JP6457502B2 - 3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルの医薬上の使用 - Google Patents

3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルの医薬上の使用 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、医薬上許容される担体及び3−ベンジルスルホニルプロピオニトリル、又はその医薬上許容される塩を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、炎症又は炎症関連障害及び疼痛を治療するための化合物の使用方法に関する。
発明の背景
炎症は微生物又は組織損傷が様々な細胞型からのサイトカイン及びケモカインの放出を誘導するプロセスであり、増加した血管透過性、内皮受容体のアップレギュレーション、及び、従って、様々な細胞の先天性及び適応性免疫系の出口の増加を生じ、周囲組織に入り、炎症の伝統的な状況、すなわち発赤、腫大、熱及び痛みなどを大いに生じる。
炎症は、様々な内因性及び外因性因子によって引き起こされることがある損傷による生体組織の局所的な反応である。外因性因子としては、物理的、化学的及び生物学的因子が挙げられる。内因性因子としては、炎症性メディエータ、抗原及び抗体が挙げられる。内因性因子は、しばしば、外因性損傷の影響下に現れる。炎症反応は、しばしば、次いで、細胞膜の変化した構造及び浸透性を生じさせる。メディエータ及び抗原などの内因性因子は炎症反応の種類又はタイプ、特に損傷の領域での炎症反応のコースを決める。組織の損傷がメディエータの生成に限定される場合に、急性型の炎症が起こる。免疫反応がプロセスに関与しているならば、抗原、抗体及び自己抗原の相互作用を介して、長期の炎症プロセスは現れる。例えば、様々な外因性の自然力、例えば、感染症、外傷、放射線はまた、生化学反応を開始する細胞膜に損傷を与えることによって、分子レベルでの炎症プロセス過程を提供する。
物理的な要因に基づいて、疼痛は3つのタイプ:侵害受容型、神経因性及び混合型に分けることができる。
侵害受容型疼痛は、侵害受容体によって検出される痛みに関する用語である。侵害受容体は、皮膚直下、腱内、関節内及び内臓内を終端とする自由神経終末である。侵害受容型疼痛は、典型的には、オピオイド及びNSAIDを用いた治療によく応答する。幾つかの種類の侵害受容型疼痛:体性痛、内臓痛及び皮膚痛がある。内臓痛は内臓から来る。深淵な体性痛は靱帯、腱、骨、血管、筋膜及び筋肉における侵害受容体の刺激によって開始され、鈍く、うずき、不十分に局所化された痛みである。例としては、捻挫及び骨折が挙げられる。表在性疼痛は、皮膚又は他の表面組織における侵害受容体の活性化によって開始され、そして、鋭く、明確で、はっきりとした位置にある。表面的な体性痛を生じる損傷の例としては軽傷及び軽火傷(第1度)が挙げられる。侵害受容型疼痛は、通常、持続時間が短く、傷害が回復したときに終了する。侵害受容型疼痛の例としては、術後疼痛、捻挫、骨折、火傷、こぶ、あざ及び炎症性侵害受容型疼痛が挙げられる。炎症性侵害受容型疼痛は組織損傷及び結果として生じる炎症プロセスと関連している。
神経因性疼痛は、末梢及び中枢神経系におけるニューロンへの損傷によって生じ、これらの系の増感を伴う。根本的な病因は、通常は不可逆的であるため、神経因性疼痛のほとんどは慢性疼痛である。ほとんどの人はシューティング、バーニング、ヒリヒリ感、鈍器で刺す、電気ショック質、しびれ及び永続的なアロディニアとしての神経因性疼痛を表現する。神経因性疼痛の命名法は病因と神経系を開始するサイトに基づいており、例えば、中央脳卒中後疼痛、糖尿病性末梢神経障害、ヘルペス後(又はポスト帯状疱疹)神経痛、末期癌性疼痛、幻肢痛である。
混合型疼痛は、侵害受容型疼痛及び神経因性疼痛の両方の共存を特徴とする。例えば、筋肉痛は、慢性腰痛、偏頭痛及び筋膜痛をもたらす中枢又は末梢神経感作を誘発する。
結合組織は、一定の連続したストレス及び傷害にさらされる。急性又は慢性の衝撃及び様々な変性疾患の自然な進行は、すべて、首、背中、腕、腰、足首及び足などの関節領域に痛みを伴う炎症を引き起こす。これらの苦痛は一般的であり、しばしば衰弱させる。
炎症、炎症関連障害及び疼痛を治療するための組成物及び方法が必要とされている。組成物は、経済的でかつ製造が容易であるべきであり、方法は、有効でかつ有意な副作用を有しないべきである。
発明の要旨
本発明は、3−ベンジルスルホニルプロピオニトリル又はその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物を含む医薬組成物に関する。該化合物は、好ましくは、少なくとも90%純度(w/w)である。
本発明はさらに、炎症、炎症関連障害及び疼痛を治療する方法に関する。本方法は、必要とする対象に、3,4−ビス−ベンジルスルホニルブタンニトリル又はその医薬上許容される塩を投与する工程を含む。活性化合物を含む医薬組成物は、局所、経口及び非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下又は直腸など)を含む、受け入れられた投与のモードのいずれかにより施用することができる。局所投与及び経口投与は好ましい。
図1は、ビヒクル(DMSO、経口施用)、試験化合物(DMSO中500mg/kg、経口施用)及びモルヒネ(生理食塩水中8mg/kg、皮下施用)で処置したマウスのテールフリック試験の結果を示す。各群の待ち時間は平均±SEMとして計算し、時間に対してプロットされており、ここで、*はビヒクル処置されたマウスと比較してp値<0.05を示す。
発明の詳細な説明
定義
「医薬上許容される塩」は、本明細書中に使用されるときに、本化合物の所望の生物学的活性を保持し、所望されない毒性効果を付与しない塩である。医薬上許容される塩の形態は様々な結晶多形体ならびに異なる塩の非晶形態を含む。医薬上許容される塩は金属又は有機対イオンとともに形成でき、そして限定するわけではないが、ナトリウム又はカリウムなどのアルカリ金属塩、マグネシウム又はカルシウムなどのアルカリ土類金属塩、及び、アンモニウムもしくはテトラアルキルアンモニウム塩、すなわち、NX4+(XはC1−4である)が挙げられる。
「溶媒和物」は、本明細書中に使用されるときに、化合物が特定の固定割合で許容される共溶媒と化合されている付加錯体である。本発明の化合物では、共溶媒としては、限定するわけではないが、水、エタノール及び酢酸が挙げられる。
3−ベンジルスルホニルプロピオニトリル
本発明者は、3−ベンジルスルホニルプロピオニトリル又はその医薬上許容される塩、又はその溶媒和物が、炎症、炎症関連障害及び疼痛を治療するのに有効であることを発見した。
Figure 0006457502
CAS番号3179−18−8の、3−[(フェニルメチル)スルホニル]プロピオニトリルとも称される3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルは、209.26の分子量を有する。3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルは、塩基性条件下にベンジルメルカプタンと3−ブロモプロピオニトリルとの反応によって形成される3−ベンジルチオプロピオニトリルの過酸化物酸化によって合成され得る。
医薬組成物
本発明は、1種以上の医薬上許容される担体及び3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルの活性化合物又はその医薬上許容される塩又はその溶媒和物を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物中の活性化合物又はその医薬上許容される塩又はその溶媒和物は、一般に、局所用製剤では、約0.01〜20%又は0.05〜20%又は0.1〜20%又は0.2〜15%又は0.5〜10%又は1〜5%(w/w)の量であり、注入用製剤では約0.1〜5%であり、パッチ製剤では0.1〜5%であり、錠剤製剤では約1〜90%であり、そしてカプセル製剤では1〜100%である。
1つの実施形態において、活性化合物は任意の許容される担体中に取り込まれ、該担体としては、クリーム、ゲル、ローション又は活性化合物を安定化させそして局所施用により患部にデリバリーすることができる他のタイプの懸濁液が挙げられる。別の実施形態において、医薬組成物は錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、坐剤、注入用溶液、パッチなどの投与形態であることができる。上記の医薬組成物は従来の方法により調製されうる。
不活性成分である医薬上許容される担体は、従来の基準を用いて当業者により選択されうる。医薬上許容される担体としては、限定するわけではないが、非水性溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、ミセル溶液、ゲル及び軟膏が挙げられる。医薬上許容される担体はまた、下記成分を含むことができ、該成分としては、限定するわけではないが、塩類溶液及び水性電解質溶液;塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセロール及びデキストロースなどのイオン性及び非イオン性浸透剤;水酸化物の塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、ホウ酸塩及びトロラミンなどのpH調整剤及び緩衝剤;亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、メタ重亜硫酸塩、チオ亜硫酸塩、アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、グルタチオン、ブチルヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール及びパルミチン酸アスコルビルの塩、酸及び/又は塩基などの抗酸化剤;レシチン、リン脂質などの界面活性剤(限定するわけではないが、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン及びホスファチジルイノシトールが挙げられる);ポロキサマー及びポロキサミン、ポリソルベート80、ポリソルベート60及び、ポリソルベート20などのポリソルベート、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなどのポリエーテル;ポリビニルアルコール及びポビドンなどのポリビニル化合物;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース及びその塩などのセルロース誘導体;鉱油及び白色ワセリンなどの石油誘導体;ラノリン、ピーナッツ油、パーム油、大豆油などの脂肪;モノ−、ジ−及びトリグリセリド;カルボキシポリメチレンゲル及び疎水性変性架橋型アクリレートコポリマーなどのアクリル酸のポリマー;デキストラン及びヒアルロン酸ナトリウムなどのグリコサミノグリカンなどの多糖類が挙げられる。このような医薬上許容される担体はよく知られた防腐剤を用いて細菌汚染に対して保存されることができ、ここで、該防腐剤としては、限定するわけではないが、塩化ベンザルコニウム、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、メチルパラベン、チメロサール及びフェニルエチルアルコールが挙げられ、又は、単一又は複数使用のいずれかで非防腐化製剤として製剤化されることができる。
例えば、活性化合物の錠剤製剤又はカプセル剤製剤は生体活性を有せず、そして活性化合物の反応性を有しない他の賦形剤を含むことができる。錠剤又はカプセル剤の賦形剤はフィラー、結合剤、滑沢剤及び流動促進剤、崩壊剤、湿潤剤及び放出速度調節剤を含むことができる。結合剤は製剤の粒子の接着性を促進し、錠剤製剤にとって重要である。錠剤又はカプセル剤の賦形剤の例としては、限定するわけではないが、カルボキシメチルセルロース、セルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カラヤガム、デンプン、トラガカントゴム、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、ポリ(アクリル酸)及びポリビニルピロリドンが挙げられる。例えば、錠剤製剤はコロイド二酸化ケイ素、クロスポビドン、ヒプロメロース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、デンプングリコール酸ナトリウム及び/又は二酸化チタンなどの不活性成分を含むことができる。カプセル剤製剤は、ゼラチン、ステアリン酸マグネシウム及び/又は二酸化チタンなどの不活性成分を含むことができる。
例えば、活性化合物のパッチ製剤は1,3−ブチレングリコール、ジヒドロキシルアルミニウムアミノアセテート、エデト酸二ナトリウム、D−ソルビトール、ゼラチン、カオリン、メチルパラベン、ポリソルベート80、ポビドン、プロピレングリコール、プロピルパラベン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、酒石酸、二酸化チタン及び精製水などの幾つかの不活性成分を含むことができる。パッチ製剤はまた、乳酸エステル(例えば、乳酸ラウリル)又はジエチレングリコールモノエチルエーテルなどの皮膚透過性促進剤を含むこともできる。
活性化合物を含む局所製剤は、ゲル、クリーム、ローション、液体、エマルション、軟膏、スプレー、溶液及び懸濁液の形態であることができる。局所製剤中の不活性成分としては、例えば、限定するわけではないが、乳酸ラウリル(皮膚軟化剤/透過性向上剤)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(皮膚軟化剤/透過性向上剤)、DMSO(溶解促進剤)、シリコーンエラストマー(レオロジー/テクスチャー改良剤)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、(皮膚軟化剤)、サリチル酸オクチル(オクチサレート)(皮膚軟化剤/UVフィルタ)、シリコーン流体(皮膚軟化剤/希釈剤)、スクアレン(皮膚軟化剤)、ヒマワリ油(皮膚軟化剤)及び二酸化ケイ素(増粘剤)が挙げられる。
1つの実施形態において、乳酸ラウリル(例えば、約0.1〜10%又は約0.2〜5%又は0.5〜5%)は局所用ゲル製剤中に含まれる。乳酸ラウリルは局所投与のために安全であると考えられる。ラウリル乳酸は医薬品及び化粧品内でヒトへの使用に適している。乳酸ラウリルは、局所製剤中で使用されるときに、化合物の透過性を高める。好ましくは、乳酸ラウリルは≧90%、好ましくは≧95%の純度を達成するように精製され、高純度は加水分解剤及び酸化剤の存在を軽減する。また、製剤中で0.1〜20%又は0.5%〜10%(w/w)のDMSOは活性化合物の適切な溶解性を提供する。
別の実施形態において、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは局所ゲル製剤中に含まれる。
使用方法
炎症は、免疫系の先天性及び後天性成分の活性化及び活性の継続に起因するプロセス及び組織病理学的状態である。細胞間相互作用におけるアラキドン酸カスケード及びサイトカイン産生及び作用は炎症を引き起こす免疫活性化及び応答の重要な要素である。アラキドン酸は膜リン脂質の構成成分である。アラキドン酸がリン脂質から解放された後に、アラキドン酸は既知の炎症誘発性実体であるプロスタグランジン及びロイコトリエンを含む多くの既知のエイコサノイドの前駆体として作用する。
活性化合物はマウス耳腫大モデルにおいて局所的に施用したときに抗炎症性であり、ここで、炎症はアラキドン酸により誘導されている。活性化合物は炎症誘発性メディエータを阻害するのに有効である。
本発明は、炎症及び/又は疼痛の治療方法に関する。3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルは、そのまま使用されても、又は、医薬上許容される担体を追加的に含む医薬組成物の形態で投与されてもよい。本方法は炎症及び/又は疼痛に悩まされる対象を最初に認定すること、及び、該対象に活性化合物を、炎症及び/又は疼痛を治療するのに有効な量で投与することの工程を含む。「有効な量」は、本明細書中に使用されるときに、病態を改善し又は疾患の症状を低減することにより疾患を治療するのに有効な量である。
1つの実施形態において、本方法は炎症に関連する症状を低減し又は改善する。本発明は急性又は慢性腫大、疼痛、発赤、温度上昇又はある場合に機能の損失を特徴とする炎症の局所的な症状を治療する方法を提供する。
別の実施形態において、本発明は、疼痛の原因に関係なく、疼痛の症状の改善する方法を提供する。本方法により治療可能な一般的な用語「疼痛」としては侵害受容型、神経因性及び混合型が挙げられる。本発明は、様々な重症度の疼痛、すなわち、軽度、中等度及び重度の疼痛、急性及び慢性疼痛を低減する。本発明は、関節痛、筋肉痛、腱の痛み、火傷による痛み、及び、関節リウマチなどの炎症によって引き起こされる痛みを治療するのに有効である。
1つの実施形態において、本発明は、筋骨格系又は皮膚に関連した炎症及び/又は疼痛を治療するのに有用である。高度に神経支配された筋骨格及び皮膚系は、痛みの表示の高い能力を有する。また、筋骨格系は、組織腫大の高い能力を有し、そして皮膚は発赤、腫脹及び熱の高い能力を有する。筋骨格及び皮膚系において、組織損傷の程度はしばしば生じる炎症反応に比例して大きくなる。例えば、皮膚では、単なるしっかりとした軽擦は、サイトカイン、IL−1及びTNFの解放を引き起こすであろう。
本発明は炎症及び/又は炎症性骨格又は筋肉疾患又は病態に関連する疼痛を治療する方法を提供する。本方法は、それを必要とする対象を認定すること、及び、炎症及び/又は疼痛を治療するのに有効な量で、活性化合物を対象に投与することの工程を含む。「活性化合物」は、本明細書中に使用されるときに、3−ベンジルスルホニルプロピオニトリル及びその医薬上許容される塩を含むことが意図される。骨格又は筋肉疾患又は病態は筋骨格捻挫、筋骨格挫傷、腱障害、末梢神経根症、骨関節炎、関節変性疾患、リウマチ性多発筋痛症、若年性関節炎、痛風、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、肋軟骨炎、腱炎、滑液包炎、例えば、普通外側上顆炎(テニス肘)、内側上顆炎(投手肘)及び転子滑液包炎、顎関節症候群及び線維筋痛症が挙げられる。
本発明は、炎症及び/又は炎症性皮膚疾患、例えば、皮膚炎、乾癬及びざ瘡に関連する疼痛を治療する方法を提供する。本方法は、それを必要とする対象を識別すること、及び、炎症及び/又は疼痛を治療するのに有効な量の活性化合物を対象に投与する工程を含む。
皮膚は環境刺激に対して非常に反応性であり、そしてケラチノサイトの表皮構成要素は、アラキドン酸ならびに炎症誘発性サイトカインIL‐1及びTNFの両方の非常に豊かな発生源である。皮膚樹状細胞であるランゲルハンス細胞は様々なリンパ球のさらなる免疫反応のために抗原を認識し、そして処理し、そしてこれらの細胞のすべては、それらの特異的な細胞表面受容体を介してサイトカインにより主に調節される。
皮膚炎(また、湿疹とも呼ばれる)は、皮膚の一般的な炎症である。皮膚炎の特定の種類は、アトピー性、接触性、貨幣状及び光誘導性が挙げられる。
アラキドン酸誘発性炎症を阻害するのに有効であり、そして炎症誘発性メディエータを阻害するのに有効である3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルは、炎症及び/又は乾癬、ざ瘡、酒さ、ならびに、皮膚炎、特に接触性皮膚炎及びアトピー性皮膚炎に関連する疼痛を治療するために有効である。
本発明の医薬組成物は、局所投与(local administration)及び全身投与により施用されうる。局所投与(local administration)として、局所投与(topical administration)が挙げられる。全身投与として、経口、非経口(静脈内、筋肉内、皮下又は直腸など)、及び他の全身経路の投与が挙げられる。全身投与において、活性化合物は、最初に血漿に到達し、そしてその後、標的組織内に分布する。局所投与及び経口投与は本発明に関して好ましい投与経路である。
組成物の投与量は、損傷の程度及びそれぞれの患者個体の応答に基づいて変化しうる。全身投与では、送達される活性化合物の血漿中の濃度は変化しうるが、一般に、1×10-10〜1×10-4モル/リットル、好ましくは1×10-8〜1×10-5モル/リットルである。
1つの実施形態において、組成物は患部に局所的に施用され、そして擦り込まれる。組成物は、医学的問題及び慢性又は急性である疾患病状に応じて、少なくとも1日1又は2回、又は1日3〜4回、局所的に施用される。一般に、局所組成物は、約0.01〜20%又は0.05〜20%又は0.1〜20%又は0.2〜15%、0.5〜10又は1〜5%(w/w)の活性化合物を含む。例えば、局所組成物は約1又は5%(w/w)の活性化合物を含む。患部のサイズに応じて、0.2〜85mL、典型的には、0.2〜10mLの局所組成物は投与あたり個体に施用される。活性化合物は、皮膚を通過し、そして不快症状の部位にデリバリーされる。
1つの実施形態において、医薬組成物は対象に経口で投与される。経口投与の投与量は、一般に、1〜50、好ましくは1〜10又は1〜5mg/kg/日である。例えば、活性化合物は患者の病状に応じて、100〜800mg/投与又は200〜600mg/投与で1〜4回/日で経口的に成人に施用されうる。
1つの実施形態において、医薬組成物は対象に対して皮下に投与される。皮下投与の投与量は、一般に、0.3〜20、好ましくは0.3〜3mg/kg/日である。
当業者は、様々な種類のデリバリーメカニズムがまた、本発明のために適切であることを認識するであろう。
本発明は、哺乳動物対象、例えば、ヒト、ウマ及びイヌを治療するのに有用である。本発明はヒトを治療するのに特に有用である。
以下の実施例は本発明をさらに例示する。これらの実施例は単に本発明を例示することを意図しており、これらに限定するものと解釈されるべきではない。
実施例1. 3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルの調製
(A)ナトリウムエトキシド(100mL,175mmol)のエタノール溶液をベンジルメルカプタン(170mmol)のエタノール(100mL)溶液に加えた。得られた黄色溶液に、3−ブロモプロピオニトリル(178mmol)を5分かけて滴下した。終夜撹拌後、反応混合物を減圧濾過し、ろ液をシロップに濃縮し、酢酸エチルで希釈し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、黄橙色液体(30.52g)を得た。
(B)(A)の一部からの液体を酢酸及び無水酢酸(計130mL)の当量で希釈し、次いで、温度を30〜40℃に維持するように、2時間かけて30%過酸化水素(3等量)を滴下して処理した。終夜撹拌後、白色固体をろ過によって回収し、水で十分に洗浄し、風乾した。収率:74%(ベンジルメルカプタンから);mp:119.0〜119.7°C;FTIR−ATR:2253.90cm−1(CN);1275.91cm−1(S0);1121.25cm−1(S0);H NMR(400MHz;DMSO−d):δ2.98(t,2H),3.45(t,2H),4.58(s,2H),7.41(5,5H)。
実施例2. ゲル製剤
表1は、3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルを含む1つのゲル製剤を例示する。
Figure 0006457502
実施例3. マウスにおける局所施用による活性化合物の抗炎症活性
実施例1から調製された3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルを本実験において使用した。
試験化合物、インドメタシン(陽性コントロール)及びビヒクルに関して、マウスの局所アラキドン酸誘発耳腫大モデルにおける抗炎症活性を評価した。
22±2gの体重の雄ICRマウスを用いて、ランダムに分けた;試験化合物及びビヒクルコントロールは10匹のマウスを有し、インドメタシンは5匹のマウスを有した。アラキドン酸(20μlのアセトン:エタノール1:1中で0.5mg)を各マウスの右耳の前方表面及び後方表面に局所的に施用した。試験物質及びビヒクルは、表2に示すとおり、アラキドン酸施用の30分前及び15分後に同様に施用した。右耳及び左耳の厚さを測定し、差異を右耳の炎症の指標として計算した。耳腫大は炎症の指標としてアラキドン酸施用の60分及び90分後にDyerモデルマイクロメータゲージにより測定した。%阻害は式:Ic−It/Icx100(式中、Ic及びItはそれぞれコントロール及び処置済みマウスの耳の厚さの増加(mm)を指す)により計算した。ANOVA及びDurnnett試験を用いて、ビヒクルコントロール及び処置済み群の有意な差異を確認した。有意さはp<0.05レベルと設定している。アラキドン酸施用の90分後での結果を表2に示す。
Figure 0006457502
試験化合物は、ビヒクル処置済み群と比較して、アラキドン酸により誘発される耳腫大の35%阻害をもたらした。処置済みマウス及びビヒクル処置済みマウスの間の差異は統計学的に有意であることが決定された(t−検定によるp−値は<0.001であった)。
実施例4. マウスにおける経口投与による活性化合物の鎮痛活性(テールフリックモデル)
テールフリック試験は動物における疼痛応答の試験である。テールフリック試験を基本疼痛研究で使用し、動物において加熱するためのテールフリック反応を観測することにより鎮痛性の効果を測定する。この試験は局所疼痛刺激に対する侵害受容型反応、そしてこの応答を阻害する医薬の能力を評価する。
ビヒクルコントロール(DMSO)及びDMSO中の試験化合物3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルを、時刻0で、試験の直前に、5mL/kgの体積でマウスに口腔経管法により投与した。試験化合物をDMSO中の500mg/kgの投与量でマウスに対して投与した。水中の陽性コントロールモルヒネを、時刻0で、マウスに対して8mg/kgで皮下注入により投与した。陽性コントロールの皮下モルヒネ群の主な目的はアッセイが一貫して行われること確保するための品質コントロールのためのものである。モルヒネの目的は試験化合物との比較としての役割を果たすものではない。各群は10匹のマウスを有した。
熱刺激に対するマウスの応答を、49℃の水浴からのテールフリック又はテールフリック待ち時間を測定することにより評価した。端的には、動物を、テールを垂下させて保持した。約2インチのテールを、38±1℃の水のビーカー内に約30秒間浸漬させた。これを手順に動物を順応させるために2回行った。
次いで、約2インチのテールを、49±1℃の水のビーカー内に浸漬し、その時点でタイマーを開始した。不快の最初の徴候(全身けいれん、テールの湾曲又は急速動作)で、又は、もし動物が応答しなければ30秒後に、タイマーを停止し、待ち時間を記録し、そしてテールを水から取り出した。
テールフリック測定は投与量の試験化合物、ビヒクル又はモルヒネの投与後0、30、60及び120分で行った。ANOVAを行い、もしp<0.05であるならば、Dunnett試験を用いて、ビヒクルコントロール及び試験化合物処置済み群の間の有意な差異を計算した。対の学生試験を用いて、モルヒネ群及びコントロール群の間の差異を計算した。各群のテールフリック応答の結果は平均±SEM(標準平均誤差)として計算される。p−値<0.05の分析は有意であると考えられる。
図1はビヒクル(DMSO、経口施用)、試験化合物(DMSO中で500mg/kg、経口施用)及びモルヒネ(生理食塩水中8mg/kg、皮下施用)により処置されたマウスのテールフリックの結果を示す。各群の待ち時間は平均±SEMとして計算し、そして時間に対してプロットされ、ここで、*はビヒクル処置済みマウスと比較して、p値<0.05を示す。
図1に示されるとおり、モルヒネ処置済みマウス(皮下注入)は、ビヒクル処置済みマウスと比較したときに、投与後30及び60分で統計的に有意にテールフリック待ち時間を示すが、120分では示さない。500mg/kgで経口施用により試験化合物で処置されたマウスはビヒクル処置済みマウスと比較したときに、30、60及び120分で統計的に有意なテールフリック待ち時間を示す。上記の結果は、経口的に投与されたときに、試験化合物は動物において侵害受容型疼痛を治療するのに有効である証拠を提供する。
実施例5. 経口施用によるマウスにおける活性化合物の抗炎症性活性(予測例)
活性化合物3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルをビヒクル(DMSO)中で5〜15mg/mLで懸濁させる。試験化合物、デキサメタゾン(陽性コントロール)及びビヒクルを経口的にマウスに投与し、そしてマウスの局所アラキドン酸誘発耳腫大モデルにおける抗炎症活性を評価する。
雄ICR由来マウスをこの実験で用いる。各群(活性化合物、陽性コントロール及びビヒクル)に関して10匹のマウスを使用する。すべての動物を、使用前に少なくとも1週間、12時間明/暗サイクルで制御温度(22〜24℃)及び湿度(60%〜70%)環境に維持する。
アラキドン酸(20μlのアセトン中0.5mg)を試験動物の右耳の前方表面及び後方表面に局所的に施用する。ビヒクル中の試験物質(10mL/kg)及びビヒクル(10mL/kg、50〜150mg/kg)は、アラキドン酸施用の1時間前に経管法により経口的に投与し、一方、デキサメタゾンをアラキドン酸装填の3時間前に経管法により経口的に投与する。耳浮腫のアラキドン酸誘発の60分後及び90分後に、右耳及び左耳の厚さを測定し、差異を右耳の炎症の指標として計算する。有意な活性は、ビヒクル処置済み群と比較した、アラキドン酸誘発耳腫大における統計的に有意な阻害(t−検定により決定してp−値<0.05)として定義される。
実施例6. マウスにおける経口投与による活性化合物の鎮痛活性(ホルマリンモデル、予測例)
ホルマリン試験はホルマリン誘発組織損傷から生じる連続疼痛のモデルである。侵害受容型疼痛及び炎症型疼痛は希釈ホルマリン溶液の足への注入により誘発され、足縮みを含む侵害防御挙動をもたらす。ホルマリンモデルは疼痛の炎症、神経原生及び中心機構を包含する。疼痛の初期段階(0〜約10分)は侵害受容型機構によるものであり、疼痛の後期段階(10〜40分)は炎症型疼痛及び侵害受容型機構の組み合わせによるものである。疼痛挙動は前足なめ測定を用いて評価される。研究の最終点は足なめ事象の数である(Hunskaarら, Pain, 30: 103-114, 1987; Li ら, Molecular Pain, 6: 11, 2010)。
この研究で群当たり10匹のマウスを使用する。試験直前(時刻0)に、マウスをクロス内に拘束し、そして左後足の背表面中に皮下に20μLの5%ホルマリン溶液を注入する。ビヒクルコントロール(DMSO)及び試験化合物3−ベンジルスルホニルプロピオニトリル(DMSO中)をマウスに5mL/kgの体積で経管法で経口的に投与する。試験化合物の量は100又は500mg/kg/投与である。
生理食塩水中の陽性コントロールのモルヒネを、ホルマリン注入の直前に8mg/kgでマウスに皮下注入することにより投与し、時刻0で試験する。
ホルマリン注入に次いで、動物を個々のケージ中に入れ、そして60分間、マニュアル観察する。なめ事象を5分間隔で記録し、合計で60分継続する。
ビヒクルコントロール、モルヒネ処置済み及び試験化合物処置済みマウスのホルマリン注入後の異なる時点での舐め事象の数を5分間間隔でプロットする。1分当たりの舐め事象の数を、ビヒクル、陽性コントロール及び試験化合物に関して、0〜10分及び10〜40分の間で計算する。1分当たりの舐め事象の統計的に有意な減少は試験化合物が急性侵害受容型疼痛(初期段階)又は炎症性侵害受容型疼痛(後期段階)を治療するのに有効であることの指標である。
実施例7. マウスにおける局所投与による活性化合物の鎮痛活性(ホルマリンモデル、予測例)
動物及び処置手順は以下のことを除いて実施例6に記載の手順と同様である。
試験化合物3−ベンジルスルホニルプロピオニトリル(ビヒクル中375mM、n=10)及びビヒクルコントロール(アセトン:エタノール1:1、n=10)は、それぞれの溶液にマウス左後足を約30秒間沈めることにより局所的に投与する。その後、足を取り出し、ティシューで拭き、過剰の皮膚乾燥を回避する。
陽性コントロールのモルヒネは、生理食塩水で8mg/kgで皮下注入により投与する(n=10)。
モルヒネはホルマリン注入の15分前に一度皮下に投与する。試験化合物及びビヒクルコントロールはホルマリン注入の60分前に2回局所的に投与する(BID)。
ホルマリン注入に次いで、動物を個々のケージ中に入れ、そして60分間、マニュアル観察する。なめ事象を5分間隔で記録し、合計で40分継続する。
ビヒクルコントロール、モルヒネ処置済み及び試験化合物処置済みマウスのホルマリン注入後の異なる時点でのなめ事象の数を決定する。
1分当たりの舐め事象の数を、ビヒクル、陽性コントロール及び試験化合物に関して、0〜10分及び10〜40分の間で計算する。2つのサンプルのt−検定を、ビヒクル群を試験化合物群と比較するために行う。有意さはp<0.05レベルに設定する。
実施例8. 慢性収縮損傷モデルにおける活性化合物の鎮痛活性(予測例)
末梢神経病変は、自発痛に加えて、軽い接触に対する誇張された応答(接触性アロディニア)を含む病的現象を生じさせることがある。慢性狭窄損傷モデルは神経因性疼痛モデルである。
雄のスプラーグドーリーラットを使用する。ペントバルビタール(50mg/kg、5ml/kg、腹腔内)麻酔下で、坐骨神経を大腿中央レベルで露出させる。約1mm離れた4本の結紮糸(4−0クロムガット)をゆるく神経の周り結ぶ。その後、動物を試験前に7日間、柔らかい寝具とともにケージに個別に入れる。坐骨神経の狭窄は神経損傷及び一側性神経因性疼痛を生じさせる。
実験の日に、動物は試験前に一晩食品にアクセスしない。ラットをワイヤメッシュラック上で反転プレキシガラスケージの下に置き、20〜30分間順応させる。メカニックアロディニアは左後足の足底表面にフォン・フレイフィラメントを使用してチャップランアップ/ダウン法により評価される。Chaplan, ら J. Neuroscience Methods, 53: 55-63, 1994を参照されたい。
ラットは、神経結紮(事前処理)後7〜14日の疼痛しきい値が神経結紮前(結紮前)の個々の足の応答に対して10gの力だけ低減されている、すなわち、明確なアロディニアが存在している場合にのみ、実験のために事前に選択される。
活性化合物である3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルは、実施例2によるゲル製剤中で調製される。
ゲル製剤中の活性化合物(1〜5%局所投与)、DMSO中の活性化合物(500mg/kg、経口投与)、モルヒネ(陽性コントロール、皮下、生理食塩水中に8mg/kg)、局所ビヒクル(活性化合物を含まないゲル製剤)及び経口ビヒクル(DMSO)を評価する。
試験物質又はビヒクルは経口的又は左後足の足底表面に局所的に投与される。機械的アロディニア試験は(予備処理の)30分前で、試験物質又はビヒクルの単回投与後(後処理)の1時間及び3時間後に行われる。コントロール及び試験化合物の足引っ込めのしきい値を測定する。
実施例9. 局所投与による膝痛の処置(予測例)
目的:標準NSAID療法の一時的な中断の後の骨関節炎に関連した中程度から重症の膝痛を有するヒト患者における局所ゲル製剤中の活性化合物の効率を調査すること。この研究は痛い関節炎により生じる病的現象に焦点を当てる。臨床試験は他の筋骨傷害のよく確立したパラダイムとして、膝の骨関節炎を用いている。
局所製剤:3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルを1%及び5%(実施例2)を含むゲル製剤は本例において使用される。プラセボは活性化合物を含まない同ゲルを含む。
方法:無作為抽出二重盲検プラセボ制御並列処置多中心臨床活性研究(A randomized, double-blind, placebo controlled, parallel treatment multicenter clinical activity study)
少なくとも2か月の標準NSAID療法の安定投与量により制御された膝の痛い骨関節炎を有する患者は7日間の休薬期間のためにNSAIDの使用を停止する。その後、患者を1:1:1(1%活性ゲル、5%活性ゲル、プラセボ)比で無作為化する。総計で150人の患者まで参加させる。
活性ゲル又はプラセボを患部の膝に1日当たり3回で12週間施用し、合計で252処置が4〜6時間毎に起きている間に行われる。
患者は12週間処置され、さらに4週間フォローアップする。NSAIDは第12週の来診の後に評価のために再スタートされうる。
評価の基準
安全性
・研究全体を通して有害事象(AE)
・参加時の身体検査(−7日、休薬なしにNSAIDの開始)、ベースライン (第1日、処置の開始)、第12週及び第16週
・参加時のバイタルサイン(−7日、休薬なしにNSAIDの開始)、ベースライン (第1日、処置の開始)及び第2、4、6、12週及び第16週
・ベースライン (第1日)、第4、8、12及び16での臨床実験測定。
臨床活性:
一次臨床活性パラメータは視覚的アナログ尺度(VAS)及びWestern Ontario and McMaster University(WOMAC)インデックス疼痛サブスケールにより定量化されるとおりの標的関節における疼痛の測定である。膝の腫大、柔らかさ及び炎症に対する効果を記録し、また、処置後の疼痛の低減又は根絶までの時間を記録する。
研究終了点
一次臨床活性終了点は、
・WOMAC 機能障害インデックス疼痛サブスケールにおけるベースライン(第1日)から第12週までの変化(スケール0〜20)である。
二次臨床活性終了点は、
・WOMAC 機能障害インデックス疼痛サブスケールにおけるベースライン(第1日)から第12週までの変化
・こわばり(スケール0〜8)
・身体機能(スケール0〜68)
・VAS疼痛スコアにおけるベースライン(第1日)から第12週までの変化(スケール0〜100)
・VAS疼痛スコアにおけるベースライン(第1日)から第2週までの変化(スケール0〜100)
・第1日に最初の施用を行った後のベースライン(第1日)と第4週及び第12週との腫大、柔らかさ及び炎症の調査者の評価の変化
・活性ゲル又はプラセボゲルの各々の局所施用の後の疼痛の低減又は根絶までの時間
・救急薬(APAP)の使用である。
実施例10. 経口投与による膝痛の処置(予測例)
本実験の設計及びプロトコールは実施例9に記載のものと類似であるが、活性化合物及びプラセボは経口経路で施用される。
経口製剤:10、100又は1000mgの活性化合物3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルをを含む錠剤製剤を本例で使用する。プラセボは活性化合物を含まない同一の錠剤製剤である。
方法
患者を1:1:1:1(10mg:100mg:1000 mg:プラセボ)で無作為抽出する。合計で200人までの患者を参加させる。
活性錠剤又はプラセボを1日2回12週間、起きている間に12時間毎に与える合計で168回の処置剤を各患者に経口的に投与する。患者は12週間処置され、さらに4週間フォローアップされる。
評価の基準は実施例9に記載のものと同一である。
上記は本発明の好ましい実施形態を説明しており、そして変更は特許請求の範囲に示すとおりの本発明の範囲から逸脱せずに、その範囲内で行えることが理解されるべきである。

Claims (10)

  1. 医薬上許容される担体、及び、3−ベンジルスルホニルプロピオニトリルの化合物又はその医薬上許容される塩を含む、炎症又は疼痛を治療するための医薬組成物。
  2. 前記化合物は少なくとも90%(w/w)の純度を有し、そして前記組成物はゲル、クリーム、ローション、軟膏、又はパッチの局所形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記医薬上許容される担体は、乳酸ラウリル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、サリチル酸オクチル(octisalate)、シリコーン流体、スクアレン及びヒマワリ油からなる群より選ばれる皮膚軟化剤である、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記医薬上許容される担体は、乳酸エステル及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群より選ばれる透過性エンハンサーである、請求項2に記載の医薬組成物。
  5. 前記化合物は少なくとも90%(w/w)の純度を有し、前記組成物は錠剤又はカプセル剤の経口形態である、請求項に記載の医薬組成物。
  6. 急性もしくは慢性の腫大、疼痛又は発赤を特徴とする炎症の局所症状の徴候を低減又は緩和する、請求項1に記載の医薬組成物。
  7. 前記炎症及び/又は疼痛は、筋骨格捻挫、筋骨格挫傷、腱障害、末梢神経根症、骨関節炎、関節変性疾患、若年性関節炎、痛風、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、肋軟骨炎、腱炎、滑液包炎、顎関節症候群及び線維筋痛症からなる群より選ばれる骨格又は筋肉疾患又は病態に関連している、請求項1に記載の医薬組成物。
  8. 前記炎症及び/又は疼痛は関節、靱帯、腱、骨、筋肉及び筋膜に関連している、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 前記炎症及び/又は疼痛は、皮膚炎又は乾癬の炎症性皮膚疾患又は障害に関連している、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 前記皮膚炎がアトピー性皮膚炎又は接触性皮膚炎である、請求項9に記載の医薬組成物。
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