JP6504160B2 - 生体物質定量方法、画像処理装置、病理診断支援システム及び画像処理プログラム - Google Patents

生体物質定量方法、画像処理装置、病理診断支援システム及び画像処理プログラム Download PDF

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Description

本発明は、生体物質定量方法、画像処理装置、病理診断支援システム及び画像処理プログラムに関する。
近年、抗体医薬を中心とした分子標的薬治療の広がりに伴い、分子標的薬をより効果的に設計するため、観察対象細胞上の生体物質の定量が求められている。生体物質の存在を確認する方法として、特定の生体物質に結合可能な蛍光物質を用いた組織染色に基づく、組織分析方法が知られている。
例えば、特許文献1では、生体物質を有機蛍光色素、量子ドット等の蛍光物質で染色し、三次元画像解析装置を用いて計測する方法が記載されている。
特許文献1に記載の方法によれば、蛍光画像を三次元に再構築して解析することにより、二次元では重なって見える複数個の蛍光シグナルを、一つ一つ分離して数えることができる。
特許文献1に記載の方法では、蛍光色素を用いた一般的な蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法により染色される遺伝子は、一細胞当たりの発現数が比較的少ないため、撮影条件を適宜調整することによって蛍光色素による蛍光シグナルがドット状に観察され、数を数えることができる(特許文献1の図1(B)、(C))。しかし、一細胞当たりの発現数が多いタンパク質を免疫組織化学法(IHC)により蛍光色素標識した場合は、蛍光シグナルはドット状に観察されにくく、細胞全体が光って見える(特許文献1の図1(D))。そのため、タンパク質の定量は蛍光輝度の計測によって行うこととなり、発現数の正確な定量や、撮影条件が異なる画像間での比較が困難であるという問題がある。
また、特許文献1の実施例においては、画像の取得は共焦点顕微鏡を用いて行っている。発明者らが、有機蛍光色素又は量子ドットを用いてFISH法又はIHC法により染色した組織標本を通常の蛍光顕微鏡(BZ−9000、キーエンス社製)で撮像したところ、いずれの場合も、得られた蛍光画像では細胞全体が蛍光を発しており、蛍光シグナルをドット状に観察することは困難であった。つまり、1分子当たりの輝度値が小さい蛍光色素又は量子ドットの微小な蛍光シグナルをドット状に撮像するためには、FISH法により遺伝子を染色された標本であっても、背景ノイズが少なくコントラストの高い画像が得られる共焦点顕微鏡の使用が必要であった。
しかし、共焦点顕微鏡は、一般的に励起光としてレーザー光を用いる必要があることから、使用できる波長が限られ、また、撮像の手間がかかって簡便性が低いことが知られる。
一方、特許文献2では、生体物質認識部位が結合された蛍光色素集積粒子を用いて組織切片を染色し、蛍光発光輝点の輝度分布を解析することで、一粒子当たりの平均輝度値を求め、各輝点内の粒子数を算出する方法が提案されている。
特許文献2に記載の方法によれば、蛍光色素集積粒子は一粒子当たりの輝度が高いため、蛍光染色された生体物質がタンパク質の場合でも、蛍光シグナルをドット状に観察し、粒子数を算出することができる。
特開2012−103077号公報 国際公開第2012/029342号
しかし、特許文献2に記載の手法においても、蛍光色素集積粒子の粒径のばらつきの程度や、蛍光染色された生体物質の発現量によっては、蛍光色素集積粒子のクラスタを一つの輝点と換算して粒子数を低く見積もったり、計測された輝度分布から一粒子当りの平均輝度値を読み取る際に誤差が生じやすく、正確な粒子数を算出できない場合があるという問題があった。
また、特許文献2においても、実施例では共焦点顕微鏡を用いて画像を取得しており、通常の蛍光顕微鏡を用いた場合には、焦点が大きくずれた蛍光色素集積粒子のシグナルは背景ノイズに埋もれて識別し難いこと等の影響により、上述したような誤差はさらに大きくなり得る。
本発明の主な目的は、簡易な顕微鏡を用いて、標本内の特定の生体物質の量を正確に定量する生体物質定量方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様によれば、
蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を染色試薬として用いて特定の生体物質が染色された標本から、前記生体物質を定量する生体物質定量方法において、
焦点深度を所定の間隔で連続的に変え、各焦点深度において、前記標本における前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像を入力する入力工程と、
各焦点深度における前記蛍光画像から、輝点領域が抽出された輝点画像を生成し、当該輝点画像ごとに輝度プロファイルを作成するプロファイル作成工程と、
基準プロファイルとして予め計測された蛍光粒子の輝度プロファイルを作成し、各焦点深度における輝点画像の輝度プロファイルを、前記基準プロファイルに基づいて前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の位置を特定して解析することにより、前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の数を算出する算出工程と、
各焦点深度における前記輝点画像の中から、算出された蛍光粒子の位置に最も近い位置の輝点画像を抽出する抽出工程と、
前記抽出された輝点画像を合成して一枚の画像に再構成した再構成画像を生成する生成工程と、
を有することを特徴とする生体物質定量方法が提供される。
本発明の第2の態様によれば、請求項1に記載の生体物質定量方法において、
前記基準プロファイルは、蛍光輝点源となる蛍光粒子からの相対距離と輝度の情報を備えることを特徴とする生体物質定量方法が提供される。
本発明の第の態様によれば、請求項1又は2に記載の生体物質定量方法において、
前記蛍光粒子の平均粒径が20〜200nmであることを特徴とする生体物質定量方法が提供される。
本発明の第の態様によれば、請求項1〜の何れか一項に記載の生体物質定量方法において、
前記蛍光粒子の粒径の変動係数が15%以下であることを特徴とする生体物質定量方法が提供される。
本発明の第の態様によれば、請求項1〜の何れか一項に記載の生体物質定量方法において、
前記生体物質がタンパク質であることを特徴とする生体物質定量方法が提供される。
本発明の第の態様によれば、
蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を染色試薬として用いて特定の生体物質が染色された標本から、前記生体物質を定量する生体物質定量方法において、
焦点深度を所定の間隔で連続的に変え、各焦点深度において、前記標本における前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像を入力する入力手段と、
各焦点深度における前記蛍光画像から、輝点領域が抽出された輝点画像を生成し、当該輝点画像ごとに輝度プロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
基準プロファイルとして予め計測された蛍光粒子の輝度プロファイルを作成し、各焦点深度における輝点画像の輝度プロファイルを、前記基準プロファイルに基づいて前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の位置を特定して解析することにより、前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の数を算出する算出手段と、
各焦点深度における前記輝点画像の中から、算出された蛍光粒子の位置に最も近い位置の輝点画像を抽出する抽出手段と、
前記抽出された輝点画像を合成して一枚の画像に再構成した再構成画像を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置が提供される。
本発明の第の態様によれば、
請求項に記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置で使用される前記蛍光画像を取得する画像取得装置と、
を備えることを特徴とする病理診断支援システムが提供される。
本発明の第の態様によれば、
蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を染色試薬として用いて特定の生体物質が染色された標本から、前記生体物質を定量するコンピュータを、
焦点深度を所定の間隔で連続的に変え、各焦点深度において、前記標本における前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像を入力する入力手段、
各焦点深度における前記蛍光画像から、輝点領域が抽出された輝点画像を生成し、当該輝点画像ごとに輝度プロファイルを作成するプロファイル作成手段、
基準プロファイルとして予め計測された蛍光粒子の輝度プロファイルを作成し、各焦点深度における輝点画像の輝度プロファイルを、前記基準プロファイルに基づいて前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の位置を特定して解析することにより、前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の数を算出する算出手段、
各焦点深度における前記輝点画像の中から、算出された蛍光粒子の位置に最も近い位置の輝点画像を抽出する抽出手段、
前記抽出された輝点画像を合成して一枚の画像に再構成した再構成画像を生成する生成手段、
として機能させるための画像処理プログラムが提供される。
本発明によれば、蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を用いて染色した標本を、複数の焦点深度で得られた画像を蛍光輝度のプロファイルを用いて解析することにより、簡易な顕微鏡を用いて、観察対象細胞内の特定の生体物質の量を正確に定量することができる。
病理診断支援システムのシステム構成を示す図である。 図1の画像処理装置の機能的構成を示すブロック図である。 明視野画像の一例を示す図である。 蛍光画像の一例を示す図である。 図2の制御部により実行される画像解析処理を示すフローチャートである。 図5のステップS2の処理の詳細を示すフローチャートである。 明視野画像を示す図である。 細胞が抽出された画像を示す図である。 図5のステップS4の処理の詳細を示すフローチャートである。 蛍光画像を示す図である。 輝点領域が抽出された画像を示す図である。 輝点領域が抽出された画像の一例を示す図である。 図10Aの□で囲まれた1つの輝点領域の拡大図である。 図10Bの輝点領域に対応する部位の蛍光画像である。 図10Cの画像を図10Bでマスクすることにより生成された第2の蛍光画像である。 図10Dの第2の蛍光画像の輝度分布を二次元座標上に示す輝度プロファイルの一例である。 図10Dの第2の蛍光画像の輝度分布を三次元座標上に示す輝度プロファイルの一例である。 焦点深度が蛍光粒子の下方である蛍光画像に基づく基準プロファイルの一例である。 蛍光粒子に焦点が合っている蛍光画像に基づく基準プロファイルの一例である。 焦点深度が蛍光粒子の上方である蛍光画像に基づく基準プロファイルの一例である。 蛍光画像及び蛍光画像の輝度プロファイルを示す模式図である。 図12Aの焦点深度を変えて撮影された蛍光画像及び蛍光画像の輝度プロファイルを示す模式図である。 図12Bの焦点深度を変えて撮影された蛍光画像及び蛍光画像の輝度プロファイルを示す模式図である。 再構成された蛍光画像及び再構成された蛍光画像の輝度プロファイルを示す模式図である。
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<病理診断支援システム100の構成>
図1に、本発明の生体物質定量方法を用いた病理診断支援システム100の全体構成例を示す。病理診断支援システム100は、所定の染色試薬で染色された人体の組織標本の顕微鏡画像を取得し、取得された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織標本における特定の生体物質の発現を定量的に表す特徴量を出力するシステムである。
図1に示すように、病理診断支援システム100は、顕微鏡画像取得装置1Aと、画像処理装置2Aとがケーブル3A等のインターフェースを介してデータ送受信可能に接続されて構成されている。なお、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2Aとの接続方式は特に限定されない。例えば、顕微鏡画像取得装置1Aと画像処理装置2AはLAN(Local Area Network)により接続されることとしてもよいし、無線により接続される構成としてもよい。
顕微鏡画像取得装置1Aは、公知のカメラ付き光学顕微鏡であり、スライド固定ステージ上に載置されたスライド上の組織標本の顕微鏡画像を取得し、画像処理装置2Aに送信するものである。
顕微鏡画像取得装置1Aは、照射手段、結像手段、撮像手段、及び通信I/F等を備えて構成されている。照射手段は、光源及びフィルター等により構成され、スライド固定ステージに載置されたスライド上の組織標本に光を照射する。結像手段は、接眼レンズ、対物レンズ等により構成され、照射した光によりスライド上の組織標本から発せられる透過光、反射光、又は蛍光を結像する。撮像手段は、CCD(Charge Coupled Device)センサー等を備え、結像手段により結像面に結像される像を撮像して顕微鏡画像のデジタル画像データを生成する顕微鏡設置カメラである。通信I/Fは、生成された顕微鏡画像の画像データを画像処理装置2Aに送信する。本実施の形態において、顕微鏡画像取得装置1Aは、明視野観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた明視野ユニット、蛍光観察に適した照射手段及び結像手段を組み合わせた蛍光ユニットが備えられており、ユニットを切り替えることにより明視野/蛍光を切り替えることが可能である。蛍光観察時の光源としては、水銀ランプ、キセノンランプ、LED、又はレーザー光など、任意のものが使用できる。
なお、顕微鏡画像取得装置1Aとしては、カメラ付き顕微鏡に限定されず、例えば、顕微鏡のスライド固定ステージ上のスライドをスキャンして組織標本全体の顕微鏡画像を取得するバーチャル顕微鏡スライド作成装置(例えば、特表2002−514319号公報参照)等を用いてもよい。バーチャル顕微鏡スライド作成装置によれば、スライド上の組織標本全体像を表示部で一度に閲覧可能な画像データを取得することができる。
画像処理装置2Aは、顕微鏡画像取得装置1Aから送信された顕微鏡画像を解析することにより、観察対象の組織標本における特定の生体物質の発現分布を算出する。
図2に、画像処理装置2Aの機能構成例を示す。図2に示すように、画像処理装置2Aは、制御部21、操作部22、表示部23、通信I/F24、及び記憶部25等を備えて構成され、各部はバス26を介して接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成され、記憶部25に記憶されている各種プログラムとの協働により各種処理を実行し、画像処理装置2Aの動作を統括的に制御する。例えば、制御部21は、記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により画像解析処理(図5参照)を実行し、プロファイル作成工程、算出工程、抽出工程、及び生成工程を実行するための手段としての機能を実現する。
操作部22は、文字入力キー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードで押下操作されたキーの押下信号とマウスによる操作信号とを、入力信号として制御部21に出力する。
表示部23は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等のモニタを備えて構成されており、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。本実施の形態において、表示部23は、画像解析結果を出力するための出力手段として機能する。
通信I/F24は、顕微鏡画像取得装置1Aをはじめとする外部機器との間でデータ送受信を行なうためのインターフェースである。通信I/F24は、明視野画像と蛍光画像の入力工程を実行するための手段として機能する。
記憶部25は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリー等で構成されている。記憶部25には、前述のように各種プログラムや各種データ等が記憶されている。
その他、画像処理装置2Aは、LANアダプターやルーター等を備え、LAN等の通信ネットワークを介して外部機器と接続される構成としてもよい。
本実施の形態における画像処理装置2Aは、顕微鏡画像取得装置1Aから送信された明視野画像及び蛍光画像を用いて解析を行うことが好ましい。
明視野画像は、H(ヘマトキシリン)染色試薬、HE(ヘマトキシリン−エオジン)染色試薬を用いて染色された組織標本を、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて明視野で拡大結像及び撮影することにより得られる顕微鏡画像であって、当該組織標本における細胞の形態を表す細胞形態画像である。ヘマトキシリンは青紫色の色素であり、細胞核、骨組織、軟骨組織の一部、漿液成分など(好塩基性の組織等)を染色する。エオジンは赤〜ピンク色の色素であり、細胞質、軟部組織の結合組織、赤血球、線維素、内分泌顆粒など(好酸性の組織等)を染色する。図3に、HE染色を行った組織標本を撮影した明視野画像の一例を示す。
蛍光画像は、特定の生体物質と特異的に結合及び/又は反応する生体物質認識部位が結合した蛍光物質を内包したナノ粒子(以下、蛍光物質内包ナノ粒子又は蛍光粒子と呼ぶ)を含む染色試薬を用いて染色された組織標本に対し、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて所定波長の励起光を照射して蛍光物質内包ナノ粒子を発光(蛍光)させ、この蛍光を拡大結像及び撮影することにより得られる顕微鏡画像である。即ち、蛍光画像に現れる蛍光は、組織標本における、生体物質認識部位に対応する特定の生体物質の発現を示すものである。図4に、蛍光画像の一例を示す。
<蛍光画像の取得>
ここで、蛍光画像の取得方法について、この蛍光画像の取得に際して用いられる染色試薬(蛍光物質内包ナノ粒子)、及び染色試薬による組織標本の染色方法等も含めて詳細に説明する。
〔蛍光物質〕
蛍光画像の取得のための染色試薬に用いられる蛍光物質としては、蛍光有機色素及び量子ドット(半導体粒子)を挙げることができる。200〜700nmの範囲内の波長の紫外〜近赤外光により励起されたときに、400〜1100nmの範囲内の波長の可視〜近赤外光の発光を示すことが好ましい。
蛍光有機色素としては、フルオレセイン系色素分子、ローダミン系色素分子、Alexa Fluor(インビトロジェン社製)系色素分子、BODIPY(インビトロジェン社製)系色素分子、カスケード系色素分子、クマリン系色素分子、エオジン系色素分子、NBD系色素分子、ピレン系色素分子、シアニン系色素分子、芳香族炭化水素系分子等を挙げることができる。
具体的には、5−カルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−フルオレセイン、5,6−ジカルボキシ−フルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,4’,5’,7,7’−ヘキサクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−2’,4,7,7’−テトラクロロフルオレセイン、6−カルボキシ−4’,5’−ジクロロ−2’,7’−ジメトキシフルオレセイン、ナフトフルオレセイン、5−カルボキシ−ローダミン、6−カルボキシ−ローダミン、5,6−ジカルボキシ−ローダミン、ローダミン 6G、テトラメチルローダミン、X−ローダミン、スルホローダミンB、スルホローダミン101、及びAlexa Fluor 350、Alexa Fluor 405、Alexa Fluor 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 500、Alexa Fluor 514、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 555、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 635、Alexa Fluor 647、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Alexa Fluor 750、BODIPY FL、BODIPY TMR、BODIPY 493/503、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665(以上インビトロジェン社製)、メトキシクマリン、エオジン、NBD、ピレン、Cy5、Cy5.5、Cy7、HiLyte Fluor 594(登録商標、アナスペック社製)、DyLight 594(登録商標、サーモサイエンティフィック社製)系色素分子、ATTO 594(登録商標、ATTO-TEC社製)、MFP 594(登録商標、Mobitec社製)、5,10,15,20-テトラフェニルポルフィンテトラスルホン酸、亜鉛5,10,15,20-テトラフェニルポルフィンテトラスルホン酸、フタロシアニンテトラスルホン酸、亜鉛フタロシアニンテトラスルホン酸、N,N-Bis-(2,6-diisopropylphenyl)-1,6,7,12-(4-tert-butylphenoxy)-perylen-3,4,9,10-tetracarbonacid diimide、N,N’-Bis(2,6-diisopropylphenyl)-1,6,7,12-tetraphenoxyperylene-3,4:9,10-tetracarboxdiimide、Benzenesulfonic acid, 4,4',4'',4'''-[(1,3,8,10-tetrahydro-1,3,8,10-tetraoxoperylo[3,4-cd:9,10-c'd']dipyran-5,6,12,13-tetrayl)tetralis(oxy)]tetrakis-等を挙げることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
量子ドットとしては、II−VI族化合物、III−V族化合物、又はIV族元素を成分として含有する量子ドット(それぞれ、「II−VI族量子ドット」、「III−V族量子ドット」、「IV族量子ドット」ともいう。)のいずれかを用いることができる。単独でも複数種を混合したものを用いてもよい。
具体的には、CdSe、CdS、CdTe、ZnSe、ZnS、ZnTe、InP、InN、InAs、InGaP、GaP、GaAs、Si、Geが挙げられるが、これらに限定されない。
上記量子ドットをコアとし、その上にシェルを設けた量子ドットを用いることもできる。以下、本明細書中シェルを有する量子ドットの表記法として、コアがCdSe、シェルがZnSの場合、CdSe/ZnSと表記する。例えば、CdSe/ZnS、CdS/ZnS、InP/ZnS、InGaP/ZnS、Si/SiO2、Si/ZnS、Ge/GeO2、Ge/ZnS等を用いることができるが、これらに限定されない。
量子ドットは必要に応じて、有機ポリマー等により表面処理が施されているものを用いてもよい。例えば、表面カルボキシ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)、表面アミノ基を有するCdSe/ZnS(インビトロジェン社製)等が挙げられる。
〔蛍光物質内包ナノ粒子〕
本実施の形態において蛍光物質内包ナノ粒子とは、蛍光物質がナノ粒子内部に分散されたものをいい、蛍光物質とナノ粒子自体とが化学的に結合していても、結合していなくてもよい。
ナノ粒子を構成する素材は特に限定されるものではなく、ポリスチレン、ポリ乳酸、シリカ、メラミン等を挙げることができる。
本実施の形態で用いられる蛍光物質内包ナノ粒子は、公知の方法により作製することが可能である。例えば、蛍光有機色素を内包したシリカナノ粒子は、ラングミュア 8巻 2921ページ(1992)に記載されているFITC内包シリカ粒子の合成を参考に合成することができる。FITCの代わりに所望の蛍光有機色素を用いることで種々の蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を合成することができる。
量子ドットを内包したシリカナノ粒子は、ニュー・ジャーナル・オブ・ケミストリー 33巻 561ページ(2009)に記載されているCdTe内包シリカナノ粒子の合成を参考に合成することができる。
蛍光有機色素を内包したポリスチレンナノ粒子は、米国特許4326008(1982)に記載されている重合性官能基をもつ有機色素を用いた共重合法や、米国特許5326692(1992)に記載されているポリスチレンナノ粒子への蛍光有機色素の含浸法を用いて作製することができる。
量子ドットを内包したポリマーナノ粒子は、ネイチャー・バイオテクノロジー19巻631ページ(2001)に記載されているポリスチレンナノ粒子への量子ドットの含浸法を用いて作製することができる。
本実施の形態で用いられる蛍光物質内包ナノ粒子の平均粒径は特に限定されないが、粒径が大きいものは抗原にアクセスしにくく、粒径が小さく輝度の低いものは蛍光物質内包ナノ粒子の信号がバックグラウンドノイズ(カメラのノイズや細胞の自家蛍光)に埋もれてしまうことから、20〜200nm程度のものが好適である。
また、粒径のばらつきを示す変動係数(=(標準偏差/平均値)×100%)は、粒径のばらつきが大きい場合は、抗原へのアクセスがばらつくという観点から、15%以下のものを用いることが好ましい。
平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて電子顕微鏡写真を撮影し十分な数の粒子について断面積を計測し、各計測値を円の面積としたときの円の直径を粒径として求めた。本願においては、1000個の粒子の粒径の算術平均を平均粒径とした。変動係数も、平均粒径と同様に1000個の粒子の粒径から算出した。
〔生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子との結合〕
本実施の形態に係る生体物質認識部位とは、目的とする生体物質と特異的に結合及び/又は反応する部位である。目的とする生体物質は、それと特異的に結合する物質が存在するものであれば特に限定されるものではないが、代表的にはタンパク質(ペプチド)および核酸(オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)、抗体等が挙げられる。したがって、そのような目的とする生体物質に結合する物質としては、前記タンパク質を抗原として認識する抗体やそれに特異的に結合する他のタンパク質等、および前記核酸にハイブリタイズする塩基配列を有する核酸等が挙げられる。具体的には、細胞表面に存在するタンパク質であるHER2に特異的に結合する抗HER2抗体、細胞核に存在するエストロゲン受容体(ER)に特異的に結合する抗ER抗体、細胞骨格を形成するアクチンに特異的に結合する抗アクチン抗体等があげられる。中でも抗HER2抗体及び抗ER抗体を蛍光物質内包ナノ粒子に結合させたものは、乳癌の投薬選定に用いることができ、好ましい。
特定抗原としては以下を例示することができ、各抗原を認識する抗体はさまざまな抗体メーカーから入手可能であるとともに一般的な知識に基づいて作成可能である。例示としてM.アクチン、M.S.アクチン、S.M.アクチン、ACTH、Alk-1、α1-アンチキモトリプシン、α1-アンチトリプシン、AFP、bcl-2、bcl-6、β-カテニン、BCA 225、CA19-9、CA125、カルシトニン、カルレチニン、CD1a、CD3、CD4、CD5、CD8、CD10、CD15、CD20、CD21、CD23、CD30、CD31、CD34、CD43、CD45、CD45R、CD56、CD57、CD61、CD68、CD79a、"CD99、MIC2"、CD138、クロモグラニン、c-KIT、c-MET、コラーゲン タイプIV、Cox-2、サイクリンD1、ケラチン、サイトケラチン(高分子量)、パンケラチン、パンケラチン、サイトケラチン5/6、サイトケラチン7、サイトケラチン8、サイトケラチン8/18、サイトケラチン14、サイトケラチン19、サイトケラチン20、CMV、E-カドヘリン、EGFR、ER、EMA、EBV、第VIII因子関連抗原、ファッシン、FSH、ガレクチン-3、ガストリン、GFAP、グルカゴン、グリコフォリンA、グランザイムB、hCG、hGH、ヘリコバクターピロリ、HBc抗原、HBs抗原、ヘパトサイト特異抗原、HER2、HSV-I、HSV-II、HHV-8、IgA、IgG、IgM、IGF-1R、インヒビン、インスリン、カッパL鎖、Ki67、ラムダL鎖、LH、リゾチーム、マクロファージ、メランA、MLH-1、MSH-2、ミエロパーオキシダーゼ、ミオゲニン、ミオグロビン、ミオシン、ニューロフィラメント、NSE、p27(Kip1)、p53、p53、P63、PAX5、PLAP、ニューモシスティス カリニ、ポドプラニン(D2-40)、PGR、プロラクチン、PSA、前立腺酸性フォスファターゼ、Renal Cell Carcinoma、S100、ソマトスタチン、スペクトリン、シナプトフィジン、TAG-72、TdT、サイログロブリン、TSH、TTF-1、TRAcP、トリプターゼ、ビリン、ビメンチン、WT1、Zap-70が挙げられる。
目的とする生体物質が核酸の場合、病気との関連が指摘されている特定核酸遺伝子としては以下を例示することができ、各特定核酸遺伝子を認識するプローブは、BACプローブとして入手可能であるとともに一般的な知識に基づいて作成可能である。具体的な特定核酸遺伝子の例示は以下の通り。癌の増殖や分子標的薬の奏効率に関係する遺伝子として、HER2、TOP2A、HER3、EGFR、P53、METなどが挙げられ、さらに、各種癌関連遺伝子として知られている遺伝子として、以下のものが挙げられる。チロシンキナーゼ関連遺伝子として、ALK、FLT3、AXL、FLT4(VEGFR3、DDR1、FMS(CSF1R)、DDR2、EGFR(ERBB1)、HER4(ERBB4)、EML4−ALK、IGF1R、EPHA1、INSR、EPHA2、IRR(INSRR)、EPHA3、KIT、EPHA4、LTK、EPHA5、MER(MERTK)、EPHA6、MET、EPHA7、MUSK、EPHA8、NPM1−ALK、EPHB1、PDGFRα(PDGFRA)、EPHB2、PDGFRβ(PDGFRB)EPHB3、RET、EPHB4、RON(MST1R)、FGFR1、ROS(ROS1)、FGFR2、TIE2(TEK)、FGFR3、TRKA(NTRK1)、FGFR4、TRKB(NTRK2)、FLT1(VEGFR1)、TRKC(NTRK3)が挙げられる。また、乳がん関連の遺伝子としてATM、BRCA1、BRCA2、BRCA3、CCND1、E−Cadherin、ERBB2、ETV6、FGFR1、HRAS、KRAS、NRAS、NTRK3、p53、PTENが挙げられる。カルチノイド腫瘍に関連する遺伝子として、BCL2、BRD4、CCND1、CDKN1A、CDKN2A、CTNNB1、HES1、MAP2、MEN1、NF1、NOTCH1、NUT、RAF、SDHD、VEGFAが挙げられる。大腸がん関連遺伝子として、APC、MSH6、AXIN2、MYH、BMPR1A、p53、DCC、PMS2、KRAS2(or Ki−ras)、PTEN、MLH1、SMAD4、MSH2、STK11、MSH6が挙げられる。肺がん関連の遺伝子としては、ALK、PTEN、CCND1、RASSF1A、CDKN2A、RB1、EGFR、RET、EML4、ROS1、KRAS2、TP53、MYCが挙げられる。肝臓がん関連の遺伝子としては、Axin1、MALAT1、b−catenin、p16 INK4A、c−ERBB−2、p53、CTNNB1、RB1、Cyclin D1、SMAD2、EGFR、SMAD4、IGFR2、TCF1、KRASが挙げられる。腎臓がん関連遺伝子として、Alpha、PRCC、ASPSCR1、PSF、CLTC、TFE3、p54nrb/NONO、TFEBが挙げられる。甲状腺がん関連遺伝子として、AKAP10、NTRK1、AKAP9、RET、BRAF、TFG、ELE1、TPM3、H4/D10S170、TPRが挙げられる。卵巣がん関連遺伝子として、AKT2、MDM2、BCL2、MYC、BRCA1、NCOA4、CDKN2A、p53、ERBB2、PIK3CA、GATA4、RB、HRAS、RET、KRAS、RNASET2が挙げられる。前立腺がん関連遺伝子として、AR、KLK3、BRCA2、MYC、CDKN1B、NKX3.1、EZH2、p53、GSTP1、PTENが挙げられる。骨腫瘍関連遺伝子として、CDH11、COL12A1、CNBP、OMD、COL1A1、THRAP3、COL4A5、USP6が挙げられる。
生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子の結合の態様としては特に限定されず、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合、物理吸着及び化学吸着等が挙げられる。結合の安定性から共有結合等の結合力の強い結合が好ましい。
また、生体物質認識部位と蛍光物質内包ナノ粒子の間を連結する有機分子があってもよい。例えば、生体物質との非特異的吸着を抑制するため、ポリエチレングリコール鎖を用いることができ、Thermo Scientific社製SM(PEG)12を用いることができる。
蛍光物質内包シリカナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質が蛍光有機色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。例えば、無機物と有機物を結合させるために広く用いられている化合物であるシランカップリング剤を用いることができる。このシランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基を与えるアルコキシシリル基を有し、他端に、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、アルデヒド基等の官能基を有する化合物であり、上記シラノール基の酸素原子を介して無機物と結合する。具体的には、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、ポリエチレングリコール鎖をもつシランカップリング剤(例えば、Gelest社製PEG−silane no.SIM6492.7)等が挙げられる。シランカップリング剤を用いる場合、二種以上を併用してもよい。
蛍光有機色素内包シリカナノ粒子とシランカップリング剤との反応手順は、公知の手法を用いることができる。例えば、得られた蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を純水中に分散させ、アミノプロピルトリエトキシシランを添加し、室温で12時間反応させる。反応終了後、遠心分離又はろ過により表面がアミノプロピル基で修飾された蛍光有機色素内包シリカナノ粒子を得ることができる。続いてアミノ基と抗体中のカルボキシル基とを反応させることで、アミド結合を介し抗体を蛍光有機色素内包シリカナノ粒子と結合させることができる。必要に応じて、EDC(1-Ethyl-3-[3-Dimethylaminopropyl]carbodiimide Hydrochloride:Pierce社製、登録商標)のような縮合剤を用いることもできる。
必要により、有機分子で修飾された蛍光有機色素内包シリカナノ粒子と直接結合しうる部位と、分子標的物質と結合しうる部位とを有するリンカー化合物を用いることができる。具体例として、アミノ基と選択的に反応する部位とメルカプト基と選択的に反応する部位の両方をもつsulfo-SMCC(Sulfosuccinimidyl 4[N-maleimidomethyl]-cyclohexane-1-carboxylate:Pierce社製)を用いると、アミノプロピルトリエトキシシランで修飾した蛍光有機色素内包シリカナノ粒子のアミノ基と、抗体中のメルカプト基を結合させることで、抗体結合した蛍光有機色素内包シリカナノ粒子ができる。
蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質が蛍光有機色素の場合でも、量子ドットの場合でも同様の手順を適用することができる。すなわち、アミノ基等の官能基をもつポリスチレンナノ粒子へ蛍光有機色素、量子ドットを含浸することにより、官能基もつ蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子を得ることができ、以降EDC又はsulfo-SMCCを用いることで、抗体結合した蛍光物質内包ポリスチレンナノ粒子ができる。
蛍光物質内包メラミンナノ粒子へ生体物質認識部位を結合させる場合、蛍光物質内包シリカナノ粒子と同様の手順を適用することができる。また、より反応性を向上させるため、メラミンナノ粒子と多官能性アミン化合物をあらかじめ反応させて表面アミノ基数を増やしても良い。
〔染色方法〕
以下、組織標本の染色方法について述べるが、本発明は組織標本に限定されるものではなく、基板上に固定した細胞等の標本にも適用可能である。
また、以下に説明する染色方法が適用できる組織標本の作製法は特に限定されず、公知の方法により作製されたものを用いることができる。
1)脱パラフィン工程
まず、操作者は、キシレンを入れた容器に組織標本を浸漬させ、パラフィンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でキシレンを交換してもよい。
次いで、エタノールを入れた容器に組織標本を浸漬させ、キシレンを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でエタノールを交換してもよい。
次いで、水を入れた容器に組織標本を浸漬させ、エタノールを除去する。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中で水を交換してもよい。
2)賦活化処理
操作者は、公知の方法にならい、目的とする生体物質の賦活化処理を行う。賦活化条件に特に定めはないが、賦活液としては、0.01M クエン酸緩衝液(pH6.0)、1mM EDTA溶液(pH8.0)、5% 尿素、0.1M トリス塩酸緩衝液等を用いることができる。加熱機器は、オートクレーブ、マイクロウェーブ、圧力鍋、ウォーターバス等を用いることができる。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。温度は50〜130℃、時間は5〜30分で行うことができる。
次いで、PBS(Phosphate Buffered Saline:リン酸緩衝生理食塩水)を入れた容器に、賦活化処理後の組織標本を浸漬させ、洗浄を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。
3)生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子を用いた染色
操作者は、生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子のPBS分散液を組織標本に載せ、目的とする生体物質と反応させる。蛍光物質内包ナノ粒子と結合させる生体物質認識部位を変えることにより、さまざまな生体物質に対応した染色が可能となる。数種類の生体物質認識部位が結合された蛍光物質内包ナノ粒子を用いる場合には、それぞれの蛍光物質内包ナノ粒子PBS分散液を予め混合しておいてもよいし、別々に順次組織標本に載せてもよい。
温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。反応時間は、30分以上24時間以下であることが好ましい。
蛍光物質内包ナノ粒子による染色を行う前に、BSA含有PBS等、公知のブロッキング剤を滴下することが好ましい。
次いで、PBSを入れた容器に、染色後の組織標本を浸漬させ、未反応蛍光物質内包ナノ粒子の除去を行う。温度は特に限定されるものではないが、室温で行うことができる。浸漬時間は、3分以上30分以下であることが好ましい。また、必要により浸漬途中でPBSを交換してもよい。カバーガラスを組織標本に載せ、封入する。必要に応じて市販の封入剤を使用してもよい。
なお、HE染色試薬を用いて染色を行う場合、カバーガラスによる封入前にHE染色を行う。
〔蛍光画像の取得〕
染色した組織標本に対し顕微鏡画像取得装置1Aを用いて、広視野の顕微鏡画像(蛍光画像)を取得する。顕微鏡画像取得装置1Aにおいて、染色試薬に用いた蛍光物質の吸収極大波長及び蛍光波長に対応した励起光源及び蛍光検出用光学フィルターを選択する。
解析に用いられる蛍光顕微鏡画像(蛍光画像)の取得条件には特に制限はないが、対物レンズの倍率は4〜100倍が好ましく、開口数(NA)は0.6以上が好ましく、さらに好ましくは0.8以上である。また、撮像するカメラのサンプリングピッチは、400nm以下が好ましく、さらに好ましくは150nm以下である。
<病理診断支援システム100の動作(画像処理方法を含む。)>
以下、病理診断支援システム100において、上記説明した蛍光画像及び明視野画像を取得して解析を行う動作について説明する。ここでは、乳癌組織におけるHER2タンパク(以下、特定タンパクと呼ぶ。)を認識する生体物質認識部位が結合した蛍光物質内包ナノ粒子を含む染色試薬を用いて染色された組織標本を観察対象とする場合を例にとり説明するが、これに限定されるものではない。
まず、操作者は、HE染色試薬と、特定タンパクを認識する生体物質認識部位が結合した蛍光物質内包ナノ粒子を蛍光標識材料とした染色試薬との、2種の染色試薬を用いて組織標本を染色する。
その後、顕微鏡画像取得装置1Aにおいて、以下の(a1)〜(a6)の手順により明視野画像及び蛍光画像を取得する。
(a1)操作者は、HE染色試薬と蛍光物質内包ナノ粒子を含む染色試薬とにより染色された組織標本をスライドに載置し、そのスライドを顕微鏡画像取得装置1Aのスライド固定ステージに設置する。
(a2)明視野ユニットに設定し、撮影倍率及びピントの調整を行って、組織標本上の観察対象の領域を視野に納め、焦点深度の移動方向(ここでは、上下方向とする)の撮影開始位置、撮影終了位置、及びピッチを設定する。スライド固定ステージを所定の撮影開始位置まで上方又は下方に移動する。
(a3)撮像手段で撮影を行って明視野画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
(a4)ユニットを蛍光ユニットに変更する。
(a5)スライド固定ステージの位置及び撮影倍率を変えずに撮像手段で撮影を行って蛍光画像の画像データを生成し、画像処理装置2Aに画像データを送信する。
(a6)スライド固定ステージを上方又は下方に所定のピッチ移動させて焦点深度を変えた後、再び(a3)〜(a5)の手順を行う。
操作者は、スライド固定ステージが所定の撮影終了位置に到達するまで、(a6)の手順を繰り返す。
画像処理装置2Aにおいては、明視野画像及び蛍光画像に基づき画像解析処理が実行される。
図5に、画像処理装置2Aにおける画像解析処理のフローチャートを示す。図5に示す画像解析処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、通信I/F24により顕微鏡画像取得装置1Aからの明視野画像が入力されると(ステップS1)、制御部21により、明視野画像から細胞領域の抽出が行われる(ステップS2)。
図6に、ステップS2における処理の詳細フローを示す。ステップS2の処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
ステップS2においては、まず、明視野画像のモノクロ画像への変換が行われる(ステップS201)。図7Aに、明視野画像の一例を示す。
次いで、モノクロ画像に対し予め定められた閾値を用いて閾値処理が施され、各画素の値が二値化される(ステップS202)。
次いで、ノイズ処理が行われる(ステップS203)。ノイズ処理は、具体的には、二値画像にクロージング処理が施されることにより行うことができる。クロージング処理は、膨張処理を行ってから同じ回数分だけ収縮処理を行う処理である。膨張処理は、注目画素からn×n画素(nは2以上の整数)の範囲内にある画素に1つでも白が含まれている場合に注目画素を白に置き換える処理である。収縮処理は、注目画素からn×n画素の範囲内にある画素に1つでも黒が含まれている場合に注目画素を黒に置き換える処理である。クロージング処理により、ノイズ等の小さい領域を除去することができる。図7Bに、ノイズ処理後の画像の一例を示す。図7Bに示すように、ノイズ処理後には、細胞が抽出された画像(細胞画像)が生成される。
次いで、ノイズ処理後の画像にラベリング処理が施され、抽出された細胞のそれぞれにラベルが付与される(ステップS204)。ラベリング処理とは、連結している画素に同じラベル(番号)を付与していくことで画像内のオブジェクトを識別する処理である。ラベリング処理により、ノイズ処理後の画像から各細胞を識別してラベルを付与することができる。
一方、通信I/F24により顕微鏡画像取得装置1Aからの蛍光画像が入力されると(ステップS3)、制御部21により、蛍光画像から蛍光粒子が抽出される(ステップS4)。
図8に、ステップS4における処理の詳細フローを示す。ステップS4の処理は、制御部21と記憶部25に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
ステップS4においては、まず、蛍光画像から蛍光輝点の波長に応じた色成分の抽出が行われる(ステップS401)。図9Aに、蛍光画像の一例を示す。ステップS401では、たとえば、蛍光粒子の発光波長が550nmである場合には、その波長成分を有する蛍光輝点のみが画像として抽出される。
次いで、抽出された画像に閾値処理が施されて二値画像が生成され、輝点領域が抽出される(ステップS402)。
なお、閾値処理の前に細胞自家蛍光や他の不要信号成分等のノイズ除去処理が施されてもよく、ガウシアンフィルタ等のローパスフィルタや二次微分等のハイパスフィルタが好ましく用いられる。
図9Bに、輝点領域が抽出された画像の一例を示す。図9Bに示すように、かかる画像では蛍光輝点を中心とした輝点領域が抽出されている。
次いで、輝点領域が抽出された画像と蛍光画像とが重ね合わせられ、輝点領域内の輝度信号情報がマップ化されることで輝度プロファイルが作成され(ステップS403:プロファイル作成工程)、その輝度プロファイルから、各輝点領域における蛍光粒子の数と各蛍光粒子の位置とが算出される(ステップS404)。
「輝度プロファイル」とは、輝点領域が抽出された画像をマスクとして蛍光画像から抽出された画像に基づき作成される輝度値の分布情報であり、輝点領域における輝度値とその範囲(輝度分布の広がり)とを示すものである。
すなわち、図10Aは、蛍光画像から輝点領域が抽出された画像の一例である。輝点領域が抽出された画像に基づいて、輝点領域ごとに、輝点領域が抽出された画像(図10B)と、その輝点領域に対応する部位の蛍光画像(図10C)とが重ね合わせられる。図10Bは、図10A内の□で囲まれた領域の拡大図であり、1つの輝点領域を示す。図10Cは、図10Bの輝点領域に対応する部位の蛍光画像である。
次いで、輝点領域が抽出された画像(例えば、図10B)をマスクとして、蛍光画像(例えば、図10C)から、輝点領域に対応する輝点画像が生成される(図10D)。輝点画像の輝度値を画素ごとに計測し、X座標位置及びY座標位置に表示したものが、ステップS403において輝度プロファイルとして作成される輝度値の分布である(図10E)。
なお、輝度プロファイルは、図10Eに示すように、X座標位置及びY座標位置における輝度が2次元的に表現されたものであってもよいし、図10Fに示すように、X座標位置(横)及びY座標位置(縦)における輝度(高さ)が3次元的に表現されたものであってもよい。
そして実際のところ、1つの輝点領域には1個または複数個の蛍光粒子が含まれ、かかる輝度プロファイルには蛍光粒子の数と各蛍光粒子の位置とに応じた輝度値と範囲(輝度分布の広がり)とが示される。
本実施形態では、ステップS3において入力された蛍光画像と同一の画像取り込み条件で撮影された単独の蛍光粒子の画像から、1つの蛍光粒子の輝度プロファイルが、基準プロファイルとして予め作成される。輝点画像から作成された輝度プロファイルを、基準プロファイルに基づいて解析することで、焦点深度の異なる複数の輝点画像の中から、焦点の合った画像のみを抽出でき、また、各輝点領域における蛍光粒子の数と各蛍光粒子の位置とが算出できる。
例えば、1つの蛍光粒子に焦点が合っている蛍光画像から作成された基準プロファイルは、図11Bのように中心に一つの鋭いピークを持つ正規分布形状となる。焦点が蛍光粒子よりも下方にずれている蛍光画像から作成された基準プロファイルは、例えば図11Aのように、縦横方向の広がりが大きく、ピークが低くなる。一方、焦点が蛍光粒子よりも上方にずれている蛍光画像から作成された基準プロファイルは、例えば図11Cのように、中心から一定距離離れた位置に最も輝度が高い部位がリング状に見られ、中心はやや輝度が低く凹んだ形となる。
図12A〜図12Cは、所定間隔の焦点深度Z1、Z2、Z3において取得された蛍光画像(図12A〜図12Cのそれぞれ左図)の同一領域から作成された3次元輝度プロファイルの断面を示す模式図(図12A〜図12Cのそれぞれ右図)である。ここで図示される輝度プロファイルには、3つの輝点領域が含まれている。
図12A〜図12Cに示される輝度プロファイルのうち、左端の輝度プロファイルは、焦点深度Z1(図12A)において鋭いピークを持つ正規分布形状を示すが、焦点深度Z2(図12B)においては、中心が凹み、X軸方向の広がりが大きくなる。さらに、焦点深度Z3(図12C)においては、中心が凹んだ形状のまま、X軸方向の広がりがさらに大きくなる。これらの輝度プロファイルを基準プロファイルに基づいて解析すると、例えば焦点深度Z1(図12A)において最も焦点が合っている蛍光粒子が1つ存在していると判断される。
また、中央の輝度プロファイルは、焦点深度Z2(図12B)において中心に鋭いピークを持つ正規分布形状を示すが、焦点深度Z1及びZ3(図12A及び図12C)においては、中心が凹み、X軸方向の広がりが大きいほぼ同一形状を示している。基準プロファイルに基づく解析によれば、この輝点領域には、例えば、焦点深度Z2(図12B)において最も焦点が合っている蛍光粒子が1つ存在していると判断される。
また、右端の輝度プロファイルは、焦点深度Z1(図12A)においては、中心が凹んでX軸方向の広がりが非常に大きく、焦点深度Z2(図12B)においては、中心は凹んでいるがX軸方向の広がりがやや狭まり、焦点深度Z3(図12C)においては中心に鋭いピークを持つ正規分布形状を示している。基準プロファイルに基づく解析によれば、この輝点領域には、例えば、焦点深度Z3(図12C)において最も焦点が合っている蛍光粒子が1つ存在していると判断される。
以上のステップS404の工程により、各輝点領域に含まれる蛍光粒子の位置が、各蛍光画像上の2次元座標上の位置に焦点深度を加えた3次元座標上の位置として算出される。
次いで、蛍光画像にラベリング処理が施され、ステップS404の工程において算出された蛍光粒子の位置の輝点画像にラベルが付与される(ステップS405)。ここでは、各輝点領域に対応する焦点深度の異なる複数の輝点画像の中で、最も蛍光粒子に焦点が合っている輝点画像(蛍光粒子画像)に、蛍光粒子を識別するためのラベルが付与されることとなる。
なお、図12A〜図12Cにおいては、各輝点領域に1つの蛍光粒子が含まれている例を示したが、例えば、1つの輝点領域に複数の蛍光粒子が含まれている場合でも、焦点深度をずらした複数の蛍光画像を基準プロファイルに基づいて解析することにより、2次元画像である蛍光画像上では重なって見える複数の蛍光粒子を分離して計測することができる。そして、複数の蛍光粒子のそれぞれについて、最も焦点が合った輝点画像(蛍光粒子画像)にラベルが付与される。
また、上記実施形態では蛍光粒子1個分の輝度プロファイルを基準プロファイルとして蛍光粒子の数と位置とを判別することとしたが、例えば、あらかじめ複数個の蛍光粒子からなる輝度プロファイルを基準プロファイルとして準備して、蛍光粒子の数と位置とを判別してもよい。また、複数個の蛍光粒子からなる輝度プロファイルそのものに対して2次元フーリエ変換等の公知の任意の画像処理を施して波形を分解し、蛍光粒子の数と位置とを判別してもよい。
ステップS2とステップS4の処理の終了後、図5の処理に戻り、細胞画像(図7B参照)と蛍光画像との加算処理が行われ(ステップS5)、ステップS204で付与された1つの細胞を示すラベルとステップS405で付与された蛍光粒子のラベルから、一細胞当たりの蛍光粒子数が算出される(算出工程)。
さらに、焦点深度の異なる複数の蛍光画像が再構成された一枚の再構成画像(合焦点画像)が生成される(生成工程)。このとき、各輝点領域においては、ステップS405で蛍光粒子のラベルが付与された蛍光粒子画像が抽出されて合焦点画像の再構成に用いられる(抽出工程)。1つの輝点領域に複数の蛍光粒子が含まれ、それらが異なる焦点深度に存在している場合には、抽出された複数の蛍光粒子画像は、例えば、画素ごとに輝度値の平均値又は加算値が算出された一枚の画像に再構成される。ラベルが付与されていない輝点画像は、蛍光粒子から焦点がずれているため再構成には使用されない。
図12Dは、図12A〜図12Cの3枚の蛍光画像から再構成された合焦点画像及び合焦点画像の輝度プロファイルの断面を示す模式図であり、輝度プロファイルの左の輝点領域においては焦点深度Z1(図12A)の輝点画像、中央の輝点領域においては焦点深度Z2(図12B)の輝点画像、右の輝点領域においては焦点深度Z3(図12C)の輝点画像が、蛍光粒子画像として抽出され、再構成された例を示す。合焦点画像から作成された輝度プロファイル(図12Dの右図)は、全ての輝点領域において鋭いピークを持つ正規分布形状となり、各蛍光粒子に焦点が合った画像が得られる。
次いで、ステップS6では、再構成画像と細胞画像が重ね合わせられて、細胞上での蛍光粒子の分布を示す画像が表示される。
以上の本実施形態によれば、ステップS1〜S2の処理により細胞が抽出され、ステップS3〜S402の処理により輝点領域が抽出され、その後、ステップS403〜S404の処理により、細胞上での蛍光粒子の分布が3次元座標上で具体的に把握されるようになっている。さらに、ステップS5〜S6の処理により、蛍光粒子に焦点が合った輝点画像が抽出されて一枚の蛍光画像に再構成され、細胞上での蛍光粒子の分布が表示される。
こうして、簡易な顕微鏡を用いて観察対象細胞内での特定タンパク質の発現(発現数とその発現位置)を正確に定量することができ、それぞれの蛍光粒子に焦点が合った、輝点のボケがない蛍光画像を得ることができる。
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
上記実施形態では、特定タンパクの例として乳癌におけるHER2タンパクを挙げたが、これに限定されない。診断対象となる病変(がん)種に応じて、蛍光画像を取得する際の生体物質認識部位を異なるものとすれば、病変種に応じた特定タンパクの発現量を定量的に示す特徴量を医師に提供することが可能となる。
また、上記実施形態では、1種の特定タンパクのみを対象としたが、複数の特定タンパクに対し、発光波長が互いに異なる2種以上の蛍光粒子を用いてもよい。
かかる場合、ステップS401においてフィルターワーク等を用いてそれぞれの色成分を抽出し、その抽出した色成分(波長成分)ごとにステップS402〜S405の処理を実行し、ステップS5−S6において、細胞領域画像と色成分ごと作成された蛍光粒子画像とを加算すればよい。
また、蛍光粒子は、上記実施形態のように特定タンパクに結合する生体物質認識部位に直接結合されても良いが、免疫染色における公知の間接法のように、別の物質を介して間接的に結合されても良い。例えば、組織標本に特定タンパクを抗原とする一次抗体を反応させた後、一次抗体を抗原とする二次抗体に蛍光粒子を結合したものを反応させて染色しても良い。また、例えば、組織標本に特定タンパクを抗原とする一次抗体及び、一次抗体を抗原とするビオチン化二次抗体を反応させた後、ストレプトアビジンにより修飾された蛍光粒子を反応させて、ストレプトアビジンとビオチンが特異的に結合して複合体を形成することを利用して染色しても良い。
また、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてHDDや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを、通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、病理診断支援システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
(A1)IHC染色用試薬の作製
蛍光物質に抗HER2抗体を結合させたIHC染色用の染色試薬aを、以下の方法で作成した。
(A1−1)蛍光物質内包ナノ粒子の作製
蛍光色素として赤色発光色素であるSulforhodamine101(シグマアルドリッチ社製)14.4mgを水22mLに加えて溶解させた。その後、この溶液に乳化重合用乳化剤のエマルゲン(登録商標)430(ポリオキシエチレンオレイルエーテル、花王社製)の5%水溶液を2mL加えた。この溶液をホットスターラー上で撹拌しながら70℃まで昇温させた後、この溶液にメラミン樹脂原料ニカラックMX−035(日本カーバイド工業社製)を0.65g加えた。
さらに、この溶液に界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸(関東化学社製)の10%水溶液を1000μL加え、70℃で50分間加熱撹拌した。その後、90℃に昇温して20分間加熱撹拌した。得られた色素樹脂粒子の分散液から、余剰の樹脂原料や蛍光色素等の不純物を除くため、純水による洗浄を行った。
具体的には、遠心分離機(クボタ社製マイクロ冷却遠心機3740)にて20000Gで15分間、遠心分離し、上澄み除去後、超純水を加えて超音波照射して再分散した。遠心分離、上澄み除去および超純水への再分散による洗浄を5回繰り返した。得られたメラミン粒子はメラミン樹脂自体が骨格に多くのアミノ基を含むことから、プラス電荷となった。粒子の電荷の評価は、NMRやIR等による樹脂成分分析と、ゼータ電位測定により行なった。
得られた蛍光粒子を走査型電子顕微鏡(SEM;日立(登録商標)社製S−800型)で観察し、平均粒径及び変動係数を算出した。本実施例及び比較例においては、平均粒径が200、170、150、100、80、60、40、20nmであり、変動係数が12%の蛍光粒子を用いた。
(A1−2)蛍光粒子への抗体の結合
下記の工程(1)〜(12)の方法により、蛍光粒子に対して抗HER2抗体を結合させた。
工程(1):1mgの蛍光粒子を純水5mLに分散させた。次いで、アミノプロピルトリエトキシシラン水分散液(LS−3150、信越化学工業社製)100μLを添加し、室温で12時間撹拌した。
工程(2):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(3):エタノールを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順でエタノールと純水による洗浄を1回ずつ行った。
得られたアミノ基修飾した蛍光粒子のFT−IR測定を行ったところ、アミノ基に由来する吸収が観測でき、アミノ基修飾されたことが確認できた。
工程(4):工程(3)で得られたアミノ基修飾した蛍光粒子を、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)を2mM含有したPBSを用いて3nMに調整した。
工程(5):工程(4)で調整した溶液に、最終濃度10mMとなるようSM(PEG)12(サーモサイエンティフィック社製、succinimidyl-[(N-maleomidopropionamid)-dodecaethyleneglycol]ester)を混合し、1時間反応させた。
工程(6):反応混合液を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した。
工程(7):EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行った。最後に500μLのPBSを用いて再分散させ、抗体結合用マレイミド結合蛍光粒子を得た。
工程(8):抗HER2抗体100μgを100μLのPBSに溶解させたところに、1Mジチオスレイトール(DTT)を添加し、30分反応させた。
工程(9):反応混合物についてゲルろ過カラムにより過剰のDTTを除去し、蛍光粒子に結合可能な還元化抗HER2抗体溶液を得た。
工程(10):蛍光粒子を出発原料として工程(7)で得られた蛍光粒子分散液と工程(9)で得られた還元化抗HER2抗体溶液とをPBS中で混合し、1時間反応させた。
工程(11):10mMメルカプトエタノール4μLを添加し、反応を停止させた。
工程(12):反応混合物を10000Gで60分遠心分離を行い、上澄みを除去した後、EDTAを2mM含有したPBSを加え、沈降物を分散させ、再度遠心分離を行った。同様の手順による洗浄を3回行った。最後に500μLのPBSを用いて再分散させ、抗HER2抗体が結合された蛍光粒子を得た。
(A1−3)蛍光色素及び量子ドットへの抗体の結合
蛍光色素(平均粒径:1nm以下)及び量子ドット(平均粒径:約5nm)に対して抗HER2抗体を結合させた染色試薬aを公知の方法により準備した。
(A2)FISH染色用試薬の作製
FISH染色用プローブは、HER-2 DNAプローブにNickトランスレーションによりビオチンを導入した、ビオチン化HER-2 DNAプローブを用いた。
また、プローブを可視化するための染色試薬bとしては、(A1−2)の工程(8)において抗HER2抗体の代わりにストレプトアビジンを用いて作成したストレプトアビジン修飾蛍光粒子、及び、(A1−3)と同様の蛍光色素及び量子ドットに対してストレプトアビジンを結合させたものを用いた。
(B)組織染色
(B1)免疫組織化学(IHC)法
下記工程(1)〜(10)の方法により、染色試薬aを用い、ヒト乳房組織標本の免疫染色を行った。染色標本はコスモバイオ社製の組織アレイスライド(CB−A712)を用い、あらかじめDAB染色によりHER2染色濃度を観察し、HER2高発現(HER2 3+)、HER2低発現(HER2 +)、HER2陰性(HER2 −)、の3種のロットを用意し、それぞれ染色を行った。
工程(1):キシレンを入れた容器に組織標本を30分浸漬させた。途中3回キシレンを交換した。
工程(2):エタノールを入れた容器に組織標本を30分浸漬させた。途中3回エタノールを交換した。
工程(3):水を入れた容器に組織標本を30分浸漬させた。途中3回水を交換した。
工程(4):10mMクエン酸緩衝液(pH6.0)に組織標本を30分浸漬させた。
工程(5):121度で10分オートクレーブ処理を行った。
工程(6):PBSを入れた容器に、オートクレーブ処理後の組織標本を30分浸漬させた。
工程(7):1%BSA含有PBSを組織標本に載せて、1時間放置した。
工程(8):1%BSA含有PBSで0.05nMに希釈した抗HER2抗体が結合された染色試薬aを、それぞれ組織標本に載せて3時間放置した。
工程(9):PBSを入れた容器に、染色後の組織標本をそれぞれ30分浸漬させた。
工程(10)4%中性パラホルムアルデヒド溶液で10分間固定処理した後、HE染色を行った。
工程(11):Merck Chemicals社製Aquatexを滴下後、カバーガラスを載せ封入した。
(B2)蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH)法
染色試薬bを用いて、FISH法によるヒト乳房組織標本の染色を行った。ビオチン化HER-2 DNAプローブのハイブリダイゼーションは、公知の方法により行なった。また、ハイブリダイゼーションしたビオチン化HER-2 DNAプローブに対して、染色試薬bを公知の方法により結合して可視化した。
染色標本はコスモバイオ社製の組織アレイスライド(CB−A712)を用い、あらかじめパスビジョン(登録商標)HER−2 DNAプローブキット(アボット社製)を用いて各スポット当りのFISHスコアを算出した。算出されたFISHスコアに基づいて、HER2遺伝子量の異なる3種の組織標本のロットを用意し、それぞれ染色を行った。HER2遺伝子は通常、細胞内に2つ存在し、細胞増殖時には4個に増える場合もある。正常な細胞である「増幅無し」の組織標本のロットにおいては、遺伝子数が1〜4個となる。一方、HER2「大増幅」の組織標本のロットにおいては、細胞あたり10個以上のHER2遺伝子がある。また、HER2「小増幅」の組織標本のロットにおいては、細胞あたり6〜10個のHER2遺伝子がある。
(C)画像解析処理
染色試薬a及びbを用いて染色した組織標本について、顕微鏡画像(明視野画像及び蛍光画像)を取得した。
顕微鏡は、蛍光顕微鏡(BZ−9000、キーエンス社製)を用い、対物レンズ倍率を40倍に設定した。蛍光画像の取得にあたっては、中心波長560nmの励起光を照射して、組織標本から発せられる630nmの中心波長を有する蛍光を結像し、顕微鏡設置カメラ(モノクロ)により顕微鏡画像(画像データ)を取得した。
顕微鏡画像の取得は、まず、細胞の外縁にピントを合わせてから、ステージを下方に2μm下げた位置で顕微鏡画像を取得し、ステージを0.2μm上方向にずらして再度顕微鏡画像を取得することを繰り返し、計20枚の蛍光顕微鏡画像を取得した。
(C1)本発明の画像解析処理方法
本発明の合焦点画像を用いた計測として、得られた20枚の顕微鏡画像に図5の画像解析処理を実行し、輝度プロファイルに基づいて、1細胞当たりの蛍光粒子数(輝点数)を算出した。
(C2)従来の画像解析処理方法
従来の計測手法による比較として、取得した20枚の顕微鏡画像のうち、細胞の外縁にピントを合わせた一枚の画像(単一画像)のみを用いて、輝度が所定の閾値を超えた領域を輝点として計測し、1細胞当たりの蛍光粒子数(輝点数)を算出した。
<実験結果1>
(A1)に記載の染色試薬aを用いて、(B1)に記載のIHC法によってHER2タンパク質が染色された組織標本から算出された一細胞当たりの輝点数を、表1に示す。
実施例1においては、蛍光粒子由来の染色試薬aを用いて染色した組織標本から、本発明の画像解析処理方法(C1)を用いて輝点数を算出した。
比較例1においては、蛍光粒子由来の染色試薬aを用いて染色した組織標本から、従来の画像解析処理方法(C2)を用いて輝点数を算出した。
比較例2、3においては、蛍光色素及び量子ドット由来の染色試薬aを用いて染色した組織標本から、本発明の画像解析処理方法(C1)を用いて輝点数を算出した。
Figure 0006504160
蛍光粒子の平均粒径及び画像解析方法と輝点数の関係に着目すると、表1より、IHC法において、蛍光物質の平均粒径及び組織標本のロットが同一の組み合わせの場合で比較すると、本発明の再構成画像と輝度プロファイルを用いた方法(C1)によれば、従来の方法(C2)と比べて、常に輝点数が多く算出され、真値に近い結果が得られた。
また、事前にDAB染色により計測されたHER2染色濃度と輝点数の関係に着目すると、実施例1によれば、HER2 +の組織標本においては、HER2 −の組織標本と比べて常に2.5倍以上(平均:約3.7倍)の数の輝点が算出された。また、HER2 3+の組織標本においては、HER2 +の組織標本の4.6〜5.8倍(平均:約5.2倍)の輝点数が算出された。
一方、比較例1によれば、HER2 +の組織標本においては、HER2 −の組織標本の1.3〜2.3倍(平均:約1.7倍)の数の輝点が算出された。また、HER2 3+の組織標本においては、HER2 +の組織標本の4.6〜6倍(平均:約5.2倍)の輝点数が算出された。
また、比較例2及び3で得られた蛍光画像においては、細胞全体が均一に蛍光を発しており、蛍光色素及び量子ドットの一つ一つをドット状に観察することが不可能であったため、輝点数を算出することができなかった。
実験結果1より、平均粒径20〜200nmの蛍光粒子を用いて染色することによって、蛍光染色されたタンパク質を蛍光輝点として計測可能であることがわかる。
さらに、本発明の生体物質定量方法によれば、焦点深度を変えた複数の蛍光画像を用いて解析を行うので、焦点深度の方向の広がりも加味した細胞の全体から蛍光粒子を検出することができる。さらに、輝度プロファイルに基づいた解析により、近接した蛍光粒子を分離して計測可能であるため、より正確な輝点数を計測できる。実際、実施例1及び比較例1において、組織標本のロットがHER2 3+及びHER2 +の組織標本から計測された輝点数を、蛍光粒子の平均粒径が同一のもので比較すると、実施例では比較例の約2.5倍の輝点数が算出されていた。
このように、本発明によれば焦点深度の方向にも渡る多数の輝点を正確に計測できるため、発現量のわずかな差を検出しやすく、HER2の発現が少ない場合でも発現量の差を明確に区別して診断することができる。
<実験結果2>
(A2)に記載の染色試薬bを用いて、(B2)に記載のFISH法によってHER2遺伝子が染色された組織標本から算出された一細胞当たりの輝点数を、表2に示す。
実施例2においては、蛍光粒子由来の染色試薬bを用いて染色した組織標本から、本発明の画像解析処理方法(C1)を用いて輝点数を算出した。
比較例4においては、蛍光粒子由来の染色試薬bを用いて染色した組織標本から、従来の画像解析処理方法(C2)を用いて輝点数を算出した。
比較例5、6においては、蛍光色素及び量子ドット由来の染色試薬bを用いて染色した組織標本から、本発明の画像解析処理方法(C1)及び従来の画像解析処理方法(C2)を用いて輝点数を算出した。なお、蛍光色素及び量子ドットは1分子当たりの輝度が小さく、基準となる輝度プロファイルを焦点深度を変えて得ることが困難であった。そのため、比較例5−1及び比較例6−1においては、蛍光粒子の輝度プロファイルを用いて画像解析処理を行った。
Figure 0006504160
蛍光粒子の平均粒径及び画像解析方法と輝点数の関係に着目すると、実施例2及び比較例4より、FISH法によってHER2遺伝子が染色された組織標本において、蛍光粒子の平均粒径及び組織標本のロットが同一の組み合わせの場合で比較すると、本発明の再構成画像と輝度プロファイルを用いた方法(実施例2)によれば、従来の方法(比較例4)と比べて、常に多数の輝点が算出され(20〜55%増加)、真値に近い結果が得られた。
比較例5〜6においては、染色に用いた蛍光色素及び量子ドットではなく蛍光粒子の輝度プロファイルを用いて画像解析を行ったため、本発明の方法で算出された輝点数は、従来の方法で算出された輝点数よりは増加するものの、増加の程度は14〜18%と小さく、蛍光粒子を用いた実施例2と比べると定量精度は低かった。
また、事前に計測されたFISHスコアと輝点数の関係に着目すると、HER2小増幅の組織標本においては、HER2増幅無しの組織標本と比べて約4倍以上の輝点数が算出され、HER2大増幅の組織標本においては、HER2小増幅の組織標本の約2.3倍の輝点数が算出された。これらの増加の程度は、表2に記載の何れの粒径、何れの画像解析処理方法の場合でも特に差はなかった。
実験結果2より、蛍光色素及び量子ドットを輝点として観察可能なFISH法による遺伝子の染色の場合でも、蛍光物質として蛍光粒子を用いれば、算出される輝点数がより増加するため、好適である。
実験結果1及び2より、HER2タンパク又は遺伝子が正常状態からわずかに増加した場合の検出感度として考えると、FISH法では「増幅無し」から「小増幅」となった場合の輝点数の変化率は、本発明の方法と従来の方法による差はほとんどなく、いずれも4〜5倍の範囲であった。一方、IHC法では「HER2 −」から「HER2 +」となった場合の輝点数の変化率は、従来の方法(約1.7倍)に対して本発明の方法(約3.7倍)では極めて変化率が増加し、感度が向上したと言える。以上の結果から、本発明の方法は、遺伝子及びタンパク質のいずれの定量にも有効であり、従来の方法より真値に近い輝点数を算出可能であるが、検出感度の向上という点では、特にタンパク質の検出において著しい効果を発揮する。
本発明は、組織標本内での特定の生体物質の数を正確に定量できることを特徴とし、高精度な病理診断情報の生成に特に好適に利用することができる。
1A 顕微鏡画像取得装置
2A 画像処理装置
3A ケーブル
21 制御部
22 操作部
23 表示部
24 通信I/F
25 記憶部
26 バス
100 病理診断支援システム

Claims (8)

  1. 蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を染色試薬として用いて特定の生体物質が染色された標本から、前記生体物質を定量する生体物質定量方法において、
    焦点深度を所定の間隔で連続的に変え、各焦点深度において、前記標本における前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像を入力する入力工程と、
    各焦点深度における前記蛍光画像から、輝点領域が抽出された輝点画像を生成し、当該輝点画像ごとに輝度プロファイルを作成するプロファイル作成工程と、
    基準プロファイルとして予め計測された蛍光粒子の輝度プロファイルを作成し、各焦点深度における輝点画像の輝度プロファイルを、前記基準プロファイルに基づいて前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の位置を特定して解析することにより、前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の数を算出する算出工程と、
    各焦点深度における前記輝点画像の中から、算出された蛍光粒子の位置に最も近い位置の輝点画像を抽出する抽出工程と、
    前記抽出された輝点画像を合成して一枚の画像に再構成した再構成画像を生成する生成工程と、
    を有することを特徴とする生体物質定量方法。
  2. 請求項1に記載の生体物質定量方法において、
    前記基準プロファイルは、蛍光輝点源となる蛍光粒子からの相対距離と輝度の情報を備えることを特徴とする生体物質定量方法。
  3. 請求項1又は2に記載の生体物質定量方法において、
    前記蛍光粒子の平均粒径が20〜200nmであることを特徴とする生体物質定量方法。
  4. 請求項1〜の何れか一項に記載の生体物質定量方法において、
    前記蛍光粒子の粒径の変動係数が15%以下であることを特徴とする生体物質定量方法。
  5. 請求項1〜の何れか一項に記載の生体物質定量方法において、
    前記生体物質がタンパク質であることを特徴とする生体物質定量方法。
  6. 蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を染色試薬として用いて特定の生体物質が染色された標本から、前記生体物質を定量する画像処理装置において、
    焦点深度を所定の間隔で連続的に変え、各焦点深度において、前記標本における前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像を入力する入力手段と、
    各焦点深度における前記蛍光画像から、輝点領域が抽出された輝点画像を生成し、当該輝点画像ごとに輝度プロファイルを作成するプロファイル作成手段と、
    基準プロファイルとして予め計測された蛍光粒子の輝度プロファイルを作成し、各焦点深度における輝点画像の輝度プロファイルを、前記基準プロファイルに基づいて前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の位置を特定して解析することにより、前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の数を算出する算出手段と、
    各焦点深度における前記輝点画像の中から、算出された蛍光粒子の位置に最も近い位置の輝点画像を抽出する抽出手段と、
    前記抽出された輝点画像を合成して一枚の画像に再構成した再構成画像を生成する生成手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  7. 請求項に記載の画像処理装置と、
    前記画像処理装置で使用される前記蛍光画像を取得する画像取得装置と、
    を備えることを特徴とする病理診断支援システム。
  8. 蛍光物質を複数集積した蛍光粒子を染色試薬として用いて特定の生体物質が染色された標本から、前記生体物質を定量するコンピュータを、
    焦点深度を所定の間隔で連続的に変え、各焦点深度において、前記標本における前記生体物質の発現を蛍光輝点で表す蛍光画像を入力する入力手段、
    各焦点深度における前記蛍光画像から、輝点領域が抽出された輝点画像を生成し、当該輝点画像ごとに輝度プロファイルを作成するプロファイル作成手段、
    基準プロファイルとして予め計測された蛍光粒子の輝度プロファイルを作成し、各焦点深度における輝点画像の輝度プロファイルを、前記基準プロファイルに基づいて前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の位置を特定して解析することにより、前記蛍光画像に含まれる蛍光粒子の数を算出する算出手段、
    各焦点深度における前記輝点画像の中から、算出された蛍光粒子の位置に最も近い位置の輝点画像を抽出する抽出手段、
    前記抽出された輝点画像を合成して一枚の画像に再構成した再構成画像を生成する生成手段、
    として機能させるための画像処理プログラム。
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