JP6517282B2 - 多重反射飛行時間型質量分析計、及び質量スペクトル分析の方法 - Google Patents
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Description
(i)平面上の分析器を円筒形へ巻くことによって形成されていて、実質的に、ここでは接線方向とも表記される所謂ドリフト(Z)方向の有効長さを延びている分析器の円筒形トポロジーを使用する措置、
(ii)円筒形曲率半径対イオンミラーキャップ間距離の十分に大きい比(少なくとも1/6)を使用することによって分析器曲率の影響を低減する措置、
(iii)X方向(反射の方向)に対するイオン平均軌道の十分に小さい傾斜角度(100,000より上の分解度については4度)を維持する措置、
(iv)半径方向偏向のための少なくとも1つのリング電極を使用し、その様な偏向をイオンパケットがイオンミラー軸上で減速されるように調節することによって、分析器曲率の影響を実質的に低減する措置、
(v)半径(Y)方向へのイオンパケット幅を制限し、イオンパケットを接線(Z)方向に延ばし、Y関連収差の低減を図りながらパルス式の源のデューティサイクルを改善し且つ分析器の空間電荷受容を改善する措置、
(vi)接線(Z)方向へのイオンビーム発散を低減しながらなおイオンパケットの10−20mmのZ長さを維持するための多様な対策及び手段を提供する措置、
(vii)分析器内でのZ方向へのイオンパケット発散を、周期的スロットのセットか又は好適にはキャップからキャップまでの距離を少なくとも2倍上回る焦点距離を有する弱い周期的レンズのどちらかによって制限する措置であって、その様なレンズは、イオンミラー電場の弱Z変調か又はドリフト空間内の周期的レンズのセットのどちらかによって形成することができる、イオンパケット発散を制限する措置、
を組み合わせることによって実質的に(約10倍)改善され得ることに気付いた。
[0018]MR−TOFの分解度及び感度を改善するために、或る実施形態では、分析器は円筒形へ巻かれており、イオンパケットはドリフト方向に沿って向き付けられる。以下に論じられている様に他の分析器改善及び構成も提供されている。
[0022]分析器の少なくとも100,000収差制限を維持するために、イオンミラーの好適な幾何学形状は、次の条件、即ち、
・各ミラーは、少なくとも四(4)対の電極であって各対が電極内ギャップによって分離されている同軸に整列された外側リングと内側リングに対応している、4対の電極を収容している、
・少なくとも1つのミラー(レンズ)電極は、無電場空間に対して、少なくとも電荷当たりイオン平均エネルギーより高い引き寄せ電位にある、
・当該ミラーレンズ電極の長さは、電極内ギャップGに比較して少なくとも2倍長い、
を満たしている。
及び電極の電位はG/L比に依存することが以下に説明されている。
[0025]空間及び色集束:
(y|β)=(y|δ)=0;(y|ββ)=(y|βδ)=(y|δδ)=0;
(β|y)=(β|δ)=0;(β|yy)=(β|yδ)=(β|δδ)=0;
[0026]1次飛行時間集束
(T|y)=(T|β)=(T|δ)=0;
[0027]交差項を含む2次飛行時間集束
(T|ββ)=(T|βδ)=(T|δδ)=(T|yy)=(T|yβ)=(T|yδ)〜0;及び、
[0028]5次エネルギー当たり時間集束
(T|δ)=(T|δδ)=(T|δδδ)=(T|δδδδ)=(T|δδδδδ)=0、
を保有している。
[0030]円筒状HRTのためのイオン源
[0031]ここに開示されている配設は、パルス式抽出を有する、MALDI、DE MALDI、SIMS、LD、又はEIの様な、本質的にパルス式の各種イオン源に適用できる。
[0036]或る実施形態では、イオンパケットは、周期的スリットのセットか又はイオンミラーの空間変調された(但し時間的には静的な)電場のどちらかによって主軌道に沿って閉じ込められることになろう。それでも、100,000より上のレベルの分解度を得るためには、それら空間的収束手段を、機械的不完全さ及び漂遊電場及び磁場の補償目的のみに引き留め、イオンパケットの強力集束用としないことが望ましい。シミュレーションは、空間変調場又は周期的レンズはどちらも、HRTのキャップからキャップまでの距離より少なくとも2倍長い焦点距離を有するべきであることを示唆している。他方、多様な実際のパルス式の源及び変換器の分析は、イオンパケットが1mrad未満の低い角度発散で形成され得ることを指し示しており、すると、接線Z方向への弱い空間集束を有するMR−TOF分析器を使用することができるようになる。多様なイオン源について、2つの横方向への推定エミッタンスはθ1mm2*eVであり、即ち、
・DE MALDI源について、<200m/s半径方向速度でM/z<100kDaにつきθ<1mm2*eV、
・RFガイドを過ぎてのOA変換器について、RFQでの熱的イオンエネルギーでθ<0.1mm2eV、
・パルス式RFトラップについて、熱的イオンエネルギーでM/z<2kDaにつきθ<0.01mm2*eV、
である。
[0039]図4を参照すると、分析器略図に表記されている寸法と電圧を有する円筒状HRTの具体例が提供されている。描かれている様に、分析器は傾けられた直交加速器と連結されている。
[0042]多くの方式の円筒状HRT(CHRT)は、MS1及びMS2としてのCHRT(MS−CMRT)、CHRTと一体のイオン移動度分光計(IMS−CMRT)、並列MS−MS分析のための包括的TOF−TOF(CTT)、MS−CTT、及びIMS CTT、の様な各種型式とタンデム型として組み合わされたタンデム型質量分析計を改善する。タンデム型質量分析計の殆どは、2つのMS段の間のイオン断片化を前提としている。断片化は、衝突誘導解離(CID)、表面誘導解離(SID)、光誘導解離(PID)、電子移動解離(ETD)、電子捕獲解離(ECD)、及び励起されたリュードベリ原子又はオゾンによる断片化、の様な先行技術の断片化方法を採用することができる。それらタンデム型は、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、電気泳動(CE)の様な前段の試料分離との適合性、また同様にLC−CE及びGCxGCの様なタンデム型クロマトグラフィー分離との適合性があるものと期待される。
[0052]本発明は、好適な実施形態に関連付けて説明されているが、当業者には、付随の特許請求の範囲に示されている本発明の範囲から逸脱すること無しに、形態及び詳細事項における様々な修正がなされ得ることが自明であろう。
12 無格子イオンミラー
12L ミラーレンズ
13 無電場空間
14 周期的レンズのセット
15 パルス式イオン源
16 検出器
17 イオンパケット
21 円筒状HRT
22 平行同軸イオンミラー
22A、22Β 電極セット
22L 加速レンズ
22P ミラー電極の波状表面
23 無電場空間
24 周期的スリットのセット
25 追加のリング電極
25P 補助電極
26 半径方向偏向リング電極
28 最大角度と比R/Lの間の関係
61 円筒状HRT分析器
61A 分析器組立体
62 レース平板電極
62A ミラー組立体
62P イオンミラー
63 スペーサ
64 接地ロッド
65 クランプロッド
66 基部フランジ
67 離隔部(standoffs)又は飛行管
68 真空室
69 直交加速器
70 イオントラップパルス式変換器
71 包括的TOF−TOF(CTT)
72 イオントラップ
73 円筒状多重反射分析器
74 周期的レンズのセット
75 反射性端レンズ
76 時限式イオン選別ゲート(TSG)
77 表面誘導解離(SID)セル
78 イオン検出器
78A 補助検出器
79 質量分離器
80 第2の断片化セル
α、β、γ 傾斜角度
G 電極内ギャップ
L キャップからキャップまでの距離、キャップ間距離
Rc 円筒状電場体積の半径
Claims (15)
- 多重反射飛行時間型質量分析計において、
パルス式イオン源またはパルス式変換器のうちの一つと、
少なくとも2つの平行な静電イオンミラーを有する円筒状分析器であって、前記イオンミラーの各々は無電場空間を間に有し、前記イオンミラーの各々は引き寄せ電位を有する少なくとも1つの電極を有しており、前記イオンミラーの各々は、イオンミラーキャップ、内側のリング電極、及び外側のリング電極で製作されて前記外側のリング電極と前記内側のリング電極の間に円筒状の電場の体積を形成しており、更に、前記円筒状の電場の体積の半径Rcは前記イオンミラーキャップ間の距離の6分の1より大きく、また更には、前記イオンミラーのうちの一つ又は前記無電場空間は、半径方向イオン偏向のための少なくとも1つのリング電極を備えている、少なくとも2つの平行な静電イオンミラー、を有する円筒状分析器と、
を備えており、
前記イオンミラーの少なくとも1つは、空間変調された表面であって、接線方向へのイオンの発散を制限するために接線方向に延びる複数のアーチ状のセグメントを画定する表面を含み、前記複数のアーチ状のセグメントは第1の凹状セグメントと、第2の凹状セグメントと、凸状セグメントと、を含み、前記凸状セグメントは前記第1の凹状セグメントから前記第2の凹状セグメントに向かって接線方向に延びていて、
前記パルス式イオン源またはパルス式変換器のうちの一つは、1度の傾斜角度を有するイオンパケットを生成して、前記接線方向へのイオンの発散を制限するための手段の稠密ピッチと整合し、
前記反射飛行時間型質量分析計は、タンデム質量スペクトルを得ることを目的に、表面誘導解離のセルを更に備え、
前記表面誘導解離のセルは、前記円筒状分析器内に設置されており、
前記イオンパケットの前記傾斜角度は、X軸に対する角度であり、
前記X軸の方向は、前記イオンパケットが反射される方向である、多重反射飛行時間型質量分析計。 - 前記接線方向へのイオンの発散を制限するための手段は、(i)湾曲軸に沿って巻かれている周期的レンズのセット、(ii)湾曲軸に沿って巻かれている周期的スリットのセット、及び(iii)接線方向へ変調されている静電ミラー、から成る群より選択されている、請求項1に記載の多重反射飛行時間型質量分析計。
- 引き寄せ電位を有する前記ミラー電極の高さは、前記外側のリング電極と前記内側のリング電極の間のギャップより少なくとも2倍大きい、請求項1に記載の多重反射飛行時間型質量分析計。
- 前記パルス式イオン源とパルス式変換器のうちの一つは、(i)直交パルス式加速器、(ii)無格子直交パルス式加速器、(iii)パルス式直交抽出を有する無線周波数イオンガイド、(iv)パルス式直交抽出を有する静電イオンガイド、及び(v)上流の蓄積用無線周波数イオンガイドに先行されている上記加速器のうちの何れか、から成る群より選択されている、請求項1乃至3の何れか1項に記載の多重反射飛行時間型質量分析計。
- 前記パルス式イオン源と前記パルス式変換器のうちの一つは、Z軸に対して傾けられており、追加の偏向器がイオンパケットを前記イオンミラー内での少なくとも1回のイオン反射後に当該の同じ角度で操舵しており、
前記Z軸の方向は、前記イオンパケットのドリフト方向である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の多重反射飛行時間型質量分析計。 - 前記パルス式イオン源とパルス式変換器のうちの一つを過ぎてのイオンパケットの角度的な発散を3mrad未満に抑えるために、当該パルス式イオン源とパルス式変換器のうちの一つを過ぎてのイオンパケット再集束のための手段を更に備えている、請求項1乃至5の何れか1項に記載の多重反射飛行時間型質量分析計。
- タンデム質量スペクトルを得ることを目的に、(i)時限式イオン選別器ゲート、(ii)反射性端レンズ、(iii)補助検出器、の群のうちの少なくとも1つを更に備えている、請求項1乃至6の何れか1項に記載の多重反射飛行時間型質量分析計。
- 上流の第1の質量又はイオン移動度分離器と、断片化セルと、を更に備えている、請求項7に記載の多重反射飛行時間型質量分析計。
- 質量スペクトル分析の方法において、
円筒状分析器の2つの平行な静電イオンミラーの静電場間でのイオンパケットの多回反射を配設する段階であって、前記2つのイオンミラーは無電場領域によって離間されていて、前記イオンミラーのそれぞれがイオンミラーキャップを有する、円筒状分析器の2つの平行な静電イオンミラーの静電場間でのイオンパケットの多回反射を配設する段階と、
前記イオンミラーの前記静電場を、引き寄せ電位を有する電場区分を提供することによって配設する段階と、
円筒状の電極内空洞部内に前記静電場を配設する段階であって、前記静電場は円筒対称の構造を含んでおり、前記静電場の半径Rcは前記イオンミラーキャップ間の距離の6分の1より大きい、前記静電場を配設する段階と、
半径方向イオン偏向を配設する段階と、
接線方向へのイオンの発散を制限する段階であって、接線方向に延びる複数のアーチ状のセグメントを画定するため前記イオンミラーの少なくとも1つの表面を変調することのどちらかによって制限する段階であって、前記複数のアーチ状のセグメントは第1の凹状セグメントと、第2の凹状セグメントと、凸状セグメントと、を含み、前記凸状セグメントは前記第1の凹状セグメントから前記第2の凹状セグメントに向かって接線方向に延びている、制限する段階と、
接線方向へのイオンの発散を制限するための手段の稠密ピッチと整合するために、1度の傾斜角度を有するイオンパケットを生成する段階と、
タンデム質量スペクトルを並列して得る段階であって、イオンを10乃至100eVのエネルギー範囲で検出器に衝突させてフラグメントイオンを形成させ、当該フラグメントイオンを飛行時間分析のために円筒状イオンミラーの前記同じ静電場の中へパルス抽出する段階と、を備え、
前記フラグメントイオンは、前記円筒状分析器内に設置された表面誘導解離のセルへパルス式電圧信号を印加することで抽出される、方法。 - 前記接線方向へのイオン発散を制限する前記段階は、(i)イオンミラー内又は湾曲軸に沿って巻かれた周期的レンズのセット内に静的で周期的に空間変調される静電場を形成する段階と(ii)周期的スリットのセットによって発散を制限する段階のうちの1つを備えている、請求項9に記載の方法。
- 飛行時間収差を低減する段階であって、引き寄せ電位領域の長さを前記イオンミラー電場の半径方向幅より少なくとも2倍大きくする、飛行時間収差を低減する段階と、を更に備えている、請求項9又は10に記載の方法。
- 低い交差収差での5次エネルギー集束を提供する段階を更に備えている、請求項9乃至11の何れか1項に記載の方法。
- 10kVより上の電位を横断して前記イオンパケットを加速する段階と、
パルス式イオン源を過ぎての前記イオンパケットの角度的な発散を3mrad未満に抑えるために、当該パルス式イオン源を過ぎての当該イオンパケットを再集束させる段階と、を更に備えている、請求項9乃至12の何れか1項に記載の方法。 - イオン断片化段階を次に従える上流の質量又はイオン移動度分離の段階を更に備えている、請求項9乃至13の何れか1項に記載の方法。
- 前記諸段階は、少なくとも次の型式のタンデム型質量分光分析、即ち、(i)上流の質量分離と円筒状の電場での高分解度フラグメント分析を有する順次的MS−MS分析、(ii)順次的な上流の親選別と円筒状の電場での後続の並列MS−MS分析を有する、MS−MS−MS分析、(iii)順次的な高分解度MS−MS分析―どちらも円筒状の電場内にその円筒状の電場を通るイオン通路が設けられている―、を実施するように組み合わされる、請求項9又は14に記載の方法。
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