JP6490626B2 - 電力伝送通信ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、電力伝送通信ユニットに関する。
従来、非接触で電力の伝送を行う機能と無線で通信する機能とを備えた電力伝送通信ユニットがある。電力伝送通信ユニットは、通信モジュールと、通信モジュールの周りに渦巻状に形成された電力伝送用コイルと、が同一基板上に設けられている(例えば、特許文献1)。
特開2014−49479号公報
しかしながら、通信モジュールは、電力伝送用コイルの磁界の影響を受けやすく、渦電流によって通信モジュールの温度が上昇する問題があった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、通信モジュールの温度上昇を抑制することができる電力伝送通信ユニットを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電力伝送通信ユニットは、開口部を有した基板と、前記開口部の周りに渦巻状に形成され、前記基板の一方の面に取り付けられて当該基板の回路と接続され、非接触で電力の伝送を行う電力伝送コイルと、前記開口部に設置され、導電部材を有し、当該導電部材を介して無線通信を行う通信モジュールと、を備え、前記通信モジュールの導電部材は、前記電力伝送コイルのコイル軸線方向に直交する直交方向から見た場合に、前記電力伝送コイルの前記基板と反対側におけるコイル端部よりも、前記コイル軸線方向において前記基板側に位置し、前記導電部材の前記コイル軸線方向における相手側通信モジュール側の端部は、前記直交方向から見た場合に、前記コイル軸線方向において、前記基板の前記電力伝送コイルと反対側の面と同じ位置に位置することを特徴とする。
また、上記電力伝送通信ユニットにおいて、前記基板は、磁性体を含み、前記導電部材の前記コイル軸線方向における通信側の端部は、前記直交方向から見た場合に、前記コイル軸線方向において、前記基板の前記電力伝送コイル側の面と、相手側通信モジュールと通信可能な位置と、の間に位置することが好ましい。
また、相手側開口部を有した相手側基板と、前記相手側開口部の周りに渦巻状に形成され前記相手側基板の一方の面に取り付けられて当該相手側基板の回路と接続され非接触で電力の伝送を行う相手側電力伝送コイルと、前記相手側開口部に設置され相手側導電部材を有し当該相手側導電部材を介して無線通信を行う相手側通信モジュールと、を備える相手側電力伝送通信ユニットにおける前記相手側電力伝送コイルの前記相手側基板と反対側の相手側コイル端部と前記コイル端部との前記コイル軸線方向の間隔が10mmであり、前記導電部材の前記コイル軸線方向における通信側の端部は、前記直交方向から見た場合に、前記コイル軸線方向において、前記コイル端部から前記基板側に2mm離れた位置から、前記相手側通信モジュールと通信可能な位置までの範囲に位置することが好ましい。
また、上記電力伝送通信ユニットにおいて、前記通信モジュールは、プリント配線基板を備え、前記導電部材は、前記プリント配線基板の回路に接続され、当該プリント配線基板から突出して形成され、電荷を蓄積する結合電極を含むことが好ましい。
本発明に係る電力伝送通信ユニットによれば、通信モジュールの導電部材は、基板の開口部に設置され、電力伝送コイルの基板と反対側における端部よりも、コイル軸線方向において基板側に位置するので、通信モジュールの温度上昇を抑制することができる。
図1は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの構成例を示す底面図である。 図2は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの構成例を示す断面図である。 図3は、実施形態に係る送電側の電力伝送通信ユニットと受電側の電力伝送通信ユニットとの位置関係を示す断面図である。 図4は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの使用例(その1)を示す断面図である。 図5は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの使用例(その2)を示す断面図である。 図6は、比較例に係る温度上昇例(距離:10mm)を示す図である。 図7は、実施形態に係る温度上昇例(距離:10mm)を示す図である。 図8は、比較例に係る温度上昇例(距離:5mm)を示す図である。 図9は、実施形態に係る温度上昇例(距離:5mm)を示す図である。 図10は、実施形態に係る通信カプラの温度上昇例を示す図である。
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
〔実施形態〕
実施形態に係る電力伝送通信ユニットについて説明する。図1は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの構成例を示す底面図である。図2は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの構成例を示す断面図である。図3は、実施形態に係る送電側の電力伝送通信ユニットと受電側の電力伝送通信ユニットとの位置関係を示す断面図である。
電力伝送通信ユニット1(1A)は、相手側電力伝送通信ユニットとしての電力伝送通信ユニット1(1B)に対して非接触で電力を伝送すると共に無線で通信するものである。電力伝送通信ユニット1は、図1及び図2に示すように、基板10と、電力伝送コイル20と、通信モジュールである通信カプラ30とを備えている。なお、説明の理解を容易にするために、電力伝送通信ユニット1は、筐体を取り外した状態で図示している。
基板10は、絶縁素材10aと、開口部11と、電力伝送用の回路12とを備えている。絶縁素材10aは、直方体の形状を有した板状に形成され、透磁率の高い磁性体であるフェライトを含んでいる。絶縁素材10aは、中央に矩形の開口部11が形成されている。開口部11は、通信カプラ30の通信を妨げない大きさに開口されている。絶縁素材10aの電力伝送コイル20側の面13には、電力伝送用の回路12が形成されている。
電力伝送コイル20は、非接触で電力の伝送を行うものである。電力伝送コイル20は、基板10の開口部11の周りに中心軸線Xを中心として渦巻状に形成され、基板10の電力伝送用の回路12側の面13に取り付けられている。電力伝送コイル20は、基板10に形成された回路12に接続されている。例えば、電力伝送コイル20の一方の端部は、回路12aに接続され、電力伝送コイル20の他方の端部は、回路12bに接続されている。
通信カプラ30は、基板10の開口部11に設置され、相手側の通信カプラ30と無線通信を行うものである。通信カプラ30は、例えば、近接無線転送技術であるTransferJet(登録商標)を使用する。通信カプラ30は、プリント配線基板31と、結合電極32と、同軸コネクタ33とを備えている。結合電極32は、導電部材に含まれる。
プリント配線基板31は、直方体の形状を有した板状に形成されている。プリント配線基板31には、回路310が形成されている。
結合電極32は、通信に用いる電荷を蓄積するものである。結合電極32は、プリント配線基板31の回路310に接続され、当該プリント配線基板31から突出して形成されている。例えば、結合電極32は、円形の電極板320と、電極板320の略中央から電極板320のコイル軸線方向に延在した電極棒321と、を備えている。ここで、コイル軸線方向は、中心軸線Xに沿った方向である。電極棒321の電極板320と反対側の端部は、プリント配線基板31の回路310に接続されている。電極板320は、プリント配線基板31の回路310が形成された面と略平行に設けられている。
同軸コネクタ33は、プリント配線基板31の回路310と図示しないケーブルとを接続するものである。
通信カプラ30の結合電極32は、電力伝送コイル20の磁界から受ける影響を抑制するために、電力伝送コイル20よりも基板10側に位置する。例えば、通信カプラ30の結合電極32は、電力伝送コイル20のコイル軸線方向に直交する直交方向から見た場合に、電力伝送コイル20の基板10と反対側におけるコイル端部21よりも、コイル軸線方向において基板10側に位置する。好ましくは、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322は、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において、基板10の電力伝送コイル20側の面13と、相手側の通信カプラ30と通信可能な位置と、の間に位置する。本実施形態では、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322は、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において、基板10の電力伝送コイル20と反対側の面14と同じ位置に位置する。
なお、電力伝送コイル20は、製造時の誤差によりばらつきが生じることで、電力伝送コイル20の線径は一定にならない場合がある。このため、電力伝送コイル20のコイル端部21は、直交方向から見た場合に、電力伝送コイル20の線径の差異により、コイル軸線方向に凹凸が生じる場合がある。従って、電力伝送コイル20のコイル端部21は、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において基板10と最も離れている部分を示す。
電力伝送通信ユニット1Aは、図3に示すように、電力伝送通信ユニット1Bにコイル軸線方向において対向して配置される。つまり、電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30と、電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30とが通信可能に対向して配置され、かつ、電力伝送通信ユニット1Aの電力伝送コイル20と、電力伝送通信ユニット1Bの電力伝送コイル20とが電力伝送可能に対向して配置される。電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとは、略同様の構成であり、使用態様に応じて、電気信号を送信する送信側又は電気信号を受信する受信側として機能する。また、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとは、使用態様に応じて、電力を送電する送電側又は電力を受電する受電側として機能する。電力伝送通信ユニット1Bは、相手側基板としての基板10と、相手側開口部としての開口部11と、相手側電力伝送コイルとしての電力伝送コイル20と、相手側コイル端部としてのコイル端部21と、相手側通信モジュールとしての通信カプラ30と、相手側導電部材としての結合電極32とを備える。
電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとにおける幾何学的な配置の一例を説明する。電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30と電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30との通信距離は、例えば、最大210mm程度である。つまり、電力伝送通信ユニット1Aの結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322と、電力伝送通信ユニット1Bの結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322との距離Dcは、例えば、最大210mm程度である。
結合電極32は、上述したように、電力伝送コイル20の基板10と反対側におけるコイル端部21からコイル軸線方向において基板10側にオフセットされている。例えば、電力伝送コイル20のコイル端部21と、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322とのオフセット距離Deは、例えば、コイル軸線方向において10mm程度である。
従って、通信カプラ30同士の通信距離が最大210mm程度であるので、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとが対向した状態で、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとのコイル軸線方向における最大の距離Dpは、190mm程度である。つまり、電力伝送通信ユニット1Aの電力伝送コイル20のコイル端部21と、電力伝送通信ユニット1Bの電力伝送コイル20のコイル端部21との最大の距離Dpは、190mm程度である。電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとのコイル軸線方向における距離が、最大の距離Dp(190mm程度)よりも離れると、通信カプラ30間の距離が210mmを超えるので、通信カプラ30の通信に影響がでる。例えば、通信カプラ30の通信速度が低下したり、通信カプラ30の通信にエラーが生じたりする。電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとのコイル軸線方向における距離が、最大の距離Dp(190mm程度)以下であれば、通信カプラ30の通信に影響はでない。
次に、電力伝送通信ユニット1の動作例について説明する。電力伝送通信ユニット1Aは、電気信号の送信及び電力の受電を行い、電力伝送通信ユニット1Bは、電気信号の受信及び電力の送電を行うものとして説明する。
電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30は、同軸コネクタ33に接続されたケーブルから電気信号が入力されると、結合電極32に電荷を蓄積する。電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとがコイル軸線方向において10mm以下程度の間隔で対向した状態で、電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30は、結合電極32に蓄積された電荷を電気信号として電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30に送信する。電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30は、電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30から送信された電気信号を受信し、同軸コネクタ33に接続されたケーブルを介して電気信号を出力する。
また、電力伝送通信ユニット1Bの図示しない交流電源は、電力伝送用の回路12を介して電力伝送コイル20に電力を供給する。電力伝送コイル20に電流が流れると磁界が発生し、この磁界により生じた誘導起電力によって電力伝送通信ユニット1Aの電力伝送コイル20に電流が流れる。
次に、電力伝送通信ユニット1の使用例について説明する。図4は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの使用例(その1)を示す断面図である。図5は、実施形態に係る電力伝送通信ユニットの使用例(その2)を示す断面図である。なお、図4及び図5に示す電力伝送通信ユニット1は、筐体40が装着されている。筐体40は、樹脂などから形成され、基板10に取り付けられた電力伝送コイル20と通信カプラ30とを保護するものである。
電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとの間には、図4に示すように、障害物が介在しない状態で、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとをコイル軸線方向に通信可能に対向させてもよい。そして、電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30は、電気信号を電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30に送信する。電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30は、電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30から送信された電気信号を受信する。また、電力伝送通信ユニット1Bの電力伝送コイル20は、磁界結合により電力を電力伝送通信ユニット1Aの電力伝送コイル20に伝送する。電力伝送通信ユニット1Aの電力伝送コイル20は、電力伝送通信ユニット1Bの電力伝送コイル20から伝送された電力を受電する。
また、図5に示すように、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとの間に、非導電部材である障害物2が介在した状態で、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとをコイル軸線方向に通信可能に対向させてもよい。
次に、通信カプラ30と電力伝送コイル20との温度変化について、比較例と比較しながら説明する。図6は、比較例に係る温度上昇例(距離:10mm)を示す図である。図7は、実施形態に係る温度上昇例(距離:10mm)を示す図である。図8は、比較例に係る温度上昇例(距離:5mm)を示す図である。図9は、実施形態に係る温度上昇例(距離:5mm)を示す図である。図6〜図9において、縦軸は温度を示し、横軸は時間(分)を示す。
比較例では、図示しない結合電極は、図示しない電力伝送コイルの基板と反対側における端部からコイル軸線方向にオフセットされていない。つまり、電力伝送コイルの基板と反対側における端部と、結合電極のコイル軸線方向における通信側の端部とが直交方向から見た場合にコイル軸線方向において並んでいる。比較例に係る図示しない送信側の電力伝送通信ユニットと受信側の電力伝送通信ユニットとのコイル軸線方向における間隔は、10mm程度である。この場合、比較例に係る電力伝送通信ユニットでは、図6に示すように、電気信号の送信を開始してから15分後において、送信側の通信カプラ30の温度が95℃であり、受信側の通信カプラ30の温度が73℃であった。また、電力の伝送を開始してから15分後において、送電側の電力伝送コイル20の温度が63℃であり、受電側の電力伝送コイル20の温度が46℃であった。また、電力の伝送効率は、84%であった。
これに対して、本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとのコイル軸線方向における間隔が10mm程度の場合、図7に示すように、電気信号の送信を開始してから15分後において、送信側の通信カプラ30の温度が35℃であり、受信側の通信カプラ30の温度が33℃であった。また、電力の伝送を開始してから15分後において、送電側の電力伝送コイル20の温度が52℃であり、受電側の電力伝送コイル20の温度が42℃であった。また、電力の伝送効率は、89%であった。
本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、比較例の電力伝送通信ユニットと比較して、送信側の通信カプラ30の温度が60℃低下し、受信側の通信カプラ30の温度が40℃低下した。また、本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、比較例の電力伝送通信ユニットと比較して、送電側の電力伝送コイル20の温度が11℃低下し、受電側の電力伝送コイル20の温度が4℃低下した。また、本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、比較例の電力伝送通信ユニットと比較して、電力の伝送効率が5%向上した。
比較例に係る送信側の電力伝送通信ユニットと受信側の電力伝送通信ユニットのコイル軸線方向における間隔が5mm程度である場合、比較例に係る電力伝送通信ユニットでは、図8に示すように、電気信号の送信を開始してから15分後において、送信側の通信カプラ30の温度が59℃であり、受信側の通信カプラ30の温度が80℃であった。また、電力の伝送を開始してから15分後において、送電側の電力伝送コイル20の温度が68℃であり、受電側の電力伝送コイル20の温度が57℃であった。また、電力の伝送効率は、84%であった。
これに対して、本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとのコイル軸線方向における間隔が5mm程度の場合、図9に示すように、電気信号の送信を開始してから15分後において、送信側の通信カプラ30の温度が34℃であり、受信側の通信カプラ30の温度が33℃であった。また、電力の伝送を開始してから15分後において、送電側の電力伝送コイル20の温度が53℃であり、受電側の電力伝送コイル20の温度が50℃であった。また、電力の伝送効率は、88%であった。
本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、比較例の電力伝送通信ユニットと比較して、送信側の通信カプラ30の温度が25℃低下し、受信側の通信カプラ30の温度が47℃低下した。また、本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、比較例の電力伝送通信ユニットと比較して、送電側の電力伝送コイル20の温度が15℃低下し、受電側の電力伝送コイル20の温度が7℃低下した。また、本発明に係る電力伝送通信ユニット1では、比較例の電力伝送通信ユニットと比較して、電力の伝送効率が4%向上した。
次に、通信カプラ30をオフセットさせたときの通信カプラ30の温度上昇例について説明する。図10は、実施形態に係る通信カプラの温度上昇例を示す図である。図10の縦軸は上昇温度を示し、横軸は電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30と電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30との通信距離を示す。この例では、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、電力伝送コイル20の基板10と反対側におけるコイル端部21と、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322とのオフセット距離Deを1mm〜25mmまで変化させたときの通信カプラ30の上昇温度を測定した。また、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、電力伝送通信ユニット1Aのコイル端部21と電力伝送通信ユニット1Bのコイル端部21とのコイル軸線方向における間隔を10mmとした。
電力伝送通信ユニット1A、1Bは、図10に示すように、通信カプラ30の通信距離が長くなるに従って通信カプラ30の送信側及び受信側の温度上昇が抑制されることが分かる。電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30の通信距離が14mm程度、つまり各オフセット距離Deが2mm程度のときに、通信カプラ30の上昇温度が40℃程度となった。電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30が実用上40℃程度以下であることが妥当であると考えられるので、通信カプラ30のオフセット距離Deを2mm程度以上とすることが好ましい。また、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30の通信距離が50mm程度、つまりオフセット距離Deが20mm程度で上昇温度が最も低くなった。そして、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30の通信距離が50mm程度を超えると、通信カプラ30の温度変化がほとんど見られなくなった。これにより、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30のオフセット距離Deを20mm程度以下とすることが好ましい。つまり、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、コイル端部21の間の距離Dpが10mmの場合に、通信カプラ30のオフセット距離Deを2mm程度以上から20mm程度以下とすることが好ましい。これにより、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30の温度上昇を抑制できると共に小型化することができる。電力伝送通信ユニット1A、1Bは、例えば、通信カプラ30の温度上昇をできるだけ低く抑えたい場合にはオフセット距離Deを20mm程度に設定し、より小型化したい場合にはオフセット距離Deを2mm程度に設定することが好ましい。なお、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30のオフセット距離Deが20mmを超えて通信カプラ30が相手側の通信カプラ30と通信可能な位置、例えば、オフセット距離Deが100mm程度の位置に通信カプラ30を設定してもよい。この場合、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、サイズが大きくなるが温度上昇は抑制されている。
以上のように、実施形態に係る電力伝送通信ユニット1によれば、通信カプラ30の結合電極32は、開口部11に設置され、電力伝送コイル20のコイル軸線方向に直交する直交方向から見た場合に、電力伝送コイル20の基板10と反対側におけるコイル端部21よりも、コイル軸線方向において基板10側に位置する。
これにより、通信カプラ30と電力伝送コイル20とを同一基板上に設置する場合と比較して、通信カプラ30の結合電極32を電力伝送コイル20の磁界が強い領域、つまり中央部から任意の位置に離すことができるので、結合電極32が電力伝送コイル20の磁界から受ける影響を効果的に抑制できる。従って、結合電極32に流れる渦電流を抑制できるので、結合電極32の温度上昇を抑制することができる。また、電力伝送コイル20は、結合電極32の磁界から受ける影響を抑制できるので、電力伝送コイル20に流れる渦電流を抑制することができ、電力伝送コイル20の温度上昇を抑制することができる。また、電力伝送コイル20は、結合電極32の磁界から受ける影響を抑制できるので、電力の伝送効率を向上できる。
また、好ましくは、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322は、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において、基板10の電力伝送コイル20側の面13と、相手側の通信カプラ30と通信可能な位置と、の間に位置する。
これにより、通信カプラ30の結合電極32を電力伝送コイル20の磁界からより離すことができるので、結合電極32が電力伝送コイル20の磁界から受ける影響を抑制できる。また、磁性体を含む基板10により電力伝送コイル20の磁束が吸収されるので、結合電極32が電力伝送コイル20の磁界から受ける影響を抑制できる。
また、好ましくは、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322は、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において、基板10の電力伝送コイル20と反対側の面14と同じ位置に位置する。
これにより、通信カプラ30の結合電極32を電力伝送コイル20の磁界から離すことができると共に、通信を確実に行うことができる位置に通信カプラ30を配置できる。
また、好ましくは、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、電力伝送通信ユニット1Aのコイル端部21と電力伝送通信ユニット1Bのコイル端部21とのコイル軸線方向における間隔が10mmであり、通信カプラ30のコイル軸線方向における通信側の端部322が、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において、コイル端部21から基板10側に2mm離れた位置から、相手側の通信カプラ30と通信可能な位置までの範囲に位置する。
これにより、電力伝送通信ユニット1A、1Bは、通信カプラ30の上昇温度を通信カプラ30が実用上耐えることができる範囲内に抑えることができる。
また、通信カプラ30の周りに電力伝送コイル20が渦巻状に配置されているので、電力伝送通信ユニット1Aと電力伝送通信ユニット1Bとの位置合わせを容易に行うことができる。つまり、電力伝送通信ユニット1Aの通信カプラ30と、電力伝送通信ユニット1Bの通信カプラ30とをコイル軸線方向において通信可能に対向して配置すればよく、コイル軸線方向を中心軸として回転する方向への位置合わせは行わなくてもよい。
なお、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322は、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において、基板10の電力伝送コイル20側の面13と、基板10の電力伝送コイル20と反対側の面14との間に位置してもよい。また、結合電極32のコイル軸線方向における通信側の端部322は、直交方向から見た場合に、コイル軸線方向において、基板10の電力伝送コイル20と反対側の面14と、相手側の通信カプラ30と通信可能な位置との間に位置してもよい。
〔変形例〕
次に、実施形態の変形例について説明する。近接無線転送技術としてTransferJet(登録商標)を使用する例について説明したが、他の近接無線転送技術を使用してもよい。
また、結合電極32は、円形の電極板320と、電極板320の略中央から電極板320のコイル軸線方向に延在した電極棒321と、を備える例について説明したが、結合電極32は、無線通信が可能な形状であれば、どのような形状であってもよい。
また、通信カプラ30の導電部材は、結合電極32を含む例について説明したが、結合電極32に加えて、さらに、プリント配線基板31の回路310を含んでもよい。
また、基板10は、磁性体であるフェライトを含む絶縁素材10aを使用したが、磁性体を含まない絶縁素材であってもよい。また、絶縁素材10aは、磁性体を含む場合、フェライトに限定されない。
1,1A,1B 電力伝送通信ユニット
10 基板
11 開口部
12 回路
13,14 面
20 電力伝送コイル
21 コイル端部
30 通信カプラ(通信モジュール)
31 プリント配線基板
310 回路(導電部材)
32 結合電極(導電部材)
320 電極板
321 電極棒
322 端部
33 同軸コネクタ

Claims (4)

  1. 開口部を有した基板と、
    前記開口部の周りに渦巻状に形成され、前記基板の一方の面に取り付けられて当該基板の回路と接続され、非接触で電力の伝送を行う電力伝送コイルと、
    前記開口部に設置され、導電部材を有し、当該導電部材を介して無線通信を行う通信モジュールと、を備え、
    前記通信モジュールの導電部材は、
    前記電力伝送コイルのコイル軸線方向に直交する直交方向から見た場合に、前記電力伝送コイルの前記基板と反対側におけるコイル端部よりも、前記コイル軸線方向において前記基板側に位置し、
    前記導電部材の前記コイル軸線方向における相手側通信モジュール側の端部は、
    前記直交方向から見た場合に、前記コイル軸線方向において、前記基板の前記電力伝送コイルと反対側の面と同じ位置に位置することを特徴とする電力伝送通信ユニット。
  2. 前記基板は、磁性体を含み、
    前記導電部材の前記コイル軸線方向における通信側の端部は、
    前記直交方向から見た場合に、前記コイル軸線方向において、前記基板の前記電力伝送コイル側の面と、相手側通信モジュールと通信可能な位置と、の間に位置する請求項1に記載の電力伝送通信ユニット。
  3. 相手側開口部を有した相手側基板と、前記相手側開口部の周りに渦巻状に形成され前記相手側基板の一方の面に取り付けられて当該相手側基板の回路と接続され非接触で電力の伝送を行う相手側電力伝送コイルと、前記相手側開口部に設置され相手側導電部材を有し当該相手側導電部材を介して無線通信を行う相手側通信モジュールと、を備える相手側電力伝送通信ユニットにおける前記相手側電力伝送コイルの前記相手側基板と反対側の相手側コイル端部と前記コイル端部との前記コイル軸線方向の間隔が10mmであり、
    前記導電部材の前記コイル軸線方向における通信側の端部は、
    前記直交方向から見た場合に、前記コイル軸線方向において、前記コイル端部から前記基板側に2mm離れた位置から、前記相手側通信モジュールと通信可能な位置までの範囲に位置する請求項1又は2に記載の電力伝送通信ユニット。
  4. 前記通信モジュールは、プリント配線基板を備え、
    前記導電部材は、
    前記プリント配線基板の回路に接続され、当該プリント配線基板から突出して形成され、電荷を蓄積する結合電極を含む請求項1〜のいずれか1項に記載の電力伝送通信ユニット。
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