*平面上での色域も拡大する方向にあるためである。S錐体の反応感度のピーク波長は440nm〜445nm近傍でありピークからの半減は425nm〜470nm近傍、反対色応答におけるbのピーク波長は445nm近傍でありピークからの半減は425nm〜475nm近傍にある。青発光LEDのピーク波長が短波長側に変化することに対しては演色の観点からは余裕が多い。
S錐体のピーク感度や反対色応答におけるbチャンネルの応答ピーク近傍で明るさの視感度が高い比較的長波長側に青発光LEDの分光パワーを集中することが好ましいことは勿論、S錐体とM錐体の感度が重なる480nm〜490nm近傍や、S錐体とL錐体の感度が重なる490nm〜495nm近傍の分光パワーを抑制することが基礎刺激の純度を効率よく高める観点からは望ましい。
各種視感度の高い領域に分光パワーを集中させつつ、青発光LEDのピーク波長が長波長側に変化する場合は、青発光LEDの発光スペクトルの半値幅が狭く、そのため刺激純度も高いため、465nm近傍まで比較的好適な傾向にある。
また、この場合は第1緑発光蛍光体の光束比は低いほうが好ましく、R9〜R12の特殊演色評価数のばらつきのレンジは小さくなる傾向が生じる。特に、青発光LEDのピーク波長が長波長側に変化した場合に高彩度な青色の色再現性を指標するR12の数値が低下する傾向にある。しかし、GaとGa4の関係を見ると、青発光LEDのピーク波長が460nmの場合は、青発光LEDのピーク波長が短波長側にある場合と異なり、色域の大きさの関係が反転し、GaよりGa4の方が大きい状態で鮮やかに演色された状態となる。これは、R12の色票の反射率のピークが460nm〜470nm近傍に存在しているためである。この場合、R12の数値は低下しているが、その理由は、高彩度色の色域が大きくなり鮮やかな青みの演色がなされたことによる。ここで、Ga4が大きくなる傾向を抑制し忠実な色再現を優先するには、第1緑発光蛍光体の光束比を低めに調整すればよいこと、または、選定する青発光LEDのピーク波長を455nm以下のように短波長化すればよいことが分かる。
一方、各種視感効率の観点からすると、例えば10°視野の直接比較法による視感度Vb10λではピークからの半減波長は凡そ490nm〜620nmなので、視感効率確保の観点からは第1緑発光蛍光体のピーク波長が490nmから500nm近傍かつ半値幅が狭いものがスペクトル抑制帯域形成に好適であることに繋がる。また、第1と第2の緑発光蛍光体により得られる緑発光のピークと青発光LEDの間のスペクトル抑制をより行なうためには、青発光LEDは比較的短波長側に発光ピークを有する方が望ましい。

以上の通り、実施例1では、青発光LEDのピーク波長が変化しても演色性を評価する各指標が従来のLED光源の比較例(図3、図4)に比べて改善された傾向を保っていることが分かる。また、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の機能が分離されているため、その光束比を調整することで、色再現バランスを調整することができる。何をどのように調整すれば、どの評価指標がどのように変化するかという体系的な理解が同様に得られる。従って、青発光LEDのピーク波長の変化に対しても目的の色度の目的の演色性の光源装置を容易に設計することができる。

(5)第2緑発光蛍光体の変化
実施例1の典型的な組み合わせで、第2緑発光蛍光体の変化に伴う実施を述べる。
青発光LEDと、第1緑発光蛍光体と赤発光蛍光体が同一の条件で、第2緑発光蛍光体が変化した場合の代表的な事例を示す。
青発光LEDの分光分布のピーク波長は445nm 、第1緑発光蛍光体はBaSi2O2N2:Euの系「Sample B」、赤発光蛍光体は窒化物蛍光体の(Sr,Ca)AlSiN3:Euの系「Sample L」において第2緑発光蛍光体を変化させた事例である。

第2緑発光蛍光体が変化しても本発明の傾向は共通であり、以下のような状況であった。
先ず、第1緑発光蛍光体が無い状態で事例を比較すると、第2緑発光蛍光体ピークが長波長化するほど、R9が低下する傾向が見え 同時に緑発光蛍光体と赤発光蛍光体の間の分光分布の谷が消える方向が伺える。
さらに、特殊演色評価色票で構成されU*V*平面上にプロットされた色域の多角形がU*軸方向に色域が小さい状況にある。
これに、第一の蛍光体を加えると、R9の上昇や、特殊演色評価色票で構成されたU*V*平面上にプロットされた色域のU*軸方向の色域が基準の光の色域形状から大きく歪まない方向に増大する。

さらに第1と第2緑発光蛍光体の混光比率を、相関色温度が高いほど第一の蛍光体の混光比率が高まるように混光すると、広い相関色温度帯域で演色特性が高まる。色域の多角形の形状を見てみると分光ピークの山谷が存在している場合に良好な結果を生じる傾向を生じ、全体の演色特性の傾向が広く好適に保たれている。事例としては本発明の範囲で蛍光体の選択範囲の柔軟性を示すべく、比較の為に第1と第2緑発光蛍光体の混光比率を固定した代表例を中心に示している。

(5.1)Lu3Al5O12:Ce 系の事例
第2緑発光蛍光体としては、ガーネット系蛍光体、具体的には、Lu3Al5O12:Ceを使用した例を示す(以下、「Sample G」と表記する場合がある)。Sample Gは、Sample Dと一般式は同じであるが基本組成の一部が置き換えられたもので、発光スペクトルが異なる事例である。Sample Gのピーク波長は約540nmであり、半値幅は約105nmである。
図51は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図52は、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図53は、光束比1:9の場合の特性を示す図である。
図52でも従来のLED光源の比較例(図3、図4)に比べて色再現性が改善されていることが分かる。また、図51と図52を比較しても、第1緑発光蛍光体が、ほぼ0から増加することで各種指標の評価値が向上していることが判る。
また、図53においても、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで29%、5000Kで26%、2700Kで14%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで72%、5000Kで77%、2700Kで82%である。図53における色域の多角形について、比較例(図3、図4)に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている。

(5.2)Y3(Al,Ga)5O12:Ce系の事例
第2緑発光蛍光体としては、ガーネット系蛍光体、具体的には、Y3(Al,Ga)5O12:Ceを使用した例を示す(以下、「Sample E」と表記する場合がある)。Sample Eのピーク波長は約545nmであり、半値幅は約115nmである。
図54は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図55は、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図56は、光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図である。図57は光束比2:8の場合の特性を示す図である。

図55、図56から、従来のLED光源の比較例(図3、図4)に比べて色再現性が改善されていることが分かる。また、図54と図55、図56を比較しても、第1緑発光蛍光体が加わることで各種指標の評価値が向上していることが判る。
第2緑発光蛍光体の発光ピーク波長が長波長側にある場合、第1緑発光蛍光体の光束比を増加させれば、各指標の値が改善方向に変化することも判る。
また、前記の場合も、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、光束比が1:9の場合、6700Kで30%、5000Kで26%、2700Kで15%である。光束比が2:8の場合、6700Kで27%、5000Kで24%、2700Kで12%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、光束比が1:9の場合、6700Kで77%、5000Kで95%、2700Kで97%である。光束比が2:8の場合、6700Kで61%、5000Kで62%、2700Kで65%である。色域の多角形について、第1緑発光蛍光体の光束比が高まるほど、比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている(図57中欄および下欄)。

(5.3)Y3Al5O12:Ce系の事例
第2緑発光蛍光体としては、ガーネット系蛍光体、具体的には、Y3Al5O12:Ceを使用した例を示す(以下、「Sample F」と表記する場合がある)。Sample F は従来のLED光源の比較例(図3、図4)で示された標準的なYAG蛍光体と一般式は同じであるが基本組成の一部が置き換えられたもので、発光スペクトルが異なり、短波長側に発光ピークのある本発明のYAG蛍光体の事例である。
Sample Fのピーク波長は約545nmであり、半値幅は約115nmである。
図58は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図59は、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図60は、光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図である。図61は、光束比2:8の場合の特性を示す図である。
図59、図60から、従来のLED光源の比較例(図3、図4)に比べて色再現性が改善されていることが判る。また、図58と図59、図60を比較しても、第1緑発光蛍光体が加わることで各種指標の評価値が向上していることが判る。
また、図58に比べ、図59、図60と第1緑発光蛍光体の光束比が増加するにつれ、各種評価特性が向上することが見て取れる。
また、図61においても、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、光束比が1:9の場合、6700Kで30%、5000Kで26%、2700Kで15%である。光束比が2:8の場合、6700Kで27%、5000Kで24%、2700Kで13%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、光束比が1:9の場合、6700Kで77%、5000Kで89%、2700Kで93%である。光束比が2:8の場合、6700Kで57%、5000Kで59%、2700Kで62%である。色域の多角形について、比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている(図61中欄および下欄)。また、色域の多角形は、第1緑発光蛍光体が無く第2緑発光蛍光体「Sample F」のみの場合に比べてもU*軸方向に拡大されている。第1緑発光蛍光体が無く第2緑発光蛍光体「Sample F」のみの場合の色域の多角形は、図91中欄および下欄に示されている。

(5.4.1)YAG系以外の事例 CaSc2O4:Ce の系
第2緑発光蛍光体としては、酸化物蛍光体、具体的には、CaSc2O4:Ceを使用した例を示す(以下、「Sample J」と表記する場合がある)。Sample Jのピーク波長は約520nmであり、半値幅は約100nmである。Sample Jの発光スペクトルは図19に示されている。Sample Jは、半値幅が広帯域(75nm以上125nm以下)の蛍光体の一例である。
図62は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図63は、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図64は、光束比1:9の場合の特性を示す図である。

図62、図63から、第1緑発光蛍光体の光束比が増えるにつれ色再現性が改善されていることが分かる。
また、図64においても、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで29%、5000Kで26%、2700Kで14%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで65%、5000Kで67%、2700Kで71%である。また、同じく色域の多角形について、第1緑発光蛍光体の光束比が増加するとU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている(図64中欄および下欄)。

(5.4.2)YAG系以外の事例 La3Si6N11:Ceの系
第2緑発光蛍光体としては、窒化物蛍光体の系、具体的には、La3Si6N11:Ceを使用した例を示す(以下、「Sample K」と表記する場合がある)。Sample Kのピーク波長は約540nmであり、半値幅は約125nmである。Sample Kの発光スペクトルは図19に示されている。Sample Kは、半値幅が広帯域(75nm以上125nm以下)の蛍光体の一例である。
図65は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図66は、光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図である。図67は、光束比2:8の場合の特性を示す図である。
図65と図66を比較しても、第1緑発光蛍光体の光束比の増加で色再現性が改善されていることが分かる。
また、図67の全体の分光分布において、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで30%、5000Kで26%、2700Kで14%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで66%、5000Kで69%、2700Kで73%である。また、同じく色域の多角形について、第1緑発光蛍光体の光束比が増加するとU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている。

(6)第1緑発光蛍光体の変化
実施例1の典型的な組み合わせで、第1緑発光蛍光体の変化に伴う実施を述べる。
(6.1)第1緑発光蛍光体として半値幅が広いものを使用した場合
第1緑発光蛍光体として比較的半値幅が広い場合の事例をアルミネート系蛍光体AE4―Al14O25:Euの系Sr4Al14O25:Euのバリエーションを使用した場合の分光分布検討の結果を示す。使用したSr4Al14O25:Eu(以下、「Sample A」と表記する場合がある)のピーク波長は約490nmであり、半値幅は約70nmである。Sample Aの発光スペクトルは図17に示されている。
実施例1の典型的な組み合わせ、青発光LEDピーク波長445nm、第2緑発光蛍光体Lu3Al5O12:Ce「Sample D」、赤発光蛍光体(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」を使用した構成である。

図68は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図69は、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図70は、光束比1:9の場合の特性を示す図である。
図68と図69から、本構成でも第1緑発光蛍光体の光束比が増加すると色再現性が改善されていることが分かる。
また、図70においても、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで49%、5000Kで45%、2700Kで29%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで76%、5000Kで80%、2700Kで87%である。色域の多角形についてもやはり、比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている。

(6.2)第1緑発光蛍光体として発光ピーク波長が長波長に変移した場合
第1緑発光蛍光体として、珪素系蛍光体、具体的には、(Ba,Sr)2SiO4:Euを使用した結果を示す(以下、「Sample C」と表記する場合がある)。第1緑発光蛍光体としては長波長側に発光ピークがあるSample Cのピーク波長は530nmであり、半値幅は70nmであり、発光スペクトルは図17に示されている。
また、これにおいても実施例1の代表的な組み合わせ、青発光LEDピーク波長445nm、第2緑発光蛍光体Lu3Al5O12:Ce「Sample D」、赤発光蛍光体(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」を使用した構成である。

図71は、光束比5:5の場合の各指標の評価値を示す図である。図72は、光束比5:5の場合の特性を示す図である。
図71から、比較例(図3、図4)に比べて色再現性が改善されていることが分かる。
さらに第1緑発光蛍光体が無い場合は図68と同等であるが、これに対しても色再現性が改善されていることがわかる。 第1緑発光蛍光体のピーク波長が比較的長波長側にあるものにおいては、色再現性を高めるために、混光される光束比を高める傾向があることが判る。これは、第1緑発光蛍光体の発光ピークが比較的長波長側に有り500nm近傍の分光パワーが少ない分光分布の形状の場合、その分光パワーを確保することが難しくなるためである。
また、図72において、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。具体的には、6700Kで26%、5000Kで22%、2700Kで14%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで69%、5000Kで75%、2700Kで89%である。色域の多角形について、実施例8は、比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている(図72中欄および下欄)。
第1緑発光蛍光体のピーク波長が第1緑発光蛍光体の波長域(490nm〜535nm)の中でも長波長側に位置する場合、その光束比を高めに設定する方がR9の向上が大きい。本実施例は珪素系蛍光体であるが、窒化物系、SiAlONの系、β-SiAlONの系、AE-SixOyNz:Euの系、Ba3Si6O12N2:Eu、(Ba,Sr)3Si6O12N2:Euのバリエーションも同様の分光分布形状を有し類似の傾向を示す。

ここで、さらに、第1緑発光蛍光体として、(Ba,Sr)2SiO4:Eu「Sample C」を使用し、第2緑発光蛍光体も変更し、ガーネット系蛍光体、具体的にはYAG蛍光体のY3Al5O12:Ce「Sample F」を使用した実施例を示す。
第1と第2の緑発光蛍光体は両方と比較的単波長のスペクトルパワーが少ない組み合わせで有り、ここにおいて、実施例1の代表的な組み合わせ、青発光LEDピーク波長445nm、赤発光蛍光体(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」を使用した構成である。
図73は、光束比7:3の場合の各指標の評価値を示す図である。
これにおいても、第1緑発光蛍光体が無い場合の図58に比較して、各指標の値が改善方向に変化することが判る。また、第2緑発光蛍光体としてYAG蛍光体のY3Al5O12:Ce「Sample F」は、LuAG蛍光体のLu3Al5O12:Ce「Sample D」より500nm近傍の短波長成分が少ない。このため、第1と第2緑発光蛍光体とも比較的短波長成分の少ない蛍光体同士の組み合わせとなり、より、第1緑発光蛍光体の混光の光束比が増える傾向にある。

第1緑発光蛍光体のピーク波長が長波長に寄っている場合、その光束比を高めに設定する方がR9の向上が大きくなる傾向を生じる。また、第2緑発光蛍光体が、長波長領域に分光パワーが多い傾向にある場合も同様である。第2緑発光蛍光体の中でも長波長側に分光パワーが大きいものを使用するほうが、演色特性の調整の幅が大きくなる傾向を生じる。
また、これらの多様な変形例の場合も第1の緑発光蛍光体と第2の緑発光蛍光体の比率を相関色温度やDuvの変化に伴い変更すれば、より広い範囲で好適な結果が得られることは言うまでも無い。

(7)赤発光蛍光体の変化
実施例1の典型的な組み合わせで、赤発光蛍光体の変化に伴う実施を述べる。
発光ピーク445nmの青発光LEDと、第1緑発光蛍光体BaSi2O2N2:Euの系「Sample B」と第2緑発光蛍光体Lu3Al5O12:Ceの系「Sample D」が同一の条件で、赤発光蛍光体が変化した場合の代表的な事例を示す。
(7.1)赤発光蛍光体のピーク波長の変化
赤発光蛍光体として、比較的長波長側に発光ピークを有する事例として、窒化物蛍光体であるCaAlSi(ON)3:Euの系「SampleN」を使用した事例である。
Sample Nのピーク波長は約635nm近傍にあり、半値幅は約95nm近傍である。CaAlSiN3:Euの系や(Sr,Ca)2Si5N3:Euの系など類似した分光分布を有する場合も同様である。
先ず、比較のため第1緑発光蛍光体BaSi2O2N2:Euの系「Sample B」と第2緑発光蛍光体Lu3Al5O12:Ceの系「Sample D」の光束比を相関色温度によって変化させながら実施した場合の結果を示す。
図74は、光束比を相関色温度毎に適宜変化させた場合の各指標の評価値を示す図である。
具体的には、相関色温度が高くなるほど第1緑発光蛍光体の光束比を高めている。このように、相関色温度に合わせて第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比を調整することで、忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスの調整を広い相関色温度の範囲で実現することができる。
これは、図36で示された傾向と同じであるが、赤発光蛍光体の発光ピークを635nm近傍とすることで、本発明の演色傾向を保持しつつ、GaやGa4の色域が、より超低色温度領域まで広がる。それに伴い、RaやRiの数値もそれにしした従い超低色温度領域でも良化する傾向が見て取れる。

(7.2)赤発光蛍光体を2種使用する変形例
ここで、本発明に使用する赤発光蛍光体を2種以上使用し、その混光比率も可変させる実施を述べる。
図74と図36との構成の差異は赤発光蛍光体としては、窒化物系蛍光体のピーク波長が異なるものを使用している点にある。図74は図36よりピーク波長が長波長側に有り、相関色温度が非常に低い超低色温度領域領域まで各種評価が向上している。
基本的に、青発光LEDと第1と第2の蛍光体の種類を変えない場合、より長波長側に発光ピークが存在する赤発光蛍光体を使用すると、相関色温度の低い領域で各種評価が向上していることが判る。
つまり、本発明において相関色温度が低い領域で赤発光蛍光体を2種用い、第1赤発光蛍光体と第2赤発光蛍光体の混光比を変化させれば、本来、同様の演色傾向を有する図36と図74の結果をぎ、相関色温度の低い領域までスムーズに、さらに効果を向上させる範囲を広げることが出来ることが判る。つまり、図36を第1赤発光蛍光体の光束比10、第2赤発光蛍光体の光束比0と考え、図74を第1赤発光蛍光体の光束比0、第2赤発光蛍光体の光束比10と考えれば、その間の混光比に従い、連続的に結果が調整可能であることは自明である。
この場合も、略同一色度で赤発光蛍光体のみが異なる3つの蛍光体のセットを組み合わせ目標の結果を得る以外に、混光比を調整した第1と第2の赤発光蛍光体を擬似的に1つの赤発光蛍光体として調整する実施も可能である。
各種視感度が低い長波長領域で分光分布の形状に類似性の高い赤発光蛍光体の組み合わせは、結果のスムーズな変化を生じさせやすい。

従来、青発光LEDと3種以上の蛍光体を使用する場合、得られる結果の分光分布の山谷が埋まり、基準の光の分光分布に近づくため、広い条件でRaやRiの数値は向上する。それゆえ、3種以上の蛍光体での混光ルールを見出すことは困難であり、RaやRiの数値上の上昇傾向が、そもそも高演色化の傾向と相関していたか、また色度が変化した場合も系統性を有して有効な条件かも不明となる。しかし、本発明のごとく、より詳細な評価法や、基本的な原理に基づく各種蛍光体の機能分担と分光分布の傾向が把握され、最終的に得られる全体の分光分布の傾向が掌握されている場合、単体の第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体、赤発光蛍光体の分光分布を模擬するように、それを複数の蛍光体の分光分布の合成で模擬し、擬似的に前記の単体の蛍光体として扱えば、より複数の蛍光体で本発明を実施することが出来る。よって、前記のような変形例は本発明の範疇にある。

(7.3)他のピーク波長を有する赤発光蛍光体の例
赤発光蛍光体として、さらに長波長側に発光ピークを有する他の窒化物蛍光体の事例を示す。具体的には、CaAlSiN3:Euのバリエーションを使用している(以下、「Sample O」と表記する場合がある)。Sample Oのピーク波長は約650nmであり、半値幅は約95nmである。Sample Oの発光スペクトルは図21に示されている。Sample Oのピーク波長は、Sample Nのピーク波長よりも長波長側に有る。
図75は、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図76は、光束比1:9の場合の特性を示す図である。
図75でも従来の黄色発光蛍光体である標準的なYAG蛍光体の比較例(図3、図4)に比べて各種演色特性が良化している。また、実施例1の代表的な組み合わせ図27、図28と比較すると、赤発光蛍光体をより長波長化したことに伴い色域の多角形がU*軸方向に拡大され、その結果、R9の低下はあるが、赤の見えが非常に鮮やかな高彩度型光源の演色傾向が保持されていることが判る。
色域面積比GaやGa4は110を超える値となり、その色域の形状は、既存の照明光源の高彩度形の演色特性の傾向に類似しており、他の事例においての第1緑発光蛍光体の混光比率が多い事例に同じく、忠実演色よりも、高彩度な好ましく見せる効果演色優先の光源となる。
記載は省略したが、第1と第2の緑発光蛍光体の光束比1:9の固定条件において、赤発光蛍光体のピーク波長が約650nmの図76と、赤発光蛍光体のピーク波長が約625nmの図29の色域の関係の中間に、前記赤発光蛍光体のピーク波長が約635nmのCaAlSi(ON)3:Euの系「SampleN」における第1と第2の緑発光蛍光体の光束比1:9の色域の関係色域の結果が相当していることは言うまでも無い。
赤発光蛍光体のピーク波長が長波長寄りにある場合は、色域の多角形がU*軸方向に拡大される効果が大きくなることから、第1緑発光蛍光体の光束比を低めに設定する。また、赤発光蛍光体のピーク波長が短長波長寄りにある場合は、色域の多角形がU*軸方向に小さいことから第1緑発光蛍光体の光束比を高めに設定する。以上の傾向を利用すれば、広い相関色温度帯域でRaやRiの数値を向上せしめ、忠実演色優先側に結果を調整することが可能である。
また、発光ピーク波長が650nm近傍のように長波長側にある赤発光蛍光体との組み合わせで、Raを高めるような忠実演色優先を前提とすれば、他の事例に同じく、第1緑発光蛍光体の混光比率を低下させることに加え、もともと、色域が狭い傾向を生じる、他の構成要素との組み合わせを行っても良い。
例えば、青発光LEDが長波長側にあるものとの組み合わせ、第1と第2の緑発光蛍光体の発光ピークが比較的長波長側にあるものとの組み合わせが比較的有利である。

さらに、他の赤発光蛍光体との組み合わせで前記傾向を述べる。
赤発光蛍光体の発光ピーク位置変化により演色指標の変化の傾向を把握するため第1緑発光蛍光体BaSi2O2N2:Euの系「Sample B」と第2緑発光蛍光体Lu3Al5O12:Ceの系「Sample D」の光束比を固定し、赤発光蛍光体の発光ピーク位置が変化した場合の特性を示す図である。
図77は光束比0.5:9.5の場合の特性を示す図であり、使用された赤発光蛍光体は図21に示されるピーク波長が約645nm、半値幅が約105nmの他の窒化物蛍光体「sample P」の事例である。組み合わされる赤発光蛍光体は図21の名称表示で上から3番目の事例、具体的にはCaAlSi(ON)3:Euのバリエーションである。
図78は光束比2.5:7.5の場合の特性を示す図であり、使用された赤発光蛍光体は図21に示されるピーク波長が約615nm、半値幅が約90nmの他の窒化物蛍光体「SampleM」の事例である。組み合わされる赤発光蛍光体は図21でピーク波長が一番長波長側にあり名称表示で上から4番目の事例、具体的には(Sr,Ca)AlSiN3:Euのバリエーションである。
第1と第2緑発光蛍光体の光束比を固定し、比較的好適な実施で比較すると、赤発光蛍光体の発光ピークが長波長側にある場合は、第1緑発光蛍光体の光束比が低い場合が好ましく、赤発光蛍光体の発光ピークが短波長側にある場合は、第1緑発光蛍光体の光束比が高い場合に好ましい傾向を生じることがわかる。
これは、赤発光蛍光体の発光ピークが比較的短波長側に有る場合は、色域の多角形がU*軸方向に小さい傾向を有しているため、第1緑発光蛍光体の光束比が比較的大きいように、全体の分光分布を調整した方が良好な結果を得られやすいためである。第1緑発光蛍光体の光束比を増加させれば輝度変換効率の高い比較的短波長側に発光ピークを有する赤発光蛍光体を各種演色特性を高めながら使用可能である。
赤発光蛍光体の発光ピークが比較的長波長側に有る場合は、色域の多角形がU*軸方向に大きい傾向を有しているため、第1緑発光蛍光体の光束比が比較的小さいように、全体の分光分布を調整した方が良好な結果を得られやすい。
前記の場合、本発明ではRaやRiの値が低くとも、GaやGa4が従来光源より大きく、色域の多角形がU*軸方向に広がる高彩度傾向を予め内包しているため、高彩度型の光源として良好な傾向を有す。
図77や図78は第1と第2緑発光蛍光体の光束比を固定しているが、相関色温度やDuvによって光束比を変化させればさらに結果を向上させることができることは他の事例と同様である。
以上のごとく、本発明では、単に3種以上の蛍光体と青発光LEDとの組み合わせで適宜Raが高まるといったものとは異なり、緑発光蛍光体を第1と第2に効率よく機能分解しその混光比率可変を実現することで、他の要因の変化に対し、非常に適応性の高い実施か、U*V*平面上にプロットされた色域について、U*軸方向に色域が増加する共通の傾向を内包しながら実現可能であることが判る。
さらにこの傾向は、実施の上で、蛍光体の相互吸収などにより分光分布の山谷が抑制される傾向を、第一の緑発光蛍光体の混光比率増加によって解消せしむる特性として予め考慮し内包されている。
本実施例は、これら適応性の高さの特性を示すべく例示したものであり、例にとどまらず、本発明において演色の傾向が広く保持され実施可能である。

なお、非常に蛍光体相互の吸収が大きくなる蛍光体の実装状態において、LEDと各々の蛍光体の発光ピークの間の分光分布の谷が埋まる傾向にあったが、青発光LEDおよび蛍光体が混光された分光分布において、前記青発光LEDの発光ピークと前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークとの間に存在する分光パワーの最低値は、前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークと前記赤発光蛍光体による発光ピークとの間に存在する分光パワーの最低値の分光パワーより低い。
また、前記青発光LEDの発光ピークと前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークとの間に存在する分光パワーの最低値は、前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークの90%以下であり、適宜より低い場合が好ましい傾向を生じた。
さらには、前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークと前記赤発光蛍光体との間に存在する分光パワーの最低値は、前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークに対し、演色評価の基準の光が合成昼光である場合、前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークの95%以下であり、演色評価の基準の光が黒体放射である場合、前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークの99%以下であり、これらは適宜より低い場合が好ましい結果を生じた。
前記関係を、演色評価の基準の光が合成昼光である場合、また、黒体放射である場合、各々の基準の光と、同一光束に正規化して比較した場合、前記青発光LEDの発光ピークと前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークとの間に存在する分光パワーの一部と、前記緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークと前記赤発光蛍光体による発光ピークとの間に存在する分光パワーの最低値の分光パワーの一部が、基準の光を下回る場合に好適な結果を得やすい。

<実施例2>
第2緑発光蛍光体としては比較的中帯域な蛍光体を使用した事例である。
実施例として、青発光LED素子と前記青色発光LED素子により励起される、第1緑発光蛍光体と、第2緑発光蛍光体、および、赤色発光蛍光体を使用した場合の典型的な事例の詳細を示す。
青発光LEDは窒化ガリウム系のLEDであり典型的なピーク波長445nmを使用した一例である。
典型的な第1緑発光蛍光体としては、窒化物蛍光体であるAE-Si2O2N2:Euの系、さらに具体的には、BaSi2O2N2:Euの系を使用している。BaSi2O2N2:Eu 「Sample B」のピーク波長は約495nmであり、半値幅は約30nmである。Sample Bの発光スペクトルは図17に示されている。第1緑発光蛍光体の実施の中でも半値幅が狭い(15nm以上45nm以下)一例である。
典型的な第2緑発光蛍光体としては、シリケート系蛍光体であり、(Ba,Sr)2SiO4:Eu の系、具体的には(Ba,Sr)2SiO4:Eu 「Sample H」を使用している。「Sample H」は「SampleC」と同じ蛍光体であるが第2緑発光蛍光体として使用した事例である。ピーク波長は約530nmであり、半値幅は約70nmである。Sample Hの発光スペクトルは図20に示されている。Sample Hは、第2緑発光蛍光体の中でも半値幅が中程度(45nm以上80nm以下)の一例である。例えばBa3Si6O12N2:Euやβ-SiAlON:Euなどの温度特性の比較的良い窒化物蛍光体もこれと類似の分光分布を有しており、同等の結果が得られる。
典型的な赤発光蛍光体としては、窒化物蛍光体であるAE−AlSiN3:Eu の系、さらに具体的には、(Sr,Ca)AlSiN3:Euの系を使用した一例である。(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」のピーク波長は約625nmであり、半値幅は約80nmである。Sample Lの発光スペクトルは図21に示されている。
前記組み合わせを実施例2の典型的な組み合わせとする。

図79は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図80は、光束比1:9の場合の各指標の評価値を示す図である。図81は、光束比1:9の場合の特性を示す図である。
図80からは、第1の緑発光蛍光体の光束比がほぼ0でも比較例(図3、図4)に比べて色再現性が改善されていることが分かる。また、図89は図79に対応する光束比0:10の場合の特性を示す図であるが、これに対して第1緑発光蛍光体が追加されることにより、色域の形状がU*軸方向に色域が増加する共通の傾向を内包していることが判り各種特性の向上と対応している。つまり、ここにおいても第1緑発光蛍光体が加わることにより本発明の効果が維持されていることがわかる。
言うまでも無く、第1と第2緑発光の混光比率を相関色温度に対し変化させれば、さらに特性が向上する相関色温度帯域は増加する向上する。
具体的には、実用的な相間色温度の範囲においてRaは80以上、Ra4が50以上、R13が85以上、R15が85以上である。
また、図81から全体の分光分布において、青緑間の分光パワーの最低値と緑赤間の分光パワーの最低値の関係は、青緑間の分光パワーの最低値が、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで25%、5000Kで21%、2700Kで14%である。また、好ましくは全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで57%、5000Kで61%、2700Kで73%である。色域の多角形について、実施例2は、比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づき僅かにそれを上回っている(図81中欄および下欄)。
また、第2緑発光蛍光体の発光ピークが比較的短波長側に位置する場合、第1緑発光蛍光体の発光ピークも比較的短波長側にある方が好ましい。さらには、他の実施例についても共通する傾向として第1緑発光蛍光体の発光ピークは第2緑発光蛍光体の発光ピークより短波長側に有る場合がより好ましい傾向が顕著である。
これは、第2緑発光蛍光体の半値幅が狭い場合、U*V*平面上の色域は、第2緑発光蛍光体の発光ピークの長波長化に伴いV*軸方向の幅が拡大するように変化するためである。また、このような場合、同一色度において第1と第2の緑発光蛍光体の光束比の変化により、色域の形状の傾向を、V*軸方向の幅が広い形状から、U*軸方向とV*軸方向がバランスする形状、U*軸方向の幅が広い形状に変化させることが可能であり、忠実演色主体の色再現と、高彩度型の効果演色主体の色再現のバランスを広く調整することができる。

次に上記傾向をよく現す第2緑発光蛍光体の変更事例を示す。
実施例2の典型的組み合わせに対し、第2緑発光蛍光体を変更して窒化物蛍光体を使用している。
第2緑発光蛍光体としては、窒化物蛍光体のSiAlON:Euの系を使用している(以下、「Sample I」と表記する場合がある)。Sample Iのピーク波長は約545nmであり、半値幅は約60nmである。Sample Iの発光スペクトルは図20に示されている。Sample Iは、半値幅が中帯域(45nm以上80nm以下)の蛍光体の一例である。
図82は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図83は、光束比2.5:7.5の場合の各指標の評価値を示す図である。図84は、光束比2.5:7.5の場合の特性を示す図である。
図83から比較例(図3、図4)や図82に比べて色再現性が改善されていることが分かる。具体的には、実用的な相間色温度の範囲においてRaは80以上、Ra4が50以上、R13が85以上、R15が85以上である。
また、図84における全体の分光分布において、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで31%、5000Kで27%、2700Kで15%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで61%、5000Kで67%、2700Kで83%である。色域の多角形について、比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている(図84中欄および下欄)。また、色域の多角形は、第1緑発光蛍光体が無く第2緑発光蛍光体(Sample I)のみの場合に比べてもU*軸方向に拡大されている。このため、赤と緑の反対色を鮮やかに演色しつつRaやR9やGaなどの値が高くRiのバラツキが小さい効果を他の事例のごとく生じている。
また、第1緑発光蛍光体が無く第2緑発光蛍光体(Sample I)のみの場合の色域の多角形は、図92中欄および下欄に示されている。
第2緑発光蛍光体の半値幅が狭く発光ピークが長波長化している場合、第2緑発光蛍光体の光束比が増加するとV*軸方向の幅が大きく拡大するように変化するためである。また、このような場合、同一色度において第1と第2の緑発光蛍光体の光束比の変化により、色域の形状の傾向を、V*軸方向の幅が広い形状から、U*軸方向とV*軸方向がバランスする形状、U*軸方向の幅が広い形状に変化させることが可能であり、忠実演色主体の色再現と、高彩度型の効果演色主体の色再現のバランスを広く調整することができる。
これは、第1緑発光蛍光体のみでの特性を示す図88と、第2緑発光蛍光体のみでの特性を示す図92とを比較すると明らかである。
つまり、半値幅の狭い第1緑発光蛍光体のみでの特性を示す図88ではU*V*平面上での色域は極端にU*軸方向の拡大を伴い、半値幅が狭く発光ピークが極端に長波長側に存在する第2緑発光蛍光体のみでの特性を示す図92ではU*V*平面上での色域はV*軸方向の拡大を伴う。また、その混光の間にある図84においては、双方の色域拡大効果がバランスし、U*軸方向に僅かに色域拡大傾向を有しながら基準の光の色域の形状に近づいている。
また、図84は各種蛍光体の発光の相互吸収が少ない理想的な実施であるため第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の各々の発光ピークの間にも分光分布の谷の形状が見受けられる。これは第1と第2緑発光蛍光体の半値幅が両方とも狭く、かつ、各々のピーク波長の間隔が離れ、蛍光体の相互吸収が非常に少ない極端な場合の実施に見られる分光分布の傾向であるが、蛍光体の相互吸収がある場合の実施においては、第1と第2緑発光蛍光体の間の分光分布の谷間は打ち消される傾向を生じる。
第1と第2緑発光蛍光体の間に分光分布の谷の形状が見受けられる場合も、やはり、青発光LEDと第1および第2の緑発光蛍光体と前記赤発光蛍光体の各々の光が混光された緑発光の分光分布において、前記青発光LEDの発光ピークと前記第1および第2の緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークとの間に存在する分光パワーの最低値、および、前記第1および第2の緑発光蛍光体の発光が混光された緑発光の分光分布のピークと前記赤発光蛍光体の発光ピークとの間に存在する分光パワーの最低値の関係は、他の実施例と同様の傾向を有している。
本例は極端に第1と第2の緑発光蛍光体の発光ピークの間に谷形状が存在する場合であるが、このような極端事例の場合、より明確には第1と第2の緑発光蛍光体が混光された緑発光の高い方の発光ピークを緑発光の発光ピークと扱う。また、両方が同じ発光ピーク高さであれば、青発光LEDとそれに近い緑発光の発光ピークとの間の最低値、また、赤発光蛍光体とそれに近い緑発光の発光ピークと扱う。
第1と第2緑発光蛍光体の半値幅が両方とも狭い場合も、第2緑発光蛍光体の発光ピークが、535nm以下の場合、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の各々の発光ピークの間に見受けられる分光分布の谷の形状は出現しにくい傾向にある。
また、これら第2緑発光蛍光体に対応する半値幅の比較的狭い第2緑発光蛍光体はこの外にもSiONの系やβ-SiAlONの系などの窒化物系蛍光体や、Ba2SiO4:Euの系や(Ba,Sr)2SiO4:Euの系などの珪素系蛍光体に多様に存在する。

次に実施例2に対して、第2緑発光蛍光体と赤発光蛍光体を変更した事例を示す。
第2緑発光蛍光体としては、(Ba,Sr)2SiO4:Euの系などの珪素系蛍光体の系であり図20の中の他のBOSE系蛍光体の事例、約515nmピークを有し半値幅が約65nmの事例(Sample Q)を使用している。
また赤発光蛍光体としては (Sr,Ca)AlSiN3:Euの系「Sample M」を使用している。Sample Mのピーク波長は約615nmであり、半値幅は約85nmである。Sample Mの発光スペクトルは図21に示されている。
図85は、光束比0:10の場合の各指標の評価値を示す図である。図86は、光束比2:8の場合の各指標の評価値を示す図である。図87は、光束比2:8の場合の特性を示す図である。
図86は、比較例(図3、図4)や図85に比べて色再現性が改善されていることが分かる。具体的には、実用的な相間色温度の範囲においてRaは80以上、Ra4が50以上、R13が85以上、R15が85以上である。
また、図87の全体の分光分布において、青緑間の分光パワーの最低値と緑赤間の分光パワーの最低値とが存在する。ここで、青緑間の分光パワーの最低値は、緑赤間の分光パワーの最低値よりも低い。全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、青緑間の分光パワーの最低値は、90%以下である。具体的には、6700Kで28%、5000Kで25%、2700Kで14%である。また、全体の分光分布における緑発光の分光分布のピークに対し、緑赤間の分光パワーの最低値は、演色評価の基準の光が完全放射体の光の場合に99%以下であり、演色評価の基準の光がCIE昼光の場合に95%以下である。具体的には、6700Kで55%、5000Kで60%、2700Kで73%である。色域の多角形について、他の実施例同様に比較例に比べてU*軸方向に拡大され、その結果、基準の光の色域の多角形の形状に近づいている。
また、赤発光蛍光体のピーク波長は比較的短波長域に位置する。第1と第2緑発光蛍光体の半値幅が狭いものを組み合わせ、かつ、分光分布のピークが比較的短波長側にあるもの同士の組み合わせの場合、第1と第2の緑発光蛍光体の分光パワーが比較的短波長側に収集することから、各種演色特性を維持しながらピーク波長が比較的短波長側に有る赤発光蛍光体が組み合わせやすくなる。このとき、赤発光蛍光体のピーク波長が短波長側にあるものは、標準比視感度Vλの比較的高い波長域に赤発光蛍光体のパワーを配分することができるため、発光効率の確保を図りやすくなる。また、ピーク波長がより長波長側にある赤発光蛍光体、例えばSample L:(Sr,Ca)AlSiN3:Euのピーク波長625nmなどとの組み合わせの場合は、より相関色温度の低い領域まで各種評価数が高まる。

<詳細説明>
以下、第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の光束比の調整により忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスを調整する場合の詳細説明を行なう。実施例では、緑発光蛍光体が第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体を含むが、以下、緑発光蛍光体が第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体の一方のみを単独で使用したものである。図88から図92は第1と第2の緑発光蛍光体の混光比が1:0ないしは0:1の状態と等価で有り、緑発光蛍光体の混光比がほぼ0の場合も類似である。以下、各々の単独使用以外のを説明する。
以下、共通に、青発光LEDのピーク波長は約445nmであり、赤発光蛍光体としては、Sample Lを使用する。Sample Lのピーク波長は約625nmであり、半値幅は約80nmである。
図88は、第1緑発光蛍光体(Sample B)を単独使用した場合の特性を示す図である。Sample Bのピーク波長は約500nmであり、半値幅は約30nmである。
図89は、第1緑発光蛍光体(Sample C)を単独使用した場合の特性を示す図である。SampleCのピーク波長は約530nmであり、半値幅は約70nmである。
図90は、第2緑発光蛍光体(Sample D)を単独使用した場合の特性を示す図である。Sample Dのピーク波長は約515nmであり、半値幅は約105nmである。
図91は、第2緑発光蛍光体(Sample F)を単独使用した場合の特性を示す図である。Sample Fのピーク波長は約545nmであり、半値幅は約110nmである。
図92は、第2緑発光蛍光体(Sample I)を単独使用した場合の特性を示す図である。Sample Iのピーク波長は約545nmであり、半値幅は約50nmである。
図88、図89に示すように、第1緑発光蛍光体を単独で使用した場合、U*V*平面上の色域が、基準の光での色域に比べてU*軸方向に拡大されている。即ち、赤色および緑色を高彩度に色再現する傾向がある。U*V*色度座標上で色域の形状を見るとU*軸方向のプラス側(右側)でR1とR8に相当する色再現の色度が、少なくとも1箇所以上基準の光における色度よりU*軸方向のプラス側(右側)に拡大している。また、U*軸方向のマイナス側(左側)でR4とR5とR6に相当する色再現の色度が、少なくとも1箇所以上基準の光における色度よりU*軸方向のマイナス側(左側)に拡大している。
他方、図90〜図92に示すように、第2緑発光蛍光体を単独で使用した場合、U*V*平面上の色域が、基準の光での色域に比べてU*軸方向に縮小されV*軸方向に拡大されている、あるいは、基準の光での色域に近い形状となる。
図90のごとく第2緑発光蛍光体が比較的半値幅が広く、発光ピークが比較的短波長側にあるものを使用した場合、基準の光による色域に近い色域の形状を有する。また、U*V*色度座標上で色域の形状を見ると僅かに、U*軸方向のプラス側(右側)にあるR1とR8に相当する色再現の色度が、少なくとも1箇所以上基準の光における色度よりU*軸方向のマイナス側(左側)に縮小している。また、U*軸方向のマイナス側(左側)にあるR4とR5とR6に相当する色再現の色度が、少なくとも1箇所以上基準の光における色度よりU*軸方向のプラス側(右側)に縮小している。前記傾向は第2緑発光蛍光体の発光ピークが長波長側によっている場合や、半値幅が狭い場合により顕著となる。
このように色域の傾向が異なる2種類の緑発光蛍光体を単独使用した結果を混光すると、両者の色域を、混光比に対応した各々の単独使用の結果の中間の分光分布に合成することができる。このとき、同一色度で両者の混合比を調整することにより、U*軸方向の幅の拡大の量を調整することができる。これが、忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスを調整することと連動する。また、第1緑発光蛍光体を色域のU*軸方向に色域が大きく拡大されたものとし、第2緑発光蛍光体を色域のV*軸方向に色域が大きく拡大されたものを選択すると、広い相関色温度の範囲で、忠実な色再現性と高彩度な色再現性のバランスを調整することができる。また、RiやRaやGaなどの各種評価値は各々2種類の緑発光蛍光体を単独使用した数値の混光比率に応じ単純にその中間値とはならず、各々の単独使用時よりも各種指標の評価値が向上する傾向を生じる。

なお、前記の本発明の各蛍光体の単独の分光分布に対し、それに類する分光分布を得るため、2種以上の蛍光体を混ぜ合わせ、擬似的に本発明に使用する1種の蛍光体相当と扱う変則的な実施は可能であり、変則例として本発明の範囲に含まれる。前記変則を赤発光蛍光体で行なった場合の実施例がその1つの事例である。この他にも例えば、半値幅が比較的広い第2緑発光蛍光体を2種類の緑発光蛍光体で構成し非対称で短波長側に発光ピークを有する分光分布を有する単独の第2緑発光蛍光体として扱う変則的な実施も可能である。また、励起源であるLEDが複数の場合もピーク波長が異なるLEDが複数組み合わせ実施することも可能である。

<変形例>
(1)忠実な色再現と高彩度な色再現の演色調光
以下、忠実な色再現と高彩度な色再現の演色調光可能な照明システムについて説明する。
図93は、照明システムの回路構成を示す回路図である。
照明システム301は、直流電源302、第1光源装置303、第2光源装置304、トランジスタQ1、Q2および点灯装置305を備える。点灯装置305は、トランジスタQ1、Q2を制御することで、第1光源装置303と第2光源装置304との電流比を調整する。
図94(a)は、第1光源装置の構造を示す断面図である。第1光源装置303は、パッケージ12、引き出し電極13、青発光LED14、透明部材15、第1緑発光蛍光体16および赤発光蛍光体18を備える。
図94(b)は、第2光源装置の構造を示す断面図である。第2光源装置304は、パッケージ12、引き出し電極13、青発光LED14、透明部材15、第2緑発光蛍光体17および赤発光蛍光体18を備える。
引き出し電極13は1つの上下電極LEDの例を図示しているが、2本であっても良く、給電電極の形態によらないことは言うまでも無い。
ここで、第1光源装置303の色度と第2光源装置304の色度を同一に構成する。また、第1光源装置303のU*V*平面上の色域のU*軸方向の幅は、第2光源装置304のU*V*平面上の色域のU*軸方向の幅よりも大きい高彩度な演色特性を有す。さらに、好ましくは、第1光源装置303のU*V*平面上の色域のV*軸方向の幅は、第2光源装置304のU*V*平面上の色域のV*軸方向の幅よりも小さい。
また、前記、第1緑発光蛍光体16と前記、第2緑発光蛍光体17は、第1光源装置303の色度と第2光源装置304に単独ではなく、前記、第1光源装置303のU*V*平面上の色域のU*軸方向の幅は、第2光源装置304のU*V*平面上の色域のU*軸方向の幅よりも大きい高彩度な演色特性を有す組み合わせで、両方に存在することも可能である。

この構成により、第1光源装置303と第2光源装置304の光束比を調整することができる。第1光源装置303と第2光源装置304の色度は同一なので、光束比を調整しても第1光源装置303と第2光源装置304の混合光の色度は変化しない。一方、第1光源装置303と第2光源装置304の演色性は異なる。そのため、光束比を調整することで、第1光源装置303と第2光源装置304の混合光の混光比率を変えることで演色性を調整することができる。具体的には、忠実な色再現と高彩度な色再現の調整をすることができる。
この際に、照度と色度が一定で被照明物の演色が統一的な傾向をもって変化するという新たな照明の演出が可能となる。
さらに、照度と演色の変化を連動させることも可能である。被照明物を低照度から高照度に調光して照明する場合、第1光源装置303と第2光源装置304の混合光の全体の光出力を変化させながら混光比率を変えることで、低照度に照明する場合は暗くなることによる被照物の色みの鮮やかさ低下を是正するように、前記、第1光源装置303の混光比を高めることが可能である。また、逆に、照度が低くなった場合、被照明物の色がより暗く沈んで見えるように、前記、第1光源装置303の混光比を低めることが可能である。
さらには、明るく照明する場合には明るさ感を強調するように前記、第1光源装置303の混光比を高めることが可能もある。
なお、第1光源装置303の相関色温度と第2光源装置304の相関色温度を異ならせてもよい。例えば、第1光源装置303の相関色温度が高く、第2光源装置304の相関色温度が低いこととする。この場合、第1光源装置303と第2光源装置304の混合光の相関色温度が高い場合に、忠実な色再現よりも高彩度の色再現を重視した演色性を実現することができる。逆に、混合光の相関色温度が低い場合に、高彩度な色再現よりも忠実な色再現を重視した演色性を実現することができる。なお、逆に、第1光源装置303の相関色温度が低く、第2光源装置304の相関色温度が高くてもよい。
Duvのプラスからマイナス方向の変化に対しても同様、色度の変化と演色の変化を連動させる照明演出も可能である。
以上、本発明では照度の調光、色度の調光に加え、統一的な傾向を有す演色の調光とその連動制御が可能となる。

(2) 光源装置の構造
実施の形態では、光源装置の一例として図16のLED光源を挙げているが、本発明はこれに限らない。青発光LED、第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体を具備していれば、どのような構造でも構わない。例えば、図95に示すLED光源21のようなCOB型でもよい。LED光源21は、回路基板22、配線パターン23、青発光LED24、透明部材25、第1緑発光蛍光体26、第2緑発光蛍光体27および赤発光蛍光体28を備える。また、砲弾型のLED光源などの別の形状をとっても良い。さらに、光源装置として青発光LEDと蛍光体が分離配置されていても照明光として出射される光が最終的に本発明の分光分布の特徴を有する形態でも良い。
また、図96(a)に示すLED光源11aのように、透明部材15が第1層15a、第2層15b、第3層15cからなり、第1層15aに第1緑発光蛍光体16が分散され、第2層15bに第2緑発光蛍光体17が分散され、第3層15cに赤発光蛍光体18が分散されていてもよい。同様に、図96(b)に示すLED光源21aのように、透明部材25が第1層25a、第2層25b、第3層25cからなり、第1層25aに第1緑発光蛍光体26が分散され、第2層25bに第2緑発光蛍光体27が分散され、第3層25cに赤発光蛍光体28が分散されていてもよい。
また、蛍光体は3層にかぎらず、1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体を混合して1層とし赤発光蛍光体との組み合わせの2層でも良い。蛍光体の層の順番は各蛍光体の相互光吸収と反射や、温度特性などを勘案して任意で有り、青発光LEDの周りを透明部材で封止してから蛍光体を配するなど、本発明の分光分布を得るための実施上の配置変化は任意である。
さらには、蛍光体を平面状にドットマトリクス配置する実施などでは、蛍光体相互の自己吸収は抑えられる。
また、LEDのダイ(ベアチップ)を透明部材で封止し、その外側に蛍光体を配置するなどのリモートフォスファー(蛍光体の離間配置)構成を取ってもよい。さらには蛍光体が一体に形成されておらず別に配置されるリモートフォスファー(蛍光体の離間配置)構成を取ってもよい。
また、光源装置の一例としてLED光源11、21を適用したLED照明装置であってもよい。
図97(a)は、直管形のLED照明装置101の例を示す。LED照明装置101は、直管状の透明部材102、口金103、基板104およびLED光源11を備える。この例では直管形蛍光ランプ状としているが、当然、円管形蛍光ランプ状などにも適用できる。
また、図97(b)は、電球形のLED照明装置111にLED光源21を適用した例を示す。LED照明装置111は、ボディ112、口金113、基板114、グローブ115およびLED光源21を備える。
また、図97(c)は、箱状の光拡散チャンバーを有するLED照明装置121にLED光源11を適用した例を示す。LED照明装置121は、筐体122、基板123、光拡散部材ないしは透明部材124およびLED光源11を備える。
上記LED照明装置は、青発光LEDと第1緑発光蛍光体と第2緑発光蛍光体と赤発光蛍光体とを備えたLED光源を利用しているが、本発明は、これに限らない。LED光源が青発光LEDのみを備えている場合でも、以下の構造であれば同じ効果を得ることができる。
図98(a)は、直管型のLED照明装置201に青発光LEDを備えたLED光源31を利用する。LED照明装置201は、直管状の透明部材102、口金103、基板104、蛍光体層202およびLED光源31を備える。蛍光体層202は、第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体を含み、透明部材102の内面に形成されている。なお、蛍光体層202は、透明部材102の内面に限らず、外面に形成されていてもよい。さらに、透明部材102自体に第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体が含まれることとしてもよい。
また、図98(b)は、電球形のLED照明装置211に青発光LEDを備えたLED光源41を利用する。LED照明装置211は、ボディ112、口金113、基板114、グローブ115、蛍光体層212およびLED光源41を備える。蛍光体層212は、第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体を含み、グローブ115の内面に形成されている。なお、蛍光体層212は、グローブ115の内面に限らず、外面に形成されていてもよい。さらに、グローブ115自体に第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体が含まれることとしてもよい。
また、図98(c)は、箱状の光拡散チャンバーを有するLED照明装置221にLED光源31を適用した例を示す。LED照明装置221は、筐体122、基板123、光拡散部材ないしは透明部材124、蛍光体層222およびLED光源31を備える。蛍光体層222は、第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体を含み、光拡散部材ないしは透明部材124の内面に形成されている。なお、蛍光体層222は、光拡散部材ないしは透明部材124の内面に限らず、外面に形成されていてもよい。さらに、光拡散部材ないしは透明部材124自体に第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体が含まれることとしてもよい。
また、上記LED照明装置では、第1緑発光蛍光体、第2緑発光蛍光体および赤発光蛍光体の全てを蛍光体層に含めることとしているが、これに限らず、何れかを蛍光体層に含め、残りをLED光源に含めることとしてもよい。
さらには、蛍光体を層状ではなく、少なくとも一部をドットマトリックス状に配置しても良い。蛍光体の励起源であるLEDからの出射光が、蛍光体の配置部を通り、最終的な出射光として照明に供される過程で、各種蛍光体を混合した状態で配置しないことで、一種類の蛍光体から出射した光が、他の蛍光体に再吸収される割合を低下させることが可能となる。

<本発明の他の効果>
(1)Duv がマイナス側で高彩度な演色性の事例
既存の高彩度形ランプはDuvがマイナスの領域に存在することが多い。具体的には、Duvが−0.003〜−0.007の領域が使用されることが多い。あるいは、より特殊光色として―0.007以下のものも存在しDuvが−0.01〜−0.015近傍のものも用いられる。
一般的には光色に紫みが増すDuvがマイナス側の色度領域では、可視波長域の長波長側の赤領域の分光パワーと、可視波長域の短波長側の青領域の分光パワーが増すために、高彩度型の演色特性が得られやすいためである。
次に、完全放射体軌跡(黒体放射軌跡)より下側のマイナスのDuvの色度領域で第2緑発光蛍光体が変化した事例を示す。
青発光LEDは共通で発光ピーク波長は約445nmである。
また、第1緑発光蛍光体は共通でBaSi2O2N2:Eu 「Sample B」のピーク波長は約495nm、半値幅は約30nmである。
また、赤発光蛍光体は共通で(Sr,Ca)AlSiN3:Eu「Sample L」のピーク波長は約625nm、半値幅は約80nmの事例である。

第2緑発光蛍光体を、Lu3Al5O12:Ce「Sample D」とした例を示す。
図99は、変形例でDuvが−0.005、光束比2:8の場合の特性を示す図である。図100は、変形例でDuvが−0.005、光束比0.5:9.5の場合の特性を示す図である。

次に第2緑発光蛍光体を(Ba,Sr)2SiO4:Eu 「Sample H」とした例を示す。
また、図101は、変形例でDuvが−0.005、光束比2:8の場合の特性を示す図である。
図102は、変形例でDuvが−0.005、光束比0.5:9.5の場合の特性を示す図である。

これらは、一般的な相関色温度範囲でRaが80以上、Ra4が60以上、Gaが100以上を確保しながら、U*V*平面上でU*軸方向の幅が広い傾向を有している。Duvが−0.005近傍のようなDuvが低い領域でも、第1緑発光蛍光体の光束比を高めると、第1緑発光蛍光体がない場合よりU*V*平面上の色域のU*軸方向の幅が広がっていることが判る。Duvの値がマイナス側に低い場合に、第1緑発光蛍光体の光束比を低めに設定すると、Raの数値が高まるだけでなく、U*V*平面上で基準の光の色域に近い形状の色域を実現することが分かる。つまり、一般に高彩度型の傾向を生じRaやRiの数値が低くなり、Ri数値のバラツキが大きくなるる傾向が生じやすいDuvがマイナスの領域でもRaやRiで示される忠実演色の傾向に演色特性を制御することが可能なことが判る。また、一般的傾向のごとく色度がDuvがマイナス側に変移しただけの効果で高彩度傾向を生じせしめる効果を超えて、同一色度でより高彩度に演色特性を制御することが可能なこともわかる。
これはDuvが―0.007以下の、さらにDuvがマイナスの色度領域においても同様の傾向を示す。例えば、Duvが−0.01や-0.02などの領域も特殊光色として使用されることがあるが、この場合にも本発明の調整は有効である。
特に、Raなどの基準の光との忠実演色にこだわらない高彩度特性を優先した演色をDuvがマイナス側の光色でも強調することが可能である。また、Duvをマイナスに変位させることのみで高彩度特性を優先した光源を得る通常の場合よりも、Duvをマイナスに変移させる必要が無く高彩度特性を優先した光源を得るという実現も可能である。

(2)肌や葉の自然物の演色性
現在、特殊演色評価数で考慮されている肌や葉の自然物の演色性をより反映する検討において次のようなことが言える。
実際の人肌、特に明るい肌色を有する人種は血液のヘモグロビン(Hemoglobin)の吸収特性を反映し520nm近傍から590nm近傍に分光分布反射率のが低下する分光反射率の谷を有する。
実際の葉、特に緑みの強い健常なものは葉緑素(クロロフィル:Chlorophyll)の分光反射特性を反映し広くは530〜550nm近傍に緑の分光反射ピークを持ち700nm近傍までは分光反射率が低い帯域を有することが多い。
これに対し、現在の演色評価指標であるR13(西洋人の肌)、R14(植物の葉)の分光反射率は、人工的な塗料による色度の再現が優先されており、実際の自然物の分光反射特性とは異なっている。
R13においては実際の西洋人の肌の分光反射率のごとく520nm近傍から590nm近傍に分光分布反射率が低下する特性が考慮されておらず実際の西洋人の肌の分光反射率とは乖離が大きい。また、R14においては同等の三刺激値を有する平均的な植物の分光反射率より550nm近傍の分光反射ピークから700nm近傍までの分光反射率が低い帯域の反映と700nm以降の分光反射率の高い帯域の反映に誤差が多い。
ただし、R15(東洋人:日本人の肌)においては、このような課題を反映し、そもそも、実際の東洋人の肌の分光反射特性を反映している。
そこで、従来に無い分光分布を有する光源を検討する際に、R13やR14の指標の分光反射率と実際の自然物の分光反射率の差を検討しておく必要がある。

これらの演色評価に用いられることの多い自然対象物の分光反射率を、図103、104に示す。図103は、自然対象物としての肌の分光反射とR13の典型的な差を示す。図104は、自然対象物としての葉の分光反射とR14の典型的な差を示す。
本発明における検討では数々の自然対象物の分光反射率を検討し、特殊演色評価数Riの分光反射率に代替し、実際の自然対象物のRiを求め現実に照らしても発明が良好な演色特性を有することを検証した。
ここで、R13とR14の色票の分光反射率と、それに対応する実際の自然物の分光反射率の差異に共通する傾向は、550nm近傍から600nm近傍までの黄みのスペクトル帯域の反射率の差であり、その帯域の反射率は、実際は低いことである ここで、既存光源において580nm近傍の黄みのスペクトルを吸収するネオジウムガラスと各種光源を組み合わせたランプ(ネオジウム電球が最も一般的であるが、HIDや蛍光ランプでの事例も見られる)が実用化され、被照明物の黄ばみ少なく好ましく見えるということ効果は一般に知られている。
また、肌の見えについて550nm〜580nm近傍の吸収体の分光分布の谷が埋まるような分光反射率を有する肌はくすんで見える傾向を有することなどが知られている。また、葉の見えについて、枯葉など不健康な葉は550nm以降の分光反射率が高まり黄にくすんで見える傾向を有することなども知られている。
本発明において、550nm近傍から600nm近傍はスペクトル抑制帯域に相当するため、この波長帯域を抑制することで、実際の「肌」や「葉」の分光反射特性の特徴を強調する傾向が得られる。また、色票と実際の自然対象物との間に存在する誤差が繰り込まれる割合を減じることができる。これらにより、「黄ばんだ印象」、「くすんだ印象」の形成が抑制され、好ましい方向への演色効果が得られる。
基準の光との色差をベースにした演色評価の特性の良し悪しに加え、本発明の分光分布そもそもの傾向から自然物の分光反射特性の傾向を強調する好ましい方向への演色効果を保持する傾向を生じる。

本発明では多様な肌や葉の分光反射率をRiに当てはめ各種検討したが、一般的な指標を例にその傾向を示す。

肌のRiにおいて例示のR13、R15は現行の分光反射率を使用したもの。
R13'はCIE TC1-33(1999)135-2におけるCaucasian Skinの色票改善案TCS09であり実際の白人の肌の分光反射率を反映したもの。
Rs(Dark Skin)はMacbeth Color Checkerの(Dark Skin)の色票の反射率であり実際の暗い肌の人種の分光反射率に近いもの。
Rs(Light Skin)はMacbeth Color Checkerの(Light Skin)の色票の反射率であり実際の明るい肌の人種の分光反射率に対し現行のR13よりも近いもの。

葉のRiにおいて例示のR14は現行の分光反射率を使用したもの。
R14'は現行のR14に対し、実際の植物の分光反射特性をより反映したものとして提案活動されたもの。色彩科学講座2 Color in Life 日本色彩学会 編。
Rf(Foliage)はMacbeth Color Checkerの(Foliage)の色票の反射率でありR14とは別に葉の分光反射率を参照されながら作られたもの。

図2に示す三波長域発光型蛍光ランプの分光分布で各Riを計算した事例
6700Kにおいて
R13=95、R15=98、R13'=89、Rs(Dark Skin)=85、Rs(Light Skin)=98
R14=71、R14'=68、Rf(Foliage)=80
5000Kにおいて
R13=97、R15=97、R13'=89、Rs(Dark Skin)=84、Rs(Light Skin)=96
R14=71、R14'=70、Rf(Foliage)=79
2700Kにおいて
R13=93、R15=92、R13'=92、Rs(Dark Skin)=80、Rs(Light Skin)=92
R14=71、R14'=77、Rf(Foliage)=73

図4に示す従来のLED光源の分光分布で各Riを計算した事例
6700Kにおいて
R13=58、R15=53、R13'=50、Rs(Dark Skin)=59、Rs(Light Skin)=57
R14=81、R14'=79、Rf(Foliage)=84
5000Kにおいて
R13=62、R15=59、R13'=56、Rs(Dark Skin)=62、Rs(Light Skin)=61
R14=84、R14'=83、Rf(Foliage)=86
2700Kにおいて
R13=78、R15=73、R13'=72、Rs(Dark Skin)=72、Rs(Light Skin)=74
R14=90、R14'=91、Rf(Foliage)=89

図29に示す本発明のLED光源の分光分布で各Riを計算した事例
6700Kにおいて
R13=97、R15=97、R13'=93、Rs(Dark Skin)=99、Rs(Light Skin)=95
R14=98、R14'=98、Rf(Foliage)=97
5000Kにおいて
R13=94、R15=96、R13'=93、Rs(Dark Skin)=99、Rs(Light Skin)=95
R14=98、R14'=95、Rf(Foliage)=98
2700Kにおいて
R13=89、R15=98、R13'=93、Rs(Dark Skin)=99、Rs(Light Skin)=98
R14=92、R14'=85、Rf(Foliage)=97

以上の例からも、本発明においては、従来のR13やR15を向上させると共ともに、より現実に即した分光反射率で計算されたRiの値も高めることが判る。
肌において明るい肌から暗い肌まで多様な人種の分光反射率で高いRiの値を示すことが例示以外の多様な分光反射の肌の色に対しても確認されている(例えばISO/TR 16066などの自然対象物の分光反射データベースを参照、または、実測値を適用)。また、葉において多様な現実の葉の分光反射率で高いRiの値を示すことを例示以外にも確認されている(例えばISO/TR 16066などの自然対象物の分光反射データベースを参照、または、実測値を適用)。

図4に示す従来のLED光源の分光分布においては、R13とR13'を比較すると現実の白人の肌の分光反射率においてはRiの値が低下する傾向が見受けられる。
しかし、図29に示す本発明のLED光源の分光分布においては、その傾向が見られず、現行の指標であるR13を維持しながら実際の多様な肌の分光反射率に基ずくRiの値も良好に維持できる。これらは、本発明が肌や葉などの分光反射率の傾向を補強する分光分布を有するためと考えられる。

ちなみに、図29に示す本発明の本発明のLED光源の分光分布において2700KのR14'の数値は比較的低いが、これは色域GaやGa4が高く、鮮やかな色再現を示すためであり、より詳細な分析のため直接的にU*V*平面上にR14'の演色結果の色度をプロットすると、基準の光の演色結果よりも色度は緑みの高彩度側に変移しており、より鮮やかに演色されたためのR14'の数値の低下であった。
つまり、この場合、現実の葉緑素の分光反射率の特性が反映され、好ましく緑の彩度が上がった結果と言える。

さらに、本発明に従い、第1緑発光蛍光体の光束比と第2緑発光蛍光体の光束比を変化させる。
図29に示す本発明のLED光源の青発光LEDと蛍光体に組み合わせで第1緑発光蛍光体の光束比0.25に対し第2緑発光蛍光体の光束比9.75とした場合の分光分布で各Riを計算した事例を下記に示す。
2700Kにおいて
R13=95、R15=95、R13'=90、Rs(Dark Skin)=95、Rs(Light Skin)=94
R14=97、R14'=91、Rf(Foliage)=97

この場合は、図29に示す本発明の本発明のLED光源の分光分布より第1緑発光蛍光体の光束比が相対的に低下し、高彩度型の演色傾向を内包しつつも、忠実演色の傾向が強くなる。よって、好適な実施において他の肌や葉のRiの数値も90以上と高く維持されつつ、R14'も90以上となっている。
以上、本発明は既存のR13らR14を高く維持しながら、現実の肌や葉のRiがR13やR14の評価値相当に高くなる傾向を内包した分光分布の要件が組み込まれている。
11、21、31、41 LED光源
12 パッケージ
13 引き出し電極
14、24 青発光LED
15、25 透明部材
16、26 第1緑発光蛍光体
17、27 第2緑発光蛍光体
18、28 赤発光蛍光体
22 回路基板
23 配線パターン
101、111、121、201、211、221 LED照明装置
102 透明部材
103 口金
104 基板
112 ボディ
113 口金
114 基板
115 グローブ
122 筐体
123 基板
124 透明部材
202、212、222 蛍光体層
301 照明システム
302 直流電源
303 第1LED光源
304 第2LED光源
305 点灯装置

Claims (20)

  1. 第1青色光を出射する第1青発光LEDと、前記第1青色光により励起されることにより第1緑色光を発する第1緑発光蛍光体及び第1赤色光を発する第1赤発光蛍光体とを含み、第1混光を発する第1光源装置と、
    第2青色光を出射する第2青発光LEDと、前記第2青色光により励起されることにより第2緑色光を発する第2緑発光蛍光体及び第2赤色光を発する第2赤発光蛍光体とを含み、第2混光を発する第2光源装置と、を備え、
    前記第1混光、及び前記第2混光の混光により形成された分光分布は、
    波長440nm以上、465nm以下に第1最高値を示す第1ピークを有し、
    波長490nm以上、555nm以下に第2最高値を示す第2ピークを有し、
    波長600nm以上、645nm以下に第3最高値を示す第3ピークを有し、
    前記第1ピークと前記第2ピークとの間に第1最低値を示す第1ボトムを有し、
    前記第2ピークと前記第3ピークとの間に第2最低値を示す第2ボトムを有し、
    前記第1最低値は前記第2最低値より小さく、
    U*V*平面上の色域において、前記第1混光のU*軸方向の幅は、前記第2混光のU*軸方向の幅より大きく、
    前記第1青色光、及び前記第2青色光の発光スペクトルは、波長440nm以上、465nm以下にピークを有し、
    前記第1緑色光のスペクトルは、波長490nm以上、535nm以下にピークを有し、
    前記第2緑色光のスペクトルは、波長495nm以上、555nm以下にピークを有し、
    前記第1赤色光、及び第2赤色光のスペクトルは、波長600nm以上、650nm以下にピークを有し、
    前記第1赤色光、及び第2赤色光の前記スペクトルの半値幅は、波長75nm以上、120nm以下である
    照明用光源装置。
  2. 第1青色光を出射する第1青発光LEDと、前記第1青色光により励起されることにより第1緑色光を発する第1緑発光蛍光体及び第1赤色光を発する第1赤発光蛍光体とを含み、第1混光を発する第1光源装置と、
    第2青色光を出射する第2青発光LEDと、前記第2青色光により励起されることにより第2緑色光を発する第2緑発光蛍光体及び第2赤色光を発する第2赤発光蛍光体とを含み、第2混光を発する第2光源装置と、を備え、
    前記第1混光、及び前記第2混光の混光により形成された分光分布は、
    波長440nm以上、465nm以下に第1最高値を示す第1ピークを有し、
    波長490nm以上、555nm以下に第2最高値を示す第2ピークを有し、
    波長600nm以上、645nm以下に第3最高値を示す第3ピークを有し、
    前記第1ピークと前記第2ピークとの間に第1最低値を示す第1ボトムを有し、
    前記第2ピークと前記第3ピークとの間に第2最低値を示す第2ボトムを有し、
    前記第1最低値は前記第2最低値より小さく、
    U*V*平面上の色域において、前記第1混光のU*軸方向の幅は、前記第2混光のU*軸方向の幅より大きく、
    前記第1青色光、及び前記第2青色光の発光スペクトルは、波長440nm以上、465nm以下にピークを有し、
    前記第1緑色光のスペクトルは、波長490nm以上、535nm以下にピークを有し、
    前記第2緑色光のスペクトルは、波長505nm以上、550nm以下にピークを有し、
    前記第1赤色光、及び第2赤色光のスペクトルは、波長600nm以上、650nm以下にピークを有し、
    前記第1緑色光の前記スペクトルの半値幅は、波長15nm以上、80nm以下であり、
    前記第2緑色光の前記スペクトルの半値幅は、波長45nm以上、80nm以下である
    照明用光源装置。
  3. 第1青色光を出射する第1青発光LEDと、前記第1青色光により励起されることにより第1緑色光を発する第1緑発光蛍光体及び第1赤色光を発する第1赤発光蛍光体とを含み、第1混光を発する第1光源装置と、
    第2青色光を出射する第2青発光LEDと、前記第2青色光により励起されることにより第2緑色光を発する第2緑発光蛍光体及び第2赤色光を発する第2赤発光蛍光体とを含み、第2混光を発する第2光源装置と、を備え、
    前記第1混光、及び前記第2混光の混光により形成された分光分布は、
    波長440nm以上、465nm以下に第1最高値を示す第1ピークを有し、
    波長490nm以上、555nm以下に第2最高値を示す第2ピークを有し、
    波長600nm以上、645nm以下に第3最高値を示す第3ピークを有し、
    前記第1ピークと前記第2ピークとの間に第1最低値を示す第1ボトムを有し、
    前記第2ピークと前記第3ピークとの間に第2最低値を示す第2ボトムを有し、
    前記第1最低値は前記第2最低値より小さく、
    U*V*平面上の色域において、前記第1混光のU*軸方向の幅は、前記第2混光のU*軸方向の幅より大きく、
    前記第1青色光、及び前記第2青色光の発光スペクトルは、波長440nm以上、465nm以下にピークを有し、
    前記第1緑色光のスペクトルは、波長490nm以上、535nm以下にピークを有し、
    前記第2緑色光のスペクトルは、波長495nm以上、555nm以下にピークを有し、
    前記第1赤色光、及び第2赤色光のスペクトルは、波長600nm以上、650nm以下にピークを有し、
    前記第1青色光の発光スペクトルと前記第2青色光の発光スペクトルは同一であり、
    前記第1赤色光のスペクトルと前記第2赤色光のスペクトルは同一である
    照明用光源装置。
  4. 前記第1混光のV*軸方向の幅は、前記第2混光のV*軸方向の幅よりも小さい、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  5. 前記第1混光の色域面積比Gaは前記第2混光の色域面積比Gaより大きい
    請求項1から4のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  6. JIS Z9112、又はANSI C78.377で規定される相関色温度の範囲における区分において、前記第1混光と前記第2混光とは、同じ区分にある
    請求項1から5のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  7. 前記第1混光の相関色温度は、前記第2混光の相関色温度よりも高い、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  8. 前記第1光源装置は、さらに前記第2緑発光蛍光体を含み、
    前記第1混光は、前記第2緑発光蛍光体が前記第1青色光によって励起されることにより発する緑色光をさらに含む
    請求項1から7のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  9. 前記第2光源装置は、さらに前記第1緑発光蛍光体を含み、
    前記第2混光は、前記第1緑発光蛍光体が前記第2青色光によって励起されることにより発する緑色光をさらに含む
    請求項1から7のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  10. JIS Z9112、又はANSI C78.377で規定される、前記分光分布を有する光の演色性の評価に用いる基準光が、
    1)合成昼光と完全放射体とを切り替える区分に相当する相関色温度帯域において、前記合成昼光であるとき、及び前記完全放射体であるときと、
    2)前記区分外の相関色温度帯域であって、相関色温度5500Kを超える相関色温度帯域において前記合成昼光であるとき、及び相関色温度4600Kを下回る相関色温度帯域において前記完全放射体であるときと、のいずれにおいても、
    前記光において、平均演色評価数Raが80以上、特殊演色評価数R9が50以上、特殊演色評価数R9,R10、R11、及びR12の平均値Ra4が50以上、及び特殊演色評価数R13,及びR15が85以上である
    請求項1から9のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  11. 前記光において、特殊演色評価数R9、R10,R11、及びR12の平均値Ra4が80以上であり、かつ、
    前記光における平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9、及び色域面積比Gaは、広い相関色温度の範囲において、前記第1混光、及び前記第2混光の少なくとも一方における平均演色評価数Ra、特殊演色評価数R9、及び色域面積比Gaよりも高い
    請求項10に記載の照明用光源装置。
  12. 前記光において、色域面積比Gaが100以上である
    請求項10に記載の照明用光源装置。
  13. 前記基準光が前記完全放射体のとき、
    相関色温度2700K以上において、
    平均演色評価数Raが90以上、特殊演色評価数R9が90以上、特殊演色評価数R9、R10、R11、及びR12の平均値Ra4が80以上、特殊演色評価数R13,及びR15が90以上、及び色域面積比Gaが100以上であり、
    相関色温度2200K以上、2700K未満において、
    平均演色評価数Raが90以上、特殊演色評価数R9が90以上、特殊演色評価数R9、R10、R11、及びR12の平均値Ra4が75以上、特殊演色評価数R13,及びR15が90以上、及び色域面積比Gaが95以上であり、
    相関色温度2200K未満において、
    平均演色評価数Raが80以上である
    請求項10に記載の照明用光源装置。
  14. 前記分光分布において、前記第1最低値は、前記第2最高値の90%以下である
    請求項10に記載の照明用光源装置。
  15. 前記基準光が前記合成昼光の場合、前記分光分布において、前記第2最低値は前記第2最高値の95%以下であり、
    前記基準光が前記完全放射体の場合、前記分光分布において、前記第2最低値は前記第2最高値の99%以下である、
    請求項10に記載の照明用光源装置。
  16. 前記基準光が、前記合成昼光と前記完全放射体との少なくとも一方において、前記分光分布と前記基準光とを同一の光束となるように正規化して、前記基準光の分光分布と前記光の前記分光分布を比較したとき、
    前記正規化された前記光の前記分光分布における前記第1ピークと前記第1ボトムとの間の第1波長域の間、及び前記第2ピークと前記第2ボトムとの間の第2波長域の間において、前記正規化された前記基準光の前記分光分布を下回る波長域を有する、
    請求項10に記載の照明用光源装置。
  17. 前記第1混光と前記第2混光との比を調整することができる
    請求項1から16のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  18. 前記第1光源装置と前記第2光源装置とは、同一の基板上に形成されている
    請求項1から17のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
  19. 前記第2緑色光の前記スペクトルは、波長500nm以上、555nm以下にピークを有し、
    前記第2緑色光の前記スペクトルの半値幅は、波長75nm以上、125nm以下である
    請求項1または3に記載の照明用光源装置。
  20. 前記第1緑色光の前記スペクトルのピーク波長は、前記第2緑色光の前記スペクトルのピーク波長よりも小さい、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の照明用光源装置。
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