JP6508754B2 - 放流用サケ稚魚の感染症予防剤 - Google Patents

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Description

本発明は、放流用サケ稚魚の感染症予防剤に関し、詳細には、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、亜麻仁油、綿実油およびリノレン酸からなる群から選択される1以上の成分を含有する、放流用サケ稚魚のトリコジナ症を予防する感染症予防剤、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネン、亜麻仁油、綿実油、リノレン酸およびリノール酸からなる群から選択される1以上の成分を含有する、放流用サケ稚魚のトリコジナ症を予防する感染症予防剤、ならびに、それらの感染症予防剤を用いた放流用サケ稚魚の感染症を予防する方法に関する。
サケは広く一般に親しまれている食用魚である。サケは、安定した漁業資源確保のために増殖事業が行われおり、サケ増殖事業では、母川へ戻ってきた親魚から人工的に採卵し、これに精子をかけて受精させた後、ふ化場にてふ化させ、一定程度の大きさになるまで稚魚を飼育した後、河川へ放流している。
一方、トリコジナおよびイクチオボドは、いずれも真核単細胞の寄生虫(原虫)であり、サケ稚魚の体表に寄生して、トリコジナ症やイクチオボド症を引き起こす。トリコジナ症やイクチオボド症のサケ稚魚では、体表組織の損傷ないし壊死が生じ、ついには斃死に至る。また、斃死に至らずとも、これらの原虫の寄生により鰓にダメージを受けて海水適応能を失うことから、放流されて降海した後、海にて死滅する。近年、サケふ化場においてトリコジナ症やイクチオボド症によるサケ稚魚の健康被害ないし大量斃死が起こっており、問題になっている。
この点、特許文献1には、茶抽出物を含有するサケ・マス類用のイクチオボド防除剤が、特許文献2には、マトリンを含有する魚類用のトリコジナ症の予防/治療用組成物が、それぞれ開示されている。
特開2006−219478号公報 特開2006−28072号公報
しかしながら、特許文献1に記載のイクチオボド防除剤は、当該防除剤を溶解した飼育水に魚を浸漬して用いるものであり、掛け流し飼育を通常とするサケ稚魚の飼育現場においては、当該防除剤の使用には手間がかかる。また、特許文献2に記載のトリコジナ症の予防/治療用組成物は、白点虫およびネオベネデニアに対する駆虫効果ならびにマダイおよびヒラメにおける白点虫の感染予防効果が示されているのみであり、サケ稚魚のトリコジナ症やイクチオボド症に対する予防効果は示されていない。したがって、経口投与などの簡便な方法により、サケ稚魚のトリコジナ症やイクチオボド症を効果的に予防できる感染症予防剤が求められている。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、経口投与などの簡便な方法によりトリコジナ症やイクチオボド症を効果的に予防できる、放流用サケ稚魚のトリコジナ症やイクチオボド症の感染症予防剤、ならびに、それを用いた放流用サケ稚魚の感染症を予防する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究の結果、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、亜麻仁油、綿実油およびリノレン酸からなる群から選択される1以上の成分を飼料に添加して給餌することにより、サケ稚魚へのイクチオボドの寄生を予防できることを見出した。また、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネン、亜麻仁油、綿実油、リノレン酸およびリノール酸からなる群から選択される1以上の成分を飼料に添加して給餌することにより、サケ稚魚へのトリコジナの寄生を予防できることを見出した。そこで、これらの知見に基づいて、下記の各発明を完成した。
(1)本発明に係る放流用サケ稚魚のイクチオボド症を予防する感染症予防剤は、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、亜麻仁油、綿実油およびリノレン酸からなる群から選択される1以上の成分を含有する。
(2)本発明に係る放流用サケ稚魚のトリコジナ症を予防する感染症予防剤は、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネン、亜麻仁油、綿実油、リノレン酸およびリノール酸からなる群から選択される1以上の成分を含有する。
(3)(1)の感染症予防剤においては、前記成分が下記の投与量または添加濃度で飼料に添加して用いられることが好ましい;
オレガノ油;投与量27mg/日/kg体重以下、添加濃度0.09重量%以下、
カルバクロール;投与量15.91mg/日/kg体重以下、添加濃度0.053重量%以下、
パラ−シメン;投与量4.23mg/日/kg体重以下、添加濃度0.014重量%以下、
亜麻仁油;投与量270mg/日/kg体重以上、添加濃度0.9重量%以上、
綿実油;投与量270mg/日/kg体重以上、添加濃度0.9重量%以上、
リノレン酸;投与量156.6mg/日/kg体重以上、添加濃度0.5重量%以上、
リノール酸;投与量40.5mg/日/kg体重以上、添加濃度0.1重量%以上。
(4)(2)の感染症予防剤においては、前記成分が下記の投与量または添加濃度で飼料に添加して用いられることが好ましい;
オレガノ油;投与量27mg/日/kg体重未満、添加濃度0.09重量%未満、
カルバクロール;投与量15.91mg/日/kg体重未満、添加濃度0.053重量%以下、
パラ−シメン;投与量4.23mg/日/kg体重未満、添加濃度0.014重量%以下、
ガンマ−テルピネン;投与量2.85mg/日/kg体重以下、添加濃度0.010重量%未満、
亜麻仁油;投与量270mg/日/kg体重より大、添加濃度0.9重量%より大、
綿実油;投与量810mg/日/kg体重未満、添加濃度2.7重量%未満、
リノレン酸;投与量156.6mg/日/kg体重より大、添加濃度0.5重量%より大、
リノール酸;投与量40.5mg/日/kg体重より大、添加濃度0.1重量%より大。
(5)本発明に係る感染症予防剤においては、オレガノ油および亜麻仁油を含有し、かつ、亜麻仁油をオレガノ油の賦形剤として用いることが好ましい。
(6)本発明に係る放流用サケ稚魚の感染症を予防する方法は、(1)から(5)のいずれかに記載の感染症予防剤を放流用サケ稚魚に投与する工程を有する。
(7)(6)の方法は、トリコジナ症およびイクチオボド症に感染していない放流用サケ稚魚に前記感染症予防剤を7日間以上投与する工程を有することが好ましい。
本発明に係る感染症予防剤や感染症を予防する方法によれば、経口投与などの簡便な方法により、稚魚の成長や各種生理機能に悪影響を及ぼさずに、サケ稚魚のトリコジナ症やイクチオボド症を効果的に予防することができる。また、本発明に係る感染症予防剤や感染症を予防する方法によれば、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚の成長や各種生理機能への悪影響を顕著に軽減し、健康なサケ稚魚を作出することができる。
ハーブ精油(ハッカ油、ユーカリ油およびオレガノ油)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚における、トリコジナの寄生量を示す棒グラフである。 ハーブ精油(ハッカ油、ユーカリ油およびオレガノ油)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚における、イクチオボドの寄生量を示す棒グラフである。 ハーブ精油(ハッカ油、ユーカリ油およびオレガノ油)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚の、累積斃死尾数を示す棒グラフである。 オレガノ油の含有成分とその含有割合を示す図である。 オレガノ油ならびにオレガノ油含有成分(カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネンおよびシネオール)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚における、トリコジナの寄生量を示す折れ線グラフである。 オレガノ油ならびにオレガノ油含有成分(カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネンおよびシネオール)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚における、イクチオボドの寄生量を示す折れ線グラフである。 オレガノ油ならびにオレガノ油含有成分(カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネンおよびシネオール)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚の、累積斃死尾数を示す棒グラフである。 食用・飼料添加用油(魚油、綿実油および亜麻仁油)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚における、トリコジナの寄生量を示す棒グラフである。 食用・飼料添加用油(魚油、綿実油および亜麻仁油)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚における、トリコジナの寄生量を示す棒グラフである。 食用・飼料添加用油(魚油、綿実油および亜麻仁油)を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚の、累積斃死尾数を示す棒グラフである。 亜麻仁油の脂肪酸組成を示す図である。 リノール酸およびリノレン酸を添加した飼料を給餌して飼育したサケ稚魚における、トリコジナおよびイクチオボドの寄生量ならびに累積斃死尾数を示す棒グラフである。 感染試験の前に、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌しながらの飼育(以下、「事前投与の飼育」という。)を行わなかったサケ稚魚(グループ1)、ならびに、事前投与の飼育を7日間(グループ2)および14日間(グループ3)行ったサケ稚魚における、トリコジナの寄生量を示す棒グラフである。 感染試験の前に、事前投与の飼育を行わなかったサケ稚魚(グループ1)、ならびに、事前投与の飼育を7日間(グループ2)および14日間(グループ3)行ったサケ稚魚における、イクチオボドの寄生量を示す棒グラフである。 感染試験の前に、事前投与の飼育を行わなかったサケ稚魚(グループ1)、ならびに、事前投与の飼育を7日間(グループ2)および14日間(グループ3)行ったサケ稚魚の累積斃死尾数を示す棒グラフである。 オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌して飼育した、原虫に感染していないサケ稚魚における、体重および各種生理機能を示す棒グラフである。 オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌して飼育した、感染試験後のサケ稚魚における、体重および各種生理機能を示す棒グラフである。
以下、本発明に係る放流用サケ稚魚の感染症予防剤および放流用サケ稚魚の感染症を予防する方法について詳細に説明する。
本発明において、「放流用サケ稚魚」とは、将来、河川や海などの自然環境に放流することを目的として飼育しているサケ稚魚をいう。ここで、本発明に係る「サケ」は、サケ目サケ科に属する魚をいう。また、本発明に係る「稚魚」は仔魚も含む広義の概念であり、「仔稚魚」と交換可能に用いられる場合がある。
本発明に係る放流用サケ稚魚のイクチオボド症を予防する感染症予防剤は、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、亜麻仁油、綿実油およびリノレン酸からなる群から選択される1以上の成分を含有する。また、本発明に係る放流用サケ稚魚のトリコジナ症を予防する感染症予防剤は、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネン、亜麻仁油、綿実油、リノレン酸およびリノール酸からなる群から選択される1以上の成分を含有する。
ここで、オレガノ油は、シソ科ハナハッカ属オレガノ(Origanum vulgare)の地上部(主として葉)から抽出される精油(植物が産出する揮発性の油)の一種であり、一般的には、香料などに用いられる。本発明に係る「オレガノ油」は、市販品を用いることができるほか、オレガノの地上部から水蒸気蒸留法などの定法により抽出して用いることができる。
亜麻仁油はアマ科アマ属アマ(Linum usitatissimum)の種子から抽出され、一般的には、食用や飼料用、あるいは塗料用溶剤などに用いられる油である。本発明に係る「亜麻仁油」は、市販品を用いることができるほか、アマの種子から圧搾などの定法により抽出して用いることができる。
綿実油はワタ(ワタ属(Gossypium)の植物) の種子から抽出され、一般的には食用に用いられる油である。本発明に係る「綿実油」は、市販品を用いることができるほか、ワタの種子から圧搾などの定法により抽出して用いることができる。
本発明において、「カルバクロール」、「パラ−シメン」、「ガンマ−テルピネン」、「リノール酸」および「リノレン酸」は、化学合成物でもよく、天然物から得たものでもよい。天然物から得る場合は、これらの成分を含有する天然物やその抽出物をそのまま用いてもよく、当該天然物やその抽出物から、これらの成分をさらに抽出、分離・精製して用いてもよい。
例えば、「カルバクロール」を含有する天然物やその抽出物としては、オレガノ、タイム、ヒメジソ、オオヤマジソ、ホソバヤマジソなどのシソ科植物およびヒバなどのヒノキ科植物やそれらの精油などを挙げることができる。また、「パラ−シメン」を含有する天然物やその抽出物としては、オレガノ、タイム、クミン、レモンなどの植物やそれらの精油などを挙げることができる。また、「ガンマ−テルピネン」を含有する天然物およびその抽出物としては、オレガノ、ティートリー、タイム、マンダリン、レモン、スギ、ヒバなどの植物やそれらの精油などを挙げることができる。また、「リノレン酸」を含有する天然物やその抽出物としては、アマ、エゴマ、なたねおよび大豆の種子やそれらから抽出される油などを挙げることができる。また、「リノール酸」を含有する天然物やその抽出物としては、アマ、ブドウ、ワタおよび大豆の種子ならびにトウモロコシの胚芽やそれらから抽出される油などを挙げることができる。
天然物からの抽出方法としては、一般的な方法を使用することができ、例えば、水、有機溶媒、あるいは水と有機溶媒との混合物を用いた溶媒抽出法を挙げることができる。溶媒抽出法としては、上記天然物を浸漬する方法や、浸漬して加温(常温〜溶媒の沸点の範囲)しながら攪拌する方法などを挙げることができる。得られた抽出物は、必要に応じて濾過や遠心分離に供して固形物を除いた後、そのまま、または当該抽出物を濃縮もしくは乾燥して用いることができる。
なお、有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールや、酢酸エチルなどのエステル、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレンアルコール、グリセリンなどの多価アルコール類、ジエチルエーテル、石油エーテルなどのエーテル類、アセトン、酢酸などの極性溶媒、ベンゼン、ヘキサン、キシレンなどの炭化水素溶媒などを挙げることができる。これらの溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
分離・精製方法もまた、一般的な方法を使用することができ、例えば、活性炭、シリカゲル、ポリマー系担体などを用いた吸脱着、カラムクロマトグラフィー、液−液抽出、分別沈殿などの方法を挙げることができる。
本発明に係る感染症予防剤を投与する方法としては、例えば、経口投与を挙げることができる。経口投与は、例えば、本発明に係る感染症予防剤のみを稚魚に直接経口投与してもよく、本発明に係る感染症予防剤を飼料に添加して当該飼料を給餌することにより経口投与してもよく、飼育水に添加して経口投与するなどしてもよい。
本発明に係る放流用サケ稚魚のイクチオボド症を予防する感染症予防剤において、前記成分の投与量または飼料に添加する際の添加濃度は特に限定されないが、例えば、後述する実施例1(1)に示すとおり、「オレガノ油」については、投与量27mg/日/kg体重以下または飼料への添加濃度0.09重量%以下で、イクチオボドの寄生予防効果ないし斃死抑制効果が得られることが分かっており、イクチオボドの寄生予防効果をより高めるためには、投与量13.5mg/日/kg体重未満または飼料への添加濃度0.045重量%未満が好ましく、投与量5.4mg/日/kg体重以下または飼料への添加濃度0.018重量%以下がより好ましい。また、後述する実施例2(1)に示すとおり、「亜麻仁油」および「綿実油」については、いずれも、投与量270mg/日/kg体重以上または飼料への添加濃度0.9重量%以上で、イクチオボドの寄生予防効果が得られることが分かっている。
また、本発明に係る放流用サケ稚魚のトリコジナ症を予防する感染症予防剤においても、前記成分の投与量または飼料に添加する際の添加濃度は特に限定されないが、例えば、後述する実施例1(1)に示すとおり、「オレガノ油」については、投与量27mg/日/kg体重未満または飼料への添加濃度0.09重量%未満で、トリコジナの寄生予防効果が得られることが分かっている。また、後述する実施例2(1)に示すとおり、「亜麻仁油」については、投与量270mg/日/kg体重より大または飼料への添加濃度0.9重量%より大でトリコジナの寄生予防効果が得られることが分かっており、トリコジナの寄生予防効果をより高めるためには、投与量540mg/日/kg体重以上または飼料への添加濃度1.8重量%以上が好ましい。また、後述する実施例2(1)に示すとおり、「綿実油」については、投与量810mg/日/kg体重未満または飼料への添加濃度2.7重量%未満でトリコジナの寄生予防効果が得られることが分かっており、トリコジナの寄生予防効果をより高めるためには、投与量270mg/日/kg体重以上810mg/日/kg体重未満または飼料への添加濃度0.9重量%以上2.7重量%未満が好ましい。
ここで、図4に示すとおり、「カルバクロール」、「パラ−シメン」および「ガンマ−テルピネン」は、オレガノ油にそれぞれ58.92重量%、15.65重量%および10.57重量%含まれる。また、図11に示すとおり、「リノレン酸」および「リノール酸」は、亜麻仁油にそれぞれ58重量%および15重量%含まれる。したがって、上述のオレガノ油および亜麻仁油の好適な投与量および飼料への添加濃度にこれらの含有割合を乗じることにより、「カルバクロール」、「パラ−シメン」、「ガンマ−テルピネン」、「リノレン酸」および「リノール酸」の好適な投与量および飼料への添加濃度を求めることができる。すなわち、具体的には、下記のとおりである;
《本発明に係る放流用サケ稚魚のイクチオボド症を予防する感染症予防剤》
〈カルバクロール〉
投与量;27×58.92重量%=15.9084=15.91mg/日/kg体重以下、好ましくは13.5×58.92重量%=7.95542=7.96mg/日/kg体重以下、より好ましくは5.4×58.92重量%=3.18168=3.18mg/日/kg体重以下。
添加濃度;0.09×58.92重量%=0.053028=0.053重量%以下、好ましくは0.045×58.92重量%=0.026514=0.027重量%以下、より好ましくは0.018×58.92重量%=0.0106056=0.011重量%以下。
〈パラ−シメン〉
投与量;27×15.65重量%=4.2255=4.23mg/日/kg体重以下、好ましくは13.5×15.65重量%=2.11275=2.11mg/日/kg体重以下、より好ましくは5.4×15.65重量%=0.8451=0.85mg/日/kg体重以下。
添加濃度;0.09×15.65重量%=0.014085=0.014重量%以下、好ましくは0.045×15.65重量%=0.0070425=0.007重量%以下、より好ましくは0.018×15.65重量%=0.002817=0.003重量%以下。
〈リノレン酸〉
投与量;270×58重量%=156.6=156.6mg/日/kg体重以上。
添加濃度;0.9×58重量%=0.522=0.5重量%以上。
〈リノール酸〉
投与量;270×15重量%=40.5=40.5mg/日/kg体重以上。
添加濃度;0.9×15重量%=0.135=0.1重量%以上。
《本発明に係る放流用サケ稚魚のトリコジナ症を予防する感染症予防剤》
〈カルバクロール〉
投与量;27×58.92重量%=15.9084=15.91mg/日/kg体重未満。
添加濃度;0.09×58.92重量%=0.053028=0.053重量%以下。
〈パラ−シメン〉
投与量;27×15.65重量%=4.2255=4.23mg/日/kg体重未満。
添加濃度;0.09×15.65重量%=0.014085=0.014重量%以下。
〈ガンマ−テルピネン〉
投与量;27×10.57重量%=2.8539=2.85mg/日/kg体重以下。
添加濃度;0.09×10.57重量%=0.009513=0.010重量%未満。
〈リノレン酸〉
投与量;270×58重量%=156.6=156.6mg/日/kg体重より大、好ましくは540×58重量%=313.2mg/日/kg体重以上。
添加濃度;0.9×58重量%=0.522=0.5重量%より大、好ましくは1.8×58重量%=1.044=1.0重量%以上。
〈リノール酸〉
投与量;270×15重量%=40.5=40.5mg/日/kg体重より大、好ましくは540×15重量%=81mg/日/kg体重以上。
添加濃度;0.9×15重量%=0.135=0.1重量%より大、好ましくは1.8×15重量%=0.27=0.2重量%以上。
ここで、オレガノ油の好適な投与量または飼料への添加濃度は極小量であるため、飼料へ添加するにあたっては、飼料に均一に混合することが困難である。そこで、本発明に係る感染症予防剤においては、前記成分のうち、オレガノ油および亜麻仁油を含有し、かつ、亜麻仁油をオレガノ油の賦形剤として用いることが好ましい。亜麻仁油の好適な投与量または飼料への添加濃度は比較的大きいため、亜麻仁油にオレガノ油を混合して容量を増やし、これを飼料に添加することより、飼料に均一に混合することができる。また、オレガノ油は揮発性が高く、保存あるいは使用期間中に揮発して減じるのに対して、亜麻仁油の揮発性は小さいことから、亜麻仁油をオレガノ油の賦形剤として用いることにより、オレガノ油の揮発を抑制することもできる。
次に、本発明は、放流用サケ稚魚の感染症を予防する方法を提供する。本発明に係る放流用サケ稚魚の感染症を予防する方法は、上述した本発明に係る感染症予防剤を放流用サケ稚魚に投与する工程を有する。なお、本発明に係る感染症を予防する方法において、上述した本発明に係る感染症予防剤と同じまたは相当する構成については、再度の説明を省略する。
本発明に係る感染症を予防する方法においては、トリコジナ症やイクチオボド症の予防効果を高めるために、トリコジナ症およびイクチオボド症に感染していない放流用サケ稚魚に、本発明に係る感染症予防剤を7日間以上投与する工程を有することが好ましい。
以下、本発明に係る放流用サケ稚魚の感染症予防剤および感染症を予防する方法について、各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。
<実験方法>
以下の実施例においては、特記しない限り、以下の実験方法を用いた。
(1)稚魚の飼育
稚魚は、100尾または500尾を一群として、容積60Lのアクリル水槽に収容し、湧水系河川水(水温7.8〜8.0℃)の掛け流しで飼育した。水槽の換水率は2回/時とした。飼料は魚類用初期飼料(アルテックK−2:日清丸紅飼料株式会社)を用いた。給餌は、約3%体重/日の量を、1日3回に分けて毎日与えた。各実施例においては、いずれの群にも同一量の飼料を与えた。
(2)投与量の算出
飼料への添加物(ハーブ精油、食用・飼料添加用油またはそれらの含有成分)の投与量は、添加濃度と1日あたりの給餌量とから算出し、稚魚のkg体重当たりの1日の投与量(mg/日/kg体重)として表した。
(3)トリコジナの定量
トリコジナのサイズは約100μmと大きいため、トリコジナの定量は、顕微鏡観察により行った。具体的には、まず、生きたままの稚魚を0.2%トリカイン水溶液の中に10分間漬け、体表に寄生する全ての原虫を脱離させた。次に、稚魚をトリカイン水溶液から取り出し、残ったトリカイン水溶液全量をプランクトン算定盤に入れ、実体顕微鏡観察を用いて液中に存在するトリコジナの個体数を数えた。トリコジナの寄生量は、稚魚のg体重当たりのトリコジナ個体数(個体/g体重)として表した。トリコジナの寄生量を各群間で比較するにあたっては、各群毎に平均値を算出し、一元配置分散分析法および多重比較検定Tukey−Kramer法により検定を行った。
(4)イクチオボドの定量
イクチオボドのサイズは10μmと小さく、顕微鏡観察による計数が不可能である。そのため、イクチオボドの定量は、イクチオボド・リボゾームRNA遺伝子のDNAコピー数を定量することにより行った。なお、イクチオボド・リボゾームRNA遺伝子のDNAコピー数と個体数の間には有意な線形性相関があることが知られている(水野ら。平成26年度日本水産学会春季大会で発表)。
具体的には、まず、生きたままの稚魚を0.2%トリカイン水溶液の中に10分間漬け、体表に寄生する全ての原虫を脱離させた。次に、稚魚をトリカイン水溶液から取り出し、残ったトリカイン水溶液全量を、10000×g、4℃で15分間遠心分離に供して沈殿物を回収し、沈殿物から定法に従ってDNAを抽出した。抽出したDNAを鋳型とし、既知のイクチオボド・リボゾームDNAの配列から選択した特異的プライマー(フォワードプライマー;5’−GTCGTTGTTACCGATGCC−3’(配列番号1)、リバースプライマー;5’−GCTGTATCTCCCTTCCCC−3’(配列番号2))およびリアルタイムPCR装置(7500型:アプライドバイオシステムズ社)を用いてリアルタイムPCRを行った。イクチオボドの寄生量は、稚魚のg体重当たりのイクチオボド・リボゾームRNA遺伝子のDNAコピー数(10−18mol(amol)/g体重)として表した。イクチオボドの寄生量を各群間で比較するにあたっては、各群毎に平均値を算出し、一元配置分散分析法および多重比較検定Tukey−Kramer法により検定を行った。
(5)海水移行試験
40Lの人工海水を張った60Lの水槽に稚魚を投入し、エアレーションをかけながら8℃で48時間無給餌で飼育した後、稚魚の生残数を数えた。海水移行試験後の生残数は、海水移行後生残率(%)として、水槽に投入した稚魚の数に対する百分率で表した。
(6)鰓Na,K−ATPase活性の解析
稚魚を200ppmフェノキシエタノールで麻酔した後、左側の一番外側の鰓弁を採取し、解析まで−80℃で凍結保存した。解析にあたっては、左側鰓サンプルをSEI緩衝液中で摩砕し、Lowry法によるタンパク質の定量を行った後、試料とした。この試料とATPを溶解したSEI緩衝液を混和し、37℃で30分間反応させた(酵素反応群)。また、同時に、Na,K−ATPaseの阻害剤であるウアバインを添加して、同様に反応させた(酵素反応阻害群)。続いて、これらの反応液に含有される遊離リン量を測定し、酵素反応群と酵素反応阻害群の間の遊離リン量の差を求めた。鰓Na,K−ATPase活性の値は、鰓のタンパク質量および1時間当たりに出る遊離リン量の差(μmol Pi/mg protein/h)として表した。
(7)鰓Na,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量の解析
稚魚を200ppmフェノキシエタノールで麻酔した後、右側の一番外側の鰓弁を採取し、解析までRNase不活剤(RNAlater;Ambion社)中で保存した。解析にあたっては、右側鰓サンプルからISOGEN(和光純薬社)を用いてTotal RNAを抽出した後、ゲノムDNAを除去するためDNaseI処理を行い、試料とした。この試料をランダムプライマーと逆転写酵素(Superscript III;Invitrogen社)とを用いて逆転写し、cDNAを得た。得られたcDNAを鋳型とし、既知のNa,K−ATPase αサブユニット遺伝子の配列から設計した特異的プライマー(フォワードプライマー;5’−AGCTCTGCCACCTGGGCT−3’(配列番号3)、リバースプライマー;5’−ATTTGTTGGTGGAGTTGA−3’(配列番号4))およびリアルタイムPCR装置(7500型:アプライドバイオシステムズ社)を用いてリアルタイムPCRを行った。同一の鋳型および定量用プライマー(フォワードプライマー;5’−CCCAAGGCCAACAGAGAGAA−3’(配列番号5)、リバースプライマー;5’−GGCGGGAACGTTGAAGGT−3’(配列番号6))を用いて、内部対照遺伝子(β−actin遺伝子)の発現量の定量も行った。スタンダードには、予めcDNAクローニングにより得たサケNa,K−ATPase αサブユニットcDNA断片を用いた。鰓Na,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量は、内部対照遺伝子の発現量に対する比較相対値として表した。
(8)血漿リゾチーム活性の解析
稚魚を200ppmフェノキシエタノールで麻酔した後、尾柄部をメスで切断し、ヘパリン処理したヘマトクリット管に血液を採集した。採集した血液を4℃、2000×gで15分間遠心分離に供した後、上清(血漿)を回収した。一方、0.067Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.24)に0.15mg/mLとなるようMicrococcus Lysodeikticusを懸濁し、細菌懸濁液を調製した。細菌懸濁液100mLに血漿5mLを添加し、5分間、1分ごとに波長540nmで吸光度測定を行って、1分当たりの吸光度変化の平均値を算出した。血漿に代えてリゾチーム標準品(Sigma社)を用いて同様の吸光度測定を行い、リゾチーム標準品1gが1分間に変化させる吸光度変化を1Unitとした。血漿リゾチーム活性は、血漿1mL当たり1分間当たりのUnit(Unit/mL/min)として表した。
(9)血漿コルチゾル量の解析
本実験方法(8)に記載の方法により、血漿を回収した。血漿からジエチルエーテルを用いてステロイドを抽出した。酵素免疫測定法によるコルチゾル測定キット(EA65;Oxford Biomedical Research社)を用いてステロイド中のコルチゾル量を測定した。血漿コルチゾル量は、血漿1mL当たりの量(ng/mL)として表した。
(10)熱ショックタンパク質70(Heat Shock Proteins;HSP70)遺伝子発現量の解析
稚魚から肝臓を採取し、本実験方法(7)に記載の方法に準じて、肝臓サンプルからcDNAを得た。得られたcDNAを鋳型とし、既知のHSP70遺伝子の配列から設計した特異的プライマー(フォワードプライマー;5’−TTCTACACCTCCATCACC−3’(配列番号7)、リバースプライマー;5’−GTGATGGTGATCTTGTTC−3’(配列番号8))およびリアルタイムPCR装置(7500型:アプライドバイオシステムズ社)を用いてリアルタイムPCRを行った。同一の鋳型ならびに配列番号5および6の定量用プライマーを用いて、内部対照遺伝子(β−actin遺伝子)の発現量の定量も行った。スタンダードには、予めcDNAクローニングにより得たサケHSP70 cDNA断片を用いた。肝臓のHSP70遺伝子発現量は、内部対照遺伝子の発現量に対する比較相対値として表した。
(11)嗅覚応答の電気生理学的解析
麻酔剤(FA100;DSファーマアニマルヘルス社)を用いて稚魚を不動化させた。10−5MのL−セリンを流速約2.7 mL/分で約1分30秒間稚魚の鼻腔内へと滴下することにより嗅覚を刺激し、嗅覚電図(Electro−Olfactogram;EOG)を記録した。また、同様に、飼育用水を滴下してEOGを記録した。嗅覚応答の値は、飼育用水に対するEOG応答強度/10−5MのL−セリンに対するEOG応答強度の比較相対値として表した。
<実施例1>ハーブ精油の検討
(1)ハーブ精油の種類と添加濃度の検討
[1−1]事前投与
稚魚(平均体重0.31g、n=30)を500尾ずつ13群に分け、第1〜13群とした。各群に、表1に示す添加濃度および投与量となるよう、ハーブ精油(ハッカ油、ユーカリ油およびオレガノ油)を添加した飼料を給餌しながら、平成26年1月22日〜2月14日まで約3週間飼育した。2月14日に、各群の稚魚に寄生する原虫を観察または検出したところ、寄生は全く認められなかった。
[1−2]感染試験
続いて、各水槽に一辺10cm角のバスケットかごを上部から吊す形で設置して、かごの中に、イクチオボド(平均寄生数 0.17amol/g体重、n=30)およびトリコジナ(平均寄生数107個体/g体重, n=30)のいずれもが寄生している稚魚を50尾ずつ(平均体重 0.50g、n=30)収容して飼育することにより、感染試験を行った。感染試験は2月15日から4週間行った。感染試験中の飼料は、表1と同様のものを用いた。感染試験修了後(3月15日)に各群から稚魚をランダムに7尾ずつ採集し、実験方法(3)および(4)に記載の方法によりトリコジナおよびイクチオボドを定量した。また、3月15日までに各群で斃死した稚魚の累積尾数(累積斃死尾数)を数えた。1月22日から3月15日までの各群への総給餌量は580gだった。トリコジナの定量結果を図1に、イクチオボドの定量結果を図2に、稚魚の累積斃死尾数を図3にそれぞれ示す。
図1に示すように、トリコジナの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では2377個体/g体重であったのに対して、第2群(ハッカ油を0.009重量%添加)では2190個体/g体重、第3群(ハッカ油を0.018重量%添加)では2457個体/g体重、第4群(ハッカ油を0.045重量%添加)では1291個体/g体重、第5群(ハッカ油を0.090重量%添加)では2316個体/g体重、第6群(ユーカリ油を0.009重量%添加)では2493個体/g体重、第7群(ユーカリ油を0.018重量%添加)では2412個体/g体重、第8群(ユーカリ油を0.045重量%添加)では1291個体/g体重、第9群(ユーカリ油を0.090重量%添加)では1874個体/g体重、第10群(オレガノ油を0.009重量%添加)では112.7個体/g体重、第11群(オレガノ油を0.018重量%添加)では5.317個体/g体重、第12群(オレガノ油を0.045重量%添加)では1132個体/g体重、第13群(オレガノ油を0.090重量%添加)では2011個体/g体重であった。
すなわち、オレガノ油を0.09重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して、有意差は無いものの、トリコジナの寄生量が小さい傾向であり、オレガノ油を0.009重量%、0.018重量%および0.045重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、オレガノ油は、サケ稚魚へのトリコジナの寄生を顕著に予防することが明らかになった。また、オレガノ油の飼料への添加濃度が0.09重量%未満または投与量が27mg/日/kg未満であれば、トリコジナの寄生の予防効果が得られることが明らかになった。
また、図2に示すように、イクチオボドの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では42.76amol/g体重であったのに対して、第2群(ハッカ油を0.009重量%添加)では38.95amol/g体重、第3群(ハッカ油を0.018重量%添加)では691.9amol/g体重、第4群(ハッカ油を0.045重量%添加)では61.20amol/g体重、第5群(ハッカ油を0.090重量%添加)では52.29amol/g体重、第6群(ユーカリ油を0.009重量%添加)では28.08amol/g体重、第7群(ユーカリ油を0.018重量%添加)では20.06amol/g体重、第8群(ユーカリ油を0.045重量%添加)では123.5amol/g体重、第9群(ユーカリ油を0.090重量%添加)では8.523amol/g体重、第10群(オレガノ油を0.009重量%添加)では5.406amol/g体重、第11群(オレガノ油を0.018重量%添加)では5.578amol/g体重、第12群(オレガノ油を0.045重量%添加)では45.71amol/g体重、第13群(オレガノ油を0.090重量%添加)では20.26amol/g体重であった。
すなわち、オレガノ油を0.009重量%、0.018重量%および0.09重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量が小さかった。特に、オレガノ油を0.009重量%および0.018重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、オレガノ油は、サケ稚魚へのイクチオボドの寄生を顕著に予防することが明らかになった。また、オレガノ油を0.045重量%添加した飼料を給餌した群ではコントロールと比較してトリコジナの寄生量が同程度であったが、オレガノ油を0.009重量%、0.018重量%および0.09重量%添加した飼料を給餌した群ではコントロールと比較してイクチオボドの寄生量が減少したこと、および、後述する稚魚の斃死抑制効果がオレガノ油を0.045重量%添加した飼料を給餌した群においても顕著に得られることを鑑みれば、オレガノ油の飼料への添加濃度が0.09重量%以下、または、投与量が27mg/日/kg以下であれば、イクチオボドの寄生の予防効果が得られると考えられた。
最後に、図3に示すように、稚魚の累積斃死尾数は、第1群(コントロール)では353尾であったのに対して、第2群(ハッカ油を0.009重量%添加)では223尾、第3群(ハッカ油を0.018重量%添加)では201尾、第4群(ハッカ油を0.045重量%添加)では180尾、第5群(ハッカ油を0.090重量%添加)では188尾、第6群(ユーカリ油を0.009重量%添加)では111尾、第7群(ユーカリ油を0.018重量%添加)では92尾、第8群(ユーカリ油を0.045重量%添加)では245尾、第9群(ユーカリ油を0.090重量%添加)では180尾、第10群(オレガノ油を0.009重量%添加)では3尾、第11群(オレガノ油を0.018重量%添加)では1尾、第12群(オレガノ油を0.045重量%添加)では58尾、第13群(オレガノ油を0.090重量%添加)では178尾であった。
すなわち、ハッカ油、ユーカリ油およびオレガノ油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して稚魚の累積斃死尾数が小さくなった。特に、オレガノ油を0.009重量%および0.018重量%添加した飼料を給餌した群では、稚魚の累積斃死尾数が顕著に小さかった。これらの結果から、オレガノ油は、サケ稚魚へのイクチオボドやトリコジナの寄生を予防することにより、サケ稚魚の斃死を顕著に抑制することが明らかになった。また、オレガノ油の飼料への添加濃度が0.045重量%未満、または、投与量が13.5mg/日/kg未満である場合に、稚魚の斃死抑制効果が高くなることが明らかになった。
(2)オレガノ油中の有効成分の検討
[2−1]含有成分の解析
イクチオボドおよびトリコジナの寄生の予防効果が認められたオレガノ油を、下記の条件で、ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)に供した。得られたマススペクトルの主要ピークについて、香料ライブラリーで検索して含有成分の同定を行った。また、得られたトータルイオンクロマトグラムの面積百分率により、各含有成分の含有割合を求めた。その結果を図4に示す。
試料調製;オレガノ油90μLをアセトン1500μLに溶解させた。
GC/MS装置;GCMS−QP2010SE
カラム;Rtx−5ms(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
サンプル注入量;0.5μL
気化室;温度250℃、スプリット比50:1
ガスの種類;ヘリウム
ガス圧;37.1kPa(線速度32.4cm/秒)
カラム温度;50℃から3℃/分で昇温し、300℃で5分保持した。
イオン源温度;200℃
インターフェイス温度;250℃
測定;40〜400m/zまでスキャンモードにて測定
図4に示すように、オレガノ油には、カルバクロールが58.92重量%、パラ−シメンが15.65重量%、ガンマ−テルピネンが10.57重量%およびユーカリプトール(シネオール)が0.06重量%含まれることが明らかになった。そこで、カルバクロール、パラ−シメン、ガンマ−テルピネンおよびシネオール(以下、まとめて「オレガノ油含有成分」という。)について、イクチオボドおよびトリコジナの寄生の予防効果を検討した。
[2−2]事前投与
具体的には、まず、原虫が全く寄生していない稚魚(平均体重1.80g、n=30)を、100尾ずつ6群に分け、第1〜6群とした。各群に、表2に示す添加濃度および投与量となるよう、オレガノ油、カルバクロール(試薬特級;和光純薬工業社)、パラ−シメン(試薬特級;和光純薬工業社)、ガンマ−テルピネン(試薬特級;和光純薬工業社)およびシネオール(試薬特級;和光純薬工業社)を添加した飼料を給餌しながら、平成26年3月21日〜4月4日まで2週間飼育した。なお、飼料における各オレガノ油含有成分の添加濃度および投与量は、オレガノ油の添加濃度を0.018重量%とした場合に相当する。
[2−3]感染試験
続いて、本実施例1(1)[1−2]に記載の方法により、4月5日から5月2日までの4週間、感染試験を行った。感染試験中の飼料は、表2と同様のものを用いた。なお、感染試験開始時には、各群の稚魚に原虫が全く寄生していないことを予め確認した。感染試験開始から14日目(4月18日)および28日目(5月2日)に、各群から稚魚をランダムに10尾採集し、実験方法(3)および(4)に記載の方法によりトリコジナおよびイクチオボドを定量した。また、各群ごとに、5月2日までの稚魚の累積斃死尾数を数えた。3月21日から5月2日までの各群の総給餌量は160gだった。トリコジナの定量結果を図5に、イクチオボドの定量結果を図6に、稚魚の累積斃死尾数を図7にそれぞれ示す。
図5に示すように、28日目のトリコジナの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では2581個体/g体重であったのに対して、第2群(オレガノ油を0.018重量%添加)では485.8個体/g体重、第3群(カルバクロールを0.010重量%添加)では777.7個体/g体重、第4群(パラ−シメンを0.0028重量%添加)では732.8個体/g体重、第5群(ガンマ−テルピネンを0.0019重量%添加)では839.1個体/g体重、第6群(シネオールを0.000010重量%添加)では2635個体/g体重であった。
すなわち、シネオールを添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量は同程度であったのに対して、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメンおよびガンマ−テルピネンを添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメンおよびガンマ−テルピネンは、サケ稚魚へのトリコジナの寄生を予防することが明らかになった。
また、図6に示すように、28日目のイクチオボドの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では1.659amol/g体重であったのに対して、第2群(オレガノ油を0.018重量%添加)では0.6312amol/g体重、第3群(カルバクロールを0.010重量%添加)では0.9216amol/g体重、第4群(パラ−シメンを0.0028重量%添加)では0.7398amol/g体重、第5群(ガンマ−テルピネンを0.0019重量%添加)では3.294amol/g体重、第6群(シネオールを0.000010重量%添加)では2.420amol/g体重であった。
すなわち、ガンマ−テルピネンおよびシネオールを添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量が大きかったのに対して、オレガノ油、カルバクロールおよびパラ−シメンを添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、オレガノ油、カルバクロールおよびパラ−シメンは、サケ稚魚へのイクチオボドの寄生を予防することが明らかになった。
最後に、図7に示すように、稚魚の累積斃死尾数は、第1群(コントロール)では45尾であったのに対して、第2群(オレガノ油を0.018重量%添加)では7尾、第3群(カルバクロールを0.010重量%添加)では14尾、第4群(パラ−シメンを0.0028重量%添加)では24尾、第5群(ガンマ−テルピネンを0.0019重量%添加)では40尾、第6群(シネオールを0.000010重量%添加)では43尾であった。
すなわち、シネオールを添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して稚魚の累積斃死尾数は同程度であったのに対して、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメンおよびガンマ−テルピネンを添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して稚魚の累積斃死尾数が小さくなった。この結果から、オレガノ油、カルバクロール、パラ−シメンおよびガンマ−テルピネンは、サケ稚魚へのイクチオボドやトリコジナの寄生を抑制することにより、サケ稚魚の斃死を抑制することが明らかになった。
<実施例2>食用・飼料添加用油の検討
(1)食用・飼料添加用油の種類と添加濃度の検討
[1−1]事前投与
稚魚(平均体重0.31g、n=30)を500尾ずつ10群に分け、第1〜10群とした。各群に、表3に示す添加濃度および投与量となるよう、食用油(綿実油および亜麻仁油)および飼料添加物フィードオイル(魚油)を添加した飼料を給餌しながら、平成26年1月22日〜2月14日まで約3週間飼育した。2月14日に、各群の稚魚に寄生する原虫を観察または検出したところ、寄生は全く認められなかった。
[1−2]感染試験
続いて、実施例1(1)[1−2]に記載の方法により感染試験を行った。ただし、感染試験中の飼料は、表3と同様のものを用いた。トリコジナの定量結果を図8に、イクチオボドの定量結果を図9に、稚魚の累積斃死尾数を図10にそれぞれ示す。
図8に示すように、トリコジナの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では2377個体/g体重であったのに対して、第2群(魚油を0.9重量%添加)では821個体/g体重、第3群(魚油を1.8重量%添加)では687.3個体/g体重、第4群(魚油を2.7重量%添加)では967.5個体/g体重、第5群(綿実油を0.9重量%添加)では1071個体/g体重、第6群(綿実油を1.8重量%添加)では53.85個体/g体重、第7群(綿実油を2.7重量%添加)では2493個体/g体重、第8群(亜麻仁油を0.9重量%添加)では3229個体/g体重、第9群(亜麻仁油を1.8重量%添加)では2.076個体/g体重、第10群(亜麻仁油を2.7重量%添加)では1.000個体/g体重であった。
すなわち、綿実油を0.9重量%および1.8重量%、ならびに亜麻仁油を1.8重量%および2.7重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量が小さかった。特に、綿実油を1.8重量%、ならびに亜麻仁油を1.8重量%および2.7重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、綿実油および亜麻仁油は、サケ稚魚へのトリコジナの寄生を予防することが明らかになった。また、綿実油の飼料への添加濃度が2.7重量%未満、または、投与量が810mg/日/kg体重未満である場合、および、亜麻仁油の飼料への添加濃度が0.9重量%より大、または、投与量が270mg/日/kgより大である場合に、トリコジナの寄生の予防効果が得られることが明らかになった。
また、図9に示すように、イクチオボドの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では42.76amol/g体重であったのに対して、第2群(魚油を0.9重量%添加)では24.83amol/g体重、第3群(魚油を1.8重量%添加)では20.56amol/g体重、第4群(魚油を2.7重量%添加)では17.38amol/g体重、第5群(綿実油を0.9重量%添加)では9.788amol/g体重、第6群(綿実油を1.8重量%添加)では28.94amol/g体重、第7群(綿実油を2.7重量%添加)では2.203amol/g体重、第8群(亜麻仁油を0.9重量%添加)では2.579amol/g体重、第9群(亜麻仁油を1.8重量%添加)では2.105amol/g体重、第10群(亜麻仁油を2.7重量%添加)では8.024amol/g体重であった。
すなわち、綿実油を1.8重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して、有意差は無いものの、イクチオボドの寄生量が小さい傾向であり、綿実油を0.9重量%および2.7重量%、ならびに亜麻仁油を0.9重量%、1.8重量%および2.7重量%添加した飼料を給餌した群ではコントロールと比較してイクチオボドの寄生量が小さかった。特に、綿実油を2.7重量%、ならびに亜麻仁油を0.9重量%、1.8重量%および2.7重量%添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、綿実油および亜麻仁油は、サケ稚魚へのイクチオボドの寄生を予防することが明らかになった。そして、綿実油については、1.8重量%添加した飼料を給餌した群ではコントロールと比較してイクチオボドの寄生量に有意差が無かったが、0.9重量%および2.7重量%添加した飼料を給餌した群ではコントロールと比較してイクチオボドの寄生量が減少したこと、および、後述する稚魚の斃死抑制効果が綿実油を1.8重量%添加した飼料を給餌した群においても顕著に得られることを鑑みれば、綿実油の飼料への添加濃度が0.9重量%以上、または、投与量が270mg/日/kgより以上であれば、イクチオボドの寄生の予防効果が得られると考えられた。また、亜麻仁油については、飼料への添加濃度が0.9重量%以上、または、投与量が270mg/日/kgより以上であれば、イクチオボドの寄生の予防効果が得られることが明らかになった。
最後に、図10に示すように、稚魚の累積斃死尾数は、第1群(コントロール)では353尾であったのに対して、第2群(魚油を0.9重量%添加)では93尾、第3群(魚油を1.8重量%添加)では73尾、第4群(魚油を2.7重量%添加)では70尾、第5群(綿実油を0.9重量%添加)では22尾、第6群(綿実油を1.8重量%添加)では5尾、第7群(綿実油を2.7重量%添加)では61尾、第8群(亜麻仁油を0.9重量%添加)では91尾、第9群(亜麻仁油を1.8重量%添加)では0尾、第10群(亜麻仁油を2.7重量%添加)では4尾であった。
すなわち、魚油、綿実油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して稚魚の累積斃死尾数が小さくなった。特に、綿実油を1.8重量%、ならびに亜麻仁油を1.8重量%および2.7重量%添加した飼料を給餌した群で、稚魚の累積斃死尾数が顕著に小さかった。これらの結果から、綿実油および亜麻仁油は、サケ稚魚へのイクチオボドやトリコジナの寄生を予防することにより、サケ稚魚の斃死を顕著に抑制することが明らかになった。また、綿実油の飼料への添加濃度が0.9重量%以上2.7重量%未満、または、投与量が270mg/日/kg以上810mg/日/kg体重未満である場合、および、亜麻仁油の飼料への添加濃度が0.9重量%より大、または、投与量が270mg/日/kg体重より大である場合に、サケ稚魚の斃死抑制効果が高くなることが明らかになった。
(2)亜麻仁油中の有効成分の検討
[2−1]含有成分の解析
イクチオボドおよびトリコジナの寄生の予防効果が認められた亜麻仁油の脂肪酸組成を図11に示す(関東化学株式会社試薬事業本部試薬技術部より提供)。図11に示すように、亜麻仁油には、リノレン酸が58重量%、リノール酸が15重量%含まれることが明らかになった。そこで、リノール酸およびリノレン酸について、イクチオボドおよびトリコジナの寄生の予防効果を検討した。
[2−2]事前投与
具体的には、まず、稚魚(平均体重0.31g、n=30)を500尾ずつ4群に分け、第1〜4群とした。各群に、表4に示す添加濃度および投与量となるよう、リノール酸(試薬特級;和光純薬工業社)およびリノレン酸(試薬特級;和光純薬工業社)を添加した飼料を給餌しながら、平成26年1月22日〜2月14日まで約3週間飼育した。2月14日に、各群の稚魚に寄生する原虫を観察または検出したところ、寄生は全く認められなかった。
[2−3]感染試験
続いて、実施例1(1)[1−2]に記載の方法により感染試験を行った。ただし、感染試験中の飼料は、表4と同様のものを用いた。その結果を図12に示す。
図12の左側のグラフに示すように、トリコジナの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では2377個体/g体重であったのに対して、第2群(リノール酸を0.9重量%添加)では198.7個体/g体重、第3群(リノレン酸を0.9重量%添加)では0個体/g体重、第4群(リノール酸およびリノレン酸を各0.9重量%添加)では約69.73個体/g体重であった。すなわち、リノール酸およびリノレン酸を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、リノール酸およびリノレン酸は、サケ稚魚へのトリコジナの寄生を予防することが明らかになった。
また、図12の中央のグラフに示すように、イクチオボドの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では42.76amol/g体重であったのに対して、第2群(リノール酸を0.9重量%添加)では129.0amol/g体重、第3群(リノレン酸を0.9重量%添加)では6.302amol/g体重、第4群(リノール酸およびリノレン酸を各0.9重量%添加)では44.32amol/g体重であった。すなわち、リノレン酸を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、リノレン酸は、サケ稚魚へのイクチオボドの寄生を予防することが明らかになった。
最後に、図12の右側のグラフに示すように、稚魚の累積斃死尾数は、第1群(コントロール)では353尾であったのに対して、第2群(リノール酸を0.9重量%添加)では1尾、第3群(リノレン酸を0.9重量%添加)では1尾、第4群(リノール酸およびリノレン酸を各0.9重量%添加)では10尾であった。すなわち、リノール酸およびリノレン酸を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して稚魚の累積斃死尾数が顕著に小さくなった。この結果から、リノール酸およびリノレン酸は、サケ稚魚へのイクチオボドやトリコジナの寄生を予防することにより、サケ稚魚の斃死を顕著に抑制することが明らかになった。
<実施例3>投与期間の検討
(1)事前投与
原虫が全く寄生していない稚魚(平均体重1.80g、n=30)を、100尾ずつ12群に分け、第1〜12群とした。この12群を4群ずつのグループに分け、グループ1〜3とした。グループ2および3の各群には、感染試験の前に、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌しながらの飼育(以下、「事前投与の飼育」という。)を行った。オレガノ油および亜麻仁油の飼料への添加濃度および投与量は表5のとおりとした。事前投与の飼育は、グループ2は7日間(平成26年3月21日〜3月28日まで)、グループ3は14日間(平成26年3月21日〜4月4日まで)行った。グループ1は、事前投与の飼育を行わなかった。
(2)感染試験
続いて、グループ1〜3のそれぞれについて、実施例1(1)[1−2]に記載の方法により4週間の感染試験を行った。ただし、感染試験中の飼料は、表5と同様のものを用いた。なお、各グループの感染試験開始時には、稚魚に原虫が全く寄生していないことを予め確認した。感染試験開始から14日目に、各群から10尾の稚魚をサンプリングし、実験方法(3)および(4)に記載の方法によりトリコジナおよびイクチオボドを定量した。また、感染試験開始から28日目に、稚魚の累積斃死尾数を求めた。各グループに飼育期間(事前投与の飼育と感染試験中の飼育を合わせた期間)中給餌した総給餌量は、グループ1で120g、グループ2で140g、グループ3で160gだった。トリコジナの定量結果を図13に、イクチオボドの定量結果を図14に、稚魚の累積斃死尾数を図15にそれぞれ示す。
図13に示すように、グループ1のトリコジナの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では595.1個体/g体重であったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では471.1個体/g体重、第3群(亜麻仁油を添加)では333.6個体/g体重、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では383.0個体/g体重であった。また、グループ2のトリコジナの寄生量(平均値)は、第5群(コントロール)では646.4個体/g体重であったのに対して、第6群(オレガノ油を添加)では265.0個体/g体重、第7群(亜麻仁油を添加)では210.5個体/g体重、第8群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では218.6個体/g体重であった。また、グループ3のトリコジナの寄生量(平均値)は、第9群(コントロール)では444.6個体/g体重であったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では70.78個体/g体重、第11群(亜麻仁油を添加)では54.96個体/g体重、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では39.48個体/g体重であった。
すなわち、グループ1では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量の顕著な減少は認められなかったのに対して、グループ2および3では、コントロールと比較してトリコジナの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、サケ稚魚のトリコジナ症の治療には有効でない一方で、予防に有効であることが明らかになった。また、トリコジナ症に感染していないサケ稚魚にオレガノ油および/または亜麻仁油を7日間以上投与すると、トリコジナの寄生の予防効果が高くなることが明らかになった。
また、図14に示すように、グループ1のイクチオボドの寄生量(平均値)は、第1群(コントロール)では7.085amol/g体重であったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では5.294amol/g体重、第3群(亜麻仁油を添加)では3.864amol/g体重、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では4.019amol/g体重であった。 また、グループ2のイクチオボドの寄生量(平均値)は、第5群(コントロール)では6.555amol/g体重であったのに対して、第6群(オレガノ油を添加)では0.5298amol/g体重、第7群(亜麻仁油を添加)では0.9056amol/g体重、第8群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では0.6411amol/g体重であった。また、グループ3のイクチオボドの寄生量(平均値)は、第9群(コントロール)では5.247amol/g体重であったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では0.2757amol/g体重、第11群(亜麻仁油を添加)では0.1986amol/g体重、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では0.3271amol/g体重であった。
すなわち、グループ1では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量の顕著な減少は認められなかったのに対して、グループ2および3では、コントロールと比較してイクチオボドの寄生量が顕著に小さかった(P<0.05)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、サケ稚魚のイクチオボド症の治療には有効でない一方で、予防に有効であることが明らかになった。また、イクチオボド症に感染していないサケ稚魚にオレガノ油および/または亜麻仁油を7日間以上投与すると、イクチオボドの寄生の予防効果が高くなることが明らかになった。
最後に、図15に示すように、グループ1の稚魚の累積斃死尾数は、第1群(コントロール)では44尾であったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では46尾、第3群(亜麻仁油を添加)では40尾、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では38尾であった。また、グループ2の稚魚の累積斃死尾数は、第5群(コントロール)では40尾であったのに対して、第6群(オレガノ油を添加)では22尾、第7群(亜麻仁油を添加)では17尾、第8群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では17尾であった。また、グループ3の稚魚の累積斃死尾数は、第9群(コントロール)では45尾であったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では7尾、第11群(亜麻仁油を添加)では5尾、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では3尾であった。
すなわち、グループ1では、コントロールと比較して稚魚の累積斃死尾数の顕著な減少は認められなかったのに対して、グループ2および3では、コントロールと比較して稚魚の累積斃死尾数が顕著に小さかった。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、トリコジナ症やイクチオボド症に対して、治療ではなく予防することにより、稚魚の斃死を抑制することが明らかになった。また、トリコジナ症やイクチオボド症に感染していない稚魚にオレガノ油および/または亜麻仁油を7日間以上投与すると、稚魚の斃死抑制効果が高くなることが明らかになった。
<実施例4>オレガノ油および亜麻仁油の安全性検証
(1)非感染魚での比較
原虫が全く寄生していない稚魚(平均体重1.80g、n=30) を、100尾ずつ4群に分け、第1〜4群とした。各群に、表5のグループ1の第1〜4群と同様にオレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌しながら、平成26年3月21日〜5月2日まで6週間飼育した。その後、各群の稚魚の体重を測定し、実験方法(5)〜(11)に記載の方法により、海水移行試験(各群につき30尾)、鰓Na,K−ATPase活性の解析、Na,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量の解析、血漿リゾチーム活性の解析、血漿コルチゾル量の解析、HSP70遺伝子発現量の解析および嗅覚応答の電気生理学的解析に供した。その結果を図16に示す。なお、この飼育期間終了後、各群の稚魚に寄生する原虫を観察または検出したところ、寄生は全く認められなかった。また、全群について斃死は1尾もなかった。
図16に示すように、稚魚の体重(平均値)は、第1群(コントロール)では3.334gであったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では3.297g、第3群(亜麻仁油を添加)では3.415g、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では3.407gであった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群の稚魚の体重は、コントロールと同程度であった(P>0.05:一元配置分散分析法)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、サケ稚魚の成長に影響を及ぼさないことが明らかになった。
また、海水移行試験後の生残率は、第1群(コントロール)、第2群(オレガノ油を添加)、第3群(亜麻仁油を添加)および第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)のいずれにおいても100%であった。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、サケ稚魚の海水適応能に影響を及ぼさないことが明らかになった。
また、鰓のNa,K−ATPase活性は、第1群(コントロール)では1.482μmol Pi/mg protein/hであったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では1.871μmol Pi/mg protein/h、第3群(亜麻仁油を添加)では1.420μmol Pi/mg protein/h、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では1.450μmol Pi/mg protein/hであった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群の鰓Na,K−ATPase活性は、コントロールと同程度であった(P>0.05:一元配置分散分析法)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、サケ稚魚の浸透圧調節機能に影響を及ぼさないことが明らかになった。
また、鰓のNa,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量は、第1群(コントロール)では17.37であったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では8.011、第3群(亜麻仁油を添加)では7.180、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では12.43であった。すなわち、コントロールとオレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群とで、鰓Na,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量に有意な差は認められなかった(P>0.05:一元配置分散分析法)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、サケ稚魚の鰓Na,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量に影響を及ぼさないことが明らかになった。
また、血漿リゾチーム活性は、第1群(コントロール)では11.34Unit/mL/minであったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では5.544Unit/mL/min、第3群(亜麻仁油を添加)では4.536Unit/mL/min、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では7.518Unit/mL/minであった。すなわち、コントロールとオレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群とで、血漿リゾチーム活性に有意な差は認められなかった(P>0.05:一元配置分散分析法)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、稚魚の免疫機能に影響を及ぼさないことが明らかになった。
また、血漿コルチゾル量は、第1群(コントロール)では2.202ng/mLであったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では2.142ng/mL、第3群(亜麻仁油を添加)では2.415ng/mL、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では2.681ng/mLであった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群の血漿コルチゾル量は、コントロールと同程度であった(P>0.05:一元配置分散分析法)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、稚魚のストレス応答に影響を及ぼさないことが明らかになった。
また、肝臓のHSP70遺伝子発現量は、第1群(コントロール)では2428であったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では1402、第3群(亜麻仁油を添加)では2371、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では3404であった。すなわち、コントロールとオレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群とで、肝臓のHSP70遺伝子発現量に有意な差は認められなかった(P>0.05:一元配置分散分析法)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、稚魚のストレス応答に影響を及ぼさないことが明らかになった。
最後に、嗅覚応答の値は、第1群(コントロール)では4.838であったのに対して、第2群(オレガノ油を添加)では4.504、第3群(亜麻仁油を添加)では4.271、第4群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では4.320であった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群の嗅覚応答の値は、コントロールと同程度であった(P>0.05:一元配置分散分析法)。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、稚魚の嗅覚応答に影響を及ぼさないことが明らかになった。
以上の本実施例4(1)の結果から、オレガノ精油および亜麻仁油は、稚魚の成長や各種生理機能に悪影響を与えないことが明らかになった。
(2)感染試験後の比較
実施例3(2)の感染試験修了時に、グループ3の各群から稚魚をランダムに採集し、体重を測定し、実験方法(5)〜(9)に記載の方法により、海水移行試験(各群につき30尾)、Na,K−ATPase活性の解析、Na,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量の解析、血漿リゾチーム活性の解析および血漿コルチゾル量の解析に供した。その結果を図17に示す。
図17に示すように、稚魚の体重(平均値)は、第9群(コントロール)では2.799gであったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では3.199g、第11群(亜麻仁油を添加)では3.314g、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では3.313gであった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して稚魚の体重が大きかった(P<0.05:一元配置分散分析法および多重比較検定Tukey−Kramer法)。これは、コントロールでは、トリコジナやイクチオボドの寄生により成長が抑制されたのに対して、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、トリコジナやイクチオボドの寄生が予防された結果、稚魚の成長抑制も軽減されたものと考えられる。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚の成長への悪影響を軽減することが明らかになった。
また、海水移行試験後の生残率は、第9群(コントロール)では0%であったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)および第11群(亜麻仁油を添加)では80%、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では83.33%であった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して生残率が顕著に大きかった。これは、コントロールでは、トリコジナやイクチオボドの寄生により稚魚の鰓がダメージを受けて海水適応能が失われたのに対して、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、トリコジナやイクチオボドの寄生が予防された結果、鰓のダメージも軽減され、海水適応能が維持されたものと考えられる。この結果から、オレガノ油や亜麻仁油は、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚の海水適応能への悪影響を軽減することが明らかになった。
また、鰓のNa,K−ATPase活性は、第9群(コントロール)では0.376μmol Pi/mg protein/hであったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では1.073μmol Pi/mg protein/h、第11群(亜麻仁油を添加)では1.156μmol Pi/mg protein/h、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では1.134μmol Pi/mg protein/hであった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して鰓Na,K−ATPase活性が顕著に大きかった(P<0.05:一元配置分散分析法および多重比較検定Tukey−Kramer法)。これは、コントロールでは、トリコジナやイクチオボドの寄生により稚魚の鰓がダメージを受けて鰓からのNaの能動的排出能力が低下したのに対して、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、トリコジナやイクチオボドの寄生が予防された結果、鰓のダメージも軽減され、鰓からのNaの能動的排出能力が維持されたものと考えられる。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚の鰓の浸透圧調節機能への悪影響を軽減することが明らかになった。
また、鰓のNa,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量は、第9群(コントロール)では2.123であったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では5.731、第11群(亜麻仁油を添加)では5.009、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では5.849であった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して、鰓Na,K−ATPase αサブユニット遺伝子発現量が顕著に大きかった(P<0.05:一元配置分散分析法および多重比較検定Tukey−Kramer法)。これは、コントロールでは、トリコジナやイクチオボドの寄生により稚魚の鰓がダメージを受けて当該遺伝子の発現量が低下したのに対して、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、トリコジナやイクチオボドの寄生が予防された結果、鰓のダメージも軽減されて当該遺伝子の発現量が維持されたものと考えられる。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚の海水適応能への悪影響を軽減することが明らかになった。
また、血漿リゾチーム活性は、第9群(コントロール)では0.607Unit/mL/minであったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では4.667Unit/mL/min、第11群(亜麻仁油を添加)では6.474Unit/mL/min、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では5.517Unit/mL/minであった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して、血漿リゾチーム活性が顕著に大きかった(P<0.05:一元配置分散分析法および多重比較検定Tukey−Kramer法)。これは、コントロールでは、トリコジナやイクチオボドの寄生によりリゾチーム量またはその活性が減少したのに対して、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、トリコジナやイクチオボドの寄生が予防された結果、リゾチーム量またはその活性も維持されたものと考えられる。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚の免疫機能への悪影響を軽減することが明らかになった。
また、血漿コルチゾル量は、第9群(コントロール)では1.137ng/mLであったのに対して、第10群(オレガノ油を添加)では2.763ng/mL、第11群(亜麻仁油を添加)では3.147ng/mL、第12群(オレガノ油および亜麻仁油を添加)では3.036ng/mLであった。すなわち、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、コントロールと比較して、血漿コルチゾル量が顕著に大きかった(P<0.05:一元配置分散分析法および多重比較検定Tukey−Kramer法)。これは、コントロールでは、トリコジナやイクチオボドの寄生により稚魚が弱ったために、ストレス応答に伴うコルチゾル量の増加が起こらなくなったのに対して、オレガノ油および亜麻仁油を添加した飼料を給餌した群では、トリコジナやイクチオボドの寄生が予防された結果、ストレス応答に伴うコルチゾル量の増加反応も維持されたものと考えられる。この結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚のストレス応答能への悪影響を軽減することが明らかになった。
以上の本実施例4(2)の結果から、オレガノ油および亜麻仁油は、トリコジナやイクチオボドの寄生によるサケ稚魚の成長や各種生理機能への悪影響を、顕著に軽減することが明らかになった。

Claims (6)

  1. カルバクロールおよび/またはリノレン酸を含有する、放流用サケ稚魚のイクチオボド症を予防する感染症予防剤。
  2. カルバクロールおよび/またはリノレン酸を含有する、放流用サケ稚魚のトリコジナ症を予防する感染症予防剤。
  3. 前記カルバクロールおよび/またはリノレン酸が下記の投与量または添加濃度で飼料に添加して用いられる、請求項1に記載の感染症予防剤;
    カルバクロール;投与量15.91mg/日/kg体重以下、添加濃度0.053重量%以下、
    リノレン酸;投与量156.6mg/日/kg体重以上、添加濃度0.5重量%以上。
  4. 前記カルバクロールおよび/またはリノレン酸が下記の投与量または添加濃度で飼料に添加して用いられる、請求項2に記載の感染症予防剤;
    カルバクロール;投与量15.91mg/日/kg体重未満、添加濃度0.053重量%以下、
    リノレン酸;投与量156.6mg/日/kg体重より大、添加濃度0.5重量%より大。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の感染症予防剤を放流用サケ稚魚に投与する工程を有する、放流用サケ稚魚の感染症を予防する方法。
  6. トリコジナ症およびイクチオボド症に感染していない放流用サケ稚魚に前記感染症予防剤を7日間以上投与する工程を有する、請求項5に記載の方法。
JP2018091980A 2018-05-11 2018-05-11 放流用サケ稚魚の感染症予防剤 Active JP6508754B2 (ja)

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