JP6531207B1 - アンテナおよび無線通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】結合損失が低く伝送損失の低いアンテナおよび無線通信システムを提供することを目的とする。【解決手段】アンテナは、中心導体と、この中心導体を被覆した絶縁体と、この絶縁体の周囲に金属線を編み込んだ編組を外部導体とする漏洩伝送線路と、漏洩伝送線路の外部導体に電磁結合し、使用する周波数の自由空間波長λOに基づく間隔で配列される複数の金属部と、を備える。【選択図】図9

Description

本発明は、アンテナおよび無線通信システムに関する。
同軸ケーブルは、中心に中心導体があり、中心導体の周囲に絶縁体があり、絶縁体の周囲に外部導体があり、外部導体の外側がシースで覆われている。同軸ケーブルは、中心導体と外部導体との間に電磁エネルギーを閉じ込めて、例えば通信に使用される電気信号を伝送する目的で使用される。中心導体と外部導体の材料には、例えば銅やアルミニウムが使用される。絶縁体の材料には、例えばポリエチレンや発泡ポリエチレンが使用される。シースの材料には、例えばポリエチレンやPVC(塩化ビニル)が使用される。外部導体の構造は、例えば、パイプ状、または導体テープ添え、あるいは導体細線を編み込んだ編組である。なお、同軸ケーブル内部の電磁エネルギーが外部に漏洩した場合は、伝送損失の増加につながり長距離を中継用の増幅器無しで使用できなくなる。このため、編組は、一般的に電磁エネルギーの漏れが生じないように空隙を極力なくすように高い密度で編み込まれている。
この同軸ケーブルをアンテナとして使用する場合がある。例えば、同軸ケーブルの外部導体の編組の密度を低くすることで内部のエネルギーが漏れ出すので、そこに金属片を配置することで、漏れ出した電磁エネルギーによって金属片が励振されてアンテナとして利用できる(例えば、特許文献1参照)。
また、漏洩同軸ケーブル(以下、LCXとも言う)もアンテナとして使用される。LCXの構造は、同軸ケーブルと同じであるが、内部と外部の電磁波を送受信する周期的な孔部(スロット)が外部導体に設けられている。LCXは、このようなスロットによって同軸ケーブルに入力された信号を電磁波としてケーブルの外部に放射(送信)したり、外部からの電磁波を受信したりできる。このように、LCXは、伝送路とアンテナとの両方の機能を有した細長いアンテナとして利用することができる(例えば、特許文献2,3参照)。また、LCXにおいて、スロットから漏れた電磁波で外部導体を励振して、外部導体自身をアンテナとして利用することが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許第5478434号広報 特許第5190147号広報 特許第5162713号広報 特許第5631374号広報
岸本利彦、佐々木伸、"LCX通信"、社団法人電子通信会、コロナ社、昭和57年8月30日、p28
しかしながら、LCXにおいて、送受信感度をあげるために送受信感度の指標である結合損失を低くした場合、結合損失が50dB以下になると伝送損失が急激に増加して長距離の通信に使用できなくなることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
また、LCXを外部アンテナとして動作させる従来技術では、60dB程度の結合損失が限界であり、さらに低い結合損失を得ることが困難であった(例えば、特許文献4参照)。
さらに、金属片を同軸ケーブルに近接させ金属片をアンテナとして動作させる特許文献1の技術では、金属片近傍のみの通信を目的としている。このため、特許文献1に記載の技術では、金属片からの距離が1.5m程度になると結合損失が100dB程度となり、通信が困難になる。
以上のように、従来技術では、結合損失が低く伝送損失の低いアンテナを実現することが出来なかった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、結合損失が低く伝送損失の低いアンテナおよび無線通信システムを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るアンテナは、中心導体(102)と、この中心導体を被覆した絶縁体(103)と、この絶縁体の周囲に金属線を編み込んだ編組を外部導体(104、104E)とする漏洩伝送線路(低密度編組同軸ケーブル10、10A、10B、漏洩同軸ケーブル10E)と、前記漏洩伝送線路の外部導体に電磁結合し、使用する周波数の自由空間波長λに基づく間隔で配列される複数の金属部(金属片20、20A)と、を備える。
(2)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記漏洩伝送線路の前記外部導体は、金属線を編み込んだ編組である金属線編組の編組密度が96%より低いようにしてもよい。
(3)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部は、前記外部導体を被覆したシース(105)に接触または近接するようにしてもよい。
(4)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部は、前記外部導体に接触または近接するようにしてもよい。
(5)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部の長さは、使用する周波数の自由空間波長λの1/8〜6/8であるようにしてもよい。
(6)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部は、前記漏洩伝送線路の信号の流れる方向に対して片方向に配列し、
前記金属部の間隔Pmは、使用する周波数の自由空間波長λと前記漏洩伝送線路の周囲の等価比誘電率εreから導かれる前記漏洩伝送線路の周囲の等価的波長λ=λ/(√(εre))を用いて、Pm=λ/2であるようにしてもよい。
(7)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+Pm=nλ(ただしnは1以上の整数)の関係に構成するようにしてもよい。
(8)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+{[1/q]+2(q−1)}(λ/4)=nλ(ただしq、nは1以上の整数、[ ]はガウス記号)の関係に構成するようにしてもよい。
(9)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記漏洩伝送線路の信号の流れる方向に対して両方向に配列し、
前記金属部の間隔Pmは、使用する周波数の自由空間波長λと前記漏洩伝送線路の周囲の等価比誘電率εreから導かれる前記漏洩伝送線路の周囲の等価的波長λ=λ/(√(εre))を用いて、Pm=λ/4であるようにしてもよい。
(10)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+Pm=(2n+1)λ/2(ただしnは1以上の整数)の関係に構成するようにしてもよい。
(11)また、本発明の一態様に係るアンテナにおいて、前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+{[1/q]+2(q−1)}(λ/4)=(2n+1)(λ/2)(ただしq、nは1以上の整数、[ ]はガウス記号)の関係に構成するようにしてもよい。
(12)上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る無線通信システムは、上記(1)から(9)のいずれか1つに記載のアンテナと、前記アンテナの一端に接続される送受信器と、前記アンテナの他端に接続される終端器(803)と、前記アンテナが備える複数の金属部が配置される平面状誘電体板と、を備える。
本発明によれば、結合損失が低く伝送損失の低いアンテナおよび無線通信システムを提供することができる。
実施形態で用いる低密度編組同軸ケーブルの構造例を示す投影図である。 1つの金属片を低密度編組同軸ケーブルのシースに接触させてx軸方向に移動させたときの結合損失の測定系を示す図である。 1つの金属片の端部を低密度編組同軸ケーブルのシースに接触させてx軸方向に移動させたとき、入力信号の周波数が500MHzの際の結合損失を示す図である。 金属片を移動させたときのケーブル軸方向の結合損失を示す図である。 1つの金属片の端部を低密度編組同軸ケーブルのシースに接触させてx軸方向に移動させたとき、入力信号の周波数が300MHzの際の結合損失を示す図である。 1つの金属片の端部を低密度編組同軸ケーブルのシースに接触させてx軸方向に移動させたとき、入力信号の周波数が750MHzの際の結合損失を示す図である。 1つの金属片の端部を低密度編組同軸ケーブルのシースに接触させ金属片の長さを変化させた際の結合損失を示す図である。 各周波数に対する自由空間波長と、低密度編組同軸ケーブルのx軸に沿った結合損失の大小の周期と、シース周辺の波長と、シース周辺の等価比誘電率と、送受信効率の高い金属片の長さとの関係を示す図である。 第1実施形態に係る金属片の間隔がT500/2、T500および2T500におけるアンテナの構造例を示す図である。 第1実施形態に係るアンテナ1Aa、1Abおよび1Acの測定結果である。 第2実施形態に係る金属片の間隔がT500/2およびT500におけるアンテナの構造例を示す図である。 第2実施形態に係るアンテナ1Baおよび1Bbの測定結果である。 第3実施形態に係る金属片の位置をz軸方向に変化させたアンテナの構成例を示す図である。 第3実施形態に係るアンテナ1Ab、1Adおよび1Aeの測定結果である。 金属片をシースに接触させる端部からの位置を0mm(端部)、20mm、40mm、60mm、80mm、100mmおよび112.5mm(中央部)に変化させた場合の結合損失を測定した結果を示す図である。 外部導体の編組密度が21%、40%および61%の低密度編組同軸ケーブルの構成例を示す図である。 第4実施形態における金属片が片側に配列されたアンテナと金属片が両側に交互に配列されたアンテナの構成例を示す図である。 第4実施形態における外部導体の編組密度を変えたアンテナの結合損失を示す図である。 第4実施形態における外部導体の編組密度を変えたアンテナの結合損失を示す図である。 第5実施形態に係る金属片の端部をシースに接触させたアンテナの構造例と、金属片の端部を外部導体に接触させたアンテナの構造例を示す図である。 第5実施形態に係るアンテナ1Caとアンテナ1Cbそれぞれの結合損失を測定した結果を示す図である。 第6実施形態に係る無線通信システムの斜視図である。 第7実施形態に係る無線通信システムの斜視図である。 第8実施形態に係る無線通信システムの斜視図である。 第9実施形態に係る無線通信システムの斜視図である。 第10実施形態に係る無線通信システムの斜視図である。 第11実施形態に係る漏洩同軸ケーブルの構造例を示す投影図である。 第11実施形態に係る外部導体部分を拡大して示した図である。 第11実施形態に係る金属片の端部をシースに接触させたアンテナの構造例と、金属片の端部を外部導体に接触させたアンテナの構造例を示す図である。 金属片を用いない場合の漏洩同軸ケーブルによる周波数が300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzにおけるケーブル軸方向の結合損失を示す図である。 第11実施形態に係る金属片の端部をシースに接触させたアンテナ1Eaによる周波数が300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzにおけるケーブル軸方向の結合損失を示す図である。 第11実施形態に係る金属片の端部を外部導体104Eに接触させたアンテナ1Ebによる周波数が300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzにおけるケーブル軸方向の結合損失を示す図である。 金属片を片側に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態を説明するための図である。 金属片を片側に配列したときにアンテナとして動作しているときの発生する電界、電流、磁界を説明するための図である。 金属片を両側に交互に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
<実験>
実施形態では、図1に示すように、外部導体である金属線編組(以下、編組という)の密度を低くして、ケーブル内部の電磁波が編組の空隙部を通過してケーブル外部に漏れ出す構造の低密度編組同軸ケーブルを用いた。
図1は、実施形態で用いる低密度編組同軸ケーブル10の構造例を示す投影図である。図1(A)は低密度編組同軸ケーブル10の正面図であり、図1(B)は低密度編組同軸ケーブル10の側面図である。図1において、低密度編組同軸ケーブル10の長さ方向をx軸方向、短手方向をy軸方向、太さ方向をz軸方向とする。
図1に示すように、低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)は、中心導体102、絶縁体103、外部導体104、およびシース105を備える。
低密度編組同軸ケーブル10は、中心に中心導体102があり、中心導体102の周囲に絶縁体103があり、絶縁体103の周囲に低密度編組の外部導体104があり、外部導体104の外側がシース105で覆われている。
中心導体102は、外径が1.4mmの銅線である。絶縁体103は、外径が4.8mmのポリエチレンである。外部導体104は、外径が0.14mmの銅線でピッチを39mmで編んだ低密度編組構造であり、外径が7.3mmである。シース105は、厚みが1mmのPVC(塩化ビニル)である。
外部導体104は、銅線が全部で24本であり、3本を1組として8組で編み込んでいる。以下、このような構成を、3持ち8打ち編組と呼ぶ。
ここで、外部導体104の編組密度Kは、絶縁体103の表面積における編組の表面積として定義され、次式(1)で計算することができる。
式(1)において、Fは次式(2)である。
式(2)において、Aは外部導体104の銅線の持ち数であり、Bは外部導体104の打ち数であり、dは外部導体104の銅線の直径(mm)であり、πは円周率であり、Dは絶縁体103の外径(mm)であり、Lは外部導体104のピッチ(mm)である。上述した低密度編組同軸ケーブル10の編組密度Kは、21%である。
次に、3mの低密度編組同軸ケーブル10を電波吸収体の上に直線上に置き、低密度編組同軸ケーブル10の一端に信号発生器から一般の同軸ケーブルを介して500MHzの高周波信号を入力する。低密度編組同軸ケーブル10に高周波信号を入力されると、低密度編組同軸ケーブル10は外部に電磁波を放射する。このように低密度編組同軸ケーブル10に高周波信号を入力した場合、外部導体104がアンテナとして動作することが知られている。この場合は、外部導体104が共振状態となり、外部導体104上に電磁波の強弱、いわゆる定在波が現れると推測される。
この外部導体104上に現れる定在波を確認するために、図2に示すように金属片20(金属部)の端末を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させx軸方向に移動させ、低密度編組同軸ケーブル10の真上1.5mで半波長標準ダイポールアンテナ811をx軸方向に移動させて結合損失を測定した。ここで、金属片20は、材質が銅テープであり、形状が長方形であり、長さが260mmであり、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。また、低密度編組同軸ケーブル10に平行な偏波(H偏波)は弱かったため、低密度編組同軸ケーブル10に垂直な偏波(V偏波)について測定を行った。図2は、1つの金属片20を低密度編組同軸ケーブル10のシースに接触させてx軸方向に移動させたときの結合損失の測定系を示す図である。図2に示すように、低密度編組同軸ケーブル10は、一端が一般の同軸ケーブル801を介して信号発生器802が接続され、他端に終端器803が接続され終端されている。また、低密度編組同軸ケーブル10は、長さは3mであり、電波吸収体800の上に直線状に置かれている。また、低密度編組同軸ケーブル10と半波長標準ダイポールアンテナ811との間隔はrである。半波長標準ダイポールアンテナ811には、信号受信器812が接続されている。
なお、以下に説明する各実施形態では、金属部の例として形状が長方形の金属テープである金属片を例に説明するが、金属部はこれに限らない。金属部は、例えば棒状、板状、およびパイプ状等であってもよい。また、材質も銅に限られない。
図3は、1つの金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させてx軸方向に移動させたとき、入力信号の周波数が500MHzの際の結合損失を示す図である。図3において、横軸は低密度編組同軸ケーブル10の一端を0mmとし終端器803側を3mとして金属片20の位置(mm)であり、縦軸は結合損失(dB)である。
ここで、結合損失Lcは、低密度編組同軸ケーブル10への入力電圧Pin(W)と半波長標準ダイポールアンテナ811が出力する出力電圧Pout(W)を用いて、次式(3)により算出することができる。
入力信号の周波数が500MHzの結合損失が最小の位置同士の間隔は278mmであった。図3に示すように、結合損失が最小の位置は、例えば1622mm、1900mm等である。なお、間隔rは1.5m、金属片20の長さLmは260mmである。
ここで、金属片20の位置が1900mmのときのケーブル軸方向の結合損失を図4に示す。図4は、金属片20を移動させたときのケーブル軸方向の結合損失を示す図である。図4において、横軸はケーブル軸方向の位置(mm)であり、縦軸は結合損失(dB)である。図4に示すように、金属片20の位置が1900mmのときの結合損失は、約50dBである。
同様に、入力信号の周波数を300MHzにした場合の結合損失を測定した結果が図5である。また、入力信号の周波数を750MHzにした場合の結合損失を測定した結果が図6である。図5は、1つの金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させてx軸方向に移動させたとき、入力信号の周波数が300MHzの際の結合損失を示す図である。図6は、1つの金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させてx軸方向に移動させたとき、入力信号の周波数が750MHzの際の結合損失を示す図である。図5と図6において、横軸と縦軸は図3と同様である。
図5に示すように、入力信号の周波数が300MHzの結合損失が最小の位置同士の間隔は470mmであった。間隔rは1.5m、金属片20の長手方向の長さLmが260mmである。結合損失が最小の位置は、例えば1200mm等である。
また、図6に示すように、入力信号の周波数が750MHzの結合損失が最小の位置同士の間隔は190mmであった。間隔rは1.5m、金属片20の長手方向の長さLmが260mmである。結合損失が最小の位置は、例えば1800mm等である。
図3、図5および図6に示すように、金属片20をケーブルの軸方向に移動させたときの結合損失に強弱いわゆる定在波が現れ周期性があることが分かった。また、図3、図5および図6に示すように実験結果から、周期Tは周波数が高くなるほど短くなる。また、上述したように周波数が500MHzのときの周期T500は278mmであった。一般的に共振状態のケーブル上の定在波の周期は半波長である。周期T500が自由空間波長λの半波長より短い理由は、シース105の誘電率の影響によってわずかに短くなっていると考えられる。この場合の波長を等価的波長(シース周辺波長)λe500とすると、半波長はλe500/2であるので、λe500=2×T500=556mmである。また、周波数500MHzの自由空間波長λO500は、Vc/f=3×10/500×10=600mmである。なお、Vcは光速である。
従って、シース105周辺の等価比誘電率εre500は、次式(4)によって求めることができる。
式(4)を用いて周波数が500MHzのときのシース105周辺の等価比誘電率εre500を求めると、約1.16(=λ/2/278))である。
同様に、周波数が300MHzのとき、周期T300は470mmであり、波長λは1000mm(=3×10/300×10)である。また、式(4)より周波数が300MHzのときのシース105周辺の等価比誘電率εre300は約1.13(=λ/2/470))である。
また、周波数が750MHzのとき、周期T750は190mmであり、信号周波数750MHzの波長λは400mm(=3×10/750×10)である。また、式(4)より周波数が750MHzのときのシース105周辺の等価比誘電率εre750は約1.11(=λ/2/190))である。
次に、放射効率が最大となる、すなわち結合損失が最小となる金属片20の長さを調べるため測定を行った。低密度編組同軸ケーブル10への入力周波数は、300MHz、500MHzおよび750MHzとした。金属片20は、幅が10mm、厚さが0.3mm、長さを25mm〜500mmに変化させた。実験では、金属片20の端部を、低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させた。接触させた位置は、上述した実験結果から周波数が300MHzの場合が1200mm、周波数が500MHzの場合が1900mm、周波数が750MHzの場合が1800mmとした。
図7は、1つの金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させ金属片20の長さを変化させた際の結合損失を示す図である。図7において、横軸は金属片20の長さ(mm)であり、縦軸は結合損失(dB)である。符号g1は、周波数が300MHzのとき金属片20の長さを変化させた際の結合損失の変化である。符号g2は、周波数が500MHzのとき金属片20の長さを変化させた際の結合損失の変化である。符号g3は、周波数が750MHzのとき金属片20の長さを変化させた際の結合損失の変化である。
図7に示すように、各周波数ともに結合損失は、金属片20の長さによって変化する。周波数が300MHzの場合は、金属片20の長さが375mm付近の際の結合損失が最も小さく、長さが375mmのとき効率の高い放射が行われている。また、周波数が500MHzの場合は、金属片20の長さが225mm付近の際の結合損失が最も小さい。さらに、周波数が750MHzの場合は、金属片20の長さが150mm付近の際の結合損失が最も小さい。
これらの金属片20の長さを各周波数の自由空間波長λを用いて表すと、周波数300MHzのときはλが1000mmであるため、375mmは3λ/8である。周波数500MHzのときは自由空間波長λが600mmであるため、225mmは3λ/8である。周波数750MHzのときは自由空間波長λが400mmであるため、150mmは3λ/8である。
また、図7に示した実験結果より、金属片の長さに対する結合損失の変化は少ないことがわかり、各波長とも金属片20の長さがλ/8〜6λ/8の範囲であれば、金属片20の端末を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させたアンテナは、効率の良いアンテナとして動作する。
上述した各実験結果から得られた各周波数(300MHz、500MHz、750MHz)に対する関係を図8に示す。図8は、各周波数に対する自由空間波長λと、低密度編組同軸ケーブル10のx軸に沿った結合損失の大小の周期Tと、シース105周辺の波長と、シース105周辺の等価比誘電率(シース周辺誘電率)と、送受信効率の高い金属片20の長さとの関係を示す図である。
なお、図8において、シース105周辺の等価比誘電率は、小数点1桁までに四捨五入して示している。シース周辺波長λ(mm)は2Tである。また、送受信可能な金属片20の長さ(mm)は、アンテナとして使用可能な範囲であり、上述した実験結果からλ/8〜6λ/8の範囲とした。
上述した各実験結果から、複数の金属片20を一定の間隔Pmで低密度編組同軸ケーブル10のシース(図1)に接触させてz軸方向の片側に配列する場合、最も送受信効率が高い配列は、金属片20の長さが結合損失を低くできる長さであり、配列する間隔Pmと位置は結合損失が低くなる周期Tと結合損失が低くなる位置である。なお、間隔Pmとは、金属片20の幅方向(x軸方向、低密度編組同軸ケーブルの長手方向)中心線同士の間隔のことをいう。
<第1実施形態>
1つの金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)のシース105(図1)に接触させ金属片20の位置をx軸方向に変化させた場合、金属片20の長さを変化させた場合の実験結果を説明した。この実験結果に基づいて、本実施形態のアンテナは、複数の金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させた構造とする。なお、金属片20は、シース105に接触してなくてもよく、外部導体104に電磁結合していればよい。このため、金属片20は、外部導体104に電磁結合可能な低密度編組同軸ケーブル10の近傍に配列してもよい。このため、実施形態では、金属片20と低密度編組同軸ケーブル10のシース105とが接触または近接して配列されていればよい。
なお、実施形態では、漏洩伝送線路として、図1に示した同軸ケーブルの外部導体104の編組密度を低減させた低密度編組同軸ケーブル10を使用する。
図9は、本実施形態に係る金属片20の間隔PmがT500/2、T500および2T500におけるアンテナの構造例を示す図である。図9(A)は、金属片20の間隔Pmが139mm(=T500/2)のアンテナ1Aaの構成例を示す図である。図9(B)は、金属片20の間隔Pmが278mm(=周期T500)のアンテナ1Abの構成例を示す図である。図9(C)は、金属片20の間隔Pmが556mm(=2T500)のアンテナ1Acの構成例を示す図である。なお、アンテナ1Aa、1Abおよび1Acのうち1つを特定しない場合は、単にアンテナ1Aという。
図9(A)〜図9(C)において、座標系は図1と同じである。アンテナ1Aは、低密度編組同軸ケーブル10と複数の金属片20を備える。アンテナ1Aは、一端が測定時に同軸ケーブルを介して信号発生器802に接続され、他端が終端器803に接続される。また、アンテナ1Aへの入力信号の周波数は500MHzである。低密度編組同軸ケーブル10の構造は図1と同様である。金属片20の長さは、周波数が500MHzであるため図8に示した実験結果より225mmとした。なお、金属片20は、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。
図9(A)に示すように、アンテナ1Aaでは、金属片20の端部を、結合損失が小さかった1900mmの位置を基準に、強弱の山(結合損失が小さい位置)と谷(結合損失が大きい位置)毎に139mmの等間隔Pmでz軸方向の片側に配列しシース105(図1)に接触させた。
図9(B)に示すように、アンテナ1Abでは、金属片20の端部を、結合損失が小さかった1900mmの位置を基準に、山毎に278mmの等間隔Pmでz軸方向の片側に配列しシース105(図1)に接触させた。
図9(C)に示すように、アンテナ1Acでは、金属片20の端部を、結合損失が小さかった1900mmの位置を基準に、2山毎に556mmの等間隔Pmでz軸方向の片側に配列しシース105(図1)に接触させた。
図10は、本実施形態に係るアンテナ1Aa、1Abおよび1Acの測定結果である。図10(A)はアンテナ1Aaの測定結果である。図10(B)はアンテナ1Abの測定結果である。図10(C)はアンテナ1Acの測定結果である。図9(A)〜図9(C)において、横軸はケーブル軸方向の位置(m)であり、縦軸は結合損失(dB)である。なお、入力信号の周波数は500MHzである。
図10(A)に示すように、アンテナ1Aaにおいて結合損失は約58dBであった。図10(B)に示すように、アンテナ1Abにおいて結合損失は約44dBであった。図10(C)に示すように、アンテナ1Acにおいて結合損失は約50dBであった。
また、図10(B)に示すように、間隔Pmが周期T500であるアンテナ1Abのときの結合損失の変動がケーブル軸方向1〜2m程度で数dBと安定している。一方、アンテナ1Aaおよび1Acの結合損失の変動は、図10(A)および図10(C)に示すように不安定であった。
このように、金属片20の間隔Pmを結合損失の周期T500(=λe/2)に配列した場合に送受信効率が高く、結合損失が安定している。また、実測した結果、V偏波の結合損失の方がH偏波の結合損失より低いため、V偏波を通信に用いた方が送受信効率は高い。なお、実測結果では、H偏波の送受信効率が低く不安定であった。
以上のように、信号の周波数が500MHzであり複数の金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10の片側に等間隔でシース105(図1)に接触させて配列させた場合、金属片20の間隔は結合損失の周期T500(λe/2)に合わせることで低く安定した結合損失を得ることができる。
なお、周波数が300MHzおよび750MHzの場合も、実測した結果、複数の金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10の片側に等間隔でシース105に接触させて配列させた場合、金属片20の間隔は結合損失の周期T(λe/2)に合わせることで低く安定した結合損失を得ることができた。
以上のように、本実施形態のアンテナ1Aは、低密度編組同軸ケーブル10と複数の金属片20を備える。そして、金属片20は、端部がシース105(図1)に接触し、間隔Pmが結合損失の周期T(λe/2)にz軸方向の片側に配列されている。
この構造により、アンテナ1Aは、送受信効率が高く、結合損失を安定した特性を得ることができる。
<第2実施形態>
第1実施形態では、金属片20を低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)のシース105のz軸方向の片側に配列する例を説明したが、本実施形態では両側に交互に金属片20を配列する例を説明する。
図11は、本実施形態に係る金属片20の間隔Pmが周期T500/2および周期T500におけるアンテナの構造例を示す図である。図11(A)は、金属片20の間隔Pmが139mm(=T500/2)のアンテナ1Baの構成例を示す図である。図11(B)は、金属片20の間隔Pmが278mm(=周期T500)のアンテナ1Bbの構成例を示す図である。なお、アンテナ1Baおよび1Bbのうち1つを特定しない場合は、単にアンテナ1Bという。また、図11(A)〜図11(B)において、座標系は図1と同じである。なお、金属片20は、シース105に接触してなくてもよく、外部導体104に電磁結合していればよい。このため、金属片20は、外部導体104に電磁結合可能な低密度編組同軸ケーブル10の近傍に配列してもよい。
アンテナ1Bは、低密度編組同軸ケーブル10と複数の金属片20を備える。アンテナ1Bは、一端が測定時に同軸ケーブルを介して信号発生器802に接続され、他端が終端器803に接続される。また、アンテナ1Bへの入力信号の周波数は500MHzである。低密度編組同軸ケーブル10の構造は図1と同様である。金属片20は、長さが225mmであり、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。
図11(A)に示すように、アンテナ1Baでは、金属片20の端部を、結合損失が小さかった1900mmの位置を基準に、強弱の山(結合損失が小さい位置)と谷(結合損失が大きい位置)毎に139mmの等間隔Pmでz軸方向の両側に交互に配列しシース105(図1)に接触させた。z軸方向に交互の配列とは、第1の金属片20を低密度編組同軸ケーブル10に対してz軸の正方向に配列し、第2の金属片20を低密度編組同軸ケーブル10に対してz軸の負方向に配列する。
また、図11(B)に示すように、アンテナ1Bbでは、金属片20の端部を、結合損失が小さかった1900mmの位置を基準に、山毎に278mmの等間隔Pmでz軸方向の両側に交互に配列しシース105(図1)に接触させた。
図12は、本実施形態に係るアンテナ1Baおよび1Bbの測定結果である。図12(A)はアンテナ1Baの測定結果である。図12(B)はアンテナ1Bbの測定結果である。図12(A)と図12(B)において、横軸はケーブル軸方向の位置(m)であり、縦軸は結合損失(dB)である。なお、入力信号の周波数は500MHzである。
図12(A)に示すように、アンテナ1Baにおいて結合損失は約43dBであった。図12(B)に示すように、アンテナ1Bbにおいて結合損失は約44dBであった。
また、図12(A)に示すように、間隔Pmが周期T500/2であるアンテナ1Bbのときの結合損失の変動がケーブル軸方向1〜3m程度で数dBと安定している。一方、間隔Pmが周期T500であるアンテナ1Bbの結合損失の変動は約6dB程度であり不安定であった。また、金属片20を片側に配列した第1実施形態の図10(B)と、金属片20を両側に交互に配列した本実施形態の図12(A)を比較すると、本実施形態の方が、結合損失の変動が数dBの範囲が広く、また、結合損失も低い。
以上のように、信号の周波数が500MHzであり複数の金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10の両側に交互に等間隔でシース105(図1)に接触させて配列させた場合、金属片20の間隔は結合損失の半周期T500/2(λe/4)に合わせることで低く安定した結合損失を得ることができる。なお、本実施形態においても、実測した結果、結合損失がV偏波の方がH偏波より低いので送受信効率が高い。また、実測した結果、結合損失の変動もV偏波の方がH偏波より安定しているので通信に適している。
なお、周波数が300MHzおよび750MHzの場合も、実測した結果、複数の金属片20の端部を低密度編組同軸ケーブル10の両側に交互に等間隔でシース105に接触させて配列させた場合、金属片20の間隔は結合損失の周期T/2(λe/4)に合わせることで低く安定した結合損失を得ることができた。
以上のように、本実施形態のアンテナ1Bは、低密度編組同軸ケーブル10と複数の金属片20を備える。そして、金属片20は、端部がシース105(図1)に接触し、間隔Pmが結合損失の周期T/2(λe/4)にz軸方向の両側に交互に配列されている。
この構造により、アンテナ1Bは、送受信効率が高く、結合損失を安定した特性を得ることができる。
<第3実施形態>
第1実施形態では、金属片20の端部をシース105(図1)に接触させて低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)の片側に配列する例を説明した。本実施形態では、金属片20の接触位置を変化させる例を説明する。
図13は、本実施形態に係る金属片20の位置をz軸方向に変化させたアンテナの構成例を示す図である。図13(A)〜図13(C)において、座標系は図1と同じである。図13(A)は図9(B)と同じであり金属片20の端部がシース105に接触しているアンテナ1Abの構成である。図13(B)は、金属片20の端部から40mmの位置がシース105に接触しているアンテナ1Adの構成である。図13(C)は、金属片20の中央部がシース105に接触しているアンテナ1Aeの構成である。図13(A)〜図13(C)において、金属片20の間隔Pmは278mmである。
アンテナ1Adおよびアンテナ1Aeは、低密度編組同軸ケーブル10と複数の金属片20を備える。アンテナ1Ab、1Adおよび1Aeは、一端が測定時に同軸ケーブルを介して信号発生器802に接続され、他端が終端器803に接続される。また、アンテナ1Ab、1Adおよび1Aeへの入力信号の周波数は500MHzである。低密度編組同軸ケーブル10の構造は図1と同様である。金属片20は、長さが225mmであり、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。なお、金属片20は、シース105に接触してなくてもよく、外部導体104に電磁結合していればよい。このため、金属片20は、外部導体104に電磁結合可能な低密度編組同軸ケーブル10の近傍に配列してもよい。
図14は、本実施形態に係るアンテナ1Ab、1Adおよび1Aeの測定結果である。図14(A)は金属片20の端部がシース105に接触しているアンテナ1Abの測定結果である。図14(B)は金属片20の端部から40mmの位置がシース105に接触しているアンテナ1Adの測定結果である。図14(C)は金属片20の中央部がシース105に接触しているアンテナ1Aeの測定結果である。図14(A)〜図14(C)において、横軸はケーブル軸方向の位置(m)であり、縦軸は結合損失(dB)である。なお、入力信号の周波数は500MHzである。
図14(A)に示すように、アンテナ1Aaにおいて結合損失は約44dBであった。図14(B)に示すように、アンテナ1Adにおいて結合損失は約48dBであった。図14(C)に示すように、アンテナ1Aeにおいて結合損失は約70dBであった。
さらに、金属片20をシース105に接触させる端部からの位置を0mm(端部)、20mm、40mm、60mm、80mm、100mmおよび112.5mm(中央部)に変化させた場合の結合損失を測定した結果を図15に示す。図15は、金属片20をシース105に接触させる端部からの位置を0mm(端部)、20mm、40mm、60mm、80mm、100mmおよび112.5mm(中央部)に変化させた場合の結合損失を測定した結果を示す図である。図15において、横軸はケーブルに接触する金属片20の端部からの位置(mm)であり、縦軸は結合損失(dB)である。なお、接触位置が112.5mm以上の結合損失は、0mm〜100mmの結合損失を反転した結果と同じである。
図15に示すように、結合損失は、金属片20の中央部を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させたときが最も大きくなり、送受信効率が最も低くなる。従って、金属片20を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させる位置は、金属片20の中央部を避ける必要がある。
以上より、本実施形態のアンテナ1Aは、金属片20を低密度編組同軸ケーブル10のシース105に接触させる位置を金属片20のz軸方向の中央部以外の構成とする。すなわち、本実施形態のアンテナ1Aは、図13(C)の構成のアンテナ1Ae以外の位置の構成である。
アンテナを高い送受信効率で使用したい場合、結合損失は50dB以下が望まれる。図15より、結合損失が50dB以下となるのは、金属片20をシース105に接触させる端部からの位置が0mm(端部)〜約50mmの範囲である。
以上のように、本実施形態では、シース105に接触させる金属片20のz軸方向の位置を中央部以外とした。
これにより、本実施形態によれば、結合損失を低くさせることができ、送受信効率を高くすることが出来る。
<第4実施形態>
第1実施形態〜第3実施形態では、外部導体104が編組密度21%の3持ち8打ち編組の例を説明した。本実施形態では、外部導体104の編組密度が他の例を説明する。
第1実施形態で説明したように、低密度編組同軸ケーブルを送受信効率の高いアンテナとして使用するためには、複数の金属片の端部をシースに接触させ低密度編組同軸ケーブルの片側に配列し、金属片同士の間隔Pmを外部導体上の定在波の山、すなわちT(λe/2=λ/2√(εre))に構成すればよい。
また、第2実施形態で説明したように、複数の金属片の端部を低密度編組同軸ケーブルの長さ方向の両側にz軸方向の交互に配列し、金属片同士の間隔Pmを外部導体上の定在波の山と谷、すなわちT/2(λe/4=λ/4√(εre))に構成すればよい。
本実施形態では、外部導体104の編組密度を図16に示すように21%、40および61%とし、この低密度編組同軸ケーブルのシースに金属片を接触させ片側または両側に配列して結合損失を測定した。
図16は、外部導体104の編組密度が21%、40%および61%の低密度編組同軸ケーブルの構成例を示す図である。図16(A)は外部導体104の編組密度が21%の低密度編組同軸ケーブル10の構成を示す図である。図16(B)は外部導体104の編組密度が40%の低密度編組同軸ケーブル10Aの構成を示す図である。図16(C)は外部導体104の編組密度が61%の低密度編組同軸ケーブル10Bの構成を示す図である。なお、図16では、外部導体104の構成を示すため、シース105の一部を除去して描いている。
低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)は、中心導体102(図1)、絶縁体103、3持ち8打ち編組の外部導体104、シース105を備える。低密度編組同軸ケーブル10Aは、中心導体102(図1)、絶縁体103、3持ち16打ち編組の外部導体104A、シース105を備える。低密度編組同軸ケーブル10Bは、中心導体102(図1)、絶縁体103、5持ち16打ち編組の外部導体104B、シース105を備える。なお、金属片20は、シース105に接触してなくてもよく、外部導体104(104A、104B)に電磁結合していればよい。このため、金属片20は、外部導体104(104A、104B)に電磁結合可能な低密度編組同軸ケーブル10の近傍に配列してもよい。
中心導体102(図1)は、外径が1.4mmの銅線である。絶縁体103は、外径が4.8mmのポリエチレンである。外部導体104(104A、104B)は、外径が0.14mmの銅線で低密度編組構造であり、外径が7.3mmである。シース105は、厚みが1mmのPVC(塩化ビニル)である。
なお、3持ち16打ち編組とは、3本を1組として16組で編み込んだ編組であり、銅線が全部で48本である。3持ち16打ち編組の編組密度は、式(1)を用いて計算すると40%となる。
また、5持ち16打ち編組とは、5本を1組として16組で編み込んだ編組であり、銅線が全部で80本である。5持ち16打ち編組の編組密度は、式(1)を用いて計算すると61%となる。
第1の測定は、金属片20(図2)の端部をシースに接触させ低密度編組同軸ケーブルの片側に配列し、金属片の間隔PmをT(λe/2=λ/2√(εre))として行った。
第2の測定は、図11(A)と同様に金属片20の端部をシースに接触させ低密度編組同軸ケーブルの両側に交互に配列し、金属片の間隔PmをT/2(λe/4=λ/4√(εre))として行った。
測定では、アンテナに入力する周波数を300MHz、500MHzおよび750MHzとした。また、測定で使用した偏波は、H偏波が弱く不安定だったためV偏波のみした。
図17は、本実施形態における金属片20が片側に配列されたアンテナと金属片20が両側に交互に配列されたアンテナの構成例を示す図である。図17の座標系は図と同様である。図17(A)は金属片20が片側に配列されたアンテナの構成例を示す図である。図17(B)は金属片20が両側に交互に配列されたアンテナの構成例を示す図である。
図17(A)に示すように、金属片20が片側に配列されたアンテナは、低密度編組同軸ケーブル(10または10Aあるいは10B;漏洩伝送線路)と、複数の金属片20を備える。
図17(B)に示すように、金属片20が両側に交互に配列されたアンテナは、図17(A)と同様に低密度編組同軸ケーブル(10または10Aあるいは10B)と、複数の金属片20を備える。
なお、低密度編組同軸ケーブル(10または10Aあるいは10B)の他端には終端器803が接続される。
図18と図19は、本実施形態における外部導体の編組密度を変えたアンテナの結合損失を示す図である。なお、図18と図19の各値は、実測値の平均値である。図19において、横軸は編組密度(%)であり、縦軸は結合損失(dB)である。また、図19(A)は金属片20が片側に配列されているアンテナの結合損失である。図19(A)は金属片20が両側に交互に配列されているアンテナの結合損失である。
また、図19(A)において、符号g101は、周波数が300MHz、金属片20が片側に配列され金属片の間隔Pmが470mm(λe/2)のアンテナにおける編組密度対結合損失である。符号g102は、周波数が500MHz、金属片20が片側に配列され金属片20の間隔Pmが278mm(λe/2)のアンテナにおける編組密度対結合損失である。符号g103は、周波数が750MHz、金属片20が片側に配列され金属片20の間隔Pmが190mm(λe/2)のアンテナにおける編組密度対結合損失である。
また、図19(B)において、符号g111は、周波数が300MHz、金属片20が両側に交互に配列され金属片の間隔Pmが235mm(λe/4)のアンテナにおける編組密度対結合損失である。符号g112は、周波数が500MHz、金属片20が両側に交互に配列され金属片20の間隔Pmが139mm(λe/4)のアンテナにおける編組密度対結合損失である。符号g113は、周波数が750MHz、金属片20が両側に交互に配列され金属片20の間隔Pmが95mm(λe/4)のアンテナにおける編組密度対結合損失である。
図18と図19に示すように、編組密度が低いほどアンテナの結合損失は低く、送受信効率が高くなる。結合損失の低下程度は、編組密度が20〜40%の領域で10%あたり約7〜8dBであり、編組密度が40〜60%の領域で10%あたり数dBであった。
実測結果に基づいて、低密度編組同軸ケーブル(10、10A、10B)のシース105に複数の金属片20の端部を接触させたアンテナでは、外部導体(104、104A、104B)の編組密度が10〜80%の範囲であればアンテナとして利用可能である。すなわち、実施形態の外部導体(104、104A、104B)は、金属線を編み込んだ編組である金属線編組の編組密度が、アンテナとして使用しない一般的な同軸ケーブルより低く構成されている。なお、一般的な同軸ケーブルの編組密度は、外径4mmの2.5D−2Vでは96%、外径7mmの5D−2Vでは96%、外径11mmの8D−2Vでは97%、外径14mmの10D−2Vでは98%である。従って、実施形態の外部導体(104、104A、104B)は、金属線を編み込んだ編組である金属線編組の編組密度が96%より低く構成されている。
ここで、結合損失が低い場合は、放射が強いため伝送損失の増大が懸念される。また、同軸ケーブルの特性上から、周波数が高くなっても伝送損失の増大が懸念される。
これに対して、第1実施形態〜第3実施形態で説明したように、結合損失が低い配列は、金属片20を片側に配列するより両側に交互に配列する構成である。このため、金属片20を両側に交互に配列し、かつ編組密度が21%の低密度編組同軸ケーブル10と金属片20を備えるアンテナでは、結合損失が38dBと最も低いときの周波数が300MHzにおける伝送損失が実測で0.37dB/mであり最も低かった。また、金属片20を両側に交互に配列し、かつ編組密度が21%の低密度編組同軸ケーブル10と金属片20を備えるアンテナでは、結合損失が43dBと最も低いときの周波数が750MHzにおける伝送損失が実測で0.63dB/mと低く、問題の無い値であることが確認できた。
以上のように、本実施形態では、低密度編組同軸ケーブルにおいて外部導体の編組密度を20〜60%程度の範囲とした。これにより、本実施形態によれば、結合損失の低いアンテナを実現できる。
<第5実施形態>
第1実施形態〜第4実施形態では、金属片20をシース105に接触(含む電磁結合)させる例を説明した。金属片20を外部導体104(図1)に接触させた場合、低密度編組から漏れた電磁波と金属片20との電磁結合がさらに強くなることで、結合損失がさらに低くなり、送受信効率が高まることが予想される。このため、本実施形態では、金属片20を外部導体104に接触(含む電磁結合)させる例を説明する。なお、実施形態では、金属片20と低密度編組同軸ケーブル10の外部導体104とが接触または近接して配列されていればよい。
図20は、本実施形態に係る金属片の端部をシースに接触させたアンテナの構造例と、金属片の端部を外部導体に接触させたアンテナの構造例を示す図である。座標系は図1と同じである。図20(A)は、金属片の端部をシースに接触させたアンテナの構造例を示す図である。図20(B)は、金属片の端部を外部導体に接触させたアンテナの構造例を示す図である。
図20(A)に示すように、アンテナ1Caは、低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)と金属片20A(金属部)を備える。金属片20Aは、端部がシース105に接触してz軸方向の両側に交互に配列される。アンテナ1Caへの入力周波数は300MHzとする。このため、金属片20Aの間隔Pmは235mm(T/2)とする。金属片20Aのz軸方向の長さは、図7より結合損失が最も小さくなる375mmとする。また、金属片20Aは、幅が10mm、厚さが0.3mmである。なお、金属片20Aは、図5の結合損失が最小となる1670mmを基準に間隔Pmで配列した。なお、低密度編組同軸ケーブル10の他端には終端器803が接続される。また、編組密度は21%である。
図20(B)に示すように、アンテナ1Cbは、低密度編組同軸ケーブル10C(漏洩伝送線路)と金属片20Aを備える。金属片20Aは、端部が外部導体104に接触してz軸方向の両側に交互に配置される。アンテナ1Cbへの入力周波数は300MHzとする。金属片20Aの間隔Pmは235mmである。図20(B)のように、低密度編組同軸ケーブル10Cは、低密度編組同軸ケーブル10において金属片20Aを接触させる位置のシース105を除去した構成である。なお、低密度編組同軸ケーブル10Cの他端には終端器803が接続される。また、編組密度は21%である。
図21は、本実施形態に係るアンテナ1Caとアンテナ1Cbそれぞれの結合損失を測定した結果を示す図である。なお、測定は図2に示した測定系を用いて行った。図21(A)は、金属片20Aをシース105に接触させたアンテナ1Caの結合損失を示す図である。図21(B)は、金属片20Aを外部導体104に接触させたアンテナ1Cbの結合損失を示す図である。図21(A)と図21(B)において、横軸はケーブル軸方向の位置(m)であり、縦軸は結合損失(dB)である。測定では、アンテナ1Caまたは1Cbに入力する周波数を300MHzとした。
図21(A)に示すように金属片20Aをシース105に接触させたアンテナ1Caの結合損失は約38dBである。図21(B)に示すように金属片20Aを外部導体104に接触させたアンテナ1Cbの結合損失は約33dBである。
このように、金属片20Aを外部導体104に接触させた場合、シース105に接触させた場合と比較して結合損失を約5dB改善することができる。
なお、結合損失が低い場合は、放射が強いため伝送損失の増大が懸念される。しかしながら、周波数300MHzにおいて、金属片20Aをシース105に接触させた場合の伝送損失は0.37dB/mであり、金属片20Aを外部導体104に接触させた場合の伝送損失は0.40dB/mであり、通信に問題の無い値であることが確認できた。
以上のように、本実施形態のアンテナは、金属片20Aを外部導体104に接触(含む電磁結合)させて、間隔PmをT/2として両方向に交互に配列した。
これにより、本実施形態によれば、金属片20Aをシース105に接触させて配列した場合と比較して、結合損失をさらに低くすることができた。
なお、図20では、金属片20Aを低密度編組同軸ケーブル(10、10C)の両側に交互に配列する例を説明したが、これに限らない。金属片を低密度編組同軸ケーブルの片側に間隔PmをTで配列し、金属片を外部導体104に接触させるようにしてもよい。
<第6実施形態>
本実施形態では、上述したアンテナを用いた無線通信システムの例を説明する。
図22は、本実施形態に係る無線通信システム4の斜視図である。
図22に示すように、無線通信システム4は、アンテナ2、送受信器711、同軸ケーブル712、板701、および可搬送受信器721を含んで構成されている。
アンテナ2は、低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)、および複数の金属片20を備える。
なお、符号731は、送受信電磁波を示す。
低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)は、図1と同様の構成であり、低密度編組同軸ケーブル10は、中心導体102、絶縁体103、外部導体104、およびシース105を備える。外部導体104の編組密度は21%である。金属片20は、長手方向(y軸方向)の長さが225mmであり、短手方向(x軸方向)の幅が10mmであり、厚さ(z軸方向)が0.3mmである。また、低密度編組同軸ケーブル10の一端には、コネクタ713が接続されている。低密度編組同軸ケーブル10の長さは、2m以内であり、例えば1.9mである。
金属片20の端部は、シース105に接触している。また、複数の金属片20の間隔PmはT500/2(λ/4)である139mmである。なお、上述した金属片20は、板701上に印刷によって形成してもよい。
机700は、x軸方向の長さが2m、y軸方向の幅が2mのプラスチック製の板701(平面状誘電体板)を備える。複数の金属片20は、低密度編組同軸ケーブル10の両側に交互に板701の上に貼り付けられている。
送受信器711は、同軸ケーブル712を介して低密度編組同軸ケーブル10の一端に接続されている。なお、同軸ケーブル712は、コネクタ713を介して低密度編組同軸ケーブル10の一端に接続されている。低密度編組同軸ケーブル10の他端には、終端器803が接続されている。
アンテナ2は、送受信器711が出力する信号に基づく電磁波を送信する。アンテナ2は、可搬送受信器721が送信した電磁波を受信する。
送受信器711は、所定の周波数の信号を、同軸ケーブル712を介して低密度編組同軸ケーブル10に供給する。送受信器711は、低密度編組同軸ケーブル10が出力する信号を、同軸ケーブル712を介して受信する。
可搬送受信器721は、アンテナ2が送信した電磁波を受信する。また、可搬送受信器721は、電磁波を送信する。可搬送受信器721は、アンテナ2の低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置に配列されている。
この無線通信システム4を用いて測定を行った。
送受信器711は、周波数が500MHz、電力が0dBm(1mW)の信号をアンテナ2に入力した。
この結果、可搬送受信器721の受信電力は−38dBm(150nW)であり、問題なく通信を行うことができた。
また、複数の金属片20がシース105と接触している例を説明したが、複数の金属片20はシース105と接触しておらず、近接して電磁結合していてもよい。
なお、図22では、金属片20が両側に交互に配列されているアンテナ2を用いた無線通信システム4の例を説明したが、これに限らない。無線通信システム4は、例えば図9に示した金属片を片側に配列したアンテナを用いて構成してもよく、図20(B)に示した金属片を外部導体に接触させたアンテナを用いて構成してもよい。
以上のように、本実施形態では、複数の金属片20の端部がシース105に接触(含む電磁結合)された低密度編組同軸ケーブル10によって構成されるアンテナ2を用いて無線通信システム4を構成した。
これにより、本実施形態によれば、良好に通信可能な無線通信システム4を提供することができる。
<第7実施形態>
本実施形態では、板と立て板を用いて無線通信システムを構築した例を説明する。
図23は、本実施形態に係る無線通信システム4Aの斜視図である。
図23に示すように、無線通信システム4Aは、アンテナ2、アンテナ2A、送受信器711、同軸ケーブル712、同軸ケーブル714、板701、立て板702、および可搬送受信器721を含んで構成されている。低密度編組同軸ケーブル10の構成は、図1と同様である。
アンテナ2Aは、低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)、および複数の金属片20を備える。アンテナ2Aは、両端にコネクタ713が接続されている。アンテナ2Aは、一端がコネクタ713と同軸ケーブル712を介して送受信器711が接続され、他端がコネクタ713を介して同軸ケーブル714の一端に接続されている。
アンテナ2は、低密度編組同軸ケーブル10、および複数の金属片20を備える。アンテナ2は、一端がコネクタ713を介して同軸ケーブル714の他端に接続され、他端に終端器803が接続されている。
机700Aは、板701と、立て板702を備える。板701の大きさは第6実施形態の大きさと同じであり、立て板702の大きさは、x軸方向の長さが2m、z軸方向の幅が2mである。
立て板702は、プラスチック製の板(平面状誘電体板)であり、アンテナ2を配置可能な大きさである。
金属片20は、長さが225mmであり、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。金属片20は、端部がシース105に接触(含む電磁結合)して、間隔Pmが139mmで両側に、交互に配列されている。複数の金属片20は、低密度編組同軸ケーブル10の両側に交互に板701上および立て板702上に貼り付けられている。なお、上述した金属片20は、板701上および立て板702上に印刷によって形成してもよい。
また、それぞれの低密度編組同軸ケーブル10の長さは、2m以内であり、例えば1.9mである。
可搬送受信器721は、板701上のアンテナ2Aの低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置、かつ立て板702上のアンテナ2の低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置に配列されている。
この無線通信システム4Aを用いて測定を行った。
送受信器711は、周波数が500MHz、電力が0dBm(1mW)の信号をアンテナ2に入力した。
この結果、可搬送受信器721の受信電力は−36dBm(250nW)であり、立て板702の追加により第6実施形態の−38dBmに対して2dB改善でき、問題なく通信を行うことができた。
なお、図23では、金属片20が両側に交互に配列されているアンテナ(2、2A)を用いた無線通信システム4Aの例を説明したが、これに限らない。無線通信システム4Aは、例えば図9に示した金属片を片側に配列したアンテナを用いて構成してもよく、図20(B)に示した金属片を外部導体に接触させたアンテナを用いて構成してもよい。
以上のように、本実施形態では、複数の金属片20の端部がシース105に接触(含む電磁結合)された低密度編組同軸ケーブル10によって構成される板701上のアンテナ2Aと、アンテナ2Aと同軸ケーブル714によって接続されている立て板702上のアンテナ2と用いて無線通信システム4Aを構成した。
これにより、本実施形態によれば、良好に通信可能な無線通信システム4Aを提供することができる。
<第8実施形態>
本実施形態では、板と立て板と天井板を用いて無線通信システムを構築した例を説明する。
図24は、本実施形態に係る無線通信システム4Bの斜視図である。
図24に示すように、無線通信システム4Bは、2つのアンテナ2、アンテナ2A、送受信器711、同軸ケーブル712、同軸ケーブル714、同軸ケーブル715、板701、立て板702、天井板703および可搬送受信器721を含んで構成されている。低密度編組同軸ケーブル10の構成は、図1と同様である。なお、板701の大きさは第6実施形態の大きさと同じであり、立て板702の大きさは、x軸方向の長さが2m、z軸方向の幅が2mであり、天井板703の大きさは、x軸方向の長さが2m、y軸方向の幅が2mである。
アンテナ2Aは、低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)、および複数の金属片20を備える。アンテナ2Aは、両端にコネクタ713が接続されている。
板701上の第1のアンテナ2Aは、一端がコネクタ713と同軸ケーブル712を介して送受信器711が接続され、他端がコネクタ713を介して同軸ケーブル714の一端に接続されている。
立て板702上の第2のアンテナ2Aは、一端がコネクタ713を介して同軸ケーブル714の他端に接続され、他端がコネクタ713を介して同軸ケーブル715の一端に接続されている。
アンテナ2は、低密度編組同軸ケーブル10、および複数の金属片20を備える。アンテナ2は、がコネクタ713を介して同軸ケーブル714の他端に接続され、他端に終端器803が接続されている。
また、それぞれの低密度編組同軸ケーブル10の長さは、2m以内であり、例えば1.9mである。
机700Aは、板701と、立て板702と、天井板703を備える。
天井板703は、プラスチック製の板(平面状誘電体板)であり、アンテナ2を配置可能な大きさである。
金属片20は、長さが225mmであり、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。金属片20は、端部がシース105に接触(含む電磁結合)して、間隔Pmが139mmで両側に、交互に配列されている。複数の金属片20は、低密度編組同軸ケーブル10の両側に交互に板701上と立て板702上および天井板703上に貼り付けられている。なお、上述した金属片20は、板701上と立て板702上および天井板703上に印刷によって形成してもよい。
可搬送受信器721は、板701上のアンテナ2Aの低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置、かつ立て板702上のアンテナ2Aの低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置、かつ天井板703に配置されている。
この無線通信システム4Bを用いて測定を行った。
送受信器711は、周波数が500MHz、電力が0dBm(1mW)の信号をアンテナ2に入力した。
この結果、可搬送受信器721の受信電力は−33dBm(500nW)であり、問題なく通信を行うことができた。
なお、図24では、金属片20が両側に交互に配列されているアンテナ(2、2A)を用いた無線通信システム4Bの例を説明したが、これに限らない。無線通信システム4Bは、例えば図9に示した金属片を片側に配列したアンテナを用いて構成してもよく、図20(B)に示した金属片を外部導体に接触させたアンテナを用いて構成してもよい。
以上のように、本実施形態では、複数の金属片20の端部がシース105に接触(含む電磁結合)された低密度編組同軸ケーブル10によって構成される板701上の第1のアンテナ2Aと、第1のアンテナ2Aと同軸ケーブル714によって接続されている立て板702上の第2のアンテナ2Aと、第2のアンテナ2Aと同軸ケーブル715によって接続されている天井板703上のアンテナ2と、用いて無線通信システム4Bを構成した。
これにより、本実施形態によれば、良好に通信可能な無線通信システム4Bを提供することができる。
<第9実施形態>
本実施形態では、板上でアンテナを蛇行させて無線通信システムを構築した例を説明する。
図25は、本実施形態に係る無線通信システム4Cの斜視図である。
図25に示すように、無線通信システム4Cは、アンテナ2B、送受信器711、同軸ケーブル712、同軸ケーブル714、板701、および可搬送受信器721を含んで構成されている。低密度編組同軸ケーブル10の構成は、図1と同様である。
アンテナ2は、低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)、および複数の金属片20を備える。アンテナ2は、一端にコネクタ713が接続されている。
また、低密度編組同軸ケーブル10の長さは、例えば約7.3mである。低密度編組同軸ケーブル10は、板701C上に蛇行して配置される。
机700Cは、板701Cを備える。板701Cは、長さ2m、幅2mのプラスチックの板(平面状誘電体板)である。
板701C上のアンテナ2は、一端がコネクタ713と同軸ケーブル712を介して送受信器711が接続され、他端がコネクタ713を介して終端器803が接続されている。
金属片20は、長さが225mmであり、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。金属片20は、端部がシース105に接触(含む電磁結合)して、間隔Pmが139mmで両側に、交互に配列されている。複数の金属片20は、低密度編組同軸ケーブル10の両側に交互に板701C上に貼り付けられている。なお、上述した金属片20は、板701C上に印刷によって形成してもよい。
可搬送受信器721は、板701上のアンテナ2Aの低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置に配置されている。
この無線通信システム4Cを用いて測定を行った。
送受信器711は、周波数が500MHz、電力が0dBm(1mW)の信号をアンテナ2に入力した。
この結果、可搬送受信器721の受信電力は−38dBm(150nW)であり、問題なく通信を行うことができた。
なお、図25では、金属片20が両側に交互に配列されているアンテナ2Bを用いた無線通信システム4Cの例を説明したが、これに限らない。無線通信システム4Bは、例えば図9に示したような金属片を片側に配列したアンテナを用いて構成してもよく、図20(B)に示した金属片を外部導体に接触させたアンテナを用いて構成してもよい。
以上のように、本実施形態では、複数の金属片20の端部がシース105に接触(含む電磁結合)された低密度編組同軸ケーブル10によって構成される板701上の蛇行させたアンテナ2Bを用いて無線通信システム4Cを構成した。
これにより、本実施形態によれば、良好に通信可能な無線通信システム4Cを提供することができる。
<第10実施形態>
本実施形態では、板と立て板と曲面板を用いて無線通信システムを構築した例を説明する。
図26は、本実施形態に係る無線通信システム4Dの斜視図である。
図26に示すように、無線通信システム4Dは、アンテナ2、アンテナ2A、送受信器711、同軸ケーブル712、同軸ケーブル714、同軸ケーブル715、板701、曲面板704、および可搬送受信器721を含んで構成されている。低密度編組同軸ケーブル10の構成は、図1と同様である。
アンテナ2Aは、低密度編組同軸ケーブル10(漏洩伝送線路)、および複数の金属片20を備える。アンテナ2Aは、両端にコネクタ713が接続されている。
板701上のアンテナ2Aは、一端がコネクタ713と同軸ケーブル712を介して送受信器711が接続され、他端がコネクタ713を介して同軸ケーブル714の一端に接続されている。
曲面板704上のアンテナ2は、一端がコネクタ713を介して同軸ケーブル714の他端に接続され、他端がコネクタ713を介して終端器803に接続されている。
また、それぞれの低密度編組同軸ケーブル10の長さは、2m以内であり、例えば1.9mである。
机700Dは、板701と、曲面板704を備える。板701の大きさは第6実施形態の大きさと同じであり、曲面板704の大きさは、x軸方向の長さが2m、z軸方向の幅が約2mである。
曲面板704は、プラスチック製の板(平面状誘電体板)であり、アンテナ2を配置可能な大きさである。
金属片20は、長さが225mmであり、幅が10mmであり、厚さが0.3mmである。金属片20は、端部がシース105に接触(含む電磁結合)して、間隔Pmが139mmで両側に、交互に配列されている。複数の金属片20は、低密度編組同軸ケーブル10の両側に交互に板701上と立て板702上および曲面板704上に貼り付けられている。なお、上述した金属片20は、板701上と曲面板704上に印刷によって形成してもよい。
可搬送受信器721は、板701上のアンテナ2Aの低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置、かつ曲面板704上のアンテナ2Aの低密度編組同軸ケーブル10の上部から約0.5mの位置、かつ天井板703に配置されている。
この無線通信システム4Dを用いて、測定を行った。
送受信器711は、周波数が500MHz、電力が0dBm(1mW)の信号をアンテナ2に入力した。
この結果、可搬送受信器721の受信電力は−37dBm(200nW)であり、問題なく通信を行うことができた。
なお、第7実施形態と比較すると、立て板702の代わりに曲面板704を用いることで、可搬送受信器721の受信電力が1dB低くなった。
なお、図26では、金属片20が両側に交互に配列されているアンテナ(2、2A)を用いた無線通信システム4Dの例を説明したが、これに限らない。無線通信システム4Dは、例えば図9に示した金属片を片側に配列したアンテナを用いて構成してもよく、図20(B)に示した金属片を外部導体に接触させたアンテナを用いて構成してもよい。
以上のように、本実施形態では、複数の金属片20の端部がシース105に接触(含む電磁結合)された低密度編組同軸ケーブル10によって構成される板701上のアンテナ2Aと、アンテナ2Aと同軸ケーブル714によって接続されている曲面板704上のアンテナ2と、用いて無線通信システム4Dを構成した。
これにより、本実施形態によれば、良好に通信可能な無線通信システム4Dを提供することができる。
なお、上述した第6実施形態〜第10実施形態に示した無線通信システムにおけるアンテナを、例えば、誘電体製商品棚の表面付近に複数の金属片を周期的に埋め込み、それらの金属片の端部に低編組密度同軸ケーブルを沿わせた形状として構成してもよい。
<第11実施形態>
本実施形態では、低密度編組同軸ケーブルに漏洩同軸ケーブル(LCX)を使用する例を説明する。
前述したように、LCXの構造は、基本的には同軸ケーブルと同じである。ただし、LCXは、外部導体の内部と外部の電磁波を送受信するスロットという周期的な孔部が外部導体に設けられている。LCXは、このスロットを通じて、ケーブルに入力された信号を電磁波としてケーブル外部に放射(送信)、あるいは、外部からの電磁波を受信することができる。すなわち、このLCXは、伝送路とアンテナとの両方の機能を持った細長い送受信アンテナとして利用することができる
LCXの基本的な使用方法は、スロットからの電磁波を直接利用することだが、スロットから漏れた電磁波で外部導体を励振して、外部導体自体をアンテナとして利用することもできることが知られている(例えば、特許文献4参照)。特許文献4に記載の技術は、LCXのスロットから漏洩した電磁波がLCXの外部導体を励振させて外部導体自体をアンテナとする技術である。このような使用方法では、外部導体自体がアンテナとなることから、上述した実験結果(図3、図5、図6)のようにLCXの外部導体にも電圧定在波が発生している。
従って、上述した各実施形態で使用した低密度編組同軸ケーブル10をLCXに置き換えても、LCXと複数の金属片によるアンテナを実現できる。
図27は、本実施形態に係る漏洩同軸ケーブル10E(漏洩伝送線路)の構造例を示す投影図である。図27(A)は漏洩同軸ケーブル10Eの正面図であり、図27(B)は漏洩同軸ケーブル10Eの側面図である。図27において、漏洩同軸ケーブル10Eの長さ方向をx軸方向、短手方向をy軸方向、太さ方向をz軸方向とする。また、図28は、本実施形態に係る外部導体104E部分を拡大して示した図である。
図27に示すように、漏洩同軸ケーブル10Eは、中心導体102、絶縁体103、外部導体104E、およびシース105を備える。図27と図28に示すように、外部導体104Eは、編組104Eaと金属テープ104Ebを備える。
図27に示すように、漏洩同軸ケーブル10Eは、中心に中心導体102があり、中心導体102の周囲に絶縁体103があり、絶縁体103の周囲に外部導体104Eがあり、外部導体104Eの外側がシース105で覆われている。
中心導体102は、外径が2.0mmの銅線である。絶縁体103は、外径が5.3mmの発泡ポリエチレンである。シース105は、厚みが1mmの難燃ポリエチレンで覆われ外径が7.5mmである。
金属テープ104Ebは、間欠的に空隙のある厚さ0.01mmの銅テープで、空隙の部分の長さが23mmで銅テープの部分が23mmで周期的に連なっている。
絶縁体103の周囲および金属テープ104Ebの周囲に、アンテナの結合損失をコントロールするための編組104Eaがある。
編組104Eaは、外径が0.12mmの銅線でピッチを48mmで編んだ低密度編組構造である。編組104Eaは、銅線が全部で36本であり、3本を1組として12組で編み込んでいる。なお、編組104Eaの編組密度は96%より低い。
このLCXは、例えば5GHz帯用アンテナで空隙部分からの放射によってアンテナとして動作する。一方、このLCXは、空隙部分から漏洩した電磁波によって、外部導体がアンテナとして動作する。
図29は、本実施形態に係る金属片の端部をシースに接触させたアンテナの構造例と、金属片の端部を外部導体に接触させたアンテナの構造例を示す図である。座標系は図1と同じである。図29(A)は、金属片の端部をシースに接触させたアンテナの構造例を示す図である。図29(B)は、金属片の端部を外部導体に接触させたアンテナの構造例を示す図である。
図29(A)に示すように、アンテナ1Eaは、図27に示した漏洩同軸ケーブル10Eと金属片20を備える。金属片20は、端部がシース105に接触してz軸方向の片側に配列される。金属片20Aの間隔Pmは、周波数500MHz(周期T500)に合わせて278mmとした。漏洩同軸ケーブル10Eの他端には終端器803が接続される。
図29(B)に示すように、アンテナ1Ebは、図27に示した漏洩同軸ケーブル10Eのシース105の一部を除去した漏洩同軸ケーブル10Ebと金属片20を備える。金属片20は、端部が外部導体104Eに接触してz軸方向の片側に配列される。金属片20Aの間隔Pmは278mmである。金属片20Aは、z軸方向の長さが225mmであり、幅が10mm、厚さが0.3mmである。漏洩同軸ケーブル10Ebの他端には終端器803が接続される。
アンテナ1Eaおよび1Ebへの入力周波数は300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzとした。図2に示した測定系を用いて、アンテナ1Eaおよび1Ebの結合損失を測定した。測定した周波数は、300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzである。測定に使用した偏波は、5GHzでの放射波がH偏波であるため、V偏波とH偏波である。
図30は、金属片を用いない場合の漏洩同軸ケーブル10Eによる周波数が300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzにおけるケーブル軸方向の結合損失を示す図である。図30(A)は周波数が300MHzである。図30(B)は周波数が500MHzである。図30(C)は周波数が750MHzである。図30(D)は周波数が1GHzである。図30(E)は周波数が2.4GHzである。図30(F)は周波数が5GHzである。図30(A)〜図30(F)において、横軸はケーブル軸方向の位置(m)であり、縦軸は結合損失(dB)である。また、図30(A)〜図30(F)において、実線がV偏波であり、鎖線がH偏波である。
図30に示すように、金属片を用いずに漏洩同軸ケーブル10Eをアンテナとして用いた場合、図30(F)に示すように、漏洩同軸ケーブル10Eは5GHzで放射するように設計されているので、周波数が5GHzである図30(F)だけがH偏波の結合損失が約62dB程度で安定している。
図31は、本実施形態に係る金属片20の端部をシース105に接触させたアンテナ1Eaによる周波数が300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzにおけるケーブル軸方向の結合損失を示す図である。図31(A)は周波数が300MHzである。図31(B)は周波数が500MHzである。図31(C)は周波数が750MHzである。図31(D)は周波数が1GHzである。図31(E)は周波数が2.4GHzである。図31(F)は周波数が5GHzである。図31(A)〜図31(F)において、横軸はケーブル軸方向の位置(m)であり、縦軸は結合損失(dB)である。また、図31(A)〜図31(F)において、実線がV偏波であり、鎖線がH偏波である。
図32は、本実施形態に係る金属片20の端部を外部導体104Eに接触させたアンテナ1Ebによる周波数が300MHz、500MHz、750MHz、1GHz、2.4GHz、および5GHzにおけるケーブル軸方向の結合損失を示す図である。図32(A)は周波数が300MHzである。図32(B)は周波数が500MHzである。図32(C)は周波数が750MHzである。図32(D)は周波数が1GHzである。図32(E)は周波数が2.4GHzである。図32(F)は周波数が5GHzである。図32(A)〜図32(F)において、横軸はケーブル軸方向の位置(m)であり、縦軸は結合損失(dB)である。また、図32(A)〜図32(F)において、実線がV偏波であり、鎖線がH偏波である。
図31(B)と図32(B)のように、結合損失が最も小さく、かつ、安定しているのは500MHzのV偏波である。金属片20の端部をシース105に接触させたときの結合損失は、図31(B)より50dBであった。また、金属片20の端部を外部導体104Eに接触させたときの結合損失は、図32(B)より45dBだった。
なお、H偏波の結合損失は、300MHzの低周波側では、V偏波の結合損失より低い傾向にある。この理由は、LCXの外部導体自体がアンテナになっているからである。また、5GHzでは通常のLCXとして放射が生じており、H偏波の結合損失は62dB程度で安定している。
以上のように、第1実施形態〜第10実施形態の低密度編組同軸ケーブルそれぞれをLCXに交換しても、複数の金属片を使用したアンテナとするためには、金属片の間隔Pmを278mm、すなわち、λ/(2√(εre))とすればよいことが確認できた。
以上のように、本実施形態では、低密度編組同軸ケーブルをLCXに置き換え、複数の金属片の端部をシースまたは外部導体に接触(含む電磁結合)させ、複数の金属片を波長に基づく間隔Pmで配列した。
これにより、本実施形態においても低密度編組同軸ケーブルに複数の金属片の端部をシースまたは外部導体に接触(含む電磁結合)させ、複数の金属片を波長に基づく間隔Pmで配列したアンテナと同様の効果をえることができる。
<金属片を片側に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態>
ここで、金属片を片側に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態を検討する。
図33は、金属片を片側に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態を説明するための図である。
図33において、符号g301は、電磁波の放射によって発生する電流である。符号g302は、放射部分である。
ここで、金属片20の長さをLm(mm)、金属片20の間隔をPm(mm)、金属片20周辺の等価的波長をλ(mm)とすると、アンテナとして動作する条件は、長さLmの隣接する2枚の金属片20とこれら2枚の金属片20の間隔Pmに流れる電流の対称性から次式(5)のように表される。
式(5)において、nは1以上の整数である。また、別の条件として、金属片は電圧による定在波の山や谷の位置にあるべきなので、電圧の定在波の山や谷の周期は上述したようにλ/4であるため、qを1以上整数とすると、次式(6)の条件が加わる。ただし、式(6)において[ ]は、ガウス記号であり、[ ]内の値を超えない最大の整数でありn=1の時だけ1となり2以上は0となる。
式(5)は、式(6)より次式(7)のようになる。
図33に示したアンテナは、Lm=λ/4、Pm=2λ/4=λ/2である。また、近接(含む接触、電磁結合)する金属片20の端部から端部まではλである。従って、式(7)において、q=1、n=1の状態である。図33に示した範囲において、λ/4の放射部分(g302)が4カ所ある。
この放射状態が、上述した第1実施形態のアンテナ1Aに相当する。
図34は、金属片を片側に配列したときにアンテナとして動作しているときの発生する電界、電流、磁界を説明するための図である。
図34において、符号g311は、発生する磁界を表している。符号g312は電界を表している。符号+と符号−とは半波長分の電流の流れを模している。
図34のようにおいても、Lm=λ/4、Pm=2λ/4=λ/2である。このように、金属片20の長さLmがλ/4であり、間隔Pmがλ/2の場合、金属片20のシース105に接していない端部20a1から20a2までの長さは、λ(=λ/4+λ/2+λ/4)、すなわち1波長で共振することになる。このため、このような金属片20の長さと間隔がアンテナ効率として良い値が得られたことと一致する。
<金属片を両側に交互に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態>
次に、金属片を両側に交互に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態を検討する。
図35は、金属片を両側に交互に配列したときにアンテナとして動作しているときの放射状態を説明するための図である。
図35において、符号g321は、電磁波の放射によって発生する電流である。符号g322は、放射部分である。
ここで、金属片20の長さをLm(mm)、金属片20の間隔をPm(mm)、金属片20周辺の等価的波長をλ(mm)とすると、アンテナとして動作する条件は、長さLmの隣接する2枚の金属片20とこれら2枚の金属片20の間隔Pmに流れる電流の対称性から次式(8)のように表される。
式(8)において、nは1以上の整数である。また、別の条件として、金属片は電圧による定在波の山や谷の位置にあるべきなので、電圧の定在波の山や谷の周期が上述したようにλ/4であるため、qを1以上の整数とすると、式(6)の条件が加わる。
式(8)は、式(6)より次式(9)のようになる。
図35に示したアンテナは、Lm=5λ/8、Pm=λ/4である。また、金属片20のシース105に接していない端部20a1から20a2までの長さは、3λ/2(=5λ/8+λ/4+5λ/8)である。従って、式(9)において、q=1、n=1の状態である。図35に示した範囲において、3λ/8の放射部分が8カ所、すなわち、λ/4の放射部分(g322)が12カ所ある。
以上のように、実施形態では、アンテナを、電磁波が周囲に存在する長く伸びたケーブルの軸方向に沿って、金属片を周期的な間隔で配列して構成した。
また、実施形態では、アンテナを、ケーブルの外部導体を金属線編組とした同軸ケーブルにおいて、編組密度を低くした同軸ケーブルを用いて構成した。
また、実施形態では、編組密度を、10〜80%にした。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片を前記ケーブルのシースに近接(含む電磁結合)させた構成とした。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片を前記ケーブルのシースに接触させた構造とした。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片を前記ケーブルの外部導体に近接(含む電磁結合)させた構成とした。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片を前記ケーブルの外部導体に接触させた構造とした。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片の長さを、使用する周波数の自由空間波長λの1/8〜6/8として構成した。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片の長さを、使用する周波数の自由空間波長λの3/8として構成した。
また、実施形態では、アンテナにおいて、ケーブルへの前記金属片の取り付け部分を、前記金属片の端部から中央部を含まない中央部の手前までの部分として構成した。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片を前記ケーブルに対して同じ方向に取り付けて構成した。
また、実施形態では、金属片の間隔Pmを、使用する周波数の自由空間波長λとケーブル周囲の等価比誘電率εreを用いて、Pm=λ/(2√(εre)に構成した。
また、実施形態では、金属片の長さをLm、隣り合う金属片の間隔をPmとした時に、2Lm+Pm=nλ/√(εre)(ただしnは1以上の整数)に構成した。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片を前記ケーブルに対して隣接する前記金属片に対して逆方向に取り付けて構成した。
また、実施形態では、アンテナにおいて、前記金属片の間隔Pmを、使用する周波数の自由空間波長λとケーブル周囲の等価比誘電率εreを用いて、Pm=λ/(4√(εre)に構成した。
また、実施形態では、金属片の長さをLm、隣り合う金属片の間隔をPmとした時に、2Lm+Pm=(2n+1)λ/(2√(εre)(ただしnは1以上の整数)に構成した。
また、実施形態では、アンテナにおいて、ケーブルを外部導体にスロットを有する漏洩同軸ケーブルを用いて構成した。
また、実施形態では、アンテナにおいて、金属片を平面状誘電体板に張り付けて、ケーブルを平面状誘電体板に張り付けた金属片に近接あるいは接触させて構成した。
また、実施形態では、金属片を曲面状誘電体板に張り付けて、前記ケーブルを前記曲面状誘電体版に張り付けた前記金属片に近接あるいは接触させて構成した。
また、実施形態では、上述したアンテナを使用して無線通信システムを構成した。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
例えば、低密度編組同軸ケーブルの外部導体と金属片の間には、シースや金属片上部の誘電体製天板が存在する構成であってもよい。
また、上述したように。各実施形態において、金属片と低密度編組同軸ケーブルのシースとが接触または近接して配列されていればよい。また、上述したように。各実施形態において、金属片と低密度編組同軸ケーブルの外部導体104とが接触または近接して配列されていればよい。
1,1Aa,1Ab,1Ac,1Ad,1Ae,1Ba,1Bb,1Ca,1Cb,1Ea,1Eb,2…アンテナ、10,10A,10B…低密度編組同軸ケーブル、10E…漏洩同軸ケーブル、102…中心導体、103…絶縁体、104,104E…外部導体、104Ea…編組、105…シース、104Eb…金属テープ、20,20A…金属片、4…無線通信システム、803…終端器、Pm…間隔、Lm…長さ、λ…自由空間波長、εre…等価比誘電率、K…編組密度

Claims (11)

  1. 中心導体と、この中心導体を被覆した絶縁体と、この絶縁体の周囲に金属線を編み込んだ編組を外部導体とする漏洩伝送線路と、
    前記漏洩伝送線路の外部導体に電磁結合し、使用する周波数の自由空間波長λに基づく間隔で配列される複数の金属部と、
    を備え
    前記金属部は、前記漏洩伝送線路の信号の流れる方向に対して片方向に配列し、
    前記金属部の間隔Pmは、使用する周波数の自由空間波長λ と前記漏洩伝送線路の周囲の等価比誘電率ε re から導かれる前記漏洩伝送線路の周囲の等価的波長λ =λ /(√(ε re ))を用いて、Pm=λ /2である、
    ンテナ。
  2. 中心導体と、この中心導体を被覆した絶縁体と、この絶縁体の周囲に金属線を編み込んだ編組を外部導体とする漏洩伝送線路と、
    前記漏洩伝送線路の外部導体に電磁結合し、使用する周波数の自由空間波長λ に基づく間隔で配列される複数の金属部と、
    を備え、
    前記金属部は、前記漏洩伝送線路の信号の流れる方向に対して両方向に配列し、
    前記金属部の間隔Pmは、使用する周波数の自由空間波長λ と前記漏洩伝送線路の周囲の等価比誘電率ε re から導かれる前記漏洩伝送線路の周囲の等価的波長λ =λ /(√(ε re ))を用いて、Pm=λ /4である、
    アンテナ。
  3. 前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+Pm=nλ(ただしnは1以上の整数)の関係に構成した、請求項1に記載のアンテナ。
  4. 前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+{[1/q]+2(q−1)}(λ/4)=nλ(ただしq、nは1以上の整数、[ ]はガウス記号)の関係に構成した、請求項1に記載のアンテナ。
  5. 前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+Pm=(2n+1)λ/2(ただしnは1以上の整数)の関係に構成した、請求項2に記載のアンテナ。
  6. 前記金属部の長さをLm、隣り合う前記金属部の間隔をPmとした場合に、2Lm+{[1/q]+2(q−1)}(λ/4)=(2n+1)(λ/2)(ただしq、nは1以上の整数、[ ]はガウス記号)の関係に構成した、請求項2に記載のアンテナ。
  7. 前記漏洩伝送線路の前記外部導体は、金属線を編み込んだ編組である金属線編組の編組密度が96%より低い請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のアンテナ。
  8. 前記金属部は、前記外部導体を被覆したシースに接触または近接する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアンテナ。
  9. 前記金属部は、前記外部導体に接触または近接する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のアンテナ。
  10. 前記金属部の長さは、使用する周波数の自由空間波長λの1/8〜6/8である、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のアンテナ。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のアンテナと、
    前記アンテナの一端に接続される送受信器と、
    前記アンテナの他端に接続される終端器と、
    前記アンテナが備える複数の金属部が配置される平面状誘電体板と、
    を備える無線通信システム。
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