JP6438672B2 - 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法 - Google Patents

藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6438672B2
JP6438672B2 JP2014085587A JP2014085587A JP6438672B2 JP 6438672 B2 JP6438672 B2 JP 6438672B2 JP 2014085587 A JP2014085587 A JP 2014085587A JP 2014085587 A JP2014085587 A JP 2014085587A JP 6438672 B2 JP6438672 B2 JP 6438672B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
culture
salinity
enrichment
microalgae
culturing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014085587A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015204758A (ja
Inventor
鈴木 健吾
健吾 鈴木
良平 中野
良平 中野
秀行 足立
秀行 足立
綾香 中島
綾香 中島
絵梨子 吉田
絵梨子 吉田
田▲崎▼ 雅晴
雅晴 田▲崎▼
洋一 黒岩
洋一 黒岩
啓輔 小島
啓輔 小島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Euglena Co Ltd
Original Assignee
Shimizu Corp
Euglena Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp, Euglena Co Ltd filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP2014085587A priority Critical patent/JP6438672B2/ja
Priority to PCT/JP2015/061747 priority patent/WO2015159959A1/ja
Priority to US15/304,601 priority patent/US10047338B2/en
Publication of JP2015204758A publication Critical patent/JP2015204758A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6438672B2 publication Critical patent/JP6438672B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、ベタイン等の浸透圧調整物質を高濃度に含有する藻類を培養する藻類培養方法及びかかる物質の製造方法に関する。
ベタインは、従来から、化粧品の保湿剤、調味料及び風味改良剤などに用いられ、甜菜糖(ショ糖)製造に伴って生じる副次産物ビートモラセスから、主に化学的に回収する方法や、イオン交換樹脂を用いて回収する方法などにより、一定の工業生産が実施されてきた(例えば、特許文献1)。
特開平6−107611号公報
近年、ベタインに、肝臓疾患、心疾患の改善、筋力増強作用等の薬理作用、酪農飼料や養殖餌料としての新たな有効性が認知される様になり、今後に、その需要増が見込まれている。
しかしながら、これまでのベタイン生産は、ショ糖製造の副産物からの二次利用規模での生産に留まっており、ベタインを主たる生産物として積極的に生産する方法は存在せず、かかる需要増に対する対応が必要な状況にあった。
かかる課題に対し、ベタインを高含有する原料を新たに調査した結果、好塩環境に生育する微細藻類が、ベタインを従来原料よりも150倍近く高含有で蓄積するという知見を得て、微細藻類を用いた原料生産方法等に関する研究開発を鋭意実施した。
結果、単純な工程で、効率よくベタイン等の浸透圧調整物質を製造可能な藻類培養方法及びかかる物質の製造方法を提供する本発明に至った。
上記の課題を解決するために、本発明の要旨とするところは、次の(1)〜(7)である。
(1)20℃〜50℃の温度条件と、pH3〜pH9のpH条件と、培養の最終塩分濃度が10重量%以上30重量%以下となるように調整される塩分濃度条件と、のうち少なくとも一つを複数の異なる条件とすることで得られる複数の異なる培養条件を用いて、環境試料或いは該環境試料由来の微細藻類の培養物を、光独立栄養条件下で、それぞれ培養することにより、ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含み、且つ微細藻類叢の優占種が相互に異なる複数の集積培養物を調製し、前記複数の集積培養物は、pH3、20℃及び塩分濃度10〜20%、又は、pH3、30℃及び塩分濃度20%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH3、40〜50℃及び塩分濃度10%で培養して得た、紅藻を優占種とする集積培養物、pH5、20〜30℃及び塩分濃度10〜30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、糸状藍藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH7、20℃及び塩分濃度10〜30%、又は、pH7、30℃及び塩分濃度30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH7、50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、20℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、球状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、30℃及び塩分濃度30%、又は、pH9、40〜50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物から選択される集積培養物調製工程と、
前記複数の集積培養物から、本培養の実施期間中に想定される培地の温度変動とpH変動に応じて至適集積培養物を選択して、前記本培養の実施期間中における一連の培養運転を想定する培養計画を作成する工程と、
前記培養計画に基づいて、更に、光独立栄養条件下、10重量%以上の塩分濃度条件にて前記本培養を実施し、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含む本培養物を作製する本培養工程と、を行うことを特徴とする藻類培養方法。
(2)前記本培養工程と同時及び/又は後に、前記本培養物から、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを分離して取得することを特徴とする(1)記載の藻類培養方法。
(3)前記本培養工程では、10重量%以上30重量%以下の塩分濃度条件で、かつ30℃以上50℃未満の温度条件で、前記本培養を行うことを特徴とする(1)又は(2)記載の藻類培養方法。
(4)前記集積培養物調製工程では、前記微細藻類が生息する自然環境から採取された環境試料を用いて培養することを特徴とする(1)乃至(3)いずれか記載の藻類培養方法。
(5)前記本培養工程において、捕食生物による捕食により、前記微細藻類細胞数の減少を回避するために前記複数の集積培養物から、現状の培養温度とpH4以下で生育可能な前記集積培養物を選択し、選択した前記集積培養物を用いて、pH4以下にて前記本培養を行う集積培養物変更工程を行うことを特徴とする(1)乃至(4)いずれか記載の藻類培養方法。
(6)前記本培養工程は、通年に亘って実施され、
前記集積培養物変更工程は、年間における気温変化に応じて実施されることを特徴とする(5)記載の藻類培養方法。
(7)20℃〜50℃の温度条件と、pH3〜pH9のpH条件と、培養の最終塩分濃度が10重量%以上30重量%以下となるように調整される塩分濃度条件と、のうち少なくとも一つを複数の異なる条件とすることで得られる複数の異なる培養条件を用いて、微細藻類を含む環境試料或いは該環境試料由来の微細藻類の培養物を、光独立栄養条件下で、それぞれ培養することにより、ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含み、且つ微細藻類叢の優占種が相互に異なる複数の集積培養物を調製し、前記複数の集積培養物は、pH3、20℃及び塩分濃度10〜20%、又は、pH3、30℃及び塩分濃度20%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH3、40〜50℃及び塩分濃度10%で培養して得た、紅藻を優占種とする集積培養物、pH5、20〜30℃及び塩分濃度10〜30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、糸状藍藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH7、20℃及び塩分濃度10〜30%、又は、pH7、30℃及び塩分濃度30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH7、50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、20℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、球状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、30℃及び塩分濃度30%、又は、pH9、40〜50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物から選択される集積培養物調製工程と、
前記複数の集積培養物から、本培養の実施期間中に想定される培地の温度変動とpH変動に応じて至適集積培養物を選択して、前記本培養の実施期間中における一連の培養運転を想定する培養計画を作成する工程と、
前記培養計画に基づいて、更に、光独立栄養条件下、10重量%以上の塩分濃度条件にて前記本培養を実施し、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含む本培養物を作製する本培養工程と、
該本培養工程と同時及び/又は後に、前記本培養物から、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを分離して取得する工程と、を行うことを特徴とするベタイン或いはグルコシルグリセロール製造方法。
本発明では、かかる集積培養物調製工程と、培養計画工程と、本培養工程と、を実施するため、集積培養物調製工程で調製された複数の集積培養物のバラエティのストックから、本培養工程にて推定される、温度変動、pH変動に応じて、最適な集積培養物を選択して、より確実性の高い安定的なマルチカルチャーたる本培養を計画することができる。
結果、単一の種を培養し、そのために生育温度条件が限定されるモノカルチャーが主流であった従来の微細藻類商業生産技術と異なり、本発明によって、生産性の季節変動が抑制され、微細藻類生産を通年に亘って安定的に実施することができるようになった。例えば、季節によって、冬季はペディノ藻、夏季は藍藻と、環境温度に応じて優占種が異なる集積培養物を選択し使い分けることで、通年に亘る培養を実施することができる様になった。
また、従来は、長期に亘って培養液を使い回しする際、モノカルチャーでの連作が主流であったため、オートインヒビターの存在により、対象の微細藻類が増殖阻害を受け、生産が滞る場合があったが、本発明では、培養時期の温度変動、pH変動に応じて最適な集積培養物を選択し、適時、藻類種を切変えて培養を実施し、単一集積培養物の連作によるオートインヒビター等の障害を少なからず回避した、通年培養に亘る安定した微細藻類生産を実施することができる。
更に、本発明では、集積培養物調製工程と本培養工程とを、微細藻類による光独立栄養条件下で行うため、光合成によって二酸化炭素を取り込みながら、その変換物として有用物質たるベタイン或いはグルコシルグリセロールを製造するので、温室効果ガスによる地球温暖化の抑制に一定の寄与を果たすことができる。
ところで、前記集積培養物調製工程では、前記微細藻類が生息する自然環境から採取された前記液状体又は前記土壌を培養してもよい。これらを培地に添加して、温度と塩分濃度とを一定の値に保持するという単純な工程で、コンタミネーションを抑制しながら、バラエティに富んだ集積培養物を調整することができる。
なお、本発明では、集積培養から本培養を通じて、培養の最終塩分濃度が10重量%以上30重量%以下となるように調整するため、各集積培養物は、高塩分濃度耐性を備えた微生物に限定される。これにより、好塩性の微生物以外の生物、例えば、ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類の捕食者たる原生動物や他の藻類のコンタミネーションの増殖を抑制し、目的微細藻類の生産性を確保する、コンタミ影響に対する予防的措置を講じた培養を図ることができる。
また、上記の予防的措置をもっても防御することができず、捕食生物の増加が観察された、或いは予見された場合には、この影響を回避するために、前記複数の集積培養物から、当面の培養温度と概してpH4以下で生育可能な集積培養物を新たに選択し、かかる集積培養物を用いてかかるpH条件にて本培養を実施することにより、ベタイン等の生産性を確保しつつ、捕食生物等を容易に駆除することができる。
このように、本発明であるところの微細藻類の培養方法では、捕食生物や他の微生物のコンタミネーションに対して、予防的措置と効果的駆除方法を実施し得る要件を満たす設定が可能であり、この設定により長期に亘る安定的なベタイン等の生産を実施することができる。
また、本発明によれば、本実施形態のベタイン等の合成能を有する微細藻類を用いることにより、光合成による単純な工程で、二酸化炭素を取り込み、この二酸化炭素を食品産業、医薬品産業、飼料産業など多くの産業で利用可能な有用物質ベタイン等に変換することが可能になる。
本発明の実施フローを示す概念図である。 本実施形態の集積培養物調製工程で得られる集積培養物の例を示す図表である。 かかる集積培養物の浸透圧調整物質をHPLC分析した結果を示す図表である。 本実施形態の培養計画工程での集積培養物の選択例を示す図表である。
以下、本発明の一実施形態に係る藻類培養方法及びベタイン等の製造方法について、説明する。
本明細書において、ベタイン(Betaine)は、トリメチルグリシン(N,N,N-trimethylglycine:C5H11NO2)を意味し、グリシンベタイン、無水ベタイン、TMG等とも呼ばれている。
本実施の形態に係る藻類培養方法及び製造方法は、温度条件と、pH条件と、培養の最終塩分濃度が10重量%以上30重量%以下となるように調整される塩分濃度条件と、のうち少なくとも一つを複数の異なる条件とすることで得られる複数の異なる培養条件を用いて、環境試料或いは環境試料由来の微細藻類の培養物を、光独立栄養条件下で、それぞれ培養することにより、乾燥重量当たり1重量%以上のベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含み、且つ微細藻類叢の優占種が相互に異なる複数の集積培養物を調製する集積培養物調製工程と、前記複数の集積培養物から、本培養の実施期間中に想定される培地の温度変動とpH変動に応じて至適集積培養物を選択して、かかる本培養期間中における一連の培養運転を想定する培養計画工程と、前記培養計画に基づいて、更に、光独立栄養条件下、10重量%以上の塩分濃度条件にて前記本培養を実施し、乾燥重量当たり1重量%以上のベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含む本培養物を作製する本培養工程と、該本培養工程と同時及び/又は後に、前記本培養物から、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを分離して取得する工程と、を行うことを特徴とするベタイン或いはグルコシルグリセロール製造方法である。
前記本実施形態のベタイン或いはグルコシルグリセロール含有微細藻類とは、ベタイン或いはグルコシルグリセロールを藻体内に蓄積する微細藻類をいう。ベタイン或いはグルコシルグリセロール含有微細藻類が存在する環境として、概ね10重量%以上の溶質濃度を有する水分が含まれる環境を挙げることができる。
具体的には、潮間帯、塩分が析出した土壌(塩地)、潮溜り(潮溜)、温泉等の自然環境の他、原油掘削プラントや製塩/製糖プラント等の側溝や屋外資材貯留場においても、かかる微細藻類の存在が確認されており、この様な場所がかかる微細藻類を含む環境試料の採取地として好ましい。かかる環境試料は、液体状でも固体状でも良い。また、採取地は国内であっても良いし、国外であっても良いが、本培養の実施国で採取された環境試料或いは環境試料由来の微細藻類の培養物を用いることを推奨する。これらの採取地の水又は土壌には、本発明に使用可能な微細藻類が豊富に存在していることが非特許文献より明らかとなっている。例えば、非特許文献1(Journal of General Microbiology(1984)、 130、 2177−2191. Mark A. Mackay et al.)の表1には、塩分濃度の高い環境由来の微細藻類に、ベタイン等を細胞内に浸透圧物質として含有する傾向が示されている。
また、本実施形態の藻類培養方法において培養する微細藻類は、先天的にベタイン或いはグルコシルグリセロール合成能を有する微細藻類であっても良いし、後天的にベタイン或いはグルコシルグリセロール合成能が賦された微細藻類であっても良い。
かかる先天的にベタイン或いはグルコシルグリセロール合成能を有する微細藻類としては、例えば、ハロテース属、ダクチロコッコプシス属、シアノテース属、スピルリナ属、ハロスピルリナ属、ゲイトラリネマ属、プロクロロコッカス属、シネココッカス属、リングビア属、モオレア属、トリコデスミウム属、オシラトリア等の藍藻、ガルディエリア属の紅藻、他、ペディノ藻、プラシノ藻、珪藻等が挙げられる。これらは、培養液の塩分濃度や温度等の外部環境変化等に応じて細胞内にベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する性質を有する。
なお、後天的にベタイン或いはグルコシルグリセロール合成能を獲得させた微細藻類であって、藻体乾燥重量あたり1重量%以上のベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する能力を有する微細藻類であれば、本発明たるところの培養に好適な微細藻類として利用可能であり、上述した特定種類の微細藻類等に限定されることはない。また、これらの微細藻類において、ベタイン或いはグルコシルグリセロールの合成に関して中心的役割を果たす酵素群は特に問わない。
ところで、先天的/後天的に関わらず、ベタインを含有した状態の微細藻類は、塩分耐性及び/又は温度耐性を有するばかりでなく、亜硫酸ガス耐性及び硫化水素ガス耐性を有する付帯効果を得ることができる。よって、上記微細藻類を使用することにより、石炭火力発電所の排ガスなど、二酸化炭素及び亜硫酸ガスを含む混合ガスから二酸化炭素を回収し、更に、有価物たるベタインへ変換することが可能となる。
ここで、本発明の一実施形態に係る各実施工程について、まず、第一の実施工程である集積培養物調製工程1(図1)を、以下に説明する。
本明細書において、「環境試料」とは、自然環境から採取された試料をいい、河川,湖沼,土壌水,地下水等の陸水、海水、土壌等を含む。「環境試料」には、1箇所の採取地から採取された環境試料に限らず、異なる複数箇所の採取地で採取された複数の環境試料が混合されたものも含む。また「環境試料由来の微細藻類の培養物」とは、過去に集積培養を実施して保存された微細藻類を含む培養物や単離微細藻類等が該当し、前記後天的にベタイン等の合成能を獲得させた微細藻類を含む。
かかる工程では、まずは、「環境試料或いは環境試料由来の微細藻類の培養物」を用意する。
ついで、集積培養の培養条件を設定する。培養条件は、例えば、20℃〜50℃の1又は複数の温度条件と、pH3〜pH9の1又は複数のpH条件と、培養の最終塩分濃度が10〜30重量%となるように調整される1又は複数の塩分濃度条件と、を組み合わせて得られる複数の異なる培養条件を設定する。図2は、かかる設定にて集積培養を実施した結果であるが、この場合における培養条件の設定は、温度20、30、40、50℃の4つの温度条件、pH3、5、7、9の4つのpH条件、最終塩分濃度10、20、30重量%の3つの塩分濃度条件を設定し、合計48の集積培養を実施した実施例である。
なお、集積培養にて用いる培地の種類は特に問わないが、本培養で用いる培地を用いることが好ましい。また、本発明は、高塩分条件での培養を特徴の一つとするが、かかる塩分濃度調製に用いられる塩分としては、海塩や岩塩等のNaClを主体とした混合塩からなる物質を用いることができる。但し、培養する微細藻類の増殖を著しく妨げる塩類でなければ、特に構成する塩類種は制限されない。
ところで、前記の温度、pH、塩分濃度条件を違えて実施する条件設定は、本発明であるところのベタイン等含有微細藻類の集積培養工程での重要な要件であるが、集積培養工程では固定条件である光量は、前記要件と同等かそれ以上に重要な培養条件の一つとして考える。
即ち、特に日射エネルギーが豊かな地域において、本発明を実施する場合は、本培養工程3における太陽光照射を想定し、その光量に準じて集積培養での照射条件を決定する。なぜならば、特に低温条件下での強光照射は、微細藻類の増殖や生残に対し強い影響を与えることが知られ、通年実施を見据えた本発明の実施において、特に寒冷期たる冬季における培養や気温/水温等の日較差が著しい時期における培養を安定化させ、通年に亘る安定的な培養を達成するためには、集積培養物のラインナップに低温条件下にて強光照射に耐えうる集積培養物を事前に取得し得ることが肝要である。
以上の集積培養物調製工程1により、各培養条件を生育条件とするベタイン等含有微細藻類が優占化した集積培養物を得ることができる。
続いて、第二の実施工程である培養計画工程2(図1)に関し、以下に説明する。
かかる工程では、本培養の実施期間中に想定される培地の温度の変動に応じて、適切な集積培養物を選択することを第1ステップとし、次にかかる集積培養物の移行に伴って、移行する集積培養物の優占種の移行がスムースに図れる選択集積培養物の適正化と適正化が図られた計画に基づく全体培養計画を立案する第2ステップが存在する。
第1ステップでは、季節変動に伴う培養液の温度変動トレンドを正確に予測し、予測されたトレンドに応じて適切な集積培養物を選択する。即ち、現地、或いは近傍にて、過去に実施した年間を通じた培養液の温度変動データが存在する場合はかかるデータを用いることができる。また適切なデータが存在しない場合は、現地近傍の気象台が蓄積する過去の気温変動データ等を参考として、本培養における培養液の温度変動トレンドをできるだけ正確に予測する。
例えば、過去の気温や水温データの過去一定期間における単純移動平均などは、一般的な表計算アプリケーションで求めることが可能であり、最も使いやすい指標の一つである。
また、かかる単純移動平均は過去のデータを用いるので、実勢に多少遅れた対応となるが、温度上昇トレンドにある冬季から夏季に向かう期間での微細藻類は、増殖や代謝も上昇傾向にあり、多少の遅れは問題とならない。
一方、温度下降トレンドとなる夏季から冬季に関しては、微細藻類の増殖や代謝も低下傾向となり培養も不安定になりやすい。また実施場所が沿岸部か内陸部かによってもかかる温度低下トレンドは異なる。この様に下降トレンドにある場合は、平均気温トレンドよりも更に低い温度を示す、最低気温データを用いたトレンド等を参考にすると良い。
なお、上記の気温トレンドを参考に培養実施計画を作成する際、また実際の培養運転での水温を測定して実データから水温トレンドを作成し現場の意志決定を行う運転管理の際にて、これらの温度トレンドの上昇から下降に転じる状況の見極め、或いは、集積培養物変更のタイミング等をあまり厳密に確定する必要はない。あくまでも中短期の温度トレンドとして俯瞰するがごとくの変動傾向を把握できれば良く、日毎に変化する単純移動平均の値に一喜一憂する必要はない。実際の気温変動は一定の上り調子でも下り調子でもないし、毎年のトレンドが全く同じであることもない。
かかる事業は、この様な前提での環境依存性の高い事業であり、予想や計画から乖離することによって生じる温度トレンドの変動リスクに対しては、別途で十分な対応を考える必要がある。
最も有効と思われる対応の一つとして、集積培養物選択の工夫がある。具体的には、変更の前後にて集積培養組成たる微細藻類叢にて共通種の重複がある様に、各温度別集積培養物を組み合わせる工夫をすることである。実施例を示す図4での温度別集積培養物の選択では、各培養物にて構成される微細藻類種の重複を考慮した組み合わせを図っている。
この操作により、形式上10℃幅の変化に応じた集積培養物調整が、実質20℃幅に対応できる様な温度変動リスクへの対応を図ることができる。
なお、上記にて、トレンド作成方法、データ選択、変動リスクへの対応に対し特定の要素に限定して説明したが、本発明はこれらの具体事例に何ら限定されるものではない。
上記にて予測された培養液の温度変動トレンドに基づき、先の工程にて取得した複数の集積培養物から、温度変動に応じた適切集積培養物を選択する。
次に、第2ステップとして、温度変動に応じた適切と判断された集積培養物に対し、その集積培養物における優占種情報を参考に、かかる優占種が好むpH範囲を推定する。
ここまでに、一定の培養期間で変動する培養液温度、かかる培養液温度変動に応じた至適集積物の選択、至適集積培養物を構成する優占種が好むpH範囲の推定を実施したが、かかる本培養計画にて至適集積培養物が順次変化する一連の流れにおいて、かかる至適集積培養物を構成する優占種が好むpHを参照した場合に、至適集積培養物の切り替えによって、極端なpH変化を伴うpHギャップを生じる計画である場合は、培養液のpH調整ができるだけ少なくなる様な至適集積培養物の運用計画への変更が好ましい。
本培養をバッチ培養で実施する場合は、都度、培養仕込み時にpH調整を実施すれば良いが、連続培養を実施する場合は、緩やかな微細藻類叢変化とそれに応じた緩やかなpH変化が要求される。アルカリ性から急激に酸性に一気に移行する様な急激なpH変更とならないような至適集積培養物の選択が基本的に好ましい。
ところで、従来の微細藻類の商業生産は、特定微細藻類1株を培養するモノカルチャーであって、かかる特定微細藻類の増殖温度特性によって、培養期間や培養方法が限定されてきた。また捕食生物による食害が顕著に生じる特徴を有していた。
本発明であるところの微細藻類の商業生産は、エンドプロダクトに着目し、生産する微細藻類を問わないというスタンスで実施する特徴から、広い温度域に対応し、また培養条件を応じて変動させることを前提として、また条件変動を利用した捕食被害を軽減するなどの対応によって、エンドプロダクトの生産性の安定化を図る特徴を有する。かかる第二の実施工程である培養計画工程2は、微細藻類培養の安定化はもとより、エンドプロダクトの生産性の安定化を図る上で、特に重要な工程とも位置づけられる。
最後に、第三の実施工程である、本培養工程3(図1)に関し、以下に説明する。
本培養工程3は、従来の微細藻類の商業生産で実施されてきた、オープンポンド方式、レースウェイ方式、チューブ方式、浮遊フィルム方式、薄層或いはフラットパネル方式等の商業生産で用いられてきた大量培養方法に準じて実施することができる。
なお、本発明によるところの培養では、現地の温度トレンドに応じて、適切な集積培養物を選択し、かかる集積培養物の至適条件に応じた培養を実施して長期に亘る培養を実現するマルチカルチャー方式を採用している点が、従来のモノカルチャーをベースとする培養方法とは異なる。
かかる培養運転は、特にpH調整に留意して実施する。この調整は、先の培養計画に従うものとする。かかるpH調整方法は、酸/アルカリの希釈溶液や二酸化炭素の吹き込み等で調節することも可能であるが、温度変化トレンドはゆっくり進行することを考慮して、培養で用いる培地成分の消費に伴う緩やかなpHの移行を利用した穏やかな調整を図る様にする。
例えば、MC培地を用いて培養を実施する場合、通常のMC培地の窒素源は硝酸カリウムであり、この窒素源を用いた場合、培養の進行に従ってアルカリ側に傾く性質がある。培養液のpHを酸性側に傾けるには、硝酸カリウムの代わりに塩化アンモニウムや硫酸アンモニウム等を用いる(但し、高濃度のアンモニウム塩は微細藻類の光合成を阻害する報告もあるので、適用濃度に留意する)。目標とするpH設定を達成するのに必要なアンモニウム塩量と1回の培養で使用するアンモニウム塩量を考慮して、かかる温度変化トレンドに見合った調整を実施する。
なお、本培養工程3にて生産された微細藻類は、培養液から分離された後、更に藻体からベタイン等を抽出する操作が施される。
これらの工程は、年間を通じて生産される微細藻類種によっても方法が異なるので、都度、費用対効果を考慮した方法を設定する。なお、汎用性がある方法として、培養懸濁液からの藻体分離では、遠心分離、加圧浮上、凝集沈殿等を挙げることができる。この際、藻体と分離された培養液は、再度、培養槽に戻すことを基本とする。
また、藻体からのベタイン等の抽出は、アルコール等の溶媒を用いる方法等が一般的であり、凍結融解、凍結破砕、超音波破砕等の物理的な細胞破砕方法を併用するとかかる抽出効率の向上が図られる。また更に、本発明における本培養での塩分濃度が高いことを利用して、藻体に若干の低張液を加えて細胞を膨化させてから、上述の物理的な細胞破砕方法を実施しても良い。
総じて、かかる手法を組み合わせて実施して、微細藻類からのベタイン等の分離を図る。
かかる集積培養物調製工程について、本発明をオマーン国での商業生産を実施する前提で実施した集積培養事例に基づき、以下、更に詳細に説明する。
(実施例1)
オマーンでの実証試験に用いる集積培養物を作成するために、オマーン国内にて環境資料採取を、以下の地点で実施した。
[1]マングローブ干潟12か所由来の底泥15試料
[2]Umm as Samim地域の塩平原13か所由来の表土試料
[3]Barr Al−Hikman地域の塩田や高塩分濃度(20%程度)の潮溜まり11か所からの水・藻マット試料14試料
[4]原油精製プラント排水の高温酸性排水溜まり2か所由来の汚泥・藻マット4試料
集積培養での培養液は、海水で調整したMC培地を基本培地とし、塩分濃度の調整はNaClの添加によって、また、pHは、0.1モルの塩酸溶液或いは水酸化ナトリウム溶液の添加によって調整した。なお、集積培養条件の設定として、温度20、30、40、50℃の4つの温度条件、pH3、5、7、9の4つのpH条件、最終塩分濃度10、20、30重量%の3つの塩分濃度条件を設定し、合計48区の集積培養を実施した。
かかる各集積培養への環境試料の接種は、各試料の0.1gを各集積培養で用いる培養液50mlに懸濁して十分に攪拌した後、10分間の静置の後の上清25mlを75mlの各培養液に接種し100mlの試料懸濁液を調整した。調整後、300ml容の滅菌三角フラスコに試料懸濁液を移し、所定温度の恒温インキュベータの上部から、メタルハライドランプを用いて(光量子束密度:約2mmol・m−2・s−1)を用いた疑似太陽光照射条件によって、約3週間の集積培養を実施した。
集積培養結果を、図2に示す。集積培養に含まれる微細藻類の形態観察の結果、各集積培養は、概ね糸状藍藻、ペディノ藻(真核生物で1本鞭毛を特徴とする)、螺旋状藍藻、球状藍藻、桿状藍藻、紅藻(真核生物で藍色を特徴とする)によって微細藻類叢が形成されていることを確認した。また、各集積培養物におけるかかる微細藻類組成の観察結果を図2に示す。
pH3においては、塩分濃度10重量%区の温度40、50℃条件では、紅藻が優占種、温度20、30℃、或いは最終塩分濃度20重量%では、ペディノ藻が優占種であり、最終塩分濃度30重量%の場合、全温度域において微細藻類の生育な観察されなかった。
pH5においては、温度20、30、40℃の全塩分濃度区にて、ペディノ藻が優占種であった。また、温度40、50℃で最終塩分濃度10、20重量%の場合は、糸状性藍藻が優占種であった。
pH7では、温度20、30℃においては、ペディノ藻が優占化する傾向が見られ、塩分濃度10、20重量%では、温度30、40、50℃において糸状藍藻が優占化する傾向が見られたが、他は、条件によって様々な微細藻類が優占化した状態であった。
pH9においては、全温度域の塩分濃度10、20重量%の条件にて、球状藍藻が優占化する傾向が見られた。また、温度30、40、50℃で、塩分濃度20、30重量%の場合に桿状藍藻が優占化する傾向が見られた。
このように、多数の集積培養を実施することによって、各培養条件に応じて微細藻類組成の異なる多様な集積培養物を取得することができた。増殖が確認できなかった条件区も存在したが、少なくとも、微細藻類の増殖が確認できた全ての集積培養物に関しては、集積された微細藻類の乾燥重量当たり1.4重量%以上、2.4重量%以下の範囲で、ベタイン等の含有がHPLC分析にて確認された(図3)。
また、図3に示す様にベタインと同時にグルコシルグリセロールが生産される集積培養物の存在が示唆された。グルコシルグリセロールも保湿剤として化粧品の有効成分として利用される有価物の一つであり、本発明によって、ベタインのみならずグルコシルグリセロール等の浸透圧調整物質の生産が可能であることが確認された。
これらベタイン等の含有が確認された集積培養物に対して、以後、2週間毎に、各集積培養条件に応じた継代培養を実施し、集積培養系統を保存した。
(実施例2)
図2に示す集積培養結果に基づいて、培養水温が20℃から50℃に向かう、冬季から夏季への季節の培養水温の変動があると仮定し、培養計画工程でのステップ1と2の実施を試みた。なお、培養のpH調整は、硝酸カリウムと硫安を交互用いてpH変動幅をある一定幅に抑制することを前提に、各温度域にて用いる集積培養物を選択した。なお、塩分濃度は20重量%に固定とした。
各条件で得られた集積培養での優占種に着目して、各温度域にて用いる集積培養物を選択した。結果を図4に示す。
温度20℃における培養は、pH3とpH5の範囲にて、集積培養物P3/S20/T20(pH3/塩分濃度20重量%/温度20℃で集積された培養物の名称。以下、かかる表現にて、集積培養物を表現する)とP5/S20/T20の2種を混合して用いる計画とした。この集積培養物の混合体は、概ねペディノ藻が優占する。
続く、温度30℃における培養は、pH3とpH5の範囲にて、集積培養物P3/S20/T30とP5/S20/T30の2種を混合して用いる計画とした。この集積培養物の混合体は、20℃と同様に、概ねペディノ藻が優占する。
更に、温度40℃における培養は、pH5とpH7の範囲にて、集積培養物P5/S20/T40とP7/S20/T40の2種を混合して用いる計画とした。この集積培養物の混合体は、ペディノ藻と桿状藍藻を含み、糸状藍藻が優占する。ここで、これまでの20℃から30℃の培養にて優占種であったペディノ藻から糸状藍藻への優占交代を図る計画とした。
また更に、温度50℃における培養は、pH7とpH9の範囲にて、集積培養物P7/S20/T50とP9/S20/T50の2種を混合して用いる計画とした。この集積培養物の混合体は、桿状藍藻が優占する。ここで、40℃の培養にて優占種であった糸状藍藻から桿状藍藻への優占交代を図る計画とした。
上記の様に温度によって優占種が入れ替わる設定では、この優占種が変わることを前提として、その一つ前の集積培養物の選択において、以後の温度設定にて優占化が予想される微細藻類が含まれる集積培養物を選択する様にして、スムースな移行を図る様に考慮した。
なお、冬季から夏季に向かう場合の、集積培養物の変更は、過去2週間における最高気温データに基づいて、かかる2週間の平均値を求め、この平均値が、30℃、40℃を超えるそれぞれのタイミングにて、集積培養物を変更する計画とした。
現地マスカット(オマーン国)における過去の気象観測データでの最高気温データを用いて、かかる集積培養物の変更のタイミングを予想すると、20℃から30℃の集積培養物に変更するタイミングは3月下旬から4月上旬と予想され、30℃から40℃のものに変更するタイミングは5月下旬から6月上旬と予想された。また50℃の集積培養物は、実水温に応じて、その適用を考慮するが、計画では予備とした。
総じて、上記を培養水温が20℃から50℃に向かう、冬季から夏季に向かう場合における集積培養物の選択方法と計画した。
なお、かかる事例は、培養対象物たる微細藻類の生産性を最大とする由での計画であるが、実際の培養においては、微細藻類の生産性は原生動物等の捕食や他のコンタミネーションにより大きく低下することがしばしば存在するので、このコンタミネーションの具体的な回避策は、常に培養計画に入れておく必要がある。
特に、20℃から40℃の温度範囲では、捕食者である原生動物等のコンタミネーション微生物の増殖条件と重なるので注意を要する。経験的に、pH4以下の酸性条件に移行すると原生動物の食被害が軽減される傾向があるので、一連の培養計画の中に、意図的に極端な酸性条件に移行させる機会をあらかじめ定期的に実施する様な計画を立案することも一策ではある。図4に示す計画では、pH3での培養を組み入れて、かかる捕食者の影響を回避する計画を立案している。
このように、第二の実施工程である培養計画工程にて、商業生産の適用性、長期スケジュール、ランニングコスト、必要資材の必要時期/数量の大部分が、本培養の実施以前でその概要をイメージすることができる。従来の大量培養生産では、現行の培養データを詳細にモニタリングすることはあっても、長期に亘る培養環境を予測して、その予測に基づいて培養計画を実施することは稀であった。かかる培養環境の予測に対し確実で安定的な培養を担保するのが、集積培養工程にて取得した集積培養群である。本発明では、かかる工程を特に重要視して確実性の高い培養計画を立てることにより、長期にわたる安定的な商業生産培養を実施することができる。
上記にて、本発明についての具体的な実施事例及び実施方法を、図1から図4を用いて説明したが、本発明はこれらの具体事例に何ら限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることはいうまでもない。
ベタイン等の工業的な生産に関し、本発明によって単純な工程で効率よく通年で製造が可能な生物学的な生産方法を提供するに到り、市場要求たるベタイン等の大量需要に対し、当該技術を適用することができる。
1:集積培養物調製工程
2:培養計画工程
3:本培養工程(含:浸透圧調整物質分離取得工程)
4:ベタイン
5:グルコシルグリセロール
6:塩化ナトリウム

Claims (7)

  1. 20℃〜50℃の温度条件と、pH3〜pH9のpH条件と、培養の最終塩分濃度が10重量%以上30重量%以下となるように調整される塩分濃度条件と、のうち少なくとも一つを複数の異なる条件とすることで得られる複数の異なる培養条件を用いて、環境試料或いは該環境試料由来の微細藻類の培養物を、光独立栄養条件下で、それぞれ培養することにより、ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含み、且つ微細藻類叢の優占種が相互に異なる複数の集積培養物を調製し、前記複数の集積培養物は、pH3、20℃及び塩分濃度10〜20%、又は、pH3、30℃及び塩分濃度20%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH3、40〜50℃及び塩分濃度10%で培養して得た、紅藻を優占種とする集積培養物、pH5、20〜30℃及び塩分濃度10〜30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、糸状藍藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH7、20℃及び塩分濃度10〜30%、又は、pH7、30℃及び塩分濃度30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH7、50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、20℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、球状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、30℃及び塩分濃度30%、又は、pH9、40〜50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物から選択される集積培養物調製工程と、
    前記複数の集積培養物から、本培養の実施期間中に想定される培地の温度変動とpH変動に応じて至適集積培養物を選択して、前記本培養の実施期間中における一連の培養運転を想定する培養計画を作成する工程と、
    前記培養計画に基づいて、更に、光独立栄養条件下、10重量%以上の塩分濃度条件にて前記本培養を実施し、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含む本培養物を作製する本培養工程と、を行うことを特徴とする藻類培養方法。
  2. 前記本培養工程と同時及び/又は後に、前記本培養物から、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを分離して取得することを特徴とする請求項1記載の藻類培養方法。
  3. 前記本培養工程では、10重量%以上30重量%以下の塩分濃度条件で、かつ30℃以上50℃未満の温度条件で、前記本培養を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の藻類培養方法。
  4. 前記集積培養物調製工程では、前記微細藻類が生息する自然環境から採取された環境試料を用いて培養することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の藻類培養方法。
  5. 前記本培養工程において、捕食生物による捕食により、前記微細藻類細胞数の減少を回避するために前記複数の集積培養物から、現状の培養温度とpH4以下で生育可能な前記集積培養物を選択し、選択した前記集積培養物を用いて、pH4以下にて前記本培養を行う集積培養物変更工程を行うことを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の藻類培養方法。
  6. 前記本培養工程は、通年に亘って実施され、
    前記集積培養物変更工程は、年間における気温変化に応じて実施されることを特徴とする請求項5記載の藻類培養方法。
  7. 20℃〜50℃の温度条件と、pH3〜pH9のpH条件と、培養の最終塩分濃度が10重量%以上30重量%以下となるように調整される塩分濃度条件と、のうち少なくとも一つを複数の異なる条件とすることで得られる複数の異なる培養条件を用いて、微細藻類を含む環境試料或いは該環境試料由来の微細藻類の培養物を、光独立栄養条件下で、それぞれ培養することにより、ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含み、且つ微細藻類叢の優占種が相互に異なる複数の集積培養物を調製し、前記複数の集積培養物は、pH3、20℃及び塩分濃度10〜20%、又は、pH3、30℃及び塩分濃度20%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH3、40〜50℃及び塩分濃度10%で培養して得た、紅藻を優占種とする集積培養物、pH5、20〜30℃及び塩分濃度10〜30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、糸状藍藻を優占種とする集積培養物、pH5、50℃及び塩分濃度30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH7、20℃及び塩分濃度10〜30%、又は、pH7、30℃及び塩分濃度30%で培養して得た、ペディノ藻を優占種とする集積培養物、pH7、50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、20℃及び塩分濃度10〜20%で培養して得た、球状藍藻を優占種とする集積培養物、pH9、30℃及び塩分濃度30%、又は、pH9、40〜50℃及び塩分濃度20〜30%で培養して得た、桿状藍藻を優占種とする集積培養物から選択される集積培養物調製工程と、
    前記複数の集積培養物から、本培養の実施期間中に想定される培地の温度変動とpH変動に応じて至適集積培養物を選択して、前記本培養の実施期間中における一連の培養運転を想定する培養計画を作成する工程と、
    前記培養計画に基づいて、更に、光独立栄養条件下、10重量%以上の塩分濃度条件にて前記本培養を実施し、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを含有する微細藻類を含む本培養物を作製する本培養工程と、
    該本培養工程と同時及び/又は後に、前記本培養物から、前記ベタイン或いはグルコシルグリセロールを分離して取得する工程と、を行うことを特徴とするベタイン或いはグルコシルグリセロール製造方法。
JP2014085587A 2014-04-17 2014-04-17 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法 Active JP6438672B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014085587A JP6438672B2 (ja) 2014-04-17 2014-04-17 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法
PCT/JP2015/061747 WO2015159959A1 (ja) 2014-04-17 2015-04-16 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法
US15/304,601 US10047338B2 (en) 2014-04-17 2015-04-16 Algae cultivation method and production method for osmotic pressure regulator

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014085587A JP6438672B2 (ja) 2014-04-17 2014-04-17 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015204758A JP2015204758A (ja) 2015-11-19
JP6438672B2 true JP6438672B2 (ja) 2018-12-19

Family

ID=54602203

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014085587A Active JP6438672B2 (ja) 2014-04-17 2014-04-17 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6438672B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6179769B2 (ja) * 2013-11-22 2017-08-16 清水建設株式会社 好塩性微生物からベタイン及び/又はグルコシルグリセロールを抽出する方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3459275B2 (ja) * 1993-03-02 2003-10-20 財団法人地球環境産業技術研究機構 新規微細藻類株及びそれを用いて二酸化炭素を固定する方法
JPH0856648A (ja) * 1994-08-22 1996-03-05 Tokyo Electric Power Co Inc:The 新規微細藻類株及びそれを用いてco2を固定する方法
CN102149809A (zh) * 2008-01-03 2011-08-10 普罗特罗公司 转基因光合微生物和光生物反应器
AU2012210354C1 (en) * 2011-01-28 2017-01-19 Algaecytes Limited Process for production of microalgae, cyanobacteria and metabolites thereof

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015204758A (ja) 2015-11-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Oren Cyanobacteria in hypersaline environments: biodiversity and physiological properties
Darzins et al. Current status and potential for algal biofuels production
Zhao et al. The influence of duckweed species diversity on biomass productivity and nutrient removal efficiency in swine wastewater
WO2015159959A1 (ja) 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法
Takouridis et al. The selective breeding of the freshwater microalga Chlamydomonas reinhardtii for growth in salinity
KR101694711B1 (ko) 지질 생산성을 증가시키는 미세조류의 배양방법
Oren The microbiology of red brines
Rueness et al. Growth in culture of four red algae from Norway with potential for mariculture
Pimpimol et al. Spirogyra cultured in fishpond wastewater for biomass generation
Matos et al. The use of desalination concentrate as a potential substrate for microalgae cultivation in Brazil
Matos et al. Cultivation of Chlorella vulgaris in medium supplemented with desalination concentrate grown in a pilot-scale open raceway
Gani et al. An overview of environmental factor’s effect on the growth of microalgae
Gautam et al. Application of halophilic algae for water desalination
AU2012284645B2 (en) Method for obtaining an open phototrophic culture with improved storage compound production capacity
CN102191179A (zh) 一种海洋产油微藻的培养方法
Carvalho et al. Cultivation of Arthrospira (Spirulina) platensis by fed-batch process
JP6438672B2 (ja) 藻類培養方法及び浸透圧調整物質の製造方法
CN106480155B (zh) 一种适合在高温条件下促进雨生红球藻生产虾青素的方法
CN102911872B (zh) 栅藻藻株及其应用
JP6359314B2 (ja) 紅藻シアニジウム目のための脂質生産用培地組成物および脂質生産方法
KR101499912B1 (ko) 신규 테트라셀미스 MBEyh04Gc 균주(KCTC 12432BP) 및 이를 이용한 바이오디젤의 제조방법
KR101670703B1 (ko) 지질 함량이 증진된 미세조류의 배양방법
CN109097422B (zh) 一种提高小球藻多糖产量的方法
JPWO2016010149A1 (ja) オーランチオキトリウム(Aurantiochytrium)属藻類の低塩分濃度条件順化方法
Ramkrishnan et al. Sequestration of CO 2 by halotolerant algae

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170410

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180424

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180621

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181023

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6438672

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250