JP6536944B2 - 自己免疫疾患の発症に関与する細胞を判定する方法及びその利用 - Google Patents
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Description
本発明者らは、独自の創意工夫に基づいて、自己免疫疾患を発症したマウスにおいてdedicator of cytokinesis protein 8(以下、DOCK8)を発現するCD4 T細胞(DOCK8陽性CD4 T細胞(DOCK8+ CD4 T細胞ともいう。))が増加することを見出し、さらに、このDOCK8陽性CD4 T細胞をナイーブなマウスへ養子移入することによって自己抗体が産生することを見出した。DOCK8陽性CD4 T細胞による自己抗体産生のプロファイルは、PD−1+CD45RBlo122loのCD4 T細胞亜集団による自己抗体産生のプロファイルと同様であった。さらに、本発明者らは、上記CD4 T細胞亜集団にDOCK8陽性CD4 T細胞が存在することを確認し、DOCK8陽性CD4 T細胞が、SLE発症の原因となる細胞(aiCD4 T細胞)であることを見出した。
〔2−1〕判定に用いるマーカー
被験体の末梢血またはリンパ組織に存在するT細胞において、DOCK8陽性CD4 T細胞が存在するか否かを判定することによって、被験体が、自己免疫疾患の発症の原因となる細胞を有しているか否かを判定することができ、その結果、被験体が自己免疫疾患を発症しているか、または発症する可能性があるか否かを判定することができる。すなわち、本発明は、被験体が自己免疫疾患の発症の原因となる細胞を有しているか否かを判定する方法、および、被験体が自己免疫疾患を発症しているか、または発症する可能性があるか否かを判定する方法を提供する。
後述する実施例に示すように、DOCK8陽性CD4 T細胞を非ヒト哺乳動物へ移入することによって、非ヒト哺乳動物の末梢血またはリンパ組織にて自己抗体(抗dsDNA抗体、リウマチ因子(RF))を産生させることができる。これらの自己抗体の産生はSLE発症と密接に関連していることがすでによく知られている。これらのことから、DOCK8陽性CD4 T細胞を非ヒト哺乳動物へ移入することによって、自己免疫疾患モデルの非ヒト哺乳動物(以下、自己免疫疾患モデル動物ともいう。)を作製することができるといえる。すなわち、非ヒト脊椎動物へDOCK8陽性CD4 T細胞を移入する工程を包含する、自己免疫疾患モデルの非ヒト哺乳動物の作製方法もまた、本発明の範囲内である。
上述したように、上記自己免疫疾患モデル動物において、疾患を誘導する自己抗体の産生が亢進している。よって、上記自己免疫疾患モデル動物の自己抗体量を低減させる物質は、上記自己免疫疾患に対する処置(予防、改善または治療)に有用である。すなわち、上記自己免疫疾患モデル動物は、自己抗体量を低減させる物質をスクリーニングする用途、自己免疫疾患に対する処置(予防、改善または治療)に有用な物質をスクリーニングする用途に利用可能である。
上述したように、本発明は以下の態様を採り得る:
[1]被験体の末梢血またはリンパ組織にDOCK8陽性CD4 T細胞が存在するか否かを判定する工程を包含する、自己免疫疾患の発症の原因となる細胞を被験体が有しているか否かを判定する方法。
[2]被験体の末梢血またはリンパ組織にDOCK8陽性CD4 T細胞が存在するか否かを判定する工程を包含する、被験体が自己免疫疾患を発症しているか、または発症する可能性があるか否かを判定する方法。
[3]上記自己免疫疾患が全身性エリテマトーデス(SLE)である、1または2の方法。
[4]自己抗体の産生量を測定する工程をさらに包含する、1〜3の方法。
[5]健常者と比較して上記自己抗体の産生が亢進しているか否かを確認する工程をさらに包含する、4の方法。
[6]上記自己抗体が抗dsDNA抗体および/またはリウマチ因子(RF)である、4または5の方法。
[7]抗DOCK8抗体を含む、自己免疫疾患を誘導するCD4 T細胞が被験体の末梢血またはリンパ組織に存在するか否かを判定するための組成物。
[8]抗DOCK8抗体を含む、被験体が自己免疫疾患の発症の原因となる細胞を有しているか否かを判定するための組成物。
[9]抗DOCK8抗体を含む、被験体が自己免疫疾患を発症しているか、または発症する可能性があるか否かを判定するための組成物。
[10]上記自己免疫疾患が全身性エリテマトーデス(SLE)である、7〜9の組成物。
[11]DOCK8陽性CD4 T細胞を含む、非ヒト哺乳動物において自己抗体を産生させるための組成物。
[12]DOCK8陽性CD4 T細胞を含む、非ヒト哺乳動物において自己免疫疾患を誘導するための組成物。
[13]DOCK8陽性CD4 T細胞を含む、自己免疫疾患モデルの非ヒト哺乳動物を作製するための組成物。
[14]上記自己免疫疾患が全身性エリテマトーデス(SLE)である、11〜13の組成物。
[15]DOCK8陽性CD4 T細胞を非ヒト哺乳動物へ移入する工程を包含する、自己免疫疾患モデルの非ヒト哺乳動物を作製する方法。
[16]自己抗体の産生量を測定する工程をさらに包含する、15の方法。
[17]DOCK8陽性CD4 T細胞を移入する前後において上記自己抗体の産生が亢進しているか否かを確認する工程をさらに包含する、16の方法。
[18]上記自己抗体が抗dsDNA抗体および/またはリウマチ因子(RF)である、16または17の方法。
[19]15〜18の方法によって作製した自己免疫疾患モデルの非ヒト哺乳動物を用いる、自己抗体量を低減させる物質をスクリーニングする方法。
[20]15〜18の方法によって作製した自己免疫疾患モデルの非ヒト哺乳動物を用いる、自己免疫疾患に対する処置に有用な物質をスクリーニングする方法。
[21]被験物質を投与した後の上記非ヒト哺乳動物における第1の自己抗体量を測定する工程、被験物質を投与する前の上記非ヒト哺乳動物における第2の自己抗体量を測定する工程、および第1の自己抗体量と第2の自己抗体量とを比較する工程を包含し、比較した結果を指標として、用いられた被験物質を目的の医薬として選択する工程をさらに包含する、19または20の方法。
[22]被験物質を投与した後の上記非ヒト哺乳動物における第1の自己抗体量を測定する工程、被験物質を投与していない上記非ヒト哺乳動物における第3の自己抗体量を測定する工程、および第1の自己抗体量と第3の自己抗体量とを比較する工程を包含し、比較した結果を指標として、用いられた被験物質を目的の医薬として選択する工程をさらに包含する、19または20の方法。
[23]上記自己免疫疾患モデルが、全身性エリテマトーデス(SLE)のモデルである、19〜22の方法。
〔1.DOCK8+ CD4 T細胞〕
8週齢のBALB/cマウス(Charles River Japan Inc.)に0.5mgの卵白アルブミン(OVA; grade V; Sigma)を5日毎に繰り返して腹腔内投与した。投与には、PBSに溶かしたOVA溶液(2mg/mL)を250μL用いた。OVAを12回投与した後のマウスから脾細胞を単離し、抗DOCK8抗体(ウサギ由来、proteintech)、PE標識抗ウサギIgG抗体(BioLegend)、allophycocyanin (APC)標識抗CD4抗体(BioLegend)と反応させ、フローサイトメーターFACS Calibur(BD bioscienses)を用いて、DOCK8陽性CD4 T細胞を検出した。
8週齢のBALB/cマウス(Charles River Japan Inc., Yokohama, Japan)に0.5mgの卵白アルブミン(OVA;grade V; Sigma)を5日毎に繰り返して腹腔内投与した。OVA12回投与後のマウスの脾細胞から、磁気ビーズを含むCD4 T cell isolation kit(Miltenyi Biotec)とセルソーターautoMACS(Miltenyi Biotec)を用いて、ネガティブセレクションによって脾細胞からCD4 T細胞を単離した。そして、CD4 T細胞を、抗DOCK8抗体(ウサギ由来、proteintech)およびphycoerythrin(PE)標識抗ウサギIgG抗体(BioLegend)と反応させ、続いて磁気ビーズ 抗PE microbeads(Miltenyi Biotec)と反応させた。その後、セルソーターautoMACS(Miltenyi Biotec)を用いて、ポジティブセレクションによってDOCK8+ 細胞を単離することにより、DOCK8−CD4 T細胞とDOCK8+ CD4 T細胞を得た。これらの細胞を、2.5×107個ずつ、ナイーブなBALB/cマウスに静脈注射によって養子移入した。ネガティブコントロールとして、PBSを12回腹腔内投与したBALB/cマウスの脾細胞から、磁気ビーズを用いてCD4 T細胞を単離し、2.5×107個の細胞をナイーブなBALB/cマウスに静脈注射によって養子移入した。
本発明者らはこれまでに、PD−1+CD45RBlo122loのCD4 T細胞亜集団をナイーブなマウスに養子移入すると、移入2週間後のレシピエントマウスの血清中に自己抗体(RFおよび抗dsDNA抗体)の増加が観察されることを見出している(非特許文献2参照)。そこで、PD−1+CD45RBlo122loのCD4 T細胞亜集団にDOCK8+ CD4 T細胞が存在するか否かを調べた。
Claims (4)
- 被験体の末梢血またはリンパ組織にDOCK8陽性CD4 T細胞が存在するか否かを判定する工程を包含する、全身性エリテマトーデス(SLE)の発症の原因となる細胞を被験体が有しているか否かを判定する方法。
- 抗DOCK8抗体を含む、全身性エリテマトーデス(SLE)を誘導するCD4 T細胞が被験体の末梢血またはリンパ組織に存在するか否かを判定するための組成物。
- DOCK8陽性CD4 T細胞を非ヒト哺乳動物へ移入する工程を包含する、全身性エリテマトーデス(SLE)モデルの非ヒト哺乳動物を作製する方法。
- 請求項3に記載の方法によって作製した全身性エリテマトーデス(SLE)モデルの非ヒト哺乳動物を用いる、自己抗体量を低減させる物質をスクリーニングする方法。
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