JP6521251B2 - 光受信器の検査方法 - Google Patents
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そこで、特許文献1では、車両の識別情報(以下、「車両ID」という。)を格納した低速フレームを高速フレームの前に送信し、高速アップリンク通信に対応する新型機器の場合でも、低速フレームによる通信を最初に行う通信手順が提案されている。
かかる不感領域において高速フレームが送信されると、新光ビーコンが高速フレームを受信できなくなり、高速フレームの再送を許さない通信規格の場合は、新光ビーコンが高速フレームを取得できる可能性がなくなる。
これにより、新光ビーコンに上記の不感領域が発生しなくなり、低速フレームの後に送信される高速フレームを新光ビーコンが適切に受信できるようになる。
従って、新光ビーコンの場合には、光受信器が上記の光学的条件を充足するか否かの検査を、出荷前に工場において実行する必要がある。
しかし、1つの設定値で上記の光学的条件が成立しても、その設定値より大きい到達光量(例えば、3.0μW/cm2)になると上記の光学的条件が成立しない場合がある。従って、受光面での到達光量が大きい上りフレームを新車載機が送信すると、適切なアップリンク位置設定にならない可能性がある。
以下、本発明の実施形態の概要を列記して説明する。
(1) 本実施形態の検査方法は、高低2種類の伝送速度の光信号を受信可能なマルチレート対応の光ビーコンに用いる光受信器の検査方法であって、前記光受信器に対する到達光量が所定の設定値となるように、前記光信号の発光器の発光量を調整し、前記光受信器が受光した低速及び高速フレームの受信異常率をそれぞれ測定する第1ステップと、前記設定値を異なる設定値に変更して前記第1ステップを実行することにより、複数の設定値についての低速及び高速フレームの受信異常率を取得する第2ステップと、すべての前記設定値について、低速フレームの受信異常率>高速フレームの受信異常率であるか否かを判定する第3ステップと、を含む。
(4) 逆に、本実施形態の検査方法において、第3ステップの判定結果が否定的である場合に、検査対象の前記光受信器を不適であると判断すればよい。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
まず、本明細書において頻出する用語の定義を記載する。
新光ビーコン:低速アップリンク受信及び高速アップリンク受信の双方に対応する光ビーコンのことである。これに対し、低速アップリンク受信のみを行う光ビーコンを、旧光ビーコンという。
新車載機:低速アップリンク送信及び高速アップリンク送信の双方に対応する車載機のことである。これに対し、低速アップリンク送信のみを行う車載機を、旧車載機という。
上りフレームUL2:下りフレームの受信に応じて新車載機が送信する上りフレームのうち、伝送速度が高速のものをいう。「高速フレームUL2」ともいう。
図1は、道路Rに発生し得る新光ビーコン4の不感領域Fの一例を示す説明図である。
図1の新光ビーコン4は、ビーコンヘッド8の内部に光受信部11を備える。光受信部11は、レンズ31、受光素子32、増幅器33、フィルタ回路34及びコンパレータ35等を直列に接続した1系統の受信回路よりなる。図1の新光ビーコン4は、当該1系統の受信回路により、高低2種類の上りフレームUL1,UL2の双方を受信する。
実線のエリアRA1は、新光ビーコン4の光受信部11が低速フレームUL1を実際に受信可能なエリアを示し、仮想線のエリアRA2は、新光ビーコン4の光受信部11が高速フレームUL2を実際に受信可能なエリアを示している。
なお、この場合の「受信可能」とは、上りフレームUL1,UL2を所定のビットエラーレート(例えば、規格値では10−5)以下で受信できることを意味する。
かかる範囲の広狭差を、第1上流端P1と第2上流端P2の位置関係で換言すると、上りフレームUL1,UL2の光受信部11が上記の1系統の受信回路よりなる場合には、第1上流端P1が第2上流端P2よりも上流側に位置するということになる。その理由は、次の通りである。
かかる伝送速度の差による受信性能の差が、そのまま低速フレームUL1と高速フレームUL2の受信可能な範囲の広狭となって表れ、低速フレームUL1を実際に受信可能な「物理的」な最上流端である第1上流端P1が、高速フレームUL2を実際に受信可能な「物理的」な最上流端である第2上流端P2よりも上流側になる。
ところで、新車載機が最初に低速フレームUL1を送信し、その後に新光ビーコン4が送信する下りフレームで自身の車両IDを確認してから、高速フレームUL2を送信する通信規約を採用する場合、車両の走行速度によっては、不感領域Fにおいて新車載機が高速フレームUL2を送信することもあり得る。
このように、新車載機が不感領域Fにおいて高速フレームUL2を送信すると、その高速フレームUL2を新光ビーコン4が受信できない。
以下、第1及び第2上流端P1,P2のアップリンク位置設定が行われた新光ビーコン4の具体例について説明する。
図2は、新光ビーコン4の回路構成例を示す機能ブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の新光ビーコン4は、ビーコンヘッド8とビーコン制御機7とを備える。ビーコンヘッド8は、光送信部10と光受信部11とを備える。
ビーコン制御機7は、光通信制御のための通信IC28と、デジタル信号処理を行うメインCPU30とを含む。なお、ビーコン制御機7は、メインCPU30に入出力される「上りデータ」や「下りデータ」を一時的に記憶するメモリも備えている。
通信IC28は、メインCPU30から取得した下りデータを所定の符号化方式(例えば、マンチェスター符号)にて変換して、所定周期のシリアルな電気信号よりなるパルス信号38を生成し、このパルス信号38を駆動回路37に出力する。
これにより、LED36が、近赤外線よりなる所定の伝送速度(本実施形態では、1024kbps)のダウンリンク光をビーコンヘッド8の外部に送出する。
そして、上記の受信系11A,11Bに対する光学的設定を適切に行うことにより、物理的な最上流端である第2上流端P2が物理的な最上流端である第1上流端P1よりも上流側に位置するようになっている。
増幅器33Aは、低速帯域(本実施形態では、64kbps)で動作する低速用増幅回路よりなる。フィルタ回路34Aは、低速帯域成分を抽出できるフィルタ回路であり、コンパレータ35Aは、低速信号と閾値との比較が可能な低速用コンパレータよりなる。
コンパレータ35Aは、低速信号と閾値との比較が可能な低速用コンパレータよりなる。コンパレータ35Aは、入力された低速信号を閾値と比較し、この比較によって抽出したデジタルの受信信号(ビットデータ)を通信IC28に出力する。
増幅器33Bは、高速帯域(本実施形態では、256kbps)で動作する高速用増幅回路よりなる。フィルタ回路34Bは、高速帯域成分を抽出できるフィルタ回路であり、コンパレータ35Bは、高速信号と閾値との比較が可能な高速用コンパレータよりなる。
コンパレータ35Bは、高速信号と閾値との比較が可能な高速用コンパレータよりなる。コンパレータ35Bは、入力された高速信号を閾値と比較し、この比較によって抽出したデジタルの受信信号(ビットデータ)を通信IC28に出力する。
図3は、両受信系11A,11Bが上りフレームUL1,UL2をそれぞれ受信可能なエリアRA1,RA2を示す側面図である。
図3に示すように、低速用のレンズ31Aは、PD32Aの受光面に対向した状態でビーコンヘッド8に取り付けられている。同様に、高速用のレンズ31Bは、PD32Bの受光面に対向した状態でビーコンヘッド8に取り付けられている。
そして、それらの光軸方向を互いに非平行にセットしたり、焦点距離が異なるレンズ31A,31Bを採用したりすることにより、エリアRA1の上流側斜辺の傾斜角度がエリアRA2の上流側斜辺の傾斜角度よりも大きくなっている。
なお、エリアRA2の最上流端P2は、必ずしもエリアRA1の最上流端P1の上流側でなくてもよく、その最上流端P1と実質的に同じ位置となるように、光学的設定を行うことにしてもよい。もっとも、エリアRA1,RA2の下流端を一致させる必要はない。
従って、低速フレームUL1の後に送信される高速フレームUL2を適切に受信できる、アップリンク方向でマルチレート対応の新光ビーコン4が得られる。
前述の通り、アップリンク位置設定の光学的条件は、アップリンク領域UAの上流端付近の所定位置から送信された高速フレームUL2の新光ビーコン4による受信が必須(受信必須)である場合に、当該所定位置において新光ビーコン4による低速フレームUL1の受信が禁止(受信禁止)されていることである。
ここでは、新車載機が同じ光強度の低速及び高速フレームUL1,UL2を道路R上から送信した場合の、ビーコンヘッド8の受光面における低速及び高速フレームUL1,UL2の光強度(到達光量)を想定する。
低速フレームUL1の最低受信必須感度(「最低必須受信感度」ともいう。)X2は、新光ビーコン4がこの値より大きい低速フレームUL1は受けなければならない光強度の閾値(例えば、X2=0.5μW/cm2)である。
高速フレームUL2の最低受信必須感度(「最低必須受信感度」ともいう。)Y2は、新光ビーコン4がこの値より大きい高速フレームUL2は受けなければならない光強度の閾値(例えば、Y2=0.3μW/cm2)である。
従って、アップリンク領域UAの上流端よりも更に上流側の幾つかの所定位置から送信された低速及び高速フレームUL1,UL2においても、X1≧Y2の関係が成立することを確認することが好ましい。なお、低速及び高速フレームUL1,UL2の送信位置は、道路の進行方向の座標で定義してもよいし、受光面に対する入射角で定義してもよい。
上述の通り、アップリンク方向でマルチレート対応の新光ビーコン4を用いた光通信において、新車載機が低速フレームUL1→送信中断期間→高速フレームUL2の順でアップリンクを行う通信規約の場合には、新光ビーコン4の通信領域Aに不感領域F(図1参照)が発生するのを未然に防止せねばならない。
図5に示すように、本実施形態の検査システムは、検査対象である新光ビーコン4に用いる光受信器40と、新車載機に用いる発光器(光源)41と、ビットエラー試験機42とを含む。
発光器41は、新車載機に搭載する光送信部と同等の、低速及び高速フレームUL1,UL2のアップリンク光を送信可能な発光器よりなる。
ビットエラー試験機42は、通信回線を介して、低速(64kbps)又は高速(256kbps)のシリアルな電気信号を送信可能である。発光器41は、試験機42から入力された電気信号の速度に応じて発光を繰り返し、近赤外光よりなる低速フレームUL1又は高速フレームUL2を送出する。
また、ビットエラー試験機42は、投受光器40から入力されたデジタル信号(受信信号)に含まれるビットエラーレート(Bit Error Rate:BER)の算出処理を行うことができる。
「BL」は道路から所定高さH(=1.0m)の基準面である。「H0」は基準面BLからの投受光器40の設置高さ(例えば、Y=4.5m)を示し、「L0」はアップリンク領域UAの上流端の基準位置Q0(例えば、X=6.04m)を示し、「C0」は互いに直交するL0とH0とを繋ぐ斜辺長を示す。
すなわち、投受光器40の受光面(筐体の受光窓面)40Aにおける光量が、所定の到達光量となるように、発光器41の発光量が調整される。測定場所は、暗室が望ましいが、非暗室の場合は、測定に支障のない照明の明るさとする。
到達光量はビーコンヘッド8の前面に測定器(例えば光パワーメーター)を設置して行い、その俯角は、60度±5度とする。発光器41の光軸は、256kbps対応の新車載機の設置角(例えば45度)相当の仰角とし、車線幅方向に対して直角とする。
工程1) 基準位置Q0よりも十分に上流側に遠い測定位置Q1(例えば、 X=7.0m)に発光器41を設置し、受光面40Aでの高速フレームUL2の到達光量が高速フレームUL2の最低受信必須感度Y2(=0.3μW/cm2)となるように、発光器41の発光量を調整する。
工程2) ビットエラー試験機42から、高速(256kbps)の送信データを所定のデータ量(例えば、1×106)以上入力し、発光器41から近赤外光よりなる高速フレームUL2を放射する。
工程4) 発光器41をX方向に沿って下流側に徐々に動かし、当初の測定位置Q1より下流側の測定位置Q2,Q3…において、工程1〜工程3までを繰り返し行い、試験機42が検出するビットエラーレートが最初に所定の閾値(例えば、1×10−5)以下となる限界位置を見つける。ここでは、仮に測定位置Q3が「限界位置」であるとする。
工程6) ビットエラー試験機42から、低速(64kbps)の送信データを所定のデータ量(例えば、1×106)以上入力し、発光器41から近赤外光よりなる低速フレームUL1を放射する。
工程7) ビットエラー試験機42により、低速(64kbps)の送信データのビットエラーレートを測定する。
工程9) 工程7での低速フレームUL1のビットエラーレートの測定結果が、所定の閾値(例えば、1×10−5)以下である場合には、アップリンク位置設定の光学的条件(X1≧Y2)が満たされないので、試験対象の投受光器40は「不適」と判定する。
しかし、発光器41のX座標値を変更する検査方法では、X座標値の変更に伴って発光器41から投受光器40の受光面40Aまでの距離も変化することになるので、発光器41の位置を変更した後に、発光器41の発光量も微調整する必要があり、検査が面倒になるという問題がある。
そこで、投受光器40と発光器41の相対的な位置関係を、発光器41の車両進行方向の位置(X座標値)ではなく、投受光器40の受光面40Aの所定点(例えば、図5に示す受光面40Aの中央点d)を中心とし、かつ、斜辺長C0を一定とした発光器41の極座標位置で定義することにしてもよい。以下、図5を参照して、この検査方法の原理を説明する。
ここで、線分d−Q1、線分d−Q2及び線分d−Q3と軌道Tとの交点を、それぞれ測定位置T1〜T3とすると、各測定位置T1〜T3は、中心点dから半径C0が一定の極座標として定義でき、それらの入射角度φ1〜φ3は、X座標における測定位置Q1〜Q3の場合と投受光器40に対する方向が対応している。
同様に、入射角度φ2の場合の測定位置T2は、X座標の測定位置Q2と方向が対応しかつ中心点dからの距離がC0であり、入射角度φ3の場合の測定位置T3は、X座標の測定位置Q3と方向が対応しかつ中心点dからの距離がC0である。
従って、前述の検査方法において、発光器41の測定位置を、半径C0が一定である中心点d回りの入射角度φを用いた極座標で定義し、軌道Tに沿って発光器41を移動させて入射角度φを変更すれば、中心点dまでの距離(=C0)を一定としたまま、発光器41の測定位置を変更することができる。
すなわち、中心点dからの半径C0が一定の軌道Tに沿って、発光器41を所定の入射角度φ1だけ反時計方向に公転させることは、投受光器40を中心点d回りに同じ入射角度φ1だけ逆の時計方向に自転させることと等価である。
従って、前述の検査方法において、発光器41の測定位置を、半径C0が一定の中心点d回りの入射角度φを用いた発光器41の極座標で定義する場合には、投受光器40を中心点d回りに自転させることにしても、中心点dまでの距離(=C0)を一定としたまま、発光器41の測定位置を変更できることになる。
図6は、投受光器40の受光面40Aにおける到達光量とビットエラーレートとの関係の一例を示すグラフである。
図6に示すように、グラフの全体的な形状は、到達光量が約0.5μW/cm2以下の範囲では右下がりであり、到達光量が約0.5〜約1.0μW/cm2の範囲ではほぼ横這いであり、到達光量が約1.0μW/cm2を超える範囲では右上がりとなる。
また、到達光量が約1.0μW/cm2を超える範囲でグラフが右上がりとなる理由は、投受光器40の受光面40Aに対する到達光量が高すぎると、サチュレーションによる受信信号のエラーが発生し易くなるからである。
従って、到達光量が最低受信必須感度Y2(=0.3μW/cm2)である場合の検査結果が適正であれば、新車載機の発光パワーの変動に伴って到達光量が変化しても、検査結果は適正であるという結論となる。
そこで、上述の検査方法とは別の検査として、到達光量が変動しても低速フレームUL1と高速フレームUL2のビットエラーレートが逆転しないことを確認するための検査を行うことが好ましい。
具体的には、次の工程a1〜a9を実行することにより、複数の到達光量において低速フレームUL1と高速フレームUL2のビットエラーレートの大小関係が変動しないことを検証する。
工程a3) ビットエラー試験機42により、低速(64kbps)の送信データのビットエラーレートR1を測定する。
工程a6) ビットエラー試験機42により、高速(256kbps)の送信データのビットエラーレートR2を測定する。
なお、採用し得る設定値Liの数値範囲は、予め定めた到達光量の変動想定範囲(図6参照:例えば0.3〜3.0μW/cm2)とする。
ビットエラーレートR1>ビットエラーレートR2……(1)
工程a9) ビットエラーレートを測定したすべての設定値Liのうちの少なくとも1つにおいて、上記の不等式(1)が成立しない場合、すなわち、次の不等式(2)が成立する場合には、試験対象の投受光器40は「不適」と判定する。
ビットエラーレートR1≦ビットエラーレートR2……(2)
図7は、図4に示すアップリンク位置設定の光学的条件の道路位置ごとの成立条件の説明図である。
図7において、位置座標Xの定義は図5の場合と同様であり、ビーコンヘッド8の真下を0m(原点)とし、そこから上流方向を正の方向としている。アップリンク領域UAの下流端はX=3.40の位置であり、同領域UAの上流端はX=6.04の位置である。
φ1(=0)は、アップリンク領域UAの上流端に対応する入射角度であり、φ2は、アップリンク領域UAの上流端よりも更に上流側の任意位置(例えば、X=6.50)に対応する入射角度であり、φ3は、アップリンク領域UAの下流端に対応する入射角度である。
成立条件1:Y2(=0.3μW/cm2)のUL2を受信可能である。
成立条件2:X1(=0.4μW/cm2)のUL1を受信不能である。
成立条件3:X2(=0.5μW/cm2)のUL1を受信可能である。
アップリンク発光位置Xがアップリンク領域UAの下流端付近である場合(X≒3.40,φ≒φ3)は、成立条件1及び3を充足することがアップリンク位置設定の光学的条件となる。すなわち、X≒3.40(φ≒φ3)の場合には、成立条件2は不要である。
図7に示す道路位置ごとの成立条件1〜3を、図5の検査システムを用いて検査する方法を説明すると、次のようになる。
図5のX=6.50の位置において、受光面40Aでの高速フレームUL2の到達光量が、高速フレームUL2の最低受信必須感度Y2(=0.3μW/cm2)となるように、発光器41の発光量を調整し、高速フレームUL2のビットエラーレートが所定の閾値(例えば、1×10−5)以下となっていることを確認する(成立条件1の確認)。
その理由は、X=6.04(アップリンク領域の上流端)においてビットエラーレートが所定の閾値を超えていると、それよりも上流のX=6.50の位置では、低速フレームUL1の到達光量が更に減少することから、成立条件2を満たすことが自明となるからである。
図5のX=Q0(=6.04)の位置において、受光面40Aでの高速フレームUL2の到達光量が、高速フレームUL2の最低受信必須感度Y2(=0.3μW/cm2)となるように、発光器41の発光量を調整し、高速フレームUL2のビットエラーレートが所定の閾値(例えば、1×10−5)以下となっていることを確認する(成立条件1の確認)。
図5のX=3.40の位置において、受光面40Aでの高速フレームUL2の到達光量が、高速フレームUL2の最低受信必須感度Y2(=0.3μW/cm2)となるように、発光器41の発光量を調整し、高速フレームUL2のビットエラーレートが所定の閾値(例えば、1×10−5)以下となっていることを確認する(成立条件1の確認)。
車載機がダウンリンク受信に使用できる時間を少しでも確保するためには、低速フレームUL1の送信を完了してから、高速フレームUL2の送信を開始するまでの時間はできるだけ短いほうが望ましいが、光ビーコン・車載機の位置条件・設置条件等によってはアップリンク領域UAの外側(X=6.04mの位置よりも上流)においてアップリンク通信が成立することがあり得ることを鑑みると、例えば、下記の方法1又は2を採用することにより、高速フレームUL2の受信の確実性を向上できると考えられる。
すなわち、車載機がなるべく下流側で高速フレームUL2を送信するようにして、高速フレームUL2がアップリンク領域UA内で送信される確率を上げる。
車載機がダウンリンク受信に使用できる時間を少しでも確保するためには、できるだけ上流側でアップリンク通信を確立することが望ましいが、光ビーコン・車載機の位置条件・設置条件等によってはアップリンク領域UAの外側(X=6.04mの位置よりも上流)においてアップリンク通信が成立することがあり得ることを鑑みると、当該時間に最小値(例えば20ms)を規定することが好ましい。これにより、その間に車両が走行することで少しでもアップリンク領域UAに近い地点から高速フレームUL2を送信する可能性を高める。
そのため、再送周期の最小値を規定することで、少しでも光ビーコン4に近い位置(なるべく下流)において、低速フレームUL1による通信が確立する可能性を高くする。
今回開示した実施形態(変形例を含む。)はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された構成と均等の範囲内でのすべての変更が含まれる。
また、上述の実施形態では、新光ビーコン4の受信異常率(ビットエラーレート又はフレームエラーレートなど)をパラメータとする検査方法を説明したが、「受信異常率」の代わりに「受信正常率」(アップリンク受信の正常度合い)をパラメータとしてもよい。
すなわち、受信正常率Rnを測定したすべての設定値Liにおいて、「低速フレームUL1の受信正常率Rn1<高速フレームUL2の受信正常率Rn2」の不等式が成立する場合には、試験対象の投受光器40は「適正」と判定する。
7 ビーコン制御機
8 ビーコンヘッド
10 光送信部
11 光受信部
28 通信IC
30 メインCPU
31,31A,31B レンズ
32,32A,32B 受光素子
33,33A,33B 増幅器
34,34A,34B フィルタ
35,35A,35B コンパレータ
40 光受信器(投受光器)
40A 受光面
41 発光器
42 ビットエラー試験機
R 道路
A 通信領域
UA アップリンク領域
DA ダウンリンク領域
UL1 低速フレーム(上りフレーム)
UL2 高速フレーム(上りフレーム)
P1 第1上流端
P2 第2上流端
F 不感領域
Claims (4)
- 高低2種類の伝送速度の光信号を受信可能なマルチレート対応の光ビーコンに用いる光受信器の検査方法であって、
前記光受信器に対する到達光量が所定の設定値となるように、前記光信号の発光器の発光量を調整し、前記光受信器が受光した低速及び高速フレームの受信異常率をそれぞれ測定する第1ステップと、
前記設定値を異なる設定値に変更して前記第1ステップを実行することにより、複数の設定値についての低速及び高速フレームの受信異常率を取得する第2ステップと、
すべての前記設定値について、低速フレームの受信異常率>高速フレームの受信異常率であるか否かを判定する第3ステップと、を含む光受信器の検査方法。 - 高低2種類の伝送速度の光信号を受信可能なマルチレート対応の光ビーコンに用いる光受信器の検査方法であって、
前記光受信器に対する到達光量が所定の設定値となるように、前記光信号の発光器の発光量を調整し、前記光受信器が受光した低速及び高速フレームの受信正常率をそれぞれ測定する第1ステップと、
前記設定値を異なる設定値に変更して前記第1ステップを実行することにより、複数の設定値についての低速及び高速フレームの受信正常率を取得する第2ステップと、
すべての前記設定値について、低速フレームの受信正常率<高速フレームの受信正常率であるか否かを判定する第3ステップと、を含む光受信器の検査方法。 - 第3ステップの判定結果が肯定的である場合に、検査対象の前記光受信器を適正であると判断する請求項1又は請求項2に記載の光受信器の検査方法。
- 第3ステップの判定結果が否定的である場合に、検査対象の前記光受信器を不適であると判断する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の光受信器の検査方法。
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