I. 発明の化合物
第1の態様において、本発明は、とりわけ、式(I):
[式中:
Xは、結合手、O、S、NH、N(C1−4アルキル)、CH2、CH2CH2、CH(C1−4アルキル)、OCH2、CH2O、OCH2CH2、およびCH2CH2Oより独立して選択され;
環Bは、独立して、炭素原子と、環Bにおいて示される窒素原子と、N、OおよびSより選択される0−1個のさらなるヘテロ原子とを含有する4ないし7員の飽和ヘテロサイクルであり;環Bは0−4個のR2で置換され;
R1は、独立して、フェニル、ベンジル、ナフチル、あるいは炭素原子と、N、NR11、OおよびSより選択される1−4個のヘテロ原子とを含有する5ないし10員のヘテロアリールであり;ここで該フェニル、ベンジル、ナフチルおよびヘテロアリールは、各々、0−3個のR6で置換され;
R2は、各々、=O、OH、ハロゲン、R12(0−1個)で置換されるC1−6アルキル、R12(0−1個)で置換されるC1−6アルコキシ、R12(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルキル、R12(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルコキシ、R12(0−1個)で置換される−(CH2)m−C3−6カルボサイクル、および−(CH2)m−(炭素原子と、N、NR11、OおよびSより選択される1−4個のヘテロ原子とを含有する5ないし10員のヘテロアリール)より独立して選択され;ここで該ヘテロアリールは0−1個のR12で置換され;
2個のR2基が2個の異なる炭素原子と結合する場合、それらは合わさって環Bを覆う1ないし3員の炭素原子のブリッジを形成してもよく;
2個のR2基が同一の炭素と結合する場合、それらはその結合する炭素原子と一緒に合わさって3ないし6員の炭素原子を含有するスピロ環を形成してもよく;
R3は、H、ハロゲン、CN、OH、CO2H、R10(0−1個)で置換されるC1−6アルキル、R10(0−1個)で置換されるC2−6アルケニル、R10(0−1個)で置換されるC2−6アルキニル、R10(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルキル、R10(0−1個)で置換されるC1−6ハロアルコキシ、−O(CH2)1−2O(CH2)1−4R10、OR9、SR9、C(O)OR9、CO2R9、S(O)R9、SO2R9、CONHR9、−(O)n−(CH2)m−(R10(0−2個)で置換されるフェニル)、および−(O)n−(CH2)m−(炭素原子と、N、NR11、OおよびSより選択される1−4個のヘテロ原子とを含有する5ないし10員のヘテロアリール)より独立して選択され;ここで該ヘテロアリールは0−2個のR10で置換され;
R4およびR4aは、H、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、および−(CH2)m−C3−6カルボサイクルより独立して選択され;
R5は、各々、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルキル、およびC1−6ハロアルコキシより独立して選択され;
R6は、各々、ハロゲン、OH、C1−4アルキルチオ、CN、SO2(C1−2アルキル)、N(C1−4アルキル)2、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、R7(0−1個)で置換されるC1−8アルキル、R7(0−1個)で置換されるC1−6アルコキシ、−(O)n−(CH2)m−(R7(0−2個)で置換されるC3−10カルボサイクル)、および−(CH2)m−(炭素原子と、N、NR11、OおよびSより選択される1−4個のヘテロ原子とを含有する5ないし10員のヘテロアリール)より独立して選択され;ここで該ヘテロアリールは0−2個のR7で置換され;
R7は、各々、ハロゲン、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、SCF3、CN、NO2、NH2、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)2、SO2(C1−2アルキル)、およびフェニルより独立して選択され;
R8は、HおよびC1−4アルキルより独立して選択され;
R9は、各々、R10(0−1個)で置換されるC1−6アルキル、およびR10(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルキルより独立して選択され;
R10は、各々、CN、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、CO2(C1−4アルキル)、SO2(C1−4アルキル)、およびテトラゾリルより独立して選択され;
R11は、各々、H、C1−4アルキルおよびベンジルより独立して選択され;
R12は、各々、OH、ハロゲン、CN、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、CO2(C1−4アルキル)、およびテトラゾリルより独立して選択され;
mは、各々、独立して0、1、または2であり;および
nは、各々、独立して0または1である]
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
第2の態様において、本発明は、R4が水素で、R8が水素である式(I)の化合物であって、さらに式(II):
[式中:
Xは、O、N(CH3)、CH2、CH2O、およびCH2CH2Oより独立して選択され;
環Bは、独立して、炭素原子と、環Bにおいて示される窒素原子とを含有する4ないし7員の飽和ヘテロサイクルであり;ここで該環Bは0−4個のR2で置換され;
R1は、独立して、フェニル、ベンジル、ナフチル、あるいは炭素原子と、N、NR11、OおよびSより選択される1−4個のヘテロ原子とを含有する5ないし10員のヘテロアリールであり;ここで該フェニル、ベンジル、ナフチルおよびヘテロアリールは、各々、0−3個のR6で置換され;
R2は、各々、=O、OH、ハロゲン、R12(0−1個)で置換されるC1−4アルキル、R12(0−1個)で置換されるC1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、およびベンジルより独立して選択され;
2個のR2基が2個の異なる炭素原子と結合する場合、それらは合わさって環Bを覆う1ないし3員の炭素原子のブリッジを形成してもよく;
2個のR2基が同一の炭素と結合する場合、それらはその結合する炭素原子と一緒に合わさって3ないし6員の炭素原子を含有するスピロ環を形成してもよく;
R3は、R10(0−1個)で置換されるC1−6アルキル、R10(0−1個)で置換されるC1−6アルコキシ、R10(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルキル、およびR10(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルコキシ、および−O(CH2)1−2O(CH2)1−4R10より独立して選択され;
R4aは、H、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、および−(CH2)m−C3−6カルボサイクルより独立して選択され;
R5は、各々、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6アルコキシ、およびC1−6ハロアルコキシより独立して選択され;
R6は、各々、ハロゲン、OH、C1−4アルキルチオ、CN、SO2(C1−2アルキル)、N(C1−4アルキル)2、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、R7(0−1個)で置換されるC1−8アルキル、R7(0−1個)で置換されるC1−4アルコキシ、−(O)n−(CH2)m−(R7(0−2個)で置換されるC3−6カルボサイクル)、−(CH2)m−(R7(0−2個)で置換されるナフチル)、および−(CH2)m−(炭素原子と、N、OおよびSより選択される1−4個のヘテロ原子とを含有する5ないし10員のヘテロアリール)(ここで該ヘテロアリールは0−2個のR7で置換される)より独立して選択され;
R7は、各々、ハロゲン、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、SCF3、CN、NO2、NH2、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)2、SO2(C1−2アルキル)、およびフェニルより独立して選択され;
R10は、各々、CN、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、CO2(C1−4アルキル)、SO2(C1−4アルキル)、およびテトラゾリルより独立して選択され;
R11は、各々、H、C1−4アルキル、およびベンジルより独立して選択され;
R12は、各々、ハロゲン、CN、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、CO2(C1−4アルキル)、およびテトラゾリルより独立して選択され;
mは、各々独立して、0、1、または2であり;および
nは、各々独立して、0または1である]
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
第3の態様において、本発明は、第1または第2の態様の範囲内にある、式(I)または(II)で示される化合物であって、ここで:
環Bが:
より独立して選択され;
R1が、独立して、R6(0−3個)で置換されるフェニル、またはR6(0−2個)で置換されるヘテロアリールであり;ここで該ヘテロアリールが、フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、およびピラジニルより選択され;
R2が、各々、OH、ハロゲン、CN(0−1個)で置換されるC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ベンジル、およびテトラゾリルメチルより独立して選択され;
R3が、R10(0−1個)で置換されるC1−4アルキル、R10(0−1個)で置換されるC1−4アルコキシ、R10(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルキル、およびR10(0−1個)で置換されるC1−4ハロアルコキシより独立して選択され;
R4aが、H、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、およびC3−6シクロアルキルより独立して選択され;
R6が、各々、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキル(0−2個)で置換されるC3−6シクロアルキル、C1−4アルキル(0−2個)で置換されるC5−6シクロアルケニル、およびベンジルより独立して選択され;および
R10が、各々、CN、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、CO2(C1−4アルキル)、およびテトラゾリルより独立して選択される、
化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を包含する。
第4の態様において、本発明は、上記したいずれかの態様の範囲内にある、式(I)または(II)で示される化合物であって、ここで:
環Bが、
より独立して選択され;
R1が、各々独立して、R6(0−3個)で置換されるフェニル、R6(0−2個)で置換されるピリジニル、R6(0−2個)で置換されるピラジニル、R6(0−2個)で置換されるピリミジニル、またはR6(0−2個)で置換されるチアゾリルであり;および
R2が、各々、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、およびテトラゾリルメチルより独立して選択される、
化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を包含する。
第5の態様において、本発明は、上記したいずれかの態様の範囲内にある、式(I)または(II)で示される化合物であって、ここで:
R1が、各々独立して、R6(0−3個)で置換されるフェニル、またはR6(0−2個)で置換されるピリジニルであり;
R3が、各々、C1−4アルコキシ(0−1個)で置換されるC1−4アルキル、C1−4アルコキシ(0−1個)で置換されるC1−4アルコキシ、およびC1−4ハロアルキルより独立して選択され;および
R6が、各々、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、C1−4アルキル(0−2個)で置換されるC3−6シクロアルキル、C1−4アルキル(0−2個)で置換されるC5−6シクロアルケニル、およびベンジルより独立して選択される、
化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を包含する。
第6の態様において、本発明は、式(III)または(IIIa):
[式中:
R1は、各々独立して、R6(0−3個)で置換されるフェニル、またはR6(0−2個)で置換されるピリジニルであり;
R2は、各々、ハロゲン、C1−4アルキル、およびC1−4アルコキシより独立して選択され;
R3は、各々独立して、C1−4アルコキシ(0−1個)で置換されるC1−4アルキル、C1−4アルコキシ(0−1個)で置換されるC1−4アルコキシ、およびC1−4ハロアルキルであり;
R4aは、各々、H、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、およびシクロプロピルより独立して選択され;
R5は、各々、ハロゲン、C1−4ハロアルキル、およびC1−6アルコキシより独立して選択され;および
R6は、各々、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキル(0−2個)で置換されるC3−6シクロアルキル、およびC1−4アルキル(0−2個)で置換されるC5−6シクロアルケニルより独立して選択される]
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を包含する。
第7の態様において、本発明は、例示として示される実施例より選択される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
もう一つ別の態様において、本発明は、上記したいずれかの態様の範囲内にある、下位群の化合物より選択される一の化合物、または例示としての実施例から由来の単一の化合物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、hGPR40のEC50値が<5μMである。
もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、hGPR40のEC50値が<1μMである。
もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、hGPR40のEC50値が<0.5μMである。
もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、hGPR40のEC50値が<0.2μMである。
もう一つ別の実施態様において、本発明の化合物は、hGPR40のEC50値が<0.1μMである。
II. 発明の他の実施態様
本発明のさらなる実施態様は、次の構造式:
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を包含する。
本発明のもう一つ別の実施態様は、次の構造式:
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
本発明のもう一つ別の実施態様は、構造式:
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
本発明のもう一つ別の実施態様は、構造式:
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
本発明のもう一つ別の実施態様は、構造式:
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
本発明のもう一つ別の実施態様は、構造式:
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
本発明のもう一つ別の実施態様は、構造式:
で示される化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を含む組成物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容される担体と、少なくとも1つの本発明の化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物とを含む医薬組成物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、医薬的に許容される担体と、治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物とを含む医薬組成物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、本発明の化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物の製造方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、本発明の化合物、あるいはその立体異性体、互変異性体、医薬的に許容される塩、多形体または溶媒和物を製造するための中間体を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、さらなる治療剤をさらに含む医薬組成物を提供する。本発明に係るさらなる治療剤の例として、以下に限定されるものではないが、抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗高インスリン血症剤、抗網膜症薬、抗神経障害薬、抗腎症薬、抗アテローム性動脈硬化薬、抗虚血薬、抗高血圧薬、抗肥満薬、抗脂質異常薬、抗高脂血症薬(anti-hyperglycemic agents)、抗高トリグリセリド血症薬、抗高コレステロール血症薬、抗再狭窄薬、抗腎臓薬、脂質低下薬、食欲減退薬および食欲抑制薬が挙げられる。
好ましい実施態様において、本発明は、さらなる治療剤が、例えば、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP4)阻害剤(例えば、サキサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、および「BMS DPP4i」より選択される阻害剤)、および/またはナトリウム−グルコーストランスポータ−2(SGLT2)阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンおよびレマグリフロジンより選択される阻害剤)である、医薬組成物を提供する。
好ましい実施態様において、本発明は、さらなる治療剤が、例えば、DPP4阻害剤(例えば、サキサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、および「BMS DPP4i」より選択される阻害剤)である、医薬組成物を提供する。
好ましい実施態様において、本発明は、さらなる治療剤が、例えば、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンおよびレマグリフロジンより選択される阻害剤)である、医薬組成物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、GPR40に付随する複数の疾患または障害の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
本発明に従って防止、調整または治療され得る、GPR40の活性に付随する疾患または障害の例として、以下に限定されるものではないが、糖尿病、高血糖、耐糖能異常、妊娠性糖尿病、インスリン抵抗、高インスリン血症、網膜症、神経障害、腎症、糖尿病性腎疾患、急性腎損傷、心腎臓症候群、急性冠症候群、創傷治癒の遅れ、アテローム性動脈硬化症およびその後遺症、異常な心機能、鬱血性心不全、心筋虚血、発作、代謝性症候群、高血圧症、肥満、脂肪肝疾患、ジスリピデミア(dislipidemia)、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低高密度リポタンパク質(HDL)、高低密度リポタンパク質(LDL)、非心虚血、膵炎、脂質障害、およびNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)、肝硬変などの肝臓疾患、潰瘍性結腸炎およびクローン病を包含する炎症性腸疾患、セリアック病、骨粗鬆症、腎炎、乾癬、アトピー性皮膚炎および皮膚炎症が挙げられる。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、糖尿病、高血糖症、妊娠性糖尿病、肥満症、脂質異常症、高血圧症、および認識機能障害の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、糖尿病の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、高血糖症の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、肥満症の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、脂質異常症の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、高血圧症の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、認識機能障害の治療方法であって、かかる治療を必要とする患者に治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは所望により、本発明のもう一つ別の化合物および/または少なくとも1つの他の型の治療剤と組み合わせて投与することを含む、方法を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、療法にて用いるための本発明の化合物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、GPR40に付随する複数の疾患または障害の治療用の療法にて用いるための本発明の化合物を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明はまた、GPR40に付随する複数の疾患または障害の治療用の医薬を製造するための本発明の化合物の使用を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、GPR40に付随する複数の疾患または障害の治療方法であって、その必要とする患者に治療的に効果的な量の第1または第2の治療剤を投与することを含め、ここでその第1の治療剤が本発明の化合物であるところの、方法を提供する。第2の治療剤は、例えば、DPP4阻害剤(例えば、サキサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン、リナグリプチンおよびアログリプチンより選択される構成員)であることが好ましい。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、療法にて同時に、別々に、または連続的に使用するための本発明の化合物とさらなる治療剤との併用製剤を提供する。
もう一つ別の実施態様において、本発明は、GPR40に付随する複数の疾患または障害の治療において同時に、別々に、または連続的に使用するための本発明の化合物とさらなる治療剤との併用製剤を提供する。
必要に応じて、本発明の化合物は、1または複数の他の型の抗糖尿病剤、および/または1または複数の他の型の治療剤と組み合わせて使用されてもよく、それらは同じ剤形にて経口的に、別個の経口用剤形にて投与されてもよく、あるいは注射により投与されてもよい。所望によって本発明のGPR40受容体モジュレータと組み合わせて利用されてもよい他の型の抗糖尿病剤は、同じ剤形にて経口的に、別個の経口用剤形にて投与され、あるいは注射により投与されて、さらなる薬物学的利益をもたらし得る、1、2、3種またはそれ以上の抗糖尿病剤または高血糖治療剤であってもよい。
本発明のGPR40受容体モジュレータと組み合わせて使用される抗糖尿病剤は、次に限定されるものではないが、インスリン分泌促進剤またはインスリン感作剤、他のGPR40受容体モジュレータ、あるいは他の抗糖尿病剤を包含する。これらの剤は、以下に限定されないが、DPP4阻害剤(例えば、シタグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチンおよびビルダグリプチン)、ビグアニド(例えば、メトホルミンおよびフェンホルミン)、スルホニル尿素(例えば、グリブリド、グリメピリドおよびグリピジド)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール)、チアゾリジンジオンなどのPPARγアゴニスト(例えば、ロシグリタゾンおよびピオグリタゾン)、PPARα/γ二元的アゴニスト(例えば、ムラグリタザール、テサグリタザールおよびアレグリタザール)、グルコキナーゼアクチベータ、GPR119受容体モジュレータ(例えば、MBX−2952、PSN821およびAPD597)、GPR120受容体モジュレータ(例えば、Shimpukade,B.ら、J. Med. Chem., 55(9):4511-4515(2012)に記載)、SGLT2阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンおよびレマグリフロジン)、MGAT阻害剤(例えば、Barlind,J.G.ら、Bioorg. Med. Chem. Lett., 23(9):2721-2726(2013)に記載)、プラムリンチドなどのアミリン類似体、および/またはインスリンを包含する。
本発明のGPR40受容体モジュレータはまた、所望によって、糖尿病の合併症の治療剤と組み合わせて利用されてもよい。これらの剤はPKC阻害剤およびAGE阻害剤を包含する。
本発明のGPR40受容体モジュレータはまた、所望によって、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、フェンテルミン、オルリスタット、シブトラミン、ロルカセリン、プラムリンチド、トピラマート、MCHR1受容体アンタゴニスト、オキシントモデュリン、ナルトレキソン、アミリンペプチド、NPY Y5受容体モジュレータ、NPY Y2受容体モジュレータ、NPY Y4受容体モジュレータ、セチリスタット、5HT2c受容体モジュレータ等などの1または複数の食欲抑制剤および/または抗肥満薬と組み合わせて利用されてもよい。本発明のGPR40受容体モジュレータはまた、エクセナチド、リラグルチド、GLP−1(1−36)アミド、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)などのグルカゴン様ペプチド−1受容体(GLP−1R)のアゴニストと組み合わせて利用されてもよく、それらは注射により、鼻腔内に、あるいは経皮またはバッカル装置により投与されてもよい。
本発明は、その発明の精神または本質的な属性を逸脱することなく、他の特異的な形態にて具現化されてもよい。本発明は本明細書に記載の発明の好ましい態様のすべての組み合わせを包含する。本発明のあらゆる全ての実施態様と他のいずれかの実施態様とを併用してさらなる実施態様が記載されうることが理解される。実施態様の個々の各要素がそれ自体独立した実施態様であることも理解される。さらには、一の実施態様のいずれの要素もいずれかの実施態様からのあらゆる全ての他の要素と合わさって一のさらなる実施態様を記載するものとする。
III. 化学
明細書、および添付の特許請求の範囲を通して、所定の化学式および名称は、立体異性体および光学異性体ならびにそのような異性体が存在する場合のそのラセミ体のすべてを包含する。「立体異性体」なる語は、化学構成は同じであるが、原子または基の空間配置に関して異なる、化合物をいう。特に断りがなければ、すべてのキラル(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびラセミ体は本発明の範囲内にある。「キラル」なる語は、鏡像パートナーと重ね合わせることができない(non-superimposability)特性を有する分子をいうのに対して、「アキラル」なる語はその鏡像パートナーと重ね合わせることのできる分子をいう。「ラセミ混合物」および「ラセミ体」なる語は、2種のエナンチオマーが等モルで存在し、光学活性を欠く混合物をいう。
化合物には、C=C二重結合、C=N二重結合、環系等の多数の幾何異性体も存在し得、そのような安定した異性体もすべて本発明に含まれるものとする。本発明の化合物のシス−およびトランス−(あるいはE−およびZ−)幾何異性体が記載され、異性体の混合物として、または分離した異性体の形態で単離されてもよい。
本発明の化合物は光学活性な形態またはラセミ体で単離され得る。光学活性な形態は、ラセミ体を分割することにより、または光学活性な出発材料より合成することにより調製され得る。本発明の化合物を調製するのに使用されるすべての方法、その中で製造される中間体は、本発明の一部を構成すると考えられる。エナンチオマーまたはジアステレオマーの生成物が調製される場合、それらは、従来の方法、例えば、クロマトグラフィーまたは分別結晶化により分離されてもよい。
そのプロセス条件に応じて、本発明の最終生成物は、遊離(中性)形態または塩形態のいずれかで得られる。これらの最終生成物の遊離形態および塩は共に本発明の範囲内にある。必要とあれば、化合物の一の形態はもう一つ別の形態に変換されてもよい。遊離塩基または酸は塩に変換されてもよく;塩は遊離化合物またはもう一つ別の塩に変換されてもよく;本発明の化合物の異性体の混合物は個々の異性体に分離されてもよい。本発明の化合物、その遊離形態および塩は、複数の互変異性体型で存在してもよく、その場合、水素原子はその分子の他の部分に移動し、結果として、分子の原子間の化学結合が転位することとなる。互変異性体型はすべて、それらが存在する限り、本発明の範囲内に含まれると、認識すべきである。
特に断りがなければ、原子価が満たされないヘテロ原子はいずれも原子価を満たすのに十分な水素原子を有するものとする。
本明細書で用いる場合、「アルキル」または「アルキレン」なる語は、特定数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を包含するものとする。例えば、「C1−C6アルキル」または「C1−6アルキル」は1〜6個の炭素原子を有するアルキルを意味する。アルキル基は、置換されていないか、あるいは少なくとも1個の水素が別の基と置き換えらるように置換され得る。アルキル基の例として、以下に限定されないが、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル)およびペンチル(例えば、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル)が挙げられる。「C0アルキル」または「C0アルキレン」が使用される場合、それは直接結合を意味するものとする。
「アルケニル」または「アルケニレン」なる語は、特定数の炭素原子を有し、鎖長に沿ってどの安定した点で生じてもよい1または複数の、好ましくは1または2個の炭素−炭素二重結合を有する、直鎖または分岐鎖構造のいずれの炭化水素鎖も包含するものとする。例えば、「C2−C6アルケニル」または「C2−6アルケニル(またはアルケニレン)」はC2、C3、C4、C5およびC6アルケニル基を包含するものとする。アルケニルの例として、以下に限定されないが、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル、2−メチル−2−プロペニル、および4−メチル−3−ペンテニルが挙げられる。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」なる語は−O−アルキル基をいう。例えば、「C1〜C6アルコキシ」または「C1−6アルコキシ」(またはアルキルオキシ)はC1、C2、C3、C4、C5、およびC6アルコキシ基を含むものとする。アルコキシ基の例として、以下に限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n−プロポキシおよびイソプロポキシ)、およびブトキシ(例えば、n−ブトキシ、イソブトキシおよびt−ブトキシ)が挙げられる。同様に、「アルキルチオ」または「チオアルコキシ」は、硫黄架橋を介して連結した、所定の数の炭素原子を有する上記のアルキル基;例えばメチル−S−およびエチル−S−を表す。
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを包含する。「ハロアルキル」は、1または複数のハロゲンで置換される、特定数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。ハロアルキルの例として、以下に限定されないが、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、ペンタクロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、およびヘプタクロロプロピルが挙げられる。ハロアルキルの例としてまた「フルオロアルキル」が挙げられ、1または複数のフッ素原子で置換される、特定数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖の両方の飽和脂肪族炭化水素基を含むものとする。
「ハロアルコキシ」または「ハロアルキルオキシ」は、酸素架橋を介して連結した、所定の数の炭素原子を有する上記のハロアルキル基を表す。例えば、「C1−6ハロアルコキシ」はC1、C2、C3、C4、C5、およびC6ハロアルコキシ基を含むものとする。ハロアルコキシの例として、以下に限定されないが、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、およびペンタフルオロエトキシが挙げられる。同様に、「ハロアルキルチオ」または「チオハロアルコキシ」は、硫黄架橋を介して連結した、所定の数の炭素原子を有する上記のハロアルキル基;例えばトリフルオロメチル−S−およびペンタフルオロエチル−S−を表す。
「シクロアルキル」なる語は、単環式、二環式または多環式環系を含む、環状アルキル基をいう。例えば、「C3ないしC6シクロアルキル」または「C3−6シクロアルキル」はC3、C4、C5、およびC6シクロアルキル基を含むものとする。シクロアルキル基の例として、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびノルボルニルが挙げられる。1−メチルシクロプロピルおよび2−メチルシクロプロピルなどの分岐したシクロアルキル基も「シクロアルキル」の定義に含まれる。「シクロアルケニル」なる語は環状アルケニル基をいう。C4−6シクロアルケニルは、C4、C5およびC6シクロアルケニル基を含むものとする。シクロアルケニル基の例として、限定されないが、シクロブテニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキセニルが挙げられる。
本明細書で用いられる際の「カルボサイクル」、「カルボシクリル」または「炭素環残基」は、安定したいずれの3、4、5、6、7または8員の単環または二環式環、または7、8、9、10、11、12または13員の二環または三環式環を意味するものとし、そのいずれも飽和、部分不飽和、不飽和または芳香族であってもよい。かかるカルボサイクルの例として、以下に限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘプテニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、アダマンチル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、アントラセニル、およびテトラヒドロナフチル(テトラリン)が挙げられる。上記されるように、架橋した環(例えば、[2.2.2]ビシクロオクタン)もカルボサイクルの定義に含まれる。好ましいカルボサイクルは、特記されない限り、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、インダニル、およびテトラヒドロナフチルである。「シクロヘキシル」なる語が使用される場合、それは「アリール」を包含するものとする。架橋した環は、1または複数の、好ましくは1ないし3個の炭素原子が隣接しない2個の炭素原子を連結する場合に、生じる。好ましい架橋は1または2個の炭素原子からなる。架橋は常に単環式環を三環式環に変換することを意味する。環を架橋させると、その環で列挙される置換基がその架橋の上にあってもよい。
本明細書で用いられる際の「二環式カルボサイクル」または「二環式炭素環」または「二環式炭素環基」は、2個の縮合環を有し、炭素原子からなる、安定した9または10員の炭素環式環系を意味するものとする。2個の縮合環の内、1個の環は第2の環に縮合したベンゾ環であり;そして第2の環は飽和、部分不飽和または不飽和の5または6員の炭素環である。二環式炭素環基は、安定した構造をもたらす、いずれかの炭素原子でそのペンダント基に結合してもよい。本明細書に記載の二環式炭素環基は、得られる化合物が安定しているならば、いずれの炭素で置換されてもよい。二環式炭素環基の例は、以下に限定されないが、ナフチル、1,2−ジヒドロナフチル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、およびインダニルである。
「アリール」基は、例えば、フェニル、およびナフチルを含む、単環式または二環式芳香族炭化水素をいう。アリール部分は周知であり、例えば、Lewis,R.J.編、Hawley’s Condensed Chemical Dictionary, 13th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York(1997)に記載される。「C6−10アリール」はフェニルおよびナフチルをいう。
本明細書にて使用される際の「ベンジル」なる語は水素原子の一つがフェニル基で置換されるメチル基をいう。
本明細書で使用される際の「ヘテロサイクル」、「ヘテロシクリル」または「ヘテロ環基」なる語は、飽和、部分不飽和または完全に不飽和で、炭素原子ならびにN、OおよびSからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子を含有する、安定した3、4、5、6または7員の単環もしくは二環のヘテロ環式環、あるいは7、8、9、10、11、12、13または14員の多環のヘテロ環式環であって、上記したいずれかのヘテロ環式環が一のベンゼン環に縮合するいずれの多環基も含むことを意味するものとする。窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化されてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)p(ここでpは0、1または2である))。窒素原子は置換されても、されなくてもよい(すなわち、NまたはNRであり、ここでRは、定義されるとすれば、Hまたは別の置換基である)。ヘテロ環式環は、安定した構造をもたらす、いずれかのヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合してもよい。本明細書に記載のヘテロ環式環は、得られる化合物が安定しているならば、炭素または窒素原子上で置換されてもよい。ヘテロシクリル中の窒素は所望により四級化されてもよい。そのヘテロサイクル中のSおよびO原子の総数が1より大きい場合、その時にはこれらのヘテロ原子は相互に隣接しないことが好ましい。ヘテロサイクル中のSおよびO原子の総数は多くて1であることが好ましい。「ヘテロサイクル」なる語が用いられる場合、それはヘテロアリールを含むものとする。
ヘテロサイクルの例として、以下に限定されるものではないが、アクリジニル、アゼチジニル、アゾチニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、イミダゾロピリジニル、イミダゾピリダジニル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イサチノイル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソチアゾロピリジニル、イソキサゾリル、イソキサゾロピリジニル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾロピリジニル、オキサゾリジニルペリミジニル、オキシインドリル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、ピペロニル、フテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2−ピロリドニル、2H−ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラゾリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チアゾロピリジニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、およびキサンテニルが挙げられる。また、上記のヘテロサイクルを含む、縮合環およびスピロ化合物も含まれる。
5ないし10員のヘテロサイクルの例として、以下に限定されないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、インドリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニル、トリアゾリル、ベンズイミダゾリル、1H−インダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンズテトラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズオキサゾリル、オキシインドリル、ベンズオキサゾリニル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、イミダゾロピリジニル、イミダゾピリダジニル、イサチノイル、イソキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキサゾロピリジニル、キナゾリニル、キノリニル、イソチアゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、イミダゾロピリジニル、ピラゾロピリジニルおよびピラゾロピリミジニルが挙げられる。
5ないし6員のヘテロサイクルの例として、以下に限定されないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリミジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、インドリル、テトラゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、テトラヒドロフラニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げられる。また、上記のヘテロサイクルを含む、縮合環およびスピロ化合物も含まれる。
本明細書にて使用される際の「二環式ヘテロサイクル」または「二環式ヘテロ環基」なる語は、2つの縮合環を有し、炭素原子と、N、OおよびSからなる群より独立して選択される1、2、3または4個のヘテロ原子とからなる、安定した9または10員のヘテロ環の環系を意味するものとする。2つの縮合環のうちの一つの環は、5員のヘテロアリール環、6員のヘテロアリール環またはベンゾ環を含む5員または6員の単環式芳香族環であり、その各々が第2の環に縮合している。第2の環は、飽和、部分不飽和または不飽和の5員または6員の単環式環であり、5員のヘテロサイクル、6員のヘテロサイクルまたはカルボサイクルを含む(ただし、第2の環がカルボサイクルの場合、第1の環はベンゾ以外の環である)。
二環式ヘテロ環基は、安定した構造をもたらす、いずれかのヘテロ原子または炭素原子で、そのペンダント基に結合してもよい。本明細書に記載の二環式ヘテロ環基は、得られる化合物が安定しているならば、炭素または窒素原子上で置換されてもよい。ヘテロサイクル中のSおよびO原子の総数が1より大きい場合、その時にはこれらのヘテロ原子は相互に隣接しないことが好ましい。ヘテロサイクル中のSおよびO原子の総数は多くて1であることが好ましい。
二環式ヘテロ環基の例として、以下に限定されるものではないが、キノリニル、イソキノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、1H−インダゾリル、ベンズイミダゾリル、1,2,3,4−テトラヒドロキノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキノリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、クロマニル、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリニルおよび1,2,3,4−テトラヒドロキナゾリニルが挙げられる。
本明細書で使用される際の「芳香族ヘテロ環基」または「ヘテロアリール」なる語は、少なくとも1つの硫黄、酸素または窒素などのヘテロ原子の環原子を含む、安定した単環式または多環式の芳香族炭化水素を意味するものとする。ヘテロアリール基は、限定されるものではないが、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピロイル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、イソチアゾリル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、インドリニル、ベンゾジオキソラニルおよびベンゾジオキサンを包含する。ヘテロアリール基は置換されているか、されていないかである。窒素原子は置換されているか、されていないかである(すなわち、NまたはNRであり、ここでRは、定義されるとすれば、Hまたは別の置換基である)。窒素および硫黄原子は所望により酸化されてもよい(すなわち、N→OおよびS(O)p(ここでpは0、1または2である))。
5ないし6員のヘテロアリールの例として、以下に限定されないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラジニル、イミダゾリル、イミダゾリジニル、テトラゾリル、イソキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、チアジアジニル、チアジアゾリル、チアゾリル、トリアジニル、およびトリアゾリルが挙げられる。
架橋環もヘテロサイクルの定義に含まれる。架橋環は、1または複数の、好ましくは1〜3個の原子(すなわち、C、O、NまたはS)が2個の隣接しない炭素または窒素原子を連結する場合に形成される。架橋環の例は、以下に限定されないが、1個の炭素原子、2個の炭素原子、1個の窒素原子、2個の窒素原子、および炭素−窒素基を包含する。架橋は常に単環式環を三環式環に変換することを意味する。環を架橋させると、その環で列挙される置換基がその架橋の上にあってもよい。
「対イオン」なる語は、クロリド、ブロミド、ヒドロキシド、アセタート、およびサルファートなどの負に荷電した種を、あるいはナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、カルシウム(Ca2+)、アンモニウム(RnNHm +、ここでn=0−4で、m=0−4である)等などの正に荷電した種を表すのに使用される。
本明細書で用いられる際の「アミン保護基」なる語は、アミン基の保護について、有機合成の分野で知られる基であって、エステル還元剤、二置換ヒドラジン、R4−MおよびR7−M、求核物質、ヒドラジン還元剤、アクチベータ、強塩基、ヒンダードアミン塩基および環化剤に対して安定しているいずれの基も意味する。これらの基準に適合するようなアミン保護基は、Wuts,P.G.M.ら、Protecting Groups in Organic Synthesis, 4th Edition, Wiley(2007) およびThe Peptide: Analysis, Synthesis, Biology, vol.3, Academic Press, New York(1981)(出典を明示することでその内容が本明細書に組み込まれる)に列挙される基を包含する。アミン保護基の例として、以下に限定されないが、次の基:(1)ホルミル、トリフルオロアセチル、フタリル、およびp−トルエンスルホニルなどのアシル型;(2)ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換ベンジルオキシカルボニル、1−(p−ビフェニル)−1−メチルエトキシカルボニル、および9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)などの芳香族カルバマート型;(3)tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、エトキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、およびアリルオキシカルボニルなどの脂肪族カルバマート型;(4)シクロペンチルオキシカルボニルおよびアダマンチルオキシカルボニルなどの環状アルキルカルバマート型;(5)トリフェニルメチルおよびベンジルなどのアルキル型;(6)トリメチルシランなどのトリアルキルシラン;(7)フェニルチオカルボニルおよびジチアスクシノイルなどのチオール含有型;ならびに(8)トリフェニルメチル、メチルおよびベンジルなどのアルキル型;および2,2,2−トリクロロエチル、2−フェニルエチルおよびt−ブチルなどの置換アルキル型;およびトリメチルシランなどのトリアルキルシラン型が挙げられる。
本明細書に言及される際の「置換される」なる語は、少なくとも1つの水素原子が水素以外の基と置換されることを意味する;ただし、規定の結合価は維持されており、置換が安定した化合物をもたらすものとする。本明細書で使用される際の環二重結合は、隣接する2個の環原子間で形成される二重結合(例えば、C=C、C=N、またはN=N)である。
本発明の化合物に窒素原子がある場合(例えば、アミンの場合)には、これらの窒素は酸化剤(例えば、mCPBAおよび/または過酸化水素)と反応することでN−オキシドに変換され、本発明の別の化合物が得られてもよい。かくして、特定される窒素原子は、その示されている窒素とそのN−オキシド(N→O)誘導体の両方に及ぶと考えられる。
可変基が化合物のいずれかの構成要素中または式中に2回以上現れる場合、その定義は、各々、他の出現毎にその定義から独立している。かくして、例えば、一の基が0〜3個のR基で置換して示される場合、その場合、該基は3個までのR基で所望により置換されてもよく、Rは、各々、Rの定義から独立して選択される。
置換基との結合が環の2つの原子を連結する結合と交差して示される場合、その場合にはかかる置換基は環上の任意の原子に結合してもよい。置換基が、かかる置換基が所定の式で示される化合物の残基と結合する、その原子を特定することなく、記載される場合には、かかる置換基はその置換基にある任意の原子を介して結合してもよい。
置換基および/または可変基の組み合わせは、かかる組み合わせが安定した化合物をもたらす場合にだけ、許容される。
「医薬的に許容される」なる語は、本明細書にて、正当な医薬的判断の範囲内で、合理的な利益/危険の割合に見合うもので、過度の毒性、刺激、アレルギー応答および/または他の問題または合併症がなく、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適する、それらの化合物、材料、組成物および剤形をいうのに利用される。
本発明の化合物は、本発明の範囲内でもある塩を形成しうる。特記されない限り、本発明の化合物への言及は1または複数のその塩への言及を包含すると理解される。医薬的に許容される塩が好ましい。しかし、他の塩も、例えば、調製の間に利用され得る、単離または精製工程において、有用である可能性があり、かくして本発明の範囲内にある考えられる。
本明細書で用いられる際の「医薬的に許容される塩」は開示される化合物の誘導体をいい、ここで親化合物はその酸または塩基付加塩を製造することで修飾される。医薬的に許容される塩の例として、以下に限定されないが、アミノなどの塩基性基の鉱酸または有機酸塩;カルボン酸などの酸性基のアルカリまたは有機塩基塩が挙げられる。医薬的に許容される塩は、例えば、無毒の無機または有機酸より形成される、親化合物の一般的な無毒の塩または四級アンモニウム塩を包含する。例えば、かかる一般的な無毒の塩は、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸など)より誘導される塩;有機酸(酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸およびイセチオン酸等など)より調製される塩を包含する。
本発明の医薬的に許容される塩は、従来の化学的方法により、塩基性または酸性の部分を含有する親化合物より合成され得る。一般に、かかる塩は、遊離した酸または塩基の形態のこれらの化合物を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水または有機溶媒、あるいはその2種の混合液中で反応させることにより調製することができ;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリル等の非水性媒体が好ましい。適当な塩の一覧は、Allen,L.V.Jr.編、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 22nd Edition, Pharcaceutical Press, London, UK(2012) に記載されており、出典を明示することでその内容を本明細書に組み入れることとする。
また、式Iの化合物はプロドラッグの形態であってもよい。インビボにて変換して生物活性剤(すなわち、式(I)の化合物)を提供する化合物はいずれも、本発明の範囲および精神内にあるプロドラッグである。種々の形態のプロドラッグが当該分野にて周知である。かかるプロドラッグ誘導体の例として、以下の文献を参照のこと:
a)Bundgaard,H.編, Design of Prodrugs, Elsevier(1985);
b)Widder,K.ら編, Methods in Enzymology, 112:309-396, Academic Press(1985);
c)Bundgaard,H.、Chapter 5, 「プロドラッグの設計および適用」(Design and Application of Prodrugs), A Textbook of Drug Design and Development、pp.113-191, Krogsgaard-Larsen,P.ら編、Harwood Academic Publishers(1991);
d)Bundgaard,H.、Adv. Drug Deliv Rev., 8:1-38(1992);
e)Nielsen,N.M.ら、J. Pharm. Sci., 77:285(1988);
f)Kakeya,N.ら、Chem. Pharm. Bull., 32:692(1984);および
g)Rautio,J.編、Prodrug and Targeted Delivery(Method and Principles in Medicinal Chemistry), Vol 47, Wiley-VCH(2011)
カルボキシ基を有する化合物は、体内で加水分解されることにより、式(I)の化合物そのものを生成するプロドラッグとして役立つ、生理学的に加水分解され得るエステルを形成し得る。かかるプロドラッグは、加水分解が、大抵の場合で、主に消化酵素の影響下で生じるため、経口投与されるのが好ましい。非経口投与は、エステルそのものが活性であるか、または加水分解が血中で起こる場合に、使用され得る。式Iの化合物の生理学的に加水分解可能なエステルの例として、C1−6アルキル、C1−6アルキルベンジル、4−メトキシベンジル、インダニル、フタリル、メトキシメチル、C1−6アルカノイルオキシ−C1−6アルキル(例えば、アセトキシメチル、ピバロイルオキシメチルまたはプロピオニルオキシメチル)、C1−6アルコキシカルボニルオキシ−C1−6アルキル(例えば、メトキシカルボニル−オキシメチルまたはエトキシカルボニルオキシメチル、グリシルオキシメチル、フェニルグリシルオキシメチル、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)−メチル)、ならびに、例えば、ペニシリンおよびセファロスポリンの分野にて使用される別の周知の生理学的に加水分解されるエステルである。かかるエステルは当該分野で公知の一般的技法により製造され得る。
プロドラッグの調製は当該分野にて周知であり、例えば、King,F.D.編、Medicinal Chemistry: Principles and Practice, The Royal Society of Chemistry, Cambridge, UK(2nd edition, reproduced(2006);Testa,B.ら、Hydrolysis in Drug and Prodrug Metabolism. Chemistry, Biochemistry and Enzymology, VCHA and Wiley-VCH, Zurich, Switzerland(2003); Wermuth,C.G.編、The Practice of Medicinal Chemistry, 3rd edition, Academic Press, San Diego, CA(2008)に記載される。
本発明はまた、1または複数の原子が、原子番号は同じであるが、自然界にて通常見られる原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子と置き換えられている、本発明の同位体で標識された化合物も包含する。本発明の化合物に含まれるのに適する同位体の例として、2H(重水素についての「D」としても表される)および3Hなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素の同位体が挙げられる。本発明の同位体で標識された特定の化合物、例えば放射性同位体を組み入れた化合物は、薬物および/または基質の組織分布実験において有用である。放射性同位体の三重水素、3H、および炭素−14、14Cが、組み入れるのが容易であること、および検出手段が簡易であることに鑑みて、この目的にとって特に有用である。重水素、2Hなどのより重い同位体との置換は、より大きな代謝安定性よりもたらされるある種の治療上の利点、例えば、インビボにおける半減期の増加、または必要とされる投与量の減少を付与する可能性があり、かくしてある環境においては好ましいかもしれない。11C、15Oおよび13Nなどのポジトロンを放出する同位体との置換は、基質受容体占有率を試験するポジトロン放出型断層撮影(PET)実験にて有用であり得る。同位体で標識された本発明の化合物は、一般には、当業者に公知の慣用的技法により、あるいは本明細書の記載の技法と同様の技法によって、利用される非標識の試薬の代わりに同位元素で標識された試薬を用いて調製され得る。
「溶媒和物」なる語は、本発明の化合物と、有機または無機溶媒のいずれかの、1または複数の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は水素結合を包含する。ある場合には、溶媒和物は、例えば、1または複数の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に組み込まれた場合に、単離可能となる。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的配置および/または非規則的配置にて存在し得る。溶媒和物は化学量論量または非化学量論量の溶媒分子を含みうる。「溶媒和物」は液相および分離可能な溶媒和物の両方を包含する。典型的な溶媒和物は、以下に限定されないが、水和物、エタノール和物、メタノール和物、およびイソプロパノノール和物を包含する。溶媒和の方法は一般に当該分野で公知である。
本明細書で用いる際の「多形体」は、結晶を形成する分子および/またはイオンの化学構造/組成は同じであるが、空間的配置が異なる結晶形態をいう。本発明の化合物は非晶質性固体または結晶性固体として提供され得る。凍結乾燥の操作を利用して本発明の化合物を固体として提供することができる。
本明細書で用いる際の略語は次のように定義される:1回については「1x」と、2回については「2x」と、3回については「3x」と、オングストロームについては「Å」と、セルシウス度については「℃」と、当量については「eq」と、グラムについては「g」と、ミリグラムについては「mg」と、リットルについては「L」と、ミリリットルについては「mL」または「ml」と、マイクロリットルについては「μL」と、規定については「N」と、モルについては「M」と、ミリモルについては「mmol」と、分については「min」と、時間については「h」と、室温については「rt」と、保持時間については「RT」と、気圧については「atm」と、ポンド/平方インチについては「psi」と、濃縮については「conc.」と、水性については「aq」と、飽和については「sat」または「sat’d」と、分子量については「MW」と、融点については「mp」、質量分析については「MS」または「Mass Spec」と、電子噴射イオン化質量分析については「ESI」と、高分解能については「HR」と、高分解能質量分析については「HRMS」と、液体クロマトグラフィー質量分析については「LCMS」と、高圧液体クロマトグラフィーについては「HPLC」と、逆相HPLCについては「RP HPLC」と、逆相プレパラティブHPLCについては「RP−Prep.HPLC」と、薄層クロマトグラフィーについては「TLC」または「tlc」と、核磁気共鳴分光法については「NMR」と、核オーバーハウザー効果分光法については「nOe」と、プロトンについては「1H」と、デルタについては「δ」と、一重項については「s」と、二重項については「d」と、三重項については「t」と、四重項については「q」と、多重項については「m」と、ブロードについては「br」と、ヘルツについては「Hz」と定義され、「α」、「β」、「R」、「S」、「E」および「Z」は当業者に馴染みの立体化学的記号である。
本発明の化合物は有機合成の分野における当業者に公知の多くの方法にて調製され得る。本発明の化合物は、下記の方法を合成有機化学の分野にて公知の合成方法と一緒に用いて、あるいは当該分野における当業者に明らかなように該方法に変形を加えることにより合成され得る。好ましい方法は、限定されるものではないが、下記の方法を包含する。反応は、利用される試薬および材料に適し、その変換がなされるのに適切な溶媒または混合溶媒中で行われる。分子上にある官能基が提案される変換と整合性の取れるものでなければならないことは有機合成の分野の当業者であれば理解するであろう。このことは、時に、本発明の所望の化合物を得るために、合成工程の順序を修飾する判断、または一の特定のプロセススキームをもう一つ別のスキームに優先して選択する判断を要求するであろう。
本発明の新規な化合物は、このセクションに記載の反応および技法を用いて調製されてもよい。また、下記の合成方法の記載にて、溶媒の選択、反応圧、反応温度、実験期間および後処理の操作を含め、提案されている反応条件はすべて、当業者によって容易に認識される、その反応に標準的な条件であるように選択される。反応条件と適合する置換基に対する制限は当業者に明らかであり、制限があった場合には別法が用いられなければならない。
合成
式(I)の化合物は、以下のスキームおよび実施例に記載の典型的な方法により、ならびに当業者によって使用される関連する刊行物に記載の操作により調製されてもよい。これらの反応に典型的な試薬および操作は、後記および実施例にて明らかである。その方法における保護および脱保護は当該分野にて周知の操作により実施されてもよい(例えば、Wuts,P.G.M.ら、Protecting Groups in Organic Synthesis、Fourth Edition、Wiley(2007)を参照のこと)。有機合成および官能基変換の一般的方法は、Trost,B.M.ら編、Comprehensive Organic Synthesis:Selectivity, Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry, Pergamon Press, New York, NY(1991);Smith,M.B.ら、March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanisms and Structure. Sixth Edition、Wiley & Sons, New York, NY(2007);Katritzky,A.R.ら編、Comprehensive Organic Functional Groups Transformations II, Second Edition、Elsevier Science Inc., Tarrytown, NY(2004);Larock,R.C.、Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, NY(1999)およびそこに記載に参考文献にて見つけられる。
本発明の化合物を調製するための出発材料として有用な多種多様な置換されたピロリジン化合物を合成する方法は当該分野にて周知である。例えば、ピロリジン材料の調製に有用な方法は下記の参考文献およびその中の引用文献を参照のこと:Katritzkyら編、Comprehensive Heterocyclic Chemistry, Pergamon Press Inc., New York(1996);Bellina,F.ら、Tetrahedron, 62:7213(2006);Wolfe,J.P.、Eur. J. Org. Chem., 571(2007);Deng,Q.-H.ら、Organic Letters, 10:1529(2008);Pisaneschi,F.ら、Synlett, 18:2882(2007);Najera,C.ら、Angewandte Chemie, International Edition, 44(39):6272(2005);Sasaki,N.A.、Methods in Molecular Medicine, 23(Peptidomimetics Protocols):489(1999);Zhou,J.-Q.ら、Journal of Organic Chemistry, 57(12):3328(1992);Coldham, I.ら、Tetrahedron Letters, 38(43):7621(1997);Schlummer,B.ら、Organic Letters, 4(9):1471(2002);Larock,R.C.ら、Journal of Organic Chemistry, 59(15):4172(1994);Galliford,C.V.ら、Organic Letters, 5(19):3487(2003);Kimura、M.ら、Angewandte Chemie, International Edition, 47(31):5803(2008);Ney,J.E.ら、Adv. Synth. Catal., 347:1614(2005);Paderes,M.C.ら、Organic Letters, 11(9):1915(2009);Wang,Y.-G.ら、Organic Letters, 11(9):2027(2009);Cordero,F.M.ら、Journal of Organic Chemistry, 74(11):4225(2009);Hoang,C.T.ら、Journal of Organic Chemistry, 74(11):4177(2009);Luly,J.R.ら、Journal of the American Chemical Society, 105:2859(1983);Kimball,F.S.ら、Bioorganic and Medicinal Chemistry, 16:4367(2008);Bertrand,M.B.ら、Journal of Organic Chemistry, 73(22):8851(2008);Browning,R.G.ら、Tetrahedron, 60:359(2004);Ray,J.K.ら、Bioorganic and Medicinal Chemistry, 2(12):1417(1994);Evans,G.L.ら、Journal of the American Chemical Society, 72:2727(1950);Stephens,B.E.ら、Journal of Organic Chemistry, 74(1):254(2009);Spangenberg,T.ら、Organic Letters, 11(2):261(2008);およびQiu,X.-L.ら、Journal of Organic Chemistry, 67(20):7162(2008)。
式(I)の化合物は、スキーム1に示されるように、置換されたピラジンD(LG1はLG2と同じであってもなくてもよい)で出発し、塩基、例えばNaHを用いてアルコールCとカップリングさせることで合成され、中間体Eを得てもよい。アルコールCは、中間体AのLGをS−Phosプレ触媒およびLiHMDSなどの塩基を用いてアミンBを通して置き換えることにより、あるいは所望により中間体AのLGを触媒を用いることなく置き換えることにより調製され得る。中間体GはピロリジンFを中間体Eにパラジウム触媒、例えばPd(PAc)2、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセンなどのホスフィンリガンドを用い、塩基、例えばナトリウムtert−ブトキシドの存在下でカップリングさせることで合成されてもよい。中間体Gのシアノ基は、メタノールの存在下、酸、例えば塩酸を介してメチルエステルに変換され、次にLiOHを用いて加水分解されるか、またはKOHを用いて直接加水分解され、式(I)の化合物を得ることができる。
中間体Fは、塩化メタンスルホニル、および塩基、例えばEt3Nを用いてN−保護されたピロリジノールHを活性化し、シアン化ナトリウムと置き換えることにより合成され、ニトリルIを得ることができる。中間体IでのP.G.の除去を水素化分解(P.G.がCbz基である場合)または酸触媒による加水分解(P.G.がBoc基である場合)などで行い、中間体Fを得ることができる。
IV. 生物学
糖尿病は世界中で100百万人以上の人々が罹患している重篤な疾患である。糖尿病はグルコース恒常性の異常により特徴付けられる一群の障害として診断され、高血糖をもたらす。糖尿病は、一般には、代謝性、血管性および神経因性成分が相互に関連する症候群である。代謝異常は、高血糖ならびにインスリン分泌の欠如または減少、および/または効果のないインスリン分泌により惹起される、炭水化物、脂肪およびタンパク質の代謝作用の変化により特徴付けられる。血管性症候群は、心血管、網膜、および腎臓の合併症に至る血管の異常からなる。末梢および自律神経系の異常は糖尿病性症候群の一部でもある。特筆すべきは、糖尿病は、全世界で病気による死亡の4番目の主たる原因であり、先進国における腎不全の最大の原因であり、工業国における失明の主たる原因であって、開発途上国にて罹患率が最も増加している。
糖尿病患者の90%を占める2型糖尿病は、一定期間の代償性高インスリン血症の後の不適切なインスリン分泌に伴ってインスリン抵抗性が増加することにより特徴付けられる。β細胞の二次機能不全の理由は完全には理解されていない。後天性の膵島損傷または枯渇および/または膵島の分泌の不足に対して感受性を惹起する遺伝的因子が仮定されている。
遊離脂肪酸(FFA)は、主にグルコース刺激のインスリン分泌(GSIS)を強化することにより、インスリンのβ細胞からの分泌に影響を及ぼすことが明らかにされた。グルコースはインスリンをβ細胞から分泌する主な刺激物質として認識されているが、アミノ酸、ホルモンおよびFFAなどの他の刺激物質もまたインスリン分泌を調節する。かくして、正常な環境下では、食物摂取に応答したβ細胞からのインスリン分泌は、グルコース、アミノ酸およびFFAなどの栄養素、ならびにインクレチン様ホルモンである、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)の集合的刺激により惹起される。脂肪酸はまた、コレシストキニン(cholocystokine)(CCK)、GLP−1およびペプチドYY(PYY)を含む、数種の胃腸満腹ホルモンの分泌を刺激することも知られている。
β細胞にて発現されるG−タンパク質結合受容体(GPCR)は血漿中グルコース濃度の変化に応じてインスリンの放出を調節することが知られている。脂肪酸受容体1(FFAR1)としても知られるGPR40は膜結合FFA受容体であり、それは優先的には膵島で、具体的にはβ細胞にて発現される。GPR40(例えば、ヒトGPR40、Ref Seq mRNA ID NM_005303;例えば、マウスGPR40、Ref Seq mRNA ID NM_194057)は染色体19q13.12に存するGPCRである。GPR40は中鎖ないし長鎖脂肪酸により活性化され、それがシグナル伝達カスケードを作動させ、β細胞における[Ca2+]iの濃度を上昇させ、その後のインスリン分泌の刺激をもたらす(Itohら、Nature, 422:173-176(2003))。GPR40の選択的小型分子のアゴニストがマウスにてGSISを促進し、血中グルコースを減少させることが判明した(Tanら、Diabetes, 57:2211-2219(2008))。簡単に言えば、グルコース耐性試験の前に、正常なマウスまたは遺伝的変異のために糖尿病に罹患しやすいマウスのいずれかにGPR40のアクチベータを投与すると、グルコース耐性の改善が観察される。これらの処理に付したマウスでは、血漿中インスリン濃度の一時的な上昇も観察される。GPR40アゴニストは新生児STZラットから由来の膵臓β細胞においてGSISを回復させ、このことはβ細胞の機能と質量に障害のある糖尿病患者にてGPR40アゴニストが効果的であることを示唆する。脂肪酸は、コレシストキニン(CCK)、GLP−1およびペプチドYY(PYY)を含む、数種の胃腸満腹ホルモンの分泌を刺激することが知られており、GPR40がかかるホルモンを分泌する細胞と共局在化することがわかっている(Edfalkら、Diabetes, 57:2280-2287(2008);Luoら、PLoS ONE, 7:1-12(2012))。脂肪酸は神経発達および機能にて一の役割を果たすことも知られており、GPR40は脂肪酸のニューロンに対する効果をモジュレートする可能性があるものとして報告されている(Yamashima,T.、Progress in Neurobiology, 84:105-115(2008))。
2型糖尿病に罹患した患者の集団が世界的に増加していることに鑑みて、有害事象が最小であって効果的である新規な療法に対する要求がある。血糖管理の強化を通して2型糖尿病の医療負担を軽減するために、本発明のGPR40モジュレータの化合物をGSISを促進するそのインクレチン効果について、ならびに広範な抗糖尿病薬との組み合わせの可能性について、ここでは研究する。
「モジュレータ」なる語は、生物学的活性の機能特性または過程(例えば、酵素活性または受容体結合)を亢進する能力(例えば、「アゴニスト」活性)または部分的に亢進する能力(例えば、「部分アゴニスト」活性)あるいは阻害する能力(例えば、「アンタゴニスト」活性または「逆アゴニスト」活性)を有する化合物をいい;かかる亢進および阻害は、シグナル伝達経路の活性化、受容体の内在化などの特異的事象の発生に付随するものであってもよく、および/または特定の型の細胞だけで発現するものであってもよい。
以下に例として挙げられ、それに限定されないものとする、1つまたは複数のカテゴリー:(a)経口バイオアベイラビリティ、半減期およびクリアランスを含む、薬物動態学的特徴;(b)薬理学的特徴;(c)必要な用量;(d)血中薬物濃度の最高最低間特性を低減する因子;(e)受容体で活性である薬物の濃度を上昇させる因子;(f)臨床における薬剤−薬剤間相互作用の不利益を低減する因子;(g)有害な副作用の可能性を低減する因子(他の生物学的標的に対する選択性を含む);および(h)それほど低血糖症の傾向がない改善された治療指数において、既知の抗糖尿病剤に比べて有利かつ改善された特性を有する化合物を見出すこともまた、望ましく、かつ好ましい。
本明細書中で使用される際の「患者」なる語は全ての哺乳類を包含する。
本明細書で使用される際の「対象」なる語は、ヒトまたはGPR40モジュレータでの治療から利益を受ける可能性のあるヒト以外の生物をいう。典型的な対象は代謝性疾患についての危険因子を有するどの年齢のヒトも包含する。共通する危険因子として、限定されないが、年齢、性別、体重、家族歴、あるいは黒色表皮症、高血圧症、脂質異常症または多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などのインスリン抵抗性の徴候が挙げられる。
本明細書で使用される際の「治療する」または「治療」なる語は、哺乳類、特にヒトにおける病態の治療に及び、(a)その病態を阻害すること、即ち、その進行を停止させること;および/または(b)その病態を軽減すること、即ち、疾患状態の退縮を引き起こすこと;および/または(c)特にかかる哺乳類はその病態に罹りやすいが、まだ罹患していると診断されていない場合に、その病態の哺乳類における発症を防止すること、を包含する。
本明細書で使用される際の「予防する」または「予防」なる語は、哺乳類、特にヒトにおける無症候性病態の、臨床的病態を発症する可能性の軽減を目的とした、予防的処置(すなわち、予防および/またはリスク軽減)にも及ぶ。患者は、一般的な集団に比べて臨床的な病態に罹患するリスクを増大させることが知られている因子に基づき、予防的治療を目的として選択されてもよい。「予防」的治療は、主に(a)一次予防および(b)二次予防に分類できる。一次予防は、未だに臨床的な病態を呈していない対象における治療と定義され、それに対して二次予防は、同じまたは類似の臨床的な病態の二度目の発症を予防するものとして定義される。
本明細書で使用される際の「リスク軽減」なる語は、臨床的な病態の発症率を抑える治療にまで及ぶ。一次および二次予防の治療それ自体がリスク軽減の例である。
「治療上の有効量」なる語は、GPR40をモジュレートし、および/または本明細書中にて列挙される障害を予防もしくは治療するために単独でまたは併用して投与された場合に効果的である本発明の化合物の量を包含するものとする。併用して投与される場合、該語は、組み合わせて、連続して、または同時に投与されるかどうかで予防または治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量をいう。
インビトロGPR40アッセイ
FDSSを基礎とする細胞内カルシウムアッセイ
GPR40を発現する細胞系は、pDEST−3xFLAG遺伝子発現系を用いて生成され、それを以下の成分:F12(Gibco#11765)、脂質除去の10%ウシ胎児血清、250μg/mLのゼオシン(zeocin)および500μg/mLのG418を含む培地で培養する。蛍光画像化プレートリーダ(FLIPR)を基礎とするカルシウムフラックスアッセイを行い、細胞内Ca2+応答を測定するために、GPR40を発現する細胞を384ウェルプレート(BD Biocoat#356697)にウェルに付きフェノールレッドおよび血清不含DMEM(Gibco#21063−029)中20,000個の細胞/20μLの培地の密度でプレートし、一夜インキュベートする。BDキット#80500−310または−301を用いる場合、細胞をウェル当たり20μLのハンクス緩衝塩溶液にて1.7mMのプロベネシドおよびフルオ(Fluo)−3と一緒に37℃で30分間インキュベートする。化合物をDMSOに溶かし、アッセイ緩衝液を用いて所望の濃度にまで希釈し、細胞に3x溶液として添加した(ウェルに付き20μL)。蛍光/発光リーダFDSS(Hamamatsu)を作動させ、細胞内Ca2+応答を読み取る。
以下に開示の例示を、上記のヒトGRP40インビトロアッセイにて試験し、hGPR40 EC50として報告される、hGPR40モジュレート活性を有することが見出された。
HEK293/GPR40誘発性細胞系でのGPR40IP−OneHTRFアッセイ
ヒト、マウスおよびラットのGPR40介在性細胞内IP−OneHTRFアッセイはテトラシクリン誘発のヒト、マウスまたはラットGPR40受容体で安定的にトランスフェクトされたヒト胎児腎臓細胞HEK294を用いて確立された。細胞を、規定通りに、DMEM(Gibco、Cat.#12430−047)、正規の10%FBS(Sigma、Cat.#F2442)、200μg/mL ヒグロマイシン(Invitrogen、Cat.#16087−010)および1.5μg/mL ブラストサイジン(Invitrogen、Cat.#R210−01)を含有する増殖培地にて培養した。約12−15百万個の細胞を増殖培地を含むT175組織培養フラスコ(BD Falcon353112)に入れ、37℃で16−18時間(一夜)5%CO2と一緒にインキュベートした。翌日、アッセイ培地を増殖培地(1000ng/mLのテトラサイクリン(Fluka Analytical、Cat.#87128)を含有する)と交換し、5%CO2を含む37℃のインキュベーター中にて18−24時間にわたってGPR40の発現を誘導した。誘導した後、細胞をPBS(Gibco、Cat.#14190−036)で洗浄し、セル・ストリッパー(Cellgro、Cat.#25−056−CL)で引き離した。10−20mLの増殖培地をフラスコに加え、細胞を50mLの遠心管(Falcon、Cat.#352098)に集め、5分間1000RPMで回転させた。培地を吸引し、細胞を10mLの1xIP−One スティムレーション・バッファー(Stimulation Buffer)(Cisbio IP−Oneキットから由来)(Cisbio、Cat.#62IPAPEJ)に懸濁させた。細胞を1mLのスティムレーション・バッファーに付き1.4x106細胞に希釈した。
試験化合物を、バイオセル(Biocel)(Agilent)で、REMPアッセイプレート(Matrix、Cat.#4307)にてDMSO中に3xの11点で連続して希釈した。化合物をエコ(Echo)プレート(Labcyte、Cat.#LP−0200)に移し、20nLの希釈した化合物をアッセイプレート(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)からのプロキシ・プレート(ProxiPlate)、Cat.#6008289)にエコ(Echo)アコースティック・ナノディスペンサー(Labcyte、モデルECHO550)を用いて移した。次に14μLの希釈細胞をサーモ(Thermo)(SN836330)コンビ・ドロップ(Combi Drop)でアッセイプレートに加え、室温で45分間インキュベートした。ついで、CisbioIP−OneキットからのダイD2にカップリングさせた3μLのIP1をアッセイプレートに加え、つづいて該キットからのルミ(Lumi)4−TbクリプタートK(3μL)を添加した。該プレートを室温で1時間さらにインキュベートし、それからエンビジョン(Envision)(パーキン・エルマーモデル2101)でHTRFプロトコルを用いて読み取った。一連の濃度に及ぶ試験化合物についての活性化データを試験化合物の活性化割合(100%=最大応答)としてプロットした。バックグランドについて修正した後に[(試料の読み取り値−低対照の平均値)/(高対照の平均値−低対照の平均値)](低対照はどの化合物も不含のDMSOである)、EC50値を決定した。EC50は試験化合物が最大応答の50%を生じさせる濃度として定義され、そのデータを4パラメータロジスティックの計算式を用いて適合させて定量した。観察される最大Y値(%Ymax)は0.625μMの最終濃度でBMS標準対照化合物と比較して算定された。
後記の実施例のいくつかを上記のヒトGRP40インビトロアッセイにて試験し、hGPR40 IP1 EC50として報告されるhGPR40モジュレート活性を有することが見出された。
BMS DPP4iは、Simpkins,L.ら、Bioorganic Medicinal Chemistry Letters, 17 (23): 6476-6480 (2007) (化合物48)にて、およびWO2005/012249(実施例3)に開示されている。BMS DPP4iは次式:
で示される。
本発明の化合物はGPR40のモジュレータとしての活性を有し、かくして、GRP40の活性に付随する疾患の治療に使用され得る。本発明の化合物は、好ましくは、GRP40のモジュレーションを通して、インスリン、および/またはGLP−1、GIP、CCKおよびアミリンなどの消化管ホルモンの産生/分泌をモジュレートするのに利用されてもよい。
従って、本発明の化合物は、哺乳類、好ましくはヒトに、限定されるものではないが、糖尿病および関連する症状、糖尿病に付随する細小血管合併症、糖尿病に付随する大血管合併症、心血管疾患、代謝性症候群およびその構成要素による症状、炎症性疾患および他の病気を治療し、予防し、またはその進行を遅らせることを含め、種々の疾患または障害の治療用に投与され得る。結果として、本発明の化合物は、糖尿病、高血糖、耐糖能異常、妊娠性糖尿病、インスリン抵抗、高インスリン血症、網膜症、神経障害、腎症、糖尿病性腎疾患、急性腎損傷、心腎臓症候群、急性冠症候群、創傷治癒の遅れ、アテローム性動脈硬化症およびその後遺症(急性冠症候群、心筋梗塞、狭心症、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋虚血、発作、心不全)、代謝性症候群、高血圧症、肥満、脂肪肝疾患、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL、高LDL、血管再狭窄、末梢動脈疾患、脂質障害、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)、NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)および肝硬変などの肝臓疾患、神経変性疾患、認識機能障害、認知症を予防し、阻害し、または治療するのに使用されてもよく、糖尿病と関連する副作用、脂肪異栄養症およびコルチコステロイド療法より由来の骨粗鬆症の治療に使用されてもよいと思われる。
代謝性症候群または「症候群X」は、Fordら、J. Am. Med. Assoc., 287:356-359(2002)およびArbeenyら、Curr. Med. Chem. -Imm., Endoc. & Metab. Agents, 1:1-24(2001)において記載される。.
GPR40は、Yamashima,T.、Progress in Neurobiology, 84:105-115(2008)に記載されるように、神経細胞で発現し、脳内のニューロンの発達および調子の維持と関連付けられる。
V.医薬組成物、製剤および合剤
本発明の化合物は、本明細書に記載されるいずれかの用途のために、いずれか適切な手段、例えば、錠剤、カプセル剤(それぞれ、徐放性製剤または持続放出型製剤を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、エリキシル剤、チンキ剤、懸濁液(ナノ懸濁液、ミクロ懸濁液、噴霧乾燥分散液を含む)、シロップ剤および乳剤などの手段により経口的に;舌下的に;バッカル的に;皮下、静脈内、筋肉内または胸骨下注射、または注入技法(例えば、滅菌注射用水性または非水性溶液または懸濁液)によるなどの手段により非経口的に;吸入噴霧によるなどの鼻腔膜への投与を含め、経鼻的に;クリームまたは軟膏の形態のように局所的に;あるいは坐剤の形態のように経直腸的に投与され得る。該化合物はそれだけで投与されてもよいが、一般には、選択された投与経路および標準的な製剤学的基準に基づき選択される医薬的担体と一緒に投与されるであろう。
「医薬組成物」なる語は、本発明の一の化合物を少なくとも1つのさらなる医薬的に許容される担体と組み合わせて含む組成物を意味する。「医薬的に許容される担体」は、投与方法および剤形の性質に応じて、動物、特に哺乳類への生理活性薬剤の送達の分野で一般的に許容される媒体、例えば、佐剤、希釈剤などの賦形剤もしくはベヒクル、保存料、増量剤、流動性制御剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、甘味料、香料、芳香剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および分散剤をいう。
医薬的に許容される担体は当業者に周知の数多くの因子に従って製剤化される。これらは、限定されないが、製剤化される活性薬剤の種類および性質;薬剤を含む組成物が投与される対象;該組成物の意図される投与経路;目標の治療指標を包含する。医薬的に許容される担体は水性および非水性の液体媒体、ならびに様々な固形および半固形の剤形を含む。かかる担体は活性成分に加えて数多くの異なる成分および添加剤を含み得、かかるさらなる成分は、当業者に周知の様々な理由、例えば、活性薬剤の安定化、結合剤などの理由で該製剤に含まれる。適切な医薬的に許容される担体およびそれらの選択に関与する因子に関する記述は、容易に入手できる様々な情報源、例えば、Allen、L.V.,Jr.ら、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2巻)、第22版、Pharmaceutical Press(2012)に見られる。
本発明の化合物の用量レジメンは、当然のことながら、特定の薬剤の薬物動態学的性質ならびにその投与方法および経路;レシピエントの種、年齢、性別、健康状態、医学的状態、および体重;症状の性質および度合い;現在行われている治療の種類;治療頻度;投与経路、患者の腎機能および肝機能、ならびに目的とする効果といった周知の因子に依存して異なるであろう。
一般的な指標として、各活性成分の1日あたりの経口投与量は、指示された効果に用いる場合、1日あたり約0.001から約5000mg、好ましくは1日に付き約0.01から約1000mg、最も好ましくは1日に付き約0.1から約250mgの範囲にある。静脈内投与の場合、最も好ましい用量は持続静注の間は約0.01から約10mg/kg/分の範囲にある。本発明の化合物は単回用量で毎日投与されてもよく、あるいは、1日あたりの総用量を1日2、3、または4回に分割した用量で投与してもよい。
該化合物は、典型的には、意図される投与形態、例えば、経口用錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、およびシロップ剤に関して、一般的な製剤学的基準に一致して適切に選択される適切な医薬的希釈剤、賦形剤または担体(本明細書中では医薬的担体と総称する)との混合物で投与される。
投与に適した剤形(医薬組成物)は単位用量当たり約1ミリグラムから約2000ミリグラムの活性成分を含んでいてもよい。これらの医薬組成物において、活性成分は、一般的に、該医薬組成物の総重量の約0.1−95重量%の量において存在するであろう。
典型的な経口投与用のカプセルは、少なくとも1つの本発明の化合物(250mg)、ラクトース(75mg)およびステアリン酸マグネシウム(15mg)を含有する。その混合物を60メッシュのシーブに通し、No.1のゼラチンカプセルに詰め込む。
典型的な注射用製剤は、少なくとも1つの本発明の化合物(250mg)を無菌状態でバイアルに入れ、無菌状態で凍結乾燥して密封することにより製造される。使用する場合、そのバイアルの中身を2mLの生理食塩水と混合し、注射用製剤を製造する。
本発明は、その範囲内に、活性成分として、治療的に効果的な量の少なくとも1つの本発明の化合物を単独で、あるいは医薬的担体と組み合わせて含む医薬組成物を包含する。所望により、本発明の化合物は、単独で、発明の他の化合物と組み合わせて、あるいは1または複数の他の治療薬、例えば、抗糖尿病剤または他の治療的に活性な材料と組み合わせて使用され得る。
本発明の化合物は、GRP40モジュレータ、あるいは上記の障害の治療に有用な1または複数の他の適当な治療薬(抗糖尿病薬、抗高血糖薬、抗高インスリン血症剤、抗網膜症薬、抗神経障害薬、抗腎症薬、抗アテローム性動脈硬化薬、抗虚血薬、抗高血圧薬、抗肥満薬、抗脂質異常薬、抗高脂血症薬、抗高トリグリセリド血症薬、抗高コレステロール血症薬、抗再狭窄薬、抗腎臓薬、脂質低下薬、食欲減退薬および食欲抑制薬を含む)と組み合わせて利用されてもよい。
所望により、本発明の化合物は、1または複数の他の型の抗糖尿病薬、および/または1または複数の他の型の治療薬と組み合わせて使用されてもよく、それらは同じ剤形にて経口的に、別個の経口剤形にて、または注射により投与されてもよい。本発明のGRP40受容体モジュレータと所望により組み合わせて利用されてもよい、他の型の抗糖尿病薬は1、2、3種またはそれ以上の抗糖尿病薬または抗高血糖薬であってもよく、それらは同じ剤形にて経口的に、別個の経口剤形にて、または注射により投与され、さらなる薬理学的利益を生み出すこともできる。
本発明の化合物と組み合わせて使用される抗糖尿病薬は、以下に限定されるものではないが、インスリン分泌促進剤またはインスリン増感剤、他のGPR40受容体モジュレータ、あるいは他の抗糖尿病薬を包含する。これらの薬剤は、以下に限定されるものではないが、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(DPP4i;例えば、シタグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、ビルダグリプチン)、ビグアニド(例えば、メトホルミン、フェンホルミン)、スルホニル尿素(例えば、グリブリド、グリメピリド、グリピジド)、グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ミグリトール)、チアゾリジンジオンなどのPPARγアゴニスト(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPARα/γ二元的アゴニスト(例えば、ムラグリタザール、テサグリタザール、アレグリタザール)、グルコキナーゼアクチベータ(Fyfe,M.C.T.ら、Drugs of the Future, 34(8):641-653(2009)およびその中に組み込まれている文献に記載されるアクチベータ)、他のGPR40受容体モジュレータ(例えば、TAK−875)、GPR119受容体モジュレータ(例えば、MBX−2952、PSN821、APD597)、GPR120受容体モジュレータ(例えば、Shimpukade,B.ら、J. Med. Chem., 55(9):4511-4515(2012)に記載)、ナトリウム−グルコース輸送体−2(SGLT2)阻害剤(例えば、ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、レマグリフロジン)、11b−HSD−1阻害剤(例えば、MK−0736、BI35585、BMS−823778、およびLY2523199)、MGAT阻害剤(例えば、Barlind,J.G.ら、Bioorg. Med. Chem. Lett.(2013)に記載)、doi:10.1016/j.bmcl.2013.02.084)、プラムリンチドなどのアミリン類似体、および/またはインスリンを包含する。糖尿病の治療についての最新および新興の療法の報告は:Mohler,M.L.ら、Medicinal Research Reviews, 29(1):125-195(2009)、およびMizuno, C.S.ら、Current Medicinal Chemistry, 15:61-74(2008)に記載され得る。
式IのGPR40受容体モジュレータはまた、所望により、糖尿病の合併症を治療するための薬物と組み合わせて利用されてもよい。これらの薬物はPKC阻害剤および/またはAGE阻害剤を包含する。
式IのGRP40受容体モジュレータはまた、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、フェンテルミン、オルリスタット、シブトラミン、ロルカセリン、プラムリンチド、トピラマート、MCHR1受容体アンタゴニスト、オキシントモデュリン、ナルトレキソン、アミリンペプチド、NPY Y5受容体モジュレータ、NPY Y2受容体モジュレータ、NPY Y4受容体モジュレータ、セチリスタット、5HT2c受容体モジュレータ等などの1または複数の食欲抑制剤と組み合わせて利用されてもよい。構造式Iの化合物はまた、エクセナチド、リラグルチド、GLP−1(1−36)アミド、GLP−1(7−36)アミド、GLP−1(7−37)などのグルカゴン様ペプチド−1受容体(GLP−1R)のアゴニストと組み合わせて利用されてもよく(米国特許第5,614,492号(Habener)に開示されるように、その内容を出典明示により本明細書の一部とする)、それらは注射により、鼻腔内に、あるいは経皮またはバッカル装置により投与されてもよい。肥満症の治療についての最新および新興の療法の報告は:Melnikova,I.ら、Nature Reviews Drug Discovery, 5:369-370(2006);Jones,D.、Nature Reviews:Drug Discovery, 8:833-834(2009);Obici,S.、Endocrinology, 150(6):2512-2517(2009);およびElangbam,C.S.、Vet. Pathol., 46(1):10-24(2009)に記載され得る。
上記した他の治療薬は、本発明の化合物と組み合わせて利用される場合に、例えば、the Physicians’ Desk Referenceに示される量で、上記した特許に示されるように、あるいは当業者によって決定される量で使用されてもよい。
特に単一の投与単位で投与される場合に、その合わされる活性成分の間で化学的相互作用が存する可能性がある。こういう訳で、本発明の化合物と、別の治療薬が単一の投与単位で合わされる場合、それらは、活性成分が単一の投与単位にて合わされるが、その活性成分の間の物理的接触が最小となるように(すなわち、減少するように)処方される。例えば、一の活性な成分は腸溶被覆されてもよい。活性成分の一つを腸溶被覆することにより、合わされる活性成分の間の接触を最小にすることが可能であるだけでなく、これらの一の成分の消化管での放出を、これらの一の成分が胃で放出されることなく、むしろ腸で放出されるように、調節することも可能である。活性成分の一つはまた、消化管全体を通して徐放性に影響を及ぼし、併用される活性成分の間の物理的接触を最小にするのにも役立つ材料で被覆されてもよい。その上、徐放性成分は、この成分の放出が腸でだけ生じるように付加的に腸溶被覆され得る。さらに別の解決方法として、一方の成分を徐放性および/または腸内放出性ポリマーで被覆し、他方の成分も粘度低等級のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのポリマー、または活性成分をさらに分離するのに当該分野にて知られる他の適切な材料で被覆する、組み合わせ製品を処方することが挙げられる。そのポリマー被覆材は他の成分との相互作用に対してさらなるバリアーを形成するのに役立つ。
本発明の併用製剤の成分間の接触を最小にするこれらの方法ならびに他の方法は、単一剤形にて投与されても、または同時ではないが、同じ方法で別個の形態にて投与されたとしても、本発明の開示を一度でも読めば、当業者にとって明らかであろう。
本発明の化合物は、単独で、または1または複数のさらなる治療薬と組み合わせて投与され得る。「組み合わせて投与される」または「併用療法」とは、本発明の化合物と、1または複数のさらなる治療薬が同時に治療される哺乳類に投与されることを意味する。組み合わせて投与される場合、各成分は、同時に、あるいは異なる時点でいずれの順序で投与されてもよい。かくして、各成分は、別々であるが、所望の治療効果を得るのに時間的に十分に接近して投与されてもよい。
本発明の化合物はまた、GRP40受容体の関与する試験またはアッセイにおいて、標準または対照化合物として、例えば属性の標準体または対照体として有用でもある。かかる化合物は、市販のキットにて、GRP40または抗糖尿病活性の関与する薬学研究にて用いるために提供されてもよい。例えば、本発明の化合物は、その既知の活性を未知の活性の化合物と比較するためのアッセイにて対照として使用され得る。このことは実験者に該アッセイが適切に実施されたことを保証し、特にもし試験化合物が対照となる化合物の誘導体である場合に、比較するための基準を提供することとなる。新たなアッセイまたはプロトコルを開発する場合に、その効能を試験するのに本発明の化合物を用いることができる。
本発明の化合物はまた、GRP40の関与する診断アッセイにて使用されてもよい。
本発明は製造品も包含する。本明細書中で用いられる場合、製造品は、限定されないが、キットおよびパッケージを包含するものとする。本発明の製造品は、(a)第1の容器;(b)第1の容器内に位置づける医薬組成物(ここで、該組成物は、本発明の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む第1の治療薬を含む);(c)該医薬組成物がGRP40に付随する多数の疾患または障害(上と同義)の治療に用いることができる旨を記載するパッケージ添付文書を含む。別の実施態様において、該パッケージ添付文書には、該医薬組成物が第2の治療薬と組み合わせて(上と同義)、GRP40に付随する多数の疾患または障害の治療に用いることができる旨が記載される。該製造品はさらに、(d)第2の容器(ここで、構成要素(a)および(b)は第2の容器内に位置し、構成要素(c)は第2の容器内または容器外に位置する)を含み得る。第1および第2の容器内に位置するとは、各容器が該アイテムをその領域内に保持することを意味する。
第1の容器は、医薬組成物の保持に用いられるレセプタクルである。この容器は、製造、貯蔵、運搬、および/または個別/大量販売のためのものである。第1の容器は、ボトル、ジャー、バイアル、フラスコ、シリンジ、チューブ(例えば、クリーム製剤用のもの)、または医薬製剤の製造、保持、貯蔵、または流通に用いられる任意の別の容器に及ぶものとする。
第2の容器は、第1の容器、および適宜パッケージ添付文書を保持するために用いられるものである。第2の容器の例は、限定されないが、箱(例えば、ダンボールまたはプラスチック製の箱)、木箱、紙箱(carton)、袋(例えば、紙またはプラスチックの袋)、ポーチ、および布袋(sack)を包含する。パッケージ添付文書は、テープ、接着剤、ホッチキス、または他の付着方法により第1の容器の外側に物理的に付着させることができ、または、第1の容器と物理的に付着する手段を用いることなく第2の容器内に入れておくこともできる。あるいは、パッケージ添付文書は第2の容器の外に位置していてもよい。第2の容器の外に位置する場合、パッケージ添付文書はテープ、接着剤、ホッチキス、または他の付着方法により物理的に付着していることが好ましい。あるいは、物理的に付着させることなくそれを第2の容器の外側に近接または接触させることもできる。
パッケージ添付文書は、第1の容器内に位置する医薬組成物に関連する情報を記載したラベル、タグ、マーカーなどである。該情報は、通常、該製造品が販売される地域を管理する規制当局(例えば、アメリカ食品医薬品局)により決定されるであろう。好ましくは、パッケージ添付文書は、特に、該医薬組成物が認可された事柄の表示を記載したものである。パッケージ添付文書は人がその中にまたはその上に含まれる情報を読みうる任意の材料で作られていてもよい。好ましくは、パッケージ添付文書は、それ上に目的の情報が形成される(例えば、印刷または貼り付ける)印刷可能な材料(例えば、紙、プラスチック、ダンボール、ホイール、紙またはプラスチック製のシール等)である。
本発明の別の特徴は、発明を説明する目的で提供され、本発明を限定するものではない、以下の典型的な実施態様の記載から明らかとなろう。
実施例
以下の実施例は、本発明の例示としてのその部分的範囲および特定の実施態様を提供するものであり、本発明の範囲を限定することを意図としない。略語および化学的記号は、特記されない限り、その普通で慣用的な意義を有する。特記されない限り、本明細書に記載の化合物は、本明細書に開示のスキームおよび他の方法を用いて調製、単離、かつ特徴付けられるか、あるいはその同じスキーム等を用いて調製されてもよい。
実施例の特徴付けまたは精製に利用されるHPLC/MSおよびプレパラトリー/分析HPLC方法
分析HPLC/MSは、(特記されない限り)以下の方法を用い、島津製(Shimadzu)SCL−10A液体クロマトグラフィー、およびウォーターズ(Waters)マイクロマス(MICROMASS)(登録商標)ZQ質量分析装置(脱溶媒和気体:窒素;脱溶媒和温度:250℃;イオン源温度:120℃;ポジティブエレクトロスプレー条件)で行われた:
0%から100%までの溶媒Bの2分間に及ぶ線状勾配、および100%溶媒Bでの1分間の保持;
220nmでのUV可視化;
カラム:フェノメネックス(PHENOMENEX)(登録商標)ルナ(Luna)C18(2)30mm x 4.60mm;5μm粒子(40℃に加熱);
流速:5ml/分;
溶媒A:10%MeCN−90%H2O−0.1%TFA;または、10%MeOH−90%H2O−0.1%TFA;および
溶媒B:90%MeCN−10%H2O−0.1%TFA;または、90%MeOH−10%H2O−0.1%TFA
プレパラトリーHPLCは、(特記されない限り)島津製SCL−10A液体クロマトグラフィーで、10分または30分間に及ぶ20−100%の溶媒Bの線状勾配、および100%の溶媒Bで(各々)2分または5分間のいずれかで保持して行われた:
220nmでのUV可視化;
カラム:フェノメネックス(登録商標)ルナ・アキシア(Luna Axia)5μ C18 30mm x 100mm;
流速:20mL/分;
溶媒A:10%MeCN−90%H2O−0.1%TFA;および
溶媒B:90%MeCN−10%H2O−0.1%TFA
分析HPLCは、(特記されない限り)以下の方法を用い、島津製(Shimadzu)SIL−10Aで行われ、化合物を純度を測定した(特記されない限り、実施例にて列挙される保持時間はカラム1の保持時間をいう):
10%から100%までの溶媒Bの15分間に及ぶ線状勾配;
220nmおよび254nmでのUV可視化;
カラム1:サン・ファイア(Sun Fire)C18 3.5μm、4.6x150mm;
カラム2:エクスブリッジ・フェニル(XBridge Phenyl)3.5μm、4.6x150mm;
流速:1ml/分(両カラムについて);
溶媒A:5%MeCN−95%H2O−0.05%TFA;および
溶媒B:95%MeCN−5%H2O−0.05%TFA
あるいは
指摘される出発割合から100%までの溶媒Bの8分間に及ぶ線状勾配;
220nmでのUV可視化;
カラム:ゾルバックス(ZORBAX)(登録商標)SB C18 3.5μm、4.6x75mm;
流速:2.5ml/分;
溶媒A:10%MeCN−90%H2O−0.2%H3PO4;および
溶媒B:90%MeCN−10%H2O−0.2%H3PO4
実施例の特徴付けに利用されるNMR
1H NMRスペクトルは、(特記されない限り)ジェオル(JEOL)(登録商標)またはブルカー・フーリエ(Bruker FOURIER)(登録商標)変換分光計を用いて400MHzまたは500MHzで操作して得られた。1H−nOe実験は、立体化学を解明するためのいくつかのケースでは、400MHzのブルカー・フーリエ(登録商標)変換分光計を用いて行われた。
スペクトルデータは化学シフト(多重度、水素の数、カップリング定数(Hz))として報告され、1H NMRスペクトルについては内部標準(テトラメチルシラン=0ppm)に対するppm(δ単位)で報告されるか、または残留溶媒のピーク(CD3SOCD2Hでは2.49ppm、CHD2CNでは1.94ppm、CHCl3では7.26ppm、CDHCl2では5.32ppm)に言及して報告されるかのいずれかである。
実施例1
2−((2S,3S,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−2−イル)酢酸
1A.(2S,3S,4R)−ベンジル 2−(シアノメチル)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−1−カルボキシラート:(2R,3S,4R)−ベンジル 2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−1−カルボキシラート(PCT/US2013/070213(2013年11月15日付け出願)(780mg、2.79ミリモル)の0℃に冷却したCH2Cl2(10mL)中攪拌溶液に、Et3N(0.778mL、5.58ミリモル)を添加し、つづいて塩化メタンスルホニル(0.326mL、4.19ミリモル)を滴下して加えた。添加後、得られた混濁溶液を0℃で1時間攪拌した。LC−MSは該反応が反応していることを示した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水(2x)、NaHCO3飽和水溶液、塩水(2x)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、濃縮乾固させた。。得られた油性残渣を高真空下で乾燥させ、所望の生成物の(2R,3S,4R)−ベンジル 4−メトキシ−3−メチル−2−(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(1.0g、2.81ミリモル、収率100%)を得、それを以下に記載の反応にてそのまま用いた。
得られたメシラートを無水DMSO(10mL)に溶かした。NaCN(547mg、11.16ミリモル)を該溶液に添加した。得られた懸濁液を50℃で16時間攪拌した。LC−MSは該反応が完了していることを示した。室温に冷却した後、該反応物を水でクエンチさせ、EtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、水、塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させ、濃縮乾固させた。該粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−35%、20分;35%、5分;35−70%、15分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させて(2S,3S,4R)−ベンジル 2−(シアノメチル)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−1−カルボキシラート(641mg、2.201ミリモル、収率79%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C16H20N2O3についての計算値:288.15、測定値[M+H]:289.2;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.50−7.33(m,5H)、5.26−5.08(m,2H)、3.85−3.66(m,2H),)、3.61−3.47(m,2H)、3.36(s,3H)、3.06−2.69(m,2H)、2.49(t,J=7.0Hz,1H)、1.21−0.98(m,3H)
1B. 2−((2S,3S,4R)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル:1A(80mg、0.277ミリモル)およびPd/C(40mg、0.019ミリモル)(5%ドライベース、デグサ(Degussa)型)のEtOAc(5mL)中懸濁液を、水素バルーン下の室温にて14時間激しく攪拌した。LC−MSは該反応が完了していることを示した。反応混合物を濾過し、触媒をEtOAcで洗浄した。濾液を合わせ、濃縮乾固させた。得られた残渣を高真空下で10分間乾燥させ、2−((2S,3S,4R)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル(41mg、0.253ミリモル、収率91%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C8H14N2Oについての計算値:154.21、測定値[M+H]:155.1;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 3.40(dt,J=5.1、3.4Hz,1H)、3.30(br.s,1H)、3.24(s,3H)、3.06−2.94(m,2H)、2.89(q,J=6.2Hz,1H)、2.56−2.40(m,2H)、1.82(td,J=6.7、3.6Hz,1H)、1.07−1.01(m,3H)
1C. (3R,4R)−1−ベンジル−3−メチルピペリジン−4−オール:20Lの反応器を2.0Lのメタノールおよび2.0LのミリQ(MILLI-Q)(登録商標)水で連続して濯いだ。該反応器に1.0Kgの1−ベンジル−3−メチルピペリジン−4−オンおよび7.8Lの水を窒素雰囲気下の25℃で入れた。容器に、1.2KgのD−(+)−グルコース、1.0Lのリン酸緩衝液(pH7.0)および0.5Lのトリス−クロリド緩衝液(pH7.4)を入れ、その混合物を10分間攪拌した。該溶液にニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(6.64g)および20gのグルコースデヒドロゲナーゼ(GDH−105、Codexis)を添加した。反応温度を徐々に30℃まで上げ、該溶液を36時間かき混ぜた。反応混合物を10℃に冷却し、pHをNaOHで11に調整した。得られた溶液を1時間攪拌し、それを10μmの濾布を通して濾過した。固体を水で洗浄し、3時間真空乾燥させた。残渣を20LのMTBEに溶かし、不溶性物質を濾過で除去した。有機層を濃縮して3.0Kg重にし、5.0Lのヘプタンを添加した。溶液を45℃で濃縮して5Kg重とし、つづいて結晶化の間に1時間攪拌した。混合物を濾過し、固体を乾燥させて0.785Kgの1Cを淡黄色の固体として得た。1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.33−7.24(m,5H)、3.48(s,2H)、3.14−3.13(m,1H)、2.88−2.77(m,2H)、2.05(dd,J=2.8、12Hz,1H)、1.99−1.87(m,1H)、1.73−1.58(m,4H)、0.95(d,J=6.4、3H)
1D. (3R,4R)−3−メチルピペリジン−4−オール:メタノール(7.85L)および1C(0.785Kg)を10Lのオートクレーブに入れ、その溶液を15分間攪拌した。この溶液に、78.5gの10%水酸化パラジウムおよび43mLの酢酸を添加した。その環境を窒素で15分間パージし、水素ガス圧力(4kg)を該オートクレーブに加えた。反応混合物を水素下で15時間攪拌し、その溶液をセライト(登録商標)パッドを通して濾過し、それをその後でメタノールで洗浄した。濾液を合わせ、蒸発させて0.545KgのIDを無色の半固体として得た。1H NMR(400MHz、DMSO−d6) δ 4.80(brs,2H)、3.00−2.82(m,3H)、2.51−2.44(m,1H)、2.12(t,J=11.2Hz,1H)、1.76−1.70(m,2H)、1.35−1.30(m,2H)、0.97(d,J=6.5Hz,3H)
1E. 4−ブロモ−2−メトキシピリジン:4−ブロモ−2−フルオロピリジン(2.64mL、25.6ミリモル)およびNaOMe(8.29g、153ミリモル)のMeOH(36.5mL)中での不均一な反応混合物を圧力管にて155℃で5時間反応させた。反応混合物を室温に冷却し、固体を濾過し、EtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、白色の固体がいくらか混ざった淡黄色の油状物とした。その油性残渣をデカントし、水で希釈し、溶液をEtOAc(2x)で抽出した。有機層を合わせ、水および塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させて、濾過して濃縮し、1E(4.43g、21.20ミリモル、収率83%)を黄色の油状物として得た。LC−MS分析:C6H6BrNOについての計算値:188.02、測定値[M+H]:187.9、189.9;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.98(d,J=5.5Hz,1H)、7.02(dd,J=5.5、1.5Hz,1H)、6.94(d,J=1.8Hz,1H)、3.92(s,3H)
1F. 4−ブロモ−5−クロロ−2−メトキシピリジン:1E(2.00g、10.6ミリモル)のDMF(21mL)中溶液に、NCS(2.98g、22.3ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜攪拌した。反応混合物を水でクエンチさせ、EtOAcで希釈し、層を分離した。水層をEtOAcで抽出し、有機抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥かつ濃縮させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、1F(2.15g、9.18ミリモル、収率86%)を白色の固体として得た。LC−MS分析:C6H5BrClNOについての計算値:220.92、測定値[M+H]:223.8;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.15(s,1H)、7.05(s,1H)、3.91(s,3H)
1G. (3,4−トランス)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−オール:1D(0.28Kg)および1F(0.44Kg)のDMSO(3.4L)中溶液に、K2CO3(0.95Kg)を添加し、該混合物を115−120℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水(6.8L)および酢酸エチル(2.25L)を攪拌しながら15分間にわたって添加した。層を分離し、その水層を2.25Lの酢酸エチルで再び抽出した。有機層を合わせ、1.5N 水性HCl(1.8L)で洗浄した。水層を酢酸エチルで再び抽出し、水層を合わせ、10%炭酸水素ナトリウムでpHを8に調整し、その混合物を酢酸エチル(2.25L)で抽出した。層を分離し、その水層を酢酸エチルで再び抽出した。有機層を合わせ、連続して、塩水で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて0.4Kgの1Gを暗褐色の半固体として得た。1H NMR(400MHz、DMSO−d6) δ 7.99(s,1H)、6.35(s,1H)、4.70(d,J=5.2Hz,1H)、3.80(s,3H)、3.47−3.37(m,2H)、2.77−2.71(m,1H)、2.49−2.39(m,1H)、1.90−1.86(m,1H)、1.59−1.56(m,2H)、1.49(d,J=5.5Hz,1H)、0.95(d,J=7.0Hz,3H)
1H. 2−クロロ−5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン:(3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−オール(630mg、2.454ミリモル)の0℃に冷却したDMF(7mL)中溶液に、NaH(鉱油中60%)(147mg、3.68ミリモル)を一度に添加した。得られた懸濁液を室温で20分間攪拌し、ついで0℃で冷却した。2,5−ジクロロピラジン(804mg、5.40ミリモル)を添加し、得られた褐色がかった混合物を室温で4時間攪拌した。LC−MSは所望の生成物が主たる生成物として形成されることを示した。反応混合物を0℃で冷却し、水を滴下して加えることでクエンチさせた。混合物をEtOAcと水の間で分配した。水相を分離し、EtOAc(2x)で抽出した。EtOAc抽出液を合わせ、水(2x)、塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)させて濃縮し、明褐色の油状物を得た。その粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−10%、15分;10−20%、10分;20%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させて1H(825mg、2.234ミリモル、収率91%)を白色の固体として得た。LC−MS分析:C16H18Cl2N4O2についての計算値:368.081、測定値[M+H]:369.1および371.1;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.10−7.97(m,3H)、6.28(s,1H)、4.82(td,J=9.2、4.4Hz,1H)、3.92(s,3H)、3.62−3.52(m,2H)、3.01−2.87(m,1H)、2.67(dd,J=12.3、9.7Hz,1H)、2.35−2.11(m,2H)、1.91−1.75(m,1H)、1.09−0.98(d,J=6.6Hz,3H)
1I. 2−((2S,3S,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル:1H(36.5mg、0.099ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、1B(18.29mg、0.119ミリモル)のジオキサン(0.6mL)中溶液を添加し、つづいて酢酸パラジウム(II)(2.219mg、9.89マイクロモル)、ナトリウムtert−ブトキシド(23.75mg、0.247ミリモル)および1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(94mg、0.198ミリモル)を加えた。バイアルを密封し、100℃で1時間マイクロ波照射下で加熱した。LC−MSは所望の生成物の形成を示した。室温に冷却した後、反応混合物を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させて濃縮し、暗色の油状残渣を得、それをEtOAc/ヘキサン(0−30%、20分;30%、10分;30−50%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させて所望の生成物1I(40mg、0.078ミリモル、収率79%)を褐色がかった油状物として得た。LC−MS分析:C24H31ClN6O3についての計算値:486.215、測定値[M+H]:487.3;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.00(s,1H)、7.85(s,1H)、7.40(s,1H)、6.30(s,1H)、4.66(td,J=9.0、4.0Hz,1H)、4.07−3.97(m,1H)、3.92(s,3H)、3.76−3.46(m,4H)、3.43(s,3H)、3.10−2.75(m,3H)、2.71−2.55(m,2H)、2.34−2.12(m,2H)、1.93−1.63(m,2H)、1.15−0.98(m,6H)
実施例1:1I(39mg、0.080ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、エタノール(0.5mL)およびKOHの6M水溶液(0.28mL)を添加した。該反応バイアルを密封し、120℃で4.5時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。室温に冷却した後、該反応物を濃縮し、大半のEtOHを除去した。残りの水相を1N 水性HClでpH6の酸性にした。得られた懸濁液を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、濃縮乾固させて粗生成物を得、それをプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア(Luna Axia) 5μ 30x100、10分間にわたって60−90%の勾配、90%で5分間保持)に付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮して揮発性物質を除去した。残りの水相を飽和水性NaHCO3でpH6の酸性にし、次にDCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させて濃縮し、ガラス状の残渣を得、それをCH3CN/水にて凍結乾燥させ、所望の生成物の実施例1(16.8mg、0.032ミリモル、収率40.0%)を白色の凍結乾燥体として得た。LC−MS分析:C24H32ClN5O5についての計算値:505.21、測定値[M+H]:506.5;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.01(d,J=0.9Hz,1H)、7.83(d,J=1.3Hz,1H)、7.48(br.s,1H)、6.30(s,1H)、4.71−4.58(m,1H)、4.08−3.98(m,1H)、3.93(s,3H)、3.72(br.s,1H)、3.64−3.52(m,4H)、3.41(s,3H)、3.05−2.89(m,2H)、2.87−2.77(m,1H)、2.73−2.62(m,1H)、2.56−2.43(m,1H)、2.32−2.15(m,3H)、1.83(m,1H)、1.08(m,6H);hGPR40 EC50=72nM;hGPR40 IP1 EC50=14nM
実施例2
2−((2S,3S,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)酢酸
2A. (R)−1−ベンジル 2−メチル 4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−4,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1,2−ジカルボキシラート:(2S,4R)−メチル 4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラート・HCl(10.0g、55.3ミリモル)の室温でのCH2Cl2(76mL)中溶液に、イミダゾール(8.66g、127ミリモル)およびTBS−Cl(9.17g、60.8ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で一夜攪拌した。反応混合物を10%水性Na2CO3(75mL)で洗浄した。層を分離し、その水層をCH2Cl2(75mL)で抽出した。有機層を合わせ、濃縮して少容量とし、次にトルエンを添加し、フラクションを濃縮して約75mLにした。トルエン相を水で洗浄し、それを次の工程にそのまま使用した。(2S,4R)−メチル 4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)ピロリジン−2−カルボキシラートの0℃に冷却したトルエン中溶液に、水(25mL)を、つづいてNaDCC(6.69g、30.4ミリモル)を添加した。30分後、該反応混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、トルエン(30mL)で洗浄し、相を分離した。有機相を水で洗浄し、0℃に冷却し、NEt3(9.3mL、66ミリモル)を添加した。反応混合物を0℃で1時間、次に室温で一夜攪拌した。その有機溶液を水(2x)で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。その粗物質を次の工程にさらに精製することなくそのまま用いた。(R)−メチル 3−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−3,4−ジヒドロ−2H−ピロール−5−カルボキシラートの−10℃でのCH2Cl2(101mL)中溶液に、2,6−ルチジン(11.8mL、101ミリモル)を添加し、つづいてクロロギ酸ベンジル(7.9mL、56ミリモル)を滴下して加え、反応混合物を加温して室温にし、一夜攪拌した。エチレンジアミン(0.50mL、7.4ミリモル)を該反応混合物に添加し、それを室温で15分間攪拌し、次に1N水性クエン酸(60mL)および1N水性HCl(50mL)で洗浄した。有機層を水、1.5N水性KH2PO4、および塩水で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)させ、濾過して濃縮した。粗生成物をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、2A(16.3g、41.6ミリモル、収率82%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C20H29NO5Siについての計算値:391.55、測定値[M+H]:392.0;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ 7.40−7.29(m,5H)、5.69−5.62(m,1H)、5.20−5.11(m,2H)、4.94(dt,J=7.7、3.2Hz,1H)、3.98(dd,J=12.4、8.0Hz,1H)、3.79(dd,J=12.2、3.4Hz,1H)、3.71−3.62(m,3H)、0.88(s,9H)、0.07(d,J=3.3Hz,6H)
2B. (2R,3S,4R)−1−ベンジル 2−メチル 4−((tert−ブチルジメチルシリル)オキシ)−3−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシラート:CuBr・SMe2(4.78g、23.2ミリモル)を無水Et2O(51mL)に懸濁させ、−40℃に冷却した。MeLiのEt2O中1.6M溶液(29.1mL、46.5ミリモル)を滴下漏斗を通して滴下して加えた。該溶液を1時間攪拌し、次に2A(7.00g、17.9ミリモル)のEt2O(20.4mL)中溶液を滴下漏斗を通して滴下して加えた。反応混合物を−45℃で45分間攪拌し、次にカニューレを通して飽和水性NH4Clの激しく攪拌した溶液に移し、30分間攪拌させた。有機層を分離し、飽和水性NH4Clで洗浄した。水層を合わせ、ヘキサンで抽出した。有機層を合わせ、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。その粗材料をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、2B(5.11g、12.5ミリモル、収率70%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C21H33NO5Siについての計算値:407.58、測定値[M+H]:408.2;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ(2つの回転異性体) 7.40−7.27(m,5H)、5.21−5.00(m,2H)、4.01−3.90(m,1H)、3.87−3.80(m,1.6H)、3.77−3.71(sおよびm,1.8H)、3.57(s,1.6H)、3.36−3.28(m,1H)、2.33−2.25(m,1H)、1.11(dd,J=7.2、2.2Hz,3H)、0.86(s,9H)、0.08−0.01(m,6H)
2C. (2R,3S,4R)−1−ベンジル 2−メチル 4−ヒドロキシ−3−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシラート:2B(5.10g、12.5ミリモル)のTHF(42mL)中溶液に、TBAFのTHF中1M溶液(19mL、19ミリモル)を添加し、その反応混合物を室温で1時間攪拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水および塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。その粗材料をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、2C(3.61g、12.3ミリモル、収率98%)を無色の油状物として得、それを放置して白色の固体に結晶化させた。LC−MS分析:C15H19NO5についての計算値:293.32、測定値[M+H]:294.0;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.41−7.27(m,5H)、5.25−4.97(m,2H)、4.09−3.96(m,1H)、3.95−3.87(m,1H)、3.86−3.70(m,3H)、3.69−3.57(m,2H)、3.10−2.83(m,1H)、2.37(td,J=6.9、2.9Hz,1H)、1.12(d,J=7.3Hz,3H)
2D. (2R,3S,4R)−1−ベンジル 2−メチル 4−(アリルオキシ)−3−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシラート:2C(0.405g、1.38ミリモル)の0℃でのDMF(6.9mL)中溶液に、60%NaH(0.083g、2.1ミリモル)を添加した。反応混合物を30分間攪拌させ、次に臭化アリル(0.18mL、2.1ミリモル)を添加した。反応混合物を加温して室温にし、1時間攪拌した。反応混合物を水でクエンチさせ、EtOAcで希釈した。層を分離し、有機層を水(4x)で洗浄した。有機層を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、2D(0.446g、1.34ミリモル、収率97%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C18H23NO5についての計算値:333.38、測定値[M+H]:334.0;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ(2つの回転異性体) 7.41−7.27(m,5H)、5.90−5.77(m,1H)、5.29−4.99(m,4H)、4.09−3.90(m,3H)、3.86および3.80(2dd,J=11.3、5.6Hz,1H)、3.73および3.57(2s,3H)、3.67−3.61(m,1H)、3.46(ddd,J=11.0、6.1、4.7Hz,1H)、2.59−2.44(m,1H)、1.14(dd,J=7.2、1.1Hz,3H)
2E. (2R,3S,4R)−1−ベンジル 2−メチル 4−(3−ヒドロキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシラート:2D(2.74g、8.20ミリモル)の0℃でのTHF(4.1mL)中溶液に、BH3・THFのTHF中1M溶液(2.8mL、2.8ミリモル)を添加した。15分後、反応混合物を室温で2.2時間攪拌した。さらなるBH3・THF(THF中1M)(0.2mL、0.2ミリモル)を添加し、反応混合物をさらに15分間攪拌した。水(4.1mL)および過ホウ酸ナトリウム・4H2O(1.29g、8.37ミリモル)を添加した。2時間攪拌した後、該反応混合物をEtOAcで希釈し、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、2E(2.17g、6.18ミリモル、収率75%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C18H25NO6についての計算値:351.39、測定値[M+H]:352.0;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ(2つの回転異性体) 7.43−7.27(m,5H)、5.26−5.00(m,2H)、4.18−3.98(m,1H)、3.84−3.76(m,1H)、3.75および3.61(2s,3H)、3.73−3.66(m,2H)、3.61−3.50(m,4H)、2.62−2.50(m,1H)、2.04−2.00(m,1H)、1.77(quind,J=5.7、2.9Hz,2H)、1.12(d,J=7.2Hz,3H)
2F. (2R,3S,4R)−1−ベンジル 2−メチル 4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−1,2−ジカルボキシラート:2E(2.17g、6.18ミリモル)のMeCN(7.7mL)中溶液に、Ag2O(3.58g、15.4ミリモル)およびMeI(3.9mL、62ミリモル)を添加した。反応混合物を50℃で18時間攪拌した。混合物を濾過して濃縮した。粗生成物をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、2F(2.71g、7.42ミリモル、収率81%)を得た。LC−MS分析:C19H27NO6についての計算値:365.42、測定値[M+H]:367.0;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ 7.41−7.27(m,5H)、5.24−4.99(m,2H)、4.08−3.94(m,1H)、3.89−3.76(m,1H)、3.73、3.58(2s,3H)、3.57−3.53(m,1H)、3.51−3.42(m,3H)、3.40(t,J=6.2Hz,2H)、3.32、3.3(2s,3H)、2.49(dtd,J=6.9、4.7、2.2Hz,1H)、1.76(quind,J=6.3、2.1Hz,2H)、1.13(dd,J=7.2、3.0Hz,3H)
2G. (2R,3S,4R)−ベンジル 2−(ヒドロキシメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−1−カルボキシラート:2F(4.13g、11.3ミリモル)の0℃でのTHF(57mL)中溶液に、LiBH4のTHF中2M溶液(11.3mL、22.6ミリモル)を添加した。反応混合物を加温して室温にし、17時間攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、飽和水性NH4Clで注意してクエンチし、EtOAc/水で希釈した。層を分離し、有機層を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。粗生成物をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、2G(3.25g、9.15ミリモル、81%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C18H27NO5についての計算値:337.41、測定値[M+H]:338.0;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ 7.40−7.28(m,5H)、5.14(s,2H)、4.41−4.31(m,1H)、3.85−3.70(m,3H)、3.69−3.61(m,1H)、3.57−3.47(m,3H)、3.46−3.39(m,2H)、3.34−3.26(m,3H)、2.06−1.94(m,1H)、1.81(quin,J=6.4Hz,2H)、1.09(dd,J=9.9、7.2Hz,3H)
2H. ((2R,3S,4R)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)メタノール:2G(3.25g、9.63ミリモル)およびPd/C(0.820g、0.771ミリモル)のMeOH(193mL)中混合物をアルゴン(3x)で、次にH2(3x)でパージした。反応混合物をH2(1気圧)下の室温で3.5時間攪拌した。混合物をセライト(登録商標)を通して濾過し、濃縮して2H(2.03g、9.99ミリモル、収率100%)を得た。LC−MS分析:C10H21NO3についての計算値:203.28、測定値[M+H]:204.1;1H NMR(500MHz、CDCl3) δ 3.63(dd,J=11.1、3.4Hz,1H)、3.55−3.49(m,2H)、3.47(t,J=6.3Hz,2H)、3.43(td,J=6.3、2.1Hz,2H)、3.31(s,3H)、3.06−3.00(m,1H)、2.98−2.90(m,1H)、2.85−2.76(m,1H)、1.85(dt,J=6.9、3.4Hz,1H)、1.83−1.75(m,2H)、1.05(d,J=7.2Hz,3H)
2I.(2R,3S,4R)−ベンジル 2−(ヒドロキシメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−1−カルボキシラート:2H(0.950g、4.67ミリモル)および炭酸水素ナトリウム(0.491g、5.84ミリモル)のDCM(10mL)および水(10mL)の室温での混合溶媒中の攪拌懸濁液に、クロロ炭酸ベンジル(0.843mL、5.61ミリモル)を5分間にわたって滴下して加えた。添加後、混合物を室温で1時間激しく攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。約0.2mLのクロロギ酸ベンジルを添加した。さらに1時間攪拌した後、反応物を水でクエンチさせた。混合物をEtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、水、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。粗生成物をヘキサン/EtOAc(0%−50%、20分;50%、10分;50−100%、15分;100%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、真空下で乾燥させて2I(0.954g、2.80ミリモル、収率60%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C18H27NO5についての計算値:337.19、測定値[M+H]:338.1;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.43−7.32(m,5H)、5.20−5.14(m,2H)、4.43(dd,J=7.9、3.1Hz,1H)、3.86−3.76(m,2H)、3.71−3.64(m,1H)、3.59−3.50(m,3H)、3.48−3.42(m,2H)、3.34(s,2H)、2.06−1.96(m,1H)、1.83(quin,J=6.1Hz,2H)、1.14−1.07(m,3H)、1.16−1.07(m,3H)
2J. (2S,3S,4R)−ベンジル 2−(シアノメチル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−1−カルボキシラート:2I(0.954g、2.83ミリモル)の0℃に冷却したDCM(12mL)中攪拌溶液に、Et3N(0.788mL、5.65ミリモル)を添加し、つづいて塩化メタンスルホニル(0.330mL、4.24ミリモル)を5分間にわたって滴下して加えた。添加後、得られた混濁した溶液を0℃で1時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水(2x)、飽和水性NaHCO3、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。得られた残渣を高真空下で乾燥させ、(2R,3S,4R)−ベンジル 4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチル−2−(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシラートを油性残渣として得、それを以下に記載の反応にそのまま使用した。
得られたメシラートを無水DMSO(9mL)に溶かした。NaCN(555mg、11.32ミリモル)を該溶液に添加した。得られた懸濁液を50℃で16時間攪拌した。LC−MSは反応が完了したことを示した。室温に冷却した後、反応物を水でクエンチし、EtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、水(2x)、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−60%、15分;60%、10分;60−100%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、2J(830mg、2.372ミリモル、収率84%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C19H26N2O4についての計算値:346.189、測定値[M+H]:347.1;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.49−7.32(m,5H)、5.30−5.06(m,2H)、3.85−3.41(m,8H)、3.35(s,3H)、3.04−2.71(m,2H)、2.53−2.34(m,1H)、1.84(quin,J=6.2Hz,2H)、1.19−0.96(m,3H)
2K. 2−((2S,3S,4R)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル:2J(430mg、1.24ミリモル)のEtOAc(25mL)中溶液に、Pd/C(210mg、0.099ミリモル)(5%乾燥ベース、デグサ型)を添加した。水素(3x)でパージした後、該懸濁液を水素バルーン下の室温で16時間激しく攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。混合物を濾過し、触媒をEtOAcで洗浄した。濾液を合わせ、濃縮乾固させた。得られた残渣を高真空下で30分間乾燥させ、2K(251mg、1.12ミリモル、収率90%)を淡黄色の油状物として得た。LC−MS分析:C11H20N2O2についての計算値:212.152、測定値[M+H]:213.4;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 3.48(m,1H)、3.43−3.34(m,4H)、3.29−3.22(m,4H)、3.09−3.01(m,1H)、2.99−2.85(m,2H)、2.58−2.37(m,2H)、1.88−1.69(m,3H)、1.05−1.01(m,3H)
2L. 2−((2S,3S,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル:1C(55.4mg、0.15ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、2K(35.0mg、0.165ミリモル)のジオキサン(0.8mL)を添加し、つづいて1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(142mg、0.300ミリモル)、酢酸パラジウム(II)アセタート(3.37mg、0.015ミリモル)およびナトリウムtert−ブトキシド(36.0mg、0.375ミリモル)を加えた。反応混合物にアルゴン流を1分間通気し、次に該バイアルを密封し、100℃で1時間マイクロ波照射の下で加熱した。LC−MSは所望の生成物の形成を示した。室温に冷却した後、反応混合物を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。DCM抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させて暗色の油性残渣を得、それをEtOAc/ヘキサン(0−30%、20分;30%、10分;30−50%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させて2L(81mg、0.13ミリモル、収率84%)を褐色の油状物として得た。LC−MS分析:C27H37ClN6O4についての計算値:544.256、測定値[M+H]:545.3;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.00(s,1H)、7.84(s,1H)、7.39(s,1H)、6.30(s,1H)、4.66(td,J=8.9、4.0Hz,1H)、4.01(d,J=8.1Hz,1H)、3.92(s,3H)、3.81(br.s,1H)、3.69−3.41(m,8H)、3.36(s,3H)、3.09−2.78(m,3H)、2.73−2.52(m,2H)、2.33−2.10(m,2H)、1.92−1.74(m,3H)、1.09(m,6H)
実施例2:2L(80mg、0.125ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、EtOH(0.8mL)およびKOHの6M水溶液(0.49mL)を添加した。反応バイアルを密封し、125℃で5時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。室温に冷却した後、反応混合物を濃縮し、揮発性物質を除去した。残りの水相を1N水性HClでpHを6に調整した。得られた白色の懸濁液を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。得られた粗生成物をプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100、12分間にわたって60−100%の勾配、100%で3分間保持)に付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮して揮発性物質を除去した。残りの水性懸濁液を飽和水性NaHCO3でpHを6に調整し、ついでDCM(3x)で抽出した。そのDCM抽出液を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させ、ガラス状の残渣を得、それをCH3CN/水に凍結乾燥させ、実施例2(15.8mg、0.027ミリモル、収率22%)を灰白色の凍結乾燥体として得た。LC−MS分析:C27H38ClN5O6についての計算値:563.251、測定値[M+H]:564.2;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.01(s,1H)、7.83(s,1H)、7.47(s,1H)、6.30(s,1H)、4.65(td,J=9.0、4.1Hz,1H)、4.07−3.97(m,1H)、3.93(s,3H)、3.80(d,J=2.2Hz,1H)、3.67−3.43(m,8H)、3.41−3.31(m,3H)、3.06−2.78(m,3H)、2.68(t,J=10.9Hz,1H)、2.48(d,J=7.3Hz,1H)、2.33−2.08(m,2H)、1.98−1.74(m,4H)、1.08(m,6H);hGPR40 EC50=43nM;hGPR40 IP1 EC50=4nM
実施例3
2−((2S,3S,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−2−イル)酢酸
3A. (3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル ベンゾアート:(3R,4S)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−オール(300mg、1.18ミリモル)(PCT/US2013/070213、2013年11月15日出願)、安息香酸(174mg、1.42ミリモル)およびPh3P(373mg、1.42ミリモル)の室温でのTHF(6mL)中攪拌溶液に、ADDP(0.28mL、1.4ミリモル)を5分間にわたって滴下してゆっくりと加えた。添加後、得られた黄色がかった溶液を室温で1時間攪拌した。反応混合物を濃縮乾固させた。残渣をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、3A(198mg、0.554ミリモル、収率47%)を白色の泡沫体として得た。LC−MS分析:C21H24FNO3についての計算値:357.42、測定値[M+H]:358.2
3B. (3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−オール:3A(200mg、0.560ミリモル)のTHF(2mL)、MeOH(0.5mL)および水(1.5mL)の混合液中溶液に、LiOH(134mg、5.60ミリモル)を一度に添加した。得られた黄色溶液をアルゴン下の室温で16時間攪拌した。反応物をいくらか濃縮してTHF/MeOHを除去し、次に氷浴にて冷却した。1M水性HClを添加してそのpHを約3−4に調整した。生成物をCH2Cl2(3x)で抽出した。有機抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。得られた残渣をシリカクロマトグラフィーに付して精製し、3B(120mg、0.474ミリモル、収率85%)を白色の泡沫体として得た。LC−MS分析:C14H20FNO2についての計算値:253.31、測定値[M+H]:254.1
3C. 2−クロロ−5−(((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン:3B(440mg、1.737ミリモル)の0℃に冷却したDMF(7mL)中攪拌溶液に、NaH(鉱油中60%)(104mg、2.61ミリモル)を添加した。得られた懸濁液を室温で30分間攪拌し、次に0℃で冷却した。この不均一な混合物に、2,5−ジクロロピラジン(518mg、3.47ミリモル)(Combi-Blockより由来の試薬はHPLCおよびLC−MSによれば純度が約65%であった)を添加した。得られた褐色がかった混合物を室温で2時間攪拌した。LCMSは反応が完了していないことを示した。反応物を0℃で冷却し、60mgのNaH(鉱油中60%)を添加した。室温で15分間攪拌した後、150mgの2,5−ジクロロピラジンを添加した。反応混合物を室温でさらに2.5時間攪拌した。0℃に冷却した後、反応混合物は水を滴下して加えることでクエンチされた。得られた混合物をEtOAcと水の間で分配した。分離した水相をEtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、水(2x)、塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)かつ濃縮させて明褐色の固体を得た。粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−10%、20分;10%、10分;10−20%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させ、3C(225mg、0.609ミリモル、収率35.1%)を白色の固体として得た。LC−MS分析:C18H21ClFN3O2についての計算値:365.131、測定値[M+H]:366.0;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 8.10(d,J=1.3Hz,1H)、8.04(d,J=1.3Hz,1H)、6.95(dd,J=12.1、8.8Hz,1H)、6.54(dd,J=7.4、3.0Hz,1H)、6.43(dt,J=8.9、3.2Hz,1H)、4.79(td,J=9.6、4.4Hz,1H)、4.01(q,J=7.0Hz,2H)、3.54−3.37(m,2H)、2.97−2.81(m,1H)、2.60(dd,J=12.1、10.1Hz,1H)、2.35−2.12(m,2H)、1.88(br.s,1H)、1.43(t,J=7.0Hz,3H)、1.05(d,J=6.6Hz,3H)
3D. 2−((2S,3S,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシ−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル:3C(40mg、0.109ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、1B(16.86mg、0.109ミリモル)/ジオキサン(0.7mL)を添加し、つづいて酢酸パラジウム(II)(2.455mg、10.93マイクロモル)、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(104mg、0.219ミリモル)およびナトリウムtert−ブトキシド(26.3mg、0.273ミリモル)を加えた。反応バイアルを密封し、100℃にて1時間マイクロ波照射の下で加熱した。LC−MSは所望の生成物の形成を示した。反応混合物を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させ、暗色の油性残渣を得た。粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−30%、20分;30%、10分;30−50%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、3D(21mg、0.043ミリモル、収率39.7%)を白色の泡沫体として得た。LC−MS分析:C26H34FN5O3についての計算値:483.26、測定値[M+H]:484.4;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.85(s,1H)、7.40(d,J=1.3Hz,1H)、6.94(dd,J=12.2、8.9Hz,1H)、6.55(dd,J=7.4、3.0Hz,1H)、6.42(dt,J=8.8、3.1Hz,1H)、4.61(m,1H)、4.06−3.93(m,3H)、3.73(dt,J=4.0、2.2Hz,1H)、3.63−3.53(m,2H)、3.47−3.43(m,2H)、3.43(s,3H)、3.05(dd,J=16.4、3.9Hz,1H)、2.95−2.77(m,2H)、2.69−2.54(m,1H)、2.30−2.08(m,2H)、1.91−1.58(m,2H)、1.44−1.39(m,3H)、1.16−1.02(m,6H)
実施例3:3D(20mg、0.041ミリモル)のEtOH(0.4mL)中溶液に、KOHの6M水溶液(0.138mL、0.827ミリモル)を添加した。反応物を密封したバイアル中にて125℃で2.5時間攪拌した。LC−MSは所望の生成物の形成を示した。室温に冷却した後、反応物を濃縮し、揮発性物質を除去した。残りの水相を1N水性HClでpHを5−6に調整した。得られた懸濁液をDCM(3x)で抽出した。DCM抽出液を合わせ、濃縮乾固させた。得られた残渣をプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100(12分間で50−100%B、100%Bを3分間保持)に付して精製した。所望のフラクションを濃縮して揮発性物質を除去した。残りの水相を飽和水性NaHCO3でpHを5−6に調整し、次にDCM(3x)で抽出した。DCM抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。残渣をCH3CN/H2O中に凍結乾燥させた、実施例3(8.0mg、0.016ミリモル、収率38%)を灰白色の粉末として得た。LC−MS分析:C26H35FN4O5についての計算値:502.259、測定値[M+H]:503.2;1H NMR(400MHz、CD3OD) δ 7.79(d,J=1.5Hz,1H)、7.46(d,J=1.3Hz,1H)、6.97−6.83(m,1H)、6.59−6.51(m,1H)、6.49−6.42(m,1H)、4.63−4.50(m,1H)、4.08−3.88(m,4H)、3.75−3.66(m,1H)、3.56(s,1H)、3.40−3.45(m,2H)、3.38(s,3H)、2.98−2.75(m,2H)、2.68−2.51(m,3H)、2.48−2.39(m,1H)、2.31−2.01(m,2H)、1.82−1.69(m,1H)、1.36(t,J=6.9Hz,3H)、1.04(dd,J=9.1、7.2Hz,6H);hGPR40 EC50=42nM;hGPR40 IP1 EC50=21nM
実施例4
2−((2S,3S,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)酢酸
4A. 2−((2S,3S,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル:2C(54.3mg、0.256ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、3A(85mg、0.232ミリモル)、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(220mg、0.465ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(5.22mg、0.023ミリモル)およびナトリウムtert−ブトキシド(55.8mg、0.581ミリモル)を、つづいてジオキサン(1.3mL)を添加した。反応混合物にアルゴン流を1分間通気し、ついで該バイアルを密封し、マイクロ波照射の下にて100℃で1時間加熱した。LC−MSは所望の生成物の形成を示した。室温に冷却した後、該反応混合物を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させ、暗色の油性残渣を得た。その粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−30%、20分;30%、10分;30−50%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させて2−((2S,3S,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)アセトニトリル(58.5mg、0.092ミリモル、収率39.5%)を褐色がかった油状物として得た。LC−MS分析:C29H40FN5O4についての計算値:541.306、測定値[M+H]:542.2;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.78−7.73(s,1H)、7.30(d,J=1.3Hz,1H)、6.84(dd,J=12.1、8.8Hz,1H)、6.45(dd,J=7.5、2.9Hz,1H)、6.32(dt,J=8.8、3.1Hz,1H)、4.51(td,J=9.5、4.2Hz,1H)、3.97−3.80(m,3H)、3.75−3.65(m,1H)、3.58−3.32(m,6H)、3.27(s,3H)、3.00−2.87(m,1H)、2.84−2.68(m,2H)、2.54−2.40(m,2H)、2.22−2.01(m,2H)、1.86−1.63(m,3H)、1.41−1.28(m,3H)、1.25−1.14(m,2H)、1.08−0.84(m,6H)
実施例4:4A(58mg、0.107ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、EtOH(0.6mL)およびKOHの6M水溶液(0.357mL、2.142ミリモル)を添加した。反応物を密封し、120℃で3時間攪拌した。LC−MSは所望の生成物が形成されていることを示した、室温に冷却した後、反応物を濃縮し、揮発性物質を除去した。残りの水相を1N水性HClでpHを5−6に調整した。得られた懸濁液を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。粗生成物をプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100、12分間にわたって70−100%の勾配、100%で3分間保持)に付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮して揮発性物質を除去した。残りの水相を飽和水性NaHCO3でpHを6に調整し、次にDCM(3x)で抽出した。DCM抽出液を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させてガラス状残渣を得、それをCH3CN/水に凍結乾燥させ、暗色の凍結乾燥体(30.5mg)を得た。HPLCおよびLC−MSは生成物が主たるジアステレオマー(88%)と従たるジアステレオマー(12%)のジアステレオマーの混合物であることを示した。
そのジアステレオマー混合物をプレパラトリーHPLC(カラム:ラックス・セルロース(Lux Cellullose)−4、21x250mm、5μ;移動相:20%IPA/0.1%ギ酸/80%CO2)に付してさらに精製した。フロント・ラニングのピーク(主たるジアステレオマー)のフラクションを濃縮乾固させた。残渣をDCMと水の間に分配し、NaHCO3飽和水溶液でpHを6に調整した。DCM抽出液を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。得られた残渣をCH3CN/水にて凍結乾燥させ、所望の生成物である2−((2S,3S,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)酢酸(19.97mg)を得た。LC−MS分析:C29H41FN4O6についての計算値:560.301、測定値[M+H]:561.4;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.74(d,J=1.3Hz,1H)、7.38(d,J=1.1Hz,1H)、6.84(dd,J=12.1、8.8Hz,1H)、6.45(dd,J=7.4、3.0Hz,1H)、6.32(dt,J=8.8、3.2Hz,1H)、4.60−4.42(m,1H)、3.91(q,J=6.9Hz,3H)、3.74−3.65(m,1H)、3.59−3.32(m,8H)、3.26(s,3H)、2.91(dd,J=16.3、3.5Hz,1H)、2.85−2.69(m,2H)、2.50(dd,J=12.0、10.2Hz,1H)、2.38(d,J=7.3Hz,1H)、2.22−1.99(m,2H)、1.87−1.64(m,4H)、1.33(t,J=6.9Hz,3H)、1.02−0.90(m,6H);hGPR40 EC50=45nM
実施例5
2−(1−(5−(((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)酢酸
実施例4で得られたジアステレオマーの混合物をプレパラトリーHPLC(カラム:ラックス・セルロース−4、21x250mm、5μ;移動相:20%IPA/0.1%ギ酸/80%CO2)に付してさらに精製した。ラター・ラニングのピーク(従たるジアステレオマー)のフラクションを濃縮乾固させた。残渣をDCMと水の間に分配し、NaHCO3飽和水溶液でpH6に調整した。DCM抽出液を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。得られた残渣をCH3CN/水にて凍結乾燥させ、2−(1−(5−(((3R,4R)−1−(5−エトキシ−2−フルオロフェニル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピロリジン−2−イル)酢酸(2.25mg)を灰白色の凍結乾燥体として得た。LC−MS分析:C29H41FN4O6についての計算値:560.301、測定値[M+H]:561.4;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.69(s,1H)、7.70(s,1H)、7.43(s,1H)、6.84(dd,J=12.1、8.8Hz,1H)、6.45(dd,J=7.4、3.0Hz,1H)、6.32(dt,J=8.8、3.1Hz,1H)、4.51(d,J=4.4Hz,1H)、4.29(d,J=3.5Hz,1H)、3.91(q,J=6.9Hz,2H)、3.76−3.68(m,2H)、3.52(td,J=6.3、1.2Hz,2H)、3.44−3.31(m,4H)、3.25(s,3H)、3.12(d,J=4.4Hz,1H)、2.78(d,J=2.4Hz,1H)、2.69−2.33(m,4H)、2.22−2.04(m,2H)、1.77(quin,J=6.3Hz,2H)、1.50(br.s,1H)、1.33(t,J=6.9Hz,3H)、1.07(d,J=7.0Hz,3H)、0.97(d,J=6.6Hz,3H);hGPR40 EC50=837nM
実施例6
2−((2R,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシピロリジン−2−イル)酢酸
6A.(2R,4R)−tert−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシピロリジン−1−カルボキシラート:((2R,4R)−4−メトキシピロリジン−2−イル)メタノール・塩酸塩(PCT/US2013/070213(2013年11月15日付出願))(1g、5.97ミリモル)、炭酸ジ−tert−ブチル(1.953g、8.95ミリモル)および炭酸水素ナトリウム(1.503g、17.90ミリモル)のTHF(15mL)および水(15mL)中懸濁液を室温で16時間激しく攪拌した。反応混合物をEtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)かつ濃縮させた。その粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0ないし50%勾配)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、(2R,4R)−tert−ブチル 2−(ヒドロキシメチル)−4−メトキシピロリジン−1−カルボキシラート(1.3g、5.62ミリモル、収率94%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C11H21NO4についての計算値:231.147、測定値[M+H]:232.0
6B. (2S,4R)−tert−ブチル 2−(シアノメチル)−4−メトキシピロリジン−1−カルボキシラート:6A(1.3g、5.62ミリモル)の0℃に冷却したCH2Cl2(25mL)中溶液に、Et3N(1.567mL、11.24ミリモル)を添加し、つづいて塩化メタンスルホニル(0.653mL、8.43ミリモル)を滴下して加えた。添加後、その反応物を0℃で40分間攪拌した。TLCおよびLC−MSは反応が完了していることを示した。反応物をCH2Cl2で希釈し、1N水性HCl、飽和水性NaHCO3、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。得られた残渣を高真空下で乾燥させて所望の生成物である(2R,4R)−tert−ブチル 4−メトキシ−2−(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(1.65g、5.33ミリモル、収率95%)を得、それを直ちに下記の反応に用いた。
得られたメシラートを無水DMSO(20mL)に溶かした。NaCN(1.045g、21.33ミリモル)を該溶液に添加した。得られた混合物を50℃で16時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。室温に冷却した後、反応物を水でクエンチさせ、EtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、水、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−50%勾配)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させ、所望の生成物である(2S,4R)−tert−ブチル 2−(シアノメチル)−4−メトキシピロリジン−1−カルボキシラート(1g、4.16ミリモル、収率78%)を白色の泡沫体として得た。LC−MS分析:C12H20N2O3についての計算値:240.147、測定値[M+H]:241.0
6C. 2−((2S,4R)−4−メトキシピロリジン−2−イル)アセトニトリル・塩酸塩:6Bのジオキサン(4mL)中溶液に、ジオキサン中4N HCl(4mL、132ミリモル)を添加した。反応混合物を室温で2時間攪拌した。LC−MSおよびTLCは反応が完了していることを示した。反応物を濃縮して所望の生成物を白色の固体として得、それをヘキサンでトリチュレートした。その固体を濾過し、ヘキサンで洗浄し、2−((2S,4R)−4−メトキシピロリジン−2−イル)アセトニトリル・塩酸塩(0.65g、3.68ミリモル、収率88%)を白色の固体として得た。LC−MS分析:C7H12N2Oについての計算値:140.095、測定値[M+H]:141.1
6D. 2−((4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシピロリジン−2−イル)アセトニトリル:1C(53mg、0.144ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、6C(27.9mg、0.158ミリモル)を、つづいて1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(136mg、0.287ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(3.22mg、0.014ミリモル)、ナトリウムtert−ブトキシド(48.3mg、0.502ミリモル)およびジオキサン(1mL)を添加した。その反応混合物にアルゴン流を1分間通気し、次に該バイアルを密封し、マイクロ波照射下にて100℃で1時間加熱した。LC−MSは所望の生成物が形成されていることを示した。反応混合物を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させて濃縮し、暗色の油性残渣を得た。粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−30%、20分;30%、5分;30−50%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、高真空下で乾燥させ、2−((4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシピロリジン−2−イル)アセトニトリル(40mg、0.082ミリモル、収率57.2%)を灰白色の泡沫体として得た。それは約20%の他のジアステレオマーを含有した。LC−MS分析:C23H29ClN6O3についての計算値:472.199、測定値[M+H]:473.1および475.1
実施例6:6D(40mg、0.085ミリモル)含有のマイクロ波バイアルに、EtOH(0.4mL)およびKOHの6M水溶液(0.28mL、1.69ミリモル)を添加した。その反応バイアルを密封し、120℃で2.5時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。室温に冷却した後、反応物を濃縮し、揮発性物質を除去した。残りの水相を1N水性HClでpH6に調整した。得られた懸濁液を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。粗生成物をプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100、12分間にわたって50−90%の勾配とし、90%で3分間保持する)に付して精製した。2つのジアステレオマーを分離するのに十分であった。ラター・ラニングのピークのフラクションをプールして濃縮し、明黄色の溶液を得、それをバイアルに移し、CH3CNを添加して、凍らせ、凍結乾燥させて油性の褐色がかった残渣を得た。HPLCチェックは凍結乾燥の生成物が約85%の純度であることを示した。該生成物をプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100、12分間にわたって50−90%の勾配とし、90%で3分間保持する)に付して再び精製した。所望のフラクションを濃縮し、揮発性物質を除去した。残りの水相を飽和水性NaHCO3でpH6に調整し、次にDCM(3x)で抽出した。DCM抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。残渣をCH3CN/水にて凍結乾燥させ、所望の生成物である2−((2R,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシピロリジン−2−イル)酢酸(3.97mg、7.99マイクロモル、収率9.45%)を灰白色の凍結乾燥体として得た。LC−MS分析:C23H30ClN5O5についての計算値:491.194、測定値[M+H]:492.15;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.91(s,1H)、7.74(d,J=1.5Hz,1H)、7.39(d,J=1.3Hz,1H)、6.21(s,1H)、4.55(td,J=9.1、4.4Hz,1H)、4.37−4.25(m,1H)、4.06(br.s,1H)、3.82(s,3H)、3.58−3.35(m,4H)、3.31(s,3H)、2.97(dd,J=16.1、3.5Hz,1H)、2.88−2.78(m,1H)、2.68(dd,J=16.2、8.3Hz,1H)、2.56(dd,J=12.2、9.8Hz,1H)、2.21−2.02(m,4H)、1.74(d,J=10.6Hz,1H)、1.62−1.38(m,1H)、0.99(d,J=6.6Hz,3H);hGPR40 EC50=150nM;hGPR40 IP1 EC50=44nM
実施例7
2−((2S,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシピロリジン−2−イル)酢酸
実施例6にて生成されたジアステレオマーの混合物をプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100、12分間にわたって50−90%の勾配とし、90%で3分間保持する)に付して精製した。フロント・ラニングのピークのフラクションをプールして濃縮し、黄色の水溶液を得、それをバイアルに移し、CH3CNを添加した。混合物を凍らせ、凍結乾燥させて油性残渣を得た。HPLCはその凍結乾燥のサンプルが約89%の純度のあることを示した。生成物をプレパラトリーHPLC(上記と同じ条件)によって再び精製した。所望のフラクションを濃縮し、揮発性物質を除去した。残りの水相を飽和水性NaHCO3でpH6に調整し、DCM(3x)で抽出した。DCM抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。残渣をCH3CN/水にて凍結乾燥させ、2−((2S,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−メトキシピロリジン−2−イル)酢酸(2.95mg、5.82マイクロモル、収率6.88%)を得た。LC−MS分析:C23H30ClN5O5についての計算値:491.194、測定値[M+H]:492.1;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.91(s,1H)、7.72(d,J=1.1Hz,1H)、7.43(d,J=1.3Hz,1H)、6.21(s,1H)、4.56(td,J=9.2、4.3Hz,1H)、4.31(dd,J=7.0、3.3Hz,1H)、4.10−4.00(m,1H)、3.82(s,3H)、3.66(dd,J=10.3、5.1Hz,1H)、3.48(d,J=12.1Hz,2H)、3.35(dd,J=10.2、3.0Hz,1H)、3.29−3.22(m,3H)、2.96(dd,J=15.7、3.4Hz,1H)、2.87−2.78(m,1H)、2.61−2.40(m,2H)、2.38−2.28(m,1H)、2.24−2.05(m,2H)、2.04−1.95(m,1H)、1.84−1.67(m,1H)、1.60−1.38(m,1H)、0.99(d,J=6.8Hz,3H);hGPR40 EC50=3233nM
実施例8
2−((2S,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)酢酸
8A. (2R,4R)−ベンジル 2−(ヒドロキシメチル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート:((2R,4R)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)メタノール、(1S)−(+)−10−カンファスルホン酸塩(PCT/US2013/070213(2013年11月15日付出願)(500mg、1.246ミリモル)および炭酸水素ナトリウム(220mg、2.62ミリモル)の室温でのCH2Cl2(3mL)および水(3mL)中攪拌懸濁液に、クロロ炭酸ベンジル(0.187mL、1.308ミリモル)を5分間にわたって滴下して加えた。添加した後、該混合物を室温で1.5時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していないことを示した。さらなる量のクロロギ酸ベンジル(0.2mL)を添加し、反応物をさらに30分間攪拌させた。反応物を水を添加することでクエンチさせ、その混合物をEtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、水および塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。粗生成物をヘキサン/EtOAc(0%−50%、20分;50%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮し、真空下で乾燥させ、所望の生成物である(2R,4R)−ベンジル 2−(ヒドロキシメチル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート(370mg、1.208ミリモル、収率97%)を無色の油状物として得た。LC−MS分析:C14H16F3NO3についての計算値:303.108、測定値[M+H]:304.5
8B. (2R,4R)−ベンジル 2−(シアノメチル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−カルボキシラート:8A(370mg、1.220ミリモル)の0℃に冷却したCH2Cl2(6mL)中攪拌溶液に、Et3N(0.340mL、2.440ミリモル)を添加し、つづいて塩化メタンスルホニル(0.143mL、1.830ミリモル)を3分間にわたって滴下して加えた。添加した後、得られた混濁溶液を0℃で60分間攪拌した。LC−MSは所望の生成物が形成されていることを示した反応混合物をEtOAcで希釈し、水(2x)、飽和水性NaHCO3、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。得られた油性残渣を高真空下で乾燥させ、(2R,4R)−ベンジル 2−(((メチルスルホニル)オキシ)メチル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−1−カルボキシラートを油性残渣として得、それを下記の反応にてそのまま用いた。
得られたメシラートを無水DMSO(5mL)に溶かし、NaCN(239mg、4.88ミリモル)を添加した。得られた混合物を50℃で16時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。室温に冷却した後、反応物を水でクエンチさせ、EtOAc(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、水(2x)、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−40%、20分;40%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製し、所望の生成物である(2R,4R)−ベンジル 2−(シアノメチル)−4−(トリフルオロメチル) ピロリジン−1−カルボキシラート(96mg、0.271ミリモル、収率22.17%)を油状残渣として得た。LC−MS分析:C15H15F3N2O2についての計算値:312.109、測定値[M+H]:313.1;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.39−7.22(m,5H)、5.17−4.98(m,2H)、4.12−4.00(m,1H)、3.88(d,J=8.4Hz,1H)、3.42(t,J=10.6Hz,1H)、3.01−2.76(m,3H)、2.54−2.39(m,1H)、2.10−1.96(m,1H)
8C. 2−((2R,4R)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)アセトニトリル:8B(95mg、0.304ミリモル)のEtOAc(5mL)中溶液に、Pd/C(32.4mg、0.015ミリモル)(5%ドライベース、デグサ型)を添加した。水素(3x)でパージした後、懸濁液を水素バルーン下での室温で16時間激しく攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。混合物を濾過し、触媒をEtOAcで洗浄した。濾液を合わせ、濃縮乾固させた。得られた残渣を高真空下で30分間乾燥させ、2−((2R,4R)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)アセトニトリル(90mg、0.505ミリモル)(未知の不純物を含有)を油性残渣として得た。LC−MS分析:C7H9F3N2についての計算値:178.072、測定値[M+H]:179.1
8D. 2−((4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)アセトニトリル:1C(60mg、0.162ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン(154mg、0.325ミリモル)、酢酸パラジウム(II)(3.65mg、0.016ミリモル)、および8C(34.7mg、0.195ミリモル)のジオキサン(0.7mL)中溶液を、つづいてナトリウムtert−ブトキシド(39.0mg、0.406ミリモル)を添加した。混合物にアルゴン流を1分間通気し、次にバイアルを密封し、マイクロ波照射下にて100℃で1時間加熱した。LC−MSは反応が完了しており、所望の生成物が形成されていることを示した。反応混合物を室温に冷却し、水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)させて濃縮し、暗色の油性残渣を得た。その粗生成物をEtOAc/ヘキサン(0−30%、20分;30%、5分;30−50%、10分)で溶出するフラッシュクロマトグラフィーに付して精製した。所望のフラクションをプールし、濃縮して高真空下で乾燥させ、2−((4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)アセトニトリル(60mg、0.113ミリモル、収率69.4%)を灰白色の泡沫体として得、それは2つのジアステレオマーを3:1の割合で含有した。LC−MS分析:C23H26ClF3N6O2についての計算値:510.176、測定値[M+H]:511.5および513.5
実施例8:8Dのジアステレオマーの混合物(60mg、0.117ミリモル)を含有するマイクロ波バイアルに、EtOH(0.8mL)およびKOHの6M水溶液(0.39mL、2.349ミリモル)を添加した。反応物を密封し、120℃で2.5時間攪拌した。LC−MSは反応が完了していることを示した。室温に冷却した後、反応混合物を濃縮し、揮発性物質を除去した。残りの水相を1N水性HClでpH6に調整した。得られた懸濁液を水で希釈し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮乾固させた。その粗生成物をプレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100、15分間にわたって60−95%とし、95%で3分間保持する)に付して精製した。2つのジアステレオマーを分離した。ラター・ラニングのピークのフラクションをプールして濃縮した。残りの水相を飽和水性NaHCO3でpH6に調整し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。得られた残渣をCH3CN/水にて凍結乾燥させ、2−((2R,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)酢酸(主たるジアステレオマー)(22.45mg、0.040ミリモル、収率34.3%)を灰色の凍結乾燥体として得た。LC−MS分析:C23H27ClF3N5O4についての計算値:529.17、測定値[M+H]:530.15;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.91(s,1H)、7.78(d,J=1.5Hz,1H)、7.37(d,J=1.3Hz,1H)、6.21(s,1H)、4.58(td,J=9.1、4.2Hz,1H)、4.48(t,J=8.6Hz,1H)、3.82(s,3H)、3.69−3.60(m,1H)、3.52−3.34(m,3H)、3.16(dd,J=17.6、8.1Hz,1H)、2.97−2.77(m,2H)、2.56(dd,J=12.3、9.7Hz,1H)、2.45−2.25(m,2H)、2.22−2.00(m,4H)、1.73(dd,J=13.0、2.4Hz,1H)、0.99(d,J=6.6Hz,3H);hGPR40 EC50=955nM
実施例9
2−((2R,4R)−1−(5−((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イルオキシ)ピラジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)酢酸
実施例8における2つのジアステレオマーの混合物は、プレパラトリーHPLC(0.1%TFA−MeOH−H2O)(PHENOMENEX(登録商標)ルナ・アキシア 5μ 30x100、15分間にわたって60−95%の勾配とし、95%で3分間保持する)により分離された。フロント・ラニングのピークのフラクションをプールして濃縮した。残りの水相を飽和水性NaHCO3でpH6に調整し、DCM(3x)で抽出した。抽出液を合わせ、塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)かつ濃縮させた。得られた残渣をCH3CN/水にて凍結乾燥させ、2−((2R,4R)−1−(5−(((3R,4R)−1−(5−クロロ−2−メトキシピリジン−4−イル)−3−メチルピペリジン−4−イル)オキシ)ピラジン−2−イル)−4−(トリフルオロメチル)ピロリジン−2−イル)酢酸(5.28mg、9.86マイクロモル、収率8.40%)を灰白色の凍結乾燥体として得た。LC−MS分析:C23H27ClF3N5O4についての計算値:529.17、測定値[M+H]:530.15;1H NMR(400MHz、CDCl3) δ 7.91(s,1H)、7.76(d,J=1.5Hz,1H)、7.41(d,J=1.3Hz,1H)、6.21(s,1H)、4.59(td,J=9.2、4.4Hz,1H)、4.33(dd,J=7.7、2.9Hz,1H)、3.82(s,3H)、3.67−3.53(m,2H)、3.48(dd,J=12.2、1.9Hz,2H)、3.13(dd,J=16.1、3.3Hz,1H)、3.01−2.89(m,1H)、2.89−2.78(m,1H)、2.66−2.51(m,2H)、2.45(dd,J=16.2、8.5Hz,1H)、2.23−1.95(m,4H)、1.81−1.68(m,1H)、0.99(d,J=6.6Hz,3H);hGPR40 EC50=84nM