JP6439515B2 - 眼底画像処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、眼底画像の処理技術に関し、特に、眼底画像を用いて血管領域を強調した画像を得るための技術に関する。
眼科疾患でポピュラーな近視の中に、眼球後極の組織が変性して眼軸が伸び、強度な近視の症状を呈し、場合により失明に至る重篤な疾患「強度近視」が知られている。
現状では、強度近視に対する根治術としては、まだ研究段階であり、実際には、薬物療法や外科治療により病態の症状や進行を抑える対症療法しかないのが現状である。従って、強度近視の治療にあたっては、早期発見が重要となり、基本的には、眼底カメラなどによる継続的な撮影画像に基づく診断がなされることになる。
強度近視は、20年以上の長期に渡るタイムスパンで病態が徐々に進行するため、眼底カメラ等を用いて長期経過の観察が行われることが望ましい。医療画像の進歩に伴い、20年前に撮影された画像と最近撮影された画像では、精度・撮影条件等が異なり、定量的な比較が難しかった。これを解決するため、出願人は、使用されたカメラの機種や撮像条件の異なる眼底画像を整合させ、各種部位の寸法比較等を可能にする画像解析技術を開発している(特許文献1参照)。
特開2013−85583号公報
上記従来の技術では、カメラの機種や撮像条件の異なる眼底画像を整合させるにあたり、ヒトの網膜の主要血管の走行形態はたとえ種々の眼科疾患を患っても一生涯変化しないという前提のもと、視神経乳頭(以下、単に「乳頭」という)の中心と血管を基準に倍率・角度・位置の補正を行っていた。
しかしながら、ヒトの網膜の主要血管は、強度近視疾患など眼球形状の3次元的な変形に伴い、一部の血管走行が変化したり、病気の進行に伴い新生血管が出現したりすることもある。また、動脈硬化や糖尿病といった生活習慣病は血管の病気とも言われ、眼底血管を含む全身の血管に硬化が見られる。そのため、数あるヒトの血管の中で、唯一体表に露出している眼底血管の観察は、眼科疾患に限らず、全身の病気の診断において重要である。しかし、眼底画像から血管部分を特定することは容易ではないという問題がある。
そこで、本発明は、眼底画像から血管径などの血管微細形状を維持したまま血管領域を自動的に抽出することが可能な眼底画像処理装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、本発明第1の態様では、
カラー眼底画像を処理して血管領域を強調するための装置であって、
前記カラー眼底画像に対し、各色成分に所定の演算を施し、第1の色成分が大きい程、画素値が小さくなるように変換してグレースケール眼底画像(Gray)を得るグレースケール変換手段と、
前記グレースケール眼底画像に対して、所定の構造要素を用いてオープニング処理を行い血管候補領域の輝度を一定以上に揃えた線状成分強調画像(Tray)を作成する線状成分強調手段と、
前記線状成分強調画像において、所定の条件を満たす画素値を、変換後の血管強調画像の階調の最小値付近になるように置き換え、前記所定の条件を満たす画素値以上となる前記線状成分強調画像の画素値が、階調の最小値付近の値から最大値の範囲になるように画素の階調を補正し、血管強調画像(Tray´)を作成する画素階調変換手段と、
を有することを特徴とする眼底画像処理装置を提供する。
本発明第1の態様によれば、カラー眼底画像に対し、第1の色成分が大きい程、画素値が小さくなるように変換してグレースケール眼底画像に変換し、グレースケール眼底画像に対して、所定の構造要素を用いてオープニング処理を行い、(好ましくは全ての)血管候補領域の輝度を一定以上に揃えた線状成分強調画像を作成し、線状成分強調画像において、所定の条件を満たす画素値を、変換後の血管強調画像の階調の最小値付近になるように置き換え、所定の条件を満たす画素値以上となる前記線状成分強調画像の画素値が、階調の最小値付近の値から最大値の範囲になるように画素の階調を補正し、血管強調画像を作成するようにしたので、血管領域が抽出された画像として血管強調画像が得られ、眼底画像から血管径などの血管微細形状を維持したまま血管領域を自動的に抽出することが可能となる。特に、血管領域を二値化・細線化せず、グレースケールの状態で血管候補領域を抽出しているため、血管領域以外の粒状成分が抽出されても定量解析への影響を抑えることが可能となる。
また、本発明第2の態様では、前記グレースケール変換手段は、RGB(赤緑青)3原色成分からなる前記カラー眼底画像のG(緑)成分を前記第1の色成分として抽出するものであり、B(青)成分の値が大きい程、値が小さくなるように変換した反転B成分とG成分との相乗平均値を算出し、当該相乗平均値が大きい程、値が小さくなるように変換して前記グレースケール眼底画像を得ることを特徴とする。
本発明第2の態様によれば、3原色成分からなるカラー眼底画像のG成分を第1の色成分として抽出するものであり、B成分の値が大きい程、値が小さくなるように変換した反転B成分とG成分との相乗平均値を算出し、相乗平均値が大きい程、値が小さくなるように変換するようにしたので、眼底周辺の血管領域の抽出精度を高めることが可能となる。特に、B成分を反転させた値を反映させることにより、眼底周辺の照明光量不足により不鮮明な血管をより際立たせたグレースケール眼底画像を得ることができる。
また、本発明第3の態様では、前記線状成分強調手段は、前記グレースケール眼底画像に対して、所定の半径の円形の構造要素である円形構造要素を用いてオープニング処理(収縮・膨張処理)を行ってオープニング画像(Fray)を作成し、前記グレースケール眼底画像より前記オープニング画像を減算することにより、前記線状成分強調画像を作成することを特徴とする。
本発明第3の態様によれば、グレースケール眼底画像に対して、所定の半径の円形の構造要素を用いてオープニング処理を行ってオープニング画像を作成し、グレースケール眼底画像よりオープニング画像を減算した差分画像を作成するようにしたので、血管の線状成分を的確に抽出することができ、過剰な粒状成分の抽出を抑えることが可能となる。
また、本発明第4の態様では、前記線状成分強調手段は、前記グレースケール眼底画像に対して、方向が異なる線形の構造要素である線形構造要素を複数個用いてオープニング処理(収縮・膨張処理)を行い複数の線形オープニング画像を作成し、得られた複数の線形オープニング画像より画素ごとの最大値を画素値として与えた代表線形オープニング画像(Lray)として作成し、前記代表線形オープニング画像に対して、所定の半径の円形の構造要素である円形構造要素を用いてオープニング処理を行い円形オープニング画像(FLray)を作成し、前記代表線形オープニング画像より前記円形オープニング画像を減算することにより、前記線状成分強調画像を作成するようにしていることを特徴とする。
本発明第4の態様によれば、グレースケール眼底画像に対して、方向が異なる直線状の構造要素を複数個を用いてオープニング処理を行い複数の線形オープニング画像を作成し、得られた複数の線形オープニング画像より画素ごとに最大輝度となる画素値を代表線形オープニング画像として作成し、代表線形オープニング画像に対して、所定の半径の円形の構造要素を用いてオープニング処理を行い円形オープニング画像を作成し、代表線形オープニング画像より円形オープニング画像を減算した差分画像を作成するようにしたので、血管に特徴的な線状成分をより高精度に抽出することができ、過剰な粒状成分の抽出をより抑えることが可能となる。
また、本発明第5の態様では、前記線形構造要素は、前記円形構造要素の前記半径の2倍の長さで画素幅が1画素であって、22.5度間隔の直線の少なくとも近傍に配置され、8方向を定義していることを特徴とする。
本発明第5の態様によれば、オープニング処理用の線形構造要素が、円形構造要素の半径の2倍の長さで画素幅が1画素であって、22.5度間隔の直線の少なくとも近傍に配置され、8方向を定義するようにしたので、演算処理の負荷を抑えつつ、あらゆる方向をもつ線状成分を殆ど漏れなく抽出することが可能となる。
また、本発明第6の態様では、前記オープニング処理は、前記グレースケール眼底画像に対して所定の複数回だけ収縮処理を行った後に収縮処理と同一の回数だけ膨張処理を行うようにしていることを特徴とする。
本発明第6の態様によれば、オープニング処理が、与えられたグレースケール眼底画像に対して所定の複数回だけ収縮処理を行った後に収縮処理と同一の回数だけ膨張処理を行うようにしているので、漏れなく線状成分の抽出を行いつつ粒状成分の抽出を抑えることが可能となる。
また、本発明第7の態様では、前記画素階調変換手段は、前記所定の条件を満たす画素値として、前記線状成分強調画像に対して、画素値の度数分布を算出し、前記線状成分強調画像の最小画素値から数えて画素数の総和が前記線状成分強調画像の全画素数の所定の割合(α)を超える画素値のうち最小の画素値(hmin)を設定するようにしていることを特徴とする。
本発明第7の態様によれば、画素階調変換の際の、所定の条件を満たす画素値として、線状成分強調画像に対して、画素値の度数分布を算出し、最小画素値から数えて画素数の総和が線状成分強調画像の全画素数の所定の割合を超える最小の画素値を設定するようにしているので、与えられた画像に含まれる設定された割合の線状成分に相当する画素領域に対して画素値のコントラストを強調することが可能となる。
本発明によれば、眼底画像から血管径などの血管微細形状を維持したまま血管領域を自動的に抽出することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る眼底画像処理装置100のハードウェア構成図である。 本発明の一実施形態に係る眼底画像処理装置の構成を示す機能ブロック図である。 本発明の一実施形態に係る眼底画像処理装置の処理概要を示すフローチャートである。 ステップS200のトップハット変換処理の第1の手法の詳細を示すフローチャートである。 ステップS210の円形構造要素によるオープニング処理の詳細を示すフローチャートである。 トップハット変換処理の第1の手法で用いる円形構造要素の一例を示す図である。 ステップS200のトップハット変換処理の第2の手法の詳細を示すフローチャートである。 ステップS250の線形構造要素によるオープニング処理の詳細を示すフローチャートである。 トップハット変換処理の第2の手法で用いる線形構造要素の一例を示す図である。 方向d=1の場合の線形構造要素の具体的な画素値を示す図である。 方向d=2の場合の線形構造要素の具体的な画素値を示す図である。 従来手法による画像変換事例を示す図である。 第1の手法の線状成分強調を用いた画像変換事例を示す図である。 第2の手法の線状成分強調を用いた画像変換事例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
<1.装置構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る眼底画像処理装置のハードウェア構成図である。本実施形態に係る眼底画像処理装置100は、汎用のコンピュータで実現することができ、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)1と、コンピュータのメインメモリであるRAM(Random Access Memory)2と、CPU1が実行するプログラムやデータを記憶するためのハードディスク、フラッシュメモリ等の大容量の記憶装置3と、キーボード、マウス等のキー入力I/F(インターフェース)4と、3Dプリンタやデータ記憶媒体等の外部装置とデータ通信するためのデータ入出力I/F(インターフェース)5と、液晶ディスプレイ等の表示デバイスである表示部6と、を備え、互いにバスを介して接続されている。
図2は、本実施形態に係る眼底画像処理装置の構成を示す機能ブロック図である。図2において、10はグレースケール変換手段、20は線状成分強調手段、30は画素階調変換手段、40は眼底画像記憶手段、50は血管強調画像記憶手段である。
グレースケール変換手段10は、フルカラー眼底画像に対し、RGB3原色成分に所定の演算を施し、血管候補領域が高い輝度になるようにネガポジ反転させたグレースケール眼底画像に変換する処理を行う。線状成分強調手段20は、グレースケール眼底画像に対して、所定の構造要素を用いてオープニング処理を行い全ての血管候補領域の輝度を一定以上に揃えた線状成分強調画像を作成する処理を行う。画素階調変換手段30は、線状成分強調画像において、所定の条件を満たす画素値を、変換後の血管強調画像の階調の最小値付近の値になるように置き換え、所定の条件を満たす画素値以上となる前記線状成分強調画像の画素値が、階調の最小値付近の値から最大値の範囲になるように画素の階調を補正し、血管強調画像(Tray´)を作成する処理を行う。
グレースケール変換手段10、線状成分強調手段20、画素階調変換手段30は、CPU1が、記憶装置3に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。眼底画像記憶手段40は、可視光・光源方式の眼底カメラを用いてフルカラーで撮影された、血管領域の抽出対象となるフルカラー眼底画像を記憶した記憶手段であり、記憶装置3により実現される。眼底画像処理装置にフルカラー眼底画像を読み込ませて、そのまま処理を行う場合は、RAM2が眼底画像記憶手段40としての役割を果たす。フルカラー眼底画像とは、RGBの3成分により記録された画像データであり、被験者の眼底が撮影されたものである。本実施形態では、RGB各色8ビット256階調で記録されたものを用いている。
血管強調画像記憶手段50は、画素階調変換手段30により血管領域が強調されたグレースケール眼底画像である血管強調画像を記憶する記憶手段であり、記憶装置3により実現される。血管強調画像は、血管領域が強調されて、血管の位置を特定可能な画像であり、8ビット256階調の形式のグレースケール形式で記録される。
図2に示した各構成手段は、現実には図1に示したように、コンピュータおよびその周辺機器等のハードウェアに専用のプログラムを搭載することにより実現される。すなわち、コンピュータが、専用のプログラムに従って各手段の内容を実行することになる。なお、本明細書において、コンピュータとは、CPU等の演算処理部を有し、データ処理が可能な装置を意味し、パーソナルコンピュータなどの汎用コンピュータだけでなく、タブレット等の携帯型端末も含む。
図1に示した記憶装置3には、CPU1を動作させ、コンピュータを、眼底画像処理装置として機能させるための専用のプログラムが実装されている。この専用のプログラムを実行することにより、CPU1は、グレースケール変換手段10、線状成分強調手段20、画素階調変換手段30としての機能を実現することになる。また、記憶装置3は、眼底画像記憶手段40、血管強調画像記憶手段50として機能するだけでなく、眼底画像処理装置としての処理に必要な様々なデータを記憶する。
<2.処理動作>
<2.1.前処理>
まず、処理対象とするフルカラー眼底画像を用意する。フルカラー眼底画像としては、デジタル方式の眼底カメラによりフルカラーで撮影した画像ファイルがあれば、そのまま使用でき、アナログ方式の眼底カメラにより写真媒体に記録された古いものであれば、保管されていたアナログのモノクロまたはカラーのネガ・ポジフィルム、印画紙、インスタント写真等をスキャナによりフルカラーで読み取る等してデジタルのフルカラー眼底画像ファイルを取得する。この時、たとえ原画がモノクロであっても、フルカラーで読み取る。一般には、可視光・光源方式の眼底カメラを用いてフルカラーで撮影することによりフルカラー眼底画像が得られる。取得したフルカラー眼底画像は、眼底画像処理装置の眼底画像記憶手段40に記憶させる。本実施形態では、フルカラー眼底画像としてR,G,B各成分8ビット256階調のカラー画像を用意する。
<2.2.処理概要>
次に、図1、図2に示した眼底画像処理装置の処理動作について説明する。図3は、本発明の一実施形態に係る眼底画像処理装置の処理概要を示すフローチャートである。まず、グレースケール変換手段10が、フルカラー眼底画像に対して、グレースケール変換を行い、グレースケール眼底画像を得る(ステップS100)。
上述のように、処理対象であるフルカラー眼底画像は、各色8ビット256階調の画像データである。したがって、x方向の画素数Xs、y方向の画素数Ysの規制画像は、色成分を示す変数c=0(Red),1(Green),2(Blue)とすると、Image(x,y,c)=0〜255(x=0,・・・,Xs−1;y=0,・・・,Ys−1;c=0,1,2)と定義される。
グレースケール画像への変換の際、フルカラー眼底画像の場合、Image(x,y,c)に対してGreen成分のみを使用する、即ち、Gr(x,y)=Image(x,y,1)により変換する方法が最良であることが知られている(特許文献1参照)。理由は、眼底カメラで使用されている3原色フィルタではGreen成分に比べRedとBlue成分の解像度が低く、これらの分色画像では血管の輪郭が不鮮明になりがちであるためである。しかし、本願発明者は、多くの眼底カメラ画像を分析した結果、Green成分は照明光が十分にあたっている中央付近では鮮明であるが、照明光が弱い周辺部ではGreen成分よりむしろBlue成分の方が鮮明であり、更にBlue成分はGreen成分と異なり、血管部の輝度が周囲に比べて高くなるという反転現象を見出した(眼底画像全般に血管部の輝度は周囲に比べて低くなる)。そこで、本実施形態では、以下の〔数式1〕に従った処理を実行することによりグレースケール変換する手法を提案する。ただし、〔数式1〕は全てのフルカラー眼底画像に適用になるわけではなく、従来から言われているGr(x,y)=Image(x,y,1)により変換する方法の方が適切な眼底画像も少なからず存在するため、これらは与えられた眼底画像ごとに適宜選択する必要がある。グレースケール変換手段10は、以下の〔数式1〕に従った処理を実行することによりグレースケール変換する。
〔数式1〕
Gr(x,y)=[Image(x,y,1)×(255−Image(x,y,2))]1/2
上記〔数式1〕において、Image(x,y,1)は、フルカラー眼底画像のうち、G(グリーン、緑)の成分を示し、Image(x,y,2)は、フルカラー眼底画像のうち、B(ブルー、青)の成分を示している。したがって、上記〔数式1〕においては、各画素のG成分と、B成分をネガポジ反転したものの相乗平均値を求め、グレースケール形式の画像Gr(x,y)を得ている。
さらに、グレースケール変換手段10は、グレースケール形式の画像Gr(x,y)に対して、以下の〔数式2〕に従った処理を実行することによりネガポジ反転してグレースケール眼底画像Gray(x,y)を得る。
〔数式2〕
Gray(x,y)=255−Gr(x,y)
上記〔数式2〕に従った処理を実行して、ネガポジ反転することにより、周囲に比べ輝度が低い血管領域の画素値が高い状態に変換される。ここで、ネガポジ反転とは、元の画素値の大きいもの程小さい値に変換する処理を意味する。
グレースケール眼底画像が得られたら、次に、線状成分強調手段20が、グレースケール眼底画像に対して、トップハット変換を用いて線状成分の強調を行い、線状成分強調画像を得る(ステップS200)。ステップS200におけるトップハット変換については、2通りの手法が存在するので、詳細については後述する。
線状成分強調画像が得られたら、次に、画素階調変換手段30が、線状成分強調画像に対して、階調変換(コントラスト補正)を行い、血管強調画像を得る(ステップS300)。具体的には、まず、画素階調変換手段30は、0〜255の値をもつ、線状成分強調画像Tray(x,y)のXs×Ys個の全画素について、画素値hの度数分布H(h)(h=0,・・・,255)を求める。そして、以下の〔数式3〕に示す条件を満たす最小値hminを求める。
〔数式3〕
Σh=0,hminH(h)≧(Xs×Ys)×α
上記〔数式3〕において、Σの添え字の“h=0,hmin”は、hが0からhminまでの総和を求めることを示している。したがって、上記〔数式3〕に示す条件とは、全画素数(Xs×Ys)のうち、およそ比率α×100%の画素が、画素値hmin以下の画素値となることを示している。比率αとしては、眼底画像中に含まれる血管以外の領域の割合を与える必要があり、この比率は取得された眼底画像ごとに変動するが、平均的には0.7〜0.9、典型的な例として0.8と設定することができる。
上記〔数式3〕に示す条件を満たす最小値hminが求められたら、次に、画素階調変換手段30は、x=0,・・・,Xs−1;y=0,・・・,Ys−1の全画素に対して、以下の〔数式4〕に従った処理を実行し、コントラスト補正を行う。
〔数式4〕
Tray´(x,y)={Tray(x,y)−hmin}×255×β/(255−hmin)
上記〔数式4〕において、βは輝度スケーリング値である。輝度スケーリング値βとしては、設定された比率αに依存し、任意に設定することができるが、α=0.8に設定した場合、好ましくは18.0〜22.0、特に好ましい例として20.0とすることができる。Tray´(x,y)においては、階調の最小値である“0”が血管領域外を示し、血管領域は“1”以上、“255”以下となる。血管領域の最小値は、階調の最小値付近の値が設定される。本実施形態では、階調の最小値付近の値として、階調の最小値+1を設定しているが、それ以上であってもよい。もちろん、血管領域のコントラストを高くするため、階調の最小値+1であることが好ましい。
<2.3.線状成分強調>
線状成分強調は、トップハット変換を用いて行う。トップハット変換とは、一般に、オープニング処理により得られたオープニング画像を元画像から減じる処理を意味し、撮影時の光源ムラの均一化などに利用される。次に、ステップS200におけるトップハット変換の2つの各手法について詳細に説明する。
<2.3.1.第1の手法>
図4は、ステップS200における線状成分強調の第1の手法の処理動作を示すフローチャートである。まず、線状成分強調手段20は、グレースケール変換手段10により得られたグレースケール眼底画像に対して、円形構造要素によるオープニング処理を行う(ステップS210)。一般に、オープニング処理とは、収縮処理および膨張処理の各々を同一回数だけ繰り返し行う処理を意味する。白と黒の二値画像で白を対象としたとき、収縮処理とは、注目画素の周辺に黒い画素があれば黒に置き換えることにより白い画素を削減する処理であり、膨張処理とは、注目画素の周辺に白い画素があれば白に置き換えることにより白い画素を増大させる処理である。
図5は、円形構造要素によるオープニング処理の詳細を示すフローチャートである。まず、線状成分強調手段20は、指定構造要素を用いて収縮処理を行う(ステップS211)。ステップS211の収縮処理では、指定構造要素として円形構造要素を用いる。図6は、第1の手法で用いる円形構造要素の一例を示す図である。図6に示すように、第1の手法では、半径7画素、すなわち中心から距離7画素以下を有効とした15×15のマスク画像の形態である円形構造要素を用いる。図6に示すように、15×15の画素のうち、中心から距離7画素以下の画素値は“1”、その他の中心から距離7を超える画素の画素値は“0”である。
図6に示した円形構造要素はM(u,v)={0,1}(u=−R,・・・0,・・・R;v=−R,・・・0,・・・R)と定義することができる。なお、Rは有効とする半径を示しており、図6の例では、R=7である。半径Rとしては適宜設定することができるが、グレースケール眼底画像Gray(x,y)が1024画素に対しては、R=7程度が好ましい。また、uは図6における横軸、vは図6における縦軸を、それぞれ示す。線状成分強調手段20は、円形構造要素M(u,v)を用いて、上記〔数式2〕に従った処理を実行して得られたグレースケール眼底画像Gray(x,y)に対して、以下の〔数式5〕に従った処理を実行し、収縮画像Eray(x,y)を得る。
〔数式5〕
Eray(x,y)=MINu=-R,R;v=-R,R[(255−M(u,v)×254)×(Gray(x+u,y+v)+1)−1]
上記〔数式5〕において、MINは最小値をとることを示しており、MINの添え字の“u=−R,R;v=−R,R”は、u,vが−RからRの範囲における演算を行うことを示している。すなわち、“x=R,・・・,Xs−R−1;y=R,・・・,Ys−R−1“の各画素Gray(x,y)に対して、“u=−R,R;v=−R,R”の隣接画素内でM(u,v)=1である画素値の最小値に変換を行っている。したがって、図6の例では、円形構造要素の(2R+1)×(2R+1)画素として225画素を用いて演算を行い、その最小値がEray(x,y)として与えられることになる。
上記〔数式5〕に従った処理を実行して収縮画像Eray(x,y)が得られたら、このEray(x,y)をGray(x,y)に置き換えて、上記〔数式5〕に従った処理を繰り返し実行することもできる。すなわち、ステップS211における収縮処理を繰り返し実行しても良い。繰り返しの回数は、適宜設定することが可能である。ただし画質劣化を抑えるため、通常は1回に設定し繰り返しを行わない。
収縮処理を繰り返し実行して収縮画像Eray(x,y)が得られたら、次に、線状成分強調手段20は、指定構造要素を用いて膨張処理を行う(ステップS212)。ステップS212の膨張処理では、収縮処理に用いた円形構造要素を指定構造要素として用いる。すなわち、図6に示した円形構造要素を用いる。線状成分強調手段20は、円形構造要素M(u,v)を用いて、収縮画像Eray(x,y)に対して、以下の〔数式6〕に従った処理を実行し、膨張後の画像Fray(x,y)を得る。
〔数式6〕
Fray(x,y)=MAXu=-R,R;v=-R,R[M(u,v)×Eray(x+u,y+v)]
上記〔数式6〕において、MAXは最大値をとることを示しており、MAXの添え字の“u=−R,R;v=−R,R”は、u,vが−RからRの範囲における演算を行うことを示している。すなわち、“x=R,・・・,Xs−R−1;y=R,・・・,Ys−R−1“の各画素Eray(x,y)に対して、“u=−R,R;v=−R,R”の隣接画素内でM(u,v)=1である画素値の最大値に変換を行っている。したがって、図6の例では、円形構造要素の(2R+1)×(2R+1)画素として225画素を用いて演算を行い、その最大値がFray(x,y)として与えられることになる。
上記〔数式6〕に従った処理を実行して膨張後の画像Fray(x,y)が得られたら、このFray(x,y)をEray(x,y)に置き換えて、上記〔数式6〕に従った処理を繰り返し実行することもできる。すなわち、ステップS212における膨張処理を繰り返し実行しても良い。繰り返しの回数は、ステップS211の収縮処理の繰り返しの回数と同じ回数に設定する必要があり、通常は収縮処理とも1回に設定し、繰り返しは行わない。
収縮処理を所定回数繰り返し実行して得られた膨張後の画像Fray(x,y)は、微細な粒状ノイズが削除され、線状成分などの特徴パターンが強調されたオープニング画像となる。ただし、この段階では光源ムラなどの低周波成分が残留する。このオープニング画像が得られたら、次に、線状成分強調手段20は、グレースケール眼底画像からの減算処理を行う(ステップS220)。これにより、グレースケール眼底画像およびオープニング画像に含まれる光源ムラなどの低周波成分がキャンセルされ、オープニング画像で強調された特徴パターンが主として残留する。具体的には、線状成分強調手段20は、元のグレースケール眼底画像Gray(x,y)、オープニング画像Fray(x,y)を用いて、以下の〔数式7〕に従った処理を実行し、線状成分強調画像Tray(x,y)を得る。
〔数式7〕
Tray(x,y)=Gray(x,y)−Fray(x,y)+128
上記〔数式7〕に示すように、線状成分強調画像Tray(x,y)は、元のグレースケール眼底画像Gray(x,y)、オープニング画像Fray(x,y)の各画素(x=0,・・・,Xs−1;y=0,・・・,Ys−1)に対して差分演算を行い、128だけオフセットを加えたものである。このオフセット加算する整数値は、画素値が0から255の範囲に収まるように画像の階調値256の1/2の値としている。このオフセット加算は、単に差分演算を行うと、画素値が0近傍に集中し一部の画素は負値になるため、画素値が0から255の範囲に収まるように行っている。
<2.3.2.第2の手法>
図7は、ステップS200における線状成分強調の第2の手法の処理動作を示すフローチャートである。まず、線状成分強調手段20は、グレースケール変換手段10により得られたグレースケール眼底画像に対して、線形構造要素によるオープニング処理を行う(ステップS250)。
図8は、線形構造要素によるオープニング処理の詳細を示すフローチャートである。まず、線状成分強調手段20は、8種の線形構造要素によるオープニング処理を行う(ステップS251)。ステップS251のオープニング処理では、指定構造要素として8種の線形構造要素を用いる。図9は、第2の手法で用いる線形構造要素の一例を示す図である。図9に示すように、第2の手法では、半径7画素、すなわち中心から距離7画素以下を有効とした15×15のマスク画像の形態である線形構造要素を用いる。
図9に示す線形構造要素は、マスクとしての役割を果たすものであるため、二値画像である。そのため、図9において、“0”と表記された画素の値は“0”であるが、“0”以外の数値が表記された画素の値は、8種類の各方向dに応じて“1”となり、他の方向のとき“0”である。図9における“0”以外の数字は方向を示している。“1”は水平方向(図面左右方向)であり、以後数字が1増えるに従って22.5度間隔で方向が変化する。“2” “4”“6”“8”については、画素の格子状配置の関係から、同一数字の列が直線上に配列することができないため、近傍の区画に配置されている。“234”や“678”などの3桁の数字は、それぞれ“2” “3”“4”の3方向、“6”“7”“8”の3方向のいずれかの方向の場合に、画素値が“1”となることを示している。なお、“9”は中心となる画素を示しており、中心となる画素の値は常に“1”である。
図9に示すように、線形構造要素は、円形構造要素の半径Rの2倍の長さで画素幅が1画素であって、22.5度間隔の直線の少なくとも近傍に配置され、8方向を定義したものとなる。実際には、各方向において画素値“1”が与えられる連続する画素は、直線となることが好ましいが、線形構造要素の全体画素数が少ない場合は、必ずしも直線にならない。そのため、図9の例では、“2” “4”“6”“8”で示す方向については、直線ではなく、画素値“1”となる画素は、22.5度間隔の直線の近傍に配置されることになる。
実際に用いる線形構造要素は、中心から半径7画素の条件を追加したものとなる。すなわち、図9に示した線形構造要素と、図6に示した円形構造要素の論理積(AND)をとったものとなる。例えば、方向d=1の場合は、図10に示したような二値のマスク画像が得られる。また、方向d=2の場合は、図11に示したような二値のマスク画像が得られる。
図9に示した線形構造要素はM(d,u,v)={0,1}(d=1,・・・,8;u=−R,・・・,0,・・・,R;v=−R,・・・,0,・・・,R)と定義することができる。なお、Rは有効とする半径を示しており、図9の例では、R=7である。また、uは図9における横軸、vは図9における縦軸を、それぞれ示す。線状成分強調手段20は、線形構造要素M(d,u,v)を用いて、上記〔数式2〕に従った処理を実行して得られたグレースケール眼底画像Gray(x,y)に対して、以下の〔数式8〕に従った処理を実行し、収縮画像Edray(x,y)を得る。
〔数式8〕
Edray(d,x,y)=MINu=-R,R;v=-R,R[(255−M(d,u,v)×254)×(Gray(x+u,y+v)+1)−1]
上記〔数式8〕において、MINは最小値をとることを示しており、MINの添え字の“u=−R,R;v=−R,R”は、u,vが−RからRの範囲における演算を行うことを示している。すなわち、“x=R,・・・,Xs−R−1;y=R,・・・,Ys−R−1“の各画素Gray(x,y)に対して、“u=−R,R;v=−R,R”の隣接画素内でM(u,v)=1である画素値の最小値に変換を行っている。したがって、図9の例では、線形構造要素の(2R+1)×(2R+1)画素として225画素を用いて演算を行い、その最小値がEdray(x,y)として与えられることになる。
上記〔数式8〕に従った処理を実行して収縮画像Edray(d,x,y)が得られたら、このEdray(d,x,y)をGray(x,y)に置き換えて、上記〔数式8〕に従った処理を繰り返し実行することもできる。すなわち、第1の手法のステップS211における収縮処理と同様、繰り返し実行しても良い。繰り返しの回数は、適宜設定することが可能である。ただし、通常は画質劣化を抑えるため、1回に設定し繰り返しは行わない。8つの各方向dについて行うことにより、d=1〜8の8種の収縮画像Edray(d,x,y)が得られる。
収縮処理を繰り返し実行して8種の収縮画像Edray(d,x,y)が得られたら、次に、線状成分強調手段20は、収縮処理に用いた線形構造要素を指定構造要素として用いて膨張処理を行う。具体的には、線形構造要素M(d,u,v)を用いて、収縮画像Edray(d,x,y)に対して、以下の〔数式9〕に従った処理を実行し、膨張後の画像Fdray(d,x,y)を得る。
〔数式9〕
Fdray(d,x,y)=MAXu=-R,R;v=-R,R[M(d,u,v)×Edray(d,x+u,y+v)]
上記〔数式9〕において、MAXは最大値をとることを示しており、MAXの添え字の“u=−R,R;v=−R,R”は、u,vが−RからRの範囲における演算を行うことを示している。すなわち、“x=R,・・・,Xs−R−1;y=R,・・・,Ys−R−1“の各画素Edray(d,x,y)に対して、“u=−R,R;v=−R,R”の隣接画素内でM(d,u,v)=1である画素値の最大値に変換を行っている。したがって、図9の例では、線形構造要素の(2R+1)×(2R+1)画素として225画素を用いて演算を行い、その最大値がFdray(d,x,y)として与えられることになる。
上記〔数式9〕に従った処理を実行して膨張後の画像Fdray(d,x,y)が得られたら、このFdray(d,x,y)をEdray(d,x,y)に置き換えて、上記〔数式9〕に従った処理を繰り返し実行することもできる。すなわち、ステップS212における膨張処理と同様、繰り返し実行しても良い。繰り返しの回数は、収縮処理の繰り返しの回数と同じ回数にする必要があり、通常は収縮処理とも1回に設定し繰り返しは行わない。8つの各方向dについて行うことにより、d=1〜8の8種の膨張後の画像Fdray(d,x,y)が得られる。収縮および膨張を行った結果得られる画像は、線形オープニング画像Fdray(d,x,y)として得られる。
次に、線状成分強調手段20は、8種の線形オープニング画像の最大値画像を作成する処理を行う(ステップS252)。具体的には、以下の〔数式10〕に従った処理を実行し、最大値画像Lray(x,y)を得る。
〔数式10〕
Lray(x,y)=MAXd=1,8Fdray(d,x,y)
上記〔数式10〕において、MAXは最大値をとることを示しており、MAXの添え字の“d=1,8”は、8種の全ての線形オープニング画像Fdray(d,x,y)における演算を行うことを示している。すなわち、各画素(x,y)について、8種の線形オープニング画像Fdray(d,x,y)の最大値を取得する処理を行っている。この結果、最大値の画像である代表線形オープニング画像Lray(x,y)が得られる。
次に、線状成分強調手段20は、ステップS250において得られた代表線形オープニング画像Lray(x,y)に対して、円形構造要素によるオープニング処理を行う(ステップS260)。具体的には、第1の手法におけるステップS210と同様の処理を行う。まず、線状成分強調手段20は、指定構造要素である円形構造要素を用いて収縮処理を行う。ステップS260における収縮処理でも、図6に示した円形構造要素M(u,v)を用いる。線状成分強調手段20は、円形構造要素M(u,v)を用いて、線状成分強調画像Lray(x,y)に対して、以下の〔数式11〕に従った処理を実行し、収縮画像ELray(x,y)を得る。
〔数式11〕
ELray(x,y)=MINu=-R,R;v=-R,R[(255−M(u,v)×254)×(Lray(x+u,y+v)+1)−1]
上記〔数式11〕において、MINは最小値をとることを示しており、MINの添え字の“u=−R,R;v=−R,R”は、u,vが−RからRの範囲における演算を行うことを示している。すなわち、“x=R,・・・,Xs−R−1;y=R,・・・,Ys−R−1“の各画素Lray(x,y)に対して、“u=−R,R;v=−R,R”の隣接画素内でM(u,v)=1である画素値の最小値に変換を行っている。したがって、図6の例では、円形構造要素の(2R+1)×(2R+1)画素として225画素を用いて演算を行い、その最小値がELray(x,y)として与えられることになる。
上記〔数式11〕に従った処理を実行して収縮画像ELray(x,y)が得られたら、このELray(x,y)をLray(x,y)に置き換えて、上記〔数式11〕に従った処理を繰り返し実行することもできる。すなわち、収縮処理を繰り返し実行しても良い。繰り返しの回数は、適宜設定することが可能である。ただし、通常は画質劣化を抑えるため1回に設定し、繰り返しは行わない。
収縮処理を繰り返し実行して収縮画像ELray(x,y)が得られたら、次に、線状成分強調手段20は、指定構造要素である円形構造要素を用いて膨張処理を行う。ステップS260における膨張処理でも、収縮処理に用いた図6に示す円形構造要素M(u,v)を用いる。線状成分強調手段20は、円形構造要素M(u,v)を用いて、収縮画像ELray(x,y)に対して、以下の〔数式12〕に従った処理を実行し、膨張後の画像FLray(x,y)を得る。
〔数式12〕
FLray(x,y)=MAXu=-R,R;v=-R,R[M(u,v)×ELray(x+u,y+v)]
上記〔数式12〕において、MAXは最大値をとることを示しており、MAXの添え字の“u=−R,R;v=−R,R”は、u,vが−RからRの範囲における演算を行うことを示している。すなわち、“x=R,・・・,Xs−R−1;y=R,・・・,Ys−R−1“の各画素ELray(x,y)に対して、“u=−R,R;v=−R,R”の隣接画素内でM(u,v)=1である画素値の最大値に変換を行っている。したがって、図6の例では、円形構造要素の(2R+1)×(2R+1)画素として225画素を用いて演算を行い、その最大値がFray(x,y)として与えられることになる。
上記〔数式12〕に従った処理を実行して膨張後の画像FLray(x,y)が得られたら、このFLray(x,y)をELray(x,y)に置き換えて、上記〔数式12〕に従った処理を繰り返し実行することもできる。すなわち、膨張処理を繰り返し実行しても良い。繰り返しの回数は、収縮処理の繰り返しの回数と同じ回数に設定する必要があるが、通常は収縮処理とも1回に設定し繰り返しは行わない。
収縮処理を所定回数繰り返し実行して得られた膨張後の画像FLray(x,y)は、微細な粒状ノイズが削除された円形オープニング画像となる。この円形オープニング画像が得られたら、次に、線状成分強調手段20は、代表線形オープニング画像からの減算処理を行う(ステップS270)。具体的には、線状成分強調手段20は、代表線形オープニング画像Lray(x,y)、円形オープニング画像FLray(x,y)を用いて、以下の〔数式13〕に従った処理を実行し、線状成分強調画像Tray(x,y)を得る。
〔数式13〕
Tray(x,y)=Lray(x,y)−FLray(x,y)+128
上記〔数式13〕に示すように、線状成分強調画像Tray(x,y)は、代表線形オープニング画像Lray(x,y)、円形オープニング画像FLray(x,y)の各画素(x=0,・・・,Xs−1;y=0,・・・,Ys−1)に対して差分演算を行い、128を加算したものである。オフセット加算する整数値は、画素値0から255の範囲に収まるように画像の階調値256の1/2の値としている。単に差分演算を行うと、画素値が0近傍に集中し一部の画素が負値になる。したがって、画素値0から255の範囲に収まるようにオフセットを加えている。
第2の手法では、8種類の方向に従って8種の線形オープニング画像に対して処理を行うため、22.5度の均等間隔で変更させた各方向に均等に粒状成分の抽出を抑えることができる。作成する画像の数も方向に応じた8個だけであるため、演算処理の負荷を抑えることができる。
<3.画像変換事例>
図12〜図14を用いて画像変換事例について説明する。図12は、従来手法による画像変換事例を示す図である。図12(a)は、撮影により得られたフルカラー眼底画像である。図12(b)は、図12(a)に示したフルカラー眼底画像をグレースケール化した後、256階調中のしきい値220により二値化した二値画像である。図12(c)は、図12(a)に示したフルカラー眼底画像をグレースケール化した後、領域ごとに異なるしきい値を用いて二値化した二値画像である。図12(d)は、米国のSTAREプロジェクトで作成されたツールを用いて得られた画像である。図12(b)〜図12(d)のいずれも血管のみを適切に抽出できてはいない。
図13は、本発明において、第1の手法の線状成分強調を行った画像変換事例を示す図である。図13(a)は、図12(a)と同じものであり、撮影により得られたフルカラー眼底画像である。図13(b)は、図12(a)に示したフルカラー眼底画像を、グレースケール変換手段10により変換して得られたグレースケール眼底画像Grayである。図13(c)は、図13(b)に示したグレースケール眼底画像Grayを、線状成分強調手段20(ステップS210,S220)により変換して得られた線状成分強調画像Trayである。図13(d)は、図13(c)に示した線状成分強調画像Trayを、画素階調変換手段30により変換して得られた血管強調画像Tray´である。図13(d)に示した血管強調画像Tray´では、血管が適切に抽出されているが、粒状成分の残留が目立つ。
図14は、本発明において、第2の手法の線状成分強調を行った画像変換事例を示す図である。図14(a)は、図12(a)および図13(a)と同じものであり、撮影により得られたフルカラー眼底画像である。図14(b)は、図14(a)に示したフルカラー眼底画像を、グレースケール変換手段10により変換して得られたグレースケール眼底画像Grayであり、図13(b)と同一である。図14(c)は、図14(b)に示したグレースケール眼底画像Grayを、線状成分強調手段20(ステップS250〜S270)により変換して得られた線状成分強調画像Trayである。図14(d)は、図14(c)に示した線状成分強調画像Trayを、画素階調変換手段30により変換して得られた血管強調画像Tray´である。図14(d)に示した血管強調画像Tray´では、血管が適切に抽出されており、図13(d)に比べ残留する粒状成分が低減していることがわかる。
<4.変形例等>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、線形構造要素においてd=1・・・8として8方向を設定したが、図9に示す線形構造要素を7方向以下に削減するか9方向以上に拡充し、より粗いまたは細かい角度ステップで線形オープニング画像を作成するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、撮影により得られた眼底画像としてフルカラー画像を用いたが、近年業務用のデジタルカメラの階調は10ビット以上に拡大しており、各色1024階調等のフルカラー画像を取得することも可能になっており、より階調数の多いカラー画像を用いてもよい。
1・・・CPU(Central Processing Unit)
2・・・RAM(Random Access Memory)
3・・・記憶装置
4・・・キー入力I/F
5・・・データ入出力I/F
6・・・表示部
10・・・グレースケール変換手段
20・・・線状成分強調手段
30・・・画素階調変換手段
40・・・眼底画像記憶手段
50・・・血管強調画像記憶手段
100・・・眼底画像処理装置

Claims (8)

  1. カラー眼底画像を処理して血管領域を強調するための装置であって、
    前記カラー眼底画像に対し、各色成分に所定の演算を施し、第1の色成分が大きい程、画素値が小さくなるように変換してグレースケール眼底画像を得るグレースケール変換手段と、
    前記グレースケール眼底画像に対して、所定の構造要素を用いてオープニング処理を行い血管候補領域の輝度を一定以上に揃えた線状成分強調画像を作成する線状成分強調手段と、
    前記線状成分強調画像において、所定の条件を満たす画素値を、変換後の血管強調画像の階調の最小値付近の値になるように置き換え、前記所定の条件を満たす画素値以上となる前記線状成分強調画像の画素値が、階調の最小値付近の値から最大値の範囲になるように画素の階調を補正し、血管強調画像を作成する画素階調変換手段と、 を有することを特徴とする眼底画像処理装置。
  2. 前記グレースケール変換手段は、RGB3原色成分からなる前記カラー眼底画像のG成分を前記第1の色成分として抽出するものであり、B成分の値が大きい程、値が小さくなるように変換した反転B成分とG成分との相乗平均値を算出し、当該相乗平均値が大きい程、値が小さくなるように変換して前記グレースケール眼底画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の眼底画像処理装置。
  3. 前記線状成分強調手段は、前記グレースケール眼底画像に対して、所定の半径の円形の構造要素である円形構造要素を用いてオープニング処理(収縮・膨張処理)を行ってオープニング画像を作成し、前記グレースケール眼底画像より前記オープニング画像を減算することにより、前記線状成分強調画像を作成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼底画像処理装置。
  4. 前記線状成分強調手段は、前記グレースケール眼底画像に対して、方向が異なる線形の構造要素である線形構造要素を複数個用いてオープニング処理(収縮・膨張処理)を行い複数の線形オープニング画像を作成し、得られた複数の線形オープニング画像より画素ごとの最大値を画素値として与えた代表線形オープニング画像として作成し、前記代表線形オープニング画像に対して、所定の半径の円形の構造要素である円形構造要素を用いてオープニング処理を行い円形オープニング画像を作成し、前記代表線形オープニング画像より前記円形オープニング画像を減算することにより、前記線状成分強調画像を作成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の眼底画像処理装置。
  5. 前記線形構造要素は、前記円形構造要素の前記半径の2倍の長さで画素幅が1画素であって、22.5度間隔の直線の少なくとも近傍に配置され、8方向を定義していることを特徴とする請求項4に記載の眼底画像処理装置。
  6. 前記オープニング処理は、前記グレースケール眼底画像に対して所定の複数回だけ収縮処理を行った後に収縮処理と同一の回数だけ膨張処理を行うようにしていることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の眼底画像処理装置。
  7. 前記画素階調変換手段は、
    前記所定の条件を満たす画素値として、前記線状成分強調画像に対して、画素値の度数分布を算出し、前記線状成分強調画像の最小画素値から数えて画素数の総和が前記線状成分強調画像の全画素数の所定の割合を超える画素値のうち最小の画素値を設定するようにしていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の眼底画像処理装置。
  8. コンピュータを、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の眼底画像処理装置として機能させるためのプログラム。
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