JP6447366B2 - 球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ - Google Patents

球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ Download PDF

Info

Publication number
JP6447366B2
JP6447366B2 JP2015110176A JP2015110176A JP6447366B2 JP 6447366 B2 JP6447366 B2 JP 6447366B2 JP 2015110176 A JP2015110176 A JP 2015110176A JP 2015110176 A JP2015110176 A JP 2015110176A JP 6447366 B2 JP6447366 B2 JP 6447366B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
zinc oxide
oxide particles
dopant
spherical zinc
spherical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015110176A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016222805A (ja
Inventor
奈津紀 伊藤
奈津紀 伊藤
啓介 溝口
啓介 溝口
前澤 明弘
明弘 前澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2015110176A priority Critical patent/JP6447366B2/ja
Publication of JP2016222805A publication Critical patent/JP2016222805A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6447366B2 publication Critical patent/JP6447366B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、プラズモン共鳴強度の高い球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いた感度が高いプラズモンセンサーチップに関する。
光を金属薄膜に全反射させ、その反射面に染み出すエバネッセント光を利用する光測定技術は、広く研究され応用されている。特に反射面に金、銀等の薄膜を使い、光によって表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPRと略記する)を起こす光学系を用いたセンサーはSPRセンサーと呼ばれている。
実際の測定では、連続した波長の光を試料の反対面から臨界角以上で入射し、エバネッセント波と表面プラズモンとが共鳴する波長での反射率の低い谷を観測する。
このSPR現象が起こる波長から被測定物の性質を知ることができるため、SPRセンサーは、抗原−抗体反応を利用した免疫センサーやDNAの検出、レセプターとタンパク質との相互作用などの検出に応用されつつある。
SPRセンサーのセンサーチップに用いられている金属薄膜は、金や銀の薄膜であることが一般的である。この場合、SPRには紫外光から可視光域の光が使用されている。
最近、金属の代わりに酸化物半導体を対象としたプラズモン研究が行われている。酸化物半導体は、バンドギャップが広く、導入するドーパント濃度によりキャリア数を任意に制御できるため、可視から近赤外領域にわたって使用が可能となり、従来困難だった赤外線を用いたSPRセンサーとして使用でき、特に非侵襲の血糖値センサーなど、バイオ分野への応用が期待されている。
酸化物半導体の中でも金属をドープした酸化亜鉛(ZnO)は、キャリア移動度やキャリア密度が大きく、測定波長領域をコントロールしやすく、高感度化が期待できることから実用化の観点からも注目されている。
一方、センサーチップとして金属薄膜を用いるSPRセンサーの代わりに小粒径の粒子を用いて、粒子表面のプラズモン共鳴を利用したプラズモンセンサーが考えられる。このようなプラズモンセンサーでは、金属薄膜を用いるSPRセンサーとは異なり、入射する角度依存性が小さく、安定した測定を行うことが期待できる。また、安価に製造することができるメリットがある。
粒子を用いて効率よくプラズモンを共鳴させるには、小粒径で球状の単分散粒子が好ましい。特許文献1には真球度の高い球状酸化亜鉛粒子が開示されている。しかしながら、粒子径が大きく、また単分散性が低いためプラズモンセンサーに用いるにはプラズモン共鳴強度が低く適当ではなかった。特許文献2には小粒径で真球度の高い球状の酸化亜鉛粒子が開示されている。しかしながら、単分散度が低く、プラズモンセンサーに用いるにはプラズモン共鳴強度が低く適当ではなかった。
プラズモン共鳴強度を高くするための他の方法として、粒子中にGaなどのドーパントを多く含有させることにより、粒子内のキャリア密度を高くすることが考えられる。しかし、粒子中のドーパント量が多くなると、結晶性が崩れてしまうため、単にドーパント量を多くしてもプラズモン共鳴強度を高めることはできなかった。
したがって、効率よくプラズモン共鳴することができる、球状酸化亜鉛粒子が望まれていた。
特許5617410号公報 特開2013−60375号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、プラズモン共鳴強度の高い球状酸化亜鉛粒子とその製造方法を提供することである。また、それを用いた感度が高いプラズモンセンサーチップを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程においてプラズモン共鳴の強度に大きく寄与する球状酸化亜鉛粒子の、表面におけるドーパントの量を粒子内部より多く含有させることにより、プラズモン共鳴の強度を高くできることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.ドーパントを含有する球状酸化亜鉛粒子であって、前記ドーパントがガリウム、ユーロピウム、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ニオブ、イッテルビウム及びインジウムからなる群より選ばれるドーパントであり、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパントの平均含有率よりも高く、かつ前記表面部の前記ドーパントの平均含有率が、0.5〜15モル%の範囲内であることを特徴とする球状酸化亜鉛粒子。
2.前記球状酸化亜鉛粒子がコア層及びシェル層からなるコア・シェル構造を有し、当該ドーパントのシェル層における平均含有率がコア層における平均含有率よりも高いことを特徴とする第1項に記載の球状酸化亜鉛粒子。
3.前記球状酸化亜鉛粒子における前記ドーパントの濃度が、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を有することを特徴とする第1項又は第2項に記載の球状酸化亜鉛粒子。
4.前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、11〜13モル%の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子。
5.前記コア層における前記ドーパントの平均含有率が、0〜5モル%の範囲内であることを特徴とする第2項に記載の球状酸化亜鉛粒子。
6.平均粒子径が50〜5000nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子を製造する球状酸化亜鉛粒子の製造方法であって、前記ドーパントの水溶液と亜鉛水溶液と尿素類水溶液とを混合して、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパントの平均含有率よりも高い球状酸化亜鉛粒子の、亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程と前記亜鉛系化合物前駆体粒子を焼成して球状酸化亜鉛粒子を得る工程と、を有することを特徴とする球状酸化亜鉛粒子の製造方法。
8.前記亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程において、ドーパントの水溶液を尿素類水溶液と、亜鉛水溶液又はドーパントの水溶液の少なくともいずれかが混合した液に連続添加し、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を形成することを特徴とする第7項に記載の球状酸化亜鉛粒子の製造方法。
9.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部及び基板を有することを特徴とするとするプラズモンセンサーチップ。
本発明の上記手段により、プラズモン共鳴強度の高い球状酸化亜鉛粒子とその製造方法を提供することができる。また、それを用いた感度が高いプラズモンセンサーチップを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。プラズモン共鳴強度に寄与率の高い粒子表面にドーパント含有率を多く偏在させることで粒子全体のドーパント量は増やさなくてもすみ、ドーパントが均一に分布した球状酸化亜鉛粒子に比べて結晶のひずみを少なくし、かつプラズモン共鳴強度の高い球状酸化亜鉛粒子を実現できるものと考えられる。
本発明の実施形態に係る球状酸化亜鉛粒子の構造の模式図 本発明の実施形態に係る球状酸化亜鉛粒子中のドーパントの濃度を模式的に示すグラフ プラズモンセンサーチップを用いたプラズモンセンサーの一例を示す模式図
本発明の球状酸化亜鉛粒子は、ドーパントを含有する球状酸化亜鉛粒子であって、前記ドーパントがガリウム、ユーロピウム、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ニオブ、イッテルビウム及びインジウムからなる群より選ばれるドーパントであり、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパンのト平均含有率よりも高く、かつ前記表面部の前記ドーパントの平均含有率が、0.5〜15モル%の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本実施形態としては、以下に記載する実施形態に限定されるものではないが、課題解決の効果発現の観点から、前記球状酸化亜鉛粒子がコア層及びシェル層からなるコア・シェル構造を有し、当該ドーパントのシェル層における平均含有率がコア層における平均含有率よりも高いことが好ましい。
また、前記球状酸化亜鉛粒子における前記ドーパントの濃度が、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を有することが、局所的な結晶のひずみを軽減する上で好ましい。
また、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、11〜13モル%の範囲内であることが、プラズモン共鳴の強度を高くする効果が得られることから好ましい。
さらに、実施形態においては、前記コア層における前記ドーパントの平均含有率が、0〜5モル%の範囲内であることが、球状酸化亜鉛粒子におけるドーパントによる結晶のひずみを軽減する観点と、上記ドーパントは高価であることから使用量を減らす観点から好ましい。
本実施形態の球状酸化亜鉛粒子を製造する製造方法としては、前記ドーパントの水溶液と亜鉛水溶液と尿素類水溶液とを混合して、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパントの平均含有率よりも高い球状酸化亜鉛粒子の、亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程を有することが好ましい。さらに前記亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程において、ドーパントの水溶液を尿素類水溶液と、亜鉛水溶液又はドーパントの水溶液の少なくともいずれかが混合した液に連続添加し、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を形成する態様の製造方法であることが好ましい。
さらに、球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部及び基板を有するプラズモンセンサーチップであることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《球状酸化亜鉛粒子》
本発明の実施形態に係る球状酸化亜鉛粒子は、ドーパントを含有する球状酸化亜鉛粒子であって、前記ドーパントがガリウム、ユーロピウム、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ニオブ、イッテルビウム及びインジウムからなる群より選ばれるドーパントであり、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパンのト平均含有率よりも高く、かつ前記表面部の前記ドーパントの平均含有率が、0.5〜15モル%の範囲内であることを特徴とする。この球状酸化亜鉛粒子は、プラズモン共鳴強度が高く、感度の高いプラズモンセンサーチップの実現に有用である。
〈球状酸化亜鉛粒子の構造〉
図1(a)に示すとおり、本発明の実施形態に係る球状酸化亜鉛粒子は、最表面から深さ10nmまでの表面部2の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部3の前記ドーパントの平均含有率よりも高く、かつ前記表面部2の前記ドーパントの平均含有率が、0.5〜15モル%の範囲内である。
球状酸化亜鉛粒子は、図1(b)に示すように、コア層4と該コア層4を被覆するシェル層3とを有するコア・シェル構造の球状酸化亜鉛粒子1を用いることもできる。最表面から深さ10nmまでの表面部2を、シェル層5又はシェル層5の一部(表層部分)とすることができる。また、後述するように、球状酸化亜鉛粒子の内部に濃度勾配を有する層が存在していてもよい。図1(b)には、コア層4に隣接して濃度勾配を有する層が存在する形態を破線で図示してある。
球状酸化亜鉛粒子にはガリウム、ユーロピウム、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ニオブ、イッテルビウム及びインジウムからなる群より選ばれるドーパントがドープされており、当該ドーパントの最表面から深さ10nmまでの表面部2の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部3の前記ドーパントの平均含有率よりも高いことを特徴としている。
また、球状酸化亜鉛粒子がコア・シェル構造を有し、当該ドーパントのシェル層5におけるドーパントの平均含有率をコア層4における平均含有率よりも高くすることができる。
シェル層5におけるドーパントの平均含有率は、0.5〜15モル%であることが好ましい。
最表面から10nmより内部3及びコア層4におけるドーパントの平均含有率は、最表面から深さ10nmまでの表面部2及びシェル層5よりも低ければ特に制限はないが、球状酸化亜鉛粒子におけるドーパントによる結晶のひずみを軽減する観点と、上記ドーパントは高価であることから使用量を減らす観点から、0〜5モル%の範囲内であることが好ましい。表面部2と内部3との間、あるいは、シェル層5とコア層4との間の組成的な親和性を高める観点からは、内部3やコア層4にもドーパントを存在させたり、シェル層5に濃度勾配を有する層6を設けたりするとよい。コア層4とシェル層5、あるいは、内部3と表面部2のドーパントの平均含有率の差は0.5〜15モル%の範囲内であることができる。
また、シェル層5の一部でもあってもよい、球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部2の前記ドーパントの平均含有率は0.5〜15モル%の範囲内である。11〜13モル%の範囲内であることが、プラズモン共鳴の強度を高くする効果が得られることから好ましい。
このような構成とすることでプラズモン共鳴強度の高い球状酸化亜鉛粒子を得ることができる。
(球状酸化亜鉛粒子中のドーパント濃度のプロファイル)
図2は本発明の実施形態に係る球状酸化亜鉛粒子中のドーパントの濃度を模式的に示すグラフである。横軸は球状酸化亜鉛粒子中の粒子中心から最表面までの距離を示しており、縦軸はドーパント濃度を示している。
球状酸化亜鉛粒子中のドーパント濃度(含有率)は、例えば、図2(a)〜2(f)に示すようにコア・シェル構造を有し、コア層4よりシェル層5のドーパント濃度を高くすることができる。
図2(a)及び2(b)で示すように階段状にドーパント濃度が変化したコア・シェルを有する球状酸化亜鉛粒子であってもよいが、図2(c)〜2(f)のように、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配6を有する層を有することが好ましい。濃度勾配6を有する層は図2(e)及び2(f)のように、シェル層であってもよく、また、図2(c)及び2(d)のようにシェル層の一部であってもよい。
さらに、図2(g)及び2(h)で示すように、粒子中心から粒子最表面まで連続的にドーパント濃度を高くする形状であってもよい。濃度勾配は、上に凸又は下に凸の形状であってもドーパント濃度が粒子表面に向かって連続的に増加していればよい。
このような濃度勾配6を有することで、結晶成長時にドーパントをドープすることによる結晶のひずみを抑えることができ好ましい。
コアとシェルの比率は、コアが粒子全体の15〜98体積%の範囲内であることが好ましい。
なお、本明細書において、コア層とは、粒子の中心から表面へ向かう方向においてドーパントの濃度が急に上昇し始めるまでのドーパント濃度が低い領域を指し、例えば、図2(a)〜(f)のような、粒子中心からドーパント含有率が一定の部分をいう。コア層において、ドーパントの濃度が緩やかに上昇していてもよい。また、シェル層は、ドーパント含有率がコア層から高くなった粒子表面側の層をいう。
〈ドーパント〉
球状酸化亜鉛粒子は、ガリウム(Ga)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ニオブ(Nb)、イッテルビウム(Yb)及びインジウム(In)からなる群より選ばれるドーパントを含有する球状酸化亜鉛粒子である。金属を用いたSPRセンサーとは異なり、バンドギャップが大きい半導体である酸化亜鉛にこの上記のようなドーパントをドープすることにより、キャリア数を制御することができ、可視から赤外領域にわたるプラズモン共鳴波長の制御を可能とすることができる。このような制御は、ドープする金属元素の種類及びその含有率などで行うことができる。
上記のドーパントの中では、Ga及びEuが好ましく、Gaがより好ましい。また、目的により適宜数種類の上記ドーパントを含めてもよい。またプラズモン共鳴の発現を損なわない範囲で他の金属原子をドーパントとして含んでいてもよい。
球状酸化亜鉛粒子全体の前記ドーパントの含有率は、0.001〜10.00モル%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.01〜7.00モル%の範囲内である。
ここで、球状酸化亜鉛粒子の組成分布については、球状酸化亜鉛粒子の断面の元素分析を行うことにより、コア・シェル構造の組成を求めることができる。例えば、球状酸化亜鉛粒子について、日立ハイテクノロジーズ製 集束イオンビーム(FB−2000A)により断面加工を行い、粒子中心付近を通る面を切り出す。そして、切断面より、日立ハイテクノロジーズ製 STEM−EDX(HD−2000)を使用して元素分析を行い、球状酸化亜鉛粒子の各ドーパントの組成分布を求めることができる。
なお、球状酸化亜鉛粒子に含有されている全体のドーパントの含有量は、元素分析により求めることができる。例えば、球状酸化亜鉛粒子1gを硝酸水溶液10mLと過酸化水素水1.0mLの混合溶液に溶解させ、エスアイアイナノテクノロジー社製のICP発光分光プラズマ装置(ICP−AES)を使用して元素分析を行う。球状酸化亜鉛粒子の各ドーパントの含有量から組成比(モル%)として求めることができる。
最表面から深さ10nmまでの表面部のドーパントの平均含有率については、X線光電子分光装置(VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200R)を使用して、測定することができる。具体的には、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定できる。エネルギー分解能は、清浄なAg5/2ピークの半値幅で規定した時、1.5〜1.7eVとなるように設定した。測定としては、先ず、結合エネルギー0〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求め、次に、検出された、全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンを行い、各元素のスペクトルを測定する。得られたスペクトルは、測定装置、又は、コンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理を行い、各分析ターゲットの元素の平均含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めることができる。
定量処理を行う前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションを行い、5ポイントのスムージング処理を行う。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いる。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いる。又、Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
〈球状酸化亜鉛粒子の形状〉
本実施形態の球状酸化亜鉛粒子は、平均粒子径が、50〜5000nmの範囲内であり、粒子径分布の変動係数が1.0〜10%の範囲内であることが好ましい。このような範囲とすることで、プラズモン共鳴周波数における吸収強度を高めることができる。
球状とは、球状酸化亜鉛粒子の走査型顕微鏡写真(SEM像)に基づいて規定する。具体的には、球状酸化亜鉛粒子について、走査型顕微鏡写真の撮影を行い、球状酸化亜鉛粒子100個を無作為に選択する。選択された各粒子の長径をa、短径をbとしたとき、a/bの値の平均値をアスペクト比として求める。なお、各粒子について外接する長方形(「外接長方形」という。)を描いたとき、外接長方形の短辺及び長辺うち、最短の短辺の長さを短径とし、最長の長辺の長さを長径とする。
アスペクト比が、1.00〜1.15の範囲内、より好ましくは1.00〜1.05の範囲内である場合に球状として分類する。1.00〜1.15の範囲外である場合は不定形として分類する。アスペクト比が1に近づくほど、球形度が高いことを表している。
球状酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、50〜5000nmの範囲内であることが好ましい。50以上の場合粒子、合成中に凝集が起こることがなく好ましい。5000nm以下であるとプラズモン共鳴の効率がよいため好ましい。好ましくは50〜3000nmの範囲内であり、より好ましくは80〜2500nmの範囲内である。
平均粒子径は、ランダムに選択した100個の球状酸化亜鉛粒子の写真画像の面積に基づき、面積円相当粒子径を求め、これを平均粒子径とすることができる。
また、球状酸化亜鉛粒子の粒子径分布の変動係数は、1.0〜10%の範囲内であることが好ましい。粒子径分布の変動係数が10%以下の場合効率よくプラズモン共鳴ができるため好ましい。1〜8%が好ましく、より好ましくは1〜7%の範囲内である。
粒子径分布の変動係数は、所定の個数の球状酸化亜鉛粒子の走査型顕微鏡写真(SEM像)から求めることができる粒子径分布の変動係数により規定することができる。
例えば、球状酸化亜鉛粒子100個のSEM像から粒子径分布の変動係数(「単分散度」ともいう。)を求め、単分散性を評価することができる。なお、粒子径分布の変動係数は下記の式で求める。
変動係数(%)=(粒子径分布の標準偏差/平均粒子径)×100
なお、上記粒子径、分布等の測定は、画像処理測定装置(例えば、ルーゼックス AP;株式会社ニレコ製)を用いて行うことができる。
《球状酸化亜鉛粒子の製造方法》
本実施形態の球状酸化亜鉛粒子の製造方法は、亜鉛水溶液と前記ドーパントの水溶液と尿素類水溶液とを混合して亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程と、当該亜鉛系化合物前駆体粒子を焼成する工程(焼成工程ともいう。)とを有しており、望ましくは、以下に説明するように、「原料液調製工程」、「亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程」、「固液分離工程」及び「亜鉛系化合物前駆体粒子を焼成する工程」の四つの工程からなる。「亜鉛系化合物前駆体粒子を焼成する工程」にはさらに「コア層形成工程」と「シェル層形成工程」を含むことが好ましい。
1.原料液調製工程
原料液調製工程は、原料である亜鉛水溶液とドーパントの水溶液と尿素類水溶液とを調製する工程である。
〈尿素類水溶液調製工程〉
尿素類水溶液調製工程は、所定の濃度の尿素類水溶液を調製する工程である。
尿素類としては、尿素の他に、尿素の塩(例えば、硝酸塩、塩酸塩等)、N,N′−ジメチルアセチル尿素、N,N′−ジベンゾイル尿素、ベンゼンスルホニル尿素、p−トルエンスルホニル尿素、トリメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラメチル尿素、トリフェニル尿素、テトラフェニル尿素、N−ベンゾイル尿素、メチルイソ尿素、エチルイソ尿素、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等を挙げることができる。
尿素類は沈殿剤として働き、酸化亜鉛水溶液とドーパントの水溶液をとともに水に混ぜて加熱した際に塩基性炭酸塩として亜鉛系化合物前駆体粒子を生成すると考えられる。上記の尿素類の中では尿素が、徐々に加水分解することでゆっくり沈殿が生成し、均一な沈殿が得られる点で好ましい。
尿素類水溶液は、尿素類を含有する水溶液である。上記尿素類と水とを混合して調製すればよい。必要に応じpH調整剤等の添加剤を入れることもできる。
尿素類水溶液の濃度に特に制限はないが、0.01〜10.00mol/Lの範囲内であることが望ましい。好ましくは、0.10〜5.00mol/Lの範囲内である。
〈ドーパントの水溶液調製工程〉
ドーパントの水溶液調製工程は、ガリウム(Ga)、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ニオブ(Nb)、イッテルビウム(Yb)及びインジウム(In)からなる群より選ばれるドーパントを含有する水溶液である、ドーパントの水溶液を調製する工程である。
これらのドーパントの水溶液を調製するために用いることができるこれらの元素の塩として、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等を用いることができるが、硝酸塩を使用することが好ましい。これにより、不純物の少ない球状酸化亜鉛粒子を製造することができる。
ドーパントの水溶液の水溶液中でのイオン濃度は、特に制限はないが、0.00001〜5.00mol/Lの範囲内であることが好ましい。0.0001〜3.00mol/Lの範囲内であることがより好ましい。
ドーパントの水溶液は、上記ドーパントを1種含有していてもよいし、複数含有していてもよい。
〈亜鉛水溶液調製工程〉
亜鉛水溶液調製工程は、亜鉛元素を含有する水溶液を調製する工程である。亜鉛元素を含有する水溶液を調製するために用いることができる亜鉛の塩として、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等を用いることができるが、硝酸塩を使用することが好ましい。これにより、不純物の少ない球状酸化亜鉛粒子を製造することができる。
亜鉛水溶液の水溶液中でのイオン濃度は、特に制限はないが、0.0001〜10.00mol/Lの範囲内であることが好ましい。0.001〜5.00mol/Lの範囲内であることがより好ましい。
2.亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程
亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程では、前記ドーパントの水溶液と亜鉛水溶液と尿素類水溶液とを混合して、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパントの平均含有率よりも高い球状酸化亜鉛粒子の、亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する。本実施形態の球状酸化亜鉛粒子の製造方法は(i)コア層形成工程と(ii)シェル層形成工程を有することが好ましい。
(i)コア層形成工程
コア層形成工程はでは、まず、亜鉛水溶液と、必要に応じガリウム、ユーロピウム、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ニオブ、イッテルビウム及びインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種類のドーパントの水溶液に尿素類水溶液を添加して、塩基性炭酸塩を分散させた分散溶液を調製する。
なお、以下では、尿素を用いて塩基性炭酸塩を形成させる場合について示すが、一例であって、これに限定されるものではない。また、球状酸化亜鉛粒子は塩基性炭酸塩を経て作製されるが、粒子中に塩基性炭酸塩が残っていても良い。
上記元素の水溶液中でのイオン濃度は0.001〜0.1mol/Lの範囲内で、尿素濃度は前述のイオン濃度の5〜50倍の範囲内であることが好ましい。これは、上記元素の水溶液中でのイオン濃度及び尿素の濃度が当該範囲内であれば、結果として、単分散性を示す球形状の球状酸化亜鉛粒子を合成することができるためである。
混合された反応液を80℃以上で加熱撹拌し、反応溶液中に分散された塩基性炭酸塩を成長させ、コア層を形成する。なお、反応液とは、尿素類水溶液と、亜鉛水溶液又はドーパントの水溶液の少なくともいずれかが混合した液をいう。
加熱撹拌の際には、十分な撹拌効率を得られれば、特に撹拌機は限定されないが、より高い撹拌効率を得るためには、ローター・ステータータイプの撹拌機を使用することが好ましい。
(ii)シェル層形成工程
シェル層の形成においては、液相において、コア層を形成後、シェル層形成工程において、前記ドーパントの水溶液を用いてコア層より前記ドーパントの平均含有率が高いシェル層を形成することが好ましい。このとき、コア層を形成後、一旦、後述する固液分離工程を経て形成した塩基性炭酸塩の粒子を、尿素類水溶液、亜鉛水溶液及びドーパントの水溶液を加えた反応液中で、図2(a)や図2(b)に示すような階段状にドーパント濃度が変化した球状酸化亜鉛粒子を形成することができる。
この場合はコア層の形成と同様な方法でシェル層を形成することができるが、ドーパントの反応液中の濃度はコア層を形成する場合よりも高くする必要がある。濃度は所望のコア・シェル粒子のドーパントの平均含有率に応じて適宜調整することができる。
好ましくは、前記コア層を形成後、連続するシェル層形成工程において、ドーパントの水溶液を尿素類水溶液と、亜鉛水溶液又はドーパントの水溶液の少なくともいずれかが混合した液に連続添加し、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を形成する態様である。
具体的には、コア層を形成後、シェル層を液相中で連続して形成し、反応液中におけるドーパント濃度をコア層よりも高く設定してシェル層を形成することで可能である。
また、コア層とシェル層を連続して形成するとき、コア層形成時に、亜鉛水溶液が塩基性炭酸塩に十分変化する前に、より濃度の高いドーパントの水溶液を添加することにより、図2(e)や2(f)のようななだらかな濃度勾配を持ったシェルを有するコア・シェル構造の球状酸化亜鉛粒子とすることができる。
また、連続して濃度が高くなるように調製したドーパントの水溶液を用いて反応液に添加することで濃度勾配を有する層を形成してもよい。
さらに、コア層を形成せずに球状酸化亜鉛粒子作製開始時より、ドーパントの水溶液を尿素類水溶液と、亜鉛水溶液又はドーパントの水溶液の少なくともいずれかが混合した液に連続添加し、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を形成することにより、図2(g)や図2(h)に示すような連続的にドーパント濃度が増加した球状酸化亜鉛粒子を形成することもできる。
ドーパントの塩を含む水溶液は1Lあたり0.003〜3.0mmol/minの範囲内の添加速度で、80℃以上で加熱撹拌しながら添加されることが好ましい。これは、添加速度が、当該範囲を外れると、形成される球状酸化亜鉛粒子が単分散性を示す球形状粒子とすることが難しくなるためである。加熱温度については、80℃以下で加熱撹拌されると、コア層形成工程において添加された尿素の分解が進まなくなり、粒子形成が阻害されるためである。
3.固液分離工程
加熱・撹拌した後、生成した沈殿(球状酸化亜鉛粒子微粒子の前駆体)を溶液と分離する固液分離を行う。固液分離の方法は、一般的な方法でよく、例えば、フィルター等を使用して濾過により球状酸化亜鉛粒子の前駆体を得ることができる。
4.焼成する工程
焼成する工程(焼成工程ともいう。)は、固液分離工程により得られた球状酸化亜鉛粒子の前駆体を空気中又は酸化性雰囲気中で、200℃以上で焼成する。焼成された球状酸化亜鉛粒子の前駆体は、酸化物となり、ドーパントを含有する球状酸化亜鉛粒子となる。好ましくは、焼成温度は300〜600℃の範囲内である。
なお、必要に応じて焼成する前に水又はアルコール等で洗浄、乾燥を行ってから焼成してもよい。
焼成工程を経て冷却することにより、球状酸化亜鉛粒子を安定させた後、球状酸化亜鉛粒子を回収することができる。
このような製造方法を用いて球状酸化亜鉛粒子を製造することで、異方成長した球状酸化亜鉛粒子をほとんど含まない、球形度の高い球状酸化亜鉛粒子を得ることができる。
《プラズモンセンサーチップ》
本実施形態のプラズモンセンサーチップは、上述した球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部及び基板を有する。球状酸化亜鉛粒子は、プラズモンセンサーにおいて、プラズモン共鳴を生じるチップとして用いられる。
図3はプラズモンセンサーチップを用いたプラズモンセンサーの一例である。このプラズモンセンサー11は、基板12とその上に球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部13からなるプラズモンセンサーチップ14を備え、基板12の球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部13とは反対側の面に光学プリズム15を密着させた構造を有している。球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部13の上には被検物19が取付け部18により固定されている。
光源16から照射される近赤外光を、偏光板17を介して偏光し、光学プリズム15を通して透明基板12に照射する。入射光は、全反射となる条件の入射角θで入射する。入射光の球状酸化亜鉛粒子の表面側に染み出すエバネセント波によって、ある波長で局在プラズモン共鳴が発現する。これを波長の異なる赤外光で行う。表面プラズモン共鳴が起こると、エバネセント波は表面プラズモンによって吸収されるので、反射強度が著しく減少する。この共鳴周波数から被検物の分子中の官能基を定量することができる。反射角θで反射した反射光の光量は受光部20で測定される。
本実施形態のプラズモンセンサーにおいては、コア・シェル構造を有する球形度の高い球状酸化亜鉛粒子を含有する層を検出部として用いることにより、感度が高い表面プラズモン共鳴を起こすことができるものと考えられる。
〈基材〉
プラズモンセンサーチップに用いられる基材は、可視光から赤外領域に透明で高屈折率であることが好ましい。基材の屈折率は、1.3〜4.0の範囲内であることが好ましい。より好ましくは1.4〜3.0である。例えば、ガラス、樹脂が好ましく用いられる。
樹脂基材としては、従来公知の種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、セルロースジアセテートフィルム、セルローストリアセテートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリカーボネート系フィルム、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、及びセルロースエステル系フィルム、アクリルフィルムが好ましい。特にポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム又はアクリルフィルムを用いることが好ましい。また樹脂フィルムは、溶融流延製膜で製造されたフィルムであっても、溶液流延製膜で製造されたフィルムであってもよい。
基材の厚さは、例えば、0.001〜10mmの範囲内であることが好ましい。
〈球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部の形成〉
球状酸化亜鉛粒子を含有する層を検出部として基材上に形成することができる。球状酸化亜鉛粒子を含有する層の形成方法は種々な方法をとりうる。例えば、スプレーコーティング、インクジェットコーティング、ディスペンサーコーティング、スリットコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、ディップコーティングなどを用いることができる。
球状酸化亜鉛粒子を含有した層の層厚は、プラズモン共鳴の高効率化の理由から厚さは50nm〜50μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは50nm〜10μmの範囲内である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
〔実施例1〕
《球状酸化亜鉛粒子1の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.00mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて9Lとした。
(3) 上記(2)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(4) 上記(3)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子をメンブランフィルターで分離した。
(5) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(6) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mL用意した。
(7) 0.006mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(6)と純水を加えて9Lとした。
(8) 上記(7)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、上記(5)で調製した尿素と上記(4)で得られた粒子を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(9) 上記(8)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(10) 上記(9)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(a)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子1を得た。
《球状酸化亜鉛粒子2の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.00mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて9Lとした。
(3) 上記(2)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(4) 上記(3)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子をメンブランフィルターで分離した。
(5) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(6) 1.13mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mL用意した。
(7) 0.14mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(6)と純水を加えて9Lとした。
(8) 上記(7)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、上記(5)で調製した尿素と上記(4)で得られた粒子を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(9) 上記(8)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(10) 上記(9)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(a)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子2を得た。
《球状酸化亜鉛粒子3の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.00mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて9Lとした。
(3) 上記(2)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(4) 上記(3)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子をメンブランフィルターで分離した。
(5) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(6) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mL用意した。
(7) 0.17mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(6)と純水を加えて9Lとした。
(8) 上記(7)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、上記(5)で調製した尿素と上記(4)で得られた粒子を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(9) 上記(8)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(10) 上記(9)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(a)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子3を得た。
《球状酸化亜鉛粒子4の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.00mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて9Lとした。
(3) 上記(2)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(4) 上記(3)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子をメンブランフィルターで分離した。
(5) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(6) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mL用意した。
(7) 0.20mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(6)と純水を加えて9Lとした。
(8) 上記(7)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、(5)で調製した尿素と上記(4)で得られた粒子を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(9) 上記(8)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(10) 上記(9)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(a)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子4を得た。
《球状酸化亜鉛粒子5の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.00mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて9Lとした。
(3) 0.05mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(2)と純水を加えて9Lとした。
(4) 上記(3)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(5) 上記(3)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子をメンブランフィルターで分離した。
(6) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(7) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mL用意した。
(8) 0.17mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(7)と純水を加えて9Lとした。
(9) 上記(8)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、上記(6)で調製した尿素と上記(4)で得られた粒子を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(10) 上記(9)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(11) 上記(10)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(b)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子5を得た。
《球状酸化亜鉛粒子6の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.00L用意した。
(2) 0.012mol/Lの硝酸ガリウム水溶液を500mL用意した。
(3) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに上記(2)と純水を加えて9Lとした。
(4) 上記(3)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(5) 上記(4)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子をメンブランフィルターで分離した。
(6) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(7) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mL用意した。
(8) 0.17mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(7)と純水を加えて9Lとした。
(9) 上記(8)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、上記(6)で調製した尿素と上記(5)で得られた粒子を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(10) 上記(9)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(11) 上記(10)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(b)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子6を得た。
《球状酸化亜鉛粒子7の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて8Lとした。
(3) 上記(2)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃まで加熱した。
(4) 上記(3)の分散溶液に、0.32mol/Lの硝酸亜鉛水溶液と0.25mol/Lの尿素水溶液をそれぞれ10mL/minの添加速度で、90℃で加熱撹拌しながら添加した。
(5) 60分添加した後、0.05mol/Lの硝酸ガリウム水溶液と0.25mol/Lの尿素水溶液をそれぞれ10mL/minの添加速度で、90℃で加熱撹拌しながら60分添加した。
(6) 上記(5)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(7) 上記(6)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(e)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子7を得た。
《球状酸化亜鉛粒子8〜16の作製》
球状酸化亜鉛粒子2の作製において、Gaを表1に記載のドーパントに変え、同濃度のドーパントの硝酸水溶液を用いてそれぞれ作製した。
《球状酸化亜鉛粒子17の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.14mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて8Lとした。
(3) 上記(2)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃まで加熱した。
(4) 上記(3)の分散溶液に、0.15mol/Lの硝酸ガリウム水溶液と0.25mol/Lの尿素水溶液をそれぞれ10mL/minの添加速度で、90℃で加熱撹拌しながら120分添加した。
(5) 上記(4)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(6) 上記(5)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して、図2(g)に示すタイプのプロファイルを持つ球状酸化亜鉛粒子17を得た。
《球状酸化亜鉛粒子18の作製》
(1) 2.10mol/Lの尿素水溶液を1.00L用意した。
(2) 0.15mol/Lの硝酸ガリウム水溶液を500mL用意した。
(3) 1.0mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて8.5Lとした。
(4) 上記(3)で調製した硝酸亜鉛水溶液を90℃まで加熱した。
(5) 上記(4)で加熱した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で用意した尿素水溶液と(2)で用意した硝酸ガリウム水溶液を添加し、1時間加熱・撹拌した。
(6) 上記(5)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(7) 上記(6)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して球状酸化亜鉛粒子18を得た。
《球状酸化亜鉛粒子19の作製》
(1) 2.10mol/Lの尿素水溶液を1.00L用意した。
(2) 0.0045mol/Lの硝酸ガリウム水溶液を500mL用意した。
(3) 0.90mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて8.5Lとした。
(4) 上記(3)で調製した硝酸亜鉛水溶液を90℃まで加熱した。
(5) 上記(4)で加熱した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で用意した尿素水溶液と(2)
で用意した硝酸ガリウム水溶液を添加し、1時間加熱・撹拌した。
(6) 上記(5)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(7) 上記(6)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して球状酸化亜鉛粒子19を得た。
《球状酸化亜鉛粒子20の作製》
(1) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(2) 1.00mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mLに純水を加えて9Lとした。
(3) 上記(2)で調製した硝酸亜鉛水溶液に、上記(1)で調製した尿素を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(4) 上記(3)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子をメンブランフィルターで分離した。
(5) 2.52mol/Lの尿素水溶液を1.0L用意した。
(6) 1.12mol/Lの硝酸亜鉛水溶液500mL用意した。
(7) 0.23mol/Lの硝酸ガリウム水溶液500mLに上記(6)と純水を加えて9Lとした。
(8) 上記(7)で調製した硝酸ガリウム水溶液に、上記(5)で調製した尿素と上記(4)で得られた粒子を添加し、90℃60分で加熱撹拌した。
(9) 上記(8)で加熱・撹拌した混合液中に析出した粒子の前駆体をメンブランフィルターで分離した。
(10) 上記(9)で分離した粒子の前駆体を400℃で焼成して球状酸化亜鉛粒子20を得た。
《球状酸化亜鉛粒子の評価》
球状酸化亜鉛粒子の評価として、ドーパントの平均含有率、平均粒子径、粒子径変動係数(CV値)アスペクト比及びプラズモン強度評価を行った。
〈平均粒子径、粒子径変動係数(CV値)〉
粒子100個の走査型顕微鏡写真(SEM像)から平均粒子径及び粒子径分布の変動係数を求めた。100個の粒子について、撮影した粒子画像と等しい面積を有する円の直径を測長し、粒子の平均粒子径を求めた。粒子径分布変動係数は下記の式で求めた。
変動係数(%)=(粒子径分布の標準偏差/平均粒子径)×100
〈プラズモン強度評価〉
プラズモン強度評価は、赤外線センサーを作製し、プラズモン強度とプラズモン強度の入射光角度依存性を評価した。
作製した球状酸化亜鉛粒子5gを100mLの水に分散させ、ガラス基板上に滴下して乾燥後の厚さが1μmとなるようにして球状酸化亜鉛粒子を含有する層を検出部として作製した。これをプラズモンセンサーチップとした。
〈球状酸化亜鉛粒子のドーパントの平均含有率〉
各球状酸化亜鉛粒子をランダムに5個採取して、日立ハイテクノロジーズ製 集束イオンビーム(FB−2000A)により断面加工を行い、粒子中心付近を通る面を切り出した。切断面より、日立ハイテクノロジーズ製 STEM−EDX(HD−2000)を使用して元素分析を行い、5個の平均値からコア・シェル構造を有する球状酸化亜鉛粒子のコアとシェルのドーパント含有率を測定した。
球状酸化亜鉛粒子全体のドーパント含有率については、各球状酸化亜鉛粒子について、球状酸化亜鉛粒子1gを硝酸にて可溶化した後、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP−OES)で亜鉛、ガリウムの定量を行った。
測定はマトリクスマッチングした検量線法で行い、内部標準としてY(イットリウム)を使用した。
球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部のドーパントの平均含有率については、ランダムに採取した5個の各球状酸化亜鉛粒子について、XPS表面分析装置(VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200R)を使用して、亜鉛、酸素、ガリウムの含有率の値を各々原子数濃度(atomic concentration:at%)として求め、その平均値を表面部のドーパントの平均含有率とした。
球状酸化亜鉛粒子の最表面から10nmより内部のドーパントの平均含有率については、球状酸化亜鉛粒子全体のドーパント含有率と球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部のドーパントの平均含有率とから計算で求めた。
〈アスペクト比〉
各球状酸化亜鉛粒子について、走査型顕微鏡写真の撮影を行い、球状酸化亜鉛粒子100個を無作為に選択し、選択された各粒子の長径をa、短径をbとしたとき、a/bの値の平均値をアスペクト比として求めた。なお、各粒子について外接する長方形(「外接長方形」という。)を描いたとき、外接長方形の短辺及び長辺うち、最短の短辺の長さを短径とし、最長の長辺の長さを長径とした。
〈プラズモン共鳴強度評価〉
FT−IR装置(日本分光社製 FTIR−6000)を用いて水のプラズモン共鳴スペクトルを測定し、水分子のOH基の吸収である波長1500nmの吸収値を求めた。表の数値は1.00が最大で、大きい値であることがプラズモン共鳴強度が高いことを示している。
以上の結果を表1に示す。なお最表面から深さ10nmまでの表面部は「表面部」、最表面から10nmより内部は「内部」と略記した。
Figure 0006447366
表1より、球状酸化亜鉛粒子1〜17は、球状酸化亜鉛粒子18〜20に対してプラズモンセンサーチップに用いたとき、プラズモン共鳴強度が高いことがわかる。また、ドーパント濃度が、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を有する球状酸化亜鉛粒子番号7及び17をプラズモンセンサーチップに用いたとき、プラズモン共鳴強度が高いことがわかる。
1 球状酸化亜鉛粒子
2 最表面から深さ10nmまでの表面部
3 最表面から10nmより内部
4 コア層
5 シェル層
6 濃度勾配を有する層
11 プラズモンセンサー
12 基板
13 球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部
14 プラズモンセンサーチップ
15 光学プリズム
16 光源
17 偏光板
18 取付け部
19 被検物
20 受光部
θ 入射角
θ 反射角

Claims (9)

  1. ドーパントを含有する球状酸化亜鉛粒子であって、前記ドーパントがガリウム、ユーロピウム、セリウム、プラセオジム、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ニオブ、イッテルビウム及びインジウムからなる群より選ばれるドーパントであり、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパントの平均含有率よりも高く、かつ前記表面部の前記ドーパントの平均含有率が、0.5〜15モル%の範囲内であることを特徴とする球状酸化亜鉛粒子。
  2. 前記球状酸化亜鉛粒子がコア層及びシェル層からなるコア・シェル構造を有し、当該ドーパントのシェル層における平均含有率がコア層における平均含有率よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の球状酸化亜鉛粒子。
  3. 前記球状酸化亜鉛粒子における前記ドーパントの濃度が、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の球状酸化亜鉛粒子。
  4. 前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、11〜13モル%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子。
  5. 前記コア層における前記ドーパントの平均含有率が、0〜5モル%の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の球状酸化亜鉛粒子。
  6. 平均粒子径が50〜5000nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子を製造する球状酸化亜鉛粒子の製造方法であって、
    前記ドーパントの水溶液と亜鉛水溶液と尿素類水溶液とを混合して、前記球状酸化亜鉛粒子の最表面から深さ10nmまでの表面部の前記ドーパントの平均含有率が、前記最表面から10nmより内部の前記ドーパントの平均含有率よりも高い球状酸化亜鉛粒子の、亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程と
    前記亜鉛系化合物前駆体粒子を焼成して球状酸化亜鉛粒子を得る工程と、を有することを特徴とする球状酸化亜鉛粒子の製造方法。
  8. 前記亜鉛系化合物前駆体粒子を形成する工程において、ドーパントの水溶液を尿素類水溶液と、亜鉛水溶液又はドーパントの水溶液の少なくともいずれかが混合した液に連続添加し、球状酸化亜鉛粒子の中心から表面に向かって高くなる濃度勾配を有する層を形成することを特徴とする請求項7に記載の球状酸化亜鉛粒子の製造方法。
  9. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の球状酸化亜鉛粒子を含有する検出部及び基板を有することを特徴とするとするプラズモンセンサーチップ。
JP2015110176A 2015-05-29 2015-05-29 球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ Active JP6447366B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015110176A JP6447366B2 (ja) 2015-05-29 2015-05-29 球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015110176A JP6447366B2 (ja) 2015-05-29 2015-05-29 球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016222805A JP2016222805A (ja) 2016-12-28
JP6447366B2 true JP6447366B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=57745365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015110176A Active JP6447366B2 (ja) 2015-05-29 2015-05-29 球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6447366B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11497695B2 (en) * 2015-08-28 2022-11-15 Sumitomo Osaka Cement Co., Ltd. Zinc oxide powder, dispersion, composition, and cosmetic

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2665156B1 (fr) * 1990-07-24 1992-10-16 Centre Nat Rech Scient Procede de fabrication d'une poudre d'oxyde de zinc dope, et poudre obtenue.
WO2005072680A2 (en) * 2004-01-28 2005-08-11 Oxonica, Ltd Surface-doped particles of ti02 or zno and their use
JP5045979B2 (ja) * 2005-03-22 2012-10-10 東芝ライテック株式会社 紫外線カットフィルタ、管球および照明器具
CN102320648A (zh) * 2011-08-15 2012-01-18 天津理工大学 一种镧离子掺杂氧化锌多孔空心球的制备方法及应用
JP2016013953A (ja) * 2014-07-03 2016-01-28 メルテックス株式会社 導電性無機酸化物粒子の製造方法及びその製造方法によって得られた導電性無機酸化物粒子で構成された導電性無機酸化物粉

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016222805A (ja) 2016-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Guidelli et al. Enhanced UV emission from silver/ZnO and gold/ZnO core-shell nanoparticles: photoluminescence, radioluminescence, and optically stimulated luminescence
Shaban et al. Nanostructured ZnO thin films for self-cleaning applications
WO2016143629A1 (ja) 球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ
TWI542679B (zh) Cerium oxide abrasive material, cerium oxide grinding material manufacturing method and grinding processing method
US7713328B2 (en) Metallic colloid particles and process for producing same
CN106493381B (zh) 一种银/氧化亚铜微纳结构复合材料的制备方法及其应用
CN101450380A (zh) 一种树枝状金核/铂壳结构的双金属纳米棒及制备方法
Perumal et al. Thickness dependent nanostructural, Morphological, Optical and impedometric analyses of zinc oxide-Gold hybrids: Nanoparticle to thin film
Gao et al. Effects of oxygen vacancy and sintering temperature on the photoluminescence properties and photocatalytic activity of CeO2 nanoparticles with high uniformity
TW201250229A (en) Metal microparticle dispersed composite and method for producing the same, and localized surface plasmon resonance generating substrate
Shafi et al. Highly sensitive and recyclable surface-enhanced Raman scattering (SERS) substrates based on photocatalytic activity of ZnSe nanowires
Dong et al. Polymer-single-crystal@ nanoparticle nanosandwich for surface enhanced Raman spectroscopy
Singh et al. Unique temporal and spatial biomolecular emission profile on individual zinc oxide nanorods
JP2011252213A (ja) 銀平板粒子及びその製造方法、該銀平板粒子を含有する銀平板粒子含有組成物、並びに、該銀平板粒子含有組成物によるフィルム
Wang et al. Modified polyacrylamide gel synthesis of CeO 2 nanoparticles by using cerium sulfate as metal source and its optical and photoluminescence properties
JP6447366B2 (ja) 球状酸化亜鉛粒子、その製造方法及びそれを用いたプラズモンセンサーチップ
Habibi et al. Thermal and structural studies of zinc zirconate nanoscale composite derived from sol–gel process: the effects of heat-treatment on properties
Xu et al. Characterization of hausmannite Mn3O4 thin films by chemical bath deposition
Trang et al. Hotspot-type silver-polymers grafted nanocellulose paper with analyte enrichment as flexible plasmonic sensors for highly sensitive SERS sensing
Javed et al. Surface plasmon mediated optical properties of ZnO/Au/TiO2 nanoheterostructure rod arrays
Tazerout et al. Effects of sol concentration on structural, morphological and optical waveguiding properties of sol-gel ZnO nanostructured thin films
Xie et al. Core-shell structure in doped inorganic nanoparticles: approaches for optimizing luminescence properties
CN108279450A (zh) 一种光耦合材料及其制备方法和应用
JP6409679B2 (ja) プラズモンセンサーチップ及び球状酸化亜鉛粒子の製造方法
Havlová et al. Effect of pulsed laser annealing on optical and structural properties of ZnO: Eu thin film

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170921

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180605

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180802

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6447366

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150