JP6495840B2 - クラウドリソース選択装置、クラウドリソース選択方法およびプログラム - Google Patents
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Description
現在、クラウドのサーバリソースは、様々な価格形態で提供されている。AWS(amazon.com Amazon Web Services)を例に採る。
AWSにおいては、一定期間の長期で借り入れるリザーブド型(長期割引型)、利用量に応じてリアルタイムに借り入れる量が変更可能なオンデマンド型、需要と供給のバランスにより利用価格が決定されるスポットインスタンス(入札型)がある。図9に示すように、クラウドA,B,Cは、これらリザーブド型、オンデマンド型、スポットインスタンスのいずれか、または組み合わせでサーバリソースを提供している。
スポットインスタンスについて説明する。スポットインスタンスは、AWSのクラウドの空きリソースの利用効率向上を狙ったものである。スポットインスタンスは、最も低価格で借り入れられる可能性があるが、需要と供給のバランスにより、価格が急騰する特徴がある。
既存のAWSの機能として、下記が提供されている。すなわち、任意の単一地域(リージョン)における、最も安いリソース(インスタンス)を選択する機能(lowest Price)や、あらかじめ選択された固定的な複数種類(インスタンスタイプ)のリソースを選択する機能(diversified)である。ただし、最も安いインスタンスは、リージョン毎に異なるうえに、各インスタンスの傾向も刻一刻と変化するために本機能のみで効率的な選択を行うことは難しい。
例えば、図9に示すように、複数のクラウド(クラウドA,B,C)が様々な料金プラン(リザーブド型,オンデマンド型,スポットインスタンス)を用意している。利用者は、複数のクラウドの様々な料金プランの中から、自身のアプリケーションの特性にあったクラウド並びに料金プランを選択するのは困難である。
なお、本明細書では、クラウドとは、アプリケーションおよびその実行環境を保持するクラウド事業者をいう。インスタンス(銘柄)とは、クラウドの価格パターンをいう。
図1に示すように、クラウドリソース選択装置100は、複数の価格形態および料金プランを用意するクラウドに対して、アプリケーションの特性にあったクラウドおよびその価格形態におけるクラウドリソースを選択する。
クラウドリソース選択装置100は、ログ収集統計処理部110(利用状況収集部)と、価格情報収集部120と、遅延計測部130と、買付パターン決定部140(選択比率計算部、出力部)と、を備える。
ログ収集統計処理部110は、オンプレミスやクラウドのアプリケーションの利用状況(例えば、CPU使用率,メモリ使用率,ストレージ使用率,稼働時期等)を収集し、収集した利用状況を基にアプリケーションの特性を統計処理する。ログ収集統計処理部110は、統計処理した結果を基にリソースに変化がある場合、買付パターン決定部140に通知する。
価格情報収集部120は、図1の場合、クラウドのZoneAの価格(オンデマンド型,リザーブド型,スポットインスタンスの価格形態のクラウドの価格)、ZoneBの価格(オンデマンド型,リザーブド型,スポットインスタンスの価格形態のクラウドの価格)、ZoneCの価格(オンデマンド型,リザーブド型,スポットインスタンスの価格形態のクラウドの価格)を収集する。上記ZoneAは、複数のクラウドが配置される地域、例えば日本である。上記ZoneBは、複数のクラウドが配置される地域、例えば欧州である。上記ZoneCは、複数のクラウドが配置される地域、例えば米国である。
ここで、価格情報収集部120が収集するクラウドの価格形態について説明する。オンデマンド型は、利用時間や利用量単位に課金する。リザーブド型は、事前の長期契約(例えば1年間/3年間)で課金する。スポットインスタンスは、入札制で課金する。入札価格が、スポット価格を上回っている際に使える(料金が安い)。
遅延計測部130は、下記の目的で実装される。例えば、遠隔地にあるクラウドにアクセスするには所定の遅延が発生する。この遅延を考慮にいれることで、処理開始から終了までのトータルの使用時間を求めることができる。その結果、たとえ処理能力あたりのクラウドの価格が安いケースであっても、トータルの処理時間が長く、その結果、クラウドの総利用価格(単位時間の価格×時間)が高くなるようなクラウドは選択しないといったことが可能となる。
上記各部の機能については、図4ないし図7のフローにより後記する。
<ログ収集統計処理部110の動作>
まず、ログ収集統計処理部110の動作を説明する。
図4は、ログ収集統計処理部110の動作を示すフローチャートである。本フローは、ログ収集統計処理部110を構成するCPUにより、所定タイミングで定期的に実行される。
まず、ステップS11で、サービスxに対するクラウドのアプリケーションの利用状況(CPU使用率,メモリ使用率,ストレージ使用率,稼働時期等)を取得する。本フローは定期的に実行されるので、利用状況も定期的に取得される。
ステップS12では、利用状況の伸び率等から必要なリソース(クラウドのサーバリソース 以下同様)を算出する。例えば、利用状況の伸び率が増加傾向にある場合、将来必要なリソースが足りなくなることが考えられる。リソースが足りなくなってからでは間に合わないので、伸び率が大きい場合には増設が行われる。この場合、下記のステップS15を経てリソースの変化が増設である旨の通知が行われることになる。
サービスxに対して初めてのリソース確保の場合(S13のYes)、新規確保であると判断してステップS14で新規確保である旨を買付パターン決定部140に通知して本フローの処理を終了する。
上記ステップS13でサービスxに対して初めてのリソース確保でない場合(S13のNo)、増設または減設の要否を判定するためにステップS15で以前確保したリソースに変化があるか否かを判定する。ここで、リソースの変化は、利用状況の前回の値と今回の値との差分が所定値を超えたか否かで判定する。例えば、上記差分が増加傾向で所定値を超えた場合、リソースが増加に変化したと判定する。また、上記差分が減少傾向で所定値を超えた場合、リソースが減少に変化したと判定する。
以前確保したリソースに変化がある場合(S15のYes)、増設または減設であると判断してステップS15でリソースに変化がある旨を買付パターン決定部140に通知して本フローの処理を終了する。
以前確保したリソースに変化がない場合(S15のNo)、上記ステップS11に戻ってログ収集処理を継続する。
次に、価格情報収集部120の動作を説明する。
図5は、価格情報収集部120の動作を示すフローチャートである。本フローは、価格情報収集部120を構成するCPUにより、所定タイミングで定期的に実行される。
まず、ステップS21で、クラウドの価格情報を取得する。本フローは定期的に実行されるので、価格情報も定期的に取得される。
ステップS22では、取得したクラウドの価格情報を基にクラウドの価格の変動があるか否かを判定する。例えば、クラウドの価格の変動は、前回の価格と今回の価格との差分が所定値を超えた場合、クラウドの価格の変動があると判定する。
価格の変動がある場合(S22のYes)、ステップS23で価格変動があったクラウドとその価格情報を買付パターン決定部140に通知して本フローの処理を終了する。
価格の変動がない場合(S22のNo)、上記ステップS21に戻って価格情報収集処理を継続する。
次に、遅延計測部130の動作を説明する。
図6は、遅延計測部130の動作を示すフローチャートである。本フローは、遅延計測部130を構成するCPUにより、所定タイミングで定期的に実行される。
まず、ステップS31で、クラウドへのアクセスに関する遅延情報を取得する。本フローは定期的に実行されるので、クラウドへの遅延情報も定期的に取得される。
ステップS32では、取得したクラウドへの遅延情報を基に、クラウドへの遅延の変動があるか否かを判定する。例えば、クラウドへの遅延の変動は、前回のアクセスに関する遅延と今回のアクセスに関する遅延との差分が所定値を超えた場合、アクセスに関する遅延の変動があると判定する。
クラウドへの遅延の変動がある場合(S32のYes)、ステップS33で遅延変動があったクラウドとその遅延情報を買付パターン決定部140に通知して本フローの処理を終了する。
クラウドへの遅延の変動がない場合(S32のNo)、上記ステップS31に戻ってクラウドへの遅延情報計測処理を継続する。
次に、買付パターン決定部140の動作を説明する。
図7は、買付パターン決定部140の動作を示すフローチャートである。本フローは、ログ収集統計処理部110、価格情報収集部120または遅延計測部130のうちのいずれかから前記した通知があった場合に実行される。後記するように買付パターン決定に際して、一定の計算量が必要となる。本実施形態では、計算資源を減らすため、ログ収集統計処理部110、価格情報収集部120または遅延計測部130のうちのいずれかから通知があった場合に本フローを実行するようにしている。
通知受信が[新規確保]の場合、ステップS42で新規リソース分を確保するにあたり、最適な組み合わせを算出および設定する。最適な組み合わせ算出方法の詳細については、後記する。
本実施形態では、直近の価格履歴において、価格が低く、かつ、変動が少ないインスタンスタイプを複数組み合わせることで、将来的に任意のインスタンスが急騰した場合の影響を抑える。
具体的には、以下に述べる平均・分散モデルを用い、過去一定期間の価格平均値並びに分散から、分散値が低くかつ価格平均値が低くなる組み合わせ(選択比率)を決定する。そして、次の期間において、組み合わせとなる選択比率を利用する。
最適な組み合わせ(選択比率)算出方法では、リソースを確保するにあたり、以下の条件にあてはまる組み合わせを選出する。
・分散が最も小さい
・所定の価格以下
・遅延の逆数が一定値以上
以下、図8を参照して具体的に説明する。
図8に示すように、買付パターン決定部140は、ある期間において価格履歴としてインスタンス(銘柄)1,2,3,4,…,nを得ているとする。
インスタンス(銘柄)1,2,3,4,…,nの価格の平均は、A1,A2,A3,A4,…,Anである。インスタンス(銘柄)を組み合わせた際の、価格(平均価格)が一定値以下になる制約条件は、式(1)で示される。式(1)は、全体の価格の期待値が一定値以下を満たすことを示す。なお、インスタンスタイプの候補は、同一のインスタンスタイプだけではなく、CPU換算をしたうえで(例えばCPU4個の1つのインスタンスは、CPU2個の2つ分のインスタンス相当とみなす)、異なるインスタンスタイプも対象とする。
μjは、各インスタンスタイプの期待値(銘柄の値段)
xjは、選択比率
cは、目標価格
インスタンス(銘柄)1,2,3,4,…,nの価格の偏差は、σ1,σ2,σ3,σ4,…,σnである。インスタンス(銘柄)を組み合わせた際に、偏差(標準偏差)が最も小さくなる選択比率は、式(2)で示される。式(2)は、組み合わせた分散が最小になる解を求めることを意味している。
インスタンス(銘柄)1,2,3,4,…,nの遅延の平均は、D1,D2,D3,D4,…,Dnである。遅延の逆数の総和が所定(ここでは一定)以上になる制約条件は、式(3)で示される。式(3)は、遅延が大きすぎるとよくないので、遅延Dの逆数を取って、選択比率の総和が一定値W以上となっていることを示す条件である。すなわち、選択比率の算出に際し、偏差が最も小さく、かつ、価格が一定値以下になる制約条件だけでは、価格が安く価格変動も少ないものの、遅延が大きいクラウドばかりが選択されてしまうことがあり得る。式(3)を制約条件に加えることで、価格の平均や偏差が小さくても遅延が大きいクラウドは選択されにくくしている。
インスタンス(銘柄)1,2,3,4,…,nの選択比率は、x1,x2,x3,x4,…,xnである。選択比率の総和が1になる条件は、式(4)で示される。買付けようとするインスタンスは全部で100%でなければならないので、選択比率の総和は1を満たす必要がある。
また、上記最適な組み合わせ算出方法を実行すると、上記式(1)〜式(4)の条件を満足する解(選択比率)が複数算出されることはあり得る。この場合、式(2)の偏差が小さい選択比率を優先して利用者に提供することが好ましい。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
110 ログ収集統計処理部(利用状況収集部)
120 価格情報収集部
130 遅延計測部
140 買付パターン決定部(選択比率計算部、出力部)
Claims (7)
- アプリケーションの特性にあったクラウド事業者および前記クラウド事業者が用意する価格形態におけるクラウドリソースを選択するクラウドリソース選択装置であって、
前記アプリケーションの利用状況を収集する利用状況収集部と、
前記クラウド事業者の各価格形態における価格情報を収集する価格情報収集部と、
収集された前記利用状況および前記価格情報を基に、所定期間に亘ってクラウドの価格パターンを複数求め、複数の前記価格パターンの組み合わせについて平均・分散モデルを用いて選択比率を計算する選択比率計算部と、
計算した前記選択比率に基づいて、クラウドリソースの買い付けパターンを決定する出力部と、を備える
ことを特徴とするクラウドリソース選択装置。 - 前記クラウド事業者へのアクセスに関する遅延を遅延情報として計測する遅延計測部を備え、
前記選択比率計算部は、
収集された前記利用状況、前記価格情報、および前記遅延情報を基に、複数の前記価格パターンの組み合わせが最適な組み合わせとなる選択比率を計算する
ことを特徴とする請求項1に記載のクラウドリソース選択装置。 - 前記選択比率計算部は、
複数の前記価格パターンを組み合わせた際に、偏差が最も小さくなる選択比率を計算する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクラウドリソース選択装置。 - 前記選択比率計算部は、
複数の前記価格パターンを組み合わせた際の、価格が所定値以下になる条件を計算する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクラウドリソース選択装置。 - 前記選択比率計算部は、遅延の逆数の総和が所定値以上になる条件を計算する
ことを特徴とする請求項2に記載のクラウドリソース選択装置。 - アプリケーションの特性にあったクラウド事業者および前記クラウド事業者が用意する価格形態におけるクラウドリソースを選択するクラウドリソース選択装置のクラウドリソース選択方法であって、
前記クラウドリソース選択装置は、
前記アプリケーションの利用状況を収集するステップと、
前記クラウド事業者の各価格形態における価格情報を収集するステップと、
収集された前記利用状況および前記価格情報を基に、所定期間に亘ってクラウドの価格パターンを複数求め、複数の前記価格パターンの組み合わせについて平均・分散モデルを用いて選択比率を計算するステップと、
計算した前記選択比率に基づいて、クラウドリソースの買い付けパターンを決定するステップと、を実行する
ことを特徴とするクラウドリソース選択方法。 - アプリケーションの特性にあったクラウド事業者および前記クラウド事業者が用意する価格形態におけるクラウドリソースを選択するクラウドリソース選択装置としてのコンピュータを、
前記アプリケーションの利用状況を収集する利用状況収集手段、
前記クラウド事業者の各価格形態における価格情報を収集する価格情報収集手段、
収集された前記利用状況および前記価格情報を基に、所定期間に亘ってクラウドの価格パターンを複数求め、複数の前記価格パターンの組み合わせについて平均・分散モデルを用いて選択比率を計算する選択比率計算手段、
計算した前記選択比率に基づいて、クラウドリソースの買い付けパターンを決定する出力手段、として機能させるためのプログラム。
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