JP6525203B2 - Cftr活性を増大させるための方法 - Google Patents

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Description

本開示は、対象における粘膜毛様体クリアランスの増強方法に関する。特定の実施形態において、本開示は、対象が、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない、対象における粘膜毛様体クリアランスの増強方法に関する。
粘液クリアランスの疾患(粘液停滞)及び粘液産生の増大は、多様なヒト状態に影響を与える一般的な問題である。このことは、特定の状況において粘膜毛様体クリアランスが準最適な、正常な上皮機能及び正常に機能する細胞粘膜毛様体クリアランス器官の環境においてさえも当て嵌まる。多数の疾病及び/又は状態が準最適な粘膜毛クリアランス及び/又は過剰の粘液産生をもたらし得る。そのような状況において、正常に機能している細胞粘膜毛様体器官が患者の根底にある状態を考慮して十分ではないため、粘膜毛様体クリアランスは、細胞粘膜毛様体クリアランス器官に欠陥又は異常が存在しない場合であっても、損なわれていると見なされ得る。
例えば、非限定的に筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、及びALS等の先天性又は遺伝的状態を原因とする筋力低下を有する個人は、咳による排除(cough clearance)が弱いことによる再発性肺炎に苦しんでおり、これは粘液うっ滞をもたらす。加えて、非限定的に対麻痺、四肢麻痺、横隔膜麻痺等の筋力低下をもたらす後天性の解剖学上の問題を有する個人は、同一の運命に苦しんでいる。他の対象、例えば、非限定的に喘息及び喘息発作重積状態等の状態による過剰の粘液産生を患う者、非限定的に免疫グロブリン欠損症、SCID、高IgE症候群、及び類似した状態等の状態による免疫の障害を患う者、粘液クリアランスを損なう解剖学上の呼吸器異常を患う者、及び原因不明の再発性肺炎を患う者、及び中咽頭異常を患う者は、粘膜毛様体クリアランス器官が粘液を有効に輸送する能力を圧倒する過剰の粘液産生による無気肺及び/又は肺炎に苦しんでいる。準最適な粘膜毛クリアランス及び/又は過剰の粘液産生を原因とする又はその産生が引き起こすこれらの疾患は、多数の病的状態の原因となる重大な再発性の問題であり、死亡率の原因にも寄与している。それ故、粘膜毛様体クリアランスが正常である疾病においてさえも、粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させることは、特定の疾病と闘うのに有益である。
当技術分野は、粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能を増強する化合物及び処置方法を欠いている。当技術分野は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない対象において、粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能を向上させる化合物及び処置方法を特に欠いている。そのような化合物及び処置方法は、準最適な粘膜毛クリアランス、並びに/又は、過剰の粘液産生及び同様の状態から生じる状態を処置することによって、かなりの利益をそれらの対象に提供するであろう。
本開示は、粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能を向上させて、準最適な粘膜毛クリアランス及び/又は過剰の粘液産生を克服するための化合物及び処置方法を提供することによって、当技術分野が遭遇している問題の解決法を提供する。加えて、本開示は、超正常な粘膜毛様体クリアランスを誘導して粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能を向上させ、準最適な粘膜毛クリアランス及び/又は過剰の粘液産生を克服するための化合物及び処置方法を提供することによって、当技術分野が遭遇している問題の解決法を提供する。更に、本開示は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない対象に前述の利益を提供する。一実施形態において、準最適な粘膜毛クリアランス及び/又は増大された粘液産生は、神経筋疾患、解剖学上の呼吸器異常、筋力低下をもたらす後天性の解剖学上の問題、解剖学上の脆弱性、喘息及び喘息発作重積状態、呼吸器感染症の相対的な易罹患性(免疫障害を原因とする等)、並びに/又は過剰の粘液産生を原因とするか又はそれらに関連する。
図1は、CFTR増強物質アイバカフトールが、野生型CFTR活性を増強することを示す。 図1Aは、気液界面にて成長した後、ウッシングチャンバー内に装着され、Cl−分泌勾配の設定においてアミロライド(100μM)及びフォルスコリン(100nM)の後にアイバカフトール(VX−770;10μM)又はビヒクル対照で刺激された、野生型CFTRの相補的な発現を有する及び有さないCFBE41o−細胞を示す。WT−CFTRの安定な発現(レンチウィルスプロモーターによる)により補完されたCFBE41o−細胞は、WT CFTR補完を有さなかったCFBE41o−細胞(親細胞)と比較して示されている。P<0.05、**P<0.005、n=5/条件。 図1Bは、アミロライド(100μM)の設定においてフォルスコリン(100nM)及びアイバカフトール(VX−770;10μM)又はビヒクル対照、次いでCFTR Inh−172(10μM)に連続的に暴露された細胞の代表的なIsc記録を示す。 図2は、CFTR増強物質アイバカフトールが、ASLの深さを増大させ、粘膜毛様体クリアランスを増大させることを示す。 図2Aは、アッセイの24時間前に、ビヒクル対照又はアイバカフトール(VX−770;10μM)を基底面コンパートメントに暴露した後のHBE細胞の表面由来の代表的なZ走査共焦点画像を示す。白色の尺度バーは10μmを示す。 図2Bは、図2Aに示した実験からの概略データを示す。**P<0.005、n=10/条件。点線は、全く同一の方法を使用したCF HBE細胞のパネルのASLの深さを示す。 図2Cは、HBE細胞に由来する粘膜毛様体輸送速度を示す。時間=0時間の測定直後、cAMP作動薬VIP(30nM)と共刺激した単層の基底面コンパートメントに、アイバカフトール(VX−770;10μM)又はビヒクル対照を加えた。**P<0.001対ビヒクル対照、n=10粒子/条件。 図2Dは、頂端にてCSE(2%)又はビヒクル(2%DMSOを有する培地)に24時間暴露された、及び基底面にてVX−770(10μM)又はビヒクル(0.1%DMSO)に暴露された、完全に分化したHBE細胞の代表的なSD−OCT画像を示す。ASLの深さは、赤色バーとして示す。白色の尺度バー=10μm。 図3は、CFTR増強物質アイバカフトールが、野生型CFTR活性を増強することを示す。 図3Aは、粘膜層を切開した後、電圧クランプ状態下でウッシングチャンバーに装着し、同一のリンゲル液に浸した正常なヒト対象由来の気管支の代表的なIsc記録を示す。アミロライド(100μM)、フォルスコリン(100nM)、及びアイバカフトール(VX−770;10μM)又はビヒクル対照、次いで対照添加としてのATP(10μM)及びCFTR Inh−172(10μM×2)の連続添加を示す。 図3Bは、図3Aに示した実験に由来する概略データを示す。アイバカフトール(VX−770)又はビヒクル対照を加えた後のIscにおける変化を示す。P<0.05、n=19、24サンプル/条件。 図4は、μOCTによる、ヒト気管支上皮細胞内の気道上皮機能に対するCFTR活性化因子の効果を示す。欠陥CFTRを含む対照HBE細胞(指定対照、CF)及びWT−CFTRを含むHBE細胞(指定対照及びVX−770、野生型)は、ビヒクル単独(対照;0.2%DMSO)又はアイバカフトール(10μM)を受容した。パネルA〜Dは、μOCT画像から定量化したASLの深さ(A)、PCLの深さ(B)、繊毛拍動振動数(C)、及び粘膜毛様体輸送(MCT)速度(D)を示す。 図5は、μOCTによる、ヒト気管支上皮細胞内の気道上皮機能に対するCFTR活性化因子の効果を示す。パネルAは、ビヒクル(対照;2%DMSOを有する培地)、CSE(2%)、CSE(2%)及びアイバカフトール(10μM)又はアイバカフトール単独(10μM;0.1%DMSO)に暴露した、完全に分化したHBE細胞の代表的なμOCT画像を示す。CSEは頂端に適用され、アイバカフトールは基底面に適用された。細胞を各条件に24時間暴露した。ASLの深さは、暗色バーとして示す。白色の尺度バー=10μm。パネルB〜Dは、μOCT画像から定量化したASLの深さ(B)、繊毛拍動振動数(C)、及び粘膜毛様体輸送(MCT)速度(D)を示す。データは、ウェル当たり5回の測定、及び条件当たり3つのウェルに由来する。 図6は、μOCTによる、ヒト気管支組織内の気道上皮機能に対するCFTR活性化因子の効果を示す。パネルA〜Cは、各々、ASLの深さ、CBF及びMCTを示す。パネルA〜Cは、各々、アイバカフトール処置(10μM)に応答したASLの深さ、CBF及びMCTを示す。 図7は、μOCTによる、無処置ブタ気管内の気道上皮機能に対するCFTR活性化因子の効果を示す。パネルA及びBは、CFTR−/−(パネルA)及びCFTR+/+(パネルB)動物に関する代表的なμOCT画像を示す。パネルC〜Fは、各々、CFTR−/−及びCFTR+/+動物のμOCT画像に由来するASLの深さ、PCLの深さ、CBF及びMCT測定値を示す。パネルG及びHは、上皮機能パラメーターの応答、即ち、アイバカフトール(10μM)、フォルスコリン(100nM)及びアセチルコリン(100μM)による連続的な薬理的介入に応答した、CFTR−/−及びCFTR+/+動物におけるASLの深さ及びMCTを示す。
気道表面の粘膜毛様体輸送及び機能は、ヒト呼吸器系に関する活発な研究の一領域である。健康な気道内では、繊毛の層が気道粘液を連続的に輸送し、これは微粒子混入及び生物学的侵入物に対する防御のための重要な機構である。
粘膜毛様体クリアランスにおける欠陥は、当技術分野にて既知である。1つの一般的な例は、嚢胞性線維症(CF)である。CFは、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)内の突然変異を原因とする。CFTRは、外分泌組織内で優勢に発現している上皮アニオンチャネルである。CFTRをコードする遺伝子の突然変異は、CFの直接の原因である。肺において、CFTR機能の喪失は、気道表面液体(ASL)の欠乏、肥厚した粘膜、粘膜毛様体クリアランスの低下、慢性細菌感染、及び過剰の炎症をもたらす。これが長引くと、濃縮された呼吸器分泌物に起因する肺閉塞、及び気管支拡張が生じ、呼吸器不全を引き起こす。
粘膜毛様体クリアランスに影響するCF及び他の状態は、非限定的にCFTR等の粘膜毛様体クリアランス器官内の先天性欠陥を原因とする。CFTR内に先天性欠陥を有する対象においてCFTRの活性を増大させる化合物が、当技術分野にて既知である。
しかしながら、本開示は、準最適な粘膜毛クリアランス及び/又は過剰の粘液産生を有する対象における粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能の向上に基づいており、また、対象が細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない、準最適な粘膜毛クリアランス及び/又は過剰の粘液産生を有する対象における粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能の向上に基づいている。結果として、粘膜毛様体クリアランス器官の機能が改善される。
細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性の増大又は向上は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない個人の間であっても、重要な臨床的意義を有する。細胞粘膜毛様体クリアランス器官の重要な一メンバーは、CFTRである。上述したように、CFTR内の突然変異は、準最適な粘膜毛クリアランスをもたらし得る。一実施形態において、本開示は、CFTR内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は後天性異常を有さない対象において、CFTRの活性及び/又は機能を増大させて、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる化合物を使用する。一実施形態において、粘膜毛様体クリアランスは、超正常なレベルに向上される。最近、CFTR増強物質アイバカフトール(Kalydeco(商標)、VX−770)が、第2相及び第3相試験での著しい改善に基づいて、G551D−CFTRゲート突然変異を有するCF患者での使用に最近認可された(Ramsey B W,et al.,The New England Journal of Medicine 2011;365:1663−1672;Accurso F J,et al.,N Engl J Med 2010;363:1991−2003)。アイバカフトールは、cAMP仲介CFTRチャネル開閉を増強することによりアニオン分泌を確実に向上させ(Van Goor,F.et al.,Proc Natl Acad Sci USA 2009;106:18825−18830)、気道流体分泌の増大をもたらす。
本開示は、対象内の細胞粘膜毛様体クリアランス器官の構成要素の活性を増大させることにより、対象における粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能を向上させることに基づいている。一実施形態において、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の構成要素は、CFTRである。一実施形態において、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性又は遺伝的欠陥を有さない。別の実施形態では、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない。別の実施形態では、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性又は遺伝的欠陥を有さず、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない。
一実施形態において、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスは、神経筋疾患を原因とするか又はこの疾患に関連する。神経筋疾患は、非限定的に筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、ALS等の先天性又は後天性遺伝的状態を原因とするか又はこの状態に関連し得る。
別の実施形態では、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスは、筋力低下をもたらす後天性の解剖学上の問題を原因とするか又はこの問題に関連する。筋力低下をもたらすそのような後天性の解剖学上の問題は、非限定的に対麻痺、四肢麻痺、及び横隔膜麻痺等の状態を原因とするか又はこの状態に関連する。
尚別の実施形態では、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスは、過剰の粘液産生を原因とするか又はこの粘液産生に関連する。そのような過剰の粘液産生は、例えば、非限定的に喘息及び喘息発作重積(asthmaticus)等の状態を原因とするか又はこの状態に関連し得る。
尚別の実施形態では、対象における粘膜毛様体クリアランスは正常であるが、対象は、免疫不全を原因として呼吸器感染症の罹患率の増大に苦しんでいる。呼吸器感染症の危険性は、粘膜毛様体クリアランスの向上により低減することができる。
前述の任意の実施形態において、対象は細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない。前述の一実施形態において、粘膜毛様体クリアランスは、超正常レベルに向上される。前述の一実施形態において、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内の後天性異常は、非限定的に喫煙又は慢性閉塞性肺疾患等の環境的因子を原因とし得る。
化合物
本明細書に開示した方法に有用な化合物としては、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の任意の既知の活性化因子が挙げられる。一実施形態において、そのような活性化因子は、CFTR活性化因子化合物である。一実施形態において、CFTR活性化因子はCFTR増強物質である。既知のCFTR増強物質は、アントラセン−9−カルボン酸(9−アントロン酸)、フロキシンB、ベンゾイミダゾロン類似体NS004及びNS1619、ゲニステイン、7−n−ブチル−6−(4−ヒドロキシフェニル)[5H]ピロロ[2,3−b]ピラジン(アロイシンA)、2−(2−(1H−インドール−3−イル)−N−メチルアセトアミド)−N−(4−イソプロピルフェニル)−2−フェニルアセトアミド(PG01)、N−シクロヘプチル−6−(N−エチル−N−フェニルスルファモイル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(SF01)、スルホンアミド6−(N−エチル−N−フェニルスルファモイル)−N−(2−メトキシベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(SF03)、カプサイシン及びクルクミンであるが、これらに限定されない。
一実施形態において、化合物は、下記の一般式I
Figure 0006525203
の化合物である。この構造において、R及びRは、各々独立して、H、OH、又は置換若しくは非置換のC1〜C7アルキル鎖であり、Rは、OH又はHである。
本明細書で使用される用語「アルキル」は、単独で、又は置換基若しくは結合基の一部として使用されるかに係わらず、1〜4個の炭素原子を含む直鎖炭化水素基を含む。それ故、この表現は、メチル、エチル、プロピル等の直鎖アルキル基を含む。この表現はまた、非限定的に、例として提供される以下のもの:−CH(CH、−C(CH、−CH(CH)(CHCH)、−CH(CHCH、及び他を含む、直鎖アルキル基の分岐鎖異性体も含む。この表現は、シクロプロピル及びシクロブチル等の環状アルキル基も含む。
一実施形態において、R及びRの各々は、−C(CHであり、Rは、OHである。
特定の実施形態において、化合物はアイバカフトール(VX−770)であり、IIに示す構造を有する。
Figure 0006525203
一実施形態において、CFTR活性化因子化合物は、CFTR増強物質である。別の実施形態では、CFTR活性化因子化合物は、一般式Iの化合物である。尚別の実施形態では、CFTR活性化因子化合物は、アイバカフトール(VX−770)である。
別の実施形態では、CFTR活性化因子化合物は、ロフルミラスト、及び、cAMPの上昇を介してCFTRを活性化する他のPDE類似体である。
別の実施形態では、CFTR活性化因子は、イソフラボン(例えば、ゲニステイン、ケルセチン等)等のフラボノイドである。
別の実施形態では、CFTR活性化因子は、cAMP又はPKAの作動薬である。
別の実施形態では、薬剤は、カルシウム活性化塩化物チャネル等のアニオン輸送の他のモジュレーターを活性化し得る。
処置方法
本開示は、非限定的にCFTR活性化因子等の、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性化因子が、対象における粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能の向上に有効であることを示す。従って、それらの化合物は、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスの処置に有効である。一実施形態において、それらの化合物は、一般式Iの化合物である。本開示は更に、CFTRの活性及び/又は機能の増大に有効な化合物は、対象における粘膜毛様体クリアランス及び/又は気道上皮細胞機能の向上に有効であり、従って対象における粘膜毛様体クリアランスを増大させることを示す。前述の利益は、粘膜毛様体器官が機能的に正常であると考慮される場合でも達成される。一実施形態において、そのような化合物は、粘膜毛様体クリアランス器官の構成要素の向上を介して、対照内で超正常なレベルへ粘膜毛様体クリアランスを誘導する。
本開示は更に、それらの化合物が、気道上皮細胞機能のパラメーターの増大に有効であることを示す。気道上皮細胞機能の関連するパラメーターとしては、気道表面液体(ASL)の深さ、毛様体周囲液体(PCL)の深さ、毛様体拍動振動数(CBF)及び粘膜毛様体輸送(MCT)の速度が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、気道上皮細胞機能の単一のパラメーターが増大される。代替的な実施形態では、気道上皮細胞機能の2つ以上のパラメーターが増大される。代替的な実施形態では、気道上皮細胞機能の3つ以上のパラメーターが増大される。代替的な実施形態では、気道上皮細胞機能の更に4つの全パラメーターが増大される。特定の実施形態では、MCTの速度が増大される。特定の実施形態では、ASLの深さが増大される。特定の実施形態では、ASLの深さ及びMCTの速度が増大される。別の特定の実施形態では、ASLの深さ、CBF及びMCTの速度が増大される。別の特定の実施形態では、ASLの深さ、PCLの深さ及びMCTの速度が増大される。別の特定の実施形態では、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF及びMCTの速度が増大される。別の特定の実施形態では、気道上皮細胞機能のパラメーターの増大の結果として、粘液粘度が改善(即ち、低下)される。所定の実施形態では、粘液の粘度は、ASLの深さ、PCLの深さ又はCBF等の気道上皮細胞パラメーターにおける注目すべき相違、又は、対応する改善を有することなく改善される。粘液粘度の改善は、CFTR又はカルシウム活性化塩化物チャネルを介した流体及び/又は重炭酸塩の移動の増大からもたらされ得る。
気道上皮細胞機能の1つ以上のパラメーターの増大の結果として、対象における粘膜毛様体クリアランスが向上される。一実施形態において、粘膜毛様体クリアランスは、超正常なレベルに向上される。前述の各々の一実施形態では、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性又は遺伝的欠陥を有さない。前述の一実施形態において、対象は、CFTR内に先天性又は遺伝的欠陥を有さない。前述の一実施形態において、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない。前述の一実施形態において、対象は、CFTR内に後天性異常を有さない。
一実施形態において、本開示は、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスの処置方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の尚別の実施形態では、そのような投与は、気道上皮細胞機能のパラメーターを増大させる。この実施形態の一態様において、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、MCTの速度、又は前述の組み合わせである。
別の実施形態では、本開示は、対象における粘膜毛様体クリアランスの増大のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の尚別の実施形態では、そのような投与は、気道上皮細胞機能のパラメーターを増大させる。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、MCTの速度、又は前述の組み合わせである。
別の実施形態では、本開示は、対象におけるCFTRの活性の増大のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を増大させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の尚別の実施形態では、そのような投与は、気道上皮細胞機能のパラメーターを増大させる。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、MCTの速度、又は前述の組み合わせである。
別の実施形態では、本開示は、対象における粘液粘度の改善(即ち、粘液粘度の低下)のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。粘液の粘度を決定する方法は当技術分野にて既知であり、光退色後のインサイチュー(in suit)蛍光発光、及び粒子追跡マイクロレオロジーが挙げられる。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の一実施形態では、粘液粘度は、非限定的にASLの深さ、PCLの深さ、CBF及びMCTの速度等の気道上皮細胞機能のパラメーターの増大の結果として改善される。この方法の一実施形態では、粘液粘度は、ASLの深さ、PCLの深さ又はCBF等の気道上皮細胞パラメーターにおける注目すべき相違、又は、対応する改善を有することなく改善される。そのような実施形態では、粘液粘度の改善は、CFTR又はカルシウム活性化塩化物チャネルを介した流体及び/又は重炭酸塩の移動の増大からもたらされ得る。
別の実施形態では、本開示は、対象における気道上皮細胞機能のパラメーターの向上のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さを増大させる。更なる別の態様では、そのようなパラメーターは、MCTの速度を増大させる。尚更なる態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さを増大させ、MCTの速度を増大させる。尚更なる態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さを増大させ、PCLの深さを増大させ、CBFを増大させ、MCTの速度を増大させ、又は前述の組み合わせである。
別の実施形態では、本開示は、対象におけるMCTの速度の増大のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の尚別の実施形態では、そのような投与は、MCTの速度を増大させ、また、気道上皮細胞機能の他のパラメーターに加えて、増大させる。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さである。
別の実施形態では、本開示は、対象におけるASLの深さの増大のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の尚別の実施形態では、そのような投与は、ASLの深さを増大させ、また、気道上皮細胞機能の他のパラメーターに加えて、増大させる。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、PCLの深さ、CBF、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、MCTの速度である。
別の実施形態では、本開示は、対象におけるPCLの深さの増大のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の尚別の実施形態では、そのような投与は、PCLの深さを増大させ、また、気道上皮細胞機能の他のパラメーターに加えて、増大させる。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、CBF、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、MCTの速度、又は前述の組み合わせである。
別の実施形態では、本開示は、対象におけるCBFの増大のための方法を提供する。そのような方法は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官の活性を向上させることが可能な量の活性化因子化合物を、対象に投与するステップを含む。一実施形態において、そのような活性化因子化合物は、CFTR活性化因子、又はその薬理学的に許容され得る塩である。一実施形態において、そのような投与は、CFTRの活性及び/又は機能を向上させる。別の実施形態では、活性化因子化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送機構を、直接又は間接的に活性化させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを向上させる。この方法の別の実施形態では、そのような投与は、対象における粘膜毛様体クリアランスを超正常なレベルに向上させる。この方法の尚別の実施形態では、そのような投与は、CBFを増大させ、また、気道上皮細胞機能の他のパラメーターに加えて、増大させる。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、PCLの深さ、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、MCTの速度、又は前述の組み合わせである。
前述の方法の一態様において、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性又は遺伝的欠陥を有さない。前述の方法の別の態様では、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない。前述の方法の尚別の態様では、対象は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性又は遺伝的欠陥を有さず、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない。前述の方法の尚別の態様では、対象は、CFTR内に先天性又は遺伝的欠陥を有さない。前述の方法の尚別の態様では、対象は、CFTR内に後天性異常を有さない。
前述の方法の一態様において、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスは、神経筋疾患を原因とするか又はこの疾患に関連する。神経筋疾患は、非限定的に筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、ALS等の先天性又は後天性遺伝的状態を原因とするか又はこの状態に関連し得る。
前述の方法の別の態様では、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスは、筋力低下をもたらす後天性の解剖学上の問題を原因とするか又はこの問題に関連する。筋力低下をもたらすそのような後天性の解剖学上の問題は、非限定的に対麻痺、四肢麻痺、及び横隔膜麻痺等の状態を原因とするか又はこの状態に関連し得る。
前述の方法の尚別の態様では、対象における粘膜毛様体クリアランスは正常であるが、対象は、免疫不全を原因として呼吸器感染症の罹患率の増大に苦しんでいる。呼吸器感染症の危険性は、粘膜毛様体クリアランスの向上により低減することができる。
前述の方法の更なる別の態様において、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスは、過剰の粘液産生を原因とするか又はこの産生に関連する。そのような過剰の粘液産生は、非限定的に喘息及び喘息発作重積状態等の状態を原因とするか又はこの状態に関連し得る。
前述の方法の更なる別の態様において、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスは、環境的因子を原因とするか又はこの因子に関連する。そのような環境的因子としては、喫煙が挙げられるが、これに限定されない。
前述の方法の一態様において、化合物は、CFTR活性化因子化合物である。前述の方法の別の態様では、CFTR活性化因子は、CFTR増強物質である。前述の方法の尚別の態様では、CFTR活性化因子化合物は、一般式Iの化合物である化合物である。前述の方法の更なる別の態様では、CFTR活性化因子化合物は、アイバカフトール(VX−770)である。前述の方法の別の態様では、CFTR活性化因子は、非限定的にロフルミラスト等のcAMP上昇作動薬である。前述の方法の別の態様では、CFTR活性化因子化合物は、cAMPの上昇を介してCFTRを活性化させるPDE類似体である。前述の方法の別の態様では、CFTR活性化因子は、非限定的にイソフラボン等のフラボノイドである。好適なイソフラボンとしては、ゲニステイン、及びケルセチンが挙げられるが、これらに限定されない。前述の方法の別の態様では、CFTR活性化因子は、cAMP又はPKAの作動薬である。前述の方法の別の態様では、化合物は、非限定的にカルシウム活性化塩化物チャネル等の他のアニオン輸送を活性化させる。
前述の方法の尚別の態様では、化合物は、単独で、又は、本明細書に記載した医薬組成物の一部として投与されてもよい。単一の本開示の化合物を投与してもよく、又は複数の本開示の化合物を投与してもよい。この実施形態の一態様では、化合物は一般式Iの化合物である。更に、前述の方法の尚別の態様では、投与される化合物は、アイバカフトール(VX−770)である。
前述の方法の尚別の態様では、対象は、そのような処置を必要とするとして決定される。前述の方法の尚別の態様では、化合物は、治療的有効量で投与される。
前述の方法の更なる別の態様では、対象は、哺乳動物であってもよい。所定の実施形態では、対象はヒトである。
前述の方法の尚別の態様では、処置される対象は、1つ以上の追加の活性薬剤で処置されてもよい。1つ以上の追加の活性薬剤と、本明細書に記載した化合物又はその薬学的に許容され得る塩又はプロドラッグとは、単一の組成物中で、又は別個の組成物中で、同時投与、及び数日間迄のオーダーで時間的に隔てられた投与を含む任意の順序で一緒に投与されてもよい。本方法は、1つ以上の追加の活性薬剤、及び/又は本明細書に記載した化合物若しくはその薬学的に許容され得る塩若しくはプロドラッグの、一回を超える投与も含み得る。1つ以上の追加の薬剤、及び本明細書に記載した化合物又はその薬学的に許容され得る塩若しくはプロドラッグの投与は、同時の又は連続的な、同一の又は異なる経路によるものであってもよい。
前述の方法の尚別の態様では、本開示の化合物は、75〜750mg/日の用量で投与される。本開示の化合物は、1日1回、1日2回、又は1日2回を超えて投与されてもよい。一実施形態において、化合物はアイバカフトール(VX−770)であり、化合物は、1日1、2回、総用量300mg/日で投与される。
医薬組成物
ある量の本開示の化合物を含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、そのような医薬組成物は、治療的有効量の化合物を含む。特定の実施形態では、化合物は、非限定的にアイバカフトール(VX−770)等の一般式Iの化合物である。加えて、他の活性薬剤をそのような医薬組成物に含めることができる。含まれる更なる活性薬剤は、処置される疾病又は状態に基づいて選択されてもよい。
開示した医薬組成物は、1つ以上の本開示の化合物を、単独で又は追加の活性薬剤との組み合わせで、薬学的に許容され得る担体と組み合わせて含んでもよい。それらの担体及び処方方法の例は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(20th Ed.,Lippincott,Williams&Wilkins,Daniel Limmer、編集者)に見出すことができる。そのような医薬組成物は、本明細書に記載した処置及び予防の方法に使用される医薬の製造に使用され得る。本開示の化合物は、遊離形態及び薬学的に許容され得る塩の形態の両方で有用である。
非限定的にビヒクル、補助剤、賦形剤又は希釈剤を含む、本明細書に記載した薬学的に許容され得る担体は、当業者に周知である。薬学的に許容され得る賦形剤も、当業者に周知である。賦形剤の選択は、部分的には、特定の化合物により、及び、組成物の投与に用いられる特定の方法により決定されるであろう。従って、本発明の医薬組成物の非常に様々な好適な製剤が存在する。下記の方法及び賦形剤は、単なる例示であり、如何様にも限定するものではない。好適な担体及び賦形剤としては、水、アルコール、及びプロピレングリコール等の溶媒、固体吸収剤(absorbant)及び希釈剤、表面活性剤、懸濁剤、錠剤結合剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、並びに着色剤が挙げられる。薬学的に許容され得る担体は、ポリマー及びポリマーマトリックスを含んでもよい。一般に、薬学的に許容され得る担体は、組成物中の活性薬剤に対して化学的に不活性であり、使用の条件下で有害な副作用又は毒性を有さない。
本開示の化合物、及び、本開示に記載されたそれらの化合物を含む医薬組成物は、個々の治療薬として、又は追加の治療薬との組み合わせのいずれかで、医薬品に関連した使用に利用できる任意の従来の方法により投与されてもよい。
一実施形態において、本開示の化合物は、治療的有効量で単独で又は医薬組成物の一部として投与される。投与される治療的有効量及び投与量は、勿論、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与モード及び経路、レシピエントの年齢、健康、及び体重;病状又は状態の重篤さ及び段階;併用処置の種類;処置の頻度;並びに所望の効果等の既知の因子に応じて変動するであろう。
投与される化合物の総量はまた、投与の経路、タイミング及び頻度、並びに化合物の投与に付随し得る任意の有害な副作用の存在、性質、及び程度、並びに所望の生理学的効果により決定されるであろう。当業者は、様々な状態又は病状、特に慢性状態又は病状は、複数の投与を含む長期の処置が必要であり得ることを認識するであろう。
本開示の化合物は、これらの医薬組成物中に、通常、組成物の総重量に基づいて約0.5〜95重量%の量で存在するであろう。複数の剤形が単一の処置の一部として投与されてもよい。
活性薬剤は、カプセル剤、錠剤及び散剤等の固体剤形で、又はミルク、エリキシル剤、シロップ剤及び縣濁液等の液体剤形で、経腸投与されてもよい。活性薬剤はまた、無菌液体剤形で非経口投与されてもよい。本開示の化合物はまた、噴射剤ベースの定用量吸入器、又は乾燥粉末吸入装置による等、鼻腔内に(点鼻薬)、又は、経肺システムを介した吸入により投与されてもよい。パッチ機構又は軟膏を介した経皮投与等の他の剤形も潜在的に可能である。
経腸又は経口投与に好適な製剤は、ミルク、水、生理食塩水、緩衝溶液、調整粉乳、他の好適な担体、又はこれらの組み合わせ等の希釈剤に溶解された治療的有効量の化合物等の液体溶液であってもよい。そのため、化合物は投与の直前に希釈剤と混合されてもよい。代替的な実施形態では、経腸又は経口投与に好適な製剤は、カプセル剤、薬袋、錠剤、ロゼンジ及びトローチであってもよい。各実施形態において、製剤は、固体又は顆粒、粉末、縣濁液としての所定量の本開示の化合物と、好適な乳剤とを含んでもよい。液体製剤は、薬学的に許容され得る界面活性剤、懸濁剤、又は乳化剤と伴に又は伴わずに、水及びアルコール、例えば、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、及びポリエチレンアルコール等の希釈剤を含んでもよい。カプセル剤形は、例えば、界面活性剤、滑沢剤、及び、乳糖、ショ糖、リン酸カルシウム及びトウモロコシ澱粉等の不活性充填剤を含む通常の硬−又は軟−シェルゼラチンタイプのものであってもよい。錠剤剤形は、以下の1つ以上を含んでもよい:乳糖、ショ糖、マンニトール、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、アルギン酸、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、グァーガム、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、希釈剤、緩衝剤、錠剤崩壊剤、湿潤剤、保存剤、着香剤、並びに薬理学的に適合可能な担体。
ロゼンジ剤形としては、通常はショ糖及びアカシア又はトラガカントである香味剤中の活性成分、ゼラチン及びグリセリン又はショ糖及びアカシア等の不活性基剤中の活性成分を含むトローチ、乳剤、並びに活性成分に加えて当技術分野にて既知の担体を含むゲルを挙げることができる。
非経口投与に好適な製剤としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び、製剤を患者の血液と等張等浸透圧にする溶質を含んでもよい水性及び非水性の等張等浸透圧の無菌注射溶液、並びに懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤及び保存剤を含んでもよい水性及び非水性の無菌縣濁液が挙げられる。化合物は、無菌液体又は液体の混合物等の、薬学的に許容され得る担体中の生理学的に許容され得る希釈剤中で投与されてもよく、この液体には、水、生理食塩水、右旋糖及び関連した糖水溶液、エタノール、イソプロパノール又はヘキサデシルアルコール等のアルコール、プロピレングリコール等のグリコール又はポリ(エチレングリコール)400等のポリエチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール等のグリセロールケタール、エーテル、油、脂肪酸、脂肪酸エステル若しくはグリセリド、又は、石鹸若しくは洗剤等の薬学的に許容され得る界面活性剤を添加した若しくは添加していないアセチル化脂肪酸グリセリド、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはカルボキシメチルセルロース等の懸濁剤、又は乳化剤、及び他の医薬補助剤が挙げられる。
非経口製剤中に使用できる油としては、石油、動物油、野菜油又は合成油が挙げられる。油の特定の例としては、ピーナッツ、大豆、ゴマ、綿の実、トウモロコシ、オリーブ、ワセリン及びミネラルが挙げられる。非経口製剤中に使用される好適な脂肪酸としては、オレイン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸が挙げられる。オレイン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルは、好適な脂肪酸エステルの例である。非経口製剤中に使用される好適な石鹸としては、脂肪アルカリ金属、アンモニウム及びトリエタノールアミン塩が挙げられ、好適な洗剤としては、(a)例えば、ハロゲン化ジメチルジアルキルアンモニウム及びハロゲン化アルキルピリジニウム等のカチオン性洗剤、(b)例えば、アルキル、アリール及びオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリド硫酸塩、及びスルホスクシネート等のアニオン性洗剤、(c)例えば、脂肪酸化アミン、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリオキシエチレンポリプロピレンコポリマー等の非イオン性洗剤、(d)例えば、アルキルβ−アミノプロピオネート及び2−アルキルイミダゾリン第4級アンモニウム塩等の両性洗剤、並びに(e)これらの混合物が挙げられる。
非経口製剤は、一般に、溶液中に約0.5重量%〜約50重量%の化合物を含む。好適な保存剤及び緩衝液をそのような製剤中に使用してもよい。注射部位の刺激を最小限にし又は排除するために、それらの組成物は、約12〜約17の親水性−親油性バランス(HLB)を有する1種以上の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。そのような製剤中の界面活性剤の量は、約5重量%〜約15重量%の範囲である。好適な界面活性剤としては、モノオレイン酸ソルビタン等のポリエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びプロピレンオキシドとプロピレングリコールとの縮合により形成された、エチレンオキシドと疎水性基材との高分子量付加物が挙げられる。
本開示の化合物は、経鼻又は経肺吸入を介して投与されるエアロゾル製剤に処方されてもよい。これらのエアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン及び窒素等の、加圧された、許容され得る噴射剤中に置かれてもよい。そのようなエアロゾル製剤は、定用量吸入器により投与されてもよい。また、ネブライザー又はアトマイザー内にあるような、非加圧製剤用の医薬として処方されてもよい。
本開示の化合物は、単独で又は他の好適な構成成分との組み合わせで、鼻又は肺スプレーとして水性溶液中で投与されてもよく、当技術分野にて既知の多様な方法により噴霧形態で分配されてもよい。液体を鼻スプレーとして分配するシステムは、米国特許第4,511,069号明細書に開示されている。製剤は、多用量容器内、例えば米国特許第4,511,069号明細書に開示されている密封分配システム内に存在してもよい。更なるエアロゾル送達形態としては、例えば、医薬溶媒、例えば水、エタノール、又はそれらの混合物に溶解又は懸濁された活性薬剤を送達する、圧縮空気ネブライザー、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー及び圧電式ネブライザーを挙げることができる。
本発明の鼻及び肺溶液は、一般に、場合により非イオン性界面活性剤等の表面活性剤(例えばポリソルベート−80)、及び1種以上の緩衝液と共に処方された、送達される薬物又は薬物を含む。本発明のいくつかの実施形態では、鼻噴霧溶液は、更に噴射剤を含む。鼻噴霧溶液のpHは、場合により約pH3.0〜6.0、好ましくは4.5+−0.5である。これらの組成物中に使用される好適な緩衝液は、上述した通りであり、又はさもなければ当技術分野にて既知である。保存剤、界面活性剤、分散剤又は気体を含む他の構成成分を加えて、化学的安定性を向上させ又は維持してもよい。好適な保存剤としては、フェノール、メチルパラベン、パラベン、m−クレゾール、チオメルサール、クロロブタノール、塩化ベンジルアルコニウム等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な界面活性剤としては、オレイン酸、三オレイン酸ソルビタン、ポリソルベート、レシチン、ホスファチジルコリン、並びに様々な長鎖ジグリセリド及びリン脂質が挙げられるが、これらに限定されない。好適な分散剤としては、エチレンジアミンテトラ酢酸等が挙げられるが、これらに限定されない。好適な気体としては、窒素、ヘリウム、クロロフルオロカーボン(CFCs)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)、二酸化炭素、空気等が挙げられるが、これらに限定されない。
代替的な実施形態において、経鼻及び経肺製剤は、適切な粒子サイズの、又は適切な粒子サイズ範囲内の乾燥形態の、通常は凍結乾燥形態の活性薬剤を含む、鼻腔内送達用の乾燥粉末製剤として投与される。経鼻又は経肺通路内の堆積に適切な最小粒子サイズは、多くの場合、約0.5μmである。空気動力学的中央粒子径(MMEAD)は、通常、約1μm MMEAD、より一般的には約2μm MMEADである。経鼻通路内での堆積に適切な最大粒子サイズは、多くの場合、約10μm MMEAD、通常は約8μm MMEAD、より一般的には約4μm MMEADである。これらのサイズ範囲内の経鼻的及び経肺的に吸収可能な粉末は、ジェット粉砕、噴霧乾燥、溶媒沈殿、超臨界流体濃縮等の多様な従来の技術により製造することができる。適切なMMEADのこれらの乾燥粉末は、従来の乾燥粉末吸入器(DPI)を介して患者に投与することができ、この吸入器(DPI)は、患者の呼吸に依存し、肺又は鼻吸入後、粉末をエアルゾル化量に分散する。代替的に、乾燥粉末は、外部動力源を使用して粉末をエアルゾル化量に分散する空気補助装置、例えばピストンポンプを介して投与されてもよい。
経鼻又は経肺送達用の組成物を処方するために、活性薬剤は、様々な薬学的に許容され得る添加剤、及び活性薬剤の分散のための基剤又は担体と組み合わされてもよい。所望の添加剤としては、アルギニン、水酸化ナトリウム、グリシン、塩酸、クエン酸等のpH制御剤が挙げられるが、これに限定されない。加えて、局所麻酔剤(例えばベンジルアルコール)、等張剤(例えば塩化ナトリウム、マンニトール、ソルビトール)、吸着阻害剤(例えばTween 80)、溶解促進剤(例えばシクロデキストリン及びその誘導体)、安定剤(例えば血清アルブミン)、及び還元剤(例えばグルタチオン)を含めることができる。経鼻又は経肺送達用の組成物が液体の場合、製剤の浸透圧は、1とした0.9%(w/v)の生理学的生理食塩水溶液の浸透圧を参照して測定して、一般に、実質的な、不可逆的な組織損傷が鼻粘膜の投与部位内に誘導されない値に調整される。概して、溶液の浸透圧は、約1/3〜3、より一般的には1/2〜2、最も頻繁には3/4〜1.7の値に調整される。
本開示の化合物は、活性薬剤及び任意の所望の添加剤を分散する能力を有する親水性化合物を含み得る基剤又はビヒクル中に分散されてもよい。基剤は、非限定的に、ポリカルボン酸又はその塩、カルボン酸無水物(例えば無水マレイン酸)と他のモノマー(例えば(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸等)とのコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性ビニルポリマー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、並びにキトサン、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、ヒアルロン酸等の天然ポリマー、及びそれらの無毒の金属塩を含む、非常に様々な好適な担体から選択することができる。多くの場合、基剤又は担体として生分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸、ポリ(乳酸−グリコール酸)コポリマー、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ(ヒドロキシ酪酸−グリコール酸)コポリマー、及びそれらの混合物が選択される。代替的に又はこれに加えて、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の合成脂肪酸エステルが担体として使用され得る。親水性ポリマー及び他の担体は、単独で又は組み合わせで使用することができ、部分的結晶化、イオン結合、架橋等により、担体に構造的完全性の向上を付与することができる。担体は、流体又は粘性溶液、ゲル、ペースト、粉末、ミクロスフィア、及び鼻粘膜への直接適用のためのフィルムを含む多様な形態で提供することができる。この状況おける選択された担体の使用は、活性薬剤の吸収の促進をもたらし得る。
本開示の化合物は、代替的に、必要に応じて、生理学的状態に近づける薬学的に許容され得る担体物質、例えばpH調整剤及び緩衝剤、浸透圧調整剤、湿潤剤等、例えば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン等を含んでもよい。固体組成物の場合、例えば医薬等級のマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、滑石、炭酸マグネシウム等を含む従来の無毒の薬学的に許容され得る担体を使用することができる。
本開示の組成物はまた、溶液、マイクロエマルション、又は高濃度の活性成分に好適な、指示された他の構造として処方されてもよい。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、及びこれらの好適な混合物を含む溶媒又は分散媒体であってもよい。溶液に適切な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用により、分散性製剤の場合は所望の粒子サイズの維持により、及び、界面活性剤の使用により、維持することができる。
所定の実施形態において、本開示の化合物及び組成物は、徐放製剤にて、例えば遅延放出ポリマーを含む組成物中で投与される。そのような組成物は、急速放出から保護するであろう担体、例えばポリマー等の制御放出ビヒクル、マイクロカプセル化送達システム、又は生体接着性ゲルと共に調製されてもよい。本発明の様々な組成物における送達の延長は、組成物中に、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムヒドロゲル及びゼラチンを含めることによりもたらすことができる。制御放出製剤を所望する場合、本発明に従った使用に好適な制御放出結合剤は、活性薬剤に対して不活性であり、かつ生物学的に活性な薬剤を組み込むことが可能な任意の生体適合性の制御放出材料を含む。多数のそのような材料が、当技術分野にて既知である。局所投与に好適な製剤としては、活性成分に加えて、当技術分野にて既知のそのような担体を含むクリーム、乳剤及びゲルが挙げられる。
本開示の化合物及び組成物は、アンプル及びバイアル等の単一用量又は多用量の密封容器内にて提供されてもよく、使用直前に、注射用の無菌液体賦形剤、例えば、水の添加のみを必要とする凍結乾燥(freeze−dried)(凍結乾燥(lyophilized))状態で貯蔵されてもよい。即時注射溶液及び縣濁液は、無菌粉末、顆粒及び錠剤から調製されてもよい。注射用組成物に有効な薬学的に許容され得る担体に関する必要性は、当業者に周知である。Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Co.,Philadelphia,Pa.,Banker and Chalmers,Eds.,238−250(1982)及びASHP Handbook on Injectable Drugs,Toissel,4th ed.,622−630(1986)を参照されたい。
加えて、直腸投与に好適な製剤は、乳化基剤又は水溶性基剤等の多様な基剤と混合することにより、坐薬として提供することができる。経膣投与に好適な製剤は、活性成分に加えて、当技術分野にて適切であることが既知の担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレー配合物として提供されてもよい。
当業者は、本発明の化合物を患者に投与する好適な方法は入手可能であり、1つを超える経路が特定の化合物の投与に使用できるが、特定の経路が別の経路よりも急速かつ有効な反応を提供できることを認識するであろう。
アッセイ
本開示は、対象における準最適な粘膜毛様体クリアランスの処置、及び/又は、気道上皮細胞機能の増大に有効な化合物を特定する方法を提供する。本開示は、対象におけるCFTRの活性の増大に有効な化合物を特定する方法も提供する。本開示は、対象における対象における気道上皮細胞機能のパラメーターの増大に有効な化合物を特定する方法を提供する。この実施形態の一態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF、MCTの速度、又は前述の任意の組み合わせである。別の態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さの増大である。更なる別の態様では、そのようなパラメーターは、MCTの速度の増大である。尚更なる態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さの増大及びMCTの速度の増大である。尚更なる態様では、そのようなパラメーターは、ASLの深さの増大、PCLの深さの増大、CBFの増大、MCTの速度の増大、又は前述の組み合わせである。
前述の各々において、対象は、非限定的にCFTRを含む、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に先天性若しくは遺伝的欠陥を有さず、及び/又は、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内に後天性異常を有さない。
アッセイのいくつかの実施形態は、候補薬剤を本明細書に記載した系等の細胞系と接触させることと;細胞からの塩化物分泌、CFTRの活性、粘膜毛クリアランスの速度、ASLの深さ、PCLの深さ、CBFの速度及び/又はMCTの速度からなる群から選択される特性の測定値を得ることと;前記測定は、候補薬剤を細胞と接触させた後に行われることと;特性の測定値を特性に関するベースライン値と比較することと;特性の測定値が、特性のベースライン値よりも有意に高い場合、候補薬剤を推定上の薬剤として特定することと、を含む。
一実施形態において、そのようなスクリーニングアッセイは、例えば、適切なモデルシステム(非限定的に、本明細書に記載したシステム等)内で決定することにより行われてもよい。
そのようなスクリーニングアッセイは、インビトロ、インビボ又はエクスビボであってもよく、細胞培養物ベース(全細胞又は溶解物のいずれかを用いた)であってもよく、又は動物モデルに基づいてもよい。一実施形態において、アッセイは、ハツカネズミ鼻中隔上皮細胞又はヒト副鼻腔上皮細胞を使用する。いくつかの実施形態では、モデルシステムは、C57マウスからのハツカネズミ鼻中隔上皮細胞であってもよい。更なる実施形態では、モデルシステムは、Cormet−Boyaka et al.,FASEB J.23:3743−3751(2009)に記載されているように、マウスの鼻腔であってもよい。別の実施形態では、これはヒト気管支上皮細胞によるものであってもよい。別の実施形態では、これはヒト、ブタ、ラット又はハツカネズミの無処置気管であってもよい。
塩化物チャネルの発現は、例えば、ウッシングチャンバー内の膜を横切るアニオンフラックスを測定することにより、電気化学的に測定されてもよい。
一実施形態において、方法は、塩化物チャネルに結合する候補若しくは試験化合物又は薬剤(ポリペプチド、機能的核酸、炭水化物、抗体、小分子、又は他の分子)を特定することを含む。次いで、それらの化合物を更に適切なシステム(非限定的に、本明細書に記載したモデルシステム等)内で試験して、特定された化合物の活性を決定してもよい。
候補化合物は、非限定的に、塩化物チャネルを発現する細胞を使用するアッセイ(細胞ベースアッセイ)又は単離された塩化物チャネルを用いたアッセイ(細胞フリーアッセイ)等の多様なアッセイを用いて特定される。様々なアッセイは、塩化物チャネルの多様な変異体(例えば、完全長、生物学的に活性な断片、ポリペプチドの突然変異体形態、又は、所望のポリペプチドの全部又は一部分を含む融合タンパク質)を使用し得る。更に、塩化物チャネルは、任意の好適な哺乳動物種(例えば、ヒト、ブタ、ラット又はハツカネズミ)に由来してもよい。
塩化物チャネルがCFTRの場合、例えば、CFTRは任意の種からのCFTR、又は任意の種からのCFTRの既知の突然変異であってもよい。そのようなCFTR型のヌクレオチド及びポリペプチド配列は、Uniprot(www.uniprot.org)及びジェンバンク等の公開データベース上で当業者により入手可能である。
スクリーニングアッセイに使用される好適な試験化合物は、従来の化合物ライブラリー等の任意の好適な供給源から得ることができる。試験化合物は、生物学的ライブラリー、空間的にアドレス可能な平行固相又は液層ライブラリー(spatially addressable parallel solid phase or solution phase libraries)、逆重畳を必要とする合成ライブラリー方法、「1ビーズ1化合物」ライブラリー方法、及び親和性クロマトグラフィー選択を用いた合成ライブラリー方法を含む、当技術分野にて既知のコンビナトリアルライブラリー方法における任意の多数の手法を用いて得ることもできる。生物学的ライブラリー手法はペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つの手法は、ペプチド、非ペプチドオリゴマー又は化合物の小分子ライブラリーに適用可能である。分子ライブラリーの合成のための方法の例は、当技術分野にて見出すことができる。化合物のライブラリーは、溶液中又はビーズ、細菌、胞子、プラスミド若しくはファージ上に提示されてもよい。
本開示のスクリーニングアッセイは、ハイスループット形式に特に適していることにより、例えば小有機分子、ペプチド、核酸分子等のコンビナトリアルライブラリーのスクリーニングのための手段を提供する。
キット
本開示は、前述の方法に使用されるキットも提供する。一実施形態において、キットは、本開示の化合物と、場合により:(i)それらの化合物用の1つ以上の送達システム;(ii)前述の方法に使用される二次薬剤;及び(iii)キット使用のための指示書(例えば、対象への投与のための説明書)とを収容する。
一実施形態において、キット内に収容される化合物は、CFTR活性化因子である。一実施形態において、CFTR活性化因子は、CFTR増強物質である。既知のCFTR活性化因子及び増強物質としては、アントラセン−9−カルボン酸(9−アントロン酸)、フロキシンB、ベンゾイミダゾロン類似体NS004及びNS1619、ゲニステイン、7−n−ブチル−6−(4−ヒドロキシフェニル)[5H]ピロロ[2,3−b]ピラジン(アロイシンA)、2−(2−(1H−インドール−3−イル)−N−メチルアセトアミド)−N−(4−イソプロピルフェニル)−2−フェニルアセトアミド(PG01)、N−シクロヘプチル−6−(N−エチル−N−フェニルスルファモイル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(SF01)、スルホンアミド6−(N−エチル−N−フェニルスルファモイル)−N−(2−メトキシベンジル)−4−オキソ−1,4−ジヒドロキノリン−3−カルボキサミド(SF03)、カプサイシン及びクルクミンが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、CFTR活性化因子は、式I又はIIの化合物である。
一実施形態において、キットは、キットの内容物が:(i)神経筋疾患(非限定的に筋ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、ALS等);(ii)筋力低下をもたらす後天性の解剖学上の問題(非限定的に対麻痺、四肢麻痺、及び横隔膜麻痺等の状態に関連し得る);(iii)免疫不全を原因とする呼吸器感染症の罹患率の増大;(iv)過剰の粘液産生(非限定的に喘息及び喘息発作重積状態等の状態に関連し得る);又は(v)有害な環境的因子(非限定的に喫煙又は慢性閉塞性肺疾患等の状態に関連し得る)を患う対象に投与されることを示すラベルを含む。
実施例
実施例1−CFTR活性化因子は、CFBE41o−細胞内でWT−CFTRの活性を増大させる
この実施例では、WT−CFTRのアニオンチャネル活性を刺激する能力に関してCFTR活性化因子を試験した。最近、CFTR増強物質アイバカフトールが、インビトロで及びG551D−CFTR欠陥を有するCF対象において、ゲート突然変異G551D−CFTRをコードするCFTRのcAMP仲介イオン輸送活性を有意に増強することが報告された。アイバカフトールは、CFTR活性の測定値を改善し、またG551D−CFTRを有するCF患者の肺機能を向上させた。
CFTR増強物質アイバカフトールは、代表的なCFTR活性化因子として選択された。アイバカフトールの活性は、WT−CFTR発現細胞内で試験された。アイバカフトールは、安定なWT−CFTR発現を補完したCFBE41o−細胞(ヒトの正常な細気管支の上皮細胞株)内でのアニオン輸送の強い増大を誘導し;検出可能なCFTR発現を有さない親細胞内では活性が観察されず、WT−CFTRに関する特異性が確立された(図1A)。
実施例2−CFTR活性化因子は、一次ヒト気管支上皮細胞内でWT−CFTRの活性を増大させる
アイバカフトールはまた、一次非CFヒト気管支上皮(HBE)細胞内で、CSE暴露細胞と一致するcAMPレベルを誘導するよう選択された用量である100nMフォルスコリンによる予備刺激後、CFTR−依存性アニオン輸送活性を増強し、フォルスコリン単独で刺激したものと比較してCFTR−依存性短絡電流(Isc)を増大させた(図1B)。
実施例3−一次ヒト気管支上皮細胞内におけるCFTR活性化因子ASLの深さ及びMCT
CFTRはASLの深さを調節し、これは次いで効率的な粘膜毛様体クリアランスを可能にするため、気管支上皮内のアイバカフトールによるWT−CFTRアニオン分泌の増強はまた、ASLの深さを増大させ、非刺激(休止)状態と比較して粘液輸送の増強をもたらす筈であると理解される。
図2A及びBにおいて、アイバカフトール(10μM)の添加により、HBE単層(HBE細胞は、WT−CFTRを含む)においてASLの深さが向上した。更に、粘液輸送(MCT)がベースライン対照と比較して、アイバカフトールの存在下で顕著に増大し、健康なWT単層におけるアニオン輸送及び粘液産生のバランスの変更に対する、粘膜毛様体クリアランス器官の高い応答性の性質が示された(図2C)。図2(C)に示される結果は、更に、吸入された高浸透圧性の生理食塩水が、健康な個人間でMCTを増強するという報告により支持される。これらの変化は、μOCT監視により容易に明かとなり、アイバカフトールによるWT上皮内のMCTの強い向上が示される(図2D)。
実施例4−CFTR活性化因子は、正常な外植ヒト気管内でWT−CFTRの活性を増大させる
アイバカフトールはまた、電圧クランプ状態下で試験した正常な外植ヒト気管内でCFTR−依存性電流を増強した(図3A及びB)。
実施例5−CFTR活性化因子は、μOCTを使用して評価して、一次ヒト気管支上皮細胞内で粘膜毛様体輸送を増大させる
上述したように、粘膜毛様体器官を評価するための関連した測定基準には、気道表面液体(ASL)の深さ、毛様体周囲液体(PCL)の深さとして既知の、繊毛を包囲する液体の薄い層の厚さ、毛様体拍動振動数(CBF)、及び粘膜毛様体輸送(MCT)の速度が含まれる。μOCTイメージングにより、外因的な標識又は直接接触を有することなく、ASL、PCL、MCT、毛様体ストロークパターン及びCBFの直接かつ同時の測定が可能となり、呼吸器上皮の機能的微小解剖学的形態(microanatomy)を調べるための、無類の分解能を有する新たなツールが提供される。
HBE細胞内でのμOCTイメージングを用いてCFTR活性化因子の効果を評価した(図4)。上皮単層及び繊毛は、中出力組織像と同程度の分解能により可視化することができる。共に気道表面液体(ASL)層を構成する粘液及びPCL層も、明瞭に可視化することができる。図4に示すように、上部から下部へ、空気はμOCTシグナルを有さない一方、粘液層は高いμOCTシグナル強度を有して不均一に見える。PCLゲルは、粘液及び単層と比較して低いμOCTシグナル強度を有し、毛様体構造を含む。気液界面、粘液−PCL界面、及び頂端細胞表面が明瞭に画定されるため、ASL及びPCLの高さはμm未満の分解能により直接測定することができる。異なる層に加えて、繊毛先端部は、周囲のPCL及び粘液よりも明るいため、μOCTにより容易に検出することができる。先端部は粘液ブランケットの深い表面との接触を維持し、有効なストローク中、近辺の粘液を数百ナノメートル、上昇させる。
図4に示すこの実施例の結果は、CFTR活性化因子がWT−CFTRの活性を増大させるという、上記に示した結果を裏付ける。図4の各パネルにおいて、欠陥CFTRを含む対照HBE細胞(指定対照、CF)を、WT−CFTRを含むHBE細胞(指定対照及びVX−770、野生型)と共に使用した。対照細胞はビヒクル単独(0.2%DMSO)を受容し;アイバカフトールは、全てのケースにて10μMで使用した。パネルAでは、アイバカフトールは、ASLの深さを、対照野生型及び対照CF HBE細胞における対照を超えて有意に増大させた。PCLの深さ及びCBFは、アイバカフトール添加により、対照野生型と比較して統計的に有意な仕方で増大しなかったが、対照CF HBE細胞と比較して増大した(パネルB及びC)。PCLの深さの観点から、PCLはおよそ7マイクロメートル(完全長の繊毛の深さに対応する)のみ延長した;更なる増大の検出は困難である。CBFの場合、CBFの速度は、全状態において律速ではない可能性がある。例えば、繊毛が厚い粘液(例えば粘液過剰産生、又は粘液を正常に排除することが不可能であることを原因として)に対して拍動する場合、CBFはより遅くなるであろう。しかしながら、このアッセイでは、CBFの決定は、正常な対照に対して為され、CBFの増大は全ケースにおいて検出されない場合があることを意味する。重要なことには、全体的なMCTは、対照野生型及び対照CF細胞と比較してアイバカフトール処理細胞において有意に増大した。
図5は、WT−CFTRを含むHBE細胞を使用した同様の結果を示し、更に、環境障害(この実施例では、たばこの煙抽出物、CSE)の存在下で、CFTR活性化因子がCFTR活性を増大させる能力を示す。図5のデータは、条件当たり3つのウェルを有する、ウェル当たり5回の測定に由来する。図5では、全細胞がWT−CFTRを含み;対照細胞はDMSOビヒクルを受容し(2.2%DMSO)、CSEは細胞が頂端に投与された2%CSE抽出物を受容したことを示し;CSEは細胞が頂端に投与された2%CSE抽出物及び基底面に投与された10μMアイバカフトールを受容したことを示し;VX−770は、細胞が基底面に投与された10μMアイバカフトールを受容したことを示す。全データは、本明細書に記載したμOCT画像に由来した。
パネルAは、各状態に関するμOCT画像を示し;ASLの深さは、暗色バーにより示される(白色バーは尺度用であり、10マイクロメートルと等しい)。パネルB、C及びDは各々、4つの条件に関するASLの深さ、CBF及びMCTを示す。パネルBに示すように、CSEに暴露されたHBE細胞は、対照細胞と比較してASLの深さが低下し;アイバカフトールの添加によりASLの深さが有意に増大している。更にアイバカフトール単独の添加も、ASLの深さを対照と比較して有意に増大させた。同様の傾向がCBFにも見られた(パネルC)。MCTは、パネルDに示されている。CSEの添加はMCTを対照細胞と比較して殆ど検出不可能なレベルに低下させ;再度、アイバカフトールの添加はMCTを、対照細胞に見られるMCTまで増大させた。アイバカフトール単独の添加も、MCTを対照と比較して有意に増大させた。
実施例6−CFTR活性化因子は、μOCTを使用して評価して、ヒト気管支組織における粘膜毛様体輸送を増大させる
更に気道上皮細胞機能の調節におけるCFTR活性化因子の役割を研究するために、CFTR活性化因子を、不合格の健康なドナーからのヒト気管支組織と組み合わせて試験した。ヒト気管支組織を獲得し、本明細書に記載したように維持した。DMSO対照のみ(0.2%)に暴露したヒト気管支組織を用いて対照実験を行い、アイバカフトール処置と比較した。結果を図6に示す。パネルA〜Cは各々、ASLの深さ、CBF及びMCTを示す。図6に示すように、パネルA、アイバカフトール(10μM)処置は、ASLの深さを有意に増大させた。対照細胞において、ASLの深さはおよそ10マイクロメートルであり;アイバカフトール処置はASLの深さをおよそ30マイクロメートルに増大させた。同様に、CBF振動数もアイバカフトール(10μM)の存在下で有意に増大した(図6、パネルB)。最後に、MCTもアイバカフトール処置(10μM)後に有意に増大した(0.01mm/分未満の対照値をほぼ0.04mm/分へ)。
実施例7−CFTR活性化因子は、μOCTを使用して評価して、気管における粘膜毛様体輸送を増大させる
更に気道上皮細胞機能の調節におけるCFTR活性化因子の役割を研究するために、CFTR活性化因子をブタ気管と組み合わせて試験した。この実施例では、変異型CFTR(CFTR(−/−)を有する動物からの及びWT−CFTR(CFTR+/+)を有する動物からのブタ気管を、ASLの深さ、PCLの深さ、CBF及びMCTに関して評価した。結果を図7に示す。
パネルA及びBは、CFTR−/−(パネルA)及びCFTR+/+(パネルB)動物に関する代表的なμOCT画像を示し;ASLの深さは暗色バーにより示され、明色バーは10マイクロメートルの目盛りバーを表している。パネルC〜Fは各々、CFTR−/−及びCFTR+/+動物からのμOCT画像に由来するASLの深さ、PCLの深さ、CBF及びMCT測定値を示す。ここで明かなように、ASL及びPCLの深さは、CFTR+/+動物と比較してCFTR−/−動物にて有意に低下した。更に、CBF振動数及びMCTもCFTR+/+動物と比較してCFTR−/−動物にて有意に低下した。
パネルG及びHは、上皮機能パラメーターの応答、即ち、アイバカフトール(10μM)、フォルスコリン(100nM)及びアセチルコリン(100μM)による連続的な薬理的介入に応答した、CFTR−/−及びCFTR+/+動物におけるASLの深さ、CBF及びMCTを示す;この実験では、アセチルコリンは、CF組織内で腺放出を誘導する正の対照としての役割を果たした)。これらの実験では、作動薬は浴溶液に添加され、全実験は生理学的条件下(37℃及び100%湿度)で行われた。パネルGから明かなように、ASLの深さ、CBF又はMCTの観点から、アイバカフトール又はフォルスコリン処置の応答は観察されず;予想通り、この組織内でアセチルコリンに対する陽性応答が観察された。パネルGとは対照的に、ASLの深さ、CBF及びMCTは、CFTR+/+動物においてアイバカフトール処置に応答して全て増大し、ヒト組織に関して上述した結果と一致した。
材料及び方法
一次気道上皮細胞の入手及び成長
ヒト細胞及び組織の使用はUAB治験審査委員会(Institutional Review Board)により認可された。以前記載された方法により確認したCFTR遺伝子(genetics)を有するCF及び非CF対象から書面によるインフォームドコンセントを得た後、肺外植片から一次ヒト気管支上皮(HBE)細胞を引き出した。手短には、組織を外科的切除の直後に郭清し、0.5mg/ml DTT(Sigma−Aldrich,St.Louis,MO)及び25U/ml DNAse I(Roche,Basel,Switzerland)を有する最小必須培地(MEM)内で2回洗浄した後、MEM、2.5U/ml DNAse I、100μg/mlセフタジジム、80μg/mlトブラマイシン、1.25μg/mlアンホテリシンB、及び4.4U/mlプロナーゼ(Sigma−Aldrich)を含む解離培地内に4℃で24〜36時間配置した。次いで、解かれた気道上皮細胞を、追加の10nM全トランスレチノイン酸(Sigma−Aldrich)で補充した、BEGM(LONZA,Basel,Switzerland)を含む成長培地中で拡大させ、成長培地は24時間毎に交換した。拡大後、第1又は第2継代細胞を、試験のために透過性支持体上に播種した。
80〜90%コンフルエントに達した後、NIH3T3線維芽細胞馴化培地で被覆した後、Snapwell 1.13cm2透過性支持体(1×106細胞/フィルター;Bayer,Pittsburgh,PN)又はCostar 0.4μm透過性支持体(5×105細胞/フィルター;Bethesda,MD)上に細胞を播種し、DMEM/F12(Invitrogen,Carlsbad,California)、2%Ultroser−G(Pall,New York,NY)、2%フェタルクローンII(Hyclone,Logan,UT)、2.5μg/mlインスリン(Sigma−Aldrich)、0.25%ウシ脳抽出物(LONZA)、20nMヒドロコルチゾン(Sigma−Aldrich)、500nMトリヨードサイロニン(Triodothyronine)(Sigma−Aldrich)、2.5μg/mlトランスフェリン(Invitrogen)、250nMエタノールアミン(Sigma−Aldrich)、1.5μMエピネフリン(Sigma−Aldrich)、250nMホスホエタノールアミン(phosphoetheanolamine)(Sigma−Aldrich)、及び10nM全トランスレチノイン酸を含む分化培地内で、高分化する迄、前述したように(1、2)成長させた。
正常な子ブタ気管の入手及び成長
正常な子ブタ気管をExemplar Genetics(Sioux Center,Iowa)から得た。1日齢の子ブタから組織を解剖し、DMEM中にて湿潤氷上で輸送した。Ballard et al.(Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 298:L270−276,2010)により開発された気道組織取り扱い及び調製方法に基づいた修正プロトコルを使用した。気管を80mLリンゲル重炭酸塩溶液(KRB)浴内に室温で浸漬し、37℃にゆっくり暖めた。前処理から4時間後、気管をKRBから除去した。到達可能な粘液及び液体を気道管腔から吸引し、前述されているように(Ballard et al.,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 298:L270−276,2010;Martens,et al.,Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 301:L236−246,2011)、粘膜表面に接触することなく、漿膜表面がKRB[29]中に浸漬するように、気管末端部にカニューレを挿入した。mOCTイメージングの前に、95% O2及び5% CO2を37℃でバブリングしているKRB中で気管を平衡化させ、管腔側を湿度100%の調整空気に2時間暴露した(Sleigh et al.,Comp Biochem Physiol A Comp Physiol 94:359−364,1989)。
正常なヒト気管の入手及び成長
肺移植に選択されていない正常なドナーの外植器官からヒト気管組織のサンプルを得た。肺、主気管支幹、及び気管をひとまとめにして切除し、湿潤氷上に移動し、太い気道を切除した。次いで、移動のための切除後、気道組織を氷冷DMEM中に浸漬し、次いでmOCTイメージングの前に室温で平衡化させた。
微小光コヒーレンストモグラフィー(Micro Optical Coherence Tomography)(μOCT)試験
μOCTシステムは、標準的なOCTにいくつかの改良を有する、側方及び軸線方向の両方に高い分解能を提供するスペクトル領域OCTの手段である。一般的なレイアウト及び軸線方向分解能キャラクタリゼーションは記載されている(Liu et al.,PLOSOne,8(1),E54473−2013)。超連続光源(Fianium SC450)は、高い軸線方向分解能に必要な高帯域幅の、短いコヒーレンス長の光を提供する(1.3mm)。典型的なOCTシステムは、ビームスプリッターにて交差する参照及びサンプルアームを有する干渉計を含む。ビームスプリッターはμOCT内では45度ロッドミラーと置き換えられ、このロッドミラーは、中心部に円形の不明瞭化を導入することによりサンプルビームをアポダイズして、良好な側方分解能(2μm)及び長い焦点深度(0.2mm)を達成する。特注のソフトウエアを使用して検流計走査モーターを制御すると共に、ラインカメラからスペクトルデータを獲得する。システムは、ユーザー設定可能なライン及びフレーム速度並びにカスタマイズ可能な走査形状で作動し;典型的な設定は、線形走査において32又は40フレーム/秒、512A−ライン/フレームであり、断面像の場合、0.5mm×0.5mm(X×Z)である。各断面の有効厚さは、μOCTビームスポットのサイズ(2μm)と等しい。
細胞の頂端側上の照明入射を用いて、様々な細胞養物上のμOCTイメージングを行った。イメージング光学の軸線は、一般に細胞面に対する直角から10度以内に配置されて、幾何学的測定における誤差を最小限にした。ASL及びPCLを、画像内の可視層の厚さから直接測定し、液体中の屈折率に関する補正を適用した(n=1.33)。画像の5個の等しく分配された領域にてASL及びPCLを評価した。画像の時系列からCBF及びMCTを決定した。振動挙動を有する領域の時間的フーリエ変換においてピーク振幅の振動数を見出すことによりCBFを測定した。画像シーケンス当たり10領域迄の毛様体活性を、CBFに関して評価した。時間の経過に伴う、粘液中の5〜10個の可視封入体の移動を測定することにより、MCTを算出した。全ての画像解析は、ImageJ及びMatlabを用いて行った。様々な組織外植片に関する解析を同様の方法で行った。
ウッシングチャンバー内での電圧クランプ試験
MC8電圧クランプ及びP2300ウッシングチャンバー(Physiologic Instruments,San Diego,CA)を使用して、前述したように(2)電圧クランプ状態下で短絡電流(Isc)を測定した。単層を最初に(単位mM)115 NaCl、25 NaHCO、2.4 KHPO、1.24 KHPO、1.2 CaCl、1.2 MgCl、10 D−ブドウ糖(pH7.4)を含む同一のリンゲル液で両面を浸した。浸漬溶液を激しく撹拌し、95%O2:5%CO2を供給した。短絡電流測定値は、上皮電圧クランプ(Physiologic Instruments)を使用して得た。1秒の3mVパルスを10秒毎に課して、オームの法則を使用して計算した抵抗を監視した。指示された場合、粘膜の浸漬溶液を、1.2 NaCl及び115 Na+グルコン酸塩、及び上述した全ての他の構成成分を含む低Cl−溶液に替えた。アミロライド(100μM)を加えて残留Na+電流を遮断した後、作動薬フォルスコリン、アイバカフトール、及びATPを指示通りに加えた(各濃度にて最少5分間の観察)。実験の終わりに、CFTRInh−172(10μM)を粘膜浸漬溶液に加えて、CFTR−依存性Iscを遮断した。全チャンバを37℃に維持し、チャンバ内に配置して15分以内に作動薬刺激を開始した。
粘液輸送試験
PEGビーズを加える1、2日前に、HBE細胞を無菌PBSで2回洗浄した。50μlのジアミンポリエチレングリコール(PEG)被覆蛍光ビーズ(1μm、Molecular Probes,Eugene,OR、PBS中で1:500希釈)を、マイクロスプレイヤーエアロゾル発生器(Penn−Century Inc Model IA−1B,Wyndmoor,PA)を使用することによって頂端表面に加えた。24時間のインキュベーション後、ベースライン画像を獲得し、次いで試験化合物を基底面コンパートメントに加えた。粘膜毛様体輸送(MCT)画像を、倒立エピフルオレセンス顕微鏡(Nikon Diaphot,Melvin,NY;488nm励起/519nm放射)を使用して、ウェル毎にウェルの周辺から1mmに位置する4つの関心領域において、かつ各四分円において、微速度蛍光イメージングにより捕捉した。領域当たり10〜15個の粒子を分析することにより、Metamoph 7.0を使用して、線状輸送速度を算出した(7)。
共焦点顕微鏡法による気道表面液体(ASL)深さの測定
HBE細胞の頂端表面を3回洗浄した後、試験化合物を標識の24時間前に基底面コンパートメントに加えた。細胞を細胞培地中にてCMFDA(100μM)で1時間染色した。テキサスレッド染料(Fc70中2mg/mlで25μl)を頂端に加え、細胞を37℃で2時間平衡化した。MEMで被覆した滅菌ガラス底皿内にTranswell膜を配置し、20X(開口数0.88、撮影距離0.55mm)乾燥系対物レンズを使用して、Carl Zeiss(Peabody,MA)共焦点顕微鏡により撮像した。蛍光顕微鏡検査法の開始前に、細胞をDIC光学で可視化して、細胞の形態を評価した。続いて、Z走査共焦点蛍光顕微鏡検査法の画像を、細胞表面の頂部を通してASLの頂部から獲得した。Zen2008ソフトウエアを使用して、各四分円において、各々フィルター周辺から1mmに位置する、ウェル当たり4つのROIにてXZ走査を分析し;各ROIに亘って等しく分散したASLの深さの5個の概算を得た(7、9)。
統計
記述統計学(平均、SD、及びSEM)を、適宜、スチューデントのt検定又はANOVAを使用して比較した。ANOVA後の複数の比較に関する事後試験を、フィッシャーの最小有意差を使用して計算した。全ての統計的試験は両側であり、GraphPad Prism(La Jolla,CA)を使用して5%有意性レベル(即ち、α=0.05)で行った。エラーバーは、別に示さない限りSEMを示す。SPSS(IBM,Armonk,NY)を使用して相関分析を行った。

Claims (15)

  1. 対象における毛様体拍動振動数(CBF)の増大用医薬の製造における、式Iの化合物の使用であって、
    前記対象が、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内先天性又は遺伝的欠陥、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内後天性異常、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)内の先天性又は遺伝的欠陥、及び嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)内の後天性異常を有さず、
    前記式Iの化合物が構造:
    Figure 0006525203
    (式中:Rは、OH又はHであり;
    及びRは、各々独立して、H、OH、又は非置換のC1〜C7アルキルである)を有することを特徴とする使用。
  2. 請求項1に記載の使用において、前記式Iの化合物が
    Figure 0006525203
    であることを特徴とする使用。
  3. 請求項1に記載の使用において、前記医薬が、気道表面液体(ASL)の深さ、毛様体周囲液体(PCL)の深さ、粘膜毛様体輸送(MCT)の速度、又は前述の任意の組み合わせからなる群から選択される気道上皮細胞機能のパラメーターをさらに増大させることを特徴とする使用。
  4. 請求項3に記載の使用において、そのようなパラメーターが、ASLの深さ、MCTの速度、又は前述の組み合わせであることを特徴とする使用。
  5. 請求項1に記載の使用において、前記医薬が嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の活性を増大させることを特徴とする使用。
  6. 対象における毛様体拍動振動数(CBF)の増大用キットであって、
    前記対象が、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内先天性又は遺伝的欠陥、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内後天性異常、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)内の先天性又は遺伝的欠陥、及び嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)内の後天性異常を有さず、
    a.式Iの化合物
    Figure 0006525203
    (式中:Rは、OH又はHであり;
    及びRは、各々独立して、H、OH、又は非置換のC1〜C7アルキルである);
    b.投与指示書;及び
    c.選択的に、前記化合物の一またはそれ以上の送達システム及び二次的薬剤;
    を含むことを特徴とするキット。
  7. 請求項に記載のキットにおいて、前記化合物が嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)増強剤であることを特徴とするキット。
  8. 請求項に記載のキットにおいて、前記指示書が、神経筋疾患により起因する準最適粘膜毛様体クリアランスと、筋力低下をもたらす後天性の解剖学上の問題、免疫不全、粘液の過剰産生、又は環境的要因を示す患者への投与を規定していることを特徴とするキット。
  9. 対象における粘膜毛様体クリアランスの増大用医薬の製造における、式Iの化合物の使用であって、
    前記対象が、神経筋疾患、筋力低下をもたらす後天性の解剖学上の問題、免疫不全、又は過剰の粘液産生に苦しみ、前記対象が、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内の先天性又は遺伝的欠陥、細胞粘膜毛様体クリアランス器官内の後天性異常、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)内の先天性又は遺伝的欠陥、及び嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)内の後天性異常を有さず、
    前記式Iの化合物が構造:
    Figure 0006525203
    (式中:Rは、OH又はHであり;
    及びRは、各々独立して、H、OH、又は非置換のC1〜C7アルキルである)を有することを特徴とする使用。
  10. 請求項に記載の使用において、前記式Iの化合物が
    Figure 0006525203
    であることを特徴とする使用。
  11. 請求項に記載の使用において、前記処置が気道上皮細胞機能のパラメーターを増大させることを特徴とする使用。
  12. 請求項11に記載の使用において、そのようなパラメーターが、気道表面液体(ASL)の深さ、毛様体周囲液体(PCL)の深さ、毛様体拍動振動数(CBF)、粘膜毛様体輸送(MCT)の速度、又は前述の任意の組み合わせであることを特徴とする使用。
  13. 請求項12に記載の使用において、そのようなパラメーターが、ASLの深さ、MCTの速度、又は前述の組み合わせであることを特徴とする使用。
  14. 請求項に記載の使用において、前記医薬が嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)の活性を増大させることを特徴とする使用。
  15. 請求項12に記載の使用において、そのようなパラメーターがCBFであることを特徴とする使用。
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