JP6544142B2 - 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体 - Google Patents

脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体 Download PDF

Info

Publication number
JP6544142B2
JP6544142B2 JP2015166281A JP2015166281A JP6544142B2 JP 6544142 B2 JP6544142 B2 JP 6544142B2 JP 2015166281 A JP2015166281 A JP 2015166281A JP 2015166281 A JP2015166281 A JP 2015166281A JP 6544142 B2 JP6544142 B2 JP 6544142B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
subject
phase synchronization
index
electroencephalogram signal
signal processing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015166281A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016047239A (ja
Inventor
圭一 北城
圭一 北城
裕 宇野
裕 宇野
整 山田
整 山田
出尾 隆志
隆志 出尾
雄介 小坂
雄介 小坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
Toyota Motor Corp
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2015166281A priority Critical patent/JP6544142B2/ja
Publication of JP2016047239A publication Critical patent/JP2016047239A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6544142B2 publication Critical patent/JP6544142B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rehabilitation Tools (AREA)
  • Electrotherapy Devices (AREA)
  • Measurement And Recording Of Electrical Phenomena And Electrical Characteristics Of The Living Body (AREA)

Description

本発明は、脳波信号を処理する脳波信号処理装置及び脳波信号処理方法に関する。また、コンピュータをそのような脳波信号処理装置として機能させるためのプログラム、及び、そのようなプログラムが記録された記録媒体に関する。
脳の各部の活動は、振動子と見做すことができ、このとき、脳の高次機能は、これらの振動子の間の位相同期現象と見做すことができる。このことは、例えば、画面の左上と右下とにボールが配置された第1の画像と、画面の右上と左下とにボールが配置された第2の画像とを、アニメーションとして被験者に交互に提示することにより確かめられる(非特許文献1)。
実際、これらの画像を見ている被験者の脳波を観察すると、「上下に並んだ2つのボールが逆位相で水平に移動している」という認識が生じるのと同時に、右脳の活動を示す脳波(以下「右脳波」とも記載)と左脳の活動を示す脳波(以下「左脳波」とも記載)との間に位相同期が生じていることが確かめられる。これは、第1の画像において画面の左上に配置されたボール(右脳により認知情報処理される)と第2の画像において画面の右上に配置されたボール(左脳により認知情報処理される)とを同一視するという脳の高次機能が、上述した位相同期現象として捉え得ることの証左に他ならない。
また、脳卒中患者の脳波を観察することによっても、同様のことが確かめられる。すなわち、脳の高次機能に障害のある脳卒中患者の脳波を観察すると、健常者の脳波と比べて右脳波と左脳波との間で位相同期が生じ難いことが分かる。また、脳卒中患者の右脳波と左脳波とに関して、罹患直後の位相同期の生じ易さとリハビリテーションの有効性との間に有意な相関が存在するという研究成果が報告されている(非特許文献2)。
Michael Rose、外1名、" Neural Coupling Binds Visual Tokens to Moving Stimuli"、The Journal of Neuroscience、2005年11月2日、25(44)、p.10101-10104 Wenqing Wu、外6名、"Impaired neuronal synchrony after focalischemic stroke in elderly patients"、Clinical Neurophysiology、ELSEVIER、2010年6月29日オンライン公開、122(2011)、p.21-26
非特許文献2において報告されている研究成果は、右脳波と左脳波との間の位相同期が生じ易い状態に至らしめることによって、脳卒中患者に対するリハビリテーション効果を増進し得ることを示唆している。
また、本願の発明者らの近時の研究により、被験者の頭部の異なる位置で検出された脳波信号間の位相同期の程度が、脳卒中や脳梗塞などの脳疾患患者の、FIM(FunctionalIndependence Measure)やNIHSS(NIH stroke scale)などの病態指標と相関することが分かってきた。つまり、被験者の頭部の異なる位置で検出された脳波信号間の位相同期が生じ易い状態に至らしめることによっても、リハビリテーション効果が得られると考えられる。
さらに、本願の発明者らの近時の研究により、健常者では脳内の情報伝達が左半球と右半球とで概ね対称となるのに対し、脳疾患患者では非対称となることも分かってきた。つまり、脳内の情報伝達が対称となり易い状態に至らしめることによっても、リハビリテーション効果が得られると考えられる。
しかしながら、このような状態を実現すべく、脳疾患患者が自身の脳をトレーニングする方法は知られていない。また、このような状態を実現すべく、施術者が脳疾患患者の脳をトレーニングする方法も知られていない。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、脳疾患患者の病状を改善させるような脳の使い方のトレーニングに利用可能な脳波信号処理装置等を実現することにある。
なお、本発明の用途は、脳疾患患者に対するリハビリテーション効果の増進に限定されない。例えば、健常者に対する脳の高次機能強化、あるいは位相同期の程度や脳内の情報伝達の対称性をコントロールさせるゲーム等にも本発明を適用可能である。
本発明に係る脳波信号処理装置は、上記の目的を達成するために、被験者の脳波を表す脳波信号を逐次取得して処理する脳波信号処理装置であって、上記被験者の頭部の第1位置における脳波信号と、該被験者の頭部の第2位置における脳波信号との位相同期の程度を示す位相同期指数を遂次算出する位相同期指数算出手段と、上記位相同期指数算出手段にて遂次算出された位相同期指数に応じた信号、又は、上記位相同期指数算出手段にて遂次算出された位相同期指数の時間平均に応じた信号を生成して刺激付与装置に逐次供給することによって、上記位相同期指数に連動して変化する刺激を上記被験者に与える信号生成手段と、を備え、上記第1位置及び上記第2位置は、(1)上記被験者の頭部左半球上の互いに異なる2つの位置、(2)上記被験者の頭部右半球上の互いに異なる2つの位置、又は、(3)上記被験者の頭部正中線上の位置、及び、当該位置と異なる上記被験者の頭部上の位置である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る脳波信号処理方法は、上記の目的を達成するために、脳波信号処理装置が被験者の脳波を表す脳波信号を逐次取得して処理する脳波信号処理方法であって、上記脳波信号処理装置が、上記被験者の頭部の第1位置における脳波信号と、該被験者の頭部の第2位置における脳波信号との位相同期の程度を示す位相同期指数を遂次算出する位相同期指数算出ステップと、上記脳波信号処理装置が、上記位相同期指数算出ステップにて遂次算出された位相同期指数に応じた信号、又は、上記位相同期指数算出ステップにて遂次算出された位相同期指数の時間平均に応じた信号を生成して刺激付与装置に逐次供給することによって、上記位相同期指数に連動して変化する刺激を上記被験者に与える信号生成ステップと、を含み、上記第1位置及び上記第2位置は、(1)上記被験者の頭部左半球上の互いに異なる2つの位置、(2)上記被験者の頭部右半球上の互いに異なる2つの位置、又は、(3)上記被験者の頭部正中線上の位置、及び、当該位置と異なる上記被験者の頭部上の位置である、ことを特徴とする。
上記の構成によれば、逐次取得された脳波信号間の位相同期の程度、特に各種病態指標との間に有意な相関が認められるLHPS(Left Hemispheric Phase Synchronization:左半球内位相同期)、RHPS(Right Hemispheric Phase Synchronization:右半球内位相同期)、又はCPS(Central Phase Synchronization:正中位相同期)を、被験者にフィードバックして認識させることができる。これにより、上記被験者は、脳波信号間の位相同期の程度が高くなるように、自身の脳を自身の意思で制御することが可能になる。そして、このような制御を繰り返すことによって、上記被験者は、脳波信号間の位相同期が生じ易くなるよう、自身の脳をトレーニングすることが可能になる。
本発明に係る他の脳波信号処理装置は、上記の目的を達成するために、被験者の頭部右半球および左半球のそれぞれにおいて複数の箇所で検出された各脳波信号を逐次取得して処理する脳波信号処理装置であって、上記各脳波信号から遂次算出された、当該各脳波信号間の位相同期の程度を示す位相同期指数から、上記脳波信号の各検出箇所の、上記被験者の脳内の情報伝達における相対的な重要度を示す重要度指標を逐次算出する重要度指標算出手段と、上記被験者の頭部における上記重要度指標の分布から、右半球における情報伝達と左半球における情報伝達との対称性の程度を示す対称性指標を逐次算出する対称性指標算出手段と、上記対称性指標算出手段にて逐次算出された上記対称性指標に応じた信号、又は、上記対称性指標算出手段にて逐次算出された上記対称性指標の時間平均に応じた信号を生成して刺激付与装置に逐次供給することによって、上記対称性指標に連動して変化する刺激を上記被験者に与える信号生成手段と、を備えている。
また、本発明に係る他の脳波信号処理方法は、上記の目的を達成するために、脳波信号処理装置が被験者の頭部右半球および左半球のそれぞれにおいて複数の箇所で検出された各脳波信号を逐次取得して処理する脳波信号処理方法であって、脳波信号処理装置が、上記各脳波信号から遂次算出された、当該各脳波信号間の位相同期の程度を示す位相同期指数から、上記脳波信号の各検出箇所の、上記被験者の脳内の情報伝達における相対的な重要度を示す重要度指標を逐次算出する重要度算出ステップと、脳波信号処理装置が、上記被験者の頭部における上記重要度指標の分布から、右半球における情報伝達と左半球における情報伝達との対称性の程度を示す対称性指標を逐次算出する対称性指標算出ステップと、脳波信号処理装置が、上記対称性指標算出ステップにて逐次算出された上記対称性指標に応じた信号、又は、上記対称性指標算ステップにて逐次算出された上記対称性指標の時間平均に応じた信号を生成して刺激付与装置に逐次供給することによって、上記対称性指標に連動して変化する刺激を上記被験者に与える信号生成ステップと、を含む。
上記の構成によれば、被験者の頭部右半球および左半球の複数の箇所で検出された各脳波信号を各脳波信号から遂次算出された、当該各脳波信号間の位相同期の程度を示す位相同期指数から、各検出箇所の重要度指標を逐次算出する。なお、位相同期の程度が高い検出位置の組合せは、脳内の情報伝達において相対的に重要度が高いと言えるため、位相同期指数から上記の重要度指標を算出することができる。
そして、上記の構成によれば、被験者の頭部における上記重要度指標の分布から、右半球における情報伝達と左半球における情報伝達との対称性を示す対称性指標を逐次算出する。なお、上記「分布」は、頭部における位置の分布である。
ここで、上述のように、健常者の脳内における情報伝達は左右の半球間で対称となるが、脳疾患患者では非対称となる。このため、上記の対称性指標は、左半球内の位相同期指数と同様に、被験者の脳のトレーニングに利用することができる。
すなわち、上記のようにして算出した対称性指標に連動して変化する刺激を被験者に与えることにより、対称性指標が大きくなるように(脳内の情報伝達が対称に近付くように)、当該被験者に自分の意思で脳を制御させることができる。そして、このような制御を繰り返すことによって、上記被験者は、脳内の情報伝達が両半球で対称に行われるように、自身の脳をトレーニングすることが可能になる。
本発明によれば、脳波信号間の位相同期が生じ易くなるように、又は脳内の情報伝達が両半球で対称に行われるように、被験者が自身の脳をトレーニングすることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る脳波信号処理装置の構成を示すブロック図である。 図1に示す脳波信号処理装置の一変形例を示すブロック図である。 図1に示す脳波信号処理装置が表示させる映像の内容を示す図である。 図1に示す脳波信号処理装置として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。 縦軸をLHPSとし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットしてPSIとFIMtの相関を示した図である。 縦軸をLHPSとし、横軸をNIHSSとして実験結果をプロットしてPSIとNIHSSの相関を示した図である。 複数の脳梗塞患者について調べた、FIMtおよびLHPSの変化を示す図である。 ある母集団(脳梗塞患者集団)に関し、α帯における各種同期指標と各種病態指標との相関を示すp値を一覧で示した図である。 別の母集団(脳梗塞患者集団)に関し、α帯における各種同期指標と各種病態指標との相関を示すp値を一覧で示した図である。 (a)は、左半球病変患者に関し、α帯における各種同期指標と各種病態指標との相関を示すp値を一覧で示した図である。(b)は、右半球病変患者に関し、α帯における各種同期指標と各種病態指標との相関を示すp値を一覧で示した図である。 別の母集団(脳梗塞患者集団)に関し、β1帯における各種同期指標と各種病態指標との相関を示すp値を一覧で示した図である。 (a)は、左半球病変患者に関し、β1帯における各種同期指標と各種病態指標との相関を示すp値を一覧で示した図である。(b)は、右半球病変患者に関し、β1帯における各種同期指標と各種病態指標との相関を示すp値を一覧で示した図である。 右半球病変患者に関し、(a)は、同期指標RHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの間の偏相関の有意性を示すp値を一覧で示した図であり、(b)は、同期指標IHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの間の偏相関の有意性を示すp値を一覧で示した図であり、(c)は、同期指標LHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの間の偏相関の有意性を示すp値を一覧で示した図であり、(d)は、同期指標RHPS、IHPS、及びLHPS、病態指標FIMm、並びに病変体積LVの関係を表す模式図である。 左半球病変患者に関し、(a)は、同期指標LHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの間の偏相関の有意性を示すp値を一覧で示した図であり、(b)は、同期指標LHPS、病態指標FIMc、及び病変体積LVの間の偏相関の有意性を示すp値を一覧で示した図であり、(c)は、同期指標LHPS、病態指標FIMm、及びFIMc、並びに病変体積LVの関係を表す模式図である。 上記脳波信号処理装置の実行する処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係る脳波信号処理装置の要部構成を示すブロック図である。 頭部における脳波信号の計測位置を示す図である。 健常者と、病態指標の異なる3名の患者の重要度の空間分布を示した図である。 各被験者の重要度の平均値の分布を示す図である。 左半球に損傷のある複数の被験者の重要度の平均値の分布と、右半球に損傷のある複数の被験者の重要度の平均値の分布とを示す図である。 左半球に損傷のある被験者のうち特にFIMtが低かった複数の被験者の重要度の平均値の分布と、右半球に損傷のある被験者のうち特にFIMtが低かった複数の被験者の重要度の平均値の分布とを示す図である。 正中面に対して対称な位置の電極間における重要度の左右差を平均して正規化した値を縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットし、対称性指標とFIMの相関を示した図である。 F4−F3間における重要度の差を縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットした図である。 C4−C3間における重要度の差を縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットした図である。 重要度ベクトルの内積を縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットした図である。 上記脳波信号処理装置の実行する脳波信号処理方法の一例を示すフローチャートである。
〔実施形態1〕
本発明に係る脳波信号処理装置の一実施形態について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、以下の説明において、2つの量が「同程度」であるとは、それら2つの量のオーダーが一致すること、別の言い方をすれば、大きい方の量が小さい方の量の10倍以下であることを指す。
〔脳波信号処理装置の構成〕
本実施形態に係る脳波信号処理装置1の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、脳波信号処理装置1の構成を示すブロック図である。脳波信号処理装置1は、被験者のLHPS(Left Hemispheric Phase Synchronization:左半球内位相同期)、RHPS(Right Hemispheric Phase Synchronization:右半球内位相同期)、又は、CPS(Central Phase Synchronization:正中位相同期)を該被験者にフィードバックするための装置であり、図1に示すように、脳波信号取得部11と、第1瞬時位相特定部(瞬時位相特定手段)12Aと、第2瞬時位相特定部(瞬時位相特定手段)12Bと、位相同期指数算出部(位相同期指数算出手段)13と、映像信号生成部(信号生成手段)14とを備えている。
脳波信号取得部11は、被験者の頭部の第1位置で計測された脳波を表す脳波信号X1と、該被験者の頭部の第1位置とは異なる第2位置で計測された脳波を表す脳波信号X2とを、脳波信号処理装置1に接続された外部装置(脳波計など)から取得するための構成である。脳波信号取得部11にて取得された脳波信号X1及び脳波信号X2は、それぞれ、第1瞬時位相特定部12A及び第2瞬時位相特定部12Bに渡される。
なお、脳波信号X1の供給源としては、例えば、上記被験者の頭部の第1位置に貼付された電極が挙げられる。この場合、脳波信号取得部11は、上記外部装置により検出されたこの電極の電位を予め定められたサンプリング周期Δtでサンプリングすることによって、上記被験者の脳波を表す脳波信号X1を得る。サンプリング周期Δtは、例えば、1m秒以上4m秒以下に設定すればよい(本実施形態においてはΔt=1m秒とする)。時刻tにおいてサンプリングされた脳波信号X1の値を、以下ではX1(t)と記載する。
また、脳波信号X2の供給源としては、例えば、上記被験者の頭部の第2位置に貼付された電極が挙げられる。この場合、脳波信号取得部11は、上記外部装置により検出されたこの電極の電位を上記サンプリング周期Δtでサンプリングすることによって、上記被験者の脳波を表す脳波信号X2を得る。時刻tにおいてサンプリングされた脳波信号X2の値を、以下ではX2(t)と記載する。
LHPSを被験者にフィードバックする場合、脳波信号取得部11は、該被験者の頭部右半球上の2点(第1位置及び第2位置)で計測された脳波を表す脳波信号X1,X2を取得する。また、RHPSを被験者にフィードバックする場合、脳波信号取得部11は、該被験者の頭部左半球上の2点(第1位置及び第2位置)で計測された脳波を表す脳波信号X1,X2を取得する。また、CPSを被験者にフィードバックする場合、脳波信号取得部11は、該被験者の頭部正中線上の2点(第1位置及び第2位置)で計測された脳波を表す脳波信号X1,X2を取得する。
第1瞬時位相特定部12Aは、脳波信号X1から瞬時位相φ1(f,t)を逐次特定(リアルタイム特定)するための構成である。ここで、瞬時位相φ1(f,t)とは、脳波信号X1に含まれる成分波のうち、ターゲット周波数fを有する成分波X1fの時刻tにおける位相のことを指す。このターゲット周波数fは、操作者等により指定された周波数である。例えば、ターゲット周波数fとして10Hzが指定されている場合、第1瞬時位相特定部12Aにて特定された瞬時位相φ1(f,t)は、第1位置の近傍におけるα波の位相を示すことになる。第1瞬時位相特定部12Aにて特定された瞬時位相φ1(f,t)は、図1に示すように、位相同期指数算出部13に渡される。
第2瞬時位相特定部12Bは、脳波信号X2から瞬時位相φ2(f,t)を逐次特定するための構成である。ここで、瞬時位相φ2(f,t)とは、脳波信号X2に含まれる成分波のうち、ターゲット周波数fを有する成分波X2fの時刻tにおける位相のことを指す。第2瞬時位相特定部12Bにて特定された瞬時位相φ2(f,t)は、図1に示すように、位相同期指数算出部13に渡される。
なお、瞬時位相φ1(f,t)の特定には、公知の方法を利用すればよい。瞬時位相φ1(f,t)の特定に利用し得る公知の方法としては、例えば、Morlet Waveletとの畳み込み積分を行う方法が挙げられる。Morlet Waveletとの畳み込み積分を行う場合、第1瞬時位相特定部12Aは、瞬時位相φ1(f,t)を特定するために、時刻t1=t−Δt×(M−1)/2から時刻tM=t+Δt×(M−1)/2までの各サンプリングタイミングtiにおいてサンプリンリングされたM個の脳波信号X1の値X1(t1),…,X1(tM)を参照する(簡単のためにMを奇数と仮定)。このため、脳波信号処理装置1は、少なくともM個の脳波信号X1の値を保持する不図示のバッファを備えており、脳波信号取得部11から第1瞬時位相特定部12Aへの脳波信号X1の供給は、このバッファを介して行われることになる。瞬時位相φ2(f,t)の特定に関しても、同様のことが言える。
また、瞬時位相φ1(f,t)の特定に用いるウィンドウ幅tM−t1=Δt×(M−1)をTとし、X1(t1),…,X1(tM)から瞬時位相φ1(f,t)を算出するために要する計算時間をτとすると、脳波信号X1(t)のサンプリングを完了してから、瞬時位相φ1(f,t)の特定を完了するまでに、少なくとも時間T/2+τを要することになる。なお、ウィンドウ幅Tは、通常、ターゲット周波数fに対応する周期(1/f)の3倍以上8倍以下に設定される。したがって、例えば、ターゲット周波数fが20Hzの場合、ウィンドウ幅Tは150m秒以上400m秒以下となる。
本実施形態において、第1瞬時位相特定部12Aは、瞬時位相φ1(f,t)を最少所要時間T/2+τで特定する。すなわち、脳波信号X1の値X1(t)のサンプリングを完了してから、瞬時位相φ1(f,t)の特定を完了するまでの遅延δは、最小所要時間T/2+τとなる。ただし、脳波信号X1の値X1(t)のサンプリングを完了してから、瞬時位相φ1(f,t)の特定を完了するまでの遅延δは、最小所要時間T/2+τと同程度であれば、本発明の目的を達成するのに十分である。本明細書において、瞬時位相φ1(f,t)の特定が逐次特定(リアルタイム特定)であるとは、上記の遅延δがτ+T/2と同程度であることを意味する。第2瞬時位相特定部12Bによる瞬時位相φ2(f,t)の特定に関しても、同様のことが言える。
位相同期指数算出部13は、瞬時位相φ1(f,t)及び瞬時位相φ2(f,t)から、位相同期指数PSI(f,t)を逐次算出(リアルタイム算出)するための構成である。ここで、位相同期指数PSI(f,t)とは、脳波信号X1(より正確にはその成分波X1f)と脳波信号X2(より正確にはその成分波X2f)との時刻tにおける位相同期の程度を示す指標となる数値のことを指す。位相同期指数算出部13にて算出された位相同期指数PSI(f,t)は、図1に示すように、映像信号生成部14に渡される。
本実施形態において、位相同期指数算出部13は、以下の式により定義される位相同期指数PSI(f,t)を算出するために、時刻t’1=t−Δt×(N−1)/2から時刻t’N=t+Δt×(N−1)/2までの各サンプリングタイミングt’iに対応するN対の瞬時位相{φR(f,t’1),φL(f,t’1)},…,{φR(f,t’N),φL(f,t’N)}を参照する(簡単のためにNを奇数と仮定)。なお、以下の式において、θ(f,t’i)は、θ(f,t’i)=φR(f,t’i)−φL(f,t’i)により定義される位相差である。
Figure 0006544142
位相同期指数PSI(f,t)を上記のように定義すれば、時刻tにおいて脳波信号X1と脳波信号X2の位相が完全に同期しているとき、PSI(f,t)=1となり、時刻tにおいて脳波信号X1と脳波信号X2の位相が全く同期していないとき、PSI(f,t)=0となる。したがって、上記のように定義された位相同期指数PSI(f,t)は、脳波信号X1と脳波信号X2との位相同期の程度を示す適切な指標となる。
脳波信号取得部11が該被験者の頭部右半球上の2点で計測された脳波を表す脳波信号X1,X2を取得する構成を採用した場合、位相同期指数算出部13が算出するPSI(f,t)は、LHPSの指標として用いることができる。なお、LHPSは、頭部左半球上に配置されたN対の電極について、各対の電極で測定した脳波間の位相同期指数の平均値により定義される。したがって、上記構成を採用した場合に位相同期指数算出部13が算出するPSI(f,t)は、N=1の場合のLHPSと見做すこともできるし、N≧2の場合のLHPSを構成する量と見做すこともできる。
また、脳波信号取得部11が該被験者の頭部左半球上の2点で計測された脳波を表す脳波信号X1,X2を取得する構成を採用した場合、位相同期指数算出部13が算出するPSI(f,t)は、RHPSの指標として用いることができる。なお、RHPSは、頭部右半球上に配置されたN対の電極について、各対の電極で測定した脳波間の位相同期指数の平均値により定義される。したがって、上記構成を採用した場合に位相同期指数算出部13が算出するPSI(f,t)は、N=1の場合のRHPSと見做すこともできるし、N≧2の場合のRHPSを構成する量と見做すこともできる。
また、脳波信号取得部11が該被験者の頭部正中線上の1点と、この点とは異なる該被験者の頭部右半球、左半球、又は正中線上の1点で計測された脳波を表す脳波信号X1,X2を取得する構成を採用した場合、位相同期指数算出部13が算出するPSI(f,t)は、CPSの指標として用いることができる。なお、CPSは、一方が頭部正中線上に配置され、他方が頭部左半球、右半球、又は正中線上に配置されたN対の電極について、各対の電極で測定した脳波間の位相同期指数の平均値により定義される。したがって、上記構成を採用した場合に位相同期指数算出部13が算出するPSI(f,t)は、N=1の場合のCPSと見做すこともできるし、N≧2の場合のCPSを構成する量と見做すこともできる。
なお、位相同期指数算出部13は、上述したように、時刻tにおける位相同期指数PSI(f,t)を算出するためにN対の瞬時位相を参照する。このため、脳波信号処理装置1は、少なくともN個の瞬時位相φ1(f,t)を保持する不図示のバッファを備えており、第1瞬時位相特定部12Aから位相同期指数算出部13への瞬時位相φ1(f,t)の供給は、このバッファを介して行われることになる。同様の理由により、脳波信号処理装置1は、少なくともN個の瞬時位相φ2(f,t)の値を保持する不図示のバッファを備えており、第2瞬時位相特定部12Bから位相同期指数算出部13への瞬時位相φ2(f,t)の供給は、このバッファを介して行われることになる。
また、位相同期指数PSI(f,t)の算出に用いるウィンドウ幅t’N−t’1=Δt×(N−1)をT’とし、{φR(f,t’1),φL(f,t’1)},…,{φR(f,t’N),φL(f,t’N)}から位相同期指数PSI(f,t)を算出するために要する時間をτ’とすると、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)の特定を完了してから、位相同期指数PSI(f,t)の算出を完了するまでに、少なくとも時間T'/2+τ'を要することになる。なお、ウィンドウ幅T’は、通常、ターゲット周波数fに対応する周期(1/f)の3倍以上8倍以下に設定する。したがって、例えば、ターゲット周波数fが20Hzの場合、ウィンドウ幅T’は150m秒以上400m秒以下となる。
本実施形態において、位相同期指数算出部13は、位相同期指数PSI(f,t)を最少所要時間T/2+τで算出する。すなわち、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)の特定を完了してから、位相同期指数PSI(f,t)の算出を完了するまでの遅延δ’は、最小所要時間T’/2+τ’となる。ただし、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)の特定を完了してから、位相同期指数PSI(f,t)の算出を完了するまでの遅延δ’は、最小所要時間T’/2+τ’と同程度であれば、本発明の目的を達成するのに十分である。本明細書において、位相同期指数PSI(f,t)の算出が逐次算出(リアルタイム算出)であるとは、上記の遅延δ’が最小所要時間T’/2+τ’と同程度であることを意味する。
なお、位相同期指数算出部13による位相同期指数PSI(f,t)の算出は、Δt(サンプリング周期)毎に実行してもよいし、T’(ウインドウ幅)毎に実行してもよいし、T’/2毎に実行してもよい。位相同期指数PSI(f,t)の算出をT’又はT’/2毎に実行する構成を採用することによって、計算負荷を低下させることができる。
映像信号生成部14は、位相同期指数PSI(f,t)から、その内容が位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する映像を表す映像信号を生成する。映像信号生成部14にて生成された映像信号は、脳波信号処理装置1に接続又は内蔵されたディスプレイに供給される。なお、映像信号生成部14にて生成された映像信号が表す映像の内容については、参照する図面を変えて後述する。
脳波信号処理装置1に接続又は内蔵されたディスプレイは、映像信号生成部14にて生成された映像信号が表す映像、すなわち、その内容が位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する映像を被験者に提示する。換言すれば、位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する視覚刺激を被験者に与える刺激付与装置として機能する。これにより、被験者のLHPS、RHPS、又はCPSを当該被験者にフィードバックするリアルタイムなフィードバックループが形成される。
なお、脳波信号処理装置1においては、脳波信号X1,X2の値X1(t),X2(t)のサンプリングを完了してから、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)の特定を完了するまでの遅延δが、最小所要時間T/2+τ(瞬時位相φ1(f,t)の特定と瞬時位相φ2(f,t)の特定とがパラレルに実行される場合)又はT/2+2×τ(瞬時位相φ1(f,t)の特定と瞬時位相φ2(f,t)の特定とがシリアルに実行される場合)となる。また、脳波信号処理装置1においては、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)の特定を完了してから、位相同期指数PSI(f,t)の算出を完了するまでの遅延δ’が、最小所要時間T’/2+τ’となる。したがって、映像信号の生成及び出力に要する時間を無視すれば、脳波信号X1と脳波信号X2との間の位相同期の程度が変化してから、その変化が被験者に提示される映像に反映されるまでの遅延(以下、「脳波信号処理装置1の応答時間」と記載する)は、T/2+τ+T’/2+τ’又はT/2+2×τ+T’/2+τ’となる。これにより、脳波信号処理装置1の応答時間を、トレーニングの効果が得られる程度に十分に短い時間とすることができる。すなわち、上述したフィードバックをよりリアルタイムなものにして、トレーニングの効果を高めることができる。例えば、ウィンドウ幅T,T’をT=T’=400m秒とすると、計算時間τ,τ’がウィンドウ幅T,T’に比べて十分に小さい場合、脳波信号処理装置1の応答時間は、400m秒程度になる。
脳波信号処理装置1の応答時間が15秒以下であれば、被験者は、自身の脳波の位相同期の程度を略リアルタイムに知ることができ、これにより、自身の脳波の位相同期の程度を自身の意思で制御することが可能になる。本明細書において、フィードバックがリアルタイムであるとは、脳波信号処理装置1の応答時間が15秒以下であることを意味する。なお、(1)各時刻tにおける位相同期指数PSI(f,t)に応じた刺激を、時刻t+Δにおいて被験者に付与する態様であっても、(2)時刻t0から時刻t0+Δまでの各時刻tにおける位相同期指数PSI(f,t)の平均値に応じた刺激を、時刻t0+Δnおいて被験者に付与する態様であっても、Δが15秒以下であればリアルタイムなフィードバックと見做す。
なお、脳波信号処理装置1の応答時間を短くすれば短くするほど、フィードバックのリアルタイム性が高くなり、被験者は、自身の脳の位相同期の程度を自身の意思で制御することが容易になる。したがって、例えば、脳波信号処理装置1の応答時間を5秒以下、4秒以下、3秒以下、2秒以下、又は1秒以下とする構成が可能であり、後者の構成ほど効果が高くなることが予想される。
〔変形例〕
図1に示す脳波信号処理装置1においては、Morlet Waveletとの畳み込み積分によって、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)を特定する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、周波数フィルタを通した後にヒルベルト変換を用いた解析信号化を行うことによって、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)を特定する構成を採用してもよい。
また、図1に示す脳波信号処理装置1においては、脳波信号X1,X2に含まれる特定周波数の成分波X1f,X2fの瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)に基づいて位相同期指数PSI(f,t)を算出する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、全周波数成分を含む脳波信号X1,X2自体の瞬時位相φ1(t),φ2(t)に基づいて位相同期指数PSI(t)を算出する構成を採用してもよい。つまり、「脳波信号の瞬時位相」の表現は、特定周波数の瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)、及び周波数を特定しない瞬時位相φ1(t),φ2(t)の何れかを指し、前者に限定されない点に留意されたい。
また、図1に示す脳波信号処理装置1においては、位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する視覚刺激を被験者に与える刺激付与装置(例えば、表示装置)に供給する映像信号を生成する構成しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する刺激を被験者に与える刺激付与装置に供給する信号を生成する構成であれば、どのような構成にでも置き換えることができる。
例えば、位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する聴覚刺激を被験者に与える刺激付与装置に供給する音声信号を生成する構成に置き換えることができる。聴覚刺激を被験者に与える刺激付与装置としては、例えば、スピーカなどが挙げられる。刺激付与装置を介して被験者に与えられる聴覚刺激は、その音量を位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、その音程が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、その音色が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよい。すなわち、脳波信号処理装置1により生成される音声信号は、その振幅が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、その周期が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、その波形が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよい。
また、位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する体性感覚刺激を被験者に与える刺激付与装置に供給する信号を生成する構成に置き換えることもできる。体性感覚刺激を被験者に与える刺激付与装置としては、例えば、電気的な手段により被験者の体性感覚を刺激する電気刺激装置や、機械的な手段により被験者の体性感覚を刺激する機械刺激装置などが挙げられる。手首を屈曲させるリハビリ用装具は、このような機械刺激装置の一例である。刺激付与装置を介して被験者に与えられる体性感覚刺激は、その強度が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、その周期が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、そのパターンが位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよい。すなわち、脳波信号処理装置1により生成される信号は、その振幅が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、その周期が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよいし、その波形が位相同期指数PSI(f,t)に連動するものであってもよい。
更に言えば、位相同期指数PSI(f,t)に応じた視覚刺激、聴覚刺激、又は体性感覚刺激を与える構成に代えて、位相同期指数PSI(f,t)に応じた臭覚刺激又は味覚刺激を与える構成を採用することも不可能ではない。要するに、被験者が位相同期指数PSI(f,t)を、何らかの感覚として知得し得る構成であれば、どのような構成であっても本発明の目的は達成される。
また、図1に示す脳波信号処理装置1においては、1対の脳波信号{X1,X2}から位相同期指数PSI(f,t)を算出する構成を採用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、n個の脳波信号{X1,X2,…,Xn}から位相同期指数PSI(f,t)を算出する構成を採用してもよい(nは偶数2mとする)。このような構成を採用することによって、LHPS、RHPS、CPSのみならず、GPS(Global Phase Synchronization:大域位相同期)を被験者にフィードバックすることが可能になる。
このような構成を採用した脳波信号処理装置1のブロック図を図2に示す。図2に示す脳波信号処理装置1は、図1の第1瞬時位相特定部12A及び第2瞬時位相特定部12Bと同等の機能を有するn個の瞬時位相特定部(瞬時位相特定手段)12−1〜12−nを備えている点で、図1の脳波信号処理装置1と相違する。また、図2に示す脳波信号処理装置1は、位相同期指数算出部13が、(1)1≦j≦mの各jについて、瞬時位相φj(f,t),φj+1(f,t)からPSIj(f,t)を算出する処理と、(2)位相同期指数PSI(f,t)として、PSIj(f,t)の平均値{PSI1(f,t)+…+PSIm(f,t)}/mを算出する処理とを行う点で、図1の脳波信号処理装置1と相違する。その他の点については、図1の脳波信号処理装置1と同様の構成である。
なお、図2においては、脳波信号X1と脳波信号X2とをペアとして位相同期指数PSI1(f,t)を求め、脳波信号X3と脳波信号X4とをペアとして位相同期指数PSI2(f,t)を求め、・・・、脳波信号Xn−1と脳波信号Xnとをペアとして位相同期指数PSIm(f,t)を求める構成を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、位相同期指数を求めるための脳波信号のペアの組み方は任意であり、n×(n−1)/2通りのペアの組み方が許される。
ただし、LHPSを被験者にフィードバックする場合、全てのペアが、被験者の頭部左半球上の2点に貼付された電極の電位を示す脳波信号のペアであるものとする。また、RHPSを被験者にフィードバックする場合、全てのペアが、被験者の頭部右半球上の2点に貼付された電極の電位を示す脳波信号のペアであるものとする。また、CPSを被験者にフィードバックする場合、全てのペアが、被験者の頭部正中線上の1点に貼付された電極の電位を示す脳波信号と、この点とは異なる該被験者の頭部左半球、右半球、又は正中線上の1点に貼付された電極の電圧を示す脳波信号とのペアであるものとする。また、GPSを被験者にフィードバックする場合には、少なくとも、(1)被験者の頭部左半球上の2点に貼付された電極の電位を示す脳波信号のペア、(2)被験者の頭部右半球上の2点に貼付された電極の電位を示す脳波信号ペア、及び、(3)被験者の頭部左半球上の点に添付された電極の電位を示す脳波信号と被験者の頭部右半球上の点に貼付された電極の電位を示す脳波信号のペアを含むものとする。
なお、LHPS、RHPS、IHPS、及びCPSの一部又は全部を、それぞれに予め定められた係数を乗じて加算した線形和を被験者にフィードバックする構成を採用してもよい。この際、頭部左半球上の互いに異なる電極対の電位を示す脳波信号のペアから算出された複数のPSIの平均値(上述した「N≧2の場合のLHPS」)を線形和の対象にしてもよいし、これら複数のPSI(上述した「N=1の場合のLHPS」)の各々を個別に線形和の対象にしてもよい。RHPS、IHPS、及びCPSについても同様である。また、頭部正中線上に配置された電極対の電位を示す脳波信号のペアから算出されたPSIを線形和の対象に加えてもよい。
このように、被験者の頭部における互いに異なる3箇所以上の位置で取得された脳波信号を用いて、各脳波信号間の位相同期の程度に応じた位相同期指数を遂次算出する構成を採用することによって、2箇所で取得された脳波信号を用いる場合と比べて、被験者の脳内における位相同期の程度をより正確に反映させた位相同期指数を算出することができる。そして、これにより、被験者の脳内の状態に応じたより適切なフィードバックを行うことが可能になる。
〔被験者に提示される映像〕
次に、脳波信号処理装置1により被験者に提示される映像の例について、図3を参照して説明する。図3の(a)〜(e)は、それぞれ、脳波信号処理装置1により被験者に提示される映像の例を示す図である。
図3(a)に示す映像は、長辺が画面の横軸と平行な長方形状のオブジェクト21を画面の中央に含む。この映像においては、オブジェクト21の長辺の長さLが、位相同期PSI(f,t)に連動して変化する。連動のさせ方は任意であるが、ここでは、オブジェクト21の長辺の長さLと位相同期指数PSI(f,t)との間に正の相関を持たせる。より具体的には、オブジェクト21の長辺の長さLと位相同期指数PSI(f,t)とを比例させる。
この映像を被験者に提示する場合には、オブジェクト21の長辺の長さLが長くなるよう意識するという課題を被験者に課す。被験者は、オブジェクト21の長辺の長さLを長くしようと意識することによって、LHPS、RHPS、CPS、又はGPSの増大を促進するように自身の脳を制御することになる。
図3(b)に示す映像は、長辺が画面の縦軸と平行な長方形状のオブジェクト22を画面の中央に含む。この映像においては、オブジェクト22の長辺の長さLが、位相同期PSI(f,t)に連動して変化する。連動のさせ方は任意であるが、ここでは、オブジェクト22の長辺の長さLと位相同期指数PSI(f,t)との間に正の相関を持たせる。より具体的には、オブジェクト22の長辺の長さLと位相同期指数PSI(f,t)とを比例させる。
この映像を被験者に提示する場合には、オブジェクト22の長辺の長さLが長くなるよう意識するという課題を被験者に課す。被験者は、オブジェクト22の長辺の長さLを長くしようと意識することによって、LHPS、RHPS、CPS、又はGPSの増大を促進するように自身の脳を制御することになる。
図3(c)に示す映像は、色温度可変な有色の円盤状のオブジェクト23を画面の中央に含む。この映像においては、オブジェクト23の色温度が、位相同期PSI(f,t)に連動して変化する。連動のさせ方は任意であるが、ここでは、オブジェクト23の色温度と位相同期指数PSI(f,t)との間に負の相関を持たせる。より具体的には、オブジェクト23の色温度と位相同期指数PSI(f,t)とを反比例させる。
この映像を被験者に提示する場合には、オブジェクト23の色が暖色化(低温化)するよう意識するという課題を被験者に課す。被験者は、オブジェクト23の色を暖色化しようと意識することによって、LHPS、RHPS、CPS、又はGPSの増大を促進するように自身の脳を制御することになる。
図3(d)に示す映像は、階調数可変なグレースケール写真24を画面の中央に含む(図3(d)においては、階調数2のグレースケール写真、すなわち、白黒写真を例示している)。この映像においては、グレースケール写真24の階調数が、位相同期PSI(f,t)に連動して2から256まで変化する。連動のさせ方は任意であるが、写真24の階調数と位相同期指数PSI(f,t)との間に正の相関を持たせる。より具体的には、写真24の階調数と位相同期指数PSI(f,t)とを比例させる。
この映像を被験者に提示する場合には、例えば、被写体を特定せよという課題を被験者に課す。被験者は、写真24の階調数を増やし被写体を特定しようと意識することによって、LHPS、RHPS、CPS、又はGPSの増大を促進するように自身の脳を制御することになる。
図3(e)に示す映像は、2つのボールが画面の左上及び右下に配置された同図上段に示す画面と、2つのボールが画面の右上及び左下に配置された同図下段に示す画面とが、交互に表示されるアニメーションである。このアニメーションにおいては、2つのボールの画面横軸方向の間隔Dが、位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する。連動のさせ方は任意であるが、ここでは、位相同期指数PSI(f,t)と2つのボールの間隔Dとの間に負の相関を持たせる。
このアニメーションは、左右に並んだ2つのボールが逆位相で上下に振動していると認識されることもあるし、上下に並んだ2つのボールが逆位相で左右に振動していると認識されることもある。被験者が後者の認識をもつときには、当該被験者の右脳と左脳の位相は同期している可能性が高く、また、被験者の右脳と左脳の位相が同期しているときには、当該被験者は後者の認識をもつ可能性が高い。被験者が後者の認識をもつとは、すなわち、同図上段に示す画面の左上に配置されたボールと同図下段に示す画面において右上に配置されたボールとを右脳と左脳の協働により同一視することに他ならないからである。
このアニメーションを被験者に提示する場合には、例えば、「上下に並んだ2つのボールが逆位相で左右に振動しているように見えますか?」というような質問を被験者に投げかける。被験者は、このアニメーションをそのように認識しようと意識することによって、IHPS(Inter-Hemispheric Phase Synchronization:半球間位相同期)を促進するように自身の脳を制御することになる。そしてこれは、LHPS、RHPS、CPS、又はGPSの増大を促進するように制御することにもなると考えられる。
〔脳波信号処理装置の構成例〕
脳波信号処理装置1は、例えば、コンピュータ(電子計算機)を用いて構成することができる。図4は、脳波信号処理装置1として利用可能なコンピュータ100の構成を例示したブロック図である。
コンピュータ100は、図4に示したように、バス110を介して互いに接続された演算装置120と、主記憶装置130と、補助記憶装置140と、入出力インタフェース150とを備えている。演算装置120として利用可能なデバイスとしては、CPU(Central Processing Unit)を挙げることができる。また、主記憶装置130として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(random access memory)を挙げることができる。また、補助記憶装置140として利用可能なデバイスとしては、例えば、ハードディスクドライブを挙げることができる。
入出力インタフェース150には、図4に示したように、入力装置200及び出力装置300が接続される。脳波信号X1,X2を検出するための脳波計やターゲット周波数fを指定するためのキーボードなどは、この入出力インタフェース150に接続される入力装置200の一例である。また、その内容が位相同期指数PSI(f,t)に連動して変化する映像を表示するためのディスプレイは、この入出力インタフェース150に接続される出力装置300の一例である。無論、入力装置200及び出力装置300は、それぞれ必要な入力の受け付け及び必要な情報の出力が可能なものであればよく、この例に限られない。例えば、入力装置200と出力装置300とをタッチパネルで構成してもよい。
補助記憶装置140には、コンピュータ100を脳波信号処理装置1として動作させるための各種プログラムが格納されている。具体的には、脳波信号取得プログラム、第1瞬時位相特定プログラム、第2瞬時位相特定プログラム、位相同期指数算出プログラム、及び映像信号生成プログラムが格納されている。これらのプログラムは、MATLAB(登録商標)などの数値計算ライブラリに含まれるモジュールであってもよい。
演算装置120は、補助記憶装置140に格納された上記各プログラムを主記憶装置130上に展開し、主記憶装置130上に展開された上記各プログラムに含まれる命令を実行することによって、コンピュータ100を、脳波信号取得部11、第1瞬時位相特定部12A、第2瞬時位相特定部12B、位相同期指数算出部13、及び映像信号生成部14として機能させる。主記憶装置130は、脳波信号X1、X2の値を保持するバッファ、及び、瞬時位相φ1(f,t),φ2(f,t)を保持するバッファとしても機能する。
なお、ここでは、内部記録媒体である補助記憶装置140に記録されている上記各プログラムを用いてコンピュータ100を脳波信号処理装置1として機能させる構成について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、外部記録媒体に記録されているプログラムを用いてコンピュータ100を脳波信号処理装置1として機能させる構成を採用してもよい。外部記録媒体としては、コンピュータ読み取り可能な「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などを用いることができる。
また、コンピュータ100を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記各プログラムを通信ネットワークを介してコンピュータ100に供給するようにしてもよい。この通信ネットワークは、プログラムを伝送可能であればよく、特に限定されない。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔脳波信号処理装置の用途〕
脳波信号処理装置1の用途の1つとして、脳卒中等の脳疾患患者に対するリハビリテーションが挙げられる。
脳卒中患者のPSIは、健常者のPSIよりも低くなる傾向がある。これは、脳卒中患者において脳内各部位の協働が円滑に行われないことの反映であると考えられる。なお、脳卒中患者においてPSIが低下する傾向は、脳卒中による損傷部位に依らず認められる。例えば、損傷部位が右脳の一部であったとしても、IHPSが低下することが知られている。
また、脳卒中患者に対するリハビリテーションに関して、リハビリテーションを開始する前に測定したPSIと、リハビリテーションの効果との間に相関が存在することが近年の研究により明らかになっている。すなわち、PSIが高い脳卒中患者に対するリハビリテーションは、PSIが低い脳卒中患者に対するリハビリテーションよりも効果的であるという傾向が明らかになっている。
この傾向は、脳卒中患者に対するリハビリテーションに、PSIを高くするためのトレーニングを盛り込むことによって、その効果を増進し得ることを示唆している。脳波信号処理装置1は、このようなトレーニングのためのトレーニング装置として利用することができる。もちろん、脳卒中以外の脳疾患患者に対するリハビリテーションに適用しても、同様の効果が得られることが期待される。
〔PSIと病態指標との相関〕
次に、LHPSと病態指標との相関について、図5に基づいて説明する。図5は、縦軸をLHPSとし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットし、PSIとFIMtの相関を示した図である。なお、FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度指標)とは、食事、更衣等のセルフケア、排泄、コミュニケーション等の所定の評価項目において自立度をスコア化したものであり、各スコアを合計した数値がFIMt(FIM total)である。FIMtが大きいほど自立度が高く、小さいほど自立度が低い(手厚い介助を要する)ということになる。また、同図のLHPSは、α帯(8〜13Hz)における脳波の計測結果に基づいて算出された値である。
図5に示すように、LHPSが大きいほど、FIMtが大きくなるという結果となった。つまり、LHPSが小さい(左脳内の同期の程度が低い)被験者ほど、FIMtが低い(自立度の低い)結果となった。また、相関の程度を示すp値は10-3のオーダーであり、LHPSとFIMtには高い正の相関があることが分かった。このため、LHPSを大きくするような脳の使い方を被験者に認識させることにより、FIMtの改善を促すことが可能と考えられる。
続いて、PSIとNIHSS(National Institute of Health (NIH) Stroke Scale)との相関について、図6に基づいて説明する。図6は、縦軸をLHPSとし、横軸をNIHSSとして実験結果をプロットし、PSIとNIHSSの相関を示した図である。なお、NIHSSとは、脳卒中重症度評価スケールの一つであり、所定の評価項目における被験者の状態をスコア化し、各スコアを合計したものである。NIHSSは、FIMtとは逆に、スコアが高いほど重症度が高いことを示す。
図6に示すように、LHPSが大きいほど、NIHSSが小さくなるという結果となった。つまり、LHPSが大きい(左脳内の同期の程度が高い)被験者ほど、NIHSSが低い(重症度が低い)結果となった。また、相関の程度を示すp値は10-3のオーダーであり、LHPSとNIHSSには高い負の相関があることが分かった。このため、LHPSを大きくするような脳の使い方を被験者に認識させることにより、NIHSSの改善を促すことが可能と考えられる。
〔機能回復と同期指標回復との関連〕
図7は、複数の脳梗塞患者について調べた、FIMtおよびLHPSの変化を示す図である。各患者につき、リハビリテーション前と後の2回の測定を行い、測定結果を縦軸LHPS、横軸FIMtの座標平面上にプロットしている。そして、リハビリテーション前のプロットから、リハビリテーション後のプロットに向かう矢印を記載することにより、リハビリテーション前後におけるFIMtおよびLHPSの変化を示している。
図示の例では、12人の患者のうち、10人がリハビリテーション後においてFIMtおよびLHPSの両方が増加している。これにより、LHPSの数値が大きくなれば機能も回復していること、すなわち機能回復と同期指標とが相関していることが分かる。
〔各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性〕
前節および前々節では、各種病態指標がLHPSと有意な相関を示すことを説明したが、各種病態指標と有意な相関を示す同期指標は、LHPSに限らない。すなわち、各種病態指標は、IHPS、RHPS、CPS、GPSとも有意な相関を示す。
以下、各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性について、図8〜図12に基づいて説明する。
図8は、ある母集団(脳梗塞患者集団)における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を一覧で示した図である。有意な相関(p≦0.05)を示す値には下線を施し、相関傾向があること(p≦0.09)を示す値は太字で示している。
なお、同期指標は、α帯(8〜13Hz)における脳波の計測結果に基づいて算出された値である。また、FIMmは、上述のFIMの運動項目であり、FIMcは認知項目である。また、FMA(Fugl-Meyer Assessment)は、身体機能の評価法の1つであり、FMAulは上肢の運動機能の評価法の1つであり、FMAllは下肢の運動機能の評価法の1つである。
図8からは、α帯におけるLHPS、GPS、CPSが過半の病態指標と有意に相関していることが確かめられる。このことから、α帯におけるLHPS、GPS、CPSの何れかを脳梗塞患者にフィードバックすることによって、病状の改善を図り得る可能性が示唆される。
図9〜図12は、上記の母集団とは異なる母集団(脳梗塞患者集団)における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を一覧で示した図である。
特に、図9は、母集団を限定せずに、α帯(8〜13Hz)における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を算出した結果を示す。また、図10(a)は、母集団を左半球病変患者に限定して、α帯における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を算出した結果を示し、図10(b)は、母集団を右半球病変患者に限定して、α帯における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を算出した結果を示す。ここでも、有意な相関(p≦0.05)を示す値には下線を施している。
図9からは、α帯におけるRHPSが過半の病態指標と有意に相関していることが確かめられる。このことから、α帯におけるRHPSを脳梗塞患者にフィードバックすることによって、病状の改善を図り得る可能性が示唆される。また、図10(b)からは、右半球病変患者に関して、α帯におけるIHPS、LHPS、RHPS、GPS、CPSが過半の病態指標と有意に相関していることが確かめられる。このことから、右半球病変患者については、α帯におけるIHPS、LHPS、RHPS、CPS、GPSの何れかをフィードバックすることによって、病状の改善を図り得る可能性が示唆される。
また、図11は、母集団を限定せずに、β1帯(13〜18Hz)における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を算出した結果を示す。また、図12(a)は、母集団を左半球病変患者に限定して、β1帯における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を算出した結果を示し、図12(b)は、母集団を右半球病変患者に限定して、β1帯における各種同期指標と各種病態指標との相関の統計的有意性を示すp値を算出した結果を示す。ここでも、有意な相関(p≦0.05)を示す値には下線を施している。
図11からは、β1帯におけるIHPSが過半の病態指標と有意に相関していることが確かめられる。このことから、β1帯におけるIHPSを脳梗塞患者にフィードバックすることによって、病状の改善を図り得る可能性が示唆される。また、図12(b)からは、右半球病変患者に関して、β1帯におけるIHPS、CPSの何れもが過半の病態指標と有意に相関していることが確かめられる。このことから、右半球病変患者については、β1帯におけるIHPS又はCPSをフィードバックすることによって、病状の改善を図り得る可能性が示唆される。
これらのことから、以下の結論が導かれる。すなわち、従来、IHPSのみが各種病態指標と有意な相関を示すと考えられていたが、対象とする患者を限定すれば、あるいは、対象とする周波数を限定すれば、LHPS、RHPS、CPS、GPSも各種病態指標と有意な相関を示す。すなわち、LHPS、RHPS、CPS、又はGPSを被験者にフィードバックすることによっても、その病状の改善を図り得る可能性がある。
なお、脳梗塞患者の各種病態指標は、各種同期指標のみならず、病変体積(Lesion Volume:LV)とも相関する可能性がある。そこで、偏相関解析によって以下の偏相関の統計的有意性を示すp値を求めた。なお、病変体積としては、脳梗塞患者のMRI構造画像から算出した値を用いた。
(1)病変体積(LV)の影響を排除した各種同期指標(LHPS,IHPS,RHPS)と各種病態指標(FIMm,FIMc)との偏相関、
(2)各種同期指標(LHPS,IHPS,RHPS)の影響を排除した各種病態指標(FIMm,FIMc)と病変体積(LV)との偏相関、
(3)各種病態指標(FIMm,FIMc)の影響を排除した病変体積(LV)と各種同期指標(LHPS,IHPS,RHPS)との偏相関。
図13の(a)〜(c)は、右半球病変患者に関して、上記3つの偏相関の統計的有意性を表すp値を一覧で示した図である。(a)は、同期指標RHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの三者に関して、(1)RHPSとFIMmとの偏相関、(2)FIMmとLVとの偏相関、(3)LVとRHPSとの偏相関のp値を示す。(b)は、同期指標IHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの三者に関して、(1)IHPSとFIMmとの偏相関、(2)FIMmとLVとの偏相関、(3)LVとIHPSとの偏相関のp値を示す。(c)は、同期指標LHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの三者に関して、(1)LHPSとFIMmとの偏相関、(2)FIMmとLVとの偏相関、(3)LVとLHPSとの偏相関のp値を示す。
また図13の(d)は、同期指標RHPS、IHPS、及びLHPS、病態指標FIMm、並びに病変体積LVの関係を表す模式図である。
図13の(a)によれば、同期指標RHPSは、病態指標FIMmとの間に有意な偏相関(p≦0.05)を示すのに対して、病変体積LVは、病態指標FIMmとの間に有意な偏相関を示さないことが分かる。すなわち、右半球病変患者の病態と強く関係するのは、病変体積LVではなく、右半球内のネットワーク健全度を示す同期指標RHPSであることが分かる。このことから、α波帯(8Hz〜13Hz)におけるRHPSを脳梗塞患者にフィードバックすることによって、その病状の改善を図り得る可能性が示唆される。
なお、図13の(b)及び(c)によれば、病態指標FIMmと同期指標LHPS,IHPSとの間にも有意な偏相関(p≦0.05)が存在することが分かる。したがって、同期指標LHPS,IHPSも、同期指標RHPSと同様、病変体積LVよりも右半球病変患者の病態を良く説明する指標であることが分かる。
図14の(a)〜(b)は、左半球病変患者に関して、上記3つの偏相関の統計的有意性を表すp値を一覧で示した図である。(a)は、同期指標LHPS、病態指標FIMm、及び病変体積LVの三者に関して、(1)LHPSとFIMmとの偏相関、(2)FIMmとLVとの偏相関、(3)LVとLHPSとの偏相関のp値を示す。(b)は、同期指標LHPS、病態指標FIMc、及び病変体積LVの三者に関して、(1)LHPSとFIMcとの偏相関、(2)FIMcとLVとの偏相関、(3)LVとLHPSとの偏相関のp値を示す。
また図14の(c)は、同期指標LHPS、病態指標FIMm、及びFIMc、並びに病変体積LVの関係を表す模式図である。
図14によれば、同期指標LHPSは、病態指標FIMm及び病態指標FIMcの両方との間に有意な偏相関(p≦0.05)を示すのに対して、病変体積LVは、病態指標FIMcとの間には有意な偏相関を示すものの、病態指標FIMmとの間には有意な偏相関を示さないことが分かる。すなわち、左半球病変患者の病態と強く関係するのは、病変体積LVではなく、左半球内のネットワーク健全度を示す同期指標LHPSであることが分かる。このことから、β帯(13〜21Hz)の同期指標LHPSを左半球病変患者にフィードバックすることによって、その病状の改善を図り得る可能性が示唆される。
〔処理の流れ〕
続いて、図1に示す脳波信号処理装置1の実行する処理の流れを図15に基づいて説明する。図15は、脳波信号処理装置1の実行する脳波信号処理方法の一例を示すフローチャートである。
まず、脳波信号取得部11は、被験者の脳波信号を取得する(S1)。ここでは、2カ所(第1位置及び第2位置)で計測された2つの脳波信号(X1、X2)を取得する。脳波信号取得部11は、取得した脳波信号のうちX1を第1瞬時位相特定部12Aに渡し、X2を第2瞬時位相特定部12Bに渡す。なお、図2の脳波信号処理装置1であれば、被験者の頭部の少なくとも3箇所で計測された脳波信号を取得し、各脳波信号をそれぞれ異なる瞬時位相特定部12−nに渡す。
次に、第1瞬時位相特定部12A及び第2瞬時位相特定部12Bは、脳波信号取得部11から渡された脳波信号からターゲット周波数fにおける瞬時位相を特定する(S2)。なお、ターゲット周波数fは、操作者等により予め指定されている。そして、第1瞬時位相特定部12A及び第2瞬時位相特定部12Bは、各々が特定した瞬時位相φ1(f,t)及びφ2(f,t)を位相同期指数算出部13に渡す。
次に、位相同期指数算出部13は、第1瞬時位相特定部12A及び第2瞬時位相特定部12Bから受け取った瞬時位相から位相同期指標を算出し(S3)、算出した位相同期指標を映像信号生成部14に渡す。
そして、映像信号生成部14は、受け取った位相同期指標に応じた映像信号を生成し(S4、信号生成ステップ)、生成した映像信号を脳波信号処理装置1に接続又は内蔵されたディスプレイに供給する。これにより、上記の映像信号に応じた映像がディスプレイに表示される(S5)。例えば、図3の(a)の画像を表示させる場合、基準となる位相同期指標の値に対して、表示するオブジェクト21の長辺の長さLを予め決めておけばよい。これにより、基準値に対する受け取った位相同期指標の比から、オブジェクト21の長さLを決定することができ、このような表示を行わせるための映像信号を生成することができる。
そして、上記S1〜S5の処理は、脳波信号処理を終了する(S6でYESと判定される)まで繰り返し行われる。この繰り返しによって、逐次取得された脳波信号から、位相同期指数が逐次算出され、位相同期指数に応じた映像信号が逐次生成され、ディスプレイに逐次供給されることになる。よって、ディスプレイに表示された映像を見た被験者がその映像を変化させようと意識した結果を、その映像の変化によって略リアルタイムに被験者に伝達することが可能になる。これにより、被験者は、LHPS、RHPS、CPS、又はGPSが高くなるような脳の使い方を認識することができ、効率よく同期の程度を向上させることが可能になる。
〔実施形態2〕
次に、本発明の他の実施形態を図16から図26に基づいて説明する。本実施形態では、上記実施形態におけるLHPSの代わりに、情報伝達の半球間の対称性の程度を示す対称性指標を用いる例を説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については同一の参照番号を付し、その説明を省略する。
〔脳波信号処理装置の構成〕
本実施形態の脳波信号処理装置2の構成について、図16を参照して説明する。図16は、本実施形態に係る脳波信号処理装置2の要部構成を示すブロック図である。脳波信号処理装置2は、脳波信号取得部11が取得する脳波の検出位置が右脳および左脳の両方に存在する点、対称性指標算出部(重要度指標算出手段及び対称性指標算出手段として機能する)21を備えている点、および位相同期指標の代わりに対称性指標に応じた映像信号を表示させる点で、図2に示した脳波信号処理装置1と相違している。
詳細は後述するが、対称性指標と病態指標とは相関している。このため、脳波信号処理装置2においても、上記実施形態の脳波信号処理装置1と同様に、ディスプレイに表示された映像を見た被験者がその映像を変化させようと意識した結果を、その映像の変化によって略リアルタイムに被験者に伝達することができる。そして、これにより、被験者に対称性指標の値が高くなるような脳の使い方を認識させ、効率よく対称性指標の値を向上させることが可能になる。また、上述のように、対称性指標と病態指標は相関しているので、対称性指標を向上させることにより、病態の改善が期待できる。
脳波信号取得部11は、頭部右半球の少なくとも2箇所における脳波信号と、頭部左半球の少なくとも2箇所における脳波信号とを取得し、瞬時位相特定部(瞬時位相特定手段)12−1〜12−nは、取得された脳波信号のそれぞれについて瞬時位相を特定する。なお、情報伝達の半球間の対称性が正確に反映された対称性指標を算出するという観点から、取得する脳波信号は、正中面に対して対称な位置で検出された脳波信号とすることが好ましい。
そして、位相同期指数算出部13(位相同期指数算出手段)は、瞬時位相特定部12−1〜12−nが特定した瞬時位相を対にして位相同期指標を算出する処理を、可能な全ての瞬時位相の組み合わせについて行う。例えば、A1〜A4の4箇所の脳波信号を取得した場合、16通りの瞬時位相の組み合わせ(A1−A1のような同じ箇所同士の組み合わせについても1組とカウントし、A1−A2とA2−A1のような同じペアであるが組み合わせの順番が異なるものを個別の組とカウント)が可能であるから、これら組み合わせの全てについて位相同期指標を算出する。なお、同じ箇所同士の組み合わせでは、PSIは1となり、組み合わせの順番が異なっても、同じペアであればPSIの値は同じになる。このため、実質的には6通りの組み合わせ(A1−A2、A1−A3、A1−A4、A2−A3、A2−A4、A3−A4)についてPSIを算出すればよい。
対称性指標算出部21は、情報伝達の半球間の対称性、すなわち、右半球における情報伝達と左半球における情報伝達との対称性の程度を示す対称性指標を算出する。対称性指標算出部21は、位相同期指数算出部13の出力する位相同期指標から対称性指標を算出し、算出した対称性指標を映像信号生成部14に出力する。そして、映像信号生成部(信号生成手段)14は、その内容が対称性指標に連動して変化する映像を表す映像信号を生成し、図示しないディスプレイに供給して映像を表示させる。
〔対称性指標の算出方法〕
続いて、対称性指標の算出方法を具体例に基づいて説明する。上述のように、対称性指標は、位相同期指数算出部13が算出した位相同期指標、例えば、〔数1〕により定義されるPSIを用いて算出される。ここでは、Fp1、Fp2、C3、C4、Czの5カ所で計測した脳波信号からPSIを算出した例を説明する。
なお、Fp1、Fp2、C3、C4、Czは、図17に示すように、頭部における脳波信号の計測位置を示している。図示のように、Fp1とFp2、C3とC4は、正中面に対して対称な位置である。Fp1とFp2は前頭部付近であり、C3とC4は頭頂部付近であって、CzはC3とC4との中点(正中面上)である。
まず、位相同期指数算出部13が算出したPSIを成分とする行列Pを生成する。本例のように、脳波信号の計測位置が6か所の場合、行列Pは5行5列の行列になる。行列P’の(1,1)成分は、脳波信号Fp1と脳波信号Fp1との間のPSIであり、行列P’の(1,2)成分は、脳波信号Fp1と脳波信号Fp2との間のPSIである。行列P’の他の成分も同様に定義される。このように定義された行列P例示すれば、下記のようになる。
Figure 0006544142
次に、行列Pを、各列又は各行のPSI値の合計が何れも1になるように正規化することによって行列Qを得る。本実施形態においては、各列のPSI値の合計が何れも1になるように正規化することによって行列Qを得る。行列Pが上記の場合、行列Qは下記のようになる。
Figure 0006544142
続いて、この行列Qを固有値分解する。
Q=VDV-1
上記の数式において、行列Dは、対角成分に行列Qの固有値が並ぶ行列となり、行列Vは、各列に行列Qの固有ベクトルが並ぶ行列となる。
次に、固有値分解の結果を参照して、固有値1に対応する行列Qの固有ベクトルv、すなわち、Qv=1vとなるvを求める。実際の数値計算に即して言うと、最も1に近い固有値に対応する行列Qの固有ベクトルvを求める。例えば、行列Qの1列目の対角成分が最も1に近い場合、行列Vの1列目の列ベクトルが求める固有ベクトルvとなり、行列Qの2列目の対角成分が最も1に近い場合、行列Vの2列目の列ベクトルが求める固有ベクトルvとなる。
更に、固有ベクトルvを成分の和が1になるように規格化することによって、重要度ベクトルv’を得る。行列Qが上記の場合、重要度ベクトルv’は、下記のようになる。
Figure 0006544142
このようにして得られた重要度ベクトルの各成分は、対応する脳波信号の各検出箇所の、脳内の情報伝達における相対的な重要度を示す重要度指標として用いることができる。特に、このようにして得られた重要度ベクトルの各成分を重要度指標として用いる場合、重要度の高い(重要度指標の値が大きい)検出箇所とネットワークを組んでいる検出箇所に高い重要度(値が大きい重要度指標)を割り当てることができる。上記の重要度ベクトルにおいては、Czの重要度が最も高く(0.215)なっており、Fp2の重要度が最も低く(0.188)なっている。つまり、被験者の脳内における情報処理のネットワークにおいては、Czの脳領域がその他の脳領域と協働した処理が相対的に大きなウェイトを占めており、FP2の脳領域がその他の脳領域と協働した処理は相対的にウェイトが小さいことが数値として示されている。よって、上記のようにして得られた重要度ベクトルの各成分を重要度指標として用いることにより、被験者の右半球における情報伝達と左半球における情報伝達との対称性の程度を正確に示す対称性指標を算出し、これに連動する刺激を被験者に与えることが可能になる。
なお、固有ベクトルの算出方法は、固有値分解に限られず、他の演算方法で算出してもよいことは言うまでもない。
ここで、重要度の空間分布と病態指標との相関について図18から図21に基づいて説明する。図18は、健常者と、病態指標の異なる3名の患者(高FIMt、中FIMt、低FIMt)の重要度の空間分布を示した図である。なお、重要度の算出に用いるPSIは、何れも周波数fをα帯として算出した。
図示のように、健常者の重要度は、頭頂から前頭にかけて(図17のFz付近)を中心として、重要度の高い領域が広がっており、重要度の空間分布は、正中面に対して概ね左右対称となっている。高FIMtの患者についても、健常者と同様に重要度の空間分布は、正中面に対して概ね左右対称となっている。これに対し、中FIMtおよび低FIMtの患者の重要度の空間分布では、このような対称性が崩れている。
このような傾向を確認するため、被験者の数を増やし、各被験者の重要度を平均してその分布を調べた。この結果を図19に示す。健常被験者は4人、高FIMの被験者は13人、中FIMの被験者は17人、低FIMの被験者は10人である。図示のように、低FIMの被験者の重要度は、正中面に対して非対称であり、重要度の高い領域が右半球に偏っている。
このような傾向は、右半球に損傷のある被験者であっても、左半球に損傷のある被験者であっても共通して見られた。すなわち、図20に示すように、左半球に損傷のある被験者13名と、右半球に損傷のある被験者26名について、重要度を平均してその分布を調べると、何れも正中面に対して非対称であり、重要度の高い領域が右半球に偏るという結果となった。
さらに、図21に示すように、左半球に損傷のある被験者のうちFIMtが特に低かった4名(FIMtがそれぞれ38、42、63、64)と、右半球に損傷のある被験者のうちFIMtが特に低かった4名(FIMtがそれぞれ31、19、24、40)について、重要度を平均してその分布を調べた。こちらの結果においても、何れの被験者群の重要度の空間分布も、正中面に対して非対称であり、重要度の高い領域が右半球に偏るという結果となった。右半球に損傷のある被験者においても、右半球の重要度が高くなり、左半球の重要度が低くなることは、新たな知見である。
本実施形態で使用する対称性指標は、上述のような重要度分布の左右の半球間における対称性を数値で示した指標である。具体的には、正中面に対して対称な位置における重要度の差分(左右差)を対称性指標として算出する。正中面に対して対称な検出箇所間の重要度指標の差分は、右半球における情報伝達と左半球における情報伝達が完全に対称であればゼロになり、非対称である程度が大きくなるほど大きな値となるので、対称性の程度を示す対称性指標として利用可能である。また、正中面に対して対称な検出箇所間の重要度指標の差分を対称性指標として利用すれば、対称性指標の算出のための演算処理が極めて簡易になる。
〔対称性指標と病態指標との相関〕
次に、対称性指標と病態指標との相関について、図22から図24に基づいて説明する。図22は、正中面に対して対称な位置にある電極(Fp1−Fp2、F3−F4、C3−C4)をペアとし、各ペアの重要度(同図においては「インポータンス」と表記。以下同様。)の差(同図においては「左右差」と表記。以下同様。)を該ペアの和で割ったものを、全ペアについて平均した値(対称性指標)を縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットし、対称性指標とFIMの相関を示した図である。また、図23は、ペアF4−F3の重要度の差を該ペアの重要度の和で割った値(対称性指標)を縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットした図であり、図24は、ペアC4−C3の重要度の差を該ペアの重要度の和で割った値(対称性指標)を縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットした図である。
図22から図24の何れにおいても、対称性指標が小さいほど、FIMは大きくなるという結果となった。つまり、FIMが低い(機能的自立度の低い)被験者ほど、対称性指標が大きい(脳内の情報伝達に偏りがある)結果となった。また、相関の程度を示すp値も10-2のオーダーであり、対称性指標とFIMには相関があることが分かった。このため、上記実施形態の位相同期指数と同様に、対称性指標を小さくする(非対称性を小さくする)脳の使い方を被験者に認識させることにより、病態指標の改善を促すことが可能と考えられる。特に、図23に示すF4−F3間では、p値が極めて低い結果となっており、F4−F3間で求めた重要度の差が対称性指標として極めて好適であることが分かる。
なお、対称性指標の増減は、上記実施形態と同様に、図3に示したような映像を提示することによって、被験者に認識させることができる。ただし、位相同期指数は病態指数と正の相関があるが、対称性指標は病態指数と負の相関がある。このため、映像との連動のさせ方を逆にしてもよい。例えば、図3(a)のように、オブジェクト21の長さを変化させることによって被験者への提示を行う場合、対称性指標が低下したときに、低下の程度に応じてオブジェクト21の長さを長くしてもよい。この場合、被験者には、上記実施形態と同様に、オブジェクト21の長さが長くなるように意識させる。無論、表示する映像は、対称性指標の増減を被験者が認識できるようなものであればよく、例えば対称性指標が増加したときにオブジェクト21を長くしてもよい。この場合、被験者には、オブジェクト21の長さが短くなるように意識させる。また、視覚以外の感覚刺激によって対称性指標の増減を被験者に認識させてもよい。
なお、健常者の重要度の分布は、通常、左右対称である。したがって、被験者の重要度の空間分布と健常者の重要度の空間分布との類似性を対称性指標として用いてもよい。たとえば、図25は、健常者の重要度ベクトルと被験者の重要度ベクトルとの内積をノルムの積で割った量、すなわちcosθを縦軸とし、横軸をFIMtとして実験結果をプロットした図である。図示のように、cosθの値と、FIMtとの間には正の相関があり、cosθを相対性指標として用いることができることが確認された。なお、健常者の重要度ベクトルと被験者の重要度ベクトルとのなす角θがゼロに近付くほど、cosθの値は1に近付く。そして、重要度ベクトルのなす角θがゼロに近いということは、両半球の重要度の対称性が高いことを意味する。
また、右半球内電極の重要度の空間分布と左半球内電極の重要度の空間分布との類似性、例えば、右半球内電極のベクトルと左半球内電極の重要度ベクトルとの内積をノルムの積で割った量を対称性指標として用いてもよい。右半球内電極のベクトルと左半球内電極の重要度ベクトルとのなす角θがゼロに近付くほど、cosθの値は1に近付く。そして、重要度ベクトルのなす角θがゼロに近いということは、両半球の重要度の対称性が高いことを意味する。
なお、ここでは、2つの重要度ベクトルの類似性を、これら2つの重要度ベクトルの内積で評価する方法を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、2つの重要度ベクトルの類似性は、相関係数など他の量を用いて評価しても構わない。
〔処理の流れ〕
続いて、脳波信号処理装置2の実行する処理の流れを図26に基づいて説明する。図26は、脳波信号処理装置2の実行する脳波信号処理方法の一例を示すフローチャートである。
まず、脳波信号取得部11は、被験者の脳波信号を取得する(S11)。なお、取得する脳波信号には、各半球のそれぞれの複数個所で計測された脳波信号が含まれていればよいが、ここでは簡単のため各半球の各2カ所(F3、F4、C3、C4)で計測された4つの脳波信号(XR1、XR2、XL1、XL2)を取得する例を説明する。脳波信号取得部11は、取得した脳波信号のうちXR1を瞬時位相特定部12−1に渡し、以下同様に、脳波信号XR2、XL1、XL2を瞬時位相特定部12−2〜4に渡す。
次に、瞬時位相特定部12−1〜4は、脳波信号取得部11から渡された脳波信号からターゲット周波数fにおける瞬時位相を特定する(S12)。なお、ターゲット周波数fは、操作者等により予め指定されている。そして、瞬時位相特定部12−1〜4は、各々が特定した瞬時位相φR1(f,t)、φR2(f,t)、φL1(f,t)、及びφL2(f,t)を位相同期指数算出部13に渡す。
次に、位相同期指数算出部13は、瞬時位相特定部12−1〜4から受け取った瞬時位相から位相同期指標を算出する(S13)。具体的には、瞬時位相特定部12−1〜4から受け取った4つの瞬時位相から16通りの組み合わせを作り、各組み合わせについて位相同期指標を算出する。そして、位相同期指数算出部13は、算出した位相同期指標を4行4列の行列G’として対称性指標算出部21に渡す。なお、位相同期指標を行列G’とする処理は、対称性指標算出部21が行うようにしてもよい。
次に、対称性指標算出部21は、位相同期指数算出部13から受け取った位相同期指標から対称性指標を算出する(S14)。なお、図示していないが、対称性指標の算出は、位相同期指標から重要度を算出するステップ(重要度算出ステップ)と、算出された重要度から対称性指標を算出するステップ(対称性指標算出ステップ)を含む。つまり、対称性指標算出部21は、重要度指標算出手段および対称性指標算出手段としての機能を有する。無論、これらの手段を個別の機能ブロックとして構成してもよい。
重要度算出ステップでは、対称性指標算出部21は、位相同期指標(ここでは4行4列の行列G’)を正規化した行列Gを算出し、この行列Gを固有値分解して、行列Vを得る。そして、これを正規化して行列V’を得る。この行列V’の成分が固有ベクトル(重要度)である。
続いて、対称性指標算出ステップでは、対称性指標算出部21は、行列V’から対称性指標を算出する。なお、対称性指標は、図22に示したような、行列V’の成分である各電極間の重要度の差を両半球のそれぞれで平均した値であってもよい。また、図23、図24に示したような、正中面に対して対称な位置の2つの電極間の重要度の差分であってもよい。そして、対称性指標算出部21は、以上のようにして算出した対称性指標を映像信号生成部14に渡す。
この後、映像信号生成部14は、受け取った位相同期指標に応じた映像信号を生成し(S15、信号生成ステップ)、生成した映像信号を脳波信号処理装置1に接続又は内蔵されたディスプレイに供給する。これにより、上記の映像信号に基づいた映像がディスプレイに表示される(S16)。
そして、上記S11〜S16の処理は、脳波信号処理を終了する(S17でYESと判定される)まで繰り返し行われる。この繰り返しによって、ディスプレイに表示された映像を見た被験者がその映像を変化させようと意識した結果を、その映像の変化によって略リアルタイムに被験者に伝達することが可能になる。これにより、被験者は、同期の程度が高くなるような脳の使い方を認識することができ、効率よく同期の程度を向上させることが可能になる。また、上述のように、同期の程度と病態指標は相関しているので、同期の程度を向上させることにより、病態の改善が期待できる。
なお、上記実施形態では、被験者の頭部における重要度の空間分布から、右半球における情報伝達と左半球における情報伝達との対称性の程度を示す対称性指標を算出する例を示した。しかしながら、対称性指標は、右半球における情報伝達と左半球における情報伝達との対称性の程度を示すものであればよく、この例に限られない。
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明に係る脳波信号処理装置は、例えば、脳疾患患者に対するリハビリテーション効果を増進するためのトレーニング装置として好適に利用することができる。また、脳の高次機能を強化する目的全般に利用することができ、ゲーム機等として利用することも可能である。
1、2 脳波信号処理装置
12A、12B、12−n 瞬時位相特定部(瞬時位相特定手段)
13 位相同期指数算出部(位相同期指数算出手段)
14 映像信号生成部(信号生成手段)
21 対称性指標算出部(重要度指標算出手段、対称性指標算出手段)
100 コンピュータ
140 補助記憶装置(記録媒体)
X1、X2 脳波信号
Xn 脳波信号
PSI(f,t) 位相同期指数

Claims (14)

  1. 被験者の脳波を表す脳波信号を逐次取得して処理する脳波信号処理装置であって、
    上記被験者の頭部の第1位置における脳波信号と、該被験者の頭部の第2位置における脳波信号との位相同期の程度を示す位相同期指数を遂次算出する位相同期指数算出手段と、
    上記位相同期指数算出手段にて遂次算出された位相同期指数に応じた信号、又は、上記位相同期指数算出手段にて遂次算出された位相同期指数の時間平均に応じた信号を生成して刺激付与装置に逐次供給することによって、上記位相同期指数に連動して変化する刺激を上記被験者に与える信号生成手段と、を備え、
    上記第1位置及び上記第2位置は、(1)上記被験者の頭部左半球上の互いに異なる2つの位置、(2)上記被験者の頭部右半球上の互いに異なる2つの位置、又は、(3)上記被験者の頭部正中線上の位置、及び、当該位置と異なる上記被験者の頭部上の位置である、
    ことを特徴とする脳波信号処理装置。
  2. 上記脳波信号間の位相同期の程度が変化してから、その変化が上記刺激付与装置によって上記被験者に与えられる刺激に反映されるまでの遅延が15秒以下である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の脳波信号処理装置。
  3. 上記被験者の頭部の上記第1位置における脳波信号から瞬時位相を遂次特定すると共に、該被験者の頭部の上記第2位置における脳波信号から瞬時位相を遂次特定する瞬時位相特定手段を備え、
    上記位相同期指数算出手段は、上記瞬時位相特定手段が特定した瞬時位相から上記位相同期指数を算出し、
    上記瞬時位相特定手段が上記瞬時位相の特定に用いるウィンドウ幅をT、上記瞬時位相特定手段が瞬時位相の算出に要する各計算時間をτとして、
    時刻tにおける脳波信号の値のサンプリングが完了してから、時刻tにおける瞬時位相の特定が完了するまでの遅延が、T/2+τ又はT/2+2×τと同程度である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の脳波信号処理装置。
  4. 上記位相同期指数算出手段が位相同期指数の算出に用いるウィンドウ幅をT’、上記位相同期指数算出手段が位相同期指数の算出に要する計算時間をτ’として、
    時刻tにおける瞬時位相の特定を完了してから、時刻tにおける位相同期指数の算出が完了するまでの遅延が、T’/2+τ’と同程度である、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の脳波信号処理装置。
  5. 上記刺激付与装置は、ディスプレイであり、
    上記信号生成手段は、映像信号を生成して上記ディスプレイに逐次供給することにより、上記位相同期指数に連動して変化する視覚刺激を上記被験者に与える、
    ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置。
  6. 上記刺激付与装置は、スピーカであり、
    上記信号生成手段は、音声信号を生成して上記スピーカに供給することにより、上記位相同期指数に連動して変化する聴覚刺激を上記被験者に与える、
    ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置。
  7. 上記刺激付与装置は、電気刺激装置又は機械刺激装置であり、
    上記信号生成手段は、信号を生成して上記電気刺激装置又は上記機械刺激装置に供給することにより、上記位相同期指数に連動して変化する体性感覚刺激を上記被験者に与える

    ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置。
  8. 上記被験者は脳疾患患者であり、
    上記被験者の脳内における位相同期が生じ易くなるよう、当該被験者が自身の脳をトレーニングするためのトレーニング装置として機能する、
    ことを特徴とする請求項1から7までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置。
  9. 上記第1位置及び上記第2位置は、上記被験者の頭部右半球上の互いに異なる2つの位置である、ことを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置。
  10. 上記第1位置及び上記第2位置は、上記被験者の頭部左半球上の互いに異なる2つの位置である、ことを特徴とする請求項1から8までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置。
  11. 上記位相同期指数算出手段は、上記被験者の頭部における互いに異なる3箇所以上の位置で取得された脳波信号を少なくとも用いて、各脳波信号間の位相同期の程度に応じた位相同期指数を遂次算出する、
    ことを特徴とする請求項1から10までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置。
  12. 脳波信号処理装置が被験者の脳波を表す脳波信号を逐次取得して処理する脳波信号処理方法であって、
    上記脳波信号処理装置が、上記被験者の頭部の第1位置における脳波信号と、該被験者の頭部の第2位置における脳波信号との位相同期の程度を示す位相同期指数を遂次算出する位相同期指数算出ステップと、
    脳波信号処理装置が、上記位相同期指数算出ステップにて遂次算出された位相同期指数
    に応じた信号、又は、上記位相同期指数算出ステップにて遂次算出された位相同期指数の時間平均に応じた信号を生成して刺激付与装置に逐次供給することによって、上記位相同期指数に連動して変化する刺激を上記被験者に与える信号生成ステップと、を含み、
    上記第1位置及び上記第2位置は、(1)上記被験者の頭部左半球上の互いに異なる2つの位置、(2)上記被験者の頭部右半球上の互いに異なる2つの位置、又は、(3)上記被験者の頭部正中線上の位置、及び、当該位置と異なる上記被験者の頭部上の位置である、
    ことを特徴とする脳波信号処理方法。
  13. 請求項1から11までの何れか1項に記載の脳波信号処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、コンピュータを上記各手段として機能させるためのプログラム。
  14. 請求項13に記載のプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
JP2015166281A 2014-08-26 2015-08-25 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体 Active JP6544142B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015166281A JP6544142B2 (ja) 2014-08-26 2015-08-25 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014172074 2014-08-26
JP2014172074 2014-08-26
JP2015166281A JP6544142B2 (ja) 2014-08-26 2015-08-25 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018230799A Division JP6638946B2 (ja) 2014-08-26 2018-12-10 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016047239A JP2016047239A (ja) 2016-04-07
JP6544142B2 true JP6544142B2 (ja) 2019-07-17

Family

ID=55648500

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015166281A Active JP6544142B2 (ja) 2014-08-26 2015-08-25 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体
JP2018230799A Active JP6638946B2 (ja) 2014-08-26 2018-12-10 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018230799A Active JP6638946B2 (ja) 2014-08-26 2018-12-10 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6544142B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018066715A1 (ja) * 2016-10-07 2018-04-12 国立大学法人筑波大学 脳波検出装置およびプログラム
JP6339153B2 (ja) * 2016-10-26 2018-06-06 株式会社日本総合研究所 刺激付与装置及びプログラム
US11494640B2 (en) 2017-04-10 2022-11-08 Softbank Corp. Information processing apparatus, information processing method, and program
US11494388B2 (en) 2017-04-10 2022-11-08 Softbank Corp. Information processing apparatus, information processing method, and program
WO2018189792A1 (ja) 2017-04-10 2018-10-18 ソフトバンク株式会社 情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
JP7069716B2 (ja) 2017-12-28 2022-05-18 株式会社リコー 生体機能計測解析システム、生体機能計測解析プログラム及び生体機能計測解析方法
EP3826535A4 (en) * 2018-07-24 2022-04-20 40 Years, Inc. TECHNIQUES, SYSTEMS AND PROCEDURES FOR TRAINING MULTI-FREQUENCY NEUROFEEDBACK BRAIN WAVES
JP7246716B2 (ja) * 2019-06-06 2023-03-28 国立大学法人山口大学 脳機能状態計測装置及び脳機能状態を判別するためのプログラム
WO2022085491A1 (ja) * 2020-10-19 2022-04-28 株式会社Mtg 電気刺激トレーニング情報送信装置、電気刺激トレーニング情報受信装置、電気刺激トレーニング情報通信装置、電気刺激トレーニング情報通信方法、電気刺激トレーニング情報通信プログラム
CN116407766A (zh) 2021-12-31 2023-07-11 株式会社利率 定制型经颅交流电刺激装置及方法
WO2023238186A1 (ja) * 2022-06-06 2023-12-14 ソフトバンク株式会社 Nn成長装置、情報処理装置、ニューラル・ネットワーク情報の生産方法、およびプログラム
WO2024038788A1 (ja) * 2022-08-18 2024-02-22 ソニーグループ株式会社 情報処理装置、情報処理システム、および情報処理プログラム

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5280793A (en) * 1992-05-13 1994-01-25 Rosenfeld J Peter Method and system for treatment of depression with biofeedback using left-right brain wave asymmetry

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016047239A (ja) 2016-04-07
JP2019069172A (ja) 2019-05-09
JP6638946B2 (ja) 2020-02-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6544142B2 (ja) 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体
Shen et al. Visual network alterations in brain functional connectivity in chronic low back pain: A resting state functional connectivity and machine learning study
Raghavan et al. Compensatory motor control after stroke: an alternative joint strategy for object-dependent shaping of hand posture
Koelewijn et al. Motor-cortical beta oscillations are modulated by correctness of observed action
Hotz-Boendermaker et al. Preservation of motor programs in paraplegics as demonstrated by attempted and imagined foot movements
Hanakawa et al. Functional properties of brain areas associated with motor execution and imagery
Lehmann et al. Reduced functional connectivity between cortical sources in five meditation traditions detected with lagged coherence using EEG tomography
Sharma et al. Motor imagery: a backdoor to the motor system after stroke?
Gentile et al. Disintegration of multisensory signals from the real hand reduces default limb self-attribution: an fMRI study
JP6142354B2 (ja) 脳波信号処理装置、脳波信号処理方法、プログラム、及び記録媒体
EP2734107B1 (en) Method and system for estimating brain concussion
US9414029B2 (en) Video control apparatus and video control method
Jiang et al. Strengthened functional connectivity in the brain during muscle fatigue
Huang et al. Frowning and jaw clenching muscle activity reflects the perception of effort during incremental workload cycling
Gorrostieta et al. Investigating brain connectivity using mixed effects vector autoregressive models
Kiyama et al. Distant functional connectivity for bimanual finger coordination declines with aging: an fMRI and SEM exploration
Blakemore et al. Negative emotions facilitate isometric force through activation of prefrontal cortex and periaqueductal gray
Weisser et al. Short-term visual deprivation alters neural processing of tactile form
Snow et al. Preserved haptic shape processing after bilateral LOC lesions
Disselhorst-Klug et al. Introduction of a method for quantitative evaluation of spontaneous motor activity development with age in infants
Seiler et al. Inter-individual neural differences in movement imagery abilities
VerMaas et al. Children with cerebral palsy display altered neural oscillations within the visual MT/V5 cortices
Linortner et al. Aging associated changes in the motor control of ankle movements in the brain
Bardal et al. Micro movements of the upper limb in fibromyalgia: The relation to proprioceptive accuracy and visual feedback
Naito et al. Importance of precentral motor regions in human kinesthesia: a single case study

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20171116

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181009

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181210

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190521

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6544142

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250