JP6438646B2 - 荷電粒子ビーム分布測定システムおよび荷電粒子ビーム分布測定方法 - Google Patents

荷電粒子ビーム分布測定システムおよび荷電粒子ビーム分布測定方法 Download PDF

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Description

この発明は、荷電粒子ビームの分布を測定するような荷電粒子ビーム分布測定システムおよび荷電粒子ビーム分布測定方法に関する。
従来、荷電粒子を加速器で加速し、加速した荷電粒子ビームをターゲットに照射する荷電粒子ビーム照射システムが提供されている。このような荷電粒子ビーム照射システムでは、荷電粒子ビームの形状や照射位置を精度よく制御することが望まれる。ここで、荷電粒子ビームの形状や照射位置は、肉眼で確認することができない。このため、種々の荷電粒子ビーム分布測定方法が提案されている。
例えば、蛍光板を用いてビーム形状を測定するビーム形状モニタシステムが提案されている(特許文献1参照)。このビーム形状モニタシステムは、荷電粒子ビームがシンチレータ(蛍光板)に当たることによる励起現象を利用し、この励起現象による発光をCCD素子によって観察する。この方法により、定量的かつ容易にダクト断面に対するビームの相対位置や断面径の大きさの表示が出来るとされている。
しかし、このようにシンチレータを用いるシステムには、RI生成で用いられる大電流・直流ビームの診断をする際に、撮像に用いるCCD素子が中性子線により損傷し易く、シンチレータがビーム加熱により溶解するという問題点があった。
また、ワイヤーモニタを用いた荷電粒子ビーム計測装置が提案されている(特許文献2参照)。この荷電粒子ビーム計測装置は、ビーム通路を横切る方向に張られた複数の金属ワイヤを備えている。この荷電粒子ビーム計測装置は、ビームが金属ワイヤに当たり、このとき金属ワイヤに生じる電流を取り出すものである。この電流がビーム強度に比例するという性質から、荷電粒子ビーム計測装置は、荷電粒子ビームの粒子分布を知ることができるとされている。
しかし、ワイヤーモニタを配置して荷電粒子ビーム分布測定を行うシステムには、例えばビーム形状が中空であるような場合など、ビーム形状によっては正確に測定できないという問題があった。
特開平05−223943号公報 特開平01−257295号公報
この発明は、上述した問題に鑑み、中性子線に対して耐性をもち、かつ、ビームの形状によらずに荷電粒子ビームの分布を測定できる荷電粒子ビーム分布測定システムおよび荷電粒子ビーム分布測定方法を提供することを目的とする。
この発明は、荷電粒子ビームが照射されると照射部分に温度変化が生じる被照射媒体と、前記被照射媒体の前記照射部分以外の少なくとも一部を冷却する冷却部と、前記被照射媒体の少なくとも前記照射部分の温度分布を測定する温度分布測定装置と、前記温度分布測定装置によって測定した二次元温度分布から二次元熱源分布を得、この二次元熱源分布から二次元ビーム分布を算出するビーム分布算出部とを備え、前記被照射媒体は、表面が前記荷電粒子ビームの透過方向と直角となるように配置され、前記冷却部は、前記荷電粒子ビームの行路上に設けられず前記被照射媒体の周囲に設けられた荷電粒子ビーム分布測定システム、および荷電粒子ビーム分布測定方法であることを特徴とする。
この発明により、中性子線に対して耐性をもち、かつ、ビームの形状によらずに荷電粒子ビームの分布を測定できる荷電粒子ビーム分布測定システムおよび荷電粒子ビーム分布測定方法を提供することができる。
荷電粒子ビーム照射システムの概略構成を示す説明図。 遮蔽膜周辺を示す分解斜視図。 熱源と離散空間の温度の位置を示す画素マップ図。 ビーム分布を算出する動作のフローチャート。 測定したビーム分布を画像表示により説明する説明図。
本発明者らは、荷電粒子ビーム照射システムによって照射された荷電粒子ビームの分布を測定する方法を鋭意研究した結果、従来の方法では困難であったビーム形状によらずに精度よくビーム分布を測定できる荷電粒子ビーム分布測定システムを開発した。
以下、この発明の一実施形態を図面と共に説明する。
図1(A)は、荷電粒子ビーム照射システム1の概略構成を示すブロック図であり、図1(B)は、荷電粒子ビーム分布測定システム8の概略構成を示す縦断正面図である。図2は、図1(B)のA−A面で切断して遮蔽膜17周辺を示す分解斜視図である。
図1(A)に示すように、荷電粒子ビーム照射システム1は、荷電粒子発生装置2、加速器4、及び荷電粒子ビーム照射部6により構成されている。
荷電粒子発生装置2は、荷電粒子を発生させる装置であり、所望のイオン種を発生させるイオン源等、適宜の装置で構成することができる。この荷電粒子発生装置2が発生させる荷電粒子は、電子、陽子、
重陽子、アルファ粒子、または重イオンなど、目的に応じて適宜のものとすることができる。
加速器4は、荷電粒子を加速する装置であり、例えばサイクロトロンで構成することができる。なお、加速器4は、サイクロトロンに限らず、シンクロトロン等の適宜の加速器としてもよく、また、図示するように円形加速器に限らず線形加速器とする、あるいは線形加速器と円形加速器の両方とするなど、適宜の構成とすることができる。
荷電粒子ビーム照射部6は、荷電粒子をターゲットに照射する部分の装置であり、コンピュータ7が設けられている。荷電粒子ビーム照射部6とコンピュータ7により、荷電粒子ビーム分布測定システム8が構成される。
コンピュータ7は、演算装置、入力装置、記憶装置、及び出力装置(モニタ)からなる適宜のコンピュータから構成される。
コンピュータ7は、温度分布測定装置である赤外線カメラ15(サーモグラフィックカメラ、図1(B)参照)から入力装置により温度分布データを受け、記憶装置に実装された変換プログラムを演算装置で動作させることで、その温度分布データをビーム分布データに変換し、その結果を出力装置であるモニタに送信する。
コンピュータ7は、この一連の動作を連続して繰り返し実行する事ができる。このため、ビーム分布データは常に更新され、遮蔽膜17(図1(B)参照)に荷電粒子ビームが照射されているビームスポットの位置と大きさと形状をリアルタイムに表示できる。
なお、コンピュータ7は、FPGA(field‐programmable
gate array)やDSP(digital signal
processor)等のデジタル演算器を含むシステムとして構成されても良い。本発明の温度分布からビーム分布への変換処理で行う演算は、後述するようにシンプルに構築されているため、これらのデジタル演算器でも問題なく処理できる。
図1(B)に示すように、荷電粒子ビーム分布測定システム8は、荷電粒子ビーム照射部6と、コンピュータ7とで構成されている。
荷電粒子ビーム照射部6は、ビーム搬送ダクト11と、観察ダクト12と、赤外線カメラ15と、遮蔽膜17と、冷却部20と、照射ダクト31とを有している。照射ダクト31の後段(図示下方)には、ターゲット33が配置されている。
ビーム搬送ダクト11は、円筒形の導管であり、内部が真空に保たれている。このビーム搬送ダクト11内には、加速器4(図1(A)参照)からターゲット33へ向けて荷電粒子ビームが通過する。ビーム搬送ダクト11の後段側(ビーム放出側)の端部は、遮蔽膜17で隙間なく遮蔽されている。
観察ダクト12は、ビーム搬送ダクト11の側面で遮蔽膜17に近い位置に接続されている円筒形の導管である。この観察ダクト12は、ビーム搬送ダクト11に対して45度傾斜して配置され、遮蔽膜17とは反対側となる観察側(図示左上側)に設けられた観察窓13によって、観察ダクト12の内部は真空封じされる。赤外線カメラ15は、観察ダクト12の外側(大気圧)に、観察窓13越しに遮蔽膜17を撮影する向きに設置される。
観察窓13は、フッ化バリウム(BaF2)のガラスまたはフッ化カルシウム(CaF2)のガラス等、赤外線を透過させる素材(赤外線透過部材)で形成された板状の部材である。この観察窓13は、赤外線カメラ15のレンズ15a側が取り付けられる取付部としても機能する。なお、取付部は、観察窓13に赤外線カメラ15を直接固定して取り付ける構成とする、あるいは赤外線カメラ15をビーム搬送ダクト11等の他の部位に固定してレンズ15aを観察窓13に向い合せて配置する構成とする等、適宜の構成とすることができる。
赤外線カメラ15は、赤外線を測定して温度分布を測定するサーモグラフィーである。この赤外線カメラ15は、観察窓13と観察ダクト12により、荷電粒子ビームの照射方向Y1に対して45度の角度となる確認方向Y2で遮蔽膜17の少なくとも荷電粒子ビーム照射範囲全体を撮影することができるように配置されている。この赤外線カメラ15は、赤外領域を撮影できる適宜のカメラで構成することができ、中でも中性子線に耐性のあるものが好ましい。この実施例では、赤外線カメラ15として、中性子線に耐性のある非冷却型マイクロボロメーター等を撮像素子として用いたもの等を使用する。
遮蔽膜17は、真空を保つための円盤形状で肉厚一定の膜であり、荷電粒子ビームが透過し、かつ、この透過によって温度変化が生じる素材により形成されている。この遮蔽膜17は、荷電粒子ビームの照射範囲より広い面積を有し、平面(表面)が荷電粒子ビームの透過方向と直角となるように、言い換えれば荷電粒子ビームの幅方向が平面方向となるように配置されている。この遮蔽膜17は、ビーム輸送ライン(ビーム搬送ダクト11側)と照射ターゲット部(照射ダクト31側)の圧力差を保つ機能を有している。また、この遮蔽膜17は、荷電粒子ビームが照射される被照射媒体としても機能し、ビーム分布を測定するために赤外線カメラ15で撮影される被撮影体としても機能する。このため、遮蔽膜17は、荷電粒子ビームの照射によって少しでも温度が変化する素材で作成される。具体的には、遮蔽膜17は、ニオブ(Niobium)、グラファイト、アルミニウム、または銅等の素材とすることができる。
冷却部20は、遮蔽膜17を外側から冷却する冷却装置である。この冷却部20は、図2に示すように、リング状に形成されたリング状部21と、このリング状部21の側面に互いに近接配置された冷媒流入口23及び冷媒排出口24を有している。冷媒流入口23及び冷媒排出口24は、冷媒を循環させる冷却装置35に接続されている。冷却装置35により供給されて冷媒流入口23から流入する冷媒22は、リング状部21内を循環し、冷媒排出口24から排出される。なお、図2は、冷媒22の流路をわかりやすくするため、左右対称形状である冷却部20の冷媒流入口23付近を一部切断して図示している。
また、冷却部20のリング状部21は、遮蔽膜17の円盤形状の外周部分とほぼ同じ大きさのリング形状に形成されている。特に、荷電粒子ビームを妨げないために、遮蔽膜17に荷電粒子ビームが照射される照射領域18全体がリング状部21の内側に生じる中空部となるように構成されている。これにより、冷却部20は、荷電粒子ビームの通過を妨げることなく、遮蔽膜17を外周部から冷却できる。
なお、照射領域18は、荷電粒子ビームが主に照射される領域(照射部分)を指しており、照射領域18の外側にビーム経路から若干逸脱したごく少量の荷電粒子ビームが照射されるような場合を排除するものではない。
また、冷媒22は、冷却用の液体又は気体とすることができ、液体窒素や水や空気等適宜の媒体とすることができる。
照射ダクト31は、円筒形のダクトであり、ターゲット33までの通路を被覆している。
ターゲット33は、荷電粒子ビームを照射する目的物である。このターゲット33は、荷電粒子ビーム照射システム1を使用する目的に応じて適宜のものとすることができる。
図3は、熱源と離散空間の温度の位置を示す画素マップ図である。ここで、荷電粒子ビーム分布測定プログラムで実行する温度分布からビーム分布への変換処理方法の考え方について説明する。
遮蔽膜17中での個々の入射イオンのエネルギー損失量ΔEが遮蔽膜17のz軸方向(ビームの進行方向)で一様である場合には、温度分布T(x,y)と熱源S(x,y)の関係は、次の[数1]に示す二次元定常熱伝導方程式により定まる。
※λ(T): 温度に依存する熱伝導率。
[数1]の2階微分項に中心差分法を適用し、Si,jについて解くと、次の[数2]が得られる。
※i,j: 離散空間におけるx,y座標。
Δx,Δy: 離散空間で分割されたセルのx,y方向の1辺の長さ。
Ti,j: 点(i,j)にあるセル上の温度。
Si,j: 点(i,j)にあるセル上の熱源。
[数2]より、点(i,j)の熱源は、その点とその周り4点の温度より求まることが示される。すなわち、図3の画素マップ図に示すように、熱源50は、目的画素40と、この目的画素40の各辺に隣接する4つの隣接画素41〜44の温度(つまり図示で着色されている5つの画素の温度)から算出することができる。
ここで、遮蔽膜17には厚みがあり、熱はx,y,zの3次元方向に伝搬していくにもかかわらず、このように二次元の計算で成立するのは、本発明の構成によるものである。すなわち、冷却部20は、遮蔽膜17の周囲に設けられており、ビームの行路上には設けられていない。このため、荷電粒子ビームが遮蔽膜17を通過して熱が生じると、この熱が、冷却部20の存在する方向、すなわち荷電粒子ビームの幅方向(x,y方向)へ伝搬する。荷電粒子ビームの進行方向(z方向)には冷却部20が存在していないため、遮蔽膜17の厚み方向(z方向)には温度の勾配がない。そのため、熱の伝搬方向を二次元に制限したことにより、微分方程式からz方向の項を無視する事ができ、図3の画素マップ図に示したように、その点(目的画素40)と周りの4点(隣接画素41〜44)の温度を考慮する二次元の計算式で表すことができる。
以上の関係を用いて、熱源からビーム分布への変換を、次の[数3]を用いて行う。
※q: イオンの電荷。 lz: 遮蔽膜17の厚さ。
ΔE: ビームを成す個々のイオンの遮蔽膜17中におけるエネルギー損失。
以上に説明した温度分布からビーム分布への変換処理方法と、赤外線カメラ15により測定された二次元温度データ上のノイズ除去のための平均化およびフィルタリング法を組み合わせて、荷電粒子ビーム分布測定プログラムが実行する変換アルゴリズムが構成される。
図4は、荷電粒子ビーム分布測定プログラムに従ってコンピュータ7が実行するアルゴリズムを示すフローチャートである。このフローチャートを実行するコンピュータ7は、ビーム分布算出部として機能する。
まず、コンピュータ7は、変数Nに「0」を代入して初期化し(ステップS1)、赤外線カメラ15で撮影した二次元温度データを収集する(ステップS2)。このとき、赤外線カメラ15は、x,y座標の二次元画像の各画素について温度データを取得し、この各画素の温度データをコンピュータ7が取得する。
コンピュータ7は、変数Nに1加算し(ステップS3)、予め定めた所定回数である平均値計算用繰り返し回数に到達していなければ(ステップS4:No)、ステップS2に処理を戻して二次元温度データの取集を繰り返す。
二次元温度データの収集回数が平均値計算用繰り返し回数に至っていれば(ステップS4:Yes)、コンピュータ7は、平均化処理を実行する(ステップS5)。この平均化処理は、各画素単位でNave個の温度データから平均値を算出する処理である。
コンピュータ7は、変数Nに「0」を代入して初期化し(ステップS6)、変数Nに代入されている回数が予め定めた所定回数であるフィルタリング回数に至っているかを判定する(ステップS7)。このフィルタリング回数は、例えば1回とする、あるいは複数回とするなど、適宜の回数とすることができる。
フィルタリング回数に至っていなければ(ステップS7:No)、コンピュータ7は、フィルタリング処理を実行し(ステップS8)、変数Nの値に1加算して(ステップS9)、ステップS7に処理を戻して繰り返す。このフィルタリング処理は、ガウシアンフィルタ等の平滑化フィルタにより、二次元温度データを平滑化する処理である。
フィルタリング回数に至っていれば(ステップS7:Yes)、コンピュータ7は、温度分布からビーム分布への変換処理方法を実行する(ステップS10)。この温度分布からビーム分布への変換処理方法は、平均化処理(ステップS5)とフィルタリング処理(ステップS8)の完了した温度データに対して、上述した[数2]の式により、二次元温度データを二次元熱源分布に変換し、さらに[数3]の式により二次元熱源分布から二次元ビーム分布に変換する。
以上の構成およびアルゴリズムにより、荷電粒子ビームの分布を精度よく測定することができる。
温度分布からビーム分布への変換処理方法で行う演算の効果を確かめる為に、ビーム照射の際に赤外線カメラ15によって得られる遮蔽膜17の二次元温度データをノイズも含めてシミュレーションにより模擬し、その結果に本アルゴリズムを適用すること二次元ビーム分布を求めた。
赤外線カメラ15によって得られる遮蔽膜17の二次元温度データの模擬は、以下の(1)、(2)の手順により行った。
(1)ビームのパラメーター(エネルギー、電流、ビーム幅)、及び遮蔽膜17の厚さ、材料を決めて、この条件で生じる温度分布を二次元定常熱伝導方程式から求める。
φ100mmの領域を200×200のセルで離散化し、有限差分法により二次元定常熱伝導方程式を解く。
(2)ノイズは、その振幅が正規分布であると仮定し、2σ=ΔTNETDとなるように擬似乱数を用いて決める。得られたノイズは、(1)で計算されたノイズを含まない温度分布に加える。
このΔTNETD(NETD: noise equivalent temperaturedifference)は、ノイズの振幅に相当する温度の広がりを示したものであり、赤外線カメラ15の性能に依存する。
本解析では、比較的ノイズの大きい汎用の赤外線カメラ15の使用を想定して、ΔTNETD=0.3Kとした。
以上のシミュレーションにより得られた温度分布を、温度分布からビーム分布への変換処理方法のアルゴリズムを用いてビーム分布に変換した。その結果を、あらかじめ決められた厳密解と比較した結果が、図5(A)〜図5(F)である。
図5(A)および図5(B)は、平均化、フィルタリングを行わずに、温度分布からビーム分布への変換処理方法のみを用いて導出したビームプロファイルを示す。図5(A)は、x,y方向の二次元分布を色の濃淡により示す画像図であり、図5(B)は、x方向の本来のビーム分布(黒の破線)と演算により測定したビーム分布(グレーの実線)を示すグラフである。入射ビームは、20MeV、20μA、ビーム径2σ=10mmのプロトンビームとした。また、遮蔽膜17は、厚さ100μmの銅箔とした。
図5(A)の二次元分布に見られるように、ある程度のビーム形状を判断する事が可能であるが、ノイズが目立つ。このノイズは、変換前の温度分布から伝搬して生じたものである。図5(B)に示す通り、ノイズの振幅とビーム分布の強度が同程度である。従って、ビーム分布の正確な測定のためには、ここから温度分布上のノイズを除去することが必要である。
図5(C)と図5(D)は10枚分の温度分布を用いて平均化した後に変換法を用いて導出したビーム分布を示す。図5(C)は、x,y方向の二次元分布を色の濃淡により示す画像図であり、図5(D)は、x方向の本来のビーム分布(黒の破線)と演算により測定したビーム分布(グレーの実線)を示すグラフである。このように、平均化処理をすることで、ノイズが減少していることがわかる。
図5(E)と図5(F)は、10枚分の温度分布を用いた平均化し、さらに1 回のフィルタリングを行った後に変換法を用いて導出したビーム分布である。図5(E)は、x,y方向の二次元分布を色の濃淡により示す画像図であり、図5(F)は、x方向の本来のビーム分布(黒の破線)と演算により測定したビーム分布(グレーの実線)を示すグラフである。このように、平均化のみではまだ少し残るノイズを、フィルタリングによって効果的に除去出来る。また、変換されたビーム分布は破線で示す厳密解を十分よく再現出来ていることが確認出来る。今回考慮した2σ=10mmのビームに対して、薄膜上の温度分布の幅は2σ≒30mmとなり、3倍程度広がった分布が観測された。したがって、正しくビーム分布を正確に検証する上で、今回開発したアルゴリズムは非常に有用である。
次に、図5(G)〜図5(I)と共に、温度分布では正確に検知できないようなビーム形状であっても、上述した本発明の温度分布からビーム分布への変換処理方法により精度良いビーム分布を得られることを説明する。
図5(G)は、温度分布を示す画像図である。図示するように、中央の広い部分が明るくなっており、1つの大きな円形で中央へ向かって明るく(温度が高く)なっていることがわかる。
この温度分布から、本発明の温度分布からビーム分布への変換処理方法により求めたビーム分布が図5(H)に示すビーム分布の画像図である。図示するように、実際には図示上下方向に細長い楕円形の2つのビームが図示左右方向に横並びに照射されていることがわかる。このように、温度分布では2つのビームによる熱が混ざって識別できなくなり、1つの大きなビームのように見えるような場合でも、本発明の温度分布からビーム分布への変換処理方法を行うことで、2つの楕円形ビームであることを正確に確認することができる。
図5(I)は、この温度分布とビーム分布をx方向に表示したグラフである。本来のビーム分布(黒の破線)が中央付近で2か所突出するように高くなっていることに対し、温度分布(グレーの破線)はこの2か所の頂点を1つの大きな頂点とする山形になる。これに対し、本発明の温度分布からビーム分布への変換処理方法により求めたビーム分布(グレーの実線)は、本来のビーム分布とほぼ同じ形状となり、中央付近で2か所突出するように高くなっている。
以上に説明したように、荷電粒子ビーム分布測定システム8は、ビーム形状にかかわらず、ビーム分布を精度よく測定することができる。
撮影に使用するカメラが撮像素子としてマイクロボロメーター等を用いた赤外線カメラ15であるため、中性子線に対して耐性があり、繰り返しの使用に耐えることができる。
また、冷却部20は、遮蔽膜17の周囲から冷却する構造であるため、遮蔽膜17の中での熱の伝搬をビーム幅方向であるx,y方向の二次元にすることができる。
また、この熱伝搬を二次元にすることで、微分方程式からz軸の項を削減して二次元での計算が可能となり、温度分布からビーム分布を求める式をシンプルにすることができる。
また、シンプルな式で演算できるため、高性能のコンピュータを用いずとも、FPGAやDSP等を用いて実現することができる。
また、本発明により、赤外線カメラ15として比較的ノイズの大きいもの(ΔTNETD≒0.3K)を用いた場合でも、ニオブ薄膜を用いる事で0.1μAから数10μA程度のプロトンビームについて、十分正確にビーム分布を測定できることが計算により確認された。
また、平均化処理では、複数回取得した温度を用いて画素毎に平均化をするため、すべての画素における測定結果のバラツキを解消して精度を向上することができる。
また、フィルタリング処理では、隣接する画素間での差を平滑化するため、画素間でのバラツキや誤差を解消して精度を向上することができる。
このように、画素内での誤差解消を行う平均化処理と、画素間での誤差解消を行うフィルタリング処理の両方を行うことで、荷電粒子ビームの放射性核種が遮蔽膜17内で確率的に熱を発生することにより生じるノイズを精度よく解消し、ビーム分布の測定結果を真のビーム分布に高精度で近づけることができる。
なお、冷却部20は、遮蔽膜17の周囲全体を冷却する構造としたが、これに限らず、遮蔽膜17の周囲の複数箇所を冷却する構造とするなど、適宜の構造とすることができる。このような場合でも、冷却部20が遮蔽膜17の周囲にある程度均等間隔に配置されていれば、温度をx,y方向へ満遍なく伝搬させることができ、上述した実施例と同じ効果を得ることができる。
また、冷却部20は、ビーム搬送ダクト11の外側に配置したが、これに限らず、ビーム搬送ダクト11の内側に配置してもよい。この場合、遮蔽膜17において荷電粒子ビームが照射されない周囲部分に冷却部20を配置し、冷却部20で冷却している部分に荷電粒子ビームが通過しないように構成する。この場合も、上述した実施例と同じ効果を得ることができる。
また、遮蔽膜17は、ビーム輸送ライン(ビーム搬送ダクト11側)と照射ターゲット部(照射ダクト31側)の圧力差を保つための膜としたが、これに限らず、圧力差を保つための膜とは別に、温度分布からビーム分布を測定する測定用膜を設けても良い。この場合、赤外線カメラ15は、圧力差を保つための膜ではなく、測定用膜を撮影するように構成すれば良い。また、この場合、冷却部20は、測定用膜を周囲から冷却する構成にすればよい。この場合も、ビーム分布を精度よく測定することができ、上述した実施例と同じ効果を得ることができる。なお、この場合、ターゲット33そのものを測定用膜として利用し、ターゲット33の周囲に冷却部20を設けてもよい。
また、冷却部20は、冷媒22によって冷却する構造としたが、これに限らず、遮蔽膜17の周辺部に設けたヒートシンクとするなど、遮蔽膜17の周辺部を冷却する適宜の構造とすることができる。
この発明は、荷電粒子ビームを照射する適宜の装置に用いることができる。例えば、PET用RI製造ライン、BNCT治療などに用いる中性子発生システム、陽子線治療システム、加速器実験、材料照射、放射光の入射電子、粒子線治療、電子線滅菌など、荷電粒子ビームを照射する様々な用途に用いることができる。
7…コンピュータ
8…荷電粒子ビーム分布測定システム
15…赤外線カメラ
17…遮蔽膜
18…照射領域
20…冷却部
40…目的画素
41〜44…隣接画素

Claims (5)

  1. 荷電粒子ビームが照射されると照射部分に温度変化が生じる被照射媒体と、
    前記被照射媒体の前記照射部分以外の少なくとも一部を冷却する冷却部と、
    前記被照射媒体の少なくとも前記照射部分の温度分布を測定する温度分布測定装置と、
    前記温度分布測定装置によって測定した二次元温度分布から二次元熱源分布を得、この二次元熱源分布から二次元ビーム分布を算出するビーム分布算出部とを備え、
    前記被照射媒体は、表面が前記荷電粒子ビームの透過方向と直角となるように配置され、
    前記冷却部は、前記荷電粒子ビームの行路上に設けられず前記被照射媒体の周囲に設けられた
    荷電粒子ビーム分布測定システム。
  2. 前記被照射媒体は、ニオブ薄膜である
    請求項1記載の荷電粒子ビーム分布測定システム。
  3. 前記温度分布測定装置は、画素毎に温度を測定して前記温度分布として二次元温度分布を測定する構成であり、
    前記ビーム分布算出部は、
    前記温度分布測定装置によって得られた目的画素の温度と前記目的画素に隣接する隣接画素の温度を含む前記二次元温度分布より、二次元定常熱伝導方程式を用いて前記各画素に対する熱源の分布である二次元熱源分布を得る第1の演算と、
    該二次元熱源分布より前記荷電粒子ビームに関する前記被照射媒体でのエネルギー損失を用いて前記ビーム分布としての二次元ビーム分布を得る第2の演算とを行う構成である
    請求項1または2記載の荷電粒子ビーム分布測定システム。
  4. 荷電粒子ビームが照射されると照射部分に温度変化が生じる被照射媒体に対し、前記照射部分以外の少なくとも一部を冷却部が冷却し、
    前記被照射媒体は、前記荷電粒子ビームの照射範囲より広い面積を有し、
    前記冷却部は、前記荷電粒子ビームの行路上に設けられず前記被照射媒体の周囲に設けられ、
    前記被照射媒体の少なくとも前記照射部分の温度分布を温度分布測定装置が測定し、
    前記温度分布測定装置によって測定した温度分布からビーム分布算出部がビーム分布を算出する
    荷電粒子ビーム分布測定方法であって、
    前記温度分布測定装置は、画素毎に温度を測定して前記温度分布として二次元温度分布を測定し、
    前記ビーム分布算出部は、
    前記温度分布測定装置によって得られた目的画素の温度と前記目的画素に隣接する隣接画素の温度を含む前記二次元温度分布より、二次元定常熱伝導方程式を用いて前記各画素に対する熱源の分布である二次元熱源分布を得る第1の演算と、
    該二次元熱源分布より前記荷電粒子ビームに関する前記被照射媒体でのエネルギー損失を用いて前記ビーム分布としての二次元ビーム分布を得る第2の演算とを行う
    荷電粒子ビーム分布測定方法。
  5. 前記被照射媒体は、表面が前記荷電粒子ビームの透過方向と直角となるように配置され
    請求項4記載の荷電粒子ビーム分布測定方法。

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