装着型のRFコイル装置に電力を送信する方法としては、(1)近接距離間での無線送信が可能な電磁誘導方式及び電解結合方式、(2)やや離れた距離でも無線送信が可能な共振器結合方式、(3)線路を介して電力を送信する線路結合方式などが考えられる。
しかし、RFコイル装置側からMRI装置の制御側にMR信号を無線送信する構成においてユーザの利便性を考えれば、ある程度距離が離れたRFコイル装置に対しても電力を無線送信できることが望まれる。そうでなければ、電力送信側と電力受信側とを何らかの手段で近接固定させることになり、装着型のRFコイル装置の配置に制約がかかる。
そうすると、上記(2)の共振器結合方式が望ましいと考えられるが、従来技術では、共振器結合方式でRFコイル装置に電力を無線送信する発想がなかった。そこで本発明者は、共振器結合方式により、ある程度距離が離れたRFコイル装置に対しても電力を十分且つ有効に無線送信する新技術を捻出した。
本実施形態の共振器結合方式では、電力送信側及び電力受信側の各アンテナ回路の共振周波数が同一に調整される。そして、電力送信側のアンテナ回路に共振周波数の大電流を流すことで共振周波数の電磁波を発生させ、この電磁波によって電力受信側のアンテナ回路を共振させる。
このようにして電力受信側のアンテナ回路に流れる電流により、電力受信側の充放電素子を充電できる。上記充放電素子とは、コンデンサや充電池などのように、充電及び放電の繰り返しが可能な回路素子の意味である。以下の実施形態では充電池BATの例で説明するが、電気二重層コンデンサなどの他の充放電素子を用いてもよい。
以下、上記の新技術が適用されたRFコイル装置、MRI装置及びMRI方法の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態と、第2〜第5の実施形態との違いは、以下になる。
即ち、第1の実施形態では、全身用コイルWB1に電力送信機能を兼用させ、且つ、RFコイル装置内におけるMR信号の検出用の各要素コイルが電力受信機能を兼用する。従って、全身用コイルWB1(図2参照)は、撮像領域へのRFパルスの送信、及び、装着型のRFコイル装置に対する電力の無線送信を行う。
全身用コイルWB1は、被検体からのMR信号の受信機能がなくてもよいが、本実施形態では一例としてMR信号の受信機能を有するものとする。
このため、全身用コイルWB1は二重共振式(二重同調式)の構造であり、ラーモア周波数で共振することでRFパルスを送信し、ラーモア周波数よりも低い所定の周波数で共振することで、RFコイル装置に電力を無線送信する。また、全身用コイルWB1は、ラーモア周波数で共振することで被検体からのMR信号を誘起(検出)する。
同様に、RFコイル装置内の各要素コイルも、二重共振式の構造となる。以下、MRI装置の全体構成から順に説明する。
図1は、第1の実施形態におけるMRI装置10の全体構成を示すブロック図である。煩雑となるので、図1は、MRI装置10の全構成要素を図示している訳ではなく、高域通過フィルタHPF1などの図1で省略した他の構成要素については、図2〜図7で説明する。
ここでは一例として、図1に示すMRI装置10の構成要素を寝台ユニット20、ガントリ30、制御装置40の3つに分けて説明する。
第1に、寝台ユニット20は、寝台21と、天板22と、寝台21内に配置される天板移動機構23とを有する。天板22の上面には、被検体Pが載置される。また、天板22内には、被検体PからのMR信号を検出する受信RFコイル24が配置される。
寝台21は、天板22を水平方向(装置座標系のZ軸方向)に移動可能に支持する。
天板移動機構23は、天板22がガントリ30外に位置する場合に、寝台21の高さを調整することで、天板22の鉛直方向の位置を調整する。
また、天板移動機構23は、天板22を水平方向に移動させることで天板22をガントリ30内に入れ、撮像後には天板22をガントリ30外に出す。
ここでは一例として、被検体Pには、胸部からのMR信号を受信する装着型のRFコイル装置100がセットされる。RFコイル装置100は、無線送信される電力を共振器結合方式で受信し、この電力を消費することで動作する。RFコイル装置100は、被検体Pから検出したMR信号をデジタル化し、デジタル化されたMR信号をMRI装置10の制御側(後述の無線通信装置36)に無線送信する。
本実施形態では、上記胸部用のRFコイル装置100に加えて、骨盤部用RFコイル装置や下肢RFコイル装置などの各種のデジタル無線通信型のRFコイル装置をMR信号の受信用に使用可能である。これらのRFコイル装置は、本実施形態、及び、後述の第2〜第5の実施形態においてもMRI装置10の一部であるとするが、MRI装置10とは別個として捉えてもよい。
第2に、ガントリ30は、例えば円筒状に構成され、撮像室に設置される。ガントリ30は、静磁場磁石31と、シムコイルユニット32と、傾斜磁場コイルユニット33と、RFコイルユニット34と、無線通信装置36とを有する。
静磁場磁石31は、例えば超伝導コイルであり、円筒状に構成される。静磁場磁石31は、後述の制御装置40の静磁場電源42から供給される電流により、撮像空間に静磁場を形成する。撮像空間とは例えば、被検体Pが置かれて、静磁場が印加されるガントリ30内の空間を意味する。なお、静磁場電源42を設けずに、静磁場磁石31を永久磁石で構成してもよい。
シムコイルユニット32は、例えば円筒状に構成され、静磁場磁石31の内側において、静磁場磁石31と軸を同じにして配置される。シムコイルユニット32は、後述の制御装置40のシムコイル電源44から供給される電流により、静磁場を均一化するオフセット磁場を形成する。
傾斜磁場コイルユニット33は、例えば円筒状に構成され、シムコイルユニット32の内側に配置される。傾斜磁場コイルユニット33は、X軸傾斜磁場コイルと、Y軸傾斜磁場コイルと、Z軸傾斜磁場コイルとを有する(図示せず)。
本明細書では、特に断りのない限り、X軸、Y軸、Z軸は装置座標系であるものとする。ここでは一例として、装置座標系のX軸、Y軸、Z軸を以下のように定義する。
まず、鉛直方向をY軸方向とし、天板22は、その上面の法線方向がY軸方向となるように配置される。天板22の水平移動方向をZ軸方向とし、ガントリ30は、その軸方向がZ軸方向となるように配置される。X軸方向は、これらY軸方向、Z軸方向に直交する方向であり、図1の例では天板22の幅方向である。
X軸傾斜磁場コイルは、後述の傾斜磁場電源46から供給される電流に応じたX軸方向の傾斜磁場Gxを撮像領域に形成する。同様に、Y軸傾斜磁場コイルは、傾斜磁場電源46から供給される電流に応じたY軸方向の傾斜磁場Gyを撮像領域に形成する。同様に、Z軸傾斜磁場コイルは、傾斜磁場電源46から供給される電流に応じたZ軸方向の傾斜磁場Gzを撮像領域に形成する。
そして、スライス選択方向傾斜磁場Gss、位相エンコード方向傾斜磁場Gpe、及び、読み出し方向(周波数エンコード方向)傾斜磁場Groは、装置座標系の3軸方向の傾斜磁場Gx、Gy、Gzの合成により、任意の方向に設定可能である。
上記撮像領域は、例えば、1画像又は1セットの画像の生成に用いられるMR信号の収集範囲の少なくとも一部であって、画像となる領域である。撮像領域は例えば、撮像空間の一部として装置座標系で3次元的に規定される。例えば折り返しアーチファクトを防止するために、画像化される領域よりも広範囲でMR信号が収集される場合、撮像領域はMR信号の収集範囲の一部である。一方、MR信号の収集範囲の全てが画像となり、MR信号の収集範囲と撮像領域とが合致する場合もある。また、上記「1セットの画像」は、例えばマルチスライス撮像などのように、1のパルスシーケンスで複数画像のMR信号が一括的に収集される場合の複数画像である。
RFコイルユニット34は、例えば円筒状に構成され、傾斜磁場コイルユニット33の内側に配置される。RFコイルユニット34は、前述の全身用コイルWB1を有する。全身用コイルWB1の詳細については、後述の図2で説明する。また、RFコイルユニット34には、電力の送信のみを行う電力送信コイルが更に含まれていてもよい。
無線通信装置36は、RFコイル装置100から無線送信されるデジタル化されたMR信号を受信し、受信したMR信号をRF受信器50に入力する。
第3に、制御装置40は、静磁場電源42と、シムコイル電源44と、傾斜磁場電源46と、RF送信器48と、電力送信器49と、RF受信器50と、システム制御部61と、システムバスSBと、画像再構成部62と、画像データベース63と、画像処理部64と、入力装置72と、表示装置74と、記憶装置76とを有する。
傾斜磁場電源46は、傾斜磁場Gx、Gy、Gzを形成するための各電流を、X軸傾斜磁場コイル、Y軸傾斜磁場コイル、Z軸傾斜磁場コイルにそれぞれ供給する。
電力送信器49は、全身用コイルWB1に対して、無線送信用の所定周波数の交流電力を送信する。この詳細については、後述の図2及び図3で説明する。
RF送信器48は、システム制御部61から入力される制御情報に基づいて、核磁気共鳴を起こすラーモア周波数のRF電流パルスを生成し、これをRFコイルユニット34に送信する。このRF電流パルスに応じたRFパルスが、RFコイルユニット34から被検体Pに送信される。
全身用コイルWB1、受信RFコイル24は、被検体P内の原子核スピンがRFパルスによって励起されることで発生したMR信号を検出し、検出されたMR信号は、RF受信器50に有線で入力される。
RF受信器50は、全身用コイルWB1、又は、受信RFコイル24から入力されるMR信号に所定の信号処理を施した後、A/D(analog to digital)変換を施し、さらにフィルタリングなどの処理をすることで、MR信号の生データを生成する。生データとは、デジタル化されたMR信号の複素データである。
無線通信装置36からの信号は、A/D変換により既にデジタル化されているので、必要なデータ処理のみが施される。RF受信器50は、MR信号の生データを画像再構成部62に入力する。
システム制御部61は、本スキャンの撮像条件の設定、撮像動作及び撮像後の画像表示において、システムバスSB等の配線を介してMRI装置10全体のシステム制御を行う。
上記撮像条件とは例えば、どの種類のパルスシーケンスにより、どのような条件でRFパルス等を送信し、どのような条件で被検体PからMR信号を収集するかを意味する。撮像条件の例としては、撮像空間内の位置的情報としての撮像領域、スライス数、撮像部位、スピンエコー法やパラレルイメージング等のパルスシーケンスの種類などが挙げられる。上記撮像部位とは、例えば胸部、腹部などの被検体Pのどの部分を撮像領域として画像化するかを意味する。
上記「本スキャン」は、T1強調画像などの、目的とする診断画像の撮像のためのスキャンであって、位置決め画像用のMR信号収集のスキャンや、較正スキャンを含まないものとする。スキャンとは、MR信号の収集動作を指し、画像再構成を含まないものとする。較正スキャンとは例えば、本スキャンの撮像条件の内の未確定のものや、画像再構成処理や画像再構成後の補正処理に用いられる条件やデータを決定するために、本スキャンとは別に行われるスキャンを指す。較正スキャンとしては、本スキャンでのRFパルスの中心周波数を算出するシーケンスなどがある。プレスキャンとは、較正スキャンの内、本スキャン前に行われるものを指す。
また、システム制御部61は、撮像条件の設定画面情報を表示装置74に表示させ、入力装置72からの指示情報に基づいて撮像条件を設定する。また、システム制御部61は、撮像後には、生成された表示用画像データが示す画像を表示装置74に表示させる。
入力装置72は、撮像条件や画像処理条件を設定する機能をユーザに提供する。
画像再構成部62は、位相エンコードステップ数及び周波数エンコードステップ数に応じて、RF受信器50から入力されるMR信号の生データをk空間データとして配置及び保存する。k空間とは、周波数空間の意味である。画像再構成部62は、k空間データに2次元フーリエ変換などを含む画像再構成処理を施すことで、被検体Pの画像データを生成する。画像再構成部62は、生成した画像データを画像データベース63に保存する。
画像処理部64は、画像データベース63から画像データを取り込み、これに所定の画像処理を施し、画像処理後の画像データを表示用画像データとして記憶装置76に保存する。
記憶装置76は、上記の表示用画像データに対し、その表示用画像データの生成に用いた撮像条件や被検体Pの情報(患者情報)等を付帯情報として付属させて記憶する。
なお、上記説明では、MRI装置10の構成要素を寝台ユニット20、ガントリ30、制御装置40の3つに分類したが、これは一解釈例にすぎない。
例えば、天板移動機構23は、制御装置40の一部として捉えてもよい。
或いは、RF受信器50は、ガントリ30外ではなく、ガントリ30内に配置されてもよい。この場合、例えばRF受信器50に相当する電子回路基盤がガントリ30内に配置される。そして、受信RFコイル24等によって電磁波からアナログの電気信号に変換されたMR信号は、当該電子回路基盤内のプリアンプで増幅され、デジタル信号としてガントリ30外に出力され、画像再構成部62に入力される。ガントリ30外への出力に際しては、例えば光通信ケーブルを用いて光デジタル信号として送信すれば、外部ノイズの影響が軽減されるので望ましい。
図2は、第1の実施形態のMRI装置10における全身用コイルWB1の構造の一例を示す模式的斜視図である。なお、分かり易くするために、全身用コイルWB1の回路の導線を、X軸方向にプラス側(手前側)は太線で、マイナス側(奥側)は細線で記載している。また、導線と導線とが交差する箇所について、電気的接続箇所は黒丸で記載し、電気的に接続されていない箇所は一方を半円状で記載し、両者を区別する。
全身用コイルWB1は、第1ループ導体200と、第2ループ導体202と、8個の連絡導体(ラング)204と、16個の並列共振コンデンサCaと、8個の直列共振コンデンサCbとを有する。
図2では、第1ループ導体はX−Y平面に平行な左側の2つのリングに対応し、第2ループ導体はX−Y平面に平行な右側の2つのリングに対応する。
連絡導体204は、図2では一例として、Z軸方向に延在する直線に対応し、その内5個は太線で、3個は細線で記載されている。8個の連絡導体204はそれぞれ、一端側が第1ループ導体200に接続され、他端側が第2ループ導体202に接続される。即ち、第1ループ導体200と、第2ループ導体202と、8つの連絡導体204とにより、全身用コイルWB1はバードケージ型に構成される。
各連絡導体204の途中(例えば中央)には、直列共振コンデンサCbが1つずつ直列に挿入される。
第1ループ導体200において、各連絡導体204との接続ノード間(計8区間)には、第1ループ導体200のリングに並列となるように、並列共振コンデンサCaが1つずつ接続されている。同様に、第2ループ導体202において、各連絡導体204との接続ノード間(計8区間)には、第2ループ導体202のリングに並列となるように、並列共振コンデンサCaが1つずつ接続されている。
即ち、第1ループ導体200又は第2ループ導体202における、連絡導体204との接続ノード間の配線をインダクタンス成分として捉えれば、並列共振コンデンサCaとの間で部分的にはLC回路が成り立つ。
従って、第1の実施形態の全身用コイルWB1は、回路的には、特許第2714044号の図1の二重共振高周波コイルの(梯子型遅延回路の)エレメント数を6個から8個に変更した構造である。ここでのエレメント数とは、連絡導体204の数に等しい。
このため、全身用コイルWB1は2つの異なる周波数で共振するので、高い方の共振周波数を第1共振周波数f1、低い方の共振周波数を第2共振周波数f2とする。
第1共振周波数f1がラーモア周波数となるように、且つ、第2共振周波数f2が電力送信用の周波数となるように、全身用コイルWB1の回路定数は設定される。ラーモア周波数は、本明細書では、磁気共鳴周波数と同義であるものとする。
ここでの回路定数とは、(1)並列共振コンデンサCaの容量値、(2)直列共振コンデンサCbの容量値、(3)第1ループ導体200における、連絡導体204との接続ノード間のインダクタンス、(4)第2ループ導体202における、連絡導体204との接続ノード間のインダクタンス等である。
電力送信用の第2共振周波数f2については、MRI装置10が設置される国毎に規制で制限される周波数帯を避けることになるが、本願出願時の日本国では、例えば6MHz帯や、13MHz帯の周波数を使用できる。
但し、RFパルスの送信時やMR信号の検出時に拘らず、RFコイル装置に対して継続的に電力を無線送信する場合(後述の図8参照)、第2共振周波数f2は、ラーモア周波数の自然数分の1の周波数を避けることが更に安全である。
また、第1共振周波数f1、第2共振周波数f2の数式は、特許第2714044号の第3項に記載されているので、ここでは詳細な説明を省略する。
全身用コイルWB1は8エレメントのバードケージ型なので、図2では一例として、角度が90度異なる各接続ノードからQD(quadrature phase:直角位相)方式により給電される。これは、磁場の発生方向を考慮して、送信エネルギーを原子核スピンの回転(励起)に効率的に寄与させるためである。
具体的には、高周波送受信ケーブル210、212はそれぞれ、第1ループ導体200において、角度が90度異なる箇所に接続される。即ち、両端に高周波送受信ケーブル210が接続された1個の並列共振コンデンサCaと、両端に高周波送受信ケーブル212が接続された別の並列共振コンデンサCaとの間には、更に別の1個の並列共振コンデンサCaが挟まれる。
また、電力送信ケーブル220は、1個の連絡導体204の直列共振コンデンサCbの両端に接続され、電力送信ケーブル222は、別の連絡導体204の直列共振コンデンサCbの両端に接続される。全身用コイルWB1をX−Y平面の断面で見た場合、連絡導体204の数が8のところ、電力送信ケーブル220が接続された連絡導体204と、電力送信ケーブル222が接続された連絡導体204との間に1個の連絡導体204が介在するのでQD方式になる。
なお、図2では、これら高周波送受信ケーブル210、212及び電力送信ケーブル220、222の全身用コイルWB1に対する接続配線は、全身用コイルWB1の導線との区別のため、点線で記載されている。
図3は、第1の実施形態のMRI装置10において、RFパルスの送信系統、及び、電力送信系統に関わる構成を示すブロック図である。図中のGNDは接地線(grand line)を示す。
図3に示すように、MRI装置10は、位相分割器230、232と、高域通過フィルタHPF1、HPF2と、低域通過フィルタLPF1、LPF2とを更に有する。高域通過フィルタHPF1、HPF2はそれぞれ、高周波送受信ケーブル210、212に直列に挿入される。低域通過フィルタLPF1、LPF2はそれぞれ、電力送信ケーブル220、222に直列に挿入される。
RF送信器48は、第1共振周波数f1をシステム制御部61から入力されるラーモア周波数に設定し、第1共振周波数f1の高周波電力を位相分割器230に給電する。
位相分割器230は、入力された高周波電力を増幅すると共に、位相が互いに90°異なるRFパルス(高周波パルス)に2分割する。位相分割器230は、分割された一方の位相(0°)のRFパルスを高周波送受信ケーブル210経由で全身用コイルWB1の並列共振コンデンサCaの両端に給電する。また、位相分割器230は、分割された他方の位相(90°)のRFパルスを高周波送受信ケーブル212経由で全身用コイルWB1の別の並列共振コンデンサCaに給電する。
これにより、全身用コイルWB1は第1共振周波数f1で共振するため、全身用コイルWB1から撮像領域にQD方式でRFパルスが送信される。
なお、高域通過フィルタHPF1、HPF2は、第1共振周波数f1よりも低い第2共振周波数f2が全身用コイルW1を介して位相分割器230側に侵入することを防止する。
一方、電力送信器49は、第2共振周波数f2をシステム制御部61から入力される電力送信用の周波数に設定し、第2共振周波数f2の交流電力を位相分割器232に給電する。位相分割器232は、入力された電力を増幅すると共に、位相が互いに90°異なるように2分割する。
位相分割器230は、分割された一方の位相(0°)の交流電力を電力送信ケーブル220経由で全身用コイルWB1の直列共振コンデンサCbの両端に給電する。また、位相分割器230は、分割された他方の位相(90°)の交流電力を電力送信ケーブル222経由で全身用コイルWB1の別の直列共振コンデンサCbに給電する。
これにより、全身用コイルWB1は第2共振周波数f2で共振するため、全身用コイルWB1からQD方式で第2共振周波数f2の電磁波が発信される。即ち、RFコイル装置100に対し電力が無線送信される。
なお、低域通過フィルタLPF1、LPF2は、第1共振周波数f1が全身用コイルW1を介して位相分割器232側に侵入することを防止する。
また、電力送信側はQD方式である必要性は特になく、図2のケーブル222や図3の位相分割器232は省いてもよい。
図4は、第1の実施形態のRFコイル装置100の要素コイルの構成の一例を示す模式的な等価回路図である。図4では煩雑化を避けるため、4個の要素コイルEC1〜EC4を示すが、要素コイルの数は5個以上でも3個以下でもよい。
図4に示すように、各要素コイルEC1〜EC4は、スイッチSW1と、コンデンサC1、C2、CSと、コイルL1とを有する。各要素コイルEC1〜EC4は、二重共振式である。
即ち、各要素コイルEC1〜EC4において、コンデンサC1、C2、CSの各容量値やコイルL1のインダクタンス値は、第1共振周波数f1がラーモア周波数となるように、且つ、第2共振周波数f2が交流電力の送信周波数となるように整合されている。この点、次の図5で更に説明する。また、スイッチSW1のオンオフの切替については、後述の図7で説明する。
また、RFコイル装置100は、要素コイルEC1〜EC4にそれぞれ対応して、要素コイルと同数の同軸ケーブル104を有する。各要素コイルEC1〜EC4のコンデンサC2の両端には、各同軸ケーブル104の一端側がそれぞれ接続される。各同軸ケーブル104の他端側は、RFコイル装置100の制御系102に接続される。各同軸ケーブル104の一端側には、コンデンサC3が挿入される。
各要素コイルEC1〜EC4のコンデンサC2、及び、各同軸ケーブル104内に挿入されたコンデンサC3の各容量値は、これらがインピーダンスマッチング回路として機能するように選択される。なお、図4において、制御系102に接続されたアンテナ106a〜106dについては、後述の図7で説明する。
図5は、図4の要素コイルEC1をインピーダンスZ1、Z2の並列回路として捉えた場合の等価回路図を示す。
図5のインダクタンス成分LSは、図4の各要素コイルEC1〜EC4の配線において、同軸ケーブル104との2箇所の接続ノード間を除いた部分のインダクタンスに相当する。即ち、コンデンサC2−C3間の接続ノードを起点とし、スイッチSW1等を通って、コンデンサC1、C2、同軸ケーブル104の接続ノードを終点とする配線のインダクタンス成分がLSである。
従って、各要素コイルEC1〜EC4のインピーダンスZtは、点線枠のインピーダンスZ1の部分と、一点鎖線枠のインピーダンスZ2の部分との並列回路のインピーダンスZtに相当する。
そうすると、コンデンサC1、C2、CSの各容量値をそれぞれC1、C2、Csとし、コイルL1のインダクタンス値をL1とし、インダクタンス成分LSのインダクタンス値をLsとすれば、第1共振周波数f1及び第2共振周波数f2は、以下の(1)式及び(2)式で表わされる。
図6は、第1の実施形態のRFコイル装置100の制御系102におけるMR信号の処理系統及び充電系統を示すブロック図である。図6に示すように、制御系102は、充電池BATを有する。更に制御系102は、各要素コイルEC1〜EC4にそれぞれ対応するように、デュプレクサ(分波器)DP1〜DP4と、プリアンプPA1〜PA4と、A/D変換器AD1〜AD4と、整流器RC1〜RC4とを有する。
なお、全ての要素コイルEC1〜EC4の配線を示すと煩雑化となるため、図6では、要素コイルEC1、EC2の接続先の配線のみを示す。従って、デュプレクサDP3、DP4と、プリアンプPA3、PA4、A/D変換器AD3、AD4は図示していない。
デュプレクサ(分波器)DP1〜DP4は、同軸ケーブル104を介して各要素コイルEC1〜EC4にそれぞれ接続される。ここで、各要素コイルEC1〜EC4は、被検体Pから発せられるMR信号の周波数(ラーモア周波数に設定される第1共振周波数f1)で共振するので、微弱なMR信号を検出する。
また、各要素コイルEC1〜EC4は、全身用コイルWB1から発せられる第2共振周波数f2の電磁波を受信して共振することで、交流電力を無線で受給する。各要素コイルEC1〜EC4で受信されたMR信号及び交流電力は、同軸ケーブル104を介して制御系102のデュプレクサDP1〜DP4にそれぞれ取り込まれる。
デュプレクサDP1〜DP4は、第1共振周波数f1の電流成分(MR信号)を抽出してプリアンプPA1〜PA4にそれぞれ入力する。
また、デュプレクサDP1〜DP4は、第2共振周波数f2の電流成分(交流電力)を抽出して、整流器RC1〜RC4にそれぞれ入力する。
各整流器RC1〜RC4は、デュプレクサDP1〜DP4からそれぞれ入力される交流電流を直流電流に変換し、この直流電流を充電電流として、充電池BATに供給する。
各プリアンプPA1〜PA4は、デュプレクサDP1〜DP4からそれぞれ入力される第1共振周波数f1のMR信号を増幅して、A/D変換器AD1〜AD4にそれぞれ入力する。
A/D変換器AD1〜AD4は、入力された(アナログの)MR信号をデジタル化し、デジタル化されたMR信号を後段(図7参照)に入力する。
図7は、第1の実施形態のMRI装置10において、MR信号のデジタル無線通信系統に関わる構成を示すブロック図である。全ての要素コイルの配線を示すと煩雑化となるため、図7においても、図6と同様に、RFコイル装置100に関して要素コイルEC1、EC2の接続先の配線のみを示し、他の要素コイルEC3、EC4の配線を省略する。
図7に示すように、RFコイル装置100の制御系102は、CPU(Central Processor Unit)110と、P/S変換器(Parallel/Serial Converter)PSCと、データ送信部116と、参照信号受信部118と、ID送信部(Identification Information Transmitting Unit)122と、ゲート信号受信部124とを更に有する。
また、無線通信装置36は、アンテナ306a〜306dと、データ受信部316と、参照信号送信部318と、ID受信部(Identification Information Receiving Unit)322と、ゲート信号送信部324とを有する。
また、MRI装置10(の制御装置40)は、周波数アップコンバージョン部402と、パルス波形生成部404と、固定周波数生成部406と、可変周波数生成部408とを更に有する。
また、RF受信器50は、周波数ダウンコンバージョン部410と、信号処理部412とを有する。
第1の実施形態では一例として、RFコイル装置100と無線通信装置36との間には、4つの無線通信経路が存在する。以下、これらについて順に説明する。
第1に、アンテナ106c−306c間では、RFコイル装置100の識別情報が無線送信される。具体的には例えば、ID送信部122は、上記識別情報を予め記憶しているか、又は、CPU110から取得する。ID送信部122は、上記識別情報のデジタル信号の無線出力のパワーを遠隔無線通信に適したレベルにして、アンテナ106cに入力する。アンテナ106cは、識別情報のデジタル信号の電磁波を放射する。
無線通信装置36のアンテナ306cは、アンテナ106cから放射された搬送波を検出し、ID受信部322に入力する。ID受信部322は、入力された搬送波からRFコイル装置100の識別情報を抽出して、これをシステム制御部61に入力する。これにより、胸部用RFコイル装置などの各種RFコイル装置のどれが現在接続されているか等のRFコイル装置に関する情報がシステム制御部61に認識される。
第2に、アンテナ306d−106d間では、無線通信装置36からRFコイル装置100に対し、デジタルのゲート信号が撮像中に継続的に無線送信される。ゲート信号は、各コイル素子EC1〜EC4のオンオフを切り替えるスイッチSW1の制御信号である。
具体的には、ゲート信号送信部324は、ゲート信号の無線出力のパワーを遠隔無線通信に適したレベルしてアンテナ306dに入力し、アンテナ306dはゲート信号の電磁波を放射する。RFコイル装置100のアンテナ106dは、アンテナ306dから放射された搬送波を検出し、ゲート信号受信部124に入力する。
ゲート信号受信部124は、入力された搬送波からゲート信号を抽出してCPU110に入力する。CPU110は、ゲート信号に基づいて、各コイル素子EC1〜EC4のオンオフをスイッチSW1により切り替える。
なお、ゲート信号送信部324からゲート信号受信部124にトリガ信号が送信され、ゲート信号受信部124内でトリガ信号に基づいてゲート信号が生成される構成でもよい。
RFコイル装置100に対する電力の無線送信のタイミングについては、次の図8〜図11で4つの例を述べるが、ここでは、RFパルスが被検体Pに送信される期間では電力の無線送信が実行されない場合(図10参照)を考える。
RFパルスが被検体Pに送信される期間では、アンテナ306dからRFコイル装置100に入力されるゲート信号は、例えばオンレベルにされる。ゲート信号がオンレベルの期間では、上記スイッチSW1はオフ状態となり、各コイル素子EC1〜EC4は、ループが途切れた状態となるので、MR信号を検出できず、交流電力を受信することもできない。
被検体PへのRFパルスの送信期間を除く期間では、例えばオフレベルのゲート信号が無線送信される。ゲート信号がオフレベルの期間では、上記スイッチSW1はオン状態となり、各コイル素子EC1〜EC4は、MR信号を検出できると共に、交流電力を受信可能である。
第3に、アンテナ306b−106b間では、無線通信装置36からRFコイル装置100にデジタルの参照信号が撮像中に継続的に無線送信される。参照信号は、MR信号の送信側であるRFコイル装置100と、固定周波数生成部406をベースとしたシステムの基準周波数とを同期させる信号である。参照信号送信部318は、固定周波数生成部406から入力される基準クロック信号に変調、周波数変換、増幅、フィルタリング等の処理を施すことで、参照信号を生成する。
固定周波数生成部406は、一定周波数の基準クロック信号を生成するものである。固定周波数生成部406は、基準クロック信号を生成するために、例えば安定度の高い水晶発振器などを有する。固定周波数生成部406は、参照信号送信部318及び可変周波数生成部408に基準クロック信号を入力する。また、固定周波数生成部406は、画像再構成部62やパルス波形生成部404などのMRI装置10内でクロック同期が行われる箇所にも基準クロック信号を入力する。
可変周波数生成部408は、PLL(Phase-Locked Loop:位相同期回路)、DDS(Direct Digital Synthesizer:デジタル直接合成発振器)、ミキサなどを有する。可変周波数生成部408は、上記の基準クロック信号に基づいて動作する。
可変周波数生成部408は、RFパルスの中心周波数としてシステム制御部61から入力される設定値に一致する可変周波数のローカル信号(クロック信号)を生成する。
そのために、システム制御部61は、プレスキャンの前にRFパルスの中心周波数の初期値を可変周波数生成部408に入力する。また、システム制御部61は、プレスキャン後にはRFパルスの中心周波数の補正値を可変周波数生成部408に入力する。
可変周波数生成部408は、周波数ダウンコンバージョン部410及び周波数アップコンバージョン部402に対して、上記の可変周波数のローカル信号を入力する。
また、RFコイル装置100の各A/D変換器AD1〜AD4におけるサンプリングのタイミングを決めるトリガ信号(A/D変換開始信号)が、システム制御部61から参照信号送信部318に入力される。ここでのサンプリングとは例えば、アナログ信号の強さを一定時間ごとに採取し、デジタル記録が可能な形にすることである。
ここでは一例として、参照信号送信部318は、トリガ信号を参照信号に重畳することで参照信号及びトリガ信号の双方を無線送信する。
具体的には、参照信号送信部318は、トリガ信号が重畳された参照信号の無線出力のパワーを遠隔無線通信に適したレベルにして、アンテナ306bに入力する。アンテナ306bはトリガ信号が重畳された参照信号の電磁波を放射する。RFコイル装置100のアンテナ106bは、アンテナ306bから放射された搬送波を検出して、参照信号受信部118に入力する。参照信号受信部118は、入力された搬送波からトリガ信号及び参照信号をそれぞれ抽出して、各A/D変換器AD1〜AD4にそれぞれ入力する。
第4に、アンテナ106a−306a間では、RFコイル装置100から無線通信装置36にデジタルのMR信号が無線送信される。
具体的には、MR信号の受信用に選択されたコイル素子(コイル素子EC1〜EC4の少なくとも1つ)で検出されたアナログのMR信号は、図6で説明したように、デュプレクサ(DP1〜DP4)を介して交流電力成分が除去された後、プリアンプ(PA1〜PA4)で増幅され、A/D変換器(AD1〜AD4)に入力される。
各A/D変換器(AD1〜AD4)は、トリガ信号が送信されたタイミングに同期して、参照信号(サンプリングクロック信号)に基づいてサンプリング及び量子化を開始することで、入力されるアナログのMR信号をデジタル信号に変換する。MR信号の受信用に選択されていないコイル素子EC1〜EC4が存在する場合、本実施形態では一例として、当該非選択のコイル素子EC1〜EC4に対応するプリアンプ(PA1〜PA4)及びA/D変換器(AD1〜AD4)は動作しない。
各A/D変換器(AD1〜AD4)は、デジタルのMR信号をP/S変換器PSCに入力する。複数のコイル素子(EC1〜EC4)がMR信号の受信用に選択されている場合、これらコイル素子で検出され、それぞれA/D変換されたMR信号は複数である。
この場合、P/S変換器PSCは、これら複数のMR信号を無線送信用にパラレル信号からシリアル信号に変換し、当該シリアル信号をデータ送信部116に入力する。本実施形態の例では、MR信号の送信用のアンテナは、アンテナ106aの1つだけだからである。
但し、本実施形態はシリアル信号として無線送信する態様に限定されるものではない。例えばMR信号の送信用及び受信用のアンテナ数を増やす等により、パラレル信号のまま無線送信する構成でもよい。
データ送信部116は、入力されたシリアルのMR信号に対し、誤り訂正符号化、インタリーブ、変調、周波数変換、増幅、フィルタリングなどの処理を施すことで、シリアル信号かつデジタル信号である無線送信用のMR信号を生成する。データ送信部116は、無線送信用のMR信号のパワーを遠隔無線通信に適したレベルにして、アンテナ106aに入力する。アンテナ106aは、MR信号の電磁波を放射する。
無線通信装置36のアンテナ306aは、アンテナ106aから放射された搬送波を検出してデータ受信部316に入力する。データ受信部316は、アンテナ306aから入力されるMR信号に対して、増幅、周波数変換、復調、逆インタリーブ、誤り訂正復号等の処理を施す。これにより、データ受信部316は、無線送信用のMR信号から元のデジタルのMR信号を抽出し、抽出したMR信号をRF受信器50の周波数ダウンコンバージョン部410に入力する。
周波数ダウンコンバージョン部410は、可変周波数生成部408から入力されるローカル信号を、データ受信部316から入力されるMR信号に乗算し、更にフィルタリングによって所望の信号帯域のみを通過させる。これにより、周波数ダウンコンバージョン部410は、MR信号を周波数変換(ダウンコンバージョン)し、周波数が低くされたMR信号を信号処理部412に入力する。
信号処理部412は、上記「周波数が低くされたMR信号」に所定の信号処理を施すことで、MR信号の生データを生成する。MR信号の生データは、画像再構成部62に入力され、画像再構成部62において、k空間データに変換されて保存される。
なお、ゲート信号については、トリガ信号と同様に参照信号に重畳してもよい。この場合、アンテナ106d、306dなどの構成を省くことで無線通信経路数を1つ減らせるので、無線通信装置36及びRFコイル装置100の構成を簡素化できる。
また、データ送信部116、ID送信部122、参照信号送信部318、ゲート信号送信部324が生成する遠隔無線通信の信号(搬送波)の周波数は、被検体Pに送信されるRFパルスの周波数(ラーモア周波数)の整数分の1の周波数を避けることが望ましい(第1の実施形態では、搬送周波数はそのように設定される)。
また、RFコイル装置100及び無線通信装置36は、無線通信の搬送波の周波数分離を行う。具体的には、データ送信部116、ID送信部122、参照信号送信部318、ゲート信号送信部324がそれぞれ生成する4つの無線通信の搬送波の周波数は、大きく離れた値にされる。
以上が4つの無線通信経路に関する説明である。
図7においてシステム制御部61は、入力装置72(図1参照)を介して操作者が入力した撮像条件に基づいて、パルスシーケンスにおける繰り返し時間、RFパルスの種別、RFパルスの中心周波数、及び、RFパルスの帯域幅などの撮像条件を決定する。システム制御部61は、このように決定した撮像条件をパルス波形生成部404に入力する。
パルス波形生成部404は、システム制御部61から入力される撮像条件に応じて、固定周波数生成部406から入力される基準クロック信号を用いてベースバンドのパルス波形信号を生成する。パルス波形生成部404は、ベースバンドのパルス波形信号を周波数アップコンバージョン部402に入力する。
周波数アップコンバージョン部402は、ベースバンドのパルス波形信号に対し、可変周波数生成部408から入力されるローカル信号を乗算し、更にフィルタリングによって所望の信号帯域のみを通過させることで、周波数変換(アップコンバージョン)を実行する。周波数アップコンバージョン部402は、このようして周波数が上げられたベースバンドのパルス波形信号をRF送信器48に入力する。
RF送信器48は、入力されたパルス波形信号に基づいて、RFパルスを生成する。
図8〜図11はそれぞれ、電力送信のタイミングの第1〜第4の例を示すタイミング図である。図8〜図11において、各横軸は経過時間tである。
また、図8〜図11において、上段のタイミング図は、(イメージング用の)RFパルスの送信タイミングを示し、太線が三角形状に上がっている期間は、RFパルスの送信期間である。
また、図8〜図11において、中段のタイミング図は、MR信号の検出タイミングを示し、太線が長方形状に上がっている期間は、RFコイル装置100のコイル素子(EC1〜EC4)によるMR信号の検出期間である。
また、図8〜図11において、下段のタイミング図は、電力の無線送信タイミングを示し、図中の太線がオン(ON)レベルのタイミングで電力が送信され、図中の太線がオフ(OFF)レベルのタイミングでは電力は送信されない。
図8は、全身用コイルWB1からRFコイル装置100に対して常時電力が無線送信される場合である。ここでの「常時」とは、パルスシーケンスにおけるRFパルスの送信期間やMR信号の検出期間等に拘らず、継続的に電力が無線送信される、という意味である。
図9は、MR信号の検出期間のみを避けて、RFコイル装置100に対して電力が無線送信される場合である。かかる制御は、例えばシステム制御部61により、電力送信器49から、MR信号の検出期間のみを避けて交流電力を出力させることで可能である。
ここで、第1の実施形態では、RFコイル装置100のコイル素子EC1〜EC4が電力の受信と、MR信号の検出とを兼用し、全身用コイルWB1がRFパルスの送信と、電力の無線送信とを兼用する。これは一例にすぎず、更にコイルを設けることで、コイル毎に各機能を分けてもよい。
例えば後述の第4及び第5の実施形態のように、電力受信専用のコイルをRFコイル装置内に設けることで、MR信号の検出は検出専用のコイルで実行し、電力の受信は電力受信専用のコイルで実行してもよい。
或いは、例えば後述の第2及び第3の実施形態のように、電力送信専用のコイルを例えばガントリ30内に別途設けることで、全身用コイルWB1ではRFパルスの送信及びMR信号の受信を実行し、電力送信専用のコイルで電力を無線送信してもよい。このように別途のコイルを設けることでコイル毎に各機能を分ける場合も含めると、例えば以下の第1〜第3の場合に、図9のようにMR信号の検出期間を避けて電力を無線送信することが望ましい。
第1に、MR信号を検出するRFコイル装置側のコイル(第1の実施形態ではコイル素子EC1〜EC4)と、電力を無線送信するコイル(第1の実施形態では全身用コイルWB1)とがカップリングし易い場合である。カップリングとは、一方のコイル系へ高周波電流を流した場合に、他方のコイル系へ高周波電流が漏れることを言う。これを避けるためにMR信号を受信するタイミングで、電力を送信するコイルをオフにする。
第2に、RFコイル装置内において、MR信号の検出専用のコイルと、電力受信専用のコイルとがカップリングし易い場合である。これを避けるためにMR信号の検出期間に電力受信専用のコイルをオフにする。
第3に、条件次第ではRFコイル装置内の電力受信回路が無線での電力受信時にノイズを発生するため、ノイズの発生期間と、MR信号の検出期間とが重なる場合である。この場合、MR信号の検出及び処理系にノイズが混入しうるので、図9の態様が望ましい。第3の場合、MR信号の検出期間にRFコイル装置内の電力受信専用のコイルをオフにする必要はなく、電力送信を止めるだけでもよい。
図10は、(RFコイルユニット34からの)RFパルスの送信期間のみを避けて、RFコイル装置100に対して電力が無線送信される場合である。かかる制御は、例えば、RF送信器48からの高周波電流の出力期間を避けて電力送信器49から交流電力を出力させるように、システム制御部61が電力送信器49を制御することで可能である。
前述のようにコイル毎に各機能を分ける場合も含めると、例えば以下の第1、第2の場合に、図10のようにRFパルスの送信期間を避けて電力を無線送信することが望ましい。
第1に、被検体PにRFパルスを送信するコイルと、RFコイル装置側に電力を無線送信するコイルとがカップリングし易い場合である。
第2に、被検体PにRFパルスを送信するコイルと、RFコイル装置内における電力を受信するコイルとがカップリングし易い場合である。
図11は、RFパルスの送信期間と、RFコイル装置100によるMR信号の検出期間とを避けて、RFコイル装置100に対して電力が無線送信される場合である。図11の態様は、図8〜図10の態様と対比して、カップリングやノイズ混入を避ける意味では最も効果的である。具体的には、例えば以下の2条件が重なる場合、図11の態様が特に望ましい。
第1条件は、RFコイル装置側に電力を無線送信するコイル、及び、RFコイル装置内の電力受信コイルの少なくとも一方と、被検体PにRFパルスを送信するコイルとがカップリングし易いことである。
第2条件は、RFコイル装置側に電力を無線送信するコイル、及び、RFコイル装置内の電力受信コイルの少なくとも一方と、RFコイル装置内のMR信号を検出するコイルとがカップリングし易いことである。
図12は、第1の実施形態におけるMRI装置10の動作の流れを示すフローチャートである。以下、前述した各図を適宜参照しながら、図12に示すステップ番号に従って、MRI装置10の動作を説明する。
[ステップS1]天板22(図1参照)上の被検体PにRFコイル装置100が装着される。システム制御部61は、MRI装置10の初期設定を行う。
また、システム制御部61は、例えば操作者の操作によって入力装置72を介して給電開始の指示を受けることで、電力送信器49及び全身用コイルWB1(図2参照)から第2共振周波数f2での交流電力の無線送信を開始させる。これにより、RFコイル装置100内のコイル素子EC1〜EC4によって交流電力が受信され、充電池BATが充電される。この動作については、図3〜図6で説明済である。
電力の受給後、RFコイル装置100のCPU110は、充電池BATの電力に基づいて、ID送信部122からRFコイル装置100の識別情報をID受信部322に無線送信させる。この動作は図7で説明済である。
これにより、システム制御部61は、どのRFコイル装置が被検体Pに装着されているか、及び、当該RFコイル装置100との無線接続状況が正常であることを認識する。
RFコイル装置100との無線接続状況が正常であることを認識した場合、システム制御部61は、RFコイル装置100との通信許可をMRI装置10の各部に出力後、電力送信器49及び全身用コイルWB1に電力の無線送信を継続させる。
電力の無線送信のタイミングについては、ここでは一例として、システム制御部61は、パルスシーケンスの種類に応じて図8〜図11のいずれか1つに設定する。
電力の受信時つまり充電時にはRFコイル装置100の制御系102の発熱量が増加する。よって、単位時間当たりの送信RFパルスの電力によって、電力の無線送信のタイミングを調整した方がよい。
第1の例として、繰り返し時間が長い等の理由で単位時間当たりの送信RFパルスが少ない場合、システム制御部61は、図8のように常時電力を送信する態様に設定する。
第2の例として、繰り返し時間が短いなどの理由で単位時間当たりの送信パルスが多い場合、システム制御部61は、図9〜図11のように電力の無線送信のタイミングを調整する。
但し、上記選択方法は、図8〜図11で述べたカップリングやノイズ混入のおそれがあまりないように、全身用コイルWB1やRFコイル装置100が設計されている場合の一例である。
従って、電力の無線送信のタイミングについて、システム制御部61は、図8〜図11の内、入力装置72に対する操作者の操作によって選択された態様に設定してもよい。また、図8〜図11の4態様もあくまで例にすぎず、電力の無線送信のタイミングはこれらに限定されるものではない。
参照信号送信部318(図7参照)は、上記通信許可に従って、アンテナ306b−106b間の無線通信経路により、RFコイル装置100の参照信号受信部118に対して、トリガ信号が重畳された参照信号の入力を開始する(参照信号は継続的に無線送信される)。
また、天板移動機構23(図1参照)は、システム制御部61の制御に従って、ガントリ30内に天板22を移動させる。この後、ステップS2に進む。
[ステップS2]システム制御部61は、入力装置72を介してMRI装置10に対して入力された撮像条件や、ステップS1で取得した使用コイルの情報(この例ではRFコイル装置100を用いること)に基づいて、本スキャンの撮像条件の一部を設定する。この後、ステップS3に進む。
[ステップS3]システム制御部61は、MRI装置10の各部を制御することで、プレスキャンを実行させる。プレスキャンでは、例えば、RFパルスの中心周波数の補正値が算出される。この後、ステップS4に進む。
[ステップS4]システム制御部61は、プレスキャンの実行結果に基づいて、本スキャンの残りの撮像条件を設定する。撮像条件には、どのコイル素子EC1〜EC4を本スキャンにおいて、MR信号の検出に用いるかの情報も含まれる。
従って、システム制御部61は、本スキャンで受信に用いるコイル素子の情報を、いずれかの無線通信経路でRFコイル装置100のCPU110に入力する。この情報は例えば、ゲート信号送信部324からゲート信号受信部124に無線送信された後、ゲート信号受信部124からCPU110に入力される。この後、ステップS5に進む。
[ステップS5]システム制御部61は、MRI装置10の各部を制御することで、本スキャンを実行させる。具体的には、静磁場電源42により励磁された静磁場磁石31によって撮像空間に静磁場が形成される。また、シムコイル電源44からシムコイル32に電流が供給されて、撮像空間に形成された静磁場が均一化される。
なお、本スキャンの実行中において、アンテナ306d−106d間では、ゲート信号送信部324からゲート信号受信部124に前述のゲート信号が継続的に無線送信されている。
この後、入力装置72からシステム制御部61に撮像開始指示が入力されると、以下の<1>〜<4>の処理が順次繰り返されることで、被検体PからのMR信号が収集される。
<1>システム制御部61は、パルスシーケンスに従って傾斜磁場電源46、RF送信器48及びRF受信器50を駆動させることで、被検体Pの撮像部位が含まれる撮像領域に傾斜磁場を形成させると共に、RFコイルユニット34(の全身用コイルWB1等)から被検体PにRFパルスを送信する。
図10又は図11のタイミングで電力が無線送信される場合、RFパルスが被検体Pに送信される期間のみ、ゲート信号は例えばオンレベルにされる。その場合、RFコイル装置100のゲート信号受信部124からCPU110にオンレベルのゲート信号が入力され、RFコイル装置100の各コイル素子EC1〜EC4はオフ状態となり、カップリングが防止される。
図8又は図9のタイミングで電力が無線送信される場合、RFパルスが被検体Pに送信される期間も、コイル素子EC1〜EC4により電力が受信されるため、ゲート信号はオフレベルのままにされる。
<2>図10又は図11のタイミングで電力が無線送信される場合、RFパルスの送信後、各ゲート信号は例えばオフレベルに切り替えられ、ステップS4でMR信号の受信用に選択されたコイル素子(EC1〜EC4の少なくとも1つ)は、被検体P内の核磁気共鳴により生じたMR信号を検出する。
図8又は図9のタイミングで電力が無線送信される場合、ゲート信号はオフレベルのまま、上記同様にコイル素子によりMR信号が検出される。
検出されたMR信号は、図6及び図7で説明したように、デュプレクサ(DP1〜DP4)、プリアンプ(PA1〜PA4)、A/D変換器(AD1〜AD4)に順次入力される。
<3>MR信号の受信用に選択された各コイル素子(EC1〜EC4のいずれか)に対応する各A/D変換器(AD1〜AD4のいずれか)は、トリガ信号の送信タイミングに同期して、参照信号に基づいてMR信号のサンプリング及び量子化を開始する。
各A/D変換器は、デジタルのMR信号をP/S変換器PSCにそれぞれ入力する。
P/S変換器PSCは、入力された単数又は複数のMR信号をシリアル信号に変換し、これをデータ送信部116に入力する。
データ送信部116は、シリアルのMR信号に所定の処理を施すことで無線送信用のMR信号を生成し、これをアンテナ106aから無線送信する。
<4>無線通信装置36のデータ受信部316は、アンテナ306aで受信した無線送信用のMR信号から元のデジタルのMR信号をコイル素子毎に抽出する。各データ受信部316は、抽出した各MR信号を、RF受信器50の周波数ダウンコンバージョン部410にそれぞれ入力する。
なお、RFコイル装置100のみならず、受信RFコイル24もMR信号の受信に用いられる場合、受信RFコイル24内の各コイル素子で受信されたMR信号は、有線でRF受信器50の周波数ダウンコンバージョン部410に入力される。
周波数ダウンコンバージョン部410は、入力されるMR信号に周波数ダウンコンバージョンを施し、周波数が落とされた各MR信号を信号処理部412に入力する。
信号処理部412は、所定の信号処理を施すことで、MR信号の生データを生成する。MR信号の生データは、画像再構成部62に入力され、画像再構成部62においてk空間データに変換されて保存される。
以上の<1>〜<4>の処理が繰り返されることで、RFコイル装置100内の選択されたコイル素子で検出されたMR信号の収集が終了後、ステップS6に進む。なお、以上の<1>〜<4>の処理の期間中においても、継続的(図8参照)又は一部断続的(図9〜図11参照)に、RFコイル装置100は無線による電力の受給動作も実行する。
[ステップS6]画像再構成部62は、フーリエ変換等を含む画像再構成処理をk空間データに施すことで画像データを再構成する。画像再構成部62は、再構成された画像データを画像データベース63に保存する。この後、ステップS7に進む。
[ステップS7]画像処理部64は、画像データベース63から画像データを取り込み、これに所定の画像処理を施すことで表示用画像データを生成し、この表示用画像データを記憶装置76に保存する。システム制御部61は、表示用画像データを表示装置74に転送し、表示用画像データが示す画像を表示装置74に表示させる。
なお、図12ではステップS1において参照信号の入力が開始されるが、これは一例にすぎない。例えば、ステップS3のプレスキャンの直前(即ち、ステップS2での撮像条件の設定後)に、参照信号の入力が開始されてもよい。
以上が第1の実施形態のMRI装置10の動作説明である。
このように第1の実施形態では、全身用コイルWB1及びコイル素子EC1〜EC4が二重共振式の回路で構成され、両者の第1共振周波数f1及び第2共振周波数f2が同じにされる。即ち、全身用コイルWB1は、第1共振周波数f1で共振することで被検体PにRFパルスを送信し、第2共振周波数f2で共振することでRFコイル装置100に電力を電磁波で無線送信する。そして、コイル素子EC1〜EC4は、第1共振周波数f1で共振することで被検体PからのMR信号を検出し、第2共振周波数f2で共振することで、無線送信される電力を受信する。
このように共振器結合方式に基づく交流電力の無線送信であるため、電力送信側と、電力受信側のRFコイル装置100との距離がある程度離れていても、電力を送信可能である。即ち、第1の実施形態のMRI装置10によれば、RFコイル装置で検出されたMR信号をMRI装置の制御側に無線送信する構成において、RFコイル装置に対して、共振器結合方式で十分且つ有効に電力を無線送信できる。
また、第1の実施形態では、全身用コイルWB1が、二重共振式であるため、電力送信用のコイルを別途設ける必要がない。即ち、ガントリ30内において、電力送信用の更なるコイルを配置するスペースを確保する必要がないという利点がある。
また、第1の実施形態では、RFコイル装置100の各コイル素子EC1〜EC4が二重共振式であるため、電力受信用のコイルを別途設ける必要がない。即ち、RFコイル装置100を更に大型化させることなく、共振器結合方式で電力を受信できる。
また、ステップS1で第1〜第4の例として述べたように、システム制御部61は、パルスシーケンスの種類に応じて電力の無線送信のタイミングを設定する。即ち、電力の無線送信のタイミングは、パルスシーケンス種類や要求される画質などの条件に応じて、図8〜図11の内、適切なものに設定される。
(第2の実施形態)
第2の実施形態と、第1の実施形態との違いは、以下になる。
即ち、第2の実施形態では、全身用コイルWB1は電力送信機能を兼用せず、ガントリ30内に電力送信用のコイルが別途設けられる。
図13は、第2の実施形態のMRI装置10における電力送信コイルPT1の等価回路図である。電力送信コイルPT1は、8字型の配線にスイッチSW2と、コンデンサCg、Ch、Ciとを直列に挿入したものである。
電力送信コイルPT1の共振周波数は、電力送信用の周波数、即ち、第1の実施形態における第2共振周波数に等しい。そのように、コンデンサCg、Ch、Ciの各容量値などの電力送信コイルPT1の回路定数は設計される。
電力送信器49の出力制御によっても、図9〜図11のように所定期間を避けて電力を送信可能であるが、スイッチSW2のオンオフの切替によっても所定期間を避けて電力を送信可能である。
また、コンデンサChの両端には、電力送信ケーブル250の一端側が接続される。
電力送信ケーブル250の他端側は、電力送信器49に接続される(後述の図19参照)。電力送信ケーブル250の一端側には、コンデンサCjが挿入される。
コンデンサCh、コンデンサCjがインピーダンスマッチング回路として機能するように、コンデンサCh、コンデンサCjの各容量値は設定される。
図14は、第2の実施形態のMRI装置10における全身用コイルWB2の等価回路、及び、電力送信コイルPT1の配置例を示す模式的斜視図である。図2と同様に、全身用コイルWB2の回路の導線をX軸方向に手前側は太線で、奥側は細線で記載している。また、導線と導線との交差箇所について、電気的接続箇所は黒丸で記載し、電気的に接続されていない箇所は一方を半円状で記載し、両者を区別する。また、図14では区別のため、電力送信コイルPT1の配線は点線で示し、煩雑となるので電力送信ケーブル250は省略している。
全身用コイルWB2は、第1ループ導体254と、第2ループ導体256と、8個の連絡導体(ラング)258と、16個のコンデンサCkとを有する。
図14では、第1ループ導体はX−Y平面に平行な左側のリングに対応し、第2ループ導体はX−Y平面に平行な右側のリングに対応する。
連絡導体258は、図14では一例として、Z軸方向に延在する8個の直線に対応する。8個の連絡導体258はそれぞれ、一端側が第1ループ導体254に接続され、他端側が第2ループ導体256に接続される。
第1ループ導体254において、各連絡導体204との接続ノード間(計8区間)には、コンデンサCkが1つずつ接続されている。第2ループ導体256も同様である。
このように全身用コイルWB2は、バードケージ型に構成され、共振周波数がラーモア周波数となるように、その回路定数は設定される。ここでの回路定数とは、コンデンサCkの容量値、第1ループ導体254、第2ループ導体256、連絡導体258の各配線のインダクタンス、容量等である。
全身用コイルWB2は8エレメントのバードケージ型なので、第1の実施形態と同様に、角度が90度異なる各接続ノードからQD方式により給電される。具体的には、高周波送受信ケーブル210、212はそれぞれ、第1ループ導体200において、角度が90度異なる箇所に接続される。
なお、図14では、これら高周波送受信ケーブル210、212の全身用コイルWB2に対する接続配線は、区別のため点線で記載されている。
また、電力送信コイルPT1は、例えば、ガントリ30内において全身用コイルWB2の内側(RFコイルユニット34の内側)に配置される。
図14の例では、電力送信コイルPT1は、その8字の交差部分CRO(図13の点線枠部分)が、Z軸方向(連絡導体258の延在方向)に平行となるように配置される。
但し、電力送信コイルPT1の配置について、図14の態様は一例にすぎず、以下の図15、図16のように向きを変えてもよい。
図15は、図13とは別方向から見た場合の電力送信コイルPT1の等価回路図である。
図16は、全身用コイルWB2に対する電力送信コイルPT1の配置の別の例を、図14と同様の表記で示す模式的斜視図である。図15は、図16と対比し易くするために、図16と同じく、8字の交差部分CROを紙面縦向きに記載したものである。
図16の配置では、電力送信コイルPT1は、8字の交差部分CROがZ軸方向(連絡導体258の延在方向)に直交するように配置される。
図14、図16のどちらの向きで電力送信コイルPT1を配置しても実用上は十分に機能するが、第2の実施形態では一例として、図16の向きで電力送信コイルPT1が配置される。これは、以下の図17で述べる理由により、図16の配置態様の方が図14の配置態様よりも若干効率的と考えられるからである。
図17は、電力送信コイルPT1を通る磁束によるカップリングの有無の違いを、図14、図16の配置態様で比較した説明図である。図17(A)、(B)は図14の配置態様に対応し、図17(C)、(D)は図16の配置態様に対応する。図17(A)〜(D)において、スイッチSW2は導通状態として省略している。
ここで、全身用コイルWB2から被検体Pに送信されるRFパルスの高周波磁場は、時際には例えばX−Y平面で回転する。従って、電力送信コイルPT1を透過する磁束の向きも、一義的には決まらないので、様々な磁束の発生パターンを考慮して、全身用コイルWB2とのカップリングのおそれが総合的に少ない方が望ましい。
まず、図14の配置態様から考える。
図17(A)のように、8字の交差部分CROの上側の磁束FL1と、その下側の磁束FL2とが同じ向きであるとする。この場合、磁束FL1により、交差部分CROの上側において図17(A)の下向きに電流Iin1が誘導され、磁束FL2により、交差部分CROの下側において図17(A)の下向きに電流Iin2が誘導される。しかし、電力送信コイルPT1は8字型配線であるから、電流Iin1、Iin2は回路的には逆向きであるため、互いに相殺され、カップリングは生じない。
一方、図17(B)のように、8字の交差部分CROの上側の磁束FL1と、その下側の磁束FL2とが逆向きであるとする。この場合、磁束FL1により、交差部分CROの上側において図17(B)の下向きに電流Iin1が誘導され、磁束FL2により、交差部分CROの下側において図17(B)の上向きに電流Iin2が誘導される。8字型配線なので電流Iin1、Iin2は同方向であるため、カップリングが生じ易い。
次に、図16の配置態様を考える。
図17(C)のように、8字の交差部分CROの右側については、上側を磁束FL3が透過し、下側を磁束FL5が透過し、8字の交差部分CROの左側については、上側を磁束FL4が透過し、下側を磁束FL6が透過するとする。そして、これら磁束FL3〜FL6が同方向であるとする。この場合、磁束FL3、FL5によって回路的には互いに同方向に誘導される電流Iin3、Iin5は、磁束FL4、FL6によりそれぞれ誘導される電流Iin4、Iin6とは逆方向になる。即ち、電流Iin3、Iin5と、電流Iin4、Iin6とが互いに相殺され、カップリングは生じない。
一方、図17(D)のように、上側の磁束FL3、FL4と、下側の磁束FL5、FL6とが逆向きであるとする。この場合、磁束FL3、FL6によって回路的に同方向に誘導される電流Iin3、Iin6は、磁束FL4、FL5によりそれぞれ誘導される電流Iin4、Iin5とは逆方向になる。即ち、電流Iin3、Iin6と、電流Iin4、Iin5とが互いに相殺され、カップリングは生じない。
従って、図17(A)〜(D)において上側の磁束の向きと、下側の磁束の向きとが同じでも逆向きでもカップリングが生じない図16の配置態様の方が、図14の配置態様よりも若干カップリングが生じにくく、望ましいと考えられる。
以上、Z軸方向(連絡導体258の延在方向)との関係で、電力送信コイルPT1の配置方向について説明した。
次に、RFコイル装置100との位置関係で、電力送信コイルPT1の配置について説明する。
図18は、第2の実施形態において、RFコイル装置100との位置関係で電力送信コイルPT1の配置例を示す断面模式図である。図18に示すように、Y軸方向(鉛直方向)において、被検体Pの上側にRFコイル装置100がセットされる場合、電力送信コイルPT1もガントリ30内で鉛直方向上側に配置されることが望ましい。これは、電力送信側と電力受信側とが互いに近い方が、電力をより効率的に無線送信できるからである。
図19は、第2の実施形態において、RFパルスの送信系統、及び、電力送信系統に関わる構成を図3と同様に示すブロック図である。全身用コイルWB2に対してはRF送信器48側からQD方式でラーモア周波数のRFパルスが入力され、全身用コイルWB2で検出されたMR信号はRF受信器50側に取り込まれる。この点、第1の実施形態と同様である。
一方、第2の実施形態では電力送信コイルPT1が別途設けられるため、電力送信器49からは、位相分割器を介さずに電力送信コイルPT1に無線送信用の交流電力(第1の実施形態の第2共振周波数f2に等しい)が供給される。
図19に示す高域通過フィルタHPF1、HPF2、低域通過フィルタLPF1の機能は第1の実施形態と同様である。
以上が第2の実施形態のMRI装置10の構成の説明であるが、撮像動作は図12で説明した第1の実施形態の撮像動作と同様である。即ち、電力の無線送信のタイミングは、パルスシーケンスの種類に応じて、図8〜図11の内の適切なものに設定される。
このように第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
第1の実施形態と対比すると、電力送信コイルPT1の配置スペースを更に確保することになるものの、電力送信側の位相分割器232や、一方の低域通過フィルタLPF2を省略できる(図3、図19参照)。
(第3の実施形態)
第3の実施形態のMRI装置10は、電力送信コイルを8字型からループ状に変更する点を除いて、第2の実施形態と同様の構成である。従って、第2の実施形態との違いのみを説明する。
図20は、第3の実施形態のMRI装置10における電力送信コイルPT2の等価回路図である。電力送信コイルPT2は、ループ状の配線にスイッチSW2と、コンデンサCm、Cn、Coとを直列に挿入したものである。電力送信コイルPT2の共振周波数は、電力送信用の周波数(第1の実施形態の第2共振周波数f2)に等しい。そのように、コンデンサCm、Cn、Coの各容量値などの電力送信コイルPT2の回路定数は設計される。スイッチSW2は、第2の実施形態と同様に機能する。
また、コンデンサCoの両端には、電力送信ケーブル250の一端側が接続される。電力送信ケーブル250の他端側は、電力送信器49に接続される。電力送信ケーブル250の一端側には、コンデンサCpが挿入される。
コンデンサCo、コンデンサCpがインピーダンスマッチング回路として機能するように、コンデンサCo、コンデンサCpの各容量値は設定される。
図21は、第3の実施形態の電力送信コイルPT2の配置例を図14と同様に示す模式的斜視図である。電力送信コイルPT2は、例えば図21のように、ガントリ30内において全身用コイルWB2の内側(RFコイルユニット34の内側)に配置される。
また、第2の実施形態と同様に、Y軸方向(鉛直方向)において、被検体Pの上側にRFコイル装置100がセットされる場合、電力送信コイルPT2もガントリ30内で鉛直方向上側に配置されることが望ましい。
以上、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、RFコイル装置内に電力受信コイルが別途設けられる点を除いて、第1の実施形態のMRI装置10と同様の構成である。即ち、電力送信側は第1の実施形態と同じ構成であり、以下、第1の実施形態との違いのみを説明する。
図22は、第4の実施形態のRFコイル装置100’の構成例を示す模式的な等価回路図である。図22では煩雑化を避けるため、12個の要素コイルEL1〜EL12を示すが、要素コイルの数は13個以上でも11個以下でもよい。図22では要素コイルEL1〜EL12の配線との区別のため、電力受信コイル140の配線及び電力受信コイル140に接続される同軸ケーブル160の配線のみを太線で示す。
電力受信コイル140は、スイッチSW3と、コンデンサCr、Ct、Cuとを有する。電力受信コイル140の共振周波数が電力送信用の周波数(第1の実施形態の第2共振周波数f2)となるように、コンデンサCr、Ct、Cuの各容量などの電力受信コイル140の回路定数は設計される。
電力送信器49の出力制御によっても図9〜図11のように所定期間を避けて電力を無線送信可能であるが、スイッチSW3のオンオフの切替によっても、所定期間を避けて電力を受信可能である。
また、電力受信コイル140のコンデンサCuの両端には、同軸ケーブル160の一端側がそれぞれ接続される。同軸ケーブル160の他端側は、RFコイル装置100’の制御系102’に接続される。同軸ケーブル160の一端側には、コンデンサCvが挿入される。
電力受信コイル140のコンデンサCu、及び、各同軸ケーブル160に挿入されたコンデンサCvの各容量値は、これらがインピーダンスマッチング回路として機能するように選択される。
各要素コイルEL1〜EL12の概略構造は、従来の要素コイルと同様でよいため、詳細な説明を省略する。但し、デカップリングのため、電力受信コイル140の配線を含む面と、各要素コイルEL1〜EL12の配線を含む面とが互いに平行となるように、これらは配置される。また、各要素コイルEL1〜EL12同士も、互いのデカップリングのため、平面的には部分的に重ねて配置される。
図23は、第4の実施形態のMRI装置10において、MR信号のデジタル無線通信系統、及び、充電系統に関わる構成を示すブロック図である。
RFコイル装置100’の制御系102’は、各要素コイルEL1〜EL12にそれぞれ対応する高域通過フィルタHPF1〜HPF12、プリアンプPA1〜PA12、A/D変換器AD1〜AD12を有する。
但し、全要素コイルの配線を示すと煩雑となるため、図23では、要素コイルEL1、EL2の接続先のみを示す。実際には、要素コイルEL1と同様の経路により、要素コイルEL3〜EL12のMR信号がそれぞれ入力される高域通過フィルタHPF3〜HPF12、プリアンプPA3〜PA12、A/D変換器AD3〜AD12が存在するが、図示していない。
また、制御系102’は、CPU110’と、整流器RC1と、充電池BATと、P/S変換器PSCと、データ送信部116と、参照信号受信部118と、ID送信部122と、ゲート信号受信部124とを更に有する。また、RFコイル装置100’は、第1の実施形態と同様にアンテナ106a〜106dを有する。
各要素コイルEL1〜EL12は、被検体Pから発せられるMR信号を検出し、これらMR信号は、高域通過フィルタHPF1〜HPF12を介してプリアンプPA1〜PA12に入力される。
高域通過フィルタHPF1〜HPF12は、無線送信される交流電力の周波数成分等のノイズを除去する。
プリアンプPA1〜PA12に入力される各MR信号は、第1の実施形態と同様にして、無線通信装置36に無線送信され、処理される。
一方、電力送信器49からの供給電力によって、全身用コイルWB1から第2共振周波数f2の電磁波が発せられる。RFコイル装置100’の電力受信コイル140は、この第2共振周波数f2で共振することで、交流電力を無線で受給する。電力受信コイル140で受信された交流電力は、同軸ケーブル160を介して制御系102’に取り込まれ、整流器RC1により直流電流に変換される。整流器RC1は、この直流電流により、充電池BATを充電する。
このように第4の実施形態では、RFコイル装置100’側において、MR信号の検出専用のコイル素子EL1〜EL12と、電力受信専用の電力受信コイル140とが配置される。RFコイル装置100’側のコイル構成のみ相違するものので、第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
第1の実施形態と対比すると、電力受信コイル140を別途設けることになるものの、RFコイル装置100’において整流器の数を1つに減らせると共にデュプレクサを省略できる。
なお、第4の実施形態では、電力受信コイル140がループ状であるが、これは一例にすぎない。RFコイル装置100’内の電力受信コイルは、例えば8字型にしてもよい。
(第5の実施形態)
第5の実施形態のMRI装置10は、電力送信側において、第2又は第3の実施形態のように電力送信専用のコイルが別途設けられる点を除いて、第4の実施形態と同様の構成である。
従って、第1及び第4の実施形態の二重共振式の全身用コイルWB1の代わりに、電力送信コイルPT1(図13〜図16参照)、電力送信コイルPT2(図20、図21参照)の一方と、全身用コイルWB2とがガントリ30内に配置される。即ち、第5の実施形態は、第1〜第4の実施形態の組み合わせとも解釈できるため、第5の実施形態のMRI装置10の各部の構成図は省略する。
ここで、無線による電力送信に関して、電力送信コイル(PT1又はPT2)と、電力受信コイルとがカップリングし易い条件の方が、送信効率を向上できる。そのためには、両者を透過する磁束の向きが揃っていることが好ましいと考えられる。
図24は、第5の実施形態において8字型の電力送信コイルPT1が使用される場合に、電力受信コイルとの組み合わせによるカップリングの度合いの違いを示す説明図である。
8字型の電力送信コイルPT1が、図18のようにガントリ30内で鉛直方向(Y軸方向)上側に配置される場合、被検体P上にセットされるRFコイル装置100’の電力受信コイルは、8字型の電力受信コイル140’であることが望ましい(図24(A)参照)。これは、8字型の電力送信コイルと、8字型の電力受信コイルとが対向する形で配置されれば、電力送信コイルPT1から発生する磁束は、電力受信コイル140’の配線に対して、誘導電流を発生させ易い態様で透過するからである。
より詳細には、図24(A)に示すように、8字型の電力受信コイル140’の右側のループを透過する第1の磁束と、その左側のループを透過する第2の磁束とは、電力受信コイル140’の配線が延在する面で見れば、逆向きになる。そうすると、第1の磁束により右側のループに誘導される電流と、第2の磁束により左側のループに誘導される電流とは、左右の各ループが8字型に配線されるため、回路的には同方向となる。
反対に、8字型の電力送信コイルPT1が、図18のようにガントリ30内で鉛直方向上側に配置され、被検体P上にループ状の電力受信コイル140がセットされる場合を考える(図24(B)参照)。この場合、図24(A)と比べると、電力送信コイルPT1から発生する磁束は、以下の理由で、電力受信コイル140の配線に対し誘導電流を発生させ易い態様で透過するとは言えない。
即ち、電力受信コイル140のループ状配線の右側を透過する第1の磁束と、ループ状配線の左側を透過する第2の磁束とは、逆向きになる。そうすると、第1及び第2の磁束によりそれぞれ誘導される各電流の向きは、逆向きになる。
図25は、第5の実施形態においてループ状の電力送信コイルPT2が使用される場合に、電力受信コイルとの組み合わせによるカップリングの度合いの違いを示す説明図である。
ループ状の電力送信コイルPT2がガントリ30内で鉛直方向上側に配置される場合、被検体P上にセットされるRFコイル装置100’の電力受信コイルは、ループ状の電力受信コイル140であることが望ましい(図25(A)参照)。これは、ループ状の電力送信コイルと、ループ状の電力受信コイルとが対向する形で配置されれば、以下の理由で、電力送信コイルPT2から発生する磁束は、電力受信コイル140の配線に対し誘導電流を発生させ易い態様で透過するからである。
例えば図25(A)において、電力受信コイル140のループ状配線の右側を透過する第1の磁束(破線で示す)と、ループ状配線の左側を透過する第2の磁束(一点鎖線で示す)とは、電力受信コイル140の配線が延在する面で見れば同方向になる。そうすると、第1及び第2の磁束によりそれぞれ誘導される各電流の向きも、同方向になる。
反対に、ループ状の電力送信コイルPT2がガントリ30内で鉛直方向上側に配置され、被検体P上に8字型の電力受信コイル140’がセットされる場合を考える(図25(B)参照)。この場合、図25(A)と比べると、電力送信コイルPT2から発生する磁束は、電力受信コイル140’の配線に対して、誘導電流を発生させ易い態様で透過するとは言えない。
電力受信コイル140’が8字型に配線されるので、図25(B)において、右側の破線で示す磁束によって電力受信コイル140’の右側で誘導される電流と、左側の一点鎖線で示す磁束によって左側で誘導される電流とは、回路的には逆向きになるからである。
従って、第5の実施形態では、図24(A)の組み合わせ、又は、図25(A)の組み合わせで、電力送信コイル及び電力受信コイルが選択される。
以上、第5の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
以上説明した各実施形態によれば、RFコイル装置で検出されたMR信号をMRI装置の制御側に無線送信する構成において、RFコイル装置の電力を十分且つ有効に確保することができる。
(実施形態の補足事項)
[1]第1〜第5の実施形態では、装着型のRFコイル装置が1つのみ用いられる例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。
複数の装着型のRFコイル装置が用いられる場合も、上述の理論により、各RFコイル装置に対して共振器結合方式で電力を無線送信できると共に、各RFコイル装置からのデジタル化されたMR信号を無線通信装置36により無線で受信できる。
[2]図1において、ガントリ30の奥側に無線通信装置36が配置される例を述べた。本発明の実施形態は、かかる態様に限定されるものではない。無線通信装置36は、例えば、ガントリ30の入り口側などの他の箇所に設置してもよい。
また、例えば複数のRFコイル装置が用いられる場合、各RFコイル装置にそれぞれ対応する複数の無線通信装置36を設ける構成でもよい。
[3]請求項の用語と実施形態との対応関係を説明する。なお、以下に示す対応関係は、参考のために示した一解釈であり、本発明を限定するものではない。
第1及び第4の実施形態において、電力送信器49及び全身用コイルWB1は、請求項記載の電力送信部の一例である。
第2、第3、第5の実施形態において、電力送信器49、電力送信コイルPT1(又はPT2)は、請求項記載の電力送信部の一例である。
第1〜第3の実施形態において、要素コイルEC1〜EC4、コンデンサC3、同軸ケーブル104、デュプレクサDP1〜DP4は、請求項記載の電力受信部の一例である。
第4の実施形態において、電力受信コイル140、同軸ケーブル160は、請求項記載の電力受信部の一例である。
無線通信装置36は、請求項記載の信号受信部の一例である。
RFコイル装置100、100’における、A/D変換器AD1〜AD4(又はAD1〜AD12)、P/S変換器PSC、データ送信部116、及び、アンテナ106aは、請求項記載の信号送信部の一例である。
充電池BATは、請求項記載の充放電素子の一例である。
[4]本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。