JP6544582B2 - 松くい虫の被害区分算定方法及び松くい虫の被害区分算定装置 - Google Patents

松くい虫の被害区分算定方法及び松くい虫の被害区分算定装置 Download PDF

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Description

本発明は、松くい虫の被害区分算定方法及び松くい虫の被害区分算定装置に関する。
松くい虫の被害は我が国最大の森林病虫害被害である。全国の松くい虫被害量は昭和54年をピークに減少傾向にあるが、高緯度・高標高地域にある長野県や東北地方においては被害量が増加し、森林被害が深刻化している。被害のまん延により、森林所有者の林業意欲とマツタケ生産の減退、枯れ木・倒木による危険性、道路法面の防災機能の低下、地域の松林や社寺林及び公園や環境林などの公益的機能の低下など、その対策は極めて重要な課題である。
松くい虫の被害と樹葉の変化は、マツノザイセンチュウという線虫が付着したマツノマダラカミキリが春に羽化して、健全なマツ(アカマツとする。)の若枝を食べる時にマツノザイセンチュウが樹体内に入り、夏に増殖し、秋から冬に感染した松が衰弱し、葉が黄緑から赤褐色に変色し枯損する。翌年の夏以降、色が薄れて茶色になり、やがて落葉する。マツノマダラカミキリは産卵するために枯損木を利用し、4〜6月にカミキリが蛹になると、マツノザイセンチュウは蛹の体に付着し、羽化の際に共生して移動することで別の健全なアカマツへと他力運搬され、被害が拡大していく。
松くい虫対策については、林野庁から提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1によれば、公益的機能の高い松林を「保全すべき松林」、その周辺に位置する松林を「周辺松林」として都道府県知事等が定め、これらのマツ林を対象として重点的かつ総合的に対策を実施することとしている。また、現地での対策として、被害の状況を踏まえ、保全すべき松林において、薬剤等による「予防対策」や被害木の伐倒燻蒸等の「駆除対策」等を実施するとともに周辺松林では被害区分転換を推進することとすることとしている。
上記した対策は、地上調査で調査員が被害の様子を見て行う必要があるが、松くい虫による森林被害対策を進めている都道府県や市町村においては、予算的にも人的にも対応しきれず、保全すべきマツ林と周辺マツ林のみの限定的な防除処理(薬剤散布と伐倒燻蒸処理)に留まっており、被害の進行に対応できず、被害のまん延が進んでいる。被害の最前線で対応する市町村は職員が少人数であり、しかも、専門の技術職員が配置されていないことが多いため、広域の森林域や道から離れた被害森林の様子を把握することは困難である。
その一方で、市町村単位で松くい虫被害の詳細な被害分布をつかむこと、被害の拡大を防ぐために、虫くいの被害を受けている感染木及び枯損木の集団をとらえて的確に防除することが望まれている。しかし、予算などが限られた状況においては、住宅近接地や道路沿いの松林などの狭い範囲での対策に限定されており、市町村単位での広域を対象とした的確な防除と対策ができていないという問題がある。
調査委員などによる調査に頼らずに、感染木や枯損木の集団をとらえて的確に防除するためには、調査対象となるアカマツ林の現況を情報処理技術によって把握して、当該アカマツ林における松くい虫の被害状況を視覚的に容易に理解できる資料の作成を行えるようにすることが必要となる。なお、「感染木」というのは、当年生被害木であって、葉が黄緑に変色し元気のないアカマツを指しており、また、「枯損木」というのは、前年度被害木であって、葉が茶色になって枯れたアカマツを指している。
一方、調査対象となるアカマツ林の所定範囲の森林地域の現況を情報処理技術によって把握する技術として、森林地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに基づいて取得した森林画像情報から、森林の現況を把握するための技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1は、アカマツ林に限られるものではなく調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データと森林の地理的情報とに基づいて抽出された森林域に関する森林域画像データに基づいて樹頂点に関するデータを抽出して、樹木の本数を高い精度で算定するものである。
林野庁 松くい虫被害、松くい虫対策について、[平成28年2月6日検索]、インターネット<URL:<http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/matukui.html>>
特許第4858793号公報
上述の非特許文献1に記載の松くい虫対策では、調査員が調査対象となるアカマツ林を歩いて被害の様子を実際に見て回ることによって松くい虫の被害状況を把握して、調査員が被害状況を示す資料の作成を行う必要があり、人件費などの多くの費用を要するとともに調査に多くの時間を要するといった課題がある。また、特許文献1に記載の樹木本数算定方法では、情報処理技術によって、樹木の本数を高い精度で算定することは可能であるが、調査対象となるアカマツ林における松くい虫の被害状況を示す資料の作成はできない。
そこで本発明は、アカマツ林における松くい虫の被害状況を示す資料の作成を安価な費用で短時間にかつ高精度に実現可能とする松くい虫の被害区分算定方法及び松くい虫の被害区分算定装置を提供することを目的とする。
本発明の発明者は、実在するアカマツ林において虫くいの被害を受けている感染木、枯損木及び虫くいの被害を受けていない健全なアカマツ(健全木という。)の各樹冠から感染葉、枯損葉、健全葉を採取して、人工衛星や航空機センサと同じ観測波長を計測できる分光反射計で計測したところ、感染葉、枯損葉及び健全葉の分光反射特性に違いがあることから、被害区分(感染木、枯損木及び健全木)を抽出することができることを発見した。本発明の発明者は、この点に着目して、鋭意研究を行うことにより本発明を完成させた。本発明は、以下の要素からなる。
[1]本発明の松くい虫の被害区分算定方法は、調査対象となるアカマツ林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに含まれる樹種の分光反射特性に基づいて作成されたアカマツ林画像データを用いて、前記アカマツ林に含まれるアカマツの本数を被害区分別に算定する松くい虫の被害区分算定方法であって、前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹頂点を抽出し、前記各樹頂点に関するアカマツ林樹頂点画像データを作成するアカマツ林樹頂点画像データ作成ステップと、前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関するアカマツ林樹冠画像データを作成するアカマツ林樹冠画像データ作成ステップと、前記アカマツ林樹冠画像データと、松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉及び健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性とに基づいて、前記各樹冠の領域における感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性を作成し、作成した感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性に基づいて樹冠別の被害区分を特定して、樹冠別被害区分画像データを作成する樹冠別被害区分画像データ作成ステップと、前記樹冠別被害区分画像データと前記アカマツ林樹頂点画像データとに基づいて、樹頂点別に前記被害区分を特定して、樹頂点別被害区分画像データを作成する樹頂点別被害区分画像データ作成ステップと、前記樹頂点別被害区分画像データと地理的情報とに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの本数を前記被害区分ごとに算定する被害区分本数算定ステップと、前記被害区分本数算定結果に基づいて、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれる感染木と枯損木とを合計した被害木本数を、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの全体本数で除することで得られる被害率を計算して被害率区分図を作成する被害率区分図作成ステップと、を有すること特徴とする。
本発明においては、調査対象となる森林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに含まれる樹種の分光反射特性に基づいて抽出されたアカマツ林に関するアカマツ林画像データを用いて、上記した各ステップを実施することによって、実在のアカマツ林における松くい虫の被害区分を算定して、被害率区分図の作成を可能としている。なお、当該被害率区分図は、松くい虫の被害状況を示す資料として使用することができる。このように、本発明によれば、調査対象となるアカマツ林の現況を情報処理技術によって把握することができるため、アカマツ林における松くい虫の被害状況を示す資料の作成を安価な費用で短時間にかつ高精度に実現できる。
また、本発明において作成される被害率区分図は、被害率の凡例を色分けすることもできるので、被害が生じている区域を一目で把握できる。当該被害率区分図は、松くい虫による森林被害対策を進めている都道府県や市町村が求めている出力図である。市町村単位で松くい虫被害の詳細な被害分布をつかむことにおいて有効であるとともに、被害の拡大を防ぐため最前線の感染木や枯損木の集団をとらえ、的確に防除する上での計画立案や森林管理に有効な機能を有している。
なお、この明細書において、「樹冠」というのは、森林を構成する各樹木を上空からほぼ垂直方向に見た場合に、各樹木の枝と葉で構成される部分を指しており、周囲に他の樹木がない場合には、一本の樹木の枝と葉が1つの樹冠として抽出される場合もあるが、複数の樹木が近接して存在する場合には、複数の樹木の枝と葉が重なり合うため、複数の樹木の枝と葉で構成される広い範囲が1つの樹冠として抽出される(後述する図8参照。)。また、「樹頂点」というのは、樹冠内で尖った先端部分であり、これは、各樹木の頂点の部分に対応する(後述する図8参照。)。
[2]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記撮影画像データに含まれる前記樹種の分光反射特性に基づいて、前記撮影画像データからアカマツ林を抽出することによってアカマツ林画像データを作成するアカマツ林画像データ作成ステップをさらに有し、当該アカマツ林画像データ作成ステップを実施した後に、前記アカマツ林ごとに、前記アカマツ林樹頂点画像データ作成ステップと、前記アカマツ林樹冠画像データ作成ステップと、前記被害区分画像データ作成ステップと、前記樹頂点別被害区分画像データ作成ステップと、前記被害区分本数算定ステップと、前記被害率区分図作成ステップとを実施することが好ましい。
これにより、アカマツ林画像データを作成することができ、作成された当該アカマツ林画像データを用いて、上記各ステップを実施することができる。なお、アカマツ林画像データ作成ステップは、調査対象となるアカマツ林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに含まれる反射輝度値が統計的に近似のものをクラス分けして行うものであり、公知の最尤法による土地被覆分類を用いて自動的に抽出することができる。
[3]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記撮影画像データは、秋から冬に撮影された画像データを用いることが好ましい。
このように、秋から冬に撮影された画像データを用いることで、調査対象となるアカマツ林に落葉樹が混在している場合に、当該落葉樹は落葉しているため、被害区分すなわち感染木、枯損木及び健全木の区分がし易くなり、被害区分が高い精度で可能となる。
[4]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記感染木、枯損木及び健全木のうちの前記感染木と前記枯損木との区分は、前記松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉と健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性に基づいて行い、前記感染木は、可視光の赤色域において前記枯損木及び前記健全木に比べて反射率が高いことで、前記枯損木及び前記健全木と区分し、前記枯損木は、近赤外域において前記感染木及び前記健全木に比べて反射率が低いことで、前記感染木及び前記健全木と区分する、ことが好ましい。
このように、感染木、枯損木及び健全木の区分を、被害葉及び健全葉の各分光反射特性に基づいて行うことにより、感染木と枯損木と健全木との区分を高精度に行うことができ、特に、感染木と枯損木との区分を高精度に行うことができる。なお、「被害葉」というのは、感染木から採取された感染葉と枯損木から採取された枯損葉の両方を指すものである。
[5]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記アカマツ林樹頂点画像データ作成ステップは、輝度値が極大値を持つ点を自動抽出する局所最大値フィルターを用いてアカマツの樹頂点を抽出することが好ましい。
これにより、アカマツの樹頂点を精度良く抽出できる。なお、アカマツの樹頂点は、太陽光を強く反射する樹冠の尖った部分であり、前記アカマツ林画像データにおいて、反射値が最大になることから、局所最大値フィルター処理で自動的に抽出することができる。また、このような処理を行うことにより、全森林域から様々な樹冠の樹頂点を精度良く抽出できる。
[6]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記アカマツ林樹冠画像データ作成ステップは、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して樹冠を抽出することが好ましい。
これにより、樹冠(アカマツ樹冠)を精度良く抽出できる。なお、樹冠の抽出は、前記アカマツ林画像データにおいて、樹冠の縁部(樹冠縁ともいう)が樹冠部分よりも暗いことを利用して行うものであり、これは、ブァレイフォローイング・アルゴリズム(Va11ey fo11owing a1gorithm)と自動マスク処理で自動的に抽出することにより、アカマツ林画像データから樹冠を精度良く抽出できる。なお、「樹冠の縁部」及び「樹冠部分」については後述の図8において説明する。
[7]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記樹冠別被害区分画像データ作成ステップは、前記被害区分を感染木、枯損木及び健全木の3種類として、前記アカマツの各樹冠から感染木、枯損木及び健全木が抽出された場合、前記各樹冠から抽出された感染木、枯損木及び健全木のそれぞれの占有面積を算出し、算出された感染木、枯損木及び健全木の各占有面積のうち、占有面積が大きい被害区分を当該樹冠の被害区分とみなすことが好ましい。
これにより、1つの樹冠を1つの被害区分として区分することができる。例えば、ある樹冠において、感染木、枯損木及び健全木の各占有面積を算出した結果、当該樹冠においては、感染木の占有面積が枯損木及び健全木の各占有面積よりも大きい場合には、当該樹冠の被害区分は「感染木」とみなすということである。このように、1つの樹冠が1つの被害区分として区分されることにより、広域かつ詳細に、市町村ごとに1本単位で感染木の早期把握と、守るべき松林と防除エリアの選定を行うことができる。
[8]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記樹頂点別被害区分画像データ作成ステップは、前記地理的情報に基づいて、前記アカマツ林樹頂点画像データを前記樹冠別被害区分画像データに重ねることによって、樹頂点ごとに、前記被害区分を特定することが好ましい。
このように、各樹頂点の被害区分を特定することで、個々の樹木ごとに被害区分を特定することができる。また、調査対象地域を上空から撮影して得られた撮影画像に被害区分を色分けした個々の樹木位置の分布画像を作成できるため、森林被害の様子をビジュアルに把握できる。なお、被害区分は感染木、枯損木及び健全木を指している。
[9]本発明の松くい虫の被害区分算定方法においては、前記被害区分本数算定ステップは、前記樹頂点別被害区分画像データに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域において前記地理的情報により小班と定義される森林所有者の境界データから小班区画を抽出し、抽出された小班において前記被害区分ごとに樹木の本数を算定することが好ましい。
これにより、各小班区画において、被害区分すなわち感染木、枯損木及び健全木ごとに樹木の本数を算定することができる。
[10]本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、調査対象となるアカマツ林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに含まれる樹種の分光反射特性に基づいて作成されたアカマツ林画像データを用いて、前記アカマツ林に含まれるアカマツの本数を被害区分別に算定する松くい虫の被害区分算定装置であって、前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹頂点を抽出し、前記各樹頂点に関するアカマツ林樹頂点画像データを作成するアカマツ林樹頂点画像データ作成部と、前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関するアカマツ林樹冠画像データを作成するアカマツ林樹冠画像データ作成部と、前記アカマツ林樹冠画像データと、松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉及び健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性とに基づいて、前記各樹冠の領域における感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性を作成し、作成した感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性に基づいて樹冠別の被害区分を特定して、樹冠別被害区分画像データを作成する樹冠別被害区分画像データ作成部と、前記樹冠別被害区分画像データと前記アカマツ林樹頂点画像データとに基づいて、樹頂点別に前記被害区分を特定して、樹頂点別被害区分画像データを作成する樹頂点別被害区分画像データ作成部と、前記樹頂点別被害区分画像データと地理的情報とに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの本数を前記被害区分ごとに算定する被害区分本数算定部と、前記被害区分本数算定結果に基づいて、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれる感染木と枯損木とを合計した被害木本数を、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの全体本数で除することで得られる被害率を計算して被害率区分図を作成する被害率区分図作成部と、
を有すること特徴とする。
本発明によれば、上記[1]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[11]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記樹種の分光反射特性に基づいて前記撮影画像データからアカマツ林を抽出することによってアカマツ林画像データを作成するアカマツ林画像データ作成部をさらに有し、当該アカマツ林画像データ作成部によってアカマツ林画像データの作成を実施した後に、前記アカマツ林ごとに、前記アカマツ林樹頂点画像データ作成部による前記アカマツ林樹頂点画像データの作成と、前記アカマツ林樹冠画像データ作成部による前記アカマツ林樹冠画像データの作成と、前記樹冠別被害区分画像データ作成部による前記樹冠別被害区分画像データの作成と、前記樹頂点別被害区分画像データ作成部による前記樹頂点別被害区分画像データ作成と、前記被害区分本数算定部による前記被害区分本数算定と、前記被害率区分図作成部による前記被害率区分図の作成とを実施することが好ましい。
これにより、上記[2]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[12]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記撮影画像データは、秋から冬に撮影された画像データを用いることが好ましい。
これにより、上記[3]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[13]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記感染木、枯損木及び健全木のうちの前記感染木と前記枯損木との区分は、前記松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉と健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性に基づいて行い、前記感染木は、可視光の赤色域において前記枯損木及び前記健全木に比べて反射率が高いことで、前記枯損木及び前記健全木と区分し、前記枯損木は、近赤外域において前記感染木及び前記健全木に比べて反射率が低いことで、前記感染木及び前記健全木と区分する、ことが好ましい。
これにより、上記[4]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[14]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記アカマツ林樹頂点画像データ作成部は、輝度値が極大値を持つ点を自動抽出する局所最大値フィルターを用いて樹頂点を抽出することが好ましい。
これにより、上記[5]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[15]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記アカマツ林樹冠画像データ作成部は、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して行うものであり、これは、ブァレイフォローイング・アルゴリズムと自動マスク処理で自動的に抽出することが好ましい。
これにより、上記[6]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[16]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記樹冠別被害区分画像データ作成ステップは、前記被害区分を感染木、枯損木及び健全木の3種類として、前記アカマツの各樹冠から感染木、枯損木及び健全木が抽出された場合、前記各樹冠から抽出された感染木、枯損木及び健全木のそれぞれの占有面積を算出し、算出された感染木、枯損木及び健全木の各占有面積のうち、占有面積が大きい被害区分を当該樹冠の被害区分とみなすことが好ましい。
これにより、上記[7]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[17]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記樹頂点別被害区分画像データ作成ステップは、前記地理的情報に基づいて、前記アカマツ林樹頂点画像データを前記樹冠別被害区分画像データに重ねることによって、樹頂点ごとに、前記被害区分を特定することが好ましい。
これにより、上記[8]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
[18]本発明の松くい虫の被害区分算定装置においては、前記被害区分本数算定部は、前記樹頂点別被害区分画像データに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域において前記地理的情報により小班と定義される森林所有者の境界データから小班区画を抽出し、抽出された小班において前記被害区分ごとに樹木の本数を算定することが好ましい。
これにより、上記[9]に記載の松くい虫の被害区分算定方法と同様の効果が得られる。なお、本発明の松くい虫の被害区分算定装置は、当該松くい虫の被害区分算定装置に含まれる上記各構成要素が有する機能がコンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
実施形態に係る松くい虫の被害区分算定装置100の構成を示す図である。 実施形態に係る松くい虫の被害区分算定方法を説明するフローチャートである。 松くい虫被害林における感染木の集団と枯損木の集団を示す図である。 分光反射計による健全葉、感染葉、枯損葉の測定を行う際に使用する機材及び測定対象葉の一例を示す図である。 健全葉、感染葉、枯損葉の分光反射特性を示す図である。 ディスプレイ上に表示された撮影画像を示す図である。 ディスプレイ上に表示されたアカマツ林画像を示す図である。 樹木の樹頂点と樹冠を説明する図である。 ディスプレイ上に表示されたアカマツ林画像から抽出したアカマツ林樹頂点画像データを白点で示す図である。 ディスプレイ上に表示されたアカマツ林樹冠画像を示す図である。 ディスプレイ上に表示された樹冠別被害区分画像を示す図である。 ディスプレイ上に表示された樹頂点別被害区分画像を示す図である。 ディスプレイ上に表示された松くい虫の被害区分算定画像を示す図である。 ディスプレイ上に表示された被害状況データベースの一例を示す図である。 ディスプレイ上に表示された被害率区分図を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づき記述する。
図1は、実施形態における松くい虫の被害区分算定装置100の構成を示す図である。実施形態に係る松くい虫の被害区分算定装置100は、図1に示すように、撮影画像データ入力部10と、アカマツ林画像データ作成部20と、アカマツ林樹頂点画像データ作成部31と、アカマツ林樹冠画像データ作成部32と、樹冠別被害区分画像データ作成部33、樹頂点別被害区分画像データ作成部34と、被害区分本数算定部40と、被害率区分図作成部50とを有している。なお、アカマツ林樹頂点画像データ作成部31と、アカマツ林樹冠画像データ作成部32と、樹冠別被害区分画像データ作成部33と、樹頂点別被害区分画像データ作成部34とによって、アカマツ林樹頂点別被害区分システム30が構成される。
撮影画像データ入力部10は、調査対象となるアカマツ林を含む地域(調査対象地域という。)を上空から撮影して得られた撮影画像データを入力する機能を有している。
アカマツ林画像データ作成部20は、撮影画像データに含まれる樹種の分光反射特性に基づいて、撮影画像データからアカマツ林を抽出することによってアカマツ林画像データを作成する機能を有している。
アカマツ林樹頂点画像データ作成部31は、アカマツ林画像データに基づいて、アカマツの各樹頂点を抽出し、各樹頂点に関するアカマツ林樹頂点画像データを作成する機能を有している。具体的には、アカマツ林樹頂点画像データ作成部31は、輝度値が極大値を持つ点を自動抽出する局所最大値フィルターを用いてアカマツの樹頂点を抽出する。
アカマツ林樹冠画像データ作成部32は、アカマツ林画像データに基づいて、アカマツの各樹冠を抽出し、各樹冠に関するアカマツ林樹冠画像データを作成する機能を有している。具体的には、アカマツ林樹冠画像データ作成部32は、樹冠の縁部(樹冠縁)が樹冠部分よりも暗いことを利用して樹冠を抽出する。
樹冠別被害区分画像データ作成部33は、アカマツ林樹冠画像データと、松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉及び健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性とに基づいて、各樹冠の領域における感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性を作成し、作成した感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性に基づいて樹冠別の被害区分(感染木、枯損木及び健全木)を特定して、樹冠別被害区分画像データを作成する機能を有している。
具体的には、樹冠別被害区分画像データ作成部33は、松くい虫の被害区分を感染木、枯損木及び健全木の3種類として、アカマツの各樹冠から感染木、枯損木及び健全木が抽出された場合、各樹冠から抽出された感染木、枯損木及び健全木のそれぞれの占有面積を算出し、算出された感染木、枯損木及び健全木の各占有面積のうち、占有面積が大きい被害区分を当該樹冠の被害区分とみなすことによって、樹冠別被害区分画像データを作成する。
樹頂点別被害区分画像データ作成部34は、樹冠別被害区分画像データとアカマツ林樹頂点画像データとに基づいて、樹頂点別に被害区分(感染木、枯損木及び健全木)を特定して、樹頂点別被害区分画像データを作成する機能を有している。具体的には、樹頂点別被害区分画像データ作成部34は、地理的情報に基づいて、アカマツ林樹頂点画像データを樹冠別被害区分画像デ−タに重ねることによって、樹頂点ごとに被害区分を特定して樹頂点別被害区分画像データを作成する。なお、地理情報というのは、この場合、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などに登録されている森林域の全領域又は任意の領域を指す。当該地理情報は、図1に示す地理情報システム(GISという。)60に登録されている。
被害区分本数算定部40は、樹頂点別被害区分画像データと地理的情報とに基づいて、アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの本数を被害区分(感染木、枯損木及び健全木)ごとに算定して被害区分本数の算定を行う機能を有している。具体的には、被害区分本数算定部は、松くい虫の被害区分を感染木、枯損木及び健全木の3種類として、各被害区分(感染木、枯損木及び健全木)ごとに、アカマツ林の全領域又は任意の領域において、小班と定義される森林所有者の境界データに基づいて小班区画を抽出し、抽出された小班に関する被害区分ごとに樹木の本数を算定する。
被害率区分図作成部50は、被害区分本数算定結果に基づいて、アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれる感染木と枯損木とを合計した被害木本数を、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの全体本数で除することで得られる被害率を計算して被害率区分図を作成する機能を有している。
なお、被害率区分図を作成する際においては、被害区分本数算定部40で算定された被害区分(感染木、枯損木及び健全木)のそれぞれの本数、感染木と枯損木とを合計した被害木本数、全体本数(合計)及び被害率などをデータベース化し、当該データベース化した内容に基づいて、作表したり、森林調査簿データベース(この場合、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などのデータベース:例えば図14参照。)又は地理情報システム(G1S)に登録したりする。そして、当該作表した内容や、森林調査簿データベース又はG1Sに登録した内容に基づいて被害率区分図を作成する。
また、図1に示した松くい虫の被害区分算定装置100は、当該松くい虫の被害区分算定装置100に含まれる上記各構成要素が有する機能が、コンピュータのプログラムとしてインストールされており、上記各構成要素に所定のデータを与えることによって、それぞれの構成要素が持つ機能がコンピュータのソフトウエア上で実行されるものである。
図2は、実施形態に係る松くい虫の被害区分算定方法における松くい虫の被害区分算定処理を説明するフローチャートである。松くい虫の被害区分算定処理の手順は、図2に示すように、調査対象となるアカマツ林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに対応する撮影画像(カラー画像)の表示を行う(ステップS10)。また、撮影画像データに含まれる樹種の分光反射特性に基づいて抽出されたアカマツ林に関するアカマツ林画像データを作成する(ステップS20)。そして、アカマツ林画像データに基づいて、アカマツの各樹頂点を抽出し、各樹頂点に関するアカマツ林樹頂点画像データを作成する(ステップS31)とともに、アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹冠を抽出し、各樹冠に関するアカマツ林樹冠画像データを作成する(ステップS32)。
その後、アカマツ林樹冠画像データと、松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉及び健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性とに基づいて、各樹冠の領域における感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性を作成し、樹冠別に被害区分(感染木、枯損木及び健全木)を特定して樹冠別被害区分画像データを作成する(ステップS33)。
そして、樹冠別被害区分画像データとアカマツ林樹頂点画像データとに基づいて、樹頂点別に被害区分(感染木、枯損木及び健全木)を特定して樹頂点別被害区分画像データを作成する(ステップS34)。その後、樹頂点別被害区分画像データと地理的情報とに基づいて、アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの本数を被害区分(感染木、枯損木及び健全木)ごとに算定して被害区分本数算定データを作成する(ステップS40)。
その後、被害区分本数算定データに基づいて、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれる感染木と枯損木とを合計した被害木本数を、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの全体本数で除することで得られる被害率を計算して被害率区分図を作成する(ステップS50)。
図3は、松くい虫被害林における感染木の集団と枯損木の集団とを示す図である。図3において、領域1は感染木の集団を示しており、領域2は枯損木の集団を示している。なお、図3はモノクロ画像であるため、図3からは、感染木の集団(領域1)及び枯損木の集団(領域2)は色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図3の元となるカラー画像上では、感染木の集団(領域1)は、くすんだ緑から茶色に変わりつつある色で示され、枯損木の集団(領域2)は全体が茶色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、感染木の集団(領域1)及び枯損木の集団(領域2)を容易に読み取ることができる。
図4は、分光反射計による健全葉、感染葉、枯損葉の測定を行う際に使用する機材及び測定対象葉の一例を示す図である。測定を行う際に使用する機材としては、図4に示すように、分光反射計3、標準白色版4を用いる。また、図4において、測定対象葉としては健全葉5が示されているが、感染葉及び枯損葉(これらの図示は省略する。)も測定対処葉として用いる。分光反射特性は太陽から放射される電磁波の可視域から近赤外域までの波長ごとの反射の強さを表すもので、標準白色版4の反射の強さを100として、その比を分光反射率とする。なお、健全葉とは健全木から採取された葉であり、感染葉は感染木から採取された葉であり、枯損葉とは採取された葉である。なお、図4はモノクロ画像であるため、図4からは、アカマツの健全葉が緑色であることを読み取ることは困難であるが、実際には、健全葉は濃い緑色となっている。
図5は、松くい虫の被害葉と健全葉の分光反射特性を示す図である。なお、松くい虫の被害葉というのは、感染葉と枯損葉を指している。松くい虫の被害葉と健全葉の分光反射特性は、実在する地域のアカマツの被害林分から感染木(当年生被害木:葉が黄緑に変色し元気のない松)、枯損木(前年度被害木:葉が茶色になって枯れた松)、健全木の各樹冠から感染葉、枯損葉、健全葉を採取して、図4に示すように人工衛星や航空機センサと同じ観測波長を計測できる分光反射計3で計測した結果、図5に示すような分光反射特性が得られた。
図5において、太い実線で示す曲線L1は健全葉の分光反射特性を示し、破線で示す曲線L2は枯損葉の分光反射特性を示し、白抜きの実践で示す曲線L3は感染葉の分光反射特性を示している。分光反射特性は太陽から放射される電磁波の可視域から近赤外域までの波長ごとの反射の強さを表すもので、標準白色版を100として、その比を反射率とする。
図5に示すように、3種の葉(感染葉、枯損葉及び健全葉)の分光反射特性に違いがあることから、感染葉、枯損葉及び健全葉の区分ができることを発見した。すなわち、図5に示すように、枯損葉の分光反射特性(曲線L2)によれば、枯損葉は近赤外域(770nm〜830nm)7で反射率が極めて低いことで、感染葉及び健全葉と容易に区分できる。一方、感染葉の分光反射特性(曲線L3)によれば、感染葉は可視光の赤色域(670nm〜710nm)6でクロロフィルと水分の減少により光合成能力が劣り電磁波の吸収が減少することにより、反射率が健全葉及枯損葉より高くなる。このため、感染葉は枯損葉及び健全葉と区分できる。
この結果は、図5に示すように、通常の人工衛星の観測波長(可視域の青・緑・赤、近赤外域)における4チャンネル(ch)の近赤外域で枯損葉を感染葉及び健全葉に対して区分でき、最新型の8チャンネル人工衛星では、図5に示すように、可視域の赤色域においては3チャンネルと多波長であることから、感染葉を枯損葉及健全葉に対して、高精度に区分できることを示している。
このように、3種の葉(感染葉、枯損葉及び健全葉)の分光反射特性に違いによって、感染葉、枯損葉及び健全葉の区分を行うことにより、感染木、枯損木及び健全木の区分を高精度に行うことができる。特に、感染木と枯損木との区分についても高精度に行うことができる。
図6は、ディスプレイ上に表示された撮影画像を示す図である。図6に示す撮影画像は、調査対象となるアカマツ林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに対応する画像である。当該撮影画像において、全体的に黒色で示されている領域は森林域であり、白色で示されている領域は、集落及び田畑などである。また、森林域においても、アカマツ林の領域とその他の樹木の領域とが存在する。
なお、図6はモノクロ画像であるため、図6からは、アカマツ林の領域と、その他の樹木の領域とは色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図6の元となるカラー画像上では、アカマツ林は紫色で示され、その他の樹木による森林域は緑色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、アカマツ林とその他の樹木とを容易に区別することができる。
図7は、ディスプレイ上に表示されたアカマツ林画像を示す図である。図7に示すアカマツ林画像は、アカマツ林画像データ作成部20によって作成されたアカマツ林画像データに対応する画像である。当該アカマツ林画像は、図6に示す撮影画像においてアカマツ林の領域を抽出するために、アカマツ林の領域を特定の色(橙色とする。)で表したものである。なお、図7はモノクロ画像であるため、図7からは、アカマツ林を橙色として読み取ることは困難であるが、実際には、図7の元となるカラー画像上では、アカマツ林は橙色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、アカマツ林を容易に読み取ることができる。
図8は、樹木の樹頂点と樹冠を説明する図である。図8(a)は森林を地上の横(ほぼ水平方向)から見た場合を模式的に示す図であり、図8(b)は森林を上空からほぼ垂直方向に見た場合を模式的に示す図である。図8において、樹頂点を「Pe」で表し、樹冠を「Ti」で表している。複数の樹木が近接して存在するような場合、上空からみると、樹冠が3つの樹木の各樹冠が重なり合うため、図8(b)に示すように、1つの樹冠(図8(b)における実線で示す)ように撮影される。なお、個々の樹冠Tiにおいて当該樹冠Tiの輪郭線TiLを「樹冠の縁部(樹冠縁)」とし、輪郭線TiLの内部(輪郭線TiLで囲まれている部分)を「樹冠部分」とする。また、樹冠の縁部及び樹冠の内部を総称して「樹冠の領域」という。
図9は、ディスプレイ上に表示されたアカマツ林画像から抽出したアカマツ林樹頂点画像を示す図である。図9に示すアカマツ林樹頂点画像は、アカマツ林樹頂点画像データ作成部31によって作成されたアカマツ林樹頂点画像データに対応する画像である。当該アカマツ林樹頂点画像は、図7において説明したような処理(アカマツ林を抽出するための処理)を施した画像から、太陽光を強く反射し、アカマツ林樹冠内で最大値の各樹頂点を局所最大値フィルター処理で自動的に抽出することによって得ることができる。このような処理を施すことによって、肉眼判読では困難な樹頂点を、精度良く抽出することができる。なお、図9は図7に示す画像の所定の領域を拡大して示すものである。
図9はモノクロ画像であるため、図9においては、アカマツ林は黒色で示され、各アカマツの樹頂点は白い点で示されている。このため、図9からは、アカマツ林の領域及びその他の樹木による領域を色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図9の元となるカラー画像上では、アカマツ林は特定の色(図9においては図7と異なり紫色)で示され、その他の樹木による森林域は緑色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、アカマツ林とその他の樹木とを容易に区別することができる。
図10は、ディスプレイ上に表示されたアカマツ林樹冠画像を示す図である。図10に示すアカマツ林樹冠画像は、アカマツ林樹冠画像データ作成部32によって作成されたアカマツ林樹冠画像データに対応する画像である。図10に示すアカマツ林樹冠画像は、図9に示すアカマツ林樹頂点画像と同様に、アカマツ林は黒色で示されており、白抜きで囲まれた小領域が各々の樹冠を表している。
なお、図10はモノクロ画像であるため、図10からは、アカマツ林の領域とその他の樹木による領域は色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図10の元となるカラー画像上では、アカマツ林は図9と同様に、紫色で示され、その他の樹木による森林域は緑色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、アカマツ林とその他の樹木とを容易に区別することができる。
ところで、樹冠の抽出は、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して行うものであり、このように樹冠を抽出する技術は、公知のブァレイフォローイング・アルゴリズムと自動マスク処理によって可能となるものであり、例えば、下記の公知文献1が知られている。公知文献1は、ブァレイフォローイング・アルゴリズムを用いて、樹冠の抽出を求めるものである。
公知文献1:Masato Katoh、Francois Gougeon、Don Leckie “Application of high-resolution airborne data using individual tree crowns in Japanese conifer plantations“、Journal of Forestry Research 14(1)、2009年、P、10〜19
図11は、ディスプレイ上に表示された樹冠別被害区分画像を示す図である。図11に示す被害区分画像は、樹冠別被害区分画像データ作成部33によって作成された樹冠別被害区分画像データに対応する画像である。
なお、図11に示す樹冠別被害区分画像においては、感染木の集団が存在する領域8と枯損木の集団が存在する領域9とがそれぞれ複数箇所ずつ存在するが、図11はモノクロ画像であるため、図11からは、感染木の集団が存在する領域8、枯損木の集団が存在する領域9を色別として読み取ることは困難である。しかし、実際には、図11の元となるカラー画像上では、感染木の集団が存在する領域8と枯損木の集団が存在する領域9とを色別として読み取ることは容易である。この場合、図11の元となるカラー画像上では、感染木の集団が存在する領域8は明るい茶色で示され、枯損木の集団が存在する領域9は濃い茶色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、感染木の集団が存在する領域8と枯損木の集団が存在する領域9とを容易に読み取ることができる。
図12は、ディスプレイ上に表示された樹頂点別被害区分画像を示す図である。図12に示す樹頂点別被害区分画像は、樹頂点別被害区分画像データ作成部34によって作成された樹頂点別被害区分画像データに対応する画像である。
図12において、各樹木(アカマツ)の樹頂点は、個々のアカマツごとに位置情報のX、Y座標を有している。このため、GPS(Global Positioning System)によって感染木、枯損木及び健全木の現地確認ができる。
なお、図12はモノクロ画像であるため、感染木は樹頂点が灰色で示され、枯損木は樹頂点が黒色で示され、健全木は樹頂点が白色で示されている。このため、図12からは感染木、枯損木及び健全木を明確に区別することは困難である。しかし、図12の元となるカラー画像上では、感染木、枯損木及び健全木を読み取ることは容易である。この場合、図12の元となるカラー画像上では、感染木は樹頂点が明るい茶色で示され、枯損木は樹頂点が赤色で示され、健全木は樹頂点が白色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、感染木、枯損木及び健全木を容易に読み取ることができる。
図13は、ディスプレイ上に表示された松くい虫の被害区分本数算定画像を示す図である。なお、図13は図12に示されている森林域よりも広い範囲の森林域が示されている。被害区分本数算定部40は、図13に示す被害区分本数算定画像に基づいて被害区分本数を算定する。
被害区分本数算定部40は、上記したように、樹頂点別被害区分画像データと地理的情報とに基づいて、アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの本数を被害区分(感染木、枯損木及び健全木)ごとに算定する。図13においては、小班と定義される森林所有者の境界データに基づいて小班区画(図13において白抜きの線で囲まれた区画)を抽出し、抽出された小班区画に関する被害区分ごとに樹木の本数を算定する。
なお、図13はモノクロ画像であるため、図13からは、感染木、枯損木及び健全木を色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図13の元となるカラー画像上では、感染木、枯損木及び健全木を読み取ることは容易である。この場合、図13の元となるカラー画像上では、感染木は明るい茶色で示され、枯損木は赤色で示され、健全木は白色で示されているため、ディスプレイ上において表示される撮影画像(カラー画像)上では、感染木、枯損木及び健全木を容易に読み取ることができる。
図14は、ディスプレイ上に表示された被害状況データベースの一例を示す図である。例えば、被害区分本数算定部40で算定された感染木、枯損木及び健全木のそれぞれの本数、感染木と枯損木とを合計した被害木本数、合計(全体本数)、被害率などを、各林班の各小班に対応付けて記録する。なお、被害率は、各小班における被感染木と枯損木の合計した被害木本数を全体本数(合計)で除することで得られる。
そして、図14に示すような被害状況データベースの内容に基づいて、作表したり、森林調査簿データベース(この場合、都道府県などで整備されている森林の管理台帳などのデータベース)又は地理情報システム(G1S)に登録したりする。これにより、アカマツ林の全領域又は任意の領域である小班における被害区分別の樹木本数を把握できるため、被害状況の診断と報告に有効である。
図15は、ディスプレイ上に表示された被害率区分図を示す図である。当該被害率区分図は、松くい虫による森林被害対策を進めている都道府県や市町村で求められている出力図である。当該被害率区分図は、アカマツ林における松くい虫の被害状況を視覚的に容易に理解できる資料として用いることができる。なお、図15において、被害率を示す凡例は被害率を5〜10パーセントごとに色分けし、どこの森林域や小班で被害があるのか一目で把握でき、松くい虫被害の対策に生かすことができる。
なお、図15はモノクロ画像であるため、図15からは、被害率を色別として読み取ることは困難であるが、実際には、図15の元となるカラー画像上では、被害率を色別として読み取ることは容易である。一例を挙げると、濃い緑色で示されている領域は被害率が0%、黄緑色で示されている領域は被害率が6%〜10%であり、濃い赤色で示されている範囲は被害率が31%〜62%である。
このような被害率区分図をアカマツ林における松くい虫の被害状況を示す資料として用いることにより、森林管理者や技術者などが市町村単位で松くい虫被害の詳細な被害分布をつかむことができ、被害の拡大を防ぐため最前線の感染木や枯損木の集団をとらえ、的確に防除する上での計画立案や森林管理に有効となる。従って、従来のように、調査員が森林を歩いて被害の様子を実際に見て回ることによって、松くい虫の被害状況などを把握する必要がなくなるため、調査に必要な人件費を削減することができるとともに調査に必要な時間も短縮することができ、松くい虫の被害区分の算定を高精度にかつ安価な費用で短時間に実現可能となる。
1・・・感染木の集団が存在する領域、2・・・枯損木の集団が存在する領域、3・・・分校放射計、4・・・標準白色板、5・・・測定対象となる葉(健全葉)、10・・・撮影画像データ入力部、20・・・アカマツ林画像データ作成部、30・・・アカマツ林樹頂点別被害区分システム、31・・・アカマツ林樹頂点画像データ作成部、32・・・アカマツ林樹冠画像データ作成部、33・・・樹冠別被害区分画像データ作成部、34・・・樹頂点別被害区分画像データ作成部、40・・・被害区分本数算定部、50・・・被害率区分図作成部、60・・・地理情報システム(GIS)、Pe・・・樹頂点、Ti・・・樹冠

Claims (18)

  1. 調査対象となるアカマツ林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに含まれる樹種の分光反射特性に基づいて作成されたアカマツ林画像データを用いて、前記アカマツ林に含まれるアカマツの本数を被害区分別に算定する松くい虫の被害区分算定方法であって、
    前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹頂点を抽出し、前記各樹頂点に関するアカマツ林樹頂点画像データを作成するアカマツ林樹頂点画像データ作成ステップと、
    前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関するアカマツ林樹冠画像データを作成するアカマツ林樹冠画像データ作成ステップと、
    前記アカマツ林樹冠画像データと、松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉及び健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性とに基づいて、前記各樹冠の領域における感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性を作成し、作成した感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性に基づいて樹冠別の被害区分を特定して、樹冠別被害区分画像データを作成する樹冠別被害区分画像データ作成ステップと、
    前記樹冠別被害区分画像データと前記アカマツ林樹頂点画像データとに基づいて、樹頂点別に前記被害区分を特定して、樹頂点別被害区分画像データを作成する樹頂点別被害区分画像データ作成ステップと、
    前記樹頂点別被害区分画像データと地理的情報とに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの本数を前記被害区分ごとに算定する被害区分本数算定ステップと、
    前記被害区分本数算定結果に基づいて、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれる感染木と枯損木とを合計した被害木本数を、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの全体本数で除することで得られる被害率を計算して被害率区分図を作成する被害率区分図作成ステップと、
    を有すること特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  2. 請求項1に記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記撮影画像データに含まれる前記樹種の分光反射特性に基づいて、前記撮影画像データからアカマツ林を抽出することによってアカマツ林画像データを作成するアカマツ林画像データ作成ステップをさらに有し、当該アカマツ林画像データ作成ステップを実施した後に、前記アカマツ林ごとに、前記アカマツ林樹頂点画像データ作成ステップと、前記アカマツ林樹冠画像データ作成ステップと、前記被害区分画像データ作成ステップと、前記樹頂点別被害区分画像データ作成ステップと、前記被害区分本数算定ステップと、前記被害率区分図作成ステップと、を実施すること特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  3. 請求項1又は2に記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記撮影画像データは、秋から冬に撮影された画像データを用いることを特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記感染木、枯損木及び健全木のうちの前記感染木と前記枯損木との区分は、前記松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉と健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性に基づいて行い、
    前記感染木は、可視光の赤色域において前記枯損木及び前記健全木に比べて反射率が高いことで、前記枯損木及び前記健全木と区分し、
    前記枯損木は、近赤外域において前記感染木及び前記健全木に比べて反射率が低いことで、前記感染木及び前記健全木と区分する、
    ことを特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記アカマツ林樹頂点画像データ作成ステップは、輝度値が極大値を持つ点を自動抽出する局所最大値フィルターを用いてアカマツの樹頂点を抽出することを特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記アカマツ林樹冠画像データ作成ステップは、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して樹冠を抽出することを特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記樹冠別被害区分画像データ作成ステップは、前記被害区分を感染木、枯損木及び健全木の3種類として、前記アカマツの各樹冠から感染木、枯損木及び健全木が抽出された場合、前記各樹冠から抽出された感染木、枯損木及び健全木のそれぞれの占有面積を算出し、算出された感染木、枯損木及び健全木の各占有面積のうち、占有面積が大きい被害区分を当該樹冠の被害区分とみなすことを特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記樹頂点別被害区分画像データ作成ステップは、前記地理的情報に基づいて、前記アカマツ林樹頂点画像データを前記樹冠別被害区分画像データに重ねることによって、樹頂点ごとに、前記被害区分を特定することを特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定方法において、
    前記被害区分本数算定ステップは、前記樹頂点別被害区分画像データに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域において前記地理的情報により小班と定義される森林所有者の境界データから小班区画を抽出し、抽出された小班において前記被害区分ごとに樹木の本数を算定することを特徴とする松くい虫の被害区分算定方法。
  10. 調査対象となるアカマツ林を含む地域を上空から撮影して得られた撮影画像データに含まれる樹種の分光反射特性に基づいて作成されたアカマツ林画像データを用いて、前記アカマツ林に含まれるアカマツの本数を被害区分別に算定する松くい虫の被害区分算定装置であって、
    前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹頂点を抽出し、前記各樹頂点に関するアカマツ林樹頂点画像データを作成するアカマツ林樹頂点画像データ作成部と、
    前記アカマツ林画像データに基づいて、前記アカマツの各樹冠を抽出し、前記各樹冠に関するアカマツ林樹冠画像データを作成するアカマツ林樹冠画像データ作成部と、
    前記アカマツ林樹冠画像データと、松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉及び健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性とに基づいて、前記各樹冠の領域における感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性を作成し、作成した感染木、枯損木及び健全木の分光反射特性に基づいて樹冠別の被害区分を特定して、樹冠別被害区分画像データを作成する樹冠別被害区分画像データ作成部と、
    前記樹冠別被害区分画像データと前記アカマツ林樹頂点画像データとに基づいて、樹頂点別に前記被害区分を特定して、樹頂点別被害区分画像データを作成する樹頂点別被害区分画像データ作成部と、
    前記樹頂点別被害区分画像データと地理的情報とに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの本数を前記被害区分ごとに算定する被害区分本数算定部と、
    前記被害区分本数算定結果に基づいて、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれる感染木と枯損木とを合計した被害木本数を、当該アカマツ林の全領域又は任意の領域に含まれるアカマツの全体本数で除することで得られる被害率を計算して被害率区分図を作成する被害率区分図作成部と、
    を有すること特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  11. 請求項10に記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記樹種の分光反射特性に基づいて前記撮影画像データからアカマツ林を抽出することによってアカマツ林画像データを作成するアカマツ林画像データ作成部をさらに有し、当該アカマツ林画像データ作成部によってアカマツ林画像データの作成を実施した後に、
    前記アカマツ林ごとに、前記アカマツ林樹頂点画像データ作成部による前記アカマツ林樹頂点画像データの作成と、前記アカマツ林樹冠画像データ作成部による前記アカマツ林樹冠画像データの作成と、前記樹冠別被害区分画像データ作成部による前記樹冠別被害区分画像データの作成と、前記樹頂点別被害区分画像データ作成部による前記樹頂点別被害区分画像データ作成と、前記被害区分本数算定部による前記被害区分本数算定と、前記被害率区分図作成部による前記被害率区分図の作成とを実施することを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  12. 請求項10又は11に記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記撮影画像データは、秋から冬に撮影された画像データを用いることを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記感染木、枯損木及び健全木のうちの前記感染木と前記枯損木との区分は、前記松くい虫の被害を受けているアカマツから採取された被害葉と健全なアカマツから採取された健全葉の各分光反射特性に基づいて行い、
    前記感染木は、可視光の赤色域において前記枯損木及び前記健全木に比べて反射率が高いことで、前記枯損木及び前記健全木と区分し、
    前記枯損木は、近赤外域において前記感染木及び前記健全木に比べて反射率が低いことで、前記感染木及び前記健全木と区分する、
    ことを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記アカマツ林樹頂点画像データ作成部は、輝度値が極大値を持つ点を自動抽出する局所最大値フィルターを用いて樹頂点を抽出することを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  15. 請求項10〜14のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記アカマツ林樹冠画像データ作成部は、樹冠の縁部が樹冠部分よりも暗いことを利用して樹冠を抽出することを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  16. 請求項10〜15のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記樹冠別被害区分画像データ作成ステップは、前記被害区分を感染木、枯損木及び健全木の3種類として、前記アカマツの各樹冠から感染木、枯損木及び健全木が抽出された場合、前記各樹冠から抽出された感染木、枯損木及び健全木のそれぞれの占有面積を算出し、算出された感染木、枯損木及び健全木の各占有面積のうち、占有面積が大きい被害区分を当該樹冠の被害区分とみなすことを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  17. 請求項10〜16のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記樹頂点別被害区分画像データ作成ステップは、前記地理的情報に基づいて、前記アカマツ林樹頂点画像データを前記樹冠別被害区分画像データに重ねることによって、樹頂点ごとに、前記被害区分を特定することを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
  18. 請求項10〜17のいずれかに記載の松くい虫の被害区分算定装置において、
    前記被害区分本数算定部は、前記樹頂点別被害区分画像データに基づいて、前記アカマツ林の全領域又は任意の領域において前記地理的情報により小班と定義される森林所有者の境界データから小班区画を抽出し、抽出された小班において前記被害区分ごとに樹木の本数を算定することを特徴とする松くい虫の被害区分算定装置。
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