JP6445969B2 - プレセプシン測定による発熱性好中球減少症の診断 - Google Patents

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Description

本発明は、sCD14−ST(別名:プレセプシン(登録商標))を用いる、発熱性好中球減少症の検出方法、抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法に関する。
がん患者は、抗がん剤投与および/または放射線治療によるがん治療や骨髄移植の移植前処理を受けることで骨髄にダメージを受け、白血球が減少する等の影響を受ける。特に血液中の好中球が減少すると発熱する危険性が高く、例えば、抗がん薬治療後の好中球減少時に、結腸・直腸がんでは5.8〜14.6%、肺がんでは3.7〜28%、乳がんでは2〜34%、悪性リンパ腫では18〜48%の頻度で発熱が起こるという報告がある(発熱性好中球減少症(FN)診療ガイドライン:日本臨床腫瘍学会編集、南江堂発行、2012年(以下、非特許文献1ということがある)。また、好中球減少時に発熱すると、時として重症化して死に至ることもあるため、できる限り早期に病態を把握し、適切な治療を開始する必要があるとされている。
好中球減少時の発熱症状に対して、発熱性好中球減少症(febrile neutropenia:以下、FNということがある)の病名が提唱され、日本でも1998年にFNガイドラインが作成された。発熱性好中球減少症は、好中球数が500/μL(500個/mm)未満、または1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される状態で、かつ腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合と定義されている。FNの発熱の原因には、細菌や真菌による発熱、薬剤熱、腫瘍熱等があり、事後的にも原因が特定されない発熱(不明熱)もある。FNの原因特定に当たり、血液培養による原因微生物の特定が行われるが、判定には24〜48時間要するだけでなく、その検出率は10%以下と報告されている(田村和夫、感染症学雑誌、80(4):358−365 2006年)。
また、既存のマーカーであるCRPやPCTもFNの検出用マーカーとしての使用可能性が検討されているが、感受性および特異性の観点から満足できるレベルには達していない。非特許文献1には、「FNにおける血清C反応性蛋白(C−reactive protein:CRP)、プロカルシトニン(precalsitonin:PCT)の測定は、細菌感染症や真菌感染症を評価する副次的な指標として有用である。」と記載されているが、「FN初期には基準値内にとどまることもあるので、CRP、PCTが陰性でも抗菌薬治療が不要とする根拠とはしない。」と記載されている。
従って、FNはできる限り早期に病態を把握し、適切な治療を開始する必要があるにもかかわらず、発症時に疾患を検出する適切なバイオマーカーがなく、発症後の原因特定ができない場合が多いという課題がある。
そのためFNでは、原因が特定できていなくても経験的治療(エンピリック治療)として、抗生剤の投与が行われている。FN発症時の原因の特定が困難なだけでなく、発症後も原因特定の難しさや致死的になり得るという危険性から、抗生剤の投与終期を決めることが困難であり、本来不要な期間まで継続されることが多いため、耐性菌の発生や医療経済面からも課題があると考えられている。
また、別の問題として、高齢者やステロイド投与患者では、発熱が抑えられていることが多く、抗生剤の投与等の適切な処置が取れず急速に重症化するという問題がある。
したがって、好中球減少症の発熱前、または発熱と同時に発熱性好中球減少症を検知できる検出方法が望まれている。また、がん治療は、副作用により治療を中断することもあり、がん治療の十分な効果を得るためには、副作用の適切な把握と対処が必要であり、FNの検知によりがん治療の適切な継続が期待される。
抗がん剤投与および/または放射線照射を受けた患者は、口内炎や消化管の粘膜障害をきたし皮膚や粘膜のバリアが破綻する結果、菌の侵入を許し、菌血症を起こす危険性が高くなる。腫瘍による気道、消化管、胆管、尿路の閉塞も感染症の発症リスクとなる。また、好中球減少の持続期間が長くなるほどFNを起こす頻度が高くなる。
細菌感染を伴う全身炎症性症候群である敗血症の診断マーカーとして、sCD14−ST(可溶性CD14抗原サブタイプ、別名:プレセプシン)が有用であることが報告されている(国際公開第2005/108429号)。また、sCD14−STは、食細胞が外来微生物や異物を貪食し消化する過程で産生されること、関節炎のような局所における自己免疫反応や感染に伴う貪食が生じている疾患において、関節液中のsCD14−ST濃度が上昇することを検出可能であることが報告されている(国際公開第2009/142303号)。しかし、sCD14−STは、白血球が外来微生物や異物を貪食し消化する過程で産生されるため、好中球が減少している状態で高値を示すことは考えられたことはなかった。
むしろ、sCD14−STは、免疫応答細胞(白血球)から産生されるため、化学療法で白血球が減少している患者では菌感染があっても高値を示さないと考えられていた(Urbonasら、Cytokine 62(1):34−37 2013年)。
本発明の課題は、がん患者における発熱性好中球減少症を高感度に検出する方法を提供することにある。また、本発明の課題は、抗がん剤投与および/または放射線照射により、好中球減少が生じている患者における発熱性好中球減少症を高感度に検出する方法を提供することにある。また、抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者を適切なタイミングで選択できる方法を提供することを課題とする。更に、本発明は発熱性好中球減少症患者における抗生剤の適正使用という課題を解決することにある。
具体的には、抗生剤投与中止タイミング決定方法、投与している抗生剤の種類および/または投与経路の変更タイミングの決定方法、抗生剤投与に加えてまたは代わって抗真菌剤および/またはG−CSFを投与するタイミングの決定方法、および発熱前のFN患者の検出または予測方法を提供することを課題とする。
本発明者は、FN発症時とFN発症から72時間以内における血液検体中のsCD14−ST濃度の値は、持続的に高値を示すこと、特にFN発症(発熱)時にsCD14−ST濃度が上昇するとの知見に基づき、がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定して発熱性好中球減少症を高感度に検出する方法を発明した。
より詳細には、本発明は以下に記載するとおりである。
本発明は以下に記載する検出方法、選択方法、決定方法または治療方法を提供する。
(1−1)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標に用いる、がん患者における発熱性好中球減少症の検出方法。
(1−2)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する、がん患者における発熱性好中球減少症の検出方法。
(1−3)以下の工程を含む、がん患者における発熱性好中球減少症の検出方法:
1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、
2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、
3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、
4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および
5)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程。
(1−4)さらに以下の工程を含む、上記(1−3)または(1−4)に記載の検出方法:
6)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症であると判定する工程。
(1−5)以下の工程を含む、発熱性好中球減少症の検出方法:
1)好中球数が基準未満であるがん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、
2)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および
3)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程。
(1−6)さらに以下の工程を含む、上記(1−5)に記載の検出方法:
4)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症であると判定する工程。
(1−7)前記がん患者が腋窩温を測定し、37.5℃以上であると判定された患者である、上記(1−5)または(1−6)に記載の発熱性好中球減少症の検出方法。
(1−8)前記がん患者が、抗がん剤投与および/または放射線照射によるがん治療を受けている患者、および/または骨髄移植の移植前処置を受けた患者である、上記(1−1)ないし(1−7)のいずれかに記載の検出方法。
(1−9)前記がん患者が、白血球数、好中球数及び単球数からなる群より選ばれる少なくとも1つが正常値に比べて低値を示す患者である上記(1−1)ないし(1−8)のいずれかに記載の検出方法。
(1−10)前記好中球数の基準が1000/μL未満である、上記(1−1)ないし(1−9)のいずれかに記載の検出方法。
(1−11)前記好中球数の基準が、500/μL未満である、または1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される、上記(1−1)ないし(1−10)のいずれかに記載の検出方法。
(1−12)前記がん患者が発熱の症状が見られる前の患者である、上記(1−1)ないし(1−11)のいずれかに記載の検出方法。
(1−13)前記がん患者が、65歳以上であるおよび/またはステロイドを投与されている患者である、上記(1−1)ないし(1−12)のいずれかに記載の検出方法。
(1−14)前記がん患者が、白血球数の減少した患者である、上記(1−1)ないし(1−13)のいずれかに記載の検出方法。
(1−15)前記がん患者が、白血球数0〜3000/μL以下の患者である、上記(1−1)ないし(1−14)のいずれかに記載の検出方法。
(1−16)前記がん患者が、白血球数0〜1000/μL以下の患者である、上記(1−1)ないし(1−15)のいずれかに記載の検出方法。
(1−17)前記がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を、免疫学的測定法により測定する、上記(1−1)ないし(1−16)のいずれかに記載の検出方法。
(1−18)前記がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗sCD14−ST抗体を用いて測定する、上記(1−1)ないし(1−17)のいずれかに記載の検出方法。
(1−19)前記sCD14−ST濃度の基準値が500pg/mLである、上記(1−1)ないし(1−18)のいずれかに記載の検出方法。
(2−1)がん治療を受けている患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標に用いる、抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法。
(2−2)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程を含む、がん患者における抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法。
(2−3)以下の工程を含む、抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法:
1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、
2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、
3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、
4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および
5)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程。
(2−4)さらに以下の工程を含む、上記(2−3)に記載の選択方法:
6)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症であると判定する工程。
(2−5)以下の工程を含む、抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法:
1)好中球数が基準未満であるがん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、
2)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および
3)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程。
(2−6)さらに以下の工程を含む、上記(2−5)に記載の選択方法:
4)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症であると判定する工程。
(2−7)前記がん患者が腋窩温を測定し、37.5℃以上であると判定された患者である、上記(2−5)または(2−6)に記載の発熱性好中球減少症の検出方法。
(2−8)前記がん患者が、抗がん剤投与および/または放射線照射によるがん治療を受けている患者、および/または骨髄移植の移植前処置を受けた患者である、上記(2−1)ないし(2−7)のいずれかに記載の選択方法。
(2−9)前記がん患者が、白血球数、好中球数及び単球数からなる群より選ばれる少なくとも1つが正常値に比べて低値を示す患者である上記(2−1)ないし(2−8)のいずれかに記載の検出方法。
(2−10)前記好中球数の基準が、1000/μL未満である、上記(2−1)ないし(2−9)のいずれかに記載の選択方法。
(2−11)前記好中球数の基準が、500/μL未満である、または1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される、上記(2−1)ないし(2−10)のいずれかに記載の選択方法。
(2−12)前記がん患者が発熱の症状が見られる前の患者である、上記(2−1)ないし(2−11)のいずれかに記載の選択方法。
(2−13)前記がん患者が、65歳以上であるおよび/またはステロイドを投与されている患者である、上記(2−1)ないし(2−12)のいずれかに記載の選択方法。
(2−14)前記抗生剤が、抗生剤、抗真菌剤及びG−CSFからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む発熱性好中球減少症治療剤であってもよい、上記(2−1)ないし(2−13)のいずれかに記載の選択方法。
(3−1)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標に用いる、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングの決定方法。
(3−2)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程を含む、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングの決定方法。
(3−3)以下の工程を含む、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングの決定方法:
1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、
2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、
3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、
4)前記sCD14−ST濃度の測定値を予め定めた基準値と比較する工程、および
5)前記測定値が前記予め定めた基準値以下であるか否かを判定する工程。
(3−4)さらに以下の工程6)または7)を含む、上記(3−3)に記載の決定方法:
6)前記測定値が前記基準値以下である場合に、前記がん患者に対する前記抗生剤の投与終了を決定する工程。
7)前記測定値が前記基準値以下である場合に、前記がん患者に対する前記抗生剤の投与経路変更を決定する工程。
(3−5)前記投与経路の変更が、経静脈投与から経口投与への変更である、上記(3−1)ないし(3−4)のいずれかに記載の決定方法。
(3−6)前記がん患者が65歳以上であるおよび/またはステロイドを投与されている患者である、上記(3−1)ないし(3−5)のいずれかに記載の決定方法。
(3−7)前記抗生剤が、抗生剤、抗真菌剤及びG−CSFからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む発熱性好中球減少症治療剤であってもよい、上記(3−1)ないし(3−6)のいずれかに記載の決定方法。
(4−1)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標に用いる、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSFを投与するタイミングの決定方法。
(4−2)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程を含む、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングの決定方法。
(4−3)以下の工程を含む、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングの決定方法:
1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、
2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、
3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、
4)前記sCD14−ST濃度の測定値を予め定めた基準値と比較する工程、および
5)前記測定値が前記予め定めた基準値以上であるか否かを判定する工程。
(4−4)さらに以下の工程6)または7)を含む、上記(4−3)に記載の決定方法:
4)前記測定値が前記基準値以上である場合に、前記がん患者に対する前記抗生剤の種類変更を決定する工程。
5)前記測定値が前記基準値以上である場合に、前記がん患者に対する前記抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSFの投与を決定する工程。
(4−5)前記がん患者が65歳以上であるおよび/またはステロイドを投与されている患者である、上記(4−1)ないし(4−4)のいずれかに記載の決定方法。
(5−1)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標に用いる、抗生剤を投与することによる、発熱性好中球減少症患者の治療方法。
(5−2)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する、抗生剤を投与することによる、発熱性好中球減少症患者の治療方法。
(5−3)下記の工程を含むことを特徴とする、発熱性好中球減少症患者を治療する方法:
1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、
2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、
3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−STを測定する工程、
4)検体中のsCD14−STの測定値を指標とし、抗生剤を投与するがん患者を選択する工程、および
5)選択されたがん患者に対し抗生剤を投与する工程。
(5−4)前記2)検体中のsCD14−STの測定値を指標とし、抗生剤を投与するがん患者を選択する工程が、下記の2−1)および2−2)の工程を含むことを特徴とする、上記(5−3)に記載の治療方法:
2−1)検体中のsCD14−ST測定値を基準値と比較する工程、および
2−2)検体の測定値が基準値より高値である場合、抗生剤の投与対象として患者を選択する工程。
(5−5)さらに下記の工程を含むことを特徴とする、上記(5−3)または(5−4)に記載の治療方法:
4)抗生剤が投与されているがん患者由来の血液検体中のsCD14−STを経時的に測定する工程、
5)検体中のsCD14−ST測定値を予め定めた基準値と比較する工程、および
6)検体の測定値が予め定めた基準値以下の場合、抗生剤の投与終了を決定する工程。
(5−6)前記がん患者が発熱の症状が見られない患者である、上記(5−1)ないし(5−5)のいずれかに記載の治療方法。
(5−7)前記がん患者が、65歳以上であるおよび/またはステロイドを投与されている患者である上記(5−1)ないし(5−6)のいずれかに記載の治療方法。
(5−8)前記抗生剤が、抗生剤、抗真菌剤及びG−CSFからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む発熱性好中球減少症治療剤であってもよい、上記(5−1)ないし(5−7)のいずれかに記載の治療方法。
また、本発明は以下に記載するキットを提供する。
(6−1)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定して発熱性好中球減少症を検出するための検出キットであって、血液検体中のsCD14−ST濃度の測定手段を含む、発熱性好中球減少症の検出キット。
(6−2)上記sCD14−ST濃度の測定手段が、免疫測定法による測定手段である上記(6−1)に記載の発熱性好中球減少症の検出キット。
(7)発熱性好中球減少症を検出するためのsCD14−ST濃度の測定手段を含むキットを製造するための抗sCD14−ST抗体および/または組換え型可溶性CD14フラグメントの使用。
(8−1)発熱性好中球減少症患者検出用キットの製造における、抗sCD14−ST抗体の使用であって、前記発熱性好中球減少症患者は、
1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定し、
2)前記好中球数が好中球数の基準未満であり、
3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定し、
4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較し、および
5)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症患者であると判定する、前記使用。
(8−2)前記キットが免疫学的測定法キットである、上記(8−1)に記載の発熱性好中球減少症検出用キットの製造における、抗sCD14−ST抗体の使用。
(8−3)前記抗sCD14−ST抗体は、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗sCD14−ST抗体である、上記(8−1)ないし(8−2)に記載発熱性好中球減少症検出用キットの製造における、抗sCD14−ST抗体の使用。
さらに、本発明は以下に記載する血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の用途を提供する。
(9−1)発熱性好中球減少症を検出するための、sCD14−ST濃度の測定値の用途。
(9−2)発熱性好中球減少症患者を選択するための、sCD14−ST濃度の測定値の用途。
(9−3)抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングを決定するための、sCD14−ST濃度の測定値の用途。
(9−4)抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングの決定するための、sCD14−ST濃度の測定値の用途。
本発明は以下に記載する発熱性好中球減少症患者の治療薬の製造における、発熱性好中球減少症治療剤を有効成分として含有する組成物の使用を提供する。
(10−1)発熱性好中球減少症患者の治療薬の製造における、発熱性好中球減少症治療剤を有効成分として含有する組成物の使用であって、前記発熱性好中球減少症患者は、
1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定し、
2)前記好中球数が好中球数の基準未満であり、
3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定し、
4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較し、および
5)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症患者であると判定する、前記使用。
(10−2)前記発熱性好中球減少症治療剤が、抗生剤、抗真菌剤及びG−CSFからなる群より選ばれる少なくとも1つである上記(10−1)に記載の発熱性好中球減少症患者の治療薬の製造における、発熱性好中球減少症治療剤を有効成分として含有する組成物の使用。
本発明方法によれば、高感度で発熱性好中球減少症を検出する方法を提供することができる。また、高感度で発熱性好中球減少症が検出できる発熱性好中球減少症検出キットが提供される。更に、発熱性好中球減少症患者における抗生剤の投与中止タイミングの決定方法、投与している抗生剤の種類および/または投与経路の変更タイミングの決定方法、抗生剤投与に加えてまたは代わって抗真菌剤および/またはG−CSFを投与するタイミングの決定方法、および発熱前のFN患者の検出またはFN患者を予測する方法が提供される。また、これらの方法により、発熱性好中球減少症患者において予後を改善する、抗生剤の投与期間を最適化することにより不要な抗生剤投与を減らし抗生剤の副作用を低減する、または抗生剤使用量の減少による医療コストを低減することができる。
図1は、FN発熱前、発熱時、発熱後の検体におけるsCD14−ST(プレセプシン)濃度とPCT(プロカルシトニン)濃度との比較を示すグラフである。「発熱後」とは、「発熱時」を除く発熱から72時間以内の検体を示す。なお、図中の「*」は、「発熱前」に対してp<0.001で有意差があることを示す。 図2は、FNの原因別のsCD14−ST(プレセプシン)濃度とPCT(プロカルシトニン)濃度との比較を示すグラフである。
以下、本発明について詳細に説明する。
[sCD14−ST]
sCD14−ST(可溶性CD14抗原サブタイプ、別名:プレセプシン(Presepsin))は可溶性CD14の分子種の一つであり、非還元条件下SDS−PAGEにおいて分子量13±2kDaに泳動されることを特徴とし、CD14のN端部を保持しているものである。また、sCD14−STは全長CD14と比べると、C端側が大きく欠失したアミノ酸配列を有しており、両者は立体構造の点で異なるため、異なる免疫原性を示す。そのため、結合する抗体により両者を区別することが可能であり、sCD14−STは配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体に特異的に結合する、という性質を有する。さらに、sCD14−STは、配列番号3に記載のアミノ酸配列の17番目〜26番目からなるペプチドに結合する抗体に特異的に結合すること、3C10抗体に結合しないこと、MEM−18抗体に結合しないこと、LPS結合能を有さないこと、ヒト血液から得られうること、という特徴のうち任意の一つ以上を付け加えることができる。sCD14−STはアミノ酸配列としては、N末端配列に配列番号1のアミノ酸配列を有する、という特徴を有し、より詳細には、N末端が配列番号3に記載のアミノ酸配列の1位であり、C末端が配列番号3に記載のアミノ酸配列の59〜90位のいずれかである、という特徴により特定することができる。sCD14−STは詳細には国際公開第2005/108429号に開示されている。本明細書中においてsCD14−STは、特に断りのない限りヒトsCD14−STを意味する。
血液検体としては、特に限定されず、全血、血漿、血清のいずれを用いてもよい。また、血液検体は採血後、EDTA、ヘパリン、クエン酸等の抗凝固剤を加えた検体でもよい。
血液検体中のsCD14−STの測定は公知の手法または公知の装置により行うことができる。例えば、国際公開第2004/044005号または国際公開第2005/108429号に開示されているsCD14−STを特異的に検出する免疫学的測定系を用いることができる。具体的には、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体(S68抗体)と、配列番号3に記載のアミノ酸配列の17位〜26位からなるペプチドに結合する抗体または該抗体と競合する抗体(F1106−13−3抗体またはF1031−8−3抗体)との組み合わせによるサンドイッチ免疫測定系が好適である。これらの抗体は、好ましくは、ラット(由来)抗体、マウス(由来)抗体、又はウサギ(由来)抗体のいずれかである。特に、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体は、sCD14−ST特異抗体であり、単独でsCD14−STの検出が可能である。配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体は、sCD14−STに対し解離定数(Kd)として10−9M未満の親和性を示す。配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体は、好ましくはウサギ抗体又はウサギ由来抗体である。
血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値は定量値、半定量値または定性値のいずれを用いてもよい。半定量値を用いる場合、sCD14−ST濃度を0、1、2、3あるいは−、+、++、+++、といった段階で表示できる。この段階は、定量的なsCD14−ST濃度と相関するので、sCD14−ST濃度が予め定めた基準値以上であるかどうかは、半定量の段階表示と定量的なsCD14−ST濃度との相関関係に基づき判断すればよい。あるいは、半定量の場合、基準値未満を0または−といった段階に設定してもよい。定性値を用いる場合、基準値未満である場合を陰性とし、基準値以上である場合を陽性となるよう設定すればよい。
本発明においては、がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度の測定は、経時的に行ってもよい。測定を経時的に行うことにより、検出、選択または決定を、より適切なタイミングで行うことができるからである。
特に、抗生剤を投与する場合には、投与対象患者の選択、投与開始、投与する抗生剤の種類変更、投与経路の変更、投与終了および/または投与継続を適切に選択または決定することで、FNの適切な治療および/または急速なFNの重症化を防ぐことが可能となる。測定の時期としては、好中球減少が確認されて以後、最初のsCD14−ST濃度測定日から、1日ごと、2日ごと、あるいは3日目、5日目、7日目など適宜設定すればよい。
本発明において、基準値は、正常人およびFN患者の集団を識別するために予め設定される血液検体中のsCD14−ST濃度である。本発明の検出方法、患者の選択方法、タイミングの決定方法、治療方法で用いる基準値は、同一でもよく、必要な場合は異なる値を用いてもよい。個々の患者群、患者個人、または測定時の条件によって同一基準値を用いてもよいし異なる基準値を用いてもよい。
基準値は、偽陽性と偽陰性とのバランスがとれるようにスクリーニング効率がよい値に設定してもよいし、発熱性好中球減少症患者の出現頻度が急激に上昇し始める値に設定してもよいし、病理学的・生理学的に理論づけられた値に設定してもよいし、統計的に定められた値に設定してもよい。
より詳細には、基準値は、例えば、医学的に健康な人の血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の平均値および標準偏差(SD)を求め、平均値+0.5SD〜+5SDの範囲内、具体的には、平均値+SD、平均値+2SD、平均値+3SDなどに設定してもよいし、前記平均値の5〜95、10〜90、15〜85または25〜75パーセンタイル値に設定してもよい。基準値は、前記平均値+2SDまたは平均値+3SDに設定することが好ましい。具体的な数値としては、400pg/mL〜600pg/mLが挙げられ、500pg/mL〜600pg/mLが好ましく、より好ましくは600pg/mLであるが、これらに限定されるものではない。
[発熱性好中球減少症(FN)の最終診断]
FNの最終診断は、従来公知の診断基準に従って行うことができる。
発熱性好中球減少症は、FNガイドライン(1998年:日本)によれば、好中球数が500/μL(500個/mm)未満、または1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される状態で、かつ腋窩温37.5℃以上(口腔内温38℃以上)の発熱を生じた場合を、発熱性好中球減少症(febrile neutropenia:FN)と定義される。
[好中球]
好中球数の測定は、血球計算器を用いて行うことができる。
好中球数の測定頻度は、抗がん剤投与および/または放射線照射の前日または当日から、1日ごと、2日ごとなど適宜設定すればよい。
発熱性好中球減少症における好中球数の基準は、500/μL(500個/mm)未満、または1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測される状態と定義されている。なお、健常人における好中球数は、2000〜6000/μLである。
好中球数が減少した状態は、がん治療における抗がん剤投与または放射線照射、骨髄移植における移植前処置としての抗がん剤投与および放射線照射、または再生不良性貧血等の造血器疾患等において生じる。
好中球数が減少し、FNに至る可能性が高いがん治療に用いられる抗がん剤は、シスプラチン、イリノテカン、ビノレルビン、カルボプラチン、パクリタキセル、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ドセタキセル、ゲフィチニブ、ペメトレキサド、エトポシド、トポテカン、アムルビシン、フルオロウラシル、カペシタビン、トラスツズマブ、カペシタビン、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(TS−1)、オキサリプラチン、ベバシズマブ、エルプラット、パニツムマブ、カンプトテシン11、アドリアマイシン、シクロホスファミド、メトトレキサート、エリブリン、カルボプラチン、ビンブラスチン、ブレオマイシン、リツキシマブ、ビンクリスチン、プレドニゾロン、イホスファミド、ダカルバシン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの抗がん剤が投与されるがんは、具体的には、非小細胞がん、小細胞がん、頭頸部がん、胃がん、直腸結腸がん、胆道がん、乳がん、卵巣がん、膀胱がん、胚細胞腫瘍、悪性リンパ腫、肉腫、白血病、骨髄異形成症候群等があるが特に限定されない。また、骨髄移植の移植前処置に使用される抗がん剤としては、メルファラン、ブスルファン等が挙げられる。
抗がん剤の投与量、投与期間、投与部位等により、好中球数の減少数は異なる。その他に、がん治療や骨髄移植の移植前処置として、X線、電子線、γ線等の放射線照射も行われ、照射量、照射期間、照射部位等によって異なるが、好中球数が減少する。
また、白血病や再生不良性貧血などの造血器疾患患者に提供者の正常な骨髄細胞を静脈内に注入して移植する治療である骨髄移植を行う際に、移植前処置として患者の造血組織および腫瘍化した細胞を根絶するために、多量の抗がん剤投与および放射線照射が行われ、これらの過程でも好中球数が減少した状態を経ることとなる。
[白血球]
白血球数の測定は、血球計算器を用いて行うことができる。
白血球数の測定頻度は、抗がん剤投与および/または放射線照射の前日または当日から、1日ごと、2日ごとなど適宜設定すればよい。
本発明においてがん患者の白血球数は特に制限されるものではないが、例えば、白血球数が健常人に比較して減少していることが好ましい。また、がん患者の白血球数が3000/μL(3000個/mm)以下、又は1000/μL(1000個/mm)以下である場合にも、本発明はその効果を奏しうるため、がん患者の白血球数は上述した範囲であることがより好ましい。なお、健常人における白血球数は、4000〜8000/μLである。
[単球]
単球数の測定は、血球計算器を用いて行うことができる。
単球数の測定頻度は、抗がん剤投与および/または放射線照射の前日または当日から、1日ごと、2日ごとなど適宜設定すればよい。
本発明においてがん患者の単球数は特に制限されるものではないが、例えば、単球数が健常人に比較して減少していることが好ましい。また、がん患者の単球数が300/μL(300個/mm)以下、又は100/μL(100個/mm)以下である場合においても、本発明はその効果を奏しうるため、がん患者の単球数は上述した範囲であることがより好ましい。なお、健常人における単球数は、300〜700/μLである。
[発熱性好中球減少症治療剤]
発熱性好中球減少症治療剤としては、発熱性好中球減少症の治療に有効である薬剤であればよく、特に限定されるものではない。例えば、抗生剤、抗真菌剤、G−CSF、及びこれらの混合物等が挙げられる。
[抗生剤]
FN患者に投与する抗生剤は特に限定されないが、セフェピム、タゾバクタム、ピペラシン、イミペネム、シラスタチン、メロペネム、セフタジジム、セフピロム、セフォゾプラン、ビアペネム、パニペネム、ベタミプロン、ドリペネム、タゾバクタム、ピペラシリン、カルバペネム系薬剤、セファロスポリン系薬剤、クリンダマイシン等が挙げられる。多くの場合、FNの治療においては第一選択として抗緑膿菌作用を有するβ−ラクタム薬であるセフェピム、タゾバクタム、ピペラシン、イミペネム、シラスタチン、メロペネム、セフタジジム、セフピロム、セフォゾプラン、ビアペネム、パニペネム、ベタミプロン、ドリペネム等が使用される。FNの治療にあたり、抗生剤が奏功しない場合、別の抗生剤に変更すること、または別の抗生剤と併用することがある。
FNの治療において通常抗生剤は経静脈投与されるが、解熱等の検査所見や臨床所見により抗生剤が奏功したことが確認された場合、抗生剤の投与終了の他に、経口投与の投与経路に変更されることがある。
また、抗生剤に代えて、または抗生剤とともに、抗真菌剤を用いてもよい。また、FN高リスク患者で抗生剤無応答の場合は顆粒球コロニー刺激因子(以下、G−CSFということがある)の投与を考慮してもよい。
顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte-colony stimulating factor、G-CSF)は、サイトカインの一種で顆粒球産出の促進、好中球の機能を高める作用がある。遺伝子組換えヒトG‐CSF製剤は、がん化学療法による好中球減少症や再生不良性貧血に伴う好中球減少症に用いられる。フィルグラスチム(filgrastim、商品名グラン)、ナルトグラスチム(Nartograstim、商品名ノイアップ)、レノグラスチム(Lenograstim、商品名ノイトロジン)などの医薬品がある。
抗生剤、抗真菌剤、G−CSF製剤は、以下の情報を有する製剤であるのが好ましい。
1)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標として、発熱性好中球減少症を検出して投与する製剤。
2)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定して、投与する対象となる発熱性好中球減少症患者を選択して投与する製剤。
上記情報は、製剤の添付文書、インタビューフォーム、パンフレット、説明書等に記載されて、製剤と同時に、または別々に提供されることができる。
[検出方法、選択方法、決定方法および治療方法]
1.発熱性好中球減少症の検出方法
本発明は、がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標に用いる、発熱性好中球減少症の検出方法を提供する。
本発明の検出方法によれば、がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定して、発熱性好中球減少症を検出する。血液検体中のsCD14−ST濃度は、FN発症時と発症から72時間以内において、持続的に高値(基準値以上)を示す。特にFN発症(発熱時)に、sCD14−ST濃度が上昇するので、sCD14−ST濃度を測定すれば、発熱性好中球減少症の検出を発症時に容易に行うことができ、早期にFNを検出できることによる適切な治療を選択することが可能となる。また、本発明の検出方法は、上述したガイドラインに従ってFNと最終診断される前に、FN患者を補足できる可能性もある。つまり、本発明の検出方法は、医師が、がん患者をFNであると最終診断する前の補助方法として用いることができる。また、敗血症又は肺炎の患者は、本発明におけるがん患者からは除くことが好ましい。
がん治療を受けているがん患者は、限定されないが、抗癌剤投与および/または放射線治療を受けていて、骨髄抑制を受けることがある。骨髄にダメージを受けると通常血中に2000/mm〜6000/mmある好中球が減少する。
がん患者は、抗がん剤投与および/または放射線照射によるがん治療を受けている患者、および/または骨髄移植の移植前処置を受けた患者に適用できる。好中球が減少している可能性のある患者であってもよい。発熱性好中球減少症の診断がされていてもよいし、されていなくてもよい。
がん患者は、白血球数、好中球数及び単球数からなる群より選ばれる少なくとも1つが正常値に比べて低値を示す患者であってもよい。なお、好中球数の正常値の基準は、健常人における好中球数の2000〜6000/μLが目安になる。白血球数の正常値の基準は、健常人における白血球数の4000〜8000/μLが目安になる。単球数の正常値の基準は、健常人における白血球数の300〜700/μLが目安になる。
高齢者、特に65歳以上である場合や、ステロイドを投与されている患者では、発熱が抑えられていて、FNの最終診断が遅れ急激に重症化する場合がある。本発明の検出方法によれば、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定して、発熱性好中球減少症を検出するので、このような患者でより確実に発熱前のFNが検出できる、または発熱前のFN患者をsCD14−ST濃度を測定してFNを予測できる。必要な場合には上記した他の方法を用いてFN患者であることを検出する。
本発明の検出方法により、発熱があっても、発熱がなくても、近い将来FNとなる患者、いわゆるFN予備軍の患者を捕捉することができる。つまり、本発明の検出方法は、患者がFNと診断されていても、診断されていなくてもよい。本発明におけるFN予備軍とは、FNの候補者またはFNと疑われる患者であってよく、即ちFN予備軍の患者を捕捉することとは、FN予備軍の患者の検出および/また選択、またはFNの発症を予測すること置き換えることができる。
なお、発熱前とは、特に制限されるものではないが、発熱の症状が見られる前の患者であればよい。事後的に発熱の症状を示した場合には、発熱した日を0として、7日前〜1日前であることが好ましく、5日前〜1日前であることがより好ましく、3日前〜1日前であることが更に好ましい。
抗生剤の投与は、FNにおいては解熱や好中球数500/μL以上が確認されるまで継続されることが多く、また、再発と重症化を懸念して解熱確認後も投与が継続されることが多い。通常FNにおける抗生剤の投与は経静脈投与であるが、解熱確認後は経口投与に変更されることがあるが、経口投与に変更後も医師の裁量により投与が継続されることがある。また、投与した抗生剤に不応答である場合は抗生剤を変更する、場合によっては抗真菌剤の投与やG−CSFの投与が検討される。また、FNにおける原因の特定は困難であり、原因菌の細菌の同定率は低く、真菌が原因菌である場合もある。これらの判断は、従来は経験的に行われており、判断の指標となるバイオマーカーがなかった。
本発明の発熱性好中球減少症の検出方法は、がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程を含むことが好ましく、1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および5)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程を含むことがより好ましい。また、上記1)ないし3)の工程を「好中球数が基準未満であるがん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程」と言い換えることができる。また、前記「がん患者」を「腋窩温を測定し、37.5℃以上であると判定されたがん患者」、「抗がん剤投与および/または放射線照射によるがん治療を受けている患者、および/または骨髄移植の移植前処置を受けたがん患者」または「65歳以上であるおよび/またはステロイドを投与されているがん患者」と言い換えることができる。
なお、本発明の検出方法は、in vitroで行うことができる。
さらに「前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、発熱性好中球減少症が検出されたと判定する工程」を含むことがより好ましい。「発熱性好中球減少症が検出された」とは、「前記がん患者が発熱性好中球減少症患者である」と言い換えることができる。がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程の前に、がん患者由来の血液検体を準備する工程を備えてもよい。
なお、上記工程における好中球数の基準未満とは、1000/μL未満であることが好ましく、より好ましくは500/μL未満であるまたは1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測されることである。
検体中のsCD14−STの測定値を予め定めた基準値と比較することで、がん患者が発熱性好中球減少症であるか否かを判定することができる。本発明の検出方法に用いる基準値としては、前述の基準値を用いることができる。
2.抗生剤等を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法
本発明は、がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標に用いることで、がんによる腫瘍熱や抗がん剤による薬剤熱など抗生剤投与が不要な患者も含まれる中で、発熱性好中球減少症患者の中から抗生剤等を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者を選択することにより、抗生剤等を投与すべき対象を適切に選択することができる。その結果、抗生剤等による治療を必要とする患者に治療が行われ、当該患者における、生存率、合併症の発生率、感染症や副作用の発生率、患者の機能的健康状態、患者QOL、治療満足度などの改善を期待することができる。
本発明の抗生剤等を投与する対象となるFN患者の選択方法は、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程を含むことが好ましく、1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および5)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程を含むことがより好ましい。また、上記1)ないし3)の工程を「好中球数が基準未満であるがん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程」と言い換えることができる。また、前記「がん患者」を「腋窩温が37.5℃以上であると判定されたがん患者」、「抗がん剤投与および/または放射線照射によるがん治療を受けている患者、および/または骨髄移植の移植前処置を受けたがん患者」または「65歳以上であるおよび/またはステロイドを投与されているがん患者」と言い換えることができる。なお、本選択方法は、in vitroで行うことができる。また、本選択方法は、医師が医療行為として患者を選択する前の補助方法として用いることもできる。
さらに「前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、発熱性好中球減少症が検出された」とは、「前記がん患者が発熱性好中球減少症患者である」と言い換えることができる。患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程の前に、患者由来の血液検体を準備する工程を備えてもよい。
さらに「前記測定値が、前記基準値またはより高値の基準値である場合に、抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者であると判定する工程」を含んでもよい。
なお、上記工程における好中球数の基準未満とは、1000/μL未満であることが好ましく、より好ましくは500/μL未満であるまたは1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予測されることである。
検体中のsCD14−STの測定値は、FNであるか否かの指標となるため、sCD14−ST濃度の測定値を予め定めた基準値と比較することで、抗生剤等を投与する対象となるFN患者を選択することができる。より詳細には、前記測定値が前記基準値よりも高値である場合には、患者を、抗生剤等を投与する対象となるFN患者として選択することができる。
本発明の選択方法に用いる基準値としては、前述の基準値を用いることができる。
3.抗生剤等が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングの決定方法
本発明は、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標とする、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングの決定方法を提供する。
この決定方法によれば、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標として、抗生剤が投与されているFN患者において適切な抗生剤投与終了または投与経路変更タイミングを決定することができる。その結果、抗生剤による治療が適切な時期に終了、または経静脈投与から経口投与への変更といった適切な投与経路の変更がなされ、不要な抗生剤等の投与が行われないことにより、当該患者における、生存率、合併症の発生率、感染症や副作用の発生率、患者の機能的健康状態、患者QOL、治療満足度などの改善を期待することができる。
本発明の抗生剤が投与されているFN患者における前記抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングの決定方法は、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程を含むことが好ましく、1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、3)患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程;および5)前記測定値が前記基準値以下であるか否かを判定する工程を含むことがより好ましく、さらに6)前記測定値が前記基準値以下である場合に、前記患者に対する前記抗生剤の投与終了を決定する工程を含む、または7)前記測定値が前記基準値以下である場合に、前記患者に対する前記抗生剤の投与経路変更を決定する工程を含むことがさらに好ましい。
患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程の前に、患者由来の血液検体を準備する工程を備えてもよい。
本発明の抗生剤等の投与終了または投与経路変更タイミングを決定する方法に用いる基準値としては、抗生剤等が奏功したことを確認できるものあればよい。例えば、抗生剤投与前〜投与開始後24時間までに測定したsCD14−STの測定値の1/2、1/5または1/10といった値を基準値として設定することができる。また、前述の基準値を用いることができる。これらの基準値に対して、FN発症後のsCD14−STの測定値が基準値以下である場合に、抗生剤の投与終了または投与経路変更を決定することができる。このFN発症後のsCD14−STの測定は、抗生剤投与開始から、例えば5日以内、7日以内、14日以内等に、適宜設定して測定することができる。なお、これらのsCD14−STの基準値および抗生剤投与開始からの測定時期は、上記に限定されない。
また、本発明の抗生剤の投与終了タイミングを決定する方法は、前記4−1)に記載の「前記測定値が前記基準値よりも低値である場合に、前記患者に対する前記抗生剤の投与終了を決定する工程」の代わりに、「前記患者を抗生剤の投与を終了する患者として選択する工程」とすることで、抗生剤の投与を終了する発熱性好中球減少症患者の選択方法に、また、「前記患者を抗生剤の投与を継続する患者として選択する工程」とすることで、抗生剤の投与を継続する発熱性好中球減少症患者の選択方法に言い換えることもできる。また、本発明の抗生剤の投与経路変更タイミングを決定する方法は、前記7)に記載の「前記測定値が前記基準値以下である場合に、前記患者に対する前記抗生剤の投与経路変更を決定する工程」の代わりに、「前記患者を抗生剤の投与経路を変更する患者として選択する工程」とすることで、抗生剤の投与経路を変更する発熱性好中球減少症患者の選択方法に、また、「前記患者を抗生剤の投与を変更しない患者として選択する工程」とすることで、抗生剤の投与経路を変更しない発熱性好中球減少症患者の選択方法に言い換えることもできる。
4.抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングの決定方法
本発明は、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標とする、抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングの決定方法を提供する。
この決定方法によれば、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を指標として、抗生剤が投与されているFN患者において適切な抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングを決定することができる。その結果、抗生剤の種類が適切な時期に変更され、または適切な抗真菌剤および/またはG−CSFの抗生剤への追加または代替投与がなされ、不要な抗生剤の投与が行われないことや適切な治療薬が投与されることにより、当該患者における、生存率、合併症の発生率、感染症や副作用の発生率、患者の機能的健康状態、患者QOL、治療満足度などの改善を期待することができる。
本発明の抗生剤が投与されているFN患者における前記抗生剤等の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に変わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングの決定方法は、患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程を含むことが好ましく、1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、3)患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および5)前記測定値が前記基準値以上であるか否かを判定する工程を含むことがより好ましく、さらに6)前記測定値が前記基準値以上である場合に、前記患者に対する前記抗生剤の種類変更を決定する工程を含む、または7)前記測定値が前記基準値以上である場合に、前記患者に対する前記抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSFの投与を決定する工程を含むことがさらに好ましい。
患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程の前に、患者由来の血液検体を準備する工程を備えてもよい。
また、本発明の抗生剤の種類変更タイミングを決定する方法は、前記6)に記載されている「前記測定値が前記基準値以上である場合に、前記患者に対する前記抗生剤の種類変更を決定する工程」の代わりに、「前記患者を抗生剤の種類を変更する患者として選択する工程」とすることで、抗生剤の種類を変更する発熱性好中球減少症患者の選択方法に、また、「前記患者を抗生剤の種類を変更しない患者として選択する工程」とすることで、抗生剤の種類を変更しない発熱性好中球減少症患者の選択方法に言い換えることもできる。また、本発明の抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングを決定する方法は、前記7)に記載されている「前記測定値が前記基準値以上である場合に、前記患者に対する前記抗生剤に加えてまたは抗生剤に変わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与を決定する工程」の代わりに、「前記患者を抗生剤に加えてまたは抗生剤に変わって抗真菌剤および/またはG−CSFを投与する患者として選択する工程」とすることで、抗生剤に加えてまたは抗生剤に変わって抗真菌剤および/またはG−CSFを投与する発熱性好中球減少症患者の選択方法に、また、「前記患者を抗生剤に加えてまたは抗生剤に変わって抗真菌剤および/またはG−CSFを投与しない患者として選択する工程」とすることで、抗生剤に加えてまたは抗生剤に変わって抗真菌剤および/またはG−CSFを投与しない発熱性好中球減少症患者の選択方法に言い換えることもできる。なお、本決定方法は、in vitroで行うことができる。また、本決定方法は、医師が医療行為として投与タイミングを決定する前の補助方法として用いることもできる。
5.抗生剤等を投与することによる、発熱性好中球減少症の治療方法
本発明は、FNの治療方法を提供する。本発明の治療方法は、がん患者由来の血液検体中の好中球数ならびにsCD14−STの測定値を指標として、通常の治療以外に抗生剤による菌の除去が必要なFN患者を選択することを特徴とし、選択された患者に抗生剤を投与することによりFNを治療する方法である。具体的には、前記2.の態様に説明されている方法により抗生剤を投与するFN患者を選択し、選択された患者に抗生剤を投与する。また、前記3.の態様に説明されている方法により抗生剤の投与終了または投与経路変更タイミングを決定すること、または前記4.の態様に説明されている方法により抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に変わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングを決定することで、より効率のよい治療を行うことができる。
また、抗生剤に代えて、または抗生剤とともに、抗真菌剤および/またはG−CSFを投与してもよい。さらに、抗生剤、抗真菌剤、G−CSFを有効成分として、薬理学的に使用可能な担体または成分を含む組成物を治療薬として投与してもよい。有効成分量は、治療に適用される公知のものが含まれ、任意に変更することができる。
[検出キット]
6.血液検体中のsCD14−ST濃度の測定手段を含むキット
本発明は、また、血液検体中のsCD14−ST濃度の測定手段を含む、発熱性好中球減少症の検出キットを提供する。
本発明の検出キットは、好ましくは、免疫学的測定法キット(Immunoassay Kit)であり、所望により、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体(S68抗体)、配列番号3に記載のアミノ酸配列の17位〜26位からなるペプチドに結合する抗体または該抗体と競合する抗体(F1106−13−3抗体またはF1031−8−3抗体)、マルチウェルプレートおよび分光光度計からなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。本キットは、好ましくは、S68抗体とF1106−13−3抗体またはF1031−8−3抗体との組合せによるサンドイッチ免疫測定法により、血液検体中のsCD14−ST濃度を測定することができる。より好ましくは、本キットは、S68抗体とF1106−13−3抗体との組合せによるサンドイッチ免疫測定法により、血液検体中のsCD14−ST濃度を測定することができる。検出キットには、例えば、S68抗体、F1106−13−3抗体等のsCD14−STの検出に使用しうる抗体の他に、サンドイッチ免疫測定法に必要な試薬又は器具(免疫学的測定法キット)、及び血液検体中のsCD14−ST濃度を測定するために必要な試薬又は器具等を含むものであるが、これらに限定されることなく、この他に検出キットは、必要な試薬、試料、器具、備品等も含むことができる。sCD14−STの検出に使用しうる抗体としては、例えば上述したS68抗体、F1106−13−3抗体又はF1031−8−3抗体と同程度のsCD14−STへの結合活性を有する抗体が挙げられる。ここで結合活性を評価する方法は特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。
7.発熱性好中球減少症を検出するためのsCD14−ST濃度の測定手段を含むキットを製造するための抗sCD14−ST抗体および/または組換え型可溶性CD14フラグメントの使用
本発明は、FNを検出するためのsCD14−ST濃度の測定手段を含むキットを製造するために、上記「6.血液検体中のsCD14−ST濃度の測定装置を含むキット」に記載される抗sCD14−ST抗体および/または組換え型可溶性CD14フラグメントを使用する。
[血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の用途]
8.発熱性好中球減少症を検出する用途
上記「1.発熱性好中球減少症の検出方法」に記載される、血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の使用方法(用途)である。
9.発熱性好中球減少症患者を選択する用途
上記「2.抗生剤等を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法」に記載の発熱性好中球減少症患者を選択する方法における、血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の使用方法(用途)である。
10.抗生剤等が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤等の投与終了または投与経路変更タイミングを決定する用途
上記「3.抗生剤等が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤等の投与終了または投与経路変更タイミングの決定方法」における、血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の使用方法(用途)である。
11.抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングを決定する用途、および発熱性好中球減少症を治療する方法における用途
上記「4.抗生剤が投与されている発熱性好中球減少症患者における前記抗生剤の種類変更または、抗生剤に加えてまたは抗生剤に代わって抗真菌剤および/またはG−CSF投与タイミングの決定方法」における、血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の使用方法(用途)である。
また、上記「5.抗生剤を投与することによる発熱性好中球減少症患者の治療方法」における、血液検体中のsCD14−ST濃度の測定値の使用方法(用途)である。
本発明のsCD14−ST濃度の測定値の使用方法(用途)により、早期に確実に発熱性好中球減少症を検出し、適切に治療できれば、不要な薬物療法が抑制でき有用である。高齢者やステロイドの投与を受けている患者では、免疫抑制効果を有する治療薬剤による副作用(MRSA感染症等の日和見感染症など)により致死的な経過をとることがあるので、本発明の方法で治療効果判定など早期に行えれば有用性が高い。
以下の実施例により本発明を更に詳述するが、本発明はこれら実施例に限定して理解されるべきものではない。
(実施例1)検体の採取
FNを発症した入院患者において、文書による同意を得られた、抗がん剤等の化学療法を受けているおよび/または移植前処置を含む骨髄移植を受けた、急性脊髄白血病、悪性リンパ腫等の患者43名におけるFNイベント75例より、FN発症前およびFN発症後72時間以内に114検体の末梢血液を採取した。上記の検体には、同一患者において複数回FNを発症した事例も含まれている。採取された末梢血液を4℃にて遠心分離(3000rpm、20分)することにより血清を分離した。分離した血漿は−20℃にて凍結保存し、sCD14−STおよびプロカルシトニン(PCT)の測定に供した。なお、FNイベントは、日本臨床腫瘍学会が2012年に制定したFN診療ガイドラインに準じて判定した。すなわち、好中球数は500/μL未満、あるいは1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満になる可能性があると判断され、腋下体温が37.5℃以上である患者をFN発症と定義した。なお、FNイベントの判断基準として、抗生剤、抗真菌剤、抗ウイルス薬の予防投与の有無は問わないものとした。
(実施例2)好中球数の測定及びsCD14−ST濃度の測定
好中球数の測定は、血球計算器を用いて、白血球数と白血球分画中に含有される好中球(桿状核球と分葉核球との合計)との割合から算出した。
国際公開第2004/044005号に記載のF1106−13−3抗体およびS68抗体を用いた、サンドイッチELISA系を用いて検体中のsCD14−ST濃度を測定した。なお、sCD14−ST蛋白質標準品としては、国際公開第2005/108429号に記載のrsCD14―STを用いた。
(実施例3)PCT濃度の測定
検体中のPCT濃度は測定試薬ミュータスワコーブラームスPCT(和光純薬工業)と全自動蛍光免疫測定装置ミュータスワコーi30(和光純薬)を用いて、LBA−EATA法により測定した。すなわち、検体中のPCTとDNA標識抗カルシトニン抗体および蛍光標識抗カタカルシン抗体を反応させた後、形成した免疫複合体をゲル電気泳動により分離し、蛍光検出によりPCT濃度を測定した。
(実施例4)FN患者におけるsCD14−ST濃度とPCT濃度との比較
FNイベント75例中、非発熱時の検体(12例)、FN発症時の検体(sCD14−STは25例、PCTは24例)およびFN発症後72時間以内の検体(75例)におけるsCD14−ST濃度とPCT濃度の平均値を算出した。結果を非発熱時の検体を「発熱前」、FN発症時の検体を「発熱時」、FN発症後72時間以内の検体を「発熱後」として図1に示す。図1中、「発熱前」、「発熱時」及び「発熱後」のPCT濃度の平均値はそれぞれ0.07ng/mL、0.12ng/mL及び0.58ng/mLであり、sCD14−ST濃度の平均値はそれぞれ436.28pg/mL、789.55pg/mL及び872.09pg/mLであった。なお、FN発症後72時間以内の検体からは、FN発症時の検体は除かれている。PCT濃度では発熱前と発熱時の間において有意な上昇が認められなかったのに対し、sCD14−STでは有意な上昇が認められた。PCT濃度はsCD14−STより遅れて上昇し、高値を示す検体が散見されるようになったが、sCD14−STは発症後においても高値を維持していた。
以上のことから、FN発症患者では、血中のsCD14−ST濃度がFN発症と同時に高値を示すことが確認された。すなわち、血中sCD14−ST濃度を指標とすることで、FNを検出できることが明らかとなった。また、FN発症後72時間以内でも血中のsCD14−ST濃度が高値で持続されたことから、FN発症以降も安定的かつ継続的にFNを検出できることが示された。また、sCD14−STはPCTに先立って上昇したことから、sCD14−STはPCTよりも早期FN検出に適したマーカーであることが明らかとなった。
(実施例5)抗生剤投与FN患者におけるsCD14−ST濃度とPCT濃度との比較
(1)FNイベントにおける発熱後のPCT濃度およびsCD14−ST濃度を抗生剤が奏功した群と奏功しなかった群に分けて解析する。その結果、PCT濃度は両群で差は認められないが、sCD14−ST濃度は抗生剤が奏功しなかった群で高値をしめす。抗生剤が奏功したか否か、つまり抗生剤投与が有効であったか無効であったかの判断は、抗生剤を数日間投与した後に、体温等の検査所見および臨床所見を指標として判断する。通常、FNにおいては経験的抗生剤投与が行われるが、この時点では原因菌が特定されていることは少なく、抗生剤の効果を見ながら薬剤を変更することが多い。したがって、上記の結果はsCD14−STは抗生剤変更の早期決断において有益であることを示す。
(2)FNイベントにおける抗生剤投与後にsCD14−STが低下しなかった患者に対して、その他の治療剤として該抗生剤と種類の異なる抗生剤、抗真菌剤および/またはG−CSFを投与する。その他の治療剤投与数日後の患者において、体温等の検査所見および臨床所見を指標としてFNの治癒効果を評価する。その結果、sCD14−STを指標とした抗生剤無効例に対する介入による予後の改善効果が確認される。
(実施例6)原因別FN患者におけるsCD14−ST濃度とPCT濃度との比較
FNイベント75例の発熱後のPCT濃度およびsCD14−ST濃度中を原因別で集計して解析した。結果を図2に示す。図2中、「不明熱」、「局所感染」及び「菌血症/敗血症」のPCT濃度の平均値はそれぞれ0.41ng/mL、0.25ng/mL及び1.68ng/mLであり、sCD14−ST濃度の平均値はそれぞれ809.42pg/mL、899.19pg/mL及び964.95pg/mLであった。図2の結果から、PCT濃度は不明熱群において発熱前濃度との間に差は認められなかったが、sCD14−ST濃度は不明熱群においても高値を示した。
通常、FNにおいては血液培養検査が行われ、原因究明が実施されるが、原因が特定されない場合が多い。PCTは不明熱に対する陽性率が低く、本実施例においても不明熱29例中において0.5ng/mL以上の値を示す検体は5例にすぎなかった。一方、sCD14−STは不明熱29例中においても23例で600pg/mL以上の値を示しており、FNの検出力に優れることが明らかとなった。
(実施例7)抗生剤投与FN患者におけるsCD14−ST濃度とPCT濃度との経時変化
好中球数が500/μL未満、あるいは好中球数が1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満になる可能性があると判断された抗がん剤投与患者から経時的に採血を行い、血中sCD14−ST濃度とPCT濃度を比較する。sCD14−ST濃度は発熱に先んじてまたは発熱と同時に上昇するが、PCT濃度に有意な変化は認められない。また、sCD14−STは抗生剤が奏功した患者においては減少するが、抗生剤が奏功しない患者においては高値を維持する。上記の結果はsCD14−STは抗生剤投与開始時期を決定するのに有益なばかりでなく、抗生剤変更の早期決断にも有益である。
(実施例8)ステロイド投与好中球減少症におけるsCD14−ST濃度とPCT濃度との比較
ステロイドと抗がん剤が投与され、好中球数が500/μL未満、あるいは好中球数が1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満になる可能性があると判断された患者より経時的に採血を行い、血中sCD14−ST濃度とPCT濃度とを比較する。sCD14−ST濃度は発熱が認められない場合においても上昇する場合が散見されるが、このような患者においてもPCT濃度の上昇は認められない。また、このようなケースでは、血液培養において細菌感染が証明される場合も認められる。通常、ステロイド投与患者では好中球の減少に伴い感染がおこっても、ステロイドの作用により発熱が不顕在化されてしまうことが起こり得る。このような場合においてもsCD14−STは発熱を引き起こす本質的な体内変化を鋭敏に検出できるため、経験的抗生剤投与の決断を可能とする。
(実施例9)sCD14−STを指標とした発熱性好中球減少症患者における抗生剤投与期間の最適化
発熱性好中球減少症と診断され抗生剤投与の対象となった患者を、通常の抗生剤治療を行うコントロール群と、sCD14−STを指標として抗生剤治療を行うsCD14−ST群に振り分ける。コントロール群は通常の医師の判断により抗生剤の投与を終了する。sCD14−ST群はsCD14−ST濃度を経時的(例:抗生剤の投与開始後1日毎)に測定し、これを参考とし医師の判断で抗生剤の投与を終了する。両群の患者について、抗生剤投与終了後2、4、6または8週間目までの患者所見を評価する。また、抗生剤投与終了までの期間を評価する。患者所見とは、体温等の検査所見および臨床所見を示すが、好ましくは発熱性好中球減少症に関連した所見であることが好ましい。なお、付加的な評価項目として、患者の健康状態の自己評価(VAS、QOL質問票等)、sCD14−ST測定値を加えてもよい。
結果として、sCD14−STを指標として抗生剤投与を終了した方の患者におけるFN再発率は低い、あるいは両群間において症状改善状況には差を認めないが、sCD14−STを指標として抗生剤投与を終了した群の方が抗生剤の投与期間は短い。すなわち、sCD14−STを指標とすることで、抗生剤の投与を終了するタイミングを適切に決定することができ、抗生剤治療の安全性・有効性を損なうことなく、抗生剤の適正投与期間を決定することができる。
(実施例10)白血球数、好中球数及び単球数の測定及びFNの検出
実施例4において「FN発症時の検体」に分類した25例について白血球数、好中球数、単球数がsCD14−ST産生に与える影響を確認した。25例のsCD14−ST濃度の平均値は、789.55pg/mLであり、25例の白血球数、好中球数及び単球数の平均値はそれぞれ1348/μL、280/μL及び107/μLであった。
25例中、5例はFN発症時の白血球数が0であったが、これら5例のsCD14−ST濃度の平均値は、854.06pg/mlであり、25例全体の平均値と比べて大きな差はなかった。
また、25例中、6例はFN発症時の好中球数が0であったが、これら6例のsCD14−ST濃度の平均値は、838.60pg/mlであり、25例全体の平均値と比べて大きな差はなかった。
さらに、25例について単球数を測定した。単球数の測定は、血球計算器を用いて、白血球数と白血球分画中に含有される単球との割合から算出した。25例中、13例はFN発症時の単球数が0であったが、これら13例のsCD14−ST濃度の平均値は、864.34pg/mlであり、25例全体の平均値と比べて大きな差はなかった。
これらの結果より、白血球数、好中球数及び単球数からなる群のいずれか1つが0又は減少している患者においても、sCD14−ST濃度を指標にFNを検出することが可能であることが明らかになった。
日本国特許出願2013−095554号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願及び技術規格は、個々の文献、特許出願及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (17)

  1. 以下の工程を含む、がん患者における発熱性好中球減少症の検出方法:
    1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、
    2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程
    3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程、
    4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程、および
    5)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程であって、前記測定値が前記基準値よりも高値であることが、がん患者が発熱性好中球減少症であることを示す工程
  2. さらに以下の工程を含む、請求項1に記載の検出方法:
    6)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、発熱性好中球減少症が検出されたと判定する工程。
  3. 前記がん患者が、抗がん剤投与および/または放射線照射によるがん治療を受けている患者、および/または骨髄移植の移植前処置を受けた患者である請求項1または2に記載の検出方法。
  4. 前記がん患者が、白血球数、好中球数及び単球数からなる群より選ばれる少なくとも1つが正常値に比べて低値を示す患者である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の検出方法。
  5. 前記好中球数の基準が、1000/μL未満である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の検出方法。
  6. 前記好中球数の基準が、500/μL未満であるまたは、1000/μL未満で48時間以内に500/μL未満に減少すると予想される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の検出方法。
  7. 前記がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を、免疫学的測定法により測定する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の検出方法。
  8. 前記がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体を用いて測定する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の検出方法。
  9. 前記sCD14−ST濃度の基準値が500pg/mLである請求項1ないし8のいずれか1項に記載の検出方法。
  10. 前記がん患者が発熱の症状が見られる前の患者である、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の検出方法。
  11. 以下の工程を含む、抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症患者の選択方法:
    1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定する工程、
    2)前記好中球数が好中球数の基準未満であるか否かを判定する工程、
    3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する工程
    4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較する工程および
    5)前記測定値が前記基準値よりも高値であるか否かを判定する工程であって、前記測定値が前記基準値よりも高値であることが、がん患者が抗生剤を投与する対象となる発熱性好中球減少症であることを示す工程
  12. がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定して発熱性好中球減少症を診断するためのキットであって、前記血液検体中のsCD14−ST濃度を測定する手段を含むことを特徴とするキット。
  13. 抗生剤、抗真菌剤、G−CSF、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを有効成分として含有する発熱性好中球減少症治療用組成物であって、
    前記組成物は、がん患者における発熱性好中球減少症の治療に用いられ、前記発熱性好中球減少症のがん患者は、
    1)ん患者由来の血液検体中の好中球数を測定し、
    2)前記好中球数が好中球数の基準未満であり、
    3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定し、
    4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較し、および
    5)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症患者であると判定する、ことにより選択される、前記組成物
  14. 発熱性好中球減少症治療用組成物の製造における、抗生剤、抗真菌剤、G−CSF、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる少なくとも1つの使用であって、
    前記組成物は、がん患者における発熱性好中球減少症の治療に用いられ、
    前記発熱性好中球減少症のがん患者は、
    1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定し、
    2)前記好中球数が好中球数の基準未満であり、
    3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を測定し、
    4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較し、および
    5)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症患者であると判定する、ことにより選択される、前記使用。
  15. 発熱性好中球減少症患者検出用キットの製造における、抗sCD14−ST抗体の使用であって、
    前記キットは、がん患者における発熱性好中球減少症を検出する方法で用いられ、
    前記検出方法は、1)がん患者由来の血液検体中の好中球数を測定し、
    2)前記好中球数が好中球数の基準未満であり、
    3)がん患者由来の血液検体中のsCD14−ST濃度を前記抗sCD14−ST抗体を用いて測定し、
    4)前記sCD14−ST濃度の測定値を基準値と比較し、および
    5)前記測定値が前記基準値よりも高値である場合に、がん患者が発熱性好中球減少症患者であると判定する、ことを含む、前記使用。
  16. 前記キットが免疫学的測定法キットである、請求項15に記載の使用。
  17. 前記抗sCD14−ST抗体は、配列番号2に記載の16アミノ酸残基からなるペプチドを抗原として作製した抗体である、請求項15または16に記載の使用。
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