JP6518904B1 - 無線通信端末 - Google Patents

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Abstract

【課題】全体が小型であるにもかかわらず、電波の通信距離の延長を実現する無線通信端末を提供する。【解決手段】第一のアンテナユニット11は、基板10の表面S1に形成される。第一の処理回路12は、基板の表面に形成され、識別情報を含む第一の信号を第一のアンテナユニットに出力する。第二のアンテナユニット13は、基板の表面で、且つ、第一のアンテナユニットと電気的に絶縁している状態で、第一のアンテナユニットに隣接して設けられる。第三のアンテナユニット14は、第二のアンテナユニットと電気的に接続しており、基板の裏面S2において、基板を介して第二のアンテナユニットと対向し、且つ、第三のアンテナユニットの一部14aが第一のアンテナユニットの一部11aと位置的に重複するように設けられる。第二の処理回路15は、基板の表面に形成される。【選択図】図1

Description

本発明は、無線通信端末に関する。
物品や情報の管理システムには、識別情報を埋め込んだRF(radio frequency)タグと、RFタグから識別情報を取得するリーダ/ライタとを組み合わせたRFID(radio frequency identifier)システムが採用されている。
RFIDには、電波を受けて動作するIC(integrated circuits)タグが用いられており、使用する電波の周波数帯によって分類されている。例えば、UHF(Ultra High Frequency)帯(例えば、920MHz帯又は2.45GHz帯)やHF(High Freqeuncy)帯(例えば、13.5MHz帯)の周波数帯が存在する。
UHF帯のICタグは、ダイポールアンテナ、スロットアンテナ等のアンテナを使用し、特定の周波数帯の電波を利用して無線通信を行う。UHF帯のICタグの通信距離は、数mと長いため、UHF帯のICタグは、複数のICタグに対する複数通信に用いられることが多い。
一方、HF帯のICタグは、ループコイル型のアンテナを使用し、特定の周波数帯の電波を利用して無線通信を行う。HF帯のICタグの通信距離は、数cm〜数十cmと短いため、NFC(Near Field Communication)に代表されるように、HF帯のICタグは、一つのICタグに対する個別通信に用いられることが多い。
このようなICタグに関する技術は多種存在する。例えば、国際公開第2011/135934号(特許文献1)には、端末筐体側アンテナを備えた端末筐体と、端末筐体に装填されるカード型アンテナモジュールと、を備えた通信端末が開示されている。この通信端末は、カード型アンテナモジュールを、端末筐体側アンテナに近接した位置に配置し、端末筐体側アンテナと結合する結合用共振器と、結合用共振器よりも端末筐体側アンテナから離れた位置に配置されたモジュール側アンテナと、を備えている。これにより、端末筐体側アンテナとモジュール側アンテナとの結合を最小限に抑えることができ、小型かつ薄型で、所望の周波数特性を有する通信端末およびカード型アンテナモジュールを実現できるとしている。
又、特開2011−211611号公報(特許文献2)には、巻回中心部をコイル開口部とするループ状または渦巻き状のコイル導体を有する給電アンテナと、給電アンテナと結合するブースターアンテナとを備えたアンテナモジュールが開示されている。このブースターアンテナは、導体で構成され、コイル導体に結合する第1結合領域と、該第1結合領域に接続された第2結合領域を有する。これにより、アンテナサイズを大型化することなく、通信可能距離を大きくすることが出来るとしている。
又、特開2013−168756号公報(特許文献3)には、第1周波数帯、第2周波数帯の2つの周波数帯に兼用されるアンテナ装置が開示されている。このアンテナ装置は、第2周波数帯の信号が給電される2つの給電点が跨る切り欠き部を有する平面導体と、内側がコイル開口部となるようにスパイラル状又はループ状に巻回されたコイル導体を有し、平面視でコイル開口部が切り欠き部と少なくとも一部で重なる位置に配置され、第1周波数帯の給電回路が接続される給電コイルと、平面導体の2つの給電点の少なくとも一方に接続された、第1周波数帯で実質的に開放第2周波数帯で実質的に短絡となる付加回路と、を備える。そして、平面導体は、第1周波数帯では給電コイルと電磁界結合して放射補助素子として作用し、第2周波数帯では放射素子として作用する。これにより、第1周波数帯と第2周波数帯の2つの周波数帯に適用でき、大型化することなくいずれの周波数帯でも高利得なアンテナ装置として使用出来るとしている。
国際公開第2016/035771号(特許文献4)には、通信を行う際の周波数が異なる複数の通信装置との信号の送受信を非接触にて行う非接触式情報通信端末装置が開示されている。この非接触式情報通信端末装置は、基材上に形成された第1の周波数を有する第1の信号を送受信する第1のアンテナユニットと、第1のアンテナユニットに接続されるとともに、第1のアンテナユニットにより第1の信号が受信された場合に、当該第1の信号に基づき、予め定められた第1の処理を実行し、当該処理結果に対応する信号を第1の処理信号として、第1のアンテナユニットに出力する第1の処理回路と、基材上に形成された第1の周波数とは異なる第2の周波数を有する第2の信号を送受信する第2のアンテナユニットと、第2のアンテナユニットに接続されるとともに、第2のアンテナユニットによって第2の信号が受信された場合に、当該第2の信号に基づき、予め定められた第2の処理を実行し、当該処理結果に対応する信号を第2の処理信号として、第2のアンテナユニットに出力する第2の処理回路と、を有する。そして、第1のアンテナユニット及び第2のアンテナユニットが、互いに絶縁されているとともに、相互に電界結合している。これにより、異なる周波数帯における通信をそれぞれ良好に実現し、利便性の高い小型化可能な端末装置を提供することが出来るとしている。
国際公開第2011/135934号 特開2011−211611号公報 特開2013−168756号公報 国際公開第2016/035771号
制服の所在や在庫の管理には、制服をバーコードタグで識別する方法が存在する。この方法では、バーコードタグが、セキュリティ上、制服の裏面に設けられる。そのため、作業者が制服の物流ラインで制服のバーコードタグを読み取る場合、制服を包装から取り出して制服の裏面のバーコードを露出させる必要があり、バーコードタグの読み取りに時間と手間が掛かるという課題がある。
又、上述のように、制服をICタグで識別する方法も存在する。この方法では、制服にHF帯のICタグを用いる際に、HF帯のICタグでは、通信距離が短いため、大量の制服の識別情報を取得して制服納品登録する場合は、リーダ/ライタで一枚ずつHF帯のICタグを読み取る必要が生じ、効率が悪い。一方、一枚の制服の識別情報を取得して制服交換登録や返却処分登録を行う場合は、この制服の周辺に存在する他の制服のICタグの識別情報を誤って読み取ることが無いため、制服の登録・管理を正確に行うことが出来るという利点がある。又、HF帯のICタグのリーダ/ライタは安価で、複数の職場に配置することが出来るため、HF帯のICタグは、制服の個別登録の点で好ましく利用出来る。
一方、UHF帯のICタグは、通信距離が長いため、作業者が複数の制服を一括して登録する場合は、効率が上がるが、UHF帯のICタグのリーダ/ライタは高価であるため、一か所で行うことが好ましい。
このように、制服の登録・管理において、HF帯とUHF帯のICタグの利点をそれぞれ活かすことで、作業者の時間や手間を省き、且つ、正確に登録・管理を行うことが出来る可能性がある。
しかしながら、制服にHF帯とUHF帯のICタグを設ける場合、HF帯とUHF帯のICタグを設ける領域が限定されているため、HF帯のICタグとUHF帯のICタグとを別々に制服に取り付けたり、HF帯のICタグとUHF帯のICタグとを並列して制服に取り付けたりすることが出来ないという課題がある。
又、UHF帯のICタグは、そのアンテナを大きくすることで、UHF帯のICタグの通信距離を長くすることが出来るものの、制服にUHF帯のICタグを設ける場合には、上記のとおりICタグを設ける領域が限定されているため、アンテナが小型化し、UHF帯のICタグの通信距離は、約0.4m程度にしかならない。ここで、複数の制服が収納される段ボール箱の縦横のサイズは、例えば、0.6m×0.6mである。すると、段ボール箱内の複数の制服のUHF帯のICタグから複数の識別情報を一括して読み取る場合、UHF帯のICタグの通信距離に対して段ボール箱のサイズが大きすぎて、段ボール箱内の全ての制服の識別情報を一括して読み取ることが出来ないという課題がある。そのため、小型のアンテナであっても、UHF帯のICタグの通信距離を延ばす工夫が必要である。このような課題に対して、上述した特許文献1−4に記載の技術は解決することが出来ない。
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、全体が小型であるにもかかわらず、電波の通信距離の延長を実現することが可能な無線通信端末を提供することを目的とする。
本発明に係る無線通信端末は、基板と、第一のアンテナユニットと、第一の処理回路と、第二のアンテナユニットと、第三のアンテナユニットと、第二の処理回路と、を備える。第一のアンテナユニットは、前記基板の表面に形成され、所定の周波数を有する第一の電波を送受信する。第一の処理回路は、前記基板の表面に形成され、前記第一のアンテナユニットによって前記第一の電波を受信すると、当該第一の電波に対応して、識別情報を含む第一の信号を前記第一のアンテナユニットに出力する。第二のアンテナユニットは、前記第一のアンテナユニットと電気的に絶縁している状態で、前記基板の表面に、且つ、当該第一のアンテナユニットに隣接して設けられ、前記第一の電波の周波数と異なる周波数を有する第二の電波を送受信する。第三のアンテナユニットは、前記第二のアンテナユニットと電気的に接続しており、前記基板の裏面において、前記基板を介して前記第二のアンテナユニットと対向し、且つ、本第三のアンテナユニットの一部が前記第一のアンテナユニットの一部と位置的に重複するように設けられ、前記第二のアンテナユニットとともに、前記第二の電波を送受信する。第二の処理回路は、前記基板の表面又は裏面に形成され、前記第二のアンテナユニットと前記第三のアンテナユニットによって前記第二の電波を受信すると、当該第二の電波に対応して、識別情報を含む第二の信号を前記第二のアンテナユニットと前記第三のアンテナユニットに出力する。
本発明によれば、全体が小型であるにもかかわらず、電波の通信距離の延長を実現することが可能となる。
本発明の実施形態に係る無線通信端末の表面を示す概念図(図1A)と、本発明の実施形態に係る無線通信端末の裏面を示す概念図(図1B)と、第一のアンテナユニットと第二のアンテナユニットと第三のアンテナユニットとの位置関係を示す概念図(図1C)と、である。 他の実施形態に係る無線通信端末の表面を示す概念図(図2A)と、他の実施形態に係る無線通信端末の裏面を示す概念図(図2B)と、第一のアンテナユニットと第二のアンテナユニットと第三のアンテナユニットとの位置関係を示す概念図(図2C)と、である。 本発明の実施形態に係る無線通信端末を制服納品登録に応用した場合の概念図(図3A)と、本発明の実施形態に係る無線通信端末を制服交換登録と返却処分登録に応用した場合の概念図(図3B)と、である。 実施例1と比較例1、2におけるUHF帯とHF帯に対応するICタグの概念図である。 実施例1と比較例1におけるUHF帯のICタグの受信周波数特性の測定結果である。 実施例1と比較例1、2におけるUHF帯のICタグの通信距離の測定結果である。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明に係る無線通信端末1は、図1A、図1B、図1Cに示すように、基板10と、第一のアンテナユニット11と、第一の処理回路12と、第二のアンテナユニット13と、第三のアンテナユニット14と、第二の処理回路15と、を備える。
第一のアンテナユニット11は、基板10の表面S1に形成され、所定の周波数を有する第一の電波を送受信する。第一の処理回路12は、基板10の表面S1に形成され、第一のアンテナユニット11によって第一の電波を受信すると、当該第一の電波に対応して、識別情報を含む第一の信号を第一のアンテナユニット11に出力する。
第二のアンテナユニット13は、第一のアンテナユニット11と電気的に絶縁している状態で、基板10の表面S1に、且つ、当該第一のアンテナユニット11に隣接して設けられ、第一の電波の周波数と異なる周波数を有する第二の電波を送受信する。第三のアンテナユニット14は、第二のアンテナユニット13と電気的に接続しており、基板10の裏面S2において、基板10を介して第二のアンテナユニット13と対向し、且つ、本第三のアンテナユニット14の一部14aが第一のアンテナユニット11の一部11aと位置的に重複するように設けられ、第二のアンテナユニット13とともに、第二の電波を送受信する。第二の処理回路15は、基板10の表面S1に形成され、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14によって第二の電波を受信すると、当該第二の電波に対応して、識別情報を含む第二の信号を第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14に出力する。
これにより、全体が小型であるにもかかわらず、電波の通信距離の延長を実現することが可能となる。
即ち、基板10の表面S1に第二のアンテナユニット13を第一のアンテナユニット11に近接して形成するとともに、基板10の裏面S2に、第二のアンテナユニット13に対向するように第三のアンテナユニット14を形成している。これにより、一つの基板10に2種類の周波数帯のアンテナ群を密集して設けることが可能となり、無線通信端末1を全体として小型化することが可能となる。
又、基板10の裏面S2で第三のアンテナユニット14の一部14aを第一のアンテナユニット11の一部11aに位置的に重複するように形成することで、第一のアンテナユニット11の一部11aと第三のアンテナユニット14の一部14aとを相互に静電容量結合させる。これにより、第一のアンテナユニット11に加えて、第三のアンテナユニット14を第一の電波を受信するアンテナとして機能させ、全体として小型化しても、第一の電波の通信距離を延長させることが可能となる。
ここで、第一のアンテナユニット11の一部11aと第三のアンテナユニット14の一部14aとの位置的な重複部分の面積に特に限定は無いが、重複部分は、基板10の全体のサイズと、第二の電波の通信距離とに基づいて最適な面積に設定される。即ち、重複部分の面積が大きい場合は、基板10の全体の面積に対して第二のアンテナユニット13を形成する領域の面積が小さくなるため、第二の電波の通信距離が短くなる可能性がある。一方、重複部分の面積が小さい場合は、第一のアンテナユニット11と第二のアンテナユニット13を形成する領域の面積が、第一のアンテナユニット11を形成する領域と第二のアンテナユニット13を形成する領域とを単に並列させた状態の面積に近くなり、基板10の全体の面積が大きくなり、全体の小型化が図れず、且つ、静電容量結合の効果が小さくなる。
第一の電波の周波数に特に限定は無いが、例えば、第一の電波の周波数は、UHF帯であり、第一のアンテナユニット11が、ダイポールアンテナ、スロットアンテナ等であると好ましい。又、第二の電波の周波数に特に限定は無いが、例えば、第二の電波の周波数は、HF帯であり(NFC)、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14とが、ループコイル型アンテナ等であると好ましい。
ここで、第一のアンテナユニット11が、ダイポールアンテナである場合、第一のアンテナユニット11のインピーダンスは、第一のアンテナユニット11のダイポールアンテナの引出配線11bの線路長と終端部11cの幅とを調整することで、第一の電波に対する第一の処理回路12の入力インピーダンスに対応し、第一のアンテナユニット11の共振周波数は、第一のアンテナユニット11のダイポールアンテナの折り畳み数を調整することで、第一の電波の周波数に対応すると好ましい。
これにより、第一のアンテナユニット11の一部11aと第三のアンテナユニット14の一部14aとの静電容量結合により、第一のアンテナユニット11の共振周波数のピーク値がずれたとしても、静電容量結合の状態における第一のアンテナユニット11の特性インピーダンスを、第一の処理回路12の入力インピーダンスに対応させることが可能となる。又、第一のアンテナユニット11のダイポールアンテナの折り畳み数を調整することで、第一のアンテナユニット11の共振周波数を第一の電波の周波数に調整し、第一の電波の無線通信を円滑にすることが可能となる。
又、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14とが、ループコイル型アンテナである場合、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14の共振周波数は、第二のアンテナユニット13のループのターン数(巻き数)と第三のアンテナユニット14のループのターン数との合計を調整することで、第二の電波の周波数に対応すると好ましい。
ここで、第三のアンテナユニット14の一部14aが第一のアンテナユニット11の一部11aと位置的に重複することで、第三のアンテナユニット14のサイズ(ループのサイズ)は第二のアンテナユニット13のサイズ(ループのサイズ)と比較して大きくなる。つまり、基板10の表面S1に第一のアンテナユニット11と第二のアンテナユニット13が形成され、基板10の裏面S2に第三のアンテナユニット14が形成されるが、基板10の全体のサイズは変わらないため、第二のアンテナユニット13を形成する領域の面積は、第三のアンテナユニット14を形成する領域の面積と比較して小さくなる。すると、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14の共振周波数のピーク値のずれの原因となる。そのため、第二のアンテナユニット13のループのターン数と第三のアンテナユニット14のループのターン数との合計を調整することで、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14の共振周波数のピーク値がずれたとしても、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14の共振周波数を第二の電波の周波数に対応させ、第二の電波の無線通信を円滑にすることが可能となる。
ここで、第一のアンテナユニット11のダイポールアンテナの引出配線11bの線路長の調整に特に限定は無いが、例えば、その線路長は、第一の電波の周波数やサイズ等の諸事情に応じて、他のアンテナユニットと位置的に重複することなく、単体で第一の電波を送受信する単体仕様のダイポールアンテナの引出配線の線路長と比較して短く調整されたり、長く調整されたりする。ここで、単体仕様のダイポールアンテナとは、具体的には、第三のアンテナユニット14の一部14aが第一のアンテナユニット11の一部11aと位置的に重複していない場合において第一の電波の送受信に使用される単体のダイポールアンテナを意味する。又、第一のアンテナユニット11のダイポールアンテナの終端部11cの幅の調整に特に限定は無いが、例えば、その幅は、第一の電波の周波数やサイズ等の諸事情に応じて、上述の単体仕様のダイポールアンテナの終端部の幅と比較して細く調整されたり、太く調整されたりする。更に、第一のアンテナユニット11の折り畳み数の調整に特に限定は無いが、例えば、その折り畳み数は、第一の電波の周波数やサイズ等の諸事情に応じて、上述の単体仕様のダイポールアンテナの折り畳み数と比較して多く調整されたり、少なく調整されたりする。
又、第二のアンテナユニット13のループのターン数と第三のアンテナユニット14のループのターン数との合計の調整に特に限定は無いが、例えば、そのターン数の合計は、第二の電波の周波数やサイズ等の諸事情に応じて、他のアンテナユニットと位置的に重複することなく、単体で第二の電波を送受信する単体仕様のループコイル型アンテナのループのターン数と比較して多く調整されたり、少なく調整されたりする。ここで、単体仕様のループコイル型アンテナとは、具体的には、第三のアンテナユニット14の一部14aが第一のアンテナユニット11の一部11aと位置的に重複していない場合において第二の電波の送受信に使用される単体のループコイル型アンテナを意味する。尚、第二のアンテナユニット13のループのターン数と第三のアンテナユニット14のループのターン数との合計が調整されることで、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14とを繋ぐジャンパー線(ジャンパー端子、ジャンパーピンを含む)は適宜設計変更される。
ここで、基板10を構成する素材に特に限定は無いが、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等を採用することが出来る。又、基板10は、柔軟性を有するフレキシブルプリント基板を採用しても構わない。
又、第一のアンテナユニット11と第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14のそれぞれを構成する導電帯の素材に特に限定は無いが、例えば、銅線、アルミ箔、銅箔、導電性樹脂、導電性インキ、金属蒸着フィルム等を採用することが出来る。
又、第一の処理回路12と第二の処理回路15の構成に特に限定は無い。例えば、第一の処理回路12は、図示しない第一のリーダ/ライタから第一の電波を第一のアンテナユニット11で受信すると、第一の電波の受信により、起電力を発生させ、当該起電力を利用して、識別情報を含む第一の信号を第一のアンテナユニット11に出力し、当該第一のアンテナユニット11から、第一の電波を発信させる。
同様に、第二の処理回路15は、図示しない第二のリーダ/ライタから第二の電波を第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14で受信すると、第二の電波の受信により、起電力を発生させ、当該起電力を利用して、識別情報を含む第二の信号を第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14に出力し、当該第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14から、第二の電波を発信させる。
ここで、図1A、図1B、図1Cでは、第二の処理回路15は、基板10の表面S1に形成されているが、これに限定する必要は無く、図2A、図2B、図2Cに示すように、基板の裏面S2に形成されても、上述と同様の作用効果を有する。
本発明に係る無線通信端末1は、例えば、ICタグ、カード型デバイス、携帯用端末装置、携帯用電話機、ウェアラブルデバイス等に適用することが出来る。
又、第一の信号に含まれる情報の種類に特に限定は無く、上述の識別情報のみでも良いし、他の情報との組み合わせであっても構わない。第二の信号に含まれる情報についても、同様である。又、第二の信号の識別情報は、第一の信号の識別情報と同一であっても異なっていても構わない。
本発明に係る無線通信端末1は、全体の小型化と電波の通信距離の延長とを実現しているとともに、2種類の周波数帯のアンテナユニットを組み合わせているため、様々な場面で応用することが出来る。例えば、第一の信号と第二の信号の識別情報には、無線通信端末1が取り付けられる対象物品の品名、品番、製造番号等の同一の物品識別情報をそれぞれ設定する。具体的には、第一の処理回路12と第二の処理回路15のメモリのそれぞれに物品識別情報を記憶させ、この物品識別情報を含む信号を出力するように構成する。
そして、通信距離が長いUHF帯の第一のアンテナユニット11と第一の処理回路12とUHF帯の第一の電波を読み取りする第一のリーダ/ライタとで構成されるシステム(以下、UHF帯のアンテナシステムと称する)を利用する場合は、作業者は、第一のリーダ/ライタを用いて大量の物品から周波数の第一の電波を介して物品識別情報を一括して読み取ることが出来る。例えば、物品が制服であり、図3Aに示すように、制服CのエンブレムEに本発明に係る無線通信端末1(ICタグ)が内蔵されており、物流ラインにおける一つの段ボール箱B(例えば、0.6m×0.6mの縦横のサイズ)に複数の制服Cが収納されている場合、ICタグ1における第一の電波の通信距離が延長していることから、作業者は、第一のリーダ/ライタ2を用いて段ボール箱B内の複数の制服CのICタグ1から一括して複数の物品識別情報を一括して読み取ることが可能となる。複数の物品識別情報は、第一のリーダ/ライタ2に接続された端末装置3に記憶され管理される。これにより、作業者の制服Cの納品登録の手間を省くことが可能となる。
又、通信距離が短いHF帯の第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14と第二の処理回路15とHF帯の第二の電波を読み取りする第二のリーダ/ライタとで構成されるシステム(以下、HF帯のアンテナシステムと称する)を利用する場合は、作業者が、第二のリーダ/ライタを用いて各物品から第二の電波を介して物品識別情報を個別に読み取ることが出来る。例えば、図3Bに示すように、制服Cの交換登録や返却処分登録の場合は、作業者が、第二のリーダ/ライタ4を用いて、使用者が持ってきた制服CのICタグ1から個別に物品識別情報を読み取ることで、この制服Cの周辺に存在する他の使用者が他の制服Cを持っていたとしても、他の制服CのICタグ1から物品識別情報を読み取ることなく、正確な交換登録や返却処分登録を行うことが可能となる。尚、第二のリーダ/ライタ4により読み取られた物品識別情報は、上述と同様に、第二のリーダ/ライタ4に接続された端末装置3に記憶され管理される。
その他の応用例として、第一の信号と第二の信号の識別情報には、無線通信端末1を内蔵したカードを携帯するユーザの同一のユーザ識別情報(社員番号、部屋番号、ユーザID等)をそれぞれ設定しても良い。UHF帯のアンテナシステムを利用する場合は、マンション、病院、ホテル等の集合住宅の出入口のドアや駐車場のゲートに第一のリーダ/ライタを設置して、カードからユーザ識別情報を読み取り、集合住宅の出入口のドアやゲートの開閉キーとして利用することが出来る。又、HF帯のアンテナシステムを利用する場合は、集合住宅内の個室、フロア、会議室等の個別部屋の出入口のドアに第二のリーダ/ライタを設置して、カードからユーザ識別情報を読み取り、個別部屋の出入口のドアの開閉キーとして利用することが出来る。
以下、実施例等によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<実施例1>
図1に基づいて本発明に係る無線通信端末1をICタグとして製造した。具体的には、縦横のサイズが10mm×46mmの基板10の表面S1の左側に第一のアンテナユニット11及び第一の処理回路12を設けた。第一のアンテナユニット11は、ダイポールアンテナであり、これに対応する第一の電波の周波数は、UHF帯である。第一のアンテナユニット11及び第一の処理回路12が形成される領域の縦横のサイズは約10mm×25mmである。
又、基板10の表面S1の右側に、第一のアンテナユニット11と電気的に絶縁している状態で、第二のアンテナユニット13及び第二の処理回路15を設け、基板10の裏面S2の右側に、第二のアンテナユニット13と対向し、且つ、第三のアンテナユニット14の一部14aが第一のアンテナユニット11の一部11aに位置的に重複するように第三のアンテナユニット14を設けた。第二のアンテナユニット13及び第三のアンテナユニット14は、ループコイル型アンテナであり、これらに対応する第二の電波の周波数は、HF帯であり(NFC)である。第二のアンテナユニット13及び第二の処理回路15が形成される領域の縦横のサイズは、約10mm×21mmであり、第三のアンテナユニット14が形成される領域の縦横のサイズは約10mm×25mmである。つまり、第二のアンテナユニット13の縦横のサイズは、第三のアンテナユニット14の縦横のサイズに対して小さく構成される。又、重複部分が形成される領域の縦横のサイズは約10mm×4mmに設定した。つまり、重複部分だけ小型化される。
次に、第一の電波の周波数を920MHzに設定し、第一のアンテナユニット11のダイポールアンテナの引出配線11bの線路長を、他のアンテナユニットと位置的に重複することなく、単体で第一の電波を送受信する単体仕様のダイポールアンテナの引出配線の線路長と比較して短く調整し、且つ、第一のアンテナユニット11のダイポールアンテナの終端部11cの幅を単体仕様のダイポールアンテナの終端部の幅と比較して細く調整することで、第一のアンテナユニット11のインピーダンスを第一の処理回路12の入力インピーダンスに対応させた。又、第一のアンテナユニット11の折り畳み数を単体仕様のダイポールアンテナの折り畳み数と比較して多く調整することで、第一のアンテナユニット11の共振周波数を第一の電波の周波数に対応させた。具体的には、単体仕様のダイポールアンテナの折り畳み数が15本であるが、実施例1の折り畳み数は17本とした。
又、第二の電波の周波数を13.5MHzに設定し、第二のアンテナユニット13のループのターン数と第三のアンテナユニット14のループのターン数との合計を、他のアンテナユニットと位置的に重複することなく、単体で第二の電波を送受信する単体仕様のループコイル型アンテナのループのターン数と比較して多く調整することで、第二のアンテナユニット13と第三のアンテナユニット14の共振周波数を第二の電波の周波数に対応させた。このように製造した、UHF帯とHF帯に対応するICタグ1を実施例1とした。実施例1のICタグを図4に示す。
<比較例1>
実施例1において、UHF帯の第一の電波の送受信に対応したICタグ単体と、HF帯の第二の電波の送受信に対応したICタグ単体とを別個に製造し、UHF帯のICタグとHF帯のICタグとを並列に接続して、UHF帯とHF帯に対応する一つのICタグを比較例1として製造した。UHF帯のICタグの縦横のサイズは約10mm×25mmであり、HF帯のICタグの縦横のサイズは約10mm×25mmであり、全体の縦横のサイズは約10mm×50mmとなった。比較例1のICタグを図4に示す。尚、比較例1におけるUHF帯のICタグ単体のアンテナユニットが、上述した単体仕様のダイポールアンテナに相当し、比較例1におけるHF帯のICタグ単体のアンテナユニットが、上述した単体仕様のループコイル型アンテナに相当する。
<比較例2>
比較例1において、実施例1の重複部分に対応する領域の縦横のサイズ(約10mm×4mm)だけ、UHF帯のICタグの右側をHF帯のICタグの左側に位置的に重複させ、その状態でUHF帯のICタグをHF帯のICタグに接続して、UHF帯とHF帯に対応する一つのICタグを比較例2として製造した。この場合、全体の縦横のサイズは、実施例1と同等の約10mm×46mmとなった。比較例2のICタグを図4に示す。
<評価及び結果>
実施例1と比較例1におけるUHF帯のICタグの受信周波数特性を測定した。比較例1におけるUHF帯のICタグの受信周波数特性は、UHF帯のICタグ単体の受信周波数特性に対応する。その結果、図5に示すように、実施例1におけるUHF帯のICタグの受信周波数特性は、比較例1におけるUHF帯のICタグの受信周波数特性とほぼ同等であり、且つ、実施例1におけるUHF帯のICタグの受信周波数特性は、約920MHz近傍にピークを示していた。これにより、実施例1におけるUHF帯のICタグの受信周波数特性は、第一の電波の周波数に調整されていることが確認出来た。
次に、実施例1、比較例1、2におけるUHF帯の通信距離を測定した。通信距離の測定には、第一のリーダ/ライタとしてIMPINJ社IP−REV−R420−JP2(送信出力30dBm)を用い、第一のリーダ/ライタのアンテナとしてMTI社のMT−262006/TRH/A(ゲイン9dBic)を1枚用いた。その結果、図6に示すように、比較例1におけるUHF帯の通信距離は、0.4mとなった。これは、UHF帯のICタグ単体の通信距離に相当する。一方、比較例2におけるUHF帯の通信距離は、0.3mとなった。これは、UHF帯のICタグをHF帯のICタグに単純に位置的に重ねるだけでは、相互のアンテナの静電容量結合が適切になされず、アンテナ同士で干渉を起こし、逆に、通信距離を縮めてしまうことを示している。
一方、実施例1におけるUHF帯の通信距離は、驚くべきことに、1.0mとなった。これは、UHF帯のICタグ単体の通信距離の2倍以上である。実施例1におけるUHF帯の通信距離が1.0mであれば、例えば、一つの段ボール箱B(0.6m×0.6mのサイズ)に複数の制服Cが収納され、制服CのエンブレムEにICタグ1が内蔵されている場合であっても、第一のリーダ/ライタで段ボール箱B内の複数の制服CのICタグ1から一括して識別情報を読み取ることが可能となる。
以上のように、本発明に係る無線通信端末は、ICタグのみならず、カード型デバイス、携帯用端末装置、携帯用電話機、ウェアラブルデバイス等のあらゆる無線通信端末に有用であり、全体が小型であるにもかかわらず、電波の通信距離の延長を実現することが可能な無線通信端末として有効である。
1 無線通信端末
10 基板
11 第一のアンテナユニット
12 第一の処理回路
13 第二のアンテナユニット
14 第三のアンテナユニット
15 第二の処理回路

Claims (3)

  1. 基板と、
    前記基板の表面に形成され、所定の周波数を有する第一の電波を送受信する第一のアンテナユニットと、
    前記基板の表面に形成され、前記第一のアンテナユニットによって前記第一の電波を受信すると、当該第一の電波に対応して、識別情報を含む第一の信号を前記第一のアンテナユニットに出力する第一の処理回路と、
    前記第一のアンテナユニットと電気的に絶縁している状態で、前記基板の表面に、且つ、当該第一のアンテナユニットに隣接して設けられ、前記第一の電波の周波数と異なる周波数を有する第二の電波を送受信する第二のアンテナユニットと、
    前記第二のアンテナユニットと電気的に接続しており、前記基板の裏面において、前記基板を介して前記第二のアンテナユニットと対向し、且つ、本第三のアンテナユニットの一部が前記第一のアンテナユニットの一部と位置的に重複するように設けられ、前記第二のアンテナユニットとともに、前記第二の電波を送受信する第三のアンテナユニットと、
    前記基板の表面又は裏面に形成され、前記第二のアンテナユニットと前記第三のアンテナユニットによって前記第二の電波を受信すると、当該第二の電波に対応して、識別情報を含む第二の信号を前記第二のアンテナユニットと前記第三のアンテナユニットに出力する第二の処理回路と、
    を備える無線通信端末。
  2. 前記第一のアンテナユニットが、ダイポールアンテナであり、前記第二のアンテナユニットと前記第三のアンテナユニットとが、ループコイル型アンテナである場合、前記第一のアンテナユニットのインピーダンスは、前記第一のアンテナユニットのダイポールアンテナの引出配線の線路長と終端部の幅とを調整することで、前記第一の電波に対する前記第一の処理回路の入力インピーダンスに対応し、前記第一のアンテナユニットの共振周波数は、前記第一のアンテナユニットの折り畳み数を調整することで、前記第一の電波の周波数に対応し、
    前記第二のアンテナユニットと前記第三のアンテナユニットの共振周波数は、前記第二のアンテナユニットのループのターン数と前記第三のアンテナユニットのループのターン数との合計を調整することで、前記第二の電波の周波数に対応する
    請求項1に記載の無線通信端末。
  3. 前記第一のアンテナユニットのダイポールアンテナの引出配線の線路長は、他のアンテナユニットと位置的に重複することなく、単体で第一の電波を送受信する単体仕様のダイポールアンテナの引出配線の線路長と比較して短く、
    前記第一のアンテナユニットのダイポールアンテナの終端部の幅は、前記単体仕様のダイポールアンテナの終端部の幅と比較して細く、
    前記第一のアンテナユニットの折り畳み数は、前記単体仕様のアンテナユニットのダイポールアンテナの折り畳み数と比較して多く、
    前記第二のアンテナユニットのループのターン数と前記第三のアンテナユニットのループのターン数との合計は、他のアンテナユニットと位置的に重複することなく、単体で第二の電波を送受信する単体仕様のループコイル型アンテナのループのターン数と比較して多い
    請求項2に記載の無線通信端末。
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