JP6501531B2 - 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム - Google Patents
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Description
本発明は、複合的に疾患が生じている可能性がある場合においても、医師の診断を支援することが可能な技術を提供することを目的とする。
<実施形態1>
図1は、本実施形態における疾患候補提示装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態において、疾患候補提示装置100は、単一のコンピュータ装置で実現してもよいし、必要に応じて複数のコンピュータ装置に各機能を分散して実現するようにしてもよい。疾患候補提示装置100が複数のコンピュータ装置で構成される場合は、複数のコンピュータ装置が互いに通信可能なようにLocal Area Network(LAN)等で接続するものとする。なお、疾患候補提示装置100は、情報処理装置の一例である。
Central Processing Unit(CPU)101は、疾患候補提示装置100全体を制御する。Read Only Memory(ROM)102は、変更を必要としないプログラムやパラメータを格納する。Random Access Memory(RAM)103は、プログラムや各種データを一時記憶する。外部記憶装置104は、疾患候補提示装置100に固定して設置されたハードディスクドライブ(HDD)やメモリドライブ(SSD)である。また、外部記憶装置104は、疾患候補提示装置100に対して着脱可能なフレキシブルディスク(FD)やCompact Disk(CD)等の光ディスク、磁気や光カード、ICカード、メモリカード等である。CPU101がROM102や外部記憶装置104等に格納されたプログラムを実行することにより、後述する疾患候補提示装置100の機能構成及びフローチャートの処理が実現される。
入力インタフェース105は、医師等の操作を受けてデータを入力するポインティングデバイスやキーボード等の操作部である入力デバイス109とのインタフェースである。出力インタフェース106は、疾患候補提示装置100が保持するデータ、供給されたデータ、プログラムの実行結果等を出力するためのモニタ等の出力デバイス110とのインタフェースである。ネットワークインタフェース107は、インターネット等のネットワーク回線111に接続するためのインタフェースである。システムバス108は、疾患候補提示装置100における101〜107の各ユニットを通信可能に接続し、各種データの転送経路となる。
患者識別情報212は、患者情報取得部201への入力情報であり、患者を識別可能な情報であればどのような形態であってもよい。本実施形態では、疾患候補提示時に実行中の作業で対象としている患者の識別情報が既に特定済みであることを想定する。例えば、患者の診察中であれば、当該患者の電子カルテを参照、編集するアプリケーションが既に起動しており、前記アプリケーションにおいて患者識別情報が取得されているため、前記患者識別情報を入力とすればよい。ただし、これに限るものではなく、本実施形態が提供するような疾患候補提示機能を直接医師が呼び出せるようなアプリケーションを有する場合であれば、医師が患者IDを直接指定するようなUIを設けて患者識別情報212を入力するようにしてもよい。例えば、患者識別情報212は、キーボードから入力されたID情報であってもよいし、医療機関が管理する患者IDカード内の情報をカードリーダーに読ませて得られた情報であってもよい。
患者状態特定部202は、患者情報取得部201で取得された患者の様々な情報及びその組み合わせが、それぞれ、後述する疾患知識DB203上で定義されている患者状態の何れに対応するのか特定する。なお、所見や主訴等のテキスト情報からは、患者状態を表す言語表現が得られる。テキスト情報が自然文で書かれる場合は、このような言語表現を得るために、医療用語に特化したような形態素解析技術や固有表現抽出技術が必要となる。これらは、既知の形態素解析技術や固有表現抽出技術に、医療ドメイン特有の辞書情報・コーパスデータを与えることで実現可能であることが知られている。本実施形態では、これらの形態素解析技術や固有表現抽出技術、及びその辞書情報・コーパスデータに限らず、既知の技術やデータが利用可能であるものとする。患者状態特定部202は、このような患者情報を表す言語表現か、検査対象、検査項目、前記検査項目の値、又は前記検査項目の短期・長期的な傾向・変化を示す言語表現のセットによって、疾患知識DB203に患者状態の問い合わせを行う。そして、患者状態特定部202は、問い合わせに矛盾のない患者状態を疾患知識DB203から取得する。
また、非特許文献1で挙げた「臨床医学オントロジ」を適用してもよい。「臨床医学オントロジ」では、疾患がどのようにして生じるかを各患者状態の因果関係の接続情報とその範囲とによって定義する。この場合も、観測される可能性のある患者状態が疾患毎にわかる構造になっている。
このように、疾患知識DB203に格納されている疾患知識情報は、生じている患者状態によって疾患を区別可能に定義した疾患定義を含むものであれば、どのような形態の情報であってもよい。
前者(患者状態特定部202からの問い合わせ)の場合、所見や主訴情報等から得た患者状態を表す言語表現か、検査対象、検査項目、前記検査項目の値、又は前記検査項目の短期・長期的な傾向・変化を示す言語表現のセットの情報によって、疾患知識DB203上で疾患毎に定義されている患者状態を特定できるようにする。そのため、各患者状態について、言語表現のラベル情報や当該患者状態の検査対象、検査項目、前記検査項目の値、又は前記検査項目の傾向・変化を示す言語表現の定義情報を持つようにしておく。例えば、上述した微小変化型ネフローゼ症候群の例で言えば、「低アルブミン血症」の状態については、そのラベルである「低アルブミン血症」の表記や、当該状態の「対象」が「血液」で、「項目」が「アルブミン濃度」で、「値」が「3.0g/dL以下」である、といった定義情報を持つようにする。疾患知識DB203は、これらの定義情報と矛盾のないような問い合わせに対しては、患者状態として「低アルブミン血症」を表現した「状態」を一意に特定可能な情報を回答する。
後者(疾患候補探索部204からの問い合わせ)の場合、疾患知識DB203は、上述の患者状態を特定可能な情報を問い合わせとして受け取り、その問い合わせに矛盾のないような疾患を回答する。図3を用いて説明したように、「疾患」と「患者状態」とのセットの間には「疾患を定義する状態である」といった意味を持つ関係を持つようにする。
なお、疾患候補探索部204は、疾患候補毎に未特定状態を特定しておくものとする。図4の例であれば、疾患1〜3は疾患候補であり、疾患候補探索部204は、それぞれの疾患について破線で示した未特定状態(B、E、F、I)を特定しておく。
未特定状態情報取得部205は、疾患候補探索部204で取得された疾患候補の定義のうち、各未特定状態の定義情報を疾患知識DB203から取得する。本実施形態では、疾患知識DB203に、各患者状態について対象、項目、値又は傾向・変化の定義情報が格納されているものとし、未特定状態情報取得部205は、それぞれの未特定状態についての定義情報を取得する。
相反状態特定部206は、未特定状態情報取得部205で取得された未特定状態の定義情報を相互に比較することで、相反関係にある未特定状態を特定する。より具体的には、相反状態特定部206は、ある二つの患者状態の定義情報が同一対象、同一項目である患者状態について、その値ないし傾向・変化を示す言語表現が互いに相反するものを探す。例えば、図4における未特定状態B(503)について、対象:血液、項目:血圧、傾向:上昇であり、かつ、未特定状態E(507)について、対象:血液、項目:血圧、傾向:下降であったとする。この場合、相反状態特定部206は、未特定状態Bと未特定状態Eとが相反関係にあると特定する。
また、相反状態特定部206は、患者状態の定義情報が値の情報を持つ場合であれば、各種検査データの正常値(標準値)を定義した正常値DB214を参照するようにしてもよい。そして、相反状態特定部206は、一方の患者状態が同対象、同項目の正常値よりも低く、他方の患者状態が同対象、同項目の正常値よりも高くなるような定義がなされている場合は、それらの患者状態が相反関係にあると特定する。なお、ここでいう正常値は予め閾値として定められているものとする。
本実施形態において、相反状態特定部206は、全ての未特定状態について相反関係の有無を調べる。したがって、図4の例であれば、相反状態特定部206は、上述した未特定状態B(505)と未特定状態E(507)の対と、未特定状態F(508)と未特定状態I(512)の対とを特定する。
以下、詳細について説明する。まず、提示部207は、疾患候補探索部204で探索された疾患候補の集合(疾患候補一覧)を、そのまま提示することで疾患候補を示すことができる。例えば、提示部207は、図5のような疾患候補のリスト601を提示する。図5において、602は、疾患候補探索部204が疾患候補を探索したときに、疾患知識DB203上の疾患定義の患者状態が全て疾患候補探索部204からの問い合わせに含まれていた場合の疾患であり、リスト601において603、604よりも上位に出現している。また、603は、図4における疾患1(501)及び疾患3(510)であり、ともに定義されている3つの患者状態のうち1つの患者状態が未特定であったため、602の疾患に比べて下位の候補としてリスト601に出現している。604は、図4における疾患2(505)であり、定義されている4つの患者状態のうち2つの患者状態が未特定であったため、603よりも更にリスト601の下位に出現している。
更に、提示部207は、同疾患候補のうち、その定義に含まれる未特定状態が相反関係である疾患候補のまとまりを、同時に発生している可能性がある疾患候補セットとして提示する。即ち、提示部207は、相反する患者状態の対象・項目については互いにバランスを保つように作用しあうため、同時に起きているのであれば疾患知識DB203における患者状態の定義と合致しなくなるであろうことを想定した提示を行う。このとき、提示部207は、同時発生している可能性のある疾患候補セットを提示するだけでなく、疾患候補セットにおいて、何れの患者状態が相互に作用しあっている可能性があるのかを根拠となる情報として併せて提示する。
なお、図6のように、従来の疾患候補のリスト601と疾患候補セットのリスト701とは提示する際の観点が異なる情報であるため、提示部207は、それぞれを区別した状態で提示するようにしてもよい。これにより、医師は、疾患が単体で生じているのか、同時に複数生じているのかを異なる観点の両面から考えることができるようになる。また、提示部207が疾患候補セットのリスト701を提示する場合、その根拠となっている「相反する患者状態」が何であるのかを併せて提示することが医師の診断を支援する目的からも望ましい。ただし、提示方法はこれに限定するものではない。例えば、提示部207は、図7のように医師がリスト701にマウスカーソル1101を当てた場合にメッセージ1102をポップアップ表示するようにしてもよい。また、表示領域に余裕があるのであれば、提示部207は、リスト701の側(リスト701から所定の範囲内)に予め前記根拠を示す情報を表示してもよい。提示部207が表示する情報はこれらの情報に限定されるものではなく、医師が見て相反する患者情報が何であるかが分かれば他の情報であってもよい。例えば、リスト701であれば、「疾患1の患者状態Bと疾患2の患者状態Eが相互に作用している可能性があります。」や、「疾患3の患者状態Iと疾患2の患者状態Fが相互に作用している可能性があります。」といった根拠となるメッセージが表示されるようにしてもとい。このように根拠を提示するようにすることで、医師は、同時に疾患が生じている可能性について判断しやすくなる。
S301では、患者情報取得部201が、対象患者の患者識別情報212をキーとして、医療情報DB211から対象患者の患者情報を取得する。
S302では、患者状態特定部202が、疾患知識DB203に対して、患者情報取得部201で取得された患者情報によって定義されている患者状態と一致する患者状態を問い合わせ、特定する。なお、S302の処理は、患者状態を特定する第1の特定処理の一例である。
S303では、疾患候補探索部204が、疾患知識DB203に対して、患者状態特定部202で特定された患者状態を定義に含む疾患候補を問い合わせ、取得する。なお、S303の処理は、疾患候補を取得する取得処理の一例である。
S304では、未特定状態情報取得部205が、疾患候補探索部204で取得された全ての疾患候補について、各疾患候補を定義する患者状態のうちで、患者状態特定部202で特定できていない未特定状態を特定する。このとき、未特定状態情報取得部205は、未特定状態の各定義情報を併せて取得する。上述した通り、本実施形態における患者状態についての定義情報は、対象、項目、値又は傾向・変化について定義した情報である。なお、S304の処理は、第2の特定処理の一例である。
S306では、相反状態特定部206が、S305で選択した未特定状態と相反関係となる未特定状態が、S304で特定された未特定状態の中にあるか否かを判定する。そして、相反状態特定部206は、あると判定した場合はS307へ進み、ないと判定した場合はS308へ進む。
S307では、相反状態特定部206が、相互に相反関係にある未特定状態を特定できたので、相反関係にある未特定状態の「対」に関する情報を外部記憶装置104等に記録しておく。なお、記憶場所は外部記憶装置104に限るものではない。計算資源に耐えられ、データの永続化が不要等の場合には、RAM103に一時的に記録しておく等してもよい。
S308では、相反状態特定部206が、相反状態の有無の検証が済んでいない未特定状態が残っているかを判定する。相反状態特定部206は、残っていると判定した場合はS305へ戻り、検証が全て完了するまで処理を繰り返す。一方、相反状態特定部206は、残っていないと判定した場合はS309へ進む。
S309では、提示部207が、S307で記録された未特定状態の対を逐次参照し、参照した対の未特定状態をそれぞれ定義に含む疾患をまとめた疾患候補セットを特定する。提示部207は、全ての未特定状態の対について疾患候補セットを特定したらS310へ進む。
S310では、提示部207が、S303で取得された疾患候補と、S309で特定された疾患候補セットとを、先に述べた図6のように提示する。この際、提示部207は、前記疾患候補と前記疾患候補セットとを併せて提示するようにしてもよいし、別々に提示するようにしてもよい。別々に提示する場合は、入力デバイス109を介した医師の指示に応じて前記疾患候補の表示と前記疾患候補セットの表示とを切り替え可能としてもよい。
上述した実施形態1では、相反状態特定部206が、疾患知識DB203上に定義された各患者状態の定義情報に基づいて相反関係となる未特定状態を特定したが、相反関係となる未特定情報の特定方法はこれに限るものではない。例えば、相反状態特定部206は、ある疾患候補のある未特定状態に対して、疾患知識DB203とは異なる外部の記憶領域上の外部知識DBに相反関係に相当するノードが存在する場合に、前記ノードを特定するようにしてもよい。例えば、図9に示したように、外部知識DBにアクセスして薬の定義情報901が参照可能な場合を考える。なお、薬の定義情報901は、疾患と患者状態との両方に関連する関連情報の一例である。このとき、薬の定義情報901には、ある薬を示すノードである薬902について、当該薬の適応疾患である疾患903、当該薬の効果の情報904及び、当該薬の副作用の情報905が、各々関係付けられているとする。
ここで、未特定状態情報取得部205が、疾患4(906)の未特定状態として未特定状態P(907)を特定したとする。その場合、相反状態特定部206は、未特定状態P(907)と相反関係にある状態に相当する情報を、薬の定義情報901における各薬の効果の情報904と副作用の情報905とから特定する。ここでは、薬902の副作用の情報905を特定したとする。例えば、未特定状態P(907)について対象:大動脈、項目:血圧、値又は傾向:上昇と定義され、副作用の情報905には「血圧が低下する場合があります」と記載されている場合等が該当する。なお、相反状態特定部206は、この場合のように、副作用の情報905がテキストとして書かれている場合は、実施形態1で述べたような言語解析技術によって、それぞれの医学用語を取得する。その後、相反状態特定部206は、それぞれの用語の意味を医学用語の辞書や疾患知識情報等から得て、両者が相反する関係にあるかを検証すればよい。また、相反状態特定部206は、薬の定義情報901が疾患知識DB203上の疾患知識情報と同等の構造であれば、対象、項目が同一であるものについて、値や傾向が相反する内容であるかを、実施形態1と同様の方法で判定するようにすればよい。
このような処理を行う場合の機能構成等について、図10を用いて説明する。本実施形態では、図2に示した構成に加え、図10のように相反状態特定部206及び提示部207が外部知識DB801を参照できるように構成する。
また、このときの処理の流れを図11に示す。図11は、本実施形態における処理の一例を示すフローチャートである。図11に示す処理の流れは、概ね図8に示した処理の流れと同じであるが以下の点が異なる。図8におけるS306では、未特定状態情報取得部205が、実施形態1で上述した方法により疾患知識DB203を利用して、相反する未特定状態を特定した。一方、図11のS406では、未特定状態情報取得部205が、本実施形態において上述した方法により外部知識DB801を利用して、相反する未特定状態を特定する。
以上、本実施形態によれば、疾患知識DB203とは異なる外部知識DB801を活用した疾患候補提示を行うことができるようになる。そして、薬のような外部から患者状態に影響を与えるようなものであっても、疾患候補を提示する際に考慮することができるようになる。患者にとっては、服用中の薬が自分の別の疾患に及ぼす影響を把握できるわけではなく、問診で申告がもれてしまうこともある。しかし、本実施形態によれば、そのような場合であっても、医師は薬の服用の影響に気付くことができるようになる。こういった薬の服用が早期に確認できれば、疾患定義に合わないことに対する疑問が解消され、無駄な検査の時間や費用、患者負担を避けることができるようになる。
上述した実施形態2では、図9の疾患4(906)と同時に生じている可能性のある疾患5(908)を疾患候補セットとして提示する例について述べたが、提示方法はこれに限るものではない。医師にとっては、疾患4(906)における未特定状態P(907)がなぜ生じているかの根拠が提示されるだけでも、疾患4(906)について発生している可能性を考慮することができるようになる。そのため、図9のような場合であれば、提示部207は、疾患4(906)を従来の疾患リスト(図6のリスト601に相当)とは別のリスト(図6のリスト701に相当)に提示する。そして、提示部207は、その根拠情報として、薬の定義情報901における薬902の副作用によって未特定状態P(907)が未特定となっている旨を併せて提示する。
相反状態特定部206が外部知識DB801を参照する場合は、外部知識DB801上の定義情報が何であるかの情報が、医師にとっては重要な判断材料になる。そのため、提示部207は、相反状態特定部206が参照した外部知識DB801上の定義情報についてのメタ情報(どういう情報源であるか)と、その情報源で相反する情報とした情報の内容を提示するようにする。
以上、本実施形態によれば、必ずしも外部知識DB801によって疾患まで絞り込めなくても、何らかの影響によって未特定な患者状態を含んでいる疾患候補とその根拠に相当する情報を医師に提示できるようになる。
上述した実施形態3では、疾患4(906)を従来の疾患リスト(図6のリスト601に相当)とは別のリスト(図6のリスト701に相当)に提示するようにしたが、提示方法はこれに限るものではない。提示部207は、根拠となる情報を特に明示する必要がないのであれば、単一疾患として出現している可能性を示すために、根拠が特定されていない他の疾患よりも疾患リスト(図6のリスト601に相当)の上位に提示するようにしてもよい。また、提示部207は、前記疾患リストの上位に提示する際、未特定の患者状態があるが、根拠となった情報があるため根拠が特定されていない他の疾患よりも上位に提示している旨がわかるように、他の疾患候補と区別可能に提示するようにしてもよい。例えば、提示部207は、色やフォントを変えたり、根拠情報にアクセス可能な記号を併せて表示したりする等、他の疾患候補よりも強調して提示するようにしてもよい。
以上、本実施形態によれば、未特定状態の根拠が特定されている疾患候補を、未特定状態の根拠が特定されていない疾患候補と区別して提示する提示方法を提供することができる。これにより、医師がより情報を得やすいと感じる提示方法を選択できるようになる。
上述した各実施形態では、疾患知識DB203において、各疾患を患者状態によって定義するようにした。このとき、疾患によっては、各患者状態の発生度合いが異なることがある。そこで、疾患の患者状態について、必ず見られる患者状態、多くの場合に見られる患者状態、比較的多くの場合に見られる患者状態、といった発生度合の違いを段階的に区別するようにして定義してもよい。この場合、上述した「多くの場合」と判定される基準と、「比較的多くの場合」と判定される基準とについては各々予め定めておくものとする。例えば、「多くの場合」と判定される基準を発生確率80%、「比較的多くの場合」と判定される基準を発生確率50%と定義する等、予め任意の方法によって定めておく。
疾患知識DB203における疾患の定義が、このような患者状態の段階的な発生度合に基づく定義を前提とする場合は、提示部207による提示方法を前記発生度合いに応じて切り替えるようにしてもよい。例えば、必ず見られるべき患者状態が未観測であった疾患であれば、提示部207は、前記疾患が単一疾患であることの確度を前記患者状態が観測された場合よりも下げて提示したり、単一疾患の疾患候補として提示しないようにしたりする。一方、提示部207は、当該患者状態と相反関係にある患者状態を持つ他の疾患候補があるのであれば、疾患候補セットについては少なくとも単体での提示よりも優先的に医師に提示するようにしてもよい。また、必ずしも観測されるわけではない患者状態が未観測の場合、提示部207は、その発生度合いに応じて、単一疾患である可能性と、疾患セットである可能性とがあることをそれぞれ提示するようにする。即ち、提示部207は、予め定められている患者状態の発生度合に応じて疾患セットを優先的に提示したり、単一疾患である可能性も併せて提示したりする。
以上、本実施形態によれば、疾患候補を提示する際に優先付けが行えるようになり、医師は所望の情報を効率的に得られるようになる。
上述した実施形態1では、定義に合致する患者状態が特定できなかった未特定状態を対象に、相反関係となる未特定状態があるか否かを判定するようにした(S306)。しかし、ある未特定状態を引き起こす原因となった患者状態が必ずしも相反関係にある未特定状態であるとは限らないため、S306の処理が疾患候補に含まれる全ての患者状態に対して実行されるようにしてもよい。例えば実施形態1では、図4における疾患2(505)の未特定状態F(508)を、疾患3(510)の未特定状態I(512)の存在を根拠に検証対象としていた。しかし、疾患3(510)における未特定状態I(512)は特定された状態になり得る。より強く未特定状態I(512)の影響が患者に及んでいる場合は、未特定状態I(512)だけ特定できる場合がある。
以上、本実施形態によれば、上述のように検証の対象を広げることで、患者に対する患者状態の影響の度合いが、何れか一方で強く効いている場合であっても、複合的に生じている疾患として提示できるようになる。
上述した各実施形態では、同時に複数の疾患が発生した場合に、それらの疾患に含まれるある患者状態間に相反関係があれば、それらが相互に作用しあうことで患者状態の定義に合わない状態に陥ることを想定していた。しかし、実際には、複合的に疾患が生じた場合に相反関係となる患者状態が必ず未特定状態になるわけではない。例えば、両者がギリギリ定義に合致するような状態にもなり得る。そのため、患者状態の定義の境界値に近ければ上述した未特定状態の場合と同様の処理を適用して、複合的に生じている疾患や、影響のある外部知識DB801で定義されている状態を検証するようにしてもよい。なお、この場合、境界値からの差の大きさに関する閾値を予め定めておくものとする。即ち、定義に合致する患者状態であっても、患者状態を示すデータと前記患者状態の定義におけるデータ範囲の境界値との差が予め定められた閾値よりも小さくなる場合には、前記患者状態を未特定な患者状態とみなして処理を行う。
また、境界値ギリギリである場合だけでなく、過去の患者状態の値の変化を参照するようにしてもよい。即ち、これまで大きな値の変化がなかったのに、突然大きく正常値に近づくような変動をしたような場合に、上述した未特定状態の場合と同様の処理を行うようにしてもよい。なお、この場合、「大きな変化があった」とみなされる変化量に関する閾値を予め定めておくものとする。
以上、本実施形態によれば、一見全て定義通りに患者状態が特定できている場合であっても、潜在的に複合的な疾患が発生している可能性を提示することができるようになる。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
Claims (16)
- 指定された患者の患者情報に基づいて、疾患毎に定義されている患者状態のうち前記患者の患者状態と一致する患者状態を特定する第1の特定手段と、
前記第1の特定手段により特定された患者状態を前記定義の一部に含む疾患候補を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された疾患候補の各疾患について、前記定義されている患者状態のうち前記第1の特定手段により特定されなかった未特定な患者状態を特定する第2の特定手段と、
前記第2の特定手段により特定された未特定な患者状態のうち、相反関係となる患者状態が存在するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により相反関係となると判定された患者状態を前記定義に含む疾患を組み合わせた疾患候補セットを提示する提示手段と、
を有する情報処理装置。 - 前記提示手段は、前記疾患候補セットとともに、前記疾患候補セットに含まれる疾患候補の各々が相互に影響している根拠として前記判定手段により相反関係にあると判定された患者状態を併せて提示する請求項1に記載の情報処理装置。
- 前記判定手段は、前記定義されている患者状態の定義情報に基づいて前記未特定な患者状態のうち相反関係となる患者状態が存在するか否かを判定する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
- 前記判定手段は、一の患者状態についての定義情報に含まれる言語表現と、他の患者状態についての定義情報に含まれる言語表現とが相反する意味であるか否かを言語表現に関して予め設定されている言語情報に基づいて判定することにより、前記一の患者状態と前記他の患者状態とが相反関係であるか否かを判定する請求項3に記載の情報処理装置。
- 前記判定手段は、一の患者状態についての定義情報に含まれる検査データの値が予め設定されている閾値よりも高く、他の患者状態についての定義情報に含まれる検査データの値が予め設定されている閾値よりも低い場合に、前記一の患者状態と前記他の患者状態とが相反関係であると判定する請求項3に記載の情報処理装置。
- 前記第1の特定手段は、前記指定された患者の患者情報と、疾患を患者状態の組み合わせによって区別可能に定義した疾患定義情報とに基づいて、疾患毎に定義されている患者状態のうち前記指定された患者の患者状態と一致する患者状態を特定する請求項1乃至5の何れか1項に記載の情報処理装置。
- 前記取得手段は、前記定義の一部に含まれる前記特定された患者状態の数が、前記定義されている患者状態の総数に対して所定の割合以上である場合に、前記特定された患者状態を定義に含む疾患候補を取得する請求項1乃至6の何れか1項に記載の情報処理装置。
- 前記提示手段は、前記取得手段により取得された疾患候補と、前記疾患候補セットとを操作部を介して受け付けた指示に応じて切り替えて提示する請求項1乃至7の何れか1項に記載の情報処理装置。
- 外部の記憶領域から患者状態と疾患とに関連する関連情報を取得する情報取得手段を更に有し、
前記判定手段は、前記取得された関連情報と相反関係にある一の患者状態に対して、前記関連情報に関連する疾患について定義されている他の患者状態が相反関係にあると判定する請求項1に記載の情報処理装置。 - 前記提示手段は、更に、前記一の患者状態が前記第1の特定手段により特定されなかった未特定な患者状態であることの根拠として前記関連情報を提示する請求項9に記載の情報処理装置。
- 前記提示手段は、前記未特定な患者状態について根拠が特定されている疾患候補を、根拠が特定されていない疾患候補と区別して提示する請求項1乃至10の何れか1項に記載の情報処理装置。
- 前記提示手段は、前記疾患候補と前記疾患候補セットとを提示する際に、予め定められた患者状態の発生度合に基づいて優先付けして提示する請求項1乃至11の何れか1項に記載の情報処理装置。
- 前記取得手段により取得された疾患候補の各疾患について、前記定義されている患者状態におけるデータの変化量が、前記患者状態についての定義情報で予め定められている閾値よりも大きくなった場合に、前記患者状態を未特定な患者状態と特定する第3の特定手段を更に有し、
前記判定手段は、前記第3の特定手段により未特定な患者状態が特定された場合には、前記第3の特定手段により特定された未特定な患者状態のうち、相反関係となる患者状態が存在するか否かを判定する請求項1乃至12の何れか1項に記載の情報処理装置。 - 前記第2の特定手段は、前記第1の特定手段により特定されなかった患者状態を未特定な患者状態と特定するとともに、前記第1の特定手段により特定された患者状態のうち、患者状態を示すデータと前記患者状態の定義におけるデータ範囲の境界値との差が予め定められた閾値よりも小さくなる患者状態を未特定な患者状態と特定する請求項1乃至13の何れか1項に記載の情報処理装置。
- 情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
指定された患者の患者情報に基づいて、疾患毎に定義されている患者状態のうち前記患者の患者状態と一致する患者状態を特定する第1の特定ステップと、
前記第1の特定ステップにより特定された患者状態を前記定義の一部に含む疾患候補を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された疾患候補の各疾患について、前記定義されている患者状態のうち前記第1の特定ステップにより特定されなかった未特定な患者状態を特定する第2の特定ステップと、
前記第2の特定ステップにより特定された未特定な患者状態のうち、相反関係となる患者状態が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより相反関係となると判定された患者状態を前記定義に含む疾患を組み合わせた疾患候補セットを提示する提示ステップと、
を含む情報処理方法。 - コンピュータに、
指定された患者の患者情報に基づいて、疾患毎に定義されている患者状態のうち前記患者の患者状態と一致する患者状態を特定する第1の特定ステップと、
前記第1の特定ステップにより特定された患者状態を前記定義の一部に含む疾患候補を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにより取得された疾患候補の各疾患について、前記定義されている患者状態のうち前記第1の特定ステップにより特定されなかった未特定な患者状態を特定する第2の特定ステップと、
前記第2の特定ステップにより特定された未特定な患者状態のうち、相反関係となる患者状態が存在するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより相反関係となると判定された患者状態を前記定義に含む疾患を組み合わせた疾患候補セットを提示する提示ステップと、
を実行させるためのプログラム。
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