JP6522965B2 - 流体遮断用バック及び流体遮断装置 - Google Patents

流体遮断用バック及び流体遮断装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガス管、水道管、煙突等の配管工事において、配管を流れる流体を一時的に遮断する必要があるときに使用される流体遮断用バック及び流体遮断装置に関するものである。
従来の流体遮断用バックとしては、例えば以下の特許文献1に示すものが挙げられる。この文献に記載される流体遮断用バックは、柔軟性を有するゴム引き布から構成され且つ膨張状態で円筒形となるバック本体を備える。当該バック本体を、その全長にわたって周方向に多数の襞を形成するように折り畳み、且つ、横断面形状で多数の襞を渦巻状に巻き付けた状態に形成する。そして、襞の巻き付け形状を維持する第1保形部を設け、バック本体の先端部においてバック本体を密封すると共に、基端部において襞の巻き付け形状を維持する第2保形部を設けると共に、その第2保形部を介してバック本体と膨張用流体の供給管としての可撓管の一端とで、バック本体と可撓管とを互いに連通接続してある。当該流体遮断用バックを用いて配管工事を行う際は、流体遮断用バックを配管の中に挿入した後、可撓管を介して空気等の膨張用流体をバック本体に送り込んで膨張させ、配管の内周面全周にわたりバック本体を密着させて流体を遮断する。
特許第3524570号公報
従来の流体遮断用バックにおけるバック本体は元々、その両端が開口する円筒形状を有するものであるため、バック本体と可撓管との接続部分を多数の襞で渦巻状に巻き付けた状態にしたとしても、膨張用流体を送り込んで膨張させると、その巻き付けがほどけて広がり開口し、膨張用流体がその開口した部分から漏れ出てしまう虞がある。
これを防ぐため、従来の流体遮断用バックでは、第2保形部として、ゴム筒や金属製筒など幾つもの部材を使用して、膨張したときに接続部分が広がらないようにして、その密封性を保持する工夫がなされている。しかし、部品点数が多くなり、構造も複雑なものとなるため、製造コスト等が嵩むといった問題を抱えており、改良する余地が残されていた。
本発明の目的は、流体遮断用バックが膨張したときの、膨張用流体の供給管との接続部分の密封性を簡素な構成で確実に保持することにある。
本発明の流体遮断用バックに係る第1特徴構成は、エラストマー材料から構成されており、内部に流体が供給されることにより膨張する胴部と、該胴部の軸心方向両端の少なくともいずれか一方に、流体供給管を密封接続するための接続部とを一体に備え、前記胴部が、その軸心方向に延びる肉薄部と肉厚部とを備え、前記肉薄部と前記肉厚部が前記胴部において一体に成形されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、流体供給管を密封接続する接続部が一体に設けられているため、従来の流体遮断用バックのように、流体供給管との接続部分が、膨張に伴って広がり開口することはない。即ち、開口するのを防ぐような構成が不要となるため、流体供給管との接続部分の密封性を簡素な構成で確実に保持することができる。
さらに、胴部が、その軸心方向に延びる肉薄部と肉厚部とを備えるため、内圧をかけて膨張させる際、肉薄部は肉厚部よりも伸びて膨張し易く、肉厚部は長手方向(軸心方向)への伸びの妨げとなる。その結果、径方向に膨張し易く、長手方向(軸心方向)にはほとんど膨張しないため、効率良く配管を閉塞することができる。
第2特徴構成は、前記肉薄部と前記肉厚部とが、前記胴部の周方向に交互に形成されている点にある。
〔作用及び効果〕
肉薄部と肉厚部とが、胴部の周方向に交互に形成されていることにより、内圧をかけて膨張させる際、胴部がより均等に径方向に膨張し易くなるため、さらに効率良く配管を閉塞することができる。
第3特徴構成は、前記胴部において、軸心方向に延びる複数の凸条部及び凹条部が、該胴部の周方向に交互に形成されており、前記肉薄部が前記凸条部の頂部に形成され、前記肉厚部が前記凹条部の底部に形成されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成のごとく、胴部において、軸心方向に延びる複数の凸条部及び凹条部を該胴部の周方向に交互に形成することによって、胴部が円筒形状の場合と比べて、同じ周長でも外径を小さくすることができるため、配管への出し入れがし易い。
第4特徴構成は、前記胴部の周方向にて隣り合う前記凸条部が、該胴部の軸心方向において互いに異なる位置に設けられている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、胴部の周方向にて隣り合う凸条部において、各凸条部の長手方向両端の部分が、胴部の軸心方向の位置で互い重なることがないため、各凸条部を胴部の周方向に折り畳み易くなり、流体遮断用バックをよりコンパクト化することができる。
第5特徴構成は、前記胴部の軸心に直交する断面において、前記複数の凸条部の右側部の長さが左側部の長さよりも短いか、あるいは前記複数の凸条部の右側部の長さが左側部の長さよりも長く構成されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、複数の凸条部の右側部の長さが左側部の長さよりも短いか、あるいは複数の凸条部の右側部の長さが左側部の長さよりも長く構成されているため、折り畳む際に胴部の軸心に向けて各凹条部を押し込むと、各凸条部が、長さの短い側に倒れ易く、且つ各凸条部の倒れる方向が一致する。従って、各凸条部を胴部の同一周方向に折り畳み易く、流体遮断用バックを見栄え良くコンパクト化することができる。
第6特徴構成は、前記胴部の軸心に直交する断面が点対称である点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、胴部の軸心に直交する断面が点対称であるため、各凸条部の折り畳みが均一なものとなり、流体遮断用バックをさらに見栄え良くコンパクト化することができる。
第7特徴構成は、前記胴部の軸心に直交する断面が線対称であり、対称軸上に前記凹条部が配置される点にある。
〔作用及び効果〕
ブロー成形を行うと、成形品にパーティングラインという出っ張り部分が形成されることが多い。パーティングラインは、他の部分よりも肉厚のため、流体遮断用バックを折り畳む際に曲げ難く、皺の原因となって見栄えが悪くなることがある。
しかしながら、本構成によれば、胴部の軸心に直交する断面が線対称であり、対称軸上に凹条部が配置されるため、金型の合わせ面が凹条部に配置されるように構成することで、パーティングラインを凹条部に形成させるようにすることが可能となる。これにより、凹条部にパーティングラインが形成されるが、流体遮断用バックを折り畳む際に、胴部の軸心に向けて各凹条部を押し込むと、パーティングラインが内側に隠れることになるため、外表面に皺が形成され難くなる。
従って本構成によれば、流体遮断用バックを折り畳む際、見栄え良くコンパクト化することができる。
第8特徴構成は、前記胴部において、その軸心方向に延びる複数の凸条部と凹条部とが交互に並んで蛇腹状に形成されており、前記肉薄部が前記凸条部の頂部に形成され、前記肉厚部が前記凹条部の底部に形成されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、胴部が蛇腹状に形成されているため、胴部をその軸心と直交する方向に圧縮することにより、流体遮断用バックを見栄え良くコンパクト化することができる。
本発明の流体遮断装置に係る第1特徴構成は、上記第1〜第8特徴構成のいずれかを備える流体遮断用バックと、該流体遮断用バックの接続部に密封接続される流体供給管とを備える点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、流体供給管を介して、流体遮断用バックに確実に流体を供給することが可能となる。さらに、流体供給管を操作することによって、流体遮断用バックを配管の所定の位置まで容易に移動させることができる。
第2特徴構成は、前記流体遮断用バックにおける胴部の軸心方向両端のそれぞれに接続部を備え、前記流体遮断用バックを軸心方向に伸長させた状態で、前記流体供給管を前記胴部の両端の接続部に亘って挿通させて密封接続してある点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、流体遮断用バックが軸心方向の両側から引っ張られる状態となるため、流体遮断用バックの胴部の外径をより小さくすることができる。
第3特徴構成は、前記流体遮断用バックと前記流体供給管とが溶着可能な樹脂材料から構成されており、前記流体供給管と前記接続部とが熱融着されている点にある。
〔作用及び効果〕
本構成によれば、流体供給管と流体遮断用バックとが熱融着するため、流体遮断用バックの密封性がより確実に保持される。
本発明の流体遮断装置(第1実施形態)の斜視図である。 本発明の流体遮断装置(第1実施形態)の縦断側面図である。 図2の接続部付近を拡大した図である。 本発明の流体遮断装置(第1実施形態)における流体遮断用バックが膨張する状態を示す縦断正面図である(矢印は流体遮断用バックの膨張方向を示しており、白抜きの矢印は膨張用流体の噴出を示す)。 本発明の流体遮断用バックの折り畳み方法を示す図である。 本発明の流体遮断装置(第2実施形態)の縦断面斜視図である。 本発明の流体遮断装置(第2実施形態)の縦断面斜視図である。 本発明の流体遮断装置(第3実施形態)の正面図である 本発明の流体遮断装置(第3実施形態)の側面図である 本発明の流体遮断装置(第3実施形態)の縦断正面図である。 本発明の流体遮断装置(第3実施形態)の斜視図である。 本発明の流体遮断装置(第4実施形態)の正面図である 本発明の流体遮断装置(第4実施形態)の側面図である 本発明の流体遮断装置(第4実施形態)の縦断正面図である。 本発明の流体遮断装置(第4実施形態)の斜視図である。 本発明の流体遮断装置(第5実施形態)の斜視図である。 本発明の流体遮断装置(第5実施形態)の縦断正面図である。 本発明の流体遮断装置(第6実施形態)の斜視図である。 本発明の流体遮断装置(第6実施形態)の縦断正面図である。 本発明の流体遮断装置のその他の実施形態の側面図である。 実施例1及び実施例2に係る流体遮断用バックの縦断側面(a)及び縦断正面(b)のそれぞれを模式的に示した図である。 実施例1及び実施例2に係る流体遮断用バックの各部位の厚みを測定した結果を示す図である。 実施例1及び実施例2に係る流体遮断用バックを膨張させたときの外径と長さの推移を測定した結果を示す図である。
〔第1実施形態〕
(流体遮断装置)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る流体遮断装置1は、少なくとも流体遮断用バック2と、該流体遮断用バック2に流体を供給するための流体供給管9とを備え、必要に応じて、例えば、エアポンプなどの膨張用流体供給装置(図示せず)等を備えて構成される。
(流体遮断用バック)
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る流体遮断用バック2は、内部に流体が供給されることにより膨張する胴部3と、該胴部3の軸心方向両端のそれぞれに、流体供給管9を密封接続するための円筒形状の接続部6とを一体に備えて構成されている。
流体遮断用バック2は、エラストマー材料から構成されている。適用するエラストマー材料の引張り強さ(試験条件JIS K6251:2010)は10MPa以上、より好ましくは強靭であるという点から20MPa以上が望ましい。またエラストマー材料の切断時伸び(試験条件JIS K6251:2010)は300%以上、より好ましくは規定以上の内圧がかかった場合にも破裂しないという点から、500%以上が望ましい。またエラストマー材料の100%モジュラス(試験条件JIS K6251:2010)は1MPa〜5MPa、より好ましくは施工性及び低圧での膨張性の良さという点から2MPa〜4MPaが望ましい。また、エラストマー材料の引張永久伸び(試験条件JIS K6273:2006、24時間、100%伸長)は、70%以下、より好ましくは復元性に優れるという点から50%以下が望ましい。また、エラストマー材料の硬さ(試験条件JIS K6253−3:2012)は、A50〜A90が望ましく、施工性という点からA65〜A85がさらに望ましい。
このようなエラストマー材料としては、例えば、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等が挙げられ、柔軟性及び加工性に優れるという点を考慮すれば、特にウレタン系エラストマー又はスチレン系エラストマーが好ましい。また上述のエラストマー材料を適宜組み合わせて混ぜ合わせたものを用いても良い。
2つの接続部6は、胴部3の軸心方向両端のそれぞれにおいて、正面視にて略中央の位置(図4参照)から外側に突出するように胴部3に一体に設けられている。尚、2つの接続部6の軸心は胴部3の軸心と一致する。
胴部3には、その軸心方向に延びる複数の凹条部4及び凸条部5が、周方向に交互に形成されている。本実施形態においては、凹条部4及び凸条部5のそれぞれが4つずつ、胴部3の周方向に等間隔で形成されている。凹条部4は、胴部3の軸心に向かって引退する縦断面形状が円弧状の曲面を有しており、一方、凸条部5は、胴部3の軸心から外側に突出する縦断面形状が円弧状の曲面を有する。
また、図4に示すように、胴部3では、凹条部4の底部に向かうほど肉厚に形成され、凸条部5の頂部に向かうほど肉薄に形成されている。便宜上、凹条部4の底部を肉厚部4aと称し、凸条部5の頂部を肉薄部5aと称する。従って、膨張状態にある胴部3の周方向には、胴部3の軸心方向に延びる肉厚部4aと肉薄部5aとが交互に形成される。肉厚部の厚みAと肉薄部の厚みBとの比(A/B)は、1.5〜4が望ましく、さらに成形性に優れるという点を考慮すると、2〜3が望ましい。
尚、本実施形態においては、胴部3において、4つの凹条部4を周方向に等間隔で設ける構成を示したが、この構成に限定されるものではなく、複数の凹条部4を設ける構成であればその数は必要に応じて任意に設定して良い。また、それら複数の凹条部4を必ずしも周方向に等間隔で設ける構成としなくとも良い。また凸条部5についても上記凹条部4の構成と同様のことが言える。
接続部6には、胴部3の内側と外側とを連通する挿通孔7が形成されている。接続部6の挿通孔7の内径は、後述する流体供給管9の外径と略同じか、又はわずかに小さく設定されている。
(流体供給管)
流体供給管9は、円筒形状の可撓管である。流体供給管9の構成素材としては、例えば、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等が挙げられるが、上述の流体遮断用バック2を構成するエラストマー材料との相性を考慮すると、特に、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。勿論、上述の流体遮断用バック2のエラストマー材料と同じ材料で構成しても良い。
図1及び図2に示すように、流体供給管9は、その一端が樹脂栓11で塞がれており、他端が図示しない膨張用流体供給装置に接続されている。また、流体供給管9における樹脂栓11を差し込まれた側の端部から少し離れた位置の側面に、軸心方向に沿って複数の貫通孔10が千鳥状に設けられている。尚、流体供給管9の貫通孔10を設ける領域の軸心方向の長さは、流体遮断用バック2の胴部3の内側の軸心方向の長さと略同じである。
流体供給管9は、流体遮断用バック2における胴部の両端の接続部6の挿通孔7にわたるように挿通されており、流体供給管9と接続部6とが密封接続されている。このとき、流体供給管9の複数の貫通孔10は、流体遮断用バック2の胴部3の中に配置される。
流体供給管9と流体遮断用バック2の接続部6とを密封接続する方法については、公知の方法を用いることができ、例えば、適当な接着剤を用いて密封接着しても良いし、あるいは、流体供給管9と、流体遮断用バック2の接続部6とを熱融着するようにしても良いが、より高い密封性能と接続強度を確保する点から言えば熱融着が望ましい。尚、熱融着を実施する場合には、流体供給管9と流体遮断用バック2とが溶着可能な樹脂材料で構成されていることが、密封性能と接続強度のさらなる向上を図るうえで望ましい。
本実施形態に係る流体遮断装置1は、以下のごとく、流体遮断用バック2と流体供給管9とをそれぞれ作製した後、これらを密封接続することにより製造することができる。
(流体遮断用バックの作製方法)
流体遮断用バック2は、公知の押出ブロー成形法によって作製することができる。
従来公知の押出機を使用し、エラストマー材料に熱を加えつつチューブ状に押し出して所定の金型に入れ込んだ後、所定圧力の空気を所定時間吹き込みながら冷却する。尚、ブロー成形では通常、成形体の片端が袋状となり閉塞されるため、その片端部分を切断して開口してもう片方の接続部6を形成する。以上より、胴部3と接続部6とが一体に成形された流体遮断用バック2が作製される。例えば、エラストマー材料としてポリウレタンエラストマーを使用した場合、押出機において約200℃の熱を加えながら、チューブ状に押出しつつ所定の金型に入れ込む。そして約0.5MPaの圧力の空気を約1分間吹き込みながら冷却することによって、流体遮断用バック2を作製することができる。
(流体供給管の作製方法)
流体供給管9は、公知の押出成形法により作製することができる。
従来公知の押出機を使用して、可撓性材料に熱を加えながらチューブ状に押し出して、冷却した後、先端から所定の距離だけ離れた領域に千鳥状に貫通孔10を設ける。例えば、可撓性材料として硬質ウレタン樹脂を使用した場合、押出機において約200℃の熱を加えながら、チューブ状に押出して冷却した後、所定の領域に千鳥状に貫通孔10を設ける。
(密封接続方法)
流体遮断用バック2における一方の接続部6の挿通孔7に、流体供給管9の貫通孔10を設けた側の先端部を差し込み、他方の接続部6の挿通孔7から当該先端部を所定の長さまで突き出させる。このときの所定の長さは、流体供給管9の全ての貫通孔10が、流体遮断用バック2の胴部3の中に配置されるように設定される。
上述のように、流体供給管9を、流体遮断用バック2の軸心方向に突き通すように、流体遮断用バック2の両端の接続部6の挿通孔7にわたって挿通させた後、流体遮断用バック2を軸心方向に少し伸長させた状態として、例えば2つの接続部6のそれぞれに赤外線を照射するなどして、図3に示すように接続部6の内周面と流体供給管9の外周面とを熱溶着させる。
最後に、流体遮断用バック2からわずかに飛び出している流体供給管9の先端部に樹脂栓11を差し込んで熱融着等により固着させる。
(流体遮断装置の使用方法)
図示しないが、上記構成の流体遮断装置1を使用して、既設のガス管の一部を交換する工事を行う場合を一例として説明する。
先ず、交換対象となるガス管の上流側と下流側のそれぞれに位置するガス管に、気密空間を形成する公知のガス遮断用治具を設ける。各ガス遮断用治具内で、流体遮断用バック2を挿入するための開口を形成する。
そして、2つの開口のそれぞれに流体遮断用バック2を挿入して、流体供給管9を押し操作することによって、所定の位置まで移動させる。このとき、流体遮断用バック2では、流体供給管9が、流体遮断用バック2の両端の接続部6の挿通孔7にわたって挿通されているため、流体遮断用バック2が高い保形性を有する。即ち、ガス管内を移動させる際に流体遮断用バック2が折れ曲がるなどの変形が防止され、その形状を維持し易く、スムーズに流体遮断用バック2を移動させることができる。
また、流体遮断用バック2の胴部3において、軸心方向に延びる複数の凸条部5及び凹条部4を該胴部3の周方向に交互に形成することによって、胴部3が円筒形状の場合と比べて、同じ周長でも外径を小さくすることができるため、ガス管への出し入れがし易い。
また、胴部3の凸条部5を左右の凹条部4のいずれかに寄せるようしてすれば、流体遮断用バック2の全体を縮径させるような形状にすることも可能であり、口径がより小さい配管に導入することが可能となる。
次いで、膨張用流体供給装置として、例えば、空気を供給及び吸引可能なエアポンプを使用し、流体供給管9を当該エアポンプに接続する。そして、エアポンプを作動させて流体供給管9を介して空気を流体遮断用バック2に供給する。エアポンプから供給された空気は、流体供給管9を通って千鳥状の貫通孔10から噴出して流体遮断用バック2の内部に溜まり、これと共に図4に示すように流体遮断用バック2の胴部3が膨張して円筒袋状となる。尚、ここでは、流体遮断用バック2に膨張用流体として空気を供給する構成を示しているが、これに限定されるものではなく、別の膨張用流体として、不活性ガスなどの他の気体や、液体を使用しても良い。
膨張した流体遮断用バック2の胴部3の外周面が、ガス管の内周面に弾性密着して、これによりガスを気密的に遮断する。
上述の作業を行い、交換対象となるガス管の上流側と下流側のそれぞれにおいてガスが遮断されると、ガス管の取り換え作業が行われる。
取り換え作業の終了後、再びエアポンプを作動させ、今度は空気を吸引する。流体遮断用バック2から空気が抜かれると、その弾性復元力によって、流体遮断用バック2の胴部3が縮み、元の状態に戻る。
元の状態となった流体遮断用バック2を、ガス管に形成した開口を通じて引き抜き、さらに、ガス遮断用治具からも引き抜く。最後に、ガス管の各開口に適当な閉塞部材を取付けた後、ガス遮断用治具を取り外して作業を完了する。
(流体遮断用バックの折り畳み方法)
後の閉塞作業のことを考慮すると、流体遮断用バック2を挿入するために配管に設ける開口径はできるだけ小さいことが望ましい。従って、開口径が小さくとも挿入し易いように、使用前の流体遮断用バック2は、できるだけ細長くコンパクトに折り畳まれていることが望ましい。
そこで、上記流体遮断用バック2の折り畳み方法の一例について以下説明する。
尚、本方法では、4本の細長い円柱状の支柱16を備える治具18を使用する。当該治具18では4本の支柱16が支持台17に立設されている。尚、支柱16の数は、流体遮断用バック2の凹条部4の数に対応する。
図5(a)に示すように、流体遮断用バック2と真空ポンプPとを流体供給管9を介してつなぎ、真空ポンプPによって流体遮断用バック2の中の空気を抜いて、できるだけ萎ませる。このとき例えば、流体遮断用バック2の内圧を約8cmHgまで減圧する。
次いで、図5(b)に示すように、収縮させた流体遮断用バック2を、前述の治具18の4本の支柱16の間に差し込む。このとき、4本の支柱16のそれぞれを流体遮断用バック2の凹条部4のそれぞれに相当する部分に配置させるようにして、流体遮断用バック2を4本の支柱16で挟む。
次いで、流体遮断用バック2の外周にフィルムFを緩く巻き付ける。このとき使用可能なフィルムFとしては、例えば、厚みが50〜200μmほどのポリプロピレンフィルムやポリエステルフィルムなどが挙げられる。
次いで、図5(c)に示すように、治具18と流体遮断用バック2とを回転させ、緩く巻き付けた前述のフィルムFを、流体遮断用バック2との摩擦を利用してきつく巻き締める。
次いで、図5(d)に示すように、フィルムFを巻き付けた流体遮断用バック2を治具18から取り外し、さらに流体遮断用バック2から流体供給管9を取り外す。
次いで、図5(e)に示すように、フィルムFを巻き付けた流体遮断用バック2を、ヒーターH等を用いて熱処理(例えば、120℃、15分間)を行う。
最後に、図5(f)に示すように、しばらく放置して冷却させた後、フィルムFを取り外す。
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る流体遮断装置の第2実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、重複説明を避けるため、先の第1実施形態で説明した構成と同じ作用を奏する構成については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
本実施形態における流体遮断用バック2は、膨張及び収縮可能な胴部3、円筒形状の接続部6、及び有底円筒形状の収容部8を備える。接続部6及び収容部8は、胴部3の軸心方向両端のそれぞれにおいて、正面視にて略中央の位置(図4参照)から外側に突出するように胴部3に一体に設けられている。尚、接続部6及び収容部8のそれぞれの軸心は胴部3の軸心と一致する。
収容部8には、接続部6のような挿通孔7は形成されていない。流体遮断用バック2は、上述のように押出ブロー成形法によって作製されるが、このとき袋状に閉塞された成形体の片端を切断することなくそのまま残しておき、これにより収容部8が形成される。収容部8の内径は、接続部6の挿通孔7の内径と同様に、上述の流体供給管9の外径と略同じか、又はわずかに小さく設定されている。
図6に示すように、本実施形態の流体遮断用バック2と、流体供給管9とを密封接続する際、流体遮断用バック2における接続部6の挿通孔7に、流体供給管9の貫通孔10を設けた側の先端部を差し込んで行き、そのまま収容部8の途中まで差し込む。そして、上述の第1実施形態のときと同様に、流体遮断用バック2を軸心方向に少し伸長させつつ、接続部6に赤外線を照射するなどして、接続部6の内周面と流体供給管9の外周面とを熱溶着させる。
この構成によれば、流体供給管9の先端が収容部8において固定されておらず、さらに収容部8の最奥部と流体供給管9の先端との間に隙間が設けられているため、流体供給により胴部3が径方向に膨張して流体遮断用バック2が軸心方向に収縮したとしても、収容部8の最奥部と流体供給管9の先端とが当接し難い。従って、流体遮断用バック2が膨張して軸心方向に縮んだとしても、流体供給管9に対して圧縮応力が作用し難く、流体供給管9の突っ張りを防止することができる。
また、本実施形態の流体遮断用バック2に対しては、側面に貫通孔10を持たない流体供給管15を適用することも可能である。即ち、図7に示すように、流体供給管15の先端部分を、流体遮断用バック2における接続部6の挿通孔7に差し込み、接続部6に赤外線を照射するなどして、接続部6の内周面と流体供給管15の先端部分の外周面とを熱溶着させる。
この構成によれば、流体供給管15が、流体遮断用バック2の軸心方向全体に亘っていないため、流体遮断用バック2が膨張したとしても、流体供給管15に対して圧縮応力が作用することはない。また流体供給管15は、貫通孔を備えていない分、簡素化されており、製造コスト面においても有利である。
〔第3実施形態〕
以下、本発明に係る流体遮断装置の第3実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、重複説明を避けるため、先の第1実施形態で説明した構成と同じ作用を奏する構成については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
図8、図9、図11に示すように、第3実施形態の流体遮断用バック2では、胴部3の軸心方向に延びる複数の凹条部4及び凸条部5が、胴部3の周方向に交互に形成されている。
図8に示すように、凸条部5の傾斜部分5bが、同じ方向に湾曲しつつ軸心から延びている。また、凹条部4は、胴部3の軸心に向かって引退する湾曲面を有する。そのため、図10に示すように、本実施形態における胴部3の軸心に直交する断面は、全体として風車のような形状となる。
図10に示すように、本実施形態における流体遮断用バック2は、胴部3の軸心に直交する断面において、4つの凸条部5のいずれにおいても、その右側部の長さRが左側部の長さLよりも短く構成されている(R<L)。
尚、凸条部5の右側部の長さRとは、その凸条部5の右側に隣接する凹条部4の底からその凸条部5の頂点に至るまでの距離を意味しており、凸条部5の左側部の長さLとは、その凸条部5の左側に隣接する凹条部4の底からその凸条部5の頂点に至るまでの距離を意味する。
本実施形態では、右側部の長さRが左側部の長さLよりも短く設定されているが(R<L)、逆に、右側部の長さRが左側部の長さLよりも長く設定されている構成(R>L)であっても良い。
本構成によれば、複数の凸条部5の右側部の長さRが左側部の長さLよりも短いか、あるいは複数の凸条部5の右側部の長さRが左側部の長さLよりも短く構成されているため、折り畳む際に胴部の軸心に向けて各凹条部4を押し込むと、各凸条部5が、長さの短い側に倒れ易く、且つ各凸条部5の倒れる方向が一致する。従って、各凸条部5を胴部3の同一周方向に折り畳み易く、流体遮断用バック2を見栄え良くコンパクト化することができる。
また特に本構成では、図10に示すように、胴部3の軸心に直交する断面が点対称であるため、各凸条部5の折り畳みが均一なものとなり、流体遮断用バック2をさらに見栄え良くコンパクト化することができる。尚、胴部3の軸心に直交する断面は、必ずしも点対称でなくとも良い。
〔第4実施形態〕
以下、本発明に係る流体遮断装置の第4実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、重複説明を避けるため、先の第1実施形態で説明した構成と同じ作用を奏する構成については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
図12、図13、図15に示すように、第4実施形態の流体遮断用バック2では、胴部3の軸心方向に延びる複数の凹条部4及び凸条部5が、胴部3の周方向に交互に形成されている。
図12に示すように、凸条部5の傾斜部分5bが、軸心から放射状に直線的に延びている。また凹条部4は、胴部3の軸心に向かってV字状に引退する傾斜面を有する。そのため、図14に示すように、胴部3の軸心に直交する断面が全体として手裏剣のような形状となる。
図14に示すように、本実施形態における流体遮断用バック2は、胴部3の軸心に直交する断面において、4つの凸条部5のいずれにおいても、その右側部の長さRが左側部の長さLよりも短く構成されている(R<L)。
尚、凸条部5の右側部の長さRとは、その凸条部5の右側に隣接する凹条部4の底からその凸条部5の頂点に至るまでの距離を意味しており、凸条部5の左側部の長さLとは、その凸条部5の左側に隣接する凹条部4の底からその凸条部5の頂点に至るまでの距離を意味する。
本実施形態では、右側部の長さRが左側部の長さLよりも短く設定されているが(R<L)、逆に、右側部の長さRが左側部の長さLよりも長く設定されている構成(R>L)であっても良い。
本構成によれば、複数の凸条部5の右側部の長さRが左側部の長さLよりも短いか、あるいは複数の凸条部5の右側部の長さRが左側部の長さLよりも短く構成されているため、折り畳む際に胴部の軸心に向けて各凹条部4を押し込むと、各凸条部5が、長さの短い側に倒れ易く、且つ各凸条部5の倒れる方向が一致する。従って、各凸条部5を胴部3の同一周方向に折り畳み易く、流体遮断用バック2を見栄え良くコンパクト化することができる。
また特に本構成では、図14に示すように、胴部3の軸心に直交する断面が点対称であるため、各凸条部5の折り畳みが均一なものとなり、流体遮断用バック2をさらに見栄え良くコンパクト化することができる。尚、胴部3の軸心に直交する断面は、必ずしも点対称でなくとも良い。
〔第5実施形態〕
以下、本発明に係る流体遮断装置の第5実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、重複説明を避けるため、先の第1実施形態で説明した構成と同じ作用を奏する構成については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
図16に示すように、第5実施形態の流体遮断用バック2では、胴部3の軸心方向に延びる複数の凹条部4及び凸条部5が、胴部3の周方向に交互に形成されている。
図17に示すように、本実施形態にの流体遮断用バック2では、胴部3の軸心に直交する断面が、アルファベットの「H」のような形状であって、互いに直交する2つの対称軸S1,S2を有する。従って、胴部3の軸心に直交する断面は、線対称であり且つ点対称であるが、これに限るものではなく、少なくとも線対称であれば良い。
また、本実施形態の流体遮断用バック2は、胴部3の軸心に向かってV字状に引退する傾斜面を有する2つの凹条部4(以下、V字凹条部4と称する)と、胴部3の軸心に向かってU字状に引退する湾曲面を有する2つの凹条部4(以下、U字凹条部4と称する)とを備える。本実施形態では、U字凹条部4は対称軸S1上に配置され、V字凹条部4は対称軸S2上に配置され、U字凹条部4の溝の深さは、V字凹条部4の溝よりも深く構成されている。
ブロー成形を行うと、成形品にパーティングラインという出っ張り部分が形成されることが多い。パーティングラインは、他の部分よりも肉厚のため、流体遮断用バック2を折り畳む際に曲げ難く、皺の原因となって見栄えが悪くなることがある。
しかしながら、本構成によれば、胴部3の軸心に直交する断面が線対称であり、対称軸上に凹条部4が配置されるため、金型の合わせ面が凹条部4に配置されるように構成することで、パーティングラインを凹条部4に形成させるようにすることが可能となる。尚、本実施形態では、パーティングラインを、対称軸S2上のV字凹条部4に形成させるようにすることができる。
これにより、V字凹条部4にパーティングラインが形成されるが、流体遮断用バック2を折り畳む際に、胴部3の軸心に向けてV字凹条部4を押し込むと、パーティングラインが内側に隠れることになるため、外表面に皺が形成され難い。従って本構成によれば、流体遮断用バック2を折り畳む際、見栄え良くコンパクト化することができる。
〔第6実施形態〕
以下、本発明に係る流体遮断装置の第6実施形態について、図面に基づいて説明する。尚、重複説明を避けるため、先の第1実施形態で説明した構成と同じ作用を奏する構成については、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として異なる構成についてのみ説明する。
図18及び図19に示すように、第6実施形態における流体遮断用バック2は、扁平状の胴部3を備える。胴部3は、その軸心方向に延びる複数のと凹条部4と凸条部5とが交互に並んで蛇腹状に形成されている。尚、肉厚部4aが凹条部4の底部に形成され、肉薄部5aが凸条部5の頂部に形成されている。
本構成によれば、胴部3が蛇腹状に形成されているため、胴部3をその軸心と直交する方向に圧縮することにより、流体遮断用バック2を見栄え良くコンパクト化することができる。
尚、本実施形態では、左右両端に配置される凸条部5の横幅と高さが他の凸条部5よりも大きく設定されている。これにより、胴部3を圧縮したとき、左右両端の凸条部5が、圧縮された他の凸条部5と凹条部4とを中に包み込むように回り込み、全体があたかも棒状となるように折り畳むことができる。
〔その他の実施形態〕
(1)上記第1〜第4実施形態における流体遮断用バック2について、図20に示すように構成しても良い。即ち、本実施形態における流体遮断用バック2の胴部3は、軸心方向に連設する大径部分3aと小径部分3bとを備えており、胴部3の周方向にて隣り合う凸条部5が、該胴部3の軸心方向において互いに異なる位置に設けられている。
図20に示される実施形態では、4つの凸条部5のうちの2つが胴部3の大径部分3aに設けられており、残り2つの凸条部5が胴部3の大径部分3aと小径部分3bに亘るように設けられている。そして、大径部分3aにのみ設けられた凸条部5、及び大径部分3aと小径部分3bに亘るように設けられた凸条部5が、胴部3の周方向に交互に配置されている。
これにより、胴部3の周方向にて隣り合う凸条部5において、各凸条部5の長手方向両端の傾斜部分5bが、胴部3の軸心方向の位置で互い重なることがないため、各凸条部5を胴部3の周方向に折り畳み易くなり、流体遮断用バック2をよりコンパクト化することができる。
(2)上記第2実施形態の構成を、上記第3〜第6実施形態に適用しても良い。即ち、流体遮断用バック2に収容部8を設けたり、あるいはさらに、側面に貫通孔10を持たない流体供給管15を適用するようにしても良い。
(実施例1)
上述の第1実施形態に係る流体遮断用バック2を、押出ブロー成形法によって作製した。エラストマー材料としてポリウレタンエラストマー(BASFジャパン社製「ET870−11V」及び「ET885」)を使用した。押出機を使用し、約200℃の熱を加えながら、チューブ状に押出しつつ所定の金型に入れ込み、約0.5MPaの圧力の空気を約1分間吹き込みながら冷却した。これにより、内径100mm〜110mmの配管に適用される上述の第1実施形態に係る流体遮断用バック2を作製した。
ポリウレタンエラストマーの「ET870−11V」及び「ET885」のそれぞれについて、流体遮断用バック2を2つずつ作製した。ET870−11Vで作製したものを試料1及び試料2とし、ET885で作製したものを試料3及び試料4とした。
尚、ポリウレタンエラストマーの「ET870−11V」及び「ET885」それぞれの物性について以下の表1にまとめた。
Figure 0006522965
作製した試料1〜4について、図21(a)のX断面、Y断面、Z断面のそれぞれにおいて、図21(b)に示す部位a〜hの厚みを測定した。結果を図22に示す。
図22に示すように、試料1〜4の全てのサンプルにおいて、凹条部4の底部(部位b、d、f、g)はいずれも、凸条部5の頂部(部位a、c、e、h)よりも厚いものであった。即ち、本実施例に係る流体遮断用バック2の胴部3では、凹条部4の底部に向かうほど肉厚に形成され、凸条部5の頂部に向かうほど肉薄に形成されていることが分かった。
次いで、試料1〜4のそれぞれにおいて、片方の接続部6を塞ぎ、もう片方の接続部6から空気を供給した。試料1及び試料2については、空気圧を10kPaから30kPaまで10kPaづつ上げて膨張させた後、再び空気圧を10kPaまで戻した。また試料3及び試料4については、空気圧を10kPaから50kPaまで10kPaづつ上げて膨張させた後、再び空気圧を10kPaまで戻した。そして、各空気圧において、図21(a)のX断面、Y断面、Z断面のそれぞれにおける外径の大きさと、Lの長さを測定した。結果を図23に示す。尚、図23中の変化率(%)は、10kPaの空気を供給して膨張させたときの流体遮断用バック2を基準として算出した。
図23に示すように、試料1〜4の全てにおいて、胴部3の外径については空気圧が高くなるほど大きくなるが、胴部3の長手方向(軸心方向)の長さはほとんど変わらなかった。即ち、本実施例に係る流体遮断用バック2に内圧をかけて膨張させると、径方向に膨張し易く、長手方向(軸心方向)にはほとんど膨張しないため、効率良く配管を閉塞することが可能であることが分かった。尚、その理由としては、肉薄部は伸びて膨張し易いが、肉厚部は長手方向(軸心方向)への伸びを妨げる状態となり、その結果、長手方向(軸心方向)への膨張よりも、径方向への膨張が優先されるためと考えられた。
また、試料1〜4の全てにおいて、X断面、Y断面、Z断面のそれぞれにおける外径は略同じ大きさに膨張した。即ち、試料1〜4はいずれも、片膨れなどを起こさずに円筒状に膨張しており、配管のシール面積が大きいことが分かった。また試料1〜4の全てにおいて、内圧を下げると外径は略元に戻り、復元性が良いことも確認された。
(実施例2)
エラストマー材料として、ポリアミドエラストマーを使用して、前述の実施例1と同様に流体遮断用バック2を押出ブロー成形法によって作製した。
ポリアミドエラストマーの使用量を30g及び35gとしたものについて、それぞれを2つずつ作製した。30gで作製したものを試料5及び試料6とし、35gで作製したものを試料7及び試料8とした。
作製した試料5〜8について、図21(a)のX断面、Y断面、Z断面のそれぞれにおいて、図21(b)に示す部位a〜hの厚みを測定した。結果を図22に示す。
図22に示すように、試料5〜8の全てのサンプルにおいて、凹条部4の底部(部位b、d、f、g)はいずれも、凸条部5の頂部(部位a、c、e、h)よりも厚いものであった。即ち、本実施例に係る流体遮断用バック2の胴部3では、凹条部4の底部に向かうほど肉厚に形成され、凸条部5の頂部に向かうほど肉薄に形成されていることが分かった。
次いで、試料5〜8のそれぞれにおいて、片方の接続部6を塞ぎ、もう片方の接続部6から空気を供給した。試料5及び試料6については、空気圧を10kPaから40kPaまで10kPaづつ上げて膨張させた。また試料7及び試料8については、空気圧を10kPaから50kPaまで10kPaづつ上げて膨張させた。そして、各空気圧において、図21(a)のX断面、Y断面、Z断面のそれぞれにおける外径の大きさと、Lの長さを測定した。結果を図23に示す。尚、図23中の変化率(%)は、10kPaの空気を供給して膨張させたときの流体遮断用バック2を基準として算出した。
図23に示すように、試料5〜8の全てにおいて、胴部3の外径については空気圧が高くなるほど大きくなるが、胴部3の長手方向(軸心方向)の長さはほとんど変わらなかった。即ち、本実施例に係る流体遮断用バック2に内圧をかけて膨張させると、径方向に膨張し易く、長手方向(軸心方向)にはほとんど膨張しないため、効率良く配管を閉塞することが可能であることが分かった。
また、試料5〜8の全てにおいて、X断面、Y断面、Z断面のそれぞれにおける外径は略同じ大きさに膨張した。即ち、試料5〜8はいずれも、片膨れなどを起こさずに円筒状に膨張しており、配管のシール面積が大きいことが分かった。また試料5〜8の全てにおいて、内圧を下げると外径は略元に戻り、復元性が良いことも確認された。
本発明に係る流体遮断装置は、ガス管、水道管、煙突等の配管工事において、配管を流れる流体を一時的に遮断する必要がある産業分野において好適に利用することができる。
1 流体遮断装置
2 流体遮断用バック
3 胴部
3a 大径部分
3b 小径部分
4 凹条部
4a 肉厚部
5 凸条部
5a 肉薄部
5b 傾斜部分
6 接続部
7 挿通孔
8 収容部
9 流体供給管
10 千鳥状の貫通孔
11 樹脂栓
15 流体供給管(貫通孔無し)
16 支柱
17 支持台
18 治具
F フィルム
P 真空ポンプ
S1,S2 対称軸

Claims (11)

  1. エラストマー材料から構成されており、
    内部に流体が供給されることにより膨張する胴部と、該胴部の軸心方向両端の少なくともいずれか一方に、流体供給管を密封接続するための接続部とを一体に備え、
    前記胴部が、その軸心方向に延びる肉薄部と肉厚部とを備え、前記肉薄部と前記肉厚部が前記胴部において一体に成形されていることを特徴とする流体遮断用バック。
  2. 前記肉薄部と前記肉厚部とが、前記胴部の周方向に交互に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体遮断用バック。
  3. 前記胴部において、軸心方向に延びる複数の凸条部及び凹条部が、該胴部の周方向に交互に形成されており、
    前記肉薄部が前記凸条部の頂部に形成され、前記肉厚部が前記凹条部の底部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の流体遮断用バック。
  4. 前記胴部の周方向にて隣り合う前記凸条部が、該胴部の軸心方向において互いに異なる位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の流体遮断用バック。
  5. 前記胴部の軸心に直交する断面において、前記複数の凸条部の右側部の長さが左側部の長さよりも短いか、あるいは前記複数の凸条部の右側部の長さが左側部の長さよりも長く構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の流体遮断用バック。
  6. 前記胴部の軸心に直交する断面が点対称であることを特徴とする請求項5に記載の流体遮断用バック。
  7. 前記胴部の軸心に直交する断面が線対称であり、対称軸上に前記凹条部が配置されることを特徴とする請求項3又は4に記載の流体遮断用バック。
  8. 前記胴部において、その軸心方向に延びる複数の凸条部と凹条部とが交互に並んで蛇腹状に形成されており、
    前記肉薄部が前記凸条部の頂部に形成され、前記肉厚部が前記凹条部の底部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体遮断用バック。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の流体遮断用バックと、該流体遮断用バックの接続部に密封接続される流体供給管とを備えることを特徴とする流体遮断装置。
  10. 前記流体遮断用バックにおける胴部の軸心方向両端のそれぞれに接続部を備え、
    前記流体遮断用バックを軸心方向に伸長させた状態で、前記流体供給管を前記胴部の両端の接続部に亘って挿通させて密封接続してあることを特徴とする請求項9に記載の流体遮断装置。
  11. 前記流体遮断用バックと前記流体供給管とが溶着可能な樹脂材料から構成されており、前記流体供給管と前記接続部とが熱融着されていることを特徴とする請求項9又は10に記載の流体遮断装置。
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