JP6533665B2 - 電子顕微鏡および収差測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子顕微鏡および収差測定方法に関する。
走査透過電子顕微鏡(scanning transmission electron microscope:STEM)は、収束させた電子線を試料上で走査し、この走査と同期させながら試料からの透過電子あるいは散乱電子による検出信号の強度をマッピングすることで走査透過電子顕微鏡像(STEM像)を得る電子顕微鏡である。走査透過電子顕微鏡は、原子レベルの極めて高い空間分解能が得られる電子顕微鏡として、近年、注目を集めている。
このような走査透過電子顕微鏡に搭載される電子検出器として、検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器が知られている。分割型検出器は、分割された複数の検出領域について独立した検出系を備え、各検出系は検出面上の特定の検出領域に入射した電子のみを検出する。走査透過電子顕微鏡では検出面と回折面を一致させて像を取得する。すなわち、これは試料から特定の立体角領域に透過・散乱した電子を検出することに対応する。したがって、分割型検出器を用いることにより、試料による電子散乱の立体角依存性を同時に取得し、定量的に評価することができるという利点がある(例えば特許文献1参照)。
また、特許文献2には、このような分割型検出器を搭載した走査透過電子顕微鏡における収差測定方法が開示されている。特許文献2に記載の収差測定方法では、分割型検出器を用いて相互に位置の異なる複数の検出面(検出領域)の各々から明視野像を取得し、これと同時に暗視野像を取得し、これらの同時に取得した観察像を用いて各収差係数の算出を行う。このような収差測定方法では、ずれの少ない暗視野像を位置基準として用いるので、収差係数の算出精度を向上させることができ、この結果に基づく収差補正によって高分解能化が達成できるという効果を奏する。
特開2011−243516号公報 特開2012−22971号公報
ここで、走査透過電子顕微鏡における収差測定の原理について説明する。図9は、走査透過電子顕微鏡による明視野像の取得において、試料S近傍から検出器120(検出面123)までの電子線EBの軌道の一例を模式的に示す図である。
試料Sは、対物レンズ113の前方焦点面113aから焦点距離だけ離れた位置に設置され、検出器120は試料Sからカメラ長だけ離れた位置に設置されている。図9では、電子線EBが対物レンズ113の前方焦点面113aを通過し、対物レンズ113の収束作用によって試料Sに向かって収束する様子を示している。
なお、収束角αは試料Sに対する電子線EBの入射角であり、方位角θは、試料S上での電子線EBの方位角である。収差が無い場合、各電子線はその収束角αおよび方位角θに関わりなく、点線で示すように試料Sの一点に集中する。これに対して、収差(幾何収
差)がある場合、電子線EBは試料Sへの収束角αが大きいほど、試料Sの手前で光軸2と交差し、その照射位置は、当該電子線の収束角αが大きいほど、想定する照射位置から遠ざかる。この収差が対物レンズ113の球面収差によるものであれば、良く知られているように、このずれは収束角αの3乗に比例する。
このような収差の影響下で、光軸2上を通過した電子線EB1が図10(A)に示す明視野像を形成した場合、試料Sに対して収束角α(α≠0)の電子線EB2が形成する明視野像は、図10(B)に示すように、図10(A)の明視野像に対する位置ずれを伴う。これは、収差による照射位置のずれにより、原子Aの像を形成するために(換言すれば、原子Aに照射するために)、電子線EB2をさらにシフトさせる必要があるためである。
つまり、収束角αの異なる電子線によって形成される複数の明視野像は、収差によって必然的に相互の位置ずれを伴うことになる。すなわち、試料Sについての一観察像を基準とし、これらの明視野像の位置ずれ量を位置ずれベクトルFα,θで表したとすると、その逆方向のベクトルは各明視野像に現れる収差を示す幾何収差ベクトルGα,θに対応する。
一方、対物レンズ113の前方焦点面(開口面とも称する)113aは、電子線EBの角度空間面である。すなわち、図9の上部で概念的に示すように、前方焦点面113a上の電子線の各位置を極座標で表すと、その動径成分および角度成分は、それぞれ、収束角α及び方位角θにより一義的に表すことができる。また、前方焦点面113aでの収差関数χは、これら収束角αおよび方位角θの関数である次の各波面収差の和で表される。原子レベルでの高分解能観察では軸上収差のみを扱うことを考慮すると、収差関数χ(α,θ)は、次のように表される。
χ(α,θ)=焦点ズレ(デフォーカス)+2回非点
+軸上コマ+3回非点
+球面収差+スター収差+4回非点
+4次のコマ+Threelobe収差+5回非点
+5次の球面収差+6回非点・・・
すなわち、収差関数χ(α,θ)は、次式(A)で表される。
幾何収差ベクトルGα,θの収束角方向および方位角方向における各成分Gα、Gθは、この収差関数χについて収束角αおよび方位角θのそれぞれで偏微分することで得られる。
つまり、収束角α及び方位角θの複数の組のそれぞれにおける明視野像を取得することで、その組の数だけ幾何収差ベクトルGα,θが得られ、これらに対して最小二乗法等の数学的処理を行うことで、各収差係数を算出することができる。
電子線の収束角α及び方位角θについては、例えば、電子線の検出面の位置を特定すればよい。例えば、収束角α及び方位角θを対応付けた検出位置の異なる複数の検出領域を有する多分割検出器を用いて、それぞれの検出領域に入射した電子線から明視野像をその検出面の位置情報(すなわち、当該検出領域に入射した電子線EBの角度情報(収束角α及び方位角θ))とともに複数同時に取得し、これらから各明視野像に対する幾何収差ベクトルGα,θを複数算出する。なお、各収差は収束角αと方位角θ(前方焦点面では動径成分と角度成分)を変数にもつ関数であるため、両変数に対して検出領域を少なくとも二分割する必要がある。
また、各収差係数の算出に必要な幾何収差ベクトルGα,θの数が多いほど(すなわち分割された検出領域の数が多いほど)、次数の低い収差について高い精度で算出できる。
図11は、分割型検出器を搭載した走査透過電子顕微鏡における収差測定方法の概要を説明するための図である。図11に示すように電子線EBは試料S上に収束されるが、照射系に収差がある場合には、収束角ごとに、試料Sへの入射位置がずれるため、一点に収束しない。
図12(A)は、検出領域D1で得られた明視野STEM像であり、図12(B)は、検出領域D2で得られた明視野STEM像であり、図12(C)は、検出領域D3で得られた明視野STEM像である。
複数の検出領域D1,D2,D3を有する分割型検出器で同時に明視野STEM像を撮影すると、検出される電子線EBの入射角は、検出領域D1,D2,D3ごとに異なる。そのため、図11に示すように、照射系の収差量に応じて電子線EBの試料Sへの入射位置がずれ、図12(A)〜図12(C)に示すように、明視野STEM像全体がシフトする。この像シフトから収差係数を計算することができる。
図13は、分割型検出器120の一例を模式的に示す平面図である。分割型検出器120において、図13に示すように、各検出領域D1〜D4の形状は、例えば、扇形に近い形状を有している。このような検出領域D1〜D4で収差を計測すると、検出領域D1〜D4の広がりが大きい(すなわち入射角の広がりが大きい)ために像がぼけてしまい、像の移動量を精度よく計算することが難しい。特に、扇形形状の検出領域では、角度方向(円周方向)の広がりが大きいため、角度方向の対称性の次数が高い収差が存在する場合に像のぼけが顕著になる。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、収差を精度よく測定することができる電子顕微鏡を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、収差を精度よく測定することができる収差測定方法を提供することにある。
(1)本発明に係る電子顕微鏡は、
試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
前記試料を透過した前記電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限する絞りと、
を含み、
前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられ
前記絞りは、収差測定用の絞りである
このような電子顕微鏡では、絞りによって分割型検出器の検出領域の電子が入射する領域を制限することにより、各検出領域で得られる走査透過電子顕微鏡像のぼけを低減させることができる。そのため、収差を精度よく測定することができる。さらに、このような電子顕微鏡では、絞りによって分割型検出器の検出領域の電子が入射する領域を制限することにより、分割型検出器において角度方向の分解能を向上させることができ、高次の収差まで測定することができる。
)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記絞り孔の大きさは、前記検出領域の大きさよりも小さくてもよい。
このような電子顕微鏡では、絞り孔によって、各検出領域の電子が入射する領域を決定することができる。
)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記検出面は、光軸を中心として、角度方向にN個(Nは正の整数)、動径方向にM層(Mは正の整数)に分割されて、N×M個の前記検出領域を有していてもよい。
)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記絞りは、前記光軸からm層目(m=1,2,・・・,M)に配置されたN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔を有し、
前記絞り孔は、360/N度おきに設けられていてもよい。
)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記光軸からm層目に配置されたN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置は、前記光軸からm−1層目に位置するN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置を、180/N度回転させた配置であってもよい。
このような電子顕微鏡では、例えば絞りを用いない場合と比べて、高次の収差まで測定することができる。
)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記光軸からm層目に配置されたN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置は、前記光軸からm−1層目に位置するN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置と同じであってもよい。
このような電子顕微鏡では、低次の収差を、精度よく測定することができる。
)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限して撮影された前記検出領域ごとの走査透過電子顕微鏡像に基づいて、収差を求める演算部を含んでいてもよい。
(8)本発明に係る電子顕微鏡は、
試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
前記試料を透過した前記電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限する絞りと、
を含み、
前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられ、
前記検出面は、光軸を中心として、角度方向にN個(Nは正の整数)、動径方向にM層(Mは正の整数)に分割されて、N×M個の前記検出領域を有している
(9)本発明に係る電子顕微鏡は、
試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
前記試料を透過した前記電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限する絞りと、
前記絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限して撮影された前記検出領域ごとの走査透過電子顕微鏡像に基づいて、収差を求める演算部と、
を含み、
前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられている。
10)本発明に係る収差測定方法は、
検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器を備えた電子顕微鏡における収差測定方法であって、
絞りを用いて前記検出領域の試料を透過した電子が入射する領域を制限し、前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
取得した走査透過電子顕微鏡像から収差を求める工程と、
を含み、
前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられている。
このような収差測定方法では、絞りによって分割型検出器の検出領域の電子が入射する領域を制限することにより、各検出領域で得られる走査透過電子顕微鏡像のぼけを低減させることができる。そのため、収差を精度よく測定することができる。さらに、このような収差測定方法では、絞りによって分割型検出器の検出領域の電子が入射する領域を制限することにより、分割型検出器において角度方向の分解能を向上させることができ、高次の収差まで測定することができる。
11)本発明に係る収差測定方法において、
前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程では、
第1絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限し、前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
前記第1絞りとは絞り孔の配置が異なる第2絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限し、前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
を含んでいてもよい。
このような測定方法では、第1絞りおよび第2絞りを用いることにより、例えば様々な収差を、容易に精度よく測定することができる。さらに、例えば、検出領域の数が少ない分割型検出器であっても、絞り孔の配置が異なる第1絞りおよび第2絞りを用いることにより、高次の収差まで測定することができる。
本実施形態に係る電子顕微鏡の構成を模式的に示す図。 本実施形態に係る電子顕微鏡の分割型検出器の構成を模式的に示す図。 本実施形態に係る電子顕微鏡の分割型検出器の検出面を模式的に示す図。 本実施形態に係る電子顕微鏡において収差測定用絞りを挿入した状態を模式的に示す図。 本実施形態に係る電子顕微鏡において収差測定用絞りを挿入した状態で分割型検出器の検出面を電子線の入射方向から見た模式図。 収差測定用絞りの絞り孔の配置の変形例を模式的に示す図。 収差測定用絞りの絞り孔の配置の変形例を模式的に示す図。 本実施形態に係る電子顕微鏡を用いた収差測定方法の一例を示すフローチャート。 走査透過電子顕微鏡による明視野像の取得において、試料近傍から検出器までの電子線の軌道の一例を模式的に示す図。 図10(A)は光軸上を通過した電子線が形成する明視野像を模式的に示す図であり、図10(B)は試料に対して収束角αの電子線が形成する明視野像を模式的に示す図である。 分割型検出器を搭載した走査透過電子顕微鏡における収差測定方法の概要を説明するための図。 図12(A)は検出領域D1で得られた明視野STEM像であり、図12(B)は検出領域D2で得られた明視野STEM像であり、図12(C)は検出領域D3で得られた明視野STEM像である。 分割型検出器を模式的に示す平面図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 電子顕微鏡
まず、本実施形態に係る電子顕微鏡100について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る電子顕微鏡100の構成を模式的に示す図である。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子線源10と、照射レンズ系11と、偏向器12と、対物レンズ13と、試料ステージ14と、中間レンズ15と、投影レンズ16と、分割型検出器20と、収差測定用絞り30と、収差補正器40と、電源50と、処理部60と、操作部70と、表示部72と、記憶部74と、を含む。
電子線源10は、電子線EBを発生させる。電子線源10としては、例えば熱電子放出型や、熱電界放出型、冷陰極電界放出型などの電子銃を用いることができる。
照射レンズ系11は、電子線源10で発生した電子線EBを収束させる。偏向器12は、電子線EBを偏向させる。電源50から供給される走査信号を偏向器12に供給することにより、収束した電子線EBで試料S上を走査することができる。これにより、電子顕微鏡100を、走査透過電子顕微鏡(STEM)として機能させることができる。
収差補正器40は、収差を低減させることができる。収差補正器40は、電子顕微鏡100の照射系に組み込まれている。収差補正器40は、四極子や六極子等の収差補正子を含んで構成されている。
対物レンズ13は、電子線EBを試料S上に収束させ、試料Sを透過した電子を結像する。
試料ステージ14は、試料Sを保持する。また、試料ステージ14は、試料Sを水平方向や鉛直方向に移動させたり試料Sを傾斜させたりすることができる。
中間レンズ15は、対物レンズ13の後方焦点面(回折面)を投影レンズ16の物面に結像する。投影レンズ16は、中間レンズ15の像面を分割型検出器20の検出面23上に結像する。電子顕微鏡100では、分割型検出器20の検出面23と回折面とを一致させて走査電子顕微鏡像(STEM像)を取得する。
分割型検出器20は、投影レンズ16の後方(電子線EBの下流側)に設けられている。分割型検出器20は、試料Sを透過した電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された検出器である。図2は、分割型検出器20の構成を模式的に示す図である。図3は
、分割型検出器20の検出面23を模式的に示す図である。
分割型検出器20は、図2および図3に示すように、電子線を光に変換する電子−光変換素子22と、電子−光変換素子22を複数の検出領域D1〜D16に分割するとともに各検出領域からの光を伝送する光伝送路24と、光伝送路24から伝送された検出領域D1〜D16ごとの光を電気信号に変換する複数の光検出器28と、を備えている。
電子−光変換素子22は、例えば、シンチレーターや蛍光板であり、入射した電子を後段の光検出器28で検出可能な強度を持つ光に変換する。
光伝送路24は、多数の光ファイバーが束ねられたバンドル光ファイバーであり、電子−光変換素子22側の端部は電子-光変換素子22全面からの光を受光するように一体に纏められ、その反対側の端部は受光した光をその受光位置に応じて各光検出器28に伝送するように分岐している。すなわち、光伝送路24は、電子−光変換素子22の発光面を検出面23とし、収束角αと方位角θを対応づけた相互に位置の異なる複数の検出領域D1〜D16となるように構成されている。
光伝送路24は、光の伝送経路を変更することで電子−光変換素子22の電子線入射面内で複数の検出領域D1〜D16を回転させる回転部26を有している。光伝送路24は、真空側に配置される光伝送路24aと、大気側に配置される光伝送路24bと、で構成され、光伝送路24aと光伝送路24bとは、回転部26によって相互に回転可能に接続されている。回転部26は、光伝送路24全体の中心軸を維持しつつ、当該中心軸周りで光伝送路24bを回転させることができる。この回転によって検出領域D1〜D16を回転させることができる。
駆動部27は、回転部26を動作させて、光伝送路24bを回転させることができる。
光検出器28は、例えば光電子増倍管(photomultiplier tube:PMT)と前置増幅器の複合装置であり、分岐した光伝送路24から出射した光を電気信号に変換し、増幅する。この信号は、各検出領域D1〜D16に入射した電子線の検出信号として、処理部60に入力される。
上述したように、各収差は収束角αと方位角θ(前方焦点面では動径成分と角度成分)を変数にもつ関数であるため、両変数に対して検出面を少なくとも二分割する必要がある。一方、各収差係数の算出に必要な幾何収差ベクトルGα,θの数が多いほど、次数の低い収差について高い精度で算出ができる。したがって、光伝送路24は、電子-光変換素子22の発光面を角度方向および動径方向において等間隔に分割する。図3に示す例では、方位角方向に4分割、収束角方向に4分割し、電子-光変換素子22の検出面23を検出領域D1〜D16として16分割している。この場合、光伝送路24の分岐数は16であり、光検出器28の数も16である。
なお、分割型検出器20の検出面23は、上記の例に限定されず、例えば、光軸2を中心として、角度方向にN個(Nは正の整数)、動径方向にM層(Mは正の整数)に分割されて、N×M個の検出領域D1〜D(N×M)を有することができる(図3に示す例ではN=4,M=4)。
収差測定用絞り30は、分割型検出器20の上方に配置されている。収差測定用絞り30は、光軸2への挿入、光軸2からの退避が可能に構成されている。電子顕微鏡100では、収差を測定するためのSTEM像の撮影を行う際には収差測定用絞り30を挿入し、試料Sの観察のためのSTEM像の撮影を行う際には収差測定用絞り30を退避させる。
図4は、電子顕微鏡100において収差測定用絞り30を挿入した状態を模式的に示す図である。
図4に示すように、収差測定用絞り30は、分割型検出器20(検出面23)の上方に配置され、収差測定用絞り30を通過した電子は分割型検出器20の検出面23に入射する。
図5は、収差測定用絞り30を挿入した状態で分割型検出器20の検出面23を電子線の入射方向から見た模式図である。
収差測定用絞り30は、複数の絞り孔32を有している。各絞り孔32は、検出領域D1〜D16に対応して設けられている。図5に示す例では、絞り孔32は、検出領域D1〜D16に1対1に対応して16個設けられている。絞り孔32の大きさ(開口の面積)は、対応する検出領域D1〜D16の大きさ(面積)よりも小さい。各検出領域D1〜D16には、対応する絞り孔32を通過した電子のみが検出される。すなわち、絞り孔32によって、各検出領域D1〜D16の電子が入射する領域を決定することができる。これにより、分割型検出器20において角度方向の分解能を向上させることができる。
なお、分割型検出器20では、絞り孔32の大きさが小さくなるに従って角度方向の分解能が向上するが、検出される信号量が減少してしまうためSN比が悪化してしまう。そのため、絞り孔32の大きさは、要求される分解能およびSN比に応じて適宜設定される。
ここで、収差測定用絞り30における絞り孔32の配置について説明する。
例えば、図5に示すように、収差測定用絞り30が、光軸2(検出面23の中心)からm層目(m=1,2,・・・,M)に配置されたN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32を有している場合、絞り孔32は、360/N度おきに設けられる。具体的には、図5において、1層目に配置された4個の検出領域D1〜D4に対応する4個の絞り孔32が90度(360/4度)おきに設けられている。他の層についても同様に、4個の検出領域D5〜D8,D9〜D12,D13〜D16に対応する4個の絞り孔32が90度おきに設けられている。
また、光軸2からm層目に配置されたN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置は、光軸2からm−1層目に位置するN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置を、180/N度回転させた配置である。具体的には、図5において、例えば、2層目に配置された4個の検出領域D5〜D8に対応する4個の絞り孔32の角度方向の配置は、光軸2から1層目に配置された4個の検出領域D1〜D4に対応する4個の絞り孔32の角度方向の配置を45度(180/4度)回転させた配置である。検出領域D1と検出領域D2との境界を0°とした場合、検出領域D5〜D8に対応する4個の絞り孔32は、それぞれ65°、155°、245°、335°に配置され、検出領域D1〜D4に対応する4個の絞り孔32は、それぞれ20°、110°、200°、290°に配置されている。4層目に対する3層目、3層目に対する2層目についても、絞り孔32の角度方向の配置は同様の関係を有している。
図6は、収差測定用絞り30の絞り孔32の配置の変形例を模式的に示す図であり、図5に対応している。
例えば、収差測定用絞り30が、光軸2からm層目に配置されたN個の検出領域に対応
するN個の絞り孔32を有している場合、図6に示すように、光軸2からm層目に配置されたN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置は、光軸2からm−1層目に位置するN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置と同じである。具体的には、図6において、例えば2層目に配置された4個の検出領域D5〜D8に対応する4個の絞り孔32の角度方向の配置は、光軸2から1層目に配置された4個の検出領域D1〜D4に対応する4個の絞り孔32の角度方向の配置と同じである。検出領域D1と検出領域D2との境界を0°とした場合、検出領域D5〜D8に対応する4個の絞り孔32は、それぞれ45°、135°、225°、315°に配置され、検出領域D1〜D4に対応する4個の絞り孔32も同様に、それぞれ45°、135°、225°、315°に配置されている。4層目に対する3層目、3層目に対する2層目についても、絞り孔32の角度方向の配置は同様の関係を有している。すなわち、本変形例では、各層(1〜4層)の絞り孔32の角度方向の配置は同じである。
図7は、収差測定用絞り30の絞り孔32の配置の変形例を模式的に示す図であり、図5に対応している。
図7に示す例では、収差測定用絞り30の絞り孔32の配置は、図5に示す絞り孔32の配置を、光軸2を中心として所定の角度(図示の例では45度)だけ回転させた配置である。
電子顕微鏡100では、例えば、上述した図5〜図7に示す収差測定用絞り30が交換可能に設けられている。これにより、後述するように、測定する収差の種類によって収差測定用絞り30の種類を変えて測定を行うことができる。例えば、電子顕微鏡100において収差測定用絞りが、図5〜図7に示す収差測定用絞り30が組み込まれた可動絞りであり、真空外から絞り孔32の配置を切り替え可能となっていてもよい。
また、電子顕微鏡100では、収差測定用絞り30は、光軸2を中心として回転可能に設けられていてもよい。具体的には、電子顕微鏡100は、図示はしないが、収差測定用絞り30を回転させる回転機構を有しており、当該回転機構によって収差測定用絞り30を所望の角度だけ回転させることにより、図5に示す絞り孔32の配置から、所望の配置(例えば図7に示す絞り孔32の配置)に変更可能となっていてもよい。
電源50は、図1に示すように、電子線源10や、光学系11,12,13,15,16,40、分割型検出器20の駆動部27(図2参照)に電圧又は電流を印加する。電源50は、制御部62からの制御信号に基づいて、電子線源10や、光学系11,12,13,15,16,40、駆動部27に電圧又は電流を印加する。
操作部70は、ユーザーによる操作に応じた操作信号を取得し、処理部60に送る処理を行う。操作部70は、例えば、ボタン、キー、タッチパネル型ディスプレイ、マイクなどである。操作部70は、例えば、ユーザーからの観察倍率や観察領域などの入力値を受け付ける。
表示部72は、処理部60によって生成された画像を表示するものであり、その機能は、LCD、CRTなどにより実現できる。表示部72は、例えば、画像処理部64で生成されたSTEM像を表示する。
記憶部74は、処理部60のワーク領域となるもので、その機能はRAMなどにより実現できる。記憶部74は、処理部60が各種の制御処理や計算処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。また、記憶部74は、処理部60の作業領域として用いられ、処理部60が各種プログラムに従って実行した算出結果等を一時的に記憶するために
も使用される。
処理部60は、記憶部74に記憶されているプログラムに従って、各種の制御処理や計算処理を行う。処理部60は、記憶部74に記憶されているプログラムを実行することで、以下に説明する、制御部62、画像処理部64、演算部66として機能する。処理部60の機能は、各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。なお、処理部60の少なくとも一部をハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
処理部60は、制御部62と、画像処理部64と、演算部66と、を含む。
制御部62は、電子線源10や、電子顕微鏡100を構成する光学系11,12,13,15,16,40、分割型検出器20の駆動部27に電圧又は電流を印加するための電源50の出力電圧または出力電流を制御するための処理を行う。
画像処理部64は、分割型検出器20の出力信号を用いてSTEM像を生成する処理を行う。画像処理部64は、例えば、分割型検出器20の各検出領域D1〜D16ごとに明視野STEM像を生成する処理を行う。生成された各検出領域D1〜D16ごとの明視野STEM像は、各検出領域D1〜D16に対応づけられた収束角αおよび方位角θの情報とともに記憶部74に記憶される。ここで、収差測定用絞り30が挿入された場合、収束角αおよび方位角θは、各検出領域D1〜D16に対応する絞り孔32の位置(対応する絞り孔32を通った電子が検出領域D1〜D16に入射する位置)に対応づけられた値となる。
演算部66は、各検出領域D1〜D16ごとに得られた明視野STEM像から、収差を算出する処理を行う。演算部66は、記憶部74から明視野STEM像を読み出し、相互相関等の数学的処理により各明視野STEM像の間の相対的な位置ずれを計算する。そして、演算部66は、収束角αおよび方位角θと、得られた明視野STEM像の間の位置ずれを表すベクトルとによる複数の組の中から所定数の組を選択し、最小二乗法等の数学的処理を用いて、幾何収差の各収差係数を算出する。
制御部62は、演算部66が算出した収差係数に基づいて、収差補正器40の収差補正子に供給する励磁電流等を制御する。これにより、収差を低減させることができる。
2. 収差測定方法
次に、本実施形態に係る電子顕微鏡100を用いた、収差測定方法について図面を参照しながら説明する。
まず、収差を測定する手法について説明する。
一般的な収差まで存在している場合の像の移動量は、例えば、次式(1)のように表すことができる。ただし、ωは試料Sに対する複素入射角を表す。
例えば、収差補正器40で収差が補正されている状態から視野を移動した場合などに変化する収差はcとaが主で、その他の収差は無視できると考えられる。このような場合、光軸2から等距離に90度おきに配置された1層の検出領域(例えば図5に示す検出領域D1〜D4)で得られた4枚の明視野STEM像により一次の収差係数cとaを測定することができる。
収差係数を決定するために必要な枚数以上の明視野STEM像がある場合には、最小二乗法等を用いて測定精度を向上させることができる。
一次の収差係数に加えて二次の収差係数(b,a)が残留していると考えられる場合には、二層の検出領域(例えば図5に示す1層目の検出領域D1〜D4と、2層目の検出領域D5〜D8)で得られた8枚の明視野STEM像により収差を測定することができる。
さらに高次の収差が残留している場合には、各層での検出領域の配置が重要になる。例えば、図6に示すように各層の絞り孔32の角度方向の配置が同じ収差測定用絞り30を用いて検出領域D1〜D16を制限すると、cとa、bとdの角度方向の依存性が同じになり分離ができない。そのため、図5に示すように各層の絞り孔32の角度方向の配置をずらした収差測定用絞り30を用いて検出領域D1〜D16を制限すると、1・3層目と、2・4層目の位相がずれ、これらの収差係数(c、a、b、d)が計算できるようになる。さらに、例えば、図5に示す状態から、図7に示すように収差測定用絞り30を45度回転させると、収差の線形結合係数の位相が180度まわるため、容易に収差を分離することができる。
図5に示す収差測定用絞り30を用いて検出領域D1〜D16を制限した状態では、3層の検出領域(例えば検出領域D1〜D4、D5〜D8、D9〜D12)で得られた12枚の明視野STEM像から三次の収差係数(c,s,a)を測定することができ、4層の検出領域D1〜D16で得られた16枚の明視野STEM像から上記式(1)に現れたすべての収差を分離することができる。
なお、収差補正器40を搭載していない電子顕微鏡においては、c以外の三次の収差が無視できるのであれば、図5に示す収差測定用絞り30を用いて検出領域D1〜D16を制限した状態で、二層の検出領域で得られた8枚の明視野STEM像から三次までの収差係数を決定することができる。
また、例えば、図5に示す収差測定用絞り30を用いて撮影を行った後に、図7に示す収差測定用絞り30を用いて撮影を行うことで、検出領域D1〜D16を45度回転させた場合と同じ明視野STEM像を得ることができる。このように、複数の収差測定用絞り30を切り替えることによって、検出領域D1〜D16を回転させなくても、検出領域D1〜D16を回転させたときと同じ明視野STEM像を得ることができる。したがって、高次の収差係数を容易に測定することができる。
複数の高次の収差が残っている状況では、照射系の絞り(図示せず)を大きくする、カメラ長を適切に制御するなどして、上述した収差係数の測定を行ない、収差補正器40により収差の補正を行う。高次の収差が補正された後に、最終的な観察条件に近い条件(絞りの大きさ、カメラ長)において、低次の収差を測定し、補正を行う。
図8は、本実施形態に係る電子顕微鏡を用いた収差測定方法の一例を示すフローチャートである。
まず、収差測定用絞り30を用いて検出領域D1〜D16において試料Sを透過した電子が入射する領域を制限し、検出領域D1〜D16ごとに明視野STEM像を取得する(ステップS10)。
本工程では、上述したように収差の種類により、収差測定用絞り30の種類(絞り孔32の配置)や、絞りの回転角度を変えて、複数回、明視野STEM像を撮影してもよい。また、電子顕微鏡100の結像系のレンズを用いてカメラ長、結像系の回転角を変えて、複数回、明視野STEM像を撮影してもよい。そして、各検出領域D1〜D16ごとに得られた明視野STEM像は、各検出領域D1〜D16(対応する絞り孔32の位置)に対応づけられた収束角αおよび方位角θの情報とともに記憶部74に記憶される。演算部66は、記憶部74に記憶された明視野STEM像を読み出して、各検出領域D1〜D16ごとの明視野STEM像を取得する。
次に、取得した明視野STEM像から収差を求める(ステップS11)。
演算部66は、上述した手法を用いて、明視野STEM像から収差係数を求める処理を行う。具体的には、演算部66は、まず、相互相関等の数学的処理により各明視野STEM像の間の相対的な位置ずれを計算する。演算部66では、ドリフトの影響を避けるために、撮影を複数回行った場合でも、同時に撮影された明視野STEM像の間での位置ずれのみを計算する。そして、演算部66は、各明視野STEM像の間の相対的な位置ずれから各収差係数を求める。
以上の工程により、収差を測定することができる。
なお、演算部66が収差係数を求めた後に、制御部62は、演算部66が算出した収差係数に基づいて、収差補正器40の収差補正子に供給する励磁電流等を制御する処理を行う。これにより、収差を低減させることができる。
電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
電子顕微鏡100では、収差測定用絞り30が分割型検出器20の検出領域D1〜D16の電子が入射する領域を制限することにより、各検出領域D1〜D16で得られる明視野STEM像のぼけを低減させることができる。そのため、演算部66において明視野STEM像間の位置ずれを精度よく求めることができ、収差を精度よく測定することができる。
さらに、電子顕微鏡100では、収差測定用絞り30が分割型検出器20の検出領域D1〜D16の電子が入射する領域を制限することにより、分割型検出器20において角度方向の分解能を向上させることができ、例えば、高次の収差係数まで測定することができる。
また、電子顕微鏡100では、収差測定用絞り30の絞り孔32の配置を光軸2からの距離に応じて異ならせることにより、分割型検出器20の角度方向の分割数を増やした場合と同様に、角度依存性の異なる収差項の分離が可能となる。
また、電子顕微鏡100では、絞り孔32の配置が異なる複数の収差測定用絞り30を備えることにより、測定する収差の種類に応じて収差測定用絞り30を用いることができる。これにより、様々な収差を、容易に精度よく測定することができる。さらに、例えば、検出領域の数が少ない分割型検出器(例えば2つの検出領域を備えた分割型検出器)であっても、絞り孔32の配置が異なる複数の収差測定用絞り30を用いることにより、高
次の収差まで測定することができる。
電子顕微鏡100では、収差測定用絞り30において、光軸2からm層目に配置されたN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置は、光軸2からm−1層目に位置するN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置を、180/N度回転させた配置である。これにより、収差測定用絞り30を用いない場合と比べて、高次の収差まで測定することができる。
電子顕微鏡100では、収差測定用絞り30において、光軸2からm層目に配置されたN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置は、光軸2からm−1層目に位置するN個の検出領域に対応するN個の絞り孔32の角度方向の配置と同じである。これにより、低次の収差を精度よく測定することができる。
本実施形態に係る収差測定方法では、収差測定用絞り30を用いて検出領域D1〜D16の試料Sを透過した電子が入射する領域を制限し、検出領域D1〜D16ごとに明視野STEM像を取得する工程(ステップS10)と、取得したSTEM像から収差を求める工程(ステップS11)と、を含む。これにより、上述したように、容易に精度よく収差測定することができる。
また、本実施形態に係る収差測定方法では、第1絞り(例えば図5に示す収差測定用絞り30)を用いて検出領域D1〜D16の電子が入射する領域を制限し、検出領域D1〜D16ごとに明視野STEM像を取得する工程と、第1絞りとは絞り孔の配置が異なる第2絞り(例えば図7に示す収差測定用絞り30)を用いて検出領域D1〜D16の電子が入射する領域を制限し、検出領域D1〜D16ごとに明視野STEM像を取得する工程と、を含む。このように第1絞りおよび第2絞りを用いることにより、例えば様々な収差を、容易に精度よく測定することができる。さらに、例えば、検出領域の数が少ない分割型検出器であっても、絞り孔の配置が異なる第1絞りおよび第2絞りを用いることにより、高次の収差まで測定することができる。
3. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器20として、図2に示すように、電子−光変換素子22と、光伝送路24と、光検出器28と、を含んで構成された装置を挙げて説明したが、分割型検出器の構成はこれに限定されない。例えば、本発明に係る電子顕微鏡の分割型検出器としてCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いてもよい。
例えば、CCDカメラの二次元的に配列された複数の画素からなる検出面を分割して複数の検出領域として上述した実施形態を適用し、収差を測定することができる。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子線源、11…照射レンズ系、12…偏向器、13…対物レンズ、14…試料ステージ、15…中間レンズ、16…投影レンズ、20…分割型検出器、22…光変換素子、23…検出面、24…光伝送路、24a…光伝送路、24b…光伝送路、26…回転部、27…駆動部、28…光検出器、30…収差測定用絞り、32…絞り孔、40…収差補正器、50…電源、60…処理部、62…制御部、64…画像処理部、66…演算部、70…操作部、72…表示部、74…記憶部、100…電子顕微鏡、113…対物レンズ、113a…前方焦点面、120…検出器、123…検出面

Claims (11)

  1. 試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
    前記試料を透過した前記電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
    前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限する絞りと、
    を含み、
    前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられ
    前記絞りは、収差測定用の絞りである、電子顕微鏡。
  2. 請求項1において、
    前記絞り孔の大きさは、前記検出領域の大きさよりも小さい、電子顕微鏡。
  3. 請求項1または2において、
    前記検出面は、光軸を中心として、角度方向にN個(Nは正の整数)、動径方向にM層(Mは正の整数)に分割されて、N×M個の前記検出領域を有している、電子顕微鏡。
  4. 請求項3において、
    前記絞りは、前記光軸からm層目(m=1,2,・・・,M)に配置されたN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔を有し、
    前記絞り孔は、360/N度おきに設けられている、電子顕微鏡。
  5. 請求項4において、
    前記光軸からm層目に配置されたN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置は、前記光軸からm−1層目に位置するN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置を、180/N度回転させた配置である、電子顕微鏡。
  6. 請求項4において、
    前記光軸からm層目に配置されたN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置は、前記光軸からm−1層目に位置するN個の前記検出領域に対応するN個の前記絞り孔の角度方向の配置と同じである、電子顕微鏡。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項において、
    前記絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限して撮影された前記検出領域ごとの走査透過電子顕微鏡像に基づいて、収差を求める演算部を含む、電子顕微鏡。
  8. 試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
    前記試料を透過した前記電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
    前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限する絞りと、
    を含み、
    前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられ
    前記検出面は、光軸を中心として、角度方向にN個(Nは正の整数)、動径方向にM層(Mは正の整数)に分割されて、N×M個の前記検出領域を有している、電子顕微鏡。
  9. 試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像を得るための電子顕微鏡であって、
    前記試料を透過した前記電子を検出する検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器と、
    前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限する絞りと、
    前記絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限して撮影された前記検出領域ごとの走査透過電子顕微鏡像に基づいて、収差を求める演算部と、
    を含み、
    前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられている、電子顕微鏡。
  10. 検出面が複数の検出領域に分割された分割型検出器を備えた電子顕微鏡における収差測定方法であって、
    絞りを用いて前記検出領域の試料を透過した電子が入射する領域を制限し、前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
    取得した走査透過電子顕微鏡像から収差を求める工程と、
    を含み、
    前記絞りの絞り孔は、複数の前記検出領域に対応して複数個設けられている、収差測定方法。
  11. 請求項10において、
    前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程では、
    第1絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限し、前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
    前記第1絞りとは絞り孔の配置が異なる第2絞りを用いて前記検出領域の前記電子が入射する領域を制限し、前記検出領域ごとに走査透過電子顕微鏡像を取得する工程と、
    を含む、収差測定方法。
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