JP6501439B1 - 思考支援システム、思考支援プログラム、思考支援プログラム記憶媒体、および思考支援情報記録媒体 - Google Patents

思考支援システム、思考支援プログラム、思考支援プログラム記憶媒体、および思考支援情報記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】思考対象テキストと関連し、従来のアナロジーにおけるヒント提供の枠を超えた、柔軟で幅広いヒント提供を、使用者のスキル・知識などに大きく依存することなく、かつ、使用に対する労力が大きくない思考支援技術を提供する。
【解決手段】語句間のつながりに関する情報を用いて、思考対象テキストに含まれるヲ格の近傍に位置する語句の組であるヲ格近傍語句組を関連性の高い語句組であるヲ格近傍語句組である関連ヲ格近傍語句組に変換し、その変換された関連ヲ格近傍語句組の情報も用いて、ヲ格を関連性の高い関連ヲ格に変換することにより、思考対象テキストと関連性の高いテキスト(ヒント)を提示する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自然言語処理技術に関し、特に取得された思考の対象となるテキストに対し関連を有するテキストの候補を提示する思考支援技術に関する。
さまざまな課題を解決するためのヒントを得る有用な手法の一つとしてアナロジーがある(特許文献1、特許文献2、非特許文献1、および非特許文献2など参照)。非特許文献2には、「折刃式カッターナイフ」を発想するためのヒントを、アナロジーを用いて得る事例についての説明がある。具体的には、「切断すると鋭利」という視点より「ガラス」と「カッターナイフ」の類似性を得、また、「溝部を設けることにより切断可能」という視点より「板チョコレート」と「カッターナイフ」の類似性を得、これら2つの類似性をヒントとして提示することにより、「折刃式カッターナイフ」という発想を可能とする創造性の高い設計支援を実現しようとしている。
特許第3373868号公報 特開2017−59077号公報
細谷功, アナロジー思考,東洋経済新報社, 2011, ISBN978-4-492-55697-9 武田英明他, Universal Abduction Studioの開発(第4報)−UASのための多重解釈型知識表現−, 精密工学会学術講演会講演論文集2004年度精密工学会春季大会, 197-197, 2004 J. Pennington, R. Socher, C. D. Manning, GloVe: Global Vectors for Word Representation, Proceedings of the 2014 Conference on Empirical Methods in Natural Language Processing (EMNLP), 1532-1543, 2014 T. Mikolov, I. Sutskever, K. Chen, G. Corrado, J. Dean, Distributed Representations of Words and Phrases and their Compositionality, Proceedings of Advances in Neural Information Processing Systems 26, 3111-3119, 2013 Masayuki Asahara, NWJC2Vec: Word embedding dataset from ‘NINJAL Web Japanese Corpus’, Terminology: International Journal of Theoretical and Applied Issues in Specialized Communication, 24:1, 7-22, 2018 nwjc2vec(国立国語研究所):http://nwjc-data.ninjal.ac.jp/nwjc2vec/ 神崎享子他, コーパスからの単語間の意味関係の獲得とその応用, 情報通信研究機構季報, 53巻3号, 29-37, 2007 Pang-Ning Tan, Vipin Kumar, Jaideep Srivastava, Selecting the Right Interestingness Measure for Association Pattern, Proc. ACM-SIGKDD Conf. Knowledge Discovery and Data Mining, 491-502, 2002 日本語記述文法研究会, 現代日本語文法2, くろしお出版, 2009, ISBN978-4-87424-460-9 村岡雅康他, 係り受け関係を用いた句ベクトルの生成, 言語処理学会第20回年次大会発表論文集, 1055-1058, 2014
アナロジーは、課題に対するヒントを見出すことができれば非常に効果的な手法である。しかしながら、非特許文献2のような支援システムなどを用いずに人手のみでヒントを見出そうとすれば、使用者の知識・スキル等に大きく依存するという課題があった。また、そのような支援システムを用いる場合には、その構築と使用に多大な労力を要するという課題があった。
また、後に示すように、従来のアナロジーという手法では、「対象」に関する構造的な類似性に着目しているため、それ以外の関連性に基づく柔軟で幅広いヒントを得ることは一般に難しいという課題があった。
同様の理由により、思考の対象が、具体的な「もの」ではなく、抽象的な「こと」である場合にも、従来のアナロジーでは、「対象」に関する構造的な類似性を見出すことは一般に難しいため、有用なヒントを得ることは一般に難しいという課題もあった。
ここで、非特許文献2にも記されている「折刃式カッターナイフ」を具体例として取り上げ、上記の課題について説明する。具体的には、「折刃式カッターナイフ」に関する課題を「鋭い刃を保つ」という課題テキストとして捉え、この課題テキストに対し、例えば、「違う向きを合わせる」や「違う長さを合わせる」というヒントを得たという場合を例にとり、より具体的に説明する。
図2は、前者のヒント「違う向きを合わせる」というヒントに基づいて発想したアイデア「回転刃式カッターナイフ」に関する発想支援事例である。また、図3は、後者のヒント「違う長さを合わせる」というヒントに基づいて発想したアイデア「多重カッターナイフ」に関する発想支援事例である。
図2および図3より明らかなように、前者のヒントからは、「折刃式カッターナイフ」とは別の形態の解決案を発想することが可能であり、また、後者のヒントによる「多重カッターナイフ」の発想からは「折刃式カッターナイフ」の発想へとつなげることが可能である。
このように、一見、関連性のないようなヒント「違う向きを合わせる」や「違う長さを合わせる」を得ることによっても、有効に発想を支援することができると言える。しかしながら、従来のアナロジーでは、このような、柔軟で幅広いヒントを得ることは一般には難しいという課題があった。
また、抽象的な「こと」を対象とする事例として、「新たなアイデアを生み出す」という課題テキストを考えることとする。この課題テキストに対し、「明確な動機を与える」というヒントを得た場合を考える。
「新たなアイデアを生み出す」ことを求められたとき、「なんでもいいから」「新たなアイデアを生み出す」ことを求められる場合よりも、「〜という動機・目的のために」「新たなアイデアを生み出す」ことを求められる場合の方が、一般に「アイデアを生み出す」発想は促進されると言える。
このように、「新たなアイデアを生み出す」という「こと」と構造的な類似性のほとんどない「明確な動機を与える」というヒントを得ることによっても、有効に発想を支援することができると言える。しかしながら、従来のアナロジーでは、このような抽象的な「こと」に対するヒントを得ることは一般に難しいという課題があった。
本発明は、思考の対象となる課題を表した課題テキストと関連し、その課題解決に有効となるテキスト(ヒント)を、語句間のつながり情報を用いて、課題の「対象」に着目するのではなく、「対象」に対する「作用」に着目することによって、従来のアナロジーでは得られなかったより柔軟で幅広いヒント提供を可能とし、そして、使用者の知識・スキルなどに大きく依存することのない思考支援技術を提供することを目的としている。
このような目的を達成するために、本発明にかかわる思考支援システムは、語句間のつながりに関する情報を備え、該情報を用いて、思考の対象となるテキストである入力テキストの「作用」を表すヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句組を、関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組へ変換し、該関連ヲ格近傍語句組に関する情報も用いて前記ヲ格を関連性の高い関連ヲ格に変換することにより、入力テキストに関連するテキストを得られるように構成されている。
また、本発明にかかわる思考支援システムは、語句間のつながりに関する分散表現形式の情報を含む語句間のつながりに関する情報を備え、該情報を用い、特に分散表現形式の情報を元にもつ空間における平行移動性に関する指標も用いて、思考の対象となるテキストである入力テキストの「作用」を表すヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句組を、関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組へ変換し、該関連ヲ格近傍語句組に関する情報も用いて前記ヲ格を関連性の高い関連ヲ格に変換することにより、入力テキストに関連するテキストを得られるように構成されている。
また、本発明にかかわる思考支援システムは、ヲ格の近傍に位置する語句であるヲ格近傍語句と名詞句とのつながりに関する情報を含む語句間のつながりに関する情報を備え、該情報を用い、思考の対象となるテキストである入力テキストの「作用」を表すヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句組を、特に前記ヲ格に含まれる名詞句と該ヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句との共起性に関する指標も用いることにより、関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組へ変換ことにより、入力テキストに関連するテキストを得られるように構成されている。
また、本発明にかかわる思考支援システムは、ヲ格の近傍に位置する語句であるヲ格近傍語句と名詞句とのつながりに関する情報と、語句間のつながりに関する分散表現形式の情報とを含む語句間のつながりに関する情報を備え、該情報を用い、思考の対象となるテキストである入力テキストの「作用」を表すヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句組を、特に前記ヲ格に含まれる名詞句と該ヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句との共起性に関する指標、および前記分散表現形式の情報を元にもつ空間における平行移動性に関する指標も用いることにより、関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組へ変換し、該関連ヲ格近傍語句組に関する情報も用いて前記ヲ格を関連性の高い関連ヲ格に変換することにより、入力テキストに関連するテキストを得られるように構成されている。
また、本発明にかかわる思考支援システムは、ヲ格の近傍に位置する語句であるヲ格近傍語句と名詞句とのつながりに関する情報と、語句間のつながりに関する分散表現形式の情報とを含む語句間のつながりに関する情報を備え、該情報を用い、思考の対象となるテキストである入力テキストの「作用」を表すヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句組を、特に前記ヲ格に含まれる名詞句と該ヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句との共起性に関する指標、および前記分散表現形式の情報を元にもつ空間における平行移動性に関する指標も用い、前記ヲ格の情報は用いずに関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組へ変換し、該関連ヲ格近傍語句組に関する情報も用いて前記ヲ格を関連性の高い関連ヲ格に変換することにより、入力テキストに関連するテキストを得られるように構成されている。
また、本発明にかかる思考支援プログラムは、コンピュータを、前述した思考支援システムを構成する各手段として機能させるためのプログラムである。
また、本発明にかかる思考支援プログラム記憶媒体は、前記思考支援プログラムを記憶したコンピュータ読み込み可能なプログラム記憶媒体である。
また、本発明にかかる思考支援情報記憶媒体は、語句間のつながり情報のうち少なくともヲ格に含まれる名詞句とその近傍に位置する語句とのつながりに関する情報を記憶したコンピュータ読み込み可能な情報記録媒体である。
本発明によれば、思考の対象となる課題を表した課題テキストに対して、従来のアナロジーにおける「対象」との構造的な類似性に基づくヒントの提供に限定されることなく、さらには、思考の対象を具体的な「もの」のみでなく抽象的な「こと」にまでも広げた、より柔軟で幅広いヒントの提供を、使用者の知識・スキルなどに大きく依存することなく、比較的容易に実現できるという効果を奏する。
思考支援システムの構成を示すブロック図である。 「鋭い刃を保つ」という課題に対する発想支援事例(「回転刃式カッターナイフ」)である。 「鋭い刃を保つ」という課題に対する発想支援事例(「多重カッターナイフ」)である。 思考支援システムの入力画面表示例である。 思考支援システムにおける処理を示すフローチャートである。 思考支援システムの入力画面表示例である。 分散表現空間における平行移動性の説明図である。 思考支援システムの出力画面表示例である。 思考支援システムの出力画面表示例である。
[発明の原理]
アナロジーは、「対象」に着目し、その「対象」を構造的な類似性の高い他の「対象」へと変換を行うことにより思考支援を行う手法である。しかしながら、その「対象」に着目するが故に、より柔軟で幅広いヒントを提供することを難しくしているという一面もある。
そのため、本発明は、「対象」それ自身よりも対象への「作用」に着目し、その「作用」を関連性の高い他の「作用」へと変換を行うことにより、より柔軟で幅広いヒントを提供しようとするものである。
また、その「作用」の変換においても、「作用」自体の構造的類似性には着目せず、「作用」を構成している語句のつながりに着目して変換を行うことにより、より柔軟で幅広いヒントを提供しようとするものである。
以下、詳細に説明していく。まずは、「作用」について説明する。
「作用」は、課題を表す課題テキストにおいて、「対象」を表すヲ格の近傍に位置する語句組(ここでは「組」は「順序組」を意味し、「対(順序対)」も含める)であるヲ格近傍語句組により表されているといえる。前述の「鋭い刃を保つ」という課題テキストにおいては、ヲ格は<刃を>となり、ヲ格近傍語句組は(<鋭い>、<保つ>)という語句組となる。(ここでは、語句は区別を容易にするために鍵括弧<>で囲み表す。)
このヲ格近傍語句組を、関連性の高い他の語句組である関連ヲ格近傍語句組へと変換することにより、「作用」の変換を実現することができる。「鋭い刃を保つ」から「違う向きを合わせる」、「違う長さを合わせる」というヒントの提示については、(<鋭い>、<保つ>)というヲ格近傍語句組から(<違う>、<合わせる>)という関連ヲ格近傍語句組への変換とみることができる。(この例では1対1の対応となっているが、1対多の対応、すなわち、複数の語句組への変換も、ここで述べる変換に含まれる。)
なお、ヲ格は「作用の対象」(ここでは、「動作の対象」「心的活動の対象」などを含める)を表す他に、「空間的な経過域」、「時間的な経過域」などを表す場合もある。例えば、「川を泳いで渡った」の<川を>、「お正月を実家で過ごした」の<お正月を>などを挙げることができる(非特許文献9など参照)。したがって、本発明におけるヲ格はこのようなヲ格を除いても構わない。
また、その一方で、ヲ格ではないが、ヲ格と同一視することができるものもある。例えば、受動態「課題は解決された」は能動態「課題を解決した」と言い換えることができ、<課題は>は<課題を>というヲ格と同一視できる。
別の例として、複合名詞「概念学習」は「概念を学習すること」と言い換えることができ、複合名詞を形成する名詞<概念>は<概念を>というヲ格と同一視できる。さらには、「N1のN2」タイプである「技術の導入」は「技術を導入すること」と言い換えることができ、<技術の>は<技術を>というヲ格と同一視できる。
このように、言い換えによりヲ格と同一視できるさまざまな語句や格などが存在する。したがって、このような語句や格などを言い換えたヲ格を、本発明におけるヲ格に含めても構わない。
以上、説明したように言い換えによりヲ格と同一視できるさまざまな語句や格などが存在する。そのような言い換えも含めたテキストにおけるヲ格が「対象」を表し、そのヲ格の近傍に位置する語句の組であるヲ格近傍語句組が「作用」を表すといえる。
次に、語句間のつながりに関する情報を用いた「作用」の変換、すなわち、課題テキストに含まれるヲ格近傍語句組の変換について説明する。
まず、語句間のつながりに関する情報について説明する。語句間のつながりに関する情報には、さまざまな種類がある。そして、それらの情報の形式としては、局所表現と分散表現という2つ形式に大別することができる。
局所表現形式や分散表現形式の情報においてはベクトルがよく用いられる。(ここでは、ベクトルは、列ベクトルもしくは行ベクトルのことを表し、行列などの線形性を表す対象は含めないものとする。)そのベクトルの特徴量である次元を用いて2つの形式を表せば、局所表現形式とは1つの語句に1つの次元を対応させた表現形式であり、分散表現形式とは複数の語句に複数の次元を対応させた表現形式であるといえる。
局所表現形式、分散表現形式の順に、語句間のつながりに関する情報について説明する。はじめに、局所表現形式の語句間のつながりに関する情報について説明する。
ここでは、2つの語句WiとWjとの間のつながりに関する情報を語句間つながり情報R(Wi, Wj)と表す。語句間つながり情報R(Wi, Wj)としては、以下のようなさまざまな情報を利用することができる。
例えば、2つの語句Wi、Wjに関して、同一文章内における共起の有無・頻度など、固定長ウィンドウ内における共起の有無・頻度(ウィンドウのサイズを前後n単語とする単語n-gramなど)など、係り受け関係の有無・頻度など、特定係り受け関係の有無・頻度など、等々のさまざまな語句間のつながり情報をR(Wi, Wj)として利用することができる。
さらに、これらの情報R(Wi, Wj)を(i,j)成分とする行列を考えることができる。例えば、2つの語句Wi, Wjに関する同一文章内における共起の頻度をR(Wi, Wj)とすると、それは語句の共起行列と呼ばれるものとなる。語句がn種類あるとすれば、この行列はn次正方行列となる。このような行列形式として情報を記憶させ利用することもできる。
しかしながら、語句の種類が増加すると、行列の次元が増加し、巨大で疎な行列(成分の多くが0となる行列)となる。巨大で疎な行列を扱う場合には、記憶容量や計算量も増加するという問題が生じる。この問題を解決する1つの方法として、次元を圧縮する方法がある。具体的には、特異値分解(SVD)、主成分分析(PCA)などを用いて次元圧縮を行うことができる。
このように次元圧縮をした情報は、1つの語句に1つの次元は対応しておらず、複数の語句に複数の次元が対応しており、分散表現形式の情報であるといえる。このような分散表現形式の情報をつくる手法は、特異値分解(SVD)、主成分分析(PCA)以外にもWord2Vec、GloVeなどの手法(非特許文献3〜6参照)などがある。
以上述べてきた分散表現形式の情報においては、各語句に対応する情報はベクトルである。しかしながら、ベクトルの他にもさまざまな種類の分散表現形式の情報が利用できる(非特許文献10参照)。具体的には、行列、テンソル、そしてベクトルと行列の組などである。
次に、これらのさまざまな語句間のつながり情報を用いた「作用」の変換方法について説明する。「作用」の変換とは、具体的には、課題テキストにおける「作用」を表すヲ格近傍語句組を関連性の高い語句組である関連ヲ格近傍語句組に変換することである。すなわち、ある語句組を関連する他の語句組に変換することであるといえる。はじめに、語句を関連する他の語句に変換する方法について説明し、その後、語句組を関連する他の語句組に変換する方法について説明する。
語句を関連する他の語句に変換する方法について以下説明する。まず、局所表現形式の情報について説明し、次に、分散表現形式の情報について説明する。
局所表現形式の語句間つながり情報として、例えば、R(Wi,Wj)を同一文章内における2つの語句Wi, Wjの共起の有無(有:1、無:0)とした場合、語句全体の集合をΣとすると、語句Wiと共起する語句の集合Aおよび語句Wjと共起する語句の集合Bは、語句間つながり情報R(Wi,Wj)を用いて、
Figure 0006501439

と表すことができる。
これらの語句集合AとBを用いることによって、非特許文献8などに示されるさまざまな類似性・関連性の指標(Cosine類似度、Jaccard係数、φ係数など)を算出することができる。そして、これらの指標の値は語句WiとWjの類似性や関連性を表しているということができる。
例えば、Cosine類似度であれば、
Figure 0006501439

を用いて算出することができる(非特許文献8など参照)。ここで、P(A)、P(B)は、それぞれ語句集合A、Bを事象と見做したとき、事象A、Bそれぞれの起こる確率である。また、P(A, B)は、事象AとBの同時確率(事象Aと事象Bがどちらも起こる確率)である。
また、式(2)を集合論的に表現すれば、
Figure 0006501439

となる。ここで、|・|は集合の濃度(元の個数)である。
また、R(Wi,Wj)を行列M(先に述べた共起行列)の(i, j)成分として考え、行列Mの第i行ベクトルと第j行ベクトルをそれぞれベクトルx、yで表すと、それらは語句Wiと語句Wjに対する語句ベクトルと捉えることができる。行列Mをn×nの実正方行列とすれば、ベクトルx、yは
Figure 0006501439

であり、標準内積<・,・>とユークリッドノルム||・||を用いてCosine類似度を表わせば、
Figure 0006501439

となる。
さらに、このように共起行列Mの行ベクトル間の内積を用いてCosine類似度を求める方法は、共起の有無のみではなく、共起の頻度情報も扱うことを可能とする。これは、共起行列Mの成分の値0もしくは1(有無情報)を、非負整数(頻度情報)にまで拡張することにより実現できる。
ここまで、語句間つながり情報R(Wi,Wj)として、同一文章内の語句の共起情報を例に挙げ説明してきた。語句間つながり情報R(Wi,Wj)は、このような共起情報の他にも前述のようにさまざまな情報を取ることができる。例えば、<連体修飾A>−<名詞N>という修飾・被修飾関係の有無(有:1、無:0)として語句間つながり情報R(A, N)として用いることもできる。(ここでは、<連体修飾部>は<連体修飾語>を包含し、<名詞句>は<名詞>を包含するものとする。)
前述の課題テキスト「鋭い刃を保つ」であれば、<鋭い>−<刃>が語句間つながり情報であり、そのヒントである「違う向きを合わせる」および「違う長さを合わせる」では、それぞれ<違う>−<向き>および<違う>−<長さ>が語句間つながり情報となる。このことを語句間つながり情報R(A, N)を用いて表わすと式(6)のようになる。
Figure 0006501439
このような語句間つながり情報を用いて、例えば、<連体修飾部>の類似性や関連性を算出することもできる。このタイプの語句間つながり情報R(Ai, Nj)を集めたとき、<連体修飾部A>がm種類、<名詞句N>がn種類あったとする。この語句間つながり情報R(Ai, Nj)を特定係り受け関係行列Mの(i, j)成分とすれば、Mはm×nの実行列となる。前述のように特定係り受け関係行列Mの第i行ベクトルを<連体修飾部Ai>の語句ベクトル、第j行ベクトルを<連体修飾部Aj>の語句ベクトルとすることにより、<連体修飾部Ai>と<連体修飾部Aj>との類似性や関連性をさまざまな指標により算出することが可能となる。
<連体修飾部>−<名詞句>の修飾・被修飾の関係も<ヲ格>と<動詞句>の関係のときのように、別の表現形態においても同一視できる関係が存在する。(ここでは、<動詞句>は<動詞>を包含するものとする。)例えば、複合名詞「新人作家」は、<新人の>−<作家>と言い換えることができ、この関係はとりもなおさず、<連体修飾部>−<名詞句>の修飾・被修飾の関係となっている。したがって、本発明でいう<連体修飾部>−<名詞句>の修飾・被修飾の関係に、このような関係を含めても構わない。
以上、<連体修飾部>−<名詞句>の修飾・被修飾の関係を語句間つながり情報として用いる場合について説明してきたが、このように特定種類の語句間の関係を語句間つながり情報として用いる以外にも、さまざまな語句間の関係を複数用いることも可能である。
例えば、<とても><きれいな><花>というテキストのような<連用修飾部Ad><連体修飾部A><名詞句N>というタイプのテキストにおける関係においては、<連用修飾部Ad>−<連体修飾部A>という関係や、<連用修飾部Ad>−<名詞句N>なども考えることができる。
また、<課題を><根本的に><解決する>というテキストのような<ヲ格N><連用修飾部Ad><動詞句V>というタイプのテキストにおける関係においても、<ヲ格N>−<動詞句V>という関係の他に、<ヲ格N>−<連用修飾部V>という関係も用いることができる。
さらには、<原因を><明らかにする><こと><によって><課題を><根本的に><解決する>という複雑な構造のテキストのような<ヲ格N1><動詞句V1><こと><によって><ヲ格N2><副詞句Ad><動詞句V2>というタイプのテキストにおける関係においては、<ヲ格N1>−<動詞句V2>という関係や、<動詞句V1>−<ヲ格N2>という関係など、具体的には、<原因を>−<解決する>や<明らかにする>−<課題を>という関係なども用いることができる。
また、<ヲ格N1><動詞句V1><こと><によって><ヲ格N2><副詞句Ad><動詞句V2>というタイプの関係の他にも、<こと><によって>を<こと><で>に置き換えたり、<て>に置き換えたりした同様の意味をもつテキストも存在する。具体的には、「原因を明らかにすることで課題を根本的に解決する」や「原因を明らかにして課題を根本的に解決する」に対応する。このような同様の意味をもつ異なるタイプのテキストにおける<動詞句V1>−<ヲ格N2>関係なども同種の関係として含めても構わない。
Cosine類似度やJaccard係数などは、2つの変数に対する対称式により定義されており、その指標は対称的である。しかし、一般に関連性を考えるとき、その非対称性も考慮することが必要となる場合がある。例えば、「特許を出願する」という「作用」と「書類を提出する」という「作用」について考えるとき、「特許を出願する」という「作用」は「書類を提出する」という「作用」に関連するが、「書類を提出する」という「作用」は「特許を出願する」という「作用」に関連するとは一般には言い難い。このような場合における関連性を考えるときには、その非対称性も含めて評価できる関連性の指標も用いることができる。
非対称的な類似性・関連性を表す指標としては、補完類似度(非特許文献7など参照)、などがある。補完類似度を、式(3)で用いた集合A、Bの濃度(元の個数)を用いて表わせば、
Figure 0006501439

となる。この場合、全体集合の濃度が大きくなると、全体集合に対する各集合の濃度比が一定であっても、補完類似度の値も大きくなるという性質を持っているので、例えば、全体集合の濃度で除して式(8)のような指標を用いてもよい。
Figure 0006501439
この補完類似度は、もともとは「かすれ」や「よごれ」のある劣化印刷文字の認識するために提案されたものであり、それを、1対多関係の類似度に応用した事例が非特許文献7などに記されている。補完類似度の性質上、本発明において、集合Aの表す語句から集合Bの表す語句への変換の指標として補完類似度を用いる場合には、集合Aと集合Bを入れ換えて用いることができる。この入れ換えは、式(7)および(8)ではbとcを入れ換えることに相当する。
以上、局所表現形式の語句間つながり情報を用いた語句間の関連性に関する指標について説明をしてきた。これらの指標に基づきある語句に対して関連性の高い他の語句候補を選択することが可能となる。
次に、分散表現形式の語句間のつながり情報を用いた語句を関連する語句に変換する方法について説明する。分散表現形式の語句間つながり情報の多くにおいて、その情報のタイプはベクトルである。以下、情報のタイプがベクトルの場合を例にとって説明する。
分散表現形式の情報はベクトルなので、局所表現形式の情報の場合に説明した式(5)のCosine類似度を用いて、関連性を評価することができる。また、ベクトル空間における語句間のノルムを関連性の指標として用いることもできる。式(5)のCosine類似度ではユークリッドノルムを用いているが、これは2次平均ノルムに相当し、一般に、p次平均ノルムなどを利用することもできる。その他のさまざまなノルムも利用可能である。
次に、局所表現形式の語句間のつながり情報を用いた語句組を関連する語句組に変換する方法について説明する。
以上述べてきた語句間の類似性・関連性の指標は、語句対間の関連性を評価するためにも用いることができる。例えば、語句対Pi=(Wi1,Wi2)とPj=(Wj1,Wj2)との関連性を評価するとき、語句対Pi=(Wi1, Wi2)の2つの語句Wi1、Wi2の両方と共起する語句の集合をA、語句対Pj=(Wj1, Wj2)の2つの語句Wj1、Wj2の両方と共起する語句の集合をBとすれば、前述の式(2)、(7)、(8)などで表されるさまざまな指標を用いても類似性や関連性を表すこともできる。
また、3つ以上(n個)の語句組についても、語句組間の類似性や関連性を評価するために、前述の語句間の類似性・関連性に関する指標を用いることができる。例えば、語句組Ti = (Wi1, Wi2, …, Win)、Tj = (Wj1, Wj2, …, Wjn)との関連を評価するとき、これらの語句組から2つの語句を選ぶことにより、前述の方法により、2つの語句対の類似性・関連性を評価することができる。したがって、語句組Ti、Tjから適当な複数の語句対を選び出し、それらの類似性・関連性の指標を総合的に評価することにより、3つ以上(n個)の語句組についても、類似性や関連性を評価することが可能となる。
Word2Vecなどの分散表現形式の情報では、語句間のアナロジー関係が、語句の分散表現情報を元とする空間(以下、分散表現空間という)における「平行移動」として対応づけ可能であることが知られている(非特許文献4など参照)。そのため、このような分散表現形式の情報も併せて用いる場合には、いままで述べてきた関連性を表すさまざまな指標の他に、平行移動性という指標も併せて用いることができる。
平行移動性の指標について、簡単な例を用いて説明する。課題テキスト「鋭い刃を保つ」は一般化すれば<連体修飾部A><名詞句N><を><動詞句V>となる。簡単に表せば、課題テキストは<A><N><V>となる。課題テキスト<A><N><V>より変換された関連を有するテキストを<A’><N’><V’>で表し、その変換のイメージを分散表現空間を平面で表すと、平行移動性は図7のような形で表現できる。
図7における<A>、<N>、…、<V’>は対応する語句の分散表現形式の情報、すなわち、語句ベクトルを表している。厳密にいえば、語句ベクトルの視点を分散表現空間の原点に合わせたときの終点の位置に<A>などの記号を配置していることを意味している。各語句<A>、<N>、…、<V’>に対応するベクトルをa、n、…、v’で表すとすると、平行移動性とは、<A>→<A’>、<N>→<N’>、<V>→<V’>の3つの矢印、すなわち3つのベクトルa’−a、n’−n、v’−vの一致度を表しているということができます。すなわち、3つのベクトルa’−a、n’−n、v’−vがなるべく揃うように変換候補<A’><N’><V’>を選択するための指標であるともいえます。
以上、述べてきたように、本発明は、語句間のつながりに関する情報を用いて、課題テキストに記載されている「対象」よりも「作用」に着目し、課題テキストに含まれる語句組を関連性の高い語句組である関連語句組に変換する方法であり、特に、語句間の共起性や分散表現情報を元とする空間における平行移動性なども指標として加味する方法も含んでいる。そして、本発明を用いることにより、使用者の知識やスキルへの依存が大きくなく、柔軟で幅広くかつ効果的なヒントを提供することを可能としている。
次に、本発明の複数の実施形態について図面を参照して説明する。
[思考支援システム(1)]
まず、図1〜5、7〜8を参照して、本実施にかかる思考支援システムについて説明する。
図1は思考支援システムの構成を示すブロック図である。この思考支援システム10は、全体としてコンピュータにより自然言語を用いた情報処理を行う情報処理システムであり、入力された思考の対象となるテキストの一部もしくは全部と関連を持ち、テキストの構造解析により得られたテキストに含まれるヲ格の近傍に位置する語句組であるヲ格近傍語句組について、語句間のつながりに関する情報を用いて、関連性の高い語句組である関連ヲ格近傍語句組へ変換し、該関連ヲ格近傍語句組の情報も用いて、該ヲ格を関連性の高い語句である関連ヲ格へ変換して得られる関連テキストを提示することにより、思考を支援する機能を有している。
本実施の形態にかかる思考支援システム10には、主な機能部として、操作入力部11、画面表示部12、通信I/F部13、記憶部14、演算処理部15、データベース部16が設けられている。
操作入力部11は、キーボード、タッチパネルや音声認識装置などの操作入力装置からなり、ユーザの操作を検出して演算処理部15へ出力する機能を有している。画面表示部12は、LCDなどの画面表示装置からなり、演算処理部15からの指示に応じて各種情報を画面表示する機能を有している。また、画面表示装置の他に音声合成装置などの出力装置を備えることも可能である。通信I/F部13は、データ通信用の専用回路からなり、LAN回線や無線回線などを介してデータ通信を行う機能を有している。
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算処理部15での各種処理に用いる処理情報14Aやプログラム14Pを記憶する機能を有している。プログラム14Pは、演算処理部15で実行されることにより、演算処理部15と協働して各種の処理部を実現するプログラムであり、外部装置や記憶媒体(ともに図示せず)から予め読み込まれて記憶部14に格納される。
データベース部16は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、演算
処理部16での各種処理に用いるデータベースを記憶する機能を有している。データベース部16で記憶する主なデータベースとして、語句間のつながりに関する情報を記憶する語句間つながり情報データベースである。[発明の原理]において説明したさまざまな種類の語句間つながり情報はデータベース部16に格納される。
図4は思考支援システムの入力画面表示例であり、図8および図9は思考支援システムの出力画面表示例である。また、図5は思考支援システムの処理を示すフローチャートである。以下、図5のフローチャートの各ステップに沿って説明する。
はじめに、図5のフローチャートのステップS10「思考対象となるテキストを入力テキストとして取得」について説明する。図4は思考支援システム10の画面表示部12に表示された思考の対象となるテキスト(課題テキスト)の入力ウィンドウを表している。この入力ウィンドウには、操作入力部11のキーボードなどにより入力された思考の対象となるテキストである「鋭い刃を保つ」という文が表示されている。この画面の関連テキスト表示ボタンを操作入力部11のマウスなどを用いてクリック等を行うことにより選択すると、演算処理部15の入力処理部15Aにより「鋭い刃を保つ」という入力テキストを受け取り記憶部14に記憶する。
次に、図5のフローチャートのステップS11「入力テキストの形態素解析・構造解析を実施」およびステップS12「各ヲ格および各ヲ格近傍語句組を取得」について説明する。ステップS10ののち、構造解析部15Bにより、思考の対象となる入力テキストを形態素解析、構造解析などの自然言語処理技術を利用することにより、<鋭い>−<刃を>、<刃を>−<保つ>という語句間の関係を抽出し、ヲ格として<刃を>を、ヲ格に含まれる名詞句として<刃>を、そして、ヲ格近傍語句組として(<鋭い>、<保つ>)の語句組を、それぞれ特定し、記憶部14に記憶する。ヲ格が複数存在するときには、各ヲ格に対応するヲ格近傍語句組などをそれぞれ特定し、記憶部14に記憶する。
次に、図5のフローチャートのステップS13「各ヲ格近傍語句組を関連ヲ格近傍語句組へ変換」について説明する。関連語句処理部15Cは、「対象」よりも「作用」に着目して変換を行うため、まず、ヲ格近傍語句組(<鋭い>、<保つ>)を関連性の高い関連ヲ格近傍語句組(<違う>、<合わせる>)などへと変換する処理を行う。この関連ヲ格近傍語句組への変換処理は、ヲ格近傍語句組のうち、<鋭い>、もしくは<保つ>、もしくは(<鋭い>、<保つ>)の組のいずれかの語句もしくは語句組に対して、まず実行される。
ここでは、ヲ格近傍語句組に含まれる<保つ>という<動詞句>に対して、関連語句処理部15Cが最初に関連性の高い語句を取得する場合の例について説明する。このとき、語句間つながり情報データベース16Aには、<連体修飾部>−<名詞句>関係および<ヲ格>−<動詞句>関係の有無に関する局所表現形式の情報である局所表現情報LRDと、<連体修飾部>、<名詞句>、<動詞句>に対応する語句の分散表現形式の情報である分散表現情報DRDとが、少なくとも記憶されているものとする。
ここで、局所表現情報LRDに記憶されている<連体修飾部>のすべての語句を要素とする集合を集合A、<名詞句>および<ヲ格>(正確には<ヲ格>に含まれる名詞句)のすべて語句を要素とする集合を集合N、<動詞句>のすべて語句を要素とする集合を集合Vとすると、<連体修飾部>−<名詞句>関係に関する情報は集合Aと集合Nの直積集合A×Nの部分集合として表わすことができ、<ヲ格>−<動詞句>関係に関する情報は集合Nと集合Vの直積集合N×Vの部分集合として表わすことができる。
また、直積集合A×Nの部分集合を、行列を用いて表わす場合には、この部分集合の要素に対応する行列の成分を1とし、それ以外の成分を0とすることで<連体修飾部>−<名詞句>関係を表す|A|×|N|行列を生成することができる。同様にして、<ヲ格>−<動詞句>関係を表す|N|×|V|行列を生成することができる。(ここで|・|は集合の濃度(元の個数)を表すものとする。)
まず、関連語句処理部15Cは、語句間つながり情報データベース16A内に記憶されている局所表現情報LRDの<ヲ格>−<動詞句>関係情報を検索し、<動詞句>=<保つ>という条件を満たす<ヲ格>(に含まれる)を元とする集合である集合N(<保つ>)を取得する。この集合N(<保つ>)は、例えば、N(<保つ>)={<アイデンティティ>、<明るさ>、<アクセント>、…}というような語句の元により構成された集合となっている。なお、処理を簡便にする意味合いもあり、<ヲ格>の集合は、<ヲ格>に含まれる<名詞句>を<ヲ格>の代りに元としている。集合Vを順序組と見做したときに、<保つ>がi番目の成分だとすると、集合N(<保つ>)は、|N|×|V|行列のi列目の列ベクトルに対応する。
この集合N(<保つ>)との関連性の高い集合N(<V>)を、<ヲ格>−<動詞句>関係情報を用いて抽出する。|N|×|V|行列を用いて言えば、i列目の列ベクトルと類似度の高い他の列ベクトルを探す処理であるといえる。類似度・関連性の高い列ベクトルを探す具体的な方法については、既に[発明の原理]で述べた通りであり、さまざまな方法を用いることができる。
集合N(<保つ>)との関連性の高い集合N(<V>)を探す際に、類似度の高過ぎる集合N(<V>)を選ぶと、ヒントとして、当たり前すぎるものとなってしまう可能性が高い。そのため、図4に示される「関連性閾値」の「max」の値を適当な値にすることにより、類似度の高すぎる集合N(<V>)を除くことを可能としている。また、関連性が低すぎると、ヒントとしての有用性も下がる可能性が高くなるといえる。したがって、図4に示される「関連性閾値」の「min」の値を適当な値にすることにより、関連性の低すぎる集合N(<V>)を除くことも可能としている。この値は、例えば、式(8)に示される補完類似度などを用いて算出された値である。
また、図4に示される「平行移動性閾値」の「max」「min」の値の設定を変えることにより、ヒントとして妥当な「平行移動性」の範囲に絞り込むことができる。この「平行移動性」に関する指標としては、図7に示される変換に対応するベクトルに対して、式(5)に示されるようなCosine係数などにより算出された値を用いることができる。
式(8)の補完類似度を用いてN(<保つ>)と類似度・関連性の高い集合N(<V>)を求めると、例えば、<高める>、<与える>、<変える>、…などの動詞を関連ヲ格近傍語句として得ることができる。
[発明の原理]において述べたように、ヲ格近傍語句組を関連ヲ格近傍語句組へ変換する方法として、語句単位で関連性を算出する方法の他にも、語句組として関連性を求めて変換する方法を用いることもできる。
「鋭い刃を保つ」という課題テキストにおけるヲ格近傍語句組(<鋭い>、<保つ>)を関連ヲ格近傍語句組へと変換する場合について、その変換方法の一実施例について説明する。
N(<保つ>)と同様に、<連体修飾部>−<名詞句>の関係情報より、<連体修飾部>=<鋭い>という条件を満たす<名詞句>の集合をN(<鋭い>)と表すこととする。また、<鋭い>の修飾する<名詞句>の集合N(<鋭い>)と<保つ>がヲ格としてもつ<名詞句>の集合N(<保つ>)との共通部分N(<鋭い>)∩N(<保つ>)をN(<鋭い>、<保つ>)と表すとする。
このN(<鋭い>、<保つ>)と類似度・関連性の高い他のN(<A>、<V>)をもつ、ヲ格近傍語句組(<A>、<V>)が、関連ヲ格近傍語句組の候補となる。前述のN(<保つ>)のときと同様に、式(8)に示すような補完類似度により関連性の高い関連ヲ格近傍語句組(<A>、<V>)を求めると、(<静かな>、<与える>)、(<違う>、<合わせる>)、(<違う>、<生かす>)、…などの関連ヲ格近傍語句組の候補を得ることができる。
このような候補の中より、<保つ>→<V>と<鋭い>→<A>が分散表現情報を元とする空間内でなるべく平行移動に近くなるような組(<A>、<V>)を選択することもできる(図7参照)。その選択の指標としては、<保つ>→<V>への平行移動を基準として、<A>への平行移動を評価する方法をとると、以下の式(9)に示すCosine係数を指標とすることもできる。式(9)は、Cosine係数を用いて、ベクトルa0+v1−v0とベクトルa1の類似度を表している。そのため、ベクトルの類似度を算出する他の指標を用いても表すことができる。
Figure 0006501439
このCosine係数を用いることにより、例えば、前述の(<静かな>、<与える>)、(<違う>、<合わせる>)、(<違う>、<生かす>)、…という語句組の中より、図8の思考支援システムの出力画面表示例に示されるように、Cosine係数の高い(<違う>、<合わせる>)、(<伝わる>、<与える>)、(<伝わる>、<学ぶ>)、…という語句組を関連ヲ格近傍語句組として選択することができる。(この結果は非特許文献6に示されるnwjc2vec(国立国語研究所:分散表現情報)を用いて算出されたものである。)
次に、図5のフローチャートのステップS14「各ヲ格を関連ヲ格へ変換」およびS15「変換したテキストを出力」について説明する。図9は、図8の出力画面表示例において、関連ヲ格近傍語句組として(<違う>、(合わせる>)を選択した際のヲ格の変換候補を表示した出力画面表示例である。このヲ格の変換候補である関連ヲ格は以下のようにして求めることができる。
関連ヲ格近傍語句組として(<違う>、<合わせる>)を選択した場合、ヲ格を変換する関連ヲ格の候補となるのは、集合N(<違う>)と集合N(<合わせる>)の共通部分であるN(<違う>)∩N(<合わせる>)の元を候補とすることができる。例えば、N(<違う>)∩N(<合わせる>)={<アイテム>、<値>、<意見>、<位置>、<イメージ>、<色>、…}といった集合となる。その候補の中で、関連ヲ格近傍語句組の選択と同様に平行移動性を条件として用いることができる。
たとえば、<鋭い><刃を><保つ>→<違う><N(を)><合わせる>という前述の例においては、<鋭い>→<違う>および<保つ>→<与える>という2組の変換に対応する平行移動を基準として、<刃を>→<N(を)>を評価する指標として、以下のようなCosine係数を指標とすることができる(図7参照)。式(10)は、Cosine係数を用いて、ベクトルn0+((v1−v0)+(a1−a0))/2とベクトルn1の類似度を表している。そのため、ベクトルの類似度を算出する他の指標を用いても表すことができる。
Figure 0006501439
式(10)のCosine係数を評価指標として、N(<違う>)∩N(<合わせる>)の元をCosine係数の高い順にならべると、例えば、図9に示されるような<向き>、<角度>、<長さ>、<サイズ>、<方向>、…という関連ヲ格の候補を得ることができる。これらの関連ヲ格の中より、課題テキスト「鋭い刃を保つ」に対するヒントとなりそうな語句を選択することにより、例えば、図2、図3に示したような「違う角度を合わせる」、「違う長さを合わせる」というヒントを得ることができる。
以上の例では、関連性の高い語句組の候補を得るために、語句組の関連性の指標として式(8)に示される補完類似度をベースとした指標を、平行移動性の指標として式(5)、式(9)、式(10)に示されるCosine類似度を用いる場合について説明した。しかしながら、[発明の原理]で説明したように、語句組間の関連性や平行移動性を表す指標にはさまざまな種類の指標を利用することが可能であり、さらには、それらの指標を引数とする関数を新たな指標として用いることも可能であり、本実施形態に限定されるものではない。
また、本実施形態では、はじめに<動詞句>である<保つ>と関連性の高い他の<動詞句>の候補を得たのちに、<連体修飾部>である<鋭い>と関連性が高く、かつ、平行移動性も高い他の<連体修飾部>の候補を求めているが、はじめに<連体修飾部>の候補を求めてから、<動詞句>である<保つ>と関連性が高く、かつ、平行移動性も高い他の<動詞句>の候補を求めてもよい。さらには、<連体修飾部>と<動詞句>の組(<鋭い>、<保つ>)と関連性の高い他の組の候補を求め、その中から平行移動性の高い組を選択するようにしてもよい。このように、関連語句組の候補を求める手順についても、本実施形態に限定されるものではない。
[思考支援システム(2)]
次に、図6を参照して、本実施にかかる思考支援システムについて説明する。実施例[思考支援システム(1)]においては、図4に示すように思考対象テキストを文の形式で入力することができた。しかしながら、思考支援システムの使用に慣れていない使用者にとっては、思考対象テキストを自由に入力できることが、逆に思考対象テキストをつくり難くしている場合も想定される。その課題を解決する方法として、例えば、図6に示されるような入力画面を思考支援システムに持たせることにより、入力テキストの前処理をより簡便にするとともに、思考支援システムの使用に慣れていない使用者に対して思考対象テキスト作成を行い易くすることもできる。入力テキストの前処理が簡便になったこと以外、実施例[思考支援システム(1)]とほぼ同様である。
[実施の形態の拡張]
以上、さまざまな実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
10…思考支援システム
11…操作入力部
12…画面表示部
13…通信I/F部
14…記憶部
15…演算処理部
16…データベース部

Claims (6)

  1. 思考の対象となるテキストを入力テキストとして取得する入力処理手段と、
    ヲ格の近傍に位置する語句であるヲ格近傍語句と名詞句とのつながりに関する情報を含む語句間のつながりに関する情報を記憶する第1の情報記憶手段と、
    前記第1の情報記憶手段に記憶される情報を用いて、前記入力テキストに含まれるヲ格の近傍に位置する語句の組であるヲ格近傍語句組を関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組に変換し、
    前記関連ヲ格近傍語句組の語句とつながりを有する名詞句の集合の共通部分の元を用いることにより、前記ヲ格を関連性の高い語句である関連ヲ格に変換する関連語句組変換処理手段と、
    前記関連語句組変換処理手段により変換された語句の組を出力する出力処理手段と、
    を備えることを特徴とする思考支援システム。
  2. 前記第1の情報記憶手段は語句間のつながりに関する分散表現形式の情報を含み、前記関連語句組変換処理手段は前記分散表現形式の情報を元にもつ空間における平行移動性に関する指標も用いることにより、前記入力テキストに含まれるヲ格の近傍に位置する語句の組であるヲ格近傍語句組を関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組に変換する
    ことを特徴とする
    請求項1に記載の思考支援システム。
  3. 思考の対象となるテキストを入力テキストとして取得する入力処理手段と、
    ヲ格の近傍に位置する語句であるヲ格近傍語句と名詞句とのつながりに関する情報を含む語句間のつながりに関する情報を記憶する第2の情報記憶手段と、
    前記第2の情報記憶手段に記憶される情報を用いて、前記入力テキスト内のヲ格に含まれる名詞句と該ヲ格の近傍に位置するヲ格近傍語句との共起性に関する指標も用いることにより、前記入力テキストに含まれる前記ヲ格の近傍に位置する語句の組であるヲ格近傍語句組を関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組に変換する関連語句組変換処理手段と、
    前記関連語句組変換処理手段により変換された語句組を出力する出力処理手段と、
    を備えることを特徴とする思考支援システム。
  4. 前記第1の情報記憶手段はヲ格の近傍に位置する語句であるヲ格近傍語句と名詞句とのつながりに関する情報を含み、前記関連語句組変換処理手段は前記入力テキスト内のヲ格に含まれる名詞句と該ヲ格の近傍に位置する語句との共起性に関する指標も用いることにより、前記入力テキストに含まれるヲ格の近傍に位置する語句の組であるヲ格近傍語句組を関連性の高い語句の組である関連ヲ格近傍語句組に変換することを特徴とする
    請求項2に記載の思考支援システム。
  5. コンピュータを、請求項1〜4のいずれか1つに記載の思考支援システムを構成する各手段として機能させるための思考支援プログラム。
  6. 請求項5に記載の思考支援プログラムを記憶したコンピュータ読み込み可能な思考支援プログラム記録媒体。
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