(実施形態1)
以下、本実施形態の電力変換装置1と、それを用いたパワーコンディショナ100について図1を参照して説明する。
パワーコンディショナ100は、図1に示すように、電力変換装置1と、インバータ101とを備える。本実施形態のパワーコンディショナ100はさらに、解列器102(例えばリレーなど)と、直流開閉器202とを備える。パワーコンディショナ100は、商用系統電源などを含む電力系統204と、直流の分散型電源である太陽電池201とに電気的に接続されている。
電力変換装置1は、直流開閉器202を介して太陽電池201に電気的に接続される。電力変換装置1は、太陽電池201からの直流電圧を所定の直流電圧に変換してインバータ101に出力する。インバータ101は、電力変換装置1からの直流電圧を交流電圧に変換して負荷203及び電力系統204に出力する。電力系統204は、例えば、電力会社の発電所からパワーコンディショナ100までを結ぶ配電系統である。負荷203は、交流電力で動作する機器である。解列器102は、インバータ101を電力系統204から電気的に切り離すために設けられている。パワーコンディショナ100は、解列器102を開状態にして分散型電源を電力系統204から解列させる。またパワーコンディショナ100は、解列器102を閉状態にして太陽電池201を電力系統204に連系させる。これにより太陽電池201から電力変換装置1とインバータ101とを介して電力系統204及び負荷203に電力が供給される。本実施形態では片方向のDC−DCコンバータとして用いられる電力変換装置1及びそれを用いたパワーコンディショナ100について説明する。
インバータ101の一対の入力端には電力変換装置1が電気的に接続されている。インバータ101は、電力変換装置1から一対の入力端に入力される直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を一対の出力端へ出力する。インバータ101の一対の出力端には解列器102が電気的に接続される。解列器102は、インバータ101の一対の出力端と、電力系統204との間に電気的に接続されている。本実施形態の解列器102は、制御部7からの解列信号が入力されるとインバータ101と電力系統204とを電気的に切り離し、系統連系している太陽電池201を解列させる。例えば太陽電池201が単独運転している場合、制御部7からの解列信号に応じて解列器102が開状態となる。
直流開閉器202は、パワーコンディショナ100と太陽電池201との間に設けられ、パワーコンディショナ100と太陽電池201とを電気的に接続する状態(以下「閉状態」と呼ぶ)と、電気的に切り離す状態(以下「開状態」と呼ぶ)とを切り替える。直流開閉器202は、制御部7からの信号に応じて開状態と閉状態とを切り替える。なお、直流開閉器202は、手動操作によって開状態と閉状態とを切り替えることができるように構成されていてもよい。
直流開閉器202は、通常、閉状態にされているが、例えば作業者がパワーコンディショナ100のメンテナンスを行う前に開状態にされる。具体的に言うと、直流開閉器202は、制御部7からの開状態を指示する信号が入力された場合や作業者によって手動で操作された場合に開状態にされる。直流開閉器202が開状態にされることにより、パワーコンディショナ100が太陽電池201から電気的に切り離される。また、作業者がパワーコンディショナ100のメンテナンスを行う前に、解列器102と直流開閉器202との各々を開状態にすることにより、電力変換装置1に直流電力が供給されない状態にすることができる。
電力変換装置1は、1次側回路3と、1次側回路3と電気的に絶縁された2次側回路4と、電源回路8と、第1電路601と、第2電路602と、第1絶縁トランス20と、第2絶縁トランス23とを備えている。本実施形態の電力変換装置1はさらに、第2絶縁トランス23の2次側に電気的に接続された第3電力変換回路35と、一対の端子33,34と、一対の端子43,44間の電圧を計測する計測部と、一対の端子43,44とを備えている。
一対の端子33,34は、電力変換装置1に直流電力を入力するために設けられた入力端子であり、端子33は端子34よりも高電位側の入力端子である。一対の端子43,44は、電力変換装置1から直流電力を出力するために設けられた出力端子であり、端子43は端子44よりも高電位側の出力端子である。計測部は、一対の端子33,34に入力される直流電圧の電圧値を計測し、計測結果を制御部7に出力する。なお計測部は、電圧値の他にも例えば電流などを計測してもよい。
なお、電力変換装置1がパワーコンディショナ100の一部として提供され、電力変換装置1に電気的に接続されている回路構成が変更されないような場合、電力変換装置1は一対の端子33,34及び一対の端子43,44を必ずしも有していなくてもよい。
1次側回路3は、第1絶縁トランス20の1次巻線21と、1次巻線21に接続された第1電力変換回路30と、第1電力変換回路30を制御する制御部7と、第1電力変換回路30に接続されたスナバ回路5とを有している。本実施形態の1次側回路3はさらにリアクトル501を有している。第1絶縁トランス20は、1次側回路3と2次側回路4とを電気的に絶縁し、かつ1次側回路3と2次側回路4との間で交流電力を伝達する。第1電力変換回路30の一対の入力端の各々には、対応する一対の端子33,34が電気的に接続されている。
2次側回路4は、第1絶縁トランス20の2次巻線22と、2次巻線22に接続された第2電力変換回路40とを有している。2次側回路4はさらに、第2電力変換回路40に接続された平滑用のコンデンサ42を有する。2次側回路4は、第1絶縁トランス20の絶縁機能により、1次側回路3と電気的に絶縁される。
第2電力変換回路40は、一対の入力端間に入力される交流電力を全波整流して一対の出力端間から出力する回路である。第2電力変換回路40の一対の入力端間には、第1絶縁トランス20の2次巻線22が電気的に接続されている。第2電力変換回路40の一対の出力端の各々には、対応する一対の端子43,44が電気的に接続されている。一対の端子43,44間には、平滑用のコンデンサ42が電気的に接続されている。コンデンサ42は第2電力変換回路40が出力する脈流電力を平滑化する。つまり第2電力変換回路40は、2次巻線22から一対の入力端に入力される交流電力を直流電力に変換して一対の端子43,44に出力する。
上述したように、本実施形態の電力変換装置1は、一対の端子33,34に入力された直流電圧を所定の直流電圧に変換して一対の端子43,44から出力する片方向のDC−DCコンバータである。パワーコンディショナ100は、インバータ101と太陽電池201との間に電気的に接続されて、太陽電池201から供給される直流電力をインバータ101で交流電力に変換して負荷203及び電力系統204に出力する。
第1電力変換回路30は、4個の半導体スイッチ301,302,303,304と、半導体スイッチ301,302,303,304を駆動させる駆動回路を有している。4個の半導体スイッチ301,302,303,304の各々は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタである。4個の半導体スイッチ301,302,303,304の各々は、フルブリッジ型のDC−ACインバータ回路を構成している。半導体スイッチ301と半導体スイッチ302とは電気的に直列に接続された状態で第1電力変換回路30の一対の入力端間に電気的に接続されている。半導体スイッチ303と半導体スイッチ304とは電気的に直列に接続された状態で第1電力変換回路30の一対の入力端間に電気的に接続されている。半導体スイッチ301,302,303,304の各々には、ダイオードが電気的に並列に接続されている。4個のダイオードの各々は、導通方向が低電位側(端子34側)から高電位側(端子33側)の方向となるように設けられている。
なお、半導体スイッチ301,302,303,304は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタの他にも、例えばゲートターンオフサイリスタや、ゲート転流型ターンオフサイリスタや、光トリガサイリスタや、双方向サイリスタなどでもよい。また半導体スイッチ301,302,303,304は、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)などでもよい。また半導体スイッチ301,302,303,304の各々には、導通方向が低電位側(端子34側)から高電位側(端子33側)の方向となるダイオードが設けられていればよく、例えば寄生ダイオードなどを利用してもよい。
また第1電力変換回路30の一対の入力端間にはスナバ回路5が電気的に接続されている。端子33と第1電力変換回路30との間にはリアクトル501が電気的に接続されている。リアクトル501は、第1電力変換回路30から端子33に高調波の電流ノイズ及び電圧ノイズが流れ込むことを抑制する。
一対の端子33,34間には、直流開閉器202を介して太陽電池201が電気的に接続されている。また一対の端子33,34間には、太陽電池201から供給される直流電圧に加わったノイズを低減するコンデンサが太陽電池201と電気的に並列に接続されている。
第1電力変換回路30の駆動回路は、電源回路8から供給される電圧(例えば15V)で動作する。駆動回路は、制御部7からの制御信号(例えば5Vの電圧信号)に応じて半導体スイッチ301,302,303,304を開閉動作させる。具体的に言うと、制御部7は、半導体スイッチ301及び半導体スイッチ303と、半導体スイッチ302及び半導体スイッチ304とを周期的に交互にオンオフすることにより直流電圧を矩形の交流電圧に変換する。すなわち第1電力変換回路30の電力変換動作は、制御部7によって制御される。なお、図1では説明をわかりやすくするために駆動回路の図示を省略し、制御部7が半導体スイッチ301,302,303,304の各々を制御するように図示している。
第1電力変換回路30の一対の出力端は各々、第1絶縁トランス20の1次巻線21の両端の各々に電気的に接続される。一対の出力端における一方の出力端は、半導体スイッチ301及び半導体スイッチ302の接続点に電気的に接続されている。一対の出力端における他方の出力端は、半導体スイッチ303及び半導体スイッチ304の接続点に電気的に接続されている。
制御部7は、マイクロコンピュータで構成されていて、マイクロコンピュータが有するメモリからプログラムを読みこんで実行することにより所望の動作を実現させる。なお、制御部7はマイクロコンピュータを用いることに限定されず、演算用のIC(Integrated Circuit)などを用いてもよい。
制御部7は、第1電力変換回路30に制御信号を出力して第1電力変換回路30を制御する。制御部7は、計測部からの計測結果の出力(つまり太陽電池201の発電状況)に基づいて、第1電力変換回路30の動作を制御する。例えば天気が曇りになったり夕方に近づいたりして太陽電池201の発電量が低下し、一対の端子33,34間の電圧値が規定値以下になると、制御部7は第1電力変換回路30を停止状態にする。制御部7が第1電力変換回路30を制御する詳細な動作については後述する。なお、本実施形態の制御部7は、計測部の出力に基づいて第1電力変換回路30を制御しているが、計測部の出力を用いることに限定されず、太陽電池201の発電状況に基づいて第1電力変換回路30を制御できる適宜の構成でよい。
本実施形態の制御部7はさらに、直流開閉器202と、インバータ101と、解列器102とを制御する。例えば制御部7は、計測部の計測結果に基づいて直流開閉器202の開閉を制御する。制御部7は、計測部の計測結果に基づいてインバータ101の動作を制御し、インバータ101の出力電力に応じて解列器102の開閉を制御する。なお、制御部7は、少なくとも第1電力変換回路30を制御するように構成されていればよく、直流開閉器202と、インバータ101と、解列器102とは各々、他の構成(例えば別の制御用回路)によって制御されてもよい。
スナバ回路5は、半導体スイッチ301,302,303,304のスイッチング動作によって発生するサージ電圧を抑制する回路である。スナバ回路5は、コンデンサ51を有している。本実施形態のスナバ回路5はさらに、ダイオード53と、放電用のインピーダンス素子52とを有している。インピーダンス素子52は、抵抗である。ダイオード53のアノードは、リアクトル501と第1電力変換回路30との間に電気的に接続されている。ダイオード53のカソードには、インピーダンス素子52の一端と、コンデンサ51の一方の電極と、後述するダイオード61のアノードが各々、電気的に接続されている。インピーダンス素子52の他端はリアクトル501と端子33との間に電気的に接続されている。コンデンサ51の他方の電極は、端子34に電気的に接続されている。
電源回路8の一方の入力端は、電路600を介して1次側回路3のグランドに接地されている。電源回路8の他方の入力端には、第1電路601と、第2電路602と、第3電路603とが各々、電気的に接続されている。第1電路601は、コンデンサ51の高電位側の電極と電源回路8の他方の入力端とを接続している。第1電路601には、電流を電源回路8に流す方向に制限する逆流防止用のダイオード61が接続されている。第2電路602は、1次側回路3に接続される太陽電池201の高電位側と電源回路8とを接続している。本実施形態では、第2電路602は、端子33と電源回路8の他方の入力端とを接続している。第2電路602には、電流を電源回路8に流す方向に制限する逆流防止用のダイオード62が接続されている。第3電路603は、第3電力変換回路35の高電位側の出力端と電源回路8の他方の入力端とを接続している。
電源回路8は、コンデンサ51、太陽電池201及び電力系統204のうちの何れかから供給される電力で動作する。電源回路8は、一対の入力端間に印加される電圧が電源回路8の最低動作電圧を超えると動作を開始し、制御部7及び第1電力変換回路30の駆動回路に電力の供給を開始する。
電源回路8は、制御部7に電力P1を供給する。また電源回路8は、1次側回路3の駆動回路に電力を供給する。電源回路8は例えば、5Vの直流電圧を制御部7に出力して制御部7を動作させ、15Vの直流電圧を第1電力変換回路30の駆動回路に出力している。電源回路8は、他にも例えばインバータ101や解列器102に電力を供給するように構成されていてもよい。
第3電力変換回路35は、一対の入力端及び一対の出力端を有するダイオードブリッジ回路からなる。第3電力変換回路35は、一対の入力端に入力される交流電圧を全波整流して一対の出力端から出力する。第3電力変換回路35の一対の入力端の各々は、第2絶縁トランス23の2次巻線25に電気的に接続されている。
第2絶縁トランス23は1次巻線24と2次巻線25とを有し、1次巻線24と2次巻線25とは電気に絶縁されている。1次巻線24は、電力系統204に電気的に接続されている。2次巻線25は第3電力変換回路35に電気的に接続されている。第2絶縁トランス23は、1次側回路3及び電源回路8と電力系統204とを電気的に絶縁している。第2絶縁トランス23は、電力系統204から供給される電力を、第3電力変換回路35を介して電源回路8に伝達する。なお、第2絶縁トランス23の詳細な構成は、第1絶縁トランス20と同様であるため説明を省略する。
第3電力変換回路35の一対の出力端間には、平滑用のコンデンサ36が電気的に接続されている。コンデンサ36は第3電力変換回路35が出力する脈流電圧を平滑化する。なお、電源回路8の一対の入力端間に、入力される電圧を平滑化するコンデンサが設けられている場合にはコンデンサ36は省略されていてもよい。
次に、太陽電池201から電力が供給されていない状態から、電力が供給され始めた際に、電源回路8に電力が供給される経路について説明する。以下では、電路600(つまり1次側回路3のグランド)に対する第1電路601の電位差を電圧V1、電路600に対する第2電路602の電位差を電圧V2、電路600に対する第3電路603の電位差を電圧V3と呼ぶ。
太陽電池201から電力が供給されていない状態の電力変換装置1は、電源回路8は第3電路603を介して第3電力変換回路35から出力される電圧で動作する。第3電路603と電路600との間に印加される電圧V3の電圧値は、例えば約282Vである。電源回路8は、太陽電池201が電力を十分に供給できない場合(例えば夜間や天候が曇りなど)、電力系統204から供給される電力で動作する。このとき、第3電力変換回路35からスナバ回路5に電流が逆流することをダイオード61が抑制している。同様に、第3電力変換回路35から太陽電池201に電流が逆流することをダイオード62が抑制している。
ところで、天候が曇りから晴天に移ったり、夜から朝になったりして、太陽電池201から電力変換装置1に電力が供給され始めると、電圧V2が大きくなる。電圧V2の電圧値は、例えば200V〜600Vである。電圧V2が電圧V3を超えると、ダイオード62が導通状態となり、電圧V3の電圧値は電圧V2の電圧値とほぼ等しくなる。つまり、電源回路8の入力端間に電圧V2が印加され、電源回路8は太陽電池201から供給される電力で動作する。なお、電圧V2が電圧V3を超えた場合、第3電力変換回路35の一対の出力端間には逆方向電圧が印加されるので、第3電力変換回路35から電源回路8の一対の入力端に電圧が印加されなくなる。
太陽電池201が電力の供給を開始すると、制御部7は、半導体スイッチ301,302,303,304の各々のスイッチング動作を制御し、第1電力変換回路30に電力変換動作を行わせる。半導体スイッチ301,302,303,304の各々がスイッチング動作を行うと、スイッチング動作によってスナバ回路5のコンデンサ51に蓄えられる電荷が時間経過に伴い増える。そしてコンデンサ51の両端電圧(つまり電圧V1)は、例えば約650Vまで時間経過に伴い大きくなる。電圧V1の電圧値が電圧V2の電圧値を超えると、ダイオード61は導通状態となり、電源回路8の一対の入力端間には、電圧V1が印加される。電圧V1の電圧値が電圧V2の電圧値を超えた場合、ダイオード62には、逆方向電圧が印加されるので、ダイオード62は非導通状態となる。そのため、太陽電池201が出力する電圧V2が電源回路8の一対の入力端間に印加されなくなる。つまり、電源回路8は、コンデンサ51の両端間に印加される電圧V1で動作する。
ところで、コンデンサ51の両端電圧が約650Vになった後に電荷が第1電力変換回路30からスナバ回路5に流入すると、インピーダンス素子52で変換される熱エネルギーの量が増えてコンデンサ51の両端電圧は約650Vに維持される。そのため、第1電力変換回路30の動作状態が継続している間、電源回路8の一対の入力端間には約650Vの電圧V1が印加される。
次に、制御部7が第1電力変換回路30を動作状態から停止状態させた場合と、さらに太陽電池201から供給される電力がほぼゼロになる場合とにおける電源回路8について説明する。制御部7が第1電力変換回路30の電力変換動作を動作状態から停止状態にさせると、スナバ回路5のコンデンサ51の両端電圧(つまり電圧V1)が時間経過に伴って徐々に小さくなる。そして電圧V1が、太陽電池201が出力する電圧V2を下回ると、ダイオード61に逆方向電圧が印加されてダイオード61が非導通状態になる。ダイオード61が非導通状態になると、ダイオード62に印加される電圧が順方向電圧になるのでダイオード62は導通状態となり、電源回路8の一対の入力端間には、太陽電池201が出力する電圧V2が印加される。そして天候が曇りから晴天に移ったり、夜から朝になったりして、太陽電池201が出力する電圧V2が電圧V3を下回ると、ダイオード62に逆方向電圧が印加されてダイオード62が非導通状態になる。電源回路8の一対の入力端には、第3電力変換回路35の出力端間の電圧V3が印加される。つまり電源回路8は第3電力変換回路35から供給される電力で動作する。
なお、電圧V1,V2,V3の各々の電圧値は一例であり、電源回路8に入力される電圧値の大小関係がV3<V2<V1を満たす適宜の電圧値となるように任意の値に定められていてよい。
以上説明したように、本実施形態の電力変換装置1は、1次側回路3と、1次側回路3と電気的に絶縁された2次側回路4と、電源回路8と、第1電路601と、第2電路602と、第2絶縁トランス23とを備えている。1次側回路3は、1次側回路3と2次側回路4との間で交流電力を伝達する第1絶縁トランス20の1次巻線21と、1次巻線21に接続された第1電力変換回路30と、制御部7と、第1電力変換回路30に接続されたスナバ回路5とを有している。制御部7は第1電力変換回路30を制御する。2次側回路4は、第1絶縁トランス20の2次巻線22と、2次巻線22に接続された第2電力変換回路40とを有している。スナバ回路5は、コンデンサ51を含んでいる。電源回路8は、制御部7に電力を供給する。第1電路601は、コンデンサ51と電源回路8とを接続している。第2電路602は、1次側回路3に接続される太陽電池201(分散型電源)と電源回路8とを接続している。第2絶縁トランス23は、2次側回路4に接続される電力系統204から供給される電力を電源回路8に伝達する。第1電路601及び第2電路602には各々、電流を電源回路8に流す方向に制限する逆流防止用のダイオード61,62が接続されている。電源回路8は、コンデンサ51、太陽電池201(分散型電源)及び電力系統204のうちの何れかから電力が供給される。
上記構成によれば、スナバ回路5のコンデンサ51の電荷が電源回路8に供給されるので、電力の利用効率の向上を図ることができる。また、スナバ回路5、太陽電池201(分散型電源)及び電力系統204のうちの何れかから電源回路8に電力が供給されるので、電源回路8に必要な電力を確保することが可能な電力変換装置1を実現できる。言い換えると、電力の利用効率の向上を図れ、かつ電源回路8に必要な電力を確保することが可能な電力変換装置1を提供することができる。また、電源回路8は、太陽電池201又はスナバ回路5から電力が供給される他にも、電力系統204から供給される電力でも動作するので、例えば夜間など太陽電池201(分散型電源)が電力を供給しない場合でも、電源回路8を動作させることができる。具体的に言うと、電源回路8から電力が供給される回路及び装置などを動作させる必要があるメンテナンスを夜間に行うことができる。
本実施形態の電力変換装置1では、第1電力変換回路30の動作状態におけるコンデンサ51の両端間の電圧V1が、電圧V2,V3よりも高い電圧値となるように定められているので、第1電力変換回路30の動作中のスナバ回路5の電力を有効活用できる。より詳細には、コンデンサ51が蓄えた電荷が電源回路8に供給され、電源回路8に供給されない電荷がインピーダンス素子52で熱エネルギーとして消費される。例えばコンデンサ51が蓄えた電荷が電源回路8に供給されない場合を例にすると、スナバ回路5に供給される電荷の多くはインピーダンス素子52で熱エネルギーとして消費されることになる。そのため、インピーダンス素子52で発生する熱量が大きくなり、放熱対策として大きなヒートシンクなどが必要となる。しかしながら本実施形態では、コンデンサ51が蓄えた電荷の多くが電源回路8に供給されることで、インピーダンス素子52での電荷の消費を抑えることができる。ゆえにインピーダンス素子52での発熱を抑えることができる。言い換えると、本実施形態の電力変換装置1は電力の利用効率の向上を図ることができて、かつインピーダンス素子52での発熱を抑えることができる。インピーダンス素子52での発熱が抑えられるとインピーダンス素子52に熱結合されるヒートシンクを小型化できるので、電力変換装置1を小型化できる。
本実施形態のパワーコンディショナ100は、上記した電力変換装置1と、電力変換装置1の出力する直流電力を交流電力に変換して電力系統204へ出力するインバータ101とを備えている。
上記構成によれば、電力の利用効率の向上を図れ、かつ電源回路8に必要な電力を確保することが可能なパワーコンディショナ100を提供することができる。
なお、本実施形態の電源回路8は、制御部7と第1電力変換回路30とに電力を供給しているが、少なくとも制御部7に電力を供給すればよい。その場合、第1電力変換回路30は、電源回路8とは異なる回路から電力が供給されてもよい。また、電源回路8は、電圧を出力することにより電力を供給する他にも、例えば電流を流すことにより電力を供給してもよい。
本実施形態の放電用のインピーダンス素子52は抵抗で構成されているが、抵抗に限定されず、例えばコイルなどのインダクタンス成分と抵抗成分とを有する適宜の素子でもよい。また、インピーダンス素子52は電荷を熱エネルギーに変換する他にも、例えば磁気エネルギーに変換するなどの適宜の素子(例えばコイルなど)でもよい。
本実施形態のスナバ回路5は、いわゆるRDCスナバ回路で構成されているが、この構成に限定されず、スイッチング素子を用いたアクティブスナバ回路で構成されていてもよい。スナバ回路5は、コンデンサ51を有し、第1電力変換回路30からのサージ電圧を抑制できる適宜のスナバ回路の構成でもよい。スイッチング素子は、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ、ゲートターンオフサイリスタ、ゲート転流型ターンオフサイリスタ、光トリガサイリスタ、双方向サイリスタ、MOSFETなどでもよい。
本実施形態では、片方向のDC−DCコンバータを構成している電力変換装置1について説明したが、電力変換装置1は、1次側と2次側とが電気的に絶縁された双方向のDC−DCコンバータを構成している電力変換装置1についても適用可能である。具体的に言うと、本実施形態では第1電力変換回路30と第1絶縁トランス20と第2電力変換回路40とで片方向のDC−DCコンバータを構成している。片方向のDC−DCコンバータの構成を双方向のDC−DCコンバータに変更しても、スナバ回路5のコンデンサ51に蓄えられる電荷を電源回路8に供給することができる。言い換えると、双方向DC−DCコンバータを有する電力変換装置1及びそれを用いたパワーコンディショナ100でも、電力の利用効率の向上を図れ、かつ電源回路8に必要な電力を確保することが可能である。双方向DC−DCコンバータを有する電力変換装置1では、例えば2次電池からなる蓄電池を分散型電源として利用することができる。
図1では1台の電力変換装置1を備えたパワーコンディショナ100を図示しているが、パワーコンディショナ100は1台の電力変換装置1を備えることに限らず、複数台の電力変換装置1を備えていてもよい。例えばパワーコンディショナ100が複数の電力変換装置1を有していて、電力変換装置1の各々の一対の端子43,44から出力される直流電圧の電圧レベルを異ならせてもよい。例えばパワーコンディショナ100は、少なくとも1台の太陽電池201に接続された電力変換装置1から電圧レベルの異なる複数の直流電圧を、各々の出力端子から出力できるように構成されていてもよい。
(実施形態2)
実施形態1の電力変換装置1において、第2絶縁トランス23の2次側において第2絶縁トランス23と電源回路8との間に、電流を電源回路8に流す方向に制限する逆流防止用のダイオード63をさらに備えた電力変換装置11について図2を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置11は、第3電路603に逆流防止用のダイオード63を備えている。ダイオード63のアノードは第3電力変換回路35の高電位側の出力端に電気的に接続されている。ダイオード63のカソードは電源回路8の高電位側の入力端に電気的に接続されている。ダイオード63は、電流を第3電力変換回路35から電源回路8に流す方向に制限している。ダイオード63は、例えば太陽電池201(図1参照)が出力する電圧V2及びコンデンサ51の両端間の電圧V1が、第3電力変換回路35が出力する電圧V3よりも高い電圧である場合に、第3電力変換回路35に電流が逆流することを抑制する。また、ダイオード63の逆方向電圧の耐圧が電圧V1,V2に対して大きい場合、第3電力変換回路35の有する整流回路の逆方向電圧の耐圧が電圧V1,V2に対して大きくなくてもよくなる。
以上説明したように、本実施形態の第2絶縁トランス23の2次側において第2絶縁トランス23と電源回路8との間には、電流を電源回路8に流す方向に制限する逆流防止用のダイオード63が接続されている。
上記構成によれば、ダイオード63は、太陽電池201(分散型電源)及びコンデンサ51から第3電力変換回路35に電流が逆流することを抑制する。また、逆方向電圧の耐圧が電圧V1,V2よりも大きいダイオード63を用いることにより、第3電力変換回路35の一対の入力端間に過電圧が印加されることを抑制することも可能である。
本実施形態の電力変換装置11は、実施形態1のパワーコンディショナ100における電力変換装置1に代えて用いることができる。
(実施形態3)
実施形態1の電力変換装置1において保護部9をさらに備えた電力変換装置12について図3を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の電力変換装置12は、電源回路8を過電圧から保護する保護部9をさらに備えている。電源回路8は、保護部9を介して第1電路601と、第2電路602との各々に電気的に接続されている。また電源回路8は、第3電路603と第3電力変換回路35とを介して第2絶縁トランス23に電気的に接続されている。つまり保護部9には、第1電路601と、第2電路602と、第3電路603とが各々、電気的に接続されている。ゆえに保護部9は、コンデンサ51と太陽電池201と電力系統204との各々から電源回路8の一対の入力端間に過電圧が印加されることを抑制する。保護部9は、例えば第1電路601にノイズが加わって、電圧V1がさらに大きくなった場合に、電源回路8の一対の入力端間に過電圧が印加されることを抑制する。
保護部9は、インピーダンス素子52よりもインピーダンスが小さいバリスタ(varistor)を有する。バリスタは、例えば電源回路8の高電圧側の入力端と第1電路601(又は第2電路602、又は第3電路603)との間に電気的に接続されている。例えばバリスタの一端が高電圧側の入力端に電気的に接続され、バリスタの他端が1次側回路3のグランドに電気的に接続されている。バリスタは、両端間電圧が所定値よりも小さい場合には抵抗値が高いが、両端間電圧が所定値を上回ると抵抗値が低くなる素子である。バリスタは、電源回路8の一対の入力端間の電圧が大きくなって所定値を超える場合に、電圧がさらに大きくなり続けることを抑制する。またバリスタは、両端間電圧が所定値よりも小さい場合には抵抗値が高いので、電源回路8の一対の入力端間の電圧が所定値よりも小さい通常状態では、電源回路8に供給される電荷をバリスタは消費しにくくなっている。つまり、通常状態では保護部9は電力を消費しにくくなっている。そのため、電力変換装置1が保護部9を有していても、電力の利用効率の向上を図ることができる。
また、保護部9は、インピーダンス素子52よりもインピーダンスが小さくなるように構成されている。言い換えると、インピーダンス素子52のインピーダンスは、保護部9のインピーダンスよりも大きくなるように構成されている。本実施形態では、インピーダンス素子52を含む放電回路のインピーダンスよりも、スナバ回路5と電源回路8との間のインピーダンスが小さくなっている。そのため、コンデンサ51の電荷の多くがインピーダンス素子52よりも保護部9側(つまり電源回路8側)に流れる。ゆえに、インピーダンス素子52で消費される電荷を少なくすることができ、電力効率を向上させることができる。
以上説明したように、本実施形態の電力変換装置12は、電源回路8を過電圧から保護する保護部9をさらに備え、電源回路8は、保護部9を介して第1電路601と、第2電路602と、第2絶縁トランス23との各々に電気的に接続されていることも好ましい。
上記構成によれば、保護部9は、第1電路601を介してコンデンサ51から電源回路8の一対の入力端間に過電圧が印加されることを抑制する。保護部9は、第2電路602を介して太陽電池201(分散型電源)から過電圧が電源回路8の一対の入力端間に印加されることを抑制する。保護部9は、第2絶縁トランス23を介して電力系統204から過電圧が電源回路8の一対の入力端間に印加されることを抑制する。
本実施形態では、保護部9がバリスタを有していて、通常状態では保護部9による電力消費を抑制しつつ、電源回路8の一対の入力端間に過電圧が入力されることを保護部9が抑制する。
本実施形態の電力変換装置12において、スナバ回路5はさらに放電用のインピーダンス素子52を含む。インピーダンス素子52のインピーダンスは、スナバ回路5と電源回路8との間のインピーダンスよりも大きいことも好ましい。
上記構成によれば、インピーダンス素子52のインピーダンスは、スナバ回路5と電源回路8との間のインピーダンスよりも大きいため、コンデンサ51の電荷の多くがインピーダンス素子52よりも電源回路8側に流れる。ゆえに、インピーダンス素子52で消費される電荷を少なくすることができ、電力効率を向上させることができる。
本実施形態では、インピーダンス素子52よりも保護部9のインピーダンスが小さいので、インピーダンス素子52を含む放電回路のインピーダンスよりも、スナバ回路5と電源回路8との間のインピーダンスが小さくなっている。そのため、インピーダンス素子52で消費される電荷を少なくして電力効率を向上させつつ、電源回路8の一対の入力端間に過電圧が印加されることを抑制することができる。
保護部9は、バリスタの他にも例えば、コイル、コンデンサ、抵抗、シールドなどの単一部品で構成されていてもよい。複数個の単一部品を組み合わせて保護部9を構成する場合に比べて、単一部品のみで保護部9を構成した方が安価に保護部9を構成できる場合がある。つまり、コストを抑えて保護部9を実現することができる。
ところで、保護部9は、単一部品で構成されるほかにも、例えばLC回路などのフィルタ回路で構成されていてもよい。通常の電圧にノイズが加わった場合でもフィルタ回路によりノイズ成分を除去することで、電源回路8の一対の入力端間に過電圧が印加されることを抑制できる。
なお、保護部9は、電圧V1,V2,V3のうち電圧値が最も大きい電圧V1の過電圧から電源回路8を保護する他にも、電圧V2,V3に加わったノイズによる瞬間的な電圧値の増加を抑制するように構成されていてもよい。例えば保護部9は、フィルタ回路によりノイズを除去してもよい。また保護部9は、電源回路8の一対の入力端に接続される電路を、導電部材からなるシールド部材などで覆うことにより、電源回路8の一対の入力端にノイズが入力されることを抑制してもよい。
本実施形態の電力変換装置12は、実施形態1のパワーコンディショナ100における電力変換装置1の代わりに用いることができる。他にも例えば、実施形態2の電力変換装置11は、電力変換装置12の保護部9をさらに備えていてもよい。
また、保護部9の有無に関わらず、スナバ回路5と電源回路8との間のインピーダンスよりもインピーダンス素子52のインピーダンスが大きければ、インピーダンス素子52を含む放電回路よりも電源回路8側に多くの電流が流れる。インピーダンス素子52で熱エネルギーとして消費される電荷を少なくすることができるので、電力効率を向上させることができる。