JP6447963B2 - 車両制御装置 - Google Patents

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本発明は、車両制御装置に係り、特に、車両の走行を支援する車両制御装置に関する。
従来、車両の走行支援システムとしては、例えば特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載の車両用走行支援装置では、自車と物体との間に安全距離を設定し、予測される自車と物体との間の最接近時距離が安全距離より小さい場合には、車両の減速制御、操舵制御等を行う。ここで、安全距離は、運転者の操作及び/又は自動制御により行われる車両の操舵及び/又は制動によって自車が物体に最接近する際に接触/衝突を回避できると判断される自車と物体との最小距離として設定されている。つまり、この車両用走行支援装置は、物体に最も接近したときでも物体との間に安全距離が確保されるように操舵/制動を行うので、例えば万が一移動していた物体が停止する等の予期せぬ動きがあった場合でも、物体との衝突を回避できるようになっている。
特開2006−218935号公報
しかしながら、上記のような車両用走行支援装置において、物体への衝突回避を行う際、車両が物体に非常に近い位置で停止したり非常に近い位置を通過したりすると、車両の乗員が危険だと感じ、安心・安全を感じることができないことがある。
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、乗員がより安心・安全を感じることができる運転支援のための車両制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、車両に搭載される車両制御装置であって、車両の前方にある対象物を検知し、対象物の周囲の少なくとも一部に、車両の進行方向における対象物に対する車両の相対速度の許容上限値の分布を規定する速度分布領域を設定し、速度分布領域内において対象物に対する車両の相対速度が許容上限値を超えることを抑制する走行制御を実行するように構成されており、速度分布領域は、隣の車線にはみ出さないように、対象物からの距離が小さくなるほど、対象物に対する車両の相対速度の許容上限値が小さくなるように、複数のゼロよりも大きい相対速度を含んで設定されるとともに、対象物から所定距離だけ離れた位置において車両の進入が禁止される進入禁止領域を有し、対象物が位置する道路が直線の場合には速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、同じ許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が直線となるように設定され、対象物が位置する道路が湾曲している場合には、速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、等相対速度線の前端及び後端が、対象物が直線道路上に位置して等相対速度線が直線に設定される場合と同じ位置に設定され且つ前端と後端との間の複数の等相対速度線が、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定される、ことを特徴とする。
このように構成された本発明によれば、対象物の周囲の少なくとも一部に速度分布領域が設定される。この速度分布領域には、車両の対象物に対する相対速度の許容上限値が設定される。そして、車両制御装置は、車両の対象物に対する相対速度が、この速度分布領域に設定された許容上限値を超えないように制御する。また、速度分布領域は、対象物から所定距離だけ離れた位置において車両の進入が禁止される車両進入禁止領域を有し、予期せぬ対象物の動き等によって車両が対象物により接近した場合でも、車両はその進入禁止領域に進入しないように制動/操舵制御される。したがって、衝突回避のために制動/操舵制御が行われた場合でも、車両と対象物との間に所定の距離が確保されるため、乗員が不安を感じることがなく安心・安全な運転支援が可能になる。
また、本発明では、対象物が位置する道路が湾曲している場合には、速度分布領域は、速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、同じ許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定される。ここで、道路が湾曲している場合、直線道路の場合と同様に速度分布領域が設定されると、速度分布領域の一部が道路の車線境界線を超えて設定される可能性がある。その場合、例えば車両が隣の車線を走行しているにも関わらず、車両の走行車線にはみ出して設定された許容上限値によって車両の走行速度が制限されたり進路変更が行われる可能性があり、これは乗員にとっては不要な減速や操舵回避となる。そこで、本発明では、対象物が位置する道路が湾曲している場合には、速度分布領域は、速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、同じ許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定されることにより、道路の形状に応じた速度分布領域が設定され、車両が不要な減速や操舵を行うことが回避される。これにより、乗員が安心・安全を感じることができる運転支援を提供することが可能になる。
本発明において、好ましくは、進入禁止領域は、略矩形に設定されるとともに、対象物が位置する道路が湾曲している場合には、速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、等相対速度線が、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域の側方境界線に平行に直線状に設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定される。
このように構成された本発明によれば、進入禁止領域が略矩形に設定されるので、簡単な計算処理で進入禁止領域が設定される。また、速度分布領域の等相対速度線が、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定されるので、速度分布領域が道路からはみ出すのが抑制される。その一方で、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域の側方境界線に平行に直線状に設定されるので、進入禁止領域の側方境界線と等相対速度線とが近づきすぎることがなく、両者の間に所定の距離が確保される。ここで、例えば車両が側方から対象物に近づいた場合、等相対速度線が進入禁止領域に対して小さい間隔で設定されていると、車両が急な減速をしなければならないことがある。本発明では、等相対速度線が、進入禁止領域の側方において進入禁止領域の側方境界線に経項に直線状に設定されるので、上記のような制動制御が回避される。よって乗員がより安心・安全を感じることができる、より快適な運転支援を提供することが可能になる。
本発明において、好ましくは、進入禁止領域は、対象物の移動速度が大きいほど、拡大して設定される。
このように構成された本発明によれば、進入禁止領域が対象物の移動速度が大きいほど拡大して設定される。ここで、車両の運転者は、対象物の移動速度が大きくなると対象物に対してより大きな距離を取るようになり、また対象物に対してより小さな相対速度で走行するようになるものであることが分かった。本発明では、対象物の移動速度が大きいほど進入禁止領域を拡大して設定することにより、乗員が安心・安全を感じることができる運転支援が可能になる。
本発明において、好ましくは、車両が、対象物の前後方向に対して横方向にオフセットした位置にあるとき、速度分布領域は、車両に近い側の側方領域のみにおいて、等相対速度線が、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定される。
このように構成された本発明によれば、車両が対象物の前後方向に対して横方向にオフセットしている場合、車両に近い側の側方領域のみにおいて、等相対速度線が、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定される。ここで、車両が対象物の前後方向に対して横方向にオフセットしている場合、車両に近い側の対象物の側方領域において車両が対象物に近づく可能性は、車両から遠い側の対象物の側方領域において車両が対象物に近づく可能性よりも高い。そこで、本発明では、速度分布領域の側方領域のうち車両に近い側の側方領域のみにおいて、等相対速度線が、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定されることにより、必要とされる領域のみに道路の形状に応じた速度分布領域の設定が行われるため、簡単な計算処理で安心・安全な運転支援が実現される。
本発明によれば、乗員がより安心・安全を感じることができる運転支援のための車両制御装置を提供することができる。
本発明の第一実施形態による車両制御システムの構成図である。 本発明の第一実施形態による対象車に対する相対速度の許容上限値とクリアランスとの関係を示す図である。 本発明の第一実施形態による車両制御システムにおいて道路が直線の場合に対象車に対して設定される速度分布領域の図である。 本発明の第一実施形態による速度分布領域の進入禁止領域を示す図である。 本発明の第一実施形態による車両制御システムにおいて道路が湾曲している場合に設定される速度分布領域の図である。 本発明の第一実施形態による車両制御システムの処理フローである。 本発明の第二実施形態による車両制御システムにおいて停止車両に対して設定される速度分布領域の図である。
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して説明する。なお、第二実施形態以降では、第一実施形態と同様の構成には、図面に第一実施形態と同一符号を付し、その説明を簡略化または省略する。
[第一実施形態]
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御システムについて説明する。先ず、図1を参照して、車両制御システムの構成について説明する。図1は、車両制御システムの構成図である。
図1に示すように、車両制御システム100は、車両1(図3参照)に搭載されており、車両制御装置(ECU)10と、複数のセンサと、複数の制御システムとを備えている。複数のセンサには、車載カメラ21,ミリ波レーダ22,車速センサ23,測位システム24,ナビゲーションシステム25が含まれる。また、複数の制御システムには、エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33が含まれる。
ECU10は、CPU,各種プログラムを記憶するメモリ,入出力装置等を備えたコンピュータにより構成される。ECU10は、複数のセンサから受け取った信号に基づき、エンジン制御システム31,ブレーキ制御システム32,ステアリング制御システム33に対して、それぞれエンジンシステム,ブレーキシステム,ステアリングシステムを適宜に作動させるための要求信号を出力可能に構成されている。このため、ECU10は、機能的に、データ取得部と、対象物検知部と、位置及び相対速度算出部と、道路曲率算出部と、速度分布領域設定部と、経路算出部と、回避制御実行部とを備えている。
車載カメラ21は、車両1の周囲を撮像し、撮像した画像データを出力する。ECU10は、画像データに基づいて対象物(例えば、先行車両)を特定する。なお、ECU10は、画像データから対象物の進行方向又は前後方向を特定することができる。
また、ECU10は、車載カメラ21からの画像データに基づいて車両が走行する道路及び/又は対象物が位置する道路を区画する白線、中央分離帯等の、道路の延びる方向を示す情報を取得する。そして、ECU10は、取得した情報から、道路の曲率を計算する。本実施形態では、ECU10は、道路の白線を検出し、白線の位置をXY座標として把握し、このXY座標の変化量から道路の曲率を計算する。なお、道路の曲率は、画像データから取得するものに限らず、例えばナビゲーションシステム25に記録された道路情報に基づいて算出してもよい。
ミリ波レーダ22は、対象物の位置及び速度を測定する測定装置であり、車両1の前方へ向けて電波(送信波)を送信し、対象物により送信波が反射されて生じた反射波を受信する。そして、ミリ波レーダ22は、送信波と受信波に基づいて、車両1と対象物との間の距離(例えば、車間距離)や車両1に対する対象物の相対速度を測定する。なお、本実施形態において、ミリ波レーダ22に代えて、レーザレーダや超音波センサ等を用いて対象物との距離や相対速度を測定するように構成してもよい。また、複数のセンサを用いて、位置及び速度測定装置を構成してもよい。
車速センサ23は、車両1の絶対速度を算出する。
測位システム24は、GPSシステム及び/又はジャイロシステムであり、車両1の位置(現在車両位置情報)を算出する。
ナビゲーションシステム25は、内部に地図情報を格納しており、ECU10へ地図情報を提供することができる。ECU10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に、進行方向前方)に存在する道路、交通信号、建造物等を特定する。また、ECU10は、車載カメラ21による画像データからは特定しにくい崖,溝,穴等を、地図情報に基づいて特定してもよい。地図情報は、ECU10内に格納されていてもよい。
エンジン制御システム31は、車両1のエンジンを制御するコントローラである。ECU10は、車両1を加速又は減速させる必要がある場合に、エンジン制御システム31に対して、エンジン出力の変更を要求するエンジン出力変更要求信号を出力する。
ブレーキ制御システム32は、車両1のブレーキ装置を制御するためのコントローラである。ECU10は、車両1を減速させる必要がある場合に、ブレーキ制御システム32に対して、車両1への制動力の発生を要求するブレーキ要求信号を出力する。
ステアリング制御システム33は、車両1のステアリング装置を制御するコントローラである。ECU10は、車両1の進行方向を変更する必要がある場合に、ステアリング制御システム33に対して、操舵方向の変更を要求する操舵方向変更要求信号を出力する。
次に、本実施形態の車両制御システム100の速度制御について説明する。
一般に、道路上又は道路付近の対象物(例えば、先行車両、駐車車両、ガードレール等)に追いつくときや、これとすれ違うとき(又は追い抜く・追い越すとき)、走行車両の運転者は、進行方向に対して、車両と対象物との間に所定の距離又は間隔を保ち、且つ、減速する。具体的には、先行車両が急に進路変更したり、道路の死角から歩行車が出てきたり、駐車車両のドアが開いたりするといった危険を回避するため、対象物との距離が小さいほど、対象物に対する相対速度は小さくされる。
また、一般に、後方から先行車両等の対象物に近づいているとき、走行車の運転者は、進行方向に沿った車間距離(縦方向距離)に応じて速度(相対速度)を調整する。具体的には、車間距離が大きいときは、接近速度(相対速度)が大きく維持されるが、車間距離が小さくなると、接近速度は低速にされる。そして、所定の車間距離で走行車両と対象物との間の相対速度はゼロとなる。これは、対象物が先行車両である場合に限らず、駐車車両、ガードレール等であっても同様である。
このように、運転者は、対象物と車両との間の距離(横方向距離及び縦方向距離を含む)と相対速度との関係を考慮しながら、対象物に対して安全に運転できると感じる距離及び相対速度を確保して危険を回避するように車両を運転している。
図2は、本実施形態の車両制御システム100の対象物に対する相対速度の許容上限値と対象物に対する距離(クリアランス)との関係を示す説明図である。図2に示すように、車両1がある絶対速度で走行するときにおいて、対象物に対して設定される許容上限値Vlimは、対象物との距離XがD0(安全距離)までは0(ゼロ)km/hであり、D0以上で2次関数的に増加する(Vlim=k(X−D02。ただし、X≧D0)。即ち、安全確保のため、距離XがD0以下では車両1は相対速度がゼロとなる。一方、距離XがD0以上では、距離が大きくなるほど、車両1は大きな相対速度で走行することが可能となる。
図2の例では、対象物に対する許容上限値は、Vlim=f(X)=k0(X−D02で定義されている。なお、k0は、Xに対するVlimの変化度合いに関連するゲイン係数であり、対象物の種類等に依存して設定される。
なお、本実施形態では、Vlimが安全距離を含み、且つ、Xの2次関数となるように定義されているが、これに限らず、他の関数(例えば、一次関数等)で定義されてもよい。また、対象物の許容上限値Vlimは、対象物の横方向または縦方向(前方または後方)に設定されてもよく、対象物を中心とするすべての径方向について設定することができる。その際、係数k、安全距離D0は、対象物からの方向に応じて設定することができる。
上記のような許容上限値Vlimを考慮して、本実施形態では、車両1は、車両1から検知される対象物(先行車両、駐車車両、歩行者、ガードレール等)に対して、対象物の周囲に(横方向領域、後方領域、及び前方領域にわたって)、車両1の進行方向における相対速度についての許容上限値を規定する2次元分布(速度分布領域40,50)を設定するように構成されている。
図3は、本発明の第一実施形態による車両制御システム100の通常走行時において直線道路2上の先行車両に対して設定された速度分布領域の説明図である。図3に示すように、速度分布領域40では、先行車両3の周囲の各点において、相対速度の許容上限値Vlimが設定されている。つまり、速度分布領域40は、先行車両3の周囲(前方向から横方向及び後ろ方向にわたる全周囲)にわたって相対速度の許容上限値Vlimが設定されている。車両1は、運転支援システムの作動時において、この速度分布領域40内の許容上限値Vlimによって、先行車両3に対する相対速度が制限される。
速度分布領域40は、先行車両3からの横方向距離及び縦方向距離が小さくなるほど(先行車両3に近づくほど)、相対速度の許容上限値が小さくなるように設定される。また、図3では、理解の容易のため、同じ許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が示されている。本実施形態では、等相対速度線a,b,cは、それぞれ許容上限値Vlimが0km/h,20km/h,40km/hに相当する。
等相対速度線a,b,cは、それぞれ、隅丸の略矩形に形成されており、先行車両3の進行方向又は前後方向に対して左右対称に配置されている。等相対速度線a,b,cの前辺及び後辺は先行車両3の横方向に平行に、側辺は、先行車両3の前後方向に平行に配置されている。また、図3の例では、先行車両3は直線道路2上に位置するため、等相対速度線a,b,cの前辺及び後辺は、直線道路2の延びる方向に直交する方向に、側辺は、直線道路2の延びる方向に、つまり白線や中央分離帯の延びる方向に平行に配置されている。
なお、図3では、許容上限値が40km/hまでの速度分布領域40が示されているが、対向車線を走行する対向車とのすれ違い等を考慮して、更に大きな相対速度まで速度分布領域40を設定することができる。
このような速度分布領域40において、許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線aの内側で先行車両3の周囲には、車両1が進入することができない、すなわち、それ以上車両1が先行車両3に近づくことができない進入禁止領域42が設定されている。
また、進入禁止領域42の外側で且つ相対速度の許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線aの内側の領域は、車両1と先行車両3との相対速度の許容上限値Vlimが0km/hに制限される相対速度ゼロ領域44として設定されている。
ここで、上記の進入禁止領域42及び相対速度ゼロ領域42について詳しく説明する。
図4は、速度分布領域40の進入禁止領域42を示す図である。この図4に示すように、進入禁止領域42は、先行車両3の周囲(全周)に設定された矩形の領域である。車両3は、いかなる状況においても進入禁止領域42内に入らないように制御される。つまり、車両制御システム100は、走行支援や衝突回避等の制御を行う際に、進入禁止領域42よりも外側に目標走行経路を設定する、あるいは進入禁止領域42よりも外側で減速することによって、進入禁止領域42の内側に車両1が進入しないように車両1の制動制御及び/または操舵制御を行うように構成されている。
進入禁止領域42は、先行車両3の前方に設定された、進入禁止領域42の前方端である前方境界線42Aと、先行車両3の後方に設定された、進入禁止領域42の後方端である後方境界線42Bと、先行車両3の左右に設定された、進入禁止領域42の側方端である側方境界線42Cとで囲まれた領域である。
進入禁止領域42の前方境界線42Aは、先行車両3の前方端から所定の前方距離Daだけ離れた位置に設定されている。所定の前方距離Daは、以下の式で求められる。
〔数1〕
Da=Lc/2+k1Vp+k2 …(1)
ここで、Lcは車両1の縦の長さ(m)、Vpは先行車両3の走行速度(m/s)である。また、k1、k2は定数であり、本実施形態ではk1=0.5、k2=5に設定されている。
なお、本実施形態では、車両制御システム100は、車両1の位置を、車両1の中心Cの点として認識している。したがって、本実施形態では、上記数式1において、Lc/2の項を加算して車両1の中心Cから車両1の後方までの長さを加えることにより、先行車両3の前方端から車両1の中心Cまでの距離として所定の前方距離Daを算出している。このため、例えば進入禁止領域42の前方境界線42Aの所定の前方距離Daを、先行車両3の前方端から車両1の後方端までの距離として設定する場合には、Daは、Da=k1Vp+k2で表される。
なお、図4においては、先行車両3の前方端及び後方端から車両1の縦方向の長さLcの半分(Lc/2)の距離の位置、及び先行車両の3の側方端から車両の横方向の長さWcの半分(Wc/2)の距離の位置を一点鎖線の矩形で接触領域Tとして示している。
進入禁止領域42の後方境界線42Bは、先行車両3の後方端から所定の後方距離Dbだけ離れた位置に設定されている。所定の後方距離Dbは、以下の式で求められる。
〔数2〕
Db=Lc/2+k3 …(2)
ここで、k3は定数であり、本実施形態ではk3=2に設定されている。
本実施形態では、前述のように、車両制御システム100は、車両1の位置を、車両1の中心Cの点として認識しているので、上記数式2においては、所定の後方距離Dbは、先行車両3の後方端から車両1の中心Cまでの距離として設定されている。このため、例えば進入禁止領域42の後方境界線42Bの所定の後方距離Dbを、先行車両3の後方端から車両2の前方端までの距離として設定する場合には、Dbは、Db=2である。
なお、本実施形態では進入禁止領域42の後方境界線42Bの所定の後方距離Dbは一定の値であるが、これに限らず、車両1の走行速度や先行車両3の走行速度等に応じて可変に設定されていてもよい。
進入禁止領域42の側方境界線42Cは、先行車両3の側方端から所定の側方距離Dcだけ離れた位置に設定されている。所定の側方距離Dcは、以下の式で求められる。
〔数3〕
Dc=Wc/2+k4Vp+k5 …(3)
ここで、Wcは車両1の横の長さ(m)であり、Vpは先行車両3の走行速度(m/s)である。また、k4、k5は定数であり、本実施形態ではk4=0.1、k5=0.5に設定されている。
本実施形態では、前述のように、車両制御システム100は、車両1の位置を、車両1の中心の点Cとして認識しているので、上記数式3においては、所定の側方距離Dcは、先行車両3の側方端から車両1の中心Cまでの距離として設定されている。このため、例えば進入禁止領域42の側方境界線42Cの所定の側方距離Dcを、先行車両3の側方端から車両2の側方端までの距離として設定する場合には、Dcは、Dc=k4Vp+k5で表される。
ここで、所定の前方距離Da、後方距離Db、及び側方距離Dcは、図2で説明した安全距離D0に対応したものであるが、これらの距離Da,Db,Dcは、単に車両1が先行車両3に衝突しない距離として設定されたものではなく、車両1が先行車両3に近づいたときに、車両1の乗員が恐怖を感じることがなく、安全な運転だと感じることができる距離として設定されている。
また、数式(1)と数式(2)とを比較すると、進入禁止領域42の前方距離Daは、後方距離Dbよりも常に大きくなるように設定されている。
さらに、数式(1)及び数式(3)に示されるように、前方距離Da及び側方距離Dcは、先行車両3の速度に応じて変化するように設定されている。より具体的には先行車両3の走行速度Vpが大きいほど、所定距離Db、Dcが大きくなるように設定されている。したがって、進入禁止領域42は、先行車両3の走行速度Vpが大きいほど、拡大するように設定される。
次に、相対速度ゼロ領域44について説明する。相対速度ゼロ領域44は、図3に示すように、進入禁止領域42の外側に配置され等相対速度線aで囲まれた、四隅が円弧状の略矩形の領域である。本実施形態では、車両制御システム100は、車両1が相対速度ゼロ領域44の内側の領域に進入すると、車両1と先行車両3との相対速度が負になるように、つまり先行車両3の走行速度よりも車両1の走行速度の方が遅くなるように車両1を制動制御するように構成されている。このような制動制御により、車両1は、相対速度ゼロ領域44内に入ると、相対速度ゼロ領域44の外側に出るように、つまり先行車両3から離れるように制御されることとなる。
なお、先行車両3の走行速度Vpが変化することによって進入禁止領域42が変化すると、相対速度ゼロ領域44及びその周りの速度分布領域40もそれに従って変化する。つまり、例えば進入禁止領域42の前方距離Daが大きくなると、相対速度ゼロ領域44及びその周りの速度分布領域40の前方距離も大きくなり、進入禁止領域42の前方境界線42Aから等相対速度線a,b,cの前辺までの距離はそれぞれ大きくなる。
次に、先行車両3が湾曲道路5上に位置する場合に先行車両3の周囲に設定される速度分布領域50について説明する。
図5は、第一実施形態による車両制御システム100の通常走行時において道路が湾曲している湾曲道路5上に車両1及び先行車両3が位置する場合に、先行車両3に対して設定される速度分布領域50の説明図である。この図5に示すように、速度分布領域50は、直線道路2の場合に設定される速度分布領域40と同様に、先行車両3からの横方向距離及び縦方向距離が小さくなるほど(先行車両3に近づくほど)、相対速度の許容上限値が小さくなるように設定される。図5では、理解の容易のため、同じ許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が示されている。本実施形態では、等相対速度線d,e,fは、それぞれ許容上限値Vlimが0km/h,20km/h,40km/hに相当する。
このような速度分布領域50において、許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線dの内側で先行車両3の周囲には、車両1が進入することができない、すなわち、それ以上車両1が先行車両3に近づくことができない進入禁止領域52が設定されている。進入禁止領域52は、先行車両3が直線道路2上に位置する場合に設定される進入禁止領域42と同様の手法で設定された、略矩形の領域である。
また、進入禁止領域52の外側で且つ相対速度の許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線dの内側の領域は、車両1と先行車両3との相対速度の許容上限値Vlimが0km/hに制限される相対速度ゼロ領域54として設定されている。
ここで、相対速度ゼロ領域54の外縁である、許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線dと、等相対速度線e,fとの前辺及び後辺は、それぞれ、直線道路2の場合に設定される等相対速度線a,b,cの前辺及び後辺と同様に、先行車両3の横方向に平行に配置されている。また、等相対速度線d,e,fの前辺及び後辺の長さ寸法も、等相対速度線a,b,cの前辺及び後ろ辺の長さ寸法と同様に設定されており、先行車両3に対して左右対称の位置に配置されている。一方、速度分布領域50の両側の側方領域において、等相対速度線d,e,fの側辺は、進入禁止領域52の前方境界線52Aよりも前方の部分d1,e1,f1及び後方境界線52Bよりも後方の部分d2,e2,f2では、湾曲道路5の曲率に対応した曲率で、より具体的には、湾曲道路5の曲率に等しい曲率で湾曲している。そして、等相対速度線d,e,fの側辺は、進入禁止領域52の側方、つまり進入禁止領域52の前方境界線52Aよりも後方で後方境界線52Bよりも前方の部分d3,e3,f3では、進入禁止領域の側方境界線52Cに沿って、より具体的には、側方境界線52Cに平行に、直線状に延びている。また、等相対速度線d,e,fの四隅は、先行車両3が直線道路2上に位置する場合に設定される速度分布領域40と同様に、円弧状に形成されている。
なお、先行車両3の走行速度Vpが大きくなるほど進入禁止領域52は拡大するように設定されるが、その場合には、等相対速度線d3,e3,f3も、進入禁止領域52の拡大に応じて、前後方向の長さまたは横方向の位置が変化する。
なお、速度分布領域40,50は、上記の算出方法に限らず、種々のパラメータに基づいて設定することが可能である。パラメータとして、例えば、車両1と対象物の相対速度、対象物の種類、車両1の進行方向、対象物の移動方向及び移動速度、対象物の長さ、車両1の絶対速度等を考慮することができる。即ち、これらのパラメータに基づいて、係数kや算出式を選択することができる。
また、速度分布領域40,50は、様々な対象物に対して設定されることが可能である。対象物としては、例えば車両、歩行者、自転車、走行路区画物、障害物、交通信号、交通標識等を含む。車両は、自動車、トラック、自動二輪で区別可能である。歩行者は、大人、子供、集団で区別可能である。走行路区画物は、ガードレール、走行路の端部の段差を形成する路肩、中央分離帯、車線境界線が含まれる。障害物は、崖、溝、孔、落下物が含まれる。交通標識は、停止線、止まれ標識が含まれる。
次に、図6を参照して、本実施形態の車両制御システムの処理の流れについて説明する。図6は車両制御装置の処理フローである。車両1が走行路上を走行しているとき、図6に示すように、車両1のECU10(データ取得部)は、複数のセンサから種々のデータを取得する(S10)。具体的には、ECU10は、車載カメラ21から車両1の前方を撮像した画像データを受け取り、且つ、ミリ波レーダ22から測定データを受け取る。
ECU10(対象物検知部)は、少なくとも車載カメラ21を含む外部センサから取得したデータを処理して対象物を検知する(S11)。具体的には、ECU10は、画像データの画像処理を実行して、先行車両3を対象物として検知する。このとき、対象物の種類(この場合は、車両)が特定される。また、ECU10は、地図情報から特定の障害物の存在を検知することができる。
また、ECU10(位置及び相対速度算出部)は、測定データに基づいて、車両1に対する検知された対象物(先行車両3)の位置及び相対速度を算出する。なお、対象物の位置は、車両1の進行方向に沿った縦方向位置(縦方向距離)と、進行方向と直交する横方向に沿った横方向位置(横方向距離)が含まれる。相対速度は、測定データに含まれる相対速度をそのまま用いてもよいし、測定データから進行方向に沿った速度成分を算出してもよい。また、進行方向に直交する速度成分は、必ずしも算出しなくてもよいが、必要であれば、複数の測定データ及び/又は複数の画像データから推定してもよい。
また、ECU10(道路曲率算出部)は、車載カメラ21の画像データに基づいて道路の白線を特定し、白線の位置から、道路の曲率を計算する。
ECU10(速度分布領域設定部)は、検知した対象物(即ち、先行車両3)について、算出した道路の曲率に応じて速度分布領域40,50を設定する(S12)。ここで、道路が直線の場合には、道路の曲率は0になるので、図3に示すような等相対速度線a,b,cの側辺の曲率が0の略矩形状の速度分布領域40が設定される。また、道路が湾曲している場合には、道路の曲率が0以外の値になるので、図5に示すような等相対速度線d,e,fの側辺のうち進入禁止領域52の前後の部分d1,e1,f1,d2,e2,f2が湾曲した速度分布領域50が設定される。つまり、いずれの場合にも、速度分布領域40,50の等相対速度線の側辺において進入禁止領域52の前後の部分は、道路の曲率に対応して配置されることになり、進入禁止領域52の側方の部分は進入禁止領域52の側方境界線52Cに平行に配置されることになる。
ECU10(経路算出部)は、設定された速度分布領域40,50に基づいて、車両1の走行可能な経路及びこの経路上の各位置における設定車速又は目標速度を算出する(S13)。そして、車両1が算出された経路を走行するため、ECU10(走行制御実行部)は、走行制御を実行する(S14)。
なお、図6の処理フローは、所定時間(例えば、0.1秒)毎に繰り返し実行されるため、算出される経路及びこの経路上の設定速度は、時間経過と共に変化する。
ここで、車両1及び先行車両3が湾曲道路5を走行している場合に、車両1が先行車両3の後方から先行車両3に近づいていった場合の車両1の速度制御について説明する。
図5の経路R1に示すように、車両1が先行車両3の後方から先行車両3に近づく場合、車両1は、速度分布領域50の等相対速度線f,e,dを横切るように車両1が走行する。この場合、例えば車両1が40km/hで走行しているとすると、等相対速度線fまではその走行速度を維持することができるが、等相対速度線fを超えると徐々に許容上限値Vlimが小さくなっていくため、車両制御システム100は、ブレーキ制御システム32にブレーキ要求信号を出力して車両1を減速させて、その地点に設定された許容上限値Vlimを超えないように車両1を制御する。
車両1が相対速度ゼロ領域54の外縁まで到達した場合、車両1は先行車両3との相対速度が0(ゼロ)になるように制御される。このため、車両1は通常の運転状態では、それ以上先行車両3に近づかない。
しかしながら、例えば先行車両3が予期せず減速した場合には、車両1が相対速度ゼロ領域54内に進入する場合がある。この場合には、車両制御システム100は、車両1が相対速度ゼロ領域54の外側に移動するように車両1を制御する。より具体的には、車両制御システム100は、車両1と先行車両3との相対速度が負に、つまり0km/hよりも小さくなるようにブレーキ要求信号を出力し、車両1が先行車両3から離れるように制御する。
また、車両制御システム100は、車両1が相対速度ゼロ領域54内に進入した場合、車両1が進入禁止領域52内に進入しないように車両1の速度及び/又は走行経路を制御する。つまり、車両1の速度のみを制御する場合には、車両制御システム100は、図5の経路R2に示すように、車両1が進入禁止領域52の後方境界線52Bよりも外側(後方)を走行し、後方境界線52Bを超えないように、車両1の制動力を決定し、ブレーキ制御システム32にブレーキ要求信号を出力する。その結果、車両1は進入禁止領域52の外側の位置で先行車両3に最接近するが、それ以上先行車両3には接近せず進入禁止領域52内に進入しない。
なお、車両制御システム100は、車両1が相対速度ゼロ領域54内に進入した場合、上記のように減速して進入禁止領域52の後方境界線52Bよりも後方に位置するように車両1を制御するものに限らず、例えば先行車両3との衝突を回避するように速度制御に加えて操舵制御も行ってもよい。その場合には、車両制御システム100は、例えば図5の経路R3に示すように、進入禁止領域52の外側に目標走行経路を設定すればよい。
一方、図5の二点鎖線に示すように、車両1が先行車両3が位置する車線の隣、例えば右側の車線を走行している場合には、先行車両3の周囲に設定された速度分布領域50が車線からはみ出さないので、車両1は速度分布領域50の許容上限値Vlimに制限されることなく隣の車線を走行することができる(例えば経路R4)。
以上のような実施形態によれば、次のような効果が得られる。
ECU10が先行車両3の周囲に速度分布領域40,50を設定し、速度分布領域40,50は、許容上限値ゼロ領域44,54と、車両進入禁止領域42,52とを有するので、車両1は、通常の運転状態では相対速度ゼロ領域44,54の境界線の位置で先行車両3との相対速度をゼロに保持する。したがって車両制御システム100は、車両1が先行車両3と所定の距離を保って走行することができるから、安全な運転支援を行うことができる。
また、先行車両3の予期せぬ減速等によって車両1が相対速度ゼロ領域44,54内に進入してより先行車両3に近づいた場合にも、車両制御システム100は車両1が進入禁止領域42,52に進入しないように車両1を加減速/操舵制御するので、衝突回避制御を行う場合でも、車両1と先行車両3との間に所定の距離を確保することができる。したがって乗員が不安を感じるのを防止することができ、安心・安全な運転支援を行うことができる。
先行車両3が湾曲道路5上に位置している場合には、ECU10は、先行車両3の側方の領域において、等相対速度線d,e,fが、進入禁止領域52の前後においては湾曲道路5の曲率に対応して湾曲するように速度分布領域50を設定するので、速度分布領域50が先行車両3が位置する道路の車線からはみ出すのを防止することができる。
その一方で、先行車両3が湾曲道路5上に位置している場合には、ECU10は、先行車両3の側方の領域において、等相対速度線d,e,fが、進入禁止領域52の側方においては進入禁止領域52の側方境界線52Cに平行に直線状になるように速度分布領域50を設定するので、先行車両3の側方の領域において、等相対速度線d,e,fと進入禁止領域52の側方境界線52Cとの間に所定の距離を保持することができる。
ここで、先行車両3が位置する道路が湾曲している場合に想定される問題について説明する。例えば図3に二点鎖線で示すように、道路が湾曲している場合に、直線道路2の場合と同様に速度分布領域40が設定されると、速度分布領域40の一部、特に側方領域の一方が道路の車線境界線を超えて設定されてしまう場合がある。このとき、車両1が先行車両3が位置する車線の右側の車線を走行していると、車両1の走行車線にはみ出して設定された先行車両3の許容上限値Vlimによって車両1の走行速度が制限されたり進路変更が行われてしまう。特に図3の例では、速度分布領域40の側方領域において、等相対速度線a,b,cの幅が比較的狭いので、車両1は急な減速や進路変更を要求される。このような走行は、先行車両3の隣の車線を走行している車両1の乗員にとっては不要な減速や操舵回避となり、違和感のある走行支援となってしまう。
一方で、道路が湾曲している場合に上記のような問題を解決するために、例えば、速度分布領域40の側方領域において、等相対速度線a,b,cを道路の湾曲に合わせて湾曲させることが考えられる。しかしながら、先行車両3の道路上の位置や、道路の湾曲の曲率等によっては、等相対速度線a,b,cを道路の湾曲に合わせて湾曲させると、等相対速度線a,b,cが進入禁止領域52内まで入り込んでしまう場合があり等相対速度線a,b,cを設定できなくなる場合がある。また、等相対速度線a,b,cを道路の湾曲に合わせて湾曲させると、進入禁止領域52の側方において等相対速度線a,b,cの間隔が極端に小さくなってしまう場合がある。このような場合に車両1が先行車両3に側方から近づくと、車両1は急激な減速や進路変更を要求されることとなり、このような走行支援は乗員に違和感を生じさせる。
本実施形態では、先行車両3が位置する道路が湾曲している湾曲道路5である場合には、先行車両3の側方の領域、つまり速度分布領域50の側方領域において、進入禁止領域52の前後の等相対速度線d1,e1,f1,d2,e2,f2を湾曲道路5の曲率に等しい曲率で湾曲するように設定することで、道路の形状に応じた速度分布領域50を設定することができ、速度分布領域50が隣の車線にはみ出してしまうのを防止することができる。一方で、速度分布領域50の側方領域において進入禁止領域52の側方の等相対速度線d3,e3,f3は、進入禁止領域52の側方境界線52Cに平行に設定することで、進入禁止領域52に対して等相対速度線d3,e3,f3が過度に近づくことを防止して、進入禁止領域52と等相対速度線d,e,fとの間に所定の距離を確保することができる。
このように、等相対速度線d,e,fを、進入禁止領域52の側方においては進入禁止領域52に平行に設定し、進入禁止領域52の前後においては湾曲道路5の曲率に等しい曲率で湾曲するように設定したので、例えば隣の車線を走行する車両1の不要な減速や操舵を回避することができるとともに、車両1が先行車両3に側方から近づいた場合の急な減速や操舵も回避することができる。したがって、本実施形態の車両制御システム100により、乗員が安心・安全を感じることができる運転支援を提供することができる。
進入禁止領域42,52は、先行車両3の走行速度Vpに応じて変化するように、より具体的には、進入禁止領域42,52は、先行車両3の走行速度Vpが大きいほど拡大するように設定されている。ここで、車両1の乗員が先行車両3に対して安心・安全を感じる距離および速度を確保する際、乗員が安全だと感じる距離および速度は、先行車両の走行速度Vpによって変わってくるものであることが分かった。より具体的には、先行車両3の走行速度Vpが大きくなると車両1の運転者は先行車両3に対してより大きな距離を取るようになり、また先行車両3に対してより小さな相対速度で走行するようになるものであることが分かった。そこで、本実施形態では、進入禁止領域42,52を先行車両3の走行速度Vpに応じて、走行速度Vpが大きいほど進入禁止領域42,52を拡大するように設定することによって、先行車両3に対して、乗員の感覚に合った距離および速度を確保することができ、車両1の乗員が安心・安全だと感じる運転支援を行うことができる。
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態に係る車両制御システムについて説明する。第二実施形態に係る車両制御システムは、第一実施形態に係る車両制御システムに対して、対象物が停止車両6である場合に停止車両6の周囲に設定される速度分布領域の設定が異なる他は、第一実施形態に係る車両制御システムと同様の構成を有する。
図9は、本発明の第二実施形態による車両制御システム100において停止車両6に対して設定される速度分布領域60の図である。本実施形態において、停止車両6は、湾曲道路5上の端(左端)に停車している。このため、道路5を走行する車両1は、停止車両6の進行方向(前後方向)に対して横方向にオフセットした位置にある。ECU10は、車両1が停止車両6の前後方向に対して横方向にオフセットしている場合には、停止車両6の側方に設定される速度分布領域60の側方領域のうち、車両1に近い側の側方領域のみにおいて、等相対速度線が、進入禁止領域62の側方では、進入禁止領域62に沿うように且つ進入禁止領域62の前後では道路の湾曲に沿って湾曲するように、速度分布領域60を設定する。
ここで、ECU10は、車両1の側端のいずれか一方(図9の例では左端)が停止車両6の側端のいずれか他方(図9の例では右端)の位置、又はそれよりも停止車両6から横方向に離れた位置(図9の例では右側の位置)にある場合に、車両1が停止車両6に対してオフセットしていると判断する。なお、ECU10は、車両1の中心Cが停止車両6の側端(図9の例では右端)の位置か、それよりも停止車両6から横方向に離れた位置にある場合に、車両1が停止車両6に対してオフセットしていると判断してもよい。
速度分布領域60は、第一実施形態の速度分布領域50と同様に、停止車両6からの横方向距離及び縦方向距離が小さくなるほど(停止車両6に近づくほど)、相対速度の許容上限値が小さくなるように設定される。また、図9では、理解の容易のため、同じ許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が示されている。本実施形態では、等相対速度線g,h,iは、それぞれ許容上限値Vlimが0km/h,20km/h,40km/hに相当する。
また、このような速度分布領域60において、許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線gの内側で先行車両3の周囲には、第一実施形態と同様の進入禁止領域62が設定されており、進入禁止領域62の外側で且つ相対速度の許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線gの内側の領域は、車両1と停止車両6との相対速度の許容上限値Vlimが0km/hに制限される相対速度ゼロ領域64として設定されている。
ここで、等相対速度線g,h,iの前辺、後辺及び左辺は、それぞれ、第一実施形態の速度分布領域40の等相対速度線a,b,cの前辺、後辺及び左辺と同様に配置されている。一方、等相対速度線g,h,iの側辺のうち、車両1がより近くに位置する側の辺、つまり図9の例では等相対速度線g,h,iの右辺は、第一実施形態の速度分布領域50と同様に、進入禁止領域62の前後においては、等相対速度線g,h,iが湾曲道路5の曲率に対応した曲率で、より具体的には、湾曲道路5の曲率に等しい曲率で湾曲しており、進入禁止領域62の側方においては、進入禁止領域62に沿って、より具体的には側方境界線62Cに平行に配置される。
このような第二実施形態に係る車両制御システムでは、車両1が停止車両6の前後方向に対して横方向にオフセットした位置にあるとき、ECU10は、第一実施形態と同様に、停止車両6の周囲に設定された速度分布領域60に基づいて、車両1の走行可能な経路及びこの経路上の各位置における設定車速又は目標速度(例えば図9の経路R5)を算出し、車両1が算出された経路を走行するように走行制御を実施する。
このように構成された本実施形態に係る車両制御システムによれば、次のような効果が得られる。
車両1が停止車両6の前後方向に対して横方向にオフセットしている場合、ECU10は、停止車両6の側方領域、つまり速度分布領域60の側方領域のうち車両1に近い側の領域のみにおいて、進入禁止領域62の前後において等相対速度線g,h,iが湾曲し且つ進入禁止領域62の側方において等相対速度線g,h,iが進入禁止領域62の側方境界線62Cと平行になるように設定する。また、車両1から遠い側の側方の領域においては、等相対速度線g,h,iが直線状になるように、速度分布領域60を設定する。ここで、車両1が停止車両6に対して横方向にオフセットしている場合、つまり、本実施形態では、車両1が停止車両6に対して右方向にオフセットしている場合、車両1が停止車両6の右側に近づく可能性は、停止車両6の左側に近づく可能性よりも高くなる。そこで、本実施形態では、停止車両6の側方の領域のうち車両1に近い右側の領域のみにおいて、進入禁止領域62の前後において等相対速度線g,h,iが道路の曲率に対応して湾曲するように速度分布領域60を設定したので、車両1が実際に近づく可能性が高い領域のみにおいて道路の形状に応じた速度分布領域60の設定を行うことができるから、速度分布領域60の設定のための計算処理を簡単にすることができる。したがって、速度分布領域60の簡単な計算処理で安心・安全な運転支援を実現することができる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、例えば、以下のような態様であってもよい。
速度分布領域は、対象物の全周にわたって設定されるものに限らず、例えば先行車両の前方のみに設定されてもよいし、あるいは側方のみ、後方のみ等に設定されてもよい。要するに、速度分布領域は、対象物の周囲の少なくとも一部に設定されていればよい。
前述の第一実施形態では、先行車両3の両側方の領域において速度分布領域の等相対速度線が進入禁止領域の前後において湾曲するように設定されており、前述の第二実施形態では、停止車両6の一方の領域において速度分布領域の等相対速度線が進入禁止領域の前後において湾曲するように設定されていたが、要するに、速度分布領域の等相対速度線は、対象物が位置する道路が湾曲している場合には、対象物の側方の少なくとも一方の領域において等相対速度線が進入禁止領域の前後において湾曲し、進入禁止領域の側方において進入禁止領域に沿うように設定されればよい。
また、湾曲した等相対速度線は、前述の実施形態のように道路の曲率に等しく円弧状に設定されるものに限らず、道路の曲率に基づいて所定の計算によって導き出される曲線や連続する直線等、道路の曲率に対応して全体として湾曲するように設定されていればよい。
前述の第二実施形態では、側方領域の一方のみにおいて等相対速度線が湾曲するように設定された速度分布領域60は、停止車両6に対して設定されていたが、これに限らず、例えば走行車両等の他の対象物に対しても、車両が対象物の前後方向に対して横方向にオフセットした位置にある場合には、車両に近い側の速度分布領域の側方領域のみにおいて、等相対速度線が道路の曲率に対応して湾曲するように設定されてもよい。
1 車両
2 直線道路
3 先行車両(対象物)
5 湾曲道路
6 停止車両(対象物)
21 車載カメラ
22 ミリ波レーダ
23 車速センサ
24 測位システム
25 ナビゲーションシステム
31 エンジン制御システム
32 ブレーキ制御システム
33 ステアリング制御システム
40,50,60 速度分布領域
42,52,62 進入禁止領域
44,54,64 相対速度ゼロ領域
100 車両制御システム
a〜i 等相対速度線
0 安全距離
X クリアランス
R1〜R5 経路

Claims (4)

  1. 車両に搭載される車両制御装置であって、
    前記車両の前方にある対象物を検知し、
    前記対象物の周囲の少なくとも側方に、前記車両の進行方向における前記対象物に対する前記車両の相対速度の許容上限値の分布を規定する速度分布領域を設定し、
    前記速度分布領域内において前記対象物に対する前記車両の相対速度が前記許容上限値を超えることを抑制する走行制御を実行するように構成されており、
    前記速度分布領域は、隣の車線にはみ出さないように、前記対象物からの距離が小さくなるほど、前記対象物に対する前記車両の相対速度の許容上限値が小さくなるように、複数のゼロよりも大きい相対速度を含んで設定されるとともに、前記対象物から所定距離だけ離れた位置において前記車両の進入が禁止される進入禁止領域を有し、
    前記対象物が位置する道路が直線の場合には前記速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、同じ前記許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が直線となるように設定され、前記対象物が位置する道路が湾曲している場合には、前記速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、前記等相対速度線の前端及び後端が、前記対象物が直線道路上に位置して前記等相対速度線が直線に設定される場合と同じ位置に設定され且つ前記前端と前記後端との間の複数の前記等相対速度線が、前記進入禁止領域の側方においては前記進入禁止領域に沿って設定され、前記進入禁止領域の前後においては前記道路の曲率に対応して湾曲するように設定される、
    ことを特徴とする車両制御装置。
  2. 前記進入禁止領域は、略矩形に設定されるとともに、
    前記対象物が位置する道路が湾曲している場合には、前記速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、前記等相対速度線が、前記進入禁止領域の側方においては前記進入禁止領域の側方境界線に平行に直線状に設定され、前記進入禁止領域の前後においては前記道路の曲率に対応して湾曲するように設定される、
    請求項1に記載の車両制御装置。
  3. 前記進入禁止領域は、前記対象物の移動速度が大きいほど、拡大して設定される、
    請求項1または請求項2に記載の車両制御装置。
  4. 前記車両が、前記対象物の前後方向に対して横方向にオフセットした位置にあるとき、前記速度分布領域は、前記車両に近い側の前記側方領域のみにおいて、前記等相対速度線が、前記進入禁止領域の側方においては前記進入禁止領域に沿って設定され、前記進入禁止領域の前後においては前記道路の曲率に対応して湾曲するように設定される、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
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