JP6483665B2 - ナノ構造芽胞キャリア - Google Patents

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Description

本開示は、生物学的インジケーターで使用されるような芽胞キャリアに関する。特に、芽胞キャリアは親水性ナノ構造表面に接合される芽胞を含む。そのような芽胞キャリアを内蔵する生物学的インジケーターも説明される。
簡潔には、一態様において本開示は、基材と、前記基材に接合された親水性ナノ構造層と、ナノ構造層に接合された芽胞とを含む芽胞キャリアを提供する。一部の実施形態では、前記ナノ構造層は、接触角法で測定された50度以下の後退接触角を有する。
一部の実施形態では、前記ナノ構造層は、シリカナノ粒子等のナノ粒子を含む。一部の実施形態では、前記ナノ粒子は、酸焼結される。一部の実施形態では、前記ナノ粒子は、20nm以下の平均直径を有する。
一部の実施形態では、前記ナノ構造層は、少なくとも10nmの二乗平均粗さを有する。一部の実施形態では、前記ナノ構造層は、500nm以下の二乗平均粗さを有する。一部の実施形態では、前記ナノ構造層は、マイクロ粒子を更に含む。一部の実施形態では、前記ナノ構造層は、テトラアルコキシシラン等のバインダーを更に含む。
一部の実施形態では、前記基材は、ポリエステル又はポリプロピレン等のポリマー基材である。一部の実施形態では、前記基材は、織布又は不織布ウェブである。一部の実施形態では、前記基材は、フィルムである。
一部の実施形態では、前記芽胞は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス又はバチルス・アトロファエウスのうち少なくとも1つを含む。
別の態様では、本開示は、本開示のいずれかの実施形態に係る芽胞キャリアを含む生物学的インジケーターを提供する。
本開示の上記概要は本発明のそれぞれの実施形態を記載することを目的としない。本発明の1つ以上の実施形態の詳細はまた、以下の説明に記載される。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、その説明から、また「特許請求の範囲」から明らかとなろう。
本開示の一部の実施形態での使用に好適な、例示的な生物学的インジケーターの分解図である。 本開示の一部の実施形態による例示的な芽胞キャリアを示す。
一般的に、滅菌は、ウイルス及び芽胞を含む微生物等の生存可能な全ての生物活性の発生源を、完全に破壊する処理として定義される。医療等の様々な分野で、医療機器、器械、その他使い捨て及び非使い捨て物品のような器具を滅菌するために使用される処理は、監視される。例えば、病院は、滅菌処理の滅菌性を検定するための物品のバッチを含む滅菌インジケーターを保有している。生物学的及び化学的滅菌インジケーターの両方が使用されている。
標準的な生物学的滅菌インジケーターは、既知の量の生物活性の発生源としての試験微生物を含む。多くの場合、試験微生物としては、通常の汚染生物よりも数倍、特定の滅菌処理に対して耐性の高いものが選ばれる。例えば、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス(旧バチルス・ステアロサーモフィルス)又はバチルス・アトロファエウス(旧バチルス・サブティリス)芽胞が使用されている。インジケーターを滅菌処理した後、生物活性の発生源(例えば、芽胞)を、栄養培地中でインキュベートすることにより、滅菌処理を生き残った発生源があるか否かを判定することができる。発生源の代謝及び/又は増殖は、その滅菌処理が、滅菌インジケーターにおける生物活性の発生源の全てを破壊するためには不十分であったことを示すものである。したがって、監視中の滅菌処理が無効であることを示すために使用することができる。
一般的に、試験微生物(例えば芽胞)は、基材表面上に存在する。このような芽胞キャリアを、適切な生物学的インジケーターに一体化する。本開示の芽胞キャリアは、公知の多様な生物学的インジケーターのいずれかに一体化してもよい。図1は、非限定的な生物学的インジケーターの一例を示す。
一般的に、生物学的滅菌インジケーター100は、リザーバ103を画定するハウジンング102を有し、リザーバ103の中に、その他の構成要素が配置される。滅菌処理中に、滅菌剤をリザーバ103内に導入可能である。一部の実施形態では、ハウシング102は、互いに結合されて内蔵型生物学的滅菌インジケーターを構成する、ベース104及びキャップ106を含む。一部の実施形態では、一部一体的ハウジンングを利用してもよい。一般的に、ベース104及びキャップ106は、インジケーターの先述のその他の構成要素を収容することに適したリザーバを形成するような大きさに設計される。一般的に、ハウジングの壁は液体を通さない。その適した材料として、ガラス、金属(例えばホイル)、ポリマー(例えばポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリエステル)、セラミック、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、キャップ106は、ハウジング102内部と外気との間の流体連通を確立するための1つ以上の開口部107を有する。例えば、開口部107により、滅菌処理中に芽胞115と外気との間に流体連通が確立される。滅菌処理に際して、外気は蒸気、オゾン、過酸化水素、酸化エチレン、及びこれらの組み合わせ等の滅菌に適した構成要素を含み得る。
一部の実施形態では、生物学的滅菌インジケーターは液体122を収容する壊れやすい容器120を有する。壊れやすい容器120は、様々な材料で形成することができ、それらの材料としては、金属(例えばホイル)、ポリマー、ガラス(ガラスアンプル)、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上が挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、容器の一部のみが壊れやすい。
一部の実施形態では、壊れやすい容器120は、挿入部130により所定の位置に保持される。挿入部130は、壊れやすい容器の破壊(破砕)に供され得るものである。一般的に、挿入部130は壊れやすい容器120を芽胞キャリア135から隔離した状態で保持するものである。芽胞キャリア135は、基材140に接合された芽胞115(又はその他生物活性の発生源)を含む。壊れやすい容器120が少なくとも部分的に破壊されると、液体122がリザーバ103と流体連通し、芽胞115に接触する。
芽胞と液体とを接触させる処理を、生物学的滅菌インジケーターの「作動」と称することができる。すなわち用語「作動」及びその変形は、生物学的滅菌インジケーターに関して使用される場合、一般的には、1つ以上の生物活性の発生源(例えば、芽胞)を、液体(例えば、対象の芽胞のための栄養培地)と流体連通させることを指すことができる。例えば、液体を収容する、生物学的滅菌インジケーター内部の壊れやすい容器が、少なくとも部分的に破砕、断裂、貫通、粉砕、亀裂等の形で破壊されることで、その液体が生物活性の発生源と流体連通されている場合、この生物学的滅菌インジケーターは、「作動」されているとして説明することができる。
一般的に、液体122は、栄養培地を形成するために、栄養素と組み合わせられた、又は組み合わせることができる水(又は別の溶媒)を含み得る。栄養培地は、一般的には、芽胞が生存可能である場合には、芽胞の発芽及び初期増殖を誘導するように選択することができる。栄養培地は、1種以上の糖を含み得、それらの糖としては、グルコース、フルクトース、セロビオース等、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。栄養培地はまた、塩も含み得、それらの塩としては、塩化カリウム、塩化カルシウム等、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、栄養素は、少なくとも1種のアミノ酸を更に含み得、それらのアミノ酸としては、メチオニン、フェニルアラニン、及びトリプトファンのうちの、少なくとも1つが挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、液体122は、指示薬分子又は指示試薬、例えば、芽胞の発芽又は増殖に応答して変化する光学特性を有する、指示薬分子を含み得る又はそれと結合され得る。好適な指示薬分子又は指示試薬としては、pH指示薬分子(例えば、実施例に示すようなブロモクレゾールパープル(BCP)、ブロモクレゾールグリーン(BCG)、クロロフェノールレッド(CPR)、ブロモチモールブルー(BTB)、ブロモフェノールブルー(BPB)、他のスルホンフタレイン染料、メチルレッド、又はこれらの組み合わせ)、酵素基質(例えば、4−メチルウンベリフェリル−α−D−グルコシド)、DNA結合色素、RNA結合色素、他の好適な指示薬分子、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、それらに限定されない。一部の実施形態では、ブロモクレゾールパープルと4−メチルウンベリフェリル−α−D−グルコシドとの組み合わせは、共に使用することができる指示試薬のペアの一実施例を表す。この組み合わせを使用して、例えば、炭水化物の酸最終生成物への発酵等の、第1の生物活性、及びα−D−グルコシダーゼ酵素活性等の、第2の生物活性を検出することができる。これらの活性は、例えば、滅菌処理への生物学的滅菌インジケーターの曝露の後の、生存芽胞の有無を示し得る。ブロモクレゾールパープルは、例えば、水性混合物中、約0.03g/Lの濃度で使用することができる。4−メチルウンベリフェリル−α−D−グルコシドは、例えば、水性混合物中、例えば、約0.05〜約0.5g/Lの濃度で使用することができる。
一部の実施形態では、壊れやすい容器120内に収容された液体122はもとから、生き残った芽胞の発芽を助長する発芽培地及び/又は生き残った芽胞の増殖を支援する増殖媒体等の、芽胞のための1つ以上の栄養培地を含む。一部の実施形態では、壊れやすい容器120内に収容された液体122はもとから、1つ以上の指示薬分子又は試薬を含む。一部の実施形態では、生き残った芽胞の発芽及び/又は増殖を助長するために必要な栄養素を1つ以上含み得、リザーバ103内に、例えば、生物学的滅菌インジケーター100の、芽胞115の近傍の領域内に、乾燥形態(例えば、ビーズ又は他のキャリア内に封入される、粉末形態、錠剤形態、カプレット形態、カプセル形態、フィルム若しくはコーティング、別の好適な形状又は構成、あるいはこれらの組み合わせ)で、提供することができる。同様に、一部の実施形態では、1つ以上の指示薬分子又は試薬は、液体122から隔離された状態で、壊れやすい容器120外に配置されてもよい。そのような実施形態では、壊れやすい容器120が破壊されると、栄養素及び/又は指示薬を内蔵した(例えば、溶解又は分散して)液体122が芽胞に接触し、生物学的インジケーターが作動する。
概して、本開示の生物学的滅菌インジケーターは、当該技術分野において既知のその他特徴や特徴の組み合わせを含み得る。例示的特徴として、汚染性異質生物、物体、又は材料が、リザーバ内に侵入することを防ぐために使用される障壁又はフィルターを含む。そのような障壁は、気体透過性、微生物不透過性の材料を含み得る。滅菌剤への曝露の間、滅菌剤は、この障壁を通過して、リザーバに入り、芽胞と接触することができる。使用可能なその他要素としては、所望のタイミング、所望の方法で壊れやすい容器を破壊することに適した1つ以上の装置又は機構が挙げられる。このような装置及び機構は、当該技術分野において周知である。
使用の際、生物学的滅菌インジケーターは概して、液体122及び芽胞115が、滅菌中に隔離されながらも比較的接近した状態を維持する(例えば、内蔵型の生物学的滅菌インジケーター100の内部で)ことにより、滅菌処理後に、液体122と芽胞115とを容易に組み合わせることができる。作動後、液体122及び芽胞115は、検出処理の前、又はその間に、インキュベートすることができる。例えば、一部の実施形態では、インキュベーション温度は、少なくとも約37℃であり、一部の実施形態では、インキュベーション温度は、少なくとも約50℃(例えば、56℃)であり、一部の実施形態では、少なくとも約60℃である。
一般的に、例えば特定の芽胞及び/又は選択された指示薬分子又は試薬のようなその他設計的特徴に応じて、芽胞115から検出可能な変化を検出するように、任意の既知の検出処理を使用してもよい。すなわち、当業者は、電磁波(例えば紫外、可視光、及び/又は赤外帯域)、蛍光、発光、散乱光、電子的特性(例えば導電率、インピーダンス等、又はこれらの組み合わせ)、濁度、吸光度、ラマン分光光度、偏光度、これらに類するもの、又はこれらの組み合わせ等を含むが、それに限定されない様々な特性を検出するように適合される検出処理を容易に選択することができる。そのような特性の検出は、蛍光計、分光光度計、比色計等のうちの1つ以上、又はこれらの組み合わせによって実施することができる。蛍光、可視光線等を測定する実施形態等の、一部の実施形態では、検出可能な変化は、特定波長で検出することによって測定される。
芽胞115及び/又は液体122は、芽胞の生存度の標示である生化学反応の結果として、上記の特性のうちの1つ以上を生じさせるように適合させる(例えば、目される)ことができる。結果として、検出可能な変化が存在しない(例えば、ベースライン又はバックグラウンドの読み取り値と比較して)ことは、有効な滅菌処理を意味し得るが、その一方で、検出可能な変化は、無効な滅菌処理を意味し得る。一部の実施形態では、検出可能な変化は、上記の特性のうちの1つ以上が変化する(例えば、蛍光の増大、濁度の減少等)際の速度を含み得る。
一部の実施形態では、芽胞の生存度は、酵素活性を利用することによって、判定することができる。参照により本願に援用する発明の名称が「滅菌サイクルの有効性を判定するための迅速な方法及び迅速な読み出しが可能な生物学的インジケーター(Rapid Method for Determining Efficacy of a Sterilization Cycle and Rapid Read-out Biological Indicator)」であるマトナー(Matner)らによる米国特許第5,073,488号に述べられるように、特定の種類の芽胞に対して滅菌処理の有効性を判定するために利用することが可能な特に有用な特性を有する酵素を特定することができる。
本開示の芽胞キャリアと好適に使用される生物学的インジケーターの更なる例が、米国特許第3,846,242、米国特許第4,717,661、米国特許第5,073,488、米国特許第5,223,401、米国特許第5,418,167、米国特許第5,739,004、米国特許第5,795,730に記載されている。
本開示の一部の実施形態に従う芽胞キャリア135が図2に示される。芽胞キャリア135は、基材40、ナノ構造表面155を有する親水性層150、ナノ構造表面155の少なくとも一部に接合される芽胞115を含む。任意選択で、芽胞115は、ウェル160により画定された領域内の配置に限定されてもよい。
典型的な芽胞キャリア基材は、紙、金属フィルム、ガラスを含んでいる。それぞれの材料がそれぞれ問題を抱えている。例えば、基材は高温や、滅菌剤そのものに曝露されることのような幅広い滅菌条件に対応可能であるべきである。例えば、紙製の芽胞キャリア基材は蒸気の滅菌剤には適しているが、過酸化水素が滅菌剤に選択された場合には不適格である。滅菌サイクル後にもセルロース系材料により残留した過酸化水素が保持されてしまい、不精確な生物学的インジケーター反応となってしまう。そのような基材は本開示の一部の実施形態では好ましい場合もあるが、一部の実施形態ではポリマー基材も使用可能である。例示的なポリマー基材としては、例えばポリプロピレンやポリエチレンのようなポリエステルやポリオレフィンが挙げられる。一部の実施形態では、ポリプロピレン基材が好まれ得る。一部の実施形態では、ポリマー基材の平板シートを使用可能である。一部の実施形態では、例えば不規則に又は工業的に加工された微細構造を有するシートのような、テクスチャシートを使用してもよい。ここで、微細構造の最大断面寸法は、例えば500nmのように200nmを超え、例えば200マイクロメートル未満のように、500マイクロメートル未満である。一部の実施形態では、織物又は不織物により作成された基材を使用してもよい。
一部の実施形態では、芽胞キャリア135は、1つ以上の任意のウェル160を更に含むことができる。そのようなウェルは、基材140の表面に一体化又は接合される。図2では、ウェル160は基材140の平面よりも上にあるように記載されているが、一部の実施形態では、ウェルは基材内への窪みであってもよい。一般に、ウェルを構成する材料は特に限定されず、基材を構成する材料と同じ又は別の材料から独立して選択されてもよい。一般に、ウェルの形状及び寸法は特に限定されない。一部の実施形態では、ウェルの壁は基材の縁に等しい又は近い。このようにして得られた芽胞キャリアはほぼ「たらい形状」となる。
ポリマー基材は、紙、金属、ガラス基材よりもいくつかの点で有利であるが、同時にいくつか問題があったため、生物学的インジケーターの芽胞キャリアとして使用されていなかった。第1の問題としては、処理中にポリマー基材から芽胞が落ちてしまう、フレーキングと呼ばれる現象が起こるおそれがある。即ち、基材から芽胞コーティングの一部が剥がれてしまうため、滅菌用にインジケーターを使用できなくなる。第2の問題としては、多くの一般的なポリマーは概して親水性が低いことからも、ポリマー基材上に芽胞溶液をコーティングするのは困難である。したがって、一般的な水性芽胞含有組成物が塗布されると、ビード状になってしまい、不連続で通常使用不能な芽胞コーティングとなってしまう。最後の問題として、連続的コーティングが得られたとしても、複数の芽胞層が形成されてしまう可能性がある。クランピングと呼ばれるこの現象は、得られたインジケーターの信頼性を下げるものである。例えば、一部の滅菌方法では、クランピングが生じた芽胞層の貫通に、完全な効力を発揮しない。したがって、効果的に滅菌が行われたとしても、下層に存在する芽胞が破壊されず、インジケーターは失敗を示してしまうかもしれない。
本発明者らは、コロナ処理や、化学表面変化のような、芽胞コーティングの均一性、密着性を向上する多くの一般的手法が上記した問題の解決に寄与しないことを発見した後、驚くべきことに親水性ナノ構造層により、大きな改善が可能であることを発見した。図2に示すように、基材140に親水性ナノ構造層150を接合する。一部の実施形態では、ナノ構造層は、基材表面に直接接合されている。一部の実施形態では、ナノ構造層は、例えば下塗層のような中間層を1つ以上介して間接的に基材表面に接合されている。一部の実施形態では、ナノ構造層150は、基材140全体を被覆してよいし、又は表面の1つ以上の独立した部分に選択的に貼り付けられてもよい。例えば、一部の実施形態では、ナノ構造層はウェル160の近傍領域、例えばウェル160の縁の内側の配置に限定されてもよい。
通常、親水性ナノ構造層は、例えば無機ナノ粒子のようなナノ粒子を含む。ここで、「ナノ粒子」とは、200nm以下の断面寸法を少なくとも1つ有する粒子を指す。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均断面寸法は、50nm以下、例えば、20nm以下、更には10nm以下である。一部の実施形態では、微粒子が含まれてもよい。通常、微粒子の断面寸法は、200ナノメートルよりも大きく、例えば200ナノメートル〜50マイクロメートルである。一部の実施形態では、平均断面寸法が少なくとも400nm、例えば少なくとも500nmの微粒子を使用してもよい。一部の実施形態では、10マイクロメートル以下、例えば1マイクロメートル以下、又は更に500nm以下の平均断面寸法の微粒子を使用してもよい。
好ましいナノ粒子としては、シリカ、カルサイト、ジルコニア、チタニア等、及びそれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、シリカナノ粒子が好まれ得る。通常、ナノ粒子は、共有結合表面処理剤(例えばシラン)のような表面処理を必要としない。一方、一部の実施形態では、そのような処理されたナノ粒子を用いてもよい。水性媒質中の無機シリカゾルは、当該技術分野において周知であり、市販されている。水中又は水−アルコール溶液中のシリカゾルは、例えば、E.I.duPont de Nemours and Co.,Inc.(デラウェア州Wilmington)から商品名「LUDOX」で、Nyacol Co.(マサチューセッツ州Ashland)から商品名「NYACOL」で、及びOndea Nalco Chemical Co.(イリノイ州Oak Brook)から商品名「NALCO」で入手可能である。有用なシリカゾルの1つとして、平均粒径が5nm、pH 10.5、及び固形分が15重量%のシリカゾルとして販売されるNALCO 2326がある。他の市販のシリカナノ粒子としては、NALCO Chemical Co.から市販の「NALCO 1115」及び「NALCO 1130」、Remet Corp.(ニューヨーク州Utica)から市販の「REMASOL SP30」、並びに、E.I.Du Pont de Nemours Co.,Inc.から市販の「LUDOX SM」が挙げられる。
一部の実施形態では、全体的に球形のナノ粒子を用いてもよい。ここで、球形のナノ粒子とは、主寸法の副寸法に対するアスペクト比が1.1以下となるナノ粒子を指す。例えば楕円や棒状の非球形粒子(非円形粒子とも呼ぶ)を使用してもよい。そのような粒子は、アスペクト比が1.1を超え、例えば少なくとも1.5、少なくとも2、更には少なくとも5となる。一部の実施形態では、そのような粒子のアスペクト比は50以下、例えば20以下である。一部の実施形態では、球形、非球形粒子を混ぜて使用してもよい。一部の実施形態では、球形粒子対非球形粒子の比は10:90〜90:10であり、例えば20:80〜80:20である。
このようにしてできた層は、不規則なナノ構造を有する。このナノ構造は、ナノスケールの表面粗さ、ナノスケールの多孔性を持つ。平均表面粗さは、微粒子を追加する、例えば初期構成において微粒子、ナノ粒子を所定の比で混在させることで調整可能である。ナノ粒子の形状は、規則的又は不規則であってもよい。コーティングの多孔性は、通常、コーティング可能組成物中の規則的及び不規則な形状のナノ粒子の量を変更することによって、かつ/又はコーティング可能組成物中の球状及び非球形のナノ粒子の量を変更することによって変更し得る。一部の実施形態では、その結果としてコーティング平均表面粗さは、少なくとも10nm、例えば少なくとも50nm、例えば少なくとも100nmとなる。いくつかの実施形態では、平均表面粗さは、10マイクロメートル以下、例えば1マイクロメートル以下、又は更には500nm以下である。平均表面粗さは、二乗平均粗さ(Rq)値で表すことができる。当該値は、以下の式による原子間力顕微鏡法画像測定により得られる。
Rq=SQRT(Σ Z /N)
ここで、Zは測定点から、試料の平均平面への距離を示し、iは測定回数を示す。通常、当業者に理解されるよう、統計的に有意な表明粗さを得るのに必要な回数だけ測定が実施されるべきである。
用語「多孔質」は、ナノ粒子が連続コーティングを形成するとき、球状及び/又は非球状ナノ粒子間に空隙が存在することを示す。一部の実施形態では、ナノ粒子コーティングは、乾燥時、〜65体積%、一部の実施形態では約15〜50体積%の多孔率を有する。一部の実施形態では、多孔率はより高くてもよい。多孔率は、参照することにより本明細書に組み込まれるW.L.Bragg、A.B.Pippard、Acta Crystallographica、volume 6、ページ865(1953)等に公開されている手順に従ってコーティングの屈折率から算出することができる。一部の実施形態では、ナノシリカ粒子により、ナノ構造層は、1.15〜1.40、一部の実施形態では1.20〜1.36の屈折率を持つ。
一部の実施形態では、pHを低くとるよう、例えば5、4.5、4、3.5、3あるいは3未満のpHとなるようナノ粒子分散液を調整してもよい。このような水性コーティング組成物は、例えば、少なくともシリカナノ粒子を含む分散液と、分散液よりも低いpHを有する酸(例えば、3.5未満のpKを有する酸)と、を組み合わせることにより、調製することができる。酸の例としては、シュウ酸、酢酸、クエン酸、塩酸の少なくとも1つが挙げられるが、選択される酸は特に限定されるものではない。
一部の実施形態では、シリカナノ粒子の多孔質網は、水の蒸発し、酸濃度の増加に合わせて、シリカナノ粒子の酸焼により、得られる。このような酸焼結の結果として、シリカ粒子は変形し、隣のシリカ粒子に結合可能となり、実質的に連続した多孔性網が得られる。このようにして得られた層を、酸焼結済みとする。
一部の実施形態では、ナノ粒子分散液は、例えばオルガノシランバインダーのようなバインダーを含む。適切なバインダーとしては、テトラエトキシシラン(TEOS)のようなテトラアルコキシシランを含む。一部の実施形態では、ナノ粒子分散液は、界面活性剤を含んでもよい。
実施例で使用した材料を表1、2に記載する。
Figure 0006483665
Figure 0006483665
分散体調製手順 実施例は、上記のコロイド状シリカナノ粒子分散液を(その他指定しない限り)総固形分5重量%となるよう脱イオン水で希釈し、(その他酸が指定されない限り)高濃度硝酸水溶液により約pH 2〜3まで調整される。選択例として、最終的に5重量%となるよう、2つ以上の異なるコロイド状シリカナノ粒子分散液を、以下の表に示す比率で混合した。
コーティング手順 規定の基材を、25マイクロメートル(1ミル)のギャップを有するMeyerバー、及び総固形分5重量%のシリカ分散液を用いてコーティングし、100〜200nmの範囲の乾燥コーティング厚さを得た。コーティングされた試料を80〜100℃に5分〜10分にわたって加熱し、乾燥させた。
接触角法 Millipore Corporation(マサチューセッツ州Billerica)から入手した濾過システムを通して濾過した、購入したままの脱イオン水を用い、AST Products(マサチューセッツ州Billerica)製商品番号VCA−2500XEとして入手可能なビデオ接触角分析計により、乾燥コーティングされた試料上で前進、後退及び静的水接触角の測定を行った。報告される値は、液滴の右側及び左側で測定された少なくとも3滴の測定値の平均である。液滴体積は、静的測定の場合1マイクロリットル(符号L)であった。
コーティングの質評価方法 視覚的に均一なコーティングをもたらした分散物を、「コーティング可」と表記する。ビーズ状になった及び/又は視覚的に不均一なコーティングをもたらしたコーティングを「ビーズ状」と表記した。
コーティングの安定性評価方法 コーティングの安定性は、1ヶ月間分散物を静置させることにより決定した。1ヶ月後も視覚的に分離が見られないものは、安定であるとみなした。
比較例CE−1、実施例EX−1〜EX−4は、PP1を用いて調製された。このポリプロピレン基材は、コロイド状シリカ分散物でコーティングされる前に1平方センチ当たり2ジュールの正規化コロナエネルギーでコロナ処理された。表3に示すナノ粒子を使用した分散液調製手順に従って、シリカ分散液を調製した。基材は、コーティング手順のこれら分散液を使用して作成された。得られた試料に対して、接触角方法による前進、後退及び静的水接触角(CA)の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006483665
比較例CE−2と実施例EX−5〜EX−16は、コロナ処理されたPP1の代わりにPET基材を使用した以外、前述のEX−1と同様にして調製された。
Figure 0006483665
実施例EX−17〜EX−20、比較例CE−3〜CE−5にpHコーティングの効果を示す。PET基材は、EX−1用に説明された手順で、規定のナノ粒子分散液でコーティングされた。コーティングされた試料に対して、コーティングの質と接触角に関する試験が実施された。
Figure 0006483665
pH 2〜3となる分散液が、非球形ナノ粒子を使用して調製され、実施例EX−1と同様にコーティング、乾燥された。上述のように、一部のサンプルは更に、合計5重量%の重量比部として示される量の、テトラオキシシラン(TEOS、Alfa Aesar(マサチューセッツ州Ward Hill)より入手可能)及び/又は球形シリカナノ粒子を含む。
Figure 0006483665
以下の実施例では、PET基材が、実施例EX−1記載のように作成、コーティング、乾燥された、既定の総固形分5重量%針状シリカ粒子分散液によって、規定のpHでコーティングされた。コーティング組成物の液体部分については、イソプロパノール/水の重量比が79:21であった。コーティングされた試料を、上述した試験方法を用いて、分散安定性、コーティングの質について試験した。
Figure 0006483665
各種基材材料は、実施例EX−1記載のように作成、コーティング、乾燥された、既定の総固形分5重量% UP針状シリカ粒子組成物によって、既定のpHでコーティングされた。コーティングされた試料を、上述した試験方法を用いて、接触角、分散安定性、コーティングの質について試験した。
Figure 0006483665
前述の実施例のように、本開示では多様な芽胞キャリアを作成できる。通常、特定の基材とナノ粒子分液は、当業者であれば本明細書の教示に基づいて選択できる。
生物学的インジケーター(BI)例 芽胞キャリアとしての使用に適した様々なナノ粒子コーティング基材が、実際の生物学的インジケーターで試験された。3M ATTEST Super Rapid Readout Biological Indicator(3M Company(ミネソタ州St.Paul)から入手可能)に、上述の親水性ナノ構造基材の内の1つを使用した改良版芽胞キャリアを用いたBI組立体とした。図1に示すように、生物学的滅菌インジケーター100は、ベース104とキャップ106が互いに結合されて、内蔵型生物学的滅菌インジケーターを形成したものである。キャップ106は、滅菌剤導入用にリザーバ103と外気との間に流体連通を確立する6つの開口部107を有する。汚染障壁としての役割を果たす濾紙材料(図示せず)は、口107上の滅菌剤経路内に位置付けられ、感圧性接着剤に支持された紙ラベルで適所に保持される。壊れやすい容器120は、挿入部30によって生物学的滅菌インジケーター100内の適所に保持されている。挿入部130は、容器を所定の位置に保持することと、容器の制御された破壊を促進するよう作用する。破壊は、BIの作動段階に、BIを滅菌処理に曝露した後、キャップ106が壊れやすい容器120を破壊するよう下方に押されることで生じる。
生物学的滅菌インジケーターはG.ステアロサーモフィルス芽胞115を更に有する。芽胞は、親水性(シリカナノ粒子)コーティングPET基材に設けられ、これにより芽胞キャリア135が形成された。芽胞キャリア135は、ベース104の底部近傍でコーティング、配置された。滅菌後、BIは3M ATTEST 490H AUTOREADER生物学的インジケーター読取装置(3M Companyから入手可能)内で作動された。
芽胞キャリアフィルムは、2マイクロリットルのゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞(ATCC 7953)でコーティングされ、乾燥された。芽胞キャリア基剤は、従来技術を使用して作成された様々なポリマーフィルムであった。それぞれの場合に、芽胞コーティングにフレーキングが生じ、使用不能な生物学的インジケーターが作成された。
比較例CE−8は、コロナ処理されたポリプロピレンである。比較例CE−9及びCE−10は、以下のプロセスに従い、ダイアモンド様ガラス(DLG)によりコーティングされた。ダイアモンド様ガラスフィルムが、商用バッチリアクタ(PLASMATHERMモデル3032)内に蒸着された。チャンバはドライメカニカルポンプ(EdwardsモデルiQDP80)で補助されたルーツブロワ−(EdwardsモデルEH1200)で昇圧された。5kWの13.56Mhzソリッドステート発生器(RFPPモデルRF30S)により、RF電力をインピーダンスマッチングネットワークを介して送達した。このシステムの公称ベース圧力は0.667Paであった。ガス流量は、流量調整装置(MKS Instruments,Inc.)によって制御した。蒸着のための基材を、下方電極上に定置した。
その後、試料は以下の通りにプラズマ処理された。試料はバッチプラズマ装置の低電力電極上に配置された。一連の処理工程でプラズマ処理を行った。先ず、酸素ガスを750標準状態cm3/分の流量、150mTorr(20パスカル)の圧力、及び300Wのプラズマ出力で30秒間流すことによって、端を酸素プラズマで処理した。酸素プラズマ処理後、テトラメチルシランを50標準状態cm3/分の流量、酸素ガスを750標準状態cm3/分の流量、150mTorr(20パスカル)の圧力、及び300Wのプラズマ出力で30秒間流すことによってダイアモンド様ガラスフィルムを蒸着した。更に酸素プラズマで750標準状態cm3/分の流量、150mTorr(20パスカル)の圧力、及び300Wのプラズマ出力で60秒処理することで、ダイアモンド様ガラスフィルは、表面修飾された。プラズマ蒸着が完了した後、チャンバを大気に通気し、試料を取り出した。
2つの不織基材は、不織の濡れ性を向上させるため、0.1%のSilwet 77(Union Carbide Corp.(コネチカット州Danbury)又は40%のエタノールのいずれかを含むゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞(ATCC 7953)の2マイクロリットル滴によりコーティングされた。コーティングされたキャリアは乾燥された。一滴ごとに、1.0×10^6cfuを超える芽胞が含まれていた。芽胞コーティングキャリアは、約9mm×4mmに打ち抜かれて、上述のような内蔵型生物学的インジケーター(BI)ユニットに組立てられた。同様にして作成された、芽胞を有する打ち抜きキャリアの更なる確認用試料は、打ち抜きキャリア片ごとに、1.0×10^6cfuを超える芽胞が含まれていたことが確認された。
BIの過酸化水素への耐性は、Johnson & Johnson傘下のEthicon Inc.(カリフォルニア州Irvine)の一部署であるAdvanced Sterilization Products製のSTERRAD NX滅菌装置内で全過酸化水素滅菌サイクルに曝露することで特定された。STERRAD NX滅菌装置は、全サイクル中、59%の過酸化水素1.8mlsの噴射が2度が行われた。曝露後、生物学的インジケーターは媒体アンプルを押しつぶし、3M Company(ミネソタ州St.Paul)製のATTESTモデル490H Autoreader内に配置することで作動された。490H Autoreaderにより、インジケーターは60℃でインキュベートされ、インキュベート8時時間後に芽胞により発生したαグルコシターゼ酵素の蛍光反応が読み取られた。インジケーターは更に7日間インキュベートされ、増殖媒体内でpH色が紫から黄色に変化することで示される有機物の増殖が観察された。
全サイクル中の蛍光又は陽性増殖が確認されるとBI性能不良と定義される。
Figure 0006483665
芽胞キャリアとしてのPETフィルムに、様々なコロイド状シリカ組成物(別途特定されない限り総固形分5重量%)がコーティングされた。これら組成物は、上述と同様に作成されたが、コーティング及び乾燥プロセスに、マイクログラビアリバースキスコーティング用のYASUI SEIKI Co.,(USA)製コーターを使用する点が異なる。これには、マイクログラビアロール#70、最大18cm幅/7.6cmコア/最大28cm ODロールを使用し、ラインスピード:3メートル/分、グラビアロール(面)スピード:4.6〜6.1メートル/分、3メートルラインオーブン庫内温度130℃、オンライン湿式膜厚計の目標値を8.0±1.0マイクロメートルに設定した。
シリカコーティングされたPET芽胞キャリアフィルムを、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス芽胞(ATCC 7953)の2マイクロリットル滴によりコーティングし乾燥させた。一滴ごとに、1.0×10^6cfuを超える芽胞が含まれていた。芽胞コーティングフィルムキャリアは、約9mm×4mmに打ち抜かれて、上述のような内蔵型生物学的インジケーター(BI)ユニットに組立てられた。同様にして作成された、芽胞を有する打ち抜きキャリアの更なる確認用試料は、打ち抜きキャリア片ごとに、1.0×10^6cfuを超える芽胞が含まれていたことが確認された。芽胞の剥離が発生した試料はなく、いずれも芽胞キャリア合格品とされた。
更なるBI試料は、コーティングされていないPETフィルム(つまり、シリカコーティングのない状態)に直接芽胞を蒸着することによって調製されるが、それ以外は上述と全く同じ手順により調製されるという点が重要である。コーティングされていないPETフィルムに芽胞を蒸着させる全ての例では、コーティングされていないフィルムは芽胞キャリア材料に適さないと判断される程度に深刻な芽胞の剥離が発生した。以下のシリカコーティングを有する全ての例で芽胞が剥離する問題は発生しておらず、この点で好適な材料である。
BIの過酸化水素への耐性は、Johnson & Johnson傘下のEthicon Inc.(カリフォルニア州Irvine)の一部署であるAdvanced Sterilization Products製のSTERRAD NX滅菌装置内で部分的過酸化水素滅菌サイクルに曝露することで特定された。この滅菌装置は、異なる投入量の59%過酸化水素を試験できるように、手動で過酸化水素を投入するポートを有していた。投入量は、曝露時間を7分として0.5〜1.4ミリリットルの範囲であった。曝露後、生物学的インジケーターは媒体アンプルを押しつぶし、3M Company(ミネソタ州St.Paul)製のATTESTモデル490H Autoreader内に配置することで作動された。490H Autoreaderにより、インジケーターは60℃でインキュベートされ、インキュベート8時時間後に芽胞により発生したαグルコシターゼ酵素の蛍光反応が読み取られた。インジケーターは更に7日間インキュベートされ、増殖媒体内でpH色が紫から黄色に変化することで示される有機物の増殖が観察された。
シリカ分散液組成物、滅菌条件、各滅菌条件で調製された5又は10試料に基づく陽性蛍光判定(Fl+)及び陽性増殖判定(Gr+)について以下に概説する。一般的に、滅菌インジケーターは厳しい滅菌基準を提供することが好ましいとされる。したがって、陽性蛍光判定の数が、陽性増殖判定の数以下とならないことが好ましい。一部の実施形態では、陽性増殖判定の数よりも陽性蛍光判定の数が多いことが望ましい場合もある。これにより、陽性蛍光判定がでないインジケーターが正しく完全滅菌を示すことがより確実になる。
Figure 0006483665
シリカナノ粒子分散液に多様な添加物を含めた試料が更に作成された。DS10はAldrich Chemical;ウィスコンシン州Milwaukeeから入手可能なドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。Fe IIは、Sigma−Aldrich、ミズーリ州St.Louisから入手可能なFeSO4−7 H2O化合物の水溶液5重量%から添加された金属イオンの重量%を指す。またしても、全ての試料で剥離は確認されなかった。
Figure 0006483665
更なる芽胞キャリアが、90/10PP/レーヨン繊維不織基材を使用して作成され、平膜基材に対して生物学的インジケーターとして評価された。参照実施例EX−51は、PETフィルムを使用し、表12の総固形分5重量%コロイド状シリカ組成物により上述の実施例と同様にして作成された。芽胞キャリア不織布ウェブは、以下の通り、表12に列挙されたコロイド状シリカ組成物でコーティングされた。実施例EX−52の不織A(NW A)は、PREVAL(イリノイ州Coal City)のエアロゾル再充填可能なスプレーガンによりスプレーコーティングされた。実施例EX−53、EX−54の不織NW B、NW Cはそれぞれ、非エアロゾル吐出スプレーボトルでコーティングされた。比較例CE−15の不織NW Dは、いかなるコロイド状シリカ組成物でもコーティングされなかった。
その後、作成されたPET及び芽胞キャリア不織布ウェブ上にゲオバチルス・ステアロサーモフィルスの2マイクロリットルの滴を垂らし、乾燥された。一滴ごとに、1.0×10^6cfuを超える芽胞が含まれていた。芽胞コーティング基材は、打ち抜かれて、上述のような内蔵型生物学的インジケーター(BI)ユニットに組立てられた。結果として得られた生物学的インジケーターの耐性は、STERRAD NX滅菌器内で、部分的過酸化水素水滅菌サイクルに曝露することで上述のものと同様にして評価された。1.0ミリリットルの注入量で、曝露時間は0.5、1.0、1.5、2.0、3.0、4.0分とされた。曝露後、生物学的インジケーターは媒体アンプルを押しつぶし、3M Company(ミネソタ州St.Paul)製のATTESTモデル490H Autoreader内に配置することで作動された。490H Autoreaderにより、インジケーターは60℃でインキュベートされ、インキュベート8時時間後に芽胞により発生したαグルコシターゼ酵素の蛍光反応が読み取られた。インジケーターは更に4日間インキュベートされ、増殖媒体内でpH色が紫から黄色に変化することで示される有機物の増殖が観察された。表12に、各芽胞キャリアに対する5試料に基づく陽性蛍光(Fl+)及び陽性増殖(Gr+)の総数をまとめる。
Figure 0006483665
重要なのは、CE−15同様、その他BI試料は、コーティングされていない不織基材(シリカコーティング無し)上に芽胞を直接蒸着して作成されていることである。コーティングされていない不織物上に芽胞を蒸着させるすべての例では、コーティングされていない不織物、芽胞キャリア材料に適さないと判断されるよう、ビーズが形成され、凝集した。一方、実施例EX−51〜EX−54のシリカコーティングされた不織物はそれぞれ、芽胞分散液が載せられても、不織物純に芽胞が適切に分散し、芽胞フレーキングの問題とは無縁であったため、芽胞キャリア材料として合格とされた。
様々な基材材料が、表13の通り、選択されたコーティングにより処理された、又はされなかった。別途記載がない限り、これら試料は上述のように作成、コーティング、乾燥された。これら実施例を、芽胞キャリアとしての適切性について試験した。上述のように、G.ステアロサーモフィルス芽胞が、コーティングがされた及びされていない様々な芽胞キャリアに蒸着され、乾燥後の芽胞フレーキングについて評価された。乾燥した芽胞コーティング溶液にフレーキングが発生してはならない、芽胞コーティングが均一でなくてはならない(例えば、芽胞は性能の問題となるように凝集してはならない)、そして全体的なシリカコーティングの質が良好でなくてはならない(シリカフレーキング無し)という合格基準が定めれた。3つの基準全てを満たす試料を「良」とし、1つでも満たさない試料は「不可」とされた。選択実施例は、接触角の前進、後退についても試験された。
実施例EX−56〜EX−58は、DS10をシリカナノ粒子全重量に対して約1〜2重量%の量を含む分散液を使用して作成された。これらすべての試料は酸化され、pHは11であった。実施例EX−59は、非水性ナノ粒子分散液から作成された。
Figure 0006483665
本発明の様々な改良及び変更が本発明の範囲及び趣旨から逸脱せずに実施できることは、当業者には明らかである。本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[19]に記載する。
[1]
基材と、前記基材に接合された親水性ナノ構造層と、ナノ構造層に接合された芽胞とを含む芽胞キャリア。
[2]
前記ナノ構造層は、接触角法で測定された50度以下の後退接触角を有する、項目1に記載の芽胞キャリア。
[3]
前記ナノ構造層は、接触角法で測定された20度以下の後退接触角を有する、項目1に記載の芽胞キャリア。
[4]
前記ナノ構造層は、ナノ粒子を含む、項目1〜3のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[5]
前記ナノ粒子は、シリカナノ粒子を含む、項目4に記載の芽胞キャリア。
[6]
前記シリカナノ粒子は、酸焼結される、項目5に記載の芽胞キャリア。
[7]
前記ナノ粒子は、20nm以下の平均直径を有する、項目4〜6のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[8]
前記ナノ構造層は、少なくとも10nmの二乗平均粗さを有する、項目1〜7のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[9]
前記ナノ構造層は、500nm以下の二乗平均粗さを有する、項目8に記載の芽胞キャリア。
[10]
前記ナノ構造層は、マイクロ粒子を更に含む、項目1〜9のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[11]
前記ナノ構造層は、バインダーを更に含む、項目1〜10のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[12]
前記バインダーは、テトラアルコキシシランを含む、項目11に記載の芽胞キャリア。
[13]
前記基材は、ポリマー基材である、項目1〜12のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[14]
前記ポリマー基材は、ポリエステルを含む、項目13に記載の芽胞キャリア。
[15]
前記ポリマー基材は、ポリプロピレンを含む、項目14に記載の芽胞キャリア。
[16]
前記基材は、織布又は不織布ウェブである、項目1〜15のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[17]
前記基材は、フィルムである、項目1〜15のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[18]
前記芽胞は、ゲオバチルス・ステアロサーモフィルス及びバチルス・アトロファエウスのうち少なくとも1つを含む、項目1〜17のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
[19]
項目1〜18のいずれか一項に記載の芽胞キャリアを含む生物学的インジケーター。

Claims (7)

  1. 基材と、前記基材表面に接合された親水性層であって、シリカナノ粒子を含みナノ構造表面を有する親水性層と、前記ナノ構造表面に接合された芽胞とを含む芽胞キャリア。
  2. 前記親水性層は、接触角法で測定された50度以下の後退接触角を有する、請求項1に記載の芽胞キャリア。
  3. 前記シリカナノ粒子は、酸焼結されている、請求項1又は2のいずれかに記載の芽胞キャリア。
  4. 前記シリカナノ粒子は、20nm以下の平均直径を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
  5. 前記ナノ構造表面は、10nm以上、500nm以下の二乗平均粗さを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
  6. 前記親水性層は、テトラアルコキシシランバインダーを更に含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
  7. 前記基材は、ポリマー基材である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の芽胞キャリア。
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