JP6447963B2 - 車両制御装置 - Google Patents
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このように構成された本発明によれば、進入禁止領域が略矩形に設定されるので、簡単な計算処理で進入禁止領域が設定される。また、速度分布領域の等相対速度線が、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定されるので、速度分布領域が道路からはみ出すのが抑制される。その一方で、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域の側方境界線に平行に直線状に設定されるので、進入禁止領域の側方境界線と等相対速度線とが近づきすぎることがなく、両者の間に所定の距離が確保される。ここで、例えば車両が側方から対象物に近づいた場合、等相対速度線が進入禁止領域に対して小さい間隔で設定されていると、車両が急な減速をしなければならないことがある。本発明では、等相対速度線が、進入禁止領域の側方において進入禁止領域の側方境界線に経項に直線状に設定されるので、上記のような制動制御が回避される。よって乗員がより安心・安全を感じることができる、より快適な運転支援を提供することが可能になる。
このように構成された本発明によれば、進入禁止領域が対象物の移動速度が大きいほど拡大して設定される。ここで、車両の運転者は、対象物の移動速度が大きくなると対象物に対してより大きな距離を取るようになり、また対象物に対してより小さな相対速度で走行するようになるものであることが分かった。本発明では、対象物の移動速度が大きいほど進入禁止領域を拡大して設定することにより、乗員が安心・安全を感じることができる運転支援が可能になる。
このように構成された本発明によれば、車両が対象物の前後方向に対して横方向にオフセットしている場合、車両に近い側の側方領域のみにおいて、等相対速度線が、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定される。ここで、車両が対象物の前後方向に対して横方向にオフセットしている場合、車両に近い側の対象物の側方領域において車両が対象物に近づく可能性は、車両から遠い側の対象物の側方領域において車両が対象物に近づく可能性よりも高い。そこで、本発明では、速度分布領域の側方領域のうち車両に近い側の側方領域のみにおいて、等相対速度線が、進入禁止領域の側方においては進入禁止領域に沿って設定され、進入禁止領域の前後においては道路の曲率に対応して湾曲するように設定されることにより、必要とされる領域のみに道路の形状に応じた速度分布領域の設定が行われるため、簡単な計算処理で安心・安全な運転支援が実現される。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態による車両制御システムについて説明する。先ず、図1を参照して、車両制御システムの構成について説明する。図1は、車両制御システムの構成図である。
また、ECU10は、車載カメラ21からの画像データに基づいて車両が走行する道路及び/又は対象物が位置する道路を区画する白線、中央分離帯等の、道路の延びる方向を示す情報を取得する。そして、ECU10は、取得した情報から、道路の曲率を計算する。本実施形態では、ECU10は、道路の白線を検出し、白線の位置をXY座標として把握し、このXY座標の変化量から道路の曲率を計算する。なお、道路の曲率は、画像データから取得するものに限らず、例えばナビゲーションシステム25に記録された道路情報に基づいて算出してもよい。
測位システム24は、GPSシステム及び/又はジャイロシステムであり、車両1の位置(現在車両位置情報)を算出する。
ナビゲーションシステム25は、内部に地図情報を格納しており、ECU10へ地図情報を提供することができる。ECU10は、地図情報及び現在車両位置情報に基づいて、車両1の周囲(特に、進行方向前方)に存在する道路、交通信号、建造物等を特定する。また、ECU10は、車載カメラ21による画像データからは特定しにくい崖,溝,穴等を、地図情報に基づいて特定してもよい。地図情報は、ECU10内に格納されていてもよい。
一般に、道路上又は道路付近の対象物(例えば、先行車両、駐車車両、ガードレール等)に追いつくときや、これとすれ違うとき(又は追い抜く・追い越すとき)、走行車両の運転者は、進行方向に対して、車両と対象物との間に所定の距離又は間隔を保ち、且つ、減速する。具体的には、先行車両が急に進路変更したり、道路の死角から歩行車が出てきたり、駐車車両のドアが開いたりするといった危険を回避するため、対象物との距離が小さいほど、対象物に対する相対速度は小さくされる。
等相対速度線a,b,cは、それぞれ、隅丸の略矩形に形成されており、先行車両3の進行方向又は前後方向に対して左右対称に配置されている。等相対速度線a,b,cの前辺及び後辺は先行車両3の横方向に平行に、側辺は、先行車両3の前後方向に平行に配置されている。また、図3の例では、先行車両3は直線道路2上に位置するため、等相対速度線a,b,cの前辺及び後辺は、直線道路2の延びる方向に直交する方向に、側辺は、直線道路2の延びる方向に、つまり白線や中央分離帯の延びる方向に平行に配置されている。
また、進入禁止領域42の外側で且つ相対速度の許容上限値Vlimが0km/hの等相対速度線aの内側の領域は、車両1と先行車両3との相対速度の許容上限値Vlimが0km/hに制限される相対速度ゼロ領域44として設定されている。
図4は、速度分布領域40の進入禁止領域42を示す図である。この図4に示すように、進入禁止領域42は、先行車両3の周囲(全周)に設定された矩形の領域である。車両3は、いかなる状況においても進入禁止領域42内に入らないように制御される。つまり、車両制御システム100は、走行支援や衝突回避等の制御を行う際に、進入禁止領域42よりも外側に目標走行経路を設定する、あるいは進入禁止領域42よりも外側で減速することによって、進入禁止領域42の内側に車両1が進入しないように車両1の制動制御及び/または操舵制御を行うように構成されている。
〔数1〕
Da=Lc/2+k1Vp+k2 …(1)
なお、本実施形態では、車両制御システム100は、車両1の位置を、車両1の中心Cの点として認識している。したがって、本実施形態では、上記数式1において、Lc/2の項を加算して車両1の中心Cから車両1の後方までの長さを加えることにより、先行車両3の前方端から車両1の中心Cまでの距離として所定の前方距離Daを算出している。このため、例えば進入禁止領域42の前方境界線42Aの所定の前方距離Daを、先行車両3の前方端から車両1の後方端までの距離として設定する場合には、Daは、Da=k1Vp+k2で表される。
〔数2〕
Db=Lc/2+k3 …(2)
本実施形態では、前述のように、車両制御システム100は、車両1の位置を、車両1の中心Cの点として認識しているので、上記数式2においては、所定の後方距離Dbは、先行車両3の後方端から車両1の中心Cまでの距離として設定されている。このため、例えば進入禁止領域42の後方境界線42Bの所定の後方距離Dbを、先行車両3の後方端から車両2の前方端までの距離として設定する場合には、Dbは、Db=2である。
〔数3〕
Dc=Wc/2+k4Vp+k5 …(3)
本実施形態では、前述のように、車両制御システム100は、車両1の位置を、車両1の中心の点Cとして認識しているので、上記数式3においては、所定の側方距離Dcは、先行車両3の側方端から車両1の中心Cまでの距離として設定されている。このため、例えば進入禁止領域42の側方境界線42Cの所定の側方距離Dcを、先行車両3の側方端から車両2の側方端までの距離として設定する場合には、Dcは、Dc=k4Vp+k5で表される。
さらに、数式(1)及び数式(3)に示されるように、前方距離Da及び側方距離Dcは、先行車両3の速度に応じて変化するように設定されている。より具体的には先行車両3の走行速度Vpが大きいほど、所定距離Db、Dcが大きくなるように設定されている。したがって、進入禁止領域42は、先行車両3の走行速度Vpが大きいほど、拡大するように設定される。
図5は、第一実施形態による車両制御システム100の通常走行時において道路が湾曲している湾曲道路5上に車両1及び先行車両3が位置する場合に、先行車両3に対して設定される速度分布領域50の説明図である。この図5に示すように、速度分布領域50は、直線道路2の場合に設定される速度分布領域40と同様に、先行車両3からの横方向距離及び縦方向距離が小さくなるほど(先行車両3に近づくほど)、相対速度の許容上限値が小さくなるように設定される。図5では、理解の容易のため、同じ許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が示されている。本実施形態では、等相対速度線d,e,fは、それぞれ許容上限値Vlimが0km/h,20km/h,40km/hに相当する。
また、ECU10(道路曲率算出部)は、車載カメラ21の画像データに基づいて道路の白線を特定し、白線の位置から、道路の曲率を計算する。
なお、図6の処理フローは、所定時間(例えば、0.1秒)毎に繰り返し実行されるため、算出される経路及びこの経路上の設定速度は、時間経過と共に変化する。
図5の経路R1に示すように、車両1が先行車両3の後方から先行車両3に近づく場合、車両1は、速度分布領域50の等相対速度線f,e,dを横切るように車両1が走行する。この場合、例えば車両1が40km/hで走行しているとすると、等相対速度線fまではその走行速度を維持することができるが、等相対速度線fを超えると徐々に許容上限値Vlimが小さくなっていくため、車両制御システム100は、ブレーキ制御システム32にブレーキ要求信号を出力して車両1を減速させて、その地点に設定された許容上限値Vlimを超えないように車両1を制御する。
しかしながら、例えば先行車両3が予期せず減速した場合には、車両1が相対速度ゼロ領域54内に進入する場合がある。この場合には、車両制御システム100は、車両1が相対速度ゼロ領域54の外側に移動するように車両1を制御する。より具体的には、車両制御システム100は、車両1と先行車両3との相対速度が負に、つまり0km/hよりも小さくなるようにブレーキ要求信号を出力し、車両1が先行車両3から離れるように制御する。
ECU10が先行車両3の周囲に速度分布領域40,50を設定し、速度分布領域40,50は、許容上限値ゼロ領域44,54と、車両進入禁止領域42,52とを有するので、車両1は、通常の運転状態では相対速度ゼロ領域44,54の境界線の位置で先行車両3との相対速度をゼロに保持する。したがって車両制御システム100は、車両1が先行車両3と所定の距離を保って走行することができるから、安全な運転支援を行うことができる。
また、先行車両3の予期せぬ減速等によって車両1が相対速度ゼロ領域44,54内に進入してより先行車両3に近づいた場合にも、車両制御システム100は車両1が進入禁止領域42,52に進入しないように車両1を加減速/操舵制御するので、衝突回避制御を行う場合でも、車両1と先行車両3との間に所定の距離を確保することができる。したがって乗員が不安を感じるのを防止することができ、安心・安全な運転支援を行うことができる。
その一方で、先行車両3が湾曲道路5上に位置している場合には、ECU10は、先行車両3の側方の領域において、等相対速度線d,e,fが、進入禁止領域52の側方においては進入禁止領域52の側方境界線52Cに平行に直線状になるように速度分布領域50を設定するので、先行車両3の側方の領域において、等相対速度線d,e,fと進入禁止領域52の側方境界線52Cとの間に所定の距離を保持することができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る車両制御システムについて説明する。第二実施形態に係る車両制御システムは、第一実施形態に係る車両制御システムに対して、対象物が停止車両6である場合に停止車両6の周囲に設定される速度分布領域の設定が異なる他は、第一実施形態に係る車両制御システムと同様の構成を有する。
ここで、ECU10は、車両1の側端のいずれか一方(図9の例では左端)が停止車両6の側端のいずれか他方(図9の例では右端)の位置、又はそれよりも停止車両6から横方向に離れた位置(図9の例では右側の位置)にある場合に、車両1が停止車両6に対してオフセットしていると判断する。なお、ECU10は、車両1の中心Cが停止車両6の側端(図9の例では右端)の位置か、それよりも停止車両6から横方向に離れた位置にある場合に、車両1が停止車両6に対してオフセットしていると判断してもよい。
車両1が停止車両6の前後方向に対して横方向にオフセットしている場合、ECU10は、停止車両6の側方領域、つまり速度分布領域60の側方領域のうち車両1に近い側の領域のみにおいて、進入禁止領域62の前後において等相対速度線g,h,iが湾曲し且つ進入禁止領域62の側方において等相対速度線g,h,iが進入禁止領域62の側方境界線62Cと平行になるように設定する。また、車両1から遠い側の側方の領域においては、等相対速度線g,h,iが直線状になるように、速度分布領域60を設定する。ここで、車両1が停止車両6に対して横方向にオフセットしている場合、つまり、本実施形態では、車両1が停止車両6に対して右方向にオフセットしている場合、車両1が停止車両6の右側に近づく可能性は、停止車両6の左側に近づく可能性よりも高くなる。そこで、本実施形態では、停止車両6の側方の領域のうち車両1に近い右側の領域のみにおいて、進入禁止領域62の前後において等相対速度線g,h,iが道路の曲率に対応して湾曲するように速度分布領域60を設定したので、車両1が実際に近づく可能性が高い領域のみにおいて道路の形状に応じた速度分布領域60の設定を行うことができるから、速度分布領域60の設定のための計算処理を簡単にすることができる。したがって、速度分布領域60の簡単な計算処理で安心・安全な運転支援を実現することができる。
速度分布領域は、対象物の全周にわたって設定されるものに限らず、例えば先行車両の前方のみに設定されてもよいし、あるいは側方のみ、後方のみ等に設定されてもよい。要するに、速度分布領域は、対象物の周囲の少なくとも一部に設定されていればよい。
また、湾曲した等相対速度線は、前述の実施形態のように道路の曲率に等しく円弧状に設定されるものに限らず、道路の曲率に基づいて所定の計算によって導き出される曲線や連続する直線等、道路の曲率に対応して全体として湾曲するように設定されていればよい。
2 直線道路
3 先行車両(対象物)
5 湾曲道路
6 停止車両(対象物)
21 車載カメラ
22 ミリ波レーダ
23 車速センサ
24 測位システム
25 ナビゲーションシステム
31 エンジン制御システム
32 ブレーキ制御システム
33 ステアリング制御システム
40,50,60 速度分布領域
42,52,62 進入禁止領域
44,54,64 相対速度ゼロ領域
100 車両制御システム
a〜i 等相対速度線
D0 安全距離
X クリアランス
R1〜R5 経路
Claims (4)
- 車両に搭載される車両制御装置であって、
前記車両の前方にある対象物を検知し、
前記対象物の周囲の少なくとも側方に、前記車両の進行方向における前記対象物に対する前記車両の相対速度の許容上限値の分布を規定する速度分布領域を設定し、
前記速度分布領域内において前記対象物に対する前記車両の相対速度が前記許容上限値を超えることを抑制する走行制御を実行するように構成されており、
前記速度分布領域は、隣の車線にはみ出さないように、前記対象物からの距離が小さくなるほど、前記対象物に対する前記車両の相対速度の許容上限値が小さくなるように、複数のゼロよりも大きい相対速度を含んで設定されるとともに、前記対象物から所定距離だけ離れた位置において前記車両の進入が禁止される進入禁止領域を有し、
前記対象物が位置する道路が直線の場合には前記速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、同じ前記許容上限値を有する点を結んだ等相対速度線が直線となるように設定され、前記対象物が位置する道路が湾曲している場合には、前記速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、前記等相対速度線の前端及び後端が、前記対象物が直線道路上に位置して前記等相対速度線が直線に設定される場合と同じ位置に設定され、且つ前記前端と前記後端との間の複数の前記等相対速度線が、前記進入禁止領域の側方においては前記進入禁止領域に沿って設定され、前記進入禁止領域の前後においては前記道路の曲率に対応して湾曲するように設定される、
ことを特徴とする車両制御装置。 - 前記進入禁止領域は、略矩形に設定されるとともに、
前記対象物が位置する道路が湾曲している場合には、前記速度分布領域の側方領域の少なくとも一方において、前記等相対速度線が、前記進入禁止領域の側方においては前記進入禁止領域の側方境界線に平行に直線状に設定され、前記進入禁止領域の前後においては前記道路の曲率に対応して湾曲するように設定される、
請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記進入禁止領域は、前記対象物の移動速度が大きいほど、拡大して設定される、
請求項1または請求項2に記載の車両制御装置。 - 前記車両が、前記対象物の前後方向に対して横方向にオフセットした位置にあるとき、前記速度分布領域は、前記車両に近い側の前記側方領域のみにおいて、前記等相対速度線が、前記進入禁止領域の側方においては前記進入禁止領域に沿って設定され、前記進入禁止領域の前後においては前記道路の曲率に対応して湾曲するように設定される、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
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