JP6507400B2 - 互いに非可溶性である複数種類の液化ガスを燃料に用いた、長秒時噴射を可能とする蒸気噴射システム - Google Patents

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Description

本発明は、蒸気噴射システムに関する。特に、本発明は、小型宇宙機用推進システム等に利用可能な蒸気噴射システム、及び当該システムを用いた推進器に関する。
近年、液化ガスを燃料とし、燃料をコールドガスジェットとして噴射する気液平衡スラスタが開発されている(非特許文献1)。気液平衡スラスタはGN2(気体窒素)やGHe(気体ヘリウム)を高圧で貯蔵する従来のコールドガスジェットと比較して、燃料をタンクへ高密度に充填できるため、タンクの小型化が図れ、タンク内圧が液化ガスの蒸気圧で維持されるため、調圧弁なしに一定推力を出力可能となり、配管系統が簡素化できるという利点を有している。
一方、気液平衡スラスタには、無重力空間においても気相と液相を分離させ、気相のみを確実に噴射する機能が求められる。ノズルからガスのみ噴射する技術に関して以下の技術がある。
発泡金属が施工された蒸気噴射システム
液体状態の燃料を発泡金属に浸透させ、発泡金属の気孔間に張られる気液界面の表面張力によって、液体を発泡金属内に保持することで、気液分離を実現している(特許文献1)。しかし、単一液化ガスを燃料とする蒸気噴射システムにおいては、気液分離能力は気液界面の表面張力に依存し、その大きさから噴射はパルス状の噴射に限られる。したがって、タンク内のガス圧が大きく低下する長時間にわたるガス噴射は、発泡金属の気液分離性能から困難であり、能力を越えた時間にわたる噴射を行うと、液体内部からキャビテーションが発生し、液体状態の燃料が突沸しタンクから流出するおそれがある。
ノズル近傍でのヒータ加熱による気化方法(レジストジェット)
液体状態の燃料をノズル直前で強制的に加熱することで気化させる方法である(非特許文献2)。気化を促すために膨大な電力を投入する必要があるという欠点があり、小型化や簡素化が図れるという本来の利点に反する。
特開2009−214695号公報 特開2011−183840号公報 特開2011−183841号公報
Carl R. Seubert1, Henry J. Pernicka2, Chris L. Norgren, "Refrigerant-Based Propulsion System for Small Spacecraft", AIAA 2007-5131 Redha Amri, D. Gibbon, "In orbit performance of butane propulsion system", Advances in Space Research 49 (2012) pp.648-654
以上のように、単一液化ガスを燃料とする従来の小型、簡素な蒸気噴射システムにおいては、長時間にわたる噴射は困難であった。
代替フロンガスやイソブタン等の液化ガスを燃料とする単一燃料の蒸気噴射システムでは、タンク圧が液化ガスの飽和蒸気圧と等しい状態から噴射を開始するため、噴射開始直後にタンク内の圧力が液化ガスの飽和蒸気圧を下回り、液体燃料内部からキャビテーションが発生する。キャビテーション発生後にガス噴射を継続すると、キャビテーションによって生じた気泡が膨張し、燃料の突沸を招き、液体状態の燃料がタンクから流出するおそれがある。タンクから流出した液体燃料が気化されないまま噴射されると、噴射効率が低下すると共に、推力が不安定となる。
これに鑑み、本発明は蒸気噴射システムにおいて、連続的にガスを噴射することを想定した場合に、キャビテーションを抑制するための蒸気噴射システムを提案することを課題とする。
以下、上記課題を解決するための本発明による手段を概説し、次に本発明が提供する具体的解決手段を説明する。ただし、解決手段として以下に概説、説明される全ての構成を本発明が備えることは必須ではなく、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載により規定されることに留意する。
本発明の概念
本発明者らは、互いに非可溶性である2種の液化ガスを混合した場合に、平衡状態においてタンク内の蒸気圧が各液化ガスの飽和蒸気圧の和になることに着目し、2種の液化ガスを用いることで、ガス噴射開始時のタンク圧が各液化ガスの飽和蒸気圧よりも高められ、その結果、噴射時のキャビテーションを抑制することにより、上記の課題を解決できると考え、本発明に至った。すなわち、本発明は、蒸気噴射システムにおいて連続的なガス噴射を可能とする燃料の選定に関する発明である。
以下(後述の各実施例は含まない。)、2種の液化ガスの内、飽和蒸気圧が高い液化ガスを液化ガスAとし、その飽和蒸気圧をPA、低い方を液化ガスBとし、その飽和蒸気圧をPBとする。本発明が教示する蒸気噴射システムにおいては、互いに非可溶性である、2種の液化ガスのガス相を混合させることで、平衡状態においてタンク内のガス圧は各液化ガスの飽和蒸気圧和(PA+PB)となる。
2種の各液化ガスの気液界面には2種の飽和蒸気圧の和(PA+PB)の圧力が加わるため、各液体燃料中においては、タンク内のガス圧が液化ガスAの飽和蒸気圧PAを下回った後にキャビテーションが生じる。そのため、ガス噴射においては噴射前のタンク圧PA+PBからPAまで、つまり液化ガスBの飽和蒸気圧PB分の減圧が起こるまで、キャビテーションは生じない。キャビテーションが生じない間は連続的なガス噴射が可能となるため、飽和蒸気圧の高い(液化ガスAの飽和蒸気圧PAに近い)液化ガスBを選択することによって、連続的に噴射できるガス量を増加させることができる。なお、本発明における液化ガス燃料の組み合わせの具体例としては、液化アンモニアと液化ブタン、アンモニア水と液化ブタン等が挙げられる。
さらに、従来のイソブタンや代替フロン等を燃料とする従来の単一液化ガスに窒素、ヘリウム等の不活性ガスを充填することでも、タンク内のガス圧が単一液化ガスの飽和蒸気圧以上に高められて、噴射中のキャビテーションを抑制することが可能となる。
具体的解決手段
具体的に、本発明は、互いに非可溶性である2種類以上の液体を分離して収容する、液体収容部と、2種類以上の液体が液体収容部の内部で気化することで発生した蒸気を噴射する、噴射口と、噴射口からの蒸気の噴射を制御する、噴射制御部とを備え、液体収容部内で蒸気を収容する空間内の圧力が、2種類以上の液体のいずれにおける飽和蒸気圧よりも高い状態から、蒸気の噴射を開始するよう構成された蒸気噴射システムを提供する。
上記構成により、従来よりも高いガス圧で蒸気噴射を開始することができるため、長時間の噴射が可能となる。互いに非可溶性である2種類以上の液体の一例としては、既に述べたとおり液化アンモニア又はアンモニア水と液化ブタンとを用いることができる。
上記本発明の蒸気噴射システムに、液体収容部を加熱するヒータを更に備えることができる。当該ヒータによって、噴射のインターバル中に液体を加熱して液体の温度を回復させたり、後述の図3に示すシステム構成において、蒸気を収容する空間と液体を収容する空間に温度差を設けたりすることができる。
上記本発明の蒸気噴射システムにおいて、液体収容部に、2種類以上の液体の各々を保持する2以上の液体保持部材を更に備えることができる。特許文献1〜3に記載されているとおり、液体収容部内に発泡金属や平板(液滴捕獲部材)等を設ければ、液体の自由運動を制限してスロッシング現象を防ぎ、噴射口から液体が噴射されることを防止できる。上記本発明の蒸気噴射システムにおいては2以上の液体を分離して収容するので、液体保持部材も各々の液体に対して設けられる。
また本発明は、1種類の液体と、液体とは組成が異なる少なくとも1種類の不活性ガスを収容する、流体収容部と、液体が流体収容部の内部で気化することで発生した蒸気及び少なくとも1種類の不活性ガスを噴射する、噴射口と、噴射口からの蒸気及び少なくとも1種類の不活性ガスの噴射を制御する、噴射制御部とを備え、流体収容部内で蒸気を収容する空間内の圧力が、液体の飽和蒸気圧よりも高い状態から、蒸気及び少なくとも1種類の不活性ガスの噴射を開始するよう構成された蒸気噴射システムを提供する。単一の液体を用いる場合であっても、流体収容部内に異種の不活性ガスを加えることで収容部内の圧力を高めれば、キャビテーションを抑制して長時間噴射することが可能となる。
さらに本発明は、上記本発明の蒸気噴射システムのいずれかを用いて、噴射口から蒸気を噴射することにより推力を得るよう構成された、推進器を提供する。本発明の蒸気噴射システムを推進器に用いれば、長時間にわたって安定した推力を発生させることが可能となる。
本発明によれば、互いに非可溶性である2種類以上の液体を容器に収容するか、あるいは1種類の液体と、液体とは組成が異なる少なくとも1種類の不活性ガスを容器に収容することで、容器内の圧力をいずれの液体の飽和蒸気圧よりも高めることができるため、キャビテーションの発生を抑制でき、抑制されている間は気体のみを連続的に噴射し続けることが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る蒸気噴射システム(推進器)のシステム・ダイアグラム図。 本発明の第2実施形態に係る蒸気噴射システム(推進器)のシステム・ダイアグラム図。 本発明の第3実施形態に係る蒸気噴射システム(推進器)のシステム・ダイアグラム図。 本発明の第4実施形態に係る蒸気噴射システム(スプレー)のシステム・ダイアグラム図。 本発明の第5実施形態に係る蒸気噴射システム(実験用)のシステム・ダイアグラム図。 比較例の蒸気噴射システムを用いて蒸気噴射実験を行った時の、容器内圧力の変化を表わすグラフ。 図5の蒸気噴射システムを用いて蒸気噴射実験を行った時の、容器内圧力の変化を表わすグラフ。 本発明の第6実施形態に係る蒸気噴射システム(実験用)のシステム・ダイアグラム図。 比較例の蒸気噴射システムを用いて蒸気噴射実験を行った時の、液体推薬の挙動を表わす写真(上から、ノズル径0.4mm,0.6mm,0.8mm)。 図8の蒸気噴射システムを用いて蒸気噴射実験を行った時の、液体推薬の挙動を表わす写真(上から、ノズル径0.6mm,0.8mm,1.0mm)。
これより図面を用いて、本発明に係る蒸気噴射システムの実施形態を説明する。ただし、本発明に係る蒸気噴射システムは、各図面、及び関連する説明により示される特定の具体的構成へと限定されるわけではなく、本発明の範囲内で適宜変更可能である。例えば、互いに非可溶性である液体を3種類以上用いて蒸気噴射システムを構成してもよいし(図1の構成においては、液体燃料貯蔵容器2A,2B,2C…と、液体燃料貯蔵容器を液体の種類の数だけ設け、図1の構成と同様に配管で合流させればよい。)、1種類の液体と不活性ガスとを用いて蒸気噴射システムを用いる場合に、不活性ガスを2種類以上用いてもよい。さらに、互いに非可溶性である液体を2種類以上用いる場合においても、液体燃料貯蔵容器に更に1種類以上の不活性ガスを注入して、本発明の蒸気噴射システムを構成することが可能である。
蒸気噴射システムの構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る、小型宇宙機用推進システムに利用可能な蒸気噴射システム1(推進器)のシステム・ダイアグラム例を示す。蒸気噴射システム1は、互いに非可溶性である液化ガスA,Bをそれぞれ収容する、アルミニウム、SUS(ステンレス鋼)等からなる液体燃料貯蔵容器2A,2Bと、液体燃料貯蔵容器2A,2Bに対して液化ガスA,Bの注液・排液を行うための注排弁5A,5Bと、不純物や液体状の燃料が通過することを防止するためのフィルタ6A,6Bと、フィルタ6A,6Bを通過した液化ガスA,Bの蒸気の、推薬弁7C側への移動を制御するためのラッチ式電磁弁7A,7Bと、液化ガスA,Bの蒸気の、噴射口8からの噴射を制御する電磁弁(推薬弁)7Cと、液化ガスA,Bの蒸気を噴射する噴射口8と、を備えている。液体燃料貯蔵容器2A,2Bの内壁には、例えば空隙率95%程度の銅製、SUS製等の発泡金属3A,3Bが、それぞれ接着剤を用いて取り付けられており、また液体燃料貯蔵容器2A,2Bの外壁には、それぞれヒータ4A,4Bが全周にわたって取り付けられている。図1中、各構成要素を結ぶ線分は配管を表わす。その他、蒸気噴射システム1には、配管内の圧力を検出する圧力センサ9や、推薬弁7Cを閉じた状態でヘリウムガス等を注入してリークがないか確認する地上試験等で用いるための注排弁5Cが設けられている。
蒸気噴射システムの動作
以下、蒸気噴射システム1の動作を説明する。ここで、各電磁弁(噴射制御部)の開閉やヒータ、各種センサ等の動作制御は、任意の制御回路(不図示)を介して遠隔操作等により行われることとし、各注排弁からの注液(注気)・排液(排気)は、典型的には操作者により行われることとするが、これらの制御・動作を行う具体的手段は実施態様に応じて適宜変更可能である(以降の実施例においても同様)。
蒸気噴射システム1の使用時においては、まず液体燃料貯蔵容器2A,2Bに対して、それぞれ異なる種類の液化ガスA,Bを注排弁5A,5Bから注入し、発泡金属3A,3B内の空隙部分に、表面張力によって液体状の液化ガスA,Bを保持する。液化ガスA,Bが液体燃料貯蔵容器2A,2B内で気化することで発生したそれぞれの蒸気が、配管を通って液体燃料貯蔵容器2A,2Bから放出され、フィルタ6A,6Bを通過した後、ラッチ式電磁弁7A,7Bを開くことにより、これら蒸気が配管中で合流する。このとき、液体燃料貯蔵容器2A,2B内で蒸気を収容している空間内の圧力は、液化ガスA,Bの飽和蒸気圧よりも高くなる。このガス圧は圧力センサ9によってモニタする。ラッチ式電磁弁7A,7Bを開いた状態で推進器の推薬弁7Cを開くと、合流した蒸気が噴射口8から外部へ噴射されて推力が発生する。噴射開始時点での上記圧力が液化ガスA,Bの飽和蒸気圧よりも高いため、キャビテーションを発生させることなく長時間噴射を継続することが可能となる。
以上、2種類の液化ガス(又は広義の液体であってもよい。)を用いて動作する、図1の蒸気噴射システム1について述べたが、1種類の液化ガス(又は広義の液体)と少なくとも1種類の不活性ガスを用いて動作する蒸気噴射システムとして、図1の蒸気噴射システム1を構成することも可能である。この場合、液体燃料貯蔵容器2A,2Bのうち一方には、液化ガスではなく少なくとも1種類の不活性ガス(高圧のGN2やGHe等)を充填する。不活性ガスを充填する貯蔵容器(不活性ガス貯蔵容器)には発泡金属を取り付ける必要はない。2種類の液化ガスを用いる場合と同様に、ラッチ式電磁弁7A,7Bを開くことにより、液化ガスの蒸気と不活性ガスとが配管内で合流し、蒸気を収容している空間内の圧力は液化ガスの飽和蒸気圧よりも高くなる。ラッチ式電磁弁7A,7Bを開いた状態で推進器の推薬弁7Cを開くと、合流した蒸気と不活性ガスが噴射口8から外部へ噴射されて推力が発生する。噴射開始時点での上記圧力が液化ガスの飽和蒸気圧よりも高いため、キャビテーションを発生させることなく長時間噴射を継続することが可能となる。噴射動作と噴射動作との間のインターバル中、ヒータ4A,4Bによって液化ガスA,Bを加熱することにより、これら液化ガスの温度を回復させる。
図1の蒸気噴射システム1においては、液化ガスA,Bを収容する液体燃料貯蔵容器2A、2B(又は、液体燃料貯蔵容器と不活性ガス貯蔵容器)を別個の容器としていたが、これらは隔壁を有する単一のタンク(流体貯蔵容器)で代替できる。単一の流体貯蔵容器を用いて構成した、本発明の第2実施形態に係る蒸気噴射システム1(推進器)のシステム・ダイアグラム例を図2に示す。
蒸気噴射システムの構成
蒸気噴射システム1は、互いに非可溶性である液化ガスA,Bか、又は液化ガスAと少なくとも1種類の不活性ガスを、隔壁10(アルミニウム、SUS等からなる)によって分離された空間にそれぞれ収容する流体貯蔵容器2と、流体貯蔵容器2に対して液化ガスや不活性ガスの注液(注気)・排液(排気)を行うための注排弁5A,5Bと、不純物や液体状の燃料が通過することを防止するためのフィルタ6と、フィルタを通過した液化ガスの蒸気、又は不活性ガスの、推薬弁7C側への移動を制御するためのラッチ式電磁弁7ABと、液化ガスの蒸気、及び不活性ガスの噴射口8からの噴射を制御する電磁弁(推薬弁)7Cと、液化ガスの蒸気、及び不活性ガスを噴射する噴射口8と、を備えている。流体貯蔵容器2中、隔壁10によって仕切られた空間それぞれの内壁には発泡金属3A,3Bが取り付けられており(不活性ガスを収容する空間の内壁には不要。)、また外壁には、ヒータ4が全周にわたって取り付けられている。図2中、各構成要素を結ぶ線分は配管を表わす。その他、図1の構成と同様に、蒸気噴射システム1には、配管内の圧力を検出する圧力センサ9や、地上試験等で用いるための注排弁5Cが設けられている。
蒸気噴射システムの動作
蒸気噴射システム1の使用時においては、まず流体貯蔵容器2の隔壁10で仕切られた空間に、それぞれ異なる種類の液化ガスA,Bか、又は液化ガスと1種類以上の不活性ガスを注排弁5A,5Bから注入し、液化ガスは発泡金属内の空隙部分に、不活性ガスは対応する空間内(液化ガスを収容する側の空間に流入して構わない。)に、それぞれ保持する。液化ガスA,Bの蒸気、又は液化ガスの蒸気と不活性ガスは流体貯蔵容器2内で合流し、配管を通って流体貯蔵容器2から放出される。流体貯蔵容器内2の蒸気を収容する空間の圧力は、液化ガスの飽和蒸気圧よりも高くなる。このガス圧は圧力センサ9によってモニタする。ラッチ式電磁弁7ABを開き、更に推進器の推薬弁7Cを開くと、流体貯蔵容器2から放出された蒸気、又は蒸気と不活性ガスが噴射口8から外部へ噴射されて推力が発生する。噴射開始時点での上記圧力が液化ガスの飽和蒸気圧よりも高いため、キャビテーションを発生させることなく長時間噴射を継続することが可能となる。噴射動作と噴射動作との間のインターバル中、ヒータ4によって液化ガスを加熱することにより、これら液化ガスの温度を回復させる。
その他の実施形態としては、特許文献3に記載されているように、網状体、発泡金属、平板を液体貯蔵容器内に設置してもよい。それらを用いて構成した、本発明の第3実施形態に係る蒸気噴射システム1(推進器)のシステム・ダイアグラム例を図3に示す。
蒸気噴射システムの構成
蒸気噴射システム1は、互いに非可溶性である液化ガスA,Bをそれぞれ収容する液体燃料貯蔵容器2A,2Bと、液体燃料貯蔵容器2A,2Bに対して液化ガスA,Bの注液・排液を行うための注排弁5A,5Bと、不純物や液体状の燃料が通過することを防止するためのフィルタ6A,6Bと、フィルタを通過した液化ガスA,Bの蒸気の、推薬弁7C側への移動を制御するためのラッチ式電磁弁7A,7Bと、液化ガスA,Bの蒸気の、噴射口8からの噴射を制御する電磁弁(推薬弁)7Cと、液化ガスA,Bの蒸気を噴射する噴射口8と、を備えている。
図1の構成とは異なり、液体燃料貯蔵容器2A,2Bの内壁には、SUS等からなる網状体11A,11Bがそれぞれ接着剤を用いて取り付けられている。これら網状体11A,11Bの網目に、液化ガスA,Bの表面張力による液膜が形成されることにより、液体燃料貯蔵容器2A,2Bの内部空間が、蒸気を収容する空間(図3中、網状体11A,11Bの上側)と液体を収容する空間(図3中、網状体11A,11Bの下側)とに分離される(特許文献3の図1,段落[0032]参照)。また液体燃料貯蔵容器2A,2Bの内壁には、空隙内に液体の液化ガスA,Bをそれぞれ保持する発泡金属3A,3Bが、網状体11A,11Bに隣接して取り付けられている。なお、液体を収容する空間を発泡金属3A,3Bで完全に占有してもよいが、本実施形態においては網状体11A,11Bによって気液分離が図られているため、図3に示すとおり液体を収容する空間の一部のみに発泡金属3A,3Bを配置し、残りの空間を液体の液化ガス13A,13Bで占めるよう構成してもよい。
さらに、液体燃料貯蔵容器2A,2Bの外壁には、それぞれヒータ4A−1と4A−2、及び4B−1と4B−2が取り付けられている。ヒータ4A−1,4B−1の加熱により、液体燃料貯蔵容器2A,2Bの内部空間の温度は、蒸気を収容する空間の温度が液体を収容する空間の温度よりも高くなるように制御される。これにより、蒸気を収容する空間と液体を収容する空間との逆転が防止される(特許文献3中、段落[0014]参照)。またヒータ4A−2,4B−2による、噴射のインターバル中の加熱により、既に述べたとおり各液化ガスの温度が回復する。なお、図示していないが、液体燃料貯蔵容器2A,2Bから噴射口8に至る配管にも適宜ヒータを備えて、配管内の温度を液体燃料貯蔵容器2A,2Bの温度よりも高く保ち、蒸気が液体に戻ることを防止することが好ましい(他の実施形態においても同様)。これにより、液体燃料貯蔵容器2A,2Bの液体を収容する空間から蒸気を収容する空間、そして容器外部の配管に向かって上昇する温度勾配が実現されている。また、液体燃料貯蔵容器2A,2Bの内壁には、SUS等からなる複数の平板12A,12Bが接着剤によって取り付けられており、蒸気噴射システム1の動作中、液体燃料貯蔵容器2A,2Bをそれぞれ回転軸AX−A,AX−Bの周りに(図示しない任意の駆動回路等を用いて)回転させることにより浮遊する液滴を平板12A,12Bで捕獲することができる(特許文献3中、段落[0043]参照)。
蒸気噴射システムの動作
蒸気噴射システム1の使用時においては、まず液体燃料貯蔵容器2A,2Bに対して、それぞれ異なる種類の液化ガスA,Bを注排弁5A,5Bから注入し、発泡金属3A,3B内の空隙部分に液体状の液化ガスA,Bを保持するとともに、網状体11A,11Bの網目に液膜を形成させる。液化ガスA,Bが液体燃料貯蔵容器2A,2B内で気化することで発生したそれぞれの蒸気が配管を通って液体燃料貯蔵容器2A,2Bから放出され、フィルタ6A,6Bを通過した後、ラッチ式電磁弁7A,7Bを開くことにより、これら蒸気が配管中で合流する。このとき、液体燃料貯蔵容器2A,2B内で蒸気を収容している空間内の圧力は、液化ガスA,Bの飽和蒸気圧よりも高くなる。このガス圧は圧力センサ9によってモニタする。ラッチ式電磁弁7A,7Bを開いた状態で推進器の推薬弁7Cを開くと、合流した蒸気が噴射口8から外部へ噴射されて推力が発生する。噴射開始時点での上記圧力が液化ガスA,Bの飽和蒸気圧よりも高いため、キャビテーションを発生させることなく長時間噴射を継続することが可能となる。
以上、2種類の液化ガスを用いて動作する、図3の蒸気噴射システム1について述べたが、この蒸気噴射システム1は、1種類の液化ガスと少なくとも1種類の不活性ガスを用いて動作する態様においても、液体貯蔵容器2A,2Bのうち不活性ガスを収容する方の容器(気体貯蔵容器)に網状体、発泡金属、平板、ヒータを設けなくてよいこと以外は同様の構成によって同様に動作可能である。
本発明の蒸気噴射システムは、推進器以外にも利用可能である。一例として、蒸気噴射スプレーとして構成される、本発明の第4実施形態に係る蒸気噴射システム1のシステム・ダイアグラム例を図4に示す。
蒸気噴射システムの構成
蒸気噴射システム1は、アルミニウム製の隔壁10が設けられた、互いに非可溶性である液化ガスA,Bをそれぞれ収容する液体貯蔵容器2(アルミ缶等)と、不純物や液体状の液化ガスが通過することを防止するためのフィルタ6と、液化ガスA,Bの蒸気の、噴射口8からの噴射を制御するノズル制御部7と、液化ガスA,Bの蒸気を噴射する噴射口8と、を備えている。隔壁10によって分離された空間に、それぞれ液体の液化ガスA,B(13A,13B)が収容される。
蒸気噴射システムの動作
蒸気噴射システム1の使用時においては、まず液体貯蔵容器2の隔壁10によって分離された空間に、それぞれ異なる種類の液化ガスA,Bが予め(スプレーの製造時に)注入されているものとする。このとき、液体貯蔵容器2内で蒸気を収容している空間内の圧力は、液化ガスA,Bの飽和蒸気圧よりも高くなる。液化ガスA,Bが液体貯蔵容器2内で気化することで発生したそれぞれの蒸気が配管を通って液体貯蔵容器2から放出され、フィルタ6を通過した後、ノズル(エアーノズル)制御部7の操作により、噴射口8から噴射される。噴射開始時点での上記圧力が液化ガスA,Bの飽和蒸気圧よりも高いため、キャビテーションを発生させることなく長時間噴射を継続することが可能となる。
以上、2種類の液化ガスを用いて動作する、図4の蒸気噴射システム1について述べたが、この蒸気噴射システム1は、1種類の液化ガスと少なくとも1種類の不活性ガスを用いて動作する態様においても動作可能である。具体的には、液体(流体)貯蔵容器2内に予め液化ガスと少なくとも1種類の不活性ガスを封入しておけば(隔壁10は不要)、液体貯蔵容器2内で蒸気を収容している空間内の圧力は、液化ガスの飽和蒸気圧よりも高くなるため、キャビテーションを発生させることなく長時間噴射を継続することが可能である。
本発明の第5実施形態として、図5に示す構成の蒸気噴射システム1を作製し、噴射実験を行った。
図5の蒸気噴射システム1においては、0.1Lの液体燃料貯蔵容器2A(アクリル製)が、1.0Lの液体燃料貯蔵容器2B(アクリル製)の内部に、スペーサ15(アルミニウム製)を介して接続されている。液体燃料貯蔵容器2Aには28%(質量パーセント濃度)アンモニア水13Aが、液体燃料貯蔵容器2Bには液化ブタン13Bが充填されている(初めに、液体燃料貯蔵容器2Aにアンモニア水13Aを充填し、液体燃料貯蔵容器2Bに収容した後、液化ブタン13Bを液体燃料貯蔵容器2Bの底部に接続された注排弁5Bから充填する。それぞれの容器にはニッケル製の発泡金属3A,3Bを入れた。注排弁5Cはリークの確認等、地上試験用である。)。アンモニア水と液化ブタンの混合蒸気圧のモニタは、液体燃料貯蔵容器2Bに接続された温度センサ14と圧力センサ9で行う。外部へのガス噴射は、噴射口(ノズル)8の直前に接続された電磁弁7Cを開くことで行う。蒸気噴射システムの性能を,次のような観点から評価した:
(1)液体燃料貯蔵容器2Bに接続された温度センサ14と圧力センサ9から計測した、アンモニア水と液化ブタンの混合蒸気の圧力
(2)高速度カメラ(撮影速度:120fps)の画像より確認されたキャビテーション発生時の圧力センサ9の計測値(液体燃料貯蔵容器2A,2Bの素材にはアクリル樹脂製を用いているため、容器内に収容された液体燃料内部からのキャビテーション発生の有無を撮影できた。)
(比較例による実験)
初めに、図5の構成において液体燃料貯蔵容器2Aにはアンモニア水を充填せず、液体燃料貯蔵容器2Bに液化ブタンを充填して蒸気噴射を実施した。蒸気噴射は、0.4mm,0.6mm,0.8mmの3種類のノズルスロート径でそれぞれ実施し、各スロート径においてキャビテーション発生時の容器内圧力を計測した。蒸気噴射実験時の、液体燃料貯蔵容器2B内の圧力の変化を図6に示す。図6中、実線はノズルスロート径0.4mm(No.1−1)に、破線は0.6mm(No.1−2)に、一点鎖線は0.8mm(No.1−3)に、それぞれ対応する。また、各ノズルスロート径による実験時の、液体燃料貯蔵容器2B内の初期(噴射による減圧前の)温度、初期圧力、キャビテーション(気泡)発生時の液体燃料貯蔵容器2B内の圧力、初期温度におけるブタン蒸気圧、及び蒸気噴射開始からキャビテーション発生時までの噴射時間を、以下の表1に示す。
ここで、「ブタン蒸気圧」は初期温度から以下のアントワン式(1)を用いて計算した圧力Pである(Tは絶対温度)。

(1)
実験の結果、ブタン単体、つまり従来の単一液化ガスの蒸気噴射システムでは、液体燃料貯蔵容器2Bの初期圧力は液化ブタンの飽和蒸気圧であり、ノズルスロート径、つまり減圧速度に依らず蒸気噴射直後にキャビテーションが発生していることが確認された。
(本発明のシステムによる実験)
次に液体燃料貯蔵容器2Aにアンモニア水を、液体燃料貯蔵容器2Bに液化ブタンを収容した後、0.4mm,0.6mm,0.8mmの3種のノズルスロート径について蒸気噴射を実施した。蒸気噴射実験時の、液体燃料貯蔵容器2B内の圧力の変化を図7に示す。図7中、実線はノズルスロート径0.4mm(No.2−1)に、破線は0.6mm(No.2−2)に、一点鎖線は0.8mm(No.2−3)に、それぞれ対応する。また、各ノズルスロート径による実験時の、液体燃料貯蔵容器2B内の初期温度、初期圧力、キャビテーション発生時の液体燃料貯蔵容器2B内の圧力、初期温度におけるブタン蒸気圧、及び蒸気噴射開始からキャビテーション発生時までの噴射時間は、上記表1に示されている。
実験の結果、上記噴射前の容器内圧力は、液化ブタンの飽和蒸気圧より約30〜40kPa程度高くなった。蒸気噴射後は,減圧速度によらず,温度センサ14から計算したブタン単体の飽和蒸気圧を下回った後に、キャビテーションが液体燃料貯蔵容器2Bの底部から発生していることが確認できた。したがって、ブタン単体の蒸気噴射の場合と比較して、アンモニア水の蒸気圧分、キャビテーションの発生を遅らせることが可能なことが確認された。
本発明の第6実施形態として、図8に示す構成の実験用蒸気噴射システム1を作製した。キャビテーションを抑制することで,長秒時噴射性能が向上することを確認するために、落下塔を利用した微小重力実験を行った。本実験では、1液式と、1液+1気式の推進系について同じ環境下で噴射試験を行い、気液分離性能の比較を行った。本実験は北海道赤平市にある50mの落下塔で行った。重力レベルは10-3G、落下時間は約2.5secである。
(実験装置)
0.3Lポリカーボネイト製の流体貯蔵容器2に発泡金属3(ERG社Duocel 40PPI6))を施工し、液体のHFC134aを発泡金属3と同じ高さまで充填した。噴射時の流体貯蔵容器2内の液体推薬の挙動は4つの圧力センサ9A〜9Dと1つの温度センサ14、高速度カメラ16(撮影速度:120fps)で記録した。圧力センサは、HFC134aの蒸気が収容されるアレッジ部(PG)、液体部(PL1,PL2)と噴射口8のノズルチャンバ部(PC)をそれぞれ計測している。温度センサはアレッジ(ガス)の温度を計測している。また、ノズルスロート径を変えることで流量を調整した。
(実験項目)
ノズルスロート径を変化させHFC134a単体で噴射する場合(1液式に相当)と、HFC134aにArを加えた場合(1液+1気式に相当)での液体推薬の挙動の違いを観察した。マイコン(不図示)によって電磁弁7Cを制御することにより、カプセル落下0.2秒後から1.8秒後の1.6秒間噴射した。
(実験結果)実験結果を、以下の表2に示す。
表2の「判定」は、高速度カメラ16で撮影した画像から、噴射時に液体推薬が発泡金属に保持され続けている場合は「○」、保持されていない、すなわち気液界面の上昇が確認された場合は「×」としている。
HFC134a単体の場合(No.1−1〜1−3)、φ(ノズル径)0.4mm,0.6mmにおける噴射では液体推薬は発泡金属内に保持されたが、φ0.8mmでは保持されなかった。図9にHFC134a単体での噴射試験時(落下開始2.0秒後)の液体推薬の写真を示す(上から、ノズル径0.4mm,0.6mm,0.8mm)。図9から、φ0.8mmの試験ケースでは液体推薬が発泡金属から流出している様子が確認できる。また、圧力センサ9A〜9Dで計測した圧力履歴によれば、液体推薬が発泡金属に保持されたケースの圧力履歴については、噴射中は単調に減少しているが、液体推薬が流出したNo.1−3のケースでは、噴射後半は圧力が回復していた。これは蒸発による気化にキャビテーションによる気化が加わったため、圧力が上昇したと考えられる。
一方,HFC134aにArを加えた場合はφ0.6mm,0.8mmでは液体推薬は発泡金属によって保持されたが、φ1.0mmでは液体推薬の流出が確認された。各試験ケースの落下開始2.0秒後の流体貯蔵容器2内の写真を図10に示す(上から、ノズル径0.6mm,0.8mm,1.0mm)。圧力センサ9A〜9Dで計測した圧力履歴によれば、No.2−2とNo.2−3では、噴射後半においてアレッジ圧(PG)がHFC134aの分圧(温度センサで計測した噴射前の温度値からアントワン式を用いて算出した。液中から気泡が生じはじめる圧力に相当する。)を下回っていることがわかった。高速度カメラ16の画像(図10)からも、ノズル径φ0.8mmと1.0mmの時には気泡が生じている様子が確認された。しかし、流量が小さいφ0.8mmのケースでは気液界面が上昇するまでには至らなかった。一方φ1.0mmにおいては,HFC134a内でキャビテーションに伴う気泡によって気液界面が上昇したと考えられる。
以上の試験結果から,同じ流量(ノズルスロート径)に対しては、Arガスを加圧した試験ケースの方が発泡金属からの液体推薬流出を抑えられることがわかった。したがって、キャビテーションを抑制することが、連続噴射性能を向上させるために有効であることが確かめられた。
本発明の蒸気噴射システムは、小型惑星推進システム用の推進器、スプレーを初めとして、安定的に蒸気噴射をするための任意の装置、方法、システム等に利用可能である。
1 蒸気噴射システム(推進器、スプレー)
2 液体(流体)貯蔵容器
2A,2B 液体燃料(不活性ガス)貯蔵容器
3,3A,3B 発泡金属
4,4A(−1,2),4B(−1,2) ヒータ
5,5A、5B,5C 注排弁
6,6A,6B フィルタ
7,7A,7B,7AB,7C 電磁弁、ノズル制御部
8 噴射口
9,9A,9B,9C,9D 圧力センサ
10 隔壁
11A,11B 網状体
12A,12B 平板
13A,13B 液体
14 温度センサ
15 スペーサ
16 高速度カメラ

Claims (8)

  1. 2以上の貯蔵容器であって、各貯蔵容器が、互いに非可溶性である2種類以上の液体のうちの1つを分離して収容する、該2以上の貯蔵容器と、
    前記互いに非可溶性である2種類以上の液体のうちの1つ、対応する前記貯蔵容器の内部で気化することで発生した各々の蒸気が、該それぞれの貯蔵容器に接続された蒸気通路において合流する時に生成される合流蒸気を噴射する、噴射口と、
    前記噴射口からの前記合流蒸気の噴射を制御する、噴射制御部と
    を備え、
    前記蒸気通路においてそれぞれの前記蒸気が合流する状態から、前記噴射制御部の制御により前記合流蒸気の前記噴射口からの噴射を開始することにより、該蒸気通路に接続された前記貯蔵容器のうちの1つの中で蒸気を収容する空間内の圧力が前記互いに非可溶性である2種類以上の液体のいずれにおける飽和蒸気圧よりも高い状態から前記合流蒸気の噴射を開始するよう構成された
    ことを特徴とする蒸気噴射システム。
  2. 前記2以上の貯蔵容器のうち1つは液化アンモニア又はアンモニア水を収容し、該2以上の貯蔵容器のうち別の1つは液化ブタンを収容する、請求項1に記載の蒸気噴射システム。
  3. 前記貯蔵容器を加熱するヒータを更に備えた、請求項1又は2に記載の蒸気噴射システム。
  4. 前記2以上の貯蔵容器の各々が、前記互いに非可溶性である2種類以上の液体のうち1つを保持する液体保持部材を更に備えた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸気噴射システム。
  5. 2以上の貯蔵容器であって、1つの貯蔵容器が1種類の液体を収容し1つの貯蔵容器が該液体とは組成が異なる少なくとも1種類の不活性ガスを収容する、2以上の貯蔵容器と、
    前記液体が対応する貯蔵容器の内部で気化することで発生した蒸気及び前記少なくとも1種類の不活性ガスが、各々の貯蔵容器に接続された蒸気/ガス通路において合流する時に生成される合流蒸気/ガスを噴射する、噴射口と、
    前記噴射口からの、前記合流蒸気/ガスの噴射を制御する、噴射制御部と
    を備え、
    前記蒸気/ガス通路において前記蒸気及び前記少なくとも1種類の不活性ガスが合流する状態から、前記噴射制御部の制御により前記合流蒸気/ガスの前記噴射口からの噴射を開始することにより、該蒸気/ガス通路に接続された前記貯蔵容器のうちの1つの中で前記蒸気又は前記少なくとも1種類の不活性ガスを収容する空間内の圧力が、前記液体の飽和蒸気圧よりも高い状態から、前記合流蒸気/ガスの噴射を開始するよう構成され
    噴射される前記合流蒸気/ガスの主成分は、前記蒸気である
    ことを特徴とする蒸気噴射システム。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の蒸気噴射システムを用いて、前記噴射口から前記合流蒸気又は前記合流蒸気/ガスを噴射することにより推力を得るよう構成された、推進器。
  7. 互いに非可溶性である2種類以上の液体を分離して収容する単一の貯蔵容器と、
    前記互いに非可溶性である2種類以上の液体が前記貯蔵容器の内部で気化することで発生した蒸気が該貯蔵容器内で合流した合流蒸気を噴射する、噴射口と、
    前記噴射口からの前記合流蒸気の噴射を制御する、噴射制御部と
    を備え、
    前記貯蔵容器内においてそれぞれの前記蒸気が合流する状態から、前記噴射制御部の制御により前記合流蒸気の前記噴射口からの噴射を開始することにより、前記貯蔵容器内で前記蒸気を収容する空間内の圧力が、前記互いに非可溶性である2種類以上の液体のいずれにおける飽和蒸気圧よりも高い状態から、前記合流蒸気の噴射を開始するよう構成された
    ことを特徴とする蒸気噴射システム。
  8. 1種類の液体と、該液体とは組成が異なる少なくとも1種類の不活性ガスを収容する単一の貯蔵容器と、
    前記液体が前記貯蔵容器の内部で気化することで発生した蒸気及び前記少なくとも1種類の不活性ガスが該貯蔵容器内で合流した合流蒸気/ガスを噴射する、噴射口と、
    前記噴射口からの前記合流蒸気/ガスの噴射を制御する、噴射制御部と
    を備え、
    前記貯蔵容器内において前記蒸気及び前記少なくとも1種類の不活性ガスが合流する状態から、前記噴射制御部の制御により前記合流蒸気/ガスの前記噴射口からの噴射を開始することにより、前記貯蔵容器内で前記蒸気を収容する空間内の圧力が、前記液体の飽和蒸気圧よりも高い状態から、前記合流蒸気/ガスの噴射を開始するよう構成され
    噴射される前記合流蒸気/ガスの主成分は、前記蒸気である
    ことを特徴とする蒸気噴射システム。
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