JP6492312B2 - 帯電防止剤を含有する粘着剤組成物、及び粘着フィルム - Google Patents
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Description
例えば、液晶ディスプレイを構成する部材である偏光板、位相差板などの光学部材を製造する工程において使用される表面保護フィルムは、光学的に透明性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルムの片面に粘着剤層が形成されているが、光学部材に貼り合わせるまで、その粘着剤層を保護するための剥離処理された剥離フィルムが、粘着剤層の上に貼り合わされている。
また、近年では、偏光板、位相差板などの光学部材から表面保護フィルムを剥がすときに、粘着剤層を被着体が剥がす時に発生する静電気に伴って生じる剥離帯電が、液晶ディスプレイの電気制御回路の故障に影響することが懸念され、粘着剤層に対して優れた帯電防止性能が求められている。
また、偏光板、位相差板などの光学部材に表面保護フィルムを貼り合わせるときに、各種の理由により、一旦、表面保護フィルムを剥がして、再度、表面保護フィルムを貼り直すことがあり、そのときに被着体の光学部材から剥がし易いこと(リワーク性)が求められている。
このように、近年においては、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能として、粘着力の経時安定性、優れた帯電防止性能、及びリワーク性能などが、表面保護フィルムを使用するに当たっての使い易さの点から求められている。
しかし、表面保護フィルムを構成する粘着剤層に対する要求性能である、これらの、粘着力の経時安定性、優れた帯電防止性能、及びリワーク性能の、それぞれの要求性能を、別々に満たすことは出来ても、表面保護フィルムの粘着剤層に求められる要求性能を、同時に安価なコストで満たすことは困難な課題であった。
炭素数が7以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有共重合性化合物との共重合体を主成分とし、これを架橋剤で架橋処理してなるアクリル系の粘着剤層では、長期間接着した場合に粘着剤が被着体側へ移着し、また被着体に対する接着力の経時上昇性が大きいという問題があった。これを回避するため、炭素数8〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとアルコ―ル性水酸基を有する共重合性化合物との共重合体を用い、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものが知られている(特許文献1)。
また、上記同様の共重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシル基含有共重合性化合物との共重合体を少量配合し、これを架橋剤で架橋処理した粘着剤層を設けたものなどが提案されている。
特許文献3では、(1)(a)ウレタンアクリレートと、(b)ポリアルキレンオキサイド鎖を有する(メタ)アクリレートと、(c)接着力付与性モノマーと、を主成分として含む重合性混合物を放射線重合することにより得られた共重合体、および、(2)イオン性化合物、を含む、帯電防止性粘着剤組成、及びそれを用いた粘着シートが開示されている。具体的な、粘着剤組成物の製造方法として、ポリエステルウレタンアクリレートのようなウレタンアクリレートと、メトキシポリエチレングリコールアクリレートのようなポリオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレートモノマーと、ヒドロキシプロピルアクリレートのような接着力付与性モノマーと、必要に応じてイソオクチルアクリレートのようなさらなるコモノマーとを含む重合性混合物に、過塩素酸リチウムのようなイオン性化合物を混合し、必要ならば光重合開始剤を添加し、完全に溶解するまで攪拌した後、紫外線などを照射して硬化することにより粘着剤組成物が得られるとしている。
しかし、イオン性化合物として使用している過塩素酸リチウムは、金属腐食性を有するため、得られた帯電防止性粘着剤組成の使用する場所が限られてしまうという問題があった。
特許文献4では、アルキル基の炭素数2〜12程度のアクリル酸アルキルエステルやアルキル基の炭素数4〜12程度のメタクリル酸アルキルエステル等を主モノマー成分とし、例えば、カルボキシル基含有モノマーなどの他の官能基含有モノマー成分を含むことができるとしている。一般的には上記主モノマーを50重量%以上含有させることが好ましい、又、官能基含有モノマー成分の含有量は0.001〜50重量%、好ましくは0.001〜25重量%、更に好ましくは0.01〜25重量%であることが望まれる、としている。このような特許文献4に記載の粘着剤組成物は、高温下又は高温高湿下でも凝集力及び接着力の経時変化が小さく、かつ、曲面接着力にも優れた効果を示すことから、リワーク性を有するとしている。
一般に、粘着剤層を柔らかい性状のものにすると、糊残りが発生し易くなり、リワーク性が低下しやすい。すなわち、誤って貼合したときに剥離がし難く、貼り直しが困難となりやすい。このことから、カルボキシル基などの官能基を有するモノマーを主剤に架橋させて、粘着剤層を一定の硬さにすることが、リワーク性を持たせるためには必要と考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、粘着性能を損なわずに帯電防止性に優れ、さらにリワーク性にも優れた、帯電防止剤を含有する粘着剤組成物、及びそれを用いた粘着フィルムを提供することを課題とする。
前記イオン性化合物のアニオンが、C6F5COO−、C6F5(CH2)nCOO−、C6F5(CF2)nCOO−、C6F5O(CH2)nCOO−、C6F5(CH=CH)nCOO−、C6F5SO3 −、C6F5(CH2)nSO3 −、C6F5(CF2)nSO3 −、C6F5O(CH2)nSO3 −、C6F5(CH=CH)nSO3 −、C6F5O−、C6F5(CH2)nO−、C6F5(CF2)nO−、C6F5O(CH2)nO−、(C6F5)2CHO−、(C6F5)3CO−、(C6F5)4B−、C6F5OSO3 −、C6F5O(CH2)nSO3 −、C6F5O(CF2)nSO3 −、(C6F5CO)2N−、(C6F5CO)3C−、(C6F5SO2)2N−、(C6F5SO2)3C−、(C6F5OSO2)2N−、(C6F5OSO2)3C−、C6F5PO3 2−からなるアニオン群の中から選択された1種であることが好ましい。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、表面保護フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、偏光板用の表面保護フィルムを提供する。
また、本発明は、前記粘着フィルムが用いられた、光学用の表面保護フィルムを提供する。
また、本発明は、光学フィルムの少なくとも一方の面に、前記粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されている粘着剤付き光学フィルムを提供する。
また、本発明は、光学フィルムが偏光板である、前記記載の粘着剤付き光学フィルムを提供する。
また、本発明は、前記記載の粘着剤付き光学フィルムが、前記粘着剤層を介して貼り合わされてなる画像表示装置を提供する。
本発明の粘着剤組成物は、粘着剤の主剤となる粘着剤ポリマーと、帯電防止性能を付与する帯電防止剤を有し、この帯電防止剤として、ペンタフルオロフェニル基(C6F5基)を有する化合物であるペンタフルオロベンゼン化合物を含有することを特徴とする。
これにより、帯電防止性能に優れ、帯電防止性やリワーク性などの欠点などの課題を改善することが可能となる。
(A)アルキル基の炭素数がC1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートモノマーのアルキル基は、直鎖、分枝状、環状のいずれでもよい。
水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類や、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド類などが挙げられ、これらの化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレートからなどが挙げられ、これらの化合物群の中から選択された、少なくとも1種以上であることが好ましい。
上記以外の共重合性ビニルモノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステル類のほか、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの各種ビニルモノマーが挙げられる。
ペンタフルオロフェニル基(C6F5基)を有するアニオンとしては、C6F5基を有するカルボン酸アニオン(上記YにCOO−を含むアニオン)、C6F5基を有するスルホン酸アニオン(上記YにSO3 −を含むアニオン)、C6F5基を有するホスホン酸アニオン(上記YにPO3 2−を含むアニオン)、C6F5基を有するアルコキシドもしくはフェノキシアニオン(上記YにO−を含むアニオン)、C6F5基を有するイミドアニオン(上記YにN−を含むアニオン)、C6F5基を有するメチドアニオン(上記YにC−を含むアニオン)、C6F5基を有するボレートアニオン(上記YにB−を含むアニオン)などが挙げられる。
C6F5基を有するアニオンの具体例としては、特に限定されるものではないが、C6F5COO−、C6F5(CH2)nCOO−、C6F5(CF2)nCOO−、C6F5O(CH2)nCOO−、C6F5(CH=CH)nCOO−、C6F5SO3 −、C6F5(CH2)nSO3 −、C6F5(CF2)nSO3 −、C6F5O(CH2)nSO3 −、C6F5(CH=CH)nSO3 −、C6F5O−、C6F5(CH2)nO−、C6F5(CF2)nO−、C6F5O(CH2)nO−、(C6F5)2CHO−、(C6F5)3CO−、C6F5OSO3 −、C6F5O(CH2)nSO3 −、C6F5O(CF2)nSO3 −、(C6F5CO)2N−、(C6F5CO)3C−、(C6F5SO2)2N−、(C6F5SO2)3C−、(C6F5OSO2)2N−、(C6F5OSO2)3C−、C6F5PO3 2−、(C6F5)4B−などが挙げられる(ただし、nは1以上の整数)。
本発明で用いられるペンタフルオロベンゼン化合物は、特に、ペンタフルオロベンゼンカルボン酸アニオン(上記YがCOO−であるアニオン。すなわち、C6F5COO−)、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸アニオン(上記YがSO3 −であるアニオン。すなわち、C6F5SO3 −)、ペンタフルオロフェノキシアニオン(上記YがO−であるアニオン。すなわち、C6F5O−)からなる化合物群の中から選択された少なくとも1種以上をアニオンとして含有するイオン性化合物であることが好ましい。
ピリジニウムカチオンとしては、例えば、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−オクチル−4−メチルピリジニウムカチオン、1−ブチル−4−メチルピリジニウムカチオン、2−メチル−1−ドデシルピリジニウムカチオン、1−メチルピリジニウムカチオン、1−エチルピリジニウムカチオン、1−ブチルピリジニウムカチオン、1−ヘキシルピリジニウムカチオン、1−オクチルピリジニウムカチオン、1−ノニルピリジニウムカチオン、1−ドデシルピリジニウムカチオンなどが挙げられる。
イミダゾリウムカチオンとしては、例えば、1,3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ノニル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。
ピロリジニウムカチオンとしては、例えば、1−メチル−1−エチルピロリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ブチルピロリジニウムカチオン、1−オクチル−1−オクチルピロリジニウムカチオン、1−ブチル−1−オクチルピロリジニウムカチオン、1−ノニル−1−ノニルピロリジニウムカチオン、1−ドデシル−1−ドデシルピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。
アンモニウムカチオンとしては、例えば、テトラブチルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウムカチオン、トリオクチルメチルアンモニウムカチオン、トリメチルヘキシルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチル−N,N−ジデシルアンモニウムカチオン、N,N−ジアリル−N−ヘキシル−N−メチルアンモニウムカチオンおよびトリメチルエチルアンモニウムカチオンなどの脂肪族アンモニウムカチオン;フェニルトリメチルアンモニウムカチオン、ジメチルエチルフェニルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルフェニルアンモニウムカチオンなどの芳香族アンモニウムカチオンなどが挙げられる。
ピペリジニウムカチオンとしては、例えば、1−メチル−1−エチルピペリジニウムカチオン、1−メチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−ブチルピペリジニウムカチオン、1−オクル−1−オクチルピペリジニウムカチオン、1−ブチル−1−オクチルピペリジニウムカチオンなどが挙げられる。
モルホリニウムカチオンとしては、例えば、4−メチル−4−エチルモルホリニウムカチオン、4−メチル−4−ブチルモルホリニウムカチオン、4−メチル−4−ヘキシルモルホリニウムカチオン、4−オクチル−4−オクチルモルホリニウムカチオン、4−ブチル−4−オクチルモルホリニウムカチオン、4−ノニル−4−ノニルモルホリニウムカチオン、4−ドデシル−4−ドデシルモルホリニウムカチオンなどが挙げられる。
ホスホニウムカチオンとしては、例えば、テトラブチルホスホニウムカチオン、トリイソブチルメチルホスホニウムカチオン、テトラペンチルホスホニウムカチオンおよびテトラヘキシルホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
イミダゾリウムカチオンとペンタフルオロベンゼン化合物のアニオンを有するイオン性化合物としては、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1−ノニル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1−ノニル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1−ノニル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、などが挙げられる。
ピロリジニウムカチオンとペンタフルオロベンゼン化合物のアニオンを有するイオン性化合物としては、1−ブチル−1−ブチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1−ブチル−1−ブチルピロリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1−ブチル−1−ブチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、1−オクチル−1−オクチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩、1−オクチル−1−オクチルピロリジニウム ペンタフルオロフェノキシ塩、1−オクチル−1−オクチルピロリジニウム ペンタフルオロベンゼンスルホン酸塩、などが挙げられる。
さらにその他成分としてシランカップリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、硬化促進剤、可塑剤、充填剤、硬化遅延剤、加工助剤、老化防止剤などの公知の添加剤を適宜に配合することができる。これらは、単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
粘着剤層の基材フィルムや、粘着面を保護する剥離フィルム(セパレーター)としては、ポリエステルフィルムなどの樹脂フィルム等を用いることができる。
基材フィルムには、樹脂フィルムの粘着剤層が形成された側とは反対面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤やコート剤、シリカ微粒子等による防汚処理、帯電防止剤の塗布や練り込み等による帯電防止処理を施すことができる。
剥離フィルムには、粘着剤層の粘着面と合わされる側の面に、シリコーン系、フッ素系の離型剤などにより離型処理が施される。
偏光板用の表面保護フィルムなどの光学用の表面保護フィルムの場合は、基材フィルム及び粘着剤層は、十分な透明性を有することが好ましい。
[実施例1]
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート100重量部、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート1.5重量部とともに溶剤(酢酸エチル)を100部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を2時間かけて滴下させ、65℃で8時間反応させ、重量平均分子量50万の、実施例1のアクリル共重合体溶液1を得た。
[実施例2〜7及び比較例1〜2]
単量体の組成を各々、表1の記載のようにする以外は、上記の実施例1に用いるアクリル共重合体溶液1と同様にして、実施例2〜7及び比較例1〜2に用いるアクリル共重合体溶液を得た。
[実施例1]
上記のとおり製造したアクリル共重合体溶液1(そのうちアクリル共重合体が100重量部)に対して、1−オクチルピリジニウム ペンタフルオロベンゼンカルボン酸塩1.0重量部、コロネートHX(ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)化合物のイソシアヌレート体)1.5重量部を加えて撹拌混合して実施例1の粘着剤組成物を得た。この粘着剤組成物をシリコーン樹脂コートされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムからなる剥離フィルムの上に塗布後、90℃で乾燥することによって溶剤を除去し、粘着剤層の厚さが25μmである粘着シートを得た。
その後、一方の面に帯電防止及び防汚処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの帯電防止及び防汚処理された面とは反対の面に粘着シートを転写させ、「帯電防止及び防汚処理されたPETフィルム/粘着剤層/剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)」の積層構成を有する実施例1の表面保護フィルムを得た。
[実施例2〜7及び比較例1〜2]
添加剤の組成を各々、表1の記載のようにする以外は、上記の実施例1の表面保護フィルムと同様にして、実施例2〜7及び比較例1〜2の表面保護フィルムを得た。
なお、コロネート(登録商標)HX、同HL及び同L−45は日本ポリウレタン工業株式会社の商品名であり、TETRAD(登録商標)−Xは三菱ガス化学株式会社の商品名であり、デュラネート(登録商標)24A―100は旭化成ケミカルズ株式会社の商品名である。
実施例1〜7及び比較例1〜2における表面保護フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下で7日間エージングした後、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして、粘着剤層を表出させたものを、表面抵抗値の測定試料とした。
さらに、この粘着剤層を表出させた表面保護フィルムを、粘着剤層を介して液晶セルに貼られた偏光板の表面に貼り合わせ、1日放置した後、50℃、5気圧、20分間オートクレーブ処理し、室温でさらに12時間放置したものを、粘着力の測定試料とした。
上記で得られた測定試料(25mm幅の表面保護フィルムを偏光板の表面に貼り合わせたもの)を180°方向に引張試験機を用いて低速度(0.3m/min)において剥がして測定した剥離強度を粘着力とした。
エージングした後、偏光板に貼り合わせる前に、剥離フィルム(シリコーン樹脂コートされたPETフィルム)を剥がして粘着剤層を表出し、抵抗率計ハイレスタUP−HT450(三菱化学アナリテック製)を用いて粘着剤層の表面抵抗を測定した。
比較例1〜2の表面保護フィルムは、表面抵抗値が1.0×10+12Ω/□を超えており、帯電防止性に問題があるものとなった。さらに比較例1の表面保護フィルムは、粘着力が強すぎるため、リワーク性にも問題があるものとなった。
Claims (5)
- アクリル系ポリマーと、架橋剤と、帯電防止剤とを含有する粘着剤組成物(但し、シランカップリング剤を含有する物を除く)であって、
前記アクリル系ポリマーが、
(A)アルキル基の炭素数がC1〜C14のアルキル(メタ)アクリレートモノマーの少なくとも1種と、
(B)水酸基を含有する共重合性ビニルモノマー、および/または、カルボキシル基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種と、
(C)芳香族基を含有する共重合性ビニルモノマーの少なくとも1種と、を共重合させた共重合体であり、
前記水酸基を含有する共重合性ビニルモノマーが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる化合物群から選択された1種以上であり、
前記帯電防止剤が、ペンタフルオロフェニル基(C6F5基)を有するアニオンとカチオンとからなるイオン性化合物であり、
前記カチオンが、ピリジニウム、イミダゾリウム、ピロリジニウムからなるカチオン群から選択した1種であり、
前記粘着剤組成物が、前記共重合体の100重量部に対して、前記イオン性化合物を0.1〜10重量部の割合で含有してなることを特徴とする粘着剤組成物。 - 前記イオン性化合物のアニオンが、C6F5COO−、C6F5(CH2)nCOO−、C6F5(CF2)nCOO−、C6F5O(CH2)nCOO−、C6F5(CH=CH)nCOO−、C6F5SO3 −、C6F5(CH2)nSO3 −、C6F5(CF2)nSO3 −、C6F5O(CH2)nSO3 −、C6F5(CH=CH)nSO3 −、C6F5O−、C6F5(CH2)nO−、C6F5(CF2)nO−、C6F5O(CH2)nO−、(C6F5)2CHO−、(C6F5)3CO−、(C6F5)4B−、C6F5OSO3 −、C6F5O(CH2)nSO3 −、C6F5O(CF2)nSO3 −、(C6F5CO)2N−、(C6F5CO)3C−、(C6F5SO2)2N−、(C6F5SO2)3C−、(C6F5OSO2)2N−、(C6F5OSO2)3C−、C6F5PO3 2−からなるアニオン群の中から選択された1種であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 基材の片面上に、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層が積層されたことを特徴とする粘着フィルム。
- 請求項3に記載の粘着フィルムが用いられた、表面保護フィルム。
- 光学フィルムの少なくとも一方の面に、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物を架橋してなる粘着剤層が積層されている粘着剤層付き光学フィルム。
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