JP6459611B2 - 伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板およびその製造方法 Download PDFInfo
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Description
C :0.050〜0.200%、
Si:0.050〜2.000%、
Mn:1.00〜2.50%、
P :≦0.020%、
S :≦0.0100%、
Al:0.005〜0.500%、
N :≦0.0060%、
Cu:0.80〜2.00%、
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であって、そのミクロ組織が、残留オーステナイト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイトの一つ以上からなる硬質組織を面積分率で50%超90%未満とし、面積分率で10%以上50%未満のフェライトを第二相とする複合組織であり、フェライト中のCu単独で構成される粒子の平均粒子径が2.0nm超、10nm以下であることを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
Mo:0.005〜0.200%、
Cr:0.005〜0.200%、
のうちいずれか一種または二種を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
Nb:0.001〜0.005%、
Ti:0.001〜0.005%、
V :0.001〜0.005%、
のうちいずれか一種または二種以上を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
Mg:0.0005〜0.0050%、
Ca:0.0005〜0.0050%、
REM:0.0005〜0.1000%、
のうちいずれか一種または二種以上を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
B:0.0002〜0.0050%、
を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
さらに質量%で、
Ni/Cu=0.5〜1.0の割合でNiを添加することを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
Zr、Sn、Co、Zn、Wのうちいずれか一種または二種以上を合計で0.05%以下含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
なお、ナノ硬度HnはHysitron社製 TriboScope/TriboIndenterを用い測定した。測定条件は1mNの荷重にて100点以上の低温変態生成物の硬度を測定し、その算術平均と標準偏差を算出した。
また、三次元アトムプローブ測定において、個々の原子の位置をサブナノメーターレベルで特定できる分解能であるという測定機器の特徴を生かしつつ、Cu原子同士が三次元座標位置で近接して集積しているときにCu析出物と推定し、このCu析出物にCu以外の他の元素が含まれていないことを確認した場合に、Cuが単独で析出しているCu析出物と判断した。このようにして、Cuが単独で析出しているCu析出物(Cu単独で構成される粒子ともいう)の平均粒子径を求めることができる。
Cは、残留オーステナイト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイト等の硬質相の硬度や面積分率に影響する非常に重要な元素である。980MPa級以上のグレードを達成するのに十分な硬質相の硬度と面積分率を得るためには、0.050%以上含有させる必要がある。一方、0.200%超含有させても、熱間圧延工程の冷却または保持や連続焼鈍設備での連続熱処理工程での冷却または保持中に、粗大な鉄系炭化物が析出したミクロ組織が形成され、後のプレス加工時に、これら粗大な鉄系炭化物が破壊の起点となり割れを生じる恐れがある。従って、Cの含有量は0.050%以上0.200%以下とする。また、スポット溶接の十字引張強さ(CTS:Cross−tension strength)の観点からは0.180%以下が望ましい。
Siは、固溶強化元素として強度上昇に有効であるため、その含有量が多いほど引張強度と伸びのバランスが改善する。また、SiはAc1変態点温度を上昇させる効果があるため、冷延後の連続熱処理工程において高温での焼鈍が可能となり、再結晶の促進による延性の確保が容易となるので必要に応じて添加する。しかしながら、熱延工程後の酸洗でのスケール除去においてスケールが容易に剥離せず生産性が極端に低下させる場合があるので、その上限を2.000%とする。一方、Siはウロコ、紡錘スケールといったスケール系欠陥の発生を抑制する効果があり、冷延、熱処理あるいはめっき後の模様系欠陥の低減に有効であるのでその下限を0.050%とする。従って、Siの含有量は0.050%以上2.000%以下とする。また、1.800%超添加すると製品板である冷延鋼板の化成処理性が劣化し、塗装後耐食性が低下する恐れがあるので、1.800%以下が望ましい。
Mnは、固溶強化および焼入れ性向上に有効な元素であり、残留オーステナイト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイト等の硬質相の形成にも影響する。980MPa級以上のグレードを得るためには1.00%以上含有させる必要がある。一方、2.50%を超えると、連続鋳造工程での凝固時に中心偏析が生じ易くなり、中心偏析の硬度上昇により延性が低下し、プレス成形性が劣化する。従って、Mnの含有量は1.00%以上2.50%以下とする。また、スポット溶接の十字引張強さ(CTS)の観点からは2.3%以下が望ましい。
Pは、不可避的に含有され、固溶強化元素として作用し、鋼板の強度を上昇させる。しかし、0.020%超含有させると鋼板の加工性や溶接性が低下するので、0.020%以下とした。
Sは、含有量が多すぎると、MnSなどの介在物が生成し、これにより伸びフランジ性が低下し、さらに熱間圧延時に割れを引き起こす。このためS含有量は、極力、低減することが望ましい。特に、熱間圧延時に割れの発生を防止し、かつ良好な加工性を得るためには、S含有量を0.0100%以下に制限する。さらにSは、不純物元素であり、溶接性、鋳造時及び熱延時の製造性に悪影響を及ぼすことから、0.0050%以下とすることが望ましい。Sの下限値は特に定めないが、0.0001%未満とすることは、経済的に不利であることからこの値を下限値とすることが望ましい。
Alは、脱酸元素であり、0.005%以上添加することで効率的に溶鋼中の溶存酸素を減らすことができる。また、Siと同様に、Ac1変態点温度を著しく高める元素であり、高温での焼鈍が可能になり、再結晶の促進による延性の確保が容易となるので必要に応じて添加する。しかし、過度のAl添加はAr3変態点を著しく高め、含有量が0.500%を超えると、熱間圧延工程での仕上げ圧延中にγ+αの二相域圧延となり、熱間圧延での通板性が著しく不安定となり熱間圧延が困難となるので、0.500%以下に制限する。また、Al含有量が0.4%を超えると鋳造時にタンディッシュノズルが詰まりやすくなるため、0.4%以下が望ましい。さらに0.3%超添加すると化成処理性や亜鉛めっき性を劣化させる要因となるため、0.3%以下が望ましい。また、Alは0.1%超添加するとアルミナ等の非金属介在物を増大させ局部延性を劣化させる恐れがあるので0.1%以下が望ましい。
Nは、鋼の精錬時に不可避的に混入する不純物元素である。0.0060%超添加すると時効劣化が激しくなるので0.0060%以下とする。さらに、製造後二週間以上室温で放置した後、加工に供することを前提とする部材に対しては、0.0050%以下とすることが望ましい。また、夏季の高温環境下での放置、又は赤道を越えるような地域への船舶等による輸出を伴う環境下における使用を考慮すると、0.0040%未満であることが望ましい。
Cuは、本発明において最も重要な元素の一つである。連続鋳造工程から熱間圧延工程までに、その析出を抑制することで後の冷間圧延後の連続熱処理工程において、フェライトの回復・再結晶を阻害させないようにするとともに、Ti、Nb等の炭化物系析出物と違い硬質相であるマルテンサイト等の生成に影響を与えず、軟質なフェライト相に単独で析出し強化できるようにする。特に引張強度980MPa以上のグレードにおいては、鋼板のエッジ部分にバーリング加工や伸びフランジ加工時のように局所的に大きなひずみが付与された際に、硬質相と軟質相の境界でミクロボイドが発生する臨界条件を向上させることが重要である。鋼中の他元素との化合物ではなく単独で軟質相に析出するCuは、硬質相の相分率等の変動に影響されず、またフェライトの回復・再結晶を阻害せずに安定的に軟質相であるフェライトを均質に強化出来るので、硬質相と軟質相の境界でのミクロボイドの発生を抑制し、臨界条件を向上させるには非常に有効である。
Mo、Crは、Mnと同様に、焼入れ性向上に有効な元素の一つであり、Mo、Crのうちいずれか一種または二種を含有させることができる。従って、Mo、Cr含有量が増加すると、鋼板の引張強度が高くなる。Mo、Cr含有量が多い場合、Mo2C、Cr23C6等の合金炭化物が析出し、これが結晶粒界に優先的に析出した場合には、プレス成形時に割れの起点となり、プレス成形性が劣化する恐れがある。そのため、Mo、Cr含有量の上限をそれぞれ0.200%とする。またMo、Crの含有量が、0.005%未満では、上記効果が十分に得られないため、それぞれ0.005%を下限とする。
Nb、Ti、Vは、鋼中で炭窒化物を形成する元素である。熱間圧延の際にオーステナイト域で析出させると制御圧延効果を発揮してオーステナイト粒が細粒化、かつ等軸化し、熱延原板のミクロ組織が整粒で均一な複合組織となる効果が得られる。一方、連続熱処理工程においてはフェライトの回復・再結晶を阻害するだけでなく炭化物の析出に際してCを消費することで、硬質相であるマルテンサイト等の生成を阻害する。従って、必要に応じて、何れの元素も0.001%以上0.005%以下の範囲で添加してもよい。
Mg、CaおよびREM(希土類元素)は、破壊の起点となり、加工性を劣化させる原因となる非金属介在物の形態を制御し、加工性を向上させる元素である。Ca、REMおよびMgの含有量は、それぞれ0.0005%未満添加しても上記効果を発揮しない。また、Mgの含有量を0.0050%超、Caの含有量を0.0050%超、REMの含有量を0.1000%超添加しても上記効果が飽和して経済性が低下する。従ってMg含有量は0.0005%以上0.0050%以下、Ca含有量は0.0005%以上0.0050%以下、REM含有量は、0.0005%以上0.1000%以下の量を添加することが望ましい。なお本発明において、REMとはLa及びランタノイド系列の元素を指すものであり、ミッシュメタルにて添加されることが多く、LaやCe等の系列の元素を複合で含有する。金属LaやCeを添加してもよい。
Bは、焼き入れ性を高め硬質相の組織分率を増加させる効果があるので必要に応じて添加する。ただし、0.0002%未満ではその効果が得られず、0.0050%を超えて添加してもその効果が飽和する。このため、Bの含有量は、0.0002%以上0.0050%以下としている。一方、Bは、連続鋳造後の冷却工程でスラブ割れが懸念される元素であり、この観点からはその含有量は0.0015%以下が望ましい。
以下に熱間圧延工程について詳細に述べる。
Ar1変態点温度(℃)=730−102×(%C)+29×(%Si)−40×(%Mn)−18×(%Ni)−28×(%Cu)−20×(%Cr)−18×(%Mo)・・・・・(1)
Ar3変態点温度(℃)=900−326×(%C)+40×(%Si)−40×(%Mn)−36×(%Ni)−21×(%Cu)−25×(%Cr)−30×(%Mo)・・・・・(2)
Ac1変態点温度(℃)=751−16×(%C)+11×(%Si)−28×(%Mn)−5.5×(%Cu)−16×(%Ni)+13×(%Cr)+3.4×(%Mo)・・・・・(3)
Ac3変態点温度(℃)=910−203√(%C)+45×(%Si)−30×(%Mn)−20×(%Cu)−15×(%Ni)+11×(%Cr)+32×(%Mo)+104×(%V)+400×(%Ti)+200×(%Al)・・・・・(4)
ここで、(%C)、(%Si)、(%Mn)、(%Ni)、(%Cu)、(%Cr)、(%Mo)、(%V)、(%Ti)、(%Al)は、それぞれの元素の含有量(質量%)である。
なお、本発明では粗圧延機で実施される圧延を粗圧延、仕上げ圧延機で実施される圧延を仕上げ圧延とする。
表1に示す化学成分を有するA〜Z、a〜cの鋳片を転炉、二次精錬工程にて溶製して、連続鋳造後に直送もしくは再加熱し、熱間圧延工程として粗圧延に続く仕上げ圧延で2.5〜3.6mmの板厚に圧下し、ランナウトテーブルで冷却後に巻き取り、熱延原板とし、さらに、酸洗、精整後に冷間圧延および熱処理し、冷間圧延で1.6〜2.6mmの板厚に圧下し、それに続く連続熱処理にて冷延鋼板もしくはめっき鋼板を製造した。なお、製品厚は1.6〜2.6mmである。より詳細には、表2〜5に示す熱間圧延の製造条件に従って熱延原板を製造し、表6、7に示す冷間圧延および熱処理工程の製造条件に従って表8、9に示す特性を有する冷延鋼板もしくはめっき鋼板を製造した。なお、表中の化学成分(組成)についての表示は、全て質量%である。また、表1における成分の残部は、Fe及び不可避的不純物をいい、更に表2〜表9における下線は、本発明の範囲外であることを示している。なお、表3は表2の続き、表5は表4の続きである。
表2〜5および表6、表7で、「成分」とは表1に示した各記号に対応した成分を有する鋼を、「Ar3」、「Ar1」、「Ac3」および「Ac1」とはそれぞれ数式(1)〜(4)にて算出される変態点温度を示す。
鋼番8は、粗圧延の20%以上パス数が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、硬質組織が展伸状となり所定のミクロ組織が得られず、伸び、穴広げ値が低い。
鋼番9は、粗圧延の20%以上パス数が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、硬質組織が展伸状となり所定のミクロ組織が得られず、伸び、穴広げ値が低い。
鋼番10は、粗圧延の合計圧下率が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、硬質組織が展伸状となり所定のミクロ組織が得られず、伸び、穴広げ値が低い。
鋼番11は、粗圧延の合計圧下率が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定の熱間圧延が行えなかった。表2、3では、粗半成と記述している。
鋼番15は、仕上げ圧延の合計圧下率と圧下率20%以上のパス数が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、硬質組織が列状となり所定のミクロ組織が得られず、穴広げ値が低い。
鋼番17は、仕上げ圧延終了温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のCu析出状態が得られず、引張強度および穴広げ値が低い。
鋼番18は、仕上げ圧延終了温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず伸びが低い。
鋼番19は仕上げ圧延後の冷却開始までの時間が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、硬質組織が列状となり所定のミクロ組織が得られず、穴広げ値が低い。
鋼番22は仕上げ圧延後の冷却速度Iが本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず引張強度が低い。
鋼番24は仕上げ圧延後の冷却での保持開始温度と保持終了温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず穴広げ値が低い。
鋼番25は保持時間が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず伸びおよび穴広げ値が低い。
鋼番26は保持時間が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず引張強度が低い。
鋼番27は保持後の冷却速度IIが本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず、引張強度および穴広げ値が低い。
鋼番28は保持後の冷却停止温度および巻取り温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず、引張強度および穴広げ値が低い。
鋼番29は冷間圧延率が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず伸びおよび穴広げ値が低い。
鋼番32は連続熱処理工程における加熱温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず穴広げ値が低い。
鋼番33は連続熱処理工程における加熱温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず、引張強度が低い。
鋼番34は連続熱処理工程における加熱保持時間が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず、引張強度が低い。
鋼番35は連続熱処理工程における加熱保持時間が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、結晶粒が粗大化し、穴広げ率が低い。
鋼番36は連続熱処理工程における一次冷却速度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず、穴広げ率が低い。
鋼番38は連続熱処理工程における一次冷却停止温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のミクロ組織が得られず、穴広げ率が低い。
鋼番39は連続熱処理工程における二次冷却速度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、形状不良となり機械試験が実施できなかった。
鋼番40は連続熱処理工程における二次冷却停止温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のCu粒子の存在状態が得られず、穴広げ率が低い。
鋼番42は連続熱処理工程における保持時間が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のCu粒子の存在状態が得られず、引張強度および穴広げ率が低い。
鋼番43は連続熱処理工程における保持時間が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、所定のCu粒子の存在状態が得られず、引張強度および穴広げ率が低い。
鋼番51は連続熱処理工程における三次冷却速度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、ミクロ組織中のマルテンサイトが過度に焼き戻しされ、引張強度が低い。
鋼番52は連続熱処理工程における三次冷却停止温度が本発明鋼の製造方法の範囲外であるので、ミクロ組織中のマルテンサイトが過度に焼き戻しされ、引張強度が低い。
鋼番56はCuの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、熱間圧延で発生したヘゲ、エッジ割れのため冷間圧延で破断して後工程に進めず製品が得られなかった。
鋼番57はCuの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、十分なフェライトでの析出強化が得られず、引張強度と穴広げ値が低い。
鋼番59はCの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、十分な硬質組織が得られず、引張強度が低い。
鋼番60はSiの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、スケール残存により製品が得られなかった。
鋼番61はSiの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、表面欠陥の多発により製品が得られなかった。
鋼番62はMnの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、伸びおよび穴広げ値が低い。
鋼番63はMnの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、引張強度が低い。
鋼番64はPの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、伸びと穴広げ値が低い。
鋼番65はSの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、穴広げ値が低い。
鋼番66はAlの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、仕上げ圧延中に通板が不安定となり圧延を中断した。
鋼番67はAlの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、溶存酸素が残留し、製品での中心偏析の状態が悪く、伸びおよび穴広げ値が低い。
鋼番68はNの含有量が本発明鋼の範囲外であるので、常温時効により延性が劣化し、伸びおよび穴広げ値が低い。
Claims (14)
- 質量%で、
C :0.050〜0.200%、
Si:0.050〜2.000%、
Mn:1.00〜2.50%、
P :≦0.020%、
S :≦0.0100%、
Al:0.005〜0.500%、
N :≦0.0060%、
Cu:0.80〜2.00%、
を含み、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であって、そのミクロ組織が、残留オーステナイト、マルテンサイト、焼き戻しマルテンサイト、ベイナイトの一つ以上からなる硬質組織を面積分率で50%超90%未満とし、面積分率で10%以上50%未満のフェライトを第二相とする複合組織であり、フェライト中のCu単独で構成される粒子の平均粒子径が2.0nm超、10nm以下であることを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。 - 請求項1に記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、さらに質量%で、
Mo:0.005〜0.200%、
Cr:0.005〜0.200%、
のうちいずれか一種または二種を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。 - 請求項1または請求項2に記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、さらに質量%で、
Nb:0.001〜0.005%、
Ti:0.001〜0.005%、
V :0.001〜0.005%、
のうちいずれか一種または二種以上を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。 - 請求項1〜請求項3の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、さらに質量%で、
Mg:0.0005〜0.0050%、
Ca:0.0005〜0.0050%、
REM:0.0005〜0.1000%、
のうちいずれか一種または二種以上を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。 - 請求項1〜請求項4の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、さらに質量%で、
B:0.0002〜0.0050%、
を含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。 - 請求項1〜請求項5の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、前記フェライトにおいてCu単独で構成される粒子の平均粒子径が2.0nm超、10nm以下の前記粒子の密度が、1×10 16 〜5×10 18 個/cm 3 であり、
さらに質量%で、
Ni/Cu=0.5〜1.0の割合でNiを添加することを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。 - 請求項1〜請求項6の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、さらに質量%で、
Zr、Sn、Co、Zn、Wのうちいずれか一種または二種以上を合計で0.05%以下含むことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。 - 請求項1〜請求項7の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、前記硬質組織と前記フェライトの平均硬度差がナノ硬度で0.8GPa以下であることを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
- 請求項1〜請求項5、請求項7〜請求項8の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、前記フェライトにおいてCu単独で構成される粒子の平均粒子径が2.0nm超、10nm以下の前記粒子の密度が、1×1016〜5×1018個/cm3であることを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
- 請求項1〜請求項9の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、鋼板の表面に亜鉛めっきが施されていることを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
- 請求項1〜請求項10の何れかに記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板で、鋼板の表面に合金化亜鉛めっきが施されていることを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板。
- 請求項1〜請求項9の何れかの伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板の製造方法であって、請求項1〜請求項7の何れかに記載の化学成分を有するスラブを1100℃以上に加熱した後、熱間圧延に際して1050℃以上の温度域で少なくとも圧下率20%以上で3〜9パスで行い、合計圧下率が60%以上90%以下である粗圧延をし、その後、Ar3変態点温度以上の温度域で合計圧下率が87%以上93%以下であり、少なくとも圧下率20%以上で5〜7パスで行う仕上げ圧延をし、3秒以内に30℃/s以上の平均冷却速度で冷却して、(Ar3+Ar1)/2±30℃の温度域で1〜10秒間滞留し、その後、20℃/s以上の平均冷却速度で冷却して、350℃以下の温度域で冷却を停止し巻き取って熱延原板とし、酸洗後、圧下率の合計が5%超40%未満の冷間圧延を施し、続く連続熱処理において650℃以上の温度域での昇温速度が5℃/s以下となるように(Ac1+20)℃超〜(Ac3−20)℃の温度域まで加熱し、5〜300秒保持した後、12℃/s以下の平均冷却速度で720〜650℃の温度域にまで一次冷却を施し、4℃/s〜300℃/sの平均冷却速度で600℃から400℃超の温度域まで二次冷却を施し、5〜400秒保持した後、20℃/s以上の平均冷却速度で250℃以下まで三次冷却を行うことを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板の製造方法。
- 請求項12に記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板の製造方法において、三次冷却前の鋼板を亜鉛めっき浴中に浸積させて鋼板の表面に亜鉛めっきすることを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板の製造方法。
- 請求項13に記載の伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板の製造方法において、鋼板の表面に亜鉛めっきした後、450〜600℃までの温度範囲で合金化処理することを特徴とする、伸びフランジ性に優れる析出強化型複合組織冷延鋼板の製造方法。
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