JP6502267B2 - ワクチンアジュバントおよび治療剤としての短鎖オリゴヌクレオチドの設計 - Google Patents
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Description
本願は、2013年2月18日に出願した米国仮特許出願第61/766,011号の優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第61/766,011号の開示はその全体が本明細書中に参考として援用される。
自然免疫は、原核生物および真核生物の病原体、例えば、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫などに対する身体の防御に極めて重要な役割を果たしている。実際、ウイルスによって引き起こされる急性および慢性の感染は主要な世界的公衆衛生危機を構成しており、まだ対処されていない大きな医学的必要性が存在している(1,2)。感染性疾患に加え、ウイルスは、世界中のすべてのがんの15〜20%、例えば、肝臓、頸部および膵臓のがん(各々は相当な死亡率および疾病率をもたらす)の原因である。
一態様において、本発明により、予防剤として有用なヌクレオシド、短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体(以下、本明細書において「本発明の化合物」と称する)を提供する。別の態様では、本発明により、ワクチンアジュバントとして有用なヌクレオシド、短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体を提供する。
R1およびR2は各々、独立して、H、OH、O−アルキル(akyl)、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アリール、O−ヘテロアリールアリール、または複素環式であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリールから選択され;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B1およびB2は各々、独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは改変ヌクレオシドであり;
m=1〜6.
R4は独立して、H、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリール、一リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基である)
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が包含される。
X=非存在、O、NH、NR、またはS;
X1=非存在、O、またはNH;
A=非存在、アリール、またはアラルキル;
n=0、1、2、3、4、または5;
R=アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式(heterocylic)、O−アルキル、O−ヘテロアリール、またはステロイド系;
R1およびR2は各々、独立して、H、OH、O−アルキル、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アリール、O−ヘテロアリールアリール、または複素環式であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリールから選択され;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B1およびB2は各々、独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは改変ヌクレオシドであり;
m=1〜6;
R4は独立して、H、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリール 一リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基である)
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である。
特定の実施形態では、例えば以下が提供される:
(項目1)
微生物感染症の処置の必要があると確認された被験体に有効量の予防剤を投与することにより、微生物感染症を処置する方法であって、前記予防剤が短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、方法。
(項目2)
被験体に有効量のワクチンアジュバントを投与することを含む、疾患、状態、感染またはウイルスに対する該被験体の免疫機構の応答を改善する方法であって、該ワクチンアジュバントが短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、方法。
(項目3)
前記短鎖オリゴヌクレオチド化合物またはその類似体が式(I):
(式中:
R 1 およびR 2 は各々、独立して、H、OH、O−アルキル(akyl)、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アリール、O−ヘテロアリールアリール、または複素環式であり;
R 3 は、水素、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリールから選択され;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B 1 およびB 2 は各々、独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは改変ヌクレオシドであり;
m=1〜6;
R 4 は独立して、H、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリール 一リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基である)
の化合物である、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記短鎖オリゴヌクレオチド化合物またはその類似体が式(II):
(式中
X=非存在、O、NH、NR、またはS;
X 1 =非存在、O、またはNH;
A=非存在、アリール、またはアラルキル;
n=0、1、2、3、4、または5;
R=アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アルキル、O−ヘテロアリール、またはステロイド系;
R 1 およびR 2 は各々、独立して、H、OH、O−アルキル(akyl)、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アリール、O−ヘテロアリールアリール、または複素環式であり;
R 3 は、水素、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリールから選択され;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B 1 およびB 2 は各々、独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは改変ヌクレオシドであり;
m=1〜6;
R 4 は独立して、H、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリール 一リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基である)
の化合物である、項目1または2に記載の方法。
(項目5)
前記短鎖オリゴヌクレオチド化合物またはその類似体が、下記の構造:
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目1または2に記載の方法。
(項目6)
前記短鎖オリゴヌクレオチド化合物またはその類似体が、下記の構造:
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目1または2に記載の方法。
(項目7)
前記方法がワクチンを投与することを含む、項目1または2に記載の方法。
(項目8)
前記ワクチンがBCGワクチンである、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記予防剤またはワクチンアジュバントが式(I)の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記予防剤またはワクチンアジュバントが式(II)の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目8に記載の方法。
(項目11)
前記予防剤またはワクチンアジュバントが下記の構造:
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目8に記載の方法。
(項目12)
前記予防剤またはワクチンアジュバントが下記の構造:
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目8に記載の方法。
(項目13)
前記ワクチンアジュバントが、微生物感染症を処置または予防するためのワクチンとともに投与される、項目2に記載の方法。
(項目14)
前記方法が、ウイルスに対する前記被験体の免疫機構の応答を改善するために使用される、項目7に記載の方法。
(項目15)
前記方法が、がんに対する免疫機構の応答を改善するために使用される、項目7に記載の方法。
(項目16)
被験体のウイルス感染症の予防および処置のための方法であって、有効量の化合物を該被験体に投与することを含み、該化合物が式(I)もしくは(II)の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、方法。
(項目17)
ワクチンまたは1種類以上のさらなる薬剤を前記化合物と併用して、または逐次的に投与することを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
該化合物が
または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目16に記載の方法。
(項目19)
被験体の細菌感染症の予防および処置のための方法であって、有効量の化合物を該被験体に投与することを含み、該化合物が式(I)もしくは(II)の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、方法。
(項目20)
ワクチンまたは1種類以上のさらなる薬剤を前記化合物と併用して、または逐次的に投与することを含む、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記化合物が
または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目19に記載の方法。
(項目22)
被験体の真菌感染症の予防および処置のための方法であって、有効量の化合物を該被験体に投与することを含み、該化合物が式(I)もしくは(II)の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、方法。
(項目23)
ワクチンまたは1種類以上のさらなる薬剤を前記化合物と併用して、または逐次的に投与することを含む、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記化合物が
または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目22に記載の方法。
(項目25)
被験体の寄生虫感染症の予防および処置のための方法であって、有効量の化合物を該被験体に投与することを含み、該化合物が式(I)もしくは(II)の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、方法。
(項目26)
該方法が、ワクチンまたは1種類以上のさらなる薬剤を前記化合物と併用して、または逐次的に投与することを含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記化合物が
または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、項目25に記載の方法。
一態様において、本発明は、本明細書に示した化合物および被験体の微生物感染症の処置のためのかかる化合物の使用方法を特色とする。別の態様では、本発明は、疾患、状態、感染またはウイルスに対する被験体の免疫機構の応答を改善するための化合物、組成物および方法に関する。
本発明がより容易に理解され得るように、まず、本明細書において便宜上、一部の特定の用語を定義し、まとめて示す。
以下のスキームおよび実施例の説明に使用されている場合があり得る略号は:
AcOHが、酢酸;
Boc2Oが、ジ−tert−ブチル−ジカーボネート;
Bocが、t−ブトキシカルボニル;
Bpocが、1−メチル−1−(4−ビフェニルイル)エチルカルボニル;
Bzが、ベンゾイル;
Bnが、ベンジル;
BocNHOHが、tert−ブチル N−ヒドロキシカルバメート;
t−BuOKが、カリウムtert−ブトキシド;
Bu3SnHが、水素化トリブチルスズ;
CDIが、カルボニルジイミダゾール;
CH2Cl2が、ジクロロメタン;
CH3が、メチル;
CH3CNが、アセトニトリル;
DMSOが、ジメチルスルホキシド;
EtOAcが、酢酸エチル;
EtOHが、エタノール;
Et2Oが、ジエチルエーテル;
HClが、塩化水素;
MeOHが、メタノール;
MOMが、メトキシメチル;
Msが、メシルまたは−SO2−CH3;
Ms2Oが、メタンスルホン酸無水物またはメシル−無水物;
NaClが、塩化ナトリウム;
NaHが、水素化ナトリウム;
NaHCO3が、重炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム;
Na2CO3 炭酸ナトリウム;
NaOHが、水酸化ナトリウム;
Na2SO4が、硫酸ナトリウム;
NaHSO3が、重亜硫酸ナトリウムまたは亜硫酸水素ナトリウム;
Na2S2O3が、チオ硫酸ナトリウム;
NH2NH2が、ヒドラジン;
NH4HCO3が、重炭酸アンモニウム;
NH4C1が、塩化アンモニウム;
OHが、ヒドロキシル;
OMeが、メトキシ
OEtが、エトキシ
TEAまたはEt3Nが、トリエチルアミン;
TFA トリフルオロ酢酸;
THFが、テトラヒドロフラン;
TPPまたはPPh3が、トリフェニルホスフィン;
Tsが、トシルまたは−SO2−C6H4CH3;
Ts2Oが、トリルスルホン酸無水物またはトシル−無水物;
TsOHが、p−トリルスルホン酸;
Phが、フェニル;
TBSが、tert−ブチル ジメチルシリル;
TMSが、トリメチルシリル;
TMSClが、塩化トリメチルシリル
である。
本発明により、ヌクレオシド、短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体を提供する。また、本発明は、プロドラッグ形態および代謝産物形態の該化合物も包含している。
R1およびR2は各々、独立して、H、OH、O−アルキル、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アリール、O−ヘテロアリールアリール、または複素環式であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリールから選択され;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B1およびB2は各々、独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは改変ヌクレオシドであり;
m=1〜6;
R4は独立して、H、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリール 一リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基である)
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が包含される。
X=非存在、O、NH、NR、またはS;
X1=非存在、O、またはNH;
A=非存在、アリール、またはアラルキル;
n=0、1、2、3、4、または5;
R=アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アルキル、O−ヘテロアリール、またはステロイド系;
R1およびR2は各々、独立して、H、OH、O−アルキル(akyl)、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、複素環式、O−アリール、O−ヘテロアリールアリール、または複素環式であり;
R3は、水素、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリールから選択され;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B1およびB2は各々、独立して、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたは改変ヌクレオシドであり;
m=1〜6;
R4は独立して、H、アルキル、置換アルキル、C(O)−アルキル、C(O)O−アルキル、C(O)−アリール、C(O)O−アリール、C(O)NH−アルキルおよびC(O)NH−アリール 一リン酸基、二リン酸基、または三リン酸基である)
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が包含される。
本発明の化合物は、宿主の免疫成分が関与している広範な治療領域、例えば限定されないが:アレルギー、炎症、自己免疫疾患、COPD、喘息などに有用である。この化合物はいくつかの機構によって免疫応答の調節因子として作用し得るという事実のおかげで、該化合物は自己免疫疾患において治療的有用性を有する。例えば、該化合物は自然免疫応答を刺激する潜在能を有するため、単独または他の薬剤との併用のいずれかで、さまざまながん、例えば限定されないが、黒色腫、骨髄腫、癌腫、神経膠芽腫および肉腫の処置に使用され得る。例えば、一部の特定の該オリゴヌクレオチド組成物は免疫応答を阻害する潜在能を有するため、単独または他の薬剤との併用のいずれかで、さまざまな自己免疫疾患、例えば限定されないが、アレルギー、喘息、COPDおよび多発性硬化症の処置に使用され得る。
さらに、本発明により、以下の図表に示す化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体の使用を提供する:
本発明により、薬学的に許容され得る担体を伴った本発明の化合物およびその誘導体を含む医薬組成物を提供する。本発明の別の例は、上記のいずれかの化合物と薬学的に許容され得る担体を合わせることにより作製された医薬組成物である。
本発明により、本明細書に示した疾患、状態または障害の処置または予防のためのキットを提供する。一実施形態では、キットは、有効量の本発明の化合物を含む単位投薬形態の治療用または予防用組成物を含むものである。一部の実施形態では、本発明の化合物はワクチンまたは慣用的な治療剤と併用して提供される。他の実施形態では、キットは、治療用または予防用組成物を内包する滅菌容器を備えたものである;かかる容器は、箱、アンプル、ビン、バイアル、チューブ、袋、パウチ、ブリスターパック、または当該技術分野で知られた他の適当な容器形態であり得る。かかる容器は、プラスチック、ガラス、ラミネート紙、金属箔、または医薬の保持に適した他の材料で作製されたものであり得る。
本発明の実例としての実施例に記載したヌクレオチド類似体のフォーカストライブラリーは既報のようにして合成した(17〜22)。固相合成と液相ストラテジーの両方を相補的な様式で使用し、実例に示したフォーカストライブラリーを作製した。該方法は、糖核酸塩基およびヌクレオチド間結合に改変を有するライブラリーの合成のために使用され得る。本発明者らの研究所でのいくつかの技術革新により、ヌクレオチドライブラリーの合成が容易になった:a)本発明者らは、以前に、固相ホスホルアミダイト技術およびH−ホスホネート技術を用いてジヌクレオチドライブラリーを合成するためのストラテジーを開発していた(17〜22)。また、本発明者らの研究所による最近の技術革新は、ジヌクレオチド化合物および類似体の固相合成にも使用された(17〜22)。(i)マイクロ波アシスト法を用いたアミノ−、およびカルボキシ−官能化固相支持体の超高速作製(ii)固相支持体上へのヌクレオシドの負荷のための新規な方法。溶媒としてジメチルホルムアミド(DMF)の使用を伴うヌクレオシド負荷支持体の大規模調製のための改善された方法を開発した。80〜300マイクロモル/g支持体の高ヌクレオシド負荷量が得られる。(iii)LOTUS(登録商標)と称する固相支持体の負荷のための新規な反応器およびジヌクレオチドの大規模合成を容易にする固相合成。LOTUS(登録商標)は、反応体の制御送達のための空気弁が取り付けられた多目的反応器である(20〜22)。
ホスホロチオエート類似体3−dApsU2’−OMe(1)のRp,Sp混合物を大規模で(Iミリモルのヌクレオシドが負荷された細孔性ガラス(CPG)支持体)、固相ホスホルアミダイト化学作用(Beaucage,S.L.;Iyer,R.P.Tetrahedron 1993,49,1925)を特別に制作したLOTUS反応器(登録商標)とともに用いて合成した(Padmanabhan,S.;Coughlin,J.E.;Iyer,R.P.Tetrahedron Lett.2005,46,343;Iyer,R.P.;Coughlin,J.E.;Padmanabhan,S.Org.Prep.Proc.Intl.2005,37,205)。dA結合CPG支持体を、本発明者らが最近見出した固相支持体のための超高速官能化/負荷法を用いて作製した。ヌクレオチド間ジヌクレオシドホスファイトカップリング生成物の硫化には、3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン−1,1,−ジオキシド(乾燥CH3CN中0.4M)の溶液を使用した(Iyer,R.P.;Regan,J.B.;Egan,W.;Beaucage,S.L.J.Am.Chem.Soc.1990,112,1253)。
SMNH化合物のNOD2活性化に関する評価を1次、2次および3次アッセイによって行なった。1次アッセイでは、SMNH化合物を、HLE A549細胞(これはNOD2を内因的に発現することが知られている)におけるIRF3発現の誘導について試験した。図1〜2に示すように、ジヌクレオチド類似体SB 40、SB 43、SB 44、およびSB 1BはIRF3活性化を誘導したが、関連類似体、例えば、ジヌクレオチドSB 50、SB 110、およびSB 60は誘導しなかった。2つの異性体RpとSpの混合物であるSB 44はSB 40のプロドラッグである。SB 1BはSB 44のRp異性体であり、図1〜2ではSB 44−1として示している。
NOD2およびRIG−Iの最適リガンドを見出すため、ジヌクレオチド構造SB 40およびSB 44を、以下に実例としての実施例として示す塩基改変と糖鎖改変の両方を含むさらなる化合物の合成のための最初のリード化合物として使用する。その合成には、固相合成ストラテジーと液相合成ストラテジーの両方を、ホスホルアミダイト化学作用およびH−ホスホネート化学作用とともに使用する。多くの構成ブロックは市販のものであるか、または所内で合成されるものである。
マウスでのワクチンの実験計画:C57Bl/6マウスにBCG単独、またはSB 1A、SB 1BおよびMDPと混合したBCGをワクチン接種した;この後、4週間後にヒト型結核菌での抗原エアロゾル刺激を行なった。4週間後に保護(MtbのCFU数の減少)の評価のためにマウスを致死させた。脾臓または肺のT細胞の表現型および機能をフローサイトメトリーを用いて測定した。図11(a)
SB 44およびSB 40を用いていくつかの前臨床試験を行なった。これらの試験は、リードアジュバント候補であるSB 1Bの転帰の実例を示すものである。
BCGを用いて試験で示されたように、SB 44およびSB 40の作用機序は、「外来」核酸の存在下でのRIG−IとNOD2の誘導および活性化を伴う。ほとんどの外来核酸はその構造内に、該核酸がRIG−IとNOD2によって「外来」として選択的に認識される根拠を構成する印章パターン(PAMP,病原体関連分子パターン)を有する。作用機序におけるこの特殊な選択性の実例を示すため、いくつかのインビトロ試験を行ない、以下にまとめる:
SB 44(10μM)を、S9画分(ヒトからプール)(1mg/ml)、NADPH(1.3mM)UDPGA(5mM)、アラメチシン(10μg/ml)(1mlの1×PBSバッファー中)、S−(5’−アデノシル)−L−メチオニンヨージド(0.1mM)、アデノシン3’−リン酸5’−ホスホ硫酸リチウム塩水和物(0.1mM)およびアセチルCoA(1mM)を含むミックスとともにインキュベートした。代謝産物の試料をHPLCとLC/MS解析によって評価した。
精製ヒト肝臓ミクロソーム試験と同様、プロドラッグSB 44をヒト肝臓S9画分に曝露すると、SB 44からジヌクレオチドSB 40への立体特異的変換がもたらされた。LC/MSによるインキュベーション物の評価により、主要生成物SB 40に加えて、SB 40に対応する微量の脱硫生成物(<5%)も形成されていることが明らかになった。また、いくつかの微量代謝産物も観察された。S9画分による代謝産物のパターンは、精製肝臓ミクロソームで観察されたものと同様であった。したがって、SB 44のフェーズIIの共役性反応(あれば)の明白な形跡または最初に形成される活性代謝産物SB 40の明白な形跡はない。
SB 44を、マディン−ダービーウシ腎臓(MDBK)、VeroおよびHFF(ヒト包皮線維芽細胞)を含む一群の細胞株に対する細胞毒性評価に供し、CC50を調べた。標準的なMicroculture Tetrazolium Assay(MTT)アッセイを96ウェルプレートで、MDBK、VeroおよびHFF細胞株(American Type Cell Collectionから取得)を用いて行なった。対照には、ヌクレオシド類似体3TC、AZT、およびddC、ならびに薬物なしの培地を含めた。SDSを細胞毒性の陽性対照として使用した。プロドラッグはすべて3連で、100、300、および1000μMの濃度で試験した。試験物質との細胞の24時間のインキュベーション後、MTTアッセイを行なった。
この試験の目的は、細菌突然変異試験のスクリーニング(非GLP)バージョンを用いて、試験物品の遺伝毒性を評価することであった。
この試験の目的は、SB 40およびSB 44のhERG(ヒトエーテル−a−go−go−関連遺伝子)カリウムチャネル電流(IKr、急速活性型遅延整流心筋カリウム電流の代用)に対するインビトロ効果を調べることであった。
SB 44は2つのジアステレオマー(Rp,Sp)の混合物であり、そのうちSB 1Bが、混合物中に55〜60%程度存在するRp異性体である。強制経口投与によって投与したSB 44を使用することによりいくつかの前臨床試験を実施した。試験の結果は、SB 1Bを単独で使用した場合に起こり得る転帰を示す。この試験は、解析方法論および生物分析方法論、毒物学試験の定式化、毒物学プロトコルなどがSB 1Bに転用され得るためSB 1Bでの前臨床試験のしっかりとした基盤を築いている。
この試験の目的は、潜在的毒性効果を調べること、毒性の潜在標的臓器を特定すること、および最大耐性量(MTD)を調べることであり、成体の雄および雌のSprague−Dawleyラットに毎日SB 44を7日間連続で強制経口投与した後のエンドポイントについての無毒性量(no observable adverse effect level)(NOAEL)を調べた。この試験の情報を用いてその後の毒性試験を設計し、ヒトでの用量案の好適性を判断した。この試験はフェーズAとフェーズBからなるものとした。フェーズAは用量範囲探索試験とした。試験には2匹のラット(雄1匹および雌1匹)を含めた。動物に1000mg/kgの単回用量のSB 44を強制経口投与(po)によって投与し、3日間観察した。どちらの動物も予測された体重増加を有し、予定された致死まで試験全体をとおして見かけ上は正常であった。検死は行なわなかった。
この試験の目的は、14日間、毎日経口用量の投与後のSB 44の潜在毒性効果を調べること、および小核評価によって判断されるSB 44の遺伝毒性を評価することであった。雄および雌のSprague−DawleyラットにSB 44を毎日、50、200および500mg/kg/日の用量で14日間連続で投与した。毒物動態学的(TK)評価の目的で並行群を同様に処置し、血漿をSB 44の活性代謝産物であるSB 40のレベルについて解析した。SB 44の潜在遺伝毒性を調べるために小核評価を行なった。15日目に主試験群のラットについて、28日目に回復群のラットについて検死を行なった。
ほとんどの試料のSB 40血漿濃度がLLOQまたはその付近であり、すべてのTKパラメータの測定が疑わしかったため、経口投与後の最大血漿中濃度(Cmax)および最終試料採取時点までの血漿中濃度時間曲線下面積(AUClast)のみを報告した。雄および雌ラットにおいて、1日目と14日目の両方でCmaxとAUClastに非線形用量関係がみられた。最高全身曝露を最高用量(500mg/kg)で雄と雌の両方について、14日目に測定し、14日目のSB 40のCmaxとAUClastの値は各投与用量で1日目のものよりも高かった。SB 44を14日間、毎日投与後のこのSB 40の蓄積は、肝臓への有意な分布と血漿中への低速放出による戻りが合わさって引き起こされたのかもしれない。一般的に雌は雄よりも多くの全身曝露を有しており、最大差は500mg/kg用量群における14日目で約2倍であった。胸腺の顕微鏡による所見およびSB 44のこのような効果からの回復の形跡の非存在に基づき、この試験での無影響量(no observed effect level)(NOEL)は50mg/kg/日であると判断した。
この試験の目的は、カニクイザルにSB 44を4日間連続で毎日強制経口投与した後に調べたエンドポイントについての最大耐性量(MTD)および無毒性量(NOAEL)を調べることであった。この試験の情報を用いてその後の用量範囲毒性試験を設計し、ヒトでの用量案の好適性を判断した。
このアッセイでは、PBMCを100万細胞/mlで24ウェルプレートにプレーティングした。プレート群をBCG、BCG+化合物で処理し、24時間インキュベートした。細胞を溶解させ、上清を採取した。サイトカインおよびI型インターフェロンの産生を、標準的なキットによりELISAアッセイを用いて評価した。同じ実験で、BCGは他のサイトカイン(IL−1、IL−6、IL−8、IL−10およびTNF)を誘導した。BCGと化合物で処理した細胞は、BCG単独と比べて高いIFN産生を誘導した。結果を図17に示す。
肝臓、腎臓、骨髄およびミトコンドリアへの毒性が予測される一群の細胞株を用いたリード化合物(1種類または複数種)のインビトロ細胞毒性試験(所内)。
Claims (6)
- 結核を処置するための組成物であって、該組成物は、予防剤を含み、該予防剤が短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体であり、
該組成物が、ワクチンとともに投与され、
該ワクチンがBCGワクチンであり、
該短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が、式(I):
(式中:
R1は、H、OH、またはO−アルキルであり;
R2は、HまたはOHであり;
B1は、
である)
の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体であるか、または
該短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が、式(II):
(式中
Xは、Oであり;
X1は、Oであり;
Aは、非存在であり;
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
Rは、アルキルであり;
R1およびR2は各々、独立して、H、OH、またはO−アルキルであり;
R3は、Hであり;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B1およびB2は各々、独立して、
であり;
R4は、Hである)
の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、
組成物。 - 結核に対する被験体の免疫機構の応答を改善するための組成物であって、該組成物は、ワクチンアジュバントを含み、該ワクチンアジュバントが短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体であり、
該組成物が、ワクチンとともに投与され、
該ワクチンがBCGワクチンであり、
該短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が、式(I):
(式中:
R1は、H、OH、またはO−アルキルであり;
R2は、HまたはOHであり;
B1は、
である)
の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体であるか、または
該短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が、式(II):
(式中
Xは、Oであり;
X1は、Oであり;
Aは、非存在であり;
nは、0、1、2、3、4、または5であり;
Rは、アルキルであり;
R1およびR2は各々、独立して、H、OH、またはO−アルキルであり;
R3は、Hであり;
YおよびZは各々、独立してOまたはSであり;
B1およびB2は各々、独立して、
であり;
R4は、Hである)
の化合物、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、組成物。 - 前記短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が、下記の構造:
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、請求項1または2に記載の組成物。 - 前記短鎖オリゴヌクレオチド化合物もしくはその類似体、または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体が、下記の構造:
の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、請求項1または2に記載の組成物。 - 前記予防剤またはワクチンアジュバントが式(I)の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記予防剤またはワクチンアジュバントが式(II)の化合物または薬学的に許容され得るその塩、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、幾何異性体もしくは互変異性体である、請求項1または2に記載の組成物。
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