JP6544411B2 - 半導体発光装置 - Google Patents
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基板と、
前記基板上に実装された発光素子と、
前記発光素子の上面に載置された透光性部材と、
前記発光素子及び前記透光性部材を封止する封止部材と、を含み、
前記透光性部材は、蛍光体を含有しない板状の部材であり、上面視において前記発光素子より大きく、
前記封止部材は、
前記発光素子の発光を反射する光反射性部材から成り、前記発光素子の側面を覆っている第1封止部材と、
前記発光素子の発光を異なる波長の光に変換するための蛍光体を含有し、前記第1透光性部材の少なくとも上面を覆っている第2封止部材と、を含むことを特徴とする。
図1〜図2に示すように、本実施の形態に係る発光装置11は、基板30と側壁31とから成るハウジング32と、ハウジング32の凹部33内において基板30の上面30aに実装された発光素子60と、発光素子60の上面61に載置された板状の透光性部材40とを含んでいる。透光性部材40と発光素子60との間の接合は、例えば、圧着、焼結、接着剤による接着、低融点ガラスによる接着などで行うことができる。本実施の形態に係る発光装置11では、透光性部材40と発光素子とは透光性の接着剤層70によって固定されている。
凹部33内の発光素子60及び透光性部材40は、2層から成る封止部材50によって封止される。本実施の形態では、特許文献1〜2とは異なり、透光性部材40の上面41の全面が封止部材50によって覆われている。
以下に、実質的な発光面積を拡大する効果について詳しく説明する。
一方、本発明のように、発光素子60の上面61に透光性部材40を載置すると、発光素子60の上面61から出射された発光は透光性部材40に入射する。発光は、透光性部材40を横方向(xy平面方向)に伝播して透光性部材40全体に広がった後に、透光性部材40の上面41の全体から出射される。そのため、発光装置11を上面から観察すると、透光性部材40全体が発光しているように見える。つまり、実質的な発光面積は、透光性部材40の面積となる。
また透光性部材40は蛍光体を含まないため、透光性部材40内を発光が伝播する際に蛍光体81が発光を散乱又は吸収することがない。そのため、透光性部材40の全体に発光を広げることができる。
なお、透光性部材40は蛍光体を実質的には含まないが、製造工程中の混入等により微量の蛍光体を含むことはあり得る。本発明の効果との関係から、透光性部材40に微量の蛍光体が含まれていたとしても、実質的な発光面積を効果的に広げる効果を著しく低下させることはないため、許容される。
光反射層51で発光素子60の側面63を覆うことにより、側面63から出射される発光を光反射層51によって反射して、発光素子からの発光の大部分を透光性部材40に導入することができる。
また、光反射層51は、さらに側壁31の内面31bを覆っていてもよい。蛍光体含有層52中の蛍光体81によって散乱されて側壁31方向に向かった発光を光反射層51で反射して、上方向(図2のz方向)から取り出すことができる。
特に、基板30及び側壁31をセラミックから形成した場合、基板30及び側壁31を発光が透過しやすい傾向がある。そこで、基板30の上面30a及び側壁31の内面31bを光反射層51で覆って、発光を効果的に反射することにより、上方向からの光取出し効率を向上することができる。
なお、蛍光体含有層52に含有される蛍光体81は、例えば、蛍光体含有層52の全体に蛍光体81が分散されていてもよい。
第2封止部材は透光性部材40の上面を覆うように形成された蛍光体層であっても良い。この場合、蛍光体層を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スプレー法、電着法、静電塗装法を用いることができる。あるいは樹脂に蛍光体を分散させた材料から成る蛍光体シート、蛍光体含有ガラス板等を、透光性部材40に接着してもよい。蛍光体としては、後述する当該分野で公知のものを使用することができる。
そして、発光素子60から出射される光束が同じままに発光面積を広げるので、単位面積当たりの光束が少なくなり、当該単位面積上の蛍光体含有層52の厚さ方向における総蛍光体量を低減することができる。これにより、発光が蛍光体含有層52を通過しやすくなり、発光装置11の光取出し効率を向上することができる。
この光取出し効率の向上効果について、図3を参照しながら詳細に説明する。
本発明に係る発光装置11では、発光素子60からの発光は透光性部材40に入射し、透光性部材40内を伝播して、透光性部材40の上面41全体から出射される(図3(a))。一方、従来の発光装置100では、発光素子60からの発光は、発光素子60の上面61からそのまま出射される(図3(b))。
これに対して、図3(a)の発光装置11では、光束LFの密度が低いので、蛍光体含有層52中における蛍光体81の上記総量を少なくすることができる。そのため、図3(a)の発光装置11では、光束LFは蛍光体含有層52を通過しやすくなり。発光装置100の光取出し効率を向上することができる。
・工程1):基板の上面に発光素子を実装する工程
・工程2):前記発光素子の上面に、上面視において前記発光素子より大きい板状の透光性部材を載置する工程
・工程3):前記発光素子の発光を反射する光反射性部材から成る第1封止部材により、前記発光素子の側面を覆う工程
・工程4):前記工程2)及び3)の後に、前記発光素子の発光を異なる波長の光に変換するための蛍光体を含有する第2封止部材により、前記透光性部材の少なくとも上面を覆う工程
各工程の詳細について、以下に説明する。
外部電極37等の導体配線を形成した基板30を準備し、その上面30aに側壁31を固定して、凹部33を備えたハウジング32を形成する。なお、ハウジング32は、あらかじめ基板30と側壁31とが一体に成型されたものを用いることもできる。
凹部33の底面(基板30の上面30a)に、発光素子60を実装する。このとき、基板30に設けられた導体配線に発光素子60の電極を適宜接続することにより、外部電極37から発光素子60に通電することができる。
発光素子60の上面61の面積より大きい透光性部材40を準備し、発光素子60の上面61に載置する。このとき、接着剤によって発光素子60と透光性部材40とを固定するのが好ましい。接着剤は、発光素子60の上面61と透光性部材40の下面42との間のみならず、発光素子60の側面63と透光性部材40の外延部45の下面45bまで覆ってもよい。接着剤を硬化することにより、透光性の接着剤層70が形成される。
透光性部材40は、発光素子60の上面61を完全に覆うように載置されているので、発光素子60の上面61から出射される発光を透光性部材40に効率よく導入することができる。
光反射層51は、反射性物質を添加した樹脂材料(反射性樹脂)から形成することができる。硬化前の液状樹脂材料に反射性物質を添加した後に、ハウジング32の側壁31と透光性部材40との隙間に滴下する。滴下された液状樹脂材料は、最初に基板30の上面30aに接触し、その後に表面張力によって、側壁31の内面31b、接着剤層70の表面(すなわち、間接的に発光素子60の側面63)、及び透光性部材40の側面43を這い上がって、それらの面を覆う。このようにして、図2のような断面形状の光反射層51を容易に形成することができる。
最後に、液状樹脂材料を硬化させて、光反射層51を形成する。
蛍光体含有層52は、蛍光体81を添加した樹脂材料(蛍光体含有樹脂)から形成することができる。硬化前の液状樹脂材料に蛍光体81を添加した後に、透光性部材40の上面41に滴下する。滴下された液状樹脂材料は、透光性部材40の上面41から光反射層51の上面まで広がって、凹部33内に充填される。
最後に、液状樹脂材料を硬化させて、蛍光体含有層52を形成する。
このようにして、本実施の形態に係る発光装置11を得ることができる。
図4は、本実施の形態の変形例に係る発光装置11’である。図2に示した発光装置11とは、蛍光体含有層52内に含有されている蛍光体81の分散状態が異なっている。具体的には、本変形例に係る発光装置11’では、蛍光体含有層52内において、蛍光体81が透光性部材40の上面41、及び蛍光体含有層52と光反射層51との界面55上に堆積している。蛍光体含有層52の中で、蛍光体81が堆積している範囲を蛍光体層80とする。なお、本明細書中での堆積とは、底の方に沈んでいるという意味であり、蛍光体81は、蛍光体含有層52の中で堆積して蛍光体が密に存在する蛍光体層80を形成している。
工程4において、液状樹脂材料を硬化させる前に、液状樹脂材料内の蛍光体81を沈降させ、蛍光体81を、透光性部材40の上面41及び光反射層51の上面に堆積させる。蛍光体81が堆積した後に、液状樹脂材料を硬化させる。
このようにして、本変形例に係る発光装置11’を得ることができる。
本実施の形態に係る発光装置は、透光性部材40の側面43を覆う封止部材50が、光反射層51から蛍光体含有層52に変更された点で、実施の形態1に係る発光装置11と大きく異なる。また、発光素子60の側面63が、光反射層51によって直接覆われている点でも、実施の形態1に係る発光装置11と異なる。その他の構成については、実施の形態1に係る発光装置11と同様である。
以下に、実施の形態1に係る発光装置11と異なる点を中心に説明する。
実施の形態1の工程1と同様に、ハウジング32を形成し、発光素子60を実装する。
実施の形態1の工程3同様に、光反射層51は、反射性物質を添加した樹脂材料(反射性樹脂)から形成することができる。硬化前の液状樹脂材料に反射性物質を添加した後に、ハウジング32の側壁31と発光素子60との隙間に滴下する。滴下された液状樹脂材料は、最初に基板30の上面30aに接触し、その後に表面張力によって、側壁31の内面31b、及び発光素子60の側面63を這い上がって、それらの面を覆う。このようにして、図5のような断面形状の光反射層51を容易に形成することができる。
最後に、液状樹脂材料を硬化させて、光反射層51を形成する。
発光素子60の上面61の面積より大きい透光性部材40を準備し、透光性部材40の上面41に載置する。接着剤は、発光素子60の上面61と透光性部材40の下面42との間のみならず、透光性部材40の外延部45の下面45bまで覆ってもよい。実施の形態1とは異なり、発光素子60の側面63は既に光反射層51で覆われているので、発光素子60の側面63が接着剤で覆われることはない。接着剤を硬化することにより、透光性の接着剤層70が形成される。
実施の形態1の工程4と同様に、蛍光体含有層52は、蛍光体81を添加した樹脂材料(蛍光体含有樹脂)から形成することができる。硬化前の液状樹脂材料に蛍光体81を添加した後に、透光性部材40の上面41に滴下する。滴下された液状樹脂材料は、透光性部材40の上面41から、透光性部材40の側面43、外延部45の下面45b、及び光反射層51の上面まで広がって、凹部33内に充填される。
最後に、液状樹脂材料を硬化させて、蛍光体含有層52を形成する。
このようにして、本実施の形態に係る発光装置12を得ることができる。
図6は、本実施の形態の変形例に係る発光装置12’である。発光装置12’では、蛍光体含有層52内において、蛍光体81が透光性部材40の上面41、及び蛍光体含有層52と光反射層51との界面55上に堆積している。ここで、外延部45の下側には蛍光体81が堆積せず、蛍光体層80は図6に示すようなプロファイルとなる。蛍光体層80が外延部45直下に実質的に延在しないことにより、外延部45の下面45bから下向きに出射された発光の多くは、蛍光体層80に衝突せずに(つまり、蛍光体層80内の蛍光体81によって散乱されることなく)、光反射層51によって反射される。ここで、光反射層51の上面(界面55)の断面形状は、外向きかつ上向きの湾曲面になっている。このような形状は、例えば、光反射層51の形成時に、反射性樹脂が発光素子60の側面63を這い上がることにより得られる。よって、外延部45の下面45bから下向きに出射された発光は、湾曲した光反射層51の上面によって外向きかつ上向きに反射されるので、透光性部材40に戻ることなく、発光装置12’の外側に取り出すことが可能となる。
工程4において、液状樹脂材料を硬化させる前に、液状樹脂材料内の蛍光体81を沈降させ、蛍光体81を、透光性部材40の上面41及び光反射層51の上面に堆積させる。蛍光体81が堆積した後に、液状樹脂材料を硬化させる。
このようにして、本変形例に係る発光装置12’を得ることができる。
図7〜図8に示すように、本実施の形態に係る発光装置13は、いわゆるチップ・オン・ボード(COB)と呼ばれるタイプの発光装置である。
発光装置13は、基板30と、基板30の上面30aに実装された複数の発光素子60(図7では3個×6個)と、発光素子60の上面61に載置された板状の透光性部材40とを含んでいる。透光性部材40は複数の発光素子60を覆っており、透光性部材40と発光素子60との間は、透光性の接着剤層70によって固定することができる。基板30の上面30aにはさらに、複数の発光素子60及び透光性部材40を囲むように枠体35が設けられている。枠体35の内側では、発光素子60及び透光性部材40は2層から成る封止部材50によって封止される。
本実施の形態では、複数の発光素子60を覆う透光性部材40を設けることにより、各発光素子60からの発光を1枚の透光性部材40内の全体に広げることができるので、個々の発光素子として視認しにくくすることができる。また、封止樹脂に拡散剤を添加しなくてよいので、光取出し効率を低下させることも少ない。
外部電極37等の導体配線を形成した基板30を準備し、基板30の上面30aに複数の発光素子60を実装する。このとき、基板30に設けられた導体配線に発光素子60の電極を適宜接続することにより、外部電極37から発光素子60に通電することができる。
枠体35は、樹脂材料から形成することができ、特に、反射性物質を添加した反射性樹脂から形成するのが好ましい。硬化前のペースト状樹脂材料に反射性物質を添加した後、ペースト状樹脂材料を排出することのできる器具(例えば注射器のような分配装置)を用いて、基板30上に枠体35の形状を描く。
最後に、ペースト状樹脂材料を硬化させて、枠体35を形成する。この方法によれば、金型を使用せずに枠体35を形成することができる。
枠体35は1つのみに限らず、複数形成してもよい。例えば、後述する蛍光体層を形成するための樹脂枠を別途設けることもできる。複数形成する場合は、複数の枠体が上下に重なるように形成しても良いし、平面視で1枠目を囲むように複数設けても良い。
実施の形態1〜2の工程3と同様に、光反射層51は、反射性物質を添加した樹脂材料(反射性樹脂)から形成することができる。硬化前の液状樹脂材料に反射性物質を添加した後に、枠体35と発光素子60との隙間に滴下する。滴下された液状樹脂材料は、最初に基板30の上面30aに接触し、その後に表面張力によって、枠体35の内面35b、及び発光素子60の側面63を這い上がって、それらの面を覆う。このようにして、図8のような断面形状の光反射層51を容易に形成することができる。
最後に、液状樹脂材料を硬化させて、光反射層51を形成する。
複数の発光素子60を覆うことのできる寸法の透光性部材40を準備し、複数の発光素子60の上面61に、それらを覆うように載置する。このとき、接着剤によって発光素子60と透光性部材40とを固定するのが好ましい。接着剤を硬化することにより、透光性の接着剤層70が形成される。
透光性部材40は、複数の透光性部材40の上面41を完全に覆うように載置されているので、各発光素子60の上面61から出射される発光を1枚の透光性部材40に効率よく導入することができる。
実施の形態1〜2の工程4と同様に、蛍光体含有層52は、蛍光体81を添加した樹脂材料(蛍光体含有樹脂)から形成することができる。硬化前の液状樹脂材料に蛍光体81を添加した後に、透光性部材40の上面41に滴下する。滴下された液状樹脂材料は、透光性部材40の上面41から、透光性部材40の側面43、外延部45の下面45b、及び光反射層51の上面まで広がって、凹部33内に充填される。
なお、液状樹脂材料は、表面張力によって盛り上がった状態となるように形成してもよい。これにより、枠体35の高さが低くても、透光性部材40の上面41を蛍光体含有層52で覆うことができる。
最後に、液状樹脂材料を硬化させて、蛍光体含有層52を形成する。なお、図8に示すような発光装置13は、実施の形態1〜2の変形例と同様に、蛍光体81が堆積した形態であるので、液状樹脂材料を硬化させる前に、液状樹脂材料内の蛍光体81を沈降させる。これにより、蛍光体81を、透光性部材40の上面41及び光反射層51の上面に堆積させることができる。蛍光体81が堆積した後に、液状樹脂材料を硬化させる。
このようにして、本実施の形態に係る発光装置13を得ることができる。
蛍光体含有層を形成する前に、蛍光体含有層を形成するための枠体を別途設けてもよい。例えば、光反射層を形成するための枠体と、蛍光体含有層を形成するための枠体を別途設けることにより、枠体内面への光反射層の這い上がり高さや、蛍光体含有層の表面形状などを、適宜調整することができる。
また、第1封止樹脂(光反射層)と枠体を一体で形成し、第1封止樹脂を蛍光体含有層を形成するための枠体とすることもできる。
基板30は、例えば、樹脂材料(例えば、ガラスエポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂)、セラミックス(HTCC、LTCC)などの絶縁性材料、絶縁性材料と金属部材との複合材料等から形成することができる。特に、耐熱性および耐候性の高いセラミックス材料が好ましい。セラミックス材料の具体例としては、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどが挙げられる。
本願発明では、基板30の上面30aに固定された側壁31を含むことにより、ハウジング32を形成することができる。側壁31に好適な材料としては、基板30と同様の絶縁材料を用いることができ、例えば、樹脂材料(例えば、ガラスエポキシ樹脂などのエポキシ系樹脂)、セラミックス材料などの絶縁性材料や、金属等の導電性材料を絶縁性材料で被覆した複合材料が挙げられる。なお、側壁31に導体配線が接触しない場合には、金属等の導電材料から形成することもできる。
枠体35は、シリコーン樹脂(例えばジメチルシリコーン樹脂)、エポキシ樹脂等の樹脂材料から形成することができる。また、樹脂材料にフィラーを添加して、樹脂材料の物理的又は機械的特性を向上させることができる。例えば、樹脂材料に酸化チタンを添加することにより、枠体35の光の反射率を高めることができる。
発光素子60としては、半導体発光素子(例えばLED)を用いることができる。半導体発光素子は、発光素子用基板の上に、InN、AlN、GaN、InGaN、AlGaN、InGaAlN等の窒化物半導体、III−V族化合物半導体、II−VI族化合物半導体等の半導体層を積層した積層構造体から構成されている。
透光性部材40は、発光素子60の発光を伝播するための板状部材であり、発光に対して透明な材料から形成される。特許文献1〜2とは異なり、透光性部材40は、蛍光体81を含有しない。透光性部材40に好適な材料としては、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのガラス材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの透光性樹脂、サファイアなどが挙げられる。
封止部材50を構成する光反射層51は、光反射率の高い反射性材料から形成することができる。反射性材料としては、反射性物質を添加した樹脂材料が好ましく、本願の実施の形態1〜3で開示したような形態の光反射層51を形成するのが容易である。
樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等を好適に用いることができる。
反射性物質は、発光素子60からの発光(例えば青色発光)と蛍光体81による波長変換後の光(例えば黄色蛍光)のいずれに対しても高い反射率を有する材料であって、樹脂材料中に分散可能なものが好ましい。反射性物質としては、例えば、酸化チタン、二酸化ケイ素、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどを好適に用いることができる。
封止部材50を構成する蛍光体含有層52は、蛍光体81を含有した透光性材料から形成することができる。透光性材料としては、蛍光体81を添加した樹脂材料が好ましく、本願の実施の形態1〜3で開示したような形態の蛍光体含有層52を形成するのが容易である。
樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等を好適に用いることができる。
蛍光体81としては、発光素子60からの発光を吸収して、異なる波長の光に波長変換するものが選択される。蛍光体は、当該分野で公知のものを使用することができる。例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)系蛍光体、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO−Al2O3−SiO2)系蛍光体、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)系蛍光体、βサイアロン蛍光体、CASN系やSCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn)、硫化物系蛍光体などが挙げられる。これにより、可視波長の一次光及び二次光の混色光(例えば、白色系)を出射する発光装置、紫外光の一次光に励起されて可視波長の二次光を出射する発光装置とすることができる。
蛍光体は、複数の種類の蛍光体を組み合わせて用いても良い。所望の色調に適した組み合わせや配合比で用いて、演色性や色再現性を調整することもできる。例えば、透光性部材40の上面を覆う蛍光体と、第2封止部材と前記第1封止部材との界面上に堆積している蛍光体とで、違う種類の蛍光体を用いてもよい。
接着剤層70は、発光素子60の発光に対して透明である材料から形成される。接着剤層70は、例えばエポキシまたはシリコーンのような樹脂系接着剤から形成することができる。
本発明に係る発光素子の光取出し効率の向上を観察するために、発光素子の光束を測定した。
測定用の発光装置としては、図4に示す発光装置11’(試料1a〜1c)と、図6に示すに示す発光装置12(試料2a〜2c)とを準備した。なお、比較用として、透光性部材40を備えていない発光装置(比較試料3a)も準備した。
これらの結果から、発光素子の上に、発光素子よりも大きい透光性部材40を載置することにより、光束が増加し、光取出し効率を向上できることがわかった。
また、透光性部材40の側面43が光反射層51で覆われていない試料2a〜2cのほうが、側面43が光反射層51で覆われている試料よりも光束が増加し、光取出し効率を改善する効果が高いことがわかる。特に、透光性部材40の厚さが厚くなると(つまり、側面43の面積が増加すると)光束がさらに増加し、光取出し効率が改善する効果が顕著になることもわかる。このことから、側面43から出射される発光量を増加することにより、発光装置の光取出し効率を向上できることがわかった。
白色の発光装置の発光色について、測定方向との関係(角度依存性)を調べた。測定は、実施例1と同じ試料を使用した。
各試料に350mAの電流を通電して発光させて、測定方向を変えながら発光色を測定した。測定方向は、発光装置の光軸C(z軸と平行で、発光装置の上面視中央点を通る軸のこと。図2参照)からの角度θで規定した。また、測定に際しては、x−z平面内において角度θを変えた測定(xz面測定)と、y−z平面内において角度θを変えた測定(yz面測定)を行った。
表2には、以下の事項を記載した。
(1)各試料のΔx、Δyの最大値(つまり、θ=80°におけるΔx、Δy)
(2)Δx、Δyの最大値について、比較試料3aのΔx、Δyを100%としたときの相対値(%)
(3)相対値の評価は、100%では変化がなく(つまり、発光色の角度依存性の改善は見られず)、60%〜99%であると改善が見られるので好ましく、0%〜60%であると、著しく改善されるので、最も好ましい。
図15に示すように、比較試料3aは、0≦θ≦15°ではΔx、Δyともほぼ0であった。θ>15°でΔx、Δyとも増加し、θ=80°ではΔx=0.025、Δy=0.050(黄色がかった白色光)であった。
図9に示すように、試料1aは、比較試料3aとほぼ同じ結果であった。
図10に示すように、試料1bは、0≦θ≦10°ではΔx、Δyともほぼ0であった。θ>10°でΔx、Δyとも増加し、θ=80°ではΔx=0.025、Δy=0.050(黄色がかった白色光)であった。
図11に示すように、試料1cは、0≦θ≦10°ではΔx、Δyともほぼ0であった。θ>10°でΔx、Δyとも増加し、θ=80°ではΔx=0.020、Δy=0.040(僅かに黄色がかった白色光)となった。
図12に示すように、試料2aは、0≦θ≦15°ではΔx、Δyともほぼ0であった。θ>15°でΔx、Δyとも増加し、θ=80°ではΔx=0.015、Δy=0.025(ごく僅かに黄色がかっているが、略白色光と見なせる)となった。
図13に示すように、試料2bは、0≦θ≦15°ではΔx、Δyともほぼ0であった。θ>15°でΔx、Δyとも増加し、θ=80°ではΔx=0.007、Δy=0.020(純粋な白色光)となった。
図14に示すように、試料2cは、0≦θ≦30°ではΔx、Δyともほぼ0であった。θ>30°でΔx、Δyとも増加し、θ=80°ではΔx=0.005、Δy=0.010(純粋な白色光)となった。
まとめると、透光性部材40を備えた試料1a〜1cは、透光性部材40を備えていない比較試料3aと比べて、発光色の角度依存性の改善は殆ど認められなかった。透光性部材40を発光素子60に載置するだけでは、発光色の角度依存性が改善できないとものと推測される。
しかしながら、透光性部材40を載置した上で、その側面43を光反射層51で覆っていない試料2a〜2cは、比較試料3aに比べて、発光色の角度依存性が大幅に改善された。特に、透光性部材40の厚さが厚くなると(つまり、側面43の面積が増加すると)発光色の角度依存性がさらに抑制され、視認方向に拘わらずほぼ白色光になることがわかる。このことから、透光性部材40の側面43から発光を取り出すことにより、発光色の角度依存性を効果的に改善できることがわかった。
なお、本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
基板と、
前記基板上に実装された発光素子と、
前記発光素子の上面に載置された透光性部材と、
前記発光素子及び前記透光性部材を封止する封止部材と、を含み、
前記透光性部材は、蛍光体を含有しない板状の部材であり、上面視において前記発光素子より大きく、
前記封止部材は、
前記発光素子の発光を反射する光反射性部材から成り、前記発光素子の側面を覆っている第1封止部材と、
前記発光素子の発光を異なる波長の光に変換するための蛍光体を含有し、前記透光性部材の少なくとも上面を覆っている第2封止部材と、を含むことを特徴とする発光装置。
(態様2)
前記第2封止部材が、さらに前記透光性部材の側面を覆っていることを特徴とする態様1に記載の発光装置。
(態様3)
前記透光性部材は、上面視において前記発光素子より外側に延在した外延部の下面の少なくとも一部が、前記第2封止部材により覆われており、
前記基板の上面が第1封止部材で覆われていることを特徴とする態様1又は2に記載の発光装置。
(態様4)
前記第2封止部材は樹脂材料で形成されていることを特徴とする態様1〜3のいずれか1つに記載の発光装置。
(態様5)
前記第1封止部材が、さらに前記基板の上面を覆っており、
前記蛍光体は、前記第2封止部材内において、前記透光性部材の上面、及び前記第2封止部材と前記第1封止部材との界面上に堆積していることを特徴とする態様4に記載の発光装置。
(態様6)
発光装置の製造方法であって、
1)基板の上面に発光素子を実装する工程と
2)前記発光素子の上面に、上面視において前記発光素子より大きい板状の透光性部材を載置する工程と、
3)前記発光素子の発光を反射する光反射性部材から成る第1封止部材により、前記発光素子の側面を覆う工程と、
4)前記工程2)及び3)の後に、前記発光素子の発光を異なる波長の光に変換するための蛍光体を含有する第2封止部材により、前記透光性部材の少なくとも上面を覆う工程と、を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。
(態様7)
前記第1封止部材は樹脂材料から成り、
前記3)工程は、
硬化前の液状樹脂材料を滴下する過程と、
前記液状樹脂材料を硬化して前記第1封止部材を形成する過程と、を含み、
前記2)工程より前に、前記3)工程を行うことを特徴とする態様6に記載の発光装置の製造方法。
30 基板30
31 側壁
32 ハウジング
35 枠体
40 透光性部材
45 透光性部材の外延部
50 封止部材
51 第1封止部材(光反射層)
52 第2封止部材(蛍光体含有層)
60 発光素子
81 蛍光体
Claims (10)
- 基板と、
前記基板上に実装された発光素子と、
前記基板上に発光素子を囲むように設けられた枠体と、
前記発光素子の上面に載置された透光性部材と、
前記発光素子及び前記透光性部材を封止する封止部材と、を含み、
前記透光性部材は、蛍光体を含有しない板状の部材であり、上面視において前記発光素子より大きく、
前記封止部材は、
前記発光素子の発光を反射する光反射性部材から成り、前記発光素子の側面を覆い、枠体の内面まで連続して繋がって覆っている第1封止部材と、
前記発光素子の発光を異なる波長の光に変換するための蛍光体を含有し、前記透光性部材の少なくとも上面を覆っている第2封止部材と、を含むことを特徴とする発光装置。 - 前記第2封止部材が、さらに前記透光性部材の側面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
- 前記透光性部材は、上面視において前記発光素子より外側に延在した外延部の下面の少なくとも一部が、前記第2封止部材により覆われており、
前記基板の上面が第1封止部材で覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発光装置。 - 前記第2封止部材は樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記第1封止部材が、さらに前記基板の上面を覆っており、
前記蛍光体は、前記第2封止部材内において、前記透光性部材の上面、及び前記第2封止部材と前記第1封止部材との界面上に堆積していることを特徴とする請求項4に記載の発光装置。 - 前記発光素子が複数実装されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の発光装置。
- 前記透光性部材が複数の前記発光素子の上面の全面を覆っている請求項6に記載の発光装置。
- 前記枠体が反射性物質を添加した反射性樹脂材料から形成されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の発光装置。
- 発光装置の製造方法であって、
1)基板の上面に発光素子を実装する工程と、
2)前記基板上に前記発光素子を囲むように枠体を形成する工程と、
3)前記発光素子の上面に、上面視において前記発光素子より大きい板状の透光性部材を載置する工程と、
4)前記発光素子の発光を反射する光反射性部材から成る第1封止部材により、前記発光素子の側面を覆う工程と、
5)前記工程3)及び4)の後に、前記発光素子の発光を異なる波長の光に変換するための蛍光体を含有する第2封止部材により、前記透光性部材の少なくとも上面を覆う工程と、を含むことを特徴とする発光装置の製造方法。 - 前記第1封止部材は樹脂材料から成り、
前記4)工程は、
硬化前の液状樹脂材料を滴下する過程と、
前記液状樹脂材料を硬化して前記第1封止部材を形成する過程と、を含み、
前記3)工程より前に、前記4)工程を行うことを特徴とする請求項9に記載の発光装置の製造方法。
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