JP6452377B2 - スピーカ配置選択装置、スピーカ配置選択方法及び音場制御システム - Google Patents

スピーカ配置選択装置、スピーカ配置選択方法及び音場制御システム Download PDF

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Description

本発明は、自動車の車室内のような閉空間におけるスピーカ配置選択装置、スピーカ配置選択方法及び音場制御システムに関するものである。
複数の音情報が混在している場合にどの音情報が重要であるかは、活動目的などによって異なる。
例えば自動車の車室内において、オーディオ機器による音楽とカーナビゲーションによる音声ガイダンスとが共存している場合、運転席においてはカーナビゲーションによる音声ガイダンスが優先的に聞こえる方が好ましい。
複数の音情報が混在している環境において最も重要度の高い音情報を聞き取りやすくするため、例えば音声ガイダンスと音楽が混在している場合に、音声ガイダンスを音楽よりも優先して聞き取ることができるように音場特性や出力音量を調整する発明が提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−167975号公報
自動車の車室内においては領域によって優先的に聞き取りたい音情報が異なる。例えば、上記の通り運転席においてはカーナビゲーションによる音声ガイダンスを優先的に聞き取れることが好ましく、後部座席においては音楽を優先的に聴けることが好ましい。
特許文献1で提案されている発明は、運転席においてカーナビゲーションによる音声ガイダンスを優先的に聞き取れるようにすることはできる。しかしながら、自動車の車室内全体に対して音場特性や出力音量を調整するため、運転席においてカーナビゲーションによる音声ガイダンスを優先的に聞き取れるようにすると、後部座席においてもカーナビゲーションによる音声ガイダンスが届いてしまい、前席に対する優先性が確保出来ないようになってしまっていた。
かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、閉空間において、領域ごとに独立して重要な音情報を聞き取ることができるように音場を制御することができるスピーカ配置選択装置、スピーカ配置選択方法及び音場制御システムを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係るスピーカ配置選択装置は、閉空間における音場制御に用いられる複数のスピーカを選択するスピーカ配置選択装置であって、既設のスピーカのうちから、所定の領域に対して線形独立性の高いスピーカを選択する第1のスピーカ選択部と、既設のスピーカに追加する少なくとも1つの追加スピーカの設置位置として、前記所定の領域に対して線形独立性の高い位置を選択する第2のスピーカ選択部とを備えるものである。
また、本発明に係るスピーカ配置選択装置において、前記第2のスピーカ選択部は、前記少なくとも1つの追加スピーカの設置位置として、前記所定の領域に対して、中周波数帯域から高周波数帯域において線形独立性の高い位置を選択することが好ましい。
また、本発明に係るスピーカ配置選択装置において、前記第2のスピーカ選択部は、線形独立性の指標としてEfI(Effective Independence)値を用い、優先領域のEfI値から非優先領域のEfI値を引いた差分が最大になるように、前記少なくとも1つの追加スピーカの設置位置を選択することが好ましい。
また、本発明に係るスピーカ配置選択装置において、前記追加スピーカの設置位置は、自動車の車室内において、前席シート背面から選択されることが好ましい。
また、上記課題を解決するため、本発明に係るスピーカ配置選択方法は、閉空間における音場制御に用いられるスピーカを選択するスピーカ配置選択方法であって、既設のスピーカのうちから、所定の領域に対して線形独立性の高いスピーカを選択するステップと、既設のスピーカに追加する少なくとも1つの追加スピーカの設置位置として、前記所定の領域に対して線形独立性の高い位置を選択するステップとを含むものである。
また、上記課題を解決するため、本発明に係る音場制御システムは、閉空間において音場を制御する音場制御装置と、当該音場制御装置に用いられる複数のスピーカとを備える音場制御システムであって、前記複数のスピーカは、スピーカ配置選択装置によって選択されたスピーカであり、前記スピーカ配置選択装置は、既設のスピーカのうちから、所定の領域に対して線形独立性の高いスピーカを選択する第1のスピーカ選択部と、既設のスピーカに追加する少なくとも1つの追加スピーカの設置位置として、前記所定の領域に対して線形独立性の高い位置を選択する第2のスピーカ選択部とを備え、前記第1のスピーカ選択部及び前記第2のスピーカ選択部により、前記音場制御装置に用いられる前記複数のスピーカを選択することを特徴とするものである。
また、本発明に係る音場制御システムにおいて、さらに、前記追加スピーカの角度を変更させるモータ駆動部を備えることが好ましい。
また、本発明に係る音場制御システムにおいて、前記音場制御装置は、乗客位置パターンを判定する乗客位置判定部を備え、当該乗客位置判定部が判定した乗客位置パターンの情報に応じて、音場制御のパラメータを最適な数値に自動で切り替えることが好ましい。
本発明によれば、閉空間において、領域ごとに独立して重要な音情報を聞き取ることができるように音場を制御することができるスピーカ配置選択装置、スピーカ配置選択方法及び音場制御システムを提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る音場制御システムの概略構成を示す図である。 領域Aに集中させた音場と領域Bに集中させた音場を合成させる様子を示す概念図である。 本発明の第1実施形態に係るスピーカ配置選択装置の概略構成を示す図である。 自動車の車室内に設置された既設スピーカの配置の一例を示す図である。 線形独立性の高いスピーカを選択する様子を示す図である。 選択されたスピーカ及び選択されなかったスピーカの配置の一例を示す図である。 線形独立性の高いスピーカを選択してスピーカ数を減らすことにより条件数が低下する様子の一例を示す図である。 前席音場集中制御のための追加スピーカの配置の一例である。 前席音場集中制御のための追加スピーカを選択する様子を示す図である。 前席音場集中制御の際のスピーカ配置の様子の一例を示す図である。 後席音場集中制御のための追加スピーカの配置の一例である。 後席音場集中制御のための追加スピーカを選択する様子を示す図である。 後席音場集中制御の際のスピーカ配置の様子の一例を示す図である。 後席の左右両側に音場を集中する制御を行う際のスピーカ配置の様子を示す図である。 条件数のαへの依存性の一例を示す図である。 追加スピーカ設置前の音場分離の様子を示す図である。 追加スピーカ設置前の音場分離と追加スピーカ設置後の音場分離とを比較した様子を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る音場制御システムの概略構成を示す図である。 角度回転機能を有するスピーカを設置した様子を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る音場制御システムの概略構成を示す図である。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る音場制御システム10の概略構成を示す図である。音場制御システム10は、例えば自動車の車室内のような閉空間において、多領域で独立した音情報を伝達するシステムである。ここで、「多領域」とは、運転席や後部座席のような複数の領域を意味する。また、「音情報」とは、例えば、音楽やカーナビゲーションの音声ガイダンスなどである。音場制御システム10は、例えば、運転席では音声ガイダンスが聞き取りやすく、後部座席では音楽が聴き取りやすくなるように、領域ごとに音場を独立して制御する。
音場制御システム10は、閉空間において音場を制御する音場制御装置100と、各種の音情報を出力する信号再生装置200と、複数のスピーカ300と、少なくとも1つの追加スピーカ350とを備える。
音場制御装置100は、信号再生装置200から入力される複数の音情報について、領域ごとに音場を独立制御して、複数のスピーカ300及び追加スピーカ350から音情報を再生させる。音場制御装置100の詳細については後述する。
信号再生装置200は、例えば、CDやHDDなどに記録された音楽、カーナビゲーションの音声ガイダンス、電話音声、ラジオ放送、インターネット上にあるサーバから配信された音情報などを音場制御装置100に各種フォーマットで出力する。図1では、信号再生装置200が1台の構成を示しているが、信号再生装置200は、複数の装置であってもよい。
スピーカ300は、閉空間に複数個設置されている既設のスピーカのうちから、音場分離制御時に用いるように選択されたスピーカである。ここで、「音場分離制御時」とは、例えば、カーナビゲーションの音声案内が流れたため、運転席ではカーナビゲーションの音声案内が優先的に聞こえるようにし、その他の座席では音楽が優先的に聞こえるようにするなどして、領域ごとに音場を分離する制御をしている状態である。自動車の車室内のような閉空間において、通常、既設のスピーカは、乗客全員が音楽を聴く場合に適するように配置されている。音場分離制御時においては、既設のスピーカのうちから線形独立性の高いスピーカのみを選択して用い、その他のスピーカは用いないようにすることにより音場分離精度を改善することができる。既設のスピーカのうちから線形独立性の高いスピーカ300を選択する選択方法については後述する。
追加スピーカ350は、音場分離制御時にのみ用いられるように、既設のスピーカに追加して設置されたスピーカである。図1においては、追加スピーカ350が1つの場合が示されているが、追加スピーカは任意の個数であってよい。追加スピーカ350は、音場分離制御を効果的に行うことができる位置に設置されている。追加スピーカ350の設置位置を選択する方法については後述する。
音場制御装置100は、信号分離部101と、環境音信号調整部102と、音響信号生成部103と、信号加算部104と、複数の音響出力部105と、記憶部106と、設定部107とを備える。
信号分離部101は、信号再生装置200から入力された音情報を分離して、音情報に応じて、環境音信号調整部102又は音響信号生成部103に出力する。
信号分離部101は、独立して音場を制御する必要がなく各領域で共通して聴取する音情報は環境音信号調整部102に出力する。また、信号分離部101は、独立して音場を制御する必要がある音情報は音響信号生成部103に出力する。
また、信号分離部101は、例えば音情報が5.1chフォーマットの場合、センタースピーカに配分されている音声情報を分離することもできる。
環境音信号調整部102は、信号分離部101から入力された音情報を信号加算部104に出力する。
音響信号生成部103は、入力された複数の音情報の各々に対し、各音情報の伝達対象の領域に応じたフィルタ係数を有するフィルタを通して複数の音響信号を生成する。音響信号生成部103は、例えば、カーナビゲーションによる音声ガイダンスの伝達対象の領域が運転席(領域A)であり、音声ガイダンスを、領域Aで聞き取りやすく、後部座席左側(領域B)ではほとんど聞こえないようにする場合、音声ガイダンスの音情報は、領域A用のフィルタ係数を有するフィルタ(領域A用のフィルタ)に通して音響信号を生成して信号加算部104に出力する。ここで、領域A用のフィルタとは、領域Aの音場を中心に制御するフィルタであり、例えば、領域Aでは聞き取りやすく、領域Bではほとんど聞こえなくなるように音場を制御するフィルタである。
音響信号生成部103は、設定部107による設定に応じてフィルタ特性を変更することができる。音響信号生成部103は、設定部107による設定に応じて、フィルタ特性を変更するために必要なフィルタ係数を記憶部106から読み出す。
信号加算部104は、環境音信号調整部102及び音響信号生成部103から入力された複数の音響信号を加算し、複数の音響出力部105に出力する。
音響出力部105は、信号加算部104で加算された音響信号をスピーカ300及び追加スピーカ350に供給する。音響出力部105の数はスピーカ300と追加スピーカ350の合計の個数に対応している。
記憶部106は、音響信号生成部103が用いるフィルタのフィルタ係数を記憶している。記憶部106は、各領域用のフィルタ係数を記憶している。また、記憶部106は、各領域について設定の異なる複数のフィルタ係数を記憶している。
設定部107は、ユーザから各種設定を受け付け、受け付けた設定を音響信号生成部103に出力する。
続いて、記憶部106が記憶しているフィルタ係数について説明する。フィルタ係数は、予め記憶部106に記憶されているが、以下に示すような方法により、算出されている。
例えば、自動車の車室内において、領域Aを運転席、領域Bを後部座席左側とし、領域A及び領域Bをそれぞれ取り囲むように複数のマイクロホンを設置する。なお、この取り囲み方は一例であり、マイクロホンの設置場所は、これに限定されるものではない。車室内に設置した各スピーカから音を出力して、各マイクロホンで音を測定することにより、各スピーカと各マイクロホンとの組み合わせについて伝達関数を測定することができる。スピーカとマイクロホンはそれぞれ複数あり、音源と音場との関係は、伝達行列Gとして定義することができる。
複数の音源(スピーカ)で構成された音源アレーによる音圧応答Hは、下記の式(1)によって求められる。
Figure 0006452377
ここで、AFは、各音源間の相対的な音源強度や位相の差を表現するベクトルである。目標音場がHtargetで与えられれば、必要な音源条件は下記の式(2)によって求められる。
Figure 0006452377
ここで、(G)+は、Gの疑似逆行列である。
音源に入力される入力パワーを最適化するため、下記の式(3)のような最適化問題において、目標音場Htargetと実音場(音圧応答)H(=GAF)との誤差Jを最小化する解AFを求める。
Figure 0006452377
ここで、右上のHは、転置行列であることを意味する。式(3)を、J=0としてAFについて解くと、下記の式(4)のように変形することができる。
Figure 0006452377
ここで、正則化係数βは対角成分の加重値であり、Iは単位行列である。記憶部106は、このようにして求めたAFに対応するフィルタ係数を記憶している。
また、式(3)は、連立方程式の条件数を下げて雑音の影響を低減するティホノフ(Tikhonov)正則化と同じ形であり、行列の対角成分に加重値をかけることによって、条件数を低くする方法である。
ここで、「条件数」とは、誤差に対するシステムの敏感度を評価する指標である。条件数が小さくなるようにシステムを構成することにより、システムのロバスト性を高めることができる。自動車の車室内のような体積の小さい閉空間では伝達関数に誤差が生じやすいため、条件数を小さくしてロバスト性を高めることが有効である。
図2に、多領域音場制御によって各制御領域に対して求められた音圧集中の解を、重畳の原理に基づき合成する様子の概念図を示す。音圧集中問題は逆問題法以外でも様々な方法が提案されているが、狭い内部空間の特性を反映するため逆問題法を適用する。まず、一つの領域Aに音を伝達させ、他の領域Bに音を伝達させないフィルタを導く。このフィルタは、領域Aにおいては複数のスピーカからの音波が強め合って音圧が高くなり、領域Bにおいては複数のスピーカからの音波が弱め合って音圧が低くなるようにするフィルタであり、閉空間における反射も考慮されて導かれたものである。次に、領域Aと領域Bを入れ替えて領域Bに音を伝達させ、他の領域Aに音を伝達させないフィルタを導く。これらの二つのフィルタを重ねて用いることで各領域の音場を独立して制御することができる。領域A及び領域Bにおける目標音場を、それぞれ、Htarget,A及びHtarget,Bとすると、目標音場は、それぞれ、下記の式(5)及び(6)によって表現することができる。
Figure 0006452377
Figure 0006452377
ここで、ATは作りたい仮想の音場を構成する音源の音源強度であり、Wは自由音場の伝達行列である。
[スピーカ選択]
音場分離制御時においては、通常時に用いている既設のスピーカをそのまま用いると、効果的に音場を分離できない場合がある。ここで、「通常時」とは、乗客全員が音楽を聴いている場合などのような、音場分離制御がされていない状態である。音場を効果的に分離するためには、既設のスピーカのうちから線形独立性の高いスピーカを複数個選択し、これに、既設のスピーカとは別に設置した追加スピーカを用い、音場分離制御時には、これらのスピーカを音源とすることが有効である。以下、音場分離制御時に既設のスピーカから選択して使用するスピーカの選択方法、及び、音場分離制御時に使用する追加スピーカの位置を選択する方法について説明する。
図3は、本発明の第1実施形態に係るスピーカ配置選択装置400の概略構成を示す図である。スピーカ配置選択装置400は、音響信号送信部401と、音響信号受信部402と、音響伝達関数算出部403と、コアエリアスピーカ選択部(特許請求の範囲における「第1のスピーカ選択部」)410と、追加スピーカ選択部(特許請求の範囲における「第2のスピーカ選択部」)420とを備える。コアエリアスピーカ選択部410は、EfI値算出部411と、スピーカ数設定部412とスピーカ配置選択部413とを備える。追加スピーカ選択部420は、追加スピーカEfI値算出部421と、追加スピーカ数設定部422と、追加スピーカ配置選択部423とを備える。
音響信号送信部401は、所定の初期信号によりスピーカから音を出力させる。例えば、音場分離制御時に使用するスピーカを既設のスピーカから選択する際は、既設のスピーカから所定の初期信号を出力させる。図4に、自動車の車室内に、既設のスピーカとして14個のスピーカが配置されている例を示す。
図4に示す例においては、例えば、Sp1〜Sp4はドアに設置された低周波数帯域(低域)用ウーファであり、Sp5〜Sp6は後方トレイに設置された中域用スコーカであり、Sp7〜Sp10は前部座席に設置されたシートスピーカと呼ばれる中域用スコーカであり、Sp11〜Sp12はフロントピラーに設置された点線で囲む二種類の中域用スコーカ及び高域用ツイータであり(点線で囲む2つのスピーカをセットで1つのスピーカと数える)、Sp13はインパネ(ダッシュボード)上面中央に設置された中域用スコーカであり、Sp14は後方トレイに設置された重低域用サブウーファである。
音響信号受信部402は、例えば、領域A(運転席)及び領域B(後部座席左側)周辺に設置されたマイクロホンが受信した音響信号をマイクロホンから受信する。音響信号受信部402は、領域Aに対するEfI(Effective Independence)値を算出する場合は、領域A周辺に設置されたマイクロホンが受信した音響信号をマイクロホンから受信する。また、音響信号受信部402は、領域Bに対するEfI値を算出する場合は、領域B周辺に設置されたマイクロホンが受信した音響信号をマイクロホンから受信する。ここで、「EfI値」は線形独立性の指標として用いることができるものであり、EfI値が高ければ線形独立性は高く、EfI値が低ければ線形独立性は低い。EfI値の算出方法については後述する。
音響伝達関数算出部403は、音響信号送信部401から入力された信号と、音響信号受信部402から入力された信号とに基づいて伝達行列Gを算出し、EfI値算出部411又は追加スピーカEfI値算出部421に伝達行列Gを出力する。音響伝達関数算出部403は、音場分離制御時に使用するスピーカを既設のスピーカから選択する際は、EfI値算出部411に伝達行列Gを出力する。また、音響伝達関数算出部403は、音場分離制御時に使用する追加スピーカの位置を選択する際は、追加スピーカEfI値算出部421に伝達行列Gを出力する。
コアエリアスピーカ選択部410は、音場分離制御時に使用するスピーカを既設のスピーカのうちから選択する。ここで、コアエリアとは多領域音場制御で制御対象とする領域のことを示す。コアエリアスピーカ選択部410は、所定の領域に対して線形独立性が高い複数のスピーカを既設のスピーカから選択する。例えば、運転席を優先領域として音圧を集中させる優先制御をする場合、運転席に対して線形独立性が高く、後席などの非優先領域に対して線形独立性が低いスピーカを選択する。
EfI値算出部411は、音響伝達関数算出部403から入力された伝達行列Gと、スピーカ数設定部412から取得したスピーカ数とに基づいて、各スピーカ領域A及びBに対する線形独立性を表すEfI値を算出する。ここで、領域Aに対するEfI値を算出する場合は、EfI値算出部411は、音響信号受信部402が、領域Aに設置したマイクロホンから受信した音響信号に基づいてEfI値を算出する。また、領域Bに対するEfI値を算出する場合は、EfI値算出部411は、音響信号受信部402が、領域Bに設置したマイクロホンから受信した音響信号に基づいてEfI値を算出する。
スピーカ数設定部412は、音場分離制御時に既設スピーカのうちから選択するスピーカの個数を、ユーザからの入力により受け付け、または、例えばユーザが設定した目標音場に基づいて設定し、EfI値算出部411及びスピーカ配置選択部413に出力する。
スピーカ配置選択部413は、EfI値算出部411から取得した各スピーカの領域A及びBに対するEfI値に基づいて、EfI値が高い方から順にスピーカを選択する。スピーカ配置選択部413が選択するスピーカの個数は、スピーカ数設定部412から取得した個数であり、スピーカ配置選択部413は、EfI値が上位のスピーカを、スピーカ数設定部412において設定された数の分だけ選択する。
ここで、EfI値の算出方法について説明する。
EfI値算出部411は、EfI法(Effective Independence Method)により、EfI値を算出する。EfI法は、行列を構成する行や列の線形独立性を評価し、その成分の重複度を評価する方法である。線形独立性が高いスピーカは、対象領域へ音圧を伝達する効率が高いことを意味し、音圧集中させる制御を実施する上で必要性が高い。また、線形独立性が低いスピーカは、必要性が低い余剰な成分であることを意味する。線形独立性が高い成分を選択して、線形独立性が低い余剰な成分を排除することにより条件数を低くすることができる。
EfI値算出部411は、音響伝達関数算出部403から伝達行列Gを取得し、下記の式(7)のように特異値分解を行う。
Figure 0006452377
ここで、マイクロホンの個数をm個、スピーカの個数をn個とすると、伝達行列Gはm×nの行列である。また、Uはm×mの直交行列、Λはm×nの対角行列、Wはn×nの直交行列である。Wの右上のHは、転置行列であることを意味する。
続いて、EfI値算出部411は、スピーカ数設定部412から取得したスピーカ数を用いて行列Waを生成する。Waは、n×aの行列であり、ここで「a」は、スピーカ数設定部412から取得したスピーカ数である。EfI値算出部411は、行列Wの1番目からa番目までの列ベクトルを選択することにより行列Waを生成する。例えば、14個のスピーカから8個のスピーカを選択する場合、n=14、a=8である。
続いて、EfI値算出部411は、下記の式(8)のようにしてEfI値のベクトルEWを算出する。
Figure 0006452377
ここで、関数diagは、対角成分を取り出して列ベクトルを生成する操作をする関数である。
ベクトルEWの成分は、各スピーカのEfI値に対応し、0〜1の間の数値を有する。EfI値は、高い数値であるほど線形独立性が高いことを意味する。EfI値の高いスピーカを選択することにより条件数を下げることができ、効率的に音場を制御することができる。
図5に、EfI値算出部411によって算出された14個のスピーカのEfI値の一例を示す。図5に示すEfI値は、200Hz〜2kHzの範囲で平均されたEfI値を示したものである。
図5(a)は領域Aに対するEfI値を示したものであり、図5(b)は領域Bに対するEfI値を示したものである。図5(a)及び図5(b)に示す例においては、14個の既設スピーカからEfI値の高い8個のスピーカが選択されている。図5(a)の場合と図5(b)の場合とでは、選択されるスピーカが若干異なる。
図6(a)に、領域Aに対するEfI値が高いスピーカ8個が選択された様子の一例を示す。図6(a)は、領域A(前部座席右側)に設置されたマイクロホンによる測定結果から、EfI値を算出した場合の例であり、マイクロホンの測定位置は、二重線で囲まれた四角形で示されている。黒丸は、選択されたスピーカが設置されている位置を示す。また、白丸は、選択されなかったスピーカが設置されている位置を示す。
図6(b)に、領域Bに対するEfI値が高いスピーカ8個が選択された様子の一例を示す。図6(b)は、領域B(後部座席左側)に設置されたマイクロホンによる測定結果から、EfI値を算出した場合の例であり、マイクロホンの測定位置は、二重線で囲まれた四角形で示されている。黒丸は、選択されたスピーカが設置されている位置を示す。また、白丸は、選択されなかったスピーカが設置されている位置を示す。
図6(a)及び図6(b)を参照すると、シートスピーカSp7〜Sp10は、領域Aに対するEfI値も領域Bに対するEfI値も低く、いずれの場合にも、選択されないスピーカとなっている(シートスピーカSp7〜Sp10の位置については図4参照)。
図7に、既設の14個のスピーカが設置されている場合と、線形独立性が高い(すなわちEfI値が高い)8個のスピーカを選択した場合とにおける条件数を比較した結果を示す。図4に示すように、EfI値が高いスピーカを8個選択し、EfI値が低い6個のスピーカは使用しないようにすることにより、条件数を大幅に低下させることができる。
なお、上述の説明においては、既設のスピーカから、スピーカ数設定部412で設定した個数のスピーカを選択する場合を説明したが、スピーカの個数を設定するのではなく、EfI値の所定の絶対値を指定し、所定の絶対値より高いEfI値を有するスピーカを選択するようにしてもよい。
また、上述の説明においては、低周波数帯域から高周波数帯域(200Hz〜2kHz)にわたってEfI値を平均化し、このEfIの平均値が高い方からスピーカを選択していたが、一般的に音場分離が困難な周波数帯である中周波数帯域から高周波数帯域(500Hz〜2kHz)においてEfI値を平均化し、中周波数帯域から高周波数帯域のEfIの平均値が高い方からスピーカを選択するようにしてもよい。中周波数帯域から高周波数帯域は、距離減衰に加えて、例えば自動車の車室内のシートや内装パネル等の障害物による反射や減衰等の影響を受けるため、音場分離が困難となる傾向があるが、中周波数帯域から高周波数帯域に着目してスピーカを選択することにより、中周波数帯域から高周波数帯域における音場分離精度を向上させることができる。なお、中周波数帯域から高周波数帯域の値として、500Hz〜2kHzとしたのは一例であり、周波数範囲は、車室内の特性や音情報の周波数帯域に応じて適宜変更してよい。
再び、図3に戻り、追加スピーカ選択部420の機能について説明する。
追加スピーカ選択部420は、音場分離制御時において、優先領域(音圧集中させる空間)と非優先領域(音圧抑制させる空間)の音場分離性能(EfI値の差)、特に、例えば自動車の前部座席と後部座席の音圧分離をさらに最大化するために、遮断物による減衰や反射減衰の影響の少ない後席乗員空間の近傍で、かつ車載レイアウトが可能な室内エリアにおける追加スピーカの位置を選択する。具体的には、追加スピーカ選択部420は、優先領域に対して線形独立性が高く、非優先領域に対して線形独立性の低い追加スピーカの位置を選択する。以下、各ブロックの機能について説明する。
追加スピーカEfI値算出部421は、音響伝達関数算出部403から入力された追加スピーカ分の伝達行列Gと、追加スピーカ数設定部422から取得した追加スピーカ数とに基づいてEfI値を算出する。
追加スピーカ数設定部422は、ユーザから音圧制御したいエリアとスピーカの使用個数の入力を受け付け、追加スピーカEfI値算出部421及び追加スピーカ配置選択部423に出力する。
追加スピーカ配置選択部423は、追加スピーカEfI値算出部421から取得したEfI値に基づいて、最適な追加スピーカの設置位置を決定する。追加スピーカ配置選択部423が選択する追加スピーカの個数は、追加スピーカ数設定部422から取得した個数であり、追加スピーカ配置選択部423は、音圧制御したい領域間でEfI値の差が上位のスピーカを、追加スピーカ数設定部422において設定された指定数の分だけ選択する。
[前席音場集中制御]
以下、図8〜図10を参照して、前席右側を優先領域として音場集中制御をするように、追加スピーカを選択する場合の例を説明する。なお、以下の説明は、追加スピーカの個数を2個とした場合の例であるが、これは一例であり、追加スピーカの個数は2個に限られるものではない。
図8に示すように、運転席及び助手席のシートの背面にフレームを設置し、当該フレームに、A点からO点まで0.1m間隔で15箇所の位置を設定する。A点からO点の中から選択した2箇所の位置にスピーカを設置し、音響信号送信部401は、選択した2箇所の位置に設置された2台のスピーカから音を出力させる。
音響信号受信部402は、領域A(運転席)及び領域B(後部座席左側)周辺に設置されたマイクロホンが受信した音響信号をマイクロホンから受信する。
音響伝達関数算出部403は、音響信号送信部401から入力された信号と、音響信号受信部402から入力された信号とに基づいて伝達行列Gを算出し、追加スピーカEfI値算出部421に伝達行列Gを出力する。
追加スピーカEfI値算出部421は、音響伝達関数算出部403から入力された伝達行列Gと、追加スピーカ数設定部422から取得したスピーカ数(本例においては2個)とに基づいて、各スピーカ領域A及びBに対する線形独立性を表すEfI値を算出する。追加スピーカEfI値算出部421は、EfI値算出部411と同様の手法によりEfI値を算出する。
上記手順を、A点からO点の中から選択できる全ての2箇所の位置について実施し、追加スピーカ配置選択部423は、EfIの平均値(例えば、200Hz〜2kHzの平均値)が、領域Aに対しては高く、領域Bに対しては低い2個のスピーカの組み合わせを選択する。
図9(a)に、前席右側領域に対するEfI値が高い順に並べた表を示す。図9(a)には、順位が13番目から17番目の位置を示している。また、図9(b)に、後席左側領域に対するEfI値が低い順に並べた表を示す。図9(b)には、順位が7番目から11番目の位置を示している。
図9(a)及び図9(b)には、全ての組み合わせを示していないが、EfI値が、領域A(優先領域、前席右側領域)に対しては高く、領域B(非優先領域、後席左側領域)に対しては低い2個のスピーカの組み合わせ、すなわち、領域AのEfI値から領域BのEfI値を引いた差分が最大となるスピーカの組み合わせはAとGの2箇所にスピーカを設置した配置である。位置Aと位置Gとは60cm離れた位置であり、図8において黒丸で示される位置である。
図10に、前席音場集中制御による音場分離制御時のスピーカ配置を示す。黒丸は、既設スピーカのうち、EfI値が高く選択された位置である。白丸は、既設スピーカのうち、EfI値が低く選択されなかった位置である。斜線で示した丸は、追加スピーカを設置する位置として選択された位置である。
[後席音場集中制御]
以下、図11〜図13を参照して、後席左側を優先領域として音場集中制御をするように、追加スピーカを選択する場合の例を説明する。なお、以下の説明は、追加スピーカの個数を2個とした場合の例であるが、これは一例であり、追加スピーカの個数は2個に限られるものではない。
図11に示すように、運転席及び助手席のシートの背面にフレームを設置し、当該フレームに、A点からO点まで0.1m間隔で15箇所の位置を設定する。A点からO点の中から選択した2箇所の位置にスピーカを設置し、音響信号送信部401は、選択した2箇所の位置に設置された2台のスピーカから音を出力させる。
音響信号受信部402は、領域A(運転席)及び領域B(後部座席左側)周辺に設置されたマイクロホンが受信した音響信号をマイクロホンから受信する。
音響伝達関数算出部403は、音響信号送信部401から入力された信号と、音響信号受信部402から入力された信号とに基づいて伝達行列Gを算出し、追加スピーカEfI値算出部421に伝達行列Gを出力する。
追加スピーカEfI値算出部421は、音響伝達関数算出部403から入力された伝達行列Gと、追加スピーカ数設定部422から取得したスピーカ数(本例においては2個)とに基づいて、各スピーカ領域A及びBに対する線形独立性を表すEfI値を算出する。追加スピーカEfI値算出部421は、EfI値算出部411と同様の手法によりEfI値を算出する。
上記手順を、A点からO点の中から選択できる全ての2箇所の位置について実施し、追加スピーカ配置選択部423は、EfIの平均値(例えば、200Hz〜2kHzの平均値)が、領域Bに対しては高く、領域Aに対しては低い2個のスピーカの組み合わせを選択する。
図12(a)に、前席右側領域に対するEfI値が低い順に並べた表を示す。図12(a)には、順位が1番目から5番目の位置を示している。また、図12(b)に、後席左側領域に対するEfI値が高い順に並べた表を示す。図12(b)には、順位が1番目から5番目の位置を示している。
図12(a)及び図12(b)には、全ての組み合わせを示していないが、EfI値が、領域B(優先領域、後席左側領域)に対しては高く、領域A(非優先領域、前席右側領域)に対しては低い2個のスピーカの組み合わせ、すなわち、領域BのEfI値から領域AのEfI値を引いた差分が最大となるスピーカの組み合わせはCとDの2箇所にスピーカを設置した配置である。位置Cと位置Dとは10cm離れた位置であり、図11において黒丸で示される位置である。
図13に、後席音場集中制御による音場分離制御時のスピーカ配置を示す。黒丸は、既設スピーカのうち、EfI値が高く選択された位置である。白丸は、既設スピーカのうち、EfI値が低く選択されなかった位置である。斜線で示した丸は、追加スピーカを設置する位置として選択された位置である。
図14は、後部座席の左側だけでなく、後部座席の両側に対して、それぞれ独立した音場集中制御をする場合の例である。図14に示す例においては、追加スピーカの個数を4個としている。黒丸は、既設スピーカのうち、EfI値が高く選択された位置である。白丸は、既設スピーカのうち、EfI値が低く選択されなかった位置である。斜線で示した丸は、追加スピーカを設置する位置として選択された位置である。
なお、上述の前席音場集中制御及び後席音場集中制御の説明においては、低周波数帯域から高周波数帯域(200Hz〜2kHz)にわたってEfI値を平均化し、このEfIの平均値に基づいてスピーカを選択していたが、一般的に音場分離が困難な周波数帯である中周波数帯域から高周波数帯域(500Hz〜2kHz)においてEfI値を平均化し、中周波数帯域から高周波数帯域のEfIの平均値に基づいてスピーカを選択するようにしてもよい。なお、中周波数帯域から高周波数帯域の値として、500Hz〜2kHzとしたのは一例であり、周波数範囲は、車室内の特性に応じて適宜変更してよい。
また、上述の前席音場集中制御及び後席音場集中制御の説明においては、2個のスピーカを設置してEfI値を測定し、その後、位置を変更して2個のスピーカを設置してEfI値を測定するという手順を、全ての組み合わせについて実施してEfI値を測定していたが、測定手順はこれに限られない。例えば、A〜Oの位置に15個のスピーカを設置して、1回で全ての位置のEfI値を測定するという手順で測定してもよい。なお、15個のスピーカとしたのは一例であり、その他の個数でもよい。
また、上述の前席音場集中制御及び後席音場集中制御の説明においては、運転席及び助手席のシートの背面において、追加スピーカを設置する位置を選択する場合を例にあげて説明しているが、これは一例であり、追加スピーカは他の位置に設置してもよい。追加スピーカを設置する位置としては、遮断物による減衰や反射減衰の影響の少ない後席乗員空間の近傍であることが好ましい。
[条件数の正則化係数β依存]
式(3)及び(4)における正則化係数βは一意に決まるものではなく、種々の形式を取り得る。例えば、正則化係数βは下記の式(9)に示すような形式とすることができる。
Figure 0006452377
ここでfは周波数である。また、αは、α>0となる定数である。
図15に、既設のスピーカが14個設置されている場合の条件数と、線形独立性が高い(すなわちEfI値が高い)8個のスピーカを選択し、上記の式(9)において、αを10〜80までふった場合の条件数の結果を示す。図15に示されるように、正則化係数βの値を適切に選択することにより、条件数を低下させることができる。
図16に、領域A及び領域Bにおける200Hz〜2kHzの範囲の音圧レベルを示す。図16に示すグラフは、既設のスピーカから8個のスピーカを選択し、追加スピーカを設置する前において、式(9)においてβを調整し最も効果の高いβを選択した場合のグラフである。黒色の棒グラフは領域Aに音場集中制御した音源の音圧レベルを示し、斜線の棒グラフは領域Bに音場集中制御した音源の音圧レベルを示す。
図16(a)は領域Aにおける測定結果であり、図16(b)は領域Bにおける測定結果である。領域A及び領域Bの広い範囲において、所望の音源の音圧レベルが高い傾向が確認できる。しかしながら、図16(a)に示す領域Aでは、750Hz〜2kHzにおいて十分な効果が得られない周波数帯域がある。
図17に、後席音場集中制御として、前述のスピーカC及びスピーカD(以下「スピーカCD」と称する)を設置した場合の、領域A及び領域Bにおける200Hz〜2kHzの範囲の音圧レベルを追加したグラフ示す。黒色の棒グラフは領域Aに音場集中制御した音源の音圧レベルを示し、斜線の棒グラフは領域Bに音場集中制御した音源の音圧レベルを示す。また、白色の棒グラフは、スピーカCDを追加した場合の領域Bに音場集中制御した音源の音圧レベルを示す。
図17(a)は領域Aにおける測定結果であり、図17(b)は領域Bにおける測定結果である。図17(a)を参照すると、750Hz〜2kHzの範囲において、スピーカCDを追加したことの影響はほとんどみられない。一方、図17(b)を参照すると、750Hz〜2kHzの範囲において、スピーカCDを追加したことにより、領域Bに音場集中制御した音源の音圧レベルの向上が見られる。これは、スピーカCDを追加した場合、領域Bに音場集中制御した音源のボリュームを下げることにより、750Hz〜2kHの範囲における音場分離精度を向上させることができることを意味する。
このように、本実施形態によれば、既設のスピーカから線形独立性の高いスピーカを選択し、また、線形独立性の高い位置を選択して追加スピーカを設置することにより、閉空間において、領域ごとに独立して重要な音情報を聞き取ることができるように音場を制御することができる。
また、中周波数帯域から高周波数帯域において線形独立性の高い位置を選択して追加スピーカを設置することにより、音場分離が困難となる傾向がある中周波数帯域から高周波数帯域における音場分離精度を向上させることができる。
また、線形独立性の指標としてEfI値を用い、優先領域のEfI値から非優先領域のEfI値を引いた差分が最大になるように、追加スピーカの設置位置を選択することにより、優先領域と非優先領域の間の音場を効果的に分離することができる。
また、追加スピーカを、自動車の車室内において、遮断物による減衰や反射減衰の影響の少ないシート背面に設置することにより、音場分離精度を向上させることができる。
(第2実施形態)
図18は、本発明の第2実施形態に係る音場制御システム20の概略構成を示す図である。音場制御システム20は、閉空間において音場を制御する音場制御装置100と、各種の音情報を出力する信号再生装置200と、複数のスピーカ300と、少なくとも1つの追加スピーカ350と、モータ駆動部500とを備える。
第2実施形態に係る音場制御システム20は、モータ駆動部500を有する点で、第1実施形態に係る音場制御システム10と相違する。第2実施形態の説明においては、第1実施形態と相違する点について主に説明し、共通する内容は説明を省略する。
モータ駆動部500は、スピーカ300及び/又は追加スピーカ350の角度(指向角度)を変更することができる。モータ駆動部500は、角度を変更させる機能を持たせるスピーカの数に応じて設置される。そのため、モータ駆動部500は、1台であってもよいし複数台であってもよい。
設定部107は、ユーザからスピーカ300の角度設定の入力を受け付け、受け付けた角度設定情報をモータ駆動部500に出力する。
図19に、自動車の運転席背面に設置した追加スピーカの角度を回転させた様子を示す。図19(a)は上面図であり、図19(b)は背面図である。図19に示す例においては、運転席背面に設置した追加スピーカは、モータ駆動部500により後部座席左側を向くように角度を回転させられている。
このように、本実施形態によれば、追加スピーカの角度を変更可能とすることにより、音場分離精度をさらに向上させることができる。
(第3実施形態)
図20は、本発明の第3実施形態に係る音場制御システム30の概略構成を示す図である。音場制御システム30は、閉空間において音場を制御する音場制御装置150と、各種の音情報を出力する信号再生装置200と、複数のスピーカ300と、少なくとも1つの追加スピーカ350とを備える。
第3実施形態に係る音場制御装置150は、乗客位置判定部108及びシート位置判定部109を備える点で、第1実施形態に係る音場制御装置100と相違する。第3実施形態の説明においては、第1実施形態と相違する点について主に説明し、共通する内容は説明を省略する。
乗客位置判定部108は、乗客位置パターンを判定し、判定した乗客位置パターンの情報を設定部107に出力する。
乗客位置判定部108は、例えば、シートベルトの着脱によるオン/オフスイッチで、乗客位置パターンを判定することができる。乗客位置判定部108は、例えば、5人乗車の自動車の場合、乗客位置パターンを5ビットで表すことができる。運転席を1ビット目とし、反時計回りで各座席の乗客位置をビットで表すと、例えば、運転席1名のみの場合は00001(1)、運転席と助手席の2名の場合は00011(3)、運転席と左右の後部座席の2名の場合は10101(21)と表すことができる(括弧内の数字は10進数)。
また、乗客位置判定部108は、バックミラー、ピラー又は天井などに取り付けたカメラの画像信号を用いて、乗客位置パターンを判定してもよい。乗客位置判定部108は、例えば、乗車していない状態を背景画像とし、背景画像と乗車時の画像との差分である画像差分量に基づいて、乗車領域毎に乗客がいるか否かを判定することができる。画像差分量の閾値は、予め任意に設定することができる。この場合も、乗客位置パターンは5ビットで表すことができる。
シート位置判定部109は、前席着座乗員のシート前後位置を判定し、シート前後位置の情報を設定部107に出力する。
設定部107は、乗客位置判定部108から入力された乗客位置パターンの情報と、シート位置判定部109から入力されたシート前後位置の情報とを、音響信号生成部103に出力する。
音響信号生成部103は、設定部107から入力された乗客位置パターンの情報と、シート前後位置の情報とに基づいて、当該乗客位置パターン及び当該シート前後位置の情報とに応じたフィルタ係数を記憶部106から読み込み、音場制御のパラメータを最適な数値に自動で切り替える。
なお、音場制御装置150は、乗客位置判定部108及びシート位置判定部109の双方ではなく、いずれか一方のみを備える構成であってもよい。
このように、本実施形態によれば、乗客位置パターンを判定し、乗客位置パターンに応じて音場制御のパラメータを最適な数値に自動で切り替えることにより、制御にロバスト性を持たせることができる。
また、本実施形態によれば、シート前後位置を判定し、シート前後位置に応じて音場制御のパラメータを最適な数値に自動で切り替えることにより、制御にロバスト性を持たせることができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
10、20、30 音場制御システム
100、150 音場制御装置
101 信号分離部
102 環境音信号調整部
103 音響信号生成部
104 信号加算部
105 音響出力部
106 記憶部
107 設定部
108 乗客位置判定部
109 シート位置判定部
200 信号再生装置
300 スピーカ
350 追加スピーカ
400 スピーカ配置選択装置
401 音響信号送信部
402 音響信号受信部
403 音響伝達関数算出部
410 コアエリアスピーカ選択部
411 EfI値算出部
412 スピーカ数設定部
413 スピーカ配置選択部
420 追加スピーカ選択部
421 追加スピーカEfI値算出部
422 追加スピーカ数設定部
423 追加スピーカ配置選択部
500 モータ駆動部

Claims (7)

  1. 閉空間における音場制御に用いられる複数のスピーカを選択するスピーカ配置選択装置であって、
    既設のスピーカのうちから、所定の領域に対して線形独立性の高いスピーカを選択する第1のスピーカ選択部と、
    既設のスピーカに追加する少なくとも1つの追加スピーカの設置位置として、前記所定の領域に対して線形独立性の高い位置を選択する第2のスピーカ選択部とを備え
    前記第1のスピーカ選択部及び前記第2のスピーカ選択部は、線形独立性の指標としてEfI(Effective Independence)値を用い、
    前記第1のスピーカ選択部は、中周波数帯域から高周波数帯域にわたってEfI値を平均化し、EfI値の平均値の高い所望の個数のスピーカを選択し、
    前記第2のスピーカ選択部は、中周波数帯域から高周波数帯域にわたってEfI値を平均化し、EfI値の平均値の高い所望の個数の位置を選択することを特徴とするスピーカ配置選択装置。
  2. 請求項に記載のスピーカ配置選択装置において、前記第2のスピーカ選択部は、優先領域のEfI値から非優先領域のEfI値を引いた差分が最大になるように、前記少なくとも1つの追加スピーカの設置位置を選択することを特徴とするスピーカ配置選択装置。
  3. 請求項1又は2に記載のスピーカ配置選択装置において、前記追加スピーカの設置位置は、自動車の車室内において、前席シート背面から選択されることを特徴とするスピーカ配置選択装置。
  4. 閉空間における音場制御に用いられるスピーカを選択するスピーカ配置選択方法であって、
    既設のスピーカのうちから、所定の領域に対して線形独立性の高いスピーカを選択するステップと、
    既設のスピーカに追加する少なくとも1つの追加スピーカの設置位置として、前記所定の領域に対して線形独立性の高い位置を選択するステップとを含み、
    前記線形独立性の高いスピーカを選択するステップ及び前記線形独立性の高い位置を選択するステップは、線形独立性の指標としてEfI(Effective Independence)値を用い、
    前記線形独立性の高いスピーカを選択するステップは、中周波数帯域から高周波数帯域にわたってEfI値を平均化し、EfI値の平均値の高い所望の個数のスピーカを選択し、
    前記線形独立性の高い位置を選択するステップは、中周波数帯域から高周波数帯域にわたってEfI値を平均化し、EfI値の平均値の高い所望の個数の位置を選択することを特徴とするスピーカ配置選択方法。
  5. 閉空間において音場を制御する音場制御装置と、当該音場制御装置に用いられる複数のスピーカとを備える音場制御システムであって、
    前記複数のスピーカは、スピーカ配置選択装置によって選択されたスピーカであり、
    前記スピーカ配置選択装置は、
    既設のスピーカのうちから、所定の領域に対して線形独立性の高いスピーカを選択する第1のスピーカ選択部と、
    既設のスピーカに追加する少なくとも1つの追加スピーカの設置位置として、前記所定の領域に対して線形独立性の高い位置を選択する第2のスピーカ選択部とを備え、
    前記第1のスピーカ選択部及び前記第2のスピーカ選択部は、線形独立性の指標としてEfI(Effective Independence)値を用い、
    前記第1のスピーカ選択部は、中周波数帯域から高周波数帯域にわたってEfI値を平均化し、EfI値の平均値の高い所望の個数のスピーカを選択し、
    前記第2のスピーカ選択部は、中周波数帯域から高周波数帯域にわたってEfI値を平均化し、EfI値の平均値の高い所望の個数の位置を選択し、
    前記第1のスピーカ選択部及び前記第2のスピーカ選択部により、前記音場制御装置に用いられる前記複数のスピーカを選択することを特徴とする音場制御システム。
  6. 請求項に記載の音場制御システムにおいて、さらに、前記追加スピーカの角度を変更させるモータ駆動部を備えることを特徴とする音場制御システム。
  7. 請求項5又は6に記載の音場制御システムにおいて、前記音場制御装置は、乗客位置パターンを判定する乗客位置判定部を備え、当該乗客位置判定部が判定した乗客位置パターンの情報に応じて、音場制御のパラメータを最適な数値に自動で切り替えることを特徴とする音場制御システム。
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