JP6490020B2 - 受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のシンボルをブロック単位で伝送する伝送方式における受信装置に関する。
無線通信においてフェージングなどの影響を抑えるための技術として、ダイバーシチ技術が使用されている。例えば、複数の送信アンテナを用いて、特定の規則に基づく事前処理を施して信号を送信することでダイバーシチ効果を得ることが可能な時空間ブロック符号方式であるSTBC(Space-Time Block Coding)は、受信側でフルダイバーシチ利得を得ることができることから、多数のシステムに利用されている。特定の規則に基づく事前処理とは、符号の反転、送信順序の並べ替え、複素共益などである。ブランチ数2のSTBC伝送では、2シンボルを1つのブロックとして扱う。STBCを適用したシステムでは、受信側において、STBC信号の復調に伝搬路情報の推定が必要となる。
これに対して、STBCによるダイバーシチの効果を得ることができ、かつ伝搬路情報推定が不要な方式として、非特許文献1にて、STBCのブロック単位で差動符号化した差動時空間ブロック符号方式であるDSTBC(Differential Space-Time Block Coding)が開示されている。ブランチ数2のDSTBC伝送では、2シンボルを1つのブロックとして扱い、連続する2つのブロックのデータから差動符号化を行う。受信側では、受信した連続する2つのブロックのデータを差動復号化することで復調を行う。
無線通信においては、各種の干渉が性能劣化の要因となりうる。例えば、広帯域伝送を適用するシステムでは、伝搬路が周波数選択性を持つことで信号が歪み、正しく復調できないことが起こりうる。この現象は、マルチパス環境における遅延波によって発生し、伝搬路の特性、すなわち遅延波数、各遅延波の位相関係、大きさによって歪み方が様々に変化する。そのため、等化処理、または信号を狭帯域化するOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)などのマルチキャリア伝送方式を用いて対策する。特に、等化処理は、時間領域でのフィルタリングのタップ係数を逐次更新させることで周波数選択性および時間選択性の両方をもつ伝搬路で適用が可能である。等化処理では、一般に、受信信号の先行波および遅延波を各々推定し、位相などを調整して合成することで遅延波を有効に活用して性能改善を図るが、推定のためパイロット系列を必要とする。
伝搬路推定値をもとにSTBCに対応する等化器に設定するフィルタ用タップ係数を求める方法は、非特許文献2などで検討されている。非特許文献2では、線形等化器、判定帰還型等化器を適用する手法が開示され、等化用タップ係数をZF(Zero Forcing)またはMMSE(Minimum Mean Square Error)基準で生成することが記載されている。また、高速に変動する伝搬路に対しては、既知系列以外のデータ系列の判定結果をもとに伝搬路追従するトラッキングが利用される。STBC信号に対するトラッキングは、例えば非特許文献3で開示されている。
しかしながら、非特許文献2に記載の等化技術および非特許文献3に記載のトラッキング技術をDSTBC信号に対応させる方法については、十分に検討されていない。DSTBCで用いる差動時空間変調では、送信される信号のコンステレーションは、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)の場合においても4点を超える候補点数をとる(非特許文献4、特許文献1など参照)。よって、等化出力をもとに伝搬路のトラッキングをする伝搬路推定、または判定帰還型等化器であるDFE(Decision Feedback Equalization)を適用する場合、候補点が多数になり候補点間の信号点間距離が小さくなる。そのため、誤判定により伝搬路推定および判定帰還等化の性能が劣化する。また、差動復号化後の判定系列を再符号化してトラッキングなどに用いる方式は、差動符号化系列のうち一部が誤った場合、誤りが次のシンボルの誤りを誘発する誤り伝搬の問題がある。
また、一般的な無線通信システムでは、同期の確立が必要であり、送信フレーム内に同期ワードであるSW(Sync Word)またはユニークワードなどの信号を組み込み、受信側が相関演算などを行うことで同期を確立する手段が一般的である。例えば、送信側では、受信側が既知の信号パターンであるSWの系列を送信し、受信側では、既知のSWの系列と受信信号との相関演算を行い、ピーク検出などの手法によってフレーム、シンボルなどのタイミングを抽出する。
STBCおよびDSTBCの伝送方式では、さらに、ブロックの同期を確立する必要がある。STBCおよびDSTBCの伝送方式では、ブロックのタイミングを検出してブロックの同期を確立し、前述の事前処理に対応してブロック内のシンボルに、符号の反転、順序の並び替え、複素共役、合成などの事後処理を行う。ブロック同期が確立できない場合、STBCおよびDSTBCの伝送方式では、ブロック内のシンボルを合成して送信ダイバーシチ利得を得ることができず、ブロック内の合成が不完全となり、送信ダイバーシチ利得が低下するおそれがある。
等化器を利用した場合も同様である。非特許文献2では、ブロック内のシンボルを合成するためにブロック単位で等化器を動作させている。入力されるシンボルのタイミングがブロック内のシンボルを合成できるタイミングからずれた場合、すなわちブロック同期が確立されていない場合、等化器内で異なるブロックのシンボル同士が合成され、復調品質の性能が低下するおそれがある。そのため、受信側では、STBCまたはDSTBCのブロック内の信号を合成できるタイミングで等化器に入力されるようにブロック同期を確立する必要がある。
特開2014−120836号公報
V.Tarokh and H.Jafarkhani,"A Differential Detection Scheme for Transmit Diversity,"IEEE Journal on Selected Areas in Communications,Vol.18,pp1169−1174,July 2000. W. H. Gerstacker, F. Obernosterer, R. Schober, A. T. Lehmann, A. Lampe, and P. Gunreben, "Equalization concepts for Alamouti’s space−time block code," IEEE Trans. Commun.,vol.52,no.7, pp. 1178−1190, July 2004. N. Nefedov and G. P. Mattellini,"Evaluation of potential transmit diversity schemes with iterative receivers in EDGE," Proc. IEEE PIMRC, vol.5, pp.2087−2091, Sept. 2002. X. Shao and J. Yuan,"A new differential space−time block coding scheme," Proc. ICCS 2002, vo. 1, pp. 183−187, Nov.2002.
しかしながら、上記従来の技術によれば、ブロック同期が確立されていることを前提としており、ブロック同期を確立する手法については開示されていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のシンボルをブロック単位で伝送する場合に、ブロック同期を確立することができる受信装置を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の受信装置は、受信信号がベースバンド信号に変換され、オーバサンプリングされた信号を、シリアルパラレル変換して複数の信号を出力するシリアルパラレル変換部と、複数の信号の各々について無線通信区間の伝搬路の状態を推定し、伝搬路推定値を出力する伝搬路推定部と、伝搬路推定値に基づいて、シリアルパラレル変換部から入力された信号を出力するタイミングを補正して、ブロック同期が確立された状態のタイミングで信号を出力し、後段に信号が入力されるタイミングを制御する入力タイミング制御部と、を備える。また、受信装置は、入力タイミング制御部により制御されたタイミングで入力タイミング制御部から入力された信号をブロック単位で等化処理し、等化後の信号を出力する等化部と、等化後の信号の信号点パターンを判定し、判定結果を出力する判定部と、等化後の信号または判定結果に対して差動時空間符号を復号する処理を行う差動時空間復号部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、複数のシンボルをブロック単位で伝送する場合に、ブロック同期を確立することができる、という効果を奏する。
実施の形態1にかかる受信装置の構成例を示すブロック図 実施の形態1にかかる受信装置の受信動作を示すフローチャート 実施の形態1にかかるS/P変換部に入力されるベースバンド信号およびS/P変換部から出力されるベースバンド信号の例を示す図 実施の形態1にかかる入力タイミング制御部において、DFE等化用フィルタ部にベースバンド信号が入力されるタイミングを制御する処理を示すフローチャート 1シンボル時間間隔のみで遅延が存在する場合の伝搬路のインパルス応答の例を示す図 1シンボル時間間隔だけでなく分数間隔の遅延が存在する場合の伝搬路のインパルス応答の例を示す図 実施の形態1にかかる入力タイミング制御部を専用のハードウェアで構成する場合の例を示す図 実施の形態1にかかる入力タイミング制御部をCPUおよびメモリで構成する場合の例を示す図 実施の形態2にかかる受信装置の構成例を示すブロック図 実施の形態3にかかる受信装置の構成例を示すブロック図 実施の形態3にかかる受信装置の受信動作を示すフローチャート 実施の形態3にかかるフィルタタイミング制御部において、線形等化部のフィルタリングの処理における動作の制御タイミングを決定する処理を示すフローチャート 実施の形態4にかかる受信装置の構成例を示すブロック図
以下に、本発明の実施の形態にかかる受信装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
はじめに、本発明にかかる受信装置が受信する信号について説明する。実施の形態1および後述する実施の形態2から実施の形態4の受信装置は、一例として、差動時空間符号化(以下、DSTBCとする)方式により差動符号化された信号を受信する。DSTBCを用いた差動符号化は、次の式(1)で表現することができる。
Figure 0006490020
ここで、C(k)はあるブロックkにおける差動符号化結果と対応する行列である。S(k)はマッピング結果、すなわち差動符号化前の信号と対応する行列である。例えば、QPSK伝送では、S(k)の要素は一般的なQPSK変調点とその符号反転、複素共役で構成される。差動符号化は、自らの出力C(k−1)を用いて次のブロックの出力C(k)を計算する。例えば、2つのアンテナを用いてDSTBC送信を行うものとすると、ブロックは2シンボルを単位に構成することになり、行列は2×2の大きさとなる。以降、2アンテナDSTBCを仮定して説明する。この例において、行列S(k)およびC(k)は、次の式(2)のように構成される。
Figure 0006490020
C(k)の行列要素は、2つのアンテナと2つのシンボルで送信される場合の各アンテナの出力波形と対応、DSTBCでは時間と対応しており、例えば、ブロックを構成する2つのシンボルのうち前のシンボルでc(1,k)、c(2,k)を2本のアンテナで送り、次のシンボルで−c*(2,k)、c*(1,k)を送ることを意味する。以降の説明についても上記の通りにシンボルおよびアンテナに信号を対応づけて説明するが、実際にはブロック内のどの時刻すなわちシンボルタイミングにどの要素をどのアンテナで送信するかについては、一意に限定されない。例えば、2つのシンボルで送信される信号の順番を逆転してもよい。上述の通り差動符号化の演算結果は、適当に空間すなわちアンテナ、時間すなわちシンボルタイミングにアサインし、周波数変換、フィルタリングなどを施し、所望の搬送波上に変調してアンテナから送出される。一方、マッピング信号の行列S(k)についても、各ブロックkについて同様に2つのシンボルs(1,k)、s(2,k)を、それぞれの複素共役と対応させる形で配置される。
以下、上述したDSTBC方式により差動符号化された信号であるDSTBC信号を受信する実施の形態1の受信装置について説明する。実施の形態1では、一例として、受信装置が2本のアンテナで信号を受信する場合について説明する。また、受信装置が受信するDSTBC信号の送信元である対向装置は2本のアンテナで信号を送信するものとする。なお、アンテナ数をこれに限定するものではない。
図1は、本発明の実施の形態1にかかる受信装置100の構成例を示すブロック図である。受信装置100は、アンテナ1−1,1−2と、RF(Radio Frequency)変換部2−1,2−2と、S/P(Serial/Parallel)変換部3−1,3−2と、入力タイミング制御部4と、伝搬路推定部5と、DFE等化用フィルタ部6と、判定部7と、差動時空間復号部8と、誤り訂正復号部9と、を備える。また、DFE等化用フィルタ部6は、FF(FeedForward)フィルタ61と、FB(FeedBack)フィルタ62と、加算部63と、を備える。
つづいて、受信装置100において信号を受信する動作について説明する。図2は、実施の形態1にかかる受信装置100の受信動作を示すフローチャートである。
まず、受信装置100おいて、アンテナ1−1,1−2は、無線信号を受信する(ステップS1)。アンテナ1−1で受信された無線信号はアンテナ1−1からRF変換部2−1に入力され、アンテナ1−2で受信された無線信号はアンテナ1−2からRF変換部2−2に入力される。
RF変換部2−1,2−2は、各アンテナが受信した無線信号をベースバンド信号に変換する(ステップS2)。RF変換部2−1,2−2は、一般的なシングルキャリア受信方式のRF変換部と同様の処理、具体的には、ダウンコンバージョン処理、帯域制限処理等を無線周波数帯の受信信号に対して行い、ベースバンド信号に変換する。また、RF変換部2−1,2−2は、タイミング同期が確立されていない、シンボルレートに対してN(Nは2以上の整数とする)倍オーバサンプリングする(ステップS3)。RF変換部2−1から出力されるベースバンド信号はS/P変換部3−1に入力され、RF変換部2−2から出力されるベースバンド信号はS/P変換部3−2に入力される。
シリアルパラレル変換部であるS/P変換部3−1,3−2は、RF変換部2−1,2−2から入力されたベースバンド信号をシリアルパラレル変換する(ステップS4)。S/P変換部3−1,3−2は、シリアルパラレル変換後のベースバンド信号を、異なるタイミング位相の複数のベースバンド信号、上記の例ではN個のベースバンド信号として出力する。例えば、RF変換部2−1,2−2において2倍オーバサンプリングされていた場合、S/P変換部3−1,3−2は、RF変換部2−1,2−2から入力されたベースバンド信号をy(t)とすると、図3で示すようにシリアルパラレル変換し、異なるタイミングで1倍オーバサンプリングされたベースバンド信号として、2個のベースバンド信号を個別に出力する。図3は、実施の形態1にかかるS/P変換部3−1,3−2に入力されるベースバンド信号およびS/P変換部3−1,3−2から出力されるベースバンド信号の例を示す図である。S/P変換部3−1,3−2は、RF変換部2−1,2−2においてN倍オーバサンプリングされていた場合、RF変換部2−1,2−2から入力されたベースバンド信号を、各々N個のベースバンド信号に変換して出力する。
入力タイミング制御部4は、S/P変換部3−1,3−2から入力されたベースバンド信号を出力するタイミング、すなわち後段のDFE等化用フィルタ部6にベースバンド信号が入力されるタイミングを制御する(ステップS5)。入力タイミング制御部4は、伝搬路推定部5から入力された伝搬路推定結果に基づいて、S/P変換部3−1,3−2から入力された受信信号であるベースバンド信号を出力するタイミングを補正し、ブロック同期が確立された状態のタイミングで出力する。受信装置100では、ブロック同期が確立されず、入力されるシンボルのタイミングがブロック内のシンボルを合成できるタイミングからずれた場合、等化による信号合成ができない。そのため、実施の形態1では、入力タイミング制御部4が、DFE等化用フィルタ部6においてブロック内のシンボルを合成できるタイミングに補正する。
図4は、実施の形態1にかかる入力タイミング制御部4において、DFE等化用フィルタ部6にベースバンド信号が入力されるタイミングを制御する処理を示すフローチャートである。具体的に、入力タイミング制御部4は、S/P変換部3−1,3−2からのベースバンド信号を一度バッファリングする(ステップS11)。入力タイミング制御部4は、伝搬路推定部5からの伝搬路推定結果および既知の信号系列であるシンクワード系列から、受信信号の候補となる受信信号のレプリカ系列を生成する(ステップS12)。入力タイミング制御部4は、受信信号のレプリカ系列とバッファリングした実際の受信信号であるベースバンド信号との誤差、例えば、二乗誤差を計算する(ステップS13)。入力タイミング制御部4は、受信アンテナごとに独立に誤差の計算をしてもよいし、まとめて誤差の計算をしてもよい。入力タイミング制御部4は、誤差の計算を、バッファリングしたベースバンド信号のタイミングを変更しながら複数回行う。入力タイミング制御部4は、複数回行った誤差の計算において、誤差が最小となるタイミングでバッファリングしたベースバンド信号を選択して出力するように制御する(ステップS14)。
これにより、入力タイミング制御部4は、ブロック同期を確立し、入力タイミング制御部4からDFE等化用フィルタ部6に入力されるシンボルのタイミングとDFE等化用フィルタ部6においてブロック内のシンボルを合成できるタイミングとのずれを補正することができる。
ここで、無線通信では、伝搬路が1シンボル時間よりも細かい時間間隔、すなわち分数間隔の遅延波を含むインパルス応答になる場合を考慮する必要がある。図5は、1シンボル時間間隔のみで遅延が存在する場合の伝搬路のインパルス応答の例を示す図である。図6は、1シンボル時間間隔だけでなく分数間隔の遅延が存在する場合の伝搬路のインパルス応答の例を示す図である。図5および図6において、横軸は遅延時間を示し、縦軸は信号強度を示す。本実施の形態では、図5に示すようなインパルスが1シンボル時間間隔で存在する環境だけでなく、図6に示すようなインパルスが1シンボル時間間隔に対して分数間隔で存在する環境において等化を実現する。そのため、入力タイミング制御部4は、DFE等化用フィルタ部6のFFフィルタ61および伝搬路推定部5へ、図3で示すような複数の異なるタイミング、すなわち位相でサンプリングされたブロック同期確立後の1倍オーバサンプリングのベースバンド信号を出力する。
受信装置100では、入力タイミング制御部4が各アンテナ1−1,1−2あたり2系統の位相を出力することで、FFフィルタ61は、入力タイミング制御部4から2倍オーバサンプリングの信号が入力され、1倍オーバサンプリングの信号を出力するフィルタとして動作する。また、伝搬路推定部5は、4つの1倍オーバサンプリングの信号の各々について伝搬路を推定する。これにより、受信装置100は、図6に示すようなマルチパス環境において等化を実現する分数間隔等化を実現する。ここで、図6に示すインパルスの分数間隔、すなわち最小間隔はNに反比例する。図6はN=2の場合を示し、インパルスの最小間隔は、1シンボル時間間隔の1/N、すなわち1シンボル時間間隔の1/2の時間間隔となる。
図2のフローチャートに戻って、伝搬路推定部5は、受信した信号の送信元である対向装置と自装置との間の無線通信区間の伝搬路を推定する(ステップS6)。伝搬路推定部5には、入力タイミング制御部4から受信信号であるベースバンド信号が入力され、判定部7から後述する判定結果が入力される。伝搬路推定部5は、既知信号であるシンクワード系列と、その受信区間における受信信号であるベースバンド信号から、遅延波を含めた伝搬路の状態の推定を行う。例えば、2アンテナ送信、2タップの伝搬路を仮定した伝搬路推定処理では、伝搬路推定部5は、受信アンテナ1本につき4つの要素を推定する。伝搬路推定部5は、公知のSTBC向け伝搬路推定技術、またはシングルキャリア等化技術などと同様の手法により、伝搬路を推定できる。
また、伝搬路推定部5は、判定部7から入力された判定結果をトラッキング用送信信号パターンとして使用し、伝搬路の時変動に追従するためのトラッキング処理を行い、伝搬路推定値を更新する。トラッキング処理は、例えばLMS(Least Mean Square)、またはRLS(Recursive Least Square)などのアルゴリズムを利用して行う。ここで、シンクワード系列がフレームの先頭以外の場所に配置されており、シンクワード系列よりも過去の信号と未来の信号とをそれぞれ復号する必要がある場合、過去の信号については時間をさかのぼる方向にトラッキングし、未来の信号については時間を追う方向にトラッキングを構成してもよい。伝搬路推定部5は、時間をさかのぼるトラッキングをする場合、受信信号であるベースバンド信号をいったんバッファし、シンクワード系列等、処理の起点となるデータを受信してからトラッキングを開始する。伝搬路推定部5は、トラッキング処理によって更新した伝搬路推定値を、入力タイミング制御部4およびDFE等化用フィルタ部6へ出力する。
DFE等化用フィルタ部6は、入力タイミング制御部4により制御されたタイミングで入力タイミング制御部4から入力されたベースバンド信号に対して等化処理を行う(ステップS7)。DFEであるDFE等化用フィルタ部6は、ブロック単位で動作すなわち等化処理を行い、ここでは、2シンボル時間単位で2シンボルの出力を得ることとする。また、DFE等化用フィルタ部6は、分数間隔等化を導入した等化部とする。
DFE等化用フィルタ部6において、FFフィルタ61は、フィードフォワードフィルタリング処理を行う。FFフィルタ61は、入力タイミング制御部4から入力されたベースバンド信号に対して、伝搬路推定部5から入力された伝搬路推定値に基づいて生成した等化用タップ係数を使用してフィードフォワードフィルタリング処理を行う。FFフィルタ61は、等化用タップ係数をZFまたはMMSE基準などに基づいて生成する。FFフィルタ61は、フィードフォワードフィルタリング処理後のベースバンド信号、すなわち、入力タイミング制御部4からの入力信号に対するフィルタリング結果を合成し、加算部63へ出力する。
FBフィルタ62は、フィードバックフィルタリング処理を行う。FBフィルタ62は、判定部7から入力された判定結果に対して、伝搬路推定部5から入力された伝搬路推定値に基づいて生成した等化用タップ係数を使用してフィードバックフィルタリング処理を行う。FBフィルタ62は、等化用タップ係数をZFまたはMMSE基準などに基づいて生成する。FBフィルタ62は、フィードバックフィルタリング処理後の信号を加算部63へ出力する。
加算部63は、FFフィルタ61から入力された信号と、FBフィルタ62から入力された信号とを加算、すなわち合成し、等化後のベースバンド信号を判定部7へ出力する。
判定部7は、DFE等化用フィルタ部6から入力された等化後のベースバンド信号の信号点パターンを1ブロック単位で判定する(ステップS8)。判定部7は、送信されうる信号点パターンと等化後のベースバンド信号とを比較し、どの信号点パターンが送信されたのかを判定する。判定部7は、具体的には、最も近い信号点が送信されたと判定する。ここで、1ブロックは、信号の送信元である対向装置が差動符号化を実施する単位である。本実施の形態では信号の送信元である対向装置が2本のアンテナを使用しており、1ブロックは2シンボルで構成されている。判定部7は、2シンボルで送信されうる全ての信号の組み合わせについて、等化後のベースバンド信号との距離を算出し、等化後のベースバンド信号との距離が最も近い候補が送信されたと判断する。判定部7は、例えば、送信信号の候補としてc(1,k)およびc(2,k)が取り得る組み合わせのうちの1つと等化後のベースバンド信号の二乗誤差を算出する。判定部7は、2シンボルすなわち1ブロック間での二乗誤差の和が最も小さい送信信号の候補がそのブロックで送信されたと判定する。
従来の判定処理では差動復号後の信号を1シンボルごとに判定を行うのに対して、判定部7は、差動復号の前段階で判定を行うため、コンステレーションの候補は多数の点に分布する。しかしながら、例えば、BPSK(Binary Phase Shift Keying)またはQPSKで変調された信号をDSTBCで差動符号化して得られた信号は、ブロックの1シンボル目と2シンボル目に関連性があるため、1シンボル目が決まれば、2シンボル目のコンステレーションは、一定の制限を受けた範囲に限定される。また、マッピングまたは差動符号化の初期値次第では1シンボル目と2シンボル目とが1対1の関係で連動した対応になることがある。すなわち、上述の連動関係を考慮して判定の候補を選び出すことによって、従来のように1シンボルずつ判定する場合と比較して候補点の数を削減して信号点間距離を平均的に広げ、判定精度を改善することができる。
実際には、無線装置の設計段階で差動符号化前の信号s(1,k)、s(2,k)および初期値c(1,k)、c(2,k)が決められていることが多いため、あらかじめ取り得る候補点c(1,k)とc(2,k)との組み合わせをシミュレーションなどを用いて求めておき、求められた組み合わせのパターンを判定部7の各ブロックにおける判定候補として使用してよい。また、差動符号化された信号に関するブロック候補、すなわち2シンボル分の送信信号の候補の組み合わせと、他のブロック候補との距離は、差動時空間符号化処理がユニタリ行列で実施される場合、差動符号化前の距離と同一になる。そのため、信号点間の距離が小さくなるのを回避できる。BPSKまたはQPSKなどに対してDSTBCを適用した場合はユニタリ行列で差動符号化が行われるため、1ブロックすなわち2シンボルをまとめて判定を行うブロック判定処理を実施することにより、上記の等化後信号に対して従来と同様のシンボル単位での判定を行う場合と比較して、高い判定性能が得られる。判定部7は、判定結果を伝搬路推定部5および差動時空間復号部8へ出力する。
差動時空間復号部8は、判定部7の判定結果を差動時空間復号する(ステップS9)。差動時空間復号部8は、判定部7から入力された判定結果を差動時空間復号し、差動時空間復号結果を誤り訂正復号部9へ出力する。差動時空間復号部8は、一つ前のブロックに対応する入力値を用いて差動時空間復号し、例えばQPSK伝送では差動時空間復号により元のQPSKのマッピング系列を取り出す処理を行う。なお、差動時空間復号部8は、差動符号化を行っていないSTBCの場合には不要であり、DSTBCの場合に必要となる。
誤り訂正復号部9は、差動時空間復号部8における差動時空間復号結果に対して誤り訂正復号の処理を行う(ステップS10)。誤り訂正復号部9の処理は、デマッピング処理を含み、DSTBCを適用していない一般的な伝送システムと同様の受信処理とすることができる。なお、誤り訂正符号化を用いないシステムでは、差動時空間復号結果に対して、硬判定処理を行い、判定結果を出力する。なお、図1では判定部7の出力が差動時空間復号部8に入力される構成としたが、判定部7の出力はすでに判定処理によって補正された信号が出力されているため、差動時空間復号部8は誤り訂正復号部9に有効な軟判定データを生成することができない。このため、ブロック判定前の信号、すなわちDFE等化用フィルタ部6からの出力信号が差動時空間復号部8に入力されるように構成し、差動時空間復号部8は軟判定を行って軟判定データを生成し、誤り訂正復号部9が軟判定データに基づく誤り訂正復号処理を行えるように構成してもよい。
なお、受信装置100において、アンテナ数を2としたが、アンテナ数は2に限定されるものではない。受信装置では、使用するアンテナ数と同数のRF変換部およびS/P変換部が必要となる。FFフィルタ61にはアンテナ数に基づく数の信号が入力タイミング制御部4から入力され、FFフィルタ61およびFBフィルタ62にはアンテナ数に基づく数の伝搬路推定値が伝送路推定部5から入力される。加算部63からは、合成後、すなわち等化後のベースバンド信号が出力される。その後の判定部7以降の処理は、アンテナ数にかかわらず同一処理とすることができる。なお、図1に示す受信装置100にはDFEが適用されているが、一例であり、線形等化部が適用されてもよい。等化部へ入力されるシンボルのタイミングを調整し、等化部へ入力されるシンボルのタイミングとブロック内のシンボルを合成できるタイミングとのずれを補正する本発明は、ブロック単位で等化処理を行う種々の等化部に適用可能である。
つづいて、受信装置100のハードウェア構成について説明する。受信装置100において、アンテナ1−1,1−2はアンテナ素子により実現される。RF変換部2−1,2−2は無線通信のインタフェース回路により実現される。S/P変換部3−1,3−2はシリアルパラレル変換回路により実現される。伝送路推定部5は伝送路推定回路により実現される。DFE等化用フィルタ部6はフィルタ回路および加算器により実現される。判定部7は、信号のコンステレーションを判定する回路により実現される。差動時空間復号部8はDSTBCにおいて差動時空間変調された信号を差動時空間復号する回路により実現される。誤り訂正復号部9は誤り訂正符号化された信号を誤り訂正復号する回路により実現される。入力タイミング制御部4は、処理回路により実現される。すなわち、受信装置100は、ベースバンド信号をバッファリングし、受信信号のレプリカ系列を生成し、受信信号のレプリカ系列とベースバンド信号との誤差を計算し、誤差に基づいてベースバンド信号を選択して出力するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)およびメモリであってもよい。
図7は、実施の形態1にかかる入力タイミング制御部4を専用のハードウェアで構成する場合の例を示す図である。処理回路が専用のハードウェアである場合、図7に示す処理回路91は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。入力タイミング制御部4の各機能を機能別に処理回路91で実現してもよいし、各機能をまとめて処理回路91で実現してもよい。
図8は、実施の形態1にかかる入力タイミング制御部4をCPUおよびメモリで構成する場合の例を示す図である。処理回路がCPU92およびメモリ93で構成される場合、入力タイミング制御部4の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアまたはファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ93に格納される。処理回路では、メモリ93に記憶されたプログラムをCPU92が読み出して実行することにより、各機能を実現する。すなわち、受信装置100は、入力タイミング制御部4が処理回路により実行されるときに、ベースバンド信号をバッファリングするステップ、受信信号のレプリカ系列を生成するステップ、受信信号のレプリカ系列とベースバンド信号との誤差を計算するステップ、誤差に基づいてベースバンド信号を選択して出力するステップが結果的に実行されることになるプログラムを格納するためのメモリ93を備える。また、これらのプログラムは、受信装置100の手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。ここで、CPU92は、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサ、またはDSP(Digital Signal Processor)などであってもよい。また、メモリ93とは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、またはDVD(Digital Versatile Disc)などが該当する。
なお、入力タイミング制御部4の各機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。例えば、ベースバンド信号をバッファリングし、受信信号のレプリカ系列を生成する機能については専用のハードウェアとしての処理回路91でその機能を実現し、受信信号のレプリカ系列とベースバンド信号との誤差を計算し、誤差に基づいてベースバンド信号を選択して出力する機能についてはCPU92がメモリ93に格納されたプログラムを読み出して実行することによってその機能を実現することが可能である。
このように、処理回路は、専用のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、STBCまたはDSTBCの伝送システムにおける無線通信において、受信装置100では、等化部であるDFE等化用フィルタ部6へ入力タイミング制御部4から入力される信号のタイミングを、入力タイミング制御部4が、DFE等化用フィルタ部6においてブロック内のシンボルを合成できるタイミングに補正することとした。これにより、受信装置100は、ブロック同期を確立して、等化処理を実現することができる。また、受信装置100では、ブロック内のシンボルを合成するDFE等化用フィルタ部6において分数間隔等化処理を行うこととした。これにより、受信装置100は、様々な遅延時間を持つ遅延波が混入する伝搬環境においても、安定した受信性能を実現することができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、分数間隔等化処理を行う場合について説明した。実施の形態2では、1シンボル時間間隔のみで遅延が存在する場合について説明する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
図9は、実施の形態2にかかる受信装置100aの構成例を示すブロック図である。受信装置100aは、受信装置100に対して、RF変換部2−1,2−2、S/P変換部3−1,3−2、入力タイミング制御部4、伝送路推定部5、およびDFE等化用フィルタ部6を削除し、RF変換部2−1a,2−2a、入力タイミング制御部4a、伝送路推定部5a、およびDFE等化用フィルタ部6aを追加したものである。また、DFE等化用フィルタ部6aは、DFE等化用フィルタ部6に対して、FFフィルタ61をFFフィルタ61aに置き換えたものである。
RF変換部2−1a,2−2aは、RF変換部2−1,2−2と同様の処理を行うが、オーバサンプリング数をN倍ではなく1倍とする点が異なる。入力タイミング制御部4a、伝送路推定部5a、およびDFE等化用フィルタ部6aのFFフィルタ61aについても、扱う信号の数が異なるが、各々入力タイミング制御部4、伝送路推定部5、およびDFE等化用フィルタ部6のFFフィルタ61と同様の処理を行う。このように、受信装置100aでは、RF変換部2−1a,2−2aが1倍オーバサンプリングのみ行うことから、S/P変換部3−1,3−2は不要となる。
受信装置100aの受信動作は、扱う信号の数が異なる点を除けば、図2に示す受信装置100の受信動作のフローチャートからステップS3およびステップS4の処理を削除したものと同様である。また、入力タイミング制御部4aの動作は、ベースバンド信号がS/P変換部3−1,3−2からではなくRF変換部2−1a,2−2aから入力される点、および扱う信号の数が異なる点を除けば、図4に示す入力タイミング制御部4の処理のフローチャートと同様である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、STBCまたはDSTBCの伝送システムにおける無線通信において、受信装置100aでは、等化部であるDFE等化用フィルタ部6へ入力タイミング制御部4aから入力される信号のタイミングを、入力タイミング制御部4aが、DFE等化用フィルタ部6aにおいてブロック内のシンボルを合成できるタイミングに補正することとした。これにより、受信装置100aは、ブロック同期を確立して、等化処理を実現することができる。
実施の形態3.
実施の形態1,2では、等化部としてDFEを使用する場合について説明した。実施の形態3では、等化部として線形等化部を使用する場合について説明する。実施の形態1と異なる部分について説明する。
図10は、実施の形態3にかかる受信装置100bの構成例を示すブロック図である。受信装置100bは、受信装置100から、入力タイミング制御部4、伝搬路推定部5、およびDFE等化用フィルタ部6を削除し、伝搬路推定部5b、フィルタタイミング制御部10、および線形等化部11を追加したものである。
受信装置100bでは、ブロック同期が確立されず、S/P変換部3−1,3−2から線形等化部11に入力されるシンボルのタイミングがブロック内のシンボルを合成できるタイミングからずれた場合、等化による信号合成ができない。実施の形態3では、フィルタタイミング制御部10が、S/P変換部3−1,3−2から線形等化部11に入力されるシンボルのタイミングに対して、ブロック内のシンボルを合成できるよう線形等化部11において想定される伝搬路モデルのタイミングを補正する。受信装置100bは、等化部である線形等化部11に受信信号をバッファリングせずにブロック同期を確立する。
つづいて、受信装置100bにおいて信号を受信する動作について説明する。図11は、実施の形態3にかかる受信装置100bの受信動作を示すフローチャートである。ステップS1からステップS4までの処理は実施の形態1における処理と同様である。
伝搬路推定部5bは、受信した信号の送信元である対向装置と自装置との間の無線通信区間の伝搬路の状態を推定する(ステップS21)。伝搬路推定部5bには、S/P変換部3−1,3−2から受信信号であるベースバンド信号が入力され、判定部7から判定結果が入力される。伝搬路推定部5bは、伝搬路推定部5と同様の処理により伝搬路推定を行う。また、伝搬路推定部5bは、伝搬路推定部5と同様、判定部7から入力された判定結果に基づいて、伝搬路推定値を更新する。
フィルタタイミング制御部10は、伝搬路推定部5bからの伝搬路推定値に基づいて、線形等化部11のフィルタリングの処理における動作の制御タイミングを決定する(ステップS22)。図12は、実施の形態3にかかるフィルタタイミング制御部10において、線形等化部11のフィルタリングの処理における動作の制御タイミングを決定する処理を示すフローチャートである。
フィルタタイミング制御部10には、伝搬路推定部5bからの伝搬路推定値、シンクワードまたは判定部7からの判定結果、およびS/P変換部3−1,3−2からのベースバンド信号が入力される。フィルタタイミング制御部10は、伝搬路の特性を表す行列、例えば、非特許文献2に記載されている伝搬路の特性を表す行列について、線形等化部11のフィルタリングにおける処理、具体的には、伝搬路推定値の符号の反転、並び替え、複素共役など各処理を行うタイミングが異なる行列を複数生成する(ステップS31)。フィルタタイミング制御部10は、生成した各行列と判定部7の判定結果から受信信号のレプリカ系列を複数生成する(ステップS32)。フィルタタイミング制御部10は、各行列における受信信号のレプリカ系列とS/P変換部3−1,3−2から入力されるシンボル系列との誤差を計算する(ステップS33)。フィルタタイミング制御部10は、誤差が最小となる伝搬路の特性を表す行列を伝搬路モデルとし、伝搬路推定値の符号の反転、並び替え、複素共役などを行うタイミングである制御タイミングを決定する(ステップS34)。フィルタタイミング制御部10は、決定した制御タイミングを線形等化部11へ出力する。なお、フィルタタイミング制御部10では、受信信号のレプリカ系列を複数生成する際、判定部7の判定結果ではなく、既知の信号系列であるシンクワードなどを用いてもよい。
図11のフローチャートに戻って、線形等化部である線形等化部11は、S/P変換部3−1,3−2から入力されたベースバンド信号に対して等化処理を行う(ステップS23)。線形等化部11は、ブロック単位で動作すなわち等化処理を行い、ここでは、2シンボル時間単位で2シンボルの出力を得ることとする。また、線形等化部11は、分数間隔等化を導入した等化部とする。具体的に、線形等化部11は、フィルタタイミング制御部10において決定された制御タイミング、すなわち、伝搬路推定値の符号の反転、並び替え、複素共役などの各処理を行うタイミングに基づいて、等化用タップ係数を決定する。線形等化部11は、等化用タップ係数をZFまたはMMSE基準などに基づいて生成する。線形等化部11は、S/P変換部3−1,3−2から入力されたベースバンド信号に対して、生成した等化用タップ係数を使用してフィルタリングを行い、等化後のベースバンド信号を判定部7へ出力する。
以降のステップS8からステップS10までの処理は実施の形態1における処理と同様である。実施の形態1と同様、誤り訂正符号化を用いないシステムでは、差動時空間復号結果に対して、硬判定処理を行い、判定結果を出力する。なお、図10では判定部7の出力が差動時空間復号部8に入力される構成としたが、判定部7の出力はすでに判定処理によって補正された信号が出力されているため、差動時空間復号部8では誤り訂正復号部9に有効な軟判定データを生成することができない。このため、ブロック判定前の信号、すなわち線形等化部11からの出力信号が差動時空間復号部8に入力されるように構成し、差動時空間復号部8では軟判定を行って軟判定データを生成し、誤り訂正復号部9が軟判定データに基づく誤り訂正復号処理を行えるように構成してもよい。
なお、受信装置100bにおいて、アンテナ数を2としたが、アンテナ数はこれに限定されるものではない。受信装置では、使用するアンテナ数と同数のRF変換部およびS/P変換部が必要となる。線形等化部11にはアンテナ数に基づく数の信号がS/P変換部3−1,3−2から入力され、制御タイミングがフィルタタイミング制御部10から入力される。線形等化部11からは、等化出力すなわち合成後のベースバンド信号が出力される。その後の処理は、アンテナ数にかかわらず同一処理とすることができる。なお、図10に示す受信装置100bには線形等化部が適用されているが、一例であり、DFEが適用されてもよい。等化部において伝搬路モデルを調整し、等化部へ入力されたシンボルのタイミングとブロック内のシンボルを合成できるタイミングのずれを補正する本発明は、ブロック単位で等化処理を行う種々の等化部に適用可能である。
受信装置100bのハードウェア構成について、フィルタタイミング制御部10は、受信装置100の入力タイミング制御部4と同様、処理回路により実現される。フィルタタイミング制御部10は、図7または図8に示す構成により実現される。
以上説明したように、本実施の形態によれば、STBCまたはDSTBCの伝送システムにおける無線通信において、受信装置100bでは、等化部である線形等化部11での制御タイミングを、フィルタタイミング制御部10が制御して、線形等化部11においてブロック内のシンボルを合成できるタイミングに補正することとした。これにより、受信装置100bは、ブロック同期を確立して、等化処理を実現することができる。また、受信装置100bでは、ブロック内のシンボルを合成する線形等化部11において分数間隔等化処理を行うこととした。これにより、受信装置100bは、様々な遅延時間を持つ遅延波が混入する伝搬環境においても、安定した受信性能を実現することができる。
実施の形態4.
実施の形態3では、分数間隔等化処理を行う場合について説明した。実施の形態4では、1シンボル時間間隔のみで遅延が存在する場合について説明する。実施の形態3と異なる部分について説明する。
図13は、実施の形態4にかかる受信装置100cの構成例を示すブロック図である。受信装置100cは、受信装置100bに対して、RF変換部2−1,2−2、S/P変換部3−1,3−2、伝送路推定部5b、フィルタタイミング制御部10、および線形等化部11を削除し、RF変換部2−1a,2−2a、伝送路推定部5c、フィルタタイミング制御部10c、および線形等化部11cを追加したものである。
RF変換部2−1a,2−2aは、RF変換部2−1,2−2と同様の処理を行うが、オーバサンプリング数をN倍ではなく1倍とする点が異なる。伝送路推定部5c、フィルタタイミング制御部10c、および線形等化部11cについても、扱う信号の数が異なるが、各々伝送路推定部5b、フィルタタイミング制御部10、および線形等化部11と同様の処理を行う。このように、受信装置100cでは、RF変換部2−1a,2−2aが1倍オーバサンプリングのみ行うことから、S/P変換部3−1,3−2は不要となる。
受信装置100cの受信動作は、扱う信号の数が異なる点を除けば、図11に示す受信装置100bの受信動作のフローチャートからステップS3およびステップS4の処理を削除したものと同様である。また、フィルタタイミング制御部10cの動作は、ベースバンド信号がS/P変換部3−1,3−2からではなくRF変換部2−1a,2−2aから入力される点、および扱う信号の数が異なる点を除けば、図12に示すフィルタタイミング制御部10の処理のフローチャートと同様である。
以上説明したように、本実施の形態によれば、STBCまたはDSTBCの伝送システムにおける無線通信において、受信装置100cでは、等化部である線形等化部11cでの制御タイミングを、フィルタタイミング制御部10cが制御して、線形等化部11cにおいてブロック内のシンボルを合成できるタイミングに補正することとした。これにより、受信装置100cは、ブロック同期を確立して、等化処理を実現することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1−1,1−2 アンテナ、2−1,2−2,2−1a,2−2a RF変換部、3−1,3−2 S/P変換部、4,4a 入力タイミング制御部、5,5a,5b,5c 伝搬路推定部、6,6a DFE等化用フィルタ部、7 判定部、8 差動時空間復号部、9 誤り訂正復号部、10,10c フィルタタイミング制御部、11,11c 線形等化部、61,61a FFフィルタ、62 FBフィルタ、63 加算部、100,100a,100b,100c 受信装置。

Claims (7)

  1. 受信信号がベースバンド信号に変換され、オーバサンプリングされた信号を、シリアルパラレル変換して複数の信号を出力するシリアルパラレル変換部と、
    前記複数の信号の各々について無線通信区間の伝搬路の状態を推定し、伝搬路推定値を出力する伝搬路推定部と、
    前記伝搬路推定値に基づいて、前記シリアルパラレル変換部から入力された信号を出力するタイミングを補正して、ブロック同期が確立された状態のタイミングで信号を出力し、後段に信号が入力されるタイミングを制御する入力タイミング制御部と、
    前記入力タイミング制御部により制御されたタイミングで前記入力タイミング制御部から入力された信号をブロック単位で等化処理し、等化後の信号を出力する等化部と、
    前記等化後の信号の信号点パターンを判定し、判定結果を出力する判定部と、
    前記等化後の信号または前記判定結果に対して差動時空間符号を復号する処理を行う差動時空間復号部と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  2. 受信信号がベースバンド信号に変換された複数の信号の各々について無線通信区間の伝搬路の状態を推定し、伝搬路推定値を出力する伝搬路推定部と、
    前記伝搬路推定値に基づいて、前記複数の信号を出力するタイミングを補正して、ブロック同期が確立された状態のタイミングで信号を出力し、後段に信号が入力されるタイミングを制御する入力タイミング制御部と、
    前記入力タイミング制御部により制御されたタイミングで前記入力タイミング制御部から入力された信号をブロック単位で等化処理し、等化後の信号を出力する等化部と、
    前記等化後の信号の信号点パターンを判定し、判定結果を出力する判定部と、
    前記等化後の信号または前記判定結果に対して差動時空間符号を復号する処理を行う差動時空間復号部と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  3. 前記入力タイミング制御部は、入力された信号をバッファリングし、前記伝搬路推定値および既知の信号系列からレプリカ系列を生成し、バッファリングされた信号と前記レプリカ系列との誤差を計算し、誤差に基づいて選択した信号を出力する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の受信装置。
  4. 受信信号がベースバンド信号に変換され、オーバサンプリングされた信号を、シリアルパラレル変換して複数の信号を出力するシリアルパラレル変換部と、
    前記複数の信号の各々について無線通信区間の伝搬路の状態を推定し、伝搬路推定値を出力する伝搬路推定部と、
    前記伝搬路推定値に基づいて、ブロック内のシンボルを合成できるように後段のフィルタリングの処理における動作の制御タイミングを決定するフィルタタイミング制御部と、
    前記制御タイミングに基づいて決定した等化用タップ係数を用いてフィルタリングの処理をすることで、前記シリアルパラレル変換部から入力された信号をブロック単位で等化処理し、等化後の信号を出力する等化部と、
    前記等化後の信号の信号点パターンを判定し、判定結果を出力する判定部と、
    前記等化後の信号または前記判定結果に対して差動時空間符号を復号する処理を行う差動時空間復号部と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  5. 受信信号がベースバンド信号に変換された複数の信号の各々について無線通信区間の伝搬路の状態を推定し、伝搬路推定値を出力する伝搬路推定部と、
    前記伝搬路推定値に基づいて、ブロック内のシンボルを合成できるように後段のフィルタリングの処理における動作の制御タイミングを決定するフィルタタイミング制御部と、
    前記制御タイミングに基づいて決定したタップ係数を用いてフィルタリングの処理をすることで、前記複数の信号をブロック単位で等化処理し、等化後の信号を出力する等化部と、
    前記等化後の信号の信号点パターンを判定し、判定結果を出力する判定部と、
    前記等化後の信号または前記判定結果に対して差動時空間符号を復号する処理を行う差動時空間復号部と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  6. 前記フィルタタイミング制御部は、伝搬路の特性を表す行列について前記等化部のフィルタリングにおける処理のタイミングが異なる行列を複数生成し、生成した各行列および前記判定結果からレプリカ系列を複数生成し、入力された信号と各行列における前記レプリカ系列との誤差を計算し、誤差に基づいて前記制御タイミングを決定する、
    ことを特徴とする請求項4または5に記載の受信装置。
  7. 前記伝搬路推定部は、前記判定結果に基づいて、前記伝搬路推定値を更新する、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1つに記載の受信装置。
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